3D 計測ガイド - CIM での 3D データ活用 - 調 査 調査 維持 管理 CIM 設計 施工 設 計 施 4p 3D Laser Scanner GLS-2000 レーザースキャナー用ソフトウェア ScanMaster 6p Mobile Survey System IP-S3 HD1 データ取得ソフトウェア Mobile Master Field 後処理ソフトウェア 10p Mobile Master Office 3D点群処理システム 8p 10p 3D 画像計測統合ソフトウェア ce ffi O 点群データ自動 ノイズ処理ソフト 11p Image Master UAS 3 次元空間設計システム 11p 2 点群編集ソフト 9p 3D 計測ソリューション トプコンは、調査・設計・施工・維持管理のサイクルにおいて3Dデータを活用した様々な ソリューションをご提供するとともに、CIMの実用化に向けた取組みを支援いたします。 工 維持管理 土木設計・シミュレーションソフトウェア 3 地上型高精度ソリューション BIM から CIM まで広範囲な作業をカバーする マルチレンジスキャナー GLS-2000 3D Laser Scanner 速さと高精度を高次元でバランスさせたマルチレンジスキャナー! 多くのユニークな機能を搭載!簡単・確実・安全な作業を支援! 速さを追求したパルス(TOF)方式 スキャナー ノイズの少なさと長距離で定評のあるパル ス方式に、ウルトラハイスピードサンプリ ング技術を採用。高速化を実現しました。 点間ピッチ 25mm@10m 12.5mm@10m 6.3mm@10m フルドームスキャニング 簡単操作のオンボードコントローラ 水平 360°、鉛直 270°の測定範囲を確保し、 フルドームでのスキャンに対応。頭上の計 測や、室内での計測に威力を発揮します。 ワンボタンでスキャンが開始できる簡単ソ フトウェア。グラフィック表示で、操作性 の良いコントローラです。 スキャン作業における全ての過程で 高速化を実現! 世界初!器械高自動測定機能搭載 観測時間 約 55 秒 約 1 分 50 秒 約 6 分 55 秒 ※高速モード使用時 Precise Scan Technology Ⅱエンジン搭載! 低ノイズと高精度化を両立させ更に進化し た“Precise Scan Technology Ⅱ”を搭載。 驚くほどノイズの少ないデータは、後処理 の効率化に大きく貢献します。 4 スキャン作業の全ての過程で効率化を追求 し、ストレスの無いスムーズな作業をご提 供します。 ボタンを押すだけで器械高を測定。簡単で、 計り忘れの無い確実な作業が可能です。 ロング 測定レンジによって選べる 3 つのラインアップ ミドル 設備やインテリアなどの短距離か ら土木現場の現況作業や大型構造 物まで、用途に応じて 3 種類か らお選びいただけます。 ショート 多彩なレジストレーション方法をサポート! トータルステーションで馴染みのある器械点・後視点法をレー ザースキャナーでサポート。測量機メーカートプコンならでは の機能を含めた 3 種類のレジストレーションで現場作業が行え ます。 器械点・後視点法 簡単 最大到達距離 反射率 9% ショート 40m(近距離モード) 90m 130m ミドル 40m(近距離モード) 150m(標準モード) 350m(標準モード) ロング 40m(近距離モード) 210m(標準モード) 500m(標準モード) 外業 ターゲット設置 内業 座標付け 特徴 18% (高速モード / 低出力モード) 器械点・後視点法 必要(1 点) 可 作業時間 短い 結合精度 高い 90% (高速モード / 低出力モード) タイポイント法 必要(多数) 可 長い * (ターゲットスキャン) 高い シェイプマッチング法 不要 不可 短い 低い * 多くのターゲットを観測するため タイポイント法 高精度 高精度 確実な作業を行う場合に有効です。 結合精度が高く、長い路線や複雑な形状の現場に有効です。 ターゲット / プリズム 器械点 1 シェイプマッチング法 器械点 2 簡単 短時間で簡単に観測する場合に有効です。 1 器械点 後視点 2 1+2 ScanMaster 観測から後処理まで、軽快な点群処理を実現する ScanMaster ソフトウェア。短時間で 3 次元モデルを作成! 観 測 レジストレーション タイポイントの位置関係を自動的に認 識し、レジストレーションを自動で実 行します。 ノイズ除去 その他簡易な計測 浮遊点や密度の薄い領域などのクリー ニング作業を、各種自動機能により、 効率よく行うことが可能です。ボリュー ム計算、領域選択、エッジ抽出機能等 の後処理機能も搭載しています。 