Bilski 判決に関する助言およびビジネス方法特許に関する USPTO の

 Bilski 判決に関する助言およびビジネス方法特許に関する USPTO の手引 2010 年 9 月 30 日 by Anastasia Zhadina, Esq. 2010 年 6 月 28 日、米国最高裁判所は、長らく待ち望んでいた Bilski v. Kappos, 561 U.S. __ (2010)(“Bilski”)の判決を下し、方法(process)の特許適格性(patent eligibility)特
に、ビジネス方法の特許性に対処した。最近になって、2010 年 7 月 27 日に、米国特許
商標庁(“USPTO”)は、Bilski 判決を受けて、方法の特許適格性を決定する際に USPTO の審
査官が使用するための暫定手引(Interim Guidance)を発表した。 要約すれば、Bilski 事件は、ビジネス方法、特に、観念的なステップが記載されてい
るビジネス方法クレームの特許性、および米国特許法第 101 条(35 USC 101)に基づき
方法に特許性があるかどうかを決定するための適切なテストが何であるかを検討したも
のであった。2008 年 10 月、米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は Bilski において、「機
械または変換テスト」(“machine or transformation test”)が特許適格性を決定するため
の決定的(definitive)テストであると判決を下した。すなわち、特許適格性を有するた
めには、方法が(1)特定の装置または機械に関係していなければならない、あるいは
(2)特定の物(article)を異なる状態または物体に変換しなければならない。このテ
ストは、米国特許法第 101 条に基づき方法に特許性があるかどうかを決定するために、
2008 年 10 月以前から審査官によって使用されていた。2010 年 6 月 28 日、最高裁は
Bilski において、「機械または変換テスト」は方法が特許適格性を有するかどうかを決
定するための唯一のテストではないが、「調査ツール」(investigative tool)として使用
することができると判示した。また、最高裁の大多数の意見は、ビジネス方法が特許適
格性を有する対象の主題(patent eligible subject matter)から排除されないというもの
であった。しかしながら、最高裁は、ビジネス方法が広い特許権保護を受けることにな
ることをこの判決が意味するわけではないと警告した。 重要性 Bilski における最高裁の判決は、ビジネス方法およびソフトウエア発明に関する最近
の実務を大きく変えるものとは期待されない。最高裁の大多数は、ビジネス方法が特許
性を有する対象の主題から全面的に排除されるわけではないと考えたため、特に、コン
ピュータまたは何らかの装置の使用を伴う場合には、ビジネスを行う少なくとも一部の
©2010 Cowan, Liebowitz & Latman, P.C. All Rights Reserved. 1133 Avenue of the Americas z New York, NY 10036‐6799 T (212) 790‐9200 z F (212) 575‐0671 z [email protected] 方法は依然として特許性を有する可能性がある。しかしながら、近年では、USPTO お
よび裁判所は、特に、ビジネス方法と、観念的なプロセスまたは人的交流を用いて実施
することができる方法とに関しては、特許性を有する対象の主題の範囲を限定しようと
している。ソフトウエア発明に関して言えば、最高裁は Bilski においてソフトウエアの
特許適格性に対処しなかったため、ソフトウエア発明に関する実務が変わるとは期待さ
れない。 さらに、USPTO の審査官による最近の審査実務も、最高裁の Bilski 判決の後で大きく
変わったとは思えない。審査官は、方法が特許適格性を有するかどうかを決定する際に
「機械または変換テスト」を使い続けている。加えて、クレームが「抽象的なアイディ
ア」(“abstract idea”)を対象としているかどうかも、複数の要素を用いることによっ
て審査官により決定される。USPTO により発表された 2010 年 7 月 27 日の暫定手引に
は、「101 Method Eligibility Quick Reference Sheet」が含まれ、ここには方法クレームが
特許適格性を有するかどうかを決定する際に審査官が使用するための要素が記載されて
いる。これら要素は、「機械または変換テスト」における上記2つの照会に依存すると
ころが大きい。 起案に向けての助言 米国特許法第 101 条に基づく拒絶を回避してそのような拒絶にうまく応答するため
に、特許出願の起案に向けて以下の提案をお勧めする。 ・コンピュータの助けを借りて実施されるソフトウエアおよびビジネス方法に関して、
そのソフトウエアを実行するために、またはビジネス方法を実施するために使用するハ
ードウエアおよびハードウエア・コンポーネントについての詳細な説明を、明細書に盛
り込む。この記載により、1つまたは複数のクレームが特許適格性なしとして拒絶され
た場合に、クレームに記載されているステップを実施するハードウエア・コンポーネン
トを列挙するために出願人がクレームを補正することが可能となるはずである。 ・観念的なプロセスまたは人的交流のみを用いてしか実施することができない方法をク
レームすることを回避する。 ・コンピュータや電子デバイスなど、方法のステップを実施するための物理的構成要素
を少なくとも1つは記載することを検討する。そのような場合、その物理的構成要素の
記載がより具体的になればなるほど、クレームが特許適格性要件を満たすと審査官が判
断する可能性がより高くなるはずである。たとえば、一部のケースでは、1つまたは複
数のステップを行うコンピュータについての記載で審査官が満足するかもしれないが、
他のケースでは、プロセッサやCPUなど、それらステップを行うコンピュータの構成
要素についてのより具体的な記載を審査官が要求するかもしれない。 2 / 3 ・一般にソフトウエアをクレームするために使用される、「プログラムを記憶するコン
ピュータ可読記憶媒体」等を対象とするクレームについては、「非一時的
(non‐transitory)コンピュータ可読記憶媒体」と記載することを提案する。これは、一
時的な伝搬信号には特許性がないとCAFCが最近考えを示したためである。 ・コンピュータまたは別の物理的デバイスで実施されない場合には、物理的な物の何ら
かの変換について記載することを検討する。この変換の記載がより具体的になればなる
ほど、クレームが特許適格性要件を満たすと判断される可能性がより高くなるはずであ
る。「機械または変換テスト」の変換についてのBilskiにおけるCAFCの考察に基づくと、
十分な変換としては、変換が名目上ではない場合、物理的な物体または物質を表す電子
データまたは信号の変換が挙げられ、官民の法律的な義務、関係、ビジネスリスクおよ
び一般概念の変換は含まれないことに留意されたい。 ・ビジネス方法の発明に関して、その特定のビジネス分野における改良点および効率性
に重点を置く形で発明について記載しクレームを作成し、かつその方法を実施または実
行する際に関与する物理的構成要素または構造について具体的に記載する。 ・最後に、一部のケースでは、装置クレームが方法クレームと解釈される場合があるこ
とに注意されたい。これは通常、広義の用語および機能的用語を用いて装置が定義され
ている場合に起こる。加えて、審査官は、「ユニット」や「モジュール」など一部の用
語を用語「ステップ」と同じようにして解釈している。一部のケースでは、主題適格性
の拒絶を回避または克服するために、記憶デバイスやプロセッサなど具体的な構造を記
載することで十分である場合がある。 本Client Alertについてのさらなる詳細、または他の特許に関する事項につきましては、
Anastasia Zhadina((212)790‐9286/[email protected])までお問い合わせ下さい。 _________________________ 1 USPTO’s Interim Guidance is available at
http://www.uspto.gov/patents/law/exam/bilski_guidance_27jul2010.pdf
DISCLAIMER: This Alert is not, nor intended to be, legal advice. Because the materials included are general, the user should not act or rely upon this information or resources without first seeking professional legal advice. Should you require, Cowan, Liebowitz & Latman, P.C., can provide legal advice on a case‐by‐case basis. 3 / 3