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JAPAN ON the MARK
2013・Issue 44
1
8
プラスチックの総合情報サイト誕生
UL IDESプロスペクターとUL iQTMデータベースが統合
BIoPoLYmErS
SEarCH
MEDICaL
SEarCH
Po
ProPErTY
SEarCH
w
er
fu
rch T echn
l Se a
o
lo
gi
85,000 Data Sheets
44,000 Yellow Cards
Processing Information
Regulatory Data
ALTErnaTIVE
RESInS SEarCH
w
er
ful
Se a rch T echn o
4
医療機器の品質マネジメントシステム
国際規格、ISO 13485:2003の認証発行
5
製品安全要求事項
One Point Lesson No.32
es
IDES
Prospector
Plastics Database
Po
インモールドラベルの
レコグニション認証サービス開始
g
lo
UL YELLoW
CarD SEarCH
0
350,00
ie
世界初ロボット治療機器「医療用HAL®」の
社会実装を目指すCYBERDYNE 株式会社に
UL 2738 First Edition
ide
orld-W
Users W
6
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60601-1第3版をめぐって
AUTomoTIVE
PLaSTICS SEarCH
CUrVE DaTa
SEarCH
プラスチックの総合情報サイト誕生
UL IDESプロスペクターとUL iQTMデータベースが統合
UL IDES *プロスペクター・プラスチック・データベース(Prospector)は、85,000を超
9
12
えるプラスチックのデータシートを閲覧できるオンライン情報提供サイトです。最終製
品の製造者の方々は、プロスペクターによって、必要項目に合致したプラスチック材料
を容易かつ効率的に検索することができます。
この度、プロスペクターに、UL iQ TMデー
タベースのプラスチック材料認証情報(イエローカード情報)を閲覧可能にし、全てを
一つのサイトで検索できるようにしました。
プロスペクターで閲覧できる物理特性や供
給可能地域などの様々な情報に、ULの燃焼性/着火試験、機械的/電気的試験、短期耐
熱変形試験で検証された特性や定格が加わり、その利便性は大きく向上しました。例え
ば、剛性、衝撃強度、表面硬度に適合し、UL燃焼性定格でV-0に分類されたポリアミドを
北米で調達したいというお客様の要求条件に対し、プロスペクターを利用すると、
これ
らの条件を全て満たした材料が素早く検索され、
リストに表示されます。お客様は必要
に応じて、その材料メーカーにコンタクトし、詳細な情報を入手いただけます。UL iQTM
データベースも引き続きご利用できますが、
このパワーアップしたプロスペクターをご
活用いただくことをお勧めいたします。登録は無料でかつ簡単です!また、ログイン後の
画面の右上に言語選択機能が追加され、
日本語でのご利用も可能になりました!
次ページにその使い方、機能を分かりやすく図解しましたので、お役立てください。
13
スマート機器の安全性を考察
−米国におけるスマート家電の製品安全課題−
UL-ESE UL 用語解説
評価アウトライン
(OOI)
規格適用ガイド
(PAG)
世界のEMC・無線規制改正
−2012年後半を振り返って−
JAPAN ON the MARK
〔2013・Issue 44〕
プロスペクターのご案内
以下にプロスペクター(www.ides.com)の初回登録方法及び主な使用方法をご紹介いたします。
初回登録(無料)
プロスペクターを初めてご利用いただく際は、“Register for Free, Instant Access!”から初
回登録を行ってください。
初回登録以降は、ユーザーネームとパスワードを入力していただくのみで、プロスペク
ターをご利用いただけます。
以下のメニュー画面からご希望のサービスをご選択ください。
無料検索ツール(Free Searches)
メニュー画面
●クイック・サーチ(Quick Search)
材料の製品名、製造者名、樹脂の種類などを直接入力いただくことで、簡単に
材料検索を行うことができます。絞り込まれた候補一覧からご希望の材料を
選択すれば、その材料のデータシートをご覧いただけます。
●ULイエローカード・サーチ(UL Yellow Card Search)
材料の製品名、製造者名、樹脂の種類などからお探しのULイエローカード情
報を簡単に検索、
ダウンロードできます。
より高度なサーチ機能
はこちらから利用いた
だけます(有料)。登録
方法と詳細は次ページ
をご覧ください。
●ULイエローカード・プロパティ・サーチ(UL Yellow Card Property Search)
上記に加えて、UL燃焼性試験のレーティングや試験結果からの検索も可能
です。
●ファスト・ルックアップ(Fast Lookup)
材料の製品名、製造社名、樹脂の種類に加え、それらの指定がない場合にも
供給可能地域や用途に基づき、材料検索を行うことが可能です。
無料検索ツールには、こ
の 他 に も医 療 用 や バ イ
オポリマー、新製品に特
化した検索機能などがあ
ります。
Yellow Card Pluginのご紹介
材料メーカーの皆様は、Yellow Card Pluginのリンクをホー
ムページに貼り付けることにより、上記のUL認証情報を正確
かつ迅速に発信していただけます。詳細は、弊社カスタマー
サービスにお問い合わせください。
[2]
JAPAN ON the MARK
有料検索ツール(Premium Searches)
※事前にアクセス権のご購入が必要です(1年間有効)。各ツール画面に現れる
"Order for Instant Access"から登録を行ってください(右図参照)。
●オルタナティブ・レジン・サーチ(Alternative Resin Search)
材料の製品名から、代替材料の検索を行うことができます。現在使用中の材料または
代替材料の製品名を入力いただくことで、プロスペクターに登録されている全材料の
中から候補材料が近似度の高い順に表示されます。
候補から複数材料を選択しそれらのデータシートを横並びに表示したり、分布チャー
トやスパイダーチャートによって目視での比較を行っていただくことが可能です。
●プロパティー・サーチ(Property Search)
材料の製品特性から材料検索を行うことができます。部品設計段階などで樹脂の種類
を特定せず、必要項目のみで材料を検索したい場合などに最適な方法です。
該当する要求項目を選択し、数値などの詳細な条件を入力することで、それに合致し
た材料候補が表示されます。
●オートモーティブ・プラスチックス・サーチ(Automotive Plastics Search)
自動車会社、部品メーカーなどの規格に基づき材料検索を行うことができます。
●カーブ・データ・サーチ(Curve Data Search)
材料メーカーより提供された試験シートの閲覧及びダウンロードが可能です。
*UL IDESとは
UL IDESは、世界トップクラスのプラスチック情報会社であるIDES社(本社:米国ワイオミング州ララミー)が
2012年7月にULに加わり誕生した、ULの新たな部門です。
プロスペクターの運営・管理に加え、お客様が製造
された材料の情報提供/検索ツールをデザインするデータ管理サービス、また、UL IDESの豊富な情報ネット
ワークを活用し、お客様のセールス/マーケティング活動をサポートするサービスも提供しています。詳細
は、弊社にお問い合わせいただくか、UL IDESのホームページ(www.ides.com)をご覧ください[言語:英語]。
[3]
JAPAN ON the MARK
〔2013・Issue 44〕
医療機器の品質マネジメントシステム
国際規格、ISO 13485:2003の認証発行
世界初ロボット治療機器「医療用HAL®」の社会実装を目指すCYBERDYNE 株式会社に
近年、医療機器業界が、今後の成長産業の1つとして注目を集めていま
た。今後、同社が日本国内での治験や国際同時臨床試験など、
このロボッ
す。日本を含む先進国を中心に高齢化が進む中、医療機関で使用する治
トスーツを国内外で展開していかれる中、
この認証取得によって、早期の
療・診断装置に加え、体温、脈拍、血圧などの「バイタルデータ」の計測機器
市場導入を可能とし、世界規模での社会貢献につながる重要な一歩とな
に代表される「家庭用医療機器」に対する需要がますます増加してきてい
るでしょう。ULもまた、
この認証によって人々の生活向上や救援活動に役
ます。
立つ革新的なロボット医療機器の分野で品質管理体制の構築をお手伝い
できたことを、大変光栄に思います。
医療機器市場が全世界に拡大する状況を受けて、
日本では、経済産業省
が医療、介護、健康関連産業(ライフ・イノベーション)を新成長戦略分野に
ULでは医療機器の製造・販売業者の皆様が、市場参入、並びに、迅速かつ
指定しています。医療・介護など関連サービスにおける制度の見直し・産業
グローバルな製品展開を行う上で必要とされる各種サービスを提供してい
創出をテーマとして掲げ、医療の情報化・国際化、バイオ新規産業の創出支
ます。詳細につきましては、弊社カスタマーサービスまで、お気軽にお問い
援、革新的医療機器・生活支援ロボットの開発などの促進をさらに進めてい
合わせください。 く方針です。
医療機器の製品開発に携わる企業には、一般の電気電子製品と同様
に、最先端の技術、市場ニーズを反映する企画力及び製造技術が要求され
るほか、市場に製品を導入するため、法規制(日本では薬事法)をクリアする
必要があります。法規制は日欧米などの先進国を始め、近年はBRICsや
ASEAN、中東の新興国でも整備され、それぞれの国で、それぞれの法規制
に対応する必要があり、
これが市場参入の大きな障壁となっています。ULで
は、
日米欧などで第三者認証機関として医療機器の認証を手掛けてきた経
験を活かし、製品企画から市場導入に至る一連のプロセスにおいて、お客
様のニーズに合わせたサービスを提供しています。
医療機器分野の法規制対応では、製品安全、電磁両立性(EMC)、
ソフトウ
ェア、
アラーム、生体適合性、
リスクマネジメントなどの観点を考慮した広範
囲にわたる技術文書(製品単位)の作成と品質マネジメントシステムの構築
(企業単位)が必要となります。一般的に、品質マネジメントの規格としては
ISO 9001がよく知られていますが、ISO 13485は医療機器における品質マネ
ジメントシステムの国際規格で、数多くの国で規制の一部として採用されて
います。
U L は 、2 0 1 2 年 1 2 月 1 1 日 、筑 波 大 学 発 の ベ ン チャー 企 業 で ある
