医療事故情報収集等事業 第34回報告書

医療事故情報収集等事業
第34回 報 告 書
( 平 成25年4月 ∼6月 )
平成25 年 9 月 2 5 日
公益財団法人日 本医療機能評価機構
医療事故防止事業部
本事業の内容(報告書類、事例)は、以下のホームページから閲覧・検索していただけます。
(公財)日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業トップページ:http://www.med-safe.jp/
○ 報告書類・年報:http://www.med-safe.jp/contents/report/index.html
○ 医 療 安 全 情 報 :http://www.med-safe.jp/contents/info/index.html
○ 公開データ検索:http://www.med-safe.jp/mpsearch/SearchReport.action
目次
はじめに …………………………………………………………………………………… 1
第34回報告書の公表にあたって ……………………………………………………… 3
医療事故情報収集等事業について ……………………………………………………… 5
I 医療事故情報収集等事業の概要……………………………… 41
1 医療事故情報、ヒヤリ・ハット事例収集の経緯 ……………………… 41
2 医療事故情報収集・分析・提供事業の概要 …………………………… 43
【1】事業の目的 ……………………………………………………………………………43
【2】医療事故情報の収集 …………………………………………………………………43
【3】医療事故情報の分析・公表 …………………………………………………………44
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の概要 …………………… 45
【1】事業の目的 ……………………………………………………………………………45
【2】ヒヤリ・ハット事例情報の収集 ……………………………………………………45
【3】ヒヤリ・ハット事例情報の分析・提供 ……………………………………………47
Ⅱ 報告の現況 …………………………………………………… 48
1 医療事故情報収集等事業 ………………………………………………… 48
2 医療事故情報収集・分析・提供事業 …………………………………… 49
【1】登録医療機関 …………………………………………………………………………49
【2】報告件数 ………………………………………………………………………………51
【3】報告義務対象医療機関からの報告の内容 …………………………………………55
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業 …………………………… 74
【1】登録医療機関 …………………………………………………………………………74
【2】全医療機関の発生件数情報報告 ……………………………………………………76
【3】事例情報参加登録申請医療機関の報告件数 ………………………………………81
【4】事例情報参加登録申請医療機関からの報告の内容 ………………………………85
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
………………………… 102
1 概況 ………………………………………………………………………… 102
【1】分析対象とするテーマの選定状況 ……………………………………………… 102
【2】分析対象とする情報 ……………………………………………………………… 102
【3】分析体制 …………………………………………………………………………… 103
【4】追加調査 …………………………………………………………………………… 103
2 個別のテーマの検討状況 ………………………………………………… 104
【1】血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連
した医療事故 ……………………………………………………………………… 104
【2】血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での
観血的医療行為に関連した医療事故 …………………………………………… 135
【3】リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例 ……………… 164
【4】胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例 …………………… 174
3 再発・類似事例の発生状況 ……………………………………………… 188
【1】概況 ………………………………………………………………………………… 188
【2】「誤った患者への輸血」(医療安全情報 No. 11)について ………………… 191
【3】共有すべき医療事故情報「ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故」
(第13回報告書)について …………………………………………………… 201
参考 医療安全情報の提供 …………………………………… 211
【1】事業の目的 ………………………………………………………………………… 211
【2】主な対象医療機関 ………………………………………………………………… 211
【3】提供の方法 ………………………………………………………………………… 211
【4】医療安全情報 ……………………………………………………………………… 212
はじめに
公益財団法人日本医療機能評価機構
理事長 井原 哲夫
本財団は公益財団法人として、国民の医療に対する信頼の確保および医療の質の向上を図ることを
目的として、病院機能評価事業や医療事故情報収集等事業など様々な事業を運営し、医療の質をでき
るだけ高く保ち、安心・安全な医療を提供するために、それらの事業に継続して取り組んでおります。
医療事故情報収集等事業では、収集した医療事故等の情報やその集計、分析結果を定期的な報告書
や年報として取りまとめるとともに、医療安全情報を作成し、毎月1回程度公表を行うことで、医療
従事者、国民、行政機関等広く社会に対して情報提供を行っております。その上で、医療安全情報に
ついては医療安全の直接の担い手である医療機関により確実に情報提供が行えるよう、希望する病院
にファックスで直接提供する事業を行っております。医療安全情報は平成23年2月から全国の約6
割の病院に提供するまで拡大しています。
本事業は開始後8年が経過しました。この間、医療安全の推進のため、平素より本事業において医
療事故情報やヒヤリ・ハット事例等の情報の提供にご協力いただいております医療機関の皆様や、関
係者の皆様に深く感謝申し上げます。
本事業における報告書の公表は今回が34回目になります。今回は平成25年4月から6月までに
ご報告いただいた医療事故情報とヒヤリ・ハット事例の報告をとりまとめたものです。また、本報告
書に掲載しております医療安全情報はこれまで82回の情報提供を行ってきたもののうち、平成25年
4月から6月に提供した No. 77から No. 79を掲載しております。
これまでに公表した報告書に対しては、医療事故の件数や内容に関するお問い合わせや報道など多
くの反響があり、医療安全の推進や医療事故防止に関する社会的関心が依然として高いことを実感し
ております。
今後とも、本事業や病院機能評価事業などの様々な事業を通じて、国民の医療に対する信頼の確保
と、日本の医療の質の向上に尽力して参りたいと考えておりますので、ご理解とご協力を賜りますよ
う宜しくお願い申し上げます。
-1-
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第34回報告書の公表にあたって
公益財団法人日本医療機能評価機構
特命理事 野本 亀久雄
本事業の運営にご理解、ご協力いただき感謝申し上げます。また、この度は、サーバに対する不正
アクセスにより、関係者の皆様にご迷惑やご心配をおかけいたしましたことをお詫び申し上げます。
さて、本事業は開始後8年が経過しました。この間、本事業に対する医療機関の皆様の反応には
大きな変化があったと考えています。事業開始当初には、報告した事例をどのように活用されるのか
わからない、という不安を感じておられた医療機関が多かったように記憶しています。しかし最近で
は、収集した情報をもっと使いやすい形で提供して欲しいといったご要望が増えてきており、これは
事業開始当初とは異なる大きな変化であるととらえています。その結果、皆様ご存じのとおり、報告
書や年報は次第に内容の濃いものになるとともに、医療安全情報の提供を行い、さらに後述するWe
bを活用した情報提供も開始しております。それらの情報を基盤に、参加して下さっている医療機関
の方々に有用な情報としてお返しすることによって、経験したことのないタイプの医療事故の実態も
理解することが可能となり、具体性をもった医療事故防止が可能となるようです。
本事業は、多くの医療機関のご協力を得て、医療事故情報やヒヤリ・ハット事例を幅広く収集する
ことが基盤となっております。本事業にご参加いただいている医療機関の皆様には、我が国で初めて
の試みとして開始された本事業の円滑な運営に関し、ご支援、ご協力いただいておりますことに心よ
り感謝申し上げます。また、一層充実した情報を全国の医療機関や広く国民に還元できるよう、引き
続き、報告範囲に該当する医療事故情報やヒヤリ・ハット事例が発生した場合は、適切にご報告いた
だきますよう宜しくお願い申し上げます。
今回は平成25年4月から6月までにご報告頂いた医療事故情報と、ヒヤリ・ハット事例のご報告
をとりまとめた第34回報告書を公表いたします。今回の個別のテーマとしては、
「血液浄化療法(血
液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故」
「血液凝固阻止剤、抗血小板
剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に関連した医療事故」「リツキシマブ製
剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例」
「胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた
事例」を取り上げました。さらに、本報告書が対象とする平成25年4月から6月に提供した、医療
安全情報の No. 77から No. 79も掲載しております。
これらの内容を含め、本事業の現況について、第19回報告書から担当部長による解説の頁を、私
からのご挨拶の頁に引き続いて設けております。その頁をお読みいただくことにより、本事業を支え
ておられる参加医療機関の皆様に、本事業の最新の状況をお知らせできるものと考えております。そ
のような本報告書の内容を、医療機関において、管理者、医療安全の担当者、医薬品の安全使用のた
めの責任者、医療機器の安全使用のための責任者及びその他の職員の皆様の間で情報共有して頂くこ
とにより、医療安全推進にお役立て下されば大変幸いに存じます。
国民の医療に対する信頼を回復し、その信頼を保っていくためには、医療の安全性を向上させる取
り組みを永く続けていくことが必要であると考えておりますので、私共の事業を通じて、個々の医療
事故防止を超えて、医療に関わる人々の誇りとなるような旗印を作りたいと念願しています。そのた
めに、8年以上の実績を持つ本事業は、報告を定着させていく時期から、報告された情報を活用して
いく時期に移行していかねばならないと考えております。
今後とも本事業の運営主体として、我が国の医療事故防止、医療安全の推進に資するよう、報告書
の内容充実と、一層有効な情報提供に取り組んでまいりますので、皆様のご理解とご協力を心よりお
願い申し上げます。
-3-
-4-
医療事故情報収集等事業について
∼第34回報告書の内容を中心に∼
公益財団法人日本医療機能評価機構
執行理事 兼 医療事故防止事業部長 後 信
1 はじめに
平素より、本事業の運営にご理解、ご協力いただき、深く感謝申し上げます。また、7月に発生い
たしました、本事業で稼動しているサーバに対する不正アクセスにより、ホームページの運用を長期間
にわたり停止させていただき、本事業にご関心を寄せ、成果をご活用いただいている皆様に、ご迷惑
やご心配をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。
さて今回は、平成25年4月から6月までにご報告頂いた医療事故情報とヒヤリ・ハット事例のご
報告をとりまとめた第34回報告書を公表いたします。報告書の内容を十分ご参照いただき、安全管
理を担当とする方を中心に、それぞれの医療機関の実情に即した有用な部分を院内で周知していただ
ければ幸いに存じます。
また、医療を受ける立場でこの報告書や本事業のホームページをご覧の皆様に於かれましては、
医療事故やそれに至る前に防止できたヒヤリ・ハット事例の種類や内容、医療機関や医療界が再発防
止に向けて取り組んでいる姿を、ご理解いただければ幸いに存じます。
さらにこのたびの公表にあたり、医療事故情報収集等事業やそれに関連する事業の現況について、
以下にご紹介させていただきます。
2 第34回報告書について
1)図表∼参加登録申請医療機関数の内訳∼
第22回報告書から、参加登録申請医療機関数の内訳を示す図表を追加しております(48頁)
。医療
事故情報を報告している医療機関数、ヒヤリ・ハット事例を報告している医療機関数、重複を除いた事
業参加医療機関数などをお示ししています。本事業に参加している医療機関数は、33回報告書に記し
た数より少し増えて平成25年6月30日現在で1,
353医療機関となりました。また、この図表の内
容は、本事業の参加状況を示す基本的な内容であることから、ホームページの「参加登録医療機関一覧」
において随時情報を更新してお示ししています(http://www.med-safe.jp/contents/register/index.html)
。
2)報告件数など
この報告書が対象としている4月から6月の間に、748件の医療事故情報をご報告いただきました。
内訳は、報告義務対象医療機関から661件、参加登録申請医療機関、つまり任意で参加していただい
ている医療機関から87件のご報告をいただきました。前年同期には、626件の報告をいただきまし
たので120件程度多い状況です。昨年は1年間の集計で、報告義務対象医療機関から2,
535件、任
意参加の医療機関から347件で、合計2,
882件となり、過去最も多い報告件数となりましたので報
告件数の増加の傾向が続いているものと考えています。また、従来から申し上げております通り、医療
事故を報告することが次第に定着してきたために、事業開始以降最近まで医療事故の報告件数が増加し
-5-
続けてきたものと考えています。その上で医療事故が減少して行くことは望ましいことと考えておりま
すとともに、そのためにも有用な事例の報告、分析、情報提供という正の改善サイクルを回し続けるこ
とが重要です。医療を取り巻く環境が厳しくなっているという指摘が多くなされる中で、医療事故やヒ
ヤリ・ハット事例の報告をいただいている医療機関の皆様のご協力に心より感謝申し上げますとともに、
今後とも、本報告書中の、
「Ⅰ - 2 医療事故情報収集・分析・提供事業の概要【2】医療事故情報の収集」
に掲載している報告範囲(43∼44頁)を今一度ご確認いただき、該当事例を、我が国の医療安全の
推進のためにご報告していただければ幸いに存じます。
また、全ての事業参加医療機関にとって 、 報告範囲に該当する事例が発生したことを把握すること、
その事実を重要な情報を漏らさず整理すること、これを報告できる形にまとめること、報告すること、
これらのことを行い、質の高い報告を継続的に行うことは、決して容易なことではないと考えておりま
すが、本事業に参加することで、先述したような、事実を把握する能力や報告する能力が高まることや、
医療機関というひとつの組織体として医療安全を重視した運営方針を決断したり職員に説明したりする
ための有用な資料とすることができること、などが期待できます。このことは、医療機関の医療安全推
進だけでなく、我が国の医療安全の底上げを図ることになるものと考えられますので、何卒宜しくお願
いいたします。
3)任意参加医療機関からの報告件数∼任意参加医療機関からの報告を期待しています∼
任意参加の医療機関から報告される医療事故の件数については、報告義務の課せられている医療機関
のそれに比べ随分少ない現状が事業開始後長く続いたあと、平成22年は521件と、それまでの約3倍
程度に増加しました。しかし、平成23年は316件、平成24年は347件にとどまりました。本報
告書が対象としている4∼6月期の報告件数も87件です。任意参加の医療機関数は680施設に増加
しており、そのことは院内だけでなく全国の医療安全を推進する本事業へのご協力の意思のあらわれと
考えられ大変ありがたく思っております。そして、
「参加」していただく段階の次は、
「報告」の段階です。
昨年の報告件数をみると、私どもの取り組みを含め、この「報告」の段階の取り組みがいまだに不十分
であると考えられます。
任意で参加されている医療機関からの報告件数が、報告義務が課せられている医療機関からのそれよ
りも随分少ないことは、報告に対する意識の違いを示しているとも考えられ、本事業の運営会議でも指
摘されているところです。また、私が依頼講演に対応するたびに、出席者の皆様に、この点についてご
説明とご協力を依頼しています。同時に、報告件数の増加は、医療機関や医療界の中に、医療事故情報
を外部報告することについて十分な動機が成熟してこそ、件数だけでなく質の高い内容の報告がなされ
るという考え方も合わせてご説明しています。つまり、報告件数が少ないことを問題視するあまり、国
がいたずらに報告義務を拡大したり、罰則を課したりする方法で達成されるものではないと考えていま
す。
医療事故報告件数は、医療界が医療安全に積極的に取り組んでいる姿勢が評価されるひとつの目安に
なると思われます。その件数に、報告義務が課せられている医療機関と任意で参加されている医療機関
の間に大きな差があることは、必ずしも日常の診療現場の医療安全の努力の実態を反映していないので
はないかと考えられます。そこで、任意で参加されている医療機関の皆様におかれましては、報告範囲
に該当する事例の適切なご報告に引き続きご協力いただきますように、宜しくお願いいたします。
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表1 医療事故の報告件数
年
17年
18年
19年
20年
21年
22年
23年
24年
25年
(1 ∼ 6 月)
報告件数
1,441
参加形態
報告義務
任意参加
1,114
1,296
1,266
1,440
1,895
2,182
2,483
2,535
医療機関数
272
273
273
272
273
272
273
273
273
報告件数
151
155
179
123
169
521
316
347
157
医療機関数
283
300
285
272
427
578
609
653
680
4)報告の現況
「Ⅱ 報告の現況」に示している多くの図表の数値には、
毎回大きな変化は見られない傾向にあります。
本事業は、変化がある場合もない場合も、医療事故やヒヤリ・ハットの現状を社会に継続的に示し、医
療の透明性を高めることに寄与していくことも本事業の役割と考えており、継続して図表を掲載し、結
果をお示ししています。
また、
「事故調査委員会設置の有無」
「当事者の直前1週間の勤務時間」
「発生場所」
「事故調査委員会
設置の有無」
「事故の概要×事故の程度」など、報告書に掲載していない図表が、ホームページ(http://
www.med-safe.jp/contents/report/html/StatisticsMenu.html)に掲載されていますので、ご参照ください。
図1 集計表のページ
5)個別のテーマ(104∼187頁)
今回の個別テーマとしては、
「血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関
連した医療事故」
「血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行
為に関連した医療事故」
「リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例」
「胸腔穿刺や胸
腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例」を取り上げました。
「リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再
活性化に関連した事例」
「胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例」は、今回初めて取り
上げるテーマです。
これらのうち、
「血液浄化療法(血液透析、
血液透析濾過、
血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故」
「血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に関連した医療
事故」は、テーマを設定した後、それに該当するヒヤリ・ハット事例を1年間にわたり収集しながら前
方視的に分析しているテーマです。残りの
「リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例」
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「胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例」は、4∼6月に報告された重要な事例をテー
マとして設定し、同種事例を過去に遡って、つまり、後方視的に分析したテーマです。このように、
「個
別のテーマの分析」では、前方視的分析と後方視的分析とがあります。
表2 分析テーマ一覧
①前方視的分析を行うテーマ
(テーマを設定後、事例を1年間報告していただき分析するテーマ)
・血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故
・ 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に関連した
医療事故
②後方視的分析を行うテーマ
(4∼6月に報告された事例の中からテーマを設定し、同種事例を過去に遡って活用し分析するテーマ)
・リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例
・胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例
テーマ分析の概要を次に紹介します。
①血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故
