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2016 年 8 月号
Telematics News
An SBD Information Service
Uber がライバルの Didi Chuxing と合併
350 億ドルの合併取引により、米国に拠点を置く Uber、中国の
インターネット巨大企業 Baidu などの所有する Uber China は、
会社の株の 20% を所有することになります
BMW がコネクティビティ
を拡大
Porsche:Panamera で最新の
Porsche Advanced Cockpit
と InnoDrive を採用
独占インタビュー
Yesway のテレマティクス部門統括マネージャーである Allen Zhang 氏に中国のテレマ
ティクスの現状と、その利点を Yesway がどう活用しているかについてインタビューを
行いました。
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CONNECTED CAR
Audi が「自動車ヘルス」サービスの開発を目指し、デジタルヘルス分野の
インキュベーターと提携
Audi はベルリンの「Flying Health Incubator」の共同設立者となります。
Flying Health Incubator は、医療業界のデジ
タルイノベーションに取り組むスタート
アップ企業を支援するセンターです。同
センターに関与することで、Audi は新規
事業分野である「自動車ヘルス」サービ
スの開発を加速させています。このサー
ビスは、顧客の運転時の健康増進を目的
としています。Audi Fit Driver を通じて、
Audi はこの分野の革新的サービスおよび
機能のテストをすでに開始しています。
「人々の日常生活において、健康はかつ
てないほど重視されるようになっていま
す。当社は完全なコネクテッドカーに
よって、運転中も健康増進を図れる時間
と空間を作り出そうとしているのです」
と Audi AG の営業およびマーケティング部
門取締役である Dietmar Voggenreiter 氏は
話します。「デジタル化は私たちにとっ
て多くの機会を切り開いてくれますが、
自動車ヘルスはその顕著な例です」
Audi は Flying Health Incubator において、
スタートアップ企業や医療業界の意思決
定者と対話を行います。また、同イン
キュベーターと連携して、初期段階にあ
るデジタルヘルス市場の動向や技術ソ
リューション、事業モデルの特定を図り
ます。同インキュベーターは、デジタル
ヘルス分野で革新的コンセプトを掲げる
スタートアップ企業をスカウトし、複数
年にわたり支援します。Audi との連携で
は、健康をモニタリングし、Audi の進行
中開発プロジェクトに健康関連ソリュー
ションを統合するための新しいアプロー
チに重点を置いています。
Audi Fit Driver システムは、ドライバーが
車両に乗り込んだときよりもリラックス
した健康な状態で目的地に到着できるよ
うにすることを目標としていますが、結
果的に、交通安全にも貢献することにな
ります。現在は、第 1 世代コンセプト
カーで使用されています。
このコンセプトカーでは、車両のセンサ
がスマートウォッチのようなウェアラブ
ル端末と連動し、ドライバーのバイタル
サインをモニタリングします。それに応
じて Audi Fit Driver が、座席に装備のマッ
サージ機能、適切な室温調節、室内灯、
適応型インフォテイメントなどでドライ
バーを元気付けたり、リラックスさせた
り、保護したりします。今後の開発
フェーズでは、自動緊急停止機能も導入
される予定です。
Flying Health Incubator は研究から品質管理、
プロジェクト管理に至るまで、スタート
アップ企業によるデジタルビジネス戦略
の開発を支援します。この枠組みにおい
て、Audi の従業員はデジタルヘルス市場
の起業家と連携することもあります。同
インキュベーターは参加者に対し、科学
者、IT 専門家、投資家、指導者のネット
ワークとともに、ベルリンの Trauma
Hospital(Unfallkrankenhaus Berlin)内の研
究施設を提供します。
出典 : Audi
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August 2016 | Telematics News
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CONNECTED CAR
Panamera で最新の Porsche Advanced Cockpit と InnoDrive を採用
Porsche は現在の車両内装を未来向けに再定義し、新型 Panamera に採用しました。
Communication Management(PCM)シス
テムの 12.3 インチのタッチスクリーンが
装備されています。ドライバーと助手席
の同乗者は個別に、このタッチスクリー
ンに設定を適用できます。
PCM には、オンラインナビゲーション、
Porsche Connect オンライン機能、Apple
CarPlay を介したスマートフォンとの連動
機能、自然言語によるコマンドに対応す
る最新音声制御システムなどの機能が統
合されています。高性能かつ高解像度の
ディスプレイを備えた PCM は、シフトバ
イワイヤ方式ギアセレクターを装備した
センターコンソールの黒いパネルコンセ
プトにシームレスに移行します。
スマートフォンやタブレットのように直
観的でわかりやすいユーザーインター
フェースを用いた黒のパネル表面と対話
型ディスプレイは、現実に即した容易な
車両制御を可能にします。
従来のボタンとインストルメントは大幅
に減らされ、代わりにタッチセンサ式パ
ネルと個別に設定可能なディスプレイが
導入されました。これらは 最新 Porsche
Advanced Cockpit の最大の特長であり、ド
ライバーと助手席および後部座席の同乗
者に大きな利点をもたらします。
この新しい Night Vision Assistant は、危機
的状況を事前に回避するための支援シス
テムの 1 つです。これに対し、進行方向
の特に遠方を確認するのが、高度な電子
技術を採用した最新の Porsche InnoDrive で
す。同システムはアダプティブクルーズ
コントロールを含みます。前方 1.8 マイル
において最高の燃費効率を実現するため
に、ナビゲーションデータとレーダーお
よびビデオセンサからの信号に基づき、
最適な加速/減速度を計算して有効化しま
す。この処理の際、道路の曲がり角、傾
斜、制限速度は自動的に考慮されます。
通信機能および支援システムの多様性と
利便性が大幅に向上した一方で、こうし
た様々な機能をこれまで以上に容易かつ
直観的に使用および操作できるように
なっています。Porsche Advanced Cockpit
は Porsche の伝統に忠実でありながら、ア
ナログの世界をデジタルの世界に変換し
モビリティの未来を具現化します。イン
ストルメントクラスターの中央に配置さ
れたアナログのタコメーターは、過去の
Porsche スポーツカーすべてに捧げるオ
マージュです。
Porsche の経営哲学 – 未来を見据えた自動
車の具現化
新世代の運転支援システム
スポーツカーに典型的な低いシートポジ
ションから、ドライバーは車両の美しい
フェンダーとパワードームに加え、ちょ
うど視線上という人間工学に基づいた配
置の 2 つの 7 インチディスプレイを見るこ
とができます。あえてアナログインスト
ルメントのままにしたタコメーターは、
この 2 つのディスプレイの間にあります。
ドライバーと助手席の同乗者の間にある
コンソールには、次世代型 Porsche
Panamera は標準およびオプションの支援
システムを新たに多数搭載しており、運
転中の利便性を高め、操作を容易にしま
す。その 1 つが Night Vision Assistant(ナ
イトビジョンアシスタント)です。同シ
ステムは熱探知カメラを用いて、人や大
型動物を検知し、コックピットに警告を
強調表示します。
新型 Panamera は刷新された内装を最大の
特長とします。従来のボタンの多くが
タッチセンサ式パネルに置き換わり、高
解像度ディスプレイが内装にシームレス
に統合されています。高級セダンの分野
では、918 Spyder で開始した Porsche の車
両内装のデジタル化は、Panamera におい
て最新 Porsche Advanced Cockpit という形
で次の開発段階に到達しています。
センターコンソール上の新しいコント
ロールパネルはタッチセンサ式スイッチ
を備えており、様々な機能の直観的な制
御を可能にします。中央の換気口のルー
バーまで、タッチセンサ式スライダーで
電気的に調整されます。後部座席の同乗
者はオプションの 4 ゾーンの自動室温調
節システムを使用して、エアコンとイン
フォテイメントの機能を制御できます。
出典 : Porsche
SBD ジャパンではサイバー
セキュリティ業務に従事
いただけるエンジニアリング
スタッフを募集しています。
詳細は、SBD ジャパン
([email protected])
までお問合せください。
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August 2016 | Telematics News
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日本:ホンダとソフトバンクが車載人工知能を開発
ホンダとソフトバンクは、人工知能(AI)を使用してドライバーと対話し、ドライバーの好みに応じた情報提供や
提案を行うシステムを共同開発する予定です。
ホンダとソフトバンクが開発しようとし
ているクラウドベースのこの AI ソフト
ウェアは、カメラや対話から得た表情や
口調などの情報に基づきドライバーの癖
を学習し、行動を予測します。方言を話
して理解することも、頻繁に走る道路沿
いの店を薦めることもできます。
度、走行距離、ブレーキ操作のデータを
分析することで、問題を予期し、ディー
ラーでの検査の予定を自動的に入れるこ
とができます。また、ドアを遠隔でロッ
クしたり、車内にキーを残したままロッ
クしてしまったことをドライバーに警告
したりすることも可能です。
両社は、このシステムをある種のパーソ
ナルアシスタントにすることを目指して
います。同システムは、車両の位置、速
2030 年には、コネクテッドカーが道路を
走行する乗用車の大半を占め、約 7 億台
になることが予想されています。車両に
より収集される大量のデータを利用する
ために、提携する自動車メーカーと電気
通信事業者が増えています。提携を通じ
て、ホンダは人間の表情を学習し対話す
ることが可能なソフトバンクの技術を活
用し、ソフトバンクグループは自動車関
連ビジネスを拡大したい考えです。
出典 : Nikkei
日本:Aeris とソフトバンクが車両テレマティクスの分野で提携
ソフトバンクと Aeris は、Aeris IoT ソリューションプラットフォームを使用して IoT およびテレマティクスサービスを
提供するために、日本に合弁会社「株式会社 Aeris Japan」を設立しました。
Aeris IoT ソリューションプラットフォーム
は、包括的でエンドツーエンドの実証済
み主要技術セットです。企業が優れたコ
スト効率と最高レベルのセキュリティを
確保した上で、迅速に IoT ソリューション
を市場投入できるよう支援します。同プ
ラットオームを構成しているのは、
AerPort コネクティビティ管理プラット
フォーム、AerCloud アプリケーションイ
ネーブルメントプラットオーム、AerCore
IoT ネットワーク、AerVoyance IoT 分析プ
ラットフォームです。750 万台以上の端末
を管理している Aeris は、世界最大級の
IoT サービスプロバイダーであり、数百の
企業が日々、Aeris のサービスを利用して、
ミッションクリティカルな IoT 展開を強化
しています。
Aeris はソフトバンクと緊密に連携して、
日本のみならず、インド、欧州、米国な
どでもビジネスを拡大していきます。
様々な市場区分を対象とし、自動車業界
のテレマティクスなどの市場区分向けに
IoT コネクティビティプラットフォームか
ら IoT アプリミドルウェア、完全な IoT ソ
リューションまで多様なサービスを展開
します。
Aeris は自動車業界の OEM に対し、ドライ
バー、ディーラー、OEM サービスのフル
スイートのような包括的テレマティクス
ソリューションを提供します。
OEM やその他の企業に対し、ソフトバン
クと Aeris なら魅力的な価値提案を行うこ
とが可能です。私たちはソフトバンクと
密に協力することで、Aeris Japan を IoT 市
場のリーダーに成長させたいと考えてい
ます」
出典 : Aeris
Aeris Japan は東京都港区東新橋に本社を置
き、ソフトバンクと Aeris それぞれの重役
(赤堀洋氏が最高執行責任者、Raj Kanaya
氏が最高経営責任者)が経営を担います。
Aeris Japan の最高経営責任者であり、Aeris
の自動車関連部門最高マーケティング責
任者兼業務執行取締役である Raj Kanaya 氏
は、次のように言います。「Aeris Japan を
通じてソフトバンクと Aeris は連携し、日
本において急成長中の『モノのインター
ネット』およびテレマティクス市場で非
常に大きな機会をつかもうとしています。
収益性のある IoT およびテレマティクスビ
ジネスを構築しようとしている自動車
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August 2016 | Telematics News
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韓国政府が高度道路交通技術を試験運用
NXP Semiconductors は、韓国国土交通部が推進する次世代型協調高度道路交通システム(C-ITS)プロジェクトの
技術パートナーに選ばれたことを発表しました。
NXP Semiconductors は、韓国国土交通部が
推進する次世代型協調高度道路交通シス
テム(C-ITS)プロジェクトの技術パート
ナーに選ばれたことを発表しました。
eSSys に対し、車車間/路車間(V2X)通信
およびセキュリティソリューションであ
る RoadLINK V2X チップセットを提供する
ことになります。同チップセットは 2016
年 7 月から 1 年間、世宗特別自治市と大田
広域市の間の道路 87.8 km にわたって試験
運用されます。
韓国では現在、国道(平昌で開催予定の
2018 年冬季オリンピックの会場に続く主
要国道など)に様々な高度交通技術を導
入しています。NXP ソリューションを採用
した新たな C-ITS は、車車間(V2V)/路車
間(道路工事/交通標識/信号といった周辺
の高度インフラと車両間)(V2I)の情報
交換をセキュアにリアルタイムで実現す
るという点で、従来のものとは根本的に
異なります。
迅速に応答するソリューションと、V2X 対
応車両に装備されている、曲がり角の周
辺やドライバーの視線上にない障害物を
確認する機能を組み合わせることで、交
通事故を防止しながら、交通の流れを大
幅に改善し、CO2 排出量を削減すること
が可能です。韓国警察庁によると、年間
の交通事故の死亡者数は 5,000 人以上、負
傷者数は 30 万人以上に上るといいます。
渋滞により発生するコストは現在、年間
250 億ユーロです。C-ITS 計画を完全に展
開することで、全交通事故の 76% を回避
可能であろうと韓国交通研究院は見積
もっています。
「eSSys は韓国に拠点を置く車両システム
プロバイダーとして、自動車メーカーお
よび Tier1 サプライヤーに高効率、高性能
の通信モジュールを提供します」と eSSys
の最高経営責任者である Yong-beom Kim
氏は語ります。「NXP の実証済み
RoadLINK V2X チップセットをベースとし
た当社の WAVE 通信システムは、C-ITS 国
家プロジェクトで主要な役割を果たすこ
とが期待されています」
NXP の RoadLINK V2X 通信およびセキュリ
ティ技術は、自動運転車の継続的な開発
および発展と全体的な交通管理に欠かせ
ません。同技術によって、車両は速度、
位置、方向などの情報を周辺車両とワイ
ヤレスで交換できます。また、車両とイ
ンフラが局所的な制限速度、交通標識、
道路工事に関する警告、危険な道路条件
などの交通管理データや注意事項を伝達
し合うことが可能です。RoadLINK のセ
キュアエレメントはこのチップセットに
不可欠の要素であり、ドライバーのプラ
イバシーを保護し、ハッキングや不正操
作を防止します。
「国土交通部によって、当社の実績ある
RoadLINK V2X が次世代型高度道路交通シ
ステム向けチップセットに選ばれ、大変
光栄です」と NXP の自動車関連事業部門
最高技術責任者である Lars Reger 氏は話し
ます。「NXP の高度道路交通技術は、韓国
の道路における救命に大いに貢献しなが
ら、交通の流れと全体的利便性を改善で
きるでしょう。ソフトウェア定義の無線
技術に基づき、当社のハードウェアプ
ラットフォームは韓国の V2X 標準に加え、
世界中の地域ごとに設けられた標準の大
半もサポートすることが可能です」
出典 : NXP
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August 2016 | Telematics News
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HERE が車両・クラウド間データの世界標準確立を推進
クラウド型位置情報サービスプロバイダーの HERE は、車両・クラウド間データの世界標準確立に向けて大きく前進
したことを発表しました。この前進は、自動運転車の実用化に弾みをつけるものでもあります。
欧州、米国、アジアの世界的自動車メー
カーおよび地図サービス企業と数 ヶ月に
わたり議論を続けた結果、HERE は
SENSORIS という世界標準データ形式の設
計を ERTICO – ITS Europe に提出しました。
ERTICO は欧州の ITS(高度道路交通システ
ム)を推進する官民連携組織であり、
Innovation Platform の取り組みとして
SENSORIS を自動車業界全体で幅広く使用
可能な標準インターフェース仕様に進化
させていくことに同意しています。
ERTICO が統括する SENSORIS Innovation
Platform には、現在までに 10 社を超える
主要な自動車メーカーおよびサプライ
ヤー(AISIN AW、Robert Bosch、
Continental、Daimler、Elektrobit、HARMAN、
HERE、NavInfo、PIONEER、TomTom など)
が参加しています。参加組織は、今後数
週間で増える見込みです。
HERE は 2015 年 6 月に、コネクテッドカー
が収集する車両センサデータを処理およ
び分析するためにクラウドに送信する方
法を定義した最初のオープン仕様として
SENSORIS を発表しました。現在、車両セ
ンサデータは自動車メーカーによって異
なる様々な形式で存在しています。
「当社は常に、世界中のどこでも利用で
きる、このオープンな仕様の拠り所を探
そうとしてきました。これは道路の安全
性を高める情報共有ネットワークの構築
に向けた重要な一歩です」と HERE の自動
運転車向け製品管理責任者である Dietmar
Rabel 氏は言います。「次の角を曲がった
ところで障害物があったために車両がブ
レーキをかけた場合に、その情報を後方
車両のドライバーに送り、前もって速度
を落とすよう伝えることができれば、よ
り円滑で効率的な運転が実現し、交通事
故の危険が減ります。ただしそれが可能
なのは、すべての車両が同じ言語を話し
て理解できる場合に限るのです」
ERTICO の最高経営責任者である Hermann
Meyer 氏は次のように述べています。「車
載センサと専用クラウド間、さらにはク
