経営に貢献するアウトソーシングの真実

IBM Global Services
経営に貢献するアウトソーシングの真実
〜Business impact of Outsourcing
a fact-based analysis〜
−販売管理費を3年で13%削減
−総資産利益率300%上昇
−金利税引き前利益が 2年後7200万米ドル増大
経営に貢献するアウトソーシングの真実
目次
IBM T. J. Watson Research Center の研究者たちは、
1998年から2002年の間に情報技術（IT）
イン
フラストラクチャーの主要部分をアウトソーシングした企業を対象に、
ITアウトソーシングの長期的な
影響を調査しました。
事例研究法に頼っていた従来の調査とは異なり、
IBMは、企業に対するアウト
ソーシング契約の影響測定に、
初めて綿密な統計分析を取り入れました。
この研究で、
ITアウトソー
シングを行った企業は、
主要な経営指標、
特に販売管理
（SG&A）
費、
総資産収益率
（ROA）
、
および
2
優れた収益結果につながる選択
金利税引き前利益
（EBIT）
において、
長期的に同格企業よりも優れた結果をだしていることが明ら
4
ITをアウトソーシングした企業は主要な
かになりました。
さらに、
アウトソーシング契約が大規模になるほど、
収益結果が改善される可能性が
経営指標が同格企業より優れていた
高いということも示されています。
5
5
6
削減された販売管理費（SG&A；Selling,
General & Administrative Expense）
優れた収益結果につながる選択
向上した総資産利益率（ROA；Return
収益の向上、
製品およびサービスの技術の革新、
経費抑制、
プロセスとパフォーマンスの改善、
市場
on Assets）
シェアの拡大。
これらは、
常に今日の企業課題の上位に挙げられ、
経営者たちは、
より良い短期的
増大した金利税引前利益（ E B I T；
および長期的結果を実現するための方法を模索しています。
経営者の間では、
コアビジネス戦略に
Earning Before Income & Tax）
6
IBMによる調査結果
7
調査の分析と方法
10 結論
11 付録
もっとフォーカスすると同時にコスト削減を実現するため、
ITリソースのアウトソーシングを選択する
傾向がますます強くなってきています。
ITアウトソーシングのこの急激な増加は、ITアウトソーシングの価値を究明しようとする研究者や実
践者らの注意を喚起しました。従来行われてきた調査は、
事例研究、
インタビュー、
およびアンケート
に頼った質的なものでした。
中には、
量を計測する方法をとってアウトソーシングの財政面での影響
を理解しようとする調査も存在したとはいえ、
短期間の株式収益率に焦点を当てたものがほとんど
でした。
2
ハイライト
IBMの研究者たちは、
綿密な統計的手法を用いて、
公的な取引のある56の企業
（IBM以外の38社
とIBM関連の18社）
の財政を分析しました。
この分析から、
対象企業がITアウトソーシングを採用し
ている事実と主要な経営指標の大幅な改善の間の相関が明らかになっています。
明らかに、
ITアウ
トソーシングは、
対象企業が望ましい成果を達成するための効果的な経営戦略の一つでした。
この研究により、
ITアウトソーシングが、企業が優れた収益結果を出して株主に貢献するための戦
IT アウトソーシングは、企業が望ましい
略的な選択であることが証明されました。
成果を達成するための効果的な経営戦略
の一つでした
「アウトソーシングの急増に伴う影響に関する調査、
研究から、
例えば、
世界中の企業が特にITに
関連したアウトソーシングの利用を拡大していること、
今後の5年間でITアウトソーシング・サービスに
対する経費が世界的に増大することなどが分かります。ITアウトソーシングの予想利益に注目し、
コスト削減、
運用効率の向上、
およびIT効果の改善が最重要事項であるとする所見も公開されて
います。
ITアウトソーシングが主要な財政指標に及ぼす長期的な経営効果を計測したこのIBMの研究結
果がさらにその傾向を裏付けています。
」
−Dr. Marc Bertoneche
ハーバード・ビジネス・スクール客員教授（財政学）、
「Financial Performance」の共著者
3
経営に貢献するアウトソーシングの真実
ハイライト
ITをアウトソーシングした企業は、
主要な経営指標が同格企業より優れていた
