第2章 バルク供給設備 1.バルク供給設備の定義 液石法において、「供給設備」は液化石油ガス販売の用に供する液化石油ガスの供給のため の設備(船舶内のものを除く。)及びその附属設備をいう。この中には、一般消費者が液化石油 ガスを燃料として消費する場合に必要な一連の設備の内、貯蔵設備からガスメーターまでの間 のものおよび屋根等の附属設備も含まれる。 なお、供給設備のうち規則で特に定めるものが特定供給設備であるから単に「供給設備」と いう場合は、「特定供給設備」も含まれている。 「バルク供給設備」も全く同様でこの中には貯蔵設備、附属機器、気化装置、調整器及びガ スメーターや、これらの設備に準じる高圧ホース、ピグテール、集合管、対震ガス遮断器等で あって、貯蔵設備とガスメーターの間に設けられるものとこれらの設備を接続する管や、屋根、 遮ヘい板および障壁である。(図2-1参照) 今回の「バルク供給設備」では、このうち「バルク供給」で特徴的な貯蔵設備(バルク貯槽 等)と附属機器および調整器と安全弁元弁について記述することとして、その他の「供給設備」 は従前によることとする。 図 2-1 バルク供給設備の概要 -16- 2.バルク貯槽とバルク容器 (バルク供給に係る供給設備の技術基準は液石法規則第19条) 2.1 バルク貯槽 バルク貯槽は、充てん所等に設置されている大きなストレージタンクの製造法規と同じ、 高圧ガス保安法特定設備検査規則(以下「高圧法特定則」という。)の規定に基づき製造さ れ、設計、製作(溶接)、検査等において、厳密なチェックを実施することで、製品保証レ ベルは高いものとなっております。また、保安機器として附属機器も多く必要で、ハード面 で厳しく規定されている反面、ソフト面で緩和があり最初の検査期間が20年となっています。 このため定期的な維持管理が保安上重要です。 バルク貯槽本体(液石法規則第19条第3号) バルク貯槽の設計にあたっては、あらかじめ、確認しておかなければならない事項がいく つかある。その主なものを以下にあげる。 ① バルク貯槽本体は、高圧法特定則の規定に基づいて製作する。 ② 設計圧力 バルク貯槽の設計圧力は、LPガスの組成(プロパン、ブタン等の含有率)によって蒸 気圧が異なることから、貯蔵するLPガスの組成を決定し、そのLPガスの40℃における 蒸気圧を求める。つぎに、充てん設備のポンプ能力を調査し、貯蔵するLPガスの蒸気圧 にポンプの全揚程を加えた圧力以上をバルク貯槽の設計圧力とする。 以下に一般家庭で使用するLPガスの場合のバルク貯槽の設計圧力の求め方を示す。 (押し込み充てんの場合) P>P1+P2 P1:使用するLPガスの蒸気圧 一般家庭で使用するLPガスは、液石法規則第12条に規定されており次の表に示 す分類となっている。この分類のい号LPガスの内、プロパン含有量が約97%~99 %のものが使用されている。このLPガスの40℃の蒸気圧は図2-2のLPガス蒸 気圧図から約1.3MPaとなる。 P2:充てんポンプの全揚程 充てん設備の充てんポンプの全揚程は、ポンプで約0.4MPaである。 P :設計圧力 バルク貯槽に加わる圧力は約1.7MPaとなり安全弁の作動圧力(バルク貯槽内の 圧力が設計圧力を超えた場合に、直ちにその圧力を設計圧力以下にもどす安全弁を 設けることとなっている。)を考慮し設計圧力を1.8MPa以上とする。 -17- LPガスの規格 名 プロパン及びプロピレン エタン及びエチレンの 称 の合計量の含有率 含有率 い号LPガス 80%以上 5%以下 0.5%以下 ろ号LPガス 60%以上80%未満 5%以下 0.5%以下 は号LPガス 60%未満 5%以下 0.5%以下 図 2-2 ③ 合計量の含有率 ブタジエンの LPガスの蒸気圧図 バルク貯槽の貯蔵能力(バルク貯槽の大きさ) 設置するバルク貯槽の貯蔵量は、消費先における最大消費数量、バルク貯槽の設置場所、 充てん回数等を勘案して決定する必要がある。 バルク貯槽にLPガスを貯蔵することができる数量は、液石法規則第1条第2項第5号に規 定されており、次のロの算式(地盤面下に設置するもので、内容積が2,000L以上のものに ついては、次のイの算式)により得られた数量 イ W=0.9wV ロ W=0.85wV -18- W 貯蔵設備の貯蔵能力(単位 kg) w 常用の温度におけるLPガスの比重(単位 ㎏/L) 「常用の温度におけるLPガスの比重」は、「温度40℃における当該貯槽に貯蔵 されるLPガスの比重」とする。この場合、当該貯槽に貯蔵されるLPガスの成分 が不明な場合はブタンが貯蔵されるものとして、また成分が不定の場合は比重が最 大のものが貯蔵されるものとして算定する。通常0.473を用いて設計されている。 (JLPA基準) V 貯蔵設備の内容積(単位 L) 2.2 バルク容器 (液石法規則第19条第1号、第2号) バルク容器本体 LPガスの容器とバルブは、容器および容器附属品として、高圧ガス保安法令(容器 保安規則を含む。以下この章において「法令」という)の適用を受けるので、法令によ る検査に合格したものでなければ使用してはならない。 (1) 耐圧性能・気密性能 耐圧試験は3.0MPa以上の圧力で、また気密試験は1.8MPa以上の圧力で行い合格したも のであること。 (2) バルク容器の貯蔵能力 設置するバルク容器の貯蔵量は、消費先における最大消費数量、バルク容器の設置場 所、充てん回数等を勘案して決定する必要がある。 バルク容器にLPガスを貯蔵することができる数量は、液石法規則第1条第2項第5号に 規定されており次の算式により得られた数量 W=V/C W:貯蔵設備の貯蔵能力(単位 V:貯蔵設備の内容積(単位 ㎏) L) C:容器保安規則第22条に規定する定数 (3) 容器の刻印 容器検査に合格した容器には、容器検査を実施した経済産業大臣、都道府県知事(内 容積500L以下の容器)、高圧ガス保安協会または指定容器検査機関が図2-3に示す刻 印をする。 刻印は次の①~⑧の事項について、この順序で行われる。 ① 検査実施者の名称の符号 ② 容器製造業者の名称またはその符号 ③ 充てんすべき高圧ガスの種類 -19- ④ 容器の記号および番号(5桁以下に限る) ⑤ 内容積(記号 ⑥ 附属品(取り外しのできるものに限る)を V、単位 含まない質量(記号 W、単位 ⑦ 容器検査に合格した年月 ⑧ 耐圧試験における圧力 (記号 L) TP、単位 ㎏) 図 2-3 容器の刻印の例 MPa)およびM なお、内容積が500Lを超える容器にあっては、容器の厚肉の部分の見やすい箇所に明 瞭に、かつ、消えないように胴部の肉厚(記号 t、単位 mm)を打刻する。 また、登録容器製造業者の場合は①に代えて型式承認番号を、②に代えて登録容器製 造業者の名称またはその符号を、⑦に代えて製造年月を刻印する。 (4) 容器の表示等 イ 塗色 ① LPガスを充てんする容器は、法令で定められている黒色、赤色、緑色、白色、 黄色、かっ色を容器の表面積の1/2未満で、かつ、紛らわしくない色であれば、色指 定はない。 ② アルミニウム製、アルミニウム合金製およびステンレス製の容器の場合は、塗色 をしなくてもよい。 ロ 充てんすべきガスの名称、ガスの性質などを示す文字 ① ガスの名称としては「LPガス」または「液化石油ガス」という文字を赤色で胴 部に記入し、ガスの性質を示す文字として赤色で「燃」の字および「充てん期限」 「最高充てん圧力」を胴部に明示する。 ② 容器では以上の表示に加えて、容器所有者の氏名または名称、住所および電話番 号を容器の外面の色に対し鮮明な色(黒色および赤色を除く)の塗料またはシール で容器の表面に明示する。 ただし、管理業務を委託している場合は当該管理業務受託者に係る表示に代える ことができる。 ③ 充てん期限の明示 容器胴部の見やすい箇所に赤色で「充てん期限 □-○」(□は年、○は月)と 明示しなければならない。 この年月は、次回の容器再検査を受けないで、LPガスを充てんできる最終日を 含む年月である。したがって、表示された年月が過ぎれば、この容器にLPガスを 充てんすることはできないし、容器は再検査を受ける必要がある。 この期限内に充てんされた容器は、その期限が過ぎても、6か月未満ならば、消費 先へ引き渡してもよいが、それ以後は消費先へ新たに引き渡すことは禁止されてい る。 -20- (5) 容器の設置、取扱い上の注意事項 ① 容器は、粗暴な取扱いによって転倒、転落させると、衝撃により打こんや割れ、き ず等を生ずるおそれがある。充てん容器の場合、倒れた場合の衝撃も大きく、容器に 与える損傷も大きくなるので取扱いに注意を要する。 ② 容器は底部が腐食しやすいので、消費先に設置する場合は設置場所および設置方法 について十分注意を要する。 ③ バルク容器には温度40℃以下に保つ措置を講ずる。 (6) 容器再検査(容器再検査の期間) 容器は、必ず定期に容器再検査を受けなければならない。なお、容器の再検査は、登 録を受けた容器検査所で受けなければならない。 LPガス容器の再検査の期間は次表のとおりである。 製造後の経過年数 溶接容器の区分 20年未満 20年以上 下記以外 5年 2年 容器則第24条第1項第2号 6年 2年 備 考 (7) 附属品再検査(附属品再検査の期間) 附属機器等の種類 容器附属品 (安全弁、液取入バルブ、ガス取出バ ルブ、液取出バルブ、均圧バルブ) 機器 (液面計、過充てん防止装置、カップ リング用液流出防止装置、カップリ ング) 再 検 査 期 間 経過年数6年6ヶ月以内のもの 最初に受ける容器再検査の日 (1) 経過年数20年以下のもの (2) 経過年数20年を超えるもの 20年 5年 (8) 容器検査に合格する容器の規格 ① 容器の外面または内面について目視で検査を行い、その容器に使用上支障のある腐 食・割れ・すじ等がないものであること。 ② 適切な防錆塗装が行われていること。 ③ LPガス容器にあっては、スカートの著しい腐食、摩耗または変形がないものであ り、かつ、底面間隔(容器を水平面に直立させた場合における当該容器本体の底面と 水平面との間隔をいう)が当該容器の底部の腐食防止のために十分であること。 ④ 容器製造時の容器検査におけると同じ耐圧試験(膨張測定試験)に合格すること。 この場合、恒久増加率は10%以下であること。 ⑤ 内容積が500L以下の容器は、容器の腐食の程度(肉厚の減少量)を調べるために質 量検査をし、製造時の質量と比較して、現在の質量が95%以上である場合を合格とす る。 -21- 図 2-4 300㎏地上用貯槽(例) 図 2-5 1000㎏埋設用貯槽(例) -22- 図 2-6 70㎏バルク容器(例) 2.3 設置等について ① 地上設置又は地下埋設の選定 バルク貯槽を地上設置にするか地下埋設にするかは、設置先の状況及び消費者の希望等 により選定する。この場合、消費者にそれぞれの特長を明確に示すことが大切である。 -23- 下表にそれぞれの特徴を示す。 地上設置バルク貯槽 美観 良 地下埋設バルク貯槽 優 良 火災に対する安全性 普 通 優 良 土地の有効利用 不 可 不 可 設備費 安 い 高 い なお、バルク容器は地上設置のみである。 ② 充てん口の位置 地上設置バルク貯槽等の充てん口をバルク貯槽等の上部に設ける場合は、充てん時の作 業性の問題から、充てん口の位置は、地面から1.3m以下とするのが望ましい。貯蔵量及び 胴径を十分考慮して設計する必要がある。 ③ バルク貯槽等には、底部の腐しょく及び転倒を防止するため適当な材質及び構造の支柱 又はサドル等を取り付ける。 ④ アンカーボルト 支柱またはサドル等の形状を下図に示す受台とした場合の受台の幅と必要肉厚及びアン カーボルトの必要断面積の例を示す。 図 2-7 -24- 受台に作用する最大断面力と受台の安定を確保するために必要な部材の断面性能 バルク貯槽 容量 作用断面力(奥行1m当たり) 許容応力度 幅 曲げモーメント(kgf・cm) σa(kg/cm ) 2 (cm) 常時 510L受台 1900×1.5 5.04 2100L受台 1900×1.5 6000L受台 1900×1.5 バルク貯槽 容量 必要肉厚 軸力(kgf) (cm) 地震時 TOTAL 常時 地震時 TOTAL 9 663 669 37 212 249 0.55 8.50 18 1464 1482 58 270 328 0.80 15.00 203 16300 16503 155 133 288 1.95 許容応力度 作用断面力(奥行1m当たり) 2 σa(kg/cm ) 必要断面積 2 せん断力(kgf) 常時 地震時 TOTAL ボルトの直径 (cm ) (mm) 510L アンカーボルト 1100×1.5 1 151 152 0.1 3.6 2100L アンカーボルト 1100×1.5 4 225 229 0.3 6.2 6000L アンカーボルト 1100×1.5 7 862 869 0.8 10.1 ここに示す結果は、地震時における地上に設置するバルク貯槽の有効な受台の仕様を決 定するため、3タイプの地盤モデル硬質地盤、中位地盤、軟弱地盤上に設置したバルク貯槽 に、性質の異なる地震、長周期型地震(八戸波形)、短周期型地震(大船渡波形)、直下型 巨大地震(ポートアイランド波形)が起こった場合のバルク貯槽の挙動解析を行った結果 得られたものである。 ⑤ バルク容器には転倒、転落等による損傷を防止する措置を講ずる。 ⑥ バルク容器には温度40℃以下に保つ措置を講ずる。 2.4 バルク貯槽のLPガス発生量 自然気化方式を採用する場合は、最大ガス消費量を算出し、ピーク時間帯においてこの量 を超えるガス発生量を有するバルク貯槽・バルク容器を決定する。 1) バルク貯槽・バルク容器のガス能力は、次による。 ① 地上設置式バルク貯槽については、日本LPガス団体協議会技術基準「E-001- 1999地上設置式横型バルク貯槽等のガス発生能力」による。 ② 地下設置式バルク貯槽については、日本LPガス団体協議会技術基準「E-002- 2000地下設置式バルク貯槽のガス発生能力」による。 ③ ①又は②によれない場合はメーカが推奨するガス発生能力の値による。 ④ バルク容器(70㎏型)については、当該バルク容器メーカが推奨する値又は青本「設 計編」の50㎏容器1本当たりの標準ガス発生能力を準用する。 -25- 2) ピーク時間の推定 ① 消費先のピーク時間が明確でない場合は、次表のピーク時間の推定表を参考にして求 める。 ② ピーク時間に関する有効な他のデータがある場合は当該データに基づくピーク時間を 取ることができる。 ピーク時間の推定 戸 数〔戸〕 1~2 3~7 8~14 15~30 31~50 51~69 ピーク時間〔h〕 1.0 1.5 2.0 3.0 4.0 連続使用 (注) ピーク時間が5時間以上のものを連続使用とする。 (参考) 消費状況の実態調査によると、平均ガス消費率(最大ガス消費率×0.7=R%) とピーク時間の長さ(T)との積は70~80%という結果がでている。 これを式で表すと R×T=70~80% 一般には R×T=80% ピーク時間の推定にあたっては次の式による。 T = 80% T:ピーク時間(h) R% R:ピーク時間の平均ガス消費率(%) 地上設置式バルク貯槽のガス発生能力表の例 バルク貯槽 150㎏型 (横型) バルク貯槽 300㎏型 (横型) 連続消費 時間(h) 1.0 1.5 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 15℃ 14.0 9.8 7.7 5.6 4.6 3.9 3.5 3.3 3.1 10℃ 12.2 8.5 6.7 4.9 4.0 3.5 3.1 2.9 2.7 ガス発生能力(㎏/h) 5℃ 0℃ -5℃ -10℃ 10.5 8.8 7.1 5.4 7.3 6.1 5.0 3.8 5.8 4.8 3.9 3.0 4.2 3.5 2.8 2.1 3.4 2.9 2.3 1.7 3.0 2.5 2.0 1.5 2.7 2.2 1.8 1.3 2.5 2.0 1.6 1.2 2.3 1.9 1.5 1.2 -15℃ 3.7 2.6 2.0 1.5 1.2 1.0 0.9 0.8 0.8 -20℃ 2.1 1.4 1.1 0.8 0.6 0.5 0.5 0.4 0.4 連続消費 時間(h) 1.0 1.5 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 15℃ 27.3 18.9 14.7 10.5 8.4 7.2 6.4 5.8 5.4 10℃ 23.9 16.5 12.9 9.2 7.4 6.3 5.6 5.1 4.7 ガス発生能力(㎏/h) 5℃ 0℃ -5℃ -10℃ 20.6 17.2 13.9 10.6 14.2 11.9 9.6 7.3 11.1 9.3 7.5 5.7 7.9 6.6 5.3 4.0 6.3 5.3 4.3 3.2 5.4 4.5 3.6 2.7 4.8 4.0 3.2 2.4 4.4 3.6 2.9 2.2 4.1 3.4 2.7 2.0 -15℃ 7.4 5.1 3.9 2.8 2.2 1.9 1.6 1.5 1.4 -20℃ 4.1 2.8 2.2 1.5 1.2 1.0 0.9 0.8 0.7 -26- バルク貯槽 500㎏型 (横型) バルク貯槽 1トン型 (横型) バルク貯槽 985㎏型 (たて型) 連続消費 時間(h) 1.0 1.5 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 15℃ 44.7 30.6 23.6 16.6 13.1 11.1 9.7 8.7 8.0 10℃ 39.1 26.8 20.7 14.6 11.5 9.7 8.5 7.6 7.0 ガス発生能力(㎏/h) 5℃ 0℃ -5℃ -10℃ 33.7 28.2 22.8 17.4 23.1 19.3 15.6 11.9 17.8 14.9 12.0 9.2 12.5 10.5 8.4 6.4 9.9 8.3 6.7 5.1 8.3 7.0 5.6 4.2 7.3 6.1 4.9 3.7 6.6 5.5 4.4 3.3 6.0 5.0 4.0 3.0 -15℃ 12.1 8.2 6.3 4.4 3.5 2.9 2.5 2.3 2.1 -20℃ 6.7 4.6 3.5 2.4 1.9 1.6 1.4 1.2 1.1 連続消費 時間(h) 1.0 1.5 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 15℃ 87.9 59.8 45.8 31.8 24.8 20.6 17.8 15.8 14.4 10℃ 77.0 52.4 40.1 27.8 21.7 18.0 15.6 13.9 12.6 ガス発生能力(㎏/h) 5℃ 0℃ -5℃ -10℃ 66.3 55.6 45.0 34.4 45.1 37.8 30.6 23.4 34.5 28.9 23.4 17.8 23.9 20.0 16.2 12.3 18.6 15.6 12.6 9.6 15.5 13.0 10.4 7.9 13.4 11.2 9.0 6.8 11.9 9.9 8.0 6.1 10.8 9.0 7.2 5.5 -15℃ 23.8 16.2 12.3 8.5 6.6 5.4 4.7 4.1 3.7 -20℃ 13.2 9.0 6.8 4.7 3.6 3.0 2.6 2.3 2.0 連続消費 時間(h) 1.0 1.5 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 15℃ 89.7 61.2 47.0 32.8 25.7 21.5 18.7 16.7 15.2 10℃ 78.7 53.7 41.2 28.7 22.5 18.8 16.3 14.6 13.3 ガス発生能力(㎏/h) 5℃ 0℃ -5℃ -10℃ 67.7 56.9 46.0 35.2 46.2 38.8 31.4 24.0 35.4 29.7 24.0 18.4 24.7 20.7 16.7 12.8 19.4 16.2 13.1 10.0 16.2 13.5 10.9 8.3 14.0 11.7 9.5 7.2 12.5 10.5 8.4 6.4 11.4 9.5 7.7 5.8 -15℃ 24.4 16.6 12.7 8.8 6.8 5.7 4.9 4.4 4.0 -20℃ 13.6 9.2 7.0 4.8 3.8 3.1 2.7 2.4 2.1 (出典:日本LPガス団体協議会 -27- 技術基準 E-001) 3.