第3章 検証・拡充のポイント

第3章
検証・拡充のポイント
第3章 検証・拡充のポイント
3-1
専門サービス業(社会保険労務士事務所)の職務分析に係る調査研究の流れ
平成 20 年度に実施した、社会保険労務士事務所の 職務分析(作業部会名:「専門サ
ービス業(社会保険労務士事務所)に係る総合的かつ体系的な職務分析の推進に関す
る調査研究」作業部会 )では、全国社会保険労務士 会連合会の協力の下、 社会保険労
務士の専門委員(技術や技能に加え、 事業所を 管理もしくは統括している人材 )によ
り、職務の構成を検討・整理するとともに、職務毎の 詳細な職務分析データ (仕事や
作業内容等)について検討を重ねた。作業部会は 5 回開催した。
また平成 21 年度は、「生涯職業能力開発体系(社会保険労務士事務所)フォローア
ップ検討会」を行い、平成 20 年度に検討した職務分析データについて、全国社会保
険労務士会連合会で計画している各種研修や人材育成等に関連する活動内容等の情報
や現在までに機構で開発してきた各種の研修項目等を整理するとともに、これらの研
修等を参考により現場に即した職務分析データとするためのメンテナンスを行った。
フォローアップ検討会は、月 1 回程度合計 5 開催した。
調査研究の流れは、図表 3-1 及び図表 3-2 のとおりである。
- 21 -
調査研究資料 No.125-7
図表 3-1
社会保険労務士事務所の職務分析に係る調査研究の流れ
中央団体等
H20
調査研究室
委員の依頼
委員の推薦
事
前
作
業
6
~
8
月
団体の選定
(新規及び既存業種)
推薦
関係機関
現地調査及びヒアリング調査
作業部会用資料作成
作業部会出席及び説明
議事録等成果物の納品
委員の委嘱
参考資料
研修コース
業界誌等
職務構成表及び全部門の職務
分析データに係る情報の収集・
専門書籍の購入
提示
●
●
●
●
●
職務構成表及び
職務分析データ
素案作成
作成指示
説明
素案提出
第1回作業部会
1
0
月
受託
業務委託
生涯職業能力開発体系の理解(説明・把握)
本作業部会で検討すること
職務構成表(案)の検討
管理事務系職種の職務分析調査票(案)の確認
第2回作業部会日程調整
素案修正
作業部会の結果を
踏まえ職務構成表
見直し及び職務分
析データの見直し
(案)作成
調整
1
1
作月
業~
部 会 H21
1
月
● 第1回作業部会議事録の送
信● 職務構成表及び職務分
析調
修正指示
進捗管理
説明
第2~4回作業部会
案提出
● 職務構成表(案)の検討、確認
● 職務分析調査票(業界特化)の検討・確認
● 次回作業部会日程調整
案修正
調整
能力体系の
修正執筆
調整
執筆依頼
● 職務分析調査票の修正作
業
分担
提出
修正指示
進捗管理
2
月
事
後 3
処月
理
第5回作業部会
説明
まとめ案提出
● 調査研究資料「暫定版」の確認(職務構成表・職務分析データ・
・業界の特徴等)の確認
報告書資料原稿の精査
(校正・校閲)
生涯体系の普及、促進に
係る説明会等の開催
修正
提出
調査研究資料の作成
確認
・団体及び傘下企業等への
報告
書資料の配付
・生涯体系の普及、活用に係
る
説明会等の参加依頼
- 22 -
職務構成表及び職務分
析データのまとめ
(案)作成
提出
・検証及び拡充のポイントまと
め
・職務構成表及び職務分析
データ
・生涯職業能力開発体系作成
支援ツール用データ
・議事録
第3章 検証・拡充のポイント
図表 3-2「生涯職業能力開発体系(社会保険労務士事務所)フォローアップ検討会の流れ
H21
事
前 4
作月
業
中央団体等
調査研究室
委員の依頼・委嘱
委員の推薦
推薦
・団体の選定(新規及び既存業種)
・H20職務分析データ(社会保険労務士事
務所)の確認
・フォローアップ検討会概要説明
第1回フォローアップ検討会
● フォローアップ検討会概要説明
● 本検討会で検討すること
● 職務構成表・職務分析調査票の検討
● 第2回作業部会日程調整
調整
● 第1回作業部会議事録の送信
● 職務構成表及び職務分析調査票
修
フ
ォ 4
ロ 月
ア 7
ッ 月
フ
゚
検
討
会
進捗管理
第2~4フォローアップ検討会
● 職務分析調査票の検討・確認
● 業界の特徴及び現在の課題等の整理・検討
● 職業能力開発体系(研修体系)について
● 各種研修項目の整理