今回研究で取り上げられた企業は、
長期的に見てビジネス・パフォーマンスが同格企業よりも改善さ
れました。
その結果は目覚しいものでした。
販売管理費の削減を実現
ポイントとパーセントの違い
中央値の上昇や関連についての言及でポイント
約4分の3の調査対象企業の販売管理費が、
業界の同格企業と比較してかなり少なくなりました。
元々業務改善に努める傾向の高いそれら企業は、
アウトソーシングを行う前からすでに販売管理費
とパーセントという語が用いられているときは、
の年間増加率がセクターの中央値を4.2ポイント下回っていました。
ITアウトソーシング開始後1、2年
その違いについて理解しておく必要がありま
で増加率はさらに改善され、
セクターの中央値を9.9ポイント下回りました。
す。ポイントは、
実際のパーセントの数値の増減
を表します。例えば、
米連邦準備銀行が利率を4
パーセントから6パーセントに上げた場合、
この
総資産収益率の向上を実現
銀行は利率を2ポイント
（2パーセントではない）
約3分の2の調査対象企業が、
ITアウトソーシングの開始から2、
3年で同格企業よりも優れた総資産
上げたことになります。
収益率を示すようになりました。ITアウトソーシングを行う以前、
調査対象となった企業の年間ROA
成長率は、
セクターの中央値を7.5ポイント下回っていました。
しかし、
ITアウトソーシング採用後、
これ
らの企業のROAの年間成長率は、
セクターの中央値を8.6ポイント上回るようになりました。
これは、
16.1ポイントもの大きな改善効果です。
金利税引き前利益の増大率が上昇
約3分の2の調査対象企業が、
同格企業よりも優れたEBIT増大率を示しました。
ITアウトソーシング
から2、
3年後にこれらの企業の年間のEBIT増大率は、
セクターのEBIT増大率の中央値を11.8ポイ
ント上回るようになりました。
4
ハイライト
ITアウトソーシングは世界的な通信会社を成功へと導いた
世界的な通信会社は、
40億米ドルの契約で、
データ・センターの管理といくつかのプロセスをアウト
ソーシングしました。会社がITアウトソーシングを開始する前年、
この会社の四半期の販売管理費
は、
31億米ドルでした。
アウトソーシング契約から3年で、
四半期の販売管理費は13パーセント削減さ
れ、
27億米ドルにまで下がりました。著しく対照的に、
同時期セクターの販売管理費は200パーセント
世界的な高性能半導体の製造業者は、IT
アウトソーシング選択によって販売管理
費を約半分に削減しました
増加していました。
削減された販売管理費
大規模なアウトソーシング契約を結んでいる企業の販売管理費の増加率は、
セクターの中央値を
9.9ポイント下回っていました。
セクターの全体的な業績と照らし合わせてさらに際立った点として、
4
分の3の調査対象企業では、
アウトソーシングから2年後に販売管理費が削減されました。顕著な
例として、
13億米ドルの年間売上のある世界的な高性能半導体の製造業者は、ITアウトソーシング
後、
販売管理費を約半分に削減しました。
一方、
同じ時期に競合半導体製造業者の販売管理費は
9ポイント上昇していました。
向上した総資産利益率
5000万米ドルを超えるアウトソーシング契約を結んだ企業は、
セクターの中央値を8.6ポイント上回る
ROA年間成長率を達成しました。調査対象企業の60パーセント以上が、競合企業より優れた総資
産利益率を達成しました。例えば、
ある世界的な旅行&不動産サービス業者は、総資産利益率を
300パーセント向上させたのに対し、
その競合業者は29パーセント低下させました。
5
経営に貢献するアウトソーシングの真実
ハイライト
増大した金利税引き前利益
調査対象企業は、
セクターの中央値と比べて金利税引き前利益の年間増大率が11.8ポイント高く
なっています。
さらに、
これらの63パーセントは、
セクター内の同格業者よりもEBIT増大率が高くなっ
ていました。
収益に対するこの二重の影響について詳しくは、
付録
（P.11）
をご覧ください。
IBMによる調査結果
アウトソーシング契約が大規模になるほ
アウトソーシング契約が大規模になるほど、
収益結果が改善される可能性が高くなるという結果が
ど、収益結果が改善される可能性が高く
でています。年間1億米ドル未満のITアウトソーシング契約を結んだ企業のうち収益が拡大された
のは54パーセントであったのに対し、
年間1億米ドルを超えるITアウトソーシング契約を締結した企業
