日本企業がミシガン州で事業を行うには

日本企業がミシガン州で事業を行うには
Doing Business in Michigan
for Japanese Companies
出版元
ワーナー・ノークロス・アンド・ジャッド法律事務所
目次
はじめに ............................................................................................................................ 2
I.
ミシガン州の概要.................................................................................................... 3
ミシガン州について................................................................................................... 3
経済指標..................................................................................................................... 3
日本の事業に快適な環境............................................................................................ 3
産業............................................................................................................................ 3
生活費および事業費用 ............................................................................................... 5
有利なロケーションと物流 ........................................................................................ 5
強力な労働力 ............................................................................................................. 5
高い教育レベル .......................................................................................................... 5
豊富な資源 ................................................................................................................. 6
ライフスタイル .......................................................................................................... 6
ツーリズム ................................................................................................................. 6
II.
米国でのビジネス.................................................................................................... 7
外国投資に対する最小限の規制 ................................................................................. 7
外国投資の規制 .......................................................................................................... 7
場所の選択および奨励策............................................................................................ 8
施設/不動産 ............................................................................................................. 8
入国管理..................................................................................................................... 8
労働および雇用 ........................................................................................................ 10
ミシガンでの資金調達活動 ...................................................................................... 10
製品/サービスの売買 ............................................................................................. 11
課税.......................................................................................................................... 12
輸出入規制 ............................................................................................................... 12
危機管理................................................................................................................... 13
III. (ミシガン州を通じての)北米および世界市場への参入 ...................................... 15
営業担当、販売代理店、ライセンス製造者 ............................................................. 15
完全所有子会社の設立 ............................................................................................. 16
既存の事業への投資および合弁事業........................................................................ 17
合弁事業/戦略的提携 ............................................................................................. 17
米国企業への投資 .................................................................................................... 17
米国企業の買収 ........................................................................................................ 18
IV.
事業および文化的環境........................................................................................... 20
ミシガンの日本関連団体.......................................................................................... 21
V.
事業の開始/利用可能な資源 ................................................................................ 22
経済開発機関 ........................................................................................................... 22
米国商務部 ............................................................................................................... 22
金融機関................................................................................................................... 22
ビジネスアドバイザー、コンサルタントおよび仲介業者........................................ 23
事業者団体 ............................................................................................................... 24
ワーナー・ノークロスについて ....................................................................................... 24
免責 .............................................................................................................................. 24
はじめに
本書「ミシガン州で事業を行うには:日本企業のためのマニュアル」をご一読いただ
きありがとうございます。
本マニュアルを手に取られた理由は、個人的理由や職業上の理由など様々だと思いま
すが、読者の大半は米国で事業を行うことについてより多くの情報を得ようとしているビジネ
スマンの方だと思います。おそらく、米国市場への参入方法を構想されているか、米国市場で
のシェアを広げようとしている、または、営業所、子会社、合弁事業、戦略的提携もしくは既
存の米国企業の買収を通じて米国での事業を立ち上げようとされているのではないでしょうか。
本マニュアルでは、米国事業を立ち上げる際の実用的な情報を提供しています。幣事
務所の目標は、読者の米国での成功を確実にすることです。
ミシガン州で有数の企業法律事務所の一つである WN&J のビジネス弁護士により執筆
された本マニュアルは、投資先および北米事業の足がかりとしてミシガン州を選択することを
促すことと思います。本マニュアルは、ミシガン州を焦点としていますが、事業の基点をどこ
にしたとしても適用できる主要な問題を取り上げ、考察を述べています。
米国での事業のための事業計画や拡張戦略の評価の際に、ミシガン州を考慮していた
だくことをお勧めします。以下は、事業をミシガン州で行う多くの理由のうちのほんのいくつ
かです。
•
主要産業には、自動車、プラスチック、オフィス家具、ライフサイエンス(研究、
医薬品、および医療機器)、農業、代替エネルギー、および国土防衛などがありま
す。
•
米国と世界のどこにでも効率的かつ便利につながっている中部アメリカという有
利なロケーション。
•
デトロイト日本商工会、グレーターデトロイト・ウィンザー日米協会、西ミシガ