調整
調査研究資料
の修正執筆
執筆依頼
提出
● 職務分析調査票の修正作業分
担
進捗管理
第5回フォローアップ検討会
8
月
● 調査研究資料「暫定版」の確認(職務構成表・職務分析データ・
・研修体系等)の確認
報告書資料原稿の精査
(校正・校閲)
事
後
処
理
提出
調査研究資料の作成
確認
・団体及び傘下企業等への報告書資料の
配付
・生涯体系の普及、活用に係る説明会等の
参
加依頼
・本部へデータの提出
生涯体系の普及、促進に
係る説明会等の開催
- 23 -
調査研究資料 No.125-7
3-2
専門サービス業(社会保険労務士事務所)の職業能力体系構築に
関するポイント
今回作成した 専門サービス業 (社会保険労務士事務所 )に係る職業能力体系 (モデル
データ)は、専門サービス業 (社会保険労務士事務所)の標準的な職務を洗い出し、名
称や表現についても一般的で汎用性のある表現、もしくは、業界標準となっているよ
うな職務名・仕事名を用いることによって 、多くの社会保険労務士が活用できるよう
考慮した。
しかし、カンや経験測を要する業務等については、標準化できないため、各人が独
自に加筆・修正を加え活用していただくことを想定している。
作業部会における各委員からの意見をまとめ整理したポイントは図表 3-3 であり、
最終的に整理した職務構成表は、図表 3-4 のとおりである。
専門サービス業(社会保険労務士事務所)の職務を分析するにあたっては、連合会と
協議し、想定する事務所の規模を従業員 5 名程度として従業員等の段階的な能力開発
に必要となる「仕事」や「作業」等の洗い出しを行った。
図表 3-3 専門サービス業(社会保険労務士事務所)職務分析に係るポイント
●レベルは、1~2 号業務と 3 号業務など、業務で分けることはできないため別の視点で整理す
る必要がある。
●社会保険労務士は、新 人でもベテランでも同一の業務を行うが、経験や知識が業務の対応
能力・範囲に反映するため、いわゆる「広がり型」のレベルイメージを想定し、役職や身分では
なく能力で分類する必要がある。
●レベルの設定は、有資格者(専門知識を有する者)をレベル 2 とし、無資格者で社会保険労
務士の補助業務をおこなう者をレベル 1 とする。また、それぞれの仕事の広がりや深さに応じ
てレベル 3 やレベル 4 を検討する必要がある。
●今後、法人形態の事業所が増え、電子申請に対応する IT 活用技術も必須条件となる。数年
先を念頭に、企業経営、従業員数人規模をターゲットに仕事の体系を作成する必要がある。
●社会保険労務士の仕事は、人との関わりなので人に関する問題の第一の相談相手であるべ
きである。知 識よりも真 摯 な姿勢 など対応法が重要 であるため、コミュニケーション能力につ
ながる内容を盛り込む必要がある。
●段階的には「~知っている」、「~作成できる」、それを活用して「~に対応できる」という流れで
まとめる。
●専門サービス業(社会保険労務士事務所)の運営にあたっては、社会保険労務士としての業
務と事務所の運営に分けられる。さらに、社会保険労務士の業務として、専門知識に基づい
て行う「定型業務」と労使紛争の対応や交渉などの「非定形業務」の 2 つに分かれる。これら
を「職務」や「部門」として設計する必要がある。
●社会保険労務士としての倫理・コンプライアンス、研修受講などを通じた「資質向上・社会貢
献活動」などは、仕事上極めて重要な事柄であるため、「国家資格管理」を設定する。ただし
「国家資格管理」は、社会保険労務士としての「職務」ではないため、「部門」として設定する。
●レベル 3 やレベル 4 で扱われる「仕事」は、主に専門知識を活用したコンサルティング業務や
各種の制度設 計・制度 運 用・制度の維持 管理や紛 争解決の対応 等である。これらについて
は、全 国 社 会 保 険 労 務 士 会 連 合 会 が作 成 した「社 会 保 険 労 務 士 研 修 プログラム~ 3 号 業
務・業務関連分野~」(平成 20 年 3 月)を参考に素案を作成する。
- 24 -
第3章 検証・拡充のポイント
●「国家資格管理」の表現としては、本職務分析で扱っている「できる」や「知っている」という表
現ではなく、「~している」とする。
●「労務管理」は、社会保険労務士の専門分野なので、より詳細に職務を棚卸し列記する必要