CYBERDYNE(サイバーダイン)株式会社(本社:つくば市)にISO 13485:
2003の認証を発行しました。内閣府FIRST:最先端サイバニクス研究プロ
グラムの研究開発成果をもとに、同社が製品として製造する
「ロボットスー
ツHAL®」は、脳・神経・筋疾患患者の機能改善のための次世代リハビリ支
援、身体機能に障がいのある方の自立生活支援、介護や工場などでの重
作業支援、災害現場でのレスキュー活動支援など、幅広い分野で利用され
ると期待されています。今回のISO 13485:2003の認証取得により、同製品
の設計開発/製造システムの信頼性が国際的に実証されたこととなりまし
2013年1月21日 認証授与式にて
左からUL Japan 山上代表取締役社長、山海嘉之CEO(CYBERDYNE/筑波大FIRST)
[4]
JAPAN ON the MARK
製品安全要求事項
One Point Lesson
UL 2738 First Edition
No.32
低電力製品に使用する電磁誘導方式による電力伝達装置に関する情報
~UL 2738 第1版 “Induction Power Transmitters and Receivers for use with Low Energy Products”のご紹介~
UL 2738は、最近のスマートフォンなどの小型低電力製品用の無接点(ワイヤレス)充電器のような電磁誘導
方式の送電(トランスミッター)
・受電(レシーバー)装置・製品の製品安全認証に適用する安全規格です。一部
例外を除いて、受電装置からの出力が直流60 Vまたは42.4 Vピーク、及び、皮相電力100 VAを超えない装置・
製品に対して適用されます。
UL 2738は、下表のいずれかの最終製品の安全規格と組み合わせて使用されるようにできています。
トランスミッター
レシーバー
UL 1310 Class 2 Power Units
最終製品規格
○
○
UL 1012 Power Units other than Class 2
○
○
UL 60950-1 Information Technology Equipment – Safety - Part1: General Requirements
○
○
UL 60065 Audio, Video and Similar Electronic Apparatus - Safety Requirements
○
○
UL 962 Household and Commercial Furnishings
○
--
UL 1286 Office Furnishings
○
--
UL 60335-1 Household and Similar Electrical Appliances, Part 1: General Requirements
○
○
UL 2738では、上記各規格で考慮されていない誘導電力伝送ならではの構造に対して、主に次の3項目の試験要求事項を追加で規定しています。
8項 Induction Power Transmitter Maximum Power Transfer Test - Normal Operation
通常動作状態でトランスミッターの単一の電磁誘導用コイル回路への最大入力皮相電力は240 VAを超えないかを確認する
9項 Induction Power Transmitter Maximum Power Transfer Test - Component Fault Test
単一故障状態でトランスミッターの単一の電磁誘導用コイル回路への最大入力皮相電力は240 VAを超えないかを確認する
10項 Induction Receiver Limited Power and Current Test
通常動作及び単一故障動作において、
トランスミッターからの電磁誘導での電力伝送時にレシーバー回路の出力電圧、電流、電力がUL 1310のClass 2
電源、
または、UL 60950-1の有限電源(Limited Power Source)の要求事項に適合することを確認する
UL 2738にて評価され適合性が認められた製品は、オンライン認証製品ディレクトリー(Online Certifications Directory)に、製品カテゴリー・ナンバー(CCN)
BBJL(Battery Chargers, Wireless, Low Energy)
で、
アセンブリーなどの部品はBBJL2(Battery Chargers, Wireless, Low Energy – Component)
で登録されます。
また、弊社ではこのUL 2738での安全評価・認証のみならず、モバイル機器の無接点充電の互換性に関する国際規格の策定と普及を推進するワイヤレスパ
ワーコンソーシアム(Wireless Power Consortium)から認定を受けた日本で最初の第三者認証機関として、
ワイヤレス充電規格「Qi」(チー)のロゴ認証サービ
スを昨年11月より開始しております。
UL 2738に関するお問い合わせ
UL Japan カスタマーサービス部 E:[email protected] T:0596-24-6735 / 03-5293-6200
Qiロゴ認証サービスに関するお問い合わせ
UL Japan WiSE事業部 E:[email protected] T:0596-24-8116
[5]
JAPAN ON the MARK
〔2013・Issue 44〕
60601-1第3版をめぐって
What is going on with 60601 3rd Edition now that June 1st 2012 has passed?
EUにおけるIEC 60601-1第3版の発効日(旧規格の使用停止日)である
ブサイトの承認規格のリストには、医療機器に適用される規格として引き続
2012年6月1日が過ぎ去った今、多くのお客様から、「今、何が起こっている
きUL 60601(第2版)だけが掲載されています。OSHAとFDAの間で第3版に
のか」
という質問を頂きます。
これらの疑問に応えて、規制/規格分野におけ
関して話し合う機会がもたれたことは認識していますが、正式な見解はまだ
る進展状況を以下のようにまとめてみました。
発表されていません。
■法規制について
カナダでは
EUでは
イセンス申請を行っている医療機器の製造者に対し、保健省(Health
カナダでは、安全性と有効性の実証にIEC 60601への適合性を活用してラ
Canada)が次のような移行規定(Transition Rules)を制定しました
2012年6月1日が適用されたのは、“Part 2”の個別規格(particular
(適用:2012年6月1日)。
standard)が適用されない機器のみであるということを先ず理解しておか
なければなりません。即ち、EUにおける発効日、別名DOCOPOCOSS(旧規格
への適合性の推定の停止日)は、その機器に適用されるPart 2規格のEN版
• 貴社の機器に直接適用できる個別規格がない場合は、IEC 60601-1:2005
の発行日と一致していません。例えば、超音波医療診断/モニター機器の基
(第3版)
とその当該副通則(collateral standard)に適合しているのが望ま
本的安全性と重要性能の個別要求事項であるEN 60601-2-37は2008年11
しい。
月27日に発行され、そのDOCOPOCOSSは2010年10月1日に設定されてい
ました。
よってこの規格の対象機器は、2012年6月1日ではなく2010年10月1
• 機器に直接適用できる個別規格があり、そのIEC 60601-1:2005に整合し
日まで、EN 60601-1:2006とEN 60601-2-37:2008の両規格に適合している必
たバージョンが2009年6月1日より前にIECから発行されている場合、
この
要がありました。
よってEUでの適合の必要性を判断するには、貴社の製品
個別規格に加えて、IEC 60601-1:2005とその当該副通則に適合しているの
に適用されるPart 2規格があるか否かを知り、それからそのPart 2規格の
が望ましい。
DOCOPOCOSSを把握することが不可欠です。
• 機器に直接適用できる個別規格があり、そのIEC 60601-1:2005に整合し
つまり、Part 2規格のDOCOPOCOSSは、一般規格より優先されるので、貴
たバージョンが2009年6月1日より後にIECから発行されている場合、IECの
社の製品がある発行済みのPart 2規格(第3版と両立可能な)の適用範囲に
発行日より3年間の移行期間が適用される。
この移行期間中は、
カナダ保
入っているのであれば、最も遅いDOCOPOCOSSが貴社製品に対応する日
健省は2つの版並びに関連副通則に適合した製品を受け入れる(保健省
となります。適用できるPart 2規格がない場合、
また同様に、適用可能なPart
の承認規格リストには2つの規格が掲載される)。
2規格がまだ発行されていない場合は、一般規格のDOCOPOCOSSが適用
これらの施行日には、製造者が検討するべき重要な注意書きが記されて
されます。整合規格とそれに対応するDOCOPOCOSSのリストは、次のウェブ
います。
サイトで確認することができます。
http://ec.europa.eu/enterprise/policies/european-standards/harmonisedstandards/medical-devices/index_en.htm
副通則IEC 60601-1-9“Requirements for environmentally conscious
design”がIEC 60601-1:2005の引用規格となっていますが、医療機器規制
(Medical Devices Regulations)が対象としているのは、機器の安全性、有効
米国では
性、品質だけです。
よってカナダ保健省は、製造者が環境に配慮した形で機
米国の市場に機器を出荷する際に検討しなければならない規制機関は2
器を設計することを推奨しますが、
この副通則への適合はライセンスの交
つあります。FDA(米国食品医薬品局)
とOSHA(米国労働安全衛生局)
です。
付の要求事項とはなっていません。
FDAについては、米国に医療機器を出荷・販売したい製造者は、2013年6
カナダ電気工事規定(Canadian Electrical Code)は医療機器規制とは異
月30日まではUL 60601-1(第2版)への適合性を示す試験レポートがあれ
なる別個のものであり、保健省ではなく、各州/準州の電気安全管轄当局が
ば、FDAの要求事項を引き続き満たしていることになります。過去のFDAの
管轄しています。
よって医療機器のライセンスを取得するのに加えて、カナ
慣行に基づくと、2013年6月30日を過ぎても、米国市場に既に出ている機器
ダで販売される電源式電子医療機器は、
このカナダ電気工事規定による