ン日米協会などの活気ある日本人の文化団体や事業団体に見られるように、世界
中からの外国人居住者(10,000 人の日本人を含む)や移民が成功、繁栄している
成長を促すコミュニティ。
•
低い生活費および事業費用。
•
今や 5,400 万人を超える技術を有する労働人口。
•
ミシガン大学、ミシガン州立大学、ウェイン州立大学、バンアンデル研究所を含
む、国際的に有名で、世界有数の大学や機関により可能となる研究および教育能
力と資源。
幣事務所は、読者の方が、米国全般、特にミシガン州での事業チャンスを調査している
ことを喜ばしく思っています。幣事務所の目標は、日本の事業をできる限り支援することです。
皆様をミシガン州へお迎えする機会と、皆様の成功と繁栄を願っております。
2
I.
ミシガン州の概要
米国外では、ミシガン州は、デトロイト(または自動車の街)、国際的に知られた大学
(ミシガン大学やミシガン州立大学など)および世界的なブランド(いくつか例を挙げると、
ゼネラルモーターズ、フォード、クライスラー、アムウェイ、ケロッグ、ワールプール、ハッ
シュパピーなど)で最もよく知られています。しかしながら、ミシガン州には、大学やブラン
ド名の他にも、日本の事業にとって魅力的なものがたくさんあります。以下が、ミシガン州に
ついての基本的事実および情報です。
ミシガン州について
通称「五大湖の州」または「クズリの州」と呼ばれるミシガン州は、土地面積 58,110
平方マイル、五大湖の水域面積 38,575 平方マイル、五大湖の湖岸線 3,288 マイルの、全米で第
10 番目に大きな州です。アメリカ中西部に位置し、イリノイ州、シカゴ市とミシガン湖により
分離されており、橋の向こうには、カナダのウィンザーがあります。
州政府はランシング市にあり、デトロイト市とグランドラピッズ市が、二大都市であ
り、ビジネスの中心地です。2000 年の統計によると、ミシガン州の人口は 9,938,444 人で、全米
で 8 番目に人口の多い州です。
経済指標
ミシガン州の 2004 年の総州生産高(州内に位置する労働力および財産により商品の生
産ならびにサービスに付加された価値)は、3,728 億ドルと推定され、ミシガン州は、経済産出
量で国内第 10 位内に入っています。フォーチュン 500 企業のうち、22 社がミシガン州に本社が
あり、ミシガン州は、全米 50 州の中で、フォーチュン 500 企業が多い州の第 10 位以内にラン
クインされています。2007 年時点で、500 社近い日本人所有の事業がミシガン州で行われてお
り、37,000 人近いミシガン州民を雇用していました。
日本の事業に快適な環境
ミシガン州内で事業を行う国際企業の数が、州の経済の成熟度および国際的強みを裏
付けています。州内には、40 カ国を代表し、すべての産業およびサービス業を網羅した 3,760
の事業部、関連会社および子会社があります。特に、日本からの移民は、日本の伝統と遺産が
評価され保存されているミシガン州で、健全なコミュニティ生活を享受しています。日本人の
団体は、それぞれのコミュニティに活発に参加しています。
ミシガン州には約 10,000 人の日本人が居住しており、日本企業は、ミシガン州で主要
な外国投資家です。2007 年時点で、ミシガン州には、日本人が所有する 472 の事業が存在しま
した。これらの事業は、37,000 人の地元の従業員と、2,400 人近い日本人の海外駐在社員を雇用
しています。これらのうち 17,314 職は、製造業です。これらの事業のうち 279 は製造業で、そ
のうち 64%は自動車関連です。また、これら事業のうち 179 は、自動車部品の分野に従事して
います。これらの事業の 82%が完全日本人所有で、13%が合弁事業です。
産業
ミシガン州の主要産業には、自動車、プラスチック、家具、ライフサイエンス、農業、
国土防衛、代替エネルギーなどがあります。これらの産業では、日本企業は、産業の中核であ
3
る確立されたサプライチェーンおよび産業に特化した技術を有する労働力を有効に活用できま
す。
自動車. ミシガン州は、北米の自動車産業の中心で、3 社のアメリカ自動車メーカー
(GM、フォードおよびクライスラー)、ならびに北米へのトップ 150 の自動車部品メーカーの
3 分の 2(デルファイ、リア、ビステオン、ボルグワーナーを含む)の本拠地です。毎年、100
億ドル超がミシガン州での自動車関連研究開発に費やされます。これは、49 州、カナダ、メキ
シコを合わせた額を上回ります。ミシガン州は、自動車関連研究開発の国内第一位の州として、
世界で最も革新的な自動車メーカーを代表する 330 を超える自動車技術センターを有していま
す。ミシガン州では、最近、新しいテスラモータースの技術センター、新しいヒュンダイの技
術センター、および日産のデザインスタジオなどが加わりました。
プラスチック. プラスチック産業は、自動車産業から、世界最大の包装材企業の一つ
であるフッタマキ(Huhtamaki)社(中央ミシガンに位置し、ここで食品容器が熱成形されてい
ます)などの大手国際企業まで多くの点で私たちの生活に影響しています。米国において、ミ
シガン州は、雇用に関して第 4 位、プラスチックの出荷に関して第 5 位にランクし、2005 年の
出荷量は 212 億ドルに達しました。
家具. グランドラピッズ市は、アメリカの家具の都として伝統的に知られています。
長年の間、メトログランドラピッズ地域には、オフィス家具メーカーのスティールケース
(Steelcase)社、ハーマンミラー(Herman Miller)社、およびヘイワース(Haworth)社が本社
を置き、オフィス家具製造の都とみなされています。2004 年時点で、これらオフィス家具産業
の「ビッグ 3」は、年間約 90 億ドル相当の製品を製造しました。
ライフサイエンス. ミシガン州は、最も成長しているライフサイエンスの州の一つと
して国を先導しています。その成長は、米国平均を超え、雇用は 72%、企業数は 32%、販売高
は 165%上昇しています。現在、ミシガン州には 31,000 人超を雇用する 500 を超えるライフサ
イエンス企業があります。
農業. 都市部の農地への拡大にもかかわらず、ミシガン州は、約千 10 万エーカーを
有する約 53,000 の農場を維持しています。現在、ミシガン州は、乾燥黒豆、ブルーベリー、ピ
クルス用きゅうり、花のハンギングバスケット、ホウセンカ、ゼラニウムの生産で国内第一位
です。主要な農作物は、豆や小麦のほかに、オート麦、干草、とうもろこし、ライ麦、じゃが
いも、大豆およびテンサイです。
代替エネルギー. ミシガン州は、外国燃料への依存を軽減する燃料電池、バイオ燃料、
高性能バッテリー、ハイブリッド自動車、太陽光発電、風力タービンなどの代替燃料エネルギ
ーの開発において先頭を切っています。バイオディーゼルの生成に使用される大豆のようなミ
シガン州の農作物は、代替エネルギーの分野での著しい成長に大いに貢献しています。最近、
11 社のエタノールおよびバイオディーゼル燃料製造会社が、ミシガン州をロケーションに選び
ました。
国土防衛. ミシガン州には、国土を守るための技術および資源を開発、改良している
企業や組織があります。たとえば、ランシング市にあるイマージェントバイオソリューション
は、唯一 FDA に認可された炭疽菌ワクチンのメーカーです。陸軍の最大の武器システム研究開
発センターの一つは、ウォーレン市にあります。
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生活費および事業費用
ミシガン州の企業と住民は、生活費および事業費がとても妥当であると考えています。
2007 年フォーブス誌は、平均住宅価格が 154,000 ドルのメトロデトロイトを、国内で手ごろな
住宅市場という点で、第 3 位に挙げています。2006 年の住宅指標で報告されているように、住
宅価格は、国内のハイテクおよび工業化地域(ボストン 355,000 ドル、ワシントン DC420,000
ドル、カリフォルニア州サンノゼ 655,000 ドル)に比べて勝っています。メトロデトロイト地域
およびミシガン州の人口の約 50%の消費者物価指数(商品およびサービスの価格レベルの統計
的推定)は、常に国内平均を下回っています。
有利なロケーションと物流
ミシガン州は、有利な中部アメリカに位置しています。イリノイ州のシカゴとカナダ
のトロントへは、デトロイトから車でほんの数時間です。インターステイトハイウェイ I-75 は、
ミシガン州と南フロリダ間の主要産業地域とミシガン州の企業をつないでいます(クライスラ
ー、フォード、GM などの自動車 OEM の製造施設や、トヨタ、ホンダ、日産やそれらの部品
メーカーを含む米国で事業を行う数多くの OEM の製造施設を含みます)。インターステイトハ
イウェイ I-94 は、カナダのウィンザーとのデトロイトの東国境から、米国の西海岸までずっと
続いています。ミシガン州のハイウェイシステムは、3 本の車道橋と1本の車道トンネルによ
りカナダへとつながっています。
ミシガン州には、19 の空港、広範な鉄道網、セントローレンス水路を通じての大西洋
への航路など、数多くの効率的で便利な接続があります。最近、拡張および近代化されたデト
ロイトメトロ空港は、国内で最新の国際ターミナルで、15 カ国、130 を超える都市へ毎日直行
便を運行しています。デトロイトからは、名古屋、大阪へ 1 便、東京へ毎日 2 便の直行便が運
行しています。
ミシガン州には、これらの様々な交通網とともに、最先端の倉庫業および物流サービ
ス業が存在します。
強力な労働力
ミシガン州の労働人口は、いまや 5,400 万人を超え、31 の他州の人口を上回っていま
す。ミシガン州には、自動車産業やヘルスケア産業の大規模雇用者により支えられた堅調な労
働市場により、高学歴で経験豊富な技術者が数多くおり、技術者やその他の特殊技能を有する
労働者の供給が絶えずあります。ミシガン州には 65,000 人の自動車研究開発者がおり、技能を
有し教育を受けた労働力は、ハイテク雇用に関して国内第 4 位にランクインされています。
高い教育レベル
ミシガン州には、米国で最も有能な人材を輩出する 15 の公立大学、51 の独立した総
合大学および単科大学、29 のコミュニティカレッジがあります。ミシガン州は、一年あたりの
技術系卒業生数において、国内第 4 位です。ミシガン大学やミシガン州立大学などのミシガン
州の教育機関は、一流の技術プログラムを提供する他に、法律、ビジネス、農業、医学、その
他の科学におけるプログラムで世界的に知られています。
5
豊富な資源
米国で最大規模の 4 つの湖(五大湖としても知られています)に囲まれているミシガ
ン州は、米国の東海岸全体よりも長い沿岸線とハワイよりも多くの公共のビーチを有していま
す。ミシガン州には水域から 6 マイル以上離れた、又は五大湖のいずれかから 85 マイル以上離
れた場所がありません。五大湖は米国の 90%、世界の 20%の淡水資源を構成しています。
ライフスタイル
米国での長期滞在が必要とされる日本人のビジネスエグゼクティブにとって、ミシガ
ン州は、居住および家族を育てる場所として比類ない場所です。ミシガン州には、低い住宅価
格、短い通勤、質の高い学校を提供する手ごろな中規模の都市があります。また、ミシガン州
は、四季折々に娯楽、数多くのアウトドア活動、99 の州立公園が楽しめる中西部有数のアウト
ドアの休暇先として認められています。また、ミシガン州には、国で 4 番目に裕福なオークラ
ンド郡があり、サックスフィフスアベニュー、ニーマンマーカス、ティファニー、グッチ、カ
ルティエ、クレートアンドバレル、ノードストローム、ディズニーストアのような有名ブラン
ドがあります。
ツーリズム
ミシガン州の至る所の博物館で、自動車産業と国の歴史が展示されています。グラン
ドラピッズ市のジェラルド R.フォード大統領博物館、ディアボーン市のグリーンフィールドビ
レッジおよびヘンリーフォード博物館、アーバーンヒルズのウォルターP.クライスラー博物館
は、ほんの数例です。北ミシガンには、技術の驚異ともいえる五大湖の強風に耐えるように設
計されたマキノー橋(マイティーマックとしても知られています)があります。マキノー海峡
の東端にあるマキノー島では、20 世紀初頭の中西部の暮らしを垣間見ることができます。島全
体が国の歴史的名所として挙げられており、島での自動車の禁止でよく知られています。ミシ
ガン州は、ゴルフ、プロスポーツ、ハイキング、ウォータースポーツなどのアウトドア活動を
楽しめる素晴らしい場所でもあります。
世界中のどこの国でも同様ですが、ロケーションが成功の鍵です。是非、ミシガン州
を考慮してください。ミシガンには魅力的な点がたくさんあります。
6
II.