のうち収益が拡大されたのは71パーセントでした
（図1を参照）
。
TCV/year
100%
50%
Growth in earnings
なるという結果がでています
0%
-50%
-100%
US$100 million
IBM
EDS
CSC
US$1 billion
Other providers
図 1:ITアウトソーシングの規模と収益成長の関係
6
ハイライト
経営体質の強化に寄与するアウトソーシング
ある健康保険会社は、2 0 0 2 年 1 月に、7 億米ドル相当の 10 年間契約で、データ・セン
ター、P C サポート、全社のヘルプ・デスク、データ・ネットワークの管理を、サービス・プロバ
イダーにアウトソーシングしました。アウトソーシングを行う前のこの会社の四半期の金
IBMの研究者らは、各企業の財務成績を
量的に分析しました
利税引き前利益は 470 0 万米ドルでした。契約から2 年で、この会社の四半期金利税引
き前利益は 1 億 19 0 0 万米ドルにまで増大しました。15 3 パーセントものこの金利税引き
前利益の増大は、セクター全体の E BI T 増大率の 10 倍でした。
調査の分析と方法
IB M T. J . Wat son Re search Center の Mathemat ic al Science s Depar t ment の
研究者によって量的な分析が行われました。各企業の I Tアウトソーシングを行う前の年
の財務成績と、I Tアウトソーシング開始から3 年までの測定結果が分析されました。コア
業務への集中とコスト削減がアウトソーシングの主な理由に含まれるという理論的およ
び実証的証拠 2 ,３を受け、販売管理費、総資産利益率および金利税引き前利益に焦点
を絞り込んだ詳しい調査も行われました。
7
経営に貢献するアウトソーシングの真実
ハイライト
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IBM チームは特許出願中の方法を用い
て業績の変化を測定しました
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図 2:ITアウトソーシング契約前後の、年間成長率における
セクター中央値とのポイント差
図2は、
ITアウトソーシング前と後の業績を示しています。
アウトソーシングの影響を調査した他の研
究では、
アウトソーシング契約の開始前と開始後の数か月間が分析されるのみでした。IBMチーム
は特許出願中の方法を用いて、多様な企業の業績の変化を、
アウトソーシングの1年前からアウト
ソーシングの3年後までの長期間に渡って測定しました。
8
ハイライト
IBMは Datamonitor ComputerWire の履歴サービス署名のデータベースを使用して、
研究対象候
補を選別しました。
2004年7月15日の時点で、
このデータベースには1994年5月から2004年5月まで
の間に公表された5,085のサービス契約が登録されていました。
対象の偏りを最小限に抑えるため、
次のクライテリアに基づく自動フィルターを作り、
データベースを検索しました。
IT アウトソーシングと財務成績との強い
相関関係が示されました
・米国株式市場に上場している多国籍企業
・公表されている、
単一のプロバイダー/ベンダーとの間の合計契約価格（TCV）
が5000万米ドル
以上である
・アウトソーシング契約が1998年1月1日から2002年11月31日までの間に公表されている
（なおか
つ、
影響分析を行うのに十分な時間枠が確保できる終了日付が選択されている）
・アウトソーシング契約の範囲の大部分がIT（データ・センター、
デスクサイド・サポート、
ホスティング
など）
である
・対象とされるアウトソーシング契約は、
対象企業の初めての大規模なITアウトソーシング契約で
あった
分析の結果、
調査対象企業のITアウトソーシングと財務成績との強い相関関係が示されました。
た
だし、
必ずしもITアウトソーシングのみによってこの改善が成し遂げられたわけではないことにご注意
ください。
結果の信憑性を高めるため、
IBM研究チームは Monte Carlo シミュレーションを実行して、
ITアウト
ソーシングをしている／いないにかかわらず無作為に選んだ企業集団において同じ結果が測定さ
れる可能性を計算しました。
業界配分は変えずに、
56企業を無作為に選択し、
同じ分析を1,000回実行しました。
同様の財務改
善が見られたのはサンプルの5パーセント未満でした。
