第1 道路交通法の目的・用語の定義等 1 第1 道路交通法の目的・用語の定義等 1 道路交通法の目的(法第1条) 道路交通法は、 ○ 道路における危険を防止すること ○ 交通の安全と円滑を図ること ○ 道路の交通に起因する障害を防止すること に沿って規定されており、道路交通法の適用の場所は、道路(法第 2 条第 1 項第 1 号)であり、原因 が道路で発生して結果が道路外に及んだもの、又は原因が道路外で発生して結果が道路上に及んだも のであっても、その原因と結果に直接の因果関係があれば、道路交通法の適用を受けることとなる。 危険を防止し 道路における 交通の安全と円滑を図る 道路交通法の目的 道路の交通に起因する障害の防止に資する 2 用語の定義(法第2条) (1) 道路 道路法(昭和 27 年法律第 180 号)第 2 条第 1 項に規定する道路、道路運送法(昭和 26 年 法律第 183 号) 第 2 条第 8 項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。 (法第 2 条第 1 項第 1 号) 道 路 道路法第2条第1項に定める道路(附属 施設等を含む。) 道路運送法第2条第8項に定める自動車道 高速自動車国道 一般国道 都道府県道 市町村道 専用自動車道 一般自動車道 一般交通の用に供するその他の場所 注1 附属施設等 ・・・ トンネル、橋、渡船施設、道路用エレベーター等道路と一体となってその効用を全うする施設 又は工作物及び道路の附属物で当該道路に附属して設けられているもの。 注2 道路の附属物 ・・・ 道路法第 2 条第 2 項及び同法施行令第 34 条の 3 に規定 「道路の附属物」とは、道路の構造の保全、安全かつ円滑な道路の交通の確保その他道路の管理上必要な施設又 2 は工作物で、次に掲げるものをいう。 【道路法第 2 条第 2 項に規定されているもの】 ① 道路上のさく又は駒止 ② 道路上の並木又は街灯で第 18 条第 1 項に規定する道路管理者の設けるもの ③ 道路標識、道路元標又は里程標 ④ 道路情報管理施設(道路上の道路情報提供装置、車両監視装置、気象観測装置、緊急連絡施設その他これ らに類するものをいう。) ⑤ 道路に接する道路の維持又は修繕に用いる機械、器具又は材料の常置場 ⑥ 自動車駐車場又は自転車駐車場で道路上に、又は道路に接して道路管理者が設けるもの ⑦ 共同溝の整備等に関する特別措置法(昭和 38 年法律第 81 号)第 3 条第 1 項の規定による共同溝整備道 路又は電線共同溝の整備等に関する特別措置法(平成7年法律第 39 号)第 4 条第 2 項に規定する電線共同 溝整備道路に道路管理者の設ける共同溝又は電線共同溝 【道路法施行令第 34 条の 3 に規定されているもの】 ① 道路の防雪又は防砂のための施設 ② ベンチ又はその上屋で道路管理者又は法第 17 条第 3 項の規定により歩道の新設等を行う指定市以外の市 町村が設けるもの ③ 車両の運転者の視線を誘導するための施設 ④ 他の車両又は歩行者を確認するための鏡 ⑤ 地点標 ⑥ 道路の交通又は利用に係る料金の徴収施設 注3 「一般交通の用に供するその他の場所」の判断基準 ① 道路の体裁の有無 社会通念上「道路」と呼ぶにはふさわしくない場所であっても、そこを現実に多数の車や人が通行してい る事実が認められる以上、「危険の防止」及び「交通の安全」を図るため、法による規制を必要とする。 したがって、道路としての体裁を有しない場所であっても、一般交通の用に供されている部分が客観的に 識別できれば、「その他の道路」となる。 ② 客観的・継続的・反復性が必要 一般交通の用に供する場所とされるためには、そのことが客観的に認められ、かつ継続的、反復的に利用 されていることが必要である。 ③ 公開性の有無 不特定多数の人の通行が「全く自由にできる」場所ではなくても、つまり、そこを通行することについて 「制限」や「条件」がある場所であっても、その場所を道路と認定することができるが、その「制限」や「条 件」の強さの程度によって認定が左右されるので、慎重な判断が必要となる。 ※ 盲学校の寮までの堤塘(堤防)が「一般交通の用に供するその他の場所」に当たるとされた 事例(奈良地裁判 平 6.3.2) 道交法 2 条 1 項 1 号にいう「一般交通の用に供するその他の場所」とは、現に不特定多数の 人ないし車両等の交通の用に供されている場所をいい、(1)道路としての形態を備えているこ と(形態性) 、 (2)一般交通に利用されている状態が客観的に認められること(客観性)、(3) 不特定多数の者の通行が許されている場所であること(公開性)の 3 つの要件が、原則として 必要と解される。 