米国でのビジネス
米国市場を調査する際、日本の企業は、本市場特有の法律やビジネス上の問題ならび
に考慮すべき点に直面します。以下は、日本企業が本市場に参入する際に考慮すべきいくつか
の要因に関する手短な考察です。
外国投資に対する最小限の規制
いくつかの例外を除き、外国投資、および米国と日本などの外国企業間の戦略的提携
は、連邦、州および地方政府による限定された規制の対象となります。これは、行政指導が常
で、政府機関が外国直接投資を認める前に詳細を承認、協議または検討するその他の国の状況
と対照的でありえます。いくつかの規制はありますが、法律の自発的遵守は強調され、非遵守
に対する処罰は厳しいことがあります。したがって、米国に投資する日本企業は、事業地の政
府の基本的な行政だけでなく、連邦、州および地方自治体の適用される法律および規制を全体
的に把握しなければなりません。
米国政府とミシガン州はそれぞれ、行政、立法、司法の三権を有しています。一般的
に、米国政府は、州間および外国の通商に関与し、ミシガン州は、州自体に直接影響を与える
事項、および州民の私的な契約上の権利や財産権に関与します。合衆国憲法は、権限の多くを
50 の各州に委ねています。
米国で投資を行う日本企業は、日々の連邦政府とのやりとりが、通常、連邦所得税の
支払い、ビジネス移民、輸出入管理に関する事柄、および経済分析局への必要な外国投資家に
よる報告などの事項で構成されると気づくでしょう。ミシガン州では、日本企業は、人事関連
事項や環境遵守などの日々の運営上の問題だけでなく、会社設立、投資奨励策の協議、州所得
税および財産税の支払いなどの事柄について、州政府とやりとりを行うことになります。加え
て、区画要件や特定のビジネスライセンスのような地元の事柄は、郡やその他の地方自治体で
扱われなければなりません。
ミシガン州で事業を行うために必要な許可やライセンスの多くは、ミシガン州の公式
経済開発ホームページ(www.michigan.org)などの公的に運営されているホームページで取り上
げられています。外国投資家は、通常、これらの遵守を補佐する公認会計士、法律事務所、人
材斡旋業者、および様々なビジネスコンサルタントなどの民間コンサルタントを雇います。
外国投資の規制
2007 年 10 月 24 日に発効される 2007 年の外国投資および国家安全保障法と、1988 年の
エクソン・フロリオ法は、外国投資に適用される可能性があります。これらの法により、外国
人による米国での投資または買収案に関して、国家安全保障上の検討が必要とされる可能性が
あり、また、限られた場合においては、米国企業もしくは資産への特定の投資、もしくは買収
を、大統領が阻止または取り消すことができるようになる可能性があります。
米国商務省の経済分析局は、特定の外国投資家に対し、米国での初期投資の完了後、
または新法人の設立後の短期間内に、初期投資調査用紙の記入および提出を義務付けています。
その後の年次調査の提出も特定の投資家に義務付けられています。この調査用紙は、記入が非
常に簡単で、秘密として保たれます。
7
場所の選択および奨励策
米国では、企業は、事業費用、人材を確保しやすいこと、サプライチェーンへのアク
セス、重要なビジネス上の関係に近いこと、生活の質、州の奨励策などの複合的要素に基づき、
事業地を決定します。多くの場合、最終的決断は、産業や市場のニーズなどの複数の背景固有
の状況に基づきなされます。具体的な要件に基づいた決定に関しては、州および地方政府が関
連する状況と指導を提供できます。
ミシガン州は、同州に移転することを決めた企業に対して、特定の産業やプロジェク
トのための特別資金や、税額控除、奨励金などの広範な奨励策を提供します。奨励策について
の情報は、ミシガン州経済開発公社(Michigan Economic Development Corp.)にご連絡ください。
施設/不動産
企業(外国所有の事業を含む)は、財産の取得またはリースを通じて、不動産の使用
権を取得できます。外国企業は、直接または米国の子会社もしくは関連会社を通じて不動産を
取得できます。
会社が不動産を取得する際、土地購入に関する契約は書面でなければなりません。所
有権は、譲渡証書の交付により譲渡されます。譲渡証書は、郡の土地記録への記録により完了
します。取得は、通常、権原保険により保護されます。権原保険は、所有権譲渡の瑕疵や、特
定の開示されなかった使用に関する制限や第三者の請求から保護します。不動産の購入のため
に融資を受けた場合、貸し手は通常、土地記録に譲渡抵当権を記録します。取引を円滑にする
ために仲介業者、権原保険業者、および弁護士が雇われることがよくあります。
米国に投資を行う外国企業による不動産の所有は、一般的には特に規制されていませ
ん。しかし、外国投資家は、特定の報告義務の対象となることがあります。さらに、外国企業
および特定の関連会社による取引により生じた収益の譲渡または処分は、1980 年の外国人不動
産投資税法に基づき特別な源泉徴収義務の対象となることがあります。
不動産の使用に関しては、不動産の購入またはリースの前に使用制限を確認しておか
なければなりません。州は、ミシガン州都市開発サービス事務所(Michigan Office of Service
Development Services)を通じて、事務所の場所の選択過程を円滑化しています。
特に、税額控除や税制上の優遇措置などの奨励策は、特定の場所に事業を設立する投
資家にとって利用可能なことがあります。たとえば、ミシガン州は、ルネッサンスゾーン、ハ
ブゾーン、および環境汚染などの理由で利用されなくなった産業地区などの場所に対し、様々
な奨励策を提供しています。環境汚染などの理由で利用されなくなった産業地区は、利用、利
用の拡大、または再開発のために、環境浄化、再開発、またはその他の特別な対策が必要な場
所を含みます。
入国管理
米国を労働、居住のために訪れるすべての日本人は、ビザを所有していなければなり
ません。米国は、日本人に様々な種類のビザを発行しています。申請手続と要件は、米国訪問
の目的により異なります。米国滞在期間中、日本人は、ビザ申請書に記載のとおり、米国にて
ビザが発行された目的のみの活動をする事に限られます。
8
観光または商用ビザ. 観光客としてのみ、または商談に参加するために米国を訪問す
る者は、有効な日本のパスポートを所有している限り、通常、90 日まで米国に滞在できます。
適格な資格を有する日本国民は、有効なパスポート、復路または以遠のチケットを持
っている場合、ビザ免除プログラムに基づきビザなしで、商用または観光目的で米国を旅行し、
90 日間まで滞在できます。本プログラムを利用する観光客および商用者は、90 日を越えて米国
に滞在したり、ビザの種類を変更したりすることはできません。
ビザ免除プログラムを利用する旅行者は、有効な機械読み取り式のパスポート(顔写
真のあるページの写真下の2本の符号)を所有しなければなりません。さらに、2005 年 10 月
26 日以降に発行されたパスポート所有者は、パスポートに符号化されたデジタル写真がなけれ
ばなりません。
旅行者は、カナダまたはメキシコから陸路で米国へ初入国するためにも免除プログラ
ムを利用することができます。この場合、通関手続地の陸地の国境で入国する際、経済的支払
能力および帰国を意図している外国の住所の証明を提示しなければならない可能性があります。
提示しなければならない具体的な書類のリストはありません。
雇用ビザ. 労働を意図する日本人は、職種を問わず、たとえ非常に短期間であっても、
米国国土安全保障省にまず請願書を提出し、
「承認通知」と呼ばれる書類を取得しなければなり
