アメリカ視察報告書

アメリカ視察報告 学校教育 ICT 活用事業
参加者
大阪市立 阿倍野小学校 教諭 薮田 哲也
大阪市立 堀江小学校 教諭 坂口 朋子
大阪市立 本田小学校 教諭 東野 一也
大阪市立 東都島小学校 教諭 西部 隆行
大阪市立 旭陽中学校 教諭 齋藤 慶二
大阪市立 昭和中学校 教諭 勝田 麻理
大阪市立 やたなか小中一貫校 首席 井上 一哉、教諭 坂口 太平
大阪市教育センター 総括指導主事 村上 昌志
大阪市教育センター 総括指導主事 坂 恵津子
視察校
5月 6日
Aptakisic Junior High School
(1231 Weiland Road, Buffalo Grove, IL 60089)
5月 7日
Chicago public schools Education Recognition Program
(225 W. Wacker Chicago, IL 60603 United States)
5月 8日
Augustus H. Burley School
(1630 W Barry Ave Chicago, IL 60657)
5月 9日
Buck Lodge Middle School
(2611 Buck Lodge Road, Adelphi, MD 20783)
5月 10日
Avenues NY
(259 10th Ave, New York, NY 10001)
Aptakisic Junior High School(シカゴ 現地時刻5月6日10時~)
(1)学校の状況 Aptakisic Junior High Schoolは、10年程前から小学生(1~4年生)においてMac PC
を使った授業を展開してきている。昨年9月から州の予算で、5年生と7年生にiPadをone
to oneで整備している。次年度は、5年生と8年生に広げる予定である。iPadでは、デジ
タル教科書を閲覧したり、調べたことをまとめたりしている。学校の授業はもちろん、
家庭に持ち帰り宿題にもiPadを使っている。98%の家庭で、インターネットを使う環境
が整っている。家庭にこのような環境のない子どものために、図書館の開館時間を3時
45分から4時45分へ延長し、学校でインターネットを使えるようにして対応している。
学校では校長・教頭を初め、担任・コンピュータ担当の先生などがチームとなり、シ
ステムの開発や、授業のビジョンを実現するためにiPadを使ってどのように授業を進め
るかの研究をしている。授業での活用では、特別なアプリケーションはあまり入れずに、
iPadに本来あるカメラ、keynoteなどの活用が多い。21世紀型スキルの育成という観点
から、プレゼンテーションやレポートに力をいれている。いじめ、環境などのテーマを
決めてプレゼンテーションや動画を作成しコンテストに参加したり、上級生が下級生に
見せたりする。プレゼンテーションはイリノイ州が整備している「イリノイ コモン コ
ア スタンダード」に基づいて教員が作成したルーブリックにそって評価する。
(2)生徒からの説明 「schology」「notability」というアプリを使ってい
る。先生が、課題や宿題などを生徒と先生間でやり取
りをしたり、生徒の学習や感想に先生がアドバイスを
書き込む等ができる。
調べたことやまとめたことは、ノート形式で保存し、
追加したり、過去のノートを検索したりできる。それ
を基にして、写真や動画を使ってプレゼンテーション
を作成する。iPadを使うようになり「授業が楽しくな
った」「通学時の荷物が減って楽になった」「ホーム
画面に宿題やテストのスケジュールが示され管理がしやすくなった」と述べていた。
(3)先生からの説明(美術 彫刻の授業について) 例えば美術の鑑賞の授業で、これまでは一つの彫刻を観て生徒が感想を言い合ってい
たものが、iPadを使うことで、生徒がそれぞれ調べてきた情報を基にまとめたものを、
先生に送り、先生はその内容に対して評価することができるようになった。事前に先生
が生徒に見せたい資料を整理したり、多くの情報を提供したりでき、授業のコントロー
ルがしやすくなった。また、生徒は、他の生徒のまとめたものを見ることもできる。iPad
の活用は、生徒一人一人が課題に対して深く考えることや、他の生徒の考えを参考にし
て自分の考えをより広げたり深めることにつながっている。
(4)教室の授業の様子から ■ 歴 史
南北戦争について、生徒が調べてきたことを基に、iPadを使
ってテストをしていた。
■ 歴 史
南北戦争において、リンカーン大統領がどのように南部を制
圧したかについて話し合う。自分で調べた資料を基に、近くの
生徒同士で考えを共有し、先生が作成したワークシートに書き
込んでいた。そして、全体で考えを話し合っていた。先生は、
生徒の画面を映し出し、いろいろな生徒の発表から考えを深め
ていった。
■ 数 学
生徒のiPadに、課題のワークシートを配布し、生徒はキーボ
ードやペンを使い問題を解く。先生は、教室の中央で画面を操
作しながら解き方を解説していた。
先生の解説を基に、生徒が次の問題を解いていく。近くの生徒
同士で考えを共有した後、生徒が考え方を前で発表していた。 ■ 科 学
バクテリアについて、グルー
プレゼンテーションを作成す
たプレゼンを発表する授業。グ
ぞれ調べる内容を分担し、担当
つのプレゼンにまとめている。
ていく係、発表する係等、役割
プで調べる授業。最後に
る。グループ毎に作成し
ループ内で生徒がそれ
した画面を合わせて一
タップして場面を変え