バルク貯槽等に附属する機器類 バルク容器とバルク貯槽の附属機器 バルク貯槽およびバルク容器に附属する機器類は法律によって次のように規定されている。 バルク貯槽:附属機器(液石法規則第19条第3号) バルク容器:附属品(容器則)および機器(液石法規則第19条第1号) これら機器類は直接圧力が加わらない特殊なもの(超音波式液面計等)を除いて液石法の の告示(バルク供給及び充てん設備に関する技術上の基準等の細目を定める件。以下「バル ク告示」という。)で「高圧ガス設備試験」に合格したものまたは「大臣認定品」の使用が義 務づけられている。 なお、バルク容器の附属品、機器では「バルブ」の用語が用いられ、バルク貯槽の附属機 器では「弁」が用いられているが、機能的には同一であると考えてよい。従って本書では特 殊な場合を除いて「弁」として記述する。 バルク容器の附属品と機器 バルク容器の「附属品」である安全弁とバルブは、容器則で附属品検査を受け合格したも のの使用が義務付けされている。 [高圧ガス保安法第49条第2項] また、これら以外の「機器」は液石法規則第19条第1号イ~トで下記の事項についてバルク 告示に従った機器を取り付けることとなっていて、バルク告示では液面計の特殊なものを除 いて全て高圧ガス設備試験合格品か、大臣認定品を用いることとされている。 イ カップリング用液流出防止装置を取り付けた液取入バルブ ロ ガス放出防止器又は緊急遮断弁を取り付けたガス取出バルブ ハ 液取出バルブにはガス放出防止器又は緊急遮断弁を取り付けた液取出バルブ ニ 均圧バルブを設ける場合は、先端にカップリングを取り付けたもの ホ 液面計 ヘ 過充てん防止装置 ト 上記は全てふた付きのプロテクターで保護する。 バルク貯槽の附属機器 バルク貯槽の「附属機器」は、液石法規則第19条3号ハ(1)~(8)でバルク容器と同様に以下 の事項についてバルク告示に従った機器を取り付けることとなっている。 また、バルク貯槽では安全弁や弁(容器則ではバルブ)を含めて、特殊な液面計などを除 いて全て高圧ガス設備試験合格品か、大臣認定品を用いることとされている。 (1) 安全弁 (2) 液面計 (3) 過充てん防止装置 -28- (4) カップリング用液流出防止装置を取り付けた液取入弁 (5) ガス放出防止器又は緊急遮断弁を取り付けたガス取出弁 (6) ガス放出防止器又は緊急遮断弁を取り付けた液取出弁 (7) 均圧弁を設ける場合の当該均圧弁は、先端にカップリングを取付けたもの。 (8) 上記は全てふた付きのプロテクターで保護する。 3.1 安全弁 バルク貯槽内の圧力が設計圧力以上に上昇したときバルク貯槽の破裂を防止するために、 バルク貯槽にはその気相部に法令で定められた仕様の安全弁を設けることとなっている。 [液石法規則第19条第3号ハ(1)、第54条第2号ホ][バルク告示第3条] バルク告示第3条で安全弁は元弁を設けたバネ式であることと定められ、貯蔵設備のバル ク貯槽の外表面積、LPガスの蒸発潜熱、水噴霧装置の有無やその能力、直射日光やその他 の熱源などをパラメーターとした所要吹出し量の算出公式などが詳細に示されている。 取り付けられた安全弁は、バルク貯槽の大きさによって選定される安全弁サイズが異なり、 メーカの資料等により確認が必要です。 現在、安全弁再検査期限に達した製品があり、交換作業が実施されています。この交換作 業は、保安技術を習得した作業者が実施することが望ましい。 なお、バルク容器には、安全弁元弁の設定はありませんので、現地交換はできません。 図 2-10 安全弁の例 -29- 3.2 液面計 液面計は、バルク貯槽・バルク容器内のLPガス量を内容積の割合(%)で表示し、受入 れ時の過充てん防止および残量管理のために設けられる。 ① 耐圧部分にガラス又は合成樹脂を使用したもの及びLPガスを放出しながら液面を測定 するスリップチューブ式等のもの以外の液面計とする。 ② 液面の目盛りの誤差は、LPガス量を表示する%目盛りに対して、表示目盛りの±5%以 内とする。 [液石法規則第19条第1号ホ、第3号ハ(2)、第54条第2号ホ] [バルク告示第4条] フロート式液面計は、アームの先端にフロートを取り付けてその回転角度を容量(%)で 表示する方式(図2-11)が主流であるが、最近は直動形フロート式のもの(図2-12)も使 用されている。 これらフロート式液面計は、バルク貯槽等の全容量を100%とした容量目盛がされていて、 最高充てんの液面を明らかにするために75~85%の範囲を赤色で表示してあるのが普通であ る。液面計の表示は、バルク貯槽等の全容量に対する充てんされたガス量を表示しているた めに、表示されている赤色表示以上に充てんすると、過充てんとなるおそれがあるので注意 が必要である。 したがって、充てん作業中は、液面計により常時液面を監視し、充てんしたLPガスの容 量がバルク容器又はバルク貯槽の内容積の85%(内容積2000L以上の地下式バルク貯槽は90 %)を超えないようにすること。 [液石法規則第72条第1号チ] また、液面計はその指示によって、過充てん防止装置が作動する前に充てんを中止する目 的で設けてあるので、その意味を理解すべきである。 液面計は、見やすい箇所に、次の事項が表示されている。 ・製造事業者の名称又は記号 [バルク告示第4条] 図 2-11フロート式液面計断面図の例 図 2-12フロート式液面計(直動形)の例 -30- 図 2-13 超音波式液面計断面図の例 3.3 過充てん防止装置 バルク貯槽等には、貯蔵能力に対応する容量以下の設定した容量で充てんを停止する過充 てん防止装置を設けること。 [液石法規則第19条第1号ヘ、第3号ハ(3)、第54条第2号ホ][バルク告示第5条] 過充てん防止装置もフロート式のものが主流で、液面計と共に過充てん防止のための重要 な役割を担っている。 図2-14に示すように過充てん防止装置は、フロートが液により持ち上げられて弁が閉じて いる状態図である。この状態では遊動弁は液取入れ口側から圧力が加わってもキャップ側の 遊動弁の面積が液流入口側面積よりも大きいために圧力が加われば加わるほど弁を閉じる方 向に力が動くこととなる。 液面がフロートよりも低く、フロートが重量によって下がるとアームによって背圧弁を押 し下げて遊動弁内部の圧力がバルク貯槽内圧力と同一レベルとなるが、この状態で液取入弁 側から圧力が加わると、遊動弁は上部に移動して弁が開くこととなる。 フロート式過充てん防止装置は、防止装置の設定流量以上の流速で充てんを行うと弁が閉 止して充てんが出来なくなるので注意を要する。 -31- なお、過充てん防止装置の本体には次の事項が表示されている。 イ 製造事業者の名称又は記号 ロ 製造番号 ハ 製造年月 図 2-14 フロート式過充てん防止装置断面図の例 3.4 カップリング用液流出防止装置を取付けた液取入弁 [液石法規則第19条第1号イ、第3号ハ(4)、第54条第2号ホ][バルク告示第6条] バルク貯槽等は、カップリング用液流出防止装置を取り付けた液取入弁を設けること。 -32- 液取入れ弁には、カップリング用液流出防止装置を取り付けることとなっている。液取入 弁は、通常のボールバルブ構造で、取り入れ口が横向きや上向きなどがある。 なお、液取入弁本体には次の事項の表示がされている。 イ 製造事業者の名称又は記号 ロ 製造番号 ハ 製造年月 ニ 開閉の方向 図 2-15 液取入弁の例 カップリング用液流出防止装置は一般家庭で使用している迅速継手と基本構造は同じだが、 口径が大きくまた流体の圧力も高いために弁体を押して開くのには力が必要となるので、充 てん用カップリングにはハンドルが設けてある。 カップリング用液流出防止装置は、脱着時の外部へのLPガスの液流出量は1回あたり平 均で5cc以下となっている。 カップリング用液流出防止装置のキャツプにはブリーダーバルブが設けてあるので、点検 時にこのバルブを開いて漏れの有無が確認可能である。 なお、カップリング用液流出防止装置の本体には次の事項が表示されている。 イ 製造事業者の名称又は記号 ロ 製造番号 ハ 製造年月 ニ 呼び径 図 2-16 3.5 カップリング用液流出防止装置の例 マルチバルブ マルチバルブは前述の附属機器のうち、液取入弁と過充てん防止装置、ガス取出弁、均圧 弁及び安全弁などを一体的に組込んだ様々な種類のものが製造され、小型のバルク容器やバ ルク貯槽ほどその集積度が高いマルチバルブが使用される。 -33- 図 2-17 小型バルク容器用マルチバルブの例 3.6 ガス放出防止器を取付けたガス取出弁及び液取出弁 ガス取出弁及び液取出弁には必ずガス放出防止器または緊急遮断弁を取り付けなければな らない。 [液石法規則第19条第1号ロ、ハ又は第3号ハ(5)若しくは(6)] ガス放出防止器は「弁」に内蔵していても良いが、あとで述べるように組合せて使用する 調整器の開放流量と微妙な関係があるため、ガス取出弁(液取出弁)より下流側に取りつけ られるのが一般的となっている。また、高圧部以外の中圧部(調整器内部および二段減圧式 一次側調整器の出口)に取り付けてもよく、この場合は高圧ガス設備試験合格品や大臣認定 品の必要はない。 [バルク告示第7条第1号] ガス取出弁より下流に設けるガス放出防止器は入口圧力が0.2MPa ~1.0MPa の範囲で調整 器の出口側を開放した場合作動することと定められた。 [バルク告示第7条第4号] なお、液取出弁に設けるガス放出防止器は調整器の表示容量の3倍以下の流量で作動するこ とと定められている。 [バルク告示第7条第4号] このバルク告示で、ガス取出し部に直接調整器を取り付けるバルク供給設備は平成12年6月 1日以降は全て調整器の出口側が開放となった場合ガスを遮断する機能を有したガス放出防止 器を設置しなければならないこととなった。 