(104∼134頁)
本テーマは、第33回報告書から取り上げたテーマで、4回にわたり取り上げるテーマのうちの今
回は2回目です。血液浄化療法は、血液を体外で循環させ、血液中の病因や関連した物質について、
半透膜を介して濾過したり、あるいは材料表面へ吸着したりすることによって除去をする治療法であ
り、血液透析濾過や血漿交換などがあります。血液浄化療法の対象疾患は、急性腎不全、慢性腎不全
はもとより除去対象となる物質の種類の増加と選択可能な除去手段が増加したことにより、腎以外の
臓器不全や多臓器不全、薬物中毒、さらに自己免疫疾患と多岐にわっています。そのため、関わる医
療者も専門医や透析室スタッフのみならず、専門以外の内科医や入院病棟スタッフなど多様になって
います。
そのような状況にあって、血液浄化療法の実施にあたっては、使用する血液回路、ダイアライザな
どの血液浄化器、透析液供給装置などの装置に関する医療事故やヒヤリ・ハット事例が報告されてい
ます。関係団体の調査によると、平成23年末の慢性透析患者数は約30万人であり、患者数の推移
が増加傾向にあることから、血液浄化療法を受ける患者数も増加していることが推測できます。この
ように対象患者数の増加が予想されることや、血液浄化法により治療を受ける患者の疾患や病態その
もののリスクが高いことから、今後も血液浄化法に関する医療事故が増加しうると考えられ、今回テー
マとして取り上げました。
血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故の内容とし
ては、
「バスキュラーアクセス」
「血液回路」
「ダイアライザやフィルターなどの血液浄化器等」
「装置」
の事例が報告されていますが、これらのうち今回は報告件数が最も多かった「バスキュラーアクセス」
に関する事例をテーマとして取り上げました。そして、その内容をみると、
「穿刺時」
「治療中」
「抜去・
抜針時」の各場面について、
「部位間違い」
「損傷・出血」
「外套・ガイドワイヤーの残存」
「意図しな
い抜針」
「バスキュラーアクセスと回路のはずれ」
「カテーテル破損」などの事例がありました。これ
らのうち、報告件数が多かった「穿刺時の部位間違い」
「穿刺時の外套・ガイドワイヤーの残存」
「治
療中の意図しない抜針」の3つの事項について特に着目し、分析を行いました。
-8-
穿刺対象となる血管などの種類により、静脈カテーテル挿入、内シャントへの穿刺、動脈の表在化
への穿刺があります。静脈カテーテル挿入については、静脈に穿刺するところ動脈に穿刺した、また
は針を挿入する血管を間違えた(動脈と静脈の間違い)
、下大静脈に留置すべきところ腰静脈に迷入し
た(留置すべき静脈の間違い)
、上大静脈から縦隔へ逸脱した(静脈から縦隔に逸脱)の3つのパター
ンがあり、内シャントについては、シャント穿刺部位の間違い、がありました。このように静脈カテー
テル挿入時、静脈を穿刺する予定が、誤って動脈を穿刺した事例が12件と最も多く、具体事例を提
示しながら、専門分析班や総合評価部会で行われた議論を解説しています。また、
「穿刺時の外套・ガ
イドワイヤーの残存」の事例の分析では、破損した外套のイメージ写真を掲載して分かりやすく解説
しています。
その他に、報告された改善策を整理して示しています。
表3 「穿刺時の部位間違い」の分類と報告件数
静脈カテーテル
17
動脈と静脈の間違い
12
内頸静脈
5
大腿静脈
5
鎖骨下静脈
2
留置すべき静脈の間違い
2
静脈から縦隔に逸脱
3
内シャント
2
シャント穿刺部位の間違い
2
動脈への穿刺
1
吻合部への穿刺
1
合計
19
②血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に関連した
医療事故(135∼163頁)
血液凝固阻止剤や抗血小板薬は抗血栓療法に使用される薬剤です。循環器疾患の増加に伴い、今後
も投薬の機会が増えることや、同種の薬効を有する新規医薬品が製造販売され、様々な医薬品を使い
分けたり併用したりして治療を行うことが予想されます。血液凝固阻止剤や抗血小板薬は、投与量に
よっては重篤な副作用が発現し易いなど、特に安全管理が必要な医薬品として日本薬剤師会の 「 薬局
におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン(第2版)」 において「血液凝固
阻止剤」がハイリスク薬に位置づけられていたり、日本循環器学会や日本消化器内視鏡学会から血液
凝固阻止剤や抗血小板薬の適切な投与に関するガイドラインや指針が公表されていたりする薬剤です。
本事業では、抗凝固剤であるワーファリンに関して、第20回報告書(140∼149頁)で「凝固
機能の管理にワーファリンカリウムを使用していた患者の梗塞及び出血」をテーマとして取り上げて
分析を行い、患者が内服しているワーファリンカリウムの内服状況や凝固機能に関する情報を把握し
ていない中で、梗塞や出血などが生じ、医療事故として報告された事例などを紹介しました。このよ
-9-
うに、普段の診療や看護、調剤などにおいて血液凝固阻止剤、抗血小板薬の管理は大変重要であり、
特に観血的医療行為を行う場合には、出血や梗塞などが生じないように、投与方法や投与量などにつ
いて、患者に合わせた調節を行うことが重要です。
今回は、血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に
関連した「中止」と「再開」の事例を中心に分析しました。
「再開」の事例には、同じ薬剤の投与を再
開した「再開(同一薬剤)
」と、
薬剤を変更して投与を再開した「再開(薬剤変更)
」とがあります。
「中
止」の事例には、例えば「狭心症、CABG 後で、抗凝固剤(バイアスピリン、プラビックス)を服用
している患者で、バイアスピリンは1ヶ月前より服用を中止しており、プラビックスも中止を指示し
ていたが、一包化された薬剤の中に入っておりプラビックスは中止されてなかった。
」事例などがあり
ました。
「再開(同一薬剤)
」の事例には、
「深部静脈血栓症に対して持続点滴でヘパリンを投与(1万
単位/日)していたが、髄液検査の前後でヘパリンを中止したあと、出血の可能性を説明せずに再開
したところ、両下肢麻痺が出現し硬膜外血腫を認めた。
」事例などがありました。それらの事例の具体
事例の紹介や専門分析班、総合評価部会における議論を紹介しています。
また、血液凝固阻止剤や抗血小板薬に関する医療事故には、
ア)ガイドラインで推奨されている投与内容に基づいている
イ)医師が意図した通り行われている
ウ)発病した病態を現病で説明できる
といったいわゆる合併症と考えられ、予防の可能性が低いと考えられる事例も報告されていますが、
ア)∼ウ)に該当しない事例もあります。その事例の中には、中止時の観察が不十分であった、中止
の指示を出していなかった、再開する際の薬剤の指示量が過量であった、などの予防可能な事例も報
告されていることから、予防可能な医療事故の防止のために医療者に出来ることがまだあると考えら
れます。さらに具体的な医薬品名の集計も行ったところ、
「中止」の事例ではワーファリンやバイアス
ピリン錠が特に多く報告されており、
「再開」の事例では、特に多かった医薬品はなかったのですが、
バイアスピリン錠などが報告されていました。その結果も紹介しています。
医療機関におかれましては、このような事例や分析結果を参考にしていただき、血液凝固阻止剤、
抗血小板剤を投薬している患者に手術などの観血的医療行為を実施する機会において、投薬を中止、
再開する際の投薬量や医薬品の選択などの管理に役立てていただければ幸いです。
- 10 -
表4 血液凝固阻止剤、抗血小板剤の「継続」に関する医療事故の主な治療、検査の内容
薬剤分類
血液凝固阻止剤
中止
製品名
件数
ワーファリン錠/細粒
8
ヘパリン※
1
不明
1
バイアスピリン錠
8
バイアスピリン錠+プラビックス錠
2
プラビックス錠
2
バファリン配合錠
1
プレタールОD錠/散
1
不明
1
ワーファリン錠/細粒+バイアスピリン錠
1
抗血小板剤
血液凝固阻止剤
抗血小板剤
合計
26
ヘパリン※
1
薬剤名不明
1
バイアスピリン錠
2
バイアスピリン錠+パナルジン錠/細粒
1
ワーファリン錠/細粒+プラビックス錠
1
血液凝固阻止剤
再開
(同一薬剤)
抗血小板剤
血液凝固阻止剤
抗血小板剤
合計
再開
(薬剤変更)
6
血液凝固阻止剤
ワーファリン錠/細粒 ⇒(再開)ヘパリン※
2
血液凝固阻止剤
抗血小板剤
バイアスピリン錠+ワーファリン錠/細粒
⇒(再開)ヘパリン※
1
合計
3
※ヘパリンとは、事例内に「ヘパリン」と記載されたヘパリンナトリウムやヘパリンカリウムを指す。
③リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例(164∼173頁)
リツキシマブ(遺伝子組換え)製剤(商品名:リツキサン ® 注 10 mg/mL)は、抗悪性腫瘍剤、
ヒトBリンパ球表面に存在する分化抗原CD20(リンタンパク質)に結合するモノクローナル抗体
であり、CD20抗原を有する細胞に対して、①補体依存性細胞傷害作用、②抗体依存性細胞介在性
細胞傷害作用を有する医薬品です。リツキシマブはCD陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫に対して
の効果を認めるほか、B細胞に特化した免疫抑制の強化を目的として、肝移植、腎移植の術前に投与
されることもあります。このようにリツキシマブは免疫療法、
化学療法に使用される代表的な薬剤です。
このようにリツキシマブは、化学療法や移植の免疫抑制の強化の際に広く活用され、がん患者や移
植患者の治療に貢献している現状がある一方で、B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎、肝炎の増悪など
の重大な副作用の可能性があり、緊急時に十分に対応できる医療機関で、十分な経験と知識を持った
- 11 -
医師のもとで投与を開始することが重要です。
本事業では、これまでにリツキシマブ投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例が報告されており、
その内容には背景・要因として、診療科間の情報伝達やアラートシステムについて、より安全な対策
を構築することが必要であることを振り返り分析しているものがありました。このようにリツキシマ
ブ投与後のB型肝炎再活性化は、単一の医療機関でしばしば経験する事例ではありませんが、警鐘的
事例と考えられるため、分析テーマとして取り上げました。また、これまでにも免疫抑制・化学療法
の際にHBVキャリアの患者にHBV再活性化による、重症肝炎が惹起されることは指摘されており、
その後、HBs抗原陰性で、かつHBc抗体またはHBs抗体陽性例においても、リツキシマブなど
強力な免疫抑制剤の使用により、HBV再活性化により重症肝炎が発症することがあることから、厚
生労働省「肝硬変を含めたウイルス性肝疾患の治療の標準化に関する研究」班及び「難治性の肝・胆
道疾患に関する調査研究」班が合同でワーキンググループを設立し、平成19年に「免疫抑制・化学
療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン」を作成し、平成24年5月に日本肝臓学会は、それ
にさらに改訂を加えた「B型肝炎治療ガイドライン(第1.
1版)
」を作成、公表していることから、
本分析において当該ガイドラインに示されている免疫抑制・化学療法を施行する際に実施するHBV
感染のスクリーニング及び治療の流れを紹介しています。
肝疾患の治療においては、HBV再活性化という専門的知識はガイドラインの作成などにより普及
が進んでいますが、HBV既感染者に対する腎移植時の免疫抑制や、HBV既感染者の血液疾患に対
する化学療法時においては、診療に従事する医師などにこの知識が十分普及しているとは言えない状
況にあると考えられます。そこでこのような事例や分析内容に学ぶことは、高度な医療を安全に提供
するために有用と考えますので、参考にしていただければ幸いです。
図2 HBV感染のスクリーニング及び治療の流れ(B型肝炎治療ガイドライン(第1.
1版)
日本肝臓学会)より
- 12 -
④胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例(174∼187頁)
本事業では、手術・処置部位の取り違えに関連した医療事故については、過去に分析テーマとして
取り上げました。また、平成19年7月には、手術・処置部位の取り違えの中でも特に手術の際の左
右取り違えに着目し、医療安全情報 No. 8「手術部位の左右の取り違え」を作成、提供し、その中で
手術部位のマーキングが適切になされなかった事例が多かったことを注意喚起しています。
その後も、類似事例が報告されていることから、平成23年1月には、医療安全情報 No. 50「手
術部位の左右の取り違え(第2報)
」を作成、提供し、報告された事例には、手術部位のマーキングが
適切になされていないこととともに、執刀直前に手術部位の確認をしていない事例があることを注意
喚起しました。その後、本報告書対象分析期間(平成25年4月∼6月)において、胸腔穿刺及び胸
腔ドレーン挿入の際に左右を取り違えた事例が2件報告されたことから、胸腔穿刺及び胸腔ドレーン
挿入時の左右の取り違え防止についてあらためて検討することは有用と考え、テーマとして取り上げ
ました。事例をみると、
「診断」や「準備」の各段階で、左右取り違えの要因が発生していました。こ
れらのうち「診断」や「準備」については、エックス線写真の画像処理の左右間違えや、患者の体位
を取る際に左右間違えを生じる体位となっていたことなど、詳細な背景・要因を示すことは、普段の
診療や看護において有用と考えられたことから、事例を分析して作表し示しています。また、医療機
関から報告された改善策も整理して示しています。
表5 左右取り違えの発生段階が「診断」の段階であった事例の取り違えの場面と内容
取り違えの場面
内 容
・診療放射線技師がエックス線撮影後、左右を取り違え
画像を処理した。
エックス線撮影画像の
・胸部エックス線写真を撮影の際、エックス線用グリッド
フィルムの処理
(散乱線防御板)を表と裏を逆にセットしたため画像が
逆になった。
エックス線フィルム
や画像の左右間違い
エックス線撮影室モニタ
画面の表示
・診療放射線技師は、エックス線フィルム処理の際に修
正するつもりで、指示された条件から、左右が入れ違
う条件で撮影した。撮影中のモニタ画面で医師は左右
の修正前の画像を見ることができた。医師は左右の修
正が必要なことを知らなかった。
エックス線フィルムの情 ・放射線科事務職員は前医のフィルムのマジックの記載
報を取り込む際の左右の 内容(患者の氏名、撮影日時)が読める画面を表にし
取り違え
て取り込んだが、表と裏を取り違えた。
エックス線フィルムを掲示する際の左右間違い
・医師が読影の際にシャウカステンにエックス線写真の
表と裏を逆にかけた。
①∼④のテーマで取り上げた内容は、どこの医療機関でも起こりうることであり、患者に対する説
明の際にも活用できる内容でもあると考えておりますので、ご参照、ご活用いただければ幸いに存じ
ます。
- 13 -
6)再発・類似事例の発生状況(188∼210頁)
第17回報告書まで掲載していた「共有すべき医療事故情報」や、今までに提供した医療安全情報の
いくつかは、一度情報提供しても、実際には引き続き類似事例が報告されている現実があります。そこ
で、
「Ⅲ - 3 再発・類似事例の発生状況」では、再び報告があった事例を取り上げ、情報提供前や提供後、
そして現在に至るまでの類似事例の発生件数やその推移、それらの類似事例について医療機関から報告
された具体的な改善策などの内容を掲載しています。
189∼190頁には、
過去に提供した「医療安全情報」や「共有すべき事例」
「
、個別のテーマ」の中から、
本報告書が対象とする本年4∼6月に報告された再発・類似事例の一覧を掲載しています。
「医療安全情報」
の再発・類似事例の件数は、
「小児への薬剤10倍量間違い」が4件と多く、その他はそれぞれ1∼2件で
した。次に「共有すべき医療事故情報」の再発・類似事例の件数は、
「
『療養上の世話』において熱傷を
きたした事例」
「小児への薬剤倍量間違いの事例」がそれぞれ6件、
「熱傷に関する事例(療養上の世話
以外)
」
「施設管理の事例」
「ベッドからベッドへの患者移動に関連した事例」がそれぞれ5件、
「ベッド
など患者の療養生活で使用されている用具に関連した事例」
「ベッドのサイドレールや手すりに関連した
事例」
「病理検体に関連した事例」がそれぞれ4件などでした。最後に「個別テーマ」の再発・類似事例
の件数は、
「散剤の薬剤量間違い」が3件、その他の事例は1∼2件でした。
それらの中から今回取り上げたのは、
「誤った患者への輸血」
(医療安全情報 No. 11)
(1 91∼200頁)
「ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故」
(第13回報告書)
(201∼210頁)
です。
①「誤った患者への輸血」(医療安全情報 No. 11)
(1 91∼200頁)
「誤った患者への輸血」は、平成19年10月に医療安全情報 No. 11として提供し、輸血用血液製
剤を接続する際に、患者と使用すべき製剤の照合を最終的に行わなかった事例「誤った患者への輸血」
事例を取り上げました(医療安全情報掲載件数6件 集計期間:平成16年10月∼平成19年6月)
。
更に第25回報告書においても、
「再発・類似事例の発生状況」
(第25回報告書146∼150頁)
の項目において事例の概要、背景要因などを取りまとめました。このたび、本報告書分析対象期間(平
成25年4月∼6月)においても類似の事例が1件報告されたため、再発・類似事例の発生状況とし
て取り上げたものです。
平成25年1月∼6月に報告された2事例は、1)輸血庫よりRCCを取り出す際に、同じ血液型
の棚に複数の患者の血液が重ねて置いてあったことから看護師は別の患者のRCCを取り出してしま
い、投与前にダブルチェックし、パソコンの指示画面で患者氏名は確認したが適合票の患者氏名を確
認せず、また患者本人のバーコード認証もしなかったために輸血を実施してしまった事例、及び、2)
A型RCCが輸血部から到着時にFFPが輸血中だったため看護師がいったん保冷庫に保存し、看護
師が保冷庫から取り出す時と輸血を開始する時に氏名、血液型の確認をしなかったことなどから患者
間違い、異型輸血となった事例でした。
報告された事例の背景・要因をみると、事例1は、
「患者氏名の確認はダブルチェックで行ったが、
輸血票の患者氏名の確認は行わず、また患者本人のバーコード認証をしなかった」と記載されており、
事例2は、
「輸血バッグが病棟到着した時の照合とあわせて実施入力を行なった後で、輸血バッグを保
- 14 -
冷庫で保管した。輸血開始時には血液型、
氏名の確認をしなかった」
と記載されていました。2事例とも、
本来あるべき姿の業務工程に則して実施していれば、医療安全情報 No. 11の事例が発生した医療機
関の取り組みに掲載されている「輸血マニュアルを遵守し、輸血用血液製剤を接続する際は、患者と
使用すべき製剤の照合を最終的に行う。
」ことがなされ、実施直前に他の患者の輸血であることに気が
付いた可能性があります。そこで、2つの事例の輸血の業務工程を作成し、特に準備から実施までの
場面に着目して、あるべき姿の業務工程図の一例を示しています。また、報告された改善策を整理し
て示しています。
日本輸血学会(現、日本輸血・細胞治療学会)では、輸血過誤防止のために「輸血実施手順書」を
表し、その中で、①輸血同意書の取得、②血液型の検査と記録、③輸血指示の確認、④輸血バッグの
確認、⑤患者の確認、⑥適合票にサイン、⑦輸血患者の観察、⑧使用血液の記録、という手順を示し
ており、
日本赤十字社は日本輸血学会の輸血実施手順書を「輸血情報 0105-64」として掲載しています。
そこで、本稿ではその内容を紹介しています。
なお、本報告書分析対象期間内に、輸血指示が明確でなかったため患者Bの輸血指示を取り違え、
患者Aの輸血を輸血センターから取り寄せて患者Aに輸血した事例が報告されました。この事例は、
輸血を接続する際に、患者Aに使用すべき製剤と実施伝票がそろっているため、最終的に照合を行っ
ても防止できない事例であることから、
「輸血過誤防止のための血液実施手順書」の⑤患者確認が実施
できていなかった事例ではなく、また医療安全情報 No. 11「誤った患者への輸血」の再発・類似と
も言えませんが、
「輸血過誤防止のための血液実施手順書」の③輸血指示の確認に関係する事例である
ことから、参考事例として紹介しています。
- 15 -
図3 事例2の輸血準備から実施までの業務工程図
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②共有すべき医療事故情報「ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故」
(第13回報告書)
について(201∼210頁)
「ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故」は第13回報告書で分析対象期間(平成20
年1月∼3月)において事例が報告されたことから「共有すべき医療事故情報」として取り上げまし
た。更に、類似事例が報告されたため、第23回報告書(分析対象期間:平成22年7月∼9月)お
よび第31回報告書(分析対象期間:平成24年7月∼9月)においても、
「再発・類似事例の発生状
況」
(第23回報告書125頁、第31回報告書156∼163頁)において、事例の概要、背景要因
などを取りまとめました。このたび、本報告書分析対象期間(平成25年4月∼6月)においても類
似の事例が4件報告されたため、再び取り上げたものです。
- 16 -
事故の内容をみると、
「ドレーン・チューブ類の抜去」や「骨折」が多く報告されていました。そこで、
「ドレーン・チューブ類の抜去」の事例に着目し、詳細を分析したところ、手術の場面においてベッド
からベッドへ患者を移動させる際に腹腔内ドレーンが抜けた事例が多く報告されていました。その内
容をみると、ドレーン・チューブ類の位置を確認しないまま移動した事例が多く、その他に、一部の
チューブ類は確認したがその他のドレーンの確認は医師が行うだろうという思い込みや、声に出して
ドレーン・チューブ類の位置の確認を行なっていない事例がありました。そこで、移動の前後のイメー
ジをイラストにして掲載しています。以上より、移動の指揮を執るリーダー役を決め、リーダーの声
かけで、全員でドレーン・チューブ類が移動に安全な位置にあることを確認のうえ、移動することの
重要性が示唆されました。
図4 手術の場面で患者の移動の際に腹腔内ドレーンが抜けた事例(移動前のイメージ)
呼吸は
しっかりしているな。
胸部の動きも問題なし。
酸素ルートや点滴ラインは
○○さん
移動しても余裕が
ベッドを移動し
ありそうだ。
ますよ。
こちらのドレーンと
ハルンバックは患者の上に
置いたからOK。
向こう側のドレーンは
先生が見ているだろうな。
動きますよ。
よし、背中まで手が
入った。管は全部、
大丈夫かな。
はい。
みんな、動くよ。
せ∼の!
