誕生日の夜に by Unit Tenro produced & copyright 2011 Tenro Production MADE IN JAPAN STEREO JASRAC 収録曲 1. Never Let Me Go 6:27 Music by Ray Evans 2. Round Midnight 6:28 Words by Bernie Hanighen, Music by Cootie Williams & Thelonius Monk 3. On The Sunny Side Of The Street 3:34 Words & Music by Dorothy Fields&, Jimmy MacHugh 4. Gentle Rain 3:37 Words by Matt Dubey Music by Luiz Bonfa 5. Tenderly 5:26 Music by Jack Lawrence, Words by Walter Gross 6. Left Alone 5:22 Words by Billy Holiday, Music by Mal Waldron 7. ニテロイの浜辺 6:40 Music by 中島梓 8. ララバイ・イン・ザ・モーニング 4:54 Words and Music by 中島梓 9. 追憶の砂時計 3:57 Words and Music by 中島梓 10. 誕生日の夜に 3:52 Words and Music by 中島梓 11. 支那の太々さんがやってくる 3:49 Words and Music by 中島梓 12. お定ホンキートンキー 4:50 Words and Music by 中島梓 Vocal and Others / Mari Mizukami 水上まり Piano and Hammond / Koji Kamimura 神村晃司 Bass / Masanobu Sugawara 菅原正宣 Drums / Tatsuo Goto 後藤達生 ・ Produced by Kiyoshi Imaoka 今岡清(天狼プロダクション) Recorded and Mixed by Tatsuo Goto 後藤達生(スタジオトラン) Recorded at Studio Tran, 12nd, February, 2011 Jacket Designed by Sho Takahara 高原翔 Booklet Designed by Tenro Production 天狼プロダクション Special Thanks to Masahiro Tomitani 富谷正博 (Roving Spirits) ・ produced & copyright 2011 Tenro Production 1 MADE IN JAPAN STEREO JASRAC 来年も会えますように 今岡 清 中島梓は生前、2 月 13 日の誕生日の前後に、毎年バースデーライブを行っていました。しかし、2007 年の 暮にすい臓がんの手術を受け、翌年の 1 月 19 日にようやく退院したため、2008 年の 2 月には行えませんで した。やがてその年の春、肝臓への転移が発見されてしまいましたが、さらに翌年の 2009 年 2 月 14 日には バースデーライブを行いました。 すでに病勢はかなり進行し、医者からは数か月先までしか予定は立てないほうがよいと言われていました。 体調も 30 分も同じ姿勢で原稿を執筆していると、痛みから中断せざるを得ないという状態でしたが、それでも ライブをやめることはありませんでした。やめなかったというよりは、ライブを続けていくことこそが、尽きかけて いた命に、それでも前に進むエネルギーをもたらしていたのかもしれません。 そのバースデーライブのために書かれたのが、アルバムのタイトル曲「誕生日の夜に」です。曲が出来上が ったのはライブ前日、リハーサルの行われた日でした。歌手に依頼するには直前すぎるから自分で歌おうとも 考えたようですが、ひどく幼い声の歌になってしまうことなどを気にして、やっぱり水上まりさんに歌って欲しい と、出来たばかりの楽譜を渡しました。 「Happy birthday to me」という、自分で自分の誕生日を祝っているこの曲の歌詞は、家族との葛藤に苦しみ、 誕生日にトラウマを持っていた中島梓がようやくたどり着くことの出来た安らぎの境地だったのでしょう。「来年 も会えますように」というこの曲にこめられた祈りが叶えられることはありませんでしたが。 このアルバムは、中島梓が残した思いを形にしようと、「誕生日の夜に」のほか、彼女のオリジナル曲、それに 彼女の小説作品にちなむジャズのスタンダード・ナンバーを集めて企画されました。それぞれの曲について は解説をご参照下さい。レコーディングには中島梓ゆかりの楽器が使用されています。そしてこのアルバムの ために中島梓にゆかりのミュージシャンを中心とした「UnitTenro」というユニットが編成され、多くのゆかりの 人々にも参加していただきました。 