メッセージ - 日本映画放送株式会社

メッセージ
FA C T BOOK
「成長の10年から成熟の10年へ」
常務取締役 酒井 彰
「日本映画専門チャンネル」のBS放送開始と
「時代劇専門チャンネル」のHD化
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日本映画専門チャンネルは2012年3月からBSでの放送を開始しました。
テレビ放送のメインカルチャーである地上波・BSと肩を並べ、そのような放送を見なれた視聴者に
アピールして有料放送に入っていただく、
そんなステージに進出したのです。
これまで通り専門チャンネルであるという強みを活かして日本映画ファンの期待に応えるのはもちろ
んですが、
より多くの人々に日本映画の魅力を伝え、専門チャンネルの面白さを知っていただかなけ
ればなりません。
まさに、私たちが掲げる
「成熟したチャンネルになる」
という目標に向かっての第一
歩が始まったわけです。
一方「時代劇専門チャンネル」は、同年7月より、念願の110度CS放送での完全HD化を実現しまし
※2
た。
2011年7月のアナログ停波によって、地上波、BS、CS110度の三つの放送を1台で視聴できるデ
ジタルテレビが日本のほぼ全世帯に普及しました。※3そして、地上波はもとよりBS放送もすべてが
HD放送に切り替わっています。その同じテレビで「時代劇専門チャンネル」
を視聴していただくため
には、110度CS衛星放送においてHD放送を実現することがどうしても必要でした。
時代劇は、
スポーツ番組等からみれば比較的にHD放送としての優先度が低いとされ、
また、制作年
度の古い作品が多いためHD化が困難と考えられてきました。私たちは、時代劇の制作者とともに古
い作品のフィルムを探し、それを丁寧にHDテレシネ※4する作業を続けています。そして、その際に、
フィルムの変色やキズ、
ゴミなども取り除くため、
その作品は公開(放送)
当時の美しい映像を取り戻
します。
このような作業は実は当社の放送のためだけでなく、作品の保存のために重要な意味を持っ
ています。
いま、作品をHD化しておかないと、その作品はフィルムの劣化とともに永遠に失われてし
まいかねないからです。時代劇専門チャンネルのHD化は、単にひとつのチャンネルのHD化にとどま
らず、時代劇 という映像文化にとっても大きな出来事であるのです。
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衛星放送には、大きく分けてCS放送とBS放送の2つがあり、
CSはCommunication Satelliteの略で
「通信衛星」
を使用、
BSはBroadcating
Satelliteの略で
「放送衛星」
を使用して放送。
CS放送の
「スカパー! /スカパー!HD」
は、東経124度と128度に静止する2機の通信衛星を使用
している。地上波放送が、地上の送信所や中継局を使って電波を送るのに対して、衛星放送は、赤道上空3万6000kmに静止した人工衛星から直
接各家庭へ電波を送っている。
CS放送の
「スカパー! e2」
は、東経110度に静止する通信衛星を使用している。
総務省「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査」
(平成23年3月10日発表)
より
フィルムのままではテレビで放送することはできないため、
フィルムに焼かれた映像情報をハイビジョンのビデオ信号に変換する作業。
メッセージ
FA C T BOOK
●地上波・BSと並び、
さらに上のサービスを
無料放送である民放系地上波・BSと、私たち有料放送が同じステージで〈同じ一台のデジタルテレ
ビで〉競い合うためには何が必要なのでしょうか。
ひとつは、総合編成に対する
「専門チャンネル」
という立ち位置をしっかりと固めること。
そして、有料放送ならではのサービスを充実させることです。
日本映画専門チャンネルはBS開局に際してそのチャンネルコンセプトを
「My TV,My Theater」
と
しました。
自宅のテレビが映画館になる。
それはときには最新作をいち早く上映するロードショー館であり、見
逃してしまったあの映画を上映する二番館であり、監督や俳優の特集を組んで映画ファンを引き付
ける名画座でもあります。
いま現実の街から失われつつあるそのような映画館をテレビで実現した
いと考えたのです。
そして、私たちは放送する映画一本一本を大事にします。
すべての映画を最良のHD画質で放送する
のはもちろん、
クローズドキャプション
〈字幕〉
を付与してあらゆる方々に楽しんでいただけるようにし
ます。往年の名画には作品解説を付け、
これまで以上に監督や俳優の特集を増やし、制作当時の時
代背景や監督や俳優のプロフィールを紹介するなど、
日本映画を多角的に理解し、
さらに楽しめるよ
うなチャンネルを目指しています。
また、
ツイッター等のソーシャルメディアとの連携を深め、
チャンネ
ルを中心として、
日本映画の魅力を語りあえるような場を提供していきます。
時代劇専門チャンネルはHD放送開始に伴って大きな編成変更を実施しました。
毎日放送する作品本数を倍増し、
すべての作品をHD化、
クローズドキャプション
〈字幕〉
をつけ、
シニ
アの方にも毎日、一日中楽しんでいただけるチャンネルとしてさらに進化します。
●
「専門チャンネル」
としての価値の創出
私たちは、
「日本映画専門チャンネル」
らしさ、
「時代劇専門チャンネル」
らしさを追求し、
ブランド力
を一層強化するためのさまざまな試みを始めています。
日本映画専門チャンネルは、積極的に劇場公開作品とのコラボレーションを進めています。
すでに
10本以上の映画をフジテレビ・東宝・角川映画などと共同出資して製作、映画のサブキャラクター
のスピンオフ作品(単発ドラマ)
の共同制作も手掛けました。
また、時代劇専門チャンネルは、2010年から
「オリジナル時代劇」
の制作・放送を開始し、
すでに5本
のオリジナル時代劇スペシャルを放送して好評をいただいています。今後も毎年最低2本はオリジナ
ル時代劇を制作すべく、制作体制を整えました。
ともすれば古い作品を購入して放送するだけとされ
るCS放送の枠を大きく超え、活力ある、魅力的な「専門チャンネル」になるためにはオリジナル番組
の制作がどうしても必要だと考えているからです。
さらに時代劇専門チャンネルは、毎年恒例となった
「時代劇専門チャンネルファン感謝祭」、作品の
ゆかりの地を巡るツアー企画など、放送外でもさまざまなイベントを開催しています。
また、放送の合
間に体を動かしていただこうと制作した
「時代劇体操」
やチャンネルキャラクター若(わか)
を使った
様々なオリジナルグッズの販売など、専門チャンネルとしての特性を生かした、新しい視聴者サービ
スの拡充にも努めていきます。
これまで以上に、視聴者の方々との結びつきを深めること。
お客さま満足度の向上を図ることが、私
たちのチャンネルの今後の方向性であると確信しているからです。
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