分担をしていた。
(5)まとめ iPadを使った授業では、生徒が話し合ったり、プレゼンテーションを作成して発表し
たりする場面が多い。プレゼンテーションを作成させる場合には、作成の始めにこのよ
うな内容は入れて作成しなさいといったことをきちんと指示するとともに、評価の基準
を示しておく。こうすることで、より内容の質が向上し、作成すること自体が目的にな
らない。
生徒の作成したプレゼンテーションや動画を、ネット上に掲載することや、プレゼン
のコンテストにも参加をさせている。これらは、生徒の学習への意欲や作成技術の向上
につながる。も試みている。
5年生でもiPadを使いこなしていた。授業スタイルの違いもあるが、自分で調べたり
発表したりすることで関心・意欲が高まる。
Education Recognition Program(シカゴ 現地時刻5月7日13時~)
シカゴ市公立学校のiPad導入校の教員や管理職、教育委員会関係者が参加し、実践報
告と意見交換会を実施した。シカゴ市では、①校長のリーダーシップ ②革新的な指導法
と学習法の実践③継続的な教員研修 ④成果のエビデンス ⑤ハード面のインフラ整備
の、5つの軸を持つ学校を認定してiPadやMacbookを順次整備している。
発表校は、それぞれが学校独自のアプローチの仕方でMac bookやiPadを1人1台ずつ
導入し、自宅にも持ち帰るなどの活用をしているが、目指す教育の姿は共通している。
ICTを活用した授業を進める上で重視する5つの視点 ■ リーダーシップ 校長等の学校のリーダーが教育に対する強いビジョンを持ち、ある程度のトップダウ
ンで物事を進められる資質が必要である。
■ 革新的な指導法と学習法の実践 21世紀をむかえ、世界の多くの企業が求める能力は「多くの知識をもっていること」
から「クリエイティブに表現していくこと」へと変換しつつある。したがって学校教育
においてもより能動的な学習へと変えていく必要がある。一斉に「教師が教える」授業
から「子どもたちが自主的に学んでいく」授業(プロジェクト学習)への変革。
先生より生徒のほうがICT機器の操作がうまくなり、先生の知識や技能を超えて学習
していくことを先生自身が受け入れなければならない。また、その意義を保護者に対し
て説明していく場を大切にしなければならない。
■ 継続的な教員研修 教員に対してICTをおしつけることにならないように、転勤してきた教員を中心に手
厚い研修を行うことが必要である。また、意欲をもって実践し、積極的にコミュニティ
ーをつくる教員の育成が求められる。
■ 成果のエビデンス(証明) 成果を評価し証明することが必要である。
■ インフラ整備 一度にクラス全員が安定してアクセスできるだけの長期的な環境整備が不可欠である。
インフラに、授業スタイルを合わせるのではなく、めざす授業スタイルに合わせてイン
フラを整備していくことが望ましい。
コスト面の課題の解決 1人1台のiPad等を目指すとすると当然コスト面の問題が発生する。保護者に負担を
求めるなどの例もあるが、問題を解決するために以下の4点が多く挙げられている。
■ PCルームの廃止 ■ 1学年ずつ導入 ■ 教科書等の見直し ■ ペーパーレス化 PCルームの必要性を検討し、整備費用を転用する。
予算に合わせて徐々に導入する。
教科書は必要度の低いものを廃止する。ワークシート・ドリル
などもWEB上の教材や自作のデータの共有化。
教材・校務分掌を電子化することで印刷費を抑える。
各学校・教育委員会の実践報告から ■ South Berwyn School District 100 76%が低所得層、79%がヒスパニック。PreKから8年生まで4100人の生徒数。8つの
学校がある。特に英語の学習に力を入れている。4年前から実証を開始し、1年生から
3年生はiPadとiPod、それ以外はMac。現在は、90の教室で一人一台の環境整備した。
Appleの協力を得て、まず40人の教員を教えて、その教員がモデルとなりほかの先生に
教える方法で広めていった。
教師の立場が「教える存在」から「子どもをサポートする存在」となり、子どもたち
が学習を自分で進められるようになった。
パソコン教室の管理者を教室のテクノロジー支援者へと役割を変えていった。
■ Avoca School District 37 PreKから8年生まで。706人の児童(5~14歳)が在籍。
9年前から一人一台の実証を開始。PreKから3年生は、iPadの1to1とMacのシェア、
4年生以上はMacの1to1。5年以上は家に持って帰る。自己責任を大切にしm雑に扱っ
た生徒は一人もいない。もともと学力が高い学校であったが、より向上することをめざ
して、教育長のトップダウンでこの事業を開始。この取り組みをしてイリノイ州ナンバ
ー2の学力を獲得した。
2人の支援員が学校に常駐。2校を担当する担当ディレクターが定期的に巡回。ディ
レクターは週に1回全ての教員と面談をする。
教員研修はお互いに教え合うというスタイル。MacやiPadを入れることで、教員の時
間の余裕が毎日2時間うまれ、教材研究やICT支援員との情報共有に活用した。また、
1to1の活用により、紙の資料を減らしてペーパーレス化を進めることで必要経費を獲得
した。
■ Peoria Notre Dame High School 9年生から12年生、776名。Macの1to1。保護者が購入。
9年生の初日に、Macの設定からインストールの全てを行う。卒業時に学校が購入し
たアプリは全て削除して持ち帰る。校長のリーダーシップでスタート。トップの私学に
