東大 大津先生インタビュー140910HighRes

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シュプリンガー・イーブックス 著者の声
東京大学 大学院工学系研究科 電気系工学専攻 教授
大津 元一 先生
大津研究室 URL: uuu.t.u-tokyo.ac.jp/jpn
研究成果の普及を最大限化でき、復刊した名著は新刊と同様に再び活用される。
電子書籍の最大のメリットであろう
Q 新刊 Dressed Photons について教えてください
Dressed Photons:
今回の著書(図 1)は、ドレスト光子といわれる少し変わった小さな光の原理やその応用を説
Concepts of Light–
Matter Fusion
Technology
978-3-642-39568-0
2014
明しています。非常に小さな物質に光を当てると、その表面にドレスト光子と言われる、小さ
な粒のような光が出ます。ある種新しいタイプの光です。このドレスト光子を使った加工や部
品について、例えば太陽光を電気に変えるとか、LED、新しいタイプのレーザー、さらには情
報セキュリティ、つまり安全安心に使えるとか、様々な応用を説明しています。
(図 2,3)
図1
Q 多くの著書が電子書籍として出版されていますが、
どのような点を評価されますか ?
電子書籍が流通するようになって、強く感じたことがあります。通常、書籍に図を掲載します
が(図 4)、これが動画だったりアニメだったりしたら、どんなにいいだろうと思うことがありま
した。電子書籍になると、色々なタイプの資料が載せられますので、視聴者に対する情報発
信という点で非常に助けになると思います。それから、一般読者の方が書店で手に取って見
図2
るのではなく、Web でリンクを経由しどんどん利用されます。そうすると、意外な読者の方
が私達の本を見てくれることがあります。冊子体は印刷部数が限られていますが、電子版な
らば、ほとんど無限大かもしれません。世界中の多くの読者を獲得できること、それによって
私達の研究成果の普及が最大限化されるというのは、大きなメリットだと思います。
Q 過去の著書もシュプリンガー・ブック・アーカイブとして復刊しました。
図3
世の中には、古典的な名著が数あります。そういったものは探そうと思っても、国会図書館
にあるかないか、という程度です。電子版ならば非常に簡単に復刻することができます。シュ
プリンガー・ブック・アーカイブは最近できたとお聞きしました。私も何冊かシュプリンガーか
ら出版していますが、1998 年に書いたタイトルは既に絶版になっていました。これがこの間
電子版で復刻され、非常に嬉しかったです。過去の本を読みたいという人が何人もいますから。
電子書籍の普及によって、絶版だった名著と言われるものが新刊と同様の扱いで、今後再び
図4
活用されていくことも、非常に大きなメリットなのではと思います。
Q 利用者の視点から見るといかがでしょうか ?
まず、本の数が増えると荷物が重くなりますが、電子書籍になればどこにいっても、情報端
末さえあれば読めます。利便性という点、環境の変化に対応しやすいのではと思います。授
ドレスト光子が光る様子は YouTube を
ご覧ください
youtube.com/SpringerJapanVideos
業に使われる参考書や教科書に関しては、例えば先生から事前に読むようにと、その本の
URL を教えてもらえれば予習ができます。予習をするとしないとでは、授業での理解力が全
然違いますので、電子書籍を使うのは非常に大きなメリットだと思います。私は読者の立場
でもあるわけですが、若い時から非常に数多くの本を読んできました。勉強のために本を読
むということは、だいたいそこに書いてある参考書を確認して、それを図書館に探しに行き、
どんどん読み進めていくという作業があります。電子書籍の場合ですと、参考書へのリンクが
張ってありますよね。だからその場ですぐ参考書が読めることは、それだけでも読者にとって
大きな利点ではないかと思います。
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Springer eBooks 利用者の声
研究に役立つ、イーブックの効果的な使い方
「授業の関係で購入した教科書も時期が過ぎると読まなくなってしまいます。しかし、折角
買った本はなかなか捨てづらく、本棚は大量の本で溢れかえり必要な本が見つけづらくなっ
てきます。電子書籍だと整理も楽で、ダウンロードで容量が一杯になればメモリーカード等
を買い足せばいいですし、スキャナーさえあれば今まであった本も電子化できるのも助かっ
ています。最初は紙の本にこだわりを持っていましたが、今ではパソコンと並んで生活に必
要なツールの1つです。持ち運びが楽で暗所での閲覧もできるだけでなく、整理もしやすい
ので、本をよく読む人にこそお勧めしたいです!」
(高等専門学校生、化学)
「大学の研究室では、各種電子ジャーナルを頻繁に利用します。イーブックは電子ジャーナ
Name Reactions
A Collection of Detailed Mechanisms
and Synthetic Applications, 5th Edition
Li, Jie Jack
978-3-319 - 03978-7
2014
ルの延長線上にあり、実験操作や研究の最新動向、科学の知識収集に利用しています。
Name Reactions などは、Springer のイーブックの中でも最もよく利用するものの 1 つで
す。電子リソースの 1 番の利点は、単語検索が可能な点であると考えます。欲しい情報を一
瞬で探し当てることができ、非常に重宝しています。また、データのクラウド化が進む中で、
オンラインデータをブックマークしておけば、どのデバイスからでも同じ情報にアクセスでき
るのも魅力的な点だと思います。タブレット端末が 1 つあるだけで、重い冊子体を 1 冊も持
たずに研究室と同様の作業が可能になります。 さらに、大学などの機関単位で電子リソースを契約することにより、個人同士の情報共有が
容易になるという利点もあります。個人で購入した冊子体を持ち運ぶことなく、たった 1 行
の URL を伝えるだけで、一瞬にして共通の情報が得られます。 このように、電子リソースには冊子体にないスピード感があります。科学分野の研究は電子
リソースによって大きく加速しており、私も日々電子リソースによって最新情報に触れるよう
にしています。イーブックに関しては、情報量が膨大で冊子化に向かない事典など、体系的
な情報を取り扱うものについて、さらなる充実をお願いしたいと思います。」
For more details:
イーブック白書 Vol.6
日本の研究者の声をまとめました
springer.jp/librarian/files/
WhitePaper6.pdf
(大学院生、化学)
「必要な試薬の中でも物性などに関する細かい情報を探しているとき、検索機能が使えるの
ですぐに目的の情報を探し当てることができました。探したい情報がピンポイントで明確で
ある場合に、電子書籍はこの検索機能が非常に効果的なので、紙媒体よりも優れていると
感じています。」
(大学助教、サイエンス)
2014 年 3 月 ~5 月にかけ募集した体験エピソードより一部抜粋
動画で利用事例をチェック! Springer eBooks 利用者の声
SJ201408