美術する身体 The Human Image 9.20Sat. -11.30Sun. ▶▶展覧会概要 「美術する身体」展は、第二次世界大戦以降の美術に ピカソ、マティス、ウォーホル おける「人の姿」をテーマにした展覧会です。 日本初公開 ! ピカソ晩年の傑作《サビニの女たちの略奪》 《サビニの女たちの略奪》は、1634 年から 38 年にかけてニコラ・プッサン が描いた 2 点の《サビニの女たちの略奪》(ルーヴル美術館、メトロポリタ ン美術館蔵)と、1799 年にジャック・ルイ・ダヴィッドによって描かれた《サ ビニの女たちの仲裁》(ルーヴル美術館蔵)から着想し、描かれました。古 ケネディ大統領によるキューバ危機の報道をテレビで見て、本作を描き始 ジョアン・ミロ(1893-1983)とアルベルト・ジャコメッティ ■ パブロ・ピカソ(1881-1973 年) 私の創造の源泉は、私が愛する人々である --------ピカソ ピカソの初公開作品と 見どころ① 版画のバリエーション ないでしょうか。本作は日本初公開です。 して、詩人アンドレ・ブルトンから熱烈な賛辞を贈られました。しかし、 家ミシェル・タピエは、不定形の厚塗りや、激しい感情表現など 表現の抽象化へと向かいましたが、具象的なモチーフ この 2 人がシュルレアリスムと連動したと言えるのはわずか数年で、 を特徴とする抽象絵画の一動向を、 アンフォルメル(非定型の芸術) である「人の姿」は、作家たちにとって重要なテーマ 今日広く知られる各々の表現に達したのは第二次世界大戦以降のこと と名付けました。アンフォルメルの作家の多くは、二度の世界大 であり続けていました。 深層心理を表出するため 、 です。《シリーズⅡ》と題されたミロの銅版画からは、単純化された形 戦を経験し、秩序のない社会に身を置いていたために、確信でき 表現の実験材料として 、作家が生きた時代や国によっ 態と、どこか稚拙さを感じさせる伸びやかな描写によって、ミロ独自の る自己の「生」を追い求めました。デュビュッフェやフォートリ 世界観と「身体」を見出すことができます。対照的に、ジャコメッティ エの抽象化された「身体」は、現実から乖離するものではなく、 のブロンズ彫刻《アネット》からは、無駄をそぎ落とし、身体のリア 内在する深層心理を探求したものです。 て、「人の姿」を創造する意図、託す思いは様々です。 世界情勢が大きな転換期を迎えた 1940 年代から、 今我々 が生きる現代まで、ボストン美術館のコレクションよ り版画・油彩・彫刻・写真・映像作品 100 点で美術と 身体の関わりを紐解きます。 リティを追い求めた、鬼気迫る制作意欲が感じられます。 1960−1970 年代 「フォト・リアリズム」と身体:チャック・クロース 見どころ③ 1960 年から 70 年代にかけて、抽象表現主義の名残リや ミニマリズムなど、絵画の中での具象性が希薄になっていく 一方で、リアリズムの絵画に回帰する画家たちも存在しました。 第 35 代アメリカ合衆国大統領ジョン・F. ケネディは、 キューバ危機への対応をはじめ多くの平和的英断によっ て、歴代の大統領の中でも高い人気を誇っています。彼 は時代を超えて人々の胸を打つ、多くの名言を残しまし た。中でも、詩人ロバート・フロストの死を悼んでひら かれた、アマースト大学での講演会(1963 年 10 月 26 日) で発せられた言葉は、芸術に携わる人々にとって、印象 深いものです。 私たちは、芸術というものが、プロパガンダではなく真実 を表していることを、決して忘れてはならない。 キューバ危機から 50 周年を記念して、ケネディ記念博 物館で、ボストン美術館所蔵のこの《サビニの女たちの 略奪》を展示したことがあります。娘であるキャロライ ン・ケネディ駐日米国大使は、本作品を前にして、父ジョ ン・F. ケネディが語った「芸術が真実を表している」と いう上記の言葉を、鮮明に思い出したそうです。 明に描写し、リアリズムを探求した一動向です。チャック・クロース (1940-) は、この フォト・リアリズムを代表する画家の一人で 1960 年代からほぼ一貫して、人の顔、 特に自画像を描いてきました。本展には、彼が初めて手掛けた貴重な自画像のデッサ ンとともに、彼の代名詞ともいえる巨大なマス目状の自画像、計 4 点を紹介します。 チャック・クロース 《自画像》 1968 年 ★チャック・クロース 《自画像》 2007 年 グラファイト鉛筆、紙 74×58.4cm Gift of Susan W. Paine in memory of Stephen スクリーンプリント (203 色) 188.6×146.1cm Thompson Family D. Paine and in honor of Clifford S. Ackley 2003.809 © Chuck Close Courtesy Pace Gallery 1980 年代以降 「アメリカの具象絵画」と身体:カッツとプライア 見どころ④ 80 年代は禁欲的であった美術動向への反動として、絵画性の復興と謳われる新表現主義が美術界 アメリカの We must never forget that art is not a form of propaganda; it is a form of truth. 