なりたいという思い。他校の視察や本を支給する等して、先生が使いこなせるようにな
るまで教員の研修を2年間かけて徹底的に行った。ルーブリックの作り方や最終のテス
トを紙からプロジェクト学習の取組みに変えること等について検討した。
WinかMacで迷ったが、Macには全て必要なものが入っているということからMacに
した。 保護者に対しては、説明会を多く開催し理解を得られるように努めた(プロジェクト
学習の意義、マックを利用する理由→必要なアプリがそろう、クリエイティブな活動を
支援できる)
子どもたちは、携帯やiPodとMacを使いこなして学習している。先生の役割も教える
ことから子どもの支援へとかわってきた。プロジェクト学習でアプリを開発して、大学
進学の学費を稼ぐ生徒もいる。
成果としての定量的なデータとして、1to1の実践により、いじめや体罰の65%の低
下と大学受験のスコアの向上がある。
■ Sacred Heart School Kから8年生、313名。カトリックの小規模の私学。
キーワードはシンプルとスタンダード。
比較的貧困層が少ないため、教育委員会等からの支援がない。1to1のための募金や寄
付への保護者の賛同を得るために、定期的な会議と説明会の開催。 教員の指導法の変革により、紙を配るよりも、Macを使うと興味が深まり子どもの反
応がかわってきた。ベテランの先生は、使うことに抵抗があった。先生よりも子どもが
先にマスターして先生に教えるような場面もあった。
教員研修では、子どもが先にテクノロジーを使えるようになっていることを認めた上
で、教員がテクノロジーについてすべてを理解していなくても良いという前提でスター
トし、教員のテクノロジーへのハードルを低くした。
OSの混在を一つにすることで、経済的な見直しを図る。ワークブック、教科書の見直
し。印刷する場合は課金等によりMacを購入.
■ Riverside Public Schools District 96 PreKから8年生、1576名。5年から10年 Mac 1to1、PreKから2年はiPadの共有。
教員研修で、他の学校を視察し、体育時や給食時のタブレットの保管方法など細かな部
分の変革をした。
保護者への説明会を定期的に開催し、1to1の活用がどのような学習にかわっていくの
かをていねいに説明した。子どもたちには、少人数の学習で何ができ、どのようなアプ
リがあるのかを説明した。
教員研修では、技術・操作だけではなく、「学びをかえる」ことに重点を置いた。教
員は不安があると使わないので、適切な支援と聞きになれさせることが必要である。い
つでも校内にいるICTファシリテーターに質問できる環境を作るとともに、2週間に1
回の状況を確認するミーティングの開催。転勤してきた教師に対して、研修(年度替わ
りの夏休み、春休みなどに研修)を実施。始めにファシリテーターが授業を行い示して
みせて、その後で教員が授業をすると言ったこともある。子どもが先生に教えることも
ある。また、appleから年間4〜5回の研修を受けている。
共有する環境から1to 1での活用になり、「自分のものだ」という意識が高まり、故
障率は減少した。校内に修理センター、貸し出しコーナーを作り対応している。
テクノロジーに問題があるときは、子どもが直接ICTファシリテーターに聞ける環境
を作り、その場で対応する。
iPadを活用することの効果として、いつでもどこでもまとめられるようになり協働学
習に取り組むことが可能になった。また、子どもの学習時間が増えた。特にプロジェク
ト学習で調べる時間が増え、意欲的に取り組む姿勢が見えるようになった。これまでの
暗記型の授業に比べ、お互いの意見を共有したりプレゼンを作成したりすることで、内
容をより深く理解することにつながった。
■ 質疑応答 体育において活用方法はあるのか →分析アプリなどでフィットネスなどの体力・筋力アップ、フォームを見せる、記事を
事前に見せる。
iPadの管理については、普段は個人のロッカー、体育時は体育館にある保管庫に入れる。
図書室はどう変わったか
→司書からメディアスペシャリストに(本だけではない、メディアリテラシー(例)「ウ
ィキペディアの情報が、必ずしも正しいわけではない」)
調べ学習用のサイトをあらかじめ用意しておいて、子どもたちがこの中から調べられる
用に準備している。
教科書はどうかわったか
→今の教科書は5年前の情報を使って作られており、使わない選択。教科書予算をiPad
に。教科書内容をWEBから。大学が提供しているデジタルソースを利用。教師が教材を
自作。教科書会社の対応が遅い(デジタル教科書など)ため、教科書のPDFを作成。
■ Lincoln Magnet School 6年生から8年生、320人。2年間Macの一人1台の取組みの後、iPadの共有を開始。
もともと、95%以上のテスト定着率がある。暗記する学習からの脱却の必要性を感じ、
iPadを導入した。学校で学んだことを広げる学習への取組みをスタートし、地域から地
球市民、多文化理解、グローバルな考え方のもとで実践を始めた。
例「水不足」のプロジェクト学習では、専門家とリンクしての活動を行い、先生の知
識を超えて学習できることで、子供たちに自信と学びへの意欲の向上がみられた。また、
自分たちの学びに対して自己責任を持っている
教員研修は大切である。
■ Township High School District214 9年生から12年生、123,000人。先生がiPadを1to1で使ってどのような授業をするか