はい。
呼吸はしっかり 動きますよ。
しているな。
四肢の位置はOK。
ルートが沢山あるな。
ドレーンのバッグも
乗っているし、全部、
体の上に乗っただろう。
- 17 -
3 パンフレット「医療事故情報収集等事業 事業のご案内」の作成について
本事業には病院を中心として、平成25年6月30日現在で1,353医療機関が参加しています。
全国の病院数が約8,600病院、診療所が約10万施設、歯科診療所が約7万施設あることや、平
成19年4月1日に施行された改正医療法により、無床診療所、助産所を含む全ての医療機関の管理
者の責務として医療の安全管理のための体制の確保が義務付けられ、その中には、医療事故を医療安
全管理委員会や管理者へ報告すること、事例を収集、分析し、改善策の企画立案や実施状況を評価し、
情報を共有すること、重大事故発生時は速やかに管理者に報告すること、事故報告を診療録や看護記
録等に基づき作成すること、が求められていることを考慮すると、本事業に参加し事例を報告する過
程で、事例の収集、分析や改善策の立案など、それらの一部が実施されることにもなると考えられる
ことから、さらに多くの医療機関の皆様の参加を期待しています。
そして、実際に本事業への参加を検討される際には、事業の目的や意義、報告する内容、最近の参
加状況、負担の少ない参加の方法など、様々なことが気になることと思います。そこで、昨年11月
にそのような内容を記載したパンフレットを作成し、本事業のホームページに掲載しました(http://
www.med-safe.jp/pdf/project_guidance_2012_10.pdf)
。これから参加を検討される医療機関が出席
される講演会などで配布しています。パンフレットのPDFファイルをダウンロードしたり印刷した
りすることもできますので、医療機関でご活用いただければ幸いに存じます。
図5 パンフレット「医療事故情報収集等事業 事業のご案内」
<表紙> <事業概要>
- 18 -
<事業の成果> <事業への参加パターン>
4 製薬企業による本事業の事例データベースを活用した名称類似薬に関する注意喚起
本事業の事例データベースを活用し、
「アルマールとアマリール」
、
「ノルバスクとノルバデックス」など
の名称類似薬の取り違えについて、製薬企業から注意喚起がなされていることを過去の報告書でご紹介し
ました(第29回報告書 13∼18頁、平成23年年報 16∼19頁)
。このような活用は、最近目立
つようになってきたと感じています。昨年10月にも、
「セロクエルとセロクラール」について同様な注意喚起
がなされました(平成24年年報 28∼29頁)
。そして、本年4月には、
「エクセグランとエクセミドと
エクセラーゼ」
「ノルバスクとノルバデックス」について注意喚起がなされていますので、次に紹介します。
1)「エクセグラン」と「エクセミド」と「エクセラーゼ」の取り違い防止のための注意喚起
本年4月には、
「エクセグラン(一般名:ゾニサミド)
:抗てんかん剤」
「エクセミド(一般名:ゾニサミド)
:
抗てんかん剤」
「エクセラーゼ(一般名:サナクターゼM、メイラーゼ、プロクターゼ、オリバーゼ2S、
膵臓性消化酵素TA)
:消化酵素製剤」について同様な注意喚起がなされました。
医療従事者に対してそのことを説明するために企業名で公表された文書には、本事業の事例検索システム
( 21頁、
「5 ホームページの改修と検索機能の向上」を参照 ) から、エクセグランとエクセラーゼと
を取り違えた事例と、エクセグランとエクセミドとを取り違えた事例とが引用されています。
- 19 -
図6 販売名類似による取り違え注意のお願い(大日本住友製薬株式会社、共和薬品工業株式会社、
Meiji Seika ファルマ株式会社、2013年4月)
2)「ノルバスク」と「ノルバデックス」の取り違い防止のための注意喚起
同じく本年4月に、
「ノルバスク:高血圧症・狭心症治療薬/持続性 Ca 拮抗薬」と「ノルバデックス:
抗乳がん剤」について同様な注意喚起がなされました。
医療従事者に対してそのことを説明するために企業名で公表された文書には、本事業の事例検索シス
テム ( 21頁 「5 ホームページの改修と検索機能の向上」を参照 ) から、ノルバスク未採用の医療機
関において発生した、オーダリングシステムによる誤処方に起因するもので、ノルバスク未採用先に入
院した患者の持参薬「ノルバスク」を処方する際に、オーダリングシステムにて、
「ノルバデックス」が
誤って選択、処方された事例を引用し、事例の内容、背景・要因、改善策を紹介しています。
- 20 -
図7 ノルバスク ® とノルバデックス ® の誤処方・取り違え注意のお願い
(ファイザー株式会社、2013年4月)
このように、医療の現場の安全性を高めることにより、国民に安全な医療を提供することにつなが
る改善のために、本事業の成果物が活用されることは、事業の趣旨に即した適切な取り組みであると
考えており感謝しています。
5 ホームページの改修と検索機能の向上
1)事例検索に要する時間の短縮
本事業のホームページの「公開データ検索」のボタンをクリックすると、図8の画面が現れます。こ
のページ上で、医療事故情報やヒヤリ・ハット事例を閲覧することができます。また、図の下方にボタ
ンがあり、選択した事例を「XML」
「PDF」
「CSV」の3つのファイル形式でダウンロードするこ
とが可能です。このような事例を参考に、安全な診療、看護、調剤などのマニュアルの整備や医薬品の
表示の改善、医療安全分野の医学的、工学的な研究が行われています。また、医療事故が発生した場合に、
類似事例を閲覧することで、患者の病状の推移や治療方法などの点で参考になります。
- 21 -
以上の機能は、本事業に参加しておられる医療機関や研究者の皆様、またその他多くの皆様より、報
告書に掲載される事例が多くなり内容も豊富になっているため、Webを活用した事例の閲覧や検索が
できるシステムの開発を望む声を多くいただいてきたことに対応したものです。そしてこの検索ページ
では、本稿執筆時点で医療事故情報約9,
200件とヒヤリ・ハット事例約22,
600件が検索できます。
しかし、データベースを構築している機器の性能のために、検索速度が遅いというご意見をいただいて
いました。そのため、平成24年度のシステム改修として、新しい機器を導入しましたので、今年度は
これまでとは比較にならないくらいの速度で検索が終了するようになりました。
ご報告いただいた情報をこのような形で公表し、それが適切に活用されることによって医療提供の仕
組みやモノの改善が進み、その成果が実感されることによりさらに報告が定着する、といった医療安全
の好循環が生じ、医療界だけでなく我が国の社会において重要な機能として定着していくことを願って
おります。
図8 医療事故、ヒヤリ・ハット事例を閲覧できるページ
キーワードの入力
事例概要の選択
ファイル形式毎のダウンロードボタン
2)ホームページの機能追加
本事業のホームページに、①「分析テーマ」と②「再発・類似事例の発生状況」のボタンを追加し
ました(図9)。
- 22 -
図9 本事業のホームページ
①「分析テーマ」のボタン
②「再生・類似事例の発生状況」のボタン
①のボタンをクリックすると、第1∼33回報告書で取り上げた分析テーマについて、テーマのタ
イトルと該当するページのPDFファイルを閲覧することができます(図10)。
図10 分析テーマのページ
テーマ部分のPDFファイル
第33回報告書
分析テーマ
第32回報告書
分析テーマ
- 23 -
事業開始後、第1∼34回報告書に掲載したテーマの一覧を次に示します。
表6 第1∼34回報告書で取り上げた分析テーマ一覧
145 血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故
第34回
144
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に
関連した医療事故
143 リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例
142 胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例
2013 年
141 血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故
第33回
140
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に
関連した医療事故
139 アドレナリンの希釈の呼称に関連した事例
138 MRI検査に関連した医療事故
第32回
137
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に
関連した医療事故
136 脳脊髄液ドレナージ回路を一時的に閉鎖(クランプ)したが、適切に開放されなかった事例
135 院内において加工し使用した医療材料や医療機器に関連した医療事故
134 MRI検査に関連した医療事故
第31回
133
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に
関連した医療事故
132 膀胱留置カテーテル挿入の際、尿流出を確認せずにバルーンを膨らませ尿道損傷を起こした事例
131 採血時、他の患者の採血管を使用した事例
2012 年
130 MRI検査に関連した医療事故
129 自己管理薬に関連した医療事故
第30回
128
患者持参薬が院内不採用であることに気付かず、薬剤の頭3文字検索で表示された他の薬剤を
処方した事例
127 組み立て方を誤った手動式肺人工蘇生器を使用した事例
126 東日本大震災による影響を一因とした事例
125 MRI検査に関連した医療事故
第29回
124 自己管理薬に関連した医療事故
123 医薬品添付文書上【禁忌】の疾患や症状の患者へ薬剤を投与した事例
122 臨床化学検査機器の設定間違いに関連した事例
121 薬剤の施設間等情報伝達に関連した医療事故
第28回
120 自己管理薬に関連した医療事故
119 術後患者の硬膜外腔に持続注入すべき薬剤を静脈に注入した事例
118 研修医が単独でインスリンの単位を誤って調製し患者に投与した事例
117 薬剤の施設間等情報伝達に関連した医療事故
第27回
116 自己管理薬に関連した医療事故
115 NICUにおける薬剤の希釈に関連した事例
114 抗リウマチ目的の methotrexate 製剤を誤って連日投与した事例
2011 年
113 薬剤の施設間等情報伝達に関連した医療事故
第26回
112 食事に関連した医療事故
111 画像診断報告書の内容が伝達されなかった事例
110 薬剤処方時の検索結果としての画面表示に起因した医療事故
109 薬剤の施設間等情報伝達に関連した医療事故
第25回
108 食事に関連した医療事故
107 医療用照明器の光源により発生した熱傷に関連した医療事故
106 集中治療室(ICU)の入室時の薬剤の指示に誤りがあった事例
- 24 -
105 病理に関連した医療事故
第24回
104 食事に関連した医療事故
103 散剤の薬剤量間違い
102 気管内吸引時使用した気管支吸引用カテーテルに関連した医療事故
101 病理に関連した医療事故
100 食事に関連した医療事故
第23回
2010 年
第22回
第21回
第20回
第19回
2009 年
第18回
第17回
99
薬剤内服の際、誤ってPTP包装を飲んだ事例
98
予防接種ワクチンの管理に関する医療事故
97
透析患者に禁忌の経口血糖降下薬を処方した事例
96
病理に関連した医療事故
95
MRIの高周波電流ループによる熱傷
94
救急カートに準備された薬剤の取り間違い
93
持参薬の同系統代替薬を処方した際の医療事故
92
経過表画面の薬剤量を見間違え、ヘパリンを過量投与した医療事故
91
病理に関連した医療事故
90
放射線検査に関連した医療事故
89
皮下用ポート及びカテーテルの断裂に関連した医療事故
88
注射器に分割した輸血に関連した医療事故
87
化学療法に関連した医療事故
86
その他の薬剤に関連した医療事故
85
人工呼吸器に関連した医療事故
84
電気メス等に関連した医療事故
83
B型肝炎母子感染防止対策の実施忘れ(HBワクチン接種等)
82
凝固機能の管理にワーファリンカリウムを使用していた患者の梗塞及び出血
81
薬剤に関連した医療事故
80
人工呼吸器に関連した医療事故
79
ベッドなど病室の設備に関連した医療事故
78
放射線検査に関連した医療事故
77
生殖補助医療に関連した医療事故
76
妊娠判定が関与した医療事故
75
化学療法に関連した医療事故
74
その他の薬剤に関連した医療事故
73
人工呼吸器に関連した医療事故
72
電気メスなどに関連した医療事故
71
手術・処置部位の間違いに関連した医療事故
70
貯血式自己血輸血に関連した医療事故
69
全身麻酔におけるレミフェンタニル使用に関連した医療事故
68
薬剤に関連した医療事故
67
医療機器の使用に関連した医療事故
66
ベッドなど病室の設備に関連した医療事故
65
患者取り違えに関連した医療事故
- 25 -
第16回
第15回
2008 年
第14回
第13回
第12回
第11回
2007 年
第10回
第9回
第8回
第7回
2006 年
第6回
第5回
64
薬剤に関連した医療事故
63
医療機器の使用に関連した医療事故
62
輸血療法に関連した医療事故
61
ベッドなど病室の設備に関連した医療事故
60
薬剤に関連した医療事故
59
医療機器の使用に関連した医療事故
58
リハビリテーションに関連した医療事故
57
輸血療法に関連した医療事故
56
手術における異物残存
55
薬剤に関連した医療事故
54
医療機器の使用に関連した医療事故
53
リハビリテーションに関連した医療事故
52
輸血療法に関連した医療事故
51
薬剤に関連した医療事故
50
医療機器の使用に関連した医療事故
49
小児患者の療養生活に関連した医療事故
48
リハビリテーションに関連した医療事故
47
輸血療法に関連した医療事故
46
薬剤に関連した医療事故
45
医療機器の使用に関連した医療事故
44
小児患者の療養生活に関連した医療事故
43
リハビリテーションに関連した医療事故
42
薬剤に関連した医療事故
41
医療機器の使用に関連した医療事故
40
医療処置に関連した医療事故
39
小児患者の療養生活に関連した医療事故
38
薬剤に関連した医療事故
37
医療機器の使用に関連した医療事故
36
医療処置に関連した医療事故
35
小児患者の療養生活に関連した医療事故
34
薬剤に関連した医療事故
33
医療機器の使用に関連した医療事故
32
医療処置に関連した医療事故
31
検査に関連した医療事故
30
薬剤に関連した医療事故
29
医療機器の使用に関連した医療事故
28
医療処置に関連した医療事故
27
検査に関連した医療事故
26
薬剤に関連した医療事故
25
医療機器の使用に関連した医療事故
24
医療処置に関連した医療事故
23
患者取り違え、手術・処置部位の間違いに関連した医療事故
22
検査に関連した医療事故
21
薬剤に関連した医療事故
20
医療機器の使用に関連した医療事故
19
医療処置に関連した医療事故
18
患者取り違え、手術・処置部位の間違いに関連した医療事故
17
薬剤に関連した医療事故
16
医療機器の使用に関連した医療事故
15
医療処置に関連した医療事故
14
患者取り違え、手術・処置部位の間違いに関連した医療事故
- 26 -
第4回
2005 年
第3回
第2回
第1回
13
手術における異物残存
12
薬剤に関連した医療事故
11
医療機器の使用に関連した医療事故
10
医療処置に関連した医療事故
9
手術における異物残存
8
薬剤に関連した医療事故
7
医療機器の使用に関連した医療事故
6
医療処置に関連した医療事故
5
手術における異物残存
4
薬剤に関連した医療事故
3
医療機器の使用に関連した医療事故
2
手術等における異物残存
1
医療機器の使用に関する事故
次に図9の②のボタンをクリックすると、第18∼34回報告書で取り上げた、
「再発・類似事例
の発生状況」のテーマについて、テーマのタイトルと該当するページのPDFファイルを閲覧するこ
とができます(図11)。
図11 再発・類似事例の発生状況のページ
該当ページのPDFファイル
第33回報告書
再発・類似事例の発生状況
第32回報告書
再発・類似事例の発生状況
- 27 -
第18回報告書から開始した「再発・類似事例の発生状況」で掲載した内容を次に示します。
表7 第1∼34回報告書で取り上げた分析テーマ一覧
60 「誤った患者への輸血」(医療安全情報 No. 10)について
第34回
59
共有すべき医療事故情報「ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故」
(第13回報告書)について
58 「製剤の総量と有効成分の量の間違い」(医療安全情報 No. 9)について
2013 年
第33回
57 「MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み」(医療安全情報 No. 10)について
56
第32回
共有すべき医療事故情報「ベッドのサイドレールや手すりに関連した医療事故」
(第13回報告書)について
55 「清拭用タオルによる熱傷」(医療安全情報 No. 46)について
54 「併用禁忌の薬剤の投与」(医療安全情報 No. 61)について
53 「グリセリン浣腸実施に伴う直腸穿孔」(医療安全情報 No. 3)について
第31回
52 「輸液ポンプ等の流量の確認忘れ」(医療安全情報 No. 13)について
51
2012 年
第30回
共有すべき医療事故情報「ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故」
(第13回報告書)について
50 「ガベキサートメシル酸塩使用時の血管外漏出」
(医療安全情報 No. 33)について
49 「抜歯部位の取り違え」(医療安全情報 No.47)について
48 「薬剤の取り違え」(医療安全情報 No. 4)について
第29回
47 「未滅菌の医療材料の使用」(医療安全情報 No. 19)について
46 「皮下用ポート及びカテーテルの断裂」(医療安全情報 No. 58)について
45 「入浴介助時の熱傷」(医療安全情報 No. 5)について
第28回
44 「『スタンバイ』にした人工呼吸器の開始忘れ」(医療安全情報 No. 37)について
43 「PTPシートの誤飲」(医療安全情報 No. 57)について
2011 年
42 「電気メスによる薬剤の引火」(医療安全情報 No. 34)について
第27回
41
共有すべき医療事故情報「施設管理の事例」(第11回報告書)について
40
共有すべき医療事故情報「眼内レンズに関連した事例」
(第15回報告書)について
39 「製剤の総量と有効成分の量の間違い」(医療安全情報 No. 9)について
第26回
38 「MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み」(医療安全情報 No. 10)について
37
2011 年
共有すべき医療事故情報「ベッドのサイドレールや手すりに関連した事例」
(第13回報告書)について
36 「薬剤の取り違え」(医療安全情報 No. 4)について
第25回
35 「誤った患者への輸血」(医療安全情報 No. 11)について
34 「ガベキサートメシル酸塩使用時の血管外漏出」
(医療安全情報 No. 33)について
33 「清拭用タオルによる熱傷」(医療安全情報 No. 46)について
32 「インスリン含量の誤認」(医療安全情報 No. 1)について
第24回
31 「人工呼吸器の回路接続間違い」(医療安全情報 No. 24)について
30
共有すべき医療事故情報「眼内レンズに関連した事例」
(第15回報告書)について
29 「MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み」(医療安全情報 No. 10)について
2010 年
28 「湯たんぽ使用時の熱傷」(医療安全情報 No. 17)について
第23回
27
26
共有すべき医療事故情報「ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故」
(第13回報告書)について
共有すべき医療事故情報「ガーゼが体内に残存した事例」(第14回報告書)について
25 「ウォータートラップの不完全な接続」(医療安全情報 No. 32)について
24 「未滅菌の医療材料の使用」(医療安全情報 No. 19)について
第22回
2010 年
23 「アレルギーの既往がわかっている薬剤の投与」
(医療安全情報 No. 30)について
22
共有すべき医療事故情報「酸素ボンベ残量の管理に関連した事例」
(第17回報告書)について
21
共有すべき医療事故情報「口頭での情報伝達の間違いが生じた事例」
(第13回報告書)について
20 「抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制」
(医療安全情報 No. 2)について
19 「薬剤の取り違え」(医療安全情報 No. 4)について
第21回
18 「手術部位の左右間違い」(医療安全情報 No. 8)について
17
共有すべき医療事故情報「歯科診療の際の部位間違いに関連した事例」(第15回報告書)
について
16
共有すべき医療事故情報「施設管理」(第11回報告書)について
- 28 -
15 「製剤の総量と有効成分の量の間違い」(医療安全情報 No. 9)について
14 「処方入力の際の単位間違い」(医療安全情報 No. 23)について
第20回
13 「ガベキサートメシル酸塩使用時の血管外漏出」
(医療安全情報 No. 33)について
12
共有すべき医療事故情報「電話による情報伝達間違い」
(第10回報告書)について
11
共有すべき医療事故情報「セントラルモニター受信患者違い」(第16回報告書)について
10 「グリセリン浣腸実施に伴う直腸穿孔」(医療安全情報 No. 3)について
9 「間違ったカテーテル・ドレーンへの接続」(医療安全情報 No. 14)について
2009 年
第19回
8 「注射器に準備された薬剤の取り違え」(医療安全情報 No. 15)について
7 「処方表記の解釈の違いによる薬剤量間違い」(医療安全情報 No. 18)について
6
共有すべき医療事故情報「セントラルモニター受信患者違い」(第16回報告書)について
5 「MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み」(医療安全情報 No. 10)について
4 「誤った患者への輸血」(医療安全情報 No. 11)について
第18回
3 「伝達されなかった指示変更」(医療安全情報 No. 20)について
2 「口頭指示による薬剤量間違い」(医療安全情報 No. 27)について
1
共有すべき医療事故情報「禁忌食品の配膳間違い」(第15回報告書)について
また、ホームページの「報告書・年報」のボタンを押すと、図12の画面が開きます。従来、こ
の画面の上方に、報告書類・年報の「本文検索」及び「集計表の検索」と、
「集計表のWeb掲載分」
の閲覧ができるリンクを設定していましたが、これらをボタンのデザインに変更し、さらに「分析テー
マ」と「再発・類似事例の発生状況」のボタンも併せて設置しました。
図12 報告書・年報のページに新設したボタン
①
②
④
③
⑤
1. 検索
①本文検索
②集計表検索
2. 閲覧
③集計表(Web 掲載分、報告書非掲載分を含む)
④分析テーマ
⑤再発・類似事例の発生状況
6 Webにより提供している情報へのアクセスの状況
本事業では、平成22年7月から、報告書とWebの役割分担を行い、Web上の情報掲載量を増
やしました。その結果、それまでにWebで提供していた情報も含めて、現在では、
「参加登録医療機
- 29 -
関一覧」
「公開データ検索」
「医療安全情報」
「報告書類・年報」
「関連文書」
(参加登録方法、事例報告
の操作手引き、
「事例情報」のテーマ、事例検索システム等の活用例など)などの情報を提供していま
す。このうち次の3項目について、昨年に引き続きアクセス件数の経年的な推移等を調査しました。
表8 アクセス件数の調査項目
項目
情報提供内容
①
公開データ検索
医療事故情報およびヒヤリ・ハット事例の報告事例を閲覧およびPDFの
印刷、CSV形式のファイルのダウンロードができる。
②
医療安全情報
過去に公表した医療安全情報の閲覧およびPDFの印刷ができる。
③
報告書類・年報
過去に公表した報告書・年報の閲覧およびPDFの印刷ができる。
1)年別アクセス件数の推移
年別アクセス件数を次に示します。平成21年のデータは6か月分であることや、公開データ検索の
件数は平成22年7月半ば以降であることに留意が必要ですが、医療安全情報が増加傾向にあるのに対
して、報告書類・年報のページは少し減少しています。本年報も含め、報告書・年報の一層の活用が課
題と考えています。
表9 公開データ検索、医療安全情報、報告書類・年報の年別アクセス件数
アクセス件数
項目
2009 年
2010 年
2011 年
2012 年
(平成 21 年)
(平成 22 年)
(平成 23 年)
(平成 24 年)
17,501 注 2)
36,826
31,846
39,973
注 1)
71,746
82,579
84,163
報告書類・年報
21,769
注 1)
29,626
24,766
31,179
合 計
61,742
118,873
144,171
147,188
平 均
30,871
39,624
48,057
49,036
公開データ検索
医療安全情報
-
※平均値については小数点以下切り上げ。
注 1)2009 年(平成 21 年)の医療安全情報及び報告書類・年報の集計期間:6 月 1 日∼ 12 月 31 日
注 2)2010 年(平成 22 年)の公開データ検索の集計期間:7 月 14 日∼ 12 月 31 日
図13 公開データ検索、医療安全情報、報告書類・年報の年別アクセス件数
90,000
80,000
70,000
アクセス件数
公開データ検索
医療安全情報
報告書類・年報
平均
60,000
50,000
48,057
40,000
30,000
49,063
39,624
30,871
20,000
10,000
0
2009 年
2010 年
(平成 21 年) (平成 22 年)
2011 年
2012 年
(平成 23 年) (平成 24 年)
- 30 -
2)医療安全情報のアクセス件数
医療安全情報 No. 1∼ No. 73について、アクセス件数が集計可能な平成22年1月∼平成24年
12月の3年間の件数を医療安全情報の各号について調査したところ、アクセス件数が多かった医療安
全情報は表10の通りでした。通常、公表月から翌月にかけてアクセス件数が増加し、3ヶ月目以降減
少して行きます。したがって、①調査期間外、つまり平成21年12月までの医療安全情報については、
公表月やそのすぐ後のアクセス件数が計上されないため集計値が少なくなることや、②調査期間の3年
間でも公表年月によって集計期間が様々であること、③図13で示したように、医療安全情報のアクセ
ス件数が増加傾向にあることが医療安全情報の各号のアクセス件数にも影響している可能性があること、
などに留意が必要であることから、この結果を「よく閲覧されている医療安全情報」と理解することは
できませんが、先述した点にご留意の上、参考にしていただければ幸いです。最もアクセス件数が多
かったのは、平成24年では医療安全情報 No. 67「2006年から2010年に提供した医療安全情
報」
(図14)であり、また、平成22∼24年の合計では、医療安全情報 No. 48「酸素残量の未確認」
(図15)でした。
アクセス件数は、必ずしも調査期間内の初期に公表し集計期間が長かったものが多かったわけではな
く、医療安全情報によってアクセス件数が多いものと少ないものがある可能性が考えられました。各年
のアクセス件数をみると、毎年6月に第1号の医療安全情報に遡って再発・類似事例を調査する医療安
全情報である「2006年から20○○年に提供した医療安全情報」
(★)や、
「第2報」
(☆)という位
置づけで繰り返し情報提供している医療安全情報は、比較的アクセス件数が多いと考えられました。
表10 アクセス件数が多かった医療安全情報
2012 年に提供した医療安全情報(平成 24 年)
★ No. 67 2006 年から 2010 年に提供した医療安全情報
☆ No. 68 薬剤の取り違え(第2報)
件数
102,168
98,764
No. 65 救急カートに配置された薬剤の取り違え
93,718
☆ No. 66 インスリン含量の誤認(第2報)
90,141
No. 62 患者の体内に植込まれた医療機器の不十分な確認
77,619
No. 69 アレルギーのある食物の提供
74,854
No. 64 2011 年に提供した医療安全情報
64,806
No. 71 病理診断報告書の確認忘れ
61,972
No. 63 画像診断報告書の確認不足
61,735
No. 70 手術中の光源コードの先端による熱傷
61,272
2010 ∼ 2012 年合計(平成 22 ∼ 24 年)
No. 48 酸素残量の未確認