ラウド間の情報交換用に標準インター
フェースを定義することで、車両センサ
データの幅広いアクセス、提供、処理が
可能になります。関係するすべての車両
やクラウド間における車両センサデータ
の交換が容易になります。そして、モビ
リティサービスと自動運転の鍵である位
置ベースサービスが向上します」
できます。将来的には、重要な高精度の
リアルタイム地図サービスによって自動
運転車を強化できる可能性があります」
と ABI Research の B2B 担当業務執行取締役
兼バイスプレジデントである Dominique
Bonte 氏は説明します。
ERTICO – ITS Europe は長年にわたり、未来
の自動車および交通技術に関連する多く
の世界標準の開発を監督してきた実績を
誇ります。中でも、地図が車両の先進運
転支援システムと接続およびやり取りす
る方法を定義するフォーラム「ADASIS
(先進運転支援システムインターフェー
ス仕様)」は有名です。ADASIS は、HERE
が 1999 年に特許を取得した「Electronic
Horizon」という技術から生まれました。
同技術によって車両は、地図に含まれて
いる道路の特徴(傾斜、カーブ、交通標
識、車線情報など)に応じてクルーズコ
ントロールを調整したり燃費効率を改善
したりできます。
出典 : HERE
「標準インターフェースを介した車両
データ交換によって、クラウドソーシン
グの枠組みが分断化された自動車業界の
エコシステム全体に広がります。この結
果、短期的には、コネクティビティとセ
ンサデータの相乗効果を活用してスマー
トモビリティサービス(交通状況、天気、
駐車場などのリアルタイム情報)を提供
何百万台もの車両から収集した類似の車
両データを蓄積することは、高度な完全
自動運転実現の鍵を握ると HERE は考えて
います。データ集積によって、各車両に
道路の条件や危険性をほぼリアルタイム
で伝え、運転時のよりよい判断につなげ
ることができるためです。現実世界にお
ける変化(様々な国の道路における変化
など)を発生と同時に検知し、その変化
に対応するためには、産業規模の高品質
なクラウド型位置情報技術が必要ですが、
この技術の開発に HERE は取り組んでいま
す。同位置情報プラットフォームで将来
処理することになる大量の新しい車両セ
ンサデータが発生する前に、プラット
フォームの整備を完了したい考えです。
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August 2016 | Telematics News
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Ford が Android Auto と CarPlay を 2017 年モデルに搭載
Ford は、Apple CarPlay および Android Auto との互換性を備えた SYNC 3 コネクティビティプラットフォームを、米国で
販売する 2017 年モデルの乗用車から SUV、軽トラック、電気自動車まで全車両に搭載します。
個々の車両ではなくラインナップ向けに
技術を開発するというプラットフォーム
中心型アプローチを採用している Ford は、
SYNC 3 plus Apple CarPlay/Android Auto を迅
速に発表することができました。今後は
Wi-Fi 経由の OTA(Over-The-Air)アップ
デートを通じて、常に最新技術を利用す
ることが可能になります。
「当社では SYNC 3 という 1 つのプラット
フォームを開発し、ラインナップ全体に
迅速に展開することができました」と
Ford の電気/電子システムエンジニアリン
グ担当グローバルディレクターである
Chuck Gray 氏は話します。「2017 年モデ
ルの Ford 車両は乗用車から SUV、軽ト
ラック、電気自動車まですべて SYNC 3 を
搭載しているので、新車の購入を検討し
ている顧客は、どの車両を選択しても、
お気に入りのアプリを利用できます」。
Escape、Fusion、Mustang、Explorer といっ
た人気車種の 2017 年モデルは、すでに
ディーラーで販売されています。F-150、
Focus、Edge、最新 2017 Super Duty は年内
に販売開始される予定です。
「SYNC 3 は機能、簡易性、ユーザーエク
スペリエンスの点で、すでに大躍進を遂
げています。全最新モデルを『スマート
フォン対応』にするという Ford の約束に
は、非常に大きな意義があります」と SBD
の北米ビジネス部門取締役で、自動車技
術のスペシャリストである Jeffrey Hannah
は述べています。「Ford が今回取るアプ
ローチは、Apple CarPlay と Google Android
Auto をごく少数のモデルに導入するだけ、
あるいは高級車限定の高額オプションと
して提供するというような、自動車業界
で従来見られたアプローチではありませ
ん」
「購入しようとしている車両がこれらの
プラットフォームに対応しているかどう
か、顧客はもう当て推量する必要はあり
ません。SYNC 3 を搭載した 2017 年モデル
の Ford 車両を購入すれば、いずれの革新
的技術も自動的に手に入れて、直ちに利
用できるのです」
(AAA)会員サービスが SYNC AppLink を介
して追加されています。
iPhone 5 以降のモデルに対応している
CarPlay では、iPhone インターフェースを
車両のタッチスクリーンで簡単に使用で
き、ユーザーは Siri 音声制御機能や、
Apple マップ、Apple ミュージック、電話、
メッセージの他、様々な第三者アプリに
アクセスできます。
Android Auto は Android 5.0 以降搭載の端末
で利用でき、CarPlay の場合と同様に
Google Maps やミュージックアプリに車両
のスクリーンからアクセスできます。音
声制御機能で通話やメッセージ送信も可
能です。
便利で使いやすいモビリティソリュー
ションを提供するための Ford の取り組み
の一環として、SYNC 3 は最新ハードウェ
アおよびソフトウェアを備えており、よ
り迅速かつ直観的な操作が可能です。ま
た、強化された対話型音声認識機能に
よって、容易にスマートフォンと接続し
たり、多様な機能(ハンズフリー通話、
ナビゲーションなど)にアクセスしたり
できます。
Spotify、Pandora、Ford PASS、AccuWeather
のようなアプリや、米国自動車協会
出典 : Ford
Jaguar Land Rover が「Connected Future」を創造するためのデベロッパー
向けコンテストを主催
Jaguar Land Rover と M&C Saatchi innovation は 7 月 22-24 日に英国の Coventry Transport Museum で、「Connected
Future(インターネットでつながった未来)」を作るためのデベロッパー向けコンテストを開催します。
車両はインターネットに接続された他の
端末と同様、今やモノのインターネット
の一部です。このコンテストで参加者は、
車両を A 地点から B 地点までの単なる移
動手段として捉えるのではなく、イン
ターネットに接続された生活や、より広
範な技術エコシステムの一部にする方法
を考える必要があります。
Jaguar Land Rover(JLR)が「Connected
Future」をどのように活用すれば、人々の
車内外の暮らしにプラスの影響をもたら
すことができるのかがコンテストの焦点
となっています。
開発、設計、ユーザーエクスペリエンス、
クリエイティブな作業、ビジネス、ある
いは自動車業界の未来の形成など、関心
の対象を問わず、様々なデベロッパーの
参加を JLR は期待しています。賞金は総額
10,000 ポンド(現金)約 136 万円、賞品
は JLR 製品です。
詳細はコンテスト専用 Web サイトに掲載
されています。
www.jaguarlandrover.com/devchallenge
出典 : JLR
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Smart 車両が Deutsche Post の宅配ボックスに
Daimier の Smart 車両が今年、Deutsche Post のドイツ国内における DHL 宅配業務で使用する宅配ボックスになります。
は、コネクテッドカーの活用に向けたテストの一環であり、郵便/宅配業界と自動車業界が連携して取り組むテストと
最大規模となります。
います。また、各都市で数百人の顧客が
テストに参加するということです。
「私たちは、都会の生活をもっと楽にす
るためのサービスを他にも多数計画して
いるところです」と Smart 部門責任者であ
る Annette Winkler 氏は声明の中で述べて
います。
Daimler の本社があるシュトゥットガルト
で 9 月から、Smart モデルの所有者は DHL
に対し、止めている車両のトランクに荷
物を配達するよう依頼することができま
す。このサービスは、10 月以降、ケルン
やベルリンなど 7 都市で展開される予定
です。
Daimler は月曜日の声明の中で、「Smart
Ready to Drop」と呼ばれるこのプロジェク
トについて語っています。それによると、
同プロジェクトは通常車両の所有者を対
象とし、ドイツでの荷物を車内に配達す
るテストとしては過去最大級になるとい
商品を配達した際に受取人が不在であっ
た場合、受取人が商品をすぐに手にでき
ずに不便を感じるだけでなく、欧州最大
級の郵便/宅配業者である Deutsche Post の
ような業者にとっては再配達によるコス
ト増が生じ、利益が減ることになります。
車両を宅配ボックス代わりに利用すると
いう類似のテストが昨年スウェーデンで、
DHL、Amazon、Audi、および Volvo により
共同で実施されました。Amazon は商品を
顧客に届けるためのドローンを開発中で
す。ドイツの小売業者である Metro は自
動運転配達車のテストに参加しています。
されるコネクティビティボックス探知機
を備えたモデルで利用可能になります。
顧客はモバイルアプリを使用して、受取
人の住所付近に止められている車両を荷
物の届け先に指定し、その情報を提供し
ます。DHL の宅配担当者は一意のコードを
使用して、指定された時間帯に 1 度だけ
車両のトランクを開け、商品を入れたり、
返品商品を回収したりできます。
E コマースが主な推進要因となり、取り扱
う荷物の量が 2020 年までに年間平均 5-7%
増加すると DHL は予測しています。米国
を拠点とする競争企業の United Parcel
Service は従来、法人顧客間の荷物の配送
に重点を置いていましたが、現在では、
宅配物が 2019 年までに全体の配送物の半
数を超えると見込んでいます。
出典 : Automotive News Europe
Smart Ready to Drop は、9 月から標準搭載
PSA グループが Autobutler の株式を取得
PSA は、この新たな事業の株式を取得することで、特に金額に見合った最高の価値を求める「賢い買い物客」向けの
ランドアフターマーケットサービスを強化します。
さらに PSA は、独自のネットワークで事
業を開発し、顧客基盤を拡大し、新しい
独立系自動車修理工場を引き付け、デジ
タルアフターマーケットサービスの専門
性を高めることができます。
2 つの目標を設定しています。1 つは、自
動車メーカーの基準になることで、もう 1
つは、モビリティサービスに関し顧客か
ら一番に選ばれるサプライヤーになるこ
とです。
2010 年に発表された Autobutler オンライ
ンプラットフォームを通じ、これまでに
欧州 4 ヶ国で 30 万人近くの顧客が車両の
修理/整備オンライン見積もりサービスを
利用してきました。同サービスは、ユー
ザーが車両のモデル、位置情報、依頼し
たい作業を入力すると、自宅付近の 3 軒
の修理工場から割引情報と見積もりが届
く仕組みです。
PSA グループの最高財務責任者である
Jean-Baptiste de Chatillon 氏は、今回の取引
について次のようにコメントしています。
「この投資は、当グループの『Push to
Pass』戦略に即したものです。既存の枠組
みを一新し、事業を調整する上で役立つ
でしょう。その結果、顧客のニーズにさ
らに適切に応え、幅広いモビリティ関連
サービスを提供し、新しい成長市場を利
用できるようになるはずです」
この種のサービスを提供することで、車
両を修理工場に預ける前にインターネッ
トで料金やサービスを比較するように
なってきている顧客の新たなニーズに応
えることができます。PSA は今回の投資を
利用し、この事業を新しい国にも展開す
る狙いです。
その「Push to Pass」戦略において、PSA は
Autobutler の共同設立者である Peter Zigler
氏と Christian Legêne 氏は次のように話し
ます。「自動車業界の将来の鍵を握るの
はデジタルです。車両所有者は評判のい
い修理工場を探すためにデジタル技術を
駆使するということを、私たちは過去 6
年間で証明してきました。この提携関係
では、PSA のデジタル化への取り組みと
『Push to Pass』戦略によって、優れた相
乗効果が生まれるはずです。また、
Autobutler が最高の透明性と信頼性を備え
た修理工場関連オンラインサービスを提
供するプラットフォームとして欧州ナン
バーワンを目指す上で、両社の関係は追
い風となるでしょう」。
出典 : PSA
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August 2016 | Telematics News
| 8
Telematics News
An SBD Information Service
CONNECTED CAR
BMW がコネクティビティを拡大
BMW は BMW ConnectedDrive を介して多数の先駆的サービスを自社車両に提供します。
このサービスは、高度なコネクティビ
ティを使用して運転をさらに楽しく安全
なものにします。サービスの提供を支え
るのは、埋め込み型 SIM カードとつな
がっている強力なモバイルネットワーク
です。Deutsche Telekom と連携し、BMW
は今月、高速通信規格 LTE、Wi-Fi ホット
スポット、最新 eSIM を使用するソリュー
ションを導入しました。
Wi-Fi ホットスポット、LTE、eSIM
デルでも利用可能になっています。
SmartHome アプリが BMW 車両とインテ
リジェントホームを接続
eCall がオートバイでも利用可能に
BMW Motorrad は、LTE モバイルモジュー
ルをオートバイに提供することを計画し
ています。このモジュールは、移動中の
安全性を高めることを最優先に設計され
ています。将来的には、BMW Motorrad
ConnectedRide プロジェクトの下、オート
バイやスクーターの中央ディスプレイを
介し、コネクテッドサービスの提供も可
能になるでしょう。これにより、運転に
関連したデータをオートバイにとって最
も効果的な方法で表示できます。必要な
コネクティビティ技術は、Deutsche
Telekom との提携を通じて共同開発されて
いるところです。今後は、渋滞の最後尾
を早めに知らせる警告など、安全に関す
る情報をナビゲーションシステムに表示
できるようになる可能性もあります。
BMW は超高速インターネットサーフィン
を実現するために車載 Wi-Fi ホットスポッ
トを使用しています。このホットスポッ
トは車内で最大 10 台の端末に対し、パス
ワードで保護された高速インターネット
接続を可能にします。その結果、同乗者
もインターネットサービスを快適に利用
でき、端末で固有の SIM カードが必要に
なることはありません。BMW
ConnectedDrive ユーザーは、Deutsche
Telekom の HotSpot Drive ポータルから直接、 BMW Motorrad は 2017 年から、eCall シス
Wi-Fi ホットスポットへのデータ接続を注
テム(インテリジェント緊急通報システ
文できます。高速 LTE 接続は新しい eSIM
ム)の提供を開始します。BMW の乗用車
を使用して車内で確立されます。従来の
に搭載の eCall と同様、交通事故発生時に
SIM カードとは異なり、eSIM は必要に応
は救急隊にとって重要なデータが BMW
じて再構成が可能であり、交換は不要で
コールセンターに送信され、必要な対応
す。Wi-Fi ホットスポットを初めて搭載し
が開始されます。これに加え、ライダー
た BMW 車両は、2015 年 10 月に販売開始
と音声でつながることで、さらに詳細な
された最新 BMW 7 Series でした。以来、
重要情報をその場ですぐにやり取りでき
2016 年 7 月までに、他の多くの BMW モ
ます。
Deutsche Telekom の SmartHome アプリを
使用すると、スマートフォンで自宅の機
能を制御できます。このアプリは、2015
年から BMW ConnectedDrive のサービスと
して提供が開始されており、Deutsche
Telekom と BMW が連携し、自宅の照明や
室温などの調整を可能にしたものです。
ドライバーは帰宅前、運転中に自宅の照
明をつけたり、室温を設定したりできる
のです。
BMW ConnectedDrive を介して第三者アプ
リを統合することで、自宅設備の制御機
能を BMW 車両の OS にも統合できます。
これによりユーザーのスマートフォンに
保存されているコンテンツをコントロー
ルディスプレイで表示できるだけでなく、
iDrive コントローラーを使用して、すべて
の機能を直観的、快適かつ安全に制御す
ることも可能です。
出典 : BMW Group
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August 2016 | Telematics News
| 9
Telematics News
An SBD Information Service
CONNECTED CAR
英国政府は EU 離脱の投票結果が出た後も eCall 搭載に向けた取り組みを
継続する模様
英国の EU 離脱が交通安全にもたらす影響に多くの人が注目しています。
Parliamentary Advisory Council for Transport
Safety(PACTS、英国議会交通安全諮問委
員会)は英国運輸省に声明を出すよう要
請したものの、当然のことながら、職員
は内閣改造期間中に声明を出すことはで
きません。また、政府は離脱交渉におけ
•
る立場を検討し始めています。そこで、
PACTS が職員に状況を問い合わせたところ、
•
彼らは個人レベルでは非常に協力的に質
問に答えてくれました。
委員会、OECD、ETSC などに提供し、
EU から除外されない限り、European
Statistics System(欧州統計システム)
および CARE データベースに属する
可能性は十分あるように、英国は EU レベ
ルで見解を述べる機会が減った場合、
ジュネーブの UNECE レベルの活動に積極
的に参加することになるでしょう。
英国法の下で認められる場合に限り、
国境を超えた施行指令に引き続き従う
職員は、英国は EU に残留するため、それ
に基づき職務を継続すべきであると明白
に伝えられていました。主に貿易と単一
市場の問題で少数の職員が EU 離脱派に回
りましたが、この時点で立場を変えた職
員はほとんどいないようでした。
•
英国政府による EuroNCAP への情報提
供には影響なし(EuroNCAP は EU の組
織ではないため)
SBD ではデータ保護および政府の規制に関
する課題や、それらによる欧州、ロシア、
中国市場のコネクテッドカーへの影響な
どを詳細に分析したレポート 「コネク
テッドカーガイド - 法規制編」
(CON528)を四半期ごとに発行していま
す。詳細は SBD ジャパンまでお問合せく
ださい。
E-mail : [email protected]
Tel : 052-253-6201
•
英国が EU の規制に反する車両標準を
