脳の情報処理の理解とその応用による社会貢献

参考資料3
脳の情報処理の理解とその応用による社会貢献
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脳の情報処理の理解とその応用による社会貢献
ヒトと他の動物の違いを際立たせているのは、「学習した結果をもとに、外的環境と内的環境の
脳内モデルを創り、脳内モデルを操作することで、新しいモデルや概念を創造することができる」
ことである。ヒトはそのような創造性をもつことで、多様かつ複雑な環境に即時に対応し、適切な
行動選択・意思決定ができるのである。このような柔軟な脳の処理過程の理解こそ、ヒトの本質
的な理解に繋がると考えられる。一方、環境の変化に対して柔軟に適応できないことから起こる
一部の「心の病」も近年増加し、社会問題化している。このような「心の病」の理解のためにも、環
境の変化に適切に適応できる行動選択・意思決定の脳内メカニズムの理解は重要である。
創 造
環境の
変化
操作
適切な行動選択
健全な経済活動・創造性の発揮
適応
脳内モデル
(外的環境/内的環境)
複雑な実世界における
意思決定・行動選択
衝動性・依存・摂食障害・PTSD・睡眠障害など
不適応
行動決定過程の障害/不適切な可塑性
②行動選択・意思決定を行うメカニズム
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環境の変化に適切に対応できる行動選択・意思決定の脳の処理メカニズムの理解
解くべき疑問
行動決定に至る脳内過程
の因果関係を示すには?
ヒトで特に発達した柔軟な
行動決定を担う脳内メカニ
ズムは何か?
行動決定の脳内過程にお
ける脆弱性とは?
社会におけるヒトの行動
パターンを説明する数理
科学とは?
研究の切り口・
利用可能な手法
研究テーマ
目指すゴール
Decoding技術
行動解析
システム操作
脳機能画像
行動決定・意思決定の過程
を理解するための新しい研
究パラダイムの構築
創造的行動選
択・意思決定を
行う中核的
脳機能の理解
モデル動物
遺伝子編集
強化学習
行動決定・意思決定機構の
動物種間比較
ヒトの行動決定
の特殊性と
普遍性の理解
環境適応破綻の
メカニズムの理解
ヒトの行動決定
の障害への対
処法の提案
睡眠・概日周期
薬物依存
適応障害
Big Data解析
数理科学
行動決定とその破綻の
大規模データに
基づく数理モデル化
社会における
ヒトの行動
パターンの
理解・予測
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<経緯>
1. 2016/3/28 第32回脳科学委員会において、「社会への貢献を見据えた今後の
脳科学研究の推進方策について -中間取りまとめ-」の「2-4 脳の情報処理
の理解とその応用による社会貢献」を元に伊佐 正(日本脳科学関連学会連合_
脳科学将来構想委員会・委員長)より発表および議論。
さらに、脳科学将来構想委員会及び評議員会での議論を経て作成。
2. 2016/6/7 第33回脳科学委員会(伊佐 正 発表)での議論を受けて修正の上、脳
科学委員への確認を経て確定(2016/7/27)。
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