(第2版による試験を受けている)には重要な製品変更は行われていないと
「承認」も受ける必要があり、その州/準州の電気安全管轄当局が認めた適
仮定され、第3版に準じた510(k)の新規届出を行う必要はありません。第3版
合マークが貼付されなければなりません。
の処遇についての正式なガイダンスはまだFDAから発行されていません。
常にそうですが、貴社の製品に適用される規格の施行動向については規
OSHAは第3版に関しては比較的沈黙を守っていると言えます。そのウェ
制当局に直接問い合わされることをお勧めいたします。
[6]
JAPAN ON the MARK
■規格について
基本性能:基本性能に関する4.3項の内容は大きく拡大されています。そこ
にはこのように記されています。
通常の規格開発工程の一部として、規格の発行後、各国の委員会とその
• 基本的安全を越える、機器の臨床性能を特定する。
他の関連団体は、検討事項を洗い出し、対処するべく文書化しました。今
• フル機能から通常及び単一故障状態での全性能ロスにわたる、性能の限
回は計182項目が検討事項として挙げられましたが、それには次が含まれ
界を特定する。
ています。
• 結果として生じるリスクが受容不可能である場合、
リスクを容認できるレ
ベルまで引き下げるリスクコントロール策を導入する。
• リスクマネジメントがこの規格に取り入れられた方法
• この規格での基本性能のコンセプトの使われ方
敷居試験:9.4.2.4.3項の移動に関する敷居試験が改訂されました。
これまで
その結果、
これらの問題に対応するため、IEC 60601-1:2005にアメンドメ
この試験に規定されていた20mmという敷居の高さは10mmに減りまし
ント1が作成され、2012年6月にIECより発行されました。
このアメンドメン
た。
この試験の仕様に対するもう1つの変更は、敷居に衝突させる時の車輪
ト1の米国バージョンは、AAMI(医療器具開発協会)
より発行されると予想
やキャスターの速度が0.4m/sから0.8m/sに増えたことです。
されますが、
これは、
(一般規格とアメンドメント1の本体部分を結合した)
統合文書の形になるでしょう。欧州でもENバージョンはまだ発行されてい
Y1コンデンサ:8.5.1.2項並びに8.5.1.3項が改訂されました。保護手段とし
ませんが、おそらくそれより重要なのは、最近欧州で、
この規格の付属書で
てYコンデンサの使用を許す要求事項が大きく改訂され、Y1またはY2コン
あるAnnex Zに関して議論がもちあがったことを認識しておくことでしょう。
デンサを、患者またはオペレーター保護手段として使用できることが明確
背景にあるのが、適合する欧州指令(Directive)の各基本要件(essential
化されました。特に、動作電圧が42.4Vピークacまたは60Vdc未満である
requirements)に規格がどれだけ整合しているかが、欧州規格のAnnex Z
場合は、1個のY1コンデンサが2つの患者保護手段とみなされることにな
りました。
(参考扱い)に示されているということです。規格の整合化は、
(欧州指令
の)合法的な出荷に関する要求事項に対するその機器の「適合性の推定
ソフトウェア:14.1項が改訂され、14.2項から14.13項の要求事項が適用され
(presumption of conformity)」をもたらすものなので、
これは重要です。
る場合は、IEC 62304:2006の4.3項、5項、7項、8項、9項の要求事項を、それぞ
Annex Zには、過去に多くのEN規格が、「整合している」
という大雑把な書
れのPESS(プログラマブル電子サブシステム)用のソフトウェアの開発また
き方で記されてきましたが、加盟国や欧州委員会から正式抗議を受け、一
は変更に適用しなければならなくなりました。
部の規格は、規格のどの要求事項が欧州指令のどの基本要件に整合してい
るかを直接相関できる形で明確に記されるようになりました。
とりわけEN
トランスフォーマー:15.5.3項は、8.5項が要求している分離に用いる変圧器
ISO 13485:2012とEN 14971:2012は、それぞれ固有のAnnex Zと共に発行
の構造に関する項目です。第3版では、他の主要規格と同じように、変圧器の
されています(例えば、EN 14971:2012に含まれるAnnex ZAは医療機器指
要求事項を整合化しようと、IEC 61558への適合を要求していました。
しかし
令93/42/EECに関するもの、Annex ZBは能動埋込型機器指令90/385/EEC
実際は、変圧器には、患者保護手段に関する要求事項を満たす絶縁距離や
に関するもの、Annex ZCは体外診断用医療機器指令98/79/ECに関するも
誘電特性が備わっている必要があるので、IEC 61558の変圧器を使用する
のになっています)。製造者の方々は、Annex Zで認められている事項への
のは適切ではありません。従ってアメンドメント1ではIEC 60601-1第2版に
合法的な適合性の推定のみを主張するため、
また、適合指令の全ての要素
規定されていた要求事項に戻りました。
を網羅した適切な手段を講じるため、
これらの規格の最新の発行状況とそ
のDOCOPOCOSSを把握する必要があります。
バッテリー:15.4.3.4項リチウム電池の項目も改訂され、
リチウム一次電池は
IEC 60086-4に、
リチウム二次電池はIEC 62133に、それぞれ適合することが
しかしこの基本要件への適合性宣言に規格を用いることは、全く任意で
要求されるようになりました。また、全ての二次電池にIEC 62133への適合
あり、適合性実証方法のオプションの1つに過ぎません。即ち、整合規格を当
を求めるCMC(認証管理委員会)決定が、IECEEより発行されていることにも
該Annex Zに準じて使用することで、適合性の推定を示すことができます
注意するべきです。
が、別の方法でこれを実証することもできます。貴社の製品に関する動向に
本件に関する詳細は、
こちらのウェブサイトもご参照ください〔言語:英語〕。
ついて質問がある場合は、貴社のNB(CEマーキング第三者認証機関)にお
http://www.ul.com/global/eng/pages/offerings/industries/hightech/batteries/
iec62133/cmc3/
問い合わせください。
IEC 60601-1第3版のアメンドメント1について
60601-1第3版並びにULのサービスに関するご質問は、貴社製品をよく担当
しているULのエンジニア、
または、弊社カスタマーサービスにお問い合わせ
ください。
このアメンドメント
(2012年)の大きな特徴に、多数の要求事項が明確化
されたこと、並びに、幾つかの要求事項が変更されたことがあります。注目
オリジナル英語記事
すべき事項を次に挙げました。(備考: これはアメンドメント 1の内容の完全
http://www.ul.com/global/eng/pages/offerings/industries/healthsciences/6060
13rded/60601blog/index.jsp?utm_source=ulcom&utm_medium=vanity&utm_
campaign=60601blog
なリストではありません。)
[7]
JAPAN ON the MARK
〔2013・Issue 44〕
インモールドラベルの
レコグニション認証サービス開始
製品を安全に使用していただくため、安全に関する情報を製品に表示し
て利用者に伝えることは大変重要です。UL認証製品に表示された、
これらの
安全に関する指示事項や危険性の警告を記したラベルや銘版が磨耗や経
時による劣化によって読めなくなってしまうことを防ぐため、ULは、
これらの
ラベル、銘板、標識及びその材料をマーキング&ラベリング・システムと総称
し、それらが適切に製造されているかを試験し認証するサービスを提供し
ています。
このサービスにより、製品製造者の皆様は、UL認証製品に適用さ
れるマーキングの性能要求事項を満たした耐久性の高いラベルをスムー
ズに特定、入手していただけます。
現在、経済的で一体的なデザインが可能、磨耗や破断に強いという理由
から、インモールドラベル(IML)が、食品や化粧品から植木鉢に至るまで
高い利便性
様々なプラスチック製品に使われています。IMLとは、モールディング工程中
にプラスチックの一部として一体成形されるラベルで、UL認証製品にもこ
のIMLを使用したいというご要望に応え、ULは、IMLのレコグニション認証サ
お客様にIMLの認証をスムーズに受けていただけるよう、柔軟性と融通
ービスを開発し、お客様への提供を開始いたしました。
性に富んだシステムを用意しました。
このサービスは、UL認証製品に安全に関連する情報をIMLで表示したい
1)ある1つのプラスチックに適合とされたラベルは、同じ種類のプラスチッ
製造者及びその顧客の方々に、感圧ラベルの評価に使用される安全規格と
クであれば充填材や強化材が入っていても適合であるとみなされます。
同じ規格を使用してIMLのサンプルを評価します。
この規格とは、マーキン
2)複数のタイプの一般的プラスチックへの適合が認められたIMLは、
これら
グ&ラベリング・システムの規格であるUL 969、粘着ラベルのCSA規格であ
のプラスチックのブレンド材に使用することも、追加試験なしで適合であ
るC22.2 No.0.15です。
また、最終製品に適用されるマーキング性能の要求
るとみなされます。
事項によっては、マーキングに磨耗試験を要求している、IEC規格に基づく
3)規定されたモールディング・プロセス条件でモールドされており、必要な
ULの最終製品規格が適用されます。モールディングの方法としては、
ブロー
トレーサビリティ文書が成形加工業者によって作成されているのであれ
成形、射出成形、熱成形に対応しており、評価は、ABS、ポリカーボネート、ポ
ば、最終製品の製造者は、成形加工業者を自由に選択できます。
リプロピレンなどの一般的プラスチック面と、
これらのモールディング工程
の組み合わせに対して行います。
マーキング&ラベリング・システムに関するULのサービスの詳細は、次をご
覧ください。
また、
このIMLの認証は、既存の製品カテゴリーではなく、PGIM2、PGIM8
http://www.ul.com/global/jpn/pages/offerings/industries/chemicals/labels/
index.jsp?null
という新しい製品カテゴリー・ナンバー(CCN)での認証となります。PGIM8
はカナダ向け認証に使用されます。
[8]
JAPAN ON the MARK
スマート機器の安全性を考察
−米国におけるスマート家電の製品安全課題−
米国におけるスマート家電の製品安全課題
Product Safety Issues for Smart-Enabled Appliances in the U.S.
