2014年11月号

ミハル通信
取材・文:渡辺 元・本誌編集部、写真:広瀬まり
新製品「CATV監視装置」の
画期的な多機能・小型・低コスト
「FLEX FEED SYSTEM」は
競合が増える中、差別化で高評価
®
ミハル通信は7月29日・30日に開催されたケーブル技術ショー 2014に、
®
、
HFCからFTTHへの最適移行ソリューション「FLEX FEED SYSTEM」
映像・音声の信号を監視して障害時には予備機に自動切り替えを行う
「CATV監視装置」
、3Uサブラックのデジタルヘッドエンドとシグナルプロ
セッサ「MDSRシリーズ」を中心に展示した。MDSRシリーズとCATV監
視装置は初出展した。新製品の実機展示とデモ展示が関心を集め、ミハ
ル通信ブースには2013年より2割多い約900人の来場者が訪れた。特に
®
FLEX FEED SYSTEMとCATV監視装置は競合製品が鎬を削る中、ケ
ーブルテレビ事業者から高く評価されて引き合い件数を順調に伸ばしてい
る。競合製品に対してどこが優れているのか、ショー後の市場の反応とと
もにレポートする。また、10月3日に名古屋で開催されるケーブルフェスタ
2014の展示・セミナーの内容も紹介する。
「FLEX FEED® SYSTEM」は
選択肢の多さが強み
2013年冬に発表し、今秋から出荷を開始する
盛況のケーブル技術ショー 2014のミハル通信ブース。
2日間で約900人の来場者が訪れ、会期中常に賑わっていた
とは、❶HFC、❷HFC・FTTH(通信)併用、
❸HFC・FTTH(映像・通信)併用、❹HFC世
帯(双方向)・FTTH世帯の混在、❺HFC世帯
(片方向)・FTTH世帯の混在、❻FTTHエリア
FLEX FEED SYSTEMは、HFCからFTTH
拡大(延伸)だ。これらの6タイプで要となる専
への移行過程で各エリアの状況に応じて6タイ
用ノード装置「FLEX FEED Node」を展示し
プの伝送路形式を柔軟に構築できる。6タイプ
たショー後の反響は大きい。
®
®
「当社ブースに来場されたケーブルテレビ事
業者様からは、6タイプの中で具体的に『このタ
鎌形洋行
イプでの積算をしてほしい』というご要望をたく
さんいただいています。特にタイプ❻のFTTH
ミハル通信(株)執行役員
統括営業部 部長
エリア拡大・延伸と、既存ノードセルの予備芯
を使ったタイプ❸のHFC・FTTH併用に対する
引き合いが増えています」
(鎌形洋行・ミハル
型のダイキャストを採用したことによって、HFC
通信(株)執行役員 統括営業部 部長)
の光ノード、FTTHの映像ユニット、FTTHの通
今回のショーでは、複数の他メーカーも類似し
信ユニットを組み合わせることができるため、そ
たHFCからFTTHへの移行ソリューションを出展し
れが可能になった。映像ユニットの代わりに通
てきた。それに対してFLEX FEED SYSTEM
信 ユ ニットを2 本 搭 載 す れ ば、1台 のFLEX
は6タイプ もの 選 択 肢 を 用 意 し て、HFC・
FEED Nodeで約400端末の通信加入者をカバ
FTTH、映像・通信を任意に組み合わせること
ーできる。通信に力を入れているケーブルテレ
ができるのが特長だ。FLEX FEED Nodeは大
ビ事業者にも対応できるソリューションだ。
®
「FLEX FEED® SYSTEM」用のFLEX FEED® Node
14
11-2014
®
®
画面
CATV 監視装置のブロック図
1
64QAM/ 256QAM
BSTM̲ サービス名 3
BSTM̲ サービス名 4
BSTM̲ サービス名 5
回のショーに展示した製品の中で、ショー後の
OFDM SP
地上デジタル
放送波
OFDM SP予備
RMP
予備
RF
MIX
RF
光送信器
TDTM̲
サービス名 4
DIV
TDTM̲ サービス名 5
FMパススルー
FM SP
FM SP予備
実際に障害のある映像・音声をどのように監視
FM
できるのか、自局で確認したいという要望だ。
CATV 監視装置
見積やデモを依頼しているケーブルテレビ事業
異常状態通知
設定・表示
者は、MSOから大手、中規模、小規模の事業
TDPT̲ サービス名 4
TDPT̲ サービス名 5
FSK/ パイロット信号
TDPT̲ サービス名 3
