卯之町 - 西予市

シリーズ・卯 之 町 ごよみ ⑤ひなまつり
小さいころは毎年この時期、母親と一緒にひ
な人形を飾るのを楽しみにしていました。3月
3日、4日はひなまつり(雛節句、桃の節句)
と言われ、女の子の成長を祈るおまつりとして
知られています。愛媛県では、旧暦に近い月遅
れの4月3日、4日に行われることが多かった
ようです。宇和でも、3日には雛飾りをし、桃
や桜の花、白酒、菱餅、豆炒り、瀬戸貝などを
そなえ、4日は「雛あらし」といい雛飾りをし
てある家にご馳走をもらいに行き、花見などに
出かけていました。雛祭りは、穢れや災厄払い
として身代わりの人形を海や川に流すという
「流し雛」も起源のひとつと言われ、雛あらし
は禊に出る日とするの信仰のなごりではない
かと言われています。
卯之町在住の方によると、昭和初期頃は女の
子のいる家庭では雛飾りをし、3日にもお重に
お弁当を詰め
↓
花
見
客
で
賑
(わ
昭う
和郷
初の
期池
か
)
お弁当を詰めてお花見に出かけていたそうで
す。お弁当は巻きずしや柑橘類、そして雛あら
れを丸く固めたお団子でした。そして4日の雛
あらしでは残ったご馳走を持ち、お花見に出て
いました。卯之町で一番のお花見処は現在の郷
団地にあった、郷の池でした。
現在の雛飾りは全国的に雛段に飾るものです
が、江戸時代から戦前ごろまで西日本では豪華
な造りの小さな御殿の中に人形を飾る「御殿飾
り」が主流でした。当時は、この卯之町でも多
くの家が御殿飾りだったようです。公家文化の
なごりとされ、西日本で広がりました。宇和民
具館には卯之町、宇和の方から寄付された多く
の御殿飾りを収蔵しております。現在、米博物
館と民具館では特別展「宇和の雛めぐり」を開
催しております、ぜひお越しください。
(参考:
『宇和町の年中行事』門多正志著)
宇
宇
和
和
雛
の
雛の
め
め
ぐ
ぐ
り
り
卯之町
重
伝
建
平 成 26 年 2 月 20 日 発 行
発行・編集/宇和先哲記念館
(西予市役所商工観光課
町並み保存係)
〒797-0015 愛媛県西予市宇和町
卯之町四丁目 327 番地
電話:(0894)62-6700 FAX:(0894)62-6701
e-mail:[email protected]
3 月号
だより
文 化 庁 調 査 官 による現 地 指 導 を受 けました
1 月 24 日(金)、文化庁文化財部参事官付
り建造当時の状態に近づけるための改善点や、
(建造物担当)伝統的建造物群部門の島田敏男
それぞれの案件にふさわしい修理等の助言を
主任文化財調査官が来市され、保存地区にて修
いただきました。
理修景事業についてご指導いただきました。重
よりレベルアップした町並み保存へ向けて
伝建選定地区は年に1度、文化庁からの現地指
、行政、建築士、関係業者、共に経験や知識を
導を受けることになっております。
深めていけるよう取り組んでまいります。
内容は、昨年度に国からの補助で修理・修景
された物件の出来栄えの確認(設計書どおりに
できているか、伝統工法を守っているか、かつ
ての状態に復元修理できているか等)や、今後
修理・修景の予定のある物件について、どのよ
うな設計で行えばよいかの指導です。
当日は、町並み保存係、建設課職員の他、そ
宇 和 民 具 館 と宇 和 米 博 物 館 にて 4/3 まで
れぞれの物件の担当設計士、施工業者も立合っ
鳥居門を入念に確認される島田調査官
ていただきました。物件を実際に見ながら、よ
お
知
ら
せ
先哲記念館
・2階企画展示室(要入館料)
~3/30(日)『イネと弟ハインリッヒ展』
・市民ギャラリー(無料)
2/22(土)~3/2(日)『お祭りを描く絵画展』
3/8(土)~3/16(日)宇和洋画教室作品展
民具館
・企画展示室(要入館料)来年度 11 月ごろまで 『たまげた!懐かし昭和の部屋』