データ出力 ノイズ除去前 ノイズ除去後 交線及びエッジの自動抽出 観測データは TEXT、DWG、DXF や ATSM E57 など様々なフォーマットで出力することができ、お使い の CAD やアライアンス先のソフトウェアでデータをご活用いただけます。 5 移動体計測ソリューション 小型・軽量ボディに 高密度点群収集能力を搭載! IP-S3 HD1 Mobile Survey System 地理空間データ収集の効率化を図り、高密度で広範囲な 3D 点群データを 取得!位置情報・画像情報・スキャナー情報全てのデータを一括取得! 超小型・軽量設計 一人で簡単・安全に取り付け、取り外しが できるコンパクト設計です。 小型車にも搭載できるため、狭い道路の計 測にも柔軟に対応ができます。 手軽さと安全面を両立した キャリングケース オールインワンの専用キャリングケースを ご用意しました。取り回しが容易であるた め、移動時や保管の盗難トラブルの心配が 解消されます。 観測データを簡単プレビュー 観測直後に走行データを簡単にプレビュー するプレイバック機能を搭載。データの取 得確認を行ってから作業を完了させること ができます。 Mobile Master Field シンプル操作で簡単にデータ取得が可能! Mobile Master Field は、IP-S3 システムの監視・管理が行えるデータ取得ソフトウェアです。 ・わかりやすい操作を追求し、車内での操作をストレス無く行えます。 リアルタイムに全てのセンサー状況を確認できます。 ・観測直後に走行データをプレビューできるプレイバック機能を搭載しました。 車内で簡単にデータ取得結果の確認が行えます。 観測 観測データ 点群データ(色付け前) IP-S3 で観測区間を走行 6 全方位画像 到達距離 70m 視野範囲 360° 垂直範囲 40° ホイールエンコーダ タイミング BOX インジケータ BOX システム構成 GNSS アンテナ IP-S3 キューブ 高精度 IMU ホイール エンコーダ 車両の位置と姿勢の情報 画像データ PC タイミング BOX レーザー スキャナー 画像ユニット 到達距離 100m 700,000 点 / 秒の 高速スキャン 点群データ 3D 点群データ 垂直範囲 40° インジケータ BOX IP-S3 キューブ 高精度 IMU ユニット (1°/ 時)をキューブ内 に搭載 GNSS アンテナ ホイールエンコーダ 常に正確な車両位置を 算出する 2 周波 GNSS ボード内蔵 ホイールの回転を検知 して回転速度との差異 を常に比較 タイミング BOX インジケーター BOX レーザースキャナー 画像ユニット 高解像度・高密度 3D 点群データを取得 360°全周囲画像 Mobile Master Office 新開発の解析エンジンで直感的且つ 高速なデータ解析を実現! Mobile Master Office は、ご使用のパソコンのデスクトップ上で実行される後処理プログラムです。 ・大容量点群データの高速表示が可能です。ハンドリングが容易に行えます。 ・解析エンジンを一新し、車両軌跡の高精度化を実現しました。 福井コンピュータ株式会社製点群処理ソフトウェア 「Mercury-Evoluto MMS Edition」とリアルタイムに連動! MMS レーザー点群作図システム IP-S3 で取得した高密度な点群データを「Mobile Master Office」にて 計算処理を行い、「Mercury-Evoluto MMS Edition」とリアルタイムに 連携し、数値地形図を効率的に作成します。 ・国土交通省が平成 25 年 2 月に策定した「道路ストック総点検実施 要領 ( 案 )」に関連して、道路附属物・舗装・トンネル・橋梁・法面 / 構造物の点検図面を効率よく作成します。 ・国土地理院が提供する「地理院タイル」の広域地図情報を利用し、 MMS で計測した道路附属情報と図面を維持管理分野で活用できます。 後処理解析 活用分野 解析後の車両軌跡 点群データ(色付け後) 道路標識・白線等の情報構築 3 次元 GIS の基盤地図構築 7 空撮画像計測ソリューション UAS による空撮画像から簡単に 3D 点群モデルを作成! Image Master UAS 3D 画像計測統合ソフトウェア Image Master UAS は UAS(Unmanned Aerial Systems) で撮影した画像から 3D モデルを作成できるソフトです。広範囲の 3D 地形モデルを簡単に得られます ! UAS による空撮から画像解析処理の流れ 飛行計画 /UAS にデータセット ※飛行計画は UAS に付属の ソフトウェアをご使用下さい。 空中撮影 / ジオタグ画像の生成 現場で撮影データを確認! Image Master UAS Logger 機体からデータをダウンロードして撮影結 果を飛行ルート上に表示。計画通りの撮影 ができたのかをその場で確認できる安心 ツールです。 ※空中撮影画像に位置情報を 埋め込んだ画像です。 