また、地震による震動及び地盤の液状化に伴う供給管の損傷を防止する措置は、LPガス 設備設置基準及び取扱要領(KHKS0738)(高圧ガス保安協会 平成15年3月)民生用バルク供給編 第1章第5節の規定によるものとする。 3.7 均圧弁を設ける場合の当該均圧弁は、先端にカップリングを取付けたもの 「液石法規則第19条第1号ニ、第3号ハ(7)、第54条第2号ホ][バルク告示第8条] LPガス受入れ作業を円滑に行うため、バルクローリとバルク貯槽等の均圧用に均圧弁を 設ける場合があるが、この場合均圧弁にはカップリングを設けたものが必要である。 -34- 均圧弁用カップリングには弁にカップリングが一体的に組み込まれた一体型と容器バルブ に後から取り付ける分離型がある。 均圧弁用カップリングは、液取り入れ弁用カップリングと形状寸法が異なり、また要求さ れる性能も多少異なっていて、この場合の脱着によるLPガスの気体の流出量の平均は 1回当たり1.2L以下となっている。 なお、均圧弁用カップリングの本体には右表の表示がなされている。 イ 製造事業者の名称又は記号 ロ 製造番号 ハ 製造年月 ニ 呼び径 図 2-18 均圧弁と一体型カップリングの例 -35- 図 2-19 分離型カップリングの例 4.その他の供給機器 冒頭にも記述したように、気化装置、調整器およびガスメーターや、これらの設備に準じる 高圧ホース、ピグテール、集合管、対震ガス遮断器等であって、貯蔵設備とガスメーターの間 に設けられるものおよび設備を接続する管や、屋根、遮へい板および障壁などがその他の供給 設備であるが、ここでは安全弁元弁(連結弁)と調整器についてのみ記述する。 4.1 安全弁元弁(バルク貯槽の安全弁定期点検用) 安全弁には、バルク告示第3条第1号により元弁の取付けが義務付けされているが、安全弁 の5年ごとの気密、性能試験や、修理交換などで安全弁を一時的に取り外せるようにするため で、元弁は、安全弁を取り付けた状態で開になる構造の弁(連結弁)または弁を開いた状態 で施錠などをし、常に開いていることを保証した措置を講じた弁である必要がある。 図 2-20 安全弁元弁(連結弁)の例 4.2 調整器 調整器については「バルク貯槽等と調整器の間で液状のLPガスが滞留しにくい措置を講 ずること。」とされている。 [液石法規則第19条第6号] また、バルク告示第16条(高圧配管内のLPガスが滞留しない措置等)ではLPガスが滞 留しにくい措置を講ずることができない場合は、次のようにするように定められている。 ① 単段減圧式調整器はプロテクター内に設けること。 ② 二段減圧式一体型調整器は、バルク貯槽(容器)の直近に設けること。 ③ 二段減圧式分離型調整器は一次側をプロテクター内に設けること。 バルク貯槽等は、従来の小型容器にくらべ表面積に対する充てん可能なガス量が多いため に熱容量が大きく、従って夜間など外気温度が急激に下がったときにバルク貯槽等内のガス 温度と調整器入口温度(高圧部)とで温度勾配が生じやすく、そのため調整器入口付近で再 液化し易いことが確認されている。 -36- 調整器の入口側で再液化したLPガスがバルク貯槽等に戻る高圧配管構造であれば調整器 の取付け場所は制限されないが、一般的には高圧配管をできるだけ短くすることが望ましい。 バルク供給に用いる調整器は上記のように、単段調整器、二段減圧式一体型調整器、二段 減圧式分離型調整器などであるが、最近はガス放出防止器との係わり合いからガス放出防止 器が組み合された下表の容量の調整器をそれぞれの位置でガス放出防止器と組み合せて各メ ーカーが販売を開始して主流となりつつある。 現在「バルク用調整器」として調整器メーカーが販売しているガス放出防止器と調整器の 組合せを下表に掲げる。 ガス放出防止器と組み合わせて販売されている調整器容量(㎏/h)と ガス放出防止器の取付け位置 調整器の容量 (㎏/h) 6.5 8 10 12 20 30 32 33 35 50 70 100 ①調整器入口(高圧部)に取付 ○ ○ ○ ○ ○ ○ - - - ○ ○ - ②一次側と二次側の中間に取付 - - - - ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ③中圧仕様で、出口側に取付 - - - - ○ - ○ ○ ○ ○ ○ ○ 調整器の種類 組み合わされているガス放出防止器は表に示したように調整器の入口、一次側と二次側の 中間および調整器の出口の3種類に大別される。 このうち、①に示したガス放出防止器が調整器入口(高圧部)にある場合は従来の調整器 とガス放出防止器が組み合わされて使用可能であり、また①を含め②および③に示した一次 側と二次側の中間や、出口側にガス放出防止器が組み込まれて出荷されている調整器も「バ ルク用調整器」として販売されている。 (1) 単段式調整器 単段式調整器は、従来から一般的に使用されている調整器で貯槽内の圧力を一段の減圧で 3.3~2.3kPaに減圧するタイプの調整器である。 このタイプの調整器のノズル部分に、容器内の液化ガスが滞留した状態でガスの消費が開 始されると、液がノズルを通過して低圧部で蒸発することにより調整器温度の極端な低下や 圧力変動を引き起こして調整器の機能を損なう原因となる。 単段調整器をプロテクター内部に設置することにより、高圧部の配管部分を極力短くして 液状のLPガスが滞留しにくくするとともに、容器の温度と調整器の温度の差が付きにくく するための措置である。 なお、単段式調整器は各調整器メーカーで様々な容量の調整器を生産しているのでこの選 択は簡単である。 -37- 図 2-21 単段式調整器の例 (2) 二段減圧式一体型調整器 二段減圧式一体型調整器は、従来からの二段減圧式調整器の一次側と二次側を一体で構 成し、内部の圧力を二段の減圧で3.3~2.55kPaに調圧するタイプの調整器である。 このタイプの調整器の一段目のノズル部分では、単段式調整器と同様な現象を引き起こ すが、減圧された圧力が中圧であるためその影響が少ないことと、更に再度減圧されて供 給されることによってトータルの調整機能を損なうことが少なくなるが、二段減圧式一体 型調整器でも大量の液化ガスが一段目のノズルを通過すると単段式調整器と同様の現象を 引き起こすので、バルク貯槽等の直近に設けることによって高圧部の配管を極力短くする 必要がある。 なお、現在、市販されているこのタイプの調整器容量は 7、8、12、33、50 kg/hとある が、プロテクター内に納められるかの検討が必要である。 図 2-22 二段減圧式一体型調整器の例 (3) 二段減圧式分離型調整器 二段減圧式分離型調整器を使用した供給方式は、バルク供給の先進国で一般的に採用さ れている方式で、このタイプ調整器の組み合わせの場合は前記と同様に二段で減圧してい ることと、更に必要であれば中圧部の配管を長く設けることが可能であるために中圧部の 容積を大きくできるメリットがあり、再液化による影響をさらに低減させることができる ばかりか、貯槽と消費設備が離れている場合には中圧でガスを送ることが可能な有効な手 -38- 段である。 しかし、二段減圧式分離型調整器でも一次側は、上記の理由でプロテクター内部に設置 することにより、高圧部の配管部分を極力短くして液状のLPガスが滞留しにくくする配 慮が必要である。 なお、この方式を採用した場合は、中圧配管部分が長い(容積が大きい)ほうが調整器 出口圧はより安定しやすいと言える。 このタイプの調整器も従来から各調整器メーカーで様々な容量の製品を生産しているの でこの選択は簡単である。 図 2-23 二段減圧式分離型調整器の一次側の例 図 2-24 二段減圧式分離型調整器の二次側の例 -39- (4) バルク用ガス放出防止機構付調整器 バルク用ガス放出防止機構付調整器は、バルク告示第7条第4号に基づき(社)日本LPガ ス供給機器工業会が調整器の特性や配管抵抗を考慮した「バルク用ガス放出防止機構付調 整器」の自主基準を制定した。 この基準では、調整器と組み合されたガス放出防止器の作動時の作動流量とその時の調整 器の出口圧力の関係が以下の計算式に合致する組み合せの場合に限り合格するとしている。 P/(Q1/Q2)2 ≧ 0.375 ‥‥‥‥‥(1) P :作動直前の調整器出口圧力(kPa) Q1 :防止機構の作動流量(kg/h) Q2 :調整器表示容量(kg/h) ただし、Q1とQ2の関係は、1<(Q1/Q2)<3であること。 <解説> 調整器の表示容量と開放流量およびガス放出防止機構の作動流量との関係は 開放流量≧作動流量≧表示容量 で示され以下のとおりである。 表示容量:調整器メーカがカタログで表示している能力値 開放流量:調整器の出口側を開放した場合の最大流量で、調整器型式や入り口圧力 に大きく影響される。 作動流量:調整器と組合されたガス放出防止機構が調整器入口圧力0.2MPa~1.0 MPaの範囲で調整器の出口側を開放した場合ガスの流出を止める流量。 上記(1)式による作動流量特性は下記のグラフで示され、このグラフによれば、例えば 調整器の表示流量(Q2)が10㎏/hで、組込まれているガス放出防止機構の作動流量(Q1) が20㎏/hの場合Q1/Q2は2倍であるのでガス放出防止器が作動する直前の調整器の出口 圧力は1.5kPa以上でなければならないことが読み取れる。 調整器の表示容量と開放流量の関係は、調整器の設計によって大幅に異なっていて一 定ではないので、ガス放出防止器を選定するのは調整器メーカでないと困難であると言 える。 -40- 以上のことから調整器メーカ各社は一体型調整器および分離型調整器にそれぞれ適切 なガス放出防止器を組み合わせ「バルク用ガス放出防止機構付調整器」として出荷を開 始しているのでその一例を下記に示す。 図 2-25 一体型バルク用ガス放出防止機構付調整器の一例 図 2-26 分離型バルク用ガス放出防止機構付調整器の一例 -41- 5.バルク貯槽の防食措置 (液石法規則第19条第3号ハ(11)、バルク告示第11条) 5.1 地上設置バルク貯槽の防食措置 (1) 下地処理 バルク貯槽本体の外面および本体に溶接で取り付けられている附属品の外面を、その部 分に応じて、次のいずれかの方法により入念に下地処理を行う。 