レコーディングの行われたスタジオ・トランのピアノは、かつて天狼プロダクションのスタジオで中島梓が愛 用していたピアノです。生前に何度か共演して、今回のレコーディングにも参加しているベーシスト菅原正宣 さんの弾くベースもまた、同じスタジオに置かれてリハーサルやライブなどで活躍していました。そして、歌は 「誕生日の夜に」を託された水上まりさん、また、「支那の太々さん」のナレーションは公開レコーディングの会 場にいらしていただいた方々全員によるものです。 2 「誕生日の夜に」が生まれた日 水上 まり 梓さんと一緒にバンド活動をするようになったのは 2008 年 10 月。梓さんも私も一緒に音を出すと楽しくて たのしくて、時間を忘れて演奏に熱中しました。それは梓さんが闘病中であることなんかどこかに行ってしま ったような時間でした。そのころ、ほぼ毎日、時にはチャットのようになるメールのやりとりでも、これからいろん なことを一緒にやって行こうね、と私たちは話していました。「まりさんに歌い続けてもらえる歌を書きたいな」と も彼女は言ってくれていました。 2009 年の 1 月、ご主人の今岡氏から梓さんの検査の結果が思わしくないということを聞きました。自分に何 ができるのか・・・? 悩みました。医者でもない、家族でもない自分に何ができる? そして出た答え。「自分は梓さんの心配をして大事だいじにするよりも.楽しいことを一緒にやる担当として 付き合って行こう。」そう決めました。それからも彼女とは沢山たくさん笑いました。音楽以外の事でも楽しく過 ごすことが多くなりました。 バースデーライブも近くなった 2009 年 2 月 6 日。お互いに体調がいまひとつだねえという話題の中「ぐたぐ たしてないで曲も書かなくちゃ」と私がぼやくと、彼女からは「自分にグサッときたっ(^^;) 私もしばらく書いてな いなあ。作曲のモチベイションていまけっこう下がってるかも知れない。元気出し大会しましょう(^^;) 」という返 事が来ました。 そして 2 月 10 日には「誕生日の夜に」という曲ができかけているという連絡がありました。12 日には曲がまと まらないという話もしていましたが、最終的には彼女の誕生日、2 月 13 日にこの曲は完成したのです。 本番が翌日に迫ったリハーサルで、できたばかりのこの曲の譜面を渡されて目を通した瞬間、「来年も会え ますように」という歌詞に私は絶句しました。病気の事をないことのようにしてつきあって来ていたのに、梓さん 本人の言葉で「やはり梓さんの病気は重いんだ」という現実を突きつけられたのです。 そして、彼女に歌ってもらいながら音を拾って、バンドで合わせました。私は泣いてしまってうまく歌えませ んでした。彼女も泣きながらピアノを弾いていました。 3 Unit Tenro メンバー・プロフィール Vocal and Others / 水上まり(みずかみまり)東京都出身。 2000 年 5 月にジャズ・ヴォーカリストとしてデビュー、数多くのライブハウスで活躍中。2006 年「Colors on Blue」、2007 年「I GOT GROOVE! LIVE AT CRAZY JAM」をリリース。2011 年 JAZZ DAY グランプリコ ンテストにてグランプリ受賞。2008 年 11 月に中島梓のライブに初参加して以来数回にわたり出演。中島梓ト リオ「THE LAST LIVE」ではナレーションで参加。2009 年の「栗本薫 お別れの会」に出演、現在も中島梓 の楽曲をライブにおいて歌い続けている。 Piano and Hammond / 神村晃司(かみむらこうじ)東京都出身。 音楽一家の長男として生まれる。父はトランペットの神村英男。大学在学中にジャズに没頭、ライブハウスな どで演奏し、卒業後プロ活動を開始。2005 年帝国ホテルインペリアル・ジャズ・コンプレックスに神村晃司トリ オで出演。2006 年横浜 JAZZ コンペティションでジャズクラブ賞を受賞。 Bass / 菅原正宣(すがわらまさのぶ)大阪府出身。 アルトサックス・プレーヤーであった父にジャズの手ほどきを受け、1992 年に上京。ジャズ・ベーシストとして 活動を始める。現在、都内及びその近郊にて演奏活動中。 Drums / 後藤達生(ごとうたつお)東京都出身。 宮坂高史氏にドラムを師事。相模原市の映像音響スタジオの店長兼チーフエンジニアとして数多くの録音 制作に携わった後、独立。千葉県市川市で「レコーディングスタジオトラン」を開設する。今回のレコーディン グにおいては、ドラムの演奏だけでなくステージ上で録音機材を操作、またミキシング作業に至るまでの音源 作成において手腕を発揮した。 今岡大介&AUDIENCE(いまおかだいすけ & おーでぃえんす) 公開レコーディング参加者。今岡大介は「支那の太々さん」冒頭の中国語ナレーションを担当。 4 収録曲解説 Never Let Me Go 作曲:Ray Evance 矢代俊一シリーズ第 4 巻のタイトルとなったジャズ・スタンダード・ナンバー。 