「2010 年度・HDD の業界展望」 HORI Technology Office(IDEMA JAPAN 協賛会員) ストレージアナリスト 堀内義章 1 はじめに 昨年の年初は、リーマンショックで大幅に揺れ、先行きが見通せない状態であったが、今年は、比較的回復の兆しが見 える状態で出発している。が力強さが不足、2番煎じの動きもあり安定した状況とは言えない。加えて、民主党政権になり 経済対策に期待が寄せられているが、まだその対策も不透明である。また世界の消費構造も大きな変化を見せはじめ、 この動きを十分に捕らえて対応する必要がある。 一方、HDD 業界は、昨年の筆者の展望では、不況の中 HDD 需要の V 時回復を見込み強気の予測を立てたが、さすが に昨年の3月になると、経済回復は長期戦と判断し、当初予測を大幅に減らし、2008年比マイナスの予測に見直した。 しかし、IT 投資は控えられたが、低価格パソコン「ネットブック」の台頭やマイクロソフトの「ウィンドウズ7」の発売などによ り、2009年度は、むしろ若干伸びの見込みとなった。ここに至って、HDD 業界の力強さが顕著に出た昨年でもあった。そ こで、2010年度を迎えるに当たって、世界の経済と消費構造の変化を読み取り、今年の HDD 業界を展望する。 2 世界の構造変化 一昨年11月のリーマンショック以来、世界の消費構造に大きな変化が起きている。その変化を列挙すると、 (1) 米国(人口約3億人、GDP は約1,500兆円)の大統領が民主党のオバマ大統領、 日本(人口1億2,700万人、 GDP が約500兆円)の首相が民主党の鳩山由紀雄首相にチェンジ。その政策が大幅に変わったこと(中国は人口1 3億5千万人、GDP は約460兆強で2010年は日本を追い抜き、世界第2位に)。また、EU27ヶ国(人口は約5億人、 GDP は約1,600兆円)も EU 大統領(ベルギーのヘルマン・ファンロンパイ大統領)を決めて本格的な EU 統合市場と して動き出したこと。 (2) 世界の消費構造の大幅な変化。米国一辺倒から BRICs(中国、インド、ロシア、ブラジル)やアジア新興国の台頭 により、消費国が米国からアジアへ移ったこと。 (3) 昨年の先進国(米国、EU、日本)の GDP 成長率がマイナスになったのに対し、アジアは、一部を除いて、プラスを 維持したこと。また、今後を考えても、先進国は回復しても2%前後の経済成長率に対して、BRICsや新興国は、5~ 10%の経済成長率が望めること。 (4) アフリカ33ヶ国(全体で53ヶ国)は、ここ5年間は6%前後の GDP 成長率であり、資源を多く有しているアフリカの 成長率も無視できないこと。 (5) 三菱商事国際戦略研究所所長 藤山智彦氏の“世界の消費構造の変質”(09年11月25日 日本経済新聞)によ ると、“再生エネルギーの利用促進や自動車産業におけるクリーンエネルギー化、金融制度改革の推進など”世界 経済の構造調整が進行している。大きな構造変化は2点あり。 ① 米国の消費一辺倒が減退し、回復には時間がかかり、米国向け輸出国は大きな影響を受けること。 ② 中国やインド、ブラジルなどの新興国で「中間層」と呼ばれる消費層が急速に勃興。経済産業省の通商白書によれ ば、世界可処分所得5千㌦超3万5千㌦以下をボリュームゾーンと呼ぶ。中国は4.4億人、インドは2.1億人がこれに 相当し、その他のアジア諸国を加えると8.8億人の市場となること。 等があげられ、特に BRICsや新興国、南米、アフリカはこれから社会資本や情報インフラの構築が急ピッチに進んでお 1 IDEMA Japan News Vol.94 「2010 年度・HDD の業界展望」 り、今後の大きな消費が期待できる。これは、昨年、中国の北部(大連、ハルピン、瀋陽、長春)と上海、ペルー(リマ、ク スコ)、チュニジア(スース、チュニス、その他の地方都市)、パブアニューギニア(ポートモレスビー、ウエワク、ソワム村) を訪問し、社会インフラや IT インフラの不足を実感し、また消費が旺盛なのを感じ、まだまだ消費地域は十分あると実感 した。 また日本経済に関しては、3D(デフレ、大量増資による株式希薄化<ダイリュ-ション>が招く株安、民主党政権の経 済政策の不在)不況に直面していて、製造業の海外進出、リストラによる人員削減、一時金・給料の低下、海外への輸出 依存になり、国内での GDP 成長率の大幅向上は厳しい。結局、日本の生きる道は「中国・インドを含めた海外工場での 生産」「高齢者を含めた人材の輸出(技術指導)」「日本の特徴ある技術の海外対応(太陽エネルギー関連、水の浄化技 術、新幹線等の交通機関技術、地上デジタルハイビジョン放送技術、精密加工技術)」「日本の伝統文化の海外紹介」等 がその対応策と考えられる。ただし、変動に対して危弱な企業体質の為、為替と原油価格管理が重要。 3 IT 業界の社会環境と世界の大きなイベント 現在、世界中が IT の情報インフラを整えようとしている。主にはインターネットと携帯電話、デジタルハイビジョン放送な どが主となっている。