http://trans-aid.jp パレスチナの友人ポルトアレグレはなぜイスラエルの軍需施設を 誘致するのか? / ジャマル・ジュマ Porto Alegre Is Palestine's Friend, So Why Has It Embraced Israel's War Industry? / Jamal Juma http://www.zcommunications.org/porto-alegre-is-palestine-sfriend-so-why-has-it-embraced-israel-s-war-industry-by-jamal-jum ozawa 2013-06-24 20:01:08 2013年5月20日 数週間前になるが、ブラジルのリオグランデ・ド・スル州知事タルソ・ジェンロは、ポルトアレ グレ [リオグランデ・ド・スル州都] にイスラエルの巨大な軍事技術センターを誘致する契約を結 んだ。軍需企業エルビット社との契約に署名するのに先立って、ジェンロは占領地区ヨルダン川 西岸を訪ね、そこでイスラエルの武器産業繁栄をもたらすもとになっている弾圧をその目で目撃 した。 彼が自分の行動を「弁護する」ために後で行った反論は、契約の署名そのものより見苦しかった 。ブラジルのニュースサイト「オペラ・ムンディ」のインタビューで、国際法や人権は国際的な 商取引の基準とはならないと言明するジェンロを見るのはとても情けなかった。 国際法や人権を侵害するエルビット社の前歴を示されると、ジェンロは「科学技術的な選択をめ ぐる決断を国や州のレベルで下す際にそのような基準で決めることはできない」と主張し、次の ように付け加えた。「グローバルな商取引上の倫理観は国益によって定義される。」 (「非難を よそに、タルソ・ジェンロはイスラエル国防軍との契約に署名」 2013年4月29日、ポルトガル語 の報道より) 彼の主張は、国際関係で人権を優先することを定めているブラジル憲法を無視しているし、法的 にも間違っている。国連のガイドラインや国連決議といった国際機関による法的分析に基づく判 断は、国家や公共機関に対し、国際法を尊重し、保証することを義務付けている。 エルビット社はイスラエルの入植地の建設やヨルダン川西岸の隔離壁の建設で利益をあげている 。どちらも戦争犯罪とみなされるものだ。国際法違反に関与しているとして、エルビット社は契 約と投資を停止せよとのグローバルな抗議運動に晒されている。 オペラ・ムンディでのインタビューで、ジェンロはこの契約はブラジルに利益を生むものだと弁 護した。同様の主張が1970年代から1980年代に、南アフリカのアパルトヘイト政策に関して、そ の同盟国である英国と米国で持ちだされた。マーガレット・サッチャーはアパルトヘイトによる 利益を英国の企業が諦めることはないとした。しかし、1990年代まで、経済制裁はこうした企業 に高い経済的負担を与えたし、米国の企業は賠償を求める法廷訴訟を起こされている。 汚いビジネス 汚いビジネスから早めに手を引くことは経済的にみて適切な選択と証明されている。パレスチナ の「イスラエルに対するボイコット、資本の引き上げ、制裁を求める運動 (BDS)」はまだ7年 しか経っていないが、南アフリカの活動家たちが20年間たってようやくたどり着いた段階まで来 ている。 BDS運動による打撃があることをエルビット社も認めている。同社の最新の年次報告は次のよう に述べている。「ここ数年間、ヨーロッパその他でイスラエルとの取引を縮小するといった声が あがっている・・・イスラエルやイスラエルのビジネスを制約する法律や政策、業務によって我 われのビジネスは何らかの悪影響を受けるであろう。」 最近のグローバル・ビジネスは投資決定をする前に、ますます慎重にリスク分析の実施や依頼を 行うようになっている。リスク分析機関の大半は評価に倫理的基準を組み入れているし、それだ けに特化しているところも多い。そうした機関は採点結果を伝えるためにパレスチナを頻繁に訪 れる。評価の根拠となるものは、環境への影響や人権、グットガバナンスである。 エルビット社はこれら3点すべての数値が悪い。エルビット社が関与しているイスラエルのプロジ http://trans-aid.jp ェクトはオリーブの木数万本を根こそぎにするというものだ。ヨルダン川西岸とガザにおける人 権問題担当の国連特別報道官リチャード・フォークは、エルビット社が重大な人権侵害を行って いるという理由で、同社との金融取引の停止を求めた(「国連の独立機関の専門家は、イスラエ ル入植地で利益をあげる商取引をボイコットするように要求している」 『UN News Center』 2012年10月25日より)。 贈収賄 しかも、経済協力開発機構(OECD)は、イスラエルの軍事部門全体で汚職が蔓延していると非 難していた(「海外企業との贈収賄という依然として残る懸念によって、商取引の進展が損なわ れてはならないことを、イスラエルは確認すべきである、とOECDが表明。」 2009年12月16日 )。 そうした中で、インドとフィリピンは、贈収賄を理由に、イスラエル数社との契約入札を禁止し た(「インドは国内の軍需産業数社を10年間のブラックリストに載せた」 『ハアレツ』 2012年3月7日より)。 またノルウェーでは、2009年の年金を手始めに、13の金融機関がポートフォリオの取引からエル ビット社を除外した(「エルビット・システム社の排除を勧告」 ノルウェー財務省、2009年5月 15日) 経済的に有利であるとしてイスラエルロビーがリオグランデ・ド・スル州に売り込んだことが、 結局、汚いだけでなくリスキーな契約であったことがわかる。この契約がもたらす政治的帰結は 深刻であるため、できるだけ早く、連邦および州レベルで本格的な議論を行う必要がある。 「善良な人びとの沈黙」 ヨルダン川西岸をジェンロが訪問した際に、この危険な契約を進めないように訴えたパレスチナ の人びとの声を彼は耳にしている。ラマッラーにて行われた代表団の歓迎会で(筆者も出席して いた)、市長のムーサ・ハディードは次のような嘆願を込めた雄弁な演説を行った。 「マーティ ン・ルーサー・キングはかつてこう言った。『最大の悲劇は邪悪な人びとの残忍ではなく、善良 な人びとの沈黙である』と。あなたたちは私たちの友人であり、善良な人たちに属している。だ からこそ、あなたがたが不正に抵抗することを望んでいる。」 リオグランデ・ド・スルは多くの事柄でパレスチナの人びとの支援を行ってきた。昨年、パレス チナ問題を取り上げた「世界社会フォーラム・パレスチナに自由を・2012」を進んで招致した。 パレスチナの自由を謳うフォーラムのコミットメントと、イスラエルが私たちをゲットーに隔離 する手助けを行う企業との契約に署名するジェンロは、あからさまに対照をなすものである。 この記事の翻訳版は先にオペラ・ムンディに掲載された。 ジャマル・ジュマはパレスチナの「Stop the Wall」キャンペーンのコーディネーターである。 サイトが基本的に翻訳推奨
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