件数
120,250
No. 51 ワルファリンカリウムの内服状況や凝固機能の把握不足
★ No. 55 2006 年から 2009 年に提供した医療安全情報
110,209
104,208
No. 57 PTPシートの誤飲
102,585
No. 46 清拭用タオルによる熱傷
102,337
★ No. 67 2006 年から 2010 年に提供した医療安全情報
102,168
☆ No. 50 手術部位の左右の取り違え(第2報)
99,834
☆ No. 68 薬剤の取り違え(第2報)
98,764
No. 54 体位変換時の気管・気管切開チューブの偶発的な抜去
94,948
No. 65 救急カートに配置された薬剤の取り違え
93,718
※調査期間内に公表月が含まれる医療安全情報は No. 38∼ No. 73の36回分。
- 31 -
図14 平成24年にアクセス件数が多かった医療安全情報 No. 67「2006年から
2010年に提供した医療安全情報」(1−2ページ目の抜粋)
図15 平成22−24年にアクセス件数が多かった医療安全情報 No. 48「酸素残量の未確認」
- 32 -
7 医療事故情報収集等事業平成23年年報(英語版)の公表と Canadian Patient Safety
Institute (cpsi-icsp) のプロジェクト「Global Patient Safety Alerts」を通じた情報発信
医療事故情報収集等事業では、平成17年年報より英訳版を作成し、ホームページを通じて公表し
たり、海外からの訪問者の方々に差し上げたりして、事業の内容や成果の周知に活用してきました。
本年3月28日に、平成23年年報の英訳版である、
「Project to Collect Medical Near-Miss/Adverse
Event Information 2011 Annual Report」を公表致しました。この内容は、ホームページで閲覧、ダ
ウンロードできるとともに検索のページ(報告書類・年報検索 Full Text Search:http://www.medsafe.jp/reportsearch/SearchReportInit)より、英語による検索が可能です。
そ の よ う な 情 報 発 信 を 続 け て お り ま し た と こ ろ、 平 成 2 2 年 9 月 に 台 湾 の Taiwan Joint
Commission よ り「2010 International Patient Safety Reporting System Conference(2010 病 人 安 全
通報國際研討會 ) in Taiwan」に、また、平成23年11月には中華人民共和国衛生部より「2011
China-ASEAN Forum on Reform and Administration of Public Hospitals」にご招待を受け、本事業や
薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業、産科医療補償制度について講演させていただきました。ま
た、平成23年6月5日には、東京大学と King s College London(英国)の医療安全及び医療サー
ビスの質に関する研究センター(Patient Safety and Service Quality Research Centre, PSSQ, King s
College London)が共同し東京大学で開催された、日本と英国の医療安全推進活動の状況に関する
ワークショップ(東京大学医学部附属病院・22世紀医療センター主催、東京大学大学院医療安全
管理学講座共催)である「国際会議報告∼医療安全推進日英共同ワークショップ∼ Anglo-Japanese
collaboration for Improving Patient safety」や、平成24年9月12日に、東京大学政策ビジョン研
究センターの主催により開催された国際シンポジウム「立場や価値観の違いを超えて 患者の安全の
ための合意形成を考える」でも講演させていただきました。それらの機会に、各国の特に先進的で指
導的な医療機関や大都市の医療機関では、同じような取り組みを行っていることや、相互に参考とす
べき情報が多いことが改めてよく分かりました。
そこで現在では、本事業の年報の英訳版だけでなく、医療安全情報の英語版も作成して、それらを
海外に向けて情報提供しています。本年3月には、新たに医療安全情報 No. 60∼71の英語版を公
表しました。それらは、本事業のホームページの英語のページ(http://www.med-safe.jp/contents/
english/index.html)に掲載しておりますので、機会がありましたらご活用いただければ幸いに存じま
す。No. 72以降の医療安全情報も英訳作業が終了次第公表の予定です。
平成22年11月に、カナダの Canadian Patient Safety Institute(cpsi-icsp)がWHOと行う共同
プロジェクトである「Global Patient Safety Alerts」において、本事業の成果物を世界的に共有するこ
とのご依頼をいただいたことから、そのプロジェクトを通じた情報発信も続けています。同プロジェ
クト「Global Patient Safety Alerts」のホームページの協力団体には、当機構の名称の掲載や、同時に、
医療安全情報英語版へのリンクを作成していただいています(図16)
。また、最近では同ページに
付された、アラートのキーワード入力による検索機能や、分野別のアラートの閲覧機能によっても当
機構の医療安全情報が検索、閲覧が可能になりました(図17)
。このプロジェクトは、スマートフォ
ンやタブレット端末用のアプリも開発しており、スマートフォンなどからも世界や団体のアラートの
検索や閲覧ができます(図18)
。これにより、本事業の英語のホームページの他に、
「Global Patient
Safety Alerts」のページの協力団体のページや検索機能を通じて、医療安全情報英語版の内容が世界
から閲覧されることとなっています。
- 33 -
図16 Canadian Patient Safety Institute(cpsi-icsp)のホームページ
医療安全情報
(英語版)の
国際的な共有
協力国リスト
協力国
Japan,Australia,
Canada,Denmark,
Hong Kong,
England and Wales,
European Union,
United States
- 34 -
図17 Global Patient Safety Alerts の検索のページ
(キーワードによる検索)
「MRI」と入力
JCQHCの
医療安全情報 No. 10
「MRI検査室への磁性体
(金属製品など)の持ち込み」
- 35 -
(領域別による検索)
「Patient identification」を選択
JCQHCの医療安全情報 No. 25
「診察時の患者取り違え」
- 36 -
図18 世界のアラートを検索できるアプリ(Global Patient Safety Alerts)の画面
(Canadian Patient Safety Institute)及び医療安全情報(英語版)
(トップ画面)
(組織名によるアラート検索)
(国名によるアラート検索)
(キーワードによるアラート検索①、
例:MRI)
- 37 -
(キーワードによるアラート検索②、
「MRI」を検索語とした検索結果)
(医療安全情報 No. 10「MRI検査室への
磁性体(金属製品など)の持ち込み」の
タイトルなど)
(医療安全情報 No. 10「MRI検査室への
磁性体(金属製品など)の持ち込み」の
作成国、組織、URLなど)
(医療安全情報 No. 10「MRI検査室への
磁性体(金属製品など)の持ち込み」英語版、
1ページ目)
- 38 -
図19 新たに医療安全情報 No. 60- 71(英語版)を掲載した本事業のページ
8 依頼講演への対応
医療機関、薬局や、関係団体などのご依頼に対応して、本事業の現況や報告書、年報、医療安全情
報などの成果物の内容をご説明する講演を、毎年20回程度行っています。ご説明させていただいて
いる内容は表11の通りです。本事業にご参加いただいている医療機関の皆様の中で、ご希望がござ
いましたらできるだけ対応させていただきますので、ご連絡いただければ幸いに存じます。
表11 講演内容
1 医療事故情報収集等事業について
・事業の趣旨、概要
・報告書の内容(集計結果、テーマ分析の内容)
・医療安全情報
・ホームページの活用
・海外への情報発信
・2010 International Patient Safety Reporting System Conference で得られた知見
(海外の有害事象報告制度など)
・2011 The International Society for Quality in Health Care
(ISQua)第28回国際会議で得られた知見
(海外の病院の第三者評価の現況 、 有害事象報告制度など)
・2011 China-ASEAN Forum on Reform and Administration of Public Hospitals で得られた知見
(ASEANの国々における医療安全対策など)
2 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業
・事業の趣旨、概要
・集計報告、平成21∼23年年報の内容(集計結果、テーマ分析の内容)
・薬局ヒヤリ・ハット分析表の活用
・共有すべき事例の活用
・ホームページの活用
3 産科医療補償制度について
・制度の趣旨、概要
・審査の現況
・原因分析の現況
・原因分析の考え方
・再発防止の現況
・海外の類似制度(韓国の医療紛争仲裁院、スウェーデンの医療障害補償制度)
4 その他
・医療事故情報収集等事業、産科医療補償制度、その他の類似制度の特徴や今後の発展について
- 39 -
9 厚生労働省「医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会
医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に係る検討部会」における議論について
平成23年8月より、厚生労働省において「医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に
関する検討会」が開催されています。その検討課題の一つである医療事故の原因究明及び再発防止の
仕組み等のあり方について幅広く検討を行うために、平成24年2月より「医療事故に係る調査の仕
組み等のあり方に関する検討部会」が13回開催され、丁寧な議論が行われてきました。
平成25年5月29日に開催された第13回検討部会では、医療事故調査の目的、調査対象、調査
の流れ、院内調査のあり方、第三者機関のあり方、などについて具体的な議論がなされました。そして、
それらをまとめた「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」が公表されています。
今後は、本事業及び(一社)日本医療安全調査機構で実施されている診療行為に関連した死亡の調
査分析モデル事業でこれまでに得られた知見を踏まえつつ、別途、実務的な検討の場を設け、院内事
故調査の手順については、第三者機関への届け出を含め、厚生労働省においてガイドラインを策定す
ることとされています。
我が国の医療安全を確保するためのよりよい仕組みの創設において、本事業としても役割を果たし
て行きたいと考えています。
10 おわりに
事業に参加しておられる医療機関の皆様におかれましては、引き続き本事業において医療事故情報
やヒヤリ・ハット事例をご報告いただきますよう宜しくお願い申し上げます。また、これまで以上に
報告しやすい環境を整備することにより、報告の負担のために従来本事業への参加を躊躇しておられ
た医療機関の皆様の新規のご参加も期待しております。今後とも本事業報告書が我が国の医療事故防
止、医療安全の推進に資するよう、報告書や年報の内容充実と、一層有効な情報提供に取り組んでま
いりますので、皆様のご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。
- 40 -
Ⅰ 医療事故情報収集等事業の概要
本事業では、医療事故情報やヒヤリ・ハット事例の収集を基盤として、日々進歩する医療における
安全文化の醸成を図るよう取り組んでいる。
本事業は、医療事故情報収集・分析・提供事業とヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の2つ
の事業より構成されており、以下にそれぞれの事業における情報収集の概要を述べる。
1 医療事故情報、ヒヤリ・ハット事例収集の経緯
ヒヤリ・ハット事例収集の経緯
厚生労働省では、平成13年10月から、ヒヤリ・ハット事例を収集・分析し、その改善方策等医
療安全に資する情報を提供する「医療安全対策ネットワーク整備事業(ヒヤリ・ハット事例収集事業)
」
を開始した。事業開始当初、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(現(独)医薬品医療機器総
合機構)が参加医療機関からヒヤリ・ハット事例を収集したのち厚生労働省へ報告し、厚生労働省の
研究班が集計・分析を行う枠組みとなっていた。この枠組みに従って第1回から第10回までのヒヤ
リ・ハット事例収集が行われ、厚生労働省より集計結果の概要を公表する等、収集したヒヤリ・ハッ
ト事例に基づく情報提供が行われた。(注1)
平成16年度からは、本財団が医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(現(独)医薬品医療機
器総合機構)よりヒヤリ・ハット事例の収集事業を引き継ぎ、第11回以降のヒヤリ・ハット事例収
集を行ってきた。集計結果や分析は、本財団のホームページにおいて公表している。(注2)
医療事故情報収集の経緯
平成14年4月、厚生労働省が設置した医療安全対策検討会議が「医療安全推進総合対策」(注3)を
取りまとめ公表した。同報告書は、平成13年10月から既に開始された医療安全対策ネットワーク
整備事業(ヒヤリ・ハット事例収集事業)に関し、「事例分析的な内容については、今後より多くの
施設から、より的確な分析・検討結果と改善方策の分析・検討結果を収集する体制を検討する必要が
ある。」と述べるとともに、医療事故事例に関してもその収集・分析による活用や強制的な調査・報
告の制度化を求める意見を紹介しつつ、医療事故の報告に伴う法的な問題も含めてさらに検討する必
要があると述べた。
(注1)厚生労働省ホームページ「医療安全対策について」(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen)参照。
(注2)公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
(注3)医療安全推進総合対策」では、『医療機関における安全対策』、『医薬品・医療用具等にかかわる安全向上』、『医療安全に関する教育研修』、
『医療安全を推進するための環境整備等』を取り組むべき課題として提言がなされた。
厚生労働省ホームページ(医療安全対策のページにおける「報告書等」のページ)(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/
houkoku/index.html)参照。
- 41 -
I
Ⅰ 医療事故情報収集等事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
その後、厚生労働省が平成16年9月21日付で医療法施行規則の一部を改正する省令(注1)を公布
し、特定機能病院などに対して医療事故の報告を義務付けた。本財団は、同年10月1日付厚生労
働省告示第三百七十二号を受け(同年9月30日登録)、当該省令に定める事故等分析事業を行う登
録分析機関となった。さらに平成21年に事業開始5年が経過したことから、本財団は同年9月14
日に医療法施行規則第十二条の五に基づき事故等分析事業を行う登録分析機関として登録更新を行っ
た。
また、平成20年より医療機関の報告の負担を軽減し、これまで以上に報告しやすい環境を整備
するとともに、医療安全推進に必要な情報の収集は引き続き行っていく観点から、本事業の運営委
員会(注2)や総合評価部会(注3)において報告体制の見直しが検討された。その内容を具体化し、平成
22年より、新しい医療事故情報やヒヤリ・ハット事例の収集およびインターネット等を活用した
情報提供を開始した。
本財団における事業の経緯
平成16年7月1日、本財団内に医療事故防止センター(現 医療事故防止事業部)を付設し、平
成16年10月7日、法令に基づく医療事故情報の収集を開始した。当事業部では、ヒヤリ・ハット
事例、医療事故情報を併せて総合的に分析し、医療事故防止事業の運営委員会の方針に基づいて、専
門家より構成される総合評価部会による取りまとめを経て報告書を作成している。また、平成18年
度より特に周知すべき事例を医療安全情報として作成し、提供を開始した。
本財団は、報告書や医療安全情報を、本事業に参加している医療機関、関係団体、行政機関などに
送付するとともに、本財団のホームページ(注4)へ掲載することなどにより広く社会に公表している。
(注1)厚生労働省令第133号。
(注2)医療全般、安全対策などの有識者や一般有識者などで構成され、当事業部の活動方針の検討及び活動内容の評価などを行っている。
(注3)各分野からの専門家などで構成され、報告書を総合的に評価・検討している。また、分析手法や方法などに関する技術的支援も行っている。
(注4)公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 42 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
2 医療事故情報収集・分析・提供事業の概要
I
【1】事業の目的
報告義務対象医療機関並びに医療事故情報収集・分析・提供事業に参加を希望する参加登録申請医
療機関から報告された医療事故情報などを、収集、分析し提供することにより、広く医療機関が医療
安全対策に有用な情報を共有するとともに、国民に対して情報を提供することを通じて、医療安全対
策の一層の推進を図ることを目的とする。
【2】医療事故情報の収集
(1)対象医療機関
対象医療機関は、次に掲げる報告義務対象医療機関と医療事故情報収集・分析・提供事業に参加を
希望する参加登録申請医療機関である。
i)報告義務対象医療機関(注1)
① 国立高度専門医療研究センター及び国立ハンセン病療養所
② 独立行政法人国立病院機構の開設する病院
③ 学校教育法に基づく大学の附属施設である病院(病院分院を除く)
④ 特定機能病院
ii)参加登録申請医療機関(注2)
報告義務対象医療機関以外の医療機関であって、医療事故情報収集・分析・提供事業に参加を希望
する医療機関は、必要事項の登録を経て参加することができる。
(2)医療事故事例として報告していただく情報
報告の対象となる医療事故情報は次の通りである。
① 誤った医療または管理を行ったことが明らかであり、その行った医療又は管理に起因して、患
者が死亡し、若しくは患者に心身の障害が残った事例又は予期しなかった、若しくは予期して
いたものを上回る処置その他の治療を要した事例。
② 誤った医療または管理を行ったことは明らかでないが、行った医療又は管理に起因して、患者
が死亡し、若しくは患者に心身の障害が残った事例又は予期しなかった、若しくは予期してい
たものを上回る処置その他の治療を要した事例(行った医療又は管理に起因すると疑われるも
のを含み、当該事例の発生を予期しなかったものに限る)。
(注1)国立高度専門医療研究センター、国立ハンセン病療養所、
独立行政法人国立病院機構の開設する病院、学校教育法(昭和22年法律第26号)
に基づく大学の附属施設である病院(病院分院を除く)、特定機能病院に対して、厚生労働省は平成16年9月21日付で医療法施行規則
の一部を改正する省令(平成16年 厚生労働省令第133号)を公布し、医療事故事例の報告を義務付けた。
「報告義務対象医療機関一覧」
は公益財団法人日本医療機能評価機構
「医療事故情報収集等事業」
ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
(注2)
「参加登録申請医療機関一覧」
は公益財団法人日本医療機能評価機構
「医療事故情報収集等事業」
ホームページ
(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 43 -
Ⅰ 医療事故情報収集等事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
③ ①及び②に掲げるもののほか、医療機関内における事故の発生の予防及び再発の防止に資する
事例。
また、以下の項目を医療事故情報収集等事業要綱 第十四条の2(注1)に基づき、特に報告を求める 事例と定め、報告を求めている。
特に報告を求める事例
① 汚染された薬剤・材料・生体由来材料等の使用による事故
② 院内感染による死亡や障害
③ 患者の自殺又は自殺企図
④ 入院患者の失踪
⑤ 患者の熱傷
⑥ 患者の感電
⑦ 医療施設内の火災による患者の死亡や障害
⑧ 間違った保護者の許への新生児の引渡し
(3)報告方法及び報告期日
事故報告はインターネット回線(SSL暗号化通信方式)を通じ、Web上の専用報告画面を用い
て行う。報告方法は、Web上の報告画面に直接入力し報告する方法と、指定フォーマットを作成し
Webにより報告する方法とがある。また、報告は当該事故が発生した日若しくは事故の発生を認識
した日から原則として二週間以内に行わなければならない。
(4)報告形式
報告形式は、コード選択形式と記述形式である(注2)。コード選択形式は、チェックボックスやプル
ダウンリストから該当コードを選択して回答する方法である。記述形式は、記述欄に文字入力する方
法である。
【3】医療事故情報の分析・公表
(1)結果の集計
公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部において行った。
(2)集計・分析結果の公表
本報告書及び公益財団法人日本医療機能評価機構ホームページ(注3)を通じて、関係者や国民に情
報提供している。
(注1)医療事故情報収集等事業要綱 第十四条の2 本事業部は、前項の各号に規定する事故の範囲に該当する事例に関する情報を適切に収集
するために、必要な報告項目を定めることができる。
(注2)
「医療事故・ヒヤリ・ハット事例収集システム操作手引き書」に掲載している「医療事故情報報告入力項目(P19 ∼ 36)」を参照(公益
財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)に掲載)
。
(注3)公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 44 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の概要
I
【1】事業の目的
参加登録医療機関から報告されたヒヤリ ・ ハット情報を収集、分析し提供することにより、広く医
療機関が医療安全対策に有用な情報を共有するとともに、国民に対して情報を提供することを通じて、
医療安全対策の一層の推進を図ることを目的とする。
【2】ヒヤリ・ハット事例情報の収集
(1)対象医療機関
対象医療機関は、医療事故情報収集等事業に参加している医療機関のうち、ヒヤリ・ハット事例収集・
分析・提供事業に参加を希望する医療機関である。
(2)ヒヤリ・ハット事例として報告していただく情報
i)ヒヤリ・ハットの定義
① 医療に誤りがあったが、患者に実施される前に発見された事例。
② 誤った医療が実施されたが、患者への影響が認められなかった事例または軽微な処置・治療を
要した事例。ただし、軽微な処置・治療とは、消毒、湿布、鎮痛剤投与等とする。
③ 誤った医療が実施されたが、患者への影響が不明な事例。
ii)
「発生件数情報」と「事例情報」を収集する医療機関
ヒヤリ・ハット事例には「発生件数情報」と「事例情報」の2種類の情報がある。以下にそれらの
情報の内容及びそれらの情報を収集する医療機関の相違について述べる。
① 発生件数情報
発生件数情報はヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加を希望する全ての医療機関(注)
から、ヒヤリ・ハットの定義に該当する事例の発生件数を収集する。
発生件数情報は、ヒヤリ・ハット事例を「薬剤」
「輸血」「治療・処置」「医療機器等」「ドレーン・
チューブ」「検査」「療養上の世話」「その他」といった事例の概要で分類する。同時に、まず、誤っ
た医療行為の実施の有無を分け、さらに誤った医療行為の実施がなかった場合、もしその医療行為
が実施されていたら、患者にどのような影響を及ぼしたか、といった影響度で分類し(発生件数情
報入力画面参照)、それぞれの分類に該当する件数を報告する。
発生件数情報の報告期間は、各四半期(1∼3、4∼6、7∼9、10∼12月)の翌月初めか
ら末としている。
(注)「ヒヤリ・ハット事例収集事業参加登録医療機関」は公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://
www.med-safe.jp/)参照。
- 45 -
Ⅰ 医療事故情報収集等事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
【発生件数情報入力画面】
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度
項 目
当該事例の内容が仮に実施された場合
実施あり
合 計
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が必要
な状 況に至ったと が 必 要 であると もしくは処置・治療が不要
考えられる
考えられる
と考えられる
(1)薬剤
件
件
件
件
件
(2)輸血
件
件
件
件
件
(3)治療・処置
件
件
件
件
件
(4)医療機器等
件
件
件
件
件
(5)ドレーン・チューブ
件
件
件
件
件
(6)検査
件
件
件
件
件
(7)療養上の世話
件
件
件
件
件
(8)その他
件
件
件
件
件
件
件
件
件
件
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
件
件
件
件
件
【2】薬剤に由来する事例
件
件
件
件
件
【3】医療機器等に由来する事例
件
件
件
件
件
【4】今期のテーマ
件
件
件
件
件
合 計
再 掲
注)「今期のテーマ」とは、収集期間ごとに定められたテーマに該当する事例のことです。
② 事例情報
事例情報はヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加を希望する医療機関のうち、事例情
報報告を希望した医療機関(注)から次のⅰ∼ⅴに該当する事例の情報(発生件数情報入力画面実線
囲み部分参照)を収集する。
ⅰ 当該事例の内容が仮に実施された場合、死亡もしくは重篤な状況に至ったと考えられる事例
ⅱ 薬剤の名称や形状に関連する事例
ⅲ 薬剤に由来する事例
ⅳ 医療機器等に由来する事例
ⅴ 収集期間ごとに定められたテーマに該当する事例
事例情報では、ヒヤリ・ハット事例の「発生年月及び発生時間帯」
「医療の実施の有無」
「事例の
治療の程度及び影響度」
「発生場所」
「患者の数、患者の年齢及び性別」「事例の概要、事例の内容、
発生場面、発生要因」等、24項目の情報の報告を行う。
事例情報の報告期限は、事例が発生した日もしくは事例の発生を認識した日から1ヶ月としてい
る。
(注)「ヒヤリ・ハット事例収集事業参加登録医療機関」は公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://
www.med-safe.jp/)参照。
- 46 -
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の概要
(3)報告方法
インターネット回線(SSL暗号化通信方式)を通じ、Web上の専用報告画面を用いて報告を行う。
I
(4)報告形式
報告形式は、コード選択形式と記述形式である(注1)。コード選択形式は、チェックボックスやプル
ダウンリストから該当コードを選択して回答する方法である。記述形式は、記述欄に文字入力する方
法である。
【3】ヒヤリ・ハット事例情報の分析・提供
(1)結果の集計
公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部において行った。
(2)結果の提供
本報告書及び公益財団法人日本医療機能評価機構ホームページ(注2)を通じて、関係者や国民に情
報提供している。
(注1)
「医療事故・ヒヤリ・ハット事例収集システム操作手引き書」に掲載している「ヒヤリ・ハット事例報告入力項目(P42 ∼ 59)」を参照
(公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)に掲載)
。
