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「センター研修Ⅰ」理科分科会(生物領域) 生物領域の指導の実際

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平成19年度中学校初任者研修講座
「センター研修Ⅰ」理科分科会(生物領域)
平成19年5月30日(水)
岩手県立総合教育センター
科学産業教育室生物研修室
生物領域の指導の実際
◎
1
授業改善の視点(実験・観察の工夫)
植物組織の観察
(1) 被子植物(双子葉類)の茎の観察
(2) 被子植物(単子葉類)の茎の観察
(3) 果実の道管の観察
2
植物細胞と動物細胞の観察
(1) 植物細胞
(2) 動物細胞
3
体細胞分裂の観察
◎
基礎操作の習得(顕微鏡の使い方)
◎
授業の分析と診断(生物実験の教材準備と予備実験について)
実験・観察教材研究の留意点
ア 事前の準備(材料の確保、栽培、飼育)
イ 予備実験(材料の妥当性)
ウ 安全点検
材料選定のポイント
ア 身近で入手しやすい
イ 安価で入手しやすい
ウ いつでも入手しやすい
エ 観察しやすい
生物実験では、条件の制
御が重要!
実験の時間帯、温度等
1「茎のつくりを調べよう」(2分野上P33)
(1)
被子植物(双子葉類)の茎の観察
【準備】
試料(ハルジオンなどの茎)、検鏡セット(顕微鏡、ピンセット、柄つき針、カミソリ、
スライドガラス、カバーガラス、ろ紙、スポイト)シャーレ、時計皿、水
染色液(サフラニン・・・細胞壁を赤く染色)
【方法】
① ハルジオンの茎を薄くスライス(①横方向と②縦方向)し、切片を水に浮かせる。
② 上手に薄く切れた切片を選び、時計皿の染色液にちょっと浸し、水洗後、スライドガラ
スにのせ、水で封じて検鏡する。
※ シクラメンの茎のように柔らかすぎてかえって薄く切りにくい材料は、次のように尐し工
夫をすると切片として観察することができる.
・安全かみそりの刃を2枚用意し,その開にカバーガラスをはさむ
・親指びと人さし指でかみそりの刃を強く押さえながら花茎や葉柄
などをさっと切り取る。
★かみそりの刃をただ押しつけるのではなく,斜めに引くように、手早
くきるとよい。
(2)
被子植物(単子葉類)の茎の観察
【準備】
試料(タケノコ:スーパーマ-ケットで袋入りのタケノコを買ってきてもよいし,生の柔ら
かいタケノコでもよい)検鏡セット、シャーレ、時計皿、水
染色液(サフラニン・・・細胞壁を赤く染色)
【方法】
① かみそりの刃で,薄い切片を作る。
② 切片をサフラニンの染色液の中に2~3分入れて染色する。
★切片を染色せずにそのままスライドガラスにのせて観察し
てもよい。
③ 切片をピンセットでスライドガラスの上に取り,水を加えて
カバーガラスをかけ、まず低倍率(4×10)の顕微鏡で観察する。
★維管束が断面全体にぎっしりと並んでいるのがみえる
④ タケノコ中央に近いほうにある大きな維管束を,中,高倍率(150~600倍)の顕微鏡で観
察する。
★ヒトの顔のような形をした維管束の断面で,目や口のように
みえるのが道管,その外側にかたまっているのが師管である。
(3)バナナの果実(果皮)の道管の観察
【準備】
試料 バナナ 検鏡セット、時計皿、スポイト、水
染色液(トルイジンブルー・・・成分別に染色できる)
【方法】
① バナナの皮をむき、内側のすじ(葉脈のなごり)をピンセットではがし、約 2cm の長
さに切り取る。
② ①を染色液の中に2~3分入れる。
③ ②をスライドガラスの上にのせて、5mm の長さに切り、水を一滴滴下してカバーガラ
スをかけ、濾紙の上から指先で押しつぶす。
④ 低倍率で検鏡する。
-1-
2「植物と動物の細胞のつくりを調べよう」
(2分野下p35)
【材料】
植物細胞
・ムラサキツユクサ(の茎の表皮)[染色前、染色後]
・オオカナダモ(の葉)[染色前、染色後]
・タマネギ(のりん片葉=食用部分)[染色前、染色後]
・ムラサキツユクサ(のおしべの毛)
動物細胞
動きの早い生物の観察→
・ヒトのほおの内側の粘膜 [染色前、染色後]
メチルセルロースの土手
・ミドリゾウリムシ(単細胞生物)
をつくりその中に試料を
・ミドリムシ(単細胞生物)
入れて観察するとよい
・クロレラ(単細胞生物)
【方法】
① 植物や動物の細胞を用意する
② プレパラートを2枚つくる。(染色前、染色後)
染色しないもの→試料に水を滴下して、カバーガラスをかける。