採用する可能性はない
中期的には、運輸省は次の立場を取るよ
うです。
車両標準(安全規制、型式承認など)に
関する EU の議論に英国政府が参加するど
うかは、EU 離脱に関連して交渉された条
件による
•
英国は交通安全データを引き続き欧州
eCall の搭載は現在進行中であり、今後
2 年以内に完了する
出典 : PACTS
コネクテッドカーのハッキングテストシミュレーターを開発中
コネクテッドカー/自動運転車のテスト用に特別に設計された 210 万ポンド(約 2 億8,500 万円)の新しい運転
シミュレーターを使用し、ウォーリック大学の科学者を中心に、車両ハッキング対策の研究を行うことになりました。
外部からの無線信号を遮断するために
ファラデーケージを採用したこのシミュ
レーターは、セキュリティ上の脆弱性を
安全な方法で発見し、悪用を試みるため
に利用できます。
「私たちはシミュレーションループに攻
撃者を組み込んだ研究をするつもりで
す」とウォーリック大学の Warwick
Manufacturing Group(WMG)でサイバー
セキュリティ研究責任者を務める Carsten
Maple 教授は言います。「インフラとされ
る信号を使用して、可能な限り現実に近
い環境を設定し、車両がその信号に接続
しようとしたときに何が起こるのかを確
かめます。ソフトウェア定義の無線シス
テムは非常に簡単に設定でき、例えば携
帯電話基地局を装い、何が起こるのかを
確かめることができます」
Maple 教授は、悪名高い「Jeep 車両のハッ
キング」事例について、Cherokee の遠隔
制御が可能であったものの、実際にはモ
バイルネットワークのセキュリティ上の
欠陥が原因であったとすぐに指摘しまし
た。しかし、現代の車両の複雑なデータ
システムは悪用される可能性が高いと警
告します。「攻撃者は DAB やモバイル
ネットワークを介して車両に侵入してい
ます。スマートフォン上のマルウェアや、
車両の埋め込み型 SIM を介して侵入する
ことも可能かもしれません。こうした危
険に対処できるよう、策を練る必要があ
ります」
か確かめるテストも行います。「歩行者、
犬、サイクリストをシミュレーションに
組み込み、様々な動きをしてもらい、車
両とドライバーの反応を調査します」と
主席エンジニアである Gunwant Dhadyalla
氏は説明します。
同教授は、「ランサムウェア」(車両シ
ステムを暗号化し、回復することと交換
条件に「身代金」を要求しようとする不
正プログラム)が大きな脅威になる可能
性があると考えています。「ランサム
ウェアとしてはすでに Cryptolocker が登場
しています。これは、コンピューターの
ハードドライブをロックし、身代金を支
払わない限りロックを解除しないという
ものです。もちろん、お金は支払わない
でくださいね。しかし、車両や、車両に
接続しているスマートフォンにマルウェ
アが侵入し、事実上 ECU をロックしてエ
ンジンをかけられないようにしてしまう
というシナリオはあり得ると思います」
WMG シミュレーターは、ほとんどの車両
に対応するよう設計されています。曲面
スクリーンの直径は 8 m あるため、
「Range Rover を映すこともできます」と
同氏は言います。スクリーンが大型なの
で、かなりの計算能力が必要となります。
40 テラフロップスの処理能力を発揮する
20 コア搭載 PC で、8 台の 高解像度プロ
ジェクターを稼働させます。このような
処理能力の高さは、シミュレーターが現
実的な処理モデルとしては設計されてい
ないことを示します。ただし、加速、ブ
レーキ操作、コーナリングのシミュレー
ションをするために、油圧アクチュエー
タが Evoque(開発段階の旧ミュール
カー)を動かします。
WMG シミュレーターで反応をテスト
ハッキング対策の検討に加え、WMG シ
ミュレーターでは車両とドライバーが想
定内と想定外の出来事にどう反応するの
出典 : Autocar
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August 2016 | Telematics News
| 10
Telematics News
An SBD Information Service
CONNECTED CAR
Volkswagen と LG がコネクテッドカープラットフォームの共同開発に同意
Volkswagen グループと LG Electronics は次世代型コネクテッドカーサービスプラットフォームの共同研究開発に関する
署名しました。
Volkswagen グループと LG Electronics は次
世代型コネクテッドカーサービスプラッ
トフォームの共同研究開発に関する覚書
に署名しました。
両社は、Volkswagen の Cross-Over-Platform
の開発に共同で取り組んでいくことにな
ります。このプラットフォームは、車両
のコネクティビティおよび利便性の向上
を目指しています。最新のクラウド技術
を使用して、スマートホームや位置ベー
スサービスなど幅広い機能へのアクセス
を可能にすることで、ドライバーがシー
ムレスなデジタルライフを送れるように
します。
今後何年かにわたり、両社は次の作業に
注力します。
•
•
•
コネクテッドカーとスマートホームを
接続する技術の開発:ドライバーが車
内から自宅のスマートデバイス(照明、
セキュリティシステム、家電製品な
ど)を制御およびモニタリングできる
ようにします。
状況に応じた通知センターの開発:ド
ライバーに直観的かつ安全な方法で
メッセージを示し、リアルタイムで最
善の提案をできるようにします。
コネクテッドカー向けの次世代型イン
フォテイメント技術の開発
Volkswagen グループ本社で行われた覚書
の署名式には、LG Electronics から LG Cloud
Center の責任者である Richard Choi 氏、LG
Vehicle Infotainment System Research Lab の
責任者である Lee Sang-yong 氏などの重役
が出席しました。Volkswagen からは、エ
レクトロニクス/車両研究担当責任者であ
る Thomas Form 教授と車両情報システム
担当責任者である Robert Kattner 氏(いず
れもグループ研究部門に所属)が出席し
ました。
業にも選ばれました。今年開催された CES
では、両社は車内から遠隔制御が可能な
スマートホームシステムを発表し、大き
な注目を集めました。
「LG Electronics と Volkswagen は協力して、
次世代型コネクテッドカープラット
フォームを開発します。このプラット
フォームは、幅広いスマートホームサー
ビスとの統合や、オープンな IoT コネク
ティビティ技術の導入を可能にするもの
です」と Richard Choi 氏は話します。「LG
のスマート技術に関する専門知識と
Volkswagen の自動車業界におけるリー
ダーシップという強みを組み合わせるこ
とで、ドライバーが車両と対話する方法
を大改革できるでしょう」
出典 : Volkswagen
LG と Volkswagen は、今回の合意に限らず、
長年にわたり提携関係を構築してきまし
た。LG は、自動車業界との提携にいちは
やく乗り出した電子機器メーカーです。
2007 年から車両向けに AV 機器を提供し、
信頼性と技術革新によって高い評価を獲
得してきました。
2015 年 3 月のジュネーブ国際モーター
ショーでは、Volkswagen の子会社である
Italdesign Guigiaro が LG Electronics による 7
つの主要コンポーネント(ホログラ
フィックディスプレイ、コネクテッドス
マートウォッチ、テールランプ、リアカ
メラなど)を搭載した GEA コンセプト
カーを披露しました。7 月には、LG は
Volkswagen の戦略的電子機器サプライ
ヤー、さらには FAST(Future Automotive
Supply Tracks)プログラムのパートナー企
CON-511
車載スマートフォン統合ガイド
スマートフォンの車両への統合に関する最新動向
SBD のレポート「車載スマートフォン統合ガイド」では、車載スマートフォン統合市場に
おいて、現在OEM が提供中のソリューションを調査・分析し、今後スマートフォン統合導入
を検討するうえでどのような選択肢があるのかを把握できるよう全体像を示しています。
本書は PDF レポート(パートA)とエクセルデータベース(パートB)の 2 部構成で四半期
ごとに更新予定です。
本書に関するお問い合わせは下記にて承っております。
E-mail : [email protected] / Tel : 052 253 6201
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August 2016 | Telematics News
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Telematics News
An SBD Information Service
CONNECTED CAR
ドイツ政府がコネクテッドカーの研究向けに Euro80 M を開始
ドイツ連邦交通・デジタルインフラ省(BMVI)の Alexander Dobrindt 大臣は、自動運転車/コネクテッドカーの支援
プログラム「Euro 80 million」を発表しました。同プログラムは研究プロジェクト向けに 2020 年まで利用可能です。
新しい指令「Automated and networked
driving digital test fields in Germany(ドイツ
における自動運転車/コネクテッドカーの
デジタルテスト分野)」は、デジタルテ
スト分野におけるアプリケーション指向
の革新的ソリューションに的を絞った支
援となります。
結果は、自動運転車/コネクテッドカーの
実装戦略に関する BMVI の取り組みに吸収
されます。
Alexander Dobrindt 大臣は次のように語り
ます。「自動運転システムは徐々に普及
しています。自動ブレーキアシストとデ
ジタル技術は、すでに現実のものになっ
ています。5 年後には、高度に自動化され
たシステムが車両に標準搭載されるよう
になるでしょう。これにより、公道を走
行する車両をデジタル技術で操縦できま
す。私たちは車載デジタル技術に関する
成功を継続し、Mobility 4.0 の成長と成功
を活用したいと考えています。大臣とし
ての私の目標は、ドイツを自動運転車/コ
ネクテッドカーの主要サプライヤー、そ
して主要市場にすることです」
自動運転車/コネクテッドカー戦略には次
の 5 分野が含まれます。
インフラ:高性能モバイルブロードバン
ドネットワークを全国に広げることで、
車車間/路車間のリアルタイムの通信が可
能になります。
法律:ドライバーが絶えずシステムをモ
ニタリングしていなくても、自動運転車/
コネクテッドカーが自主的に運転操作を
引き継げるように、将来、法的枠組みが
必要になります。
の環境でテストするために、BMVI は自動
車業界およびデジタル経済界と連携して、
バイエルン州の A9 号線上に「デジタルテ
スト用高速道路」を設けました。
セキュリティ:業界および科学者と連携
し、ハッカーによる攻撃を防ぐために車
両向け IT セキュリティ標準を開発します。
この標準は世界中で拘束力のある規則に
変換されることになります。
データ保護:自動運転車/コネクテッド
カーのドライバーはデータの収集および
利用について通知を受け、同意をしなけ
ればなりません。
この BMVI プログラムの調整は VDI/VDE
innovation + technology GmbH が行います。
出典 : BMVI
イノベーション:イノベーションを実際
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August 2016 | Telematics News
| 12
Telematics News
An SBD Information Service
EXCLUSIVE INTERVIEW
中国のテレマティクス分野でトップであり続けるには、提携関係と多様
性が鍵
Yesway のテレマティクス部門統括マネージャーである Allen Zhang 氏が、中国のテレマティクスの現状と、その利点を
Yesway がどう活用しているかを語りました。
Allen Zhang 氏は中国初のテレマティクスプロジェクト(トヨタ G-book サービ
ス)に参加し、9 年以上にわたりコネクテッドカー分野に携わってきました。
これまでに製品設計、製品開発、プロジェクト管理、ビジネス開発といった
様々な業務に従事し、10 以上の主要プロジェクト(Audi connect、Ford Sync EA、
Acura Link、Baic EV i-link など)を主導した経験があります。
SBD: Yesway の状況と目標について聞かせ
てください。
Allen Zhang 氏(以下 AZ): Yesway は B2B
と B2C 両方のテレマティクスビジネスを
展開しており、中国の 12 の OEM、23 の
ブランド、180 以上の車両モデル、100 万
以上の車両所有者にサービスを提供して
います。最近、Porsche AG および Porsche
China と協業し、Porsche Connect でコン
シェルジェサービスを無事に開始しまし
た。現在は 2017 年に向け、次世代型サー
ビスを計画しているところです。
Yesway のビジョンは、中国の車両所有者
に対し、コネクテッドカーの実現する安
全かつ便利で、楽しく快適なモビリティ
エクスペリエンスを提供することです。
目標は、中国市場に適合させた多様なイ
ンターネットデジタルソリューションに
よって、さらに多くの車両所有者にコネ
クテッドカーの利点を楽しんでもらうと
同時に、ビジネス価値を創出することで
す。
SBD: 従来の TSP にとっては、プレッ
シャーが強まり、競争が激化していると
思われますが、Yesway はどのような対処
法を取っていますか?Yesway は OEM ビジ
ネスを新規会社として分離しましたが、
それも対処法の一環なのでしょうか?
AZ:はい。まさに今、多くの OEM や通信事
業者が TSP としての能力を社内で開発し
ています。これによって、Yesway のビジ
ネスと収益はある程度の影響を受けるで
しょう。5 年前と比較すると、課題もプ
レッシャーも増大しています。当社はそ
れを認識し、変化に対応できるよう、次
のようにビジネス戦略を調整しました。
第 1 に、様々な顧客の多様なニーズに対
応するために、幅広いソリューションを
提供すること。対象は OEM 顧客に限らず、
レンタカー会社や自動車金融会社、
ディーラーグループも含みます。
第 2 に、サービス運用能力を向上させる
こと。ほとんどの OEM と企業顧客は、多
くのサービス(データサービス、IT & 運用
サポート、コールセンターベースのサー
ビスなど)を専門の第三者サービスプロ
バイダーに外注し続けるでしょう。それ
に対応するために、Yesway は今後も運用
能力を強化し続け、競争優位性を高めて
いくつもりです。
第 3 に、ビッグデータビジネス部門を新
設すること。OE やアフターマーケットビ
ジネス活動で生成されるデータを分析し、
テレマティクスベース保険/中古車査定/ド
ライバーのリスク特性といったデータに
基づき製品を開発します。Yesway では、
データベースの付加価値テレマティクス
サービスを非常に有望視しています。そ
のため、データの収益化の研究に資金を
投じ、業界とともに成長していきたいと
考えています。
第 4 に、市場での競争の激化に応じて、
ビジネス戦略を調整すること。Yesway で
は 2014 年からアフターマーケットビジネ
スを開始しました。OE ビジネスと比べ、
アフターマーケットビジネスは柔軟性が
高く、製品およびサービスの提供サイク
ルがはるかに短いのが特長です。言い換
えれば、車両所有者のニーズに迅速に対
応できるということです。当社はこれま
でのところ中国市場で、約 10 万人のアフ
ターマーケットテレマティクスユーザー
を獲得しています。生成されるデータが
顧客のさらなる理解に役立ち、よりパー
ソナライズされたサービスの提供につな
がっています。
OE ビジネスとアフターマーケットビジネ
スを独立させておくために、当社ではこ
れら 2 部門のビジネス計画を分けて、個
別に策定しました。ただし、今後も当社
のビジネスのさらなる成長を促進してい
くために、両部門のつながりは保持し、
相乗効果が生まれるようにしています。
SBD: Yesway の TSP ビジネスの位置付けに
ついて教えてください。他社と比較して、
優位な点はどこでしょうか?
AZ: Yesway では自社をテレマティクスモビ
リティソリューションサプライヤーおよ
び自動車向けデジタルモビリティサービ
スプロバイダーとして位置付けています。
競争企業と比較した場合の優位性は 3 点
挙げられます。
第 1 に、柔軟な事業モデル。これにより、
ホワイトブランドからデュアルブランド、
Yesway ブランドまで、顧客の多様な要求
に基づきカスタマイズしたソリューショ
ン/サービスを提供できます。例えば、国
内初の Acura モデルである Acura CDX モデ
ルは、Yesway Y-Carplus ソリューションを
フル装備しています。また、一部のプロ
ジェクトでは、AutoNavi が TSP の役割を
果たし、Yesway はバックエンド CP/SP
サービスリソースの統合を担っています。
第 2 に、ワンストップかつエンドツーエ
ンドのソリューション。最近の顧客が求
めているのは、単なる IT サービスの外注
先というより、繰り返されるサービスの
中でも改善を続け、市場規模に応じて柔
軟かつアップグレード可能なソリュー
ションを提供する能力を備えたパート
ナーであると Yesway は考えています。IT
企業から進化した TSP と比べ、当社はこ
の種のフォローアップサポートを行う上
で優位な立場にあります。
第 3 に、パートナー企業との協調関係。
Yesway は他社と競争するよりも、互いの
強みを活かす関係を築いています。例え
ば、テレマティクスハードウェアの点で
は、当社とヘッドユニットの Tier1 サプラ
イヤーや T-box サプライヤーの間には暗黙
の了解があります。当社は顧客から要求
されない限り、ヘッドユニットや T-box の
ビジネスを自ら展開することはないで
しょう。バリューチェーン内のプレー
ヤーはそれぞれ独自の能力を備えており、
それに専念し、投資する必要があるとい
うのが当社の考えです。
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August 2016 | Telematics News
| 13
Telematics News
An SBD Information Service
EXCLUSIVE INTERVIEW
Yesway ではパートナーを信頼しています。
それに、1 社ですべての顧客のためにすべ
てのサービスを提供するようなビジネス
の形態は、業界の発展のためにも健全な
こととは言えません。
SBD : 中国のテレマティクスの現状と今後
の発展について、意見を聞かせてくださ
い。
AZ : 現在のところ、国内のテレマティクス
市場は立上期を終え、激動期に進んでい
ます。業界のあらゆる関係者(OEM、TSP、
アフターマーケットサプライヤーなど)
が市場競争を繰り広げています。OE 市場
の点では、TCU コストの低減が続いている
上、Beidou ナビゲーション、新エネル
ギーモニタリング政策、eCall 搭載義務化
計画を政府が支援しているため、私個人
としては、新車両のうちコネクテッド
カーが占める割合は 2019 年頃には 40% に
達すると見込んでいます。ただし、この
成長速度には、MNO 通信/データコストや
他のハードウェアコストのような様々な
要素が影響するでしょう。
ビッグデータベースのサービス/製品と、
それに関連した新規事業モデルも生まれ
ることが考えられます。
SBD: Yesway Y-Connect 製品間の関係を教
えてください。製品を発表する際、どの
ようなことを考慮していますか?また、
この製品はどのような顧客を対象として
いるのでしょうか?