自動標定、ステレオマッチング 3D 点群モデル 優れた編集機能を搭載 成果物 TIN 作成、テクスチャマッピングはもとよ り、TIN の編集機能に加え断面作成、ボ リューム計算、コンタ作成など優れたツー ル機能を備えています。 動作確認済みの機体 モデル:ミニサーベイヤー MS-06LA 発売元:株式会社自律制御システム研究所 モデル:Zion シリーズ 発売元:株式会社エンルート 主な出力成果 TIN モデル 8 断面図 ボリューム 3D モデル(レンダリング) 連携するオフィスワークソフトのご紹介 計画、設計、施工そして維持管理まで土木・インフラの CIM ワークフロー全体をサポートする総合ソリューション 2D・3D CAD 世界のディファクトスタンダード、 オートデスク社とトプコンが提携。 トプコンの 3D Mass Data Solution とオートデスクの CIM Solution が 強 力 に 連 携。 現 況 取 得 か ら CIM 運 用 ま で の ソ リューションをご提案いたします。 INFRAWORKS® ● 3D 現況データの利活用 地上型 3D レーザースキャナー、MMS、UAS で得られる高密度な 3D 点群データ、TS や GNSS で得られる 3D 座標データから 3D 現 況モデルを作成し、3D 設計・シミュレーション・施工管理・ビジュ アライゼーションに活用することが可能です。 ●見える化の促進 コスト見積もりの精度を向上。部材積算をより迅速に作成し、代替 設計案のコストを評価します。 実物さながらのリアルなビジュアライゼーションを作成して、地元 受益者への説明を実施。優れた設計を作成しさまざまな案を効果的 に伝達できます。 ●より正確なプロジェクト成果の予測 スケジュールと資材調達を 4D(3D +時間)でシミュレーション。 プランをより簡単に関係者に伝達。 ビジュアライゼーションを作成して、着工前の問題特定を促進。設 計変更等の意思決定を迅速化します。 CIVIL 3D® NAVISWORKS® ●施工工程をバーチャル環境で検討 データを集計して人件費と資材の規模をより正確に把握。プロジェク ト全体のレビューが可能です。 着工前に不整合を解決できるよう支援。現場とワークフロー計画をよ り効果的に調整できます。 ●収益性を向上 各種詳細な検討を可能にし、作業・工程の手戻りを大幅に削減し業務 の作業時間を削減。一貫性のある工程管理で生産性をサポートします。 AUTOCAD® CIVIL 3D® NAVISWORKS® 土木設計・施工のための 3 次元 CAD 4D シミュレーションと 干渉チェック 土木 3 次元設計・施工のワークフローをサ ポートするコンストラクション インフォ メーション モデリング(CIM)のソリュー ションです。 3D モデルの統合とナビゲーション、4D / 5D シミュレーション、フォトリアリス ティックなビジュアライゼーションプロ ジェクトレビューソフトウェアです。 REVIT® INFRAWORKS® 360LT 土木構造物の詳細設計に 土木設計のプロセスを スピードアップ 構造設計、モデリングのための BIM/CIM アプリケーションです。橋梁・橋脚や擁壁 などの土木構造物のモデリングおよび 3 次 元での配筋モデルを作成することができ、 2D 図面の作成や数量算出が可能です。 建設プロジェクトにおける技術者および都 市計画の専門家によるプロジェクト案の作 成、評価、プレゼンテーションを支援する コンセプトデザインツールです。 9 連携するオフィスワークソフトのご紹介 点群を使った施工管理を身近に 土量計算から縦横断データ作成まで 3D 点群処理システム ・数億点の点群データ処理が可能 ・不要なノイズデータの自動フィルタリング機能が充実 ・地表面を抽出し三角網 (TIN) の生成が可能 ・路線 SIMA ファイルを読込んで縦横断データの抽出が容易に ・同一箇所で時系列の異なる点群データを比較して、地形のメッシュ 比較 ( 土量計算はオプション ) が可能 ・Mercury-Evoluto、BLUETREND XA の CAD と連携して、地形図・ 立面図・断面図の作成が可能 ・土木向け EX-TREND 武蔵、TREND-CORE において 3 次元 データの利活用が可能 ・ビューア版 ( プログラム + データ ) を作成して配布が可能 測量成果作成・活用 システム 測量計算 CAD システム 土木施工管理システム CIM コミュニケーション システム 点群データの解析・フィルタリング、地盤面抽出による 高効率なノイズ処理などが可能 ●高効率ノイズ除去 従来の点群処理ソフトにはない独 自の計算法により、余分 ・ 不要な 点群を取り除きます。 