留学体験記〜シドニー工科大学

留学体験記〜シドニー工科大学〜
工学部
鎌田凌雲
目次
・1年間の交換留学
・留学動機
・1日のスケジュール
・日本との生活の違い
・写真(オペラハウス、ルナパーク、ボンダイビーチ)
ーーー2学期間の交換留学ーーー
私は、2013年8月から約1年間、オーストラリアの「シドニー工科大学(UTS)」
へ留学していました。交換留学という形態で「単位互換制度」が適用される制度や「授業
料は新潟大学と同額」など大学生活に支障が少なく、また、英語要件を満たせば、個々の
専門分野と同じ授業内容が受けられます。つまり、留学先で学部・学科の授業が受けられ、
単位を修得でき、かつ英語も学べるというメリットに惹かれ、交換留学を選びました。他
にも留学形態はいろいろとありますが、金銭的負担が少なく、休学もしなくて良いので、
私は「交換留学」をみなさんにお勧めします。交換留学制度は、大学生のうちしか利用で
きないので、良い機会を無駄にしないようにしましょう。
また、留学期間は1学期間(約半年)より2学期間(約1年)をお勧めします。なぜな
ら、半年間と1年間では、見えてくるものが圧倒的に違うからです。よく言われる視野の
広がり、物事の見方、考え方、世界観など得られるものの価値が、1年間と半年間では、
異なってきます。また、1年間いると、授業は、前期と後期に2度、受講できるチャンス
がありますが、半年間では一発勝負です。半年間海外に滞在してようやく生活に慣れてき
たと思ったらすぐに帰国するみたいだ、ということをよく聞きます。人生のうちのたった
の1年間なので、長いスパンで俯瞰すればわずかな期間に過ぎません。英語力の上昇にも
大きな差が生まれます。
ーーー留学動機ーーー
私が今回のオーストラリア留学を決めた理由は、「英語が得意になって、話せるように
なりたかったから。」です。現代では、グローバル化の加速に伴い、英語の必要性が以前
より高まってきました。よく聞く話でいえば、「企業の社内公用語化」「労働移転問題」
「企業の海外進出」などいろいろあります。しかし、私の留学生活のなかでの実感として
は、「世界中の人々が英語を話すようになってきたから、日本人も話せるようにならなけ
ればならないだろう。」ということです。オーストラリアは、多国籍の人々が集まってい
る国です。中国、韓国、タイ、日本、欧米、インド、インドネシア、フィリピンなどたく
さんの人々に会ってきました。みんな英語が流暢で、日常生活で不便なく用いていました。
クラスメイトの中国人やスペイン人も英語はペラペラでした。アルバイト先の仲間、大人
や子供まで英語を使っています。彼らは、すでに小さい頃から学校の授業で英語を習って
いたのです。「日本に英語教育はないの?」などと中国人に皮肉っぽく言われたことがあ
ります、私たちの多くは、英語教育を受けてきたにもかかわらず英語が話せません。それ
は簡単な理由です。「英語の授業を日本語で受けているからです。」日本以外の多くの国で
は、母国語と英語が共通語になっていますが、日本は日本語だけです。
教育改革の一環として、政府は「中学校からは、英語の授業を原則英語で行う。」と述
べています。受験英語から、コミュニケーション英語へとシフトする動きが近い将来出て
くるようになります。そうなると、我々の世代が大人になったときの子供は、みんな英語
が話せるようになっているかもしれません。子供が英語を話せるのに、親世代が話せない
のは恥ずかしいことでしょう。また、文科省は留学促進を勧め、「現在の留学生10万人
程度から留学生30万人計画」を立てています。これからますます、日本を離れて勉強す
る若者が増えていくと思われます。2020年の東京オリンピックには、「英語ができる
10万人のボランティア」を募集する予定であり、海外からの選手や人々を英語でおもて
なしをしなければなりません。見えないところで英語の必要性は高まりつつあります。た
だ、現状の日本では、ネット上で「英語不用論」を伝えるブログなどが吹き上がりを見せ
ていて、安心感を与えつづけている状態です。それは、英語を勉強したくない理由をただ
論理的に述べているだけです。私は、社会に適応する意味でこれから英語は必要だと思い、
オーストラリア留学を決めました。日本で独学で勉強するより、現地英語に生で触れたほ
うが、習得が早いと思います。
ーーー1日のスケジュールーーー
僕の現地での1日のスケジュールをお伝えします。僕が留学先の大学で受講していたコ