しかし、世界の人口が(09年11月18日発表、国連人口基金<UNFPA>の09年度版「世界人口 白書」)68億2,940万人(前年比1.2%増)で、その内、電気がない生活をしている人口が16億人いるのが現状であり、 また日本は人口減少へ向かっている。そこで、IT 業界の社会環境と世界の大きなイベント、今後の将来技術を以下に述 べる。 (1) IT 業界の社会環境 ① 世界中が地上デジタルハイビジョンへ切変え。日本は2011年7月24日に移行。 ② 年々増加する新規情報量による情報のバックアップ、保存。サーバーやデータセンターの増設、ホームサーバー、 携帯サーバー等の必要性の増加。 ③ 電子政府を目指したインターネットによる電子申請や電子商取引。 ④ 在宅勤務や在宅スクール、在宅講座・コミュニティ。 ⑤ インターネットテレビ(録画機能内蔵)により、チケットや交通機関切符、ホテルなどの予約、買い物・電子決済、病気 診断、テレビ電話による対話。 ⑥ 携帯電話のアクセス速度のアップにより、携帯電話と PDA の融合製品がミニパソコンの代わりになり発展すること (例えばスマートフォンなど)。 ⑦ クラウドコンピューティング時代の幕開け。 ⑧ 経済の活性化による IT 投資の増大(IDC ジャパンの資料では、2013年には、2008年度の2倍へ)。 ⑨ フラッシュメモリや SSD(Solid State Drive)の台頭による HDD との棲み分け。 ⑩ ペーパレス社会を目指したリムーバブルストレージ(HDD、フラッシュメモリ、DVD/BD など)の増加。 ⑪ 各社 OS の競争により、より使い易い機器動作へ。 ⑫ 高齢者社会へ向けた、高齢者が理解し、使い易い IT 製品の発掘(操作は音声で、出来るだけ操作は簡単で、文字 は大きく)。特にデジタルデバイド解消技術など。 (2) 世界の大きなイベント*1) ・2010年~フランスが炭素税導入(1月)、平城遷都1300年祭(1~12月)、カナダのバンクーバ・冬季オリンピック (2月)、上海万博(5月)、サッカーワールド杯南アフリカ大会(6月)、参議院選挙(7月)、日本(横浜)で APEC 開催/米国中間選挙/中国(広州)で第16回アジア競技会(11月)、東北新幹線(八戸~新青 森)が完成し、全線開通(12月) ・2011年~九州新幹線(博多~新八代)が全線開通。米国で APEC 開催。 ・2012年~韓国(麗水)で万国博覧会(5月)、第30回ロンドン・夏季オリンピック開催(7月)、米大統領選(11月) ・2013年~北陸新幹線(長野~富山間)が完成 2 IDEMA Japan News Vol.94 「2010 年度・HDD の業界展望」 ・2014年~ロシアのソチ・第22回冬季オリンピック開催、ブラジルで FIFA ワールドカップ開催、中国・上海でディズニ ーランド開業 ・2015年~イタリアのミラノで万国博覧会開催 ・2016年~日本で主要国 G8サミット開催、第31回ブラジルのリオデジャネイロ・夏季オリンピック開催(8月)、米大統 領選挙(11月)、日本でラクビー世界選手権開催 (3) 主な将来技術の利用可能な時期の予測(文部科学省科学技術政策研究所調査) ・2016年~「新聞紙を代替できるような柔軟性を持つポータブル電子ディスプレイ」 ・2019年~「HDTV の画像を圧縮率250分の1に、原信号と変わらない品質に圧縮する符号化方式」 ・2021年~「障害者が自分の意思を言語に変換できるポータブル会話装置」 ・2023年~「家庭内で眼鏡をかけず、かつ疲れないで視聴できる立体テレビの一般化」「家庭に1台、掃除・洗濯など を行うお手伝いロボットが一般化する」 ・2024年~「いつでもどこでも映画を楽しめるような、網膜に直接映す事が出来るディスプレイ装置」 ・2025年~「言語のリアルタイム翻訳機能が付加された電話の一般化」「イメージを言葉で与えれば、人間の感性に適 した音楽や絵画を提示できる感性表現システム」 ・2026年~「特定の空間領域だけを周囲の音響から遮断し、静音状態にする音場シールド技術」 ・2036年以降~「脳波などを利用した念力インターフェース」「人間の脳に記憶されている情報を電気的、磁気的にコ ンピュータが読むことができる技術」 4 HDD 業界の動き HDD 業界は、価格と面記録密度向上の競争が厳しく、常に全力疾走しないと生き残れない世界である。また、フラッシュ メモリの大容量化と低価格化で、HDD コンシューマ製品やパソコン、サーバなどの一部が置き換わって来ており、特に容 量の低い部分(~256GB)は、フラッシュメモリや SSD が採用されてきている。そのための HDD 関連の業界再編成も活 発である。特に HDD メーカーは、大容量化のために面記録密度の向上への研究・技術開発が活発で、これについては、 次の5章で述べる。 1980年代に100社前後あったドライブメーカーも時代と共に淘汰され現状では、Seagate、Western Digital(以降は WD)、日立グローバルストレージテクノロジーズ(以降は日立 GST)、東芝、Samsung 電子の5社となった。