を教育委員会で15分のプレゼンにまとめ発表し、良いものに対して予算をつける。
1年目9人の提案しかなかった。指定された教員は、iPadの活用について4半期ごと
にレポートを提出。
2年目は22人の提案、3年目は59人の提案。現在は1億円相当の予算に対し、2億
円程度の提案があるので、半分の提案が却下。
教科書代の削減。教科書会社にデジタル化の依頼をするとともに、教員がiBooksAuther
で自作の教科書づくりを行う。
1to1で使うことで、教員も生徒も3〜4週間で新しい学習法に慣れた。100ドルする
計算機がiPadのアプリだと10ドルで購入できる。iPadを押し付けるのではなく、先生が
やりたいことをサポートするために、iPadを支給するという考え。
導入の成果として、物理のスコアが57点から69点に向上した。
■ Community Consolidated School District 181 PreKから8年生 4,000人。3つのモデル校で1年間の実践。
Macbook 共有、 ipad 1to1
を導入。一人一台幼稚園から始めているMac bookとiPadの比較検証
学習へのアンケート結果から、Mac、iPad共に協力やクリエイティブという面での高
い評価が見られた。Mac は、iMovie等のアプリ・ツールについての評価が高かったが、
iPadでは、教科の授業への評価が高かった。iPad学習のツールとして生徒に浸透してい
る。また、共有型の評価は低い。
教科への興味関心は向上した。保護者からも、知識面での向上に効果があったとの評
価があった。
教育委員会として、協働学習についてルーブリックを作成している。カリキュラムは
大学と連携して作っている。
1年の実践で学力の向上を述べるのはまだ早い。しかし、学びへの意欲はあがったと
言える。
■ Chicago Public Schools PreKから12年生、400,000人。600校のうち1割の60校が市の助成金を受けている。
シカゴ市ではMacの1to1を検討していたが、iPadが発表されたので教育委員の意見でそ
れを使うことになった。 実証校の応募にはすぐに手を挙げ、アメリカの中でもiPadを使った学校のパイオニア
になりたいと思っている。 シカゴ市は、要支援家庭が多い(家でご飯を食べていない、など)2010年から導入iPad
の導入を開始し、良い提案をした学校に整備をしていった。
実際に指定された先生の経験談
最初はこれまでの授業にipadを活用したので上手く行かなかった。子どもたちから、
今まで紙でやってきたことをiPadに変えただけでつまらないと言われ授業を変えようと
感じた。「学力を向上させるため」ではなく、「わたしは〜に興味がある」と子どもた
ちが言えるよう名授業づくりが大切。子どもが先生になるスタイルも必要。子どもの提
案でアプリがストアにアップされることもあった。「子どもが大人に説明できる」こと
で学習意欲が高まる。
■ SAMRモデル(メイン州立大学 リュエンデ=テューラー)
Substitution代用:テクノロジーは直接的なツールとして機能するが機能面でのメリット
はない。
Augmentation増強:テクノロジーは直接的なツールとして機能し、機能面でのメリット
がある。
Modification修正:テクノロジーはタスクの大幅な再設計を可能とする。
Redefinition再定義:テクノロジーは以前は想像し得なかった新しいタスクの想像を可能
とする。
Augustus H Burley Elementary School(現地時刻 5 月 8 日(水) 9 時~)
(1)学校の状況
公立の小学校、児童数 500 人以上。カリキュラムは、文学・作文・
テクノロジーの 3 つに焦点をあてている。その中で大切にしている
キーワードは「協力」「多様性」であり、さまざまな人種の仲間の
なかでグローバルな考え方をしてほしいと願っている。
3年前(2010 年)1 年生、2 年生で 30 台の iPad を授業で取り入れ
始めた。次の年(2011~12 年)からは、1 年生、5 年生で iPad1 人 1 台(one to one)を導入
した。そして、昨年度(2012~13 年)より 1・5・6 年生で 1 人 1 台、2・3・4 年生で 2
人 1 台を導入し、授業に活用している。その中で、テクノロジーの使用法やテクノロジ
ーとの協調性を模索してきた。
Mac だけのクラスと iPad だけのクラスでは、それぞれ雰囲気が違う。とりわけ、iPad
はどこにでも運べるので、教室の中が家庭的になる。
初年度から、iPad を活用することにより、児童の勉強のしかたが変わった。リーディ
ングでは、児童自らが作者に関することがらや表現のしかたを調べるなど自発的に学習
に取り組むようになった。指導者は、すぐに今までの児童の反応とは違うことに気付い
た。それに伴い、カリキュラムの変革にとりかかった。
1 人 1 台を活用する際には、使い方をしっかり学ぶようにした。その上で、児童が自
ら意欲的に学べるプログラムの開発を行った。2 人 1 台では、主に学び合うことに視点
をおいた。
iPad 活用のよいところは、次の 3 点である。
①言葉だけでなく、イメージや音声が入る。②多くの情報が入るので、選択肢が多くな
り、プロジェクトの広がりにつながる。③いろんな人々の考えをシェア(共有)でき、
「よ
いプロジェクトをしたい」
「チャレンジしたい」という意欲につながる。例えば、ブログ
では、世界中の子ども達と交流することができる。指導者は、人と人の橋渡しの役にな
