2004年9月 - 株式会社SCREENホールディングス

特 集 業績拡大を目指すメディアテクノロジーカンパニー
Management View
CTP関連機器とデジタル印刷機で、業績拡大を目指す
メディアテクノロジーカンパニー
Q:事業全体をけん引するCTP関連機器をどのように
創業期から大日本スク
リーンをけん引してきた
画像情報処理機器事業。
印刷物作成作業の急速な
デジタル化により、工程
の短縮・合理化が進み、
機器のダウンサイジング
や価格下落から損益面で
厳しい状況が続いていま
したが、CTP(Computer
to Plate)関連機器の好
常務執行役員
調などにより、2002年3月
メディアテクノロジーカンパニー社長
期に同事業の業績は大幅
森野 富次
に改善し、2003年3月期
に続き2004年3月期も安定した収益をあげています。同
事業を陣頭指揮するメディアテクノロジーカンパニーの
森野富次社長に最近の取り組みについて尋ねました。
位置づけられていますか。
森野:デジタル化の流れを受けて、印刷工程の上流にあ
たる企画・デザインなどの印刷前工程がデジタル化さ
れ、ほとんどの作業がパソコン上で行われるようになり
ました。ところが、印刷そのものは今でもアナログ方式*
が主流です。
CTPは、前工程でつくられたデジタルデータを、フィ
ルムに出力する工程を省き、プレート出力機によってコ
ンピューターから印刷版(プレート)に直接出力する方
式で、前工程のデジタルと印刷のアナログとの橋渡しの
役割を担っているといえます。このCTPは、工程短縮、
コストダウンに加え印刷品質の向上に効果があり、CTP
へのニーズはまだまだ続くものと思われます。現在、プ
レート出力機は世界で1万8千台が稼動中で、昨年だけ
でも4千5百台出荷されました。当社は、OEM*を含める
と、一昨年、昨年ともに、年間出荷台数では世界トップ
シェアを獲得していると考えています。
Q:印刷を取り巻く市場環境からお聞かせください。
Q :先頃、世界最大の印刷機材展「drupa 2004」が
森野:デジタル化の進展によって、印刷は大きな工程変
化を余儀なくされました。かつて9兆円といわれた国内
印刷関連市場は、現在7兆円規模となっています。しか
し、7兆円といいますと、現在のFPD(フラットパネル
ディスプレー)の世界市場規模とほぼ同じですから、ま
だまだかなり大きな市場といえます。また、海外市場を
みると、欧州は比較的安定した状況が続いており、米国
では好調が続いています。最近では中国を中心としたア
ジアが次第に活況を呈してきました。
開催されましたが、当社製品の反響はいかがでしたか。
森野:「drupa(ドルパ)」は、4年に1度ドイツで開催
されますが、今回、当社からは大サイズプレート出力機
「PlateRite Ultima( プ レ ー ト ラ イ ト・ア ル テ ィ マ )
16000」をはじめとするCTP関連機器や4色フルカラーの
デジタル印刷機「TruePress(トゥループレス)344」など
を出品しました。当社の製品は会場を訪れた世界の印刷
関連会社の注目を集め、開催期間中にプレート出力機は
期待通りの受注を獲得し、またデジタル印刷機もその高
1
代化が進んでいます。当社は、中国・杭州にCTP関連機器
などの製造を手がける100%子会社を設立し、10月から
操業を開始します。これは大日本スクリーンの中国市場
に対するコミットメントを示す良い機会であると考えて
います。中国の印刷関連企業は16万社を超えるといわれ、
当社のフィルム出力機*が今も毎年多数販売されています。
今後は、フィルム出力機に加えCTP関連機器やデジタル印
刷機の需要も見込めます。中国・杭州の生産子会社で製造
した機器は、中国市場での販売を基本にし、当社は中国で
の生産、販売、保守サービスの一貫体制を整えていきます。
「drupa 2004」当社ブースに展示された
4色フルカラーデジタル印刷機
「TruePress 344」
(左)
大サイズプレート出力機
「PlateRite Ultima 16000」
(右)
Q :画像情報処理機器事業を、今後どのように位置づ
品質と高生産性から大きな反響を呼びました。
さらに、海
外企業から技術協力の依頼なども数多く寄せられました。
けられますか。
森野:この事業は、創業期から大日本スクリーンの根幹
をなすものでした。半導体やFPDの製造装置も画像情報
処理機器事業で蓄えられた技術がベースとなっていま
