SDP600 シリーズ(SDPxxx)用アプリケーションノート 測定

SDP600 シリーズ(SDPxxx)用アプリケーションノート
測定分解能の変更について
概要
SDP600 シリーズの微差圧センサーは測定分解能を 具体的な要求事項に合わせて調整することができま
9 ビットから 16 ビットまで調節することができます。 す。
従ってユーザーは測定速度と精度をユーザー自身の
SDP600 シリーズの特徴は、SF04 という第四世代の
シリコンセンサーチップを搭載していることにあり
ます。熱式質量流量センサー素子のほか、このチッ
プにはアンプ、シグマ-デルタ A/D コンバーター、
EEPROM メモリー、デジタル信号処理回路、インタ
フェースが搭載されています。
センサー-内部信号調節プロセスにおいて、測定セ
ル(センサーエレメント)からのアナログ信号は増幅
され、デジタル化され、線形化(校正処理)されます。
アナログ生信号の積分時間に応じて、シグマ-デルタ
AD コンバーターは分解能が 9 ビットから 16 ビット
までのデジタル信号を送出します。
アナログ生信号は下図に示すように低い差圧に対す
る感度が高くなります。このため線形化されたセン
サー出力の分解能は差圧値に応じて変わっていきま
す。すなわち、12 ビット(デフォルト)では、デジタ
ル分解能はゼロ近傍で約 0.025 Pa、フルスケール
(500 Pa)近傍で約 1.1 Pa となります。
アナログ生信号
1. 原理
測定セル(センサーエレメント)
差圧
増幅
線形化処理後、センサー出力は常に 16 ビット整数型
の値となります。この 16 ビットの数値は内部のデジ
タル分解能に基づくものですが、ユーザー側で変更
可能です。
アナログ生信号
デジタル化
デジタル生信号(9~16 ビット)
線形化
大半の用途に対し、当社では、高精度と短い応答時
間を両立させるために、12 ビットの分解能(デフォル
ト設定)でのご使用を推奨します。
線形化デジタル出力
信号の分解能を高くすると積分時間が長くなります
が、その分だけ、より平滑で精度の高い差圧値が送
出されます。分解能を低くすると積分時間が短くな
り、短い応答時間で測定結果が送出されます。
www.sensirion.com
Version 1.1 – 2010 年 5 月
1/4
SDP600 シリーズ(SDPxxx)用アプリケーションノート:測定分解能の変更
2. センサー分解能の変更
分解能の設定データはアドバンスドユーザーレジスターに保存されています。測定分解能を変更するには次
の各ステップを踏む必要があります。
1. アドバンスドユーザーレジスターを読み取る。
2. 必要とする分解能に応じた新しいレジスター設定値を規定します。
3. 新しい値をアドバンスドユーザーレジスターに書き込みます。
アドバンスドユーザーレジスターの読み取り
アドバンスドユーザーレジスターの中身を読み取ります。R/_W ビットが 1 になっているヘッダーの後に、
センサーの内部システムはレジスターの値をバスに書き込みます。書き込まれる最初のバイトはレジスター
の最上位バイトで、二番目のバイトが最下位バイトとなります。
二番目のバイト後にマスターが引き続き SCK
ラインのクロック信号を送る場合は、CRC バイトがこれに続きます。センサーの内部システムは、マスター
が各バイト後にアクノリッジ(ACK)を送出しているかどうかを確認し、送出していない場合は送信を中断し
ます。なお、2 つの転送シーケンスが必要になります。一のシーケンスではコマンドを保存し、二番目のシー
ケンスでは READ(読取り)モードにて当該保存コマンドを実行します。
2
I C でのレジスター読取り
8 ビットのコマンドコード:11100101(hE5)
コマンド:アドバンスドユーザーレジスターの読み取り
ホールドマ
スター
I2C アドレス
コマンド
MSByte(最上位バイト)レジス
ターデータ
I2C アドレス
LSByte(最下位バイト)レジス
ターデータ
Check Byte
チェックバイト
網掛部分は、センサーが SDA ラインを制御することを示します。
アドバンスドユーザーレジスターの中身
測定の分解能はアドバンスドユーザーレジスターのビット 11 からビット 9 に保存されています。なおこの場
合、ビット 15 は最上位ビット(MSB)を表し、ビット 0 は最下位ビット(LSB)を表します。
ビット番号
SDP600 センサーのほとんどのバージョンのアドバンスド
ユーザーレジスターのデフォルト設定(h7782) *。
分解能は 12
ビット。
変更禁止!