・3/2(日)午後 2 時から 3 時ごろまで「うたいま唱歌」(毎月第 1 日曜日)
旧末光家住宅一般公開(毎月第 1 日曜日)
・3/2(日)午後 1 時半から 3 時まで
ケイサキーの会による朗読劇「卯之町アイドルおイネさん」
ひな人形も飾ります♪
文化の里休憩所軒先市(毎月第 1 日曜日)
・3/2(日)午前 10 時から午後 2 時ごろまで
文 化 財 防 火 デーに防 火 訓 練 が行 われました
文化庁と消防庁は1月26日を文化財防火デ
ております。今回の訓練は市の施設で、職員を
ーに制定し、毎年全国で文化財を対象とした防
対象として行いましたが、別の機会には保存地
火訓練を行っています。今年は第60回目の文
区の住民の方にご参加いただく訓練も企画い
化財防火デーで、卯之町でも消防署、地元消防
たしますのでご協力お願いいたします。
団、文化体育振興課、商工観光課によって開明
学校・民具館付近で防火訓練が行われました。
今回の訓練は、民具館の展示室からの出火を
想定したもので、観覧中の入館者の避難誘導、
負傷者の救護、救急搬送、そして放水まで行う
本番さながらのものでした。
この卯之町の町並みも、未来に残すべき特に
ら昭和初期にかけての御殿や人形は今ではなかなか
見られない精巧な芸術品です。昔の方が年中行事を
とても大切にしていたことも伺えますね。(木)
~ 編 集 後 記 ~ 民具館と米博物館での「宇和の雛め
ぐり」
。民具館では 7 棟、米博物館では 15 棟、4
50体程のひな人形を展示しています。江戸時代か
④
価値のある文化財・重伝建として国に選定され
①
とりいもん
おなりもん
卯 之 町 ま ち づ く り 考 (9 最 終 回 )
鳥 居 門 ・御 成 門 がもうすぐ完 成 します!
8 月から始まった市指定有形文化財の鳥居門、
御成門の修理・修景工事もあとわずかで完成で
す。あとは、壁面の漆喰塗り、土間の三和土(タ
タキ)仕上げ、庭の景石の配置や植栽、建具の取
り付けなどを残すのみで、3 月 4 日の完成予定日
に向けて現場の皆さんは頑張って下さっていま
御
影
石
が
使
わ
れ
る
。
す。伝統工法でよみがえった鳥居門・御成門をお
見せできるのもあと少しです。
が
い
よ
い
よ
塗
ら
れ
る
。
伝統工法豆知識★
た
た
↓
庭
の
通
路
の
縁
石
を
配
置
。
↓
3
カ
月
以
上
寝
か
せ
た
漆
喰
き
三和土 ★
←ひたすら叩き続け
る地道な作業です
が、コツが必要です。
体験してみました
が、すぐに手が痛く
なりました・・・。
三和土は土間の床の仕上げの一つです。土
や砂利と消石灰、にがり(塩化カルシウム)
を混ぜたものを少量の水を加えながら叩き
固めます。消石灰は水と反応し固まる性質が
あり、塩化カルシウムは乾燥によるひび割れ
を防止し、強度を保ちます。セメントのない
時代から地面を固める方法として使われて
いました。三和土という当て字は 3 種類の
材料を合わせることからきています。
現代の家はコンクリート仕上げが主流で
すが、もちろん、鳥居門、御成門には当時と
同じ三和土で仕上げました。
タンタンタンッ!
←地面を叩く道具。
叩く面は平らでなく曲
線を描いています。
別途配布のチラシのとおり、シンポジウムを開
催します。立教大学観光学部兼任講師の清水先生、
愛媛大学観光まちづくりコース講師の米田先生を
お迎えします。7月号でお知らせした市職員自主
学習グループ“卯之町開拓団”による卯之町地区
の景観調査の報告、12 月号の「屋敷のみだしなみ」
でご紹介した中村勇人さんも参加されてのパネル
ディスカッションもあります。西予市の表玄関で
ある卯之町にお住いの皆様には、ぜひお聴きいた
だきたい内容です。会場では、当日限りの「懐か
し写真展」も予定しております。
「美しい街」につ
いて暮らしと観光の視点から考えてみませんか?