AZ: Y-Connect は当社のコネクテッドソ
リューションを総称するブランド名です。
その下に、様々な顧客セグメントを対象
とする多数のサブブランドがあります。
•
•
•
これに加え、今後は 4G が主流になり、5G
のテストが OEM の合弁会社により開始さ
れるでしょう。V2X とコネクテッドカーは
統合され、テレマティクスサービスの使
用事例が新たに増えるはずです。また、
•
Y-Carstore と統合可能です。
•
Y-CarLink:スマートフォン統合ソリュー
ション。様々な接続技術(USB、Wi-Fi、
Bluetooth など)に対応しています。
•
Y-CRM:ディーラー向け CRM/マーケ
ティングソリューション
•
Y-CCC (Y-Call Center Client):コールセン
ターベースソリューション
•
i-Yesway: 顧客との重要なタッチポイン
ト。アプリ版とポータル版があり、iOS、
Android、HTML5 に対応しています。
Y-Could:クラウドベースサービスプ
ラットフォーム。当社のソリューショ
ンはすべて、このプラットフォームを
基盤としています。
先に述べたように、様々なソリューショ
ンを揃えていることで、様々なタイプの
顧客のニーズに応えることができます。
こうした多様なコネクテッドサービスを
Y-EVCould: EV 向けプラットフォーム。
展開している目的はただ 1 つ、コネク
政府のデータモニタリング要件に準拠
テッドカーが実現するコネクテッドライ
しており、EV 固有のサービスを追加で フを届けることです。当社では Y-Connect
提供します。
を出発点として、よりパーソナライズさ
れたソリューションを顧客に提供してい
Y-Carstore:車載アプリ/サービスストア。 きたいと考えています。
サービス申し込み、Wi-Fi データ購入に
も対応しています。
出典 : SBD
Y-Carplus: OS 非依存型(WinCE、
Android、Linux、QNX)ソリューション。
出典 : Yesway
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August 2016 | Telematics News
| 14
Telematics News
An SBD Information Service
CYBER SECURITY
HARMAN が Auto-ISAC に参加
自動車、消費者、企業市場向けコネクテッド技術の大手プロバイダーである HARMAN International Industries は
Information Sharing and Analysis Center(Auto-ISAC、自動車情報共有分析センター)に加わりました。
Auto-ISAC は、コネクテッドカーのサイ
バーセキュリティ上の脅威と潜在的脆弱
性に関する情報の共有、追跡、分析のた
めに協力する目的で、自動車業界のリー
ダーが集結したグループです。この新し
い協力関係の下、HARMAN は自動車業界
の企業や協会と連携し、コネクテッド
カーを保護するために、総力を挙げてサ
イバーセキュリティを引き続き進化させ
ていきます。
「コネクテッドカーのサイバーセキュリ
ティ対策に関し志を同じくする組織が集
まった Auto-ISAC の一員になれ、大変光栄
です」と HARMAN の自動車サイバーセ
キュリティ部門バイスプレジデントであ
る Saar Dickman 氏は話します。「HARMAN
は一貫して、サイバーセキュリティ対策
を重視する姿勢を貫いてきました。5+1 層
の自動車セキュリティフレームワークや
今年 1 月の TowerSec の買収も、その表れ
です。Auto-ISAC に加わったことで、情報
共有をさらに進め、業界の自動車サイ
バーセキュリティ対策の推進に貢献でき
るでしょう」
車両のインターネット接続は世界中で進
んでいます。このため、車両およびその
所有者のプライバシーと安全性を確保す
る上で、堅牢で多層のセキュリティフ
レームワークは必要不可欠です。OTA
(Over-The-Air)アップデートやソフト
ウェアベースのセキュリティソリュー
ション(今後製造される車両にだけでな
く、セキュリティ対策を施していない既
存の車両にも搭載が可能)に加え、シス
テム設計内で「多層防御」に対応する完
全な多層セキュリティフレームワークの
開発にも HARMAN は投資してきました。
現在、北米の公道を走行する軽量自動車
の 99% 以上は Auto-ISAC のメンバーが製造
したものです。Auto-ISAC 中央インテリ
ジェンスプラットフォームを介して重大
な脅威、リスク、脆弱性の情報を共有す
ることで、Auto-ISAC はコネクテッドカー
システムおよびネットワークを保護する
ための業界の継続的な取り組みを大幅に
強化できます。
出典 : Business Wire
米国:Volvo が自動車サイバーセキュリティに対応するために Auto-ISAC
に参加
Auto-ISAC は最新 OEM メンバーとして Volvo Cars を歓迎しています。
Volvo Cars は Auto-ISAC 理事会の OEM メン
バーに加わります。
「サイバーセキュリティ上の脅威は絶え
ず進化しており、高度かつ事前対処的方
法により世界中で対応が必須であること
を Volvo Cars は認識しています。サイバー
セキュリティおよびプライバシーの問題
を非常に真剣に受け止めているため、こ
れらの問題に対処するには Auto-ISAC に参
加することが最善の策だと考えました。
Auto-ISAC はサイバーセキュリティ上の脅
威の分析および情報共有を行う中心組織
であるからです。Auto-ISAC を通じ、他の
自動車メーカーやサプライヤーとグロー
バルな協業を展開することで、当社の車
両のセキュリティを可能な限り確保しよ
うという断固たる取り組みを強力に後押
しできるでしょう」と上級バイスプレジ
デント兼グループ最高情報責任者である
Klas Bendrik 氏は言います。
「自動車サイバーセキュリティ強化に向
けた Auto-ISAC の事前対処的かつ協力的取
り組みに Volvo Cars が加わることは、非常
に喜ばしいことです」と Auto-ISAC のセン
ター長を務めるトヨタの Tom Stricker 氏は
述べています。「Auto-ISAC の強みは、業
界全体の見識と見地を共有できる点です。
使命は、最新かつ堅牢なセキュリティで
保護された安全な車両を製造できるよう
業界を支援すること。この使命を果たす
上で、Volvo Car の貴重な専門知識は大き
な助けとなるでしょう」
SBD では OEM とサプライヤーがサイバー
セキュリティにどの程度の投資をすべき
か判断する際に、主要な問題を特定して
文書化できるようサポートするレポート
「コネクテッドカーのセキュリティ : リ
スクとコストのバランス要素」
(SEC701)を発行しています。脅威の特
定、脅威の定量化と優先順位付け、実用
的な対策実行計画の策定という重要な 3
Auto-ISAC は、サイバーセキュリティ上の
つのステップを順に説明するとともに、
脅威と潜在的脆弱性に関する情報の共有、 それらがどのように結び付いて十分な情
追跡、分析を行うセキュアなプラット
報に基づく意思決定を可能にするかを解
説しています。詳細は SBD ジャパンまで
フォームを自動車業界が協力して確立す
る目的で、2015 年 7 月に組織されました。 お問合せください。
E-mail : [email protected]
Tel : 052-253-6201
Auto-ISAC を通じてメンバーは、匿名で情
報を提供したり受け取ったりできます。
その情報を活かすことで、サイバーセ
キュリティ上の脅威にリアルタイムで、
より効果的に対処することが可能になり
ます。現在、北米の公道を走行する軽量
自動車の 99% 以上は Auto-ISAC のメンバー
が製造したものです。
出典 : Business Wire
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August 2016 | Telematics News
| 15
Telematics News
An SBD Information Service
CYBER SECURITY
インフォグラフィック:LoJack がコネクテッドカー泥棒について解説
LoJack は、米国における 7 月の「National Vehicle Theft Protection Month(全国車両盗難対策月間)」の一環として、
コネクテッドカーの盗難に対する注意喚起を目的としたキャンペーンを開始しました
Month」の一環として、LoJack はインフォ
グラフィックを発表しました。このイン
フォグラフィックでは、消費者に盗難対
策のこつを教え、コネクテッドカー泥棒
の手口を概説しています。具体的な手口
には、次のようなものがあります。
車両クローニング:抜け目のないハッ
カーは、偽の車両識別番号(VIN)を作成
して取り付けることで、盗難車両である
ことが気付かれないようにします。また、
盗んだ VIN を使用して新しい文書を偽造
し、その文書に関連付く車両が盗んだも
のであるという事実を隠蔽します。
車両の「身代金」要求:サイバー犯罪者
はランサムウェアを利用して車両に侵入
し、エンジンとブレーキの制御機能を
ロックし、機能を元に戻すことと引き換
えに身代金を要求します。
高度なコネクテッドカーとモノのイン
ターネット(IoT)技術の出現により、自
動車盗難の性質も変化しつつあります。
FBI の「Preliminary Semiannual Uniform
Crime Report(半期統一犯罪白書(仮)」
によると、2015 年上期の車両盗難件数は
2014 年上期よりも増加しています。高度
な車両が増えたことで、それを盗む手口
も高度になってきています。
「コネクテッドカー泥棒が高度な手口を
使うようになったことで、車両盗難自体
の性質は変わってきています」と LoJack
の法執行部門バイスプレジデントである
Patrick Clancy 氏は言います。
「コネクテッドカー泥棒はインターネッ
トを駆使した巧妙な手口を用いるため、
盗難を防ぐのが難しくなっています。し
かも、車両だけでなく、車両データも盗
みのターゲットとなります。車両データ
はいったん盗まれてしまうと、被害が大
きくなる可能性があり、回復も困難です。
このキャンペーンは車両を所有する個人
と企業に、車両盗難の性質が変化してい
ること、敵は誰か、どのような対策を講
じることが可能かを知ってもらえるよう
設計されています。車両盗難によって命
を脅かされることがないよう注意を喚起
するのが目的です」
7 月の「National Vehicle Theft Protection
スキャナーボックス:キーフォブにより
使用される電子システムを悪用可能な端
末です。犯罪者は車両のキーに触れるこ
となく、解錠もエンジン始動も実行でき
ます。
なりすまし犯罪:犯罪者は、クレジット
カード情報、位置情報、社会保障番号、
運転免許証番号といった車両に保存され
ているデータを盗みのターゲットとしま
す。
高級車窃盗団:犯罪組織は高級車を盗み、
解体してパーツを売ったり、海外に輸出
したりします。このような窃盗団は、ス
マートキーのコピーを作成する、盗んだ
信用報告書を利用し、車両を担保に違法
に融資を受けるといった、複雑な手口を
使います。
コネクテッドカーの盗難に遭わないため
に、LoJack は次の安全対策を推奨していま
す。
保存する機密データを限定:クレジット
カード情報や車載 GPS システムで使用す
る自宅住所のような車両に保存される個
人データは、盗まれやすいということを
認識しておく必要があります。
メーカーのソフトウェアを更新 :自動車
メーカーが提供する最新のファームウェ
ア/ソフトウェアアップグレードを利用可
能になった時点でダウンロードします。
ディーラーのサービス部門を訪問した際
にアップデートについて確認することも
重要です。
常に最新のリコール情報を確認:車両を
狙ったサイバー攻撃の状況を常に把握し
ておくとともに、自動車メーカーにセ
キュリティ関連のリコールや警告につい
て確認します。
防犯対策製品を利用:イモビライザーや、
目と耳で警告を確認可能な機器の活用は
効果があり、高度な防犯対策になります。
追跡機器を装備:法執行機関が運用して
いる追跡機器の装備を検討しましょう。
盗難車両を取り戻せる可能性が高くなり
ます。
貴重品から目を離さない:スマートフォ
ンやタブレットから目を離さないように
しましょう。犯罪者はそれらを盗んで、
より多くのデータにアクセスし、車両所
有者をさらなる危険にさらすこともでき
るのです。増加し続けているキーレスイ
グニッションについては、適切な安全対
策を取る必要があります。
常識に従い行動する:キーを差し込み、
エンジンをかけた状態で車両を離れない、
スペアキーを車内に隠しておかない、車
両から離れる際にはすべてのドアを施錠
するといった常識的な行動を取るように
しましょう。当たり前のことのようです
が、車両所有者はこうした基本的な安全
対策を怠ったために、車両の盗難に遭う
場合があるのです。
出典 : LoJack
SBD の調査 「コネクテッドカーのセキュ
リティ: アタックポイントとその方法」
(SEC 553) では、コネクテッドカーエコ
システムにおける 50 箇所のアタックポイ
ントを特定しています。同調査は、コネ
クテッドカーのリスクやアタックの動機
などについて自動車業界内の理解を支援
することを目的としています。
本書および自動車のハッキングに関する
詳細情報について詳細は SBD ジャパン
までお問合せください。
E-mail : [email protected]
Tel : 052-253-6201
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August 2016 | Telematics News
| 16
Telematics News
An SBD Information Service
CYBER SECURITY
RealVNC と F-N がサイバーセキュリティを構築し、MirrorLink を MetroCab
に搭載
RealVNC は Frazer-Nash Research との新しい協業を発表しました。
Frazer-Nash は、Ecotive の新しい MetroCab
に搭載の技術を披露しました。この技術
は、かつてない強力さでハッカーから車
両を保護します。Frazer-Nash のこの高度
なソフトウェア保護システムは、ゼロエ
ミッションを実現している唯一のタク
シーであり、環境に優しい車両設計を
リードしている Metrocab に装備されてい
ます。
Frazer-Nash は、Metrocab の乗客に新たな
通勤スタイルを提示するために、RealVNC
との協業を決定しました。RealVNC コネク
ティビティ技術によって、通勤客は自身
のモバイル端末を Metrocab の乗客用座席
に装備された 18 インチのスクリーンと
Wi-Fi 経由でセキュアに同期し、E メール
の送受信や SNS の投稿のチェック、ビデ
オのストリーミング再生などを行うこと
ができます。
「Frazer-Nash と協業し、まったく新しい
Metrocab を支える技術の構築において主
要な役割を果たせることになり、大変光
栄です」と RealVNC のモバイル部門バイ
スプレジデントである Tom Blackie 氏は述
べています。「今回の協業を通じ、信頼
されている MirrorLink のスペシャリストと
して、Metrocab の乗客に新しい通勤スタ
イルと常時インターネットに接続された
環境を提供したいと考えています」
ンドルスイッチからのモバイル端末制御
を可能にします。これにより、ドライ
バーの注意散漫を防ぐことができます。
RealVNC はオープン標準を支持しており、
MirrorLink 規格のコアコンポーネントであ
る VNC プロトコルを 10 年以上前に発表し
ています。同社のソリューションは技術
非依存型のため、Apple CarPlay や Android
Auto のような補助的規格にも容易に対応
可能です。
SBD の調査 「コネクテッドカーのセキュ
リティ: アタックポイントとその方法」
(SEC 553) では、コネクテッドカーエコ
システムにおける 50 箇所のアタックポイ
ントを特定しています。同調査は、コネ
クテッドカーのリスクやアタックの動機
などについて自動車業界内の理解を支援
することを目的としています。
本書および自動車のハッキングに関する
詳細情報について詳細は SBD ジャパン
までお問合せください。
E-mail : [email protected]
Tel : 052-253-6201
VNC Automotive は、VNC Telematics、VNC
Enhanced、RealVNC MirrorLink Certified ソ
リューションを含み、ドライバーの車両
とモバイル端末をペアリングすることで、
モバイル端末が車内で様々な機能を実行
できるようにします。
出典 : RealVNC
ドライバーの安全性が最優先される業界
において、VNC Automotive 技術は車両の
ダッシュボード、ベゼルキー、またはハ
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August 2016 | Telematics News
| 17
Telematics News
An SBD Information Service
CAR SHARING AND MOBILITY
Musk 氏が Tesla の未来を見据えた計画を策定
Tesla Motors の最高経営責任者である Elon Musk 氏は、ビジネスを拡大し、電気トラック/バス、カーシェアリング、
ソーラーエネルギーシステムの分野に参入するという大胆な計画を発表しました。
「マスタープラン パート 2」というタイ
トルのブログで、Musk 氏は無炭素エネル
ギー分野を統合した新たな企業のビジョ
ンを概説しました。この新企業では、よ
り幅広い車両と、電気自動車およびバッ
テリーに留まらない製品およびサービス
を提供していく考えです。
同氏が掲げる戦略の最新要素としては、
カー/ライドシェアリングプログラムと商
用車の開発が挙げられます。これらは他
社がすでに競争を展開しているビジネス
であり、場合によっては Tesla よりもはる
かに有利なスタートを切っています。
配車サービスに関して Musk 氏は「都市部
では、顧客の貸し出す所有車両だけでは
需要が供給に追いつかない場合がありま
す。Tesla は会社でも車両群を用意し、
サービス利用者がいつでも、どこからで
も Tesla 車両に乗れるようにします」と説
明しています。このようなサービスに
よって、Tesla は Uber や Lyft などの配車
サービス企業と競うことになります。
Musk 氏は、トラックやバスも含め、今後
の Tesla 車両にはすべて、完全自動運転機
能を搭載するとしています。
新車両は商用トラック「Tesla Semi」から
公共バス、「新タイプのピックアップト
ラック」、コンパクト SUV まで揃ってい
ます。これらの車両は、Tesla が専門とし
ている電気自動車とともに来年発表され
る予定です。
Tesla は現在、Musk 氏が「ベータ」と位置
付けている、部分的な自動運転を可能に
するシステム「Autopilot」を車両に搭載し
ていますが、その正当性を同氏は主張し
ています。Autopilot で操縦されていた
Tesla Model S で起きた死亡事故の後、連邦
政府の規制機関は同システムを調査して
います。
Musk 氏は、ソーラーパネルの設置を手掛
ける SolarCity Corp の大株主であり、同社
の買収の必要性について改めて述べまし
た。また、Tesla の自動運転システム
「Autopilot」の安全性を人間が運転する車
両の 10 倍にするという目標も掲げました。
「(Autopilot は)正しく使用すれば、現
時点ですでに、人が運転するよりもはる
かに安全です」と Musk 氏は記載していま
す。
Tesla と SolarCity のいずれも買収取引に多
額の資金を投じることになりますが、そ
のような状況で新規プロジェクトの資金
をどう調達するのか、この計画では詳細
は明らかにされていません。Musk 氏は同
計画について「Tesla は、蓄電池がシーム
レスに統合された優れたソーラールーフ
(住宅向け)を開発します。また、電気
自動車製品ラインを拡大し、すべての主
要セグメントに対応します。大規模な車
両群を使用してテストを重ねることで、
人が車両を運転した場合より安全性が 10
倍高い自動運転機能を実現します。さら
に、所有者が車両を使用していないとき
に、車両から収入を得られる仕組みを作
ります」と要約しました。
完全自動運転の Tesla 車両がいつ実現する
のかには触れていませんが、テストには
さらに約 5 年かかるであろうとしていま
す。
ます。General Motors Co. やトヨタ自動車
株式会社は、カーシェアリングに取り組
むと同時に、配車サービス企業との提携
を推し進めています。
Musk 氏は 6 月 21 日、Tesla による
SolarCity の買収を提案しました。両社の統
合後は、無炭素エネルギーを主に使用し
たライフスタイルの実現ツールを顧客に
提供すると述べています。そのツールと
は、SolarCity ソーラーパネルシステムで生
成される電気、あるいは Tesla のバッテ
リー工場「Gigafactory」(ネバダ州リノに
建設中)で生産したバッテリーパックを
使用し、家庭で蓄えた電気によって再充
電される電気自動車です。
同氏は SolarCity 株の 22% を保有しており、
Tesla 電気自動車の購入者に太陽光発電お
よび蓄電システムを提供する計画の概要
を述べました。
プロジェクトの資金調達のために、Tesla
は 5 月に新株約 17 億ドルを売りました。
この結果得た資金のほとんどは、新型
Model 3 車両ラインナップの開発を加速さ
せ、2018 年までに年間 50 万台という生産
ペースを達成するために使用されます。
出典 : Reuters
ほとんどの主要自動車メーカーとイン
ターネット検索会社の Alphabet Inc. は、自
動運転技術に莫大な投資をしています。
ドイツの Daimler AG は、自動運転の大型
トラックと商用電気自動車を開発してい
Musk 氏は同計画の中で、Tesla 車両所有者
がスマートフォンアプリを介し車両を他
者に貸す仕組みについて述べています。
「Tesla 共有車両」も用意するとしていま
すが、その管理方法には詳しく触れてい
ません。
今回発表した目標の中には、競合の自動
車メーカーが掲げているものと同様のも
のもあります。
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August 2016 | Telematics News
| 18
Telematics News
An SBD Information Service
CAR SHARING AND MOBILITY
Nissan Future Lab がカーシェアリングと電気自動車をテスト中
Nissan Future Lab で進行中の複数の「Living Lab」研究プロジェクトを通じ、日産は未来のモビリティシナリオを実現
するために、実際の環境で一連のテストを実施しています。
「Living Lab」研究プロジェクトは、日産
が将来の交通ニーズを予測し、充足でき
るよう進化する上で役立つユーザーデー
タを提供します。
日産の「Living Lab」は、機会を発見し、
ユーザーの行動を観察することで学ぶた
めに、外部パートナー(サンフランシス
コを拠点とする Scoot Networks など)との
ネットワークを活用している点が従来の
研究手法と異なります。
「Living Lab の枠組みの中で作業すること
で、日産は実際の市場でテストを実施で
きます」と Nissan Future Lab の専務取締役
である Rachel Nguyen 氏は話します。「当
社のハードウェアと外部ソフトウェア/
サービス/システムを組み合わせ、協力し
てベータテストを行うことにより、日産
は新しいモビリティ経済に適合する新製
品/サービスを開発する機会を得られま
す」
電気自動車と自動運転車の技術開発が急
速に進んでいることに加え、ライドシェ
アリングサービスが注目を集めているこ
とから、日産の「Living Lab」では車両所
有構造、車両技術市場の変化、電気自動
車の新しいユーザーに焦点を合わせてい
ます。
車両所有構造
スマート技術の急成長と共有経済の出現
を受け、Nissan Future Lab は様々なサイズ
とパッケージ内容の車両ソリューション
を研究しています。昨年 10 月、日産は
Scoot Networks とともに最初の「Living
Lab」を開始しました。このプロジェクト
は、コンセプトカー「Nissan New Mobility
Concept(NNMC、日産ニューモビリティ
コンセプト)」10 台をサンフランシスコ
の Scoot のスクーター群に加えて実施しま
した。日産のこの「超小型」電気自動車
は、小型オートバイと普通サイズの車両
の中間の乗り物です。Scoot アプリ共有プ
ラットフォームを使用してレンタルする
ことができます。日産はこのコンセプト
カーを通じて、都市部に住む人が近距離
の場合に選ぶ移動手段と、電気自動車が
共有の移動手段として果たす役割に関す
るデータを収集しています。
車両技術市場の変化
共有経済もまた、車両技術活用の新しい
機会をもたらします。新興モビリティ市
場を調査し、新しいビジネスニーズ(共
有車両の出発地点への再割り当てなど)
を把握することで、現在開発中の車両技
術の新たな用途につながる可能性があり
ます。Scoot との「Living Lab」は、車両割
り当てに関するデータも提供しています。
日産はこのデータを利用し、車両の出発
地点からの移動距離、人気の出発地点、
ユーザーの行動などについて理解を深め
ることができます。
電気自動車の新しいユーザー
日産は、Vehicle-to-Grid(V2G)技術に見ら
れるような電気自動車の用途拡大につい
ても積極的に調査しています。2014 年以
来、日産は米国空軍との大規模 V2G 試験
プログラムに参加してきました。このプ
ログラムでは、改造日産リーフ電気自動
車群に蓄積した電力を、一連の双方向充
電ステーションを介して電力網に供給し
ています。このように電気自動車の余剰
電力を電力網に戻すことで、電力需要が
高くなったときに全体の需要と供給のバ
ランスを取ることができます。
「Future Lab チームは『Living Lab』プロ
ジェクトを通じて、V2G 技術が個々の電
気自動車顧客にもたらす現実的な利点は
何か、また、この技術が彼らの将来のモ
ビリティライフスタイルにどう適合する
のか調査してもいます」と Nguyen 氏は補
足しています。
Center for Automotive Research がミシガン
州トラバースシティで Annual Management
Briefing Seminar(年次経営者説明会)を開
催します。その期間中である 8 月 3 日
(水)13:30-16:00 に「Car of Tomorrow:
Hardware Makers Building Partnerships to
Succeed in a High-Tech World(未来の自動
車:ハードウェアメーカーがハイテク分
野での成功を目指し、提携関係を構
築)」セッションが開かれます。同セッ
ションで、Rachel Nguyen 氏は日産の
「Living Lab」プロジェクトの最新情報を
発表する予定です。セッションの詳細は、
Web サイト(www.cargroup.org)で確認で
きます。
Nissan Future Lab について:
Nissan Future Lab は、日産のグローバル先
進企画グループによる取り組みの一環と
して、2014 年に開設されました。数十年
先を見据え、現在および未来のビジネス
にとっての潜在的な問題と機会を特定す
ることが役割です。製品の先にあるもの
に目を向け、モビリティの未来をより幅
広い視野に立って考察します。電気自動
車、自動運転車、コネクテッドカーと
いった自動車技術の急発達やライドシェ
アリングのような動向をヒントに研究を
進めています。
出典 : Nissan
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August 2016 | Telematics News
| 19
Telematics News
An SBD Information Service
CAR SHARING AND MOBILITY
BMW ReachNow がシアトル地域のカーシェアリングサービスを拡大
その高級車シェアリングサービスに対する需要の高まりを受け、ReachNow は本日、同サービス開始からわずか 2 ヶ月
半で「Home Area(ホームエリア)」の最初の拡大を発表しました。
Home Area には、シアトル南東部、シアト
ル西部、マグノリアが新たに加わります。
さらに、拡大した Home Area 全体の会員
が、より多くの車両を利用できるよう、
ReachNow はシアトルの車両群に 150 台の
MINI Clubman 車両を追加しました。
今回初となる拡大でシアトル南東部、シ
アトル西部、マグノリアが加わったこと
で、ReachNow の Home Area はシアトル住
民の 75% 以上が居住している区域が含ま
れるようになりました。Home Area(会員
はこのエリア内で、サービスの利用を開
始/終了できます)が拡大したことで、シ
アトル南東部の South Orcas Street(Mt.