ません。米国入国前に、申請者は、日本の適切な米国領事館に、その他のビザ申請書類と共に
この承認通知を提出し、雇用を許可するビザを取得しなければなりません。
L ビザ. 日本人が米国に設立された子会社に役務を提供する場合は、役務の種類を問
わず、L ビザを取得しなければなりません。L-1A ビザを取得するには、日本人が日本の親会社
に幹部または上級管理者として少なくとも 1 年間雇用されており、同様の役割を果たすために
米国に来る必要があります。L-1B ビザも同様に、日本の関連会社での少なくとも 1 年間の雇用
が必要で、申請者が、米国では得られない会社の製品に関する高度で特殊な知識または専門的
知識を有する必要があります。
H ビザ. 特殊な専門知識分野の学士を有する外国人で、その分野で雇用される者に対
し、少数の H-1B ビザが毎年利用可能です。H ビザの申請は、毎年短期間しか受け付けられず、
年によっては、申請受け付け期間が数日で終了する事もあります。
L ビザに基づいて日本から米国へ従業員を派遣しようとする日本企業は、時期、要件、
申請者としての特定の従業員がふさわしいかどうかに関して、少なくとも 6 ヶ月前に弁護士に
相談することを考慮すべきです。H ビザまたは L ビザ取得にかかる時間は、個人の状況により
ますが、申請日から承認通知まで 3 ヶ月から 12 ヶ月です。
Eビザ. 日米間の条約に基づき、米国で会社を設立し、米国会社の事業運営を行う、
又は米国事業を運営する為の他の重要技術を提供する日本国民は、Eビザを申請する事ができ
ます。更に、日本会社から米国会社に対する相当の投資をする、又は米国会社と日本会社間で
の相当な貿易を行う事も、Eビザ申請の為の必要条件です。
ビザ申請者に対する法律援助. 弁護士がビザの申請書を提出しなければならないと
いうわけではありませんが、ビジネスおよび法人のビザの申請は、申請手続の複雑さと、関連
政府機関とやり取りを行う移民専門家が有する専門的知識のため、典型的には法律事務所が準
9
備し提出します。申請手続におけるミスは承認を著しく遅らせ、申請の拒絶につながることさ
えありえます。
労働および雇用
最初の地方従業員の採用は、日本人投資家が直面する最初の問題の一つです。地方の
従業員候補者と既に関係がある場合を除き、投資家は通常、人材斡旋会社に相談します。人材
斡旋会社は、通常、予備選別、面接の準備、従業員候補者の就職の交渉などを有料で行います。
特定のポジションに関しては、企業は一時的な職務に、外部委託の従業員または人材派遣サー
ビスを利用することがあります。人材のニーズが不確かな新興企業にとって一時的な人材派遣
が利用可能ですが、ある一定期間後、人材派遣会社は、有料で、一時従業員を正式な社員とし
て直接雇用することを認めることがあります。
法的な観点から、米国の労働市場は、他の市場といくつかの重要な点で異なります。
まず、雇用は通常「退職・解雇自由」です。これは、雇用主または従業員のいずれも雇用関係
を理由または通知の有無を問わず解消できることを意味しています。この一般原則の例外には、
解消事由を定めた契約上の合意、ならびに雇用前の活動を規制し、人種、国籍、性別、婚姻状
況などに基づく解雇を禁止する差別禁止法が含まれます。
次に、ほとんどの米国の従業員は、外国の従業員よりも、雇用による所得、ならびに
医療および追加の年金積み立てのような分野での仕事に関連した諸手当に、より一層依存して
います。政府機関は、失業中などの労働人口の枠外の者にしか所得および医療保険を提供しま
せん。
しかし、従業員の諸手当および労働条件は規制の対象です。賃金は市場動向により左
右されることが多いですが、連邦の最低賃金が設定されており、より高い最低賃金を義務付け
る州や市があります。また、公正労働基準法などの労働法は、残業代を規制し、児童就労を禁
止し、性別に関わらず同等の職には同等の賃金を義務付けています。さらに、社会保障や高齢
者向け医療保険制度など必須の諸手当もあります。
雇用主には、従業員に給与以外の諸手当を提供する場合もあります。給与以外の諸手
当には、入院および医療保険、生命保険、障害保険、有休休暇、ならびに年金制度などが含ま
れます。幹部レベルの従業員は、しばしば利益分配や株式オプション制度に参加しています。
これらが従業員に提供される場合は、適用される法を遵守しなければなりません。
労使関係については、全国労働関係法により、組合を構成する権利が保証されており、
雇用主が組合を威圧することが禁止されています。労働者の過半数が承認すれば、組合が認め
られ、雇用の諸条件を交渉する目的で、従業員の公式な代表となります。米国での組合員数は、
労働力に対する割合および絶対数のいずれにおいても、何年も減少傾向にあります。ミシガン
では、特定産業の組合の評判にも関わらず、政府以外の従業員の 10%しか組合を構成していま
せん。
ミシガンでの資金調達活動
新事業は、当初、同事業への現金注入、装置・機械・技術の拠出を含む資本投資によ
り資金調達されることがよくあります。外国投資の場合、日本の親会社が資本を拠出したり、
社内融資(米国子会社が日本の親会社に元金と利息の支払いを行う)を通じて米国子会社に運
10
営資金を融資したりすることもあります。
負債による資本調達を行おうとする会社のために、州、地方、および全国的な銀行や、
ミシガン州で事業を行っている融資企業がたくさんあります。それらの多くに、日本語を話す
管理職の従業員がおり、日本の顧客に対して利用可能な融資や条件を説明することができます。
米国の銀行は、日本の親会社が新たに設立された米国子会社への銀行融資を保証するよう要求
する場合があります。ミシガン州で事業を行う多くの銀行は、日本の銀行と提携関係を有して
いるため、負債による資金調達を行おうとする日本企業は、日本の主要取引銀行に、その銀行
がミシガン州の銀行と有している関係について問い合わせすべきです。評判の良い日本の銀行
からの紹介は、ミシガン州の銀行との新しい関係を始める効果的な方法となりえます。
資本の自己調達および銀行融資に加えて、日本企業は、米国での当初の事業資金を部
分的に地元の投資家資本から調達することも考慮できます。たとえば、企業の中には、初期資
本の負担を分担すること、または銀行融資確保を支援することに同意するミシガン州の会社と
合弁事業を設立する企業もあります。ベンチャーキャピタリストもまた所有権共有と引き換え
に株主資本の形で資金を提供することがあります。合弁事業のパートナー、およびベンチャー
キャピタリストは、物言わぬ投資家であることもありますが、情報を得る権利やある程度の支
配権を要求することのほうが多いです。したがって、第三者への株式発行による資金調達を考
慮する前に、日本企業は、当該第三者投資家への支配権の損失の可能性を十分考慮し、支配権
の損失より、投資家が会社にもたらす利益のほうが上回るかどうかを検討しなければなりませ
ん。
ミシガン経済開発公社は、ミシガン州で事業を設立する日本企業が利用できる公的資
金に関する詳細を提供できます。
製品/サービスの売買
買主と売主の取引条件は、通常、私的当事者間の私的な交渉および合意により決定さ
れます。特定の材料および商品の販売、ならびに特定の専門的サービスの提供を除いて、米国
での事業は、一般的にほとんど特別な規制の対象とはなりません。
ミシガン州での商品の販売には、統一商事法典のミシガン版が適用されます。国連国
際物品販売条約は、当事者間が契約でどのように合意したかにより、特定の国際的商品販売に
適用される可能性があります。サービスに関する契約は、通常ミシガン州のコモンロー(司法
判断により確立された法律)に準拠します。
