河床変動と植生消長を考慮した河道計画の策定 <モデル開発の背景と目的> 河道内樹木による諸問題 ・ 流下能力の減少、洪水時の倒木,流木による災害リスクの増加(防災) ・ 外来種(ハリエンジュ等)の侵入による従前の生態系の破壊(環境) ・ 礫河原の減少に伴なう、河原環境の依存種の減少(環境) ・ 河川景観,親水性の低下(利活用) 河道計画や維持管理計画を策定する上で、防災・環境・ 20 年前 利活用の各側面から、樹木管理を踏まえた検討が必要で ある。 河道の地形変化に植生消長を組み合わせたモデルによ り、将来の河道の状況を予測し、合理的な計画(河道形 現在 状・維持管理計画など)を策定する。 ▲ 河道内樹林化の例 <植生消長モデルの概要> ・ 植生の基盤となる細粒土層の形成をモデル化 (河道断面をスプリット分割し、スプリット毎 に土砂の浮上・堆積を計算) ・ 植生破壊,フラッシュは掃流力で評価 ・ フラッシュの有無,細粒土層厚,経過年数から、断 面内の各スプリットにおける植生を予測 36 35 安定植生からさらに年 数経過→樹林化 34 細粒土層形成→ 安定植生繁茂 標高 [TP m] 33 32 有意な撹乱なし→ パイオニア的植生繁茂 31 30 29 砂州・高水敷の土砂堆積 (植生消長モデル) 28 水深に応じた細粒土砂の堆 積、植生に応じた浮上抑制 をスプリットごとに計算 27 低水路の河床低下 →河床変動計算 ※植生の流失・破壊は 基盤の流出τ*で評価 26 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 横断距離 [m] ▲ 河床変動+植生消長モデルのイメージ ▲ 日本工営株式会社 技術本部 中央研究所 計算の流れ 〒300-1259 茨城県つくば市稲荷原 2304 Tel.029-871-2000 Fax.029-871-2019 E-mail [email protected] URL. http://www.n-koei.co.jp 2203AJ 河床変動と植生消長を考慮した 河道計画の策定 <モデル水路での計算例:初期状態(裸地)から 10 年後の地形・植生を予測> ■ 比高差(高水敷ー低水路)の異なる一様水路での計算 初期 パイオニア的植生 10年後裸地 安定植生 12 細粒土層の形成に伴ない 安定植生が繁茂する。 11 11 10 9 ▽ 水位 8 7 初期比高差 2.5m 6 10年後裸地 安定植生 パイオニア的植生は繁茂す る。 掃流力が大きくなり細粒土砂 は堆積しない。 12 掃流力の小さい高水敷上に 細粒土砂が堆積する。 標高 [m] 標高 [m] 10 初期 パイオニア的植生 9 ▽ 水位 8 7 6 5 初期比高差 2.0m 5 4 4 -50 0 50 100 150 200 -50 0 50 横断距離 [m] 比高差 2.5m の場合 ▲ 100 150 200 横断距離 [m] 初期 パイオニア的植生 ▲ 比高差 2.0m の場合 10年後裸地 安定植生 12 掃流力がさらに大きくなり、高 水敷は毎年撹乱される。 →植生は侵入しない。 11 標高 [m] 10 9 ▽ 水位 8 7 6 初期比高差 1.0m 5 4 -50 0 50 100 150 200 横断距離 [m] ▲ ■ 比高差 1.0m の場合 堰が設置された一様水路での計算(河床変動と植生消長) 初期 パイオニア的植生 10年後裸地 安定植生 初期 パイオニア的植生 12 12 細粒土層の形成に伴ない 安定植生が繁茂する。 11 10 掃流力の小さい高水敷上に 細粒土砂が堆積する。 10 堰での流砂遮断により 堰下流の河床は洗掘 9 8 ▽ 水位 7 初期比高差 2.5m 6 パイオニア的植生は繁茂す る。 11 標高 [m] 標高 [m] 10年後裸地 安定植生 5 掃流力(水深)が大きく 細粒土砂は堆積しない。 ▽ 水位 9 8 7 初期比高差 2.5m 6 5 4 4 -50 0 50 100 150 200 -50 0 50 横断距離 [m] ▲ 堰下流断面 100 150 200 横断距離 [m] ▲ 堰上流断面 ・ 将来の維持管理を見据えた河道形状の検討、目標とする環境を達成するための河道形状の検討な どに有効なツールとなっている。 ・ 同一断面内での洗掘・堆積を同時に扱うことができ、より実現象に近いシミュレーションが可能 である。
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