ればいい。それが児童の自発的な学習を見出し、学習への意欲につながるのである。
(2)子どもからの声 まず、子供たちの声からは、
「好きな学習ができる / 学びへの
アクセスが容易にできる / すぐにその場でやり直しができる /
友達の意見がすぐにわかる」ことが、従来の学習形態ではでき
なかったことの裏返しである。つまり、学習カリキュラムが硬
直化し押しつけられる受動的な学習から、自らの興味・関心・
意欲から湧き出る学習の芽を自分自身で成長させ広げていく能
動的な学習へと変革したことがよく伝わってきた。また、
「家(家
庭)に iPad を持ち帰っても良いということ(インターネットへの
アクセス環境がほぼ 100%)」で、家でも学習できるし、
「学校での学習の続きができる /
宿題の徹底が図れる」などの副産物の効果が実現した。学びの継続性が図れるようにあ
った。さらに、親が学校や教育内容に関心を持つようになった。かつては、学習から逃
げる子ども達が多く、また家庭に課題を抱える背景からくる格差が歴然とあったが、そ
のようなことが iPad を導入することでクリア(ある一定の格差の平均化)できた。この成
果は、大きい。
また、子ども達の iPad の使い方がとても上手だった。これは、インターネット環境
が整備されていること、スマートフォンなどの IT 機器に幼児の頃から慣れしたしんで
いることが挙げられる。
(3)現場の教員から まず、iPad を導入するにあたりベテランの教員への支援を確保し、組織全体の協力体
制を築くことが重要である。教員のチャレンジ精神がなくては、子どもを導いていけな
い。そこで、教員研修の充実を図っている。これは、資金面とスキル面の両方を行政的
な支援を十分に活用している。
(年間に行う研修時間数の確保、プロフェッショナルトレ
ーナーによるスキル向上プログラムなど)
本格的に iPad を導入する前段階での留意点は、①アプリを持ってきて試してもらう。
②活用例がイメージ化できるとそのアプリを使うようにする。
(何でもかんでも iPad 内
にアプリを入れない。教科を横断して活用できるアプリを多用している。教科ごとのア
プリを5つ程度に厳選している。アプリの schoology は導入しているが、まだ活用して
いない。使用方法は、多くの先生が分かっている。)③子ども達の意見を共有できるよう
に工夫する(教材の開発)④IT を使うことで、教授方法の向上と選択が広がる。⑤家で
使う/ 学校で使うデバイスは違うけれど、活用のしかたは同じ。
■ 質疑応答 ①先生から子ども達にどんなスキル、使い方を教えているのか。
→特別な事は教えていないが、IT 全体のスキルアップをテクノロジー中心に行って
いる。
②子どもの変化があると言ったが、どのような変容が見られたか。
→学び方に広がり、そして深まりが出てきた。かつ、学習能力が向上した。具体的
に習得した能力として、読むこと、書くこと、討論すること、伝え合うこと等
③子供が作成した作品(レポート、写真、動画 etc.)の著作権はどのように扱っている
のか。
→明確な運用基準はない。今後の課題。
④教材の著作権、使用範囲についてはどうか。
→教材として活用しているデジタルデバイス(エドモンドコピーデバイス)は、教育
委員会に確認を取り使用している。コピーライトはリンクをはって、そのサイト
に行くようにしている。
⑤写真のダウンロードについて。
→教育関係だけで使う……公共にも許可を得ている。
⑥子どもへの評価について。
→次にあげる観点で評価している。
①文書を作られているか ②スキルを身につけるか ③スキルを活用しているか
④インストラクションを使用しているか
(例) 5 年生:コメントを時間内にどれくらいの内容、字数で書き込んでいるか。
与えられたインストラクションをどの程度できているか。生徒自身も自己分析で
きているか等。
⑦学習のしかたについて ・文献の提示(テキスト提示)
・子どもが文献についてコメントする。(テキスト・資料クリテックス)
・作文を書く中で、自分の考えがはっきりしてくる。(思考過程の整理、精選)
⑧オペレーションソフトウェアの update はだれがするのか。
→先生(教員)の仕事ではなく、教員は iPad のマネージメントのみ。支援員の仕
事。iPad にデータを送ることができない先生もいる。教員研修が必ず必要となっ
てくる。しっかりとした時間を確保している。
(授業を短縮、授業カットで研修時
間を確保している。)
⑨iPad の使用に関して
→最初は、簡単なものから導入した。1年生と5年生から導入した。1 人一台から
始めた(one to one)。その結果、手伝ってくれる先生の輪が広がっていった。
教員間の協力体制が徐々にできていった。
⑩PC の基礎的な操作・知識は子ども達にあるのか。
→スマートフォン(i-phone)を持って使っているので、大半は大丈夫
⑪資金(予算)は大丈夫なのか。
→iPad は、公費で購入し子ども達に貸与している。(特別支援の子どもは個人のも
のを持ってきてもよい.それ以外は市として禁止)区別するために、iPad に office
マークをつけている。持ち帰りも禁止。貧富の差が激しく、持ち帰りは危険。
シカゴ市内では、iPad を 3 年間で 62 校が導入し使用している。
⑫教員研修について
→iPad を活用した授業形態を広げていくためには、これを使いこなせる先生が必要
である。だから、年間を通じて、また、週単位当たり教員研修を定期的に行って
いる。年間 100 単位時間。研修などに必要な資金は、すべて州から支給されてい