(注2)公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 47 -
Ⅱ 報告の現況
1 医療事故情報収集等事業
医療事故情報収集等事業は、医療事故情報収集・分析・提供事業とヒヤリ・ハット事例収集・分析・
提供事業の2つの事業により構成されている。
平成25年6月30日現在、それぞれの事業に参加している医療機関は以下の通りである。
(注)
図表Ⅱ - 1- 1 (QI-01)
参加登録申請医療機関の登録状況
ヒヤリ・ハット事業
登録状況
参加する
参加しない
義務
発生件数と
事例情報
参加する
125
参加する
320
合計
発生件数のみ
80
445
任意
医療事故事業
参加しない
68
273
193
273
235
167
165
235
610
508
合計
953
680
400
235
1,353
1,118
各事業の報告の現況を、2 医療事故情報収集・分析・提供事業、3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・
提供事業に示す。
(注)各図表番号に併記される( )内の番号はWeb上に掲載している同図表の番号を示す。
- 48 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集・分析・提供事業は、報告義務対象医療機関と医療事故情報収集・分析・提供事
業に参加を希望する参加登録申請医療機関を対象としている。本報告書の集計は、報告義務対象医療
機関より報告された内容を中心に行った。事故の概要や事故の程度等の集計結果は、平成25年4月
から6月までの集計値と平成25年の累計値とを並列して掲載した。
Ⅱ
【1】登録医療機関
(1)報告義務対象医療機関数及び参加登録申請医療機関数
平成25年6月30日現在、医療事故情報収集・分析・提供事業に参加している医療機関数は以下
の通りである。なお、医療機関数の増減の理由には、新規の開設や閉院、統廃合の他に、開設者区分
の変更も含まれる。
図表Ⅱ - 2- 1 (QA-01)
報告義務対象医療機関数及び参加登録申請医療機関数
開設者
国立大学法人等
独立行政法人国立病院機構
国立高度専門医療研究センター
国
国立ハンセン病療養所
独立行政法人労働者健康福祉機構
その他の国の機関
都道府県
市町村
自治体
公立大学法人
地方独立行政法人
日本赤十字社
恩賜財団済生会
北海道社会事業協会
厚生農業協同組合連合会
国民健康保険団体連合会
自治体以外の公的
全国社会保険協会連合会
医療機関の開設者
厚生年金事業振興団
船員保険会
健康保険組合及びその連合会
共済組合及びその連合会
国民健康保険組合
学校法人
医療法人
公益法人
法人
会社
その他の法人
個 人
合 計
報告義務対象
医療機関
参加登録申請
医療機関
45
142
8
13
0
0
2
0
9
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
52
0
1
0
0
0
273
1
0
0
0
26
0
18
69
1
18
56
18
1
17
1
37
2
1
1
9
0
11
276
42
12
27
36
680
※参加登録申請医療機関とは、報告義務対象医療機関以外に任意で当事業に参加している医療機関である。
- 49 -
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
(2)参加登録申請医療機関における登録件数の推移
平成25年4月1日から同年6月30日までの参加登録申請医療機関における登録医療機関数の
推移は以下の通りである。
図表Ⅱ - 2- 2 (QA-02)
参加登録申請医療機関の登録件数
2013 年
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
参加登録申請
医療機関数
7
7
4
5
3
3
−
−
−
−
−
−
登録取下げ
医療機関数
0
0
0
2
0
0
−
−
−
−
−
−
660
667
671
674
677
680
−
−
−
−
−
−
累 計
- 50 -
10 月
11 月
12 月
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
【2】報告件数
(1)月別報告件数
平成25年4月1日から同年6月30日までの報告義務対象医療機関及び参加登録申請医療機関の
月別報告件数は以下の通りである。
図表Ⅱ - 2- 3 (QA-03)
報告義務対象医療機関及び参加登録申請医療機関の月別報告件数
2013 年
10 月 11 月 12 月
合計
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
報告義務対象
医療機関報告数
266
203
311
216
200
245
−
−
−
−
−
−
1,441
参加登録申請
医療機関報告数
38
4
28
42
24
21
−
−
−
−
−
−
157
報告義務対象
医療機関数
273
273
273
275
275
273
−
−
−
−
−
−
−
参加登録申請
医療機関数
660
667
671
674
677
680
−
−
−
−
−
−
−
(2)医療事故事例の報告状況
① 報告義務対象医療機関の報告状況
報告義務対象医療機関の平成25年4月1日から同年6月30日までの報告医療機関数及び報告件
数を図表Ⅱ - 2- 4に、事業開始からの報告件数を開設者別に集計したものを図表Ⅱ - 2- 5に、病床
規模別に集計したものを図表Ⅱ - 2- 6に、地域別に集計したものを図表Ⅱ - 2- 7に示す。また、同
期間内における報告医療機関数を報告件数別に集計したものを図表Ⅱ - 2- 8に示す。なお、報告義
務対象医療機関は事業開始後に特定機能病院の認定や医療機関の廃止等の変更が行われているため、
他の図表と数値が一致しないところがある。平成25年6月30日現在、報告義務対象医療機関は
273施設、病床数合計は141,136床である。
図表Ⅱ - 2- 4 (QA-04)
開設者別報告義務対象医療機関の報告医療機関数及び報告件数
開設者
国立大学法人等
国
独立行政法人国立病院機構
国立高度専門医療研究センター
国立ハンセン病療養所
報告医療機関数
報告件数
自治体
医療機関数
※ 2013 年
6月 30 日現在
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月(累計)
2013 年
4月∼6月
45
34
44
160
396
142
92
113
280
575
8
4
4
16
38
13
5
5
7
11
12
8
8
56
100
52
18
21
140
317
1
1
1
2
4
273
162
196
661
1,441
2013 年
1月∼6月(累計)
都道府県
市町村
公立大学法人
地方独立行政法人
法人
学校法人
公益法人
合 計
- 51 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 2- 5 (QA-05)
報告義務対象医療機関の報告件数
報告件数
開設者
国
2004 年 10 月∼
2013 年6月
国立大学法人等
3,338
独立行政法人国立病院機構
6,913
国立高度専門医療研究センター
693
国立ハンセン病療養所
161
都道府県
自治体
市町村
836
公立大学法人
地方独立行政法人
法人
学校法人
3,921
公益法人
13
合 計
15,875
図表Ⅱ - 2- 6 (QA-06)
病床規模別報告義務対象医療機関の報告医療機関数及び報告件数
病床数
医療機関数
※ 2013 年
6月 30 日現在
報告医療機関数
2013 年
4月∼6月
報告件数
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月
(累計)
0 ∼ 19 床
0
0
0
0
0
20 ∼ 49 床
14
0
0
0
0
50 ∼ 99 床
5
1
2
1
2
100 ∼ 149 床
7
3
4
5
10
150 ∼ 199 床
6
3
3
10
16
200 ∼ 249 床
17
9
11
19
38
250 ∼ 299 床
16
8
11
20
49
300 ∼ 349 床
28
19
21
38
70
350 ∼ 399 床
14
12
14
32
73
400 ∼ 449 床
28
16
21
48
115
450 ∼ 499 床
18
13
16
49
108
500 ∼ 549 床
11
7
8
15
28
550 ∼ 599 床
9
6
7
18
27
600 ∼ 649 床
27
19
22
112
208
650 ∼ 699 床
6
5
6
44
78
700 ∼ 749 床
11
7
9
26
60
750 ∼ 799 床
2
0
0
0
0
800 ∼ 849 床
12
10
11
71
137
850 ∼ 899 床
4
2
2
11
87
900 ∼ 999 床
9
5
6
16
40
29
17
22
126
295
273
162
196
661
1,441
1000 床以上
合 計
- 52 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 2- 7 (QA-07)
地域別報告義務対象医療機関の報告医療機関数及び報告件数
地域
医療機関数
※ 2013 年
6月 30 日現在
報告医療機関数
2013 年
4月∼6月
報告件数
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月
(累計)
北海道
10
4
6
10
19
東北
25
14
18
53
90
関東甲信越
85
45
54
193
446
東海北陸
38
25
30
119
236
近畿
35
23
27
84
160
中国四国
34
28
32
115
295
九州沖縄
合 計
46
23
29
87
195
273
162
196
661
1,441
図表Ⅱ - 2- 8 (QA-08)
報告件数別報告義務対象医療機関数
報告医療機関数
報告件数
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月(累計)
0
112
79
1
46
24
2
32
26
3
33
36
4
8
21
5
10
13
6
8
15
7
5
7
8
2
7
9
4
6
10
1
6
11 ∼ 20
10
20
21 ∼ 30
1
7
31 ∼ 40
0
1
41 ∼ 50
1
2
51 ∼ 100
0
3
101 ∼ 150
0
0
151 ∼ 200
0
0
200 以上
合 計
0
0
273
273
- 53 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
② 参加登録申請医療機関の報告状況
参加登録申請医療機関の平成25年4月1日から同年6月30日までの報告医療機関数及び報告件
数を図表Ⅱ - 2- 9に、事業開始からの報告件数を開設者別に集計したものを図表Ⅱ - 2- 10に示す。
図表Ⅱ - 2- 9 (QA-09)
参加登録申請医療機関の報告医療機関数及び報告件数
開設者
国
報告医療機関数
医療機関数
※ 2013 年
6月 30 日現在
2013 年
4月∼6月
報告件数
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月
(累計)
27
4
4
5
12
自治体
106
13
20
18
29
公的医療機関
143
10
12
18
39
法 人
368
17
23
45
74
個 人
36
1
2
1
3
合 計
680
45
61
87
157
図表Ⅱ - 2- 10 (QA-10)
参加登録申請医療機関の報告件数
開設者
国
自治体
公的医療機関
報告件数
2004 年 10 月∼ 2013 年6月
21
458
632
法 人
1,017
個 人
6
合 計
2,134
- 54 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
【3】報告義務対象医療機関からの報告の内容
平成25年4月1日から同年6月30日までの報告義務対象医療機関からの医療事故報告の内容は
以下の通りである。
なお、各表は、医療事故情報報告入力項目(注)を集計したものである。
図表Ⅱ - 2- 11 (QA-28-A)
当事者職種
当事者職種
件数
医師
390
歯科医師
看護師
5
416
准看護師
3
薬剤師
9
臨床工学技士
4
助産師
1
看護助手
0
診療放射線技師
13
臨床検査技師
4
管理栄養士
0
栄養士
1
調理師・調理従事者
1
理学療法士(PT)
3
作業療法士(OT)
3
言語聴覚士(ST)
0
衛生検査技師
0
歯科衛生士
0
歯科技工士
0
その他
8
合計
Ⅱ
861
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
(注) 「医療事故・ヒヤリ・ハット事例収集システム操作手引書」に掲載している「医療事故情報報告入力項目(P19 ∼ 36)
」を参照(公益財団
法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)に掲載)
。
- 55 -
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 2- 12 (QA-29-A)
当事者職種経験
当事者職種経験
医師
歯科医師
看護師
准看護師
薬剤師
臨床工学
技士
助産師
看護助手
診療放射線 臨床検査
技師
技師
0年
4
0
15
0
0
0
0
0
1
0
1年
11
1
35
0
0
0
0
0
1
0
2年
20
0
43
0
0
0
0
0
1
0
3年
23
0
33
0
0
0
0
0
0
0
4年
13
0
26
0
0
0
0
0
0
0
5年
21
1
27
0
1
1
0
0
1
0
6年
8
0
19
0
0
1
0
0
1
0
7年
26
0
19
0
0
0
0
0
0
0
8年
15
0
15
0
0
0
0
0
0
0
9年
17
0
21
0
2
0
0
0
1
0
10 年
25
0
17
0
1
2
0
0
0
1
11 年
11
0
7
0
0
0
1
0
0
0
12 年
15
0
2
0
0
0
0
0
0
0
13 年
15
0
3
0
0
0
0
0
1
0
14 年
19
0
9
0
0
0
0
0
0
0
15 年
18
0
12
0
1
0
0
0
0
0
16 年
14
0
7
0
1
0
0
0
1
0
17 年
16
0
7
0
0
0
0
0
1
0
18 年
13
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
19 年
13
1
6
0
20 年
14
0
12
0
0
0
0
0
0
0
21 年
6
0
4
0
0
0
0
0
0
0
22 年
7
0
7
0
0
0
0
0
0
1
23 年
9
0
2
0
0
0
0
0
0
1
24 年
3
1
5
0
1
0
0
0
1
0
25 年
5
0
2
0
1
0
0
0
1
0
26 年
8
0
4
0
0
0
0
0
0
0
27 年
3
0
5
0
0
0
0
0
0
0
28 年
1
1
7
0
0
0
0
0
0
0
29 年
1
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
30 年
7
0
10
1
1
31 年
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
32 年
1
0
4
1
0
0
0
0
0
0
33 年
1
0
6
0
0
0
0
0
0
1
34 年
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
35 年
1
0
1
1
0
0
0
0
1
0
36 年
1
0
3
0
0
0
0
0
0
0
37 年
1
0
3
0
0
0
0
0
1
0
38 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
39 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
40 年超
2
0
1
0
0
0
0
0
0
0
合 計
390
5
416
3
9
4
1
0
13
4
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
- 56 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
管理栄養士
栄養士
調理師・ 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 衛生検査
歯科衛生士 歯科技工士
調理従事者 (PT)
(OT)
(ST)
技師
その他
合計
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
20
0
0
0
0
1
0
0
0
0
2
51
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
64
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
58
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
41
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
53
0
1
0
0
1
0
0
0
0
0
31
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
45
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
32
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
42
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
47
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
19
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
17
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
19
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
28
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
31
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
23
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
24
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
24
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
20
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
26
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
10
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
15
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
12
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
12
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
19
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
1
1
3
3
0
0
0
0
8
861
- 57 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 2- 13 (QA-30-A)
当事者部署配属期間
当事者部署配属期間
医師
歯科医師
看護師
准看護師
薬剤師
臨床工学
技士
助産師
看護助手
診療放射線 臨床検査
技師
技師
0年
71
0
62
0
1
0
0
0
1
0
1年
60
1
88
1
1
0
1
0
1
1
2年
42
0
77
0
1
1
0
0
3
1
3年
33
0
63
1
1
0
0
0
1
1
4年
20
1
30
0
2
0
0
0
0
0
5年
17
0
37
1
0
2
0
0
0
0
6年
19
0
15
0
0
0
0
0
3
0
7年
21
0
20
0
0
0
0
0
1
0
8年
20
0
6
0
0
1
0
0
0
0
9年
9
0
6
0
0
0
0
0
0
1
10 年
16
0
4
0
0
0
0
0
0
0
11 年
5
0
1
0
0
0
0
0
0
0
12 年
5
0
1
0
0
0
0
0
0
0
13 年
4
0
1
0
0
0
0
0
0
0
14 年
6
0
2
0
0
0
0
0
0
0
15 年
8
0
0
0
2
0
0
0
1
0
16 年
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
17 年
2
0
1
0
0
0
0
0
0
0
18 年
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
19 年
3
1
1
0
0
0
20 年
7
0
0
0
0
0
0
0
0
0
21 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
22 年
4
1
0
0
0
0
0
0
0
0
23 年
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
24 年
0
1
0
0
1
0
0
0
1
0
25 年
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
26 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
27 年
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
28 年
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
29 年
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
30 年
1
0
0
0
0
31 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
32 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
33 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
34 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
35 年
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
36 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
37 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
38 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
39 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
40 年超
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
合 計
390
5
416
3
9
4
1
0
13
4
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
- 58 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
管理栄養士
栄養士
調理師・ 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 衛生検査
歯科衛生士 歯科技工士
調理従事者 (PT)
(OT)
(ST)
技師
その他
合計
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
137
0
1
0
0
1
0
0
0
0
3
159
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
126
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
102
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
55
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
59
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
37
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
42
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
27
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
17
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
20
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
7
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
1
3
3
0
0
0
0
8
861
- 59 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 2- 14 (QA-35-A)
事故の概要
事故の概要
2013 年4月∼6月
件数
%
2013 年1月∼6月(累計)
件数
%
薬剤
56
8.5
117
8.1
輸血
2
0.3
4
0.3
治療・処置
170
25.7
384
26.6
医療機器等
14
2.1
34
2.4
ドレーン・チューブ
41
6.2
99
6.9
35
5.3
73
5.1
療養上の世話
検査
239
36.2
526
36.5
その他
104
15.7
204
14.2
661
100.0
1,441
100.0
合 計
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
図表Ⅱ - 2- 15 (QA-37-A)
事故の程度
事故の程度
死亡
2013 年4月∼6月
件数
%
65
9.8
2013 年1月∼6月(累計)
件数
113
%
7.8
障害残存の可能性がある(高い)
60
9.1
129
9.0
障害残存の可能性がある(低い)
194
29.3
404
28.0
障害残存の可能性なし
151
22.8
395
27.4
障害なし
157
23.8
348
24.1
不明
合 計
34
5.1
52
3.6
661
100.0
1,441
100.0
※事故の発生及び事故の過失の有無と「事故の程度」とは必ずしも因果関係が認められるものではない。
※
「不明」には、報告期日(2週間以内)までに患者の転帰が確定していないもの、
特に報告を求める事例で患者に影響がなかった事例も含まれる。
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
- 60 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 2- 16 (QA-40-A)
関連診療科
関連診療科
2013 年4月∼6月
件数
2013 年1月∼6月(累計)
%
件数
%
内科
53
6.3
127
7.1
麻酔科
26
3.1
50
2.8
循環器内科
52
6.2
109
6.1
神経科
22
2.6
35
2.0
呼吸器内科
24
2.9
48
2.7
消化器科
44
5.2
102
5.7
血液内科
22
2.6
40
2.2
循環器外科
7
0.8
11
0.6
アレルギー科
2
0.2
4
0.2
リウマチ科
15
1.8
21
1.2
小児科
52
6.2
113
6.3
外科
67
8.0
143
8.0
112
13.3
231
13.0
形成外科
6
0.7
15
0.8
美容外科
0
0.0
0
0.0
脳神経外科
30
3.6
68