者まで幅広い。ミハル通信では、今年末から年
トラモジ
コントローラ
SP
コントローラ
フリーズ
明けにかけて受注が相次ぐと期待する。
MUX
コントローラ
監視
コントローラ
RF 状態表示(左)・TS 階層表示(右)
BS-IF
各ユニットへ
CATV監視装置が持っている監視機能は、映
伝送路へ
像・音声監視(ブラックアウト、フリーズなどの
広帯域 CS パススルー
CS SP
光送信器
CS-IF
RF
DIV
RF
MIX
REMX̲ サービス名 4
REMX̲ サービス名 5
監視)、RF監視、TS監視など多機能で、これ
REMX̲ サービス名 3
CS SP予備
らの監視がオールインワンで可能となり、用意
よい。引き合いが多いのは、このことが高く評
価された結果だ。
「映像・音声監視については、他メーカーも
製品を出しています。当社のCATV監視装置は
それだけでなく、RF監視、TS監視の機能も持
っていることが特長です。たしかに映像・音声
2
T R
S F C
A
T
V
監視装置」の
状態表示
(左)と
階層表示
(右)
するのは1UのCATV監視装置1台とPCだけで
××× 放送
「
ウト
伝送路へ
すでに見積の依頼が寄せられている。自局での
図
広帯域 CS
デジタル放送波
ミナーを行った。ケーブルテレビ事業者からは
デモを希望するケーブルテレビ事業者も多い。
FM 放送波
号
OFDM
今回のショーが初めてで、実機のデモ展示とセ
TDTM̲ サービス名 3OFDM
OFDM
中
反響が最も大きいものだ。一般に公開するのは
C
A
T
V
監視装置」のブロック図
OFDMパススルー
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻝
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻞
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻟
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻠
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻡
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻢
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻣
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻝
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻞
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻟
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻠
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻡
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻢
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻣
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻤
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻥
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻝㻜
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻝㻝
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻝㻞
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻝㻟
䝃䞊䝡䝇ྡ 㻝㻠
「
新製品のCATV監視装置はミハル通信が今
ックス等
