氏 名(本 籍) 学位の種類 学位記番号 学 位 授 与 の日 付 学 位 授 与 の要 件 学 位 論 文 題目 論 文 審 査 委員 Maria Carneiro( ポ ル ト ガ ル ) 博 士 ( 鍼灸 学 ) 鍼 博 甲 第 65 号 平成27年 3月 13日 大 学 院 学 則第 3 4 条 第 1 項 お よ び学 位 規 程 第 5 条 第 1 項該 当 Re-analysis of acupuncture trials with sham interventions based on data from the Cochrane Review コクランレビューにおけるシャム鍼を用いた鍼臨床試験の再解 析 ( 主 査 ) 川喜 田 健 司 ( 副 査 ) 矢野 忠 ( 副 査 ) 梅田 雅 宏 論文内容の要旨 【目的】 近 年 の 鍼 の臨 床 試 験 に お い て 、 シャ ム 鍼 を 対 照 群 に お いた 研 究 で は 鍼 の 有 意 な差 を 示 す こ と が 出来 な い こ と が 多 い。し か し 、これ ま で の シ ャ ム鍼 は 生 理 的 活 性 が あ るこ と が 指 摘 さ れ てい る 。そ こ で 異 な る タ イプ の シ ャ ム 鍼 の 影 響 を明 ら か に す る た め に サブ グ ル ー プ ・ メ タア ナ リ シ ス を 行 っ た 。 【方法】 コ ク ラ ン デー タ ベ ー ス の シ ス テ マテ ィ ッ ク ・ レ ビ ュ ー の中 か ら 、 シ ャ ム 鍼 を 対照 群 に 用 い た 鍼 臨床 試 験 を 抽 出 し 、そ の シ ャ ム 鍼を 深 い 刺 入 、浅 い 刺 入 、非 刺 入 、非 経 穴 鍼 通 電,表 面 電 極 通 電 の 5 つ に タ イ プ 分け し た 。そ し て シ ャ ム鍼 の タ イ プ 、疾 患 、症 状 別 に 、 コ ク ラ ン 共同 計 画 の 解 析 ソ フ ト を用 い て 、サ ブ グ ル ー プ解 析 を 行 っ た 。ア ウ ト カ ム が 連 続 値 の 場 合は 標 準 化 平 均 値 差 、 二値 の 場 合 は リ ス ク 比 を用 い 、 Forest plot に よ る デ 2 ー タ の 統 合結 果 を Z 値 と P 値 で 、そ の 異 質性 を I 値 で 示 し た 。出 版 バ イ ア ス は funnel plot を 作 成 し 目視 に て 判 断 し た 。 【結果】 116 編 の 論 文 が 抽 出 さ れ た。す べ て の デ ー タ の 統 合 結 果は ,連 続 値 デ ー タ(n=56)の 標準 化 平 均 値 差 と 95% 信 頼 区 間 は 、-0.34[-0.44,-0.23]( Z=6.03、P<0.00001)、 二 値デ ー タ(n=60)のリ ス ク 比 と 95% 信 頼 区間 は 、 0.80[0.73,0.87](Z=5.32, P<0.00001)と、 真 の 鍼 群 は すべ て の シ ャ ム 群 と の 比較 に お い て 、高い 有 意 差 を 示 し た が 、異 質 性 が 高 か っ た 。サ ブ グ ル ー プ 解 析 で は 、約 半 数 の デ ー タ セ ッ ト で 有意 差 を 認 め た が 、一 定 の 傾 向は 見 い だ せ なか っ た 。 【結論】 メ タ ア ナリ シ ス の 結 果 か ら 、 真の 鍼 が シ ャ ム 鍼 よ り も効 果 が 高 い こ と が 明 らか に な っ た が 、研 究 間 の 異 質 性 の 高 さ から そ の 解 釈 に は 注 意 が必 要 で あ る 。ま た 、非 刺 入 タ イ プ の シ ャ ム鍼 は 必 ず し も 刺 入 タ イプ の シ ャ ム 鍼 よ り 効 果量 が 大 き く な か っ た 。こ れ ら の 結 果 は 、日 本 鍼 灸 の手 技 に 類 似 し た非 刺 入 タ イ プ の シ ャ ム鍼 に は 何 ら か の 生 理 的活 性 が あ る こ と を示 唆 し て い る 。 