Round Midnight 作詞:Bernie Hanighen 作曲:Cootie Williams & Thelonious Monk 矢代俊一シリーズ第 6 巻のタイトルとなったジャズ・スタンダード・ナンバー。 On The Sunny Side Of The Street 作詞・作曲:Dorothy Fields & Jimmy MacHugh 矢代俊一シリーズ外伝 1&2 の「テンダリー/明るい表通りで」のタイトルとなったジャズ・スタン ダード・ナンバー。 Gentle Rain 作詞:Matt Dubey 作曲:Luiz Bonfa 矢代俊一シリーズ第 9 巻のタイトルとなったジャズ・スタンダード・ナンバー。中島梓の最後の演 奏が収められたアルバム、「THE LAST LIVE」の中では「私を行かせないで」という思いを込めて 彼女自身がこの曲を演奏している。 Tenderly 作詞:Jack Lawlence 作曲:Walter Gross 矢代俊一シリー外伝 1&2 の「テンダリー/明るい表通りで」のタイトルとなったジャズ・スタンダ ード・ナンバー。 Left Alone 作詞:Billy Holiday 作曲:Mal Waldron 角川書店より刊行され後に映画化された「キャバレー」のテーマ・ソング。中島梓が初めて買った ジャズ・アルバムのタイトル曲でもある。 ニテロイの浜辺 作曲:中島梓 ボサノバの巨匠アントニオ・カルロス・ジョビンの生まれた土地、ニテロイの名をタイトルとするボ サノバ・ナンバー。中島梓が自身のライブでも好んで演奏し、彼女の演奏による「THE LAST LIVE」 にも収録されている。 ララバイ・イン・ザ・モーニング 作詞・作曲:中島梓 初めて脚本・演出・作詞・作曲を手がけたミュージカル「ミスター! ミスター!」の挿入歌。ミ ュージカルでは主演の元宝塚俳優、旺なつきによって歌われていた。 追憶の砂時計 作詞・作曲:中島梓 角川映画によって映画化された後に、みずから舞台化した作品「キャバレー」の挿入歌。 誕生日の夜に 作詞・作曲:中島梓 中島梓が最後のバースデーライブのために、ライブの前日に書き上げた曲。 支那の太々さんがやってくる 作詞・作曲:中島梓 高橋クミコライブ「SYAPPO」のために書き下ろした曲。明るくほがらかな雰囲気に隠された、 わらべ歌に共通するある種の怖さを感じさせる佳品。 お定ホンキートンキー 作詞・作曲:中島梓 ブルースに対する中島梓のオマージュとも言える曲で、阿部定をモチーフに放埓への憧れを感じさ せる楽曲。 5 中島梓関連 アルバムのご紹介 これらの CD は梓薫堂にて通信販売しております。 梓薫堂 http://shikundo.ocnk.net/ 黄昏の名探偵 2002 年 11 月に南青山マンダラで行われたライブのレコーディング・アルバム。 中島梓が初めて脚本・演出・作詞・作曲を手がけたミュージカル「ミスター! ミスター!」の 挿入歌をはじめとするミュージカル・ナンバーほか、独自の世界観を持つ大正浪漫の世界を描 いたシリーズなど、2003 年までに作曲された曲の集大成。 収録曲 1)タンゴ・ロマンティック 2)黄昏の名探偵 3)片目のジャック 4) 女賊の恋 5)上海哀歌 6)夢のワルツ 7)タンゴ・トリステサ 8)紅椿 9)ギムレット・ワルツ 10)鬼火 11)歌姫 12)ヴァンパイア・ワルツ 13)ラ ラバイ・イン・ザ・モーニング 14)MORNING LIGHT 作詞・作曲・ジャケットイラスト 中島梓 編曲・荒川泰 演奏 石原慎一(歌) 駒田一(歌) 花木佐千子(歌) 中島梓(ピアノ、キ ーボード) 荒川泰(キーボード) 山口じゅん(ベース) 野呂尚史(ドラム) カジカ(ヴァイオリン) 瀬戸政彌(ギター) 価格 3000 円 THE LAST LIVE / 中島梓トリオ 中島梓は、2007 年 12 月にすい臓がんの手術を受け、翌年の春には肝臓への転移が見つ かりました。 しかし、闘病生活の間もライブ活動はほぼ毎月おこなわれていました。 この CD は、彼女がこの世を去るほぼひとつき前、2009 年 4 月 12 日に赤坂リラキシンで行 われた JAZZ ライブを収録/リミックスしたものです。 収録曲 1)ジャンゴ 作曲・John Lewis 2)センチメンタル・ワルツ 作曲・ 中島梓 3)ニテロイの浜辺 作曲・中島梓 4)朝日のように爽やかに 作 曲・Sigmund Lomberg 作曲・Jimmy Rowles ン作曲・Mal Woldron 5)クリスタル・ムーン 作曲・中島梓 6)ピーコック 7)ブラック・ローズ 作曲・中島梓 8)レフト・アロー 9)オールドダイアリー 作曲・加藤真一 10)ネバ ー・レット・ミー・ゴー 作曲・Jay Livingston & Ray Evans 演奏 中島梓(ピアノ) 加藤真一(ベース track 1〜9) 岡田佳大(ドラ ム) 水上まり(朗読 track 7) 山下弘治(ベース track 10) 価格 2500 円 6
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