成果の概要 第14回 JICE 研究開発助成 成果報告会 エクストラドーズド鋼橋 外ケーブルと構造が酷似したポリエチ レン被覆電線を模擬供試体として、内部素線の破断・腐蝕状 態を可視化することが出来た。 絶縁被覆の外から、非破壊・安全に検査することが可能。 テラヘルツ波方式によるエクストラドーズド橋の 健全性診断に関する研究 0.5mm~1mm以下のクラック断線検出可能 腐蝕状態を定量的に把握することが可能 クラック・断線検出シミュレーション:幾何光学的シミュレーショ ンにて、反射測定結果をシミュレート 東北大学 大学院工学研究科 知能デバイス材料学専攻 教授 小山 裕(おやま ゆたか) 絶縁被覆電線の内部素線断線部検出 エクストラドーズド橋 外ケーブル 腐食・断線 非破壊健全度診断 ポリエチレン被覆 金属撚り線 可視化 側面図 絶縁電線試料⇒外ケーブルと構造が酷似 内部素線 撚り線構造 PETフィルムで覆われている 最外素線は6本 被覆 ポリエチレン絶縁被覆 断面図 断線試料 引張 絶縁被覆電線 内部素線構造と同じ アーチ橋用 吊りケーブル等も同様 の構造 ①一度被覆を剥ぎ取る (PETフィルムはそのまま) ②最外素線のクラックを一つ選 択し、その素線を引張り、間隙を あけて断線とみなす ③再び被覆を装着し、 断線試料とする あける間隙の大きさを変えることで異なる断線状態を再現可能 4 140GHz測定結果 サブテラヘルツ波反射イメージング測定装置 絶縁被覆の外からイメージング テフロンレンズ 放物面鏡 放物面鏡 光源(室温で動作。消費電力10W程度) Gunnダイオード IMPATTダイオード ショットキー バリアダイオード 偏光方向:鉛直方向 (検出器:室温動 電線試料 作&電源不要) [ [PCT/JP patent pending (2012), ( ) PCT/JP2012/072139]] 0 0mm 実験方法 断線箇所 雰囲気: 室温 大気中 5 検出電圧(V) 反射イメージング像の作製 測定条件 1 1mm 05 0.5mm 断 線 箇 所 一定間隔で試料を回転・移動させながら各位置にて反射強度測定 回転角度ステップ:3.6° 長手方向ステップ:0.2mm 長手方向測定範囲:10mm 断線箇所 回転角度(deg.) 長手方向位置(mm) ミラー 1.5mm 2mm 結論 断線は、被覆を被ったまま、1mm以下程度まで検出可能 素線写真 回転角度(°) 0 SIMSによる腐食成分分析 小 清浄表面試料 長手方向位置(mm) 絶縁被覆電線の内部素線 腐蝕度の非破壊判定 銅素線 107 大 素線表面写真 *SIMS: Secondary Ion Mass Spectroscopy 二次イオン質量分析計 0.8 0.6 0.6 0.4 0.4 0.0 清浄表面試料 0 50 100 150 200 250 300 350 1.0 CuO 急激な低下 106 Cu 金属/酸化膜 界面 105 0.0 1.0 1.5 2.0 2.5 Depth (m) 深さ(μm) 3.0 小腐食表面試料 反射強度(ステンレス比) 0.90 0 90 0.90 0.80 0.8 0.80 0.70 0.70 0.60 0.6 0.60 0.50 0.4 0.50 0.40 0.2 0.40 0.30 0.30 0.20 0.0 0.5 50 100 150 200 250 300 350 0.2 0.0 長手方向位置(mm) Secondary ion y yield 二次イオン強度 大腐食表面 試料 0.8 0.2 O 小腐食表面 腐食度 試料 回転角度(°) 50 100 150 200 250 300 350 0 1.0 1.0 0.20 大腐食表面試料 3.5 テラヘルツ反射強度の銅素線腐蝕程度測定結果 腐蝕度の進行とともに、反射強度が低下する⇒腐蝕程度の定量検査が可能 銅素線表面付近のSIMS分析プロファイル 幾何光学計算による断線素線からの反射強度変化 絶縁被覆電線の内部素線 腐蝕度の非破壊判定 • 計算モデル 平均反射強度(ステンレス比) 0.90 0.85 断線長さ(0〜3mm) 直方体断線素線モデル 清浄 2.4mm 0.80 0.75 • 計算方法 小腐食 0.70 0.60 大腐食 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 長手方向位置 (mm) 断線部への入射 入射波を多数の波の集合と考え、各入射波要素について それぞれ幾何光学的に反射波が検出されるかを計算 (断線部の側面、下面の素線による反射率は1と仮定) (断線部の側面 下面の素線による反射率は1と仮定) 0.65 0.55 入射波中心は 常に素線中央線上 2.4mm 検出される入射波要素の反射強度を足し合わせ により、その時の入射波の反射強度を計算 1.0 照射位置を長手方向に移動させ、各位置で計算を行う 内部銅素線の腐蝕程度による、テラヘルツ反射強度の変化。 