論文審査の結果の要旨 近 年 の 鍼の 臨 床 試 験 で は 真 の 鍼と シ ャ ム 鍼 と の 効 果 が比 較 さ れ 、 そ の 結 果 、両 群 間 に 有 意 な 差 が認 め ら れ な い こ と が 多い 。 そ の た め 、 鍼 の 特異 的 効 果 が 否 定 さ れ る傾 向 が 強 い 。 し か し、 こ の よ う な 結 論 は 、シ ャ ム 鍼 に は 生 理 的 活性 が 無 い こ と が 前 提 とな る が 、 電 気 生 理 学的 研 究 の 結 果 は 、 そ れに 対 し て 否 定 的 で あ る。 そ こ で 、 本 研 究 で は、 こ れ ま で の 鍼 の 臨床 試 験 で 用 い ら れ て きた さ ま ざ ま な シ ャ ム 鍼に 着 目 し て 、 サ ブ グ ルー プ 解 析 を 行 っ た もの で あ る 。 研 究 に は、 コ ク ラ ン デ ー タ ベ ース の シ ス テ マ テ ィ ッ ク・ レ ビ ュ ー の 中 か ら 、シ ャ ム 鍼 を 対 照 群 に用 い た 鍼 臨 床 試 験 を 抽出 し 、 そ の シ ャ ム 鍼 を深 い 刺 入 、 浅 い 刺 入 、非 刺 入 、 非 経 穴 鍼 通電 、 表 面 電 極 非 通 電 の5 つ に タ イ プ 分 け し た。 そ し て 、 シ ャ ム 鍼 のタ イ プ 、 疾 患 、 症 状別 に 、 コ ク ラ ン 共 同 計画 の 解 析 ソ フ ト ( Review Manager) を 用 い て、 サ ブ グ ル ー プ 解 析を 行 っ た 。 ア ウ ト カ ムが 連 続 値 の 場 合 は 標 準化 平 均 値 差 、 二 値 の 場合 は リ ス ク 比 を 用 い、 Forest plot に よ る デ ー タ の 統合 結 果 を Forest plot で 、 そ の 異 質性 を I 2 値 で 示 し た。 出 版 バ イ ア ス は funnel plot に て 判 断 し た。 そ の 結 果、 116 編 の 論 文 が 抽 出さ れ た 。 す べ て の デ ータ の 統 合 結 果 は 、 連 続値 デ ー タ (n=56)、二 値 デ ー タ( n=60)のい ず れ も 、本 物 の 鍼 群 の方 が シ ャ ム 鍼 群 よ り も有 意 に 効 果 が 高 い こと を 示 し た が 、 全 体 の異 質 性 は 高 か っ た 。 また 、 シ ャ ム 鍼 の タ イ プ、 痛 み と 非 痛 み 疾 患に 基 づ く サ ブ グ ル ー プ解 析 の 結 果 、 約 半 数 のデ ー タ セ ッ ト で 有 意 差を 認 め た も の の 、 一定 の 傾 向 は 見 い だ せ なか っ た 。 し か し 、 非 刺入 タ イ プ の シ ャ ム 鍼 が必 ず し も 刺 入 タ イ プの シ ャ ム 鍼 よ り 効 果 量が 大 き く な か っ た 事 実は 、 日 本 鍼 灸 の 手 技 に類 似 し た 非 刺 入 タ イプ の シ ャ ム 鍼 に 何 ら かの 生 理 的 活 性 が あ る こと を 示 唆 す る も の で あっ た 。 本 研 究 は、 こ れ ま で 蓄 積 さ れ てき た 鍼 臨 床 試 験 の 結 果を プ ー ル し た メ タ ・ アナ リ シ ス に よ る デ ータ に 対 し て 、 さ ま ざ まな サ ブ グ ル ー プ 解 析 を行 う こ と で 、 そ の 臨 床的 意 義 を 再 解 析 す るこ と が 可 能 で あ る こ とを 示 し た も の で あ り 、鍼 灸 の 臨 床 研 究 の 発 展に 大 い に 寄 与 す る もの で あ る 。 よ っ て 、本 学 大 学 院 博 士 ( 鍼 灸学 ) の 学 位 を 授 与 す るに 値 す る も の と 認 め る。 ( 主 論 文 公表 誌 ) Japanese Acupuncture and Moxibustion (JAM)-Online English Journal 2015 年
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