がある。
図表 3-4
団体または企業名
社会保険労務士事務所の職務構成詳細表
部門
専門サービス業
事務所運営
(社会保険労務士事務所)
職務名
仕事名
経営
経営企画
管理・総務
庶務管理
法務管理
人事・労務管理
社会保険労務士事務所業務
経理
財務・税務会計
営業
営業活動
労務管理
就業規則及び労使協定指導
採用指導
労働時間指導
賃金指導
解雇・退職指導
労使関係管理指導
非正規労働者の指導
安全・衛生指導
その他の指導
労働社会保険手続対応
労働社会保険手続
労働社会保険相談
労働社会保険に係る行政不服審査
助成金申請
年金相談
年金手続
年金相談
年金に係る行政不服審査
給与計算
給与計算
経営労務監査
経営労務監査指導
人事コンサルティング
人事制度設計・管理
労務診断
教育訓練制度設計・管理
賃金制度設計・管理
福利厚生制度設計・管理
国家資格管理
社会保険労務士倫理
社会保険労務士の義務と責任
コンプライアンス
資質向上
資質向上
会員活動
組織的対応
社会貢献活動
- 25 -
調査研究資料 No.125-7
3-3
専門サービス業(社会保険労務士事務所)の職業能力開発体系構築にあたって
社会保険労務士となるには、社会保険労務士 試験に合格した方、又は試験科目すべ
てが免除される方、若しくは弁護士となる資格を有する方が、全国社会保険労務士会
連合会へ登録(都道府県社会保険労務士会への入会手続き)して社会保険労務士とし
ての業務を行うことができる。試験合格者又は試験科目全部の免除者については、登
録に際し、2年以上の実務経験若しくは連合会が行う数ヶ月間の通信教育と4日間の
面接講習(講義形式の座学)による講習を受けることにより、初めて社会保険労務士
となる資格を有することとなる。
社会保険労務士の業務は、第2章にも記載しているように、顧問となっている企業
等との継続的な関係の中で、実務家として、労働社会保険関係諸法令に基づく申請等
の手続きを行うのみではなく、労務管理の専門家として、労働社会保険関係諸法令に
ついての専門的な知識を生かし、法律問題や労務管理等の 相談、指導を行っている。
また、企業内において労使間の問題となるのは、賃金、労働時間など労働条件全般で
あるが、これらの問題の解決を通じて、労働環境の改善に大いなる貢献をしている。
また、平成17年の社会保険労務士法の改正により、特定社会保険労務士制度ができ、
個別労働関係紛争の和解調停において代理人としての業務が可能となった。連合会で
は、今後、個別労働関係紛争に関して簡易裁判所での訴訟代理権、労働審判での代理
権などの獲得を目指しており、さらに活動の幅が広がることが予想される。主 な法改
正の項目を次に掲げる。(図表3-5参照)
図表3-5 社会保険労務士法等の改正
社会保険労務士法等の一部を改正
報 酬 の 基 準 を 明 示 す る 義 務 (改 正 則 第 12条 の 10関 係 )
(1)
社 会 保 険 労 務 士 又 は 社 会 保 険 労 務 士 法 人 (以 下 「 社 会 保 険 労 務 士
等 」 と い う 。 )は 、 社 会 保 険 労 務 士 等 の 業 務 に 係 る 依 頼 を 受 任 し よ う
とする場合、あらかじめ当該依頼者に対し、報酬額の算定方法等を示
さ な け れ ば な ら な い こ と 。 (平 成 21年 2月 27日 改 正 )
業 務 の 公 正 保 持 等 (改 正 則 第 12条 の 11関 係 )
(1)
(2)
社会保険労務士等は、業務の内容、報酬等、相手方の判断に影響を
及ぼすこととなる重要な事項につき、不実のことを告げ、又は故意に
事実を告げずに勧誘を行うなど、不当な方法により、事案の依頼を勧
誘してはならない。依頼を誘致するに際し、以下に掲げるような不正
又 は 不 当 な 行 為 を し て は な ら な い こ と 。 (平 成 21年 2月 27日 改 正 )
社会保険労務士等は、その業務について広告をするときは、重要事
項について、著しく事実に相違する虚偽表示又は誇大表示をしてはな
ら な い こ と 。 (平 成 21年 2月 27日 改 正 )
代 理 業 務 の 拡 大 (紛 争 解 決 手 続 代 理 業 務 )
(1)
社会保険労務士の業務に、個別労働関係紛争の解決の促進に関する
法律のあっせんの手続の代理に加え、新たに次の事項を加えられた。