Baker、Columbia City、Beacon Hill など)、
シアトル西部の Southwest Alaska Street
(Alki、North Admiral、Junction など)、
マグノリアの全地域がカバーされます。
拡大後の ReachNow 車両群に 150 台の
MINI Clubman を追加
Home Area の拡大に伴い、ReachNow 車両
群には 150 台の MINI Clubman 車両が追加
されました。Clubman は 4 ドア、約 1360 L
まで容量を拡大可能なトランク、フラッ
トな状態に倒せる後部座席、特徴的な観
音開きのバックドアを備えており、週末
の外出や買い物、日々の冒険に最適です。
MINI Clubman の追加によって、ReachNow
のシアトルの車両群は合計 520 台、全輪
駆動の BMW 3 Series、電気自動車の BMW
i3、2 ドア/4ドアの MINI Hardtop、4 ドアの
MINI Clubman の構成となります。
出典 : BMW
BMW と Sixt が合弁会社 DriveNow のカーシェアリングサービスを拡大
DriveNow は創立 5 周年を記念して、ブリュッセルにサービスを拡大します。
BMW グループと Sixt SE の高級車シェアリ
ング合弁会社がサービスを展開する 10 番
目の欧州都市として、ベルギーの首都ブ
リュッセルを選択しました。ブリュッセ
ルでは 6 月から、支店を設けずにカー
シェアリングサービスを展開することが
認められたことで、実績あるフリーフ
ロート型(市内のどこでもピックアップ/
返却が可能)カーシェアリングコンセプ
トに基づき、幅広い BMW および MINI モ
デルが同サービスで提供されることにな
ります。
DriveNow の創立 5 周年記念日に、BMW
AG 理事会メンバーで、MINI、BMW
Motorrad、Rolls-Royce、アフターサービス、
モビリティサービスの責任者である Peter
Schwarzenbauer 氏は次のように話してい
ます。「ブリュッセルを DriveNow の 10
番目のサービス展開都市とすることがで
き、大変嬉しく思います。これは、欧州
における高級車シェアリングサービス開
始 5 周年を祝うのにふさわしい前進です。
顧客に関しては、私たちはすでにドイツ
のカーシェアリング市場をリードしてお
り、同様のことを欧州全体でも達成しよ
うと取り組んでいます。この高級車を利
用した個人のモビリティサービスは、間
違いなく将来の成功の鍵を握ります。も
ちろん、メインはあくまで自動車部門で
すが、このモビリティサービスが加わっ
たことは当社のビジネスにとって重要な
意味を持ちます。だからこそ、DriveNow
サービスを次に展開できそうなのはどこ
か、常に注意して見ているのです」
DriveNow は 2011 年 6 月にミュンヘンで創
業して以降、欧州でモビリティサービス
を絶えず拡大してきました。現在では 60
万人以上の顧客を抱えています。
DriveNow サービスは、ドイツの 5 都市
(ベルリン、ハンブルク、ミュンヘン、
デュッセルドルフ、ケルン)に加え、ロ
ンドン、ウィーン、コペンハーゲン、ス
トックホルム、そして今月からブリュッ
セルで利用可能です。ドイツでは、毎月
平均 50 万件以上の利用数を記録していま
す。移動の平均的な距離は 8-15 km、時間
は 20-40 分です。
DriveNow 車両群に電気自動車が初めて導
入されたのは、2013 年夏です。現在、ほ
ぼすべてのサービス対象都市で電気自動
車の BMW i3 を用意しています。
全車両群の 20% は電気自動車で、
DriveNow を利用したことで電気自動車に
初めて乗車したという顧客は 15 万人以上
に上ります。DriveNow の電気自動車の総
走行距離は、300 万 km 以上に達していま
す。
顧客が電気自動車を気軽に利用し、都市
部の CO2 排出量の削減に貢献し、より質
の高い暮らしを都会で送れるよう支援す
る上で、電気自動車を用いたカーシェア
リングサービスは欠かせないステップで
あると BMW グループは考えています。
カーシェアリングサービス拡大の推進は、
BMW グループの経営戦略「Strategy
NUMBER ONE > NEXT」に即しています。同
戦略は、3 月に BMW AG 取締役会会長の
Harald Krüger 氏から発表されました。顧客
指向モビリティサービスをさらに発展さ
せ、将来のビジネス分野の中心に据える
ことを目指したものです。
携し、デジタルサービスの重要性が増し
ていることに早期に着目して、このサー
ビスを将来の成功を左右する重要要素と
して位置付けました。
こうした背景があり、BMW グループは 4
月に米国のシアトルで ReachNow サービス
を開始しました。ReachNow はカーシェア
リングコンセプトをさらに発展させたも
ので、配車サービス、車両配送、特定の
グループでのカーシェアリング、個人の
所有車両の賃貸し、車両の長期レンタル
といった各種サービスも提供しています。
都市部の持続可能なモビリティサービス
をさらに拡大していく試験的市場として、
北米は最適であると考えられています。
現在、ReachNow サービスを米国の他の都
市でも展開していく計画が立てられてい
ます。
出典 : BMW
SBD では、自動車メーカーに最も影響を及
ぼし得る分野、かつ自動車メーカーが最
も関与している分野である、マルチモー
ダル交通サービス、カーシェアリング、
ライドシェアリングに焦点を当てたレ
ポート「オートモーティブモビリティ~
接続型車両によるモビリティソリュー
ション」(CON615)を発行しています。
詳細は SBD ジャパンまでお問合せくださ
い。
E-mail : [email protected]
Tel : 052-253-6201
BMW グループは DriveNow、ParkNow、
ChargeNow のようなベンチャー企業と連
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August 2016 | Telematics News
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Telematics News
An SBD Information Service
CAR SHARING AND MOBILITY
SEAT Accelerator by Conector がモビリティスタートアップ企業を支援
SEAT と Conector は共同で、自動車業界およびモビリティを専門とするスタートアップアクセラレータープログラムを
開始します。
実現したような提携関係は、モビリティ
エコシステムを成長させるという当社の
将来のビジョンに沿っています。新しい
経済はパートナーと協力し、プラット
フォームを統合することによってのみ理
解されます。スタートアップ企業を支援
することで、私たちは知識を交換し、有
能な人材に出会うことができます。SEAT
のデジタル変革を推進できるのです」
SEAT Accelerator by Conector は、スペイン
のマルトレルにある自動車メーカー SEAT
の施設内にオフィスを用意し、初期支援
プログラムにおいて 5 社のスタートアッ
プ企業を支援します。対象のスタート
アップ企業は SEAT の支援を受け、
Conector の手法に倣うことになります。
SEAT は、自動車部門におけるイノベー
ションに継続的に取り組んでいます。そ
の一環である今回の提携関係の第一の目
的は、自動車業界およびモビリティ向け
に新しいソリューションを発見したス
タートアップ企業を支援することです。
一方、スタートアップアクセラレーター
である Conector は主要企業と提携するこ
とで、コーポレートアクセラレータープ
ログラムを推進したい考えです。
SEAT の社長である Luca de Meo 氏は次のよ
うに語っています。「SEAT が Conector と
Conector の共同設立者である Carlos Blanco
氏は次のように説明します。「SEAT と
Conector の提携関係によって、当社の取
り組みをコーポレートアクセラレーター
プログラムに組み入れ、ビジネスがデジ
タル化の道を着実に進んでいることを示
すことができます。コーポレートアクセ
ラレータープログラムは、主要企業に
とってデジタル変革を加速させ、スター
トアップエコシステムに加わり、業界の
新しい技術ソリューションを直に確かめ
て洞察するための優れた手段です」
SEAT Accelerator by Conector は、自動車業
界、モビリティ、物流に関連する事業モ
デルを扱うプロジェクトを支援します。
いずれのプロジェクトも、開業している
企業が提案したものであり、拡張と国際
化に対応可能で、市場投入済みの製品や
サービスを対象としていなければなりま
せん。初期業績指標を提示し、特定の
リーダーが率いる常勤チームを揃えてい
る必要もあります。
ムへの申し込みは、本日 7 月 19 日から 9
月 19 日まで受け付けています。申し込み
は、こちらの Web サイト
(www.conector.com/seat)で受け付けて
います。
SEAT 経営陣と Conector パートナーから成
る委員会が、「Startup Day」イベントで発
表を行うことになるプロジェクトの最終
候補を選びます。このイベントに向け、
Conector のメンバー/指導者と SEAT が、支
援する 5 社のスタートアップ企業を選び
ます。
選ばれたスタートアップ企業は、マルト
レルにある SEAT オフィスで 5 ヶ月にわた
り、Conector および SEAT の代表者で構成
される指導者委員会の支援の下、成長/販
売戦略に取り組み、必要な改善を加えて
いくことになります。さらに、両パート
ナー企業のサポートと継続的トレーニン
グを受け、国内屈指の起業家エコシステ
ムに加わることができます。
Demo Day は支援プログラムの最後に開催
されます。このイベントで、スタート
アップ企業は出資を募るために、国内の
主要ベンチャーキャピタルや投資家、ベ
ンチャー投資家を相手にプロジェクトを
発表します。Demo Day は、スタートアッ
プ企業と SEAT の相乗効果を確認する機会
にもなります。
出典 : SEAT
スタートアップ企業による支援プログラ
Europcar Lab がイタリアのモビリティスタートアップ企業 Wanderio に出
資
Europcar は同社のイノベーション専用施設である Lab を通じて、マルチモーダル交通システム検索および比較
プラットフォームの Wanderio に少額の出資を行いました。
Europcar では、レンタカービジネスから
Europcar Lab まで、未来型のマルチモーダ
ル交通システムソリューションを提供す
るためのモビリティ戦略を策定していま
すが、その取り組みの新たなステップと
なったのが今回の出資です。
Wanderio は 2013 年創業のイタリアのス
タートアップ企業です。ある地点から別
の地点までの移動において、料金と移動
時間という 2 つの主な基準から割り出し
た最善の手段を提示することで、顧客の
生活をシンプルにするという目標を掲げ
ています。顧客は単一のプラットフォー
ム上で、飛行機、電車、長距離バス、空
港・ホテル間の送迎、そして今回新たに
加わるレンタカーの利用に関する比較、
予約、支払いをすべて行うことができま
す。
Wanderio プラットフォームでは、これま
でに 100 万件以上の移動が計画されてお
り、現在、700 以上の空港、4.000 以上の
電車の駅/バス停留所をカバーしています。
Wanderio が対応範囲をさらに広げ、欧州
全域で存在感を示す上で、Europcar の出資
は価値ある支援となるでしょう。
出典 : Europcar
SBD では、自動車メーカーに最も影響を及ぼし得る分野、かつ自動車メーカーが最も関与している分野である、マルチモーダル
交通サービス、カーシェアリング、ライドシェアリングに焦点を当てたレポート「オートモーティブモビリティ~接続型車両に
よるモビリティソリューション」(CON615)を発行しています。詳細は SBD ジャパンまでお問合せください。
E-mail : [email protected] Tel : 052-253-6201
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August 2016 | Telematics News
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Telematics News
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CAR SHARING AND MOBILITY
Daimler が移動サービスプロバイダーの Blacklane への出資を増大
Daimler は、プロのドライバーによる移動サービスポータルである Blacklane への出資を増やし続けています。
最近終了した資金調達ラウンドで、
Blacklane は 8 桁の額の資金を調達しまし
た。この資金は、グローバルビジネスの
さらなる拡大に充てられます。関係者は
取引の詳細は開示しないことで合意して
います。
Daimler Financial Services AG の最高経営責
任者でありモビリティサービスの経営幹
部である Klaus Entenmann 氏は、次のよう
に話します。「Daimler Financial Services で
は、柔軟かつ革新的なモビリティサービ
スを顧客に提供したいと考えています。
この戦略の重要な部分となっているのが、
プロのドライバーによる移動サービスを
グローバルに展開する Blacklane への出資
です。近年、当社ではモビリティサービ
スおよびプラットフォームの発展に継続
的に取り組んでおり、5 億ユーロ近く投資
しています。モビリティエコシステムへ
の追加の戦略的投資の準備もできていま
す」
2011 年にベルリンで創業したスタート
アップ企業の Blacklane は、固定料金で移
動サービスを提供しています。これが可
能なのは、自社で車両を所有せずに、各
都市の認可タクシー/ハイヤー会社の幅広
いネットワークを利用しているためです。
顧客は、ビジネスクラス、ビジネスバン、
ファーストクラスなど多様なサービスカ
テゴリからニーズに応じたものを選択で
きます。サービスは Web サイトまたはア
プリで直接予約します。Blacklane は主と
して、世界中の旅行者にサービスを提供
しています。このサービスの利点として、
質、安全性、信頼性に加え、世界中での
利用可能性が高いことが挙げられます。
「Blacklane の価値観と目標を共有する
パートナーとともに、当社の発展におい
て次の段階に進み、世界中でイノベー
ションと質の高いサービスを実現できる
ことを大変喜んでいます」と Blacklane の
最高経営責任者であり共同設立者でもあ
る Jens Wohltorf 氏は言います。
Blacklane は約 200 人の従業員を擁し、世
界 50 ヶ国以上の 200 以上の都市と 400 以
上の空港に代理店があります。Daimler は
2013 年から Blacklane に出資しています。
プロのドライバーによる移動サービスの
グローバル市場は現在、年間約 300 億ド
ル(約 3 兆 650 億円)と見積もられており、
急速に成長および進化を遂げています。
Daimler Financial Services は、Daimler グ
ループのグローバル金融サービスプロバ
イダーです。多様な革新的モビリティ
サービスも提供しており、同社 car2go ブ
ランドを通じ、フリーフロート型カー
シェアリングサービスの分野で世界を
リードしています。また最近では、mytaxi
と英国を拠点とする配車サービスプロバ
イダーの Hailo の合併を発表しました。合
併が行われるのは、規制当局の承認後と
なります。この合併により、欧州有数の
タクシーアプリが実現します。さらに、
Daimler Financial Services は同社 moovel ブ
ランドを通じ、都市部向けにインター
モーダル型モビリティサービスを開発し
ています。こうしたモビリティサービス
は自動運転の未来の基盤となります。
出典 : Daimler
Daimler がカーシェアリングサービスのために 11 億ユーロで Athlon を取得
Daimler Financial Services は車両管理の拡大に向け、戦略的投資を行いました。
Daimler は、オランダの Rabobank の子会
社である De Lage Landen グループから 11
億ユーロ(約 1,270 億円)で Athlon Car
Lease International B.V. を買収する契約を結
びました。Daimler Fleet Management と
Athlon を統合した車両運用ビジネスは、
今後、Athlon ブランドで運営されます。
この戦略的買収の結果、Daimler Financial
Services は 約 34 万台の乗用車およびバン
から成る車両管理ポートフォリオを実現
し、欧州における地盤を固めることがで
きます。
「車両管理は成長市場です。今回、市場
で優位な地位を築いている革新的車両管
理企業を買収したことは、車両管理サー
ビスの主要プロバイダーを目指す当社に
とって重要な一歩となりました。また、
買収の結果、Daimler の製品とモビリティ
サービスによって Athlon の車両群の質を
高めることができます」と Daimler AG 理
事会メンバーであり、資金調達/管理およ
び金融サービス部門責任者である Bodo
Uebber 氏は述べています。
「今日の車両ユーザーは、車両全体、ブ
ランド全体にわたるモビリティニーズを
柔軟に管理できることを期待しています。
レンタカー、リース、企業でのカーシェ
アリング、包括的レポートは、当社の車
両管理の価値提案における重要な要素で
す」と Daimler Financial Services AG の会長
である Klaus Entenmann 氏は語っています。
出典 : Daimler
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August 2016 | Telematics News
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Telematics News
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CAR SHARING AND MOBILITY
Hailo と mytaxi が合併:Daimler が Hailo 株の 60% を取得
特に欧州のオンデマンド型配車サービス業界では、企業によるさらなる動きや経営統合が見られます。
利用可能な公共交通機関がない区域では、
その代わりとなるサービスを供給すると
いったことが挙げられます。
こうした次世代型配車サービスへの出資
は、他の分野にも拡大しています。
Daimler は今月、自動車リース会社の
Athlon Car Lease を 18 億ドル(約 1,840 億
円)で買収しました。前四半期の収益報
告では、電気自動車/自動運転車技術への
投資に重点を置くと発表してもいます。
Hailo は保有株の 60% を、Mercedes-Benz
を所有する Daimler に売却したことを発表
しました。Hailo は mytaxi と合併し、
mytaxi ブランドで運営されることになり
ます。mytaxi は、Daimler の子会社である
moovel により 2014 年に買収されたオンデ
マンド型ライドシェアリングサービス会
社です。
合併後の会社は欧州最大級の配車サービ
スプロバイダーとなります。その規模は、
欧州市場でサービスを積極的に拡大して
きた Uber のような企業と十分に競い合え
るものです。Sky は、両社の間で合併交渉
が進められたと報じています。交渉の結
果、Hailo の現最高経営責任者である
Andrew Pinnington 氏は mytaxi の最高経営
責任者に就任し、mytaxi の親会社
Intelligent Apps の共同設立者である Niclaus
Mewes 氏は Daimler の業務執行取締役に就
任し、配車サービス業界における同社の
幅広い取り組みを監督するといいます。
ただし、この合併は株式交換によるもの
であり、現金は交付されません。そのた
め、Hailo の査定が新たに行われることは
ありません。Hailo は合併以前の株主をす
べて維持することになります。
Hailo はこれまでに 1 億ドル(約 101 億
円)の資金を調達しています。Hailo のあ
る現出資企業(Accel、Atomico、日本の
KDDI、Union Square、Wellington など)が
mytaxi のある出資銀行から合併の可能性
について相談された際に、Pinnington 氏は、
もっと多くの資金を調達しようとしたと
話しています。
「Hailo も mytaxi も資金調達に奔走しまし
た」と同氏はインタビューで語っていま
す。「mytaxi は Daimler の 100% 子会社で
はありますが、他の企業からも出資を募
りたいと考えています。そのため、さら
なる資金を調達しようと、様々な企業に
打診したのです」
Hailo と mytaxi は現時点では、スペインを
除き、サービス展開している市場が異な
るといいます。スペイン以外では、mytaxi
はドイツ、オーストラリア、イタリア、
