開学50周年記念式典 学長式辞 福岡女子短期大学50周年記念式典を挙行するにあたりまして、ご参加いただきました、 ご来賓の皆さま、ご卒業生の皆さま、そして旧教職員の皆さまにお礼申し上げます。 まず、この場をお借りいたしまして、先月の熊本における大きな地震に被災された皆さま にお見舞い申し上げます。 本学におきましても、学生及び教職員の皆さまに義援金をお願いし、学友会会長山下さん より、太宰府市役所にお届けしたこと、さらに、本学でできる支援策を決定したところです。 被災された皆さまの一刻も早い復興を祈念いたしています。 さて、本学は、1966年に風早の丘で歩みを始め、本年で開学50周年を迎えることに なりました。 これまで、多くの皆さまに支えられて太宰府の地で成長を続けることができました。 本学へのご理解、ご支援を賜りました多くの方々に心より感謝申し上げます。 1964年の夏、当時、釜瀬冨士雄九州学園理事長は、8月10日の理事会で「短期大学 の設立は喫緊の課題である」ことを確認し、短期大学開設への歩みを開始しました。 校地につきましては、太宰府天満宮 西高辻信貞 宮司に相談し、太宰府町風早の丘を紹 介されました。 釜瀬理事長は、現地視察をして生い茂る雑木林や進入道路・上下水道の整備不足等に不安 を感じられていますが、西高辻氏と太宰府町当局の積極的な受入れ姿勢を踏まえ2回目の 現地視察で、この地こそが校地として適切であると判断されています。 9月17日の理事会及び評議委員会において、 「1966年度に短期大学を開設すること と、大牟田線沿線において第一候補を求め折衝中であること、開設学科についてアンケート を実施する」ことを決定しています。 同年12月末には、風早の丘の土地所有権の仮登記手続きが行われ、1965年4月に、 建築工事が開始されました。 このように、極めて短期間で短期大学開設の決断及び開学への歩みを開始されているこ とに対し、釜瀬理事長の先見性、素早い決断力、強い実行力に敬服いたします。 さて、今から50年前の1966年6月1日に本校開学式が挙行され、釜瀬初代学長は、 「九州学園発展の最先端の気概をもちて」というタイトルで式辞をまとめられています。 その中で、4月16日に入学式を挙行し、二百数十名の新入学生を迎え、専任の教授・助 教授・講師15名、助手2名、事務職員8名、用務員4名、非常勤講師7名の指導者により、 「学生に対する教育・指導の徹底に万全を期して進み、もって父兄の方々のご期待に副うこ とを基盤に、九州学園の、広く社会にたいする教育奉仕の大使命に向かって邁進すること に、真に生き甲斐を覚えている」と述べ、その上で、 「私たち当短大経営の任に当たる者一 同は、さらに主体的努力を以て当短大の内容充実に、あらゆる手を尽くしていくことを固く 心に期していますが、併せましては、社会公共性の次元をこの上とも高めることについて万 遺憾のない留意を払って参る所存でございます。 どうか、私達の微衷(ビチュウ)をお汲みとり下さいまして、今後起こりうべき私達の力 不足に対し折角(セッカク)ご支援賜りますよう、心からお願いしたい」と結ばれています。 50年前の開学式に釜瀬初代学長は、 「本学教育内容充実にあらゆる手を尽くすこと。さ らに、社会公共性の次元を高めること」を高らかに宣言されています。 50年後のこの場に立つ者として、初代学長の強く・熱い思いを胸に刻み、襟を正し、本 学のこれからの歩みに力を尽くす所存であります。 50周年行事は、本学教育を担われた方々へ敬意を表し、本学が創り出した伝統・文化・ 風土を再点検し、本学の未来への歩みを確固としたものにする機会でもあります。 本学50年の歴史を振り返ってみますと、その歩みは、平坦なものではありません。 社会・時代の大きな変化を受けて、本学教育は幾多の変遷をたどっています。 また、現在においては18歳人口の減少、4年制大学及び専門学校への進学率の増加、さ らには専門学校の大学化への動き等、本学及び短期大学を取り巻く環境は一層厳しさを増 しています。 このような時代であるからこそ、本学がこれからの歩みを確かなものにするために、本学 の根幹となる教育観・教育哲学を踏まえて、時代の変化をしっかり受けとめ、時代に応じた 教育を示すことが必要だと考えています。 釜瀬初代学長は、 「今日という激動の時代、大学はこの激動時代を乗り切るに足る人間基 盤を水準高く固める、教養大学であるべし、型にはまった知識・技術を授ける完成教育では 決してない、あってはならないのである」と本学のあるべき姿を強く示唆されています。 すなわち、釜瀬初代学長が最も重視したのは「人間教育」であります。 この視点こそ、どんな時代になっても教育の本質を示すものであり、本学教育の50年間 を貫く精神でもあります。 これから未来を目指す本学には、「人間教育」を踏まえて、時代の変化に敏感にそして、 素早い決断力と強い実行力を持って、対応していくことが求められていると考えています。 本学は、太宰府と共に成長した大学であり、地域に支えられ、地域と共に生きる大学とし て、全教職員が力を合わせて、未来へと着実な一歩を進めたいと考えています。 今後とも、本学に対するご理解とご支援をよろしくお願い申し上げ、私の式辞といたしま す。 平成28年6月1日 福岡女子短期大学 学長 中川 伸也
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