通信ネットワークや携帯端末に接続することで効率のよい電力利用を実
今日の住宅にある家電製品は、15年前に製造された製品に比べて50~
現するスマート家電と呼ばれる製品を目や耳にする機会が増えています。
70%もエネルギー効率が向上していると推定されています。
しかし機器単
ULは、普及が加速しつつあるこれらスマート家電製品の安全性、並びに、
体のエネルギー効率が向上しても、家庭にある機器の平均保有台数も増
これらの製品に対応する規格の概要や動向を述べた白書“Product Safety
加しているため、家電製品全体の電力使用量は増え続けています。その結
Issues for Smart-Enabled Appliances in the U.S.”(米国におけるスマート家
果、家電メーカーは今もなお、エネルギー効率性を向上する革新的な方法
電の製品安全課題)を発行しました。本誌では、
この白書の参考和訳を2回
を開発しなければならないというプレッシャーにさらされています。
に分けてお届けします。初回は、
スマート家電製品の基礎知識とこれらの製
品に考えられる安全上の課題について述べます。
スマート家電製品は、最新の電子/通信技術を取り入れ、電力会社と利用
者が電気の使用を注意深く監視し制御することを可能にします。
これらの製
品は、動作の頻度を減らしてエネルギー消費量を抑えたり、電気の需要も
価格も低いオフピーク時に動作するように設計されています。実際、
これら
[9]
JAPAN ON the MARK
〔2013・Issue 44〕
をはじめとする様々な潜在的メリットゆえに、
スマート家電の世界市場は、
大手家電メーカー数社は既に、洗濯機、冷蔵庫、食器洗い機などにスマー
2015年には150億米ドルを超える規模まで拡大することが期待されていま
ト家電モデルを投入しています2。入手できるスマート家電が拡大すると、
す。
これは2011年度の販売量のほぼ5倍にあたります。
消費者の需要は急速に拡大すると予想されます。米国の調査会社Zpryme
Researh & Consulting社によると、家庭用スマート機器の米国市場規模
同時に、従来の製品をスマート家電へと変換するために必要とされる先
は、2011年の14.3憶ドルから、2015年には54.6憶ドルに増加し、
スマート機
進技術は、現行の最終製品規格で十分に対応されていない製品安全上の
器全体の世界市場に占める割合は36%に達すると予想されています3。ま
課題をもたらす可能性があります。
このギャップを埋める規格開発作業は
た、
これらの高技術製品の価格は、製品の上市当初は高いでしょうが、消費
既に始まっており、ULは一部のスマート機器に特有の安全課題に対処する
者の関心が需要を牽引していく中で低価格化していくと思われます4。
補完的認証要求事項を採用しています。
これはCertification Requirement
Decision(CRD:認証要求決定事項)
と呼ばれるもので、現在既に、当該最終
初期の家庭用スマート機器の開発事業は、洗濯機、衣類乾燥機、冷蔵庫/
製品規格と共にスマート家電の認証に使用されています。
冷凍庫、食器洗い機などの大型製品に焦点が当てられていました。
これらの
製品の家庭での使用状況はそれぞれの家庭の事情によって異なる割合が
本UL白書は、
スマートハウス家電に特有の安全に関する考察と、
これらの
高く、スマート技術の導入が、ピーク時の電力使用量の削減につながる可
懸念への対応策である製品認証の状況に焦点を当てたものです。
スマート
能性が最も大きいのです。
しかしながら、
スマート技術は将来的にはその他
家電の基礎知識に始まり、従来機器へのスマート技術の活用がもたらす安
の家庭用機器や調理機器にも取り入れられていくことでしょう。
全課題を検討すると共に、
スマート家電に対する規格の現況をUL CRDの概
要を含めて説明します。最後に、
スマート家電の設置をめぐる安全以外の課
題、並びに、製品認証を希望されるスマート家電の製造者の方々に対する
提案を紹介します。
エネルギー消費量管理における
スマート家電の役割
米国エネルギー情報局(EIA)から入手した最近のデータによると、2035
年には米国の電気の年間総需要量は、2010年度の需要レベルより23%多
い47,750億キロワット時に増加すると予想されます1。増加する需要を満た
すには、新しい発電所の建設が必要で、その多くは天然ガスや風力、太陽
光、水力などの再生エネルギーを使用するものになるでしょう。
しかしピー
ク時に必要とされる電力需要を満たすために新たに発電所を建設するとい
うのは、お金のかかる計画であり、また、実際に発電能力を増強し、運転を
開始するまでに長い月日がかかります。
スマート家電の主な特徴
需要ピーク時の必要量を満たすために発電能力を増やすという必要性
を減らす1つの方法が、電気の需要をピーク時からオフピーク時に選択的
最も基本的な性能として、スマート家電製品には、電気の使用に関する
に移す技術の採用です。いわゆるスマート技術は、電気の需要時間をずら
すことによって、ピーク時の平均需要量の削減をもたらします。
これがピーク
情報を受け、それに対応することができる通信技術が搭載されています。
時に合わせた発電能力増強の必要性を減少させます。
また、時間を問わな
スマート家電製品との通信は、製品本体に搭載されたユーザー・コントロー
い作業にはオフピーク時の安価な電気料金制度を活用することで、電気料
ル機能によって直接行うこともできますし、有線または無線の遠隔通信イン
金をコントロールすることもできます。
ターフェースによって行うこともできます。つまり、
リモコン機器やスマート
フォンによって、
または、電気事業者であればスマートメーターを通じて、機
器を起動することができます。
電気のピーク需要レベルを下げる努力は色々行われていますが、その中
でスマート技術を搭載した家庭用機器は重要な位置を占めています。一般
的なスマート家電製品には、電力会社や利用者がその製品の電気消費量
分かり易く説明すると、先ずスマート洗濯機を想像してください。ある人
を監視し変更したり、その製品の使用をオフピーク時に移したりできるコ
がその洗濯機に洗濯物を入れ、スタートボタンを押したとします。するとそ
ンピューター/通信技術が搭載されています。また、電気の使用条件を、そ
の洗濯機から電気を供給するようにという信号がスマートグリッド・メータ
の製品に内蔵されているユーザー・コントロール機能、
または、有線或いは
に送られ、
メータは利用できる電気の量を決定します。
メータは洗濯機と交
無線の遠隔通信インターフェースを通じて設定したり変更したりすることが
信し、洗濯機を通常運転するか、省電気モードにするか、または、電力状況
できます。
が好転するまで動作を延期するかを決定します。
[10]
JAPAN ON the MARK
スマート家電に特有の製品安全課題
高度技術の採用によって、電気消費量を削減する機能やオフピーク時の
使用を促す機能を備えたスマート家電製品もあります。AHAM(米国家電製
品協会)は、
スマート家電製品が備える可能性が高い主な機能として、次の6
従来の家庭用機器も適切に設計されていなかったり誤用されたりすると
つを挙げています。
様々な危険をもたらす可能性があります。通電している機器がそうであるよ
うに、家電製品も火災や感電の危険性があります。さらに、衣類乾燥機や冷
• 電気料金の変動情報が表示されるので、機器の使用を調整して電気代を
蔵庫には人が閉じ込められる危険性があるなど、製品の種類によってその
減らすことができる。
製品特有の危険が存在しています。
• 利用者が自分で機器の運転条件を設定できると共に、オフピーク時に使
用するようにという注意喚起の通知を受け取ることができる。
家庭用機器に適用される最終電気製品の現行安全規格に記されている
• 機器の基本的安全機能を損なうことなく、電力会社による設定(需要ピー
要求事項は、製品の設計と利用に関連して予見されるリスクに対応するた
ク時の起動は延期されるなど)の一部または全てを利用者が自分で変更
めに作られています。
しかしこれらの規格は、従来機器にスマート機能を追
することができる。
加することに伴う新たなリスクには対応していません。
スマート家電に関係
• 電力の緊急非常事態に対応し、正常運転状態を維持しながら、電圧の低
する安全課題としては次が挙げられるでしょう。
下や電力供給の一次停止を防ぐことができる。
• HEMS(家庭用エネルギー管理システム)に連動した機能により、住宅全体
• 電子回路:スマート家電製品には、効果的な電力管理に必要な通信を可
のエネルギー利用状況の監視、管理ができる。
能にするインターフェースと回路が組み込まれています。
このような電子
• 風力発電、太陽光発電といった再生可能エネルギーを使用した好ましい
通信回路とその活電回路は、ユーザーを感電から守るために絶縁されて
いなければなりません。
発電方法に対する需要を導き、それらの利用を促すことができる5。
スマート技術のさらなる進歩により、新機能は次々に誕生するでしょう。例
• 機能安全:スマート家電製品は、その動作を制御する信号を受け入れるよ
えば、専用アプリの出現は、携帯電話やタブレット端末の使い方を大きく変
う設計されています。
しかし無差別にまたは予期しない形で受けた信号