監視対象階層表示(左部分)
図
種ヘッドエンドとの連携
毎に書き換わる)
「CATV監視装置」は
障害の原因も特定可能
[ ○○○放送 ]
[ ×××放送 ]
監視だけでも、ブラックアウトやフリーズなどの
障害を検出することはできます。しかし、障害
画面イメージ
復旧のために重要なのは、その障害の原因を突
き止めることです。当社のCATV監視装置は、
RF監視やTS監視をすることによって、障害の
原因箇所を特定できます。RFのレベルはいくつ
機能もある。障害時のTSを保存しておき、あと
なのか、RFレベルは問題ないのに映像が止まっ
で詳しく解析できるのだ。
ている場合はTSのパケットは出ているのか、ス
このほかFM信号監視、パイロット信号監視
クランブルを解く鍵は来ているのか、といったこ
の機能も備えている。この2つの監視機能を持
とを確認できますので、ヘッドエンドのどの装置
つ他メーカー製品は少ない。FM再送信は多く
が原因であるのか特定できるわけです。映像・
のケーブルテレビ事業者が提供しているし、伝
音声監視だけ行う場合に比べて、短時間で復旧
送路の品質維持のためにはパイロット信号の障
することが可能です」
(尾花毅・ミハル通信(株)
害を検知する必要があるため、FM信号波監視
デジタル応用技術部部長)
とパイロット信号監視の機能はケーブルテレビ
CATV監視装置はTSをSDカードに保存する
事業者にとっては必須だ。
さらに監視機能だけでなく、予備機への自動
切り替え機能も持っているのが特長だ。ミハル
通信製ヘッドエンドを使用している場合に限ら
れるが、CATV監視装置が異常状態を検出する
「CATV監視装置」
尾花 毅
ミハル通信(株)
デジタル応用技術部 部長
ビ事業者の監視センターなどで担当者が常時監
とトラモジコントローラ、SPコントローラ、地デ
視して、障害時に手作業で予備機に切り替える
ジMUXコントローラなど各ユニットを制御して
必要がなくなる。ミハル通信製のヘッドエンドで
いるコントローラ経由で予備系統に自動的に切
あれば、今回のショーで展示された新型ヘッド
り替え、復旧まで持っていける。ケーブルテレ
エンドのMDSRシリーズだけでなく、従来の製
11-2014
15
品でも自動切り替えに対応している。
従来システムよりも低価格を実現
全国80局以上がデモを依頼
CATV監視装置の大きな利点は、監視機能・
『すぐ買います』と言ってくださる方もいらっしゃ
いました。すでに導入している監視装置を当社
のCATV監視装置に入れ替えることにしたという
ケーブルテレビ事業者様もあります」
(尾花部長)
ミハル通信にはショー後、「とにかく1回デモ
を見たい」と言うケーブルテレビ事業者からの
予備機切り替え機能だけではない。監視システ
依頼が相次いでいる。そこで同社は急遽デモ用
ムのコストを大幅に低減できるのだ。従来の監
の装置を多数用意した。自局でのデモを依頼し
視システムは一般的にはSTBを使用する構成に
ているケーブルテレビ事業者は80局を超えてい
なっており、その分費用がかかっている。つま
る。ミハル通信は10月から全国を回ってデモを
り250チャンネルのサービスを提供していれば、
実施していく計画だ。デモではブラックアウトや
3Uサブラック「MDSRシリーズ」
(上)。デジタ
ルヘッドエンドのIP QAM復調ユニット(左下)
と、FMシグナルプロセッサユニット(右下)
STB、映 像・音 声 監 視 装 置、RF監 視 装 置、
フリーズなどいろいろな種類の異常状態を起こ
TS監視装置がそれぞれ250台ずつ設置されて
させた映 像・音 声 信 号を用意して、それを
いる。これらの装置が5、6本のラックにずらり
CATV監視装置で検知して自動的に予備機切り
と並び、システム全体で導入費用は数千万円~
替えができることを見せる。ケーブルテレビ事
す。FTTHのケーブルテレビ 事 業 者 様 では、
数億円もすると推測できる。
業者からの機能追加の要望があれば、それにも
MDSRシリーズのBSデジタルシグナルプロセッサ
それに対してミハル通信のCATV監視装置
順次対応していく方針だ。
の組み合わせだけで、ほぼ同じ機能を実現する。
「当社のCATV監視装置は、映像・音声監視、
RF監視、TS監視までオールインワンでできま
す。またSTBを別に用意する必要もないので、