下地処理 の種類 下地処理面の状態 使用工具等 1種ケレン ミルスケールおよびさびを完全に除去し、光た くのある金属面とする。 ショットブラスト、 サンドブラスト、 化学薬品等 2種ケレン 完全に付着したミルスケールは残し、それ以外 の不安定なミルスケール、さび等を除去する。 ディスクサンダ、 チューブクリーナー、 スクレーバ等 (2) 防錆のための塗装 バルク貯槽の外面全面に、上記の下地処理を行った後、粉塵、油、グリス等の付着のな い状態にして防錆のための塗装を施す。 塗料の種類および塗装の方法は、次の自然乾燥を行う場合の塗装方法または焼き付け乾 燥を行う場合の塗装方法とする。 なお、いずれの場合にあってもこれらと同等以上の防錆効果を有する塗料の種類および 塗装方法がある場合は、その種類および方法によることができる。 この場合、錆止め塗装は上記の下地処理を施した後、速やかに行う。 ① 自然乾燥を行う場合の塗装方法 行 塗 料 の 種 類 程 錆 止 め JIS K5627(1995)ジンククロメート 錆止めペイント二種又はJIS K5628 (1995)鉛丹ジンククロメート錆止 めペイント二種 上 塗 り JIS K5572(1995)フタル酸樹脂エナ メル 貯槽外面1㎡、 1回当たりの標 準塗布量(g) 膜厚(μm) 130以上 20以上 130以上 - 42 - 1回当たりの 塗装回数 15以上 2回以上 (第1回塗装後 16時間以上放 置) 2回以上 (第1回塗装後 16時間以上放 置) ② 焼き付け乾燥を行う場合の塗装方法 行 塗 料 の 種 類 程 錆 止 め アミノアルキド樹脂系 プライマー又はプライ マーサーフェーサー 上 塗 り JISK5651(1992)アミノ アルキド樹脂塗料 注-1 注-2 注-3 貯槽外面1㎡、 1回当たりの標 準塗布量(g) 1回当たりの 塗装 膜厚(μm) 回数 130以上 20以上 1 回 以上 130以上 15以上 焼き付け条件 ・当該塗料に応じて指 定された条件 ・バルブを装着した状 態で塗装する場合は、 バルブの保護措置を 1 回 講じ、当該保護措置 以上 の表面温度が130 ℃ において30分間を超 えないこと。 希釈剤は塗料用希釈剤を用いること。 粉体塗装方式の場合は、錆止めおよび上塗を同時に行うことができる。 同等以上の塗料とはJIS K5400(1990)に規定される試験により同等以上の性能を有 すると認められる塗料をいう。 5.2 地下埋設バルク貯槽( 3トン未満)の防食措置 (1) 下地処理 バルク貯槽本体の外面および本体に溶接で取り付けられている附属品の外面を次の方法 により入念に下地処理を行う。 下地処理 の種類 1種ケレン 下地処理面の状態 使用工具等 ミルスケールおよび錆を完全に除去し、光たくの ショットブラスト ある金属面とする。 サンドブラスト、 注)化学薬品等による下地処理は、認められていないので注意すること。 (2) 防錆のための塗装 バルク貯槽本体および外面から突出しているマンホール、ノズル、サドル等の突起物の 外面が砂または埋土等と接触する部分は、次の防錆のための塗装を実施する。 なお、錆止め塗装は、上記の下地処理を行った後、速やかに行う。 -43- 行 塗 料 の 種 類 程 貯槽外面 1 ㎡、 1 回当たりの 1 回当たりの標 準塗布量(g) 膜厚(μm) 錆 JIS K5553(1991)2種又 止 は相当品の有機ジンク め リッチ 塗装 回数 塗装間隔(20℃、hr) 最少 最大 48 240 24 240 1 回 700以上 50以上 以上 下 JIS K5551(1991)2種又 塗 は相当品の下塗エポキ り シ樹脂塗料 2 回 750以上 上 JIS K5551(1991)2種又 塗 は相当品の上塗エポキ り シ樹脂塗料 750以上 100以上 以上 100以上 1回 注)相当品とはJIS K5400(1990)に規定される試験により同等以上の性能を有すると認めら れる塗料をいう。 (3) 防食塗装を実施するにあたっての注意事項 ① 塗料を使用する際は、かくはん機を用いて十分かくはんし、塗料を均一にする。 ② 塗料の主剤、硬化剤は製造メーカーの指示する混合比を守って混合する。混合にはか くはん機を用いる。混合後は、徐々に反応が進行して固化するので使用可能時間内に使 用する。 ③ 塗料の希釈は、塗料に指定されたシンナーを用いる。希釈割合は、その塗料に指定さ れた範囲内とする。 ④ 塗装は原則として、エアレススプレー塗装とし、コーナー部、狭隘部などエアレスス プレーでは十分な膜厚が得られない部分や溶接部は、ハケ塗りで先行塗装を行う。 また、塗装中は、ウエットゲージ(湿潤膜厚計)を適宜用いて膜厚が不足しないよう に努める。 ⑤ 気温および塗装対象物の温度が5℃以下、50℃以上の場合および相対湿度が85%以上の 場合は塗装作業は行わない。 ⑥ 上塗り塗装完了後24時間以上経過してから電磁式2点調整型電磁微厚計により塗膜の厚 さを測定し、最低肉厚が350μm以上あることを確認する。 ⑦ 上塗り塗装完了後3日以上経過してからピンホール探知器により電圧2,500Vでピンホー ル検査を行い、ピンホールがないこと。 ピンホ-ルが検出された場合は、錆止め塗装から行い上塗り完了後再度ピンホール検 査を行う。 5.3 地下埋設バルク貯槽( 3トン以上)の防食措置 ① 防水措置を施した貯槽室に設置するバルク貯槽にあっては、5.1(1)の下地処理および 5.2(2)の錆止め塗装をした上に外面保護としてアスファルトプライマーを2回塗ること。 -44- ② 貯槽室に設置しないバルク貯槽にあっては、バルク貯槽本体および外面から突出して いるマンホール、ノズル等の突起物であって内部圧力がかかり、かつ、その外部が砂又 は埋土等と接触する部分に、錆止め塗装の上にアスファルトプライマーを塗布し、アス ファルトルーフィング又はアスファルトの浸透する布の巻き付けとアスファルト塗布を 交互に行い、その厚さを10mm以上となるように外面保護を行うこと。(バルク貯槽の支 柱、吊り耳、間隔板、定着板、プロテクター等内部圧力が直接かからない部分は、本体 との接合部を除き、錆止め塗装のほか、外面保護を施さないでよい。)特に本体から突 出している部分の接合部は入念に施工するものとする。 また、その設置場所の迷走電流又は土壌比抵抗を実測し、これに応ずる電気防食措置 を講ずること。 ③ バルク貯槽に附属する配管のうち防水措置を施した貯槽室以外に埋設する部分の外面 は十分に乾燥し、油、グリス等を除去し、5.1(1)の下地処理を行い、その上に上記②の 施工をすること。 ④ 地盤面上に突出している部分は、5.1(2)の錆止め塗装をした上に化粧ペイントを塗る こと。 5.4 バルク貯槽に附属する高圧配管の防食措置 ① バルク貯槽に附属する高圧配管(高圧ホースおよび金属製フレキシブルホースを除く) のうち埋設する部分の外面は、十分に乾燥し、油、グリス等を除去し、5.2(2)防錆のた めの塗装における錆止め塗装を行う。 ② バルク貯槽に附属する高圧配管(高圧ホースおよび金属フレキ管を除く。)のうち地 盤面上に突出している部分の外面は、十分に乾燥し、油、グリス等を除去し、5.1(2)防 錆のための塗装における錆止め塗装をした上に化粧ペイントを塗る。 -45- 6.バルク貯槽の防食塗装の点検・運搬 バルク貯槽は、20年間開放検査をしないで使用し続けることができるとしていることから、 バルク貯槽の運搬および設置にあたっては、バルク貯槽の塗装を損傷させることのないように しなければならない。 特に地下埋設バルク貯槽は電気防食を施すため、塗装が損傷していると防食電流を多く必要 とし、マグネシウム陽極が不足して防食効果が低下するおそれがあるので注意を払う必要があ る。 バルク貯槽を設置場所へ搬出する前および設置時の防食塗装の点検、バルク貯槽の運搬法お よび設置時の注意事項を以下に記す。 6.1 防食塗装の点検 (1) 地上設置バルク貯槽の防食塗装の点検 ① 搬出前 バルク貯槽を設置場所へ搬出する前、以下の防食塗装の点検を行い、損傷部は補修す ること。 イ)防食塗装施工者による防食塗装検査結果で、防食塗装が完全であることを確認する。 ロ)バルク貯槽の防食塗装の損傷の有無を目視により点検する。 ② 設置時 バルク貯槽を設置する際、運搬中に塗装が損傷していないか点検する。 (2) 地下埋設バルク貯槽の防食塗装の点検 ① 搬出前 バルク貯槽を設置場所へ搬出する前、以下の防食塗装の点検を行い、損傷部は補修す ること。 イ)防食塗装施工者による防食塗装検査結果で、防食塗装が完全であることを確認する。 ロ)バルク貯槽の防食塗装の損傷の有無を目視により点検する。 ハ)バルク貯槽本体とプロテクターを接続するボルトおよびナットが土壌と接触する部 分の塗膜の損傷の有無を目視により点検する。 ニ)プロテクター側面の配管用穴の塞ぎ板の止めビス等の土壌と接触する側の塗膜の損 傷の有無を目視により点検する。 ホ)上記以外の土壌と接触する部分の塗膜の損傷を目視により点検する。 ② 設置時 バルク貯槽を設置する際、運搬中に塗膜が損傷していないか点検する。 6.2 補修塗装 バルク貯槽の塗装の欠損部は、以下の方法により補修を行う。 -46- (1) 地上設置バルク貯槽の補修塗装 ① 損傷により素地が露出した場合は、ディスクサンダー等動力工具を用いて下地処理を 行い、錆止めをしてから補修塗装を行う。 ② 損傷が錆止めに達している場合は、損傷部の周辺をサンドペーパー等で目粗しを行っ た後、錆止めをしてから補修塗装を行う。 (2) 地下埋設バルク貯槽の補修塗装 ① 損傷により素地が露出した場合は、ディスクサンダー等動力工具を用いて下地処理を 行い、有機ジンクリッチペイントをしてから補修塗装を行う。 ② 損傷が錆止めに達している場合は、損傷部の周辺をサンドペーパー等で目粗しを行っ た後、有機ジンクリッチペイントをしてから補修塗装を行う。 ③ 損傷が下塗りに達している場合は、損傷部の周辺をサンドペーパー等で目粗しを行っ た後、第 1 回目のエポキシ樹脂塗料(下塗り)をしてから補修塗装を行う。 ④ 損傷が上塗りだけの場合は、損傷部の周辺をサンドペーパー等で目粗しを行った後、 エポキシ樹脂塗料(上塗り)で補修塗装を行う。 ⑤ 損傷がどの層から生じているのか不明の場合は、②に準じて有機ジンクリッチペイン トをしてから補修塗装を行う。 6.3 地上設置および地下埋設バルク貯槽の積み込み・荷下ろし (1) バルク貯槽の吊り上げ・吊り下ろし ① バルク貯槽をクレーンにて吊り上げ・吊り下ろしをする際は、必ず小型移動式クレー ン技能講習修了者が行うこと。 ② バルク貯槽をクレーンにて吊り上げ・吊り下ろしをする際、バルク貯槽本体に取り付 けられた吊り金具を使用した時は、補修塗装を実施すること。 ③ バルク貯槽をクレーンにて吊り上げ・吊り下ろしをする際は、バランスを考慮するこ と。 ④ クレーンにて吊り上げ・吊り下ろしをするときは、バルク貯槽を不必要に揺らして、 バルク貯槽の塗装が損傷しないよう配慮すること。 (地下埋設バルク貯槽のときは、ベルトを使用) -47- 6.4 バルク貯槽の運搬 バルク貯槽をトラック等で運搬する際、バルク貯槽の塗装が損傷しないように気を付ける こと。特に、地下埋設バルク貯槽については下記に例を挙げるように、塗装が損傷しないよ う配慮すること。 (例- 1 ) 地下埋設バルク貯槽をトラックの荷台に乗せる際は、地下埋設バルク貯槽サドル部裏の塗 装を傷つけないように予め塗装保護用マット等を敷く。 (例- 2 ) 地下埋設バルク貯槽をトラックの荷台に固定する際、地下埋設バルク貯槽本体を塗装保護 用マット等で覆い、その上から塗装が損傷しないようワイヤーロープではなくナイロンベル ト等を用いて固定する。 6.5 バルク貯槽の移動 トラックやクレーン等でバルク貯槽を移動させられない場合は、移動中バルク貯槽の塗装 が損傷しないよう配慮すること。特に地下埋設バルク貯槽については下記に例をあげるよう に、塗装が損傷しないよう配慮すること。 (例) コロを用いて移動させる場合は、塗装保護用マットを用いてサドル部裏の塗装を保護する。 -48- 7.バルク貯槽等の設置方法 7.1 保安距離等 (1) バルク貯槽(貯蔵能力1,000㎏未満)の場合 ●設置場所(規則第19条3号ヘ) バルク貯槽は屋外に設置する。 ●保安距離(規則第19条第3号ロ、告示第2条) 地盤面上に設置するバルク貯槽の場合、第1種保安物件に対して1.5m以上、第2種保 安物件に対して1m以上の距離を確保する。 地下に埋設する場合は、保安距離の規定は ない。 ただし、充てん作業の基準では、充てん口 から第1種保安物件に対して1.5m以上、第2 種保安物件に対しては1m以上の距離を確保し ますから注意すること。 〔保安距離の緩和〕 最大2方向まで構造壁を設置すれば、保安距離を短縮することができる。また、以下の 条件を満たさなければならない。 条件1 構造壁はJIS A1304(1994)に規定される30分加熱試験に合格するものと同等以 上の性能を有するものであること。 条件2 構造壁は、地盤面に接していること。 条件3 構造壁の端がバルク貯槽の端から下図の通り1m以上あること。 条件4 構造壁には、開口部がないこと。 -49- ●火気からの距離(規則第19条第3号ヘ) 火気からは2m超の距離を確保する。火気から2m以内の場合は、火気を遮る措置を 行う。 (2) バルク貯槽(貯蔵能力1,000㎏以上3,000㎏未満)の場合 ●保安距離(規則第54条第2号ロ(1)) 次のいずれかの方法によること。 ①バルク貯槽の外面から、第1種保安物件又は第2種保安物件に対して7m以上の距離 を確保する。 ②バルク貯槽の外面から、7m以内に第1種保安物件又は第2種保安物件がある場合の 措置。 ・構造壁を設置する。 ○対象となる保安物件に対し、構造壁を設置する。(ただし、この措置は2方向まで。) ○構造壁=火炎の遮へい効果がある構造 -50- 〔構造壁の設置方法例〕 例-1 例-2 ç1:貯槽外面と構造壁端部までの最短距離 ç3:貯槽外面と構造壁端部までの最短距離 ç2:構造壁端部から保安物件までの水平距離 ç4:構造壁端部から保安物件までの最短距離 (最短距離) 【ç1+ç2≧7メートル】 【ç3+ç4≧7メートル】 ・バルク貯槽を埋設する。 ・コンクリート障壁等を設置する。 第1種保安物件 16.97m以上 -51- 第2種保安物件 11.31m以上 ○バルク貯槽が爆発しても有効に保護するコンクリート障壁等を設ける。 他の方向に保安物件があった場合、第1種保安物件では16.97m以上、第2種保 安物件では11.31m以上の距離を離せばコンクリート障壁等は不要だが、16.97m および11.31mを確保できない場合は、コンクリート障壁等が必要。 ○コンクリート障壁等=爆風圧に対し耐えられる構造 ●火気を取り扱う施設からの距離(規則第54条第2号ハ) 火気を取り扱う施設から5m以上の距離を確保する。 火気を取り扱う施設から5m未満の場合は、火気を取り扱う施設に漏えいした液化 石油ガスが流動しない措置を行う。 (3) バルク容器(貯蔵能力1,000㎏未満)の場合 ●設置場所(規則第19条1号ヨ) バルク貯槽は屋外に設置する。 ●保安距離 保安距離を確保する規定はない。 ただし、充てん作業の基準では、充てん口 から第1種保安物件に対して1.5m以上、第2 種保安物件に対して1m以上の距離を確保する。 ●火気からの距離(規則第19条第1号ヨ) 火気からは2m超の距離を確保する。 2m以内の火気を遮る措置を行う。 (4) バルク容器(貯蔵能力1,000㎏以上3,000㎏未満)の場合 ●保安距離(規則第19条第 2 号イ) 第1種保安物件に対して16.97m以上、第2種保安物件に対しては11.31m以上の距離 を確保する。ただし、コンクリート障壁等を設けた場合は、保安距離を短縮することが できる。 ●火気を取り扱う施設からの距離(規則第19条第2号ロ) 火気を取り扱う施設から5m以上の距離を確保する。火気を取り扱う施設が5m未満 の場合は、漏えいしたLPガスが当該火気を取り扱う施設に流動しないように措置を講 ずる。 -52- 7.2 地上設置バルク貯槽等の設置場所および方法等 (液石法規則第19条第1号、第3号ニ) (1) 設置場所 地上設置バルク貯槽等は次の場所に設置する。 ① 受入者若しくは一般消費者等の所有又は占有する土地内であって、屋外で、かつ、通 風の良い場所 ② 地すべり、山くずれ、洪水、地震等による有害な影響を直接受けるおそれのない場所 ③ 地盤の不同沈下等により、バルク貯槽等その他配管系に有害な影響を及ぼすおそれの ない場所 ④ 地盤面から5cm以上高い平坦なコンクリート盤等で舗装等をした水平な場所 ⑤ バルク貯槽等にバルクローリ等自動車が接触することのないような縁石等の措置を講 じてある場所 (2) 設置方法、注意事項 地上設置バルク貯槽等の設置方法は次により行う。 ① バルク貯槽は、地震、風圧力その他の外力によって動かないようにアンカーボルトで 固定する等の方法で設置する。 ② バルク貯槽等の周囲には、その点検、充てん作業、バルク容器等の交換その他の作業 に必要な空間を有するように設置する。 ③ バルク貯槽は、大地と絶縁されている場合には、静電気を除去する措置を講じる。 (3) 基礎 基礎の形状は、次の何れかの形状により、不同沈下等バルク貯槽の設置に有害な影響を 及ぼさないように工事を行う。 なお、基礎は、地盤面下に5cm以上埋設し、地盤面上から5cm上高くする。 また、3トン以上のものについては、耐震設計が必要となる。 ① 台型 -53- ② 平型 ③ 枕型(貯蔵量 1 トン未満のバルク貯槽に限る。) (4) 固定 バルク貯槽の固定は、次の何れかの形状により、不同沈下等バルク貯槽の設置に有害な ひずみが生じないような措置を講ずる。 ① プレートによるサドルの固定 ② (コンクリートまたはアスファルト) -54- アンカーボルトによる固定 (コンクリートまたはアスファルト) (5) 接地 バルク貯槽の接地は、大地と絶縁されている場合には次の方法により行う。 接地接続線は断面積5.5㎜2以上のもの(単線を除く。)を用い、通常の使用状態で容易 ① に腐食や断線しないもので、ろう付け、溶接、接続金具を使用する方法等によって確実 に接続する。 ② 地盤面下に埋設する接地棒は、直径7 ㎜、長さ300 ㎜以上の銅製のものを使用する。 (6) 安全弁の放出管の設置 地上設置バルク貯槽等の安全弁の放出管は、次の方法により設置する。 ① 放出管の開口部の位置は、バルク貯槽等の頂部から10 ㎝以上とし、プロテクターの外 であること。 ② 放出管の開口部は、雨水の浸入を防ぐレインキャップを風で飛ばされないよう取り付 ける。その際、安全弁の作動によるLPガスの吹き出しに妨げとならない構造とする。 ③ 放出管の開口部の方向は、上向きとする。 7.3 地下埋設バルク貯槽の設置場所および方法等 (液石法規則第19条第3号ホ) (1) 設置場所 バルク貯槽は次の場所に設置する。 ① 受入者若しくは一般消費者等の所有又は占有する土地内であって、建物の外の場所で、 かつ、通風の良い場所 ② 地すべり、山くずれ、洪水および地震等による有害な影響を直接受けるおそれのない場 所 ③ 地盤の不同沈下等により、受入バルク貯槽その他配管系に有害な影響を及ぼすおそれ のない場所 ④ 受入バルク貯槽を埋設してあることを示す標識杭の中にバルクローリ等自動車が乗り 入れることのないような柵、縁石、くさり等の措置を講じてある場所 (2) 設置方法 ① バルク貯槽の頂部が地盤面から30cm以上になるようにバルク貯槽を直埋設し、埋戻し には石塊等のない土又は砂を用いる。 ② 埋戻しの砂に空隙ができないように、十分に散水しながら埋戻しを行う。 ③ 地下水による浮き上がりを防止する措置を講じて地盤面下に埋設する。浮き上がり防 止措置は次の方法とする。 イ)バルク貯槽のサドル下部に浮き上がり防止のコンクリート板を設置し、コンクリー ト板をバルク貯槽のサドルにアンカーボルト等により固定する。 ロ)地下水による浮き上がりを防止する措置に用いるコンクリート板の重量は、次の式 により、バルク貯槽およびコンクリート板の重量の合計が、その浮力の合計以上とな -55- るような重量とする。 