Yano Research Institute Ltd

2016 年 4 月 14 日
プレスリリース
電動パワーステアリング世界市場に関する調査を実施(2016 年)
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて電動パワーステアリングシステムの世界市場の調査を実施した。
1.調査期間: 2015 年 10 月~2016 年 3 月
2.調査対象: EPS システムメーカー、EPS 構成部品メーカー等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<電動パワーステアリングとは>
ステアリングのアシストに、電気モータを利用する技術を電動パワーステアリング(EPS:Electric Power
Steering)という。ドライバーの操舵力をトルクセンサで検出し、ECU(電子制御ユニット)でモータを制御すること
で操舵をアシストする。基本的な構成に違いは無いが、アシストする箇所(モータの取り付け位置)によって、コ
ラムアシスト・ピニオンアシスト・ラックアシストの 3 つの方式が存在している。旧来の油圧式システムと比較し、燃
費と制御面で優れるため、急速に普及してきた。本調査では、電動モータで油圧を発生させ操舵アシストに利
用する電動油圧パワーステアリング(EHPS:Electronic Hydraulic Power Steering)も対象としている。
【調査結果サマリー】
 EPS の 2015 年世界市場規模は 4,700 万台、EHPS は 400 万台で合計 5,100 万台の見込、
2020 年には合計で 6,890 万台、2025 年には 8,610 万台に拡大すると予測
2015 年の EPS(電動パワーステアリング)世界市場規模はメーカー出荷数量ベースで 4,700 万台、
EHPS(電動油圧パワーステアリング)は 400 万台で、合計 5,100 万台の見込である。地域別では日本、欧
州での普及がひと段落しつつあるものの、北米や中国において今後の伸びが期待され、世界市場全体
を牽引すると予測する。また、南米やアジア地域を含むその他地域での市場の伸びも大きくなると考えら
れる。EHPS については、より燃費効果の高い EPS の高出力化に伴い、今後は縮小傾向になると予測す
る。2015 年は 400 万台の見込だが、2025 年には 200 万台程度まで需要が低減するものと考える。
 EPS タイプ別ではコラムタイプが引き続き伸長、北米を中心にラックタイプの急増も期待
EPS タイプ別では、現状、コラムアシストタイプ(コラムタイプ)が市場の過半数を占める。コラムタイプは、
低コストで搭載性に優れる特徴を持つため、小型車の多い中国、アジア地域を中心に、今後も搭載が拡
大すると予測する。また、これまで欧米メーカーによる供給が中心であったラックアシストタイプ(ラックタイ
プ)についても、近年日系メーカー各社で開発や製品化が進められており、今後の伸長が期待される。特
に、ピックアップトラックや大型車の普及率が高い北米市場では、今後ラックタイプの需要が増加すると考
える。
◆ 資料体裁
資料名:「電動パワーステアリングシステム市場の最新動向と将来展望 2016」
発刊日:2016 年 3 月 30 日
体 裁:A4 判 160 頁
定 価:130,000 円(税別)
 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。
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2016 年 4 月 14 日
プレスリリース
【 調査結果の概要 】
1. 市場概況
2020 年に向け各国で燃費規制の厳格化が進んでいる。従来厳しい規制が行われてこなかった米国
でも 2025 年に向けた燃費目標が掲げられ、中国でも先進国に迫る目標が定められている。このように、
地域を問わず燃費向上に向けた取り組みが求められている状況下、EPS(電動パワーステアリング)は油
圧パワーステアリングと比較して 3~5%の燃費改善が図れる技術といわれ、搭載を拡大させている。
さらに EPS の標準搭載が進んでいる日本や欧州では、EPS に求められる機能が燃費向上から自動
運転を見据えた予防安全の観点からも進展しつつある。国際的な機能安全規格(ISO 26262)への対応
を果たした EPS や、制御回路を 2 系統化した EPS も市場投入されており、EPS の高出力化とともに、今
後は自動運転時を想定し、EPS システム故障時にも操舵アシストを継続させるシステムが求められるも
