ランクセス、水処理用膜ろ過エレメントの製造プラントを新設

News Release
2011年9月21日
ランクセス、水処理用膜ろ過エレメントの製造プラントを新設
~ イオン交換樹脂「レバチット」との相乗効果で水処理ソリューションを一括で提供可能に ~
ランクセス株式会社
ドイツの特殊化学品メーカーのランクセス(LANXESS)は、2011 年 9 月 16 日、ドイツのザクセ
ン・アンハルト州のビターフェルド拠点において、膜ろ過エレメント*1 の製造プラントを新設しました。
新製造プラントには、世界中の顧客に逆浸透膜(RO)*1 用のエレメントを即使用可能な状態で納
品するために、最先端の施設に研究室、物流区域、事務棟が設置されています。
*1 逆浸透膜とは、圧力を利用して水に溶解している物質を分離する水処理膜です。その膜をエレメントと呼ばれる形状に組み
立ててから圧力容器に入れ使用します。
ビターフェルド拠点における膜ろ過エレメントの製造は、大規模なパイロットおよび開発段階を経
て 2011 年第 4 四半期に開始されます。最初の RO 膜エレメントの販売は、2012 年初頭の予定
です。旺盛な需要と計画的な生産規模の拡大に伴い、今後 2 年以内に新プラントにおける従業
員数は 50 名を見込み、最終的に 200 名となる予定です。この新プラント建設により、ランクセス
は水処理向けの製品ポートフォリオの拡大を図ります。
膜ろ過エレメントの製品群は、「レバブレン(LewabraneTM)」の商標名で販売されます。これにより、
ランクセスは、イオン交換と膜ろ過の両製品群の専門知識と製品を提供できる市場で数少ない企
業の 1 つとなります。
RO とイオン交換技術は組み合わせて利用されることも多く、相乗効果により最適な精製結果をも
たらします。イオン交換樹脂ビジネスユニットの責任者であるジャン-マルク・ヴェセルは次のように
述べています。「ランクセスの数十年間にわたるイオン交換樹脂の実績に基づき、将来、お客様に
包括的な脱塩ソリューションを提供するため、膜技術の新分野に参入することが非常に重要であ
ると考えています」
水のろ過技術の発展
膜は浮遊粒子や溶解粒子のバリアとして使用することができます。溶液が圧力をかけられ膜を通
る時、除去すべき粒子の大きさに応じて、(粒径の大きい順に)精密ろ過(MF)、限外ろ過(UF)、
ナノろ過(NF)に分かれ、逆浸透とは区別されます。逆浸透を採用することで、個々の分子または
イオンがそれぞれ供給流から除去されます。こうした点で、 RO 膜には、「脱塩」効果があります。
これはランクセスが市場をリードする製品と幅広い用途実績を持ち、グローバル市場で活躍して
いる、イオン交換樹脂による脱塩処理に類似します。
逆浸透は、水処理分野において特に急成長している有望市場です。RO 膜用途の主な例は、汽
水の脱塩処理による発電用途への利用が挙げられます。その他の工業用途としては、マイクロチ
ップ製造時の脱塩と粒子除去の工程での使用が挙げられます。これらの用途において、RO 膜過
程はしばしばイオン交換と組み合わされ超純水を供給します。また、その他の有望な用途分野と
して、海水や排水の脱塩が挙げられます。膜は、通常、除去率(給水からの塩除去率)と処理能
力値または生産性(透過水量または単位時間単位面積当たりの処理可能量)で分類されます。
膜エレメントの製造 − 多段階プロセス
エレメントは、複数の個別層から成る薄膜コンポジット(TFC)の製造からスタートします。ポリエス
テルの不織布(薄さ:90~100μm)は、ポリスルホン支持層(40~60μm)と活性ろ過層(0.1μm)の
基材として機能します。活性ろ過層はポリアミドから成り、高度な複合被覆プロセスによって作ら
れます。これらの RO 膜は平坦なシートとして用意され、その後、自動巻き取り機によって、スパイ
ラル型エレメント(デバイス)に組立てられます。スパイラル型エレメントは、供給液を膜表面に供
給し、透過水(ろ液)を採集します。最終の組立て後、RO エレメントは、長さ 40 インチ(約 1m)×
直径 8 インチ(約 20cm)の標準サイズになります。このようなエレメントの活性膜の表面積は、約
400 平方フィート(約 37 平方メートル)になります。RO 膜エレメントは、高透水量で、99.7%の高