分解能
変更禁止!
変更後のアドバンスドユーザーレジスター
* グレーで表示した部分のエントリーがお使いのセンサーのエントリーと異なる場合は、お使いのセンサーに保存されている値を変更
しないでください。
分解能の設定コードは以下に示す通りです。
000:
001:
010:
011:
9 ビット
10 ビット
11 ビット
12 ビット(デフォルト)
www.sensirion.com
100:13
101:14
110:15
111:16
ビット
ビット
ビット
ビット
Version 1.1 – 2010 年 5 月
2/4
SDP600 シリーズ(SDPxxx)用アプリケーションノート:測定分解能の変更
アドバンスドユーザーレジスターへの書き込み
コマンドによるレジスターの上書き。コマンドを受けた後に、センサーの内部システムは新しいレジスター
値をバスから読み取ります。最初のバイトはレジスターの最上位バイトとして保存され、二番目のバイトは
最下位バイトとして保存されます。センサーの内部システムは各バイトについて受信成功を確認します
(ACK)。
2
I C でのレジスター書込み
8 ビットのコマンドコード:11100100(hE4)
コマンド:アドバンスドユーザーレジスターの書き込み
MSByte (最上位バイト)レジ
スターデータ
I2C アドレス
LSByte (最下位バイト)レジ
スターデータ
コマンド
網掛部分は、センサーが SDA ラインを制御することを示します。
デフォルトの分解能
センサーのハードリセットやソフトリセットが行われるたびに、デフォルトの分解能がアドバンスドユー
ザーレジスターに書き込まれます。異なる設定で作業を行う場合には、電源投入やソフトリセットを行うた
びごとに測定分解能を変更する必要があります。
3. 応答時間
分解能に応じて内部積分時間は変わり、そのためセンサーの応答時間も変わります。次の表は各分解能に応
じた処理時間を示したものです。なお、センサーの電源投入後やソフトリセット後の最初の測定の場合には
さらに遅れが生じます。
分解能 [bit]
9
10
11
12
13
14
15
16
www.sensirion.com
処理時間 [ms]
最小値 標準値 最大値
0.5
0.8
0.9
1.0
1.3
1.5
2.0
2.4
2.6
4.1
4.6
4.9
8.2
8.9
9.4
16.4
17.5
18.5
32.8
34.8
36.7
65.5
69.3
73.2
Version 1.1 – 2010 年 5 月
3/4
SDP600 シリーズ(SDPxxx)用アプリケーションノート:測定分解能の変更
4. 改訂履歴
日付
2008 年 9 月 20 日
2009 年 6 月
2010 年 5 月
改訂版
v0.1
v1.0
v1.1
変更点
予備版発行
発行
軽微な変更
本文書について
本文書は以下の当社技術文書の英文版を和訳したものです。
記載内容に疑義が生じた場合は、当該英文版を正とします。
文書名:Application Note for SDP600 Series (SDPxxx)
Changing Measurement Resolution
(Version 1.1)
当社の本社および日本現地法人
SENSIRION AG
Laubisruetistr. 50
CH-8712 Staefa ZH
Switzerland
Tel:
+ 41 (0)44 306 40 00
Fax:
+ 41 (0)44 306 40 30
[email protected]
www.sensirion.com
SENSIRION Korea Co. Ltd.
#1414, Anyang Construction Tower B/D,
1112-1, Bisan-dong, Anyang-city,
Gyeonggi-Province, South Korea
Phone: +82-31-440-9925~27
Fax:
+82-31-440-9927
[email protected]
www.sensirion.co.kr
センシリオン株式会社
Tel:
+81 3-3444-4940
Fax:
+81 3-3444-4939
[email protected]
www.sensirion.co.jp
Phone: +86 755 8252 1501
Fax:
+86 755 8252 1580
[email protected]/
www.sensirion.com.cn
SENSIRION Inc
Westlake Pl. Ctr. I, suite 204
2801 Townsgate Road
Westlake Village, CA 91361
Phone: +1 805-409 4900
Fax:
+1 805-435 0467
[email protected]
www.sensirion.com
SENSIRION China Co. Ltd.
Room 2411, Main Tower
Jin Zhong Huan Business Building,
Postal Code 518048
Futian District, Shenzhen, PR China
USA
.
Find your local representative at: http://www.sensirion.com/reps
www.sensirion.com
Version 1.1 – 2010 年 5 月
4/4