W1+V2×ρ2=W1+W2≧(V1+V2)×ρ1 W2=V2×ρ2 この式において、W1、W2、V1、V2、ρ1およびρ2はそれぞれ次の数値を表すものと する。 W1 :バルク貯槽の空体総重量(㎏) W2 :コンクリート板の重量(㎏) V1 :バルク貯槽の全容積(ç) V2 :コンクリート板の容積(ç) ρ1 :水の比重(㎏/ç) ρ2 :コンクリートの比重(㎏/ç) ④ バルク貯槽を埋設するときは、次の電気防食を施す。 イ)電気防食は陽極材にマグネシウム JIS H6125(1995)防食用マグネシウム陽極2 種 を使用する流電陽極法とする。この場合において、マグネシウムはバックフィル内に 納めたものとすること。 ロ)取り付けるマグネシウムの量は次のいずれかの方法によること。 a)埋設バルク貯槽の貯蔵量に対応した下記に示すマグネシウム量を取り付ける。 バルク貯槽の貯蔵量 マグネシウムの 1 本当たりの重量 マグネシウムの 数量 200 kg未満 2 kg以上 2 本 200 kg以上 300 kg未満 2 kg以上 3 本 300 kg以上 500 kg未満 2 kg以上 4 本 500 kg以上 1 t未満 3 kg以上 4 本 1 t以上 2 t未満 5 kg以上 4 本 2 t以上 3 t未満 5 kg以上 6 本 -56- a (mm) b (mm) h (mm) (mm) D (mm) L (mm) MG-5L 56 68 68 307 150 430 2.0 MG-7L 66 80 80 350 150 500 MG-11L 78 96 96 400 150 540 型式 b) ç Mg重量 仕上重量 (kg) (kg) 芯 金 (mm) 適用バルク 貯 槽 約6.5 FB16×3t ~500 kg未満 3.1 約 10 FB16×3t ~ 1 t未満 5.1 約 11 FB16×3t ~ 3 t未満 埋設場所の土壌比抵抗を実測し、バルク貯槽の塗膜抵抗を 200Ω㎡、設計防食 電位を飽和硫酸銅電極基準で-1.0 Vとして、電気防食設計計算によりバルク貯 槽の全外表面積に応じたマグネシウムの消耗が30年間耐えられる重量を取り付け ること。 ⑤ バルク貯槽本体とプロテクターとは絶縁ボルトにより固定し、バルク貯槽本体とプロ テクターを電気的に絶縁する。 ⑥ バルク貯槽本体は、電気防食のマグネシウムを接続するためおよび防食電位を測定す るための端子を設けておく。 ⑦ ガス取出配管は、バルク貯槽に附属する調整器の出口側の直近に絶縁継手を設け、液 取出配管は、液取出弁の直近に絶縁継手を設け、バルク貯槽本体と配管を電気的に絶縁 する。 ⑧ バルク貯槽を埋設する際には、防食塗装の塗膜を損傷しないように設置することとし、 万一損傷した場合は、地下埋設バルク貯槽の補修塗装に掲げる塗膜の補修方法により完 全に修復してから行う。 ⑨ 次の基準に適合するプラスチック製のガス検知用の孔あき管(以下「ガス捕集パイプ」 という。)をバルク貯槽周囲に 1 本以上埋設する。(バルク貯槽埋設要領図参照) イ)ガス捕集パイプは両端が開口した硬質合成樹脂製又はステンレススチール製で、そ の一方を地盤面上に開口させ、土砂等が入らないようキャップを取り付けたもの。 -57- ロ)バルク貯槽の周囲10 cm以内に 1 本以上埋設する。 ハ)ガス捕集パイプの内径は20 mm以上とし、当該捕集パイプの全長にわたって直径 10mm以上の孔を10cm間隔以下に開けたもの又は直径5 mm孔を5 cm以下の間隔に開けたも のとし、また土砂の侵入を防止するためにその側面および底面を65~100メッシュの合 成樹脂製またはステンレススチール製の網で被覆し、または孔あき管の外側に孔あき 管と同仕様の管を隙間を0.6 mm以下として土砂が入らない構造としたもの。 ⑩ 埋設後のバルク貯槽の位置を示すため、バルク貯槽水平投影面の四角に標識杭をうめ こむ。 ⑪ 地盤面上に突出する受入バルク貯槽のプロテクター蓋の裏側は、厚さ50mm以上の不燃 性断熱材で被覆する。 バルク貯槽埋設要領図(例) -58- 土壌比抵抗を測定し、電気防食を設計する方法 1.設計条件 (1) 貯槽の塗膜抵抗 ω=200(Ω・㎡) (2) 防食設計耐用 Y=30 (Yr) (3) 貯槽の防食電位 -1.0 (v) (4) 土壌比抵抗ρは実測により求める (貯槽埋設溝の底部に土壌杭を差し込み、4 ヶ所程度土壌比抵抗を測定し、平均値を設計 に用いる。) 2.設計 (1) 所要防食電流 Ia :防食電流 (A) E E :回路有効電圧 (v) Ia= ― ① Rt十Rm十Rs Rt :貯槽接地抵抗 (Ω) Rm :Mg群接地抵抗(Ω) Rs :シャント抵抗 (Ω) (2) 有効電圧 E=E to- Emo ― ② Eto :貯槽自然電位 (v) =-0.55-(―1.55) Emo:Mg群自然電位(v) = 1(v) (3) 接地抵抗 ω ω :貯槽塗膜抵抗(Ω・m) Rt= ― ③ A A :貯槽全表面積 (㎡) ρ・K・η ρ :土壌比抵抗 (Ω・㎡) Rm= ― ④ ç・N K :浅埋係数 (-) η :集合係数 (-) ç :Mg陽極長さ (m) N :Mg陽極数量(-) Ia=A・i ― ⑤ i :防食電流密度(A/㎡) i=ec/ω ― ⑥ ec :陰分極量 (v) (4) ⑤、⑥式および①~④式より、Mg陽極必要数量Nを求める。 ρ・K・η N= ― ⑦ ω E ç - 1 -Rs A ec (5) ①~④式より、防食電流Iaを求める。 E Ia= ω ρ・K・η + +Rs ― ⑧ A ç・N (6) Mg陽極必要重量Wmは次の式で求める。 Wm=Ia×Y×C×1/N ― ⑨ Y:Mg設計寿命(Yr) ⑧、⑨式より C:Mg消耗率(kg/A・Yr) E・Y・C Wm= ― ⑩ ω ρ・K・η + +Rs N A ç・N -59- 3.設計例 (1) Mg陽極必要数量 ρ・K・η N= ç ω ― ⑦ E - 1 -Rs A ec ⑦式に次の数値を代入 ρ : 100(Ω・m)------→(実測値、4 点の平均をとること) K : 0.4 η : 2 ç : 0.4 (m) ω : 200(Ω・㎡) A : 10(㎡) ‐‐‐‐--→( 950㎏の例、脚部裏面積も入れること) E : 1 (v) ec : 0.45(v) Rs:1 (Ω) 100×0.4×2 N= =8.5< 9 個必要 200 1 0.4 - 1 - 1 10 0.45 (2) Mg陽極重量 Wm= E・Y・C ω + A ⑩式に次の値を代入 Wm= Y: 30 C: 8 N: 9 ρ・K・η ç・N ― ⑩ +Rs N (Yr) (kg/ A ・Yr) 1×30×8 200 10 + 100×0.4×2 0.4×9 =0.62< 1(kg) +1 9 (3) 結論 埋設溝底部の土壌比抵抗を実測して、平均 100(Ω・m)のとき、 950kg貯槽には 1 ㎏ のMg陽極が 9 個あればよい。 (3) 地下にバルク貯槽を埋設する際の注意事項 ① 地下埋設バルク貯槽を掘削穴内に設置する際、地下埋設バルク貯槽のサドル部裏が地 面をこすり塗装を損傷させないよう、予め塗装を保護しておくこと。 ② クレーンによりバルク貯槽の吊り上げ・吊り下ろしをする際、ベルトを用いること。 (ワイヤーロープを使用してはならない。) ③ 地下埋設バルク貯槽を設置位置に下ろす際、掘削穴周辺に置いてある機材や樹木、掘 -60- 削穴壁に当たらないよう、ゆっくりと下ろすこと。 ④ 地下埋設バルク貯槽は水平に設置すること。 バルク貯槽の頂部は、地盤面から ⑤ 地盤面下30cm以上に埋設すること。 30cm以上水平に設置する。 ⑥ 地下埋設バルク貯槽と浮き上がり防止コンクリートとの固定は、以下に示すいずれか の方法によること。 イ)アンカーボルトによる固定 浮き上がり防止コンクリートとバルク貯槽をアンカーボルトで取り付ける場合は、 バルク貯槽と浮き上がり防止コンクリート内部の鉄筋とが導通しない様、下図のよう に絶縁リーブおよび絶縁座金を介して固定し、完全に絶縁を行うこと。使用するボル トは、バルク貯槽を十分に支えられる強度を有する太さとし、アンカーボルトが腐食 するするおそれがある場合は、耐食性の材料とする。 アンカーボルトの絶縁法 ロ)ベルトによる固定 埋設土壌により強度低下をおこさない合成繊維製ベルトで、浮き上がり防止コンク リートの金属製リング内を通し、バルク貯槽上に 2 本掛けとする。ベルトは、バルク 貯槽を十分に支えられる強度を有するものであること。 ベルトによる固定方法 ベルトの締め方 -61- ハ)プレートによる固定 バルク貯槽脚を絶縁材を介してプレートで、浮き上がり防止コンクリートと固定す る。バルク貯槽脚とプレートの絶縁材として、絶縁シートを用いること。プレート及 びアンカーボルトは、バルク貯槽を十分支えられる強度を有するものとし、プレート およびアンカーボルトが腐食のおそれがある場合は、耐食性の材料とする。 プレートによる固定法 ⑦ バルク貯槽と供給管との絶縁 バルク貯槽と供給管との絶縁が不完全であると防食電流がバルク貯槽だけでなく、供 給管に流れるため、防食期間が短くなり不経済である。 また、バルク貯槽の防食効果が低下する恐れがあるため、絶縁には細心の注意を払う 必要がある。 イ)バルク貯槽に附属する調整器の出口側の直近に絶縁継手を設け、バルク貯槽本体と 配管を電気的に絶縁すること。 ロ)液取配管にあっては液取出弁の直近に絶縁継手を設け、バルク貯槽本体と配管を電 気的に絶縁すること。 ⑧ バルク貯槽の埋め戻し イ)埋め戻しには石塊等のない土又は砂を用いることを原則とする。塩分を含んだ海砂 は使用しないこと。(粒度:最大粒径4.75mm以下、粒径 2 mm以下が99.5%以下であるこ と。日本工業規格A1204(1990)による。) ロ)埋め戻し砂は水締めにより行い、空隙は作らないこと。 ハ)スコップを用いてバルク貯槽の埋め戻しを行う場合、スコップをバルク貯槽に当て ないこと。 (4) 絶縁測定 バルク貯槽がバルク貯槽周辺に埋設してある配管やアース板等の金属体と電気的に絶縁 されていないと、防食電流がバルク貯槽だけでなくそれらの金属体にも流れ、防食期間が 短くなり、バルク貯槽への防食効果が低下する恐れがあるため、絶縁には注意を払うこと。 