3.8
呼吸器外科
19
2.3
42
2.4
心臓血管外科
29
3.4
63
3.5
小児外科
8
1.0
14
0.8
ペインクリニック
0
0.0
0
0.0
整形外科
皮膚科
16
1.9
30
1.7
泌尿器科
28
3.3
53
3.0
0
0.0
0
0.0
性病科
肛門科
産婦人科
産科
婦人科
0
0.0
0
0.0
12
1.4
20
1.1
1
0.1
6
0.3
11
1.3
23
1.3
眼科
14
1.7
26
1.5
耳鼻咽喉科
22
2.6
52
2.9
0
0.0
1
0.1
43
5.1
96
5.4
2
0.2
7
0.4
11
1.3
28
1.6
1
0.1
7
0.4
心療内科
精神科
リハビリテーション科
放射線科
歯科
矯正歯科
0
0.0
1
0.1
小児歯科
0
0.0
0
0.0
14
1.7
25
1.4
2
0.2
2
0.1
歯科口腔外科
不明
その他
合 計
74
8.8
167
9.4
841
100.0
1,780
100.0
※「関連診療科」は複数回答が可能である。
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
- 61 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 2- 17 (QA-41-A)
発生要因
発生要因
当事者の行動に関わる要因
確認を怠った
観察を怠った
報告が遅れた(怠った)
記録などに不備があった
連携ができていなかった
患者への説明が不十分であった(怠った)
判断を誤った
ヒューマンファクター
知識が不足していた
技術・手技が未熟だった
勤務状況が繁忙だった
通常とは異なる身体的条件下にあった
通常とは異なる心理的条件下にあった
その他
環境・設備機器
コンピュータシステム
医薬品
医療機器
施設・設備
諸物品
患者側
その他
その他
教育・訓練
仕組み
ルールの不備
その他
合 計
2013 年4月∼6月
2013 年1月∼6月(累計)
件数
%
件数
%
897
228
204
23
22
113
100
207
335
98
78
68
13
19
59
337
15
11
24
44
13
201
29
332
135
29
63
105
1,901
47.2
12.0
10.7
1.2
1.2
5.9
5.3
10.9
17.7
5.2
4.1
3.6
0.7
1.0
3.1
17.8
0.8
0.6
1.3
2.3
0.7
10.6
1.5
17.4
7.1
1.5
3.3
5.5
100.0
1824
487
398
43
46
216
200
434
704
200
174
143
28
44
115
736
28
36
61
79
45
427
60
698
289
70
115
224
3,962
46.1
12.3
10.0
1.1
1.2
5.5
5.0
11.0
17.7
5.0
4.4
3.6
0.7
1.1
2.9
18.5
0.7
0.9
1.5
2.0
1.1
10.8
1.5
17.7
7.3
1.8
2.9
5.7
100.0
※「発生要因」は複数回答が可能である。
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
図表Ⅱ - 2- 18 (QA-42-A)
特に報告を求める事例
特に報告を求める事例
汚染された薬剤・材料・生体由来材料等の使用
による事故
院内感染による死亡や障害
患者の自殺又は自殺企図
2013 年4月∼6月
件数
1
%
0.2
2013 年1月∼6月(累計)
件数
6
%
0.4
0
0.0
1
0.1
16
2.4
31
2.2
入院患者の失踪
2
0.3
8
0.6
患者の熱傷
4
0.6
10
0.7
患者の感電
0
0.0
0
0.0
医療施設内の火災による患者の死亡や障害
2
0.3
2
0.1
間違った保護者の許への新生児の引渡し
本事例は選択肢には該当しない
合 計
0
0.0
0
0.0
636
96.2
1,383
96.0
661
100.0
1,441
100.0
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
- 62 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 2- 19 (QA-64-A)
発生場面 × 事故の程度
障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
(高い)
(低い)
死亡
発生場面×事故の程度
障害残存の
可能性なし
障害なし
不明
合計
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
薬剤に関する項目
手書きによる処方箋の作成
オーダリングによる処方箋の作成
口頭による処方指示
手書きによる処方の変更
オーダリングによる処方の変更
口頭による処方の変更
その他の処方に関する場面
内服薬調剤
注射薬調剤
血液製剤調剤
外用薬調剤
その他の調剤に関する場面
内服薬製剤管理
注射薬製剤管理
血液製剤管理
外用薬製剤管理
その他の製剤管理に関する場面
与薬準備
皮下・筋肉注射
静脈注射
動脈注射
末梢静脈点滴
中心静脈注射
内服
外用
坐剤
吸入
点鼻・点耳・点眼
その他与薬に関する場面
輸血に関する項目
手書きによる処方箋の作成
オーダリングによる処方箋の作成
口頭による処方指示
手書きによる処方の変更
オーダリングによる処方の変更
口頭による処方の変更
その他の処方に関する場面
準備
実施
その他の輸血検査に関する場面
準備
実施
その他の放射線照射に関する場面
製剤の交付
その他の輸血準備に関する場面
実施
その他の輸血実施に関する場面
治療・処置に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
その他の管理に関する場面
準備
その他の準備に関する場面
実施
その他の治療・処置に関する場面
0
0
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10
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16
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6
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0
32
2
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2
4
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1
12
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0
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3
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37
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1
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0
0
0
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0
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40
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1
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2
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0
0
12
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0
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0
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0
2
5
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1
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1
2
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0
4
0
0
0
21
2
0
1
2
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0
0
0
5
0
0
1
54
4
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0
0
0
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1
1
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2
0
0
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0
0
0
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1
1
0
0
0
7
0
- 63 -
56
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5
1
0
1
0
0
5
3
0
0
0
1
1
0
0
1
0
4
14
0
3
5
4
4
0
0
0
4
2
0
0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
170
1
1
2
0
0
0
10
21
1
0
1
128
5
117
0
13
1
0
1
0
1
9
4
0
0
0
1
3
0
0
1
3
8
31
0
5
7
13
5
0
1
0
10
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
3
0
384
1
1
4
0
0
0
18
34
1
1
2
311
11
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
(高い)
(低い)
死亡
発生場面×事故の程度
障害残存の
可能性なし
障害なし
不明
合計
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
医療機器等・医療材料の使用・管理に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
準備
使用中
ドレーン・チューブ類の使用・管理に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
準備
使用中
検査に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
準備
実施中
療養上の世話に関する項目
手書きによる計画又は指示の作成
オーダリングによる計画又は指示の作成
口頭による計画又は指示
手書きによる計画又は指示の変更
オーダリングによる計画又は指示の変更
口頭による計画又は指示の変更
その他の計画又は指示に関する場面
管理
準備
実施中
その他
合 計
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
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1
1
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0
0
0
0
0
0
0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
1
0
0
1
0
0
0
0
0
0
1
0
0
5
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0
0
0
0
0
2
0
2
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0
0
0
0
0
1
2
1
7
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0
0
0
0
0
0
0
0
7
0
0
0
0
0
0
0
0
0
14
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
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0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
1
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0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
1
1
4
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0
0
0
0
0
1
2
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5
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0
0
0
0
0
2
3
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9
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0
0
0
0
0
3
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7
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0
0
0
0
0
0
5
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21
0
0
0
0
0
0
0
2
1
12
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0
0
0
0
0
0
4
1
39
0
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0
0
0
0
0
1
0
2
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0
0
0
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1
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3
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0
0
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0
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1
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1
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1
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0
0
1
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0
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1
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0
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0
2
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1
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0
0
0
0
2
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2
3
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0
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0
0
0
0
1
1
4
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0
0
0
0
0
1
2
1
15
0
1
0
0
0
0
0
0
1
10
0
1
0
0
0
0
0
0
2
19
0
0
0
0
0
0
0
1
0
4
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0
0
0
0
0
0
1
0
6
0
0
0
0
0
0
0
6
0
4
26
65
0
0
0
0
0
0
0
14
0
12
36
113
0
0
0
0
0
0
0
13
0
9
9
60
0
0
0
0
0
0
2
20
0
18
16
129
0
1
1
0
0
0
5
51
1
33
26
194
2
2
1
0
0
0
9
93
1
87
50
404
0
2
0
0
0
0
0
22
0
34
14
151
0
2
0
0
0
0
3
68
3
78
39
395
1
0
0
0
0
0
0
18
2
19
27
157
1
0
0
0
0
0
0
46
2
40
57
348
0
0
1
0
0
0
0
6
0
10
2
34
0
0
1
0
0
0
0
7
0
14
6
52
14
34
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
3
0
2
10
27
41
99
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
9
16
3
4
28
77
35
73
0
0
1
1
0
0
0
0
1
1
0
0
0
4
4
6
3
7
26
54
343 730
1
3
3
4
2
2
0
0
0
0
0
0
5
14
116 248
3
6
109 249
104 204
661 1,441
※事故の発生及び事故の過失の有無と「事故の程度」とは必ずしも因果関係が認められるものではない。
※
「不明」には、報告期日(2週間以内)までに患者の転帰が確定していないもの、
特に報告を求める事例で患者に影響がなかった事例も含まれる。
- 64 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 2- 20 (QA-65-A)
事故の内容 × 事故の程度
障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害残存の
可能性なし
障害なし
不明
合計
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
薬剤に関する項目
処方忘れ
処方遅延
処方量間違い
重複処方
禁忌薬剤の処方
対象患者処方間違い
処方薬剤間違い
処方単位間違い
投与方法処方間違い
その他の処方に関する内容
調剤忘れ
処方箋・注射箋鑑査間違い
秤量間違い調剤
数量間違い
分包間違い
規格間違い調剤
単位間違い調剤
薬剤取り違え調剤
説明文書の取り違え
交付患者間違い
薬剤・製剤の取り違え交付
期限切れ製剤の交付
その他の調剤に関する内容
薬袋・ボトルの記載間違い
異物混入
細菌汚染
期限切れ製剤
その他の製剤管理に関する内容
過剰与薬準備
過少与薬準備
与薬時間・日付間違い
重複与薬
禁忌薬剤の与薬
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
混合間違い
その他の与薬準備に関する内容
過剰投与
過少投与
投与時間・日付間違い
重複投与
禁忌薬剤の投与
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の与薬に関する内容
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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117
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16
0
2
2
5
5
1
5
8
0
3
3
29
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害残存の
可能性なし
障害なし
不明
合計
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
輸血に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
指示量間違い
重複指示
禁忌薬剤の指示
対象患者指示間違い
指示薬剤間違い
指示単位間違い
投与方法指示間違い
その他の指示出しに関する内容
未実施
検体取り違え
判定間違い
結果記入・入力間違い
その他の輸血検査に関する内容
未実施
過剰照射
過少照射
患者間違い
製剤間違い
その他の放射線照射に関する内容
薬袋・ボトルの記載間違い
異物混入
細菌汚染
期限切れ製剤
その他の輸血管理に関する内容
過剰与薬準備
過少与薬準備
与薬時間・日付間違い
重複与薬
禁忌薬剤の与薬
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の輸血準備に関する内容
過剰投与
過少投与
投与時間・日付間違い
重複投与
禁忌薬剤の投与
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の輸血実施に関する内容
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1
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0
0
1
0
0
0
0
2
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害残存の
可能性なし
障害なし
不明
合計
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
治療・処置に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
治療・処置指示間違い
日程間違い
時間間違い
その他の治療・処置の指示に関する内容
治療・処置の管理
その他の治療・処置の管理に関する内容
医療材料取り違え
患者体位の誤り
消毒・清潔操作の誤り
その他の治療・処置の準備に関する内容
患者間違い
部位取違え
方法(手技)の誤り
未実施・忘れ
中止・延期
日程・時間の誤り
順番の誤り
不必要行為の実施
誤嚥
誤飲
異物の体内残存
診察・治療・処置等その他の取違え
その他の治療・処置の実施に関する内容
医療機器等・医療材料の使用・管理に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
使用方法指示間違い
その他の医療機器等・医療材料の
使用に関する内容
保守・点検不良
保守・点検忘れ
使用中の点検・管理ミス
破損
その他の医療機器等・医療材料の
管理に関する内容
組み立て
設定条件間違い
設定忘れ
電源入れ忘れ
警報設定忘れ
警報設定範囲間違い
便宜上の警報解除後の再設定忘れ
消毒・清潔操作の誤り
使用前の点検・管理ミス
破損
その他の医療機器等・医療材料の
準備に関する内容
医療機器等・医療材料の不適切使用
誤作動
故障
破損
その他の医療機器等・医療材料の
使用に関する内容
0
0
0
0
170
0
1
0
2
0
0
2
19
3
0
0
0
1
1
3
30
0
1
0
0
3
1
0
16
2
85
14
0
0
0
0
384
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1
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3
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3
34
5
0
1
0
3
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12
60
1
1
0
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4
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1
39
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1
1
1
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1
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0
1
2
1
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1
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
3
5
2
1
3
1
2
5
9
0
0
7
15
0
0
0
0
0
0
0
7
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
1
0
0
0
14
0
0
0
0
0
0
1
10
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
1
0
0
0
25
0
0
0
0
0
0
0
3
2
0
0
0
1
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
10
0
0
0
0
0
0
0
8
2
0
0
0
1
0
1
6
0
0
0
0
0
0
0
1
0
33
0
1
0
0
0
0
1
3
0
0
0
0
0
0
1
15
0
1
0
0
1
0
0
4
0
25
0
1
0
0
0
0
1
8
0
0
0
0
0
0
2
24
1
1
0
0
2
1
0
14
0
57
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
8
0
0
0
0
0
0
0
7
1
22
0
0
0
1
0
0
0
2
2
0
0
0
2
2
5
17
0
0
0
0
0
0
0
14
2
57
0
0
0
2
0
0
0
4
1
0
0
0
0
0
2
1
0
0
0
0
2
0
0
3
1
14
0
0
0
2
0
0
0
5
1
0
0
0
0
0
4
8
0
0
0
0
2
0
1
8
1
35
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0
0
0
0
0
1
1
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0
0
0
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0
0
0
0
0
0
2
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0
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0
0
0
1
1
0
0
1
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0
0
0
2
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0
0
0
0
0
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2
0
2
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0
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0
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0