す。画像情報処理機器事業そのものは、かつてに比べる
と売上高は大きく減少しましたが、最近の5年間では
500億円規模で安定しています。市況に大きな山谷が少
なく、安定した収益を見込める事業となってきており、
今後はさらに拡大の方向に持っていきたいと考えていま
す。そのためには、製品のコストダウンやリードタイム*
の短縮は当然ながら、納入時期が明確なOEMビジネスの
活用などで、受注を見込んだ計画製造に取り組むことに
より生産コストの引き下げを図ります。また、CTP関連
機器やデジタル印刷機などの装置に加え、プレートなど
の消耗品の販売比率も高めていきたいと考えています。
Q :CTP関連機器に続く戦略製品としてデジタル印刷
機に期待が寄せられていますが。
森野:印刷・製版という市場の中で、大日本スクリーン
がこれまで製品を供給してきたのは製版関連機器が中心
でした。しかし、CTPによって印刷とのかかわりが本格
化したといえます。印刷の市場が縮小しているとはいえ、
個人が使うインクジェットプリンターなども加えると、
紙への出力に対する需要は決して衰えていません。その
中で、当社のデジタル印刷機の開発は、高品質な出力へ
の私たちのこだわりを形にしたものです。今後は、印刷
性能・品質・価格において従来の印刷機と遜色のないデ
ジタル印刷機の実現を目指しています。印刷機の世界市
場は、1兆円といわれています。デジタル印刷機でその
10%を確保できれば1,000億円、1%でも100億円とい
う大きな市場が期待されます。
用語解説
アナログ方式:情報の信号を符号化して記録するデジタル方式に対し、符号化せず
連続した情報として記録する従来型の情報伝達方式。
OEM:Original Equipment Manufacturingの略。相手先ブランドで販売される製
品を製造し、相手メーカーに供給すること。
フィルム出力機:製版フィルムにレーザーで像を描く装置。この像をアルミ板に転
写すると印刷版になる。
リードタイム:生産(設計を含む)を開始してから出荷するまでに要する日数。
Q :中国で生産子会社を開設しましたが、これはどの
ような狙いからでしょうか。
森野:中国は経済の発展に伴い、印刷関連でも急速な近
2
液晶ディスプレー製造装置の大型化と
受注増に対応する オン・サイト・クミタテ
「コストダウン」や「リードタイムの短縮」など、製造
業は厳しい課題への対応を求められると同時に、市場ニー
ズに対応し、いかに早く効率的にお客さまに満足してもら
える製品を提供できるかが問われています。今回は液晶デ
ィスプレー製造装置の生産工程で導入している当社独自
の直接出荷方式 オン・サイト・クミタテ にフォーカス
し、生産現場における当社の競争力の源泉を探りました。
オン・サイト・クミタテ
●従来の生産方式
協力企業
お客さまの工場
A社
B社
C社
組み立て
●直接出荷方式
調整、検査後分解
再組み立て
オン・サイト・クミタテ
協力企業
とは
最終調整、検査
お客さまの工場
A社
当社の液晶ディスプレー製造装置の生産方式は、協力
企業*で製造した製品ユニット*を当社の工場内に搬入
し、一度組み立て、調整、検査を行った後、輸送のため分
解して出荷し、
お客さまの液晶パネル工場で再度組み立て、
調整、検査を行い、お客さまに引き渡すのが通常でした。
ところが、1999年10月に発売した第4世代*ガラス基
板対応の液晶ディスプレー製造装置「750シリーズ」が
好評を博し、当社製品の市場シェアが向上し、多くの受
注を獲得できたことに加え、世代が進み装置サイズが大
きくなったため、生産リードタイムの短縮や当社工場の
生産能力の増強といった観点から、これまでの生産方式
を見直す必要がでてきました。
そこで、当社が取り組んだのが オン・サイト・クミ
タテ です。これは、製品ユニットを協力企業から当社
の工場には搬入せずに、お客さまの液晶パネル工場(サ
イト)に直接出荷し、そこで製品に組み立てる方式です。
従来当社の工場内で行ってきたユニットの組み立て、調
整、検査、分解の工程が省けるため、「コストダウン」、
「リードタイムの短縮」に効果があり、「生産スペースの
有効活用」も図れます。
B社
C社
組み立て
最終調整、検査
しかしながら、当社工場での組み立てを行わず、協力
企業からの直接出荷を実現するためには、今まで当社の
工場で行っていた厳格な出荷検査に合格できる完成度の
高いユニットを協力企業で製造しなければなりません。