点群データ自動ノイズ処理ソフト ・地盤以外の草木や車両などのノイズを自動で除去 ・雪や浮遊物など、空間に点在しているノイズを削除 ・点群の密集部を間引いて、均等に作成 ノイズ(重機)の 点群を一掃 ●点群から自動で横断生成 点群から手作業で作図した横断図と、PET’ s によって自動で抽出した横断図を 比較すると、PET’ s で作成した横断図の方が誤差が小さい結果となりました。 高さ誤差(m) 0.07 0.06 0.05 0.04 0.03 0.02 0.01 0 -0.01 手作業で 作図した 横断図 PET s による 横断図 1001 1002 1003 1004 1005 1006 1007 TS 計測位置 10 手 作 業 と PET’ s による 結果をトータルステー ションの計測値と比較 様々な 3D データを表示・解析し、施工管理や シミュレーションが可能 3 次元空間設計システム ●多彩なデータから 3 次元現況モデルの作成が可能 一般的な測量データや数値地図 ( メッシュ標高 ) 各種データ及び地 上型レーザースキャナー・UAS・航空レーザー・マルチビーム測深 器を含めた大容量点群データの利用が可能。 ● 3 次元現況モデルから現況縦横断図の作成 三角 TIN データ ( 現況モデル ) 上に直接線形データを入力すること で現況縦横断データを瞬時に計算。計算された横断データに道路等 の定規図や造成土工線、法の任意形状を入力することで自動的に現 況横断との交点計算を行います。 ●多彩なボリューム計算を用意 更に CIM 対応(LandXML 入出力) 計画と現況地形を重ねてのワイヤーフレーム表示、メッシュ土量計 算、閉合コンターによる数量計算は、貯水や堆積容積の計算に適し ています。また、2 つの断面による土量計算では年度毎の土量の比 較などにも有効です。 ●様々な 3 次元解析ツールをご用意 流水経路、傾斜分布、堆砂計算、積雪、がけ崩れ、土石流などの地 形の変化量の計算他、計算結果を視覚的に分かりやすく表示するツー ル等も含まれています。 土木施工現場からプラント・遺跡発掘現場まで 3D 計測のプロが提供する点群処理ツール 点群編集ソフト 地表面の自動抽出、点群を断面化しての対話編集操作など、無制限 の点群データを編集するための、プロ仕様の編集ツールです。 また、オプションの Rhinoceros プラグインを用いることで、点群 データからの図面作成、3D モデリングまで可能なソリューション です。 点群編集ソフト 3D 自動生成ソフト 大量点群データの参照、編集、干渉検査、数値計測、ビジュアラ イズ、アニメーション作成、オルソ画像作成など、最先端の点群デー タ処理技術を集結した、業界デファクトスタンダードの総合プロ ダクトです。 革新的な建造物 3D モデルの作成プロセスを提供します。点群デー タから明瞭なベクトルを自動的に抽出し、CAD アプリケーション で編纂可能な、面形状の 3D オブジェクトを生成します。 11 Topics 次期世界遺産候補、日本の文化遺産「曽木発電所遺構」 デジタル化プロジェクトをトプコンのスキャン技術がサポート 3D レーザースキャナー、UAV、MMS による最先端のソリューションを活用 日本の産業遺産のアーカイブ化が実現 2015 年 6 月 28 日から 7 月 8 日まで第 39 回世界遺産委員会 がドイツのボンで開催され、 「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製 鋼、造船、石炭産業」が世界遺産一覧表に記載されることが決定 しました。あわせて世界遺産の次期候補となる曽木発電所遺構の 3D アーカイブ(三次元データによる保存)化が米国の NPO 法人 CyArk(サイアーク)社*より発表されました。 世界遺産の登録を推進する一般財団法人産業遺産国民会議と CyArk 社が合意し、次期候補として曽木発電所遺構の 3D アーカ イブ化が実現。CyArk 社は、 世界 500 箇所の世界遺産を 3D スキャ ンし高精度な 3 次元モデルをオンライン公開するというグローバ ルプロジェクト“CyArk 500 チャレンジ”を推進中で、米国のマ ウントラッシュモアやオーストラリアのシドニーオペラハウス、 カンボジアのアンコールワットに続き、曽木発電所遺構が選定さ れました。現在の状況を実測値に基づいて 3D データ化する事に より、将来にわたり遺産の維持や修復時に利用できる重要なデー タを持つことが可能になるとともに、三次元画像として視覚化す ることで後世にこの遺産を伝承することが可能になりました。 トプコンがスキャニング作業をトータルで支援 日本の産業遺産のアーカイブ化にあたり、トプコンは日本のメー カーとして全面的に作業を支援。対象物全ての方向の詳細なカ ラー点群取得が求められました。年間 2/3 は水面下にある曽木発 電所遺構は、事前踏査に訪れた 4 月中旬は水面から出てきたばか り。