0
0
1
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0
0
0
0
0
1
2
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0
0
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0
0
0
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1
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0
0
0
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0
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0
0
0
0
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0
0
0
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0
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0
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0
0
0
0
0
0
0
0
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0
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0
0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
0
1
4
- 67 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害残存の
可能性なし
障害なし
不明
合計
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
ドレーン・チューブ類の使用・管理に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
使用方法指示間違い
その他のドレーン・チューブ類の
使用・管理の指示に関する内容
点検忘れ
点検不良
使用中の点検・管理ミス
破損
その他のドレーン・チューブ類の
管理に関する内容
組み立て
設定条件間違い
設定忘れ
消毒・清潔操作の誤り
使用前の点検・管理ミス
その他のドレーン・チューブ類の
準備に関する内容
点滴漏れ
自己抜去
自然抜去
接続はずれ
未接続
閉塞
切断・破損
接続間違い
三方活栓操作間違い
ルートクランプエラー
空気混入
誤作動
故障
ドレーン・チューブ類の不適切使用
その他のドレーン・チューブ類の
使用に関する内容
検査に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
指示検査の間違い
その他の検査の指示に関する内容
分析機器・器具管理
試薬管理
データ紛失
計算・入力・暗記
その他の検査の管理に関する内容
患者取違え
検体取違え
検体紛失
検査機器・器具の準備
検体破損
その他の検査の準備に関する内容
患者取違え
検体取違え
試薬の間違い
検体紛失
検査の手技・判定技術の間違い
検体採取時のミス
検体破損
検体のコンタミネーション
データ取違え
結果報告
その他の検査の実施に関する内容
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
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0
0
0
0
0
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0
0
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0
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0
0
0
0
0
0
0
0
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0
0
0
0
41
0
0
0
0
99
0
0
0
0
0
0
0
1
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0
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0
0
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1
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0
0
0
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1
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1
1
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1
1
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0
0
1
1
0
0
2
1
0
0
0
0
1
2
1
3
1
1
0
0
3
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0
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1
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1
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1
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1
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1
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1
2
2
1
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0
0
0
0
1
1
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0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
2
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1
0
2
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0
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1
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1
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3
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0
0
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5
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5
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2
0
0
0
0
0
1
0
0
3
7
4
13
5
11
1
1
13
33
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0
0
0
0
0
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1
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0
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1
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0
0
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0
0
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0
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0
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1
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0
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0
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1
6
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1
1
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0
0
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0
0
1
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0
0
0
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0
0
0
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0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
2
0
0
0
0
1
3
35
0
0
0
0
1
0
0
0
0
2
0
0
1
0
0
2
4
1
0
0
4
1
0
0
0
4
15
73
1
0
0
0
1
0
0
0
0
5
0
0
1
0
0
7
6
3
0
0
8
1
0
1
0
5
34
- 68 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害残存の
可能性なし
障害なし
不明
合計
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
療養上の世話に関する項目
計画忘れ又は指示出し忘れ
計画又は指示の遅延
計画又は指示の対象患者間違い
計画又は指示内容間違い
その他の療養上の世話の計画又は指
示に関する内容
拘束・抑制
給食の内容の間違い
安静指示
禁食指示
外出・外泊許可
異物混入
転倒
転落
衝突
誤嚥
誤飲
誤配膳
遅延
実施忘れ
搬送先間違い
患者間違い
延食忘れ
中止の忘れ
自己管理薬飲み忘れ・注射忘れ
自己管理薬注入忘れ
自己管理薬取違え摂取
不必要行為の実施
その他の療養上の世話の管理・準備・
実施に関する内容
その他
合 計
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
343
1
0
0
0
730
1
1
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
1
1
1
2
3
0
0
0
0
0
0
3
1
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
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4
1
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9
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
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2
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11
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0
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0
0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
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2
0
0
0
20
2
0
2
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0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
57
7
1
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0
0
0
0
0
0
0
0
1
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0
0
0
0
0
0
1
1
118
10
1
0
1
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0
0
0
0
0
0
1
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0
2
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0
0
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0
0
36
3
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
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1
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0
0
84
10
1
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
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22
3
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0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
3
0
38
6
1
2
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
10
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
14
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
2
0
2
1
139
14
1
6
2
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
3
0
3
0
5
1
278
29
3
16
8
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
2
1
11
8
13
22
57
19
53
11
32
5
6
66
172
26
65
36
113
9
60
16
129
26
194
50
404
14
151
39
395
27
157
57
348
2
34
6
52
104 204
661 1,441
※事故の発生及び事故の過失の有無と「事故の程度」とは必ずしも因果関係が認められるものではない。
※
「不明」には、報告期日(2週間以内)までに患者の転帰が確定していないもの、
特に報告を求める事例で患者に影響がなかった事例も含まれる。
- 69 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 2- 21 (QA-68-A)
関連診療科 × 事故の概要
薬剤
関連診療科×事故の概要
2013 年
4月∼6月
輸血
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
治療・処置
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
医療機器等
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月
(累計)
内科
3
13
0
0
4
13
1
3
麻酔科
1
3
1
1
15
32
3
3
循環器内科
2
9
0
0
16
40
3
4
神経科
3
3
0
0
0
2
1
1
呼吸器内科
3
4
0
0
4
7
1
1
消化器科
3
8
0
0
12
36
1
3
血液内科
2
5
0
0
2
3
0
0
循環器外科
0
0
0
0
3
6
0
0
アレルギー科
0
0
0
0
0
1
0
0
リウマチ科
小児科
2
3
0
0
0
1
0
0
11
15
0
1
7
13
0
0
外科
4
8
0
0
29
58
1
2
整形外科
5
10
1
1
23
48
2
4
形成外科
0
0
0
0
4
11
0
0
美容外科
0
0
0
0
0
0
0
0
脳神経外科
1
3
0
0
11
20
0
0
呼吸器外科
2
4
0
0
10
21
0
2
心臓血管外科
3
4
1
1
11
32
1
4
小児外科
0
0
0
0
2
6
0
1
ペインクリニック
0
0
0
0
0
0
0
0
皮膚科
1
1
0
0
2
5
1
1
泌尿器科
3
4
0
0
17
27
0
3
性病科
0
0
0
0
0
0
0
0
肛門科
0
0
0
0
0
0
0
0
産婦人科
0
0
0
0
7
11
0
1
産科
0
0
0
0
0
1
0
1
婦人科
2
2
0
1
5
8
0
0
眼科
0
1
0
0
3
5
0
2
耳鼻咽喉科
1
2
0
0
7
17
2
2
心療内科
0
0
0
0
0
1
0
0
精神科
2
5
0
0
1
1
0
0
リハビリテーション科
0
1
0
0
1
1
0
0
放射線科
0
2
0
0
2
9
1
1
歯科
0
0
0
0
1
6
0
0
矯正歯科
0
0
0
0
0
0
0
0
小児歯科
0
0
0
0
0
0
0
0
歯科口腔外科
1
1
0
0
9
15
0
0
不明
0
0
0
0
0
0
0
0
その他
5
19
0
0
16
40
0
3
60
130
3
5
224
497
18
42
合 計
※「関連診療科」は複数回答が可能である。
- 70 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
ドレーン・チューブ
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月
(累計)
検査
2013 年
4月∼6月
療養上の世話
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
その他
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
合 計
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月
(累計)
1
8
3
6
30
59
11
25
53
127
2
6
0
0
2
2
2
3
26
50
2
4
7
12
17
32
5
8
52
109
2
4
1
1
12
20
3
4
22
35
2
5
0
4
13
26
1
1
24
48
1
3
4
10
17
31
6
11
44
102
0
2
2
6
8
14
8
10
22
40
2
2
1
1
1
2
0
0
7
11
0
0
0
0
2
2
0
1
2
4
0
0
0
0
4
8
9
9
15
21
0
9
2
4
24
60
8
11
52
113
4
9
3
8
18
37
8
21
67
143
4
7
3
7
59
128
15
26
112
231
0
0
0
0
1
2
1
2
6
15
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
6
2
3
10
25
4
11
30
68
3
5
0
1
3
4
1
5
19
42
3
5
1
1
4
9
5
7
29
63
1
1
1
1
2
3
2
2
8
14
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
3
4
5
12
3
6
16
30
2
3
1
2
4
10
1
4
28
53
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
5
1
3
12
20
0
0
0
1
0
0
1
3
1
6
2
3
0
0
1
1
1
8
11
23
0
0
1
2
5
10
5
6
14
26
0
3
2
4
6
13
4
11
22
52
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
1
1
2
28
68
10
19
43
96
0
0
0
0
1
3
0
2
2
7
2
2
3
8
1
2
2
4
11
28
0
0
0
0
0
1
0
0
1
7
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
6
1
3
14
25
0
0
0
0
0
0
2
2
2
2
14
27
3
4
20
50
16
24
74
167
51
116
44
92
305
646
136
252
841
1,780
- 71 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 2- 22 (QA-71-A)
発生要因 × 事故の概要
薬剤
発生要因×事故の概要
2013 年
4月∼6月
輸血
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
治療・処置
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
医療機器等
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月
(累計)
当事者の行動に関わる要因
確認を怠った
38
82
2
4
53
116
9
18
観察を怠った
7
11
1
1
39
76
6
12
報告が遅れた(怠った)
3
3
0
0
3
9
1
1
記録などに不備があった
2
4
0
0
5
15
1
2
連携ができていなかった
15
21
0
1
31
55
7
12
7
9
0
0
8
26
2
2
11
22
0
1
57
136
4
9
15
30
2
2
15
28
3
6
2
8
0
0
31
66
2
4
10
18
0
1
13
24
1
8
2
2
0
0
4
12
3
3
5
9
0
1
6
9
0
2
4
5
0
1
15
25
1
4
コンピュータシステム
7
13
0
1
2
3
0
0
医薬品
6
18
0
0
1
4
0
0
医療機器
2
3
0
0
8
20
6
14
施設・設備
1
3
0
1
4
8
1
1
諸物品
0
1
0
0
3
7
3
4
患者側
0
5
0
0
44
85
2
2
その他
1
4
0
0
10
20
0
3
教育・訓練
8
20
1
2
21
44
6
8
仕組み
8
12
0
1
8
18
2
5
ルールの不備
8
14
0
1
18
32
2
2
その他
6
14
0
0
42
91
0
1
168
331
6
18
441
929
62
123
患者への説明が不十分で
あった(怠った)
判断を誤った
ヒューマンファクター
知識が不足していた
技術・手技が未熟だった
勤務状況が繁忙だった
通常とは異なる身体的条
件下にあった
通常とは異なる心理的条
件下にあった
その他
環境・設備機器
その他
合計
※「発生要因」は複数回答が可能である。
- 72 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
,
ドレーン・チューブ
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月
(累計)
検査
2013 年
4月∼6月
療養上の世話
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
その他
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
合 計
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月
(累計)
897
1,824
20
39
15
32
68
131
23
65
228
487
13
27
4
7
109
221
25
43
204
398
1
4
1
1
7
14
7
11
23
43
2
2
1
5
8
14
3
4
22
46
8
18
5
8
37
73
10
28
113
216
2
5
3
5
67
134
11
19
100
200
14
35
12
23
87
169
22
39
207
434
335
704
10
23
1
4
42
83
10
24
98
200
7
15
6
17
24
50
6
14
78
174
2
9
2
6
35
60
5
17
68
143
0
0
1
2
0
4
3
5
13
28
2
5
1
4
3
11
2
3
19
44
4
8
4
8
15
35
16
29
59
115
337
736
0
0
3
7
0
0
3
4
15
28
2
2
1
1
1
4
0
7
11
36
2
6
2
4
2
7
2
7
24
61
4
4
4
4
19
41
11
17
44
79
3
7
1
3
3
13
0
10
13
45
4
11
5
8
118
266
28
50
201
427
1
5
0
3
9
13
8
12
29
60
332
698
11
26
9
16
62
132
17
41
135
289
2
4
4
8
3
7
2
15
29
70
5
10
5
11
22
35
3
10
63
115
5
15
3
10
18
38
31
55
105
224
124
280
93
197
759
1,555
248
529
1,901
3,962
- 73 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業で収集する情報には発生件数情報と事例情報がある。発
生件数情報の収集はヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加を希望する全ての医療機関から
収集を行う。事例情報の収集は、ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加を希望する医療機関の
うち、報告を希望した医療機関から収集を行う。この報告書においては、平成25年4月1日から
同年6月30日までのヒヤリ・ハット事例収集事業の発生件数情報と事例情報の集計結果を掲載して
いる。
【1】登録医療機関
(1)参加登録申請医療機関数
平成25年6月30日現在、ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加している医療機関数
は以下の通りである。なお、医療機関数の増減の理由には、新規の開設や閉院、統廃合の他に、開設
者区分の変更も含まれる。
図表Ⅱ - 3- 1 (QH-01)
参加登録申請医療機関数
開設者
国立大学法人等
独立行政法人国立病院機構
国立高度専門医療研究センター
国
国立ハンセン病療養所
独立行政法人労働者健康福祉機構
その他の国の機関
都道府県
市町村
自治体
公立大学法人
地方独立行政法人
日本赤十字社
恩賜財団済生会
北海道社会事業協会
厚生農業協同組合連合会
国民健康保険団体連合会
自治体以外の公的
全国社会保険協会連合会
医療機関の開設者
厚生年金事業振興団
船員保険会
健康保険組合及びその連合会
共済組合及びその連合会
国民健康保険組合
学校法人
医療法人
法人
公益法人
会社
その他の法人
個 人
合 計
- 74 -
事例情報報告参加
登録申請医療機関
19
71
3
4
21
0
16
67
4
8
46
10
0
7
0
25
1
0
0
12
1
31
189
24
3