の引き合いも多数いただいています。現状使って
いるユニット数をリプレイスした場合の見積もりを
は、1Uサイズの監視装置が1台とPCサーバ1台
新製品「MDSRシリーズ」は
数十種類のラインナップ
新製品の3Uサブラックのデジタルヘッドエンドと
提出しているところです。局の移転に合わせてそ
っくりMDSRシリーズに入れ替えるという引き合い
もあります。スペース効率の高さが評価されていま
す」
(鎌形統括部長)
スペース効率にも優れています。ケーブルテレ
シグナルプロセッサ
「MDSRシリーズ」も、今回のシ
MDSRシリーズのデジタルヘッドエンドとシグ
ビ事業者様がこれを1台導入していただければ、
ョーで初めて展示した。ミハル通信は今後、デジタ
ナルプロセッサは、合計数十種類のラインナッ
プが計画されている。ケーブルテレビ事業者の
必要な障害検知がすべてできる製品を目指して
ルヘッドエンドとシグナルプロセッサのラインナップを
開発しました。しかも1Uと小型で、低価格です。
3Uに小型化し、スイッチングハブユニットでネットワー
要望が多いものから順次製品化していく。シグ
各監視機能を別々に提供する監視装置を揃える
ク冗長にも対応させた同シリーズに置き換えていく。
ナルプロセッサはFM、OFDM、BSは年内に発
場合に比べて、当社のCATV監視装置は低コス
「地デジサービスを開始してから10年近くたって
売する。デジタルヘッドエンドはBSトラモジと
トで導入できます。しかも今後チャンネル数が
いるケーブルテレビ事業者様では、そろそろリプレ
地デジトラモジを今年度内に発売予定。その他
増えても、新しく監視装置を導入せずにすでに
イスが必要な時期になっています。リプレイスで
のQAM/QAM、MUX機 能 が 載 っ て い る
導入した1台のCATV監視装置で対応できま
MDSRシリーズを導入していただければ入力系統
SIQAM、地デジ自主放送MUX、MPEG2エン
す」
(尾花部長)
切替機能があるので、地デジの受信点を2 つ設
コーダなどの各新製品も、来年度順次発売して
けて予備系にすることができます。IP QAM変調・
いく予定だ。2015年のケーブル技術ショーには、
現できたのは、各種監視機能の小型回路をミハ
復調のデジタルヘッドエンドについては、大手ケー
勢揃いしたMDSRシリーズのラインナップが展
ル通信が開発したからだ。従来はSTBが行って
ブルテレビ事業者様からの引き合いが増えていま
示されるだろう。注目したい。
CATV監視装置がこれほど小型・低価格を実
いたMPEG2信号のデコードは、PCが行うよう
にした。ビデオ信号をデコードするのではなく、
CATV監視装置が映像から定期的に静止画像
を切り取り、それをPCでデコードするという方
法だ。何百チャンネルのサービスでも、切り取
全サービスの監視が一巡したら、また1つ目のサ
ービスから順番に監視していくということを繰り
返すポーリング監視方式を取っている。ブラッ
クアウトやフリーズもこのように静止画を順次監
も他メーカーの製品との大きな違いだ。
「今回のケーブル技術ショーでCATV監視装置
をご覧になったケーブルテレビ事業者様は、多
機能・小型・低価格にみなさん驚いていました。
16
11-2014
セミナー
視すれば検知できる。このポーリング監視方式
●開催日:10月3日(金)
●会場:ホテル 名古屋ガーデンパレス(名古屋市中区錦3丁目11-13)
・開催時刻:10 : 00~17 : 00 ・会場:翼の間(2F) ・ブース:A-13
・展示内容:HFCとFTTHの共存及び強靭化対応
ミハル通信のケーブルテレビ事業者向けの最新ソリューション・システム
®
を紹介。展示製品は、FLEX FEED SYSTEM(静展示)、CATV監視
装置(デモ展示)、新型デジタルヘッドエンドMDSRシリーズ(静展示)。
展示会
った静止画を順番にデコードして監視していく。
「ケーブルフェスタ2014」の展示会・セミナーでも
FLEX FEED® SYSTEM、CATV監視装置、MDSRシリーズを紹介
・開催時刻:15 : 00~15 : 30 ・会場:竹の間(5F) ・定員:各30名
・講演内容:新型HE、監視装置を用いたセンター強靭化
冗長対応新型ヘッドエンドシステム及びCATV監視装置によるセンター設
備の強靭化について。