そこで、協力企業を1社ずつ訪問しご協力をお願いする
と同時に、調整、検査項目のチェックシートなどを整備
し、各工程の作業内容と作業範囲を明確に示したり、検
査に必要な工具を提供するなど、品質を守るために必要
な対策を講じていきました。このような取り組みの結果、
2003年3月期の上期に「750シリーズ」のコータ・デベ
ロッパ*で初めての オン・サイト・クミタテ を実現
しました。
拡大する
オン・サイト・クミタテ
コータ・デベロッパは液晶パネル生産工程において同
様の処理を繰り返して行う装置ですので、通常は同じ仕
3
くことで、厳しい品質基準を意識して完成度の高いユニ
ットを製造するようになったからです。これを実現する
ために当社は、協力企業に対して研修を行うとともに、
担当者を派遣して、当社の基準に適合させるために細か
く指導を行いました。当社が定める検査基準に合格した
協力企業には認定盾を授与するなど、啓蒙活動にも取り
組みました。こうした取り組みと協力企業のご協力によ
って、完成度の高い製品ユニットをお客さまの所に直接
出荷できるようになり、装置組立から調整、検査がスム
ーズに行われています。
こうして当社の生産能力そのものが向上し、大型装置
の受注増加への対応が着実に強化されました。
様の装置を5台〜10台まとめて受注します。そのため、
最初の1台だけは、装置のソフトウエアを確認するため
当社の工場内で組み立て、調整、検査を行いますが、残
りの装置については仕様が同じであるため、比較的効率
良く オン・サイト・クミタテ を進めることができま
した。開始して2年目となる2004年3月期では、出荷し
たコータ・デベロッパのうち約75%を オン・サイト・
クミタテ で対応することができました。
一方、液晶ディスプレー製造装置のもう1つの主力機
種であるウェット処理装置*は、製品ごとに仕様が大き
く異なるため、 オン・サイト・クミタテ が難しいと
考えられていました。
しかし、コータ・デベロッパの幸先の良い成功により、
ウェット処理装置でも「やればできるはず」という気運
が高まり、自主的なワーキンググループがスタートしま
した。
コータ・デベロッパで実績を積んだ成功手法を取り
入れ、ウェット処理装置でも協力企業にご協力を呼び
かけた結果、コータ・デベロッパから1年遅れて、2004
年3月期からウェット処理装置でも オン・サイト・ク
ミタテ を開始し、出荷台数のうち約50%を オン・
サイト・クミタテ で対応することができました。
オン・サイト・クミタテ の導入効果をリードタイ
ムでみると、設計後の部品調達から出荷までの ものづ
くり の期間がコータ・デベロッパでは、約40日間、ウ
ェット処理装置では約20日間短縮できました。また、調
整、検査工程の大幅なコスト削減に加え、当社工場への
搬送時に必要とされてきた梱包材などが不要となり、環
境負荷の低減でも成果を挙げました。
今後の展開
液晶ディスプレー製造装置は、ガラス基板の大サイズ
化に伴い、装置が巨大化しています。すべての製品を工
場で組み立てるという従来の方法は、物理的にも難しく、
オン・サイト・クミタテ がよりふさわしい生産方式と
いえます。リードタイムの短縮とコストダウンが図れる
オン・サイト・クミタテ は、当社液晶ディスプレー製
造装置のシェアアップに大きな貢献を果たしています。
このように当社は、液晶ディスプレー製造装置におけ
る高い市場シェアを不動のものにするため、技術面の優
位性に加え、トータルでの競争力をこれまで以上に強め
ていきます。
用語解説
協力企業:装置を効率的に製造するため、ユニットごとの製造協力を行う外部会社。
一定の技術水準と品質保証が求められる。
ユニット:装置の分割単位。
第4世代:液晶パネルの元となるガラス基板のサイズは、世代に区別して表記され
る。第4世代は680×880〜730×920ミリ。
コータ・デベロッパ:ガラス基板やウエハにフォトレジスト(感光剤)の塗布や現
像処理を行う装置。
ウェット処理装置:水や薬液などで洗浄やエッチングなどを行う装置。
カギは製品ユニットの完成度
オン・サイト・クミタテ の成果としては、工程短
縮に加え、装置そのものの完成度が高まったことも挙げ
られます。当社工場で行われてきた調整、検査工程を省
4
高まり、1999年には
25.5%だったウェットステ
ーションのシェアを大幅に
伸ばすことができました。
さらに、300ミリウエハ対