米国の契約は、日本企業が日本で使用している契約と異なる場合があり、日本の契約
よりはるかに詳細である傾向があります。たとえば、米国の契約は、ビジネス上の条件を特定
することに加えて、解約権、不履行時の救済、支払うべき損害賠償金の額や種類の限定、紛争
解決地(裁判によるか仲裁によるかなど)の特定、ならびに契約の準拠法などその他の事項を
取り上げる傾向があります。したがって、日本企業は、契約を詳細に検討するだけでなく、弁
護士との関係を築くことも賢明です。日本企業は、特に、長期の供給または購入義務、販売の
独占および販売地域、手数料またはロイヤルティの支払義務、知的財産またはノウハウのライ
センス、不動産の売買またはリース、非競争条項、ならびに秘密保持契約もしくは開示禁止お
よび使用禁止契約などを決定する契約を締結する前に弁護士に相談すべきです。
11
課税
日米租税条約に基づき、ミシガン州の子会社に起因する所得は、米国連邦所得税の対
象となります。また、同条約は、完全所有の米国企業が日本の親会社に支払う配当、利子およ
び使用料の課税は、ほとんど例外なく免除されると規定しています。また、子会社の日本の親
会社は、日本の親会社が米国で恒久的施設を通じて事業を行っていない限り、米国での課税の
対象とはなりません。典型的な移転価格の制限が、完全所有子会社およびその日本の関連会社
間の取引に適用されます。
米国では、課税管轄が、様々な程度の課税権限を有する連邦政府、50 州およびコロン
ビア特別区、ならびに地方の郡および地方自治体間で分けられています。会社の税負担は、会
社が事業を行い課税対象となる所得を得る管轄により異なります。
ミシガン州の会社および他事業体は、ミシガン州単独事業税(Michigan Single
Business Tax)に代わるミシガン州事業税(Michigan Business Tax “MBT”)の課税対象とな
ります。保険会社ならびに金融機関を除くその他の課税対象企業は通常 MBT の内 2 部門-a.
修正総収得税“Modified Gross Receipts Tax”8%および、事業所得税 4.95%に加え、21.99%
の不加税が課税されます。企業の MBT は、環境汚染などで使用されなくなった産業地域の開
発や、指定されたルネッサンスゾーンへの投資等のインセンティブによって著しく税額が控除
されます。
ミシガン州は不動産、動産および販売に課税します。先般の税制改革により、製造業
者は産業動産に課された動産税の 35%相当の還不可能な税額控除を請求する事が可能です。一
般的に製造業者は、製造に使用される原材料および装置の購入に関する販売税から免除されて
います。
輸出入規制
2001 年 9 月 11 日のテロリストによる攻撃以降、連邦政府は、輸出入規制に対して変更
を行いました。日本などの重要な貿易相手との貿易路の保護目的のための連邦政府による監視
および警備の強化により、企業は、米国輸出入規制を学び準拠するための特別な注意が必要で
す。
数多くの日本企業が、日本製製品の輸出促進のためにミシガン州に投資を行っていま
す。これらの企業は、米国での販売または再輸出のために、最終製品またはミシガンの会社と
共同で製造している製品のいずれかを販売しています。ミシガン州で販売、組立、倉庫または
研究開発施設を設立することは、日本企業の米国への輸出の促進を助長できます。
輸出は、米国の税関国境警備局(CBP)に対し適切に申告されなければなりません。
CBP の役人は、法および規制の遵守を確実にするために輸入品を留置し検査することができま
す。正式な「商品の入国」が起こると、
「記録上の輸出者」が必要書類のすべてを提出または電
子的に送信しなければなりません。記録上の輸出者は、CBP が税金を算定し、正確な統計を収
集し、すべての適用される法的要件が満たされているかを判断できるように、商品の入力、分
類、価値の査定の際に合理的な注意を払わなければなりません。規則が複雑で、非遵守の際の
罰則が厳しいため、輸出者は、普通、製品の輸入前に、通関業者、弁護士またはその他のコン
サルタントなどの外部の専門家からの助言またはサービスを求めます。
12
ミシガン州は、日本などの国との国際的貿易関連活動を奨励、促進するために、特に
外国または自由な貿易ゾーン(FTZ)を設立しました。FTZ の手続は、外国産の部品を内蔵する国
内での製造に対する関税障壁を減らすことを目的としています。FTZ は、ゾーン内にあるあい
だ、製造活動で保存、流通、他の外国もしくは国内製品と組み合わせ、または使用される外国
商品に対する米国関税を減少、遅延、または免除できます。FTZ 内の商品が米国の市場に出さ
れるまで、関税または物品税は当該商品に対して課せられません。ミシガンにはデトロイト、
バトルクリーク、スーセーントマリー(Sault Ste. Marie)、ケント-オタワ-マスキーゴン郡、セント
クレア郡、およびフリントの 6 つの主要な FTZ 地域があります。ミシガン州の FTZ は、合わ
せて、年間の出来高(2005 年 60 億 4,000 万ドル)と FTZ サービスを利用する企業数(2005 年
51 カ国)で、米国内のトップクラスです。
主要な米国輸出管理法は、国際武器輸出規則、外国資産管理規則、および米国輸出管
理規則です。米国国務省の防衛通商管理総局が、国際武器輸出規則を管理し、一般的に、防衛
に関する武器およびサービスの輸出を規制します。米国財務省の外国資産管理局は、外国資産
管理規則を管理し、一般的に米国産の商品およびサービスのすべてを、戦略的または軍事的に
重要でなくとも規制します。米国財務省は、主要な被制裁国および特別な管理対象となるその
他の地域のリストも管理しています。米国商務省の産業安全保障局は、輸出規制を管理してい
ます。一般的に、当局は、民生用および軍事用途の両方を有する「二重用途」の商品および技
術の規制に関与しています。米国から高度技術の品目(化学薬品、微生物、毒素、ハイテクソ
フトウェアおよびコンピュータ技術、電気通信、ならびにナビゲーションおよび航空電子工学
装置を含む)を輸出しようとする日本企業は、輸出規制に精通していなければなりません。知
識不足は弁護にはならず、不注意な輸出者にとって多くの落とし穴があります。非遵守は、厳
しい罰則(輸出活動の禁止を含む)につながり得るため、輸出者が、特定の品目の輸出および
会社内の遵守手続の作成について、ライセンスを受けた通関業者および/または法律事務所に
相談するのが通例です。
危機管理
日本企業は、財産および事業を保護するために、また、第三者による訴訟から保護す
るために、計画を立てる必要があります。適切な法人管理体制や内部手続の策定に加えて、多
くのこれらの法的責任から保護するための保険商品が利用可能です。
一般的に、日本企業は危機管理に関して以下を考慮すべきです。
{
破壊や窃盗から施設、設備および在庫を保証する動産損害保険の取得
{
第三者に対する法的責任(たとえば従業員による訴訟、製造物責任の請求な
ど)を保証する損害賠償保険
{
有害および規制対象材料の保存、使用ならびに処分に関する事項についての
適切な社内手続および責任の設定、人材管理、事業記録の適切な文書化、書
類整理および保管
{
製品およびサービスが、製品のラベル付け、安全やその他の基準に関する業
界の要件を満たしていることの確認
{
事業に影響を与える可能性のある為替レート変動に関する計画
13
{
契約に基づく会社の義務の十分な検討、および重要な契約に関しての法律ア
ドバイザーへの相談
危機管理および管理体制の事項に関し、ミシガン州で投資家を支援できる日本語を話
す専門家が増えています。
14
III.