- 26 -
第3章 検証・拡充のポイント
(2)
( 第 2条 第 1項 第 1号 の 4か ら 第 1号 の 6ま で 及 び 同 条 第 3項 )
①
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する
法 律 第 18 条 第 1 項 の 紛 争 調 整 委 員 会 に お け る 調 停 の 手 続 の 代 理
②
個別労働関係紛争について都道府県労働委員会が行うあっせん手
続の代理
③
個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う民
間 紛 争 解 決 手 続 の 代 理 (紛 争 の 目 的 の 価 額 が 60 万 円 を 超 え る 事 件 は 弁
護 士 と の 共 同 受 任 が 必 要 )が 追 加 さ れ 、 「 紛 争 解 決 手 続 代 理 業 務 」 に
は、当該手続に関する相談、和解交渉及び和解契約の締結の代理も含
まれることとされたこと。
(平 成 19 年 3 月 26 日 改 正 )
紛争調整委員会によるあっせんの手続の代理も含め、紛争解決手続
代 理 業 務 は 、 紛 争 解 決 手 続 代 理 業 務 試 験 に 合 格 し 、 か つ 法 第 14 条 の
11 の 3 第 1 項 の 規 定 に よ る 付 記 を 受 け た 「 特 定 社 会 保 険 労 務 士 」 に
限り、行うことができるものとされたことに留意すること。(法第 2
条第 2 項)
(平 成 19 年 3 月 26 日 改 正 )
社会保険労務士法人の業務の範囲等
(1)
紛争解決手続代理業務は、特定社会保険労務士に限り行うことがで
きることとされたこと等に伴い、以下の事項について規定の整備を行
ったこと。
①
業 務 の 範 囲 (法 第 25 条 の 9 第 1 項 第 2 号 及 び 第 2 項 関 係 )
②
③
④
⑤
⑥
業 務 を 執 行 す る 権 限 (法 第 25 条 の 15 第 2 項 )
法 人 の 代 表 (法 第 25 条 の 15 の 2 第 2 項 )
社 員 の 責 任 (法 第 25 条 の 15 の 3)
紛 争 解 決 手 続 代 理 業 務 の 取 扱 い (法 第 25 条 の 16 の 2)
業 務 の 執 行 方 法 (法 第 25 条 の 19)
(平 成 19 年 3 月 26 日 改 正 )
社 会 保 険 労 務 士 の 業 務 か ら の 労 働 争 議 不 介 入 規 定 の 削 除 (社 会 保 険 労 務 士 法
第 2条 第 1項 第 3号 及 び 第 23条 関 係 )
(1)
争議行為が発生し、又は発生するおそれがある状態において、社会保
険労務士は業務として当事者の一方の行う争議行為の対策の検討、決
定等に参与することができることとなること。しかし、労働争議時の
団体交渉において、一方の代理人になることは法第 2 条第 2 項の業務
には含まれず、社会保険労務士の業務としては引き続き行うことがで
きないこと。
(平 成 18 年 3 月 1 日 改 正 )
紛争解決手続代理業務試験
(1)
(2)
紛争解決手続代理業務に係る研修
紛争解決手続代理業務を行うのに必要な学識及び実務能力に関する
研修は、連合会が、次に掲げる項目について講義及び演習により行う
も の と し 、 当 該 研 修 の 総 時 間 数 は 63時 間 以 上 と す る こ と (則 第 9条 の 3
関 係 )。
①
個別労働関係紛争に関する法令及び実務に関すること
②
個別労働関係紛争の解決のための手続に関すること
③
個別労働関係紛争における書面の作成に関すること
④
紛争解決手続代理業務に携わる者としての倫理に関すること
⑤
その他個別労働関係紛争に関し必要な事項
(平 成 18 年 3 月 1 日 改 正 )
紛争解決手続代理業務試験
紛争解決手続代理業務試験を受けようとする者は、厚生労働大臣が
代理業務試験事務を行う場合にあっては紛争解決手続代理業務試験申
込書を所轄の社会保険事務局長又は労働局長を経由して厚生労働大臣
- 27 -
調査研究資料 No.125-7
(3)
に、連合会が代理業務試験事務を行う場合にあっては連合会が定める
紛争解決手続代理業務試験の受験申込書を連合会に、次の書類等を添