応ウェットステーションだ
けで見ると、60〜70%程
度のシェアを獲得している
コータ・デベロッパ「RF 」
と推定しています。
一方、枚葉式洗浄装置*をはじめとするウェットステ
ーション以外の洗浄装置においても、300ミリウエハ対
応のスクラバ「SS-3000」やスピンプロセッサ「MP3000」、ポリマ除去装置「SR-3000」が国内メーカー向
けに売上を伸ばし、前年の2位からトップシェアを獲得
しました。
コータ・デベロッパのシェアは、2002年に8.1%まで
低下したものの、2003年には既存製品の売上増加によ
り12.5%にまで回復しました。現在、1時間にウエハ
150枚の高速処理を可能にした新製品「RF 3(アール・
エフ・キューブ)」により市場シェアのさらなる上昇を
図っています。
株主の皆さまから寄せられた
ご質問にお答えします。
3
「大日本スクリーンの主要製品の市場シェアを
教えてください」
(大阪府、60歳 男性)
半導体製造装置におけるウエハ洗浄装置、液晶ディス
プレー製造装置におけるコータ・デベロッパ、画像情報
処理機器におけるプレート出力機など、当社は多くの製
品において世界トップシェアを保有しています。ご質問
いただいた主要製品の市場シェアに加え、その背景につ
いてご説明します。
さらにシェア拡大を目指す半導体製造装置
半導体製造装置における当社の主力製品は、ウエハ洗
浄装置とコータ・デベロッパです。特に洗浄装置のシェ
アが高く、複数枚のウエハを一度に液体に浸して洗浄す
るウェットステーションの2003年における市場シェア
は、42.1%と前年比5.5ポイント上昇し、トップシェア
を維持しています。
当社は半導体の生産
効率を求めるお客さま
の要望に応えるため、
300ミリウエハ対応ウ
ェットステーション
「FC-3000」を他社に先
駆けて市場に投入し、
大手の半導体メーカー
からいち早く受注でき
たことで装置の評価が 300ミリウエハ対応ウェットステーション「FC-3000」
大型ガラス基板に対応してトップシェアを維持する
液晶ディスプレー製造装置
液晶ディスプレーは、テレビ、パソコン用モニター、
携帯電話、携帯情報端末など幅広い分野で需要が伸びて
います。当社は液晶パネルメーカーが求めるパネルの低
価格化を実現するため、大型ガラス基板対応の装置開発
にいち早く取り組み、1999年10月にリリースした第4世
代ガラス基板対応の液晶ディスプレー製造装置「750シ
リーズ」で一気にマーケットシェアを獲得しました。そ
の後、第5世代、第6世代とガラス基板の大型化はさらに
加速し、それぞれの大型ガラス基板に対応したコータ・
デベロッパ「SK-1100G」
「SK-1500G」を開発、販売し、
5
●半導体製造装置の世界市場シェア
(暦年2003年)
ウェットステーション
コータ・デベロッパ
12.5%
42.1%
57.9%
ウェットステーション
以外の洗浄装置(枚葉式など)
33.3%
66.7%
87.5%
(出所:ガートナー データクエスト(2004年4月)GJ04439)
■スクリーン
(当社推定)
●第4世代以上のTFT LCD*製造装置の
世界市場シェア(2004年3月期)
コータ・デベロッパ
ウェットエッチング装置
57%
54%
(当社推定)
□その他
レジスト剥離装置
46%
43%
第5世代ガラス基板対応の
コータ・デベロッパ
「SK-1100G」
49%
51%
(当社推定)
■スクリーン
●プレート出力機の国内市場
シェア(2004年3月期)*OEMを除く
(当社推定)
□その他
42.1%
57.9%
(当社推定)
■スクリーン
□その他
OEM製品を含めると推定で約30%に達しており、トッ
プシェアを獲得していると考えています。
2004年3月期の市場シ
ェアは第4世代以上の
大型ガラス基板対応コー
タ・デベロッパで57%と推定し
ています。またコータ・デベロッパ以外
でも、ウェットエッチング装置*で46%、レジス
ト剥離装置*で49%とトップシェアを保有しています。
さらなる市場シェアの拡大へ
当社は、連結中期3ヵ年経営計画の目的である安定し
た収益基盤づくりを達成するため、各製品群においてさ
らなる市場シェアの拡大を目指しています。
年々性能が向上する半導体製造装置では効率的な開発
を目指し、共同研究・開発などの積極的な戦略的提携を
実践し、液晶ディスプレー製造装置では液晶パネルの大
型化に迅速に対応するとともにリードタイム短縮とコス