る。行政面からのサポートが大きい。州予算の1/3 は、シカゴ市に入る仕組みと
なっている。
iPad を使うトレーニングが必要で、トレーニングができる人材の確保が重要であ
る。シカゴ市内の各校 1 人または 2 人の先生に特別なトレーニングをしている。
(ICT 教育推進教員)。1 か月に 1 度、学校にプロのトレーナーがやってきて、ト
レーナーによる研修会が持たれる。研修で得たスキルは、必ず次の日から実践し
てスキルアップを図る。本校は来訪者が多く、パネルディスカッションにもよく
参加している。
⑬授業での活用
→教科書、紙媒体の教材と iPad のどちらも活用している。教師が示し、あとは子
どもが個々に学習形態を判断し、学習している。最初、iPad が紙の代わり程度に
考えていた。すべて iPad を使うとは限らない。子ども達が自分の考えを紙に書
くことも上手であること、
⑭iPad を活用した利点として、子ども達が考えを共有化することは、先生がどのよう
に導いていくのか。
→まず、テキスト(教材)を徹底的に読み込ませる(reading)。何事にも挑戦させる。
あきらめさせない。読ませるテキスト(教材)にはレベル(難度)があるので、各人に
合わせて読ませている。そして、子ども達は、iPad を活用することでもっとも
っとレベルの高いものにもアクセスできる。自分に合った学習内容が選択でき
る。
⑮教科書について
→原則、教科書は使わない。教科書の内容は決まっているし、内容価値が現実社会
と乖離しているものも含まれているから、その分を iPad 購入の費用に代えして
いる。教えるべき知識を注入するだけの暗記型教育になるので使わない。実社会
では情報があふれているので、個別に取り上げものが違うから、新聞も活用する
し、大人扱いで学習させている。Reading のポイントとして、short story のも
のを使用し、自分で情報を組み立て、意見を想像し共有、交流、他者評価及び自
己評価を絶えず行いながら、学習を深めていく。実社会では、学校・家庭での学
習内容の追体験をさせる必要がある。
⑯評価について
→各学校が作成したルーブリックはある。昨年度までは、公表公開していなかっ
たが、校長先生が代わったこともあり、今後公表も含めて検討していく。
(4)教室の授業の様子から ■ 自由な学習スタイル どのクラスも少人数(約 20 名/1class)で、教室は、担任の
教員の個性が掲示物に象徴されている。また、子どもたちが安
心・安全のなか、仲間を互いに尊重し合いながら、自由に個々
の学習を展開しているのであるが、学習内容の交流・共通化を
図る授業展開を意図的に入れていた。
■ 使用するデバイスも多様
思考やまとめの過程において、ノート、紙、iPad の何
を使うかの選択を子どもに委ねている。iPad を使ってい
る生徒の横では、紙に考えをまとめていたり、自分の音声
を iPad に録音する姿が見られた。日本のように、全員が
同じことをする学習スタイルとは全く違う。しかし、学習
のゴールはきちんと指示されており、学習の始めにまとめ
に必要な事項は示され、それに基づき評価される。教員は
最終の評価材料を蓄積し成績をつける。
■ 小学校1年生で動画編集
特に、小学校 1 年生の授業では、iPad を使って、与えられ
たテーマに関しての意見交流をした後、ペアーで自分の意見
を述べ合い、
「iMovie」で自分の考えをまとめていた。1年生
になる前に、コンピュータ・ラボで一定の基本的な操作を学
習するそうであるが、子どもたちの iPad への適応は非常に早
い。
(5)まとめ まず、従来の知識注入型学習形態からの学校・教員・子ど
もの意識変革が重要である。学習内容(common standard は
ある)を教科を横断して編成することにより、多様な学びの
選択を可能にする。
「与える学習」から個人の学びを大切にす
る「主体的な学び」を支援する体制づくりへと変える。教師・
児童レベルでの変革だけでなく、学校組織のあり方、地域・
保護者も含めた学校運営全体の改革が重要である。実際、児
童の学びに教師が寄り添い、ICT 機器を活用し、即座に対応
できることが強みであると現地の先生が話されていた。つま
り、できる子には次のステップ課題を紹介し、つまずいてい
る子にはすぐさまその場で対応し、指導・助言を与え学力内
容の理解へとつなげていた。
また、子どもの学習意欲を持続させるものとして、iPad はとても有益である。教師・
親から評価だけでなく、クラスの子どもから、インター
ネットを通じて自分の意見に共感してくれる者への安
心感や、意見の相違から自分の考えを更に深め、整理統
合しようとしている姿が見てとれた。
ルーブリックも、大枠の学習内容と評価方法を事前に
親・子どもに示して評価されていることから。公正な評
価につながる。
■ 教室の様子
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Buck Lodge Middle School(メリーランド現地時刻5月9日(木) 9時~)
(1)学校の概要 バック・ロッジミドルスクールはメリーランド州プリ
ンスジョージア郡にあり、6年から8年までの700人近
くの生徒が通っている。生徒の85%がヒスパニックであ
り生活水準の低い家庭も多く、連邦政府よりタイトルⅠ
(不利な状況にある児童・生徒の学力向上に向けた取り
組みに対する財政支援)を受けている。
「デジタル学習による教育の変革」(Transforming