(ミシガン州を通じての)北米および世界市場への参入
米国市場へ参入しようとする日本企業は、米国での存在を確保するためにいくつかの
選択肢があります。
{
北米市場に対して日本産の製品をマーケティング、販売および流通するため
の営業担当もしくは販売代理店として、または北米でのライセンス製造業者
として米国企業を任命する
{
米国に完全所有子会社の法人を設立する
{
合弁事業として運営するために事業提携者と米国会社を共同で設立する
{
米国企業と戦略的提携を契約として締結する
{
物言わぬ投資家または積極的な投資家として既存の米国企業に投資する
{
既存の米国企業を買収する
投資家が選ぶ選択肢は、投資家にとって利用可能な資本、米国で事業を行うことに関
する投資家の既存のノウハウ、戦略的事業目標や、利用可能な機会などの要素によって、通常
決められます。
営業担当、販売代理店、ライセンス製造者
日本企業のための具体的な市場やその他の事業戦略には以下が含まれます。
営業担当および販売代理店. 日本やその他の外国製造者は、普通、製品のマーケティ
ング、販売および流通のために米国の販売代理店または営業担当を任命します。営業担当また
は販売代理店は、その業界に関係する地元の組織でなければなりません。ミシガン州の法律は、
営業担当および販売代理店との契約に関して柔軟です。任命は、独占または非独占でも可能で、
期間、手数料およびその他の条件は当事者間で自由に交渉できます。
日本企業は、米国の営業担当および販売代理店を支援するために、ミシガン州での子
会社の設立を考慮することもできます。日本企業の現地子会社は、現地の工学技術および技術
サポートにより、販売、メンテナンス、および修理のサービスを直接支援するとともに、マー
ケティング活動に参加できます。
ライセンス製造または組立. 北米および世界市場向けの特定の製品に関して、ミシガ
ン州は、日本企業が現地の要件に合う製品を生産、製造、または組立できる最適なロケーショ
ンとなりえます。高度な技能を有し、世界的に認められたミシガン州の製造および技術に関す
る労働力に加えて、ミシガン州が北米の顧客(ミシガン州で事業を行う主要なアジアや EU の
15
企業を含む)に近いこと、世界的な流通ルート、最先端の物流、倉庫業、ロボット工学、自動
化、ならびにその他の生産および製造技術も、国際的なまたは新興の日本企業にとって戦略的
な利点となりえます。日本企業は、日本企業に対して支払われるロイヤルティと引き換えに、
ミシガン州を拠点とする製造者に日本企業の製品の製造をライセンスすることによって、また
はミシガン州で製造を外注することによって、またはミシガン州に製品製造のための完全所有
子会社または合弁企業を設立しライセンスすることによって、ミシガン州の付加価値のついた
生産能力を利用できます。日本企業によっては、ミシガン州で組立を行うことから始め、現地
の事業を部分的製造や完全製造へ、時間をかけて拡大していくこともできます。
(ミシガン州からの)米国およびカナダの販売の管理. カナダはミシガン州の最大の
貿易相手です。米国の他州やカナダに対するミシガン州の地理的位置と産業上の関係により、
ミシガン州を、北米事業の中心として選択することが論理的です。
完全所有子会社の設立
日本企業の子会社または米国の他の関連会社が米国での事業を所有する場合を除き、
通常、日本企業は、法人企業の形式で米国に事業を設立します。法人を設立するには、定款を
準備し、適切な州の機関に提出しなければなりません。ミシガン州では、商業サービス局(Bureau
of Commercial Services)です。ミシガン州法に基づき、定款には以下が記載されていなければな
りません。
{
法人名
{
訴状送達がなされるミシガン州における居住代理人名および登録事務所
{
法人の事業の一般的な性質の説明
{
法人の存続期間
{
発行される株式数および種類
{
設立者の氏名および事務所または自宅の住所
{
終了、資産の分配、解散、および設立者が含むことを決定したその他の事項
に関する設立者間の合意事項
会社設立は簡単で比較的低コストです。基本的なミシガン州の法人は、ミシガン州の
法律事務所の助力により、数日間、わずか数千ドルで設立できます。日本の投資家は、以下の
ような問題に関して、ミシガン州の銀行だけでなく、弁護士、税務および財務アドバイザーと
協議すべきです。
16
{
税務計画
{
米国で就労する日本人のための移民手続
{
現地採用のための労務および雇用慣習ならびに法律
{
事務所またはその他の事業スペースに関する現在抱えている問題
{
現地のビジネスライセンス要件
{
商標の保護および架空名の登録
{
外国投資家が利用できる奨励策
{
銀行取引要件と利用可能なサービス
既存の事業への投資および合弁事業
日本企業は、米国市場参入に必要とされる時間や必要な資本を減少させるだけでなく、
既存のノウハウ、人材、装置およびその他の戦略的価値を得るために、既存の米国企業への投
資もしくは買収、または米国企業との合弁事業の設立を選択することがあります。また、合弁
事業は、費用を削減し、市場への参入または製品開発を早めることもあります。
合弁事業/戦略的提携
一般的に、合弁事業は、一つの事業目標を達成するための二者以上の当事者間の共同
事業に関する取り決めです。戦略的提携などの契約上の取り決め、共同研究開発プロジェクト
もまた合弁事業とみなされます。
日本企業は、合弁事業が資本、技術、装置、人材、販売および流通網へのアクセスを
得るための都合のいい手段と考えるかもしれません。合弁事業は、戦略的長所を分け合うこと
から生じる相互利益を日米両方の企業にもたらすことができます。ミシガン州の法人との合弁
事業は、日本の世界市場への参入過程を簡略化できます。たとえば、新しい日本の自動車技術
とミシガン州の自動車関連の背景により、日本とミシガン州の会社間の合弁事業は相互に有益
なものとなるでしょう。
米国企業への投資
米国企業は、戦略的理由や経済的理由で日本企業による投資を求めることがあります。
たとえば、再編が行われている市場におけるミシガン州の企業は、既存の負債を減らすため、
施設改良の資金調達のため、または事業や製品開発の資金調達のために追加の資金を必要とす
ることがあります。ミシガン州の企業の中には、株式投資家が、負債による資金調達より経済
17
的な会社の資金源となる場合もあります。状況によっては、ノウハウまたは新しいビジネス関
係という点で、投資家が事業にもたらす戦略的価値があるため、日本の企業が株式投資家とし
て好まれることがあります。
日本の企業にとって、ミシガン州の企業への株式投資は、キャピタルゲインのチャン
スだけでなく、潜在的戦略パートナーや買収の標的会社との関係を始めるきっかけともなりま
す。たとえば、ベンチャーキャピタル投資、経済的に困窮した企業への財政援助またはその他
のシナリオに関わらず、ミシガン州の法律では、未公開株式の取引を行う戦略的投資家に対し
て、数多くの非常に創造的な法的手段を認めています。多くのミシガン州の企業は、株式市場
に上場しています。日米の株式市場は、非常に異なる可能性があるため、日本の投資家は、潜
在的投資を調査する早期の段階で、ファイナンシャルアドバイザー、税務コンサルタントおよ
び弁護士に相談することが賢明です。
米国企業の買収
日本の企業は、公開買収で資本市場を通じて、または買収者と標的企業の所有者間で
の非公式交渉取引の結果として、米国企業を買収できます。外国投資家を含む上場および非上
場の米国企業の買収は一般的です。
企業買収の過程は、通常、投資銀行などのファイナンシャルアドバイザー、またはコ
ンサルティング会社の財務顧問サービスを雇うことから始まります。アドバイザーを選ぶ際日
本の企業は、そのアドバイザーが標的の米国市場だけでなく、日本企業の既存の市場、その経
営および事業文化に精通しているかについて十分検討しなければなりません。アドバイザーが、
買収の様々な段階を通じて投資家に指導をすることはよくあります。
米国企業は、多くの状況下で日本企業による買収を求めることがあります。
{
家族所有もしくはその他の閉鎖的企業の所有者または経営陣が、退職すると
ころで、事業を継続する後継者またはその他の適任者がいない
{
経済再編が、会社を困難な財務状況に追い込んだ
{
さらなる研究開発、施設の拡張、海外への拡張、追加資産の取得、またはそ
の他の戦略的便宜に必要な資本注入を提供する新しい、もしくは追加の所有
者を経営陣が望んでいる
買収取引において、手続の早期に、また、正式な交渉を開始する前に弁護士に相談す
べきです。ファイナンシャルアドバイザーは、通常、取引の様々な法律、財務および事業上の
18
側面を管理するため、また、標的企業、その資産、負債、所有権、経営および事業のその他の
側面のデューデリジェンス調査などのサービスを提供するために、弁護士、税務アドバイザー、
およびその他のアドバイザーやコンサルタントとチームとして協力します。買収のための取引
費用は高額になりえますが、買収はいくつかの日本企業にとって米国市場へ最も早く効率的に
参入する方法でもありえます。
19
IV.