中でも、ポップ・アートから派生したフォト・リアリズムは、写真をもとに対象を克 具象 パブロ・ピカソは、多作の画家としても知られ、91 年の生涯で制作 した作品数は 15 万点に及ぶと言われています。その表現方法は多岐に わたり、一つの様式に留まることなく、常に新たな表現に挑戦し続けました。 ピカソの生涯を取り巻く数々の逸話や、多くの作品によって、彼の画歴は非常に 明確です。しかし、「青の時代」から始まる表現の変遷の中で、最晩年だけ、一つの 言葉で簡潔に表すことが難しいと考えられています。作品群のテーマや表現方法が あまりに多様であるため、「ゲルニカ以降」や「ピカソ様式」と称されます。この時 代の一つの特徴として挙げられるのが、版画制作を通して「イメージの変化」に興味 を抱いていた、という点です。それは後に、過去の巨匠の作品をバリエーション化す る作品へと展開していきました。本展では、ピカソが晩年に探求した、ステートによ るイメージの変化を示す版画の連作も紹介します。 (1901-1985)らの作品を見て大きな衝撃を受けたフランスの批評 ピカソ、マティスに始まる 20 世紀の美術の主流は、 ▶▶ジョン・F. ケネディの言葉◀◀ ひいては静謐な世界への思いが込められているのでは ジャン・フォートリエ(1898-1964) とジャン・デュビュッフェ (1901-1966)は、美術におけるシュルレアリスムの理想的な芸術家と 本作品は、フランス革命後、同朋たちの争いを止めるために描かれたダ ヴィッドの作品と同様に、身近で大切な人々が争いあう悲しみや苦しみ、 「熱い抽象」と身体 : フォートリエとデュビュッフェ 「超現実」から離れた身体 : ミロとジャコメッティ 180cmを超える 絵画や彫刻が制作されています。1962 年 10 月 22 日、ピカソはフランスで 1940−1950 年代 巨大作品 代ローマの逸話をもとにしているこのテーマは、多くの画家たちによって めたと言われています。 Press Release を盛り上げた時代でした。本展では、その代表的な作家であるフランチェスコ・クレメンテ(1952-) やルシアン・フロイド(1922-2011)と共に、アメリカの具象絵画の作家たちを紹介します。アメリカは、 戦後一気にモダニズム美術(表現の抽象化)を先導する役割を担っていましたが、アンドリュー・ワイエスをは じめ、主流とは離れたところで、具象絵画の系譜は脈々と受け継がれていました。アレックス・カッツ(1927−) やスコット・プライア(1949-)に描かれる静寂に包まれた人々の姿は、伸びやかな抽象表現やカラフルなポップ とは異なる、もう一つのアメリカを表しています。 ■ アンリ・マティス(1869-1954 年) ■ アンディ・ウォーホル(1928-1987 年) 何 はともあ れ 、 私 は 女 を 創 造 する の で は な い - - - - マ ティス ″私 は 絵 を 作 る の で あ る ″ フォルムを単純化させ、見たままを描くのではない、表現主義的な絵画 をいち早く確立しました。本展では、 裸婦のドローイングを2点紹介します。 まだ画風を確立していない 30 代の作品と、マティス らしさが際立つ晩年の2作 品を見比べてご鑑賞いただ 見どころ② Photographs © 2014 Museum of Fine Arts, Boston. All rights reserved. 近代を代表する ★アンリ・マティス 《横たわる裸婦》 1946年 木炭,紙 41.3×61cm Charles H. Bayley Picture and Painting Fund 2004.70 巨匠たち けます。 【作品数】100 作品 被写体としての身体は、作家たちが生きた時代の、人に対する価値観や捉え方を如実に反映 しています。メイプルソープ(1946-1989)やハーブ・リッツ(1952-2002)は、性に囚われ ない身体の美しさを追求し、徹底した審美眼による数々のポートレートで 絶大な支持を得ました。杉浦邦恵(1942-)のフォトグラム「影のポート ★ハーブ・リッツ 《パンツ(背面図)》 1988 年 レート」シリーズは、作家の作品やジェスチャーからそのインス ピレーションを得て制作されています。本展には、村上隆の ポートレートが出展されます。 