えましたが、スマート家電のプラットフォームで機能するアプリの開発も既
は、機器の保護機能を損傷したり、一般市民に危害を与える可能性のある
に始まっています 。 実際、家の近くの路上にいようと地球の裏側にいよう
動作を引き起こしかねません。機器によっては、ある動作の遠隔起動やあ
と、
スマートフォンやタブレット端末からスマート家電製品の機能や電気消
る動作条件の変更を制限することが必要になるかもしれません。
6
費量をコントロールできるアプリは既に存在しています。
例えば、電気湯沸かし器の場合、火傷のリスクを最小限にするため、利
用者が設定した最高温度を無効にするよう命じる遠隔指令は受け入れな
いように設計する、或いは、遠隔起動が可能な自動クリーニング機能を備
えた電気オーブンは、そのクリーニング機能が遠隔起動される前に、ユー
ザーが実際にオーブンのドアをロックすることが必要になるでしょう。
• 機能の作動:理論的にはスマート家電は、完全な評価を受けないまま、新
しい動作機能の追加や既存機能の修正を行う信号を受けることができま
す。
よって意図していない新機能の追加や規格への適合性が評価されて
いない既存機能の変更を防ぐ制御機能が必要になるでしょう。
• EMC、電磁波の発生と耐性:スマート家電製品に搭載されている通信回路
は、機器の保護機能を損なうEMI(電磁妨害)を発生させる可能性があり
ます。
よって内蔵されている電子機器・回路のイミュニティ
(電磁耐性)を
評価し、
また、不要な電磁ノイズから保護するのに必要なシールドをラジ
エータに設置するのが好ましいでしょう。
次回は、上記の安全課題に対する対応策や規格適合化に関する課題に
ついて考察します。
本白書の参考文献(1〜6)については、原書を参照ください。
原書は以下からダウンロードしていただけます〔登録必要・無料〕。
http://lms.ulknowledgeservices.com/common/ncsresponse.aspx?rendertext=a
pplianceshvacthoughtleadership
[11]
JAPAN ON the MARK
〔2013・Issue 44〕
UL 用語解説
UL - ESE
UL認証で最も重要な文書はUL安全規格であることはもちろんですが、その他にも次のような文書が発行されています。今回は、お客様にとっても重
要な意味を持つ2つの文書を紹介いたします。
これらの文書は、本誌第42号のUL-ESE(UL用語解説)で紹介した、お客様専用サイトであるUL規格提供サイト
(Standards Certification Customer
Library)、
または、UL規格の購入申込みサイトであるCOMM 2000(www.comm-2000.com)で入手していただけます。
評価アウトライン
規格適用ガイド
OOI(Outline of Investigation)
PAG(Practical Application Guidelines)
既存のUL規格の適用範囲に入っていず、UL規格が発行されていない製
規格のユーザーに向けて、規格の要求事項を特定の製品や構造にどのよ
品を評価する際にULが使用する基準を記した文書で、Subject(サブジェク
うに適用していけばいいのかを示した補足情報です。UL規格のように各団
ト)または単にOutline(アウトライン)
と呼ばれる場合もあります。一般的
体とのコンセンサスに基づく文書ではありませんが、業界からの情報や協
には、正式にUL規格として発行される前段階の要求事項と位置づけられて
力も得て、技術原則、
リサーチ、経験やその機器の用途などを考慮してULが
おり、
この段階での発行については、規格策定パネル(STP)のコンセンサス
作成します。
これらはUL規格の要求事項に対するULの公式見解であり、お
(総意)は必要ありません。STPでのさらなる検討と投票により、コンセンサ
客様にとってはULの要求事項を理解し、自社の製品に反映する際のガイド
スが達成されると、正式なUL規格として発行されます。新しい製品に対す
ラインとなるものです。ULのポリシー変更による認証指針の変更情報や製
る新しい規格ですので、ULがその製品に適用する製品カテゴリー・ナンバー
品の評価指針、その背景の考察などお客様に有意義な情報が掲載されて
(CCN)を新設または決定した後、評価のみ、または、評価と認証に使用す
いますので、要求事項の正しい理解に是非お役立てください。2013年2月現
ることができます。2013年2月現在、オープンタイプ・スイッチ、盗難防止機
在、約40のUL規格に発行されており、IT製品の規格であるIEC/UL 60950-1
器、IT機器用リレーなど235の評価アウトラインが発行されています。普及が
のPAGは既に230項目以上発行されています。
著しい電気自動車では、充電器、車載ケーブル、車載コネクタなど複数の評
なお、AV機器の規格であるUL 6500/60065のPAGは、下記のウェブサイト
価アウトラインが発行され、
これらの製品の安全性の確保に役立てられて
で一般公開されています。
います。
http://www.ul.com/global/eng/pages/offerings/industries/hightech/
consumerelectronics/pag
[12]
JAPAN ON the MARK
世界のEMC・無線規制改正
-2012年後半を振り返って-
身近で使用される、無線機器に対しての人体曝露影響に関して、明確な影響が確認できないという公式の見解が出される一方で、北米で
は規制強化の動きとなっています。FCC(米国通信委員会)において昨年末に発行されたKDB(Knowledge Data Base)では、今までSAR試験
が不要であった機器に対しても要求されるよう改正されています。カナダにおいても、現在ドラフトであるRSS-102に規制強化の内容が盛り
込まれています。韓国では2013年から側頭部だけでなく人体傍で使用される機器に対してもSAR試験が要求されていますが、大きな混乱は
見られないようです。日本国内でも本年中の施行が予想されますが、モジュールの扱いなど難しい課題も残されており、今後の動向が注目
されます。
まで発展しており、さらに検討が必要となっています。ただし10mW以下
欧州
の機器は除外されます。
3. CEマーキングを彫りこみで貼付することはADCO(Administrative
Cooperation group) R&TTEにおいて不適合とみなされるという見解に
反論がされています。従来このようなマーキングはよく見かけるものであ
り動向が注目されます。
4. 以前から議論されてきた、テストレポートには適合、不適合のみの表示だ
Europe
けではなく、エビデンスとなるスペクトラムアナライザーなどのチャート
データや、実際のバックグランドの検波データを含むことがTGN 18によ
り明確化されました。テストレポートは技術的資料の一部であり、第三者
が見て理解できる内容である必要があります。
5. 屋内使用のマイクロ波帯の無線接続機器はスペクトラムの有効利用の
観点からすればR&TTE指令適用よりもEMC指令適用の方が妥当であると
R&TTE CA(http://rtteca.com/)では、規制の理解を深め、見解の統一性
の意見がありましたが、他に妨害を与える可能性を考慮すれば、R&TTE指
を図る取り組みが行われています。その一環として、様々なガイドラインが
令適用が妥当であるとの見解が出されています。
発行されてきましたが、それらをさらにブレイクダウンし、
より分かり易くし
た文書を公開しています。その中から興味ある内容を抜粋します。
EMC指令、R&TTE指令の整合規格が2012年10月23日に更新されていま
す。EMC指令では、以下9規格が追加されています。
1. EN 60950-1:2006 A12:2011(EN 60065:2002 A12:2011)にて要求される
音響ショックは、「耳元で使用される機器全てにおいて適用される」
と解
規格名
競合規格取下日
釈されていますが、PCなどに要求することは過剰であると指摘されてい
EN 50083-2:2012
2013年6月21日
ます。
また、EN 60065ドラフトではポケットサイズと規定することが進め
EN 50550:2011/AC:2012
-
られています。
EN 60730-1:2011
2013年10月1日
EN 60947-3:2009/A1:2012
2015年3月21日
共有に関する問題が指摘されています。2012年10月23日発行の整合規
EN 61000-3-12:2011
2014年6月16日
格において、V1.8.1が正式発行されたことによりその文面が一部改正さ
EN 61439-3:2012
-
れました。
これにより、V1.7.1のみでは、WLAN/Bluetoothなどであって
EN 61800-3:2004/A1:2012
2014年12月19日
も、なんらかの対応を行わない限り整合規格を逸脱しNotified Body(NB)
EN 300 386 V1.6.1
2015年11月30日
関与が要求されると思われます。NBを使用しない場合は、3つのシナリ
EN 301 489-34 V1.3.1
2014年2月28日