草や木が生い茂り、泥と水浸しという、とてもスキャニング が実施できるような状態ではありませんでした。そこで、地元鹿 児島県と伊佐市の全面協力を仰ぎ、スキャニング作業実施日まで にクリーニングを施していただけました。4 月下旬に実測作業で 訪れた際には、見違えるほどきれいな状態になっていました。た だし、水に関しては湧いてくる部分もあり、作業のタイミングを 排水作業に合わせる必要に迫られました。入念な作業計画のもと、 2 班体制で GLS-2000 によるスキャニング作業を進めました。 現場は、まさに自然との格闘場。タービン建屋裏は発電用の水を流 12 す急斜面、暑さ、湧き水、そして時々姿を現す蛇と対峙しながらの 作業となりました。想定外の死角により、追加のスキャニングが多 く発生しましたが、作業は予定通りの日程で進み、最終的には 90 スキャンを実施。CyArk 社から要求されていた対象物を、「全ての 方向から 5mm ピッチでのカラー点群取得」という条件を十分にク リアすることができました。特に GLS-2000 のノイズの少ない計 測データのクオリティは、数多くのスキャン現場をこなしてきた CyArk 社をもって評価できるとのコメントをいただくことができま した。さらには、UAV による空撮と、モバイル・マッピング・シ ステム IP-S3 による入口から対象物までのアプローチ道路の観測 を実施、遺構の周囲にまで及ぶ広範囲のアーカイブ化を行いました。 これら最先端のソリューションの活用により、限られた期間に短時 間で完璧な 3D データの収集に成功いたしました。 曽木発電所遺構 鹿児島県の伊佐市に位置し、牛尾大口金山の電源供給を目的とした水力発電所とし て明治 42 年に建設されました。昭和 41 年に鶴田ダムの完成により大鶴湖に沈下、 年間 2/3 の期間ダムの中に沈んでいるという環境下にあり、初夏から秋にかけての み遺構の姿を見ることができます。 *CyArk 社:世界遺産の 3D アーカイブ化の先駆者として知名度の高い米国の NPO 法人。 文化遺産が自然災害により失われたり、戦争によって破壊されたりする前に 3D アーカ イブ化してオンラインライブラリーを作成する活動を国際的に展開している。 AT WORK 3D Mass Data Solution 最新活用事例のご紹介 車両の走行可能な範囲は MMS、地上型スキャナー、UAV を駆使し、様々な点群処理ソフトとの連携で MMS にて計測 37 万㎡の広大な造成現場での土量計算を効率的に実施! 株式会社 小林コンサルタント 様 MMS で計測されていない範囲について 株式会社小林コンサルタント様は、様々な 3D にて計測 計測ソリューション 地上型スキャナーまたは UAV を駆使し、建設会社様を中心に多くの 3D データを提供している。 同社 3D 計測チームの主任を務める、田嶋 誠司(たじま せいし) 様にお話を伺った。 「今回は、37 万㎡という広大な造成現場での施工管理を受注し、計 地上型スキャナー UAV にて計測 測業務に当たりました。この様な広大な現場で土量計算を行うため にて計測 の 3D データの取得には、地上型スキャナーだけでは対応しきれま せん。こうした場合、弊社では、どの様な計測機器を使うべきか、 現場の状況を踏まえ選定するルーチンを確立しています(図 1)」。 車両の走行可能な範囲を MMS で計測 MMS で計測されていない範囲について地上型スキャナーまたは UAV にて計測 地上型スキャナーで計測 MMS、地上型スキャナー、UAV による計測結果を合成した点群データ UAV で計測 図 1.3D 計測機器の選定ルーチン 選定ルーチンで検討した結果、車両が走行可能な範囲は MMS で計測 し、それ以外の部分は地上型スキャナーと UAV を組み合わせた計測 で効率化を図ることになった。つまり、現場の状況、環境条件、要 求精度を満たす最も効率の良い計測手段を採用したことになる。 「まずは、MMS 車両で、できる限り多くの 3D データを取得しました。 次に、データを確認しながら、取得できなかったエリアを UAV で撮 影し、3D 点群を作成しました。さらに、それら 3D 点群を MMS デー タと重ね合わせ、陰になりデータが取得できていない部分や、より 高い精度が要求される箇所を、地上型スキャナーで 3D データを取得 しました。その結果、37 万㎡の現場計測にかかった作業時間は、わ ずか 2.5 日という驚異的な効率で観測が行えました。手間のかかる 点群データの解析には 4.5 日かかりましたが、トータルで見ても従 来法では考えられないほど、作業の効率化が実現したのです(表 1)」。 