Education Through Digital Learning)(以下、TDELと
いう。)教育目標のひとつに位置づけ、支援金でiPad
を購入し1人1台の学習環境をつくりだすなど、先
進的にICT教育に取り組んでいる。
iPad導入の効果を、readingとmathのテストのスコ
アを年間3回比較して、設定目標に対して到達した
割合評価し、学力向上に効果があったことを明らか
にしている。 (2)授業のようす ■ 理科 8年生
iPadで本を作成するためのアプリBook build upを使って
グループ学習を行っていた。テーマは先生によって提示さ
れており、先生が出した質問を内容に盛り込んだ本を作る
ことが求められる。写真や、ムービーも効果的に使われて
いた。
別の学級では、学期のまとめの学習として、これまで学習したスキルや知識を活用し
て、グループでプロジェクト学習に取り組んでいた。プロジェクトのテーマは、キャン
ディを開発作成する、月にものを送るための模型を作る等、それぞれのルーブリックと
ともにあらかじめ先生が準備をしており、生徒はその中から選択してグループで取り組
む。ルーブリックに
は「research」
「science」
「finance」等の評
価視点とともに、4
台会の評価基準が
示されている。これ
らは、教科の先生た
ちで検討して作成
する。
■ スペイン語
文法の授業が行われていた。日本の外国語の授
業と同様にドリル形式の問題が与えられていたが、
iPadのアプリを使って先生が生徒の解答をスクリ
ーンに示し、それぞれどこが違うのかを話し合っ
ていた。
■社会 8年生
テーマは市民戦争で、iPadを使った調べ学習を行
ってた。この学校は4学期制であり、学期のまとめ
として活動していた。個人で活動する生徒もいれば、
リーダーの生徒が、数人の生徒にiPadでの調べ方を
教えている場面が見られた。先生はあくまでファシ
リテイターであり、生徒が自ら学び教えあう雰囲気
がある。州によって作られたカリキュラムをもとにルーブリックが提示されており、生
徒は最終到達点を見据えて学習を行っていた。
■リーディング 6年生 テーマの異なる3冊の本から読みたい本を選択し、同じ本を選択した生徒がグループ
になって読んでいた。本の内容や自分の感想をまとめて、プレゼンテーションを行うこ
とが求められていた。iPadを使って先生からの質問事項や感想をまとめプレゼン資料を
作成していた。
■数学 図形の面積の授業で、紙のワークシートで問題が配付され、生
徒は個々に問題に取り組む。解けた生徒は、黒板に映し出された
QRコードをiPadで読み取り、解答を確認して答え合わせをする。
その次の段階として、数学で学習したことを活用して、自分の部
屋の間取りを考える。これもあらかじめ、間取りを考える際の要
件と、ルーブリックが生徒に示され、それに基づいて課題に取り
組む。 (3)まとめ 授業見学通してiPadが学習ツールとして生徒たちに浸透し
ていること、そしてiPadが授業プランに即して効果的に使わ
れていることを実感した。また、生徒の授業マナーをよく好
感もてる学校であった。
TDELを導入した時には教員に100時間の基礎トレーニン
グを課し、その後は必要なスキルを身につけるためのタイプ別トレーニングを実施する
など、充実した研修体制も確立されていた。
『TDELは、21世紀の技術に浸りながら教え方や学び方を変革することであり、すべて
子どもが同じ土俵で学習できるようにすることが目的である。学習成績の向上や生活態
度が良くなることは副産物である。』という教育委員Dr.マフォーンの言葉が印象に残っ
た。
AVENUES THE WORLD SCHOOL(NY 現地時刻5月11日9時~)
⑴ 学校の状況 2012年9月に開校した、ニューヨークの中心部の近くにある私
立学校。幼・小(Grade1~6)・中(Grade7~8)・高(Grade9~12の
うち現時点ではGrade9のみ)の4部門で、幼稚園から高校までの一
貫校。児童、生徒数は750名。1学級、10~15名。今後は北京、ブ
ラジル、日本など世界中に20校の開校を目指している。各州共通
基礎スタンダード(CCSS)はあるが、公立校ほどの基準はない。
Avenueの教育目標としては、言語(英語・中国語・スペイン語)、
数学、美術に重点を置き、創造力や競争力を身につけ、世界で活
躍するグローバルな人材の育成を目指している。これは、Avenue
を取り巻く地域性とも大きく関係している。それは学校の立地が芸術拠点で多くのギャ
ラリーが立ち並んでいることやスペイン系や中国系の住民が多く住んでいる地域である
という点である。しかし、この地域に限らず、アメリカではスペイン系や中国系の住民
が増えてきているという現状も背景にある。中国については、世界経済の中で大きな影
響を与えており、スペイン系の移住は増えてきているのである。
Avenueに通う児童、生徒は英語以外にスペイン語または中国語を選択する。スペイン
系や中国系の子どもの中には入学以前よりスペイン語または中国語が話せる子どももい
るが、苦手とする第二外国語を選択する傾向がある。授業では、第二外国語そのものの
授業を行う以外にスペイン語による数学や中国語による歴史の授業など第二外国語で学
ぶ授業が行われている。1日のうちの半分が英語のよる授業で、それ以外は選択した第
二外国語による授業が行われている。また、校内掲示は英語、スペイン語、中国語で表
示され、外国語に慣れ親しむことができる環境を作っている。Avenueでは入学から