2. EN 300 328に関して、2009年12月15日発行の整合規格において、周波数
オ:V1.7.1+α、V1.7.1+V1.8.1該当部、V1.8.1全適用 のいずれかを使用す
る必要があります。
もともとの議論はCDMA/CAなどを使用しない機器の
増加に対しての問題点指摘でしたが、それだけでは不足するという議論
[13]
JAPAN ON the MARK
〔2013・Issue 44〕
H01:WLAN 5.15 GHz~5.35 GHz
また、R&TTE指令では以下の12規格が追加されています。
H02a-f:UWB equipment 1.6 GHz~10.6GHz
規格名
競合規格取下日
H03:Wideband data transmission systems 57 GHz~66 GHz
EN 50360:2001/A1:2012
2015年2月13日
H04:Animal implantable devices 12.5 MHz~20.0 MHz
EN 60730-1:2011
-
EN 61000-3-12:2011
2014年6月16日
また、従来からの周波数調和の推奨文書であるERC 70-03 が2012年10月
EN 300 220-2 V2.4.1
2014年2月28日
9日に全面改正されています。大きな変更はありませんが構成変更が行われ
EN 300 328 V1.8.1
2014年12月31日
ています。
フランスANFRは携帯電話などに関して、ヘッドセットと共に出荷
EN 301 489-17 V2.2.1
2014年5月31日
することを要求している模様です。ヘッドセットは無線、有線とも認められま
EN 301 489-34 V1.3.1
2014年2月28日
す。電磁曝露の影響によるものですがやや過剰な反応のようにも見受けら
EN 301 559-2 V1.1.2
-
EN 301 843-1 V1.3.1
2014年5月31日
れます。
スウェーデンにおいて、PTSFS 2012:3 - 特定の無線のライセンス免
EN 301 893 V1.7.1
2014年12月31日
EN 302 288-2 V1.6.1
2013年12月31日
EN 302 774 V1.2.1
2013年12月31日
除の規定が、2012年10月1日有効として発行されています。欧州は基本的に
は個別の対応は不要ですが、周波数割当などは異なる場合があるため注意
が必要です。EU圏ではありませんが、
トルコ通信省は2012年9月11日に、
SHORT RANGE RADIO (KET) EQUIPMENT REGULATIONを更新しています。
この中には、先ほどのR&TTE CAの議論だけでなく、相当注意して測定し
北米
なければ要求事項を満たせなくなったEN 300 328 V1.8.1の整合などもあり
ます。
また2012年8月14日に低電圧指令(2006/95/EC)、2012年8月24日と11
月15日に機械指令(2006/42/EC)、2012年8月30日と2013年1月24日に埋込
式能動医療機器指令(90/385/EEC)、医療機器指令(93/42/EEC)、インビトロ
診断用医療機器指令(98/79/EC)の整合規格リストが更新されています。
North America
2012年10月17日にR&TTE指令のドラフトが公表されました。R&TTE指令
はNLF(New Legislative Framework)への整合だけでなく指令自体のアップ
デートも行われるためEMC指令などとは別ルートで検証が行われていま
す。新しいドラフトでは有線通信端末機器、受信機能のみの機器は指令から
除外されることになり、指令自体の名称の変更が盛り込まれています。
2012年9月24日にECC Report 181「域内市場における無線スペクトル資
今回も多くのKDBの更新がありました。冒頭でも述べたように、人体曝露
源の共同利用の推進」を公表しています。
ライセンス不要機器であるRLAN
関係を中心に再構成された部分があるため注意が必要です。2012年6月15
の有効利用などの検討が行われています。
また、433 MHz帯は多くのライセ
日に人体曝露に関して、FCCは見直しの必要性を言及していましたが、2012
ンス機器もあり使用が難しく、800 MHz帯への移行が望まれますが、その周
年7月24日に米国監査院(GAO)は、例えば1.5cm~2.5cmの距離における試
波数帯ではさらに別の問題があるという具合に、全てが満足できる状況を
験を許容するFCCの方法は状況を反映しておらず、早急な見直しが必要で
作り出すことは難しいようです。2012年10月4日には、ECC/DEC/(01)03の解
あるとの見解を示しました。
しかしこれらの反映は先送りとなっています。
釈に関するガイダンスとして周波数調和の考え方であるECC Report 180と
2012年後半を日付順に見ていくと、8月20日に【285076】モバイルハンドセ
870 MHz帯の調査に関するECC Report 182を公表しています。ECC Report
ットのHACに対する機器認可要求が8月16日有効のDA 12-550に基づき変
180は欧州周波数情報システムにおける使用分類などが説明されていま
す。
これに基づく形で2012年10月15日には周波数割当ERC Report 25を改
正するドラフトが発行されています。主な改定は、9 kHz以下の使用用途の
更されています。9月26日には【789033】一般的なUNII機器試験方法、
【662911】同じ帯域において複数出力がある送信機のエミッション試験、10
月4日に【558074】一般的なDTS機器試験方法が更新され、
これらは現在も
追加、Radiolocation割当の追加、5 GHz無線LANのERC 70-03の参照削除、
っとも多く利用されることもあり、多くのコメントがありましたが落ち着いた
使用対象の明確化、各国要求の追加、規格更新などが行われており、周波数
ようです。
これには連続送信が行えない場合のDuty補正などが明確化され
使用の基本となる文書であるため注意が必要です。2013年1月29日には
ECC Report 185と186を発行し、それぞれ470 MHz~790 MHzを中心とし
たホワイトスペースの利用方法について、位置情報のアプリケーションなど
ています。10月24日には多くのドラフトKDBを正式発行しています。
【388624】TCB認可可能品目(PBA)及び【628591】TCB除外では広帯域レー
ダー、人体曝露関係で一部TCB除外からPBAに緩和されたものがありま
を考慮しレポートしています。その他、欧州委員会はClass 2機器のリストを
す。PBAはさらに12月17日に更新され、従来不要であった60 GHz帯ワイドバ
2012年12月4日付で更新しています。以下アプリケーションはClass 2と考え
ンド機器はPBAが要求されることになります。TCB除外に関しても12月3日に
られますが調和周波数を使用する限り、告知は必要ありません。
MedRadio機器追加のため更新が行われています。
またソフトウエアによる
[14]
JAPAN ON the MARK
変更を整合するため【442812】SDR(Software Defined Radio)の動作説明、
カナダ産業省(IC)は、2012年8月28日にICES-003 Issue5を正式に発行し
【594280】802.11b/g、UNIIデバイスの国家コード設定も改定されていま
ました。昨年公表のドラフトからの大きな変更はありませんが、
ガイドとして
す。最も注意しないといけない人体曝露関係では【447498】モバイル&ポー
発行されていたEMCAB-003の取り込みなどが行われ、
またマニュアルの記
タブルデバイスのRF曝露要求&手順は、従来より厳しいSAR閾値要求があり
載の簡素化などが行われています。2013年8月31日までは、Issue 4の使用は
ます。
またそれを参照する、
【941225】3Gデバイスに対するSAR評価(LTE)、
可能ですが、それ以降はIssue 5のみとなります。以前の適合モデルの継続
【616217】ディスプレイ画面に組み込まれるアンテナをもつラップトップに
販売は問題ありません。2012年9月27日に技術文書になりますが、FMキャリ
対するSAR評価、【648474】複数送信機&アンテナを持つハンドセットに対
アの偏差の測定ドラフトを公表しています。2012年9月22日に電気通信端末
するSAR評価、【865664】100 MHz~6 GHz手順の更新が行われています。
の要求事項であるCS-03に関しての更新を官報に掲載しています。デジタル
同時に、放射周波数を減らした機器をもとに戻す場合もClass 1変更で許容
インターフェースなどに関して文言の訂正などが行われています。2012年
する
【178919】変更申請、
また【690783】GrantへのSAR値の記載方法が改定
11月14日にGazette Notice SMSE-020-12 を公表し、市民バンドの規格であ
されており、TCBだけではなく、試験所としても同時送信時における最大SAR
るRSS-236を発行しています。またエミッションコードの指定の基準となる
の記載方法に注意する必要があります。
これは最大SARを加算するだけで