事業および文化的環境
文化は日米を問わず商慣行に浸透しています。文化の違いは、適切に対処されなけれ
ば、克服しがたい障害となりえます。したがって、日本企業は、日米のビジネス文化の類似点
および相違点を理解するためには時間をかけて注意をすることが賢明です。以下は、類似点と
相違点の考察です。
{
ビジネス取引でのアプローチの違い. 日本のビジネスマンは、過程を重んじ、
「全体像」を見る傾向にありますが、アメリカ人は、典型的に非常に戦略的
で、詳細に焦点を置き、結果を重んじます。
{
専門家のサービスへの重度の依存. 米国での事業が比較的複雑であること
から、企業は、事業を行う際、仲介業者、コンサルタント、アドバイザー、
弁護士などの専門家に非常に頼ります。専門家のサービスを利用する利益は
しばしばその費用を上回ります。調査と準備の欠如、および規制の非遵守の
金銭的ならびに事業的な結果が深刻であるため、米国を拠点とする企業は、
専門的なサービス提供者の費用を事業を行うための必要経費の一部とみなし
ています。
{
法に対する依拠. アメリカ人は、予見可能性と危機管理のために、また標準
的な過程として法律に関心を向けています。日本のビジネスマンや企業は、
米国企業がビジネス上の取り決めを行う際、法律および法的手続を忠実に守
ることを予期しなければなりません。
{
評判の重要性. 日本と同様、米国企業は、ビジネスコミュニティでの評判を
大事にします。したがって、本市場で新たに事業を始める際、外国企業は、
その行動が及ぼす長期間の評判に対する影響を考慮することが重要です。米
国では、良い評判は、堅実経営、透明性、予見可能性、公正取引により得ら
れます。
{
ビジネスと文化の規範は、業界と地域に特有である. 事業を行う際、日本企
業は、業界と地域固有の規範に敏感でなければなりません。
「米国は、人種の
るつぼだ」という表現は、米国の文化の多様性を示すよく知られた表現です。
文化とビジネスの規範に対する深い理解が、日本企業の事業に好影響を与え
ます。良い評判は、企業と取引をする際の他者の良い経験から生じることが
多く、良い経験の大半は、規範の遵守と文化の相違への敏感さにより生じま
す。
{
関係をあまり強調しない. 日本では、ビジネスは関係から生じます。米国で
は、関係はビジネスから生じます。日本と同様に、顧客、取引関係者、およ
び従業員との良好な関係は、米国での企業の成功にとって重要です。しかし
ながら、関係があるからといって、当事者が市場および法的約因に基づいて
得る権利のあるものの要求を慎むとは限りません。したがって、外国企業は、
関係を築くと共に、契約に依拠する文化に適応しなければなりません。
20
ミシガンの日本関連団体
デトロイト日本商工会:原動力
デトロイト日本商工会(JBSD)は、1973 年にデトロイト日本人会として発足し、教育
やコミュニティの問題を超えた活動に拡大する必要性が増したことにより、1973 年に設立され
ました。JBSD は、商工、広報、文化、スポーツおよび教育の 5 部会で構成されています。会
員数は 1,520 人(法人会員数 232 社、個人会員数 40 人)です。JBSD は、ミシガン州の日本人コ
ミュニティでビジネスおよび社会活動において非常に重要な役割を果たしています。JBSD は、
年間を通して、多様な話題に関する公開セミナー、および文化やスポーツ等のイベントを主催
しています。
グレーターデトロイト・ウィンザー日米協会
1989 年に設立されたグレーターデトロイト・ウィンザー日米協会は、17 年以上、日本
人、アメリカ人およびカナダ人のビジネスマンを結び、地元のコミュニティで欠かせない役割
を果たしてきました。会員は、地元のアメリカ、日本およびカナダの製造業者、研究開発事業、
貿易会社、運輸会社、主要銀行、公益事業、会計事務所および法律事務所を代表しています。
会員たちは、この地域で事業を行うアメリカ人、カナダ人、日本人間の友好関係を深めること
に熱心です。同会は、全米日米協会連盟のネットワークの一部です。
西ミシガン日米協会
1999 年に設立された西ミシガン日米協会は、西ミシガンでの日本人およびアメリカ人
コミュニティの両方の発展のため、文化、ビジネス、教育および社会的情報交換の促進に尽く
しています。同協会は、日本からミシガンに赴任した人たちへのミシガン州のもてなしの心を
示すため、その地域の日本企業、ならびにその米国供給業者、顧客およびサービス機関と協力
しています。日本に関する情報、指導および研究の価値ある源である同会は、ミシガン州の単
科大学や総合大学と協力し、西ミシガンに住む日本人とアメリカ人がお互いに理解を深めるた
め、講演会、展示、情報資料、出版、文化および社交行事などの活動を開催しています。同会
は、全米日米協会連盟のネットワークの一部です。
21
V.