検証の結果によれば、本件東西堤塘の上は、県立盲学校筒井寮までアスファルト舗装がされ ており、本件南北堤塘の上は、舗装はされていないが民家、建設会社の資材置き場があって、 車両が通れるように整地されており、実際に車両が通行していることが認められるから、右形 態性及び客観性の要件を満たしている。 また、前記のとおり本件堤塘は国有財産であり、その通行は不特定多数の者に許されている から、公開性の要件も満たしている。したがって、本件堤塘は道路交通法上の道路(同法 2 条 第 1 項 1 号)であると認められる。 ※ 駐車場の中央部分が「道路」に当たるとされた事例(大阪高裁判 平 14.10.23) 本件駐車場は、本件各店舗を訪れる客の利用する駐車場として供され、本件駐車場中央部分 第1 道路交通法の目的・用語の定義等 3 は、同各店舗を訪れ、自車を本件駐車場に停め、又は止めようとする客ら及びその自動車の通 行に供されており、これらの客及びその自動車が同所を通行するに当たって何らかの制約はな く、かつ、現にこれらの客及びその自動車が自由に通行していたことが認められる。 道路交通法 2 条 1 項 1 号にいう一般交通の用に供するその他の場所とは、不特定多数の人や 車両が自由に通行できる場所として供され、現に不特定多数の人や車両が自由に通行している 場所を意味すると解されるところ、本件各店舗を訪れ、自車を本件駐車場に停め、又は停めよ うとする者及びその自動車は、だれでも本件駐車場中央部分を通行することができ、現に通行 していたのであるから、同所は不特定多数の人や車両が自由に通行する場所として供され、現 に不特定多数の人や車両が自由に通行していたものというべきである。したがって、同所は道 路に当たると解するべきである。 ※ 駐車場の中央部分が道路に当たらないとされた事例(最高裁決 昭 46.10.27) 右駐車場は、全面舗装された広場であって、そのうち東側及び西側部分には自動車 1 台ごと の駐車位置を示す区画線があり、南側入口には県立無料駐車○○と大書された看板があって、 その広場の全体が自動車の駐車のための場所と認められるところから、駐車位置区画線のない 中央部分も、駐車場の一部として、該駐車場を利用する車両のための通路にすぎず、これをもっ て道路交通法上の道路と解すべきものではない。 ホテルなどの利用客等のうちには、右駐車場を通行する者があるとしても、それはたまたま 一部の者が事実上同所を利用しているにすぎず、これによって右駐車場中央部分が、一般交通 の用に供する場所となるわけのものではない。 ※ コンビニの駐車場が「一般交通の用に供するその他の場所」に当たらないとされた事例(東 京高裁判 平 17.5.25) 本件コンビニエンスストア敷地内駐車場の通路部分については、不特定の自動車や人が自由 に通行することが認められており、かつ、客観的にも、上記の者の交通の用に供されている場 所といえるから、道路交通法 2 条 1 項 1 号にいう「一般交通の用に供するその他の場所」に該 当するといえる。 しかし、本件事故は、被告人が、本件駐車場通路部分を通り抜けようとしていた際の事故で はなく、駐車区画部分に駐車しようとして被告人車両を後退させる際の事故であり、衝突地点 も駐車区画最深部の店舗建物に沿って設置されている車輪止め上であるから、本件事故が本件 駐車場の通路部分における自動車の交通に起因するものであったと認めることは相当でない。 したがって、救護・報告義務違反罪は成立しない。 (2) 歩道 歩行者の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によって区画 された道路の部分をいう。 (法第 2 条第 1 項第 2 号) (3) 車道 車両の通行の用に供するため縁石線若しくはさくその他これに類する工作物又は道路標 示によって区画された道路の部分をいう。 (法第 2 条第 1 項第 3 号) (4) 本線車道 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和 32 年法律第 79 号)第 4 条第 1 項に規定 する道路をいう。 )又は自動車専用道路(道路法第 48 条の 4 に規定する自動車専用道路をいう。) の本線車線により構成する車道をいう。 (法第 2 条第 1 項第 3 号の 2) (5) 自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によって 区画された車道の部分をいう。 (法第 2 条第 1 項第 3 号の 3) (6) 路側帯 歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路 又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示に よって区画されたものをいう。 (法第 2 条第 1 項第 3 号の 4) 路側帯(軽車両はその中を通行することができ、車両は駐停車すると 車 道 きには路側帯の中に入って駐停車することができる。) 路 側 帯 4 車 道 駐停車禁止路側帯( 軽車両はその中を通行することができるが,車両 の駐車及び停車は禁止される。) 路 側 帯 車 道 歩行者用路側帯( 軽車両の通行並びに車両の駐車及び停車が禁止され、 歩行者のみの通行の用に供される。) 路 側 帯 (7) 横断歩道 道路標識又は道路標示により歩行者の横断の用に供するための場所であることが示 されている道路の部分をいう。 (法第 2 条第 1 項第 4 号) (8) 自転車横断帯 道路標識又は道路標示により自転車の横断の用に供するための場所であること が示されている道路の部分をいう。 (法第 2 条第 1 項第 4 号の 2) (9) 交差点 十字路、丁字路その他 2 以上の道路が交わる場合における当該 2 以上の道路(歩道と 車道の区別のある道路においては、車道)の交わる部分をいう。(法第 2 条第 1 項第 5 号) (10) 安全地帯 路面電車に乗降する者若しくは横断している歩行者の安全を図るため道路に設けら れた島状の施設又は道路標識及び道路標示により安全地帯であることが示されている道路の部分 をいう。 (法第 2 条第 1 項第 6 号) (11) 車両通行帯 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場 合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。(法第 2 条第 1 項第 7 号) (12) 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。(法第 2 条第 1 項第 8 号) (13) 自動車 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であって、原動機付自 転車、自転車及び身体障害者用の車いす並びに歩行補助車その他の小型の車で政令で定めるもの (「歩行補助車等」 という。 )以外のものをいう。 (法第 2 条第 1 項第 9 号) 注1 歩行補助車等(施行令第 1 条) ・・・ 歩行補助車及びショッピング・カートをいう。ただし、これらの車で原動機を用いるものにあっては、 道路交通法施行規則で定める基準に該当するものに限る。 注2 原動機を用いる歩行補助車等(施行規則第 1 条) ○ 車体の大きさ ・ 長さ 120㎝以下 ・ 幅 70㎝以下 ・ 高さ 109㎝以下 ○ 車体の構造 ① 原動機として、電動機を用いること。 ② 6 キロメートル毎時を超える速度を出すことができないこと。 ③ 歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと。 ④ 歩行補助車等を通行させている者が当該車から離れた場合には、原動機が停止すること。 (14) 原動機付自転車 内閣府令で定める大きさ(施行規則第 1 条の 2)以下の総排気量又は定格出 力を有する原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であって、自転車、身 体障害者用の車いす及び歩行補助車等以外のものをいう。(法第 2 条第 1 項第 10 号) 道路交通法施行規則 (原動機付自転車の総排気量等の大きさ) 第 1 条の 2 道路交通法(昭和 35 年法律第 105 号。以下「法」という。 )第 2 条第 1 項第 10 号の 内閣府令で定める大きさは、二輪のもの及び内閣総理大臣が指定する三輪以上のものにあっては、 総排気量については 0.050 リットル、定格出力については 0.60 キロワットとし、その他のもの にあっては、総排気量については 0.020 リットル、定格出力については 0.25 キロワットとする。 けん (15) 軽車両 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レー ルによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であって、身体障害者用の車いす、歩行補 助車等及び小児用の車以外のものをいう。 (法第 2 条第 1 項第 11 号)
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