コメント 「世界銀行アフリカ・ジェンダー・イノベーション・ラボ(GIL) インパクト評価の実践と活用」 青柳恵太郎 国際協力機構(JICA)評価部 インハウスコンサルタント Copyright © 2016 AOYAGI Keitaro. All Rights Reserved. ■エビデンスに基づく開発実践 より良い国際開発事業の実践のためには、質の高い エビデンスに依拠した意思決定をしていくことが重 要である。 そのためには、 ① 正確な現状把握 ② 革新的な商品開発 ③ 精緻が実証分析による効果検証 といったプロセスを研究者と実務者が一緒になって作り上 げていくことが不可欠である。 GILは、そのためのプラットフォームの役割を果たしている。 2 Copyright © 2016 AOYAGI Keitaro. All Rights Reserved. Impact evaluations published per year (1981–2015) Source: 3ie website 3 Copyright © 2016 AOYAGI Keitaro. All Rights Reserved. RCT & Sub-Saharan Africa Impact evaluations published per year (1981–2015) Source: 3ie website 4 Copyright © 2016 AOYAGI Keitaro. All Rights Reserved. ■インパクト評価の活用 RCT、及び洗練された統計分析技法の適用が進むこ とで内的妥当性(Internal Validity)の問題からは解 放された。 しかし、実務を改善するための(実務に活用しても らえる)インパクト評価としては、それだけでは不 十分である。 どのようなエビデンスを「つくり」、それをどう「つた え」、「つかう」かがプラクティカルな論点として浮上 してきている。 5 Copyright © 2016 AOYAGI Keitaro. All Rights Reserved. ■インパクト評価の傾向と課題 実施環境の多様化、評価デザインの工夫 1. とりわけ災害時や紛争復興期という厳しい環境下におい て実施される活動を対象にエビデンスをつくる試みが論 じられている。 アウトカム測定方法の精緻化 2. 数量データとして観測することが難しい性質のアウトカ ムを測定するために、一般的に用いられる質問紙以外の 手法が取り入れ始められている。 Social Preference, Personality Artefactual Field Experiments Psychometrics Sensitive Question Natural Field Experiments Indirect Questioning 6 Copyright © 2016 AOYAGI Keitaro. All Rights Reserved. ■インパクト評価の傾向と課題 効果発現に到るメカニズム解明 3. メカニズム解明のためにRCTが行われたり、通常のイン パクト評価の中に媒介分析(Causal Mediation Analysis) を行うための工夫をこらしたものが登場し始めている。 迅速かつ、低コストなエビデンスの産出 4. 既存データ(行政データ、介入実施上で自然に得られる データ、その他二次データ)を活用することでデータ収 集の時間とコストを下げる試みがなされている。 リモートセンシングデータ活用の可能性。 7 Copyright © 2016 AOYAGI Keitaro. All Rights Reserved. ■ジェンダー分野の特徴 広義のジェンダー分野を考えた場合、とりわけ適切 なアウトカム指標に迫れるかという点がチャレンジ ングである。 所得/消費や就業といったような経済以外の領域にある アウトカムの変動を狙うことが多い。 エンパワメント、ソーシャルキャピタル等々。 当事者ではなく社会を変えるアプローチが取られること がある。 労働市場での差別意識、社会規範等々。 8 Copyright © 2016 AOYAGI Keitaro. All Rights Reserved.
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