トダウンにも積極的に取り組んでいきます。また、市場
の拡大が続く中国市場においては、杭州に開設したプレ
ート出力機の生産子会社に加え、各事業ごとに販売・保
守サービス網を拡充するなど、意欲的な展開を進めてい
ます。
世界No.1シェアのプレート出力機
印刷業界では、製版フィルム工程を省いて印刷データ
をプレート出力機により直接印刷版(プレート)に出力
するCTPの普及が進んでいます。当社は大サイズ
(2.38×1.28メートル)からA4サイズ2ページまでのプ
レートサイズに対応するプレート出力機「PlateRite」シ
リーズをラインアップし、着実に市場シェアを伸ばして
います。
プレート出力機の
2004年3月期における
シェアは、国内では
57.9%とトップの地
位を占めていると認
識しており、また、
世 界 市 場 に お い て も プレート出力機「PlateRite 8800」
用語解説
枚葉式洗浄装置:ウエハを1枚ずつ処理する洗浄装置。
TFT LCD:Thin-Film Transistor Liquid Crystal Display(薄膜トランジスタ液晶
ディスプレー)の略。
ウェットエッチング装置:露出した薄膜を薬液で腐食し、回路を刻み込む装置。
レジスト剥離装置:マスクの役目を終えたレジスト(感光)膜を薬液で除去する装置。
6
2,566億5千7百万円と前期末に比べて161億4千5百万円
増加しました。
一方、株主資本は、四半期純利益による利益剰余金の
増加や、転換社債型新株予約権付社債などの転換による
資本金および資本剰余金の増加などにより、829億9千8
百万円と前期末に比べて55億6千4百万円増加しました。
以上の結果、株主資本比率は32.3%と前期末に比べて
0.1ポイント上昇しました。
キャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動
によるキャッシュ・フローは、売上債権および棚卸資産
の増加が、税金等調整前四半期純利益および仕入債務の
増加を大きく上回り、65億3千2百万円の支出となりま
した。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産
の取得などにより1億5千万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金や
コマーシャルペーパーの発行による資金調達を行った結
果、70億9千2百万円の収入となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当第1四半期末残
高は前期末残高に比べて4億8千4百万円増加し、324億5
千4百万円となりました。
第1四半期決算のご報告
2004年8月16日に発表しました2005年3月期第1四
半期(2004年4月1日〜6月30日)の財務・業績の概況
(連結)につきまして、以下のとおりご報告いたします。
【経営成績(連結)】
当社の第1四半期における連結売上高は、571億1千2
百万円と前年同期に比べて247億9千万円増加しました。
また、売上の増加に伴い、営業利益は前年同期に比べて
73億6千2百万円改善し53億8千8百万円となり、経常利
益は53億1千4百万円(前年同期比75億8千2百万円改
善)、四半期純利益は45億6千8百万円(前年同期比73億
7千5百万円改善)となりました。
セグメント別の業績では、電子工業用機器部門につき
ましては、デジタル家電やパソコンの需要が好調に推移
したことから、半導体メーカーや液晶パネルメーカーが
積極的に設備投資を行い、当社の半導体製造装置は各主
要製品群において、またFPD製造装置は第5世代ガラス
基板対応のコータ・デベロッパを中心に、それぞれ前年同
期に比べ売上を大幅に伸ばしました。以上から、当セグメ
ントの連結売上高は449億4千5百万円と前年同期に比べ
231億1千2百万円増加し、営業利益は52億7千7百万円
と前年同期に比べ69億9千4百万円の改善となりました。
画像情報処理機器部門につきましては、品質の向上や
工程短縮に向けたデジタル化投資が進み、当社のCTP
(Computer to Plate)関連商品の売上は堅調に推移し、
当セグメントの連結売上高は119億2千7百万円と前年同
期に比べ18億6百万円増加し、営業利益は1億2千万円と
前年同期に比べ4億2千2百万円の改善となりました。
【業績予想】