特に昨年、東 芝が富士通を買収したことは記憶に新しい(東芝ストレージデバイス株式会社で、昨年10月発足)。今後は、当分この5 社で維持されていくとは思われるが状況によってはもう1~2社淘汰される余地も残っている。特に WD は、トップの Seagate へ生産台数で肉薄しており、この2社のトップ競争は、それぞれスタイルが異なるだけに注目に値する。日立 GST は、昨年は単独での黒字をだしたが、更に今後は、効率化と先端技術で巻き返しを図っている。東芝と Samsung 電 子は、いずれもフラッシュメモリ・SSD も自社生産しており、ストレージ戦略で、これらを生かした商品作りを進めている。ま た、共通しているのは、両社とも HDD の主要部品の磁気ヘッドとメディアを生産していない点も共通している。従って、両 社が、HDD と SSD でどのような商品戦略で行くのかは、注目に値する。勿論、他の3社(Seagate、WD、日立 GST)も SSD へ参入しており、これら5社を中心とした棲み分けも楽しみな一つである。HDD は大容量化への強みを生かし、小型・軽 量を目的としたブレードサーバー系への採用も活発であり、今後は、大容量化した2.5インチ HDD が鍵を握ると思われ る。 一方、HDD のキーパーツとなる主要部品メーカーでは、磁気ヘッドの専業メーカーが TDK の1社、内製メーカーが Seagate、WD、日立 GST の3社の合計4社。特に7~8社あった磁気ヘッド専業メーカーが TDK1社のみとなり、現状では 全てのドライブメーカーに納入しているが、内製メーカーが内製率をあげれば、その分、磁気ヘッドの販売量が減少する ので、専業メーカーとしては、常に先端技術を先行して導入していく必要がある。その意味で、TDK は磁気ヘッドを内製し ていない東芝(磁気ヘッドを社内で開発は行っているが、生産はしていない)と Samsung 電子を押さえており、この 2 社を うまく活用すれば、HDD メーカー最先端の大容量技術の確認が出来、他の内製 HDD メーカー採用への大きなアピールと なるので、その効果は大きい。なお、HDD メーカーの磁気ヘッドの内製率はメーカーによって異なるが78~95%の範囲 3 IDEMA Japan News Vol.94 「2010 年度・HDD の業界展望」 である。 メディア(媒体)では専業メーカーが昭和電工、富士電機、HOYA(ガラス基板のみ)の3社と HDD 内製メーカーが Seagate、WD、日立 GST の3社の合計6社。特に富士通のメディア生産の山形工場は、本体 HDD の東芝への売却により 昭和電工が買収し、「昭和電工 HD 山形(株)」(資本金4億5千万円、従業員360人)として09年7月1日新たに発足。生 産能力は300万枚/月。また昨年後半の HDD の生産増に対応して、メディアの生産キャパを2,200万台/月(シンガポ ール、台湾、日本の市川と山形)へと本年3月までに生産効率改善と2~3億円の投資でアップする。富士電機テクノロジ ーは、メディアの国内生産・研究開発を松本市から山梨へ集中化。メディアが Seagate へ導入されているが、依然として 厳しい状況が続くため効率アップで対処しようとしている。今後へ期待したい。HOYA は元々ガラスのみの対応をしており、 ガラスのブランク材からメディアまで持っているのが強みである。増産には慎重で中々増産へ踏み切らなかったが、よう やく今後が見込めると判断。ベトナムでの生産キャパアップを一時ストップしていたのを、今後、2.5インチ以下のディスク が増える見込みから、生産キャパを3割アップに踏み切る(新工場への投資金額は130億円で、2010年度中に稼動の 見通し)。現在、、タイ、フィリッピン、ベトナムの3拠点で生産キャパは2,500万枚強/月。また、日立 GST は、3.5インチ HDD 用アルミ基板材をに関して、マレーシアの WD 工場を買収し、全量自社でのアルミ基板調達へ変える。約7千万枚を 外部調達(東洋鋼鈑、中国カイファ・マグネテックス)していたため。また、カラスブランク材を行っているオハラ(昭和電工 向け)は、現在のキャパ1,400万枚/月から、3割アップへ(1,800万枚/月)、また旭硝子もキャパ300万枚/月を生 かした生産を始めている。今後は、ガラス基板への期待でが更に高まってきている。 スピンドルモーター(SPM)では、専業メーカーが中心で、日本電産(Nidec)、ミネビア、アルファナ・テクノロジー(日本ビ クターのモータ部門を移管)、パナソニック四国エレクトロニクス(以後 PSEC)の4社、内製メーカーが Samsung 電機 (Samsung 電子のグループ会社)が1社の合計5社。ただし、PSEC は、モーター部門の売却により、HDD 用モーターも今 年の後半に完全撤退の方向で4社になる。日本電産は、圧倒的なシェアを維持しており(70%以上)、中国・タイの NTN の工場を子会社化。NTN 日本電産浙江のキャパは800万個/月、NTN 日本電産タイのキャパは840万個/月。トータ ルキャパは5千万個/月。今後についても非常に強気な M&A と生産増で、対応している。