町並みづくりシンポジウム
暮らし と
観光 を考える
3/16(日)13:15~16:30
西予市教育保健センター4階大ホール
皆様のお越しをお待ちしております!
②
町 並 み保 存 運 動 は、住 民 の皆 さんが主 役
時の流れは速いもの、また一つ歳をとってし
まいました。若者へのバトンタッチもせずして、
何時までもいい気になっていては育つべき芽を
摘むばかりで、大きい社会の損失でしょうね。
さて、このシリーズ「卯之町まちづくり考」
も、3 月という年度末の節目を迎えました。不
十分ながら、エンディングのための皆さんへの
提案にして終わりたいと思います。
前回、
「地域とは、どんなに小さくても、そこ
に住んでいる住民の皆さんの『地域の自治』に
対する思い入れ次第で、よくもなり、悪くもな
るものです。不満があったり、要望に気がつけ
ば、そのことをいかにして「公」のものにして
いけばいいのか。これこそ町並み保存会が担う
べき課題でしょう。」で結びました。
全国全ての町並み保存地区で、住民組織とし
ての「町並み保存会」が組織されています。組
織が作られるときには、あれをしよう、これも
したいと夢膨らむ話題でことが進みますが、時
と共に活動の中身はマンネリ化。住民組織の自
立と活性化は難しいものですね。以下のデータ
は、かつての内子町の町並み保存会の活動と事
業について、保存地区住民の皆さんから「ぜひ
やって欲しいこと」を回答の多い順に並べまし
た。
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
生活環境をよくする運動
79 人(44.1%)
増改築・修理に関する相談
58 人(32.4%)
行政と住民のパイプ役
51 人(28.5%)
環境美化に関する運動
31 人(17.3%)
各種学習会
30 人(16.7%)
機関紙の発行
24 人(13.4%)
修理・修景に対する審査活動 24 人(13.4%)
観光振興に関する研究
22 人(12.3%)
歴史や特徴に関する調査研究 21 人(11.7%)
公共事業や計画への参加
16 人( 8.9%)
地区行事
13 人( 7.3%)
となりました。自らの住民組織であるべき保存
会として、活動すべき課題や要点のほとんどが
認識されており、保存運動を推進する地域住民
として、考えなければならない基本は、その全
てが理解されているようです。しかしながら、
今日までこれらのいずれもが、なぜか保存会活
動の課題として取り組まれていなかった現実に
対して、何が要因であったのかを掘り下げるこ
とは、保存会執行部として今一番重要な活動課
題であろうと思います。
町並み保存運動は、行政がやることではなく、
保存地区住民が主体になって進めるものです。
兵庫県篠山市で体験したように、住民と建築家、
そして行政が一体になってはじめていい町並み
が創られていきます。長年卯之町に通って気付
いたことですが、この町のあり方として、まち
づくり施策の進め方に関して、行政にお任せ、
行政が何とかしてくれるといった行政主導の体
質が根付いているようです。
行政が中心になることの全てが悪いとは言え
ませんが、何ができようと、主役は地域住民で
なければなりません。今その仕組みづくりが急
がれます。また、担当者が短期の人事異動で入
れ替わりが激しく、プロフェショナルな職員が
育たないこともまた大きい欠陥であったでしょ
う。今回の機構改革で、教育委員会から商工観
光課に町並み保存の事務が移り、先哲記念館に
担当職員が配置されたことは、全国的に見ても
素晴らしい体制づくりであり、町並み保存地区
とその周辺地域の環境整備に大きい期待が寄せ
られています。
卯之町は、西予市の玄関口、南予で一番美し
い街、環境の整った街になることが、町並み保
存運動が担うまちづくりの課題です。決して、
安い観光のための見世物づくりではないことを
肝に銘じて、がんばっていただくことを祈念し
て筆を置きます。
(内子町・地域振興アドバイザー 岡田文淑)
岡田先生の「卯之町まちづくり考」はひとまず今回で終了です。
9 回にわたっての連載、本当にありがとうございました。
③