Grade4までの間に日常生活で話せるレベルをめざしている。
⑵ 校内ICT環境 校内には10ほどのデジタルスクリーンがあり、学校のプロジェ
クトの紹介や子どもの活動を支援する情報を提供している。すべ
ての子どもにiPadが与えられているだけでなく、小学生の一部と
中学生ではMacBookも活用している。紙媒体の教科書は持たず、
全てデジタル教科書を使っている。教室は基本的に馬蹄型の机で
あるため、お互いの顔を見てディスカッションしたり教室前面が
見やすかったりする利点がある。教室では、
「Class in the cloud」
と言われるシステムが基本となり授業を支援している。
「Evernote」「Google Drive」「Drop box」などのアプリによ
ってソーシャルネットワーキングサービス(sns)を構築してい
る。
Avenueでは図書室はなく学年ごとにフロアのスペースに本が
置かれている。1万冊の本があるが、10万冊の本がデジタル化され、自分のiPadから閲
覧できる。
10名のITスタッフがおり、情報システムの企画、構築、運用などを一括して行っている。
ITを管理するコントロールタワーがあり、Wi-Fiやアクセスポイントの管理、iPadのGPS
による位置管理、アプリのインストールまたはアップデートを行っている。また、学級
担任から出された宿題をアップロードしている。紙は基本的に使わないがプリントの管
理(いつ、どこで、どれだけ使ったのか)をし、紙の使用量を二酸化炭素排出量に置き換
えて視覚化させている。さらには、プログラム開発ルームがあり、5名ほどが教材の開
発、ホームページのアップロードを行っている。
現在、1200台のiPadをApple社よりレンタルし、保険は学校でかけていている。年間
の250万円の維持、修理費がかかっている。
⑶ 実践の授業の様子 学校だけでなく、自然史博物館やメトロポリタン美術館なども活用しながら学習する
ことも進めている。訪問時にはGrade9が、自然史博物館に行っていた。
講義のような授業形態はなく、課題に応じて個人で調べたことを元にグループやクラ
スでディスカッションしている。個人での学習は場所を問わず、廊下に座って学習した
り多目的スペースやコモンエリアと言われる個別学習スペースで学習したりしている。
「アイラボ」と言われるスペースでは、授業やクラブで創造力を育成できるような環境
を整備している。例えば、自分で設計した制作物の設計図を「3Dプリンタ」にスキャン
すると、立体物の模型ができあがる。子どもはその模型をもとに制作物に対するイメー
ジを膨らませ修正しながら、制作物を完成させて行く。この日はiPadのスタンドを制作
していた。
体育館では、科学・技術・数学・美術を関係づけた学
習ができるようにICT環境を整備している。例えば、物理
と体育を関係づけた授業が行われている。様々な運動(ジ
ャンプや体操ばど)においてのエネルギーの変化につい
て、実際に子どもが運動し、データを収集、解析する。
美術では、作品の背景(表現技法や作者の主張)に気づい
たり自分なりの感性を表現したりするために拡張現実プ
ロジェクトを進めている。iPadを実際の作品にかざすと、作品の情報(テキストやビデオ
によるもの)を取り出すことができる。また、子どもが調べた情報を追加させることもで
きる。社会科において、教室の壁の世界地図の中の国にiPadをかざすと、その国の情報
を取り出すことができたり、掲示物の年表のiPad をかざすと、その時代のできごとを引
き出すことができたりする。また、校舎内の表示物のそばについているQRコードを読み
取ると英語表記以外の表示を知ることができる。
Grade9では、サイエンスプロジェクトと言われるこれまでに学んだこと活用し、1
つの課題についてまとめたものをディスカッションして、互いの学びをシェアする。サ
イエンスラボと言われる授業が行われている。
Grate3では、「425-80」の計算の仕方について自分の考えを図や式に表して説明す
る授業が行われていた。
⑷ まとめ 小学校では、かならずiPadを使うわけでなく、紙に 棒グラフを書いて、調べたことを
処理している授業も行われている。
指導者は学年を超えた指導を行うため、指導者間の交流が週に1回程度行われている。
指導内容については、カリキュラムマッピングといわれる計画のもと、確認、修正を行
っている。評価基準や使用教材のフレームワークはあるが、指導者に委ねられていると
ころも大きい。さらにIT関連のアプリを使った指導法を週に2回継続して研修を行って
いる。研修に参加できない時には、デジタル映像で伝達している。
子どもの学びの記録はクラウド内のデジタルポートフォリオに蓄積されている。デジタ
ル化されているため、必要な内容をすぐに検索し引き出すことができる。保護者には年
に2回懇談会を行っている。子どものデジタルポートフォリオを見せたり、下級生では、
ビデオで学習の様子を伝えたりそれらの情報をUSBでデータを保護者に配布したりして
いる。
Avenueは、視察校の中で唯一の私立校であり、ICT環境以外にも素晴らしい設備が整
った学校であった。学校は1つの会社のようであり、教師とITスタッフの役割が明確で
組織的に学校を運営していた。設備の充実だけでなく、学校を取り巻く芸術の発信地域
ということやスペイン系や中国系の住民が多く暮らしているこの地域の環境の特色を生
かした教育が行われている点が素晴らしかった。
Avenues HP www.avenues.org/world-school
普通教室の様子
机や壁面に直接書き込みができる