これは、
ITアウトソーシングをしている企業の
みを対象とした分析結果の信頼度が95パーセントであることを示します。
9
経営に貢献するアウトソーシングの真実
ハイライト
ピッツバーグ大学
（米）
の Katz School of Business から最近発表された独自の研究は、
IBMチームに
よる分析結果の正しさをさらに裏付けるものとなっています。
異なるデータ、
方法、
および経営指標を
使用したこの研究においても、
アウトソーシング契約から3年間で企業の業務効率が大幅に改善さ
４
れるという結論が出ています。
結論
IT アウトソーシングは、企業の業績向上
を加速する可能性がある戦略的な経営判
断です
ITアウトソーシングは、企業の業績向上を加速する可能性がある戦略的な経営判断です。ITアウト
ソーシングの影響と利益に関するこれまでの調査のほとんどは、
事例研究やお客様インタビューに
基づいたものでしたが、
今回IBMは、
信頼性の高い統計方式を使用してアウトソーシングの現状を
見直し、
ITアウトソーシングが企業に与える長期的な影響について詳しく調査しました。
この結果、
ITアウトソーシングの理由と方法についての豊富な情報に加え、正しく組織され実施されたITアウト
ソーシングが企業にもたらす大きな価値について再確認されました。
大規模なITアウトソーシング戦
略ほど、
企業の業績目標や収益目標の達成を推進する可能性があることも強調されています。
お客様の企業の大幅な収益拡大にITアウトソーシングがどのように役立つか―詳しくは下記URLへ
http://www-1.ibm.com/services/jp/index.wss/itservice/igs/a1009604
10
付録
金利税引き前利益は、
収益、
経費
（販売管理費）
の少なさ、
減価償却費によって決まります。
諸経費
とも呼ばれる販売管理費の収益に対する割合は、
通常は16から25パーセントの間で、
業界によっ
5
てばらつきがみられます。
IT経費は通常は販売管理費に計上されます。IT経費の収益に対する割合も、建設業の1.43パー
6
セントから金融サービスの6.64パーセントまで、
業界によってばらつきがみられます。
複数の業界にまたがる調査によると、
平均してIT経費は企業の資本支出の半分を占めるということ
７
です。
フォーチュン社が選ぶ大企業500社のほとんどは発生主義会計
（Accrual Based Accounting）
を使
用し、
3〜5年に渡ってIT資産を償却しています。8
長期的に見ると、
ITアウトソーシングは、
IT経費を20パーセントから30パーセント削減してきました。9
企業が成功するITアウトソーシングをすれば、
IT経費と資本支出は削減されるはずです。経費の
削減により、
企業は販売管理費と減価償却費の削減を実現して、
収益を拡大することができます。
11
〒106-8711
東京都港区六本木 3-2-12
02-06 Printed in Japan
http://www.ibm.com/jp/
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他の会社名、
製品名およびサービス名等はそれぞ
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れ各社の商標です。
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��またはサービスについて
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本書において、
IBM製品、
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言及または説明する場合があります。
しかし、
この
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ことは、
IBMが営業を行っているすべての国におい
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てこのような製品、
またはサービスが利用可能で
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あることを必ずしも示すものではありません。
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