Samsung 電子は、自社グルー プの部品会社 Samsung 電機で1昨年より、HDD 用モーターの内製化を行っており、将来的には外販も視野に入れて進め ている。 磁気ヘッドに用いるサスペンションは、ハッチンソン(米国)、ニッパツ(日本発条、日本)、TDK(Magnecomp 買収分、日 本)、サンコール(日立 GST 専用、日本)の4社で、ニッパツが徐々にそのシェアを広げている(シェア目標50%以上)。今 年後半からデュワル・アークチュエーター・サスペンションが本格投入される予定で(昨年末一部導入)、今後の鍵を握る 技術である。また、TDK はサスペンションを自社生産した事より、磁気ヘッドと合わせて周波数特性の設計がし易くなって いると思われ非常に強みである。 その他、日東電工はパソコン冷却用チューブを生産開始(省エネ用)。厚さ1mm 以下の薄型ヒート・パイプの製造能力 は月産100万本の生産。既にソニーのバイオに採用。 これら HDD 業界の主要な HDD・部品メーカー状況を表1に、HDD メーカの主要部品調達状況を表2にまとめて示す。 表1 HDD業界の主要HDD・部品メーカー 一覧 HDD 関連分野 会社名 HDD (5社) ヘッド (4社) メディア(6社) スピンドルモータ(5社) サスペンション(4社) Seagate、Western Digital、日立 GST、東芝、Samsung 電子 専業 1社 TDK 内製 3社 Seagate、Western Digital、日立 GST 専業 3社 昭和電工、富士電機、HOYA 内製 3社 Seagate、Western Digital、日立 GST 専業 3社 日本電産、ミネベア、パナソニック四国エレクトロニクス、アルファナテクノロジー(日本ビクターから移管) 内製 1社 Samsung 電機(Samsung 電子グループ) Hutchinson、日本発条(ニッパツ)、TDK(Magnecomp)、サンコール 4 IDEMA Japan News Vol.94 「2010 年度・HDD の業界展望」 表2 HDDメーカーの主要部品調達状況 ◎自社生産のみ 〇自社生産以外にも他社からも購入 △他社組立 ×自社生産なし HDD メーカー HDD ヘッド メディア スピンドルモータ Seagate ◎ 〇 〇 × Western Digital ◎ 〇 〇 × 日立 GST ◎ 〇 〇 × 東芝 ◎ × × × Samsung 電子 △ × × 〇 5 HDD の業界需要予測 昨年の年頭の業界動向では、不況にもかかわらず V 回復を予測して強気の予想をした。2009年度は、前年比8.5% 増の5億9,585万台で、2010年で回復基調(10.7%増)とした。しかし、2009年3月になると世界の経済状況が非常 に重症で、さすがの筆者も変更を余儀なくされ、結果的に2009年度を4億6,900万台、2010年度を4億9,800万台へ 変更した。特に前半は IT 投資やパソコンの販売が停滞し、人員削減や生産縮小の動きが目立った。しかし、2009年の 後半になると「ネットブック」の好調と「ウインドウズ7」の秋の発売に伴い、部品不足が生じ、2009年7~9月期は大幅な HDD 生産(約1億5千万台)となり、再度、11月初めに HDD 予測の再見直しを行い2008年度は5億4千万台の実績に 対し、2009年度は5億5,900万台、2010年度は6億2,472万台、2011年度は7億8,865万台との予測に変更し、現 在に至っている。今後は、第2の不況の波の予測もあるが、IT 関係は確実に回復しており、HDD の需要の伸びは再び二 桁成長に乗るものと予測している。図1に2014年までのインチ別 HDD の予測を、図2には用途別 HDD の予測を示す。 需要としては、下記の様な状況、新製品が考えられ HDD は益々数量が増加すると想定。 ① 低価格パソコン「ネットブック」やマイクロソフトの「ウインドウズ7」の効果によるパソコン販売増へ拍車が掛かかり、 また買い替え需要の時期にも来ていること。 ② BRICs(インド、中国、ロシア、ブラジル)や新興国の中産階級の増加(約8.8億人)により、需要は益々喚起される こと。 (単位:千台) 1,400,000 1.3インチ以下 1.8インチ 2.5インチ 3.5インチ 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 14 20 13 20 12 20 11 20 10 20 09 20 08 20 07 20 06 20 05 20 04 20 03 20 02 20 20 01 0 図1 インチ別HDDの予側 (資料:Tom Coughlin Assciate 2009 年 11 月) 5 IDEMA Japan News Vol.94 「2010 年度・HDD の業界展望」 ③ 年々の情報量の増加に対し、小型で高容量・低消費電力の企業サーバーや別会社でデータセンターを運営する会 社が増加していること。 ④ インターネットテレビの普及により、HDD 内蔵製品が増え、かつ iVDR や USB タイプの HDD 外付け製品により、HDD の消費が増えていくこと。 ⑤ ホームサーバー(情報の整理ダンスで10TB 位を想定)や無線 LAN 携帯サーバー やスマートフォンとの情報のやり取りが可能な機器) (カバンに入れ、常時パソコン などが今後の新製品と一般に普及する方向。 ⑥ 世界中がデジタルハイビジョン放送に切り替わるまたは放送開始される2015年をターゲットに CATV などの家庭用 STB(HDD 内蔵)が更に普及していくこと。 ⑦ 監視カメラシステムやデジタルサネージ(電子看板)、電子書籍、ポータブル地デジ録画機器、携帯電話関連サーバ ー、家庭医療診断システムなどの今後 HDD を使用する新製品に期待ができること。 (単位:千台) 1,400,000 Mobile CE Desktop Ent. ATA Enterprise 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 14 20 13 20 12 20 11 20 10 20 20 09 08 20 07 20 20 06 05 20 04 20 03 20 02 20 20 01 0 図2 用途別HDDの予側 (資料:Tom Coughlin Assciate 2009 年 11 月) 6 面記録密度の動き (1) 現状の面記録密度 ① 開発では、TDK が昨年 10 月に発表した 927Gb/in2(529.2kTPI×1752kBPI) (昭和電工の DTM ディスク使用)、垂 直磁気記録のみでれば日立 GST の 612Gb/in2。 ② 実用化では、東芝の 528.5Gb/in2(334GB/P・3.5 インチ HDD)、1.8 インチ HDD の 467GB/in2(160GB/P)、517Gb/in2 (250GB)。 ③ ECC 媒体使用 (2) HDD の面記録密度の研究開発の動向 ① 情報ストレージ研究推進機構(SRC)は、「shingled write recoding(瓦記録)」と呼ばれる新記録方式(シュミレーショ ン段階)を開発。2010 月の公開を目処に、面記録密度 2Tb/in2 を実証予定。瓦記録と「2次元磁気記録」を組み合わ せて 5Tb/in2 も射程距離内見込んでいる。 ② NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)に委託プロジェクトが、1Tb/in2 以上の HDD 用磁気記録媒体とし て利用できる、金属ガラスへのナノインプリント技術を実証。 6 IDEMA Japan News Vol.94 「2010 年度・HDD の業界展望」 ③ セイコーインスツル(SII)は、熱アシスト記録に光ファイバーを用いて熱を加え浮上量確保ができる導光構造を開発、 光ファイバーの重みなどが磁気ヘッドへ与える圧力やディスクからの空気圧のパターンを試算。2012 年に製品化の 予定。 ④ 東北大学大学院工学研究科は世界最高性能の強磁性トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunnel Junction)の開発に成 功。高性能 HDD の信号読み取り素子としても用いられている MTJ の基本構造は強磁性薄膜 2 枚で原子数個オーダ ーの非常に薄い絶縁膜を挟んだ構造である。磁気抵抗変化率をこれまでの最高値 604%から約 7 割向上させた 1,056%を得ることに成功。 ⑤ 日立製作所(日立 GST も含む)と東芝は共同で、HDD の容量を大幅に増やす技術を開発する予定。ナノテクノロジ ーを使い 2012 年までに 10 倍以上に高める。目標の面記録密度は 5Tb/in2。1 粒子で 1 ビットを記録できるナノテクノ ロジー技術。経済産業省が研究開発費約 45 億円を支給。 ⑥ TDK が今年 10 月の CEATEC にて、熱アシスト方式で 1 Tb/in2 の目処が付いたことを発表。先端のヘッドスライダー 部に光素子を内蔵タイプ。 ⑦ ナノインプリント向け製造装置メーカーである米 Molecular Imprints 社は、HDD 分野で、5 社の顧客に向けて 12 台 のナノインプリント装置を販売。2011 年以降に記録媒体の製造にナノインプリントを使用する比率が徐々に高まり, 2016 年には約 75%に達する見込みと予側。 (3)面記録密度を大きくする技術の流れと容量目標*2) TMR-PMR+ECC 媒体(現状) ⇒ TMR-PMR+超 ECC 媒体 ―――― ~1.3 Tb/in2 ⇒ TMR-PMR+超 ECC 媒体+DTM ―――― ~2 Tb/in2 または、shingled write recoding(瓦記録) ―――― ~5 Tb/in2 ―――― ~5 Tb/in2 ⇒ CPP-GMR ⇒ TAMR(HAMR、MAMR)、Energy Assisted Recording probably on BPM/Shingled Write & Two Dimensional Magnetic Recording(TDMR) ―――― ~10 Tb/in2 図3に面記録密度の実用化と開発の推移、表3に現状のディスク 1 枚当たりの容量と今後の目標を示す。 