海外安全対策情報(平成25年度第1四半期) 1 社会・治安情勢 (1)国連薬物犯罪事務所(UNODC)が発表した2012年グローバル殺人調 査(2011Global Study on Homicide)によると,ブラジルは2010年に殺人被害者 数40,974人で世界二位を記録した。 (2)サンガリ研究所(Instituto Sangari)の最新データによると,2010年, 伯国における殺人率は人口10万人当たり26人であるのに対し,パラナ州34. 4人と高く,クリチバ市55.9人及びクリチバ大都市圏においては56.8人と 全国の2倍以上となっており,伯の州都中ワースト6位である。(参考として同年 サンパウロ市13.0人,リオデジャネイロ市26.2人) 同年の全国平均女性殺人率は女性人口10万人当たり4.4人に対し,パラナ州 における女性殺人率は,これを上回る6.3人であり全伯ワースト3位であった。 また同年自治体別女性殺人率では,クリチバ大都市圏の1つであるピラクアラ市が, 女性人口10万人当たり24.4人であり全伯ワースト2位であった。 2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向 (1)パラナ州公安局の発表によれば,2013年(1月-3月)パラナ州では7 44人が殺害されており,クリチバ市137人,カスカベル市37人,アルミラン テ・タマンダレ市33人,フォス・ド・イグアス市33人と殺人被害者数は依然と して高い数値を示している。 パラナ州の州都であるクリチバ市では,2013年(1月-3月)シダデ・イン ダストゥリアル・クリチバ地区(クリチバ工業地区)24人,タツクアラ地区19 人,シチオ・セルカド地区12人が殺害されており,同市の中で最も殺人事件が多 い地区であり,十分な注意が必要である。 主な犯罪件数は以下のとおり 2013年(1月~3月)クリチバ市犯罪件数 殺人 137件(前年同期比23.5%減) 強盗 6,166件(同2.9%減) 窃盗 10,637件(同3.6%減) 傷害 2,446件(同3.3%減) 脅迫 5,195件(同3.6%増) 車輌強盗 924件(同8.1%減) 車輌盗難 1,263件(同12.9%減) 交通事故死 44件(同20.0%減) 性犯罪 144件(同22.2%増) 2013年(1月~3月)パラナ州犯罪件数 殺人 744件(前年同期比9.6%減) 強盗 14,101件(同3.1%減) 窃盗 38,211件(同1.8%減) 傷害 17.797件(同3.1%減) 脅迫 30,351件(同1.0%増) 交通事故死 455件(同23.0%減) 性犯罪 1,262件(同6.5%減) (2)クリチバ市及び大都市圏では近年,誘拐,ATM爆破強盗,宝くじ売り場や 薬局店,レストラン及び住居を狙った武装強盗,運転中及び停車中を狙った車両強 盗,武装集団による長距離及び路線バス強盗が多発している。時間帯,場所を問わ ず銃器を使用した犯罪が多発しており,十分な注意が必要である。また当館至近に おいて集会及びデモ行進が頻繁に行われている。渡航情報(危険情報)については, パラナ州大クリチバ圏は「十分注意してください」を継続中。 (3)6月,伯内主要都市で発生した公共交通機関料金の値上げに端を発するデモ 活動が,パラナ州及びサンタカタリーナ州各地でも発生した。 これまで6月18日フロリアノポリス市5万人,6月21日クリチバ市1万5千 人と最大の参加人数を記録し,デモ活動は断続的に続いている。 (4)パラナ州西部に面する隣国との国境地帯(特にパラグアイ)からは頻繁に大 麻等の麻薬類及び銃器類の密輸が行われており,軍警察による押収量は増加する一 方である。2009年及び2010年のパラナ州における武器押収量は全伯一位で ある。近年,パラナ州は麻薬の搬入ルートのみならず麻薬消費地域となっており, 麻薬絡みの犯罪も増加している。 (5)パラグアイとの国境付近のフォス・ド・イグアス市等において,パラグアイ へ向かう観光客等に対する強盗事件が発生しており,殺害に至った事件もある。 (6)州文民警察によると,1月~5月において2.1tの麻薬をパラナ州各地で 押収したと発表しており,主にクリチバ市,ロンドリーナ市,ポンタ・グロッサ市 及びフォス・ド・イグアス市から押収している。 更に連邦警察では,5月25日,クリチバ市クリチバ工業地区において別途1t の大麻を押収したと報じている。 3 犯罪事例 (1)強盗 ア 4月25日,正午頃,クリチバ市ビゴヒーリョ地区パドレ・アンシェッタ 通りの路上において,中国人が車輌(日産:LIVINA)から降りる際, 強盗に遭い,犯人が発砲した弾が地面を跳弾し被害者の左足に命中した。犯 人は被害者の車輌を奪い逃走したが,事件発生2時間後,10㎞程離れた地 区で別の盗難車に乗っているところを逮捕された。 イ 6月24日(月)夜,クリチバ市モスンゲ地区のスーパーCarrefo ur駐車場において,ブラジル人男性2名が自家用車(Renault S andero)を駐車したところ,拳銃を所持した2人組の犯人に襲われ, 犯人は同車輌と車内にあった携帯電話等を強奪し逃走した。 同スーパーでは同様の事件の被害が既に91件発生しているとスーパー 従業員がコメントしている。 (2)殺人 4月27日,ビゴヒーリョ地区フランシスコ・ロッシャ通りのアパートメ ントに住むブラジル人女性(51歳)が,27日に美容院を出た後,犯人に 襲われ殺害されました。遺体はクリチバ市カンピナ・ド・シケイラ地区アブ ラォン・レルネル通りのホンダ販売店裏の空き地に放置され,29日付近を 通った通行人が女性の遺体を発見した。 (3)その他 ア 5月15日,17時頃,クリチバ市セントロ地区ジョアン・ネグラン通り の路上において,ブラジル人少年2名(15歳及び17歳)が犯人と海賊版 DVDの販売場所の取り合いで争いとなり,犯人が所持する銃で両者とも胸 等を撃たれ救急車で搬送された。犯人は現在も逃走している。 イ 6月17日,正午過ぎ,クリチバ市ビゴヒーリョ地区マルティン・アフォ ンソ通りのスーパーCONDORにおいて,ブラジル人女性が自家用車(B MW)に乗車しようとしたところを2人組の犯人が襲い,女性を後部座席に 押し込め誘拐し逃走した。 逃走中,犯人は約2km離れたバリグイ公園内に車輌で侵入し,公園内で ランニングしていた一般人1名を轢き殺した。更に約7Km逃走を続けたが, 警察官に包囲されたため,女性と車輌を置いて徒歩で逃走したところを警察 官と銃撃戦となり,犯人1名が死亡,残り1名は現在も逃走中である。 なお,被害女性は拳銃のグリップ部で殴打され,頭部を負傷したが命に別 状無く,保護された。 以上
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