導通測定テスターにより絶縁抵抗の測定を行い、次表の絶縁性能を満足すること。 -62- 絶縁基準 測定時期 1.バルク貯槽~アンカーボルト 1 kΩ以上 埋戻前 2.バルク貯槽~供給管間 1 kΩ以上 埋戻後 3.バルク貯槽~その他埋設物間 1 kΩ以上 埋戻後 7.4 バルク貯槽の設置時の検査 (1) 地上設置バルク貯槽の設置時の検査 ① バルク貯槽に取り付けられているノズル、その他付属品取付け用ボルト、ナット類に ゆるみのないことを確認する。 ② バルク貯槽内が不活性ガスで置換されていること又は残留空気による爆発等のおそれ がないように措置されていることをバルク貯槽のメーカー等(検査者)の記録等により、 確認する。 ③ 液面計および過充てん防止装置の作動試験が行われていることを記録により確認する こと。 ④ バルク貯槽のフランジ、その他附属機器取付部分からガス漏れがないことを石けん水 等を用いて確認する又は記録により確認する。 (2) 地下埋設バルク貯槽の設置時の検査 ① バルク貯槽に取り付けられているノズル、その他付属品取付け用ボルト、ナット類に ゆるみのないことを確認する。 ② バルク貯槽内が不活性ガスで置換されていること又は残留空気による爆発等のおそれ がないように措置されていることをバルク貯槽のメーカー等(検査者)の記録等により、 確認する。 ③ バルク貯槽のフランジ、その他附属機器取付部分からガス漏れがないことを石けん水 等を用いて確認する又は記録により確認する。 ④ 電気防食施工後、以下の測定を行い電気防食が適切であるか確認する。 イ)バルク貯槽対地電位 バルク貯槽の対地電位を電位電流測定器を用いて測定し、飽和硫酸銅電極基準で -850mV以下であること。 -850mVを超えている場合は、バルク貯槽が配管等周囲の金属体と電気的に絶縁され ていない可能性があることから、絶縁調査を行い措置を施すこと。 ○絶縁されていなければ絶縁措置を施すこと。絶縁措置後、再び対地電位を測定し、 対地電位-850mV以下であること。 ○絶縁されているにもかかわらず-850mVを超えている場合は、マグネシウム陽極を追 加するなどの対策を講じること。 -63- ロ)マグネシウム陽極発生電流(防食電流) 電圧電流測定器又は埋設管腐食測定器を用いてマグネシウム陽極発生電流(防食電 流)を測定し、30年間防食するための許容発生電流内であること。許容発生電流は以 下の計算式より求める。 また、許容発生電流を超える場合は、バルク貯槽周辺の金属体と導通している可能 性があることから、絶縁調査を行い、以下の措置を施す。 ○絶縁されていなければ絶縁措置を施すこと。絶縁措置後、マグネシウム陽極発生電 流(防食電流)を測定し、許容発生電流量内であること。 ○絶縁されているにもかかわらず許容発生電流を超える場合は、マグネシウム陽極を 追加すること。 許容発生電流(I)計算 I=W×N÷0.24 I:許容発生電流(mA) W:マグネシウム陽極1本当たりの重量(㎏) N:マグネシウム陽極の取り付け数量(本) Mg陽極許容発生電流 貯槽容量 許容発生電流 ~ 300 ㎏ 25.0 mA ~ 500 ㎏ 33.3 mA ~ 1,000 ㎏ 51.6 mA ~ 2,000 ㎏ 85.0 mA ~ 3,000 ㎏ 127.5 mA ハ)地下埋設バルク貯槽の電気防食の定期点検は、次の項目について、供給開始時およ び2年に1回実施する。 〔1〕対地電位 バルク貯槽の対地電位を電圧電流測定器又は埋設管腐食測定器を用いて測定し、 飽和硫酸銅電極基準で-850mV以下であること。(測定方法はバルク貯槽対地電位 測定方法の例を参照) 対地電位を測定することは、バルク貯槽に施した電気防食の状態が良好であるか 否かを判定することであり、飽和硫酸銅電極と電位電流測定器により測定した対地 電位が-850mV以下であればバルク貯槽は電気防食されている。一方、-850mVを超 えていると電気防食されていないこととなる。 対地電位が-850mVを超えている場合は、バルク貯槽が配管等周囲の金属体と電気 的に絶縁されてなく、それらの金属体にマグネシウム陽極の発生電流が流れ込んで -64- いる可能性があるため、絶縁調査を行い、必要があれば絶縁措置を施すこと。また、 絶縁措置を行った後の対地電位が-850mVを超えている場合は、マグネシウム陽極が 不足していることが考えられるため、マグネシウム陽極を追加するなど対地電位が -850mV以下になる措置を講じること。 〔2〕マグネシウム陽極発生電流(防食電流) 電圧電流測定器又は埋設管腐食測定器を用いてマグネシウム陽極発生電流を測定 (測定方法はマグネシウム陽極発生電流測定方法の例を参照)し、30年間防食する ための許容発生電流内であることを確認しておく必要がある。許容発生電流は計算 〔前掲 ロ)マグネシウム陽極発生電流 許容発生電流(I)計算を参照〕により求 めること。 マグネシウム陽極発生電流が許容発生電流を超えるとマグネシウム陽極の量が少 なくなり、防食効果が低下する恐れがある。(バルク貯槽の対地電位が-850mVを超え る恐れがある。)そのためマグネシウム陽極発生電流が許容発生電流を超える場合、 または許容発生電流内であっても前回の測定値を大幅に上回る場合は、バルク貯槽 周辺の金属体と導通している可能性があるため、絶縁調査を行い、必要があれば絶 縁措置を施すこと。絶縁措置後の電流値が許容発生電流量内にならない場合は、マ グネシウム陽極を追加すること。 -65- バルク貯槽対地電位測定方法の例 【1】飽和硫酸銅電極の準備 バルク貯槽プロテクター両外側の約30㎝の位置(図の№1および№2の位置)に飽和硫酸銅電 極を立てる。地面が乾燥している場合が多いので、散水して湿らせること。地表面がアスフ ァルトで覆われている場合には硫酸銅電極を土壌に接地させるための測定孔(D=50mm)をあけ ておくこと。 A.電圧電流測定器(デジタルマルチメーター)を使用する場合 【2】リード線の接続 【2】リード線の接続 1. 入力端子「V」に付属のリード線(赤)を接続し、そ の他端を測定箱内の貯槽端子(電位)に接続する。 2. COM端子にリード線(黒)を接続し、その他端を 飽和硫酸銅電極に接続する。 【3】測 B.埋設管腐食測定器(S-1)を使用する場合 1. (-)端子に付属のリード線(青)を接続し、そ の他端を測定箱内の貯槽端子(電位)に接続する。 2. 基準電極接続端子に飽和硫酸銅電極のリード 線を接続する。 定 【3】測 1. 電圧電流測定器(デジタルマルチメーター)の電流スイッチを ONにする。 定 1. 電源スイッチをONにする。 2. 表示値を読みとる 2. ファンクションスイッチを直流電圧の位置にする。 3. 表示値を読みとる。 -66- マグネシウム陽極発生電流測定の方法の例 A.電圧電流測定器(デジタルマルチメーター)を使用する場合 【1】リード線の接続 B.埋設管腐食測定器(S-1)を使用する場合 【1】リード線の接続 1. 入力端子「V」に付属のリード線(赤)を接続し、そ 1. (-)端子に付属のリード線(青)を接続し、 の他端を測定箱内の貯槽端子(電流)に接続する。 その他端を測定箱内の貯槽端子(電流)に接続す 2. COM端子にリード線(黒)を接続し、その他端を測 る。 定箱内のMg陽極端子(電流)に接続する。 【2】 測 2. 基準電極接続端子にリード線(黒)を接続し、 定 その他端を測定箱内のMg陽極端子(電流)に接 1. 電極スイッチをONにする。 続する。 2. ファンクションスイッチを直流電圧の位置にする。 【2】 測 定 3. 表示値を読みとる。 1. 電源スイッチをONにする。 4. 表示値「mV」を「mA」に読み替える。 2. 表示値を読みとる。 (シャント抵抗1Ωが入っていることから、オームの法 則により、1mVは1mAとなる。) -67- 3. 表示値「mV」を「mA」に読み替える。 7.5 付帯設備の設置時の検査 ※【液石法規則第19条第 5 号】 バルク貯槽等のプロテクター内に、ガス漏れ検知器を設 け、液化石油ガスの漏えい情報等を常時監視するシステムと接続すること。 ※【バルク告示第15条】 ガス漏れ検知器は、バルク告示の基準に適合するものを使用す ること。 (1) 付帯設備の機器構成 ・検知部は、バルク貯槽等のプロテクター内に設置されていること。 ・本体部を屋外に設置する場合には、防水ボックス等に収納すること。 ・検知部と本体部、本体部と伝送用コントローラは、信号線接続されていること。 (2) 設置時の検査 イ. 電源プラグをコンセントに差し込む、本体部の電源プラグ・警報ランプおよび伝送用 コントローラの電源ランプが点灯していることを確認すること。 ロ. 約40秒後に警報ランプが消え正常作動に入ることを確認すること。 ハ. ガス濃度が警報設定値(LPガスの爆発下限界の 1 / 4 ~ 1 / 100 )に達すると警報ラ ンプが点滅し、伝送用コントローラを介してガス漏れ警報信号をセンター側に通報する ことを確認すること。 7.6 警戒標等 ※【液石法規則第19条第1号チ、第3号ハ(9)】 バルク貯槽等又は周囲の見やすい箇所に液 化石油ガス又はLPガスおよび火気厳禁と朱書すること。 ※【液石法規則第19条第1号リ、第3号ハ(10)】 バルク貯槽等又は周囲の見やすい箇所に緊 急連絡先を表示すること。 -68- イ.警戒標等(警戒標、緊急連絡先)により、下記の事項についての表示があることを確 認すること。 ロ.バルク貯槽等または周囲の見やすい箇所に「液化石油ガス」または「LPガス」および「火 気厳禁」を赤色で表示してあること。 ハ.バルク貯槽等または周囲の見やすい箇所に「LPガス販売事業者の名称」、「所在地」お よび「電話番号」を表示してあること。 この他にも緊急時の連絡先がある場合は、その「電話番号」を表示してあること。 警戒標による標示例 朱書 緊急時の連絡先(TEL) -69-
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