キヤノン

キヤノン
会社概要
メラ、マルチメディア・プロジェクターといった
さまざまなデジタルイメージング製品を販売してい
キヤノン株式会社(Canon Inc.; 以下「キヤノン」
る。2005年には、インド全土で、さまざまな製品カ
と表記)は、カメラ、プリンター、コピー機、光学
テゴリーで、85種類ものデジタルイメージング製品
製品および産業機器といったさまざまな製品の開発
を新たに発表した。同社は、ISO 9001:2000の認定
および販売を主たる事業としている。創業以来、同
を取得しており、インド国内7都市に拠点を置き、
社は順調に成長を続け、世界180ヵ国で184の連結
400名を超える従業員を擁している。
子会社と10万8,000人を超える社員を擁する会社と
なり(2004年現在)、2005年12月期の年間売上高は
キヤノン・インディアは1997年に設立された。同
社のデジタルイメージング製品の顧客は35万人を超
318億ドルであった。
えている。キヤノン・インディアでは、流通および
インドにおけるキヤノン
チャネルのネットワーク化に注力しており、インド
の300もの地域に281のチャネル・パートナー、194
キヤノン・インディア(Canon India Pvt. Ltd.)は、
の小売パートナー、19ヵ所のキヤノン・ケアセンタ
キヤノン・シンガポールの全額出資子会社である。
ー、100ヵ所を超える公認サービスセンター、それ
キヤノンは、デジタルイメージング分野における世
に2,700を超えるIT・カメラ・家電の流通業者を有し
界的リーダーであり、複写機やファクシミリ、プリ
ている。同社の2005年度の総売上高は、2004年度
ンター、多機能周辺機器、スキャナー、デジタルカ
と比較して18%増の6,930万ドルであった。
2005年度キヤノン・インディアの受賞実績
主催メディア
ベター・フォトグラフィ誌
(Better Photography)
• カメラ・オブ・ザ・イヤー(消費者向けベスト・デジタル SLR) - Canon EOS 350D
• ベスト・デジタル・コンパクト- 消費者向け/ 8MP以下 - Canon A620
• ベスト・レンズ / プロ用 - Canon 100mm Macro
• ベスト・デジタル / プロ用 - Canon 1DS Mark
• ベスト・フォト・プリンター - Canon iP6000D
VARインディア誌(VAR India)
• ベスト・デジタル・イメージング・カンパニー
アジア・フォトグラフィ誌
(Asian Photography)
• ベスト・オールインワン・プリンター- Canon
• ベスト D-SLR (消費者向け) - Canon EOS 350D
チップ・ベストプロダクツ・
オブ・ザ・イヤー
(Chip Best Products of the Year /Chip誌)
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主な製品とサービス
•
•
•
•
MP180
PowerShot S2IS
PowerShot S70
IXUS 50
(出所:キヤノン・インディア)
成功の要因
消費者向け戦略の採用と新製品の発表
小売市場での展開
キヤノン本社では、インドの小売市場は今後数年
2005年4月、キヤノン・インディアは、消費者中
間で世界最大のマーケットになる可能性があるとい
心のコンシューマ・セントリック戦略を採用し、初
う認識を持っている。そのため、3つの事業領域の
期の「PC中心(PCセントリック)」からデジタルイ
小売市場での展開を強化させる方針を決定した。3
メージング・エンターテイメントへとフォーカスの
つの領域とは、IT、写真、オーディオビジュアルで
転換を図った。この年、キヤノン本社では、この戦
あり、以下は同社の戦略推進策である。
略の一環として、さまざまなカテゴリーで28の新製
品を発表しており、デジタル技術分野でのプレゼン
ス向上を目指した。
キヤノンITイメージング・ゾーン
キヤノンITイメージング・ゾーンは、キヤノン・
インディアのIT小売店のモデルである。現在、国内
この新戦略に沿って、キヤノン・インディアは、
に140 ヵ所のITイメージング・ゾーンがあるが、
デジタル・カムコーダーやデジタルカメラ、プロ
2006年12月までには300ヵ所に増設される予定。キ
ジェクター、プリンターなど複数のセグメントで、
ヤノンでは、この種の小売ステーションは、IT製品
テレビと接続可能な製品の開発および発表を過去
と触れあい親しむ機会を消費者に提供できると考えて
数ヶ月間にわたって行った。結果的に、およそ
いる。
850万人のテレビを基盤とした顧客層に到達する
ことに成功した。同社では、製品の多様性の拡大、
市場シェアの獲得および市場への浸透により、今
後数年間で成長が加速されるものと期待している。
キヤノン・デジクリック・ゾーン
キヤノン・デジクリック・ゾーン(CDZ)は、キ
ヤノンの写真店で、デジタル写真のプラットフォー
