スターチスの電照栽培における赤色光と青色光の混合

平成 26 年 春号
第 328 号(3)
和歌山県JA花き情報
スターチスの電照栽培における赤色光と青
した。赤色LED電球(波長 620~630nm)と
色光の混合比率並びに市販光源の選定につ
青色LED電球(波長 460~470nm)を用い、赤
いて
色光(R)と青色光(B)の混合比率を変えて電照
農業試験場 暖地園芸センター
主任研究員
伊藤 吉成
1.はじめに
暖地園芸センターでは、夜間、スターチ
し、切り花本数、切り花長、切り花重を調査
しました。苗を2012年 9月18日に容量10Lの
ポリポットに定植し、10月26日から終夜照明
で電照を行いました。光の放射照度は、培土
スに波長の異なる光を当てることによって
表面で0.16Wm-2としました。また、冬期の最
切り花本数や切り花品質にどのような影響
低夜温は5℃としました。
が現れるかを調査し、その結果をもとに切
試験 2.市販の各種光源と増収効果
り花本数を増加させる電照栽培技術の開発
光源色の異なる電球型蛍光灯(電球色:Pa
に取り組んでいます。これまで赤色光で電
nasonic EFA15EL/10HS、昼白色:Panasonic
照すると切り花本数が増加し、青色光や遠
EFA15EN/10H2、昼光色:Panasonic EFA15ED
赤色光では切り花長等の品質が向上するこ
/10HS)
、LED電球(電球色:Panasonic
とを明らかにしてきました。
LDA7L-A1、昼白色:Panasonic LDA6N-H、昼
ここでは、品質の高い切り花本数を増や
光色:Panasonic LDA8D-A1/D)および白熱球
すために赤色光と青色光の混合比率を検討
(Panasonic LW100V100W)を用いて電照し(
した結果、そして、これらの光を含む市販
図4の波長の比較を参照)
、切り花本数に及ぼ
の光源での増収効果を調査した結果を紹介
す影響を調査しました。電照は2012年10月29
します。
日から開始し、その他の試験方法は試験1と
同様としました。
3.結
果
試験 1:赤色光に青色光を混合して照射す
ると切り花本数は無処理区より 40%以上
増加し、いずれの混合比率でも赤色光単独
写真
電照試験の様子(試験 1)
2.試験方法
試験 1.赤色光と青色光の混合比率
図 1 赤色光と青色光の混合比率が切り花本数
に及ぼす影響(2012 年 12 月 26 日~2013 年 3
月 8 日までの本数)
品種は「サンデーバイオレット」を用いま
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平成 26 年 春号
第 328 号(4)
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照射とほぼ同等の切り花本数となりまし
試験 2:供試した LED 電球、電球型蛍光灯
た(図 1)。
および白熱球については、いずれも無処理
また、いずれの混合比率でも切り花長と
に比べて切り花本数が増加しました。LED
切り花重は、無処理と同等以上になりまし
電球は、光源色に拘わらず白熱球や蛍光灯
た(図 2)。
と同等以上の切り花本数となり、無
処理と比べて 75%以上の増収効果
が認められました(図 3)。
4.おわりに
スターチスでは、赤色光と青色光
の混合光で電照すると切り花品質を
維持しながら切り花本数を増やすこ
とができ、赤色と青色の光を含む光源
の中で家庭用 LED 電球の増収効果が高
図 2 赤色光と青色光の混合比率が切り花品質に
及ぼす影響
2013 年3 月8 日に調査
いことが分かりました。
暖地園芸センターでは、引き続き、
家庭用 LED 電球を用いて、適当な電照
時期や増収効果を得るために必要な
光の強度などを検討しており、現地で
の実証を経て来年度の実用化をめざ
しています。
図 3 光源の種類と光源色が切り花本数に及ぼす影響
2012 年12 月28 日~2013 年 3 月12 日までの本数
図 4 市販の光源の波長分布特性
左:電球色蛍光灯、中:電球色 LED 電球、右:白熱球
注)図中の青色破線間が青色光の波長域、赤色破線間が赤色光の波長域
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