表 1.3D 計測機器の時間内訳 使用機器 MMS(IP-S3 HD1) 地上型スキャナー(GLS-2000) UAV 施工前の点群データ 作業時間内訳 現場計測 2.5 日 解析作業 4.5 日 (37 万㎡) (点群データの作成まで) 1日 1日 0.5 日 0.5 日 1日 3日 3 種類の点群データ内訳 点群データを使った土量計算結果 白:MMS、黄:地上型スキャナー、赤:UAV 「これまで盛り土や切り土の土量計算は、一定間隔で計算した断面積 を計算し、平均断面積と間隔から求める『平均断面法』を用いてき ました。今回は発注者からの指示により、土量計算に『メッシュ法』 を採用しました。2 つの時期に計測した点群データを比較すること により、切り土、盛り土の面的な分布とともに土量計算を行うこと ができました。 この様な計測を定期的に繰り返すことで、施工管理を行うことがで きます。3D での施工管理ですから、発注者に成果を説明するとき、 施工中のシミュレーションや進捗状況の経時変化をプレゼンや動画 として表現することも可能で、容易に理解いただくことができます」。 3D データとソフトウェアを駆使することで、作業の効率化と成果の クオリティ向上を同時に実現している同社の動向に、今後も目が離 せない。 点群データ上に設計データを載せる 施工後の点群データ 「実は私、小林コンサルタントに入社してそんなに長くはないのです。前職も県内の測量会社に勤務していましたが、 小林コンサルタントに入社して、劇的に仕事のスタイルとスタンスが変化しました。3D を積極的に提案する会社 の姿勢と、その価値を理解していただける建設会社様がどんどん増えて、自分でも驚くほどの忙しい毎日を送って います。自分にとっては思ってもいなかった事態です」。田嶋様からは忙しい中にも充実感が感じられ、今後の業 務においても積極的な提案を行っていこうとする同社の姿勢には、新たな 3D 計測業務への意気込みを感じる。 3D 計測チーム 田嶋 誠司 様 13 AT WORK 鉄塔の 3D 計測データを施工、維持管理にフル活用! 3D レーザースキャナーの活用により鉄塔のたわみや変位計測が短時間で高精度になった 株式会社ハイデックス・和島 様 橋梁の下の計測でも、現場で悩むことがありません。また、とにか く操作が簡単なところが良いですね。短期間で誰でも使えるように なれます。GLS-2000 本体と解析ソフトウェア以外、特別な用意 が要らないことも、スムーズに導入できた要因だと思います」。 株式会社ハイデックス・和島様は、北海道札幌市の測量会社であ る。同社は、電力会社に関連する送電線の調査・測量業務に数多 くの実績を持つ。3D 計測製品の導入にも積極的に取り組まれて おり、3D レーザースキャナー GLS-2000、モバイルマッピング システム IP-S2 Standard+、三次元測定システム MONMOS、オー トジャイロステーションなどを駆使した計測を行っている。同社 代表取締役の和島英貴(わじま ひでき)様、第 2 グループ次長 の荒信三(あら のぶぞう)様にお話を伺った。 「今回は、送電用鉄塔と周辺地盤の計測を目的として、3D レーザー スキャナー GLS-2000 を利用して計測を行いました。3D スキャ ナーを利用することで、高密度に取得された点群データから鉄塔 や地形を計測することができ、従来法では線的な測量だったもの が、面的な測量に変わりました」 。高密度な点群データを用いる ことで、鉄塔の部材に至る詳細データを 3D で図面化でき、微細 なたわみや変位などの傾向を 3 次元的に把握できるようになっ たのである。また、作業効率も向上したとのこと。 「計測対象及 び対象周辺を丸ごとスキャンすることで、短時間に広範囲な計測 が可能となりました。ほかにも送電線に関する計測は、例えば送 電線の高さや離隔調査という作業があります。従来はトータルス テーションで 1 点 1 点計測しており時間がかかっていた作業です が、3D スキャナーを利用することで、飛躍的に短時間で行える ようになりました」 。 同社では、このような 3D 計測成果をもとに、鉄塔工事の各種図面 作成や初期値の計測、CAD 図面を組み合わせて維持管理にも活用 している。利用するソフトウェアも様々。ISP の Land Forms、未 来システム工房の 3D-BOSS、AUTODESK の INFRASTRUCTURE DESIGN SUITE など、計測対象や作成成果によって使い分け、効 率的に成果品の作成を行っている。調査・設計・維持管理に至るま で 3D 計測成果を利用していくその作業フローは、BIM / CIM そ のものだ。 今後の 3D 計測への展開については、 「鉄塔の竣工後から維持管理 を念頭に置いた、計測の提案を行っていきたいと考えています」と 意欲的だ。同社がこれまで培ったノウハウを活かした取り組みで成 長を目指している姿勢に、大きな期待が感じられる。 GLS-2000 の使い勝手についても、 高く評価いただいている。 