染色するもの→ 試料に染色液を滴下して約3分間置き、カバーガラスをかける。
③ 顕微鏡で観察する
3「細胞分裂を観察しよう」
(2分野下P41)
実験のポイント・留意点
ア 種子や球根を発芽させる
・種子
根端のバットにペーパータオルをしき,(シャーレにろ紙でもよい)水で湿らせ,タマネ
ギの種子をまく方法がよい。水の蒸発を防ぐためにラップをかけておくとよい。
・タマネギやニンニクなどの水栽培
外側の皮をはぎとり,水がやっと発根部に触れる程度にし,水中につけないようにする。
水は腐りやすいので毎日かえる。
タマネギは,休眠期のものや発芽抑制
剤で処理されたものは発根しないので
注意が必要である。(削り取る)
イ 根の切り取り
分裂の盛んな若い根
朝,気温が上がる前(9 時ごろまで)に採取し,すぐに処理するとよい。
ふたをする
固定:酢酸アルコール(氷酢酸1:エ
タノール3)で 20 分以上
保存:70%エタノール
酢酸アルコール
ウ
塩酸処理
根
10%塩酸 60℃で湯せん
細胞をはなれやすくし,染色しやすくするために行う。温度とはできるだけ正確にし,時間
は根の太さによるので,いろいろテストするとよい。処理が長過ぎると,材料がやわらかくな
り過ぎ,染色が不良になるので注意する。
保 温製 のカ ッ プ
を使うとよい
エ 染色
酢酸オルセインを滴下し、3 分以上待ってからカバガラスをかける
※ 酢酸カーミンより染色状態が優れている。保存は冷蔵庫に入れておくのがベスト
オ
押しつぶし
根の形がわからなくなる程度がよい。
押しつぶしが足りない
とうまく見えない
-2-
◎
1
基本操作の習得(顕微鏡の使い方)
顕微鏡の種類
顕微鏡(児童用)には,大きく分けて3つの型がある。
A 小型鏡筒で、鏡筒上下型
B 標準鏡筒で、鏡筒上下型
C ステージ上下型
教師用顕微鏡は,児童用BかCに絞り機構,集光機構(コンデンサーレンズ),微動機構,載物台
移動機構(メカニカルステージ)などがついているもので,交換用対物レンズ,接眼レンズの数も
多くなっている.
顕微鏡の各部の名称は次のとおりである。
小型鏡筒の顕微鏡の中には,微動ねじがなく、レボルバーに対物レンズが固定されてあったり、
接眼レンズも固定してあるものがある。このような顕微鏡は,最高表示倍率が高いわりに安価で
あるが,一般的に視野が暗い、色がにじんで見える、何となくぼやけて見えるなど,見え方の
悪いものがみられる。
2
顕微鏡の持ち運び
顕微鏡は,精密機械であるから、持ち運ぶときは、ショックを与えないように,片手でアーム
の部分を持ち,もう一方の手で鏡脚を支えるようにして持ち運ぶ。
また、ケースの中に入れて運ぶ場合は、ケースの扉が開かないように注意して運ぶ。
3
顕微鏡で観察する場合の場所
顕微鏡で観察する場合、視野が暗いと十分な観察ができない。そのような場合には,外光や光
源装置を用いて光を導く。
ただし,光源装置がない場合は,直接日光が当たらない北向きの窓か。南向きの窓の場合は、カ
ーテンなどを引いて直射日光が顕微鏡に入らないように注意する。
-3-
4
顕微鏡の基本操作
(1)【対物レンズのセット】
・ レボルバーを回して、最低倍率のものにする。
(しまうときに常に最低倍率にしておくように心がけておく)
(2)【光源の確保】
・ 顕微鏡のステージの上に何も載せずに見て、視野が一番明るくなうように、反射鏡の向き
を変える。
(3)【試料の設置】
・ 見たいものが視野の中央にくるように試料(プレパラート)をステージの上にのせて、クリ
ップでとめる。
(4)【ピント合わせ】
・ 真横から見ながら調節ネジを回し、対物レンズをプレパラートにできるだけ近づける。
・ 接眼レンズを覗き、徐々にプレパラートから対物レンズを離すようにしてピントを合わせ
る。
(5)【しぼり調節】
・ 観察したいものが最もはっきり見えるようにしぼりを調節する。
試料の見たい部分を視野の中央に入れ,見やすいように明るさを変えるために、絞りを調節
する。
(6)【倍率変更】
・ 詳しく観察したい部分を視野の中央にいれ、レボルバーを回して対物レンズを変えて、倍
率を高くする。
※このとき、調節ネジを回さない。ほんのちょっと回す。
低倍率ピントが合えば、そのまま高倍率でもピントが合うように設計されている。
※倍率の求め方
対物レンズが10×で、接眼レンズが10×のときは、
対物レンズの倍率
×
接眼レンズの倍率
=
10×
10×
となり、倍率は100倍となります。
5
総合倍率
100
顕微鏡取り扱い上の留意点