ポーランド、ポルトガル、スウェーデン
でサービスを展開し、Hailo は(北米市場
から手を引き、その他の多くの困難を切
り抜けた後)現在、英国とアイルランド
の市場で確固たる地位を築いています。
「合併によって、私たちは欧州で他の追
随を許さないトップの配車サービスプロ
バイダーになるでしょう」と Pinnington 氏
は言います。さらに「Hailo は、すべての
サービスを段階的に縮小していくでしょ
う」と述べています。ただし、英国ロン
ドンにある本社の少人数の運用チームは
すべての研究開発プロジェクトとともに
ドイツと mytaxi に移ります。これは、
mytaxi が合併後の会社全体で使用される
共通プラットフォームとなるためです。
Nokia の前地図部門で、Daimler、BMW、
Audi による自動車コンソーシアムが昨年
28 億ドル(約2,860 億円)で買収した
HERE の株主でもある Daimler は、コネク
テッドカーの「ダッシュボード」を構成
するその他の主要コンポーネントへの出
資にも意欲を見せています。
Pinnington 氏の話では、Hailo は現在、
サービスを展開している各市場で収益を
あげているといいます。一方、mytaxi は
一部では収益をあげているものの、地域
の全営業所でというわけではありません。
これは、成長を目指しマーケティングに
投資してきたためです。
皮肉なことに、同氏が最高経営責任者と
して Hailo に初めて加わった 18 ヶ月前か
ら、同社にとって mytaxi との合併は選択
肢の 1 つであったといいます。
出典 : Tech Crunch
同氏によると、英国オフィスでは現在約
75 人が働いていますが、約 20 人に減らさ
れるといいます。
この背景には、自動車メーカーが将来に
向けた準備に取り掛かっていることがあ
ります。その将来とは、平均的な消費者
が購入する新車の台数が減り、新車購入
頻度も低くなるものの、A 地点から B 地点
に移動する手段は依然として必要である
というものです。このニーズに応えるた
めに、Uber などの企業は先陣を切って、
車両所有に代わる手段を提供してきまし
た。最たる例として、公共交通機関と競
合する可能性のあるサービスを展開する、
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August 2016 | Telematics News
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Telematics News
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CAR SHARING AND MOBILITY
Hyundai の Project IONIQ Lab がモビリティイノベーションを促進
Hyundai は、イノベーション、研究、教育機関によるプロジェクトを通じ、未来のモビリティソリューションを探る
Project IONIQ Lab を開設します。
Project IONIQ Lab を率いるのは、ソウル大
学校の教授で、Korea Future Design &
Research Institute の所長を務める Soon
Jong Lee 博士です。同博士は、10 人の研
究者と 10 人のコンサルティング専門家と
チームを組み、研究に当たります。この
チームはすでに最初の研究結果として、
未来の *12 の「メガトレンド」(2030 年
の自動車業界に影響を与える可能性のあ
る顕著な傾向)について概要を発表して
います。
「ハイパーコネクテッドソサエティ」か
ら「エコイズム」、「エネルギーの分散
化」、「巨大都市化」まで挙げられたメ
ガトレンドは、Project IONIQ Lab の世界観
を明らかにするとともに、モビリティが
各トレンドとどう作用し合うかを示して
います。
このラボは、Hyundai Motor の Project
IONIQ の一環です。Project IONIQ は未来の
モビリティの変化を予測する長期的研究
開発プロジェクトで、今年のジュネーブ
国際モーターショーで発表されました。
オープンなイノベーションを目指す
Project IONIQ Lab を通じ、Hyundai Motor、
教育機関、大学の協業が実現します。そ
の中で Hyundai Motor は、人々の日常生活
を豊かなものにする未来のモビリティの
革新的技術およびコンセプトについて、
アイデアを提案していきます。
Hyundai Motor Company の上級バイスプレ
ジデントである Wonhong Cho 氏は次のよ
うに言います。「『Project IONIQ Lab』の
開設を発表でき、嬉しく思います。この
ラボは、未来のモビリティ、さらには
『モビリティの自由』というコンセプト
が及ぼす影響を理解しようという当社の
取り組みを拡大するものです。私たちは
理論と現実の両面の理解を深め、イノ
ベーションを推進することで、顧客のラ
イフスタイルに応じた未来のモビリティ
ソリューションを開発していきます」
この新しい Project IONIQ Lab を通じ、
Hyundai Motor は未来のモビリティの変化
を予測し、考え得るシナリオを調査し、
社会と人々のライフスタイルの変化に応
じた新しいタイプのモビリティを開発し
ます。そして、「車両」の役割と定義を
拡張する新たなサービスモデルとモビリ
ティエクスペリエンスを生み出します。
出典 : Hyundai
Project IONIQ Lab では、場所と時間を問わ
ずにモビリティサービスを利用する自由、
移動中でも日常生活とつながっていられ
る自由、交通事故と不便な事柄からの自
由、環境汚染とエネルギー消耗からの自
由という 4 つの主要分野を探ります。
GM と Lyft が Express Drive を米国内の新たな州に拡大
Lyft と General Motors は、共同で展開する短期車両利用プログラム「Express Drive」をカリフォルニア州とコロラド州
でも運用することにしました。車両群には、最新となる 2017 年型 Chevrolet Bolt 電気自動車を導入します。
カリフォルニア州の Express Drive は、2016
年の夏にサンフランシスコで、秋にロサ
ンゼルスでサービスを開始します。ライ
ドシェアリングサービスとしては最大規
模の電気自動車群を用意し、2017 年型
Chevrolet Bolt 電気自動車を新たに導入す
る他、利用可能な 2016 年型 Chevrolet Volt
の種類を増やす計画です。
Express Drive は、2016 年秋までにデンバー
でも運用を開始します。Lyft ドライバーに
なるために申し込んだものの適格な車両
を所有していなかったという人は、サン
フランシスコ、ロサンゼルス、デンバー
の 3 都市で合計 13 万人以上いますが、
Express Drive の展開拡大により、こうした
人々が Lyft プラットフォームを使用して
運転できるようになります。
•
シカゴの新たな Lyft ドライバー志望者
の 30% が Express Drive 車両をリクエス
ト
•
ボストンのプログラムは 4 日足らずで
会員数が満員に
今回の展開拡大は、シカゴ、ボストン、
ワシントン D.C.、ボルティモアでのサービ
ス開始の成功に続くものです。
•
Lyft ドライバーが現在までにこのプロ
グラムで稼いだ金額は合計約 200 万ド
ル(約 2 億 400 万円)
3 月以来、この Lyft 限定プログラムは大き
な関心を呼び、広く採用されています。
出典 : GM
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August 2016 | Telematics News
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Telematics News
An SBD Information Service
CAR SHARING AND MOBILITY
HERE が自動車関連事業グループの責任者に Ralf Herrtwich 氏を任命
HERE は、同社の急成長中の自動車関連事業グループの責任者に Ralf Herrtwich 氏を任命したことを発表しました。
Herrtwich 氏がこの職務において注力する
のは、HERE の Open Location Platform のパ
ワーを車両にもたらすことと、位置情報
技術の展開を加速させて自動運転車を支
援することです。
同氏は、上級バイスプレジデントおよび
HERE 首脳陣の一員として、10 月 1 日より
HERE に加わります。
「自動車関連事業グループは HERE にとっ
て極めて重要です。このグループの先導
役として、自動車分野の研究開発とイノ
ベーション管理において申し分のない経
歴のある、強力で野心的なエキスパート
を当社は探していました。Ralf はまさに、
この役に適任です。彼の指導の下、自動
車関連事業グループは今後もイノベー
ション、製品/サービス提供、成長を続け
ていけるでしょう」と HERE の最高経営責
任者である Edzard Overbeek 氏は話します。
「地図技術がさらなる大躍進を遂げよう
としているときに HERE チームに加わるこ
とができ、大変光栄です。ここ数年、私
は業界でも最先端の自動運転車プログラ
ムの 1 つに従事してきました。その間に、
自動運転車の将来において地図と位置情
報サービスが果たす役割について多くの
ことを学びました。HERE が自動運転車に
提供できること、さらには、自動運転車
が周辺状況を観察するためのセンサを介
し、HERE の将来の地図に追加できること
を考えると、非常に楽しみです。自動運
転車からの情報を利用することで、まさ
に完全な仮想表現がリアルタイムで可能
になるでしょう」と Ralf Herrtwich 氏は述
べています。
3D 地図が搭載されました。Daimler に入社
する前は、RWE および IBM で様々な上級
管理職や指導役を務めています。ベルリ
ン工科大学でコンピューターサイエンス
の学士号および博士号を取得しており、
2009 年からは名誉教授を務めてもいます。
出典 : HERE
Herrtwich 氏は Daimler AG から HERE に加
わります。Daimler では、1998 年以来、多
数の職務に就いてきましたが、現在は自
動運転車/シャシーシステム部門取締役を
務めています。数年前には、画期的な
Mercedes-Benz S500 INTELLIGENT DRIVE プロ
ジェクトを立ち上げました。これは、自
動運転車による世界初の長距離走行プロ
ジェクトとなり、ドイツの農村部と都市
部の公道で 2013 年 8 月に実施されました。
その際、自動運転車には HERE の高精度
OPEL のカーシェアリングサービスがさらなる成長を目指す
Opel のカーシェアリングコミュニティ「CarUnity」は開始から 1 年が経過し、確実な成長を遂げました。CarUnity の
登録車両数は、すでに 4,000 台以上に達しています。
Opel は CarUnity の 1 周年を祝い、その拡
張を決定しました。立上期にはドイツの
ライン・マイン地域を中心にサービスを
提供してきましたが、今後はさらなる成
長を目指します。ベルリンとノルトライ
ン=ヴェストファーレン州で、CarUnity は
地域一帯でマーケティング活動を展開し
ようとしています。その手段の一例とし
て、大都市圏の地域放送局との包括的な
協業が挙げられます。
「Opel のカーシェアリング手法には大き
な利点があります」と最高マーケティン
グ責任者である Tina Müller 氏は語ります。
「柔軟で手頃な料金のモビリティや、所
有車両から収入を得る機会をユーザーに
提供できるのです。社会全体と環境にも
利点をもたらします。というのも、
CarUnity では既存の車両を使用し、それが
資源の保護につながるためです」
競争企業のサービスとは対照的に、革新
的な CarUnity コンセプトはオープンな
カーシェアリングプラットフォームであ
り、ユーザーが自身の車両をレンタカー
として提供することも、好みの車両をレ
ンタルすることも可能です。その際、車
両が Opel ブランドかどうかは問いません。
現在、個人と多数の Opel 従業員に加え、
60 以上の Opel ディーラーが所有車両を
CarUnity コミュニティで利用できるよう提
供しています。
「CarUnity のモットーは『シェアリングし
た方がよい』です。Opel にとって、個人
間でのカーシェアリングという革新的コ
ンセプトほど適したものはありません」
と Opel コミュニティカーシェアリング部
門取締役である Jan Wergin 博士は言いま
す。「何と言っても、親しみやすさは当
社のブランド価値の 1 つですから」
自動車からモビリティサービスへのポー
トフォリオの拡大は、Opel の将来の計画
における重要な要素です。同社は 2015 年
に、CarUnity とパーソナルコネクティビ
ティおよびサービス支援「Opel OnStar」
を開始しましたが、さらに、リュッセル
スハイム大学のキャンパスでライドシェ
アリングプロジェクトも開始し、成功さ
せています。
Opel の親会社である General Motors では、
モビリティの未来を形作ることも戦略上
重要です。今年、GM は新しいカーシェア
リングブランド「Maven」を立ち上げ、米
国の急成長中のライドシェアリングサー
ビスプロバイダー「Lyft」と長期的提携関
係を結びました。
出典 : Opel
SBD では、自動車メーカーに最も影響を及ぼし得る分野、かつ自動車メーカーが最も関与している分野である、マルチモーダル
交通サービス、カーシェアリング、ライドシェアリングに焦点を当てたレポート「オートモーティブモビリティ~接続型車両に
よるモビリティソリューション」(CON615)を発行しています。詳細は SBD ジャパンまでお問合せください。
E-mail : [email protected] Tel : 052-253-6201
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August 2016 | Telematics News
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Telematics News
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CHINA
NXP、Cohda、SIC、同済大学が上海で V2X を計画
NXP Semiconductors と同済大学は最近、NXP・同済大学ジョイントラボを通じて、中国初の大規模な高度コネクテッド
カー路上テスト計画の開始と実施を支援することを発表しました。
Shanghai Intelligent and Connected Vehicle
Demonstration Program(上海高度コネク
テッドカーデモプログラム)の一環とし
て実施されるこの路上テスト計画は、中
国のスマート交通および車車間通信規格
を開発する際の基礎となります。
NXP とパートナーの Cohda Wireless は、車
両および路側インフラ向けにセキュアな
車車間/路車間(V2X)通信技術を提供し
ます。今回の路上テストでは、アクティ
ブセーフティや交通管理/情報サービスの
測定など、様々なテストシナリオから V2X
通信データをリアルタイムで収集します。
この路上テストの開始は、Shanghai
Intelligent and Connected Vehicle
Demonstration Program にとって重要な節
目となります。2015 年 10 月に開始した同
プログラムの第 1 段階では、中国最大手
の自動車メーカーである Shanghai
Automotive Industry Corporation(SAIC)と
他の参加自動車メーカーの車両約 200 台
をテストします。同プログラムでは今後、
参加自動車メーカーを増やしていき、
2017 年までに 1,000 台、2019 年末までに
5,000 台、2020 年までに 10,000 台の高度コ
ネクテッドカーのテストを目指していま
す。
同プログラムでは、昨年の NXP・同済大学
ジョイントラボ開設後も多数の節目を迎
えてきましたが、V2X 路上テスト計画を
NXP/同済大学が共同支援するという発表
は、その最新のものとなります。同ラボ
では、NXP の高度な技術と製品、並びに自
動車に関する深い専門知識を活用し、中
国市場向けにカスタマイズされたコネク
テッドカーソリューションの開発を専門
的に行っています。
この路上テストで用いる車両と交通イン
フラ機器では、NXP の最新世代の
RoadLINK ソリューションを利用します。
RoadLINK 技術は IEEE 802.11p ワイヤレス通
信プロトコルをベースとしており、欧州
および米国の様々な専門機関や政府によ
る 10 年に及ぶテストを通じて、信頼性の
高い技術であることが実証済みです。低
速で信頼性の低いセルラーネットワーク
の代わりに実証済み 802.11p ワイヤレス通
信プロトコルを使用している RoadLINK ソ
リューションは、セーフティクリティカ
ルなケースで確かな性能を発揮します。
それと同時に、より高いレベルのセキュ
リティとプライバシー保護を実現します。
「SAIC および同済大学と連携して
Shanghai Intelligent and Connected Vehicle
Demonstration Program をさらに推し進め
ることができ、大変光栄です」と NXP
Greater China の社長である Li Zheng 氏はコ
メントしています。「高度道路交通シス
テムの開発は持続可能な都市の構築に欠
かせません。今回の路上テストで当社は、
セキュアなコネクテッドカーソリュー
ションおよび自動運転車プラットフォー
ムのグローバルリーダーとして、実証済
みで信頼性の高い RoadLINK 技術と自動車
に関する深い専門知識を中国における世
界レベルの高度道路交通システムの構築
に役立てることができます。これは、NXP
にとって非常に名誉なことです」
高度コネクテッドカーおよび高度道路交
通インフラは、交通事故と交通公害を減
らし、交通効率を改善する上で効果を発
揮する可能性があります。NXP は、
RoadLINK ソリューションを通じてセキュ
アなコネクテッドカー技術の分野を世界
的にリードする会社です。RoadLINK は高
レベルのセキュリティ、拡張性、相互運
用性によって幅広く認められてきました。
その信頼性の高さは、米国や欧州など主
要なグローバル市場での総距離 100 万 km
以上に及ぶ路上テストで実証済みです。
NXP は 2016 年 3 月に、米国運輸省の
Smart City Challenge に V2X ソリューション
を提供するパートナーに選ばれました。
4 月に実施された European Truck
Platooning Challenge では、RoadLINK を搭
載した隊列走行の OEM 自動運転トラック
6 隊列のうち 4 隊列が、自動運転技術のデ
モを成功させました。このイベントは、
高度な車車間通信ソリューションに固有
の経済、交通管理、安全上の利点を示す
目的で、オランダのインフラストラク
チャ・環境省が開催したものです。さら
に、NXP と Cohda Wireless は、Delphi が年
内に米国で計画している初の V2X 搭載量
産車向けに V2X 技術を供給します。
出典 : Business Wire
「SAIC は高度コネクテッドカーをいちは
やく導入し、中国における V2X 技術の開
発および適用を積極的に推進してきまし
た」と SAIC の高度コネクテッドカープロ
グラム責任者である Zou Qingquan 氏は述
べています。「業界のパートナーと連携
して、Shanghai Intelligent Connected
Vehicles Demonstration Program の発展を促
進できることを楽しみにしています」
「大規模な路上テストの実施は、このデ
モプログラムにおいて意義ある前進で
す」と同済大学側の高度コネクテッド
カープログラム責任者である Wang Ping 教
授は言います。「私たちは NXP および
SAIC との協調を継続し、中国市場の需要
に応え、中国におけるインテリジェント
カー業界の発展を支援していきたいと考
えています」
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August 2016 | Telematics News
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Telematics News
An SBD Information Service
CHINA
最新世代の Chevrolet Cruze を発表
中国の Chevrolet は、世界でも中国でも最もよく売れているモデル「Cruze」の最新世代を発表しました。Cruze は、
7 年前に第 1 世代が発売開始されて以来、総計 400 万台以上が販売されています。
人気の前モデルを強化した最新 Cruze は、
スポーティな外観とゆったりした車内空
間、エンジン始動/停止機能を装備した選
べる低燃費エンジン、スポーツシャシー、
4G LTE によるクラス最上級のコネクティ
ビティ、安全性の向上が特長です。
Chevrolet は、このセダンを 7 種類のトリ
ムレベルで販売することを発表しました。
価格帯は 109,900-169,900 人民元(約 168
