貧困×教育ビジネス Education For Everyone プロジェクト 企画書 ~はじめに~ ○このプロジェクトの目的、解決する社会問題の内容 経済発展が目覚ましいインドでは、都市部の富裕層と農村の貧困層で教育格差が広が っている。特に、貧しい農村部では、初等教育さえまともに受けられない子どもたちが たくさんいる。インドの国勢調査によれば、「教育を受けていない人」と「小学校中退 以下」の学歴の人が全体の約3割を占めている。現在、初等教育を受けていない児童が、 世界で1億 400 万人おり、そのうち4分の1がインドにいるとされている。インドの 識字率は向上してきてはいるが、01 年で 65.4%にとどまり、中国の 90.3%に比べても かなり低い水準にとどまっている。ボランティアのフリースクール等が貧困層に教育を 届ける取り組みを行っているが、学習環境は決していいとはいえない。そういったフリ ースクールでは訓練を受けていないボランティアが教員をやっていることがあり、教員 の育成も追いついていないのも問題となっている。インド政府も対策を打っているが追 いついていないのが現状である。 EFE プロジェクトの目的は、そのような児童たちに無料で質の高い授業を提供し、富 裕層との教育格差を少しでも埋めることである。 ~事業内容とターゲット、収支見込み~ このプロジェクトは全部で5つある。 1)無料授業 ○具体的事業内容 この事業の主な内容は、貧困層に無料で教育を提供することである。 将来的には寄附という形でお金をいただくが、授業を受けているうちは授業料という形 はとらない。 《授業方法、内容》 あらかじめ、こちらで授業用の DVD を用意。一教室につき十数人~二十人に対して DVD を使用した授業を無料提供。DVD はポータブル DVD プレーヤーで再生しプロジェクタに 投影。内容は初頭教育で、読み書きと四則演算程度の簡単な算数を想定。需要があれば 簡単な英語も入れる。 今のところは、一日三時間、平日の五日間を授業日とする。期間は三年間。 基本は DVD によって授業を行うが、対象年齢を考えると一人チューター役の人は必要 ※DVD を使うことのメリット ・インドでは、教員の質の低さも問題となっている。そこでこちらで用意した DVD に沿 って授業を行えば、より高い授業の質を確保できる。 ・一度作ってしまえば何度でも使える。よってその都度教師を雇うより大幅なコスト削 減ができる。 ・音楽や映像など、より楽しい授業を作ることができる。 《授業場所》 農村部など、貧困層が集中しているところを中心に展開する。 将来ボランティアとして帰ってきてもらうことを考えると、近くに就職機会があると望 ましい。 教室は基本的に公的な場所を確保する。行政機関に事業内容を説明し、無料か低価格で 場所を借りる。 《生徒との契約》 初めに生徒と、 (1)将来、その子が受けた時間の 1/10 をボランティアでスタッフとして働いてもらう (2)受けた時間の※%にあたる分の金額を寄付してもらう(※は後ほど決定する。) という契約を結ぶ。 もし(1)のボランティアができない場合、その分(2)と同じ金額を寄付してもらうことと する。 《現場のチューター》 初めのころは現地の人を雇うが、将来的には基本的に卒業生に任せる。 もし何らかの都合で現場のチューターが用意出来ない場合、下記の管理スタッフが補充 にあたることとする。 《現地の管理》 利益が少ないため、現場の管理は基本的に現地の人に任せる。現場への引き継ぎはビジ ネスとして回り出してからとする。 1)日本で資金集め。集まった資金でサービスを開始。始めは収益がないため、寄附や協 賛で資金調達を行う。 開始と同時に、プロジェクトの維持・管理が出来そうな人材を探す。 2)徐々にシステムを作っていきながら、教室を増やしていく 3)ある程度数が増え、卒業生が出てきたくらいの頃に(1)の人たちにビジネスを任せる。 《ターゲット》 対象者は、スラムの子供たちといった、貧困が理由で学校にいけないがやる気はある子 どもたち。対象年齢は中学生くらいまでを想定。 ○実行プロセス、収支見込み 《生徒の確保》 インドでは既に各種 NGO 団体がフリースクール等を運営している。まずはそういったと ころに協力を求め、協働という形で行っていく。 新規に教室を作るため生徒を集めるときに予想される困難は、どのあたりにニーズが集 中しているかわからない、貧困家庭の保護者の説得が難しい、スラム街の治安の悪さの ため積極的に営業ができない、英語が理解できないため通訳が必要である、等である。 そのためにも、初めは現地で活動中の NGO と協力し、新規で生徒を確保する際にはその NGO の紹介という形をとることが望ましいと考えられる。 ※具体的な NGO 団体 ・財団法人 日本フォスター・プラン協会 ・Children Aid(チルドレンエイド) ・ESA アジア教育支援の会 ・草の根援助運動 ・NPO 法人インド日本友の会が運営する英語教育学校 「チャンドラセカール・アカデミー」。 ・(公社)日本ユネスコ協会連盟 ・(特活)日本リザルツ ・(特活)フリー・ザ・チルドレン・ジャパン ・宮崎国際ボランティアセンター ・(公財)ユネスコ・アジア文化センター 《DVD 作成》 いずれにしてもヒンディー語を入れた授業をつくるため、現地スタッフは欠かせない。 上記 NGO 団体に、現地スタッフを紹介してもらい、初めの人脈を作っていく。 《収入見込み》 ・卒業生からの現金寄附 デリーの平均月収から算出。(一時間当たりの賃金水準¥150) 一教室 15 人で計算。うち、ボランティアに参加できない人を 30%、五人と仮定する。 この条件の元、一ヶ月当たりの一教室の収益は ※(%) 1 2 3 4 5 収益(円) 1800 3600 5400 7200 9000 現地に管理を任せるとしても、デリーの賃金(一ヶ月の平均賃金¥25000)を考えると※ =5%は必要。 さらに賃金分の収益を出そうとすると、1 人当たり三教室以上の管理が必要となってく る。 よって事業規模は、現地スタッフ一人当たり 4 教室を目安とする。 《支出見込み》 ・初期設備費(ポータブル DVD プレーヤー、プロジェクタ) (参考:DVD プレーヤー2 万円、プロジェクタ 4 万円) ・DVD 作成費(出演者人件費含む) (基本的にボランティアを募って作成) ・現地賃貸費 (公的な場所を借りる) ・初期チューター人件費 2)チャリティー販売 ○具体的な事業内容 1)の授業を受けている子どもたちに、授業後の時間を使って簡単なものを作ってもらい、 その商品を日本などでチャリティー商品として売る。 作るもの等の指導はチューターに任せる。 ※重要なことは、そのお金がちゃんとプロジェクトとして使われていることを示すこと。 《作るもの》 ミサンガ、iPhone ケース等。iPhone ケースは無地のものを購入し、子どもたちに絵を 描いてもらう。 《価格設定》 ミサンガ:¥150~¥300、iPhone ケース:¥1000~¥1500 《販売方法》 基本的にインターネット販売とする。 お金がちゃんとこのプログラムに使われていることを示すために、サイトに授業風景の 写真、または動画を載せておくこと。 生徒にお礼の手紙を書いてもらって、PDF 化したものを載せることも検討中。 《ターゲット》 初めは日本人。 送料を受取人負担であれば海外への販売も考える。 ○収支見込み 《収支見込み》 収入:手工業品を売った代金。 費用:原価、輸送費(初めは販売量が多くないため、郵送で対応。) 3)ボランティア仲介 ○具体的事業内容 上記のプロジェクトを行っている場所をボランティア先として日本人に提供。 2~3 週間のプログラムで、現地のチューターのサポートという形でボランティアをし てもらう。 参加費は暫定 2 万円。一教室あたり 2 人を限度とする。 必要ならば旅行会社等とも連携しながらやっていく。 アコモデーション費用も参加者負担とする。状況によってはホームステイも検討する。 《ターゲット》 ボランティアに興味のある日本人。特に大学生。 ○収支見込み 《収入見込み》 主なターゲットが大学生であることを考えると、応募は夏と春の長期休暇の時期に集中 すると思われる。それぞれ二カ月あるので、一教室あたり一年間で最大八人のボランテ ィア参加となる。すると一年間の最大収益は 16 万円。 《費用見込み》 ・ホームページ運営費 ・宣伝費(積極的には打たない) 4)大学受験対策予備校 ○具体的な事業内容 大学受験対策用の授業を高校生に対して有料で行う。 空き家などの場所を借り、そこに人数分のポータブル DVD プレーヤーを設置して、衛 星予備校のような形態で授業を行う。 DVD は実際のインドの予備校の講師に頼んで作成。 授業時間は、一日三時間平日五日間、計 720h分を用意。 (ただ、インドの入試とそれに向けた準備の量がわからないため、これはあくまで目安。) また、その授業で使用する DVD をセットで一般に販売する。 《料金》 授業は一年で 100$(¥10000)、DVDは 60$(¥6000) 《ターゲット》 既存の予備校の受講料が高くて予備校に通えない高校生。主に農村部に展開する予定。 ○収支見込み 《収入予測(一年)》 ¥10000×受講人数 ¥6000×購入人数 生徒数は 300 人を目指す 《費用》 ・ポータブル DVD プレーヤー 一台二万円。五年間使用するとして、1 人一年あたり¥4000 ・場所代 農村部の年収を考えると、ほとんど無視できるレベルになる見込み。念の為最大限で見 積もると 1 人当たり一年¥1000 ・講師の人件費 一般的な若手の予備校講師の年収は¥180 万 DVD を作るために半年契約として¥90 万。そのDVDを三年間使用すると 年間あたり¥30 万。 ・テキスト等 受講者負担(?)。これについては、作成する講師とも相談しなければならないため、未 定とする。