ースは、3時間の授業が週に3回のみでした。「オーストラリア言語文化課程コース」と
呼ばれる、英語が苦手な留学生向けの授業を履修していました。授業がだいたい午後1時
頃に始まるので、それまでお昼を食べたり、寮で過ごしたりして自由時間を過ごしていま
した。午後1時になったら、3時間授業を受け、午後4時に終わり、それからまた自由時
間でした。休日は週4日あり、アルバイトをしたり、ルームメイトなどと遊んだりしてい
ました。宿題は授業がある日に1時間程度で済ませることが多かったので、休日は十分な
自由時間が確保できていました。
このように時間に余裕があったので、登録制で大学で無料で開講している「英会話」の
授業にも出席していました。教師1名に対し、生徒多数でディスカッションを行う授業で、
2時間、あるトピックについてひたすら議論しつづける、情報共有、意見交換の場のよう
なアウトプット重視の授業でした。初対面の学生が4人で1グループを作り、2時間ネタ
がつきるまで話し続けていました。話す内容は自由だったので、他の外国人は、自国のア
ピールや文化・食・観光などを紹介していて、とても面白い話が聞けました。僕も、日本
について知っていることを話していました。他の外国人の反応がよく、「日本に興味ある。」
「日本についてもっと知りたい。」と言ってもらえたので、多くの質問を受け、答えたり
して充実したディスカッションを行うことができました。
以上をまとめると、「オーストラリア言語文化課程コース」を週3回出席、「大学で開講
している無料の英会話」を週2回出席していました。それ以外は、自由時間でした。
「オーストラリア言語文化課程コース」では、オーストラリアの言語、環境・自然、ア
ート・メディア、労働・経済などの概要、問題点、文化差、歴史などを幅広く学びました。
授業中は、先生が準備したスライドの説明や、グループワーク、リスニング、リーディン
グ、ゲームなどをして知識を深めていきました。授業時間は3時間と長かったのですが、
先生が工夫して飽きないように授業を組み立ててくれたので、3時間もあっという間で短
く感じるほどでした。学期の中盤にリーディング・リスニング・ライティングの能力を測
る中間テストがありましたが難しかったです。学期末には、筆記型の期末テストではなく、
プレゼンテーションがありました。プレゼンテーションというとクラスメイトの前に立ち、
スピーチをすることです。一人10分という時間制限が与えられましたが、正直長いと感
じました。初めての経験でしたので、緊張とプレッシャーを感じつつも、頑張って乗り切
りました。
夏休みは、11月から3月まで4ヶ月間ありました。
ーーー日本との生活の違いーーー
新潟大学での生活と UTS での生活の違いは、
「自由時間が増えた」ことです。留学前は、
毎日1限から授業を受け、4限、5限まで授業、放課後はサークル活動で忙しい日々を送
っていたのですが、シドニーへ到着したら、授業は週3回、夏休みも4ヶ月と自由時間が
大いに増えました。その経験は、自分にとっては稀で、喜びや解放感を感じたのですが、
一方である種の喪失感や焦りも同時に感じました。留学にはもっと忙しいイメージがあり、
過酷な生活を予想していたので、異なる現実に驚きました。留学という大きな舞台があっ
て、それにただ登壇するのではなく、自分で1から舞台を作り上げなければならないのが
留学なんだな、ということがわかりました。自由を与えられると、同時に責任も生じてき
ます。周りの環境、家族、友達と離れ、今までの時間的規制やルール・義務から解放され
ると、自由になれますが、自己管理は行わなければなりません。白紙の状態からプランや
計画、目標など決めていかないと、なにもない生活、怠惰な生活を送ってしまうことにな
ってしまいます。自分に厳しくストイックに生活するか、楽して生活するかしっかり定め
ておかないと後々に後悔が生まれてきます。
この文章を読んでいるあなたも留学前は何を学びにいくのか、どんな目標で留学するの
か、よく考えて、計画を立てて準備しておくことをお勧めします。英語の勉強は今から1
日15分は毎日するべきでしょう。継続できる才能がないと、1年間の留学の途中で気が
緩み、緩慢な生活を送ってしまうことになるからです。留学はすべてが自己責任です。そ
のことが理解できれば、充実した留学生活をきっと送れることでしょう。
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