万~260 万円)です。
若い世代の車両購入者のニーズに応える
ために、最新 Cruze は、このクラスでは最
上級のコネクテッドエクスペリエンスを
提供します。ユーザーは、標準装備の 7
インチマルチタッチカラースクリーンを
介してスマートフォン機能にアクセスで
きます。
「GM の最先端のグローバル対応中型車両
プラットフォームに裏打ちされた最新
Cruze は、最高の運転エクスペリエンスを
求める新世代の車両購入者向けに設計さ
れています」と SAIC-GM の社長である
Wang Yongqing 氏は話しています。
OnStar 4G LTE コネクティビティを採用し
ている最新 Cruze は、Wi-Fi ホットスポッ
トとしても機能します。これにより、
ユーザーは 700 ㎡ の範囲にあるの最大 7 台
のモバイル機器をインターネットに接続
することが可能です。さらに、Apple
CarPlay および Baidu Carlife に対応した
Chevrolet の最新世代 MyLink インフォテイ
メントシステムも利用できます。
クラス最上級のコネクティビティと安全
性の向上
最新 Cruze は安全面でもクラス最上級です。
高度安全技術として、タイヤ圧モニタリ
ングシステム(TPMS)、クラス最上級の
側面死角警告システム、第 2 世代アク
ティブ駐車アシスト(APA)、自動切り替
え式ヘッドライト、リアカメラなどを装
備しています。
最新 Cruze と今年発表された Malibu XL に
よって、Chevrolet は中国における次の成
長段階に進みました。2016 年下半期には、
北米および中国で同時に SUV と高性能車
を発売開始するなど、最新またはアップ
グレード版の 5 モデルを発表する計画で
す。これにより、Chevrolet の競争力に優
れた製品ラインを完成させる狙いです。
出典 : GM China
中国が国家自動車サイバーセキュリティ委員会を設置
中国は、高度コネクテッドカー/電気自動車の安全性を確保するために自動車サイバーセキュリティ委員会を設置
しました。
この委員会の設置は、吉林省の省都であ
り、中国の自動車業界の発祥地である長
春市で開催中の国際自動車技術フォーラ
ムで発表されました。
特に、5 月にフロリダ州で Tesla 車両が起
こした死亡事故の後、ハイテク車両の安
全性は世界中の IT 専門家の注目を集めて
もいます。
「この委員会は、自動車をサイバー攻撃
から保護するために、資金を出し合って
研究を進め、標準、方針、法律、規制を
考案する基盤として設置されました」と
中国汽車工程学会の副事務局長である
Zhang Jinhua 氏は言います。
「インテリジェントカーは Web に接続し
ている場合、ハッカーの攻撃に対して脆
弱です」と Datang Telecom の主任エンジ
ニアである Wang Yingmin 氏は述べていま
す。
技術と専門知識を自動車サイバーセキュ
リティの分野でも共有してほしいと期待
を寄せています。
出典 : Shanghai Daily
委員長を務めるのは、中国工程院のメン
バーであり、FAW Group Corporation の技
術責任者である Li Jun 氏です。
車両が高度化し、相互に通信するように
なってきているため、サイバーセキュリ
ティは自動車部門で重要性を増していま
す。多くの自動車メーカーが、サイバー
セキュリティ強化を目指してインター
ネット企業と提携しています。
General Motors は 3 月に、Cruise
Automation の買収を発表しました。これ
は、Cruise の優秀なソフトウェアエンジニ
アと短期間での開発に対応する能力を活
用し、自動運転車の開発を加速させるた
めです。
同氏によると、車両はハッカーに攻撃さ
れた場合、人命を脅かしかねない急ブ
レーキや急加速、急ハンドルにつながる
誤った命令に従う可能性があります。ま
た、電磁気および超音波干渉によっても、
同様の脅威が生じるといいます。
「スマートフォンは簡単に再起動できま
すが、インテリジェントカーが高速道路
の追越車線で故障してしまったらどうし
ますか?」と清華大学の自動車専門家で
ある Zhao Fuquan 氏は問い掛けます。
SBD の調査 「コネクテッドカーのセキュ
リティ: アタックポイントとその方法」
(SEC 553) では、コネクテッドカーエコ
システムにおける 50 箇所のアタックポイ
ントを特定しています。同調査は、コネ
クテッドカーのリスクやアタックの動機
などについて自動車業界内の理解を支援
することを目的としています。
本書および自動車のハッキングに関する
詳細情報は SBD ジャパンまでお問合せく
ださい。
E-mail : [email protected]
Tel : 052-253-6201
米国 Society of Automotive Engineers の最高
経営責任者である David Schutt 氏によると、
中国は理工学分野の人材が豊富で、彼ら
は情熱とプロ意識にあふれているといい
ます。そのため同氏は中国に対し、その
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August 2016 | Telematics News
| 27
Telematics News
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CHINA
Pateo が Geely 車両に搭載のテレマティクス機器向けに Sierra Wireless
コネクティビティを選択
Sierra Wireless は、PATEO が中国市場の車両に搭載しているテレマティクス機器向けにセルラーコネクティビティを
提供するために、Sierra Wireless AirPrime AR Series モジュールを選択したと発表しました。
した市場において高いシェアを獲得して
います。
Sierra Wireless AR Series 埋め込み型モ
ジュールは Legato ソフトウェア(アプリ
開発を簡素化するために設計された Linux
ベースの埋め込み型プラットフォーム)
と統合されており、自動車 OEM による新
しいコネクテッドカーサービスの開発を
可能にします。
柔軟なハードウェア設計に加え、AirPrime
AR Series ファームウェアは将来も使用で
きるよう設計されています。Sierra
Wireless のクラウドベースプラットフォー
ムを使用することで、顧客は端末の
ファームウェアを OTA(Over-The-Air)で
簡単にアップグレードできます。しかも、
数千台、数百万台の展開済み端末を一度
に処理することが可能なのです。
自動車レベルの AR Series 埋め込み型モ
ジュールは、2016 年第 1 四半期から
PATEO に供給されています。同モジュー
ルを採用した PATEO テレマティクス機器
が最初に搭載されたのは、Geely の車両プ
ラットフォームです。
オープソースかつ埋め込み型のアプリ
サービス向けプラットフォームです。将
来のコネクテッドカーのために革新的技
術を開発するという当社のビジョンをサ
ポートする、完璧なソリューションで
す」
「Sierra Wireless の最先端の自動車コネク
ティビティソリューションは、2G、3G、
4G 技術の間で容易に拡張が可能です」と
PATEO Connected Cars のバイスプレジデン
トである Chris Ying 氏は語ります。「AR
Series は自動車レベルに完全に対応した、
上海を拠点とする PATEO は、中国のコネ
クテッドカー向け製品およびサービスの
リーディングプロバイダーです。テレマ
ティクスおよびインフォテイメントシス
テムを専門としており、中国の自社ブラ
ンド、合弁会社、高級ブランドを対象と
出典 : Sierra Wireless
uSens が ARVR トラッキング技術に関し Daimler China と協業
シリコンバレーに拠点を置き、拡張現実/仮想現実(ARVR)向けの自然なハンド/ヘッドトラッキング技術を専門と
するスタートアップ企業が、今週、Anaheim Convention Center で開催される SIGGRAPH 2016 展示会において、Daimler
China IT Innovation Lab との協業で新たに開発した技術を発表します。
展示会では、uSens の最先端の 26DOF(自
由度)のハンドトラッキング技術と 6DOF
のヘッドトラッキング技術のデモが実施
されます。参加者は ARVR で 3D 車両モデ
ルの外装と内装の詳細を観察し、体感で
きます。また、ゴールデンゲートブリッ
ジでの仮想ドライブを楽しむこともでき
ます。
uSens の技術は 3D HCI、機械学習技術、コ
ンピュータービジョン技術を活用し、
ARVR での自然で直観的なエクスペリエン
スを実現します。世界初の 26DOF モバイ
ルハンドトラッキングソリューションを
用いて、uSens は ARVR ユーザーをハンド
ヘルドコントローラーや複雑な外部カメ
ラなどの煩わしい周辺機器から解放しま
す。uSens のトラッキング技術は展示会で
のデモに加え、エンターテイメントや教
育関連のアプリ向けに用意されたモバイ
ル機器および PC ベースのデモでも体験で
きます。
「ハードウェアメーカーおよびコンテン
ツデベロッパーが PC とモバイルプラット
フォームの両方において自然なハンド/
ヘッドトラッキングの課題を克服しない
限り、ARVR は非常に臨場感あふれるエク
スペリエンスを作り出すという本来の能
力を発揮することはできません」と uSens
の最高技術責任者であり共同設立者でも
ある Yue Fei 博士は説明します。
「SIGGRAPH で、当社の ARVR を試す機会
を参加者に提供できることを楽しみにし
ています」
出典 : PR Newswire
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August 2016 | Telematics News
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Telematics News
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CHINA
Uber がライバルの Didi Chuxing と合併
配車サービスプロバイダーの Uber は、中国での事業と同社よりはるかに規模の大きいライバル会社 Didi Chuxing の
合併に合意したと報じられています。
Bloomberg によると、今回の 350 億ドル
(約 3 兆 5,800 億円)の合併取引により、
米国に拠点を置く Uber、中国のインター
ネット巨大企業 Baidu などの所有する
Uber China は、会社の株の 20% を所有す
ることになるといいます。
Uber China は 2014 年に開業しましたが、
これまでのところ利益を挙げていません。
同社と Didi Chuxing は数年にわたり激しい
競争を展開してきましたが、Didi Chuxing
が常に市場を独占してきました。5 月現在、
Didi Chuxing は 1 日のサービス利用数が
1,100 万件以上で、中国の市場シェアの
87% を獲得していると話しています。ま
た、中国のインターネット巨大企業であ
る Tencent と Alibaba の支援を受けており、
Uber のライバルで米国のライドシェアリ
ングサービスプロバイダーである Lyft に
出資をしてもいます。
配車サービスアプリは幅広く受け入れら
れていますが、通常のタクシービジネス
を弱体化させ、タクシー運転手から抗議
を受けてきました。11 月 1 日に発効する
新しい規則によって、ライドシェアリン
グプラットフォームは原価より安い料金
で運用することが禁止されます。また、
補助金の提供範囲が制限される可能性も
あります。
出典 : BBC
大きな損失
「Uber にとって、中国での夢への投資が
大きな負担になっていったようです」と
北京を拠点とするコンサルティング会社
BDA の会長である Duncan Clark 氏は BBC に
語っています。「中国での事業が同社の
IPO(新規株式公開)の障害になっている
というのが多くの人の見方でした」。
Uber は中国の検索エンジンプロバイダー
である Baidu を出資者としながらも、中国
市場への参入に苦戦してきました。2 月に
Uber は、中国では莫大な資金を投じてラ
イドシェアリングサービスの割引のため
に補助金を出しているため、年間 10 億ド
ル以上の損失が出ていることを認めまし
た。
「1 つ注意深く見守らなければいけないの
は、補助金の打ち切り後、どのくらいで
その影響を消費者が感じるようになるか
ということです」と Clark 氏は言い添えて
います。
熾烈な競争の結果、両社ともライドシェ
アリングサービスに対する多額の補助金
が必要となりました。合併後は、そのよ
うな補助金は減ると見られています。
新しい規則
中国が配車サービスアプリに法的枠組み
を設定することを決定したわずか数日後
に、Uber と Didi Chuxing との合併が報じら
れました。両社はそれまで、中国におい
て法律が未整備の分野でビジネスを展開
していたため、中国によるこの決定を歓
迎しています。
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August 2016 | Telematics News
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Telematics News
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CHINA
Delphi が自動運転車オンデマンド型モビリティプログラムのパートナー
に選定
Delphi は、シンガポール陸上交通庁(LTA)から自動運転車モビリティコンセプトを実装するための戦略的パートナー
に選ばれました。
このプログラムで Delphi は、完全自動運
転車を提供し、クラウドベースのオンデ
マンド型モビリティソフトウェア
(AMoD)スイートを開発することで、顧
客向けに新たな自動運転車市場を切り開
きます。また、都市部、2 地点間、低速、
自動運転のオンデマンド型モビリティ
サービスのテストをシンガポール市内西
部のビジネスパーク、ワンノースにある
自動運転車試験場で実施します。
「シンガポール LTA とともに革新的モビ
リティシステムの発展を目指せることに
なり、大変光栄です。このプログラムに
より、シンガポールは自動運転車の導入
の最先端を行くことができるでしょう」
と Delphi の社長兼最高経営責任者である
Kevin Clark 氏は言います。「今回パート
ナーに選ばれたことは、高度安全技術、
自動化ソフトウェア、システム統合の分
野における Delphi のリーダーシップ、さ
らにはこうしたモビリティソリューショ
ンを顧客のために進化させる能力が認め
られた証です」
Delphi の AMoD 開発プログラムと自動運転
車のデモは、シンガポール自動運転車プ
ロジェクト(SAVI)の一環です。SAVI は、
自動運転車(AV)の研究、試験場、業界
パートナー/関係者によるアプリおよびソ
リューションの開発を観察し、管理する
目的で 2014 年に立ち上げられました。
シンガポール LTA が特に関心を寄せてい
るのは、自動運転ソリューションにより、
通勤者にとって公共交通機関の駅/停留所
と自宅や職場の間の「最初」と「最後」
の移動が楽になる可能性です。このニー
ズに応えることで、公共交通機関の利用
が増え、全体的な交通渋滞と車両の CO2
排出量を減らせる可能性があります。
Delphi は、車両ベースの安全技術分野の
リーダーとして広く認められています。
完全自動運転車の構成要素であるこの技
術には、高度センサ、ソフトウェア、配
電などが含まれます。同社は SAVI への参
加を利用して、世界中の顧客にサービス
を提供するために新製品および機能の開
発に取り組んでいます。
「SAVI のパートナーとして、Delphi は
2015 年に米国で初の自動運転による大陸
横断を成功させた際と同じ車両技術基盤
を使用します」と Delphi の最高技術責任
者である Jeff Owens 氏は話します。「車両
と統合可能なクラウドベースのソフト
ウェア提供機能を開発することで、エン
ドツーエンドのソリューションが実現し
ます。そのソリューションによって結果
的に、既存および多くの新規顧客が新興
のモビリティ市場に参入できるようにな
ります」
農業、鉱業分野の既存および新規顧客に
提供する新しいビジネスチャンスを多数
切り開くことができます。
Delphi の技術ソリューションは車両非依存
型のため、乗用車、バス、商用車、専用
モビリティポッド、電気自動車など任意
の車両に適用可能です。自動運転車は、
都市部および郊外での効率的な車両共有、
自動運転バス/タクシーサービス、物流、
長距離のトラック隊列走行を促進する機
会をもたらします。
シンガポール LTA 試験プログラムは 3 年間
にわたって実施され、2022 年までに運用
サービスに移行する計画です。Delphi は、
他にも北米および欧州での試験プログラ
ムを計画しています。
出典 : Delphi
クラウドベースのサービス提供機能を含
む真にエンドツーエンドの自動運転車エ
コシステムを構築することで、Delphi がモ
ビリティおよびコネクティビティ、物流、
TrakM8 が中国における Allianz とのテレマティクス保険契約を獲得
Trakm8 は、グローバルな保険会社である Allianz との 2 件の初期契約にこぎつけたことを発表しました。この契約は、
Allianz のグローバルテレマティクス事業向けに、独自に開発されたソフトウェアを搭載した端末を供給するという
ものです。
この初期契約では、中国における Allianz
テレマティクス保険の提供開始に当たり、
まずは 5,000 台の端末を供給します。
Trakm8 は最新第 5 世代の T10 Micro 自己装
着型テレマティクス端末を提供します。
この端末は当初、Trakm8 グループの英国
の製造施設で生産されます。生産量の増
加とともに、生産拠点がアジアに移され
る見込みです。
これとは別の契約で、Trakm8 は Allianz の
要件を満たす特定のソフトウェアを開発
することにもなっています。
出典 : TrakM8
SBD では最新の UBI(利用ベース自動車保
険)市場を調査し、普及状況、保険業界
および OEM に与える影響などについて解
説したレポート「テレマティクス保険~
本格普及に向けた環境は整ったか?」
(CON614)を発行しています。
詳細は SBD ジャパンまでお問合せ
ください。
E-mail : [email protected]
Tel : 052-253-6201
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August 2016 | Telematics News
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Telematics News
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TN Automotive Diary
9 月 19 - 20 日
Auto Apps & Connected Driving Technologies
ドイツ・ベルリン
Mercure Hotel MOA
Automotive-apps-world.com
9 月 20 - 22 日
Autosens
AutoWorld
ベルギー・ブリュッセル
Auto-sens.com
10 月 3 - 4 日
ADAS to Autonomous
米国・ノバイ(ミシガン州)
The Baronette Renaissance
Analysis.tu-auto.com
10 月 6 - 7 日
Cyber Security Europe 2016
ドイツ・ミュンヘン
Tu-auto.com/cyber-security-europe
10 月 17 - 18 日
Connected Automobiles 2016
イタリア・ミラノ
ACI Sara Safe Driving Centre
Connectedautomobiles.eu
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August 2016 | Telematics News
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Telematics News
An SBD Information Service
TN 動画ニュース
Ford AppLink エミュレーターがアプリ開発を支援
アプリ開発のハードルを下げる
この無料ソフトウェアエミュレーターは誰でも使用可能なので、
特に、デベロッパーが車両や Ford が現在採用している SYNC 対応
アプリ開発の手法(FordDev Technology Development Kit として知
られる卓上ハードウェア機器)を自由に利用できない市場にお
いて、開発のスピードアップに役立ちます。Ford は同キット
(別称 SYNC-in-a-box)をサンフランシスコでのみ利用できるよう
にしています。
デベロッパー向けの会議およびハッカソン
Ford は、スマートフォンアプリデベロッパー向けに無料ツール
を導入します。同社の SYNC 3 通信およびエンターテイメントシ
ステムに対応した車載アプリを、デベロッパーがコスト効果に