「フ ルドームでスキャンができますから、たとえばトンネルの内部や 代表取締役 和島 英貴 様 14 第 2 グループ 次長 荒 信三 様 弊社は、保有する先進機器を駆使して 3D 計測業務を担っていますが、3D スキャナーと MMS を併用した活用法を率先しています。それは、現地の計測やデータ解析を、より確かな 物として提供したいという思いからです。 また、将来を見据えて UAV の可能性も検討したい と考えています。これにより、3D 点群データを取 得する幅が広がるからです。お客様からの期待は大 きく、それゆえ要求も高度になってきており、応え ていくためにも必要性を感じています。 弊社が率先して、お客様の要望に見合った三次元を 提案できる強い集団でありたいと思っています。 これぞ“測量機メーカーの”3D レーザースキャナー! GLS-2000 の高い機動力と使い勝手なら複雑な形状でも素早く簡単に計測 有限会社 和泉測量 様 有限会社和泉測量様は、群馬県渋川市の測量会社である。新技術 の導入に積極的な同社は、2005 年に 3D レーザースキャナーを 導入し、多くの現場で実績とノウハウを蓄積してきた。そんな同 社が、さらなる機動力を求め、GLS-2000 を導入した。 GLS-2000 で計測作業の効率が大幅に向上 導入の効果について伺った。 「導入して最初に使用したのは土砂 崩れの現場で、災害の現況と成形後に計測してその切り盛りした 作業土量を確認するためのものでした。現場の大きさは幅 50m 延長距離 150m とそれほど大きなものではないのですが、崩落現 場は複雑な形状をしていますので、多くの器械点移動が必要です。 今回は 10 カ所盛り替えましたが、1 日足らずで計測を終えること ができました。従来のスキャナーですと、1.5 〜 2 日は掛かって いましたね。また、GLS-2000 は小型ですし、単体で計測できま すから、作業員が 2 人で済みます。機動性の高さが、作業効率のアッ プに効いていることを実感しました」。 さらにもう 1 つ気に入っている点があるという。 「それはレジスト レーション手法として器械点・後視点法が使えることです。従来 機では精度を確保する場合、タイポイント法での計測となります。 多くのターゲットが必要となり設置場所の選定には経験が必要で す。これは時間が掛かるうえ誰にでもできる作業ではありません。 その点、器械点・後視点法は、ターゲットが 1 つで済みますし、我々 のような測量会社の人間には非常に馴染みやすい方法です。そのほ か操作も簡単で、トータルステーションが扱えれば、すんなり使う 事ができました。さすが測量機メーカーのスキャナーは一味違うな と感心しています」。 最後に今後の活用法につ いては、 「石垣やダムな ど、構造物の変位計測に も活用していきたいです ね。」と、スキャナー活 用がさらに加速していく 代表取締役 情報システム室室長 ことが伺える。 奥泉 春夫 様 太田 学志 様 空中から現場全体を即座に把握 Image Master UAS と UAV が高効率・高精度な施工管理を実現 安藤ハザマ 様 作成しました。従来はトータルステーションや RTK-GNSS を使って、 10 〜 20m のメッシュ交点や変化点を測るのが一般的です。データ の密度は、今までとは全く次元が違います。GLS-2000 の測定デー タから計算した土量と比較しても、体積で 0.89% の差しかありませ んでした。この結果から、UAV と Image Master UAS での測量は、 高精度であることが証明できたと思います」。 大手ゼネコンの安藤ハザマ様が、Image Master UAS と UAV の、 施工管理への活用について検証されたとのことでお話を伺った。 検証の方法は、2 種類の出来形計測方法の比較。実際に盛土造成を している宅地整備現場に持ち込み、土量計算を行った。 作業時間、精度とも従来方法とは桁違い 「UAV と Image Master UAS では、飛行準備から土量計算まで約 3 時間で終えることができました。そのうち、実測に当たる UAV の 飛行時間は、たったの 5 分です。従来法では、現場の規模にもより ますが、測量から成果作成まで 1 〜 2 週間はかかっていましたから、 このスピードは目を見張るものです。土量の正確さも、大幅に向上 する結果となりました。今回は 130mm ピッチの 3D 点群データを スケジュール管理とコスト管理に有効 「短期間で測量から計算までを終えることができますから、現況測量 を頻繁に行えるようになります。施工計画にすぐさま反映でき、今ま で以上に緻密なスケジュール管理が行えるようになります。さらに、 従来に比べて格段に精密な数量把握が可能になり、建設機械の適切な 配置や土の移動量の最適化、正確なコスト管理が可能になります。も ちろん、測量時間の短縮も、作業コストの大幅な圧縮に繋がる要素で す」。 