ゼラチン・シルバー・プリント 60.5×50.3cm Gift of Herb Ritts Foundation 2008.1689 ©Herb Ritts Foundation 版画:56 作品、油彩:8 作品、立体:4 作品、ドローイング:20 作品 写真と 彼は画面全体を色彩構成の場ととらえ、強烈な色彩を用いて描く対象の Gift of the Stephen and Sybil Stone Foundation 1984.135 映像 アンリ・マティスは、セザンヌと並んで近代美術の父と称されます。 考えは豊かに、見た目は貧しく ---- ウォーホル 1960 年代のアメリカで一大ム ー ヴ メ ン ト を 形 成 し た ポップ・アー トの旗手、アンディ・ウォーホル。彼はシルクスクリーンを用い た独自の転写技法による著名人の肖像、キャンベル・スープやブリ ロの段ボールなど、大衆文化のイメージを流用した作品群で、市 民の熱狂的な支持を獲得しました。本展では、マリリン・モンロー とミック・ジャガーの肖像と共に、デザインを手がけたレコード ジャケット 4 点を展示します。 ★スコット・プライア 《ナニーとローズ》 1983 年 油彩、カンヴァス 172.1×151.1cm 「写真」と身体: メイプルソープとハーブ・リッツ、杉浦邦恵 見どころ⑤ ★杉浦邦恵 《タカシ ムラカミ C ポジティヴ》 2003 年 フォトグラム、独自の技法によるゼラチン・シルバー・プリント 197.5×149.9cm 「映像」と身体: Museum purchase with funds donated by John and Olivia Parker 2006.1360 アン・カールソンとメアリー・エレン・ストロム Copyright Kunié Sugiura 写真:11 作品、映像:1 作品 コレオグラファー ( 振付師 ) のカールソン(1954-)と映像作家のストロム(1955-)は、1990 年から 2010 【主要作家別作品点数】 年まで、20 年ものあいだ共同で制作を行っていました。本作は、1986 年にカールソンがニューヨークで行っ パブロ・ピカソ:13 点、アンリ・マティス:2点 アンディ・ウォーホル:6 点 アルベルト・ジャコメッティ:3 点、ジャン・デュビュッフェ :18 点 ヘンリー・ムーア:3 点、マックス・ベックマン:2 点、マイケル・メイザー:4点、 チャック・クロース:5 点、ロイ・リキテンスタイン :2 点、アリス・ニール:2 点 アレックス・カッツ:4 点、ルシアン・フロイド:3点、ハーブ・リッツ:5点、 ジョン・コプラン:4点 …他 たライブ・パフォーマンスをもとに再構成された映像作品です。4 人のパフォーマーは、実は弁護士。パフォー マンス中の動作や発言は、彼らの私生活や仕事の中で行う動き、話す言葉から抜粋されたものです。カー アン・カールソン / メアリー・エレン・ストロム 《スロス、カー、ローゼンバーグ、ムーア》 ビデオ 2007 年 ルソンとストロムは、社会的な問題にコミカルさを加え、新たな視点での問題提示を試みています。 Museum purchase with funds donated by Robert and Jane Burke, Davis and Carol Noble,Steven Rogowski, and The Living New England Artist Purchase Fund, created by The Stephen and Sybil Stone Foundation 2008.119 名古屋ボストン美術館 「美術する身体」 係 FAX 052-684-0738 行 ■広報用写真 申込書■ 画像データはメールで送信します。下記にチェックをつけてお送りください。 □ アンリ・マティス ≪横たわる裸婦≫ 1946 年 木炭、紙 Charles H. Bayley Picture and Painting Fund 2004.70 Photograph © 2014 Museum of Fine Arts, Boston. □ スコット・プライア ≪ナニーとローズ≫ 1983 年 油彩、カンヴァス Gift of the Stephen and Sybil Stone Foundation 1984.135 Photograph © 2014 Museum of Fine Arts, Boston. □ 杉浦邦恵 ≪タカシ ムラカミ C ポジティヴ≫ 2003 年 独自の技法によるゼラチン・シルバー・プリント Museum purchase with funds donated by John and Olivia Parker 2006.1360 © Kunié Sugiura Photograph © 2014 Museum of Fine Arts, Boston. □ ハーブ・リッツ ≪パンツ(背面観)≫ 1988 年 ゼラチン・シルバー・プリント Gift of Herb Ritts Foundation 2008.1689 ©Herb Ritts Foundation Photograph © 2014 Museum of Fine Arts, Boston. ■以下の作品は、 コードのある雑誌に限り画像使用が可能です。