1000 100 Development Product 10 20 01 Q1 2 0 Q3 02 Q1 2 0 Q3 03 Q1 2 0 Q3 04 Q1 2 0 Q3 05 Q1 2 0 Q3 06 Q1 2 0 Q3 07 Q1 2 0 Q3 08 Q1 2 0 Q3 09 Q1 Q3 1 図3 面記録密度の実用化と開発の推移(Gb/in2) 7 IDEMA Japan News Vol.94 「2010 年度・HDD の業界展望」 表3 各タイプ別容量の現状と今後(GB) インチ別 現状 発表・導入方向 目標 1.8inch 250 320 500 2.5inch 334 500 750 3.5inch 500 750 1000 7 フラッシュメモリ・SSD の展開と HDD 対フラッシュメモリ・SSD*3)*4) 一昨年当たりから、フラッッシュメモリが低価格・大容量・小型・軽量であっと言う間にデジタル音楽プレーヤーにメモリに 取って代わり、その後、徐々にコンシューマで HDD を用いて低い容量製品には、フラッシュメモリが入り込み、また SSD の出現で、パソコン市場にも一部入り込んできている。フラッシュメモリ・SSD は確かに小型・軽量・低消費電力・耐震性に 優れているが、やはりコストと寿命が大きな課題になっていた。特に寿命は、原理的に書き込み回数が増えると電子の消 失で、メモリ能力が減少するためその回数が常に問題視されていた。しかも書き込み回数が表示出来ないこともあり、こ の辺の対応が望まれていた。表4、表5には HDD とフラッシュメモリ・SSD の特徴の比較を示し、フラッシュメモリの大容量 化の技術動向を簡単に述べ、現在、信頼性(寿命)に関しの考え方や測定方法、表示方法などを述べ、現在、使用され ている「分野別コンシューマ製品の HDD とフラッシュメモリ・SSD の現状と今後について」を表6に、「GB 当たりの価格比 較」を表7に示す。 (1)HDD とフラッシュメモリの特徴の比較 表4 HDDとフラッシュメモリ・SSDの特徴の比較(その1) HDD 長所 欠点 フラッシュメモリ・SSD •大容量、更なる大容量化が可能 •処理速度が優れている •GB 当たりのコストが安い •耐衝撃性に強い •耐温度特性が良い •消費電力が小さい •USB 利用で容易に容量が追加できる •小型・軽量 •耐衝撃性がやや劣る •寿命に限界がある •回転部を持っている •コストが高い •部品点数が多い •大容量化が難しい •大容量化へ進歩が早や過ぎる •温度特性に難点がある •SSD は、コントロール回路に互換性問題 •マルチセルで、ビット数が多くなる程、コストメリットはあるが、 寿命が短くなる欠点がある •露光装置の開発状況により線幅の微小化の限界がある •ムーアの法則に 2014 年が限界説 8 IDEMA Japan News Vol.94 「2010 年度・HDD の業界展望」 表5 HDDとフラッシュメモリ(SSD)の特徴の比較(その2) ◎特に優れる ○優れる △やや劣る ×劣る SSD HDD 処理速度 ◎ ○ 容量 △ ◎ 消費電力 ◎ ○ 寿命 △ ○ 耐衝撃性 ◎ △ 小型。軽量 ◎ △ 価格 × ◎ (2)フラッシュメモリ大容量化の動向 フラッシュメモリの大容量化は、如何に細い線幅が描けるかと多値化とセル構造の多次元化などにポイントがある。や はり一番の問題は、露光装置がらみの線幅の極小化にある。現在、22nm まではある程度の見込みはあるが、それ以 下が EUV(極紫外線)光源の露光装置が開発されるかによっている。現状では2012年になるとの憶測もある。他のメ モリ技術については、開発は進んでいるが、まだまだ時間を要しそうである。主なメモリの大容量化の方向を以下に示 す。 〇 ウエハーの線幅の微細化 • 32nm、22nm の開発およびそれ以下の開発 • 半導体露光装置で、EUV(極端紫外線)光源の露光装置の開発 〇 多値化(3ビット/セル、4ビット/セル) 〇 半導体の1チップの容量(G ビット/チップ) 〇 セルの構造(多次元構造) 〇 他のメモリ(SRAM、MRAM、FeRAM、PRAM など) (3)信頼性 フラッシュメモリは、何といっても信頼性、特に寿命が一番懸念されている。SCL では、寿命は長いが価格が高く、MCL では価格は安くなるが寿命が一桁悪くなる欠点があり、その使用には一長一短がある。しかし、消費電力が小さい、小 型・軽量で対振動性が良い、応答速度が早いなどの長所を生かし、採用が増えてきている。以下に、現在発表されて いる寿命とコントローラ回路に関しての状況を以下に示す。 ① 今回発売されたマイクロソフト「ウインドウズ7」で、ある程度 SSD コントローラ回路の互換性のカバーをしているこ と。 ② サンディスクが提案している寿命に関しての評価基準の適応。