優れた方法で容易に開発できるようにすることが狙いです。
デベロッパーによる AppLink 対応アプリの開発を支援するソフト
ウェアプログラムです。同エミュレーターを用いることで、実
際の車両にアクセスすることなく、アプリの外観と機能を SYNC
3 インターフェース上でテストできます。
「SYNC 3 AppLink Emulator は、デベロッパーコミュニティにとっ
てアプリ開発のハードルを大幅に下げるツールです」と Ford の
コネクテッドカーおよびサービス部門モバイルアプリ開発管理
者である Dave Hatton 氏は言います。「デベロッパーがこのツー
ルを活用して、規模を問わず、世界中で新しく魅力的な車載ア
プリを多数開発することを期待しています」
Ford は 9 月 7-9 日にラスベガスで、第 3 回年次 SYNC AppLink
Developer Conference と CTIA Super Mobility 2016™ を同時開催しま
す。これらのイベントでは Ford エンジニアが、よりパーソナラ
イズされた車両データ駆動型アプリを開発するための最新ソフ
トウェアツールについて説明します。
さらに、Ford デベロッパーチームがハッカソンを開きます。デ
ベロッパーはイベントで学んだことを実行に移し、賞品獲得を
目指して競い合います。過去のハッカソンには、米国、カナダ、
英国、ブラジル、香港、日本など世界中からデベロッパーが参
加しています。
「グローバルなデベロッパーコミュニティを受け入れ、イノ
ベーションの機会を提供することは、Ford の使命の重要な側面
です」と Hatton 氏はコメントしています。「私たちはこれまで、
Ford Developer Program の枠組みの中で成長に向けた取り組みを
行ってきましたが、その結果、イノベーションの波が起こるこ
とを、一企業として楽しみにしています」
Ford Developer Program
重要なアプリ開発ツール
このエミュレーターにより、スマートフォンを SYNC 3 に接続す
るのと同様に、デベロッパーのコンピューターに接続できます。
その後、このソフトウェアプラットフォームがデベロッパーの
スマートフォンで実行されているアプリに接続することで SYNC
3 を模倣します。デベロッパーはアプリの外観および機能を微調
整した後、直ちに、作成した機能が車載タッチスクリーン上で
どのように見えるかを確認できます。
デベロッパーはこのソフトウェアを使用することで、車両の速
度、位置、室温、走行距離といった特定の条件を設定し、各条
件下でのアプリの反応をテストできます。このように設定のカ
スタマイズが可能なため、よりパーソナライズされたエクスペ
リエンスを顧客に提供するアプリを開発できます。
2013 年に開始した Ford Developer Program は、自動車業界初のエ
ンドツーエンドのデベロッパーエコシステムです。Ford ととも
にイノベーションを実現したいと望むアプリデベロッパーを世
界中から受け入れています。現在、世界中に 15,000 人以上の登
録ユーザーを抱え、90 以上の AppLink 対応スマートフォンアプリ
を開発済みです。中でも人気が高いのは、Spotify、AccuWeather、
MLB.com At Bat、iHeartAuto(いずれも AppLink 対応)などですが、
他にも多数のアプリがあります。
出典 : Ford
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August 2016 | Telematics News
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Telematics News
An SBD Information Service
TN 動画ニュース
Avis Now アプリで車両のレンタルを管理可能
プグレードできます。別の色の車両やコンバーチブルに乗りた
い気分のときには、画面をスワイプしてタップし、好みの車両
を選択するだけです。
レンタルエクスペリエンスを始終管理:アプリを使用してレン
タル契約の確認、キャンセル、延長をすべて済ませることがで
きます。施錠/解錠したり、車両を探すためにヘッドライトを点
灯したりすることも可能です。車両の返却手続きも、スタッフ
の介入が不要のため、スピーディかつシンプルです。すべてを、
ポケットに収まる技術で管理できるのです。
新しい Avis Now モバイルアプリの機能によって、車両レンタル
の詳細をすべて管理できます。Avis はこのプロセスの中で、車両
レンタルにおいて重要なイノベーションを実現します。
割り当てられた車両が気に入らない場合は、直ちにスマート
フォンの画面をスワイプして別の車両を選択できます。レンタ
ル期間の延長やレンタル契約の表示も、手元の操作だけで完了
します。カウンターで待つ必要はありませんし、契約内容を常
に把握できます。
顧客の意見を反映させた Avis Now は、極めて柔軟かつ簡単に車
両レンタルエクスペリエンスを管理します。Avis 車両群の全車両
に対応しており、コネクテッドカーエクスペリエンスを全体的
に改善するよう設計された特別な機能を装備しています。ス
ピーディな手続きで車両をレンタル可能なロイヤルティプログ
ラム「Avis Preferred」に登録しているユーザーは、スマートフォ
ンを操作するだけで次のことが可能になります。
希望通りの車両を選択:レンタル可能な車両をリアルタイムで
表示し、駐車場に到着前または到着後に車両を交換またはアッ
リアルタイムで最新情報を入手して不安を取り除く:レンタ
カーでの移動に関するリアルタイムの重要な通知を受信できま
す。レンタル契約を即座に表示し、燃料残量や走行距離を確認
し、必要に応じて支援を受けることも可能です。こうした情報
をすべて、管理、時間の節約、円滑な移動をサポートするため
に構築された便利なアプリで入手できます。
Avis Now は現在、米国内の 50 以上の場所で使用でき、今後数ヶ
月で、特定の国際市場でも利用可能になる予定です。
Avis Now アプリは、すべての Avis Preferred 会員が iOS/Android 搭
載モバイル端末上で使用できます。Avis Preferred への登録は無
料です。
出典: Avis
SBD では、自動車メーカーに最も影響を及ぼし得る分野、かつ自
動車メーカーが最も関与している分野である、マルチモーダル
交通サービス、カーシェアリング、ライドシェアリングに焦点
を当てたレポート「オートモーティブモビリティ~接続型車両
によるモビリティソリューション」(CON615)を発行していま
す。詳細は SBD ジャパンまでお問合せください。
E-mail : [email protected]
Tel : 052-253-6201
Citroen が最新 C3 で ConnectedCAM 画像共有機能を提供
新しい Citroen C3 は、同ブランドにとって世界初となる
ConnectedCAM Citroën を搭載しています。ConnectedCAM Citroën
は、バックミラーの裏に完全に統合されたカメラを使用して、
画像およびビデオを撮影します。撮影した画像/ビデオはソー
シャルメディアで即座に共有することも、交通事故の際の証拠
として保存することも可能です。
Citroën C3 は、音声制御 3D ナビゲーション、リアカメラ、車線
逸脱警告、死角モニタリングなどの先進運転支援システムを搭
載し、運転エクスペリエンスを改善するためのオプションが増
えています。
出典 : Citroën
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August 2016 | Telematics News
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Telematics News
An SBD Information Service
TN 動画ニュース
SAIC と Alibaba がコネクテッドカー Roewe を発表
中国の上海に拠点を置く自動車メーカーの SAIC Motor と E コ
マース巨大企業の Alibaba グループは、初のコネクテッドカーを
発表しました。この車両には将来、さらに高度な機能が搭載さ
れる計画です。SAIC は杭州市での式典で、同社の子会社のブラ
ンド名で発表したこの Web 対応 SUV「Roewe Rx5」の価格は、
148,800 元(約 228 万円)からであると明らかにしました。
このモデルは、Alibaba の自社開発 OS である YunOS を搭載した初
のコネクテッドカーです。両社は昨年 3 月に、10 億元(約 153
億円)を投じてコネクテッドカーを開発することで合意しまし
た。これにより、Alibaba は自動車業界という新たな競争の場に
初めて加わることになりました。
Alibaba の会長である Jack Ma 氏は、コネクティビティによって車
両は将来、移動手段であると同時に、人々の日常生活を緊密に
つなぐスマートデバイスにもなるであろうと話しています。
「現在のスマートフォン機能の 80% は、通話とは関係がありま
せん。将来は、車両機能の 80% が運転とは関係のないものにな
るであろうと私は考えています」と同氏は杭州市での式典で
語っています。
コネクテッドカーで人気の高い機能です。YunOS OS によって、
ドライバーは音声コマンドでウィンドウの開け閉めや、ナビ
ゲーションシステムの制御、さらにはモバイル決済、レストラ
ンの予約などを行うこともできます。
SAIC のバイスプレジデントである Wang Xiaoqiu 氏の話では、コ
ネクテッドカーの購入者にはナビゲーションや OS のアップデー
トのような基本機能のためのデータ容量は無料で提供されると
いうことです。
Roewe 車両の品質を考慮すると、価格は手頃であると同氏は言
います。コネクテッドカーというビジネス分野は、世界の自動
車業界の将来を担うと見られており、自動車メーカーとイン
ターネット企業にとっての競争の場となっています。Alibaba の
YunOS 以外にも、Google の Android Auto と Apple の CarPlay が車
両用 OS として使用されています。
出典 : South China Morning Post
SBD では自動車メーカーが提供している OE テレマティクスシス
テムおよびサービスの課金モデルやアーキテクチャ、パート
ナー企業、装着率、提供状況などの最新情報を画像や動画と共
に提供しているレポート「コネクテッドカー総合ガイド」
(CON526)を発行しています。欧州、北米、中国は四半期ごと、
Alibaba の E コマースプラットフォーム「Tmall」では、Roewe
オーストラリア、ブラジル、インド、日本、メキシコ、韓国、
RX5 の先行販売が開始しています。
タイ、アラブ首長国連邦(UAE)の 8 ヵ国については年 1 回最新
情報をお届けしています。詳細は SBD ジャパンまでお問合せく
Roewe RX5 は、スマートフォンのようなスマートデバイスと接続 ださい。
することで、遠隔での車両の解錠やエアコンの調整が可能にな
E-mail : [email protected]
ります。車載エンターテイメントや Web 対応ナビゲーションも、 Tel : 052-253-6201
インターネットに接続したスマートカーは自動車業界の将来を
担うものであり、自動運転車もまた、主流になるであろうと同
氏は述べています。
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August 2016 | Telematics News
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TN 動画ニュース
FCA がサイバーセキュリティ上の脆弱性を見つけるためのバグ発見報奨金
プログラムを発表
コネクティビティ技術と自動車業界のつながりが急速に強まっ
ていることを受け、FCA US は顧客、車両、コネクテッドサービ
スの安全性とセキュリティを高めるために、Bugcrowd プラット
フォームで公開バグ発見報奨金プログラムを発表しました。
「自分の車両や IT システムをいじるのが好きだという人は大勢
います」と FCA US LLC のセキュリティアーキテクチャ部門上級管
理者である Titus Melnyk 氏は話します。「当社では、潜在的な脆
弱性が顧客にとっての問題を引き起こす前に修正できるよう、
独自にセキュリティ研究を行っている人たちに協力してもらい、
発見した脆弱性の情報を共有してほしいと考えています」
なるはずですから」
Bugcrowd では、すべての報奨金の支払いを管理しています。報
奨金の額は、発見された製品のセキュリティ上の脆弱性の重要
度と影響を受けるユーザーの範囲で決まります。報告された脆
弱性には、1 件につき 150-1,500 ドル(約 15,000 ~153,000 円)の
報奨金が支払われます。
「自動車サイバーセキュリティは現実の重要な問題であり、広
く浸透してもいます。自動車メーカーは、協力的姿勢を示して
いるハッカーコミュニティと連携してこの問題に取り組むとい
う機会に恵まれています。FCA US はフルラインナップの自動車
FCA US のバグ発見報奨金プログラム(https://bugcrowd.com/fca) メーカーとしては初めて、報奨金プログラムを通じ、この関係
は、Bugcrowd のサイバーセキュリティ研究者クラウドソーシン
を最大限に活用しています」と Bugcrowd の最高経営責任者であ
り設立者でもある Casey Ellis 氏は言います。「現代の車両は重さ
グコミュニティを活用して、潜在的脆弱性の責任ある開示のた
2 トンのコンピューターも同然であることを顧客は理解し始めて
めの公開チャネルを推奨しています。コネクティビティ技術と
います。この報奨金プログラムで最も得をするのは、FCA US の
自動車業界のつながりによって生まれるサイバーセキュリティ
の課題に対処する上で、同プログラムは最善の手段の 1 つである 顧客です。現在も将来も、さらに安全かつセキュアな車両を手
と FCA US は考えています。同社は Bugcrowd プログラムを通じて、 にすることができるのですから」
製品のセキュリティ上の潜在的脆弱性を発見し、十分なテスト
の後に修正または軽減し、FCA US 車両およびコネクテッドサー
「顧客および車両の安全性とセキュリティは、FCA US の最優先
事項です」と FCA US LLC のサイバーセキュリティシステム責任者
ビスの安全性とセキュリティを高め、サイバーセキュリティコ
ミュニティ内の透明性と協力の精神を育てることができます。
である Sandra Hosler 氏は述べています。「安全を第一とする企
業文化の下、当社はエンジニアリング、安全性、規制関連、コ
「ニュースをにぎわせ、注目されたいという一心で、セキュリ
ネクテッドカーの専門家から成る職務横断的なチームを編成し
ティ研究者が発見した脆弱性を暴露することがあるかもしれま
ました。セキュリティを車両および製品に組み込むために、幅
せんが、それでは顧客を保護することはできません」と Melnyk
広い業界の専門家との協業に積極的なメンバーばかりです」
氏は付け加えます。「そのような暴露行為を防ぐためにも、当
社はセキュリティ研究者が割いた時間と労力に対し報奨金をき
出典 : FCA
ちんと支払いたいのです。それが結局は、私たち全員のために
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August 2016 | Telematics News
| 35
Telematics News
An SBD Information Service
TN 動画ニュース
Capgemini が小売業者向け AutomotiveConnect を発表
Capgemini は、新しいサービスとして小売業者向け
AutomotiveConnect を発表しました。今日の小売業者は、店舗で
もオンラインでも、顧客の期待を上回り、高度にパーソナライ
ズされたデジタルエクスペリエンスを提供しなければなりませ
ん。この新サービスは、自動車ディーラーが最新デジタル技術
を展開して新しいデータストリームを利用し、売上高/収益、顧
客維持率、経営効率のすべてを向上させることができるよう設
計されています。
Capgemini の小売業者向け AutomotiveConnect は、同社のコンサ
ルティングおよび技術に関する幅広い専門知識を活用し、
ディーラー、販売業者、輸入業者がこの変化の激しい業界にお
いて、次の 4 分野に特化したサービスを通じビジネスを円滑に進
められるよう支援します。
コネクテッドカスタマー – 従来の車両購入プロセスを根底からく
つがえす、デジタル第一主義の破壊的プロセスが次々に出現し
ているにもかかわらず、自動車顧客の 95% は依然として、購入
前にショールームに足を運んでいます。ただし、そこで顧客が
求めるサービスは変化しています。彼らが求めているのは、製
品の販売員ではなく、専門家です。デジタルで事前に確認した
ことを、ショールームで実際に体験させてくれるディーラーで
す。魅力的なデジタルエクスペリエンスは、もはや顧客が当然
期待するものであって、特別なサービスではありません。
コネクテッドカー – 顧客の 47% は、次に購入する車両では当然、
コネクテッドカー機能を使用できるだろうと考えています。こ
れはディーラーにとって、OEM ブランドのコネクテッドカー機
能と販売後の付加価値サービスを提供する絶好の機会となりま
す。車両コネクティビティ機能により収集したデータを分析す
ることで、顧客の求めているサービスの理解が進みます。こう
して得た情報は、競争上の優位性を維持する上で役立ちます。
技術系最大手企業や主要 OEM はすでに、コネクテッドカー機能
のもたらす利点を享受しています。ディーラーも享受すべきと
きが来ています。
コネクテッドインサイト – Capgemini の Automotive Insights
Laboratory による支援のもと、小売業者は車両、顧客、市場、お
よび環境に関するデータの意味を把握できます。その結果、顧
客の好みに合った適切な種類の車両とアクセサリーを提供する
ために、よりスマートな意思決定を下せます。この業界知識と
ローカル市場の理解によって、ディーラーは購入動向を予想し、
顧客ニーズに確実かつ効果的に対応できます。
コネクテッドオペレーション – 3 分の 2 以上の顧客が、車両購入
後、納車に関する最新情報を頻繁に受け取ることを望んでいま
す。この期待に応えるには、サプライチェーン全体が密に連携
する必要があり、ディーラーにとってはプレッシャーとなりま
す。大量の在庫を抱える小売業者は特に、新しい技術ツールの
恩恵を受けられます。このツールを用いてスタッフ効率を向上
させ、あらゆる方向から資産を確認し、車両管理と在庫管理を
改善できます。このコネクテッドオペレーションサービスに
よって、在庫管理、財務、人的資源、その他のレガシーシステ
ムを統合するデジタルプラットフォームが実装されるため、
ディーラーは効率アップを実現できるでしょう。
Capgemini の顧客で米国に拠点を置く Southeast Toyota LLC は、世
界最大級のトヨタおよび Scion 車両の独立系販売業者ですが、こ
うしたサービスの価値について次のように力説します。「業界
が変化に対応し続ける限り、私たちも対応を続けます。より効
果的にトヨタと当社のディーラーに価値を付加できる方法で、
大量の資源を投じ、既存システムとプロセスの最新化を継続し
ていくつもりです」
Capgemini の自動車部門グローバル責任者である Kai Grambow 氏
は次のように語ります。「ディーラーは専門知識、ローカル市
場の知識、実際の車両エクスペリエンスを顧客に提供する信頼
できる存在であり、自動車購入プロセスには欠かせません。し
かし、デジタルが従来の購入サイクルを大変革し、Tesla や Apple
のような新しい競争企業が出現している市場では、ディーラー
は常に先手を打ち、デジタル技術を販売モデルに取り入れるこ
とにより、自身の競争上の強みを守る必要があります。増大し
続ける自動車データストリームを利用して顧客エクスペリエン
スの向上を推進することで、ディーラーは顧客が離れることな
く毎年必ず戻ってくる方法を生み出せるでしょう」
Capgemini は、自動車業界の顧客価値向上を支援する OEM 向け/
サプライヤー向け AutomotiveConnect を発表し、すでに成功を収
めています。小売業者向け AutomotiveConnect は、これらを拡張
したサービスです。いずれのサービスも、提供するのは同社の
Automotive Insights Laboratory です。Automotive Insights Laboratory
では、コンサルタント、アナリスト、データサイエンティスト
から成るグローバルな専門チームがデータをリアルタイムで照
合および分析して、その結果得た顧客情報を提供し、将来の顧
客の行動を予想します。
出典 : Capgemini
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August 2016 | Telematics News
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SBD は、自動車セキュリティ、コネクテッドカー、自動
車安全技術の 3 分野において、解析レポート、データ
ベース・総合ガイド、ベンチマーク、将来予測、エンド
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