2005年3月期の連結・単独の業績予想につきまして
は、2004年8月9日に以下の修正予想を発表しており、
今回の第1四半期財務・業績の概況(連結)発表時には、
業績予想の見直しは行っていません。
●2005年3月期(2004年4月1日〜2005年3月31日)の連結業績予想
売上高
経常利益
当期純利益
中間期
1,230億円
77億円
66億円
通 期
2,510億円
164億円
144億円
●2005年3月期(2004年4月1日〜2005年3月31日)の単独業績予想
売上高
経常利益
当期純利益
中間期
1,020億円
65億円
61億円
通 期
2,130億円
136億円
128億円
【財政状態(連結)】
総資産は、売上債権や棚卸資産の増加などにより、
7
財務諸表
連結貸借対照表
科 目
(資産の部)
流動資産
現金及び預金
受取手形及び売掛金
棚卸資産
その他
固定資産
有形固定資産
建物及び構築物
機械装置及び運搬具
土地
その他
減価償却累計額
無形固定資産
投資その他の資産
投資有価証券
その他
資産合計
(単位:百万円未満切捨)
第1四半期
2004年3月期
2004年6月30日現在 2003年6月30日現在
2004年3月31日現在
181,704
32,663
82,716
60,572
5,752
74,953
35,151
53,718
40,562
9,404
9,549
△ 78,084
649
39,152
31,133
8,018
256,657
149,281
34,352
61,731
48,565
4,631
69,846
37,714
54,368
40,987
9,478
9,674
△ 76,794
738
31,393
21,671
9,721
219,127
連結損益計算書
科 目
売上高
売上原価
販売費及び一般管理費
営業利益又は営業損失
(△)
営業外収益
営業外費用
経常利益又は経常損失
(△)
特別利益
特別損失
税金等調整前四半期(当期)純利益又は
税金等調整前四半期純損失(△)
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
少数株主利益又は少数株主損失(△)
四半期
(当期)
純利益又は
四半期純損失
(△)
科 目
(負債の部)
流動負債
支払手形及び買掛金
短期借入金
一年以内返済予定の長期借入金
一年以内償還予定の社債
一年以内償還予定の転換社債
コマーシャルペーパー
その他
固定負債
社債
転換社債
新株予約権付社債
長期借入金
退職給付引当金
その他
負債合計
少数株主持分
(資本の部)
資本金
資本剰余金
利益剰余金
その他有価証券評価差額金
為替換算調整勘定
自己株式
資本合計
負債、少数株主持分及び資本合計
165,505
32,128
73,579
53,011
6,786
75,006
35,627
53,534
40,467
9,396
9,382
△ 77,153
653
38,725
30,403
8,322
240,512
第1四半期
2004年3月期
2003年4月1日から
2004年3月31日まで
191,939
135,405
46,950
9,599
1,356
5,644
5,311
591
2,070
4,893
411
△ 125
38
△ 2,697
163
△ 59
4
3,833
1,244
△ 2,164
△ 97
4,568
△ 2,806
4,850
2004年3月期
2004年3月31日現在
124,424
54,731
39,010
8,283
−
5,214
4,000
13,185
48,645
11,000
−
20,478
6,142
10,321
704
173,070
588
117,440
29,294
41,820
14,739
15,000
−
4,500
12,086
56,921
1,000
20,000
13,429
13,474
8,366
651
174,362
653
113,771
48,736
33,980
8,283
−
5,936
1,000
15,833
48,749
11,000
−
20,808
6,355
9,859
726
162,520
557
48,698
24,830
9,398
6,599
△ 6,330
△ 198
82,998
256,657
37,329
15,522
△ 4,143
913
△ 5,418
△ 92
44,111