除去率を備えています。この透水量は、原水給と前処理システム設計により変化します。各 RO
エレメントの品質は、国際試験法および国際規格に従って、エレメント試験機で管理、計量されま
す。
技術とエンジニアリング
「レバブレン」エレメントの製品群には、直径 8 インチと 4 インチの膜エレメントがあります。今後も、
新たな顧客ニーズに応えるために製品群をさらに拡大します。膜は、クロスフロー方式(接線流ろ
過、TFF)によって機能します。給水の大半を膜面に対して垂直に流し、ろ過する(デッド・エンドろ
過)システムでなく、ろ過膜の表面に接線方向の水流を作ります。この方式によりは、ファウリング
を最小限にし、膜のクリーニングやメンテナンスが必要になるまでの期間を引き延ばし、より長い
運転時間を得ることが可能となります。
お客さまがランクセスの新しい RO 膜ろ過デバイスを最大限に活用できるよう、「レバブレン」膜シ
ステムの性能を最適化するカスタムエンジニアリング・デザインのソフトウエアを提供します。この
新しいソフトウエアは、現在のイオン交換樹脂「レバチット®(Lewatit®)」の計算ソフトウエアの拡張
版として用意されます。水処理設計者は、同じデザインパッケージ内で全てを RO デザインからイ
オン交換樹脂デザインに切れ目なく移行することができます。このソフトウエアは、「レバブレン」の
販売と同時に、2012 年初頭に入手可能となります。「このソフトウエアはランクセスの幅広い水処
理製品ポートフォリオのメリットを、お客さまご自身の価値創造につなげる事を可能にします」と、
ジャン-マルク・ヴェセルは強調しています。
イオン交換樹脂ビジネスユニットは、世界中に約 500 名の従業員を擁し、その内の 300 名がドイ
ツにて従事しています。イオン交換樹脂ビジネスユニットは、パフォーマンスケミカルズ部門(2010
年売上高:19 億 7,800 万ユーロ)に属しています。
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これは、ドイツ・レバクーゼンで9月16日に発表されたリリースをもとに、ランクセス株式会社が発
表したものです。
この原文(英語)は、以下のURLにてご参照下さい。 http://www.press.lanxess.com
ランクセスについて:
ランクセスは、世界 30 カ国で事業を展開する大手特殊化学品メーカーです。2010 年の総売上は
71 億ユーロにのぼり、全世界の従業員数は約 15,800 人、世界中に 46 の拠点を展開していま
す。主な事業は、プラスチック、合成ゴム、中間体、特殊化学品の開発、製造とマーケティングで
す。ランクセスは、持続可能性に優れた企業を選定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワー
ルド・インデックス(DJSI World)」および「FTSE4Good」の構成銘柄です。ランクセスについての
詳細は同社 URL にてご確認下さい。www.lanxess.co.jp
免責について (Forward-Looking Statements):
このニュースリリースには、ランクセス経営陣による現在の仮定と今後の予測に基づく記述があります。既知あるいは未知の各
種リスクや不確定性、その他の要素により、本頁に記載された予測と弊社の今後の総合売上高、財務状況、業績の数字が異な
る場合があります。弊社は、ニュースリリースの記載事項を更新、もしくは今後の出来事や進展状況に合わせ、内容を変更する
義務はないものとします。
その他の情報:
ランクセスのニュースリリースは www.lanxess.co.jp の”プレスリリース”項目よりご覧ください。また、役員およびその他の写真
は photos.lanxess.com (英語)より入手いただけます。ランクセスの動画および音声、ポッドキャストについては下記をご覧くだ
さい。http://corporate.lanxess.com/en/media/audio-video/ (英語)ランクセスのウェブマガジンは下記でご覧いただけます。
http://webmagazine.lanxess.com/ (英語)
(2011-00177J)