LDT(Longterm Data Enduarance)で記録回数による 寿命の SSD の寿命、LDT が SSD の寿命を評価(80TB の記録による寿命、1 日 20GB の記録、寿命は 10 年以上)」。 ③ TDK 等が提案している各メモリに均等に配分して使用しながら寿命を確保。 ④ 明確にこの SSD は、寿命は3年であると MTBF 的に表示。 ⑤ 東陽テクニカは、SSD や組み込み製品内蔵 NAND フラッシュメモリの信頼性評価や試験を容易に行える NAND フラ ッシュサイクルテスタ「NCT-100 型」を市場投入。新製品は、NAND フラッシュメモリ単体に対して、各種コマンド実行 やレスポンスタイム測定、耐久試験、不良箇所分析を実現する小型ファンクションテスタ。 ⑥ 昨年の国際放送機器展の放送用では、カセットタイプのフラッシュメモリに現在の寿命レベルを表示したり、フラッシ 9 IDEMA Japan News Vol.94 「2010 年度・HDD の業界展望」 ュメモリを記録カメラに入れると画面上に現在の寿命のレベル表示が出る方法で、表示がされている。 (4)HDD とフラッシュメモリ・SSD 応用製品の現状と今後展開(SSD)優劣は? HDD のコンシューマ応用製品は、ほぼ HDD が浸透し、それに加えてフラッシュメモリが徐々に HDD の低い容量には置き 換わっている。そのため、1.0 や 1.3 インチ HDD は生産中止となった。HDD とフラッシュメモリ・SSD は、お互いの特徴を生 かし、棲み分け・共存するものと思われる。表6に分野別コンシューマ製品の HDD、フラッシュメモリ・SSD の使用状況と 容量、市場規模、今後方向を示す。また、表7には、昨年末に新聞・インターネットで発表された製品の価格と容量を GB 当たりに直して一覧表にしたもので、現状では若干の前後はあるが、大体の価格比の目安は、フラッシュメモリ・SSD: HDD=30:1 である。 表6 分野別コンシューマ製品のHDDとフラッシュメモリ・SSDの現状と今後 分野名 製品名 HDD フラュシュメモリ SSD HDD パソコン コンシューマ 市場規模(台) 今後の見通し 5~6 億 10%の成長 PC 500GB 42000 万 増加 デスクトップ 320GB 15000 万 減少 ノート PC 320GB 512GB 28000 万 増加 ネットブック 160GB 16GB 増加 超小型 PC 160GB <128GB 増加 ミニパソコン 160GB 32GB 増加 液晶 TV 内蔵 500GB DVD&HDD レコーダー 増加 2TB ワンセグ STB 20000 増加 8GB 増加 120GB ホームサーバー 2TB 携帯サーバー 500GB 増加 4800 万世帯 世界は約 10 億世帯 増加 デジカメ 8GB 一眼レフ 32GB 携帯電話 32GB 120000 10%の成長 スマートフォン 32GB 15000 万 増加 音楽プレーヤー 120GB オーディオコンポ 500GB ホームシアター 500GB デジタル録音機 37GB 12000 万 横ばい 微増 32GB 横ばい 64GB 微増 10000 万 横ばい 16GB 微増 ラジオ付 IC レコーダー 8GB 微増 フォトフレーム 8GB 増加 ドライブレコーダー 8GB 増加 ゲーム機 120GB 増加 カーナビゲーション 80GB 32GB 地デジ 120GB 32GB ビデオムービー 240GB 8GB 増加 増加 32GB 1500 万 USB 2TB 外付けメモリ 2TB 64GB 8000 万 増加 500GB 64GB 数億台 増加 iVDR 64GB 横ばい 増加 10 IDEMA Japan News Vol.94 「2010 年度・HDD の業界展望」 プロジェクタ内蔵デジカメ 増加 ドアホンメモリ 業務用 80GB 増加 電子書籍 新規 ホーム医療診断 新規 監視カメラ 放送機器 2GB 5TB 増加 レンタルビデオ 160GB 64GB 増加 企業サーバー 数 10TB 100TB 増加 データーセンター 数百 TB 100TB 増加 デジタルサーネージ 1TB 128GB 増加 リムーバブル 80GB 128GB 増加 カメラ 80GB 128GB 増加 数 10TB 500GB 増加 64GB 増加 サーバー SD カード・メモリステック iVDR 500GB 64GB 増加 表7 HDDとフラッシュメモリ・SSDのGB当たりの価格比較(2009年末現在) 会社名 エレコム インテル バッファロー 種類 SSD SSD USB・SSD USB3.0(HDD) サンディスク アイ・オー・データ CF(90Mbps) SATA 2.5 型 SSD 外付け HDD 容量(GB) 価格(円) 円/GB 64 22,800 356.2 128 41,800 326.5 80 225 ㌦ 2.81 ㌦(255.7) 160 440 ㌦ 2.75 ㌦(250.2) 32 10,600 331.2 64 21,000 328.1 128 37,000 289.0 1000 20,000 20.0 1500 