219,127
48,172
26,365
3,513
6,116
△ 6,541
△ 192
77,434
240,512
連結キャッシュ・フロー計算書
(単位:百万円未満切捨)
2004年4月1日から 2003年4月1日から
2004年6月30日まで 2003年6月30日まで
57,112
32,321
39,288
23,157
12,438
11,144
5,388
△ 1,974
750
418
823
711
5,314
△ 2,268
0
−
422
429
第1四半期
2004年6月30日現在 2003年6月30日現在
(単位:百万円未満切捨)
第1四半期
科 目
2004年4月1日から 2003年4月1日から
2004年6月30日まで 2003年6月30日まで
営業活動によるキャッシュ・フロー △ 6,532
402
投資活動によるキャッシュ・フロー
△ 150
61
財務活動によるキャッシュ・フロー
7,092
5,120
現金及び現金同等物の期末残高
32,454
33,873
8
2004年3月期
2003年4月1日から
2004年3月31日まで
14,681
△ 82
△ 10,156
31,970
◆最近のニュースをお知らせいたします。
SCREEN'S Headline
画像としてデジタル保存します。
また、当社の「直立型大サイズ
スキャナー」は、神社の所有物
以外にも、大覚寺所蔵の重要文
化財の襖絵や祇園祭山鉾の1つ
である綾傘鉾の懸装品などさま
ざまな文化財の保存に使用され
大覚寺「桃竹図」の撮影風景
ています。
文化財の画像保存には、これまでフィルムが使われて
きましたが、長期間の保存によるフィルムの劣化が問題
となっていました。デジタル技術を使えば、半永久的に
文化財の画像を保存できます。
当社では、貴重な文化遺産の継承に寄与するために、
今後もこうした文化財の電子保存に協力していきます。
「直立型大サイズスキャナー」で
文化財の電子保存をサポート
◆当社は、京都の神社などが所有する貴重な文化財の電
子保存(デジタルアーカイブ)事業に協力することにな
りました。
現在1,572社が加盟する宗教法人京都府神社庁が財団
法人京都国際文化交流財団と共同で、各神社が所有する
構築物、神事芸能などを含む有形無形文化財を電子保存
する「京都府神社庁デジタルアーカイブ実行プロジェク
ト」を設置しました。
当プロジェクトでは、当社の「直立型大サイズスキャ
ナー」(最大4億3千万画素)を使用し、掛軸、屏風、古
文書、絵巻物、襖絵などを最新の技術を駆使して高精細
産能力の発揮、およびプロセス性能の向上を目指して開
発を続けてきたものです。
今回、相互の制御プログラムを分析することで装置間
のウエハ受け渡しにおけるタイミングのずれを解消し、
従来のウエハ搬送処理手順では困難とされていた毎時
150枚の高速処理達成が確認できました。これによって、
コータ・デベロッパと露光装置双方の生産性を最大限に
発揮させることが可能になりました。また、今回のテス
ト・評価は、実際の90ナノ*メートルプロセスに使用さ
れるコータ・デベロッパの処理条件に基づいており、製
品デバイスの生産で実現できる性能となっています。
コータ・デベロッパと露光装置間インターフェースの
最適化により、世界初の毎時150枚の高速処理を実用化
◆当社は、2004年7月に世界的な半導体露光装置*メー
カーであるASML Holding NV社(本社:オランダ・フ
ェルトホーヘン市)との協同開発によって、当社のコー
タ・デベロッパとASML社の露光装置を接続した状態
で、毎時150枚のウエハの高速処理達成を世界で初めて
確認しました。
これは、当社が2003年11月にASML社と協同研究を
行うことで合意し、当社の300ミリウエハ対応のコー
タ・デベロッパ「RF 3 (アール・エフ・キューブ)」を
ASML社の開発センターに設置し、同社の露光装置と接
続させ、一体化した統合システムとして稼動させるイン
ターフェースの最適化によって、個々の装置が有する生
用語解説
露光装置:フォトレジストを感光させることで基板上に回路を焼き付ける装置。
ナノ:1ナノ=10億分の1。
9
ムマスク用汎用ポジレジストに対応するため、独自の描
画方式に加え、新たに微小変調器*を採用し、高品質な
描画(当社比)を実現するとともに、光源に低価格で長
寿命のバイオレットレーザーダイオード*を世界で初め
て採用するなど、ランニングコストを低減したコストパ