のと考える。
2. EPS タイプ別/地域別動向と予測
2015 年の EPS(電動パワーステアリング)世界市場規模はメーカー出荷数量ベースで 4,700 万台、EHPS
(電動油圧パワーステアリング)は 400 万台で、合計 5,100 万台の見込である。日本と欧州では先行して搭
載が進んでいる一方、近年ではピックアップトラック等の大型車へもラックアシストタイプ EPS の搭載が進
められており、油圧パワーステアリングや EHPS が主流であった領域にも EPS 化が進展している。その
結果、2020 年の EPS 世界市場規模は 6,600 万台、2025 年では 8,410 万台に達し、それぞれ 2015 年比
で約 1.4 倍、約 1.8 倍まで拡大すると予測する。一方で、EHPS については、燃費の改善幅や制御性で
EPS に及ばないこと、EPS が高出力化してきていることから、今後は縮小傾向になると予測する。
2-1. EPS タイプ別
EPS をタイプ別にみると、2015 年では世界市場の過半数がコラムアシストタイプ(コラムタイプ)である。
低コストで搭載性に優れる特徴を持つため、小型車の多い中国やその他地域を中心に今後も搭載が
拡大すると予測する。また、ラックアシストタイプ(ラックタイプ)は、これまで欧米 EPS メーカーが積極的
に供給していたが、近年では日系 EPS メーカーでも開発・製品化が相次いでおり、大型車の比率の高
い北米市場を中心に大きな成長が期待される。一方のピニオンアシストタイプ(ピニオンタイプ)は、コス
ト面はコラムタイプに、出力面ではラックタイプに劣ってしまうために、大手 EPS メーカーでは積極的な
提案がされていない。一部自動車メーカーではピニオンタイプから他のタイプへのシフトも起こっており、
大きな伸長は難しいと考える。
2-2. 地域別
地域別では大型車比率の高い北米や、厳しい燃費規制が課せられた中国において、今後 EPS の搭
載が急増することが見込まれる。さらに、南米やアジア地域を含むその他地域でも市場の伸びが期待さ
れるため、EPS 市場はさらに拡大していくものと考える。EPS と EHPS の地域別需要構成比をみると、日
本は 2015 年の 14.8%から 2020 年には 10.9%まで低下しており、搭載は増加するものの自動車生産台
数の低減によって需要数量は頭打ちになることが予測される。また、欧州も 2015 年の 30.9%から 2020
年には 27.4%まで低下することが見込まれ、既に搭載が進んでいる日本と欧州については、今後は自
動車生産台数と連動した成長になるものと考える。
一方、北米では 2015 年の 20.6%から 2020 年には 20.7%に微増することが見込まれ、大型車を中心
に市場拡大が期待される。また、中国・その他地域では、中国が 18.4%から 22.6%に、その他地域が
15.3%から 18.4%に拡大するとみられ、今後は北米や新興国が主な拡大市場になると予測する。
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2016 年 4 月 14 日
プレスリリース
図表 1.
EPS&EHPS のタイプ別世界需要数量予測
(単位:千台)
EPS(電動パワーステアリング)
コラムタイプ
ピニオンタイプ
ラックタイプ
EHPS(電動油圧パワーステアリング)
世界需要数量(EPSとEHPSの合計)
2015年
(見込)
47,000
28,500
4,000
14,500
4,000
51,000
2016年
(予測)
51,100
30,700
3,900
16,500
3,800
54,900
2017年
(予測)
55,000
33,150
3,750
18,100
3,700
58,700
2018年
(予測)
59,600
36,100
3,400
20,100
3,600
63,200
2019年
(予測)
63,100
38,400
2,950
21,750
3,200
66,300
2020年
(予測)
66,000
40,350
2,600
23,050
2,900
68,900
2025年
(予測)
84,100
52,250
1,800
30,050
2,000
86,100
矢野経済研究所推計
注1. メーカー出荷数量ベース
注2. (見込)は見込値、(予測)は予測値
図 2. 地域別 EPS&EHPS 世界需要数量の構成比
注3. メーカー出荷数量ベース
注4. (見込)は見込値、(予測)は予測値
矢野経済研究所推計
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