文書、TRC-43を更新しています。さらに、SAR試験におけるFCC KDB受入れ
なく、各モードに応じた算出が必要です。問合せ回答へのスピードアップを
のポリシーの更新を行っています。基本的には新しいKDBは使用することが
目的にしたメールアドレスの変更を中心に、次のKDBが更新されています。
可能です。
またこれに合わせるように、RSS-102 Issue 5のドラフトが配布さ
【852134】Form 731の署名、
【204515】
グランティコードの意味・取得方法、
れています。現在ウェブサイトには公表されていませんが、FCC KDBの更新
【726920】
コンフィデンシャル に つ い て、【546630】S u p e r s e d e ; T C B
に合わせて除外閾値などの変更が行われています。
この中にはFCCより厳し
Procedures; Form 731 TCBスーパーシード手順、12月7日には、【579009】
い内容もあるため注意が必要です。2012年12月21日に衛星、携帯その他無
Part 90再構築帯域の広帯域/狭帯域機器の新規/変更申請方法が、Q&A追
線サービスの帯域共有を含めた利用ポリシー、技術要件に関するコンサル
記と移行期間明確化のため更新されています。年が明けて、2013年1月29日
テーションを発行しています。2012年12月20日には、TN-261 Issue 2 - Safety
に、前述した【447498】
、【941225】
、【865664】
、【616217】
、【648474】な
Code 6 (SC6)として、無線周波数曝露コンプライアンス評価テンプレート
どが更新されていますが、
これらは誤記訂正とリマインダーのためのもので
(非制御下曝露限界値)を公表しています。2013年1月25日に、RSS-GENの参
照や技術更新のため、RSS-132 Issue 3、RSS-133 Issue 6の発行を行ってい
あり技術的変更はありません。
ます。また、それに合わせて技術的に古くなったRSS-118、RSS-129、SRSP508の削除を決定しています。
KDB以外では、Part 15 15.253 76 GHz~77 GHz帯レーダーが2012年8月
13日に官報に掲載され、2012年9月12日有効となっています。
これにより、停
止時、走行時に関係なく同じパワーレベルが使用できるようになります。ま
オセアニア
た、ビデオプログラミングのためのクローズドキャプションに関して、特定の
条件を満たした場合、免除とする規定を2012年9月12日付で公表していま
す。Part 90 4.9 GHz帯に関して、2012年8月31日有効で官報掲載を行ってい
ます。
また、合わせてProposed rule として、同様に4.9 GHz帯を掲載してい
ます。2012年9月5日に、Part 101マイクロ波帯(アンテナビーム、ゲインなど
の変更)を最終ルールとして発行しました。有効日は2012年10月5日となっ
ています。同日Part 101マイクロ波帯(10.7 GHz~11.7 GHzなど)に関する改
正提案を発行しています。人体医療ネットワーク
(MBAN)のためのスペクト
ラム割当てに関して、2012年10月11日有効として、Part 2及びPart 95の改正
を行いました。
これにより、制御装置に様々な患者データを送信する身体着
Oceania
用センサーから成る低出力広帯域ネットワークを可能にする規則が採用さ
れます。2012年9月27日発行のPublic Noticeにより、多くの問題を発生させ
ているW53、W56使用機器におけるDFS要求に関して、改めてPart 15に基
オーストラリアACMAは2012年8月29日にRadiocommunications Devices
づきDFSを装備し適切に管理することを公表しています。2012年12月28日
( C o m p l i a n c e L a b e l l i n g ) N o t i c e 2 0 0 3を更 新しています。これ は
にPart 2及びPart 25を改正し航空機インターネットサービスの拡充を計画
Radiocommunications (118 MHz to 137 MHz Amplitude Modulated
しています。
また、2012年12月27日に、WRC-07への整合のため誤記訂正を
Equipment - Aeronautical Radio Service)の更新によるものです。2012年9月
含めて、Part 2、15、90の修正及びPart 1、2、74、87、90、97の修正提案を行っ
26日に無線スペクトラムプランの変更を公表し、2013年1月2日に周波数ア
ています。2013年1月31日にFCC 13-15を公表し、実験局などの規定である
サインが更新され、欧州との整合が行われています。Radiocommunications
Part 5の改正を含め、認可前の輸入数などの明確化などが行われていま
(Low Interference Potential Devices) Class Licence 2000の改定案に対し
す。
この中には我々試験所に対する要求事項も含まれ、5年毎の登録更新が
て、2013年3月13日まで意見募集を行っています。意見が多く、当初よりコメ
必要であり、60ドルが要求されます。
しかし、試験時に電波を出す場合はシ
ント期間が延期されています。内容は以下となっています。
ールド室内で行えば問題ないことが明記されています。
[15]
JAPAN ON the MARK
〔2013・Issue 44〕
誘導システムの磁場信号から無線通信サービス(AM、
アマチュアサービス
・ 2014年12月31日以降、
ワイヤレス・オーディオ・トランスミッタ用帯域であ
など)を保護するための離隔距離算出を含み、磁気誘導無線電力伝送機器
るデジタル割当帯域(694 MHz~820 MHz)を除外
が与える電波通信サービスの影響分析が可能です。
またPDP TV、電気鉄道
・ 520 MHz~694 MHzにおけるデジタル変調ワイヤレス・オーディオ・トラ
など磁場電波発生源と無線局との間の電磁波両立性の評価のために活用
ンスミッタの使用を許可
されます。2012年9月25日に組立パソコンなどの認証手続きの改善に伴
・ 1790 MHz~1800 MHzにおけるワイヤレス・オーディオ・トランスミッタ
い、業界の負担を軽減するために制度の改正を公表しています。2012年10
の使用を許可
月9日に電磁波吸収率測定方法に関する詳細発表制定の意見募集及び電
また、LEDランプに関するファクトシートを2013年1月10日に更新していま
子公聴会の実施に関しての公表を行ない、2012年12月6日に規格を更新し
す。電球型LEDランプは中リスク機器としてEMCへの適合が要求されます。
ています。
この中にはUSBドングルやマイクロフォンなどの詳細なSAR試験
その他重要な内容として、予定通り2013年3月1日よりRCMマークを導入す
方法も記載されており注意が必要です。
また、2012年11月7日に免許不要無
ることをアナウンスしています。それに合わせて、各ラベリング規則の改定も
線局として、自動車衝突防止レーダー、聴覚障害者用無線機のための改
行われています。
正、告示第2012-92、93を発行しています。さらに2012年12月5日に放送通
信委員会告示第2012-102号として、音声信号の送信のための免許不要局を
開放しました。
またこれにあわせて、免許不要局リストを更新しています。
ニュージーランドRSMは2012年9月3日にリマインダーとして、AS/NZS
4365:2011に適合していない機器は2012年12月1日以降販売禁止であるこ
とを通達しています。2012年10月3日には、オーストラリアACMA同様、2013
中国SRRCは、以前からの懸案であった、5 GHz帯無線アクセスシステムに
年3月1日より、C-tickマークからRCMマークへの移行を表明しています。
これ
関して、2012年12月31日にW52、W53の開放を決定しました。
これにより
は電気機器の安全システム(EESS)の状況により遅れる可能性もあります
W58と共に5 GHz帯が使用可能となります。
また、24 GHz帯自動車用レーダ
が、EMC適合に関しては供給者の識別などが不要となります。一部無線機器
ー装置 に関しても2 0 1 2 年 1 1月1 9日に開 放しました。周 波 数 は、24.25
に対しては継続して供給者識別が要求されることに注意が必要です。2013
GHz~26.65 GHz、出力は-41.3dBm/MHzとなっています。
年1月17日に、無線通信適合ノーティスを更新しました。2008年版からの変
シンガポールIDAは2012年8月27日にPLC(Power Line Communications)
更は、適合性フォルダーの簡素化、
ラベリングなどの明確化などです。
規格を正式発行しました。
またそれに合わせて、2012年8月31日に機器登録
ガイドを更新しています。2012年10月2日にSRD(Short Range Devices)に関
アジア
する改定案を発行し、2012年10月16日までコメント募集を行っています。
こ
れによりLF帯の周波数調和が行われる模様です。
また2012年11月14日に、