フォーマンスの高い装置になっています。
また、プラズマディスプレー用など、より大きなサイ
ズのフォトマスクに対応するためのカスタマイズも可能
です。
大型フォトマスクに対応した
高画質平面型レーザープロッタ−を発売
◆当社は、FPDやプリント配線板などの電子部品業界向
けに、クロムマスク*を高品質に描画する平面型レーザ
ープロッタ−*「VIOLD(バイオルド)」を2004年9月
から販売しました。
「VIOLD」は、需要が急激に伸びている液晶やプラズ
マなどの平面ディスプレーをはじめ、ICパッケージ基板
や高密度プリント
配線板などの原版
となるフォトマス
クを描画する高精
度平面型レーザー
プロッタ−です。
特に大サイズとし
て期待されるクロ
用語解説
クロムマスク:フォトマスクの1種で、ガラス板上にクロムで回路パターンが描か
れたもの。高精細な回路に適している。
平面型レーザープロッタ−:平面上で回路を描画する装置。平面以外にはドラムタ
イプのものがある。
微小変調器:レーザー光を微小な角度に偏向させる素子を使った変調器。
バイオレットレーザーダイオード:波長405ナノメートルのレーザーダイオード
(発光ダイオードに光導波路や反射鏡を組み込んだ素子。電流を流すことにより位相
のそろった直進性に優れた強い光を出す)。DVDプレイヤーなど最新のデジタル機器
にも採用されている。
情報提供の手段となっています。当社といたしましては、
引き続き「IR情報」サイトの一層の充実を図ってまいり
ます。
当社ホームページの「IR情報」サイトを充実
◆株主や投資家の皆さまに開示するIR情報の充実を図る
ため、当社のホームページ内の「IR情報」サイトを一部
リニューアルしました。
社長のメッセージを掲載した「株主の皆さまへ」およ
びアナリスト・機関投資家対象の決算説明会資料を掲載
している「IRイベント」を新設しました。また、「IR資
料室」においては、新たに有価証券報告書やSCREEN
NOW(株主通信)をダウンロードしていただけます。
インターネットの普及により、ホームページは、有効な
当社ホームページ「IR情報」
(http://www.screen.co.jp/ir/index.html)
10
アニュアルレポート2004と
インベスターズガイド2004を発行
2004年3月期のアニュアルレポートを発行しました。
アニュアルレポートは英文の年次報告書で、社長メッセ
ージ、営業活動報告、財務諸表などを掲載しています。
当社では日本語訳版もあわせて制作しています。また、
当社の財務データを中心にまとめたインベスターズガイ
ドも同時に発行しています。
これらをご希望の方は、添付されているアンケートは
がきに、株主番号、郵便番号、住所、氏名、職業をご記
入の上、「IR資料希望」と明記いただき、お申し込みく
ださい。
アニュアルレポート
2004
インベスターズガイド2004
株価および出来高の推移
株価チャート(円)
月別売買高(千株)
1,100
50,000
1,000
45,000
900
40,000
800
35,000
700
30,000
600
25,000
500
20,000
400
15,000
300
10,000
200
5,000
100
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1112 1 2 3 4 5 6 7
2000
2001
2002
2003
2004
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1112 1 2 3 4 5 6 7
2000
2001
2002
2003
2004
「SCREEN NOW」
(株主通信)は、当社の「ヒラギノフォント」を使用し、デジタル印刷機「TruePress 544」で印刷しております。
SCREEN NOW No.52 季刊(発行は3月、6月、9月、12月) 発行日:2004年9月30日
発行:大日本スクリーン製造株式会社 IR室 〒602-8585 京都市上京区堀川通寺之内上る4丁目天神北町 1-1 電話 075(414)
71 1 1
ホームページアドレス:http://www.screen.co.jp/ 証券コード7735
表紙写真:かじのこういち 編集制作:株式会社フィナンシャル メディア 製版:株式会社写真化学
本誌は、再生紙を使用しています。
IR-SN-52