今後の研究について、「計 測対象にマッチした機材 の選択や取得データの融 合についてさらに検証を 重ね、より効率的に高精 度に管理が行える方法を 見つけ出したいと思いま 技術本部 技術研究所 技術・設計管理技術者 す。」と抱負を語った。 主席研究員 黒台 昌弘 様 中島 聡 様 15 Topics 国土交通省 i-Construction 実現へ始動 国土交通省 建設現場の生産性向上に向けて、測量・設計から施工、検査、維持管理・更新までの 全プロセスにおいて情報化を前提とした新基準を 2016 年度より導入 国土交通省は、ICT(情報通信技術)を使って直轄事業の全プロセス に3次元データを活用する「i-Construction」の推進に取り組んでい る。施策の一つとして、「ICT の全面的な活用(ICT 土工)」が位置 付けられており、公共測量や監督・検査基準など 15 の新基準、及 び ICT 建機用新積算基準を 16 年度から導入する。 「i-Construction」 は、建設現場の抜本的な生産性向上を図り、今後 10 年で本格化す る労働者減少に備えるだけでなく、企業の経営環境と労働者の賃金 改善、休暇の確保、安全性の向上、スマートな就業環境を同時に実 現する新政策である。国土交通省直轄工事の道路や堤防などの建設 のうち、建機を使って土台や基盤をつくる基礎工事で、16 年度に まず 2 割、20 年度にはすべての案件を義務化の対象とする。 併せて設計から生産工程に至る規格統一による全体最適化や、施工 時期の平準化などにより、工事の生産性を 5 割向上させることを目 標としている。国土交通省が単独で発注する公共事業は 2.5 兆円あ り、16 年度は2割強の 5 千億〜 6 千億円分が対象となる。デジタル 3D データ、ICT を利活用し生産性を向上させるこの政策は、16 年度 に導入ガイドラインが制定され導入が本格化する CIM(Construction Information Modeling)のワークフローにも通じるものです。今後日 本において、i-Construction、CIM の急速な普及に伴い、3D 計測技 術である、3D レーザースキャナー、MMS、UAV は非常に重要な役 割を担います。 i-Constructionになるとこう変わる! 起工測量 施工 デジタル 3D データ デジタル 3D データ 工事を開始する前に実施する測量 重機を稼働させ、土を切り盛りする作業 設計時と実際の地形が整合しているかの 確認を行う 日々動かした土の量を把握しながら、作 業を実施する 検査・出来形 設計通りに出来上がったかを確認する測量 発注者が立ち合い、検査を行う(出来形) 今までは TS レベルと テープによる 幅と長さ検査 GNSS 現場の地形を測量 丁張を設置、マニュアル作業 2 次元図面を作成し、設計と比較 トータルステーションによる出来形管理 重機の作業後に出来高測量 i-Constructionになると UAV、スキャナー、 MMS による 3次元計測 UAV、 スキャナー、 MMS による 3次元計測 マシンコントロール 竣工データへ そのまま活用 重機情報を出来高管理へ 設計の 3 次元データと現場の3次元データを直接比較 ● ● ● ● i-Constructionは、国土交通省国土技術政策総合研究所の登録商標です。 その他カタログ記載の製品名等は各社の商標または登録商標です。 カタログ掲載商品の仕様及び外観は、改良のため予告なく変更されることがあります。 カタログと実際の商品の色は、撮影・印刷の関係で多少異なる場合があります。 注意 商品に関するお問い合わせ トプコン測量機器コールセンター ホームページ 0120-54-1199(フリーダイヤル) 正しく安全にお使いいただくため、ご使用の前に必ず「取扱説明書」をよくお読み下さい。 ご用命は 受付時間9:00〜17:35 (土・日・祝日・トプコン休業日は除く) http://www.topcon.co.jp 本社 営業本部 国内ICT-施工/農業推進部 〒174-8580 東京都板橋区蓮沼町75-1 TEL (03)3558-2511 FAX(03)3558-2654 本社 〒174-8580 東京都板橋区蓮沼町75-1 TEL (03)5994-0671 札幌営業所 仙台営業所 東京営業所 名古屋営業所 FAX (03)5994-0672 大阪営業所 〒174-8580 東京都板橋区蓮沼町75-1 TEL (03)3965-5491 福岡営業所 FAX (03)3969-0275 ©2016 C 2016 Printed Japan2016 201602-100 05-50 P-215-2 Printed in in Japan P-215-1
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