- 5)人材紹介 ○事業内容 一般企業を対象に、プロジェクト(4)の生徒を紹介する人材紹介サービス。 農村部の若者は、経済的事情により予備校に通えず、有名大学に進学することが難しい。 すると、ポテンシャルは高いのにも関わらず優良企業に就職できないことがある。 そのミスマッチを解決するためのサービスである。 《仕組み》 (4)の生徒を会員制にし、小規模な合同説明会のようなイベントを行う。 企業にはこのプロジェクトに登録料を支払ってもらって、参加してもらう。 もし現地に行くことが難しいのであれば、現地スタッフが生徒に採用パンフレットを配 る、その企業の紹介を代理で行う、等の対応にする。 もし、会員である生徒を採用した場合、成功報酬という形で企業からいただく。 生徒には、卒業後の就職先がすぐ見つかる、日本で働く機会が見つかるというメリット、 企業には、採用が難しいインド人の採用ができる、ポテンシャルの高い学生が見つかる というメリットがあるサービスとなる。 《料金》 登録料:年間 5 万円 成功報酬:採用1人につき 2~30 万円 《ターゲット》 インド人のエンジニアが欲しい日本企業 ポテンシャルの高い学生が欲しいインド企業 《補足》 大学三年生、四年生を対象に、企業が求めるスキルを付けるための(4)のタイプのサー ビスも検討中。 その場合は、授業にかかる費用は原則企業負担とする。 もし実現した場合、参加企業の各種料金を下げることを検討中である。 ○収支予測 《収入》 企業の登録料と採用時の成功報酬。 《支出》 ・営業時にかかる移動費など ~各事業の関係性~ 無料教育プログラムは相手が貧困層であるため利益が少ない。 そこで、このプログラムは費用が収益を上回らないようにすることだけを目標に運営す る。 その分、大学受験事業と人材紹介事業で収益を稼ぐ。 ボランティア事業も利益率は高いが、一教室2人までという制限と、広告を積極的に打 たない方針から参加人数が稼げない。本業ではないため補足的な事業として展開する。 それを図にすると以下のようになる 参考程度のデータになるが、全事業を展開した時の収支予測データを掲載する。但し、 各種コストの見積もりが困難なため、それらは反映されていない。 よって実際の利益はこれより低くなる。また、この利益には日本人の人件費は反映され ていない。 利益(円) 3349750 項目 金額 無料授業教室数 4 ミサンガ販売量 10 iPhoneケース販売量 10 ボランティア稼働率 0.5 衛生受講生 300 DVD販売量 100 人材紹介会員 500 参加企業数 5 参考値 人件費@1h 150 チューター年間人件費 108000 寄附率 0.05 (5)の採用率 1% ミサンガ原価 10 iPhoneケース原価 315 収入予測年間(円) 支出予定年間(円) 卒業生寄附 108000 (1)設備費 80000 手工業品売上 15000 (1)管理人件費 400000 ボランティア参加費 160000 (2)原価 3250 高校生事業 3600000 (2)輸送費 ? 人材紹介 1750000 (3)諸経費 ? 合計 5633000 (4)DVD、講師人件費 300000 DVDプレーヤー、場所 1500000 (1)無料授業提供 (5)諸経費 ? (2)チャリティー販売 合計 2283250 (3)ボランティア仲介 (4)大学受験事業 (5)人材紹介サービス ~事業展開イメージ~ 1)関連 NGO と連携し、初めはボランティアという形で無料授業を実施。そこでノウハウ と人脈を作る。それと同時に、できればドラゴン桜プロジェクトの人とも提携し、大学 受験事業の足がかりを作る。 この間に、授業で使用する DVD を作成する。 だいたい一年~二年を想定 2)無料授業と手工業品販売、大学受験事業を同時に開始。 まずは無料教室を 4 つ、大学受験事業の生徒 300 人を目標に展開。 3)落ち着いてきたらボランティア仲介と人材紹介のプロジェクトを開始。 これらは参加者の募集がいるため、無料授業開始とほぼ同時に営業を開始する。 ボランティアは 10 人、人材紹介は 5 社を目標に展開。 ※追記 ・法人として立ち上げるのなら、現地で立ち上げる。事業所も現地に設けることが望ま しい。 ・プロモーション方法は SNS、ブログ、ホームページ等を使用。そのホームページでチ ャリティー販売とボランティア仲介を運営する。 ~将来の展望~ ・教員育成用のプログラムを提供する。 インドでは質のいい教員が不足しており、特に農村などの貧困地区の現状は厳しい。 そこで、教員育成用のDVDを作り、大人を対象に提供する。 ・他の国でも同様のサービス展開 アジア、アフリカなどで初頭教育の普及が遅れているところに対して同様のサービスを 展開していきたい。 ・もしプログラム実施箇所周辺でボランティア需要が高いところがあれば、ボランティ ア仲介業も拡大していく。
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