事業の開始/利用可能な資源
日本の企業が米国市場を調査すると、日本企業と協力することに前向きかつ意欲的な
様々な政府機関、非政府機関、民間企業に気づくでしょう。この十分に成長した市場には、企
業の成功に大きく貢献する広範且つ特化した専門的サービスが多数あります。トップクラスの
専門家のサービス料は高額になる事もありますが、それらのサービスは、米国で事業を行う上
で不可欠で、事業費用の一部であると考えるべきでしょう。時々、自己で事業を行うことを選
択し、なんとかやっていける企業もありますが、そのリスクは大きなものです。会計、税務お
よび法的義務の非遵守は、高額な罰金、罰則および金銭債務につながる可能性があるなかで、
ビジネスアドバイザーや経営コンサルティングなどの専門家のサービスは、企業の成功に好影
響を与えます。以下に、日本人企業に提供されるサービスを説明します。
経済開発機関
投資、奨励策および市場参入支援に興味がある日本企業は、米国市場調査の早期段階
で、経済開発機関に連絡し共に働くべきです。経済開発者は、外国投資家のニーズに対応し、
具体的な現地の奨励プログラムやその他の投資支援などの市場に関する客観的な情報を提供す
るため、極秘で働くことに専念する事務所と人員を維持しています。これらの機関は、提携企
業候補の紹介も行っています。経済開発局は、政府機関である場合とそうでない場合がありま
す。ミシガン州では、経済開発に専念している州の機関は、ミシガン経済開発公社です。さら
に、地域、郡および市に拠点のある経済開発局や機関があります。
米国商務部
米国商務部は、米国商務省の国際貿易局の貿易促進部門です。その主要な目標の一つ
は、日本などの外国市場に製品を輸出する際に米国企業を支援することです。米国商務省の「米
国への投資」イニシアチブに従い、米国商務部は、米国への外国直接投資を促進、助長し、外
国政府および潜在的投資家に接触しています。米国商務部の貿易スペシャリストは、全米 107
都市と、日本を含む 80 カ国に駐在し、米国での事業および投資チャンスの調査時に、関連情報
を提供し日本企業を支援します。
金融機関
米国の金融システムには様々な機関(たとえば、信用組合、貯蓄貸付組合)がありま
すが、米国で事業を行う企業には商業銀行が最もよく利用されています。たいていの大手銀行
は、金銭の受け渡しのための当座預金口座、外国為替サービス、輸出入融資の支援、事業拡大
または日常の運転資金の融資など、北米で事業を設立する外国事業を支援するための様々なサ
ービスを提供しています。銀行は、保険、投資およびその他の関連ビジネス商品による支援も
行っています。また、外国企業の子会社設立の際のコンサルタントも務め、他のサービスプロ
バイダーや潜在顧客への紹介を行うこともできます。銀行は、商用の銀行業務に加えて、法人
顧客の従業員に対し、クレジットカード、当座預金口座、住宅購入支援のための融資など、個
人に対する金融サービスを提供します。
銀行は、新しい顧客との関係を築く際、企業の事業およびその計画について知りたが
22
ります。新しい顧客は、企業の基本的情報、その財務諸表および事業計画を分け合う準備が必
要です。ミシガン州の銀行は、地域の多様な経済組織との協力により、銀行の顧客や依頼人へ
の理解と、ミシガン州の国際企業と協力してきた銀行の歴史とを組み合わせ、顧客の事業と人
材のニーズに固有の解決策を提供することが可能です。ミシガン州には、日本企業へのサービ
ス提供に専念した専門家のスタッフがいる銀行もあります。
ビジネスアドバイザー、コンサルタントおよび仲介業者
ビジネスアドバイザーやコンサルタントには、会計事務所、経営コンサルティング、
投資銀行、法律事務所、仲介業者、およびその他のサービスプロバイダーが含まれます。
{
企業の監査、税務およびコンサルティング業務を行う会計事務所。会計事務
所は、その規模および専門知識において異なります。日本企業は、最も満足
できる企業を選ぶべきです。その際日本企業は、国際会計および税制に関し
て専門知識を有する事務所を選ぶ必要があります。
{
経営コンサルティング会社は、企業の業績向上のため、既存事業での問題や
将来の計画作成についての分析を通じ、企業を支援します。経営コンサルテ
ィングには、最優良事例の特定および交換、分析テクニック、戦略作成、事
業への関与、スキル指導、または技術の推進などが含まれることがあります。
{
投資銀行は、主要市場で株式を発行および売買することにより、合併、買収
やその他の種類の財務取引に関して、戦略的アドバイスのサービスを提供す
るだけでなく、資金調達のために、企業、政府およびその機関を支援します。
投資銀行は、資本市場(株式および負債の両方)で資金調達をする際に、上
場および非上場企業を支援します。
{
法律事務所は、法律が企業の事業および運営にどのように適用されるかにつ
いて企業に助言を行います。米国では、企業は、訴訟がある時だけに法律事
務所を訪れるわけではありません。法律業務は、法人の設立、税務計画、契
約交渉、法的義務の遵守から、労務および雇用、ならびに知的財産の保護に
至るまで、企業のライフサイクル全体をカバーします。会計事務所と同様、
法律事務所は規模が異なります。日本の企業のビジネス文化やニーズを理解
した法律事務所が、最も良く日本企業を代理することができます。
{
仲介業者は、業界の慣習が比較的複雑であるため、様々なビジネスの取引を
支援します。仲介業者の例は、不動産、保険および株式仲介業者が挙げられ
ます。
{
米国で事業を行う日本企業は、給与計算、採用活動、人事、メンテナンスサ
ービスなどのその他のサービスを必要とするでしょう。事業の過程や手続が
比較的複雑であるため、中小規模の企業は、必ずしもこれらの過程を社内で
処理できるとは限りません。したがって、特定の業務をより費用効率よく行
えるこれらのサービスプロバイダーの市場が存在します。
これらの専門的サービスの会社を雇うには注意深い調査が必要です。日本企業にとって、
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適切な専門知識を有し、妥当な価格帯で、日本企業の特別な文化的およびビジネス上のニーズ
を理解する会社にサービスを依頼することが重要です。
事業者団体
日本企業は、産業内でのネットワークやビジネス関係を築いたり、関与したりする為、
事業者団体に参加し、その様々な活動に参加することができます。たとえば、ミシガン州では、
地域の事業者団体(デトロイト地域経済パートナーシップや、州全体の商工会議所など)、コミ
ュニティを中心としたビジネス団体(デトロイト日本商工会など)、業界団体(ミシガン自動車
産業団体(Michigan Automotive Industry Association)など)、またはグランドラピッズ家具製造業者
団体(Grand Rapids Area Furniture Manufacturers Association)、および特定産業の一部を中心とした
団体(原部品供給業者団体(Original Equipment Supplies Association)や自動車技術会など)があ
ります。これらの団体は日本企業の参加および会員を歓迎しています。
ワーナー・ノークロスについて
当事務所は、顧客の事業を理解し、複雑な法律問題の解決のために、顧客に合わせた
良心的かつ実用的な法律上のソリューションを提供することに専念しています。二ヵ国語を話
し、両文化を熟知した当事務所のチームは、日米両国の顧客が、グローバルな市場で文化の違
いや法律問題を乗り越えるための架け橋となり、事業を成功へと導くよう法的サポートを提供
いたします。
当事務所は、1931 年ミシガン州で設立されました。今日、200 人を超える弁護士がミシ
ガン州及び世界中の 5,500 を越える顧客に法律業務を提供しています。当事務所は、日本、中国、
韓国、インド、メキシコ、ブラジルおよび EU 加盟国を含む 100 カ国近くの主要な独立法律事
務所の協会であるテラレックス®の会員です。テラレックス事務所は、日本では東京と大阪に
あります。
当事務所は、ミシガン州に古くから根ざしていること、また、米国で最も「技術に精通
した」法律事務所のうちの一つであるという名声を誇りに思っています。大手法律事務所とし
て、当事務所は、多くの顧客企業と同様、競争の激しいグローバルな市場動向に直面しており、
競争力およびサービス向上のために常に新たなアイデアを取り入れるよう努力しています。
免責
本資料(以下、「資料」)は、一般的情報のみを含んでおり、出版社、監修者、執筆者お
よびその他の寄稿者(関係者を含む)は、これらの「資料」によって、会計、事業、財務、投
資、法律、税務またはその他の専門的アドバイスやサービスを提供しているわけではありませ
ん。これらの「資料」は、これらの専門的なアドバイスやサービスに代わるものではなく、貴
社の事業に影響を及ぼしえるいかなる決断または行動の根拠として使用されるべきではありま
せん。貴社の事業に影響を及ぼしえる決断または行動を行う前に、資格を有する専門的アドバ
イザーに相談すべきです。上記のいずれも、これらの資料に依拠した人物が被った損失に対し
責任を負わないものとします。
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