IDA TS WBA Nov 2012 ワイヤレス・ブロードバンド・アクセス(Wireless
Broadband Access)機器の技術仕様を公表しています。TS WBA規格更新に
伴い、2013年1月28日にGuide及びSDoCの改定が行われています。
ネパールNTAはEMC、SAR、無線、安全に関する型式承認に関する公表を
行っています。
これには、テストレポートの提出、いずれかの国で発行され
た型式証明書、適合宣言書の作成などが記載されています。無線通信に起
因する健康被害に関するコンサルテーションペーパーを2013年1月18日に
Asia
公表しています。また、2013年1月11日に試験所の試験による無線通信
CPE(Customer Premises Equipment:加入者宅内機器)の型式承認に関す
る研究のための提案要求を行っています。
韓国KCCは、放送通信委員会公告第2012-104号により、携帯電話などの
SAR値によって梱包に表示区分を要求する予定です。
これによれば、SAR値
香港OFTAは、2013年1月2日に2013年周波数アサインを公表していま
が0.8W/kg以下の場合は1等級、0.8W/kgを超え1.6W/kg以下である場合は
す。欧州、オーストラリア、日本でも周波数割当更新は基本的には毎年行わ
2等級に区分して、その製品の梱包箱に表示することを要求しています。ま
れるため確認が必要です。
た基地局などの無線局の場合、電磁波強度測定値に応じて、4つの等級に
区分し、その無線設備、
フェンスなど一般人が簡単に識別可能な場所に表
国内において総務省は、2012年9月5日に、無線局機器に関する基準認証
示を要求しています。準備期間を考慮して告示日から3ヶ月後に施行する予
制度のページを更新し、2011年12月16日の証明規則改正(表示の簡素化)
定です。2012年9月12日に700 MHz帯ワイヤレスマイク利用終了について
についての解説などを加えています。2012年10月12日には、23 GHz帯無線
の公告を公表しています。
これによれば、2012年12月31日に740 MHz~752
伝送システムに関しての官報掲載が行われました。
これは地方におけるTV
MHzの使用は不可となりました。2012年9月14日には無線通信サービスの
信号などの高速伝送を実現するためです。2011年に公表した「周波数再編
保護距離の計算方法に関する世界最初のITUの国際標準に採択されたこと
アクションプラン」に関して、2012年10月版を公表しています。様々な分野
を公表しています。
これは誘導加熱装置、磁気誘導パッシブRFIDなどの自己
[16]
JAPAN ON the MARK
の改正があり興味深いものとなっています。
また、大規模災害発生時におけ
ます。
しかし認証機関になることができるのは、双方とも公益か一般の財
る衛星携帯電話の有用性が実証され、整備を進めてきたL帯の周波数を使
団、社団に限定されるため民間の機関にとっては不利な内容となります。
ま
用する1.5/1.6 GHz帯衛星携帯電話(スラヤ衛星携帯電話)に関して、2012
た、①電安法が求める「安全」の明確化を行い、必要な性能を規定、②技術
年10月30日に電波法関連規則を改正し使用が認められています。2012年
の進歩に迅速かつ柔軟に対応するための「民間基準の活用」、③電気用品
11月29日に不法無線局などの出現数・措置数についての情報を更新してい
の流通形態を踏まえた「国際整合性の確保」を目的に「電気用品の技術上
ます。不法電波局は毎年減少の傾向を示していますが、完全な撲滅は難し
の基準を定める省令の全部を改正する省令案」などに対する意見募集を
く地道な対応が必要と思われます。2012年12月5日、総務省は79 GHzレー
2013年3月6日まで行っています。
ダーなどに関して正式に官報に掲載しました。同時に以下変更が行われて
その他の国では、UAEにおいて2012年8月22日に電気通信規制当局
います。
は、広範な規制キャンペーンの一環として27,600以上の不正なデバイスを
1. 150 MHz帯簡易無線局のデジタル通信方式の追加
没収したと公表しています。各国とも違法機器には悩まされています。南ア
2. 800 MHz帯携帯無線通信システムの再編(第2世代携帯システムの規定
フリカICASAは、
ドラフトの型式承認とラベリング規制を公開し、2013年2月
15日まで意見募集を行いました。
これを元に要求事項の変更が行われる
削除)
模様です。
3. 1.5 GHz帯デジタルMCAの一部地域での運用終了
4. 1.7 GHz帯携帯無線通信システムの周波数の確保
5. PHS制御用周波数の移行
以上、各国の動向を見てきましたが、我々試験所の能力を問うことにもな
6. 広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)の高度化など
る規格更新も多くあるため注意が必要です。
2012年12月25日に「電波有効利用の促進に関する検討会 報告書」及び
*本記事の内容は、2013年2月14日発行の弊社メールマガジン*121号まで
意見募集の結果の公表を行っています。
この中にはモジュール要件の他、現
の情報に基づき構成されています。最新の情報については、各当局のウ
在日本においては要求されるマーキングができない機器は認可不要となっ
ェブサイトでご確認ください。
ていることへのコメント回答などが記載されています。
これを基にさらに検
討が行われる予定です。2012年11月28日に公表された、次世代高速無線
LANの導入のための技術的条件を基に作成された、省令などの改正案に対
お問合せ
して、意見募集が2013年1月28日まで行われました。現在使用できない5
UL Japan WiSE 事業部
GHz帯における高速伝送を実現する80 MHzバンド、160 MHzバンドの許可
T : 0596-24-8116 F : 0596-24-8095
E : [email protected]
が当初予定されていた2013年3月末より早まることが期待されます。2013年
1月1日に平成25年版「周波数割当計画」を更新しています。2013年1月4日ま
で行われていた、「ホワイトスペース利用システムの運用調整の仕組み *UL Japanメールマガジンについて
最終とりまとめ」に対する意見募集の結果とそれに基づく最終とりまとめが
公表されています。
この中には、①地上デジタルテレビジョン放送、②特定
ラジオマイク、③エリア放送型システム、センサーネットワーク、災害向け通
本記事に掲載されているEMC/無線規制改正に関する情報をはじめ、製
信システムなどのホワイトスペース利用システムなどの議論が含まれてい
品安全やUL認証に関する最新情報を月2回、
また、弊社が提供するセミナー
ます。
また、「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響
に関する情報を月1回、無料で配信します。
また、必要に応じて増刊号も配
を防止するための指針」の改正案に対する意見募集が行われ、
これら意見
信しています。常に変化し続ける認証の世界。UL Japanのメールマガジン
を踏まえ改正された指針が2013年1月24日に公表されました。
これは第2世
を、貴社の情報収集ツールの1つとして是非ご活用ください。
代携帯電話のサービス終了に伴い、干渉する距離がより小さくなったことか
ら緩和の方向を検討したものです。また、「広帯域電力線搬送通信設備の
配信申込みは以下からお願いいたします。
屋外利用に係る許容値及び測定法」について、屋内より10dB許容値を厳し
http://www.ul.com/japan/jpn/pages/mailmagazine/
くした内容により、電波法施行規則などを改正する省令案についての意見
募集が2013年3月11日まで行われています。屋内だけでも相当の反対があ
った設備だけに今後の動向が注目されます。
経済産業省は2012年11月19日に家庭用品の平成23年分試買テストの結
果を公表しています。それによると103品目、317機種の確認を行い、技術基
準に対して24.6%、PSE表示に関して4.4%の不適合を確認しています。ま
た、日本と台湾は2012年11月29日に電気製品分野における相互認証協定
に署名しました。
これにより相互に自国の認証機関が認められることになり
[17]
JAPAN ON the MARK
お問合せ
第 44 号
本誌または、弊社に対するご意見・ご要望は、
カスタマーサービス部までお願い申し上げます。
発行所:株式会社 UL Japan 発行日:2013 年 2 月
編集部:岩本由美子、織戸香里、橋本哲哉、肘井一也、
松田英久、山崎彩子
E : [email protected]
T :0596-24-6735
03-5293-6200
本号の翻訳記事に疑義が生じた場合は、原文に基づいて解釈を行ってください。
無断で複写、転載することを厳禁します。
F : 03-5293-6201
ULの名称、ULのロゴ、ULの認証マークは、UL LLCの商標です。©2013 UL LLC その他のマークの権利は、それぞれのマークの所有者に帰属しています。
本内容は一般的な情報を提供するもので、法的並びに専門的助言を与えることを意図したものではありません。