ストッパーが顕微鏡についていないときは、対物レンズとプレパラートを近づけすぎて、ぶつ
かったり、汚したりすることがある。したがって、4-(4)の操作を必ず行い対物レンズを傷つけ
たり、汚したりしないようにする必要がある。
もし,対物レンズが汚れてしまった場合は、レンズ等をいためないキシロールなどの溶剤を尐
量含ませた洗いざらしのガーゼやレンズ用クリーニングペーパーなどでレンズの中心部から周
辺部へ軽く拭いて汚れを落とす。
機械部分についても、ゴミなどが付着して動きが渋くなったり、すり減って焦点が勝手に動い
てしまうようなことがあるので、普段から取り扱いには細心に注意を払うとともに、ゴミがかか
らないように保管する必要がある。
-4-
5
けんびきょうマスタープレパラート
(1)「けんびきょうマスタープレパラート①」
顕微鏡で検鏡するとき、顕微鏡の視野と実物の見え方の違
いを確認するプレパラートである。【図Ⅲ-5】のようなシート
をスライドガラスに貼ったプレパラートをステージにセット
して、低倍率から検鏡させ、正しく読むためのプレパラート
の向きや動かし方を確かめさせる。
7×4倍で検鏡すると、
【図Ⅲ-6左】のように見えるが、プ 【図Ⅲ-5】プレパラート①のシート
レパラートを180度回転させると【図Ⅲ-6右】のように見える。
7×10倍で検鏡すると【図Ⅲ-7】のように文字の一部しか見えないので、別な文字を
読むためにプレパラートの動かして読む。
【図Ⅲ-6】7×4倍で検鏡した顕微鏡の視野
【図Ⅲ-7】7×10 倍で検鏡した顕微鏡の視野
(2) 「けんびきょうマスタープレパラート②」
「けんびきょう」の文字を左右・上下・上下左右を
逆にしたらどう見えるか予想し、顕微鏡の視野の中で
は上下左右が逆に見えていることを確認するプレパ
ラートである。
【図Ⅲ-8】のような左右を逆にした文
字、上下を逆にした文字、上下左右を逆にした文字の
書かれているシートを使って検鏡し、正しく「けんび
きょう」読めるものを探す(
【図Ⅲ-9】)
。
上下逆にした文字
左右逆にした文字
【図Ⅲ-8】プレパラート②のシート
上下左右逆にした文字
【図Ⅲ-9】プレパラート②の検鏡の結果
(3) 「けんびきょうマスタープレパラート③」
顕微鏡で見た視野の大きさと実物の視野の大きさを実感させ
るプレパラートである。
【図Ⅲ-10】のシートを貼ったプレパラ
ートを肉眼で見て、各倍率で検鏡したときの視野の大きさを予
想し(外側、真ん中、内側の円のどれか)
、実際に検鏡して顕微
鏡での視野を確認する(【図Ⅲ-11】)。これは、プレパラートを
作成するときの試料の大きさのめどにもなる。また、低倍率と
高倍率で見える
や▲の数を数えることにより、見たいもの
を見つけやすい倍率と、最初に低倍率で観察する理由を考えさ
せる。
7×4倍
7×10 倍
-5-
【図Ⅲ-10】プレパラート③のシート
7×40 倍
【図Ⅲ-11】各倍率で検鏡したときの視野
(4)
「顕微鏡マスタープレパラート④」
顕微鏡の視野の直径を測定するプレパラートである。ミクロメー
ターのかわりに、
【図Ⅲ-12】のような 1mm 方眼を印刷したシートを
貼ったプレパラートで測定する。高倍率では視野の直径が 1 ㎜以下
なので、対角線をうまく使って 0.5mm まで測定する。各倍率の視野
の直径を求め(
【図Ⅲ-13】
)
、対物レンズの倍率と視野の直径の関係
を考えさせる。
※対物レンズを4→10倍・・・視野の直径2/5倍
【図Ⅲ-12】プレパラート④のシート
10→40倍・・・視野の直径1/4倍
7×4倍
約 4.5mm
7×10 倍
約 2mm
7×40 倍
約 0.5mm
【図Ⅲ-13】各倍率の視野の直径
(5)
教材の作成
スライドガラスに貼るシートは、
【図Ⅲ-14】のように Excel で作成する。セルの列幅、行幅を
20 ピクセルにして罫線を引き、1㎜方眼で印刷できるようにページ設定【図Ⅲ-15】の縮小率を
調節する。回転させた文字は、画像化した文字を画像処理ソフト(花子フォトレタッチなど)で
ミラーさせて作成する。
【図Ⅲ-14】プレパラート作成シート
【図Ⅲ-15】ページ設定
【参考文献】
岩手県総合教育センター(2006)「岩手県教育研究発表会発表資料」
長谷川政興(1999),
「京都の生物教育」京都府生物教育会
北海道立理科センター(2001)「北海道立理科センター指導資料第 33 集
-6-
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