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ムを消費者に提供している。現時点のデジクリッ
メラとデジタル複写機分野でナンバー2の位置にい
ク・ゾーンの数は34ヵ所だが、キヤノンでは2006
る。インドの東部と南部では、すでにナンバー・ワ
年12月までには100ヵ所に拡張する予定。
ンの位置を獲得している。
ホーム・シネマ・センター
今後の計画
プロジェクターの領域では、「ホーム・シネマ・
センター」のコンセプトも大成功を収めている。
見事な業績を上げてきたキヤノン・インディアで
2005年現在、キヤノン・インディアは、ホーム・シ
は、今後もさらなる成長戦略を描いている。2006年、
ネマ・センターの数を現在の7ヵ所から18ヵ所に拡
同社では次のような目標を設定した。
張の予定。
・ デジタル・コピーの分野ではトップだが、他の分
キヤノン・エクスペリエンス・ゾーン
キヤノン・エクスペリエンス・ゾーンは、お客さ
んに全てのキヤノン製品ラインの「体験」を満喫で
野でも同じようにトップを目指す
・ デジタルカメラの分野は、国内全域でのリーダー
を目指す
きる小売り専用ショウルームである。この店舗では、
・ 売上高を8,000万ドルに拡大する
消費者にインタラクティブでインフォーマティブな
・ アフターサービスとカスタマー・サポートの改善
経験を提供する。現在、このようなショウルームは
国内に2ヵ所あるが、2006年12月までには12ヵ所に
拡張の予定。
小売ネットワークの拡大
同社の2006年における小売関連の展開努力は、全
を図る
・ A4サイズの初心者向けカートリッジ式製品の分
野で10%の市場シェアを獲得する
アフターサービスと
カスタマー・サポートの改善
国の小売チェーンでのプレゼンスを高めるという観
キヤノン・インディアでは、さまざまなチャネル
点から展開される。同社では、この点についてはす
を通じてアフターサービスとカスタマー・サポート
でに進行中で、近々タイアップについての発表があ
を改善する計画で、下記はその活動の一部である。
る。計画では、今年中に少なくとも12の小売チェー
ンと関係を持つことになっている。
キヤノン・ケアセンター
キヤノン・インディアでは、キヤノン・ケアセン
リーダーシップの発揮
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ターと呼ばれる専用サービスセンターを設置してお
キヤノン・インディアは、2006年第一四半期に前
り、顧客はこのセンターに連絡するだけで、サービ
年同期比で35%成長した。デジタルカメラ市場での
ス上のあらゆるニーズを満たすことができる。この
シェア1%から、同社のパイのシェアは2005年に
センターの設置により、迅速なサービスと顧客ごと
26%まで拡大した。同社は、現時点で、デジタルカ
の個別対応サービスが可能となる。さらに訓練を受
けたエンジニアが修理や問い合わせに対応する。こ
のセンターでは、キヤノンの顧客に専任の担当者を
就けるだけでなく、消耗品およびアクセサリーの販
売も行う。
キヤノン・インディアでは、ウダイプールやチャ
ンディーガル、インドール、スーラト、コチン、ハ
イデラバード、パトナ、ブバネシュワル、ランチー
といった全国各都市のおよそ32ヵ所にキヤノン・ケ
アセンターを開設する計画である。このうちすでに
18ヵ所で設置されている。
モバイル・オンサイト・サポート(MOSS)・バンサービス
キヤノン・インディアでは、モバイル・オンサイ
ト・サポート(MOSS)、バンサービスの実施を計画
中で、これは連絡があれば、顧客の自宅に直接訪問
するというサービスである。これにより、顧客に、
より良いサービスをより迅速に提供することが可能
となる。当初、MOSSバンは、デリー、ムンバイ、
コルカタ、チェンナイ、バンガロール、ハイデラバ
ード各州のキヤノン・ケアセンターに配備される予
定である。
積極的なマーケティング&販売促進戦略
キヤノン・インディアでは、ブランド構築および
マーケティングの最前線で積極的な戦略を計画して
いる。同社では、デジタル・ライフスタイルの主流
となる製品に集中的に取り組むために、400万ドル
の広告予算を割り当てる。マーケティングの目標は、
キヤノン製品と消費者の日常生活との接点をわかり
やすく説明することだとしている。この積極展開は、
印刷媒体、ラジオ、テレビ、DMおよびスポンサー
シップによる3種類の広告キャンペーンによって支
援される。全ての広告は、デジタルイメージング・
エンターテイメント分野を重視するキヤノンの姿勢
を反映したものとなる。
キヤノンでは、顧客には膨大な数の選択肢がある
ため、マーケットでの競争は厳しいものがあると考
えている。ただし、最新技術と新たなマーケティン
グ手法でサポートされるキヤノンの新製品は、この
困難な課題も乗り越えることが出来るであろう。
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