えて提出しなければならないこと。
(平 成 18年 3月 1日 改 正 )
代理業務試験事務
連合会は、代理業務試験事務規程の認可を受けようとするときは、
その旨を記載した申請書に当該認可に係る代理業務試験事務規程を添
え、厚生労働大臣に提出しなければならないこと。
また、代理業務試験事務規程で定めるべき事項を次に掲げるとおり
と し た こ と (則 第 30条 の 2に お い て 準 用 す る 則 第 29条 )。
①
紛争解決手続代理業務試験の実施の方法に関する事項
②
受験手数料の収納の方法に関する事項
③
代理業務試験事務に関して知り得た秘密の保持に関する事項
④
代理業務試験事務に関する帳簿及び書類の保存に関する事項
⑤
その他代理業務試験事務の実施に関し必要な事項
(平 成 18 年 3 月 1 日 改 正 )
紛争解決手続代理業務の付記
(1)
(2)
3-4
付記の申請等
社会保険労務士が紛争解決手続代理業務の付記を受けようとするとき
は、紛争解決手続代理業務試験に合格し、当該社会保険労務士の所属
社会保険労務士会を経由して、連合会に提出しなければならないこ
と。
(平 成 18 年 3 月 1 日 改 正 )
特定社会保険労務士証票
法 第 14条 の 11の 3第 2項 の 特 定 社 会 保 険 労 務 士 証 票 の 様 式 を 定 め た こ
と (則 第 12条 の 6及 び 様 式 第 6号 の 2関 係 )。
特定社会保険労務士の紛争解決手続代理業務の付記の抹消により、特
定社会保険労務士証票を返還しようとする者は、その者の所属社会保
険 労 務 士 会 を 経 由 し て 、 連 合 会 に 返 還 し な け れ ば な ら な い こ と (則 第
12 条 の 7 関 係 )。
(平 成 18 年 3 月 1 日 改 正 )
社会保険労務士の職業能力開発のポイント
(1)全国社会保険労務士会連合会としては、既に新規入会者研修・開業準備研
修・倫理研修等の都道府県社会保険労務士会にお ける実施経緯があることから、
研修を体系化して冊子を作成し、実施しているが、現実として社会保険労務士
の業務は広範囲であり、研修の内容が多岐に渡ることから、都道府県社会保険
労務士会において、必要な項目を取捨選択し実施することが有効と思われる。
(2)社会保険労務士業務において専門的な知識を全て網羅できる講師を揃えるこ
とは、社会保険労務士の業務内容がかなり多岐にわたる特性上、簡単な事では
ない。会場準備や講師への依頼を考えると単発的な実施はやむを得ない。
(3)都道府県社会保険労務士会の研修の実施状況を見ると、 「就業規則」などの
項目に特化した研修が見受けられる。確かに職務構成表の中 に記載している全
てが社会保険労務士業務であるが、業務の各分野における得手不得手、又は新
- 28 -
第3章 検証・拡充のポイント
たな情報・知識の伝達の必要性という意味においては、都道府県社会保険労務
士会において、個別に分けた項目を一つピックアップした研修の実施、または
項目ごとの区分けによる研修の実施が有効であると思われる。
(4)労働関係、社会保険関係の知識は、社会保険労務士が業務を行う上で不可欠
な、いわば両輪関係となる必要な基礎知識であり、いずれの知識をも活用した
相談・指導業務が社会保険労務士の業務の基本であることから、労働関係と社
会保険関係を適切にバランスよく取り入れるため、 研修を段階的かつ体系的に
整理したもの(研修体系)から社会保険労務士各人が選択できると実施しやす
い。
(5)不足した知識を補いたい社会保険労務士への研修体系の作り方を考えるのが
よい。実際に都道府県社会保険労務士会で実施している研修体系は、年金に関
する研修、労働に関する研修、さらに細分化した研修のように、個別で実施し
ている場合が多い。研修体系を整理することは非常に有効な考え方である。
(6)都道府県社会保険労務士会が研修を検討する場合、研修体系があれば、研修
を計画するうえでの一つの指針として有効に利用してもらえるものとなる。
(7)仕事の体系と研修体系を併用し活用することによって、社会保険労務士の業
務がよりわかりやすくなり、利用する社会保険労務士本人が自己評価のための
分析表として活用できる。また、自己に必要となる知識・技能を研鑽してゆく
ための、診断ツールとして非常に有効である。
- 29 -