絶縁被覆付の状態で測定された。 腐蝕の進行とともに、テラヘルツ反射強度が減少する ⇒腐蝕度の定量評価が可能。 検出 非検出 • 計算条件 入射角20°、 ガウス分布ビーム強度( ∝exp(-x2) ) 平行ビーム、 入射波 測定範囲 ビーム端が断線部にあたる位置から長手方向に10mm 10 非断線部での反射強度を1として規格化 Reflection intensity (a.u.) 断線が大きいほど低反射強度部分が広がる 中間強度 0.4 0.2 完全断線部強度 0 両対数 プロット 0mm 1mm 1.5mm 2mm 2.5mm 3mm 2 4 6 8 Longitudinal position (mm) 完全に断線部にのみ照射 断線サイズに対して十分に集光 0.2 0 両対数 プロット 1 3 1mm以上の断線の定量的検出可能性 2 4 6 8 Longitudinal position (mm) 10 設定した 断線の大きさ 両対数プロット 2mm以上の断線:傾き1.0 4 3 2mm以上の断線については 定量的検出の可能性 1.0 60GHzの実験結果では、3mm程度の 断線からは検出可能 2 2 3 4 5 Disconnection size (mm) Disconnection size (mm) 実験結果においても、140GHzでは1mm以上の断線を検出可能であった 完全断線部強度 同様の特徴 中間強度以下として 仮定した断線の大きさ 5 1mm以上の断線に対して 設定した断線の大きさに対して1乗に比例 1.0 中間強度 0mm 1mm 1.5mm 2mm 2.5mm 3mm 4mm 5mm 0.4 0.0 計算結果による断線の大きさと仮定 2 0.6 非断線部(断線0mmでの強度=1.0)と完全断 線部(最低強度)との中間強度以下の範囲 2 1 断線が大きいほど低反射強度部分が広がる 10 Power law fit 3 断線2mm以上の計算結果→ 最低強度が横ばい 断線部で反射強度の低下 0.8 Expected disconnection size (mm) 0.6 00 0.0 1.0 断線部で反射強度の低下 0.8 Expected disconnection size (mm) Reflection Intensity (a.u.) 1.0 11 実験において、集光が十分になさ れていなかった可能性 12 外部発表 結論 絶縁被覆電線(外ケーブル構造の模擬供試体)の内部素線状態 0.5mm~1mm以下のクラック断線検出可能 腐蝕状態を定量的に把握することが可能 クラック・断線検出シミュレーション:幾何光学的シミュレーションにて、 反射測定結果をシミュレート 【論文2件】 テラヘルツ波の非破壊検査応用. [日本工業出版 検査技術,18(5), (2013), 1‐5] 高橋星也、小山裕 Observation of damage in insulated copper cables by THz imaging. [NDT&E International,61,(2014),75‐79] Seiya Takahashi, Tomoyuki Hamano, Kaori Nakajima, Tadao Tanabe, Yutaka Oyama, 10.1016/j.ndteint.2013.10.004 【学会発表4件】 第74回応用物理学会秋季大会 同志社大学京田辺キャンパス 2013.9.16~9.20 テラヘルツ方式による絶縁被覆電線の素線断線可視可技術 ポスタ ポスター 中村悠太、高橋星也、小山裕 第153回日本金属学会 金沢大学角間キャンパス 2013.9.17 テラヘルツ波方式による絶縁被覆電線の素線断線可視化技術 ポスター 高橋星也、中村悠太、小山裕、田邉匡生、浜野智之、中嶋かおり 第68回応用物理学会東北支部会 山形大学工学部キャンパス 2013.12.5~12.6 テラヘルツ波方式による絶縁被覆電線の素線断線可視化技術 Oral 高橋星也、中村悠太、田邊匡生、前田健作、浜野智之、中嶋かおり、小山裕 電子情報通信学会・電子デバイス研究会 東北大学電気通信研究所 2013.12.16~2013.12.17 テラヘルツ波方式による絶縁被覆電線の素線断線可視化技術 Oral 高橋星也、中村悠太、田邊匡生、前田健作、中嶋かおり、浜野智之、小山裕
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