但し美術著作権協会または作家関係者に、申請して確認 する時間が必要ですので、5 営業日程度時間を要します。 別途費用がかかる場合があります。 □ パブロ・ピカソ ≪サビニの女たちの略奪≫ 1963 年 油彩、カンヴァス Juliana Cheney Edwards Collection, Tompkins Collection—Arthur Gordon Tompkins Fund, and Fanny P. Mason Fund in memory of Alice Thevin 64.709 © 2014 – Succession Pablo Picasso – SPDA(JAPAN) Photograph © 2014 Museum of Fine Arts, Boston. チャック・クロース □ 《自画像》2007 年 スクリーンプリント Thompson Family © Chuck Close, courtesy Pace Gallery Photograph © 2014 Museum of Fine Arts, Boston. 貴紙・誌名/掲載予定号(発行予定日) 担当者ご氏名 データ送付先メールアドレス TEL: @ □読者プレゼント用招待券を希望する (5 組 10 名様分をご提供します) ※作品画像1点以上を使用してご紹介ください FAX: ご住所 〒□□□-□□□□ 会社名・部署 *掲載紙・誌を下記問い合わせ先までご送付いただきますようお願いします。 【写真使用にあたってのお願い事項】 1.広報用画像使用時には以下を必ず記載してください。 作者名、作品名、時代、Photograph © 2014 Museum of Fine Arts, Boston. ※複数掲載の場合は、Photographs © 2014 Museum of Fine Arts, Boston. 2.作品画像のトリミング・文字のせはできません。 3.広報用画像は、許可を受けた媒体の当該企画以外での使用や二次使用はできません。 4.広報用画像の使用および、当館基本情報(会期・開館時間・電話番号など)を確認させていただきますので、 原稿段階で、当館広報部までメールまたは FAX でお送りください。 5.当館より提供した広報用画像は、使用後すみやかに廃棄してください。 6.美術著作権協会への申請は、当館広報部で行いますので、原稿の段階(ゲラ)でメールまたは、FAX にて掲載イメー ジをお送りいただきますようお願いします。 申請にはある程度時間を要します(5 営業日程度)ので、お早めに申込みください。 「美術する身体」展 お問い合わせ先 広報部:那須([email protected]) 、佐々木([email protected]) 〒460-0023 名古屋市中区金山町 1-1-1 TEL:052-684-0752 FAX:052-684-0738 ハーブ・リッツ 1988 年 ≪パンツ(背面 観)≫ ゼラチン・シルバー・プリント Gift of Herb Ritts Foundation 2008.1689 ©Herb Ritts Foundation Photograph © 2014 Museum of Fine Arts, Boston. アンリ・マティス ≪横たわる裸婦≫ 1946 年 Charles H. Bayley Picture and Painting Fund 木炭、紙 2004.70 Photograph © 2014 Museum of Fine Arts, Boston. 杉浦邦恵 スコット・プライア ≪ナニーとローズ≫ 1983 年 油彩、カンヴァス Gift of the Stephen and Sybil Stone Foundation Photograph © 2014 Museum of Fine Arts, Boston. 1984.135 ≪タカシ ムラカミ C ポジティヴ≫ 2003 年 独自の技法によるゼラチン・シルバー・プリント Museum purchase with funds donated by John and Olivia Parker 2006.1360 Copyright Kunié Sugiura Photograph © 2014 Museum of Fine Arts, Boston.
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