25,300 16.9 2000 46,600 23.3 16 34,800 2175.0 32 59,800 1868.8 64 69,800 1090.6 64 24,800 387.5 128 47,800 373.4 256 85,800 335.2 120 2,000 16.7 160 2,430 15.2 320 4,980 15.5 500 5,980 11.9 4,270 8.5 3,900 7.8 640 6,280 9.8 1000 8,800 8.8 6,460 6.5 13,500 9.0 1500 11 IDEMA Japan News Vol.94 「2010 年度・HDD の業界展望」 以上から、HDD 対フラッシュメモリ(SSD)との優劣に関しては ① 価格と使用用途、容量、応用分野によって棲み分けし、特にパソコンの基本動作部分には SSD を、大容量の保存に は HDD と両方を取り入れた機種が増加し、また HDD は大容量向けに、フラッシュメモリ・SSD は、中容量以下に採用と なると思われる。 ② 各アプリケーションに応じて、一部 SSD が導入されるが、全量にはならない。 ③ HDD の出荷台数そのものは、経済の回復に従い、二桁の成長を継続するものと思われる。その内、SSD の割合は、 5~7%程度と推測される。 ④ ペーパレス社会になればリムーバブルストレージが多く出るものと思われ、リムーバブルの iVDR や USB 型 HDD やフ ッシュメモリが増えてくるものと思われる ⑤ データセンター、デジタルサイネージ、ホームサーバー、外付け HDD は益々増加するものと推測できる。 ⑥ フラッシュメモリ(SSD)の寿命に関しては、今後、寿命残存時間表示とアラームにより更に書き換え時期を示される製 品が出てくるともの思われる。 8 まとめと今後の展望 2010年度は、昨年の初めに比べれば、まだ先が期待される年頭となった。勿論、経済状況はまだ先が読めなく、第2 不況の底が来るともいわれているが、幸いに今年度は GDP 成長率もプラス方向であり、先進国(日欧米)の足取りは2% 前後と鈍いが、BRICsと言われる中国、インド、ブラジル(ロシアは少し遅れ気味だか高い成長は望める)はしっかりして いて、6~10%の成長率が見込まれている。また、アフリカの高成長も(6%台)見逃せない。更に、中間層が中国・イン ド・新興国で約8.8億人いると言われており、2016年に夏季オリンピック開催が決まったブラジルも人口2億人で、中間 層を含めると今後が楽しみな国であるあり、コストがらみで潜在需要が期待される。 幸いに、HDD 業界は、大幅な減少を見込んでいたが、低価格パソコン「ネットブック」やマイクロソフトの「ウインドウズ7」 の発売に刺激されて、2009年度は5億5,900万台見込みである。また、2010年度は6億2,472万台、2011年度は7 億8,865万台と予測している。 今後の製品としては、データセンター、デジタルサイネージ(電子看板)、電子書籍、ホームサーバー、外付け HDD、監 視カメラシステムは益々増加するものと推測できる。また、車の再度の需要回復(中国は、新車販売が 2009 年度 1364 万 台で世界トップ)により、車載製品も増え(車市場は1億6千万台で、今後は増加の見込み)、これに付随したカーナビゲー ションや車載サーバー、HDD 内蔵インターネットテレビなどが期待できる。 HDD とフラッシュメモリ・SSD に関しては、その特徴を生かして棲み分けするものと思われる。特に、コストと用途に応じ て、動作部分は処理速度の早い SSD へ、大容量は HDD へ保存のシステムになっていくと思われる。SSD の数量は、具 体的には読みにくいが、大体 HDD の二桁成長に対して、HDD の5~7%を占めると予測する。SSD に寿命に関しては、 放送業界が今年より採用しようとしているメモリまたはカメラへ装着時に寿命レベル表示されることがコンシューマでも必 要である。 増え続ける情報量に対して、HDD の面記録密度の絶え間なる向上は重要で、殆どが垂直磁気記録方式に変わってい る現在、更に DTM や BPM、熱アシスト方式などを交えた新技術の開発・実用化で当面1Tb/in2、さらに 5 Tb/in2、10 Tb/in2 への技術開発を期待したい。 参考資料 *1) “2010 年総予側・未来年表” 週刊「ダイヤモンド」2009 年 12 月 26 日・2010 年 1 月 2 日号 *2) 三浦義正, “磁気記録技術の今後” DISKCON JAPAN 2009(東京コンベンションセン品川),7 月 21 日開催 *3) 堀内義章,“HDD の業界動向”日本磁気学会,Vol.3,No.11,pp. 511,Nov.2008 *4) 堀内義章,“HDD/SSD の市場・業界展望”電子ジャーナル社セミナー SSD との棲み分け図る HDD★徹底解説 2009, 2009 年 9 月 16 日開催 12 IDEMA Japan News Vol.94
© Copyright 2026 Paperzz