17
31
610
参加登録申請
医療機関
30
118
4
11
28
0
27
122
8
23
80
20
0
18
2
44
1
0
1
20
1
44
369
52
12
37
46
1,118
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
(2)参加登録申請医療機関における登録件数の推移
参加登録申請医療機関における登録医療機関数の推移は以下の通りである。
図表Ⅱ - 3- 2 (QH-02)
参加登録申請医療機関の登録件数
2013 年
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月 11月 12月
事例情報参加
登録申請医療
機関数
2
5
3
6
0
1
−
−
−
−
−
−
登録取下げ
医療機関数
0
0
0
3
1
0
−
−
−
−
−
−
599
604
607
610
609
610
−
−
−
−
−
−
参加登録申請
医療機関数
7
5
4
11
1
3
−
−
−
−
−
−
登録取下げ
医療機関数
0
1
0
3
1
0
−
−
−
−
−
−
1,099 1,103 1,107 1,115 1,115 1,118
−
−
−
−
−
−
累 計
累 計
- 75 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
【2】全医療機関の発生件数情報報告
(1)全医療機関の発生件数情報報告
平成25年4月1日から同年6月30日までの発生件数情報報告は以下の通りである。
なお、4月1日から6月30日までの発生件数は、通常7月1日から7月31日までに報告を受け
て集計しているが、今回の集計は、本事業の報告システム停止の影響により、平成25年7月22日
までに報告された発生件数を集計した。そのため、通常の四半期の報告件数よりも少なくなっている。
図表Ⅱ - 3- 3 (QNR-01)
全医療機関発生件数情報報告
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
(1)薬剤
76
436
10,870
20,898
32,280
(2)輸血
21
24
191
321
557
(3)治療・処置
38
175
1,302
4,100
5,615
(4)医療機器等
24
93
1,009
1,871
2,997
(5)ドレーン・チューブ
27
160
2,869
10,992
14,048
(6)検査
26
209
2,693
5,568
8,496
(7)療養上の世話
43
335
6,141
13,891
20,410
(8)その他
75
236
5,403
5,754
11,468
330
1,668
30,478
63,395
95,871
17
59
427
1,884
2,387
【2】薬剤に由来する事例
55
234
4,048
8,206
12,543
【3】医療機器等に由来する事例
21
66
498
1,069
1,654
5
12
170
494
681
合 計
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【4】今期のテーマ
報告医療機関数
病床数合計
- 76 -
245
99,237
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
(2)発生件数情報の報告状況
① 発生件数情報の報告状況
全医療機関の平成25年4月1日から同年6月30日までの病床規模別発生件数情報報告を
図表Ⅱ - 3- 4∼図表Ⅱ - 3- 10に示す。
なお、4月1日から6月30日までの発生件数は、通常7月1日から7月31日までに報告を受
けて集計しているが、今回の集計は、本事業の報告システム停止の影響により、平成25年7月
22日までに報告された発生件数を集計した。そのため、通常の四半期の報告件数よりも少なく
Ⅱ
なっている。
図表Ⅱ - 3- 4 (QNR-02)
病床規模別発生件数情報報告(病床数が0∼99床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
(1)薬剤
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
0
9
128
74
合計
211
(2)輸血
0
1
1
0
2
(3)治療・処置
0
2
43
25
70
(4)医療機器等
0
0
5
6
11
(5)ドレーン・チューブ
0
0
17
13
30
(6)検査
0
0
26
32
58
(7)療養上の世話
0
2
49
145
196
(8)その他
0
3
198
34
235
0
17
467
329
813
合 計
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
0
3
0
16
19
【2】薬剤に由来する事例
0
9
22
29
60
【3】医療機器等に由来する事例
0
0
6
5
11
【4】今期のテーマ
0
0
5
49
54
報告医療機関数
病床数合計
- 77 -
15
668
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 3- 5 (QNR-03)
病床規模別発生件数情報報告(病床数が100∼199床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
(1)薬剤
0
7
643
1,139
(2)輸血
0
2
14
21
1,789
37
(3)治療・処置
0
8
100
278
386
(4)医療機器等
0
9
83
153
245
(5)ドレーン・チューブ
0
6
163
402
571
(6)検査
1
51
261
323
636
(7)療養上の世話
0
23
551
991
1,565
(8)その他
0
5
375
586
966
1
111
2,190
3,893
6,195
合 計
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
0
1
14
15
30
【2】薬剤に由来する事例
0
0
281
326
607
【3】医療機器等に由来する事例
0
4
45
32
81
【4】今期のテーマ
0
0
17
12
29
報告医療機関数
42
6,655
病床数合計
図表Ⅱ - 3- 6 (QNR-04)
病床規模別発生件数情報報告(病床数が200∼299床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
(1)薬剤
2
19
1,037
1,206
2,264
(2)輸血
4
1
10
15
30
(3)治療・処置
1
6
111
228
346
(4)医療機器等
1
4
104
142
251
(5)ドレーン・チューブ
0
6
172
711
889
(6)検査
0
4
284
377
665
(7)療養上の世話
0
57
794
1,262
2,113
(8)その他
6
15
583
526
1,130
14
112
3,095
4,467
7,688
1
0
18
48
67
合 計
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【2】薬剤に由来する事例
2
3
144
467
616
【3】医療機器等に由来する事例
1
3
30
81
115
【4】今期のテーマ
0
3
19
32
54
報告医療機関数
病床数合計
- 78 -
35
8,586
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 3- 7 (QNR-05)
病床規模別発生件数情報報告(病床数が300∼399床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
(1)薬剤
9
42
1,030
2,272
(2)輸血
1
3
16
32
3,353
52
(3)治療・処置
0
24
142
418
584
(4)医療機器等
4
17
157
201
379
(5)ドレーン・チューブ
4
11
258
1,221
1,494
(6)検査
3
24
274
621
922
(7)療養上の世話
6
44
753
2,224
3,027
(8)その他
2
31
433
699
1,165
29
196
3,063
7,688
10,976
合 計
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
2
7
48
115
172
【2】薬剤に由来する事例
3
9
170
597
779
【3】医療機器等に由来する事例
2
4
36
70
112
【4】今期のテーマ
1
3
13
84
101
報告医療機関数
41
13,708
病床数合計
図表Ⅱ - 3- 8 (QNR-06)
病床規模別発生件数情報報告(病床数が400∼499床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
(1)薬剤
5
85
2,408
3,597
6,095
(2)輸血
3
2
36
39
80
1,058
(3)治療・処置
9
30
277
742
(4)医療機器等
8
19
266
333
626
(5)ドレーン・チューブ
4
25
602
2,134
2,765
(6)検査
3
18
458
865
1,344
(7)療養上の世話
8
68
1,330
2,905
4,311
(8)その他
5
47
1,703
1,143
2,898
45
294
7,080
11,758
19,177
1
8
84
285
378
合 計
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【2】薬剤に由来する事例
4
51
387
827
1,269
【3】医療機器等に由来する事例
6
15
120
208
349
【4】今期のテーマ
0
2
32
55
89
報告医療機関数
病床数合計
- 79 -
44
19,317
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 3- 9 (QNR-07)
病床規模別発生件数情報報告(病床数が500∼599床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
(1)薬剤
13
32
1,331
2,115
(2)輸血
3
6
19
38
66
12
12
141
433
598
(3)治療・処置
3,491
(4)医療機器等
3
5
77
165
250
(5)ドレーン・チューブ
5
27
511
975
1,518
(6)検査
3
11
299
497
810
2,055
(7)療養上の世話
(8)その他
合 計
5
39
784
1,227
14
34
409
394
851
58
166
3,571
5,844
9,639
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【2】薬剤に由来する事例
9
0
21
92
122
12
19
824
743
1,598
【3】医療機器等に由来する事例
3
5
45
77
130
【4】今期のテーマ
3
0
50
31
84
報告医療機関数
18
9,696
病床数合計
図表Ⅱ - 3- 10 (QNR-08)
病床規模別発生件数情報報告(病床数が600床以上の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
(1)薬剤
47
242
4,293
10,495
15,077
(2)輸血
10
9
95
176
290
(3)治療・処置
16
93
488
1,976
2,573
(4)医療機器等
8
39
317
871
1,235
14
85
1,146
5,536
6,781
(5)ドレーン・チューブ
(6)検査
16
101
1,091
2,853
4,061
(7)療養上の世話
24
102
1,880
5,137
7,143
(8)その他
48
101
1,702
2,372
4,223
183
772
11,012
29,416
41,383
4
40
242
1,313
1,599
7,614
合 計
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
34
143
2,220
5,217
【3】医療機器等に由来する事例
【2】薬剤に由来する事例
9
35
216
596
856
【4】今期のテーマ
1
4
34
231
270
報告医療機関数
病床数合計
- 80 -
50
40,607
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
【3】事例情報参加登録申請医療機関の報告件数
(1)事例情報参加登録申請医療機関の月別報告件数
平成25年4月1日から同年6月30日までの事例情報参加登録申請医療機関の月別報告件数は以
下の通りである。
図表Ⅱ - 3- 11 (QH-03)
事例情報参加登録申請医療機関の月別報告件数
1月
事例情報参加
登録申請医療
機関報告数
事例情報参加
登録申請医療
機関数
2月
3月
4月
5月
2013 年
6月
7月
4,013 2,008 1,986 3,775 1,386 1,820
599
604
607
610
609
610
- 81 -
10月 11月 12月
合計
8月
9月
−
−
−
−
−
−
14,988
−
−
−
−
−
−
−
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
(2)事例情報参加登録申請医療機関の報告状況
事例情報参加登録申請医療機関の平成25年4月1日から同年6月30日までの報告医療機関数及
び報告件数を図表Ⅱ - 3- 12に、病床規模別に集計したものを図表Ⅱ - 3- 13に、地域別に集計し
たものを図表Ⅱ - 3- 14に示す。また、同期間内における報告医療機関数を報告件数別に集計した
ものを図表Ⅱ - 3- 15に示す。平成25年6月30日現在、事例情報参加登録申請医療機関の数は
610施設、病床数合計は202,975床である。
図表Ⅱ - 3- 12 (QH-04)
開設者別事例情報参加登録申請医療機関数及び報告件数
報告医療機関数
医療機関数
開設者
国
※ 2013 年
6月 30 日現在
報告件数
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
(累計)
(累計)
国立大学法人等
19
5
9
20
33
独立行政法人国立病院機構
71
3
6
54
101
国立高度専門医療研究センター
3
1
1
485
1,227
国立ハンセン病療養所
4
0
0
0
0
独立行政法人労働者健康福祉機構
21
2
4
218
245
0
0
0
0
0
95
16
24
2,857
6,004
日本赤十字社
46
10
11
705
1,418
恩賜財団済生会
その他の国の機関
自治体
都道府県
市町村
公立大学法人
地方独立行政法人
自治体以外の公的医療機関の開設者
10
2
3
173
306
北海道社会事業協会
0
0
0
0
0
厚生農業協同組合連合会
7
0
0
0
0
国民健康保険団体連合会
0
0
0
0
0
全国社会保険協会連合会
25
5
5
849
1,709
厚生年金事業振興団
1
0
0
0
0
船員保険会
0
0
0
0
0
健康保険組合及びその連合会
共済組合及びその連合会
国民健康保険組合
0
0
0
0
0
12
1
1
2
4
1
0
1
0
1
法人
学校法人
31
8
10
198
867
医療法人
189
14
20
1,005
2,019
公益法人
24
2
3
13
178
3
0
0
0
0
会社
その他の法人
17
4
4
402
872
個 人
31
0
1
0
4
合 計
610
73
103
6,981
14,988
- 82 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 3- 13 (QH-05)
病床規模別事例情報参加登録申請医療機関数及び報告件数
病床数
医療機関数
※ 2013 年
6月 30 日現在
報告医療機関数
2013 年
4月∼6月
報告件数
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月
(累計)
0 ∼ 19 床
49
2
2
17
19
20 ∼ 49 床
19
0
1
0
4
50 ∼ 99 床
37
2
5
59
125
100 ∼ 149 床
43
3
3
37
58
150 ∼ 199 床
68
8
8
417
796
200 ∼ 249 床
40
1
3
49
202
250 ∼ 299 床
37
4
7
295
412
300 ∼ 349 床
69
10
12
880
2,010
350 ∼ 399 床
33
1
4
228
436
400 ∼ 449 床
58
6
8
658
1,227
450 ∼ 499 床
29
4
6
87
170
500 ∼ 549 床
27
6
7
736
1,188
550 ∼ 599 床
17
2
3
11
43
600 ∼ 649 床
19
5
8
853
1,918
650 ∼ 699 床
15
4
7
438
871
700 ∼ 749 床
12
2
2
16
21
750 ∼ 799 床
3
2
2
20
32
800 ∼ 849 床
8
4
6
2,112
4,826
850 ∼ 899 床
4
0
0
0
0
900 ∼ 999 床
10
3
4
9
19
1000 床以上
13
4
5
59
611
610
73
103
6,981
14,988
合計
図表Ⅱ - 3- 14 (QH-06)
地域別事例情報参加登録申請医療機関数及び報告件数
地域
医療機関数
※ 2013 年
6月 30 日現在
報告医療機関数
2013 年
4月∼6月
報告件数
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月
(累計)
北海道
52
6
8
78
148
東北
60
8
10
312
585
関東甲信越
153
25
30
2,183
4,551
東海北陸
105
11
21
2,430
5,099
近畿
87
9
15
1,600
3,805
中国四国
76
8
11
254
533
九州沖縄
77
6
8
124
267
610
73
103
6,981
14,988
合計
- 83 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 3- 15 (QH-07)
報告件数別事例情報参加登録申請医療機関数
報告医療機関数
報告件数
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月(累計)
0
537
507
1
12
21
2
8
11
3
3
4
4
1
9
5
3
2
6
2
3
7
0
2
8
1
1
9
2
0
10
1
3
11 ∼ 20
10
9
21 ∼ 30
2
3
31 ∼ 40
3
3
41 ∼ 50
3
1
51 ∼ 100
5
7
101 ∼ 150
2
3
151 ∼ 200
2
3
200 以上
合計
13
18
610
610
- 84 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
【4】事例情報参加登録申請医療機関からの報告の内容
平成25年4月1日から同年6月30日までの事例情報参加登録申請医療機関からのヒヤリ・
ハット事例情報報告の内容は以下の通りである。
なお、各表はヒヤリ・ハット事例「事例情報」報告入力項目(注)を集計したものである。
図表Ⅱ - 3- 16 (QH-28)
当事者職種
当事者職種
件数
医師
Ⅱ
305
歯科医師
9
看護師
6,431
准看護師
88
薬剤師
297
臨床工学技士
50
助産師
110
看護助手
38
診療放射線技師
101
臨床検査技師
106
管理栄養士
11
栄養士
63
調理師・調理従事者
55
理学療法士(PT)
64
作業療法士(OT)
12
言語聴覚士(ST)
6
衛生検査技師
1
歯科衛生士
0
歯科技工士
0
その他
315
合 計
8,062
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
(件)
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
その他
歯科技工士
歯科衛生士
衛生検査技師
言語聴覚士︵ST︶
作業療法士︵OT︶
理学療法士︵PT︶
調理師 調・理従事者
栄養士
管理栄養士
臨床検査技師
診療放射線技師
看護助手
助産師
臨床工学技士
薬剤師
准看護師
看護師
歯科医師
医師
0
(注)「医療事故・ヒヤリ・ハット事例収集システム操作手引書」に掲載している「ヒヤリ・ハット事例報告入力項目(P42 ∼ 59)」を参照
(公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)に掲載)
。
- 85 -
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 3- 17 (QH-29)
当事者職種経験
当事者職種経験
医師
歯科医師
看護師
准看護師
薬剤師
臨床工学
技士
助産師
看護助手
診療放射線 臨床検査
技師
技師
0年
91
2
816
4
33
7
15
11
19
14
1年
19
2
944
6
20
4
13
12
1
2
2年
12
1
669
4
11
4
15
4
3
4
3年
19
0
497
7
9
5
12
1
2
2
4年
15
0
421
1
17
1
14
0
5
7
5年
13
0
317
0
11
1
2
1
5
7
6年
12
0
310
0
13
4
3
2
5
2
7年
6
0
250
1
10
3
2
0
5
2
8年
16
0
221
0
12
1
4
0
1
5
9年
8
0
220
4
12
3
3
0
1
2
10 年
8
0
215
1
18
2
5
1
2
3
11 年
10
0
157
0
7
2
1
0
1
2
12 年
3
0
150
5
2
0
1
1
2
4
13 年
10
0
116
0
2
0
1
0
2
5
14 年
3
0
128
3
4
0
3
0
3
0
15 年
10
0
133
4
11
1
1
0
3
2
16 年
3
1
78
0
1
1
1
0
1
0
17 年
1
0
96
1
7
3
1
0
4
5
18 年
8
2
64
3
5
2
2
1
1
1
19 年
4
0
59
2
6
1
1
0
4
1
20 年
5
0
72
4
6
0
0
4
2
2
21 年
2
0
40
1
12
1
0
0
3
2
22 年
4
0
41
2
5
0
0
0
4
1
23 年
2
0
46
1
5
0
2
0
0
0
24 年
3
0
54
3
9
1
3
0
4
1
25 年
9
0
59
5
7
1
0
0
6
4
26 年
2
0
24
0
7
0
0
0
1
0
27 年
0
0
25
2
9
0
1
0
3
8
28 年
1
0
25
0
2
0
0
0
0
2
29 年
1
0
21
0
1
0
2
0
1
2
30 年
0
0
58
12
7
0
2
0
1
4
31 年
0
0
11
0
0
0
0
0
2
2
32 年
1
0
18
0
4
0
0
0
1
1
33 年
0
0
23
2
2
2
0
0
3
2
34 年
1
0
12
0
1
0
0
0
0
2
35 年
2
0
9
3
3
0
0
0
0
1
36 年
0
0
8
4
3
0
0
0
0
1
37 年
0
0
12
2
2
0
0
0
0
0
38 年
0
0
9
1
0
0
0
0
0
0
39 年
0
0
1
0
0
0
0
0
0
1
40 年超
1
1
2
0
1
0
0
0
0
0
合 計
305
9
6,431
88
297
50
110
38
101
106
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
- 86 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
管理栄養士
栄養士
調理師・ 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 衛生検査
歯科衛生士 歯科技工士
調理従事者 (PT)
(OT)
(ST)
技師
その他
合 計
1
8
4
13
3
2
1
0
0
219
1,263
0
4
1
14
0
2
0
0
0
15
1,059
0
1
1
8
1
1
0
0
0
15
754
0
10
1
5
2
0
0
0
0
16
588
0
9
3
3
1
0
0
0
0
4
501
0
3
2
4
0
0
0
0
0
11
377
0
0
0
2
0
0
0
0
0
3
356
0
4
1
1
0
0
0
0
0
1
286
2
0
1
1
0
0
0
0
0
4
268
0
2
1
1
0
0
0
0
0
5
262
1
2
9
0
0
0
0
0
0
4
271
0
0
0
2
0
0
0
0
0
2
184
0
3
2
0
3
0
0
0
0
6
182
0
0
1
1
0
1
0
0
0
4
143
0
5
3
0
0
0
0
0
0
0
152
0
1
6
0
0
0
0
0
0
1
173
0
0
0
2
0
0
0
0
0
1
89
3
0
0
1
0
0
0
0
0
0
122
3
0
7
1
0
0
0
0
0
0
100
1
0
0
0
0
0
0
0
0
1
80
0
6
4
2
0
0
0
0
0
0
107
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
63
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
58
0
1
1
0
0
0
0
0
0
0
58
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
79
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
93
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
34
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
48
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
30
0
0
1
2
0
0
0
0
0
0
31
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
85
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
16
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
25
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
36
0
1
1
0
0
0
0
0
0
0
18
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
19
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
18
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
16
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
11
63
55
64
12
6
1
0
0
315
8,062
- 87 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 3- 18 (QH-30)
当事者部署配属期間
歯科医師
看護師
准看護師
薬剤師
臨床工学
技士
助産師
看護助手
診療放射線 臨床検査
技師
技師
当事者部署配属期間
医師
0年
132
2
1,536
10
42
10
34
11
22
24
1年
56
2
1,505
17
33
7
15
18
4
12
2年
24
1
1,056
9
31
5
19
2
10
9
3年
13
0
723
10
13
6
10
4
5
4
4年
10
1
499
7
25
1
13
0
4
10
5年
14
1
371
4
7
1
4
0
7
5
6年
7
0
202
3
15
4
3
1
4
6
7年
4
0
151
6
12
3
1
0
1
3
8年
7
0
99
0
13
0
0
0
1
3
9年
3
0
91
6
7
1
2
0
1
1
10 年
10
0
51
6
11
2
4
0
3
5
11 年
3
0
35
0
4
2
0
0
1
3
12 年
5
0
21
1
2
0
2
1
1
1
13 年
6
1
27
0
0
0
0
0
2
3
14 年
3
0
11
0
5
0
0
0
3
1
15 年
1
0
15
2
4
3
0
0
3
1
16 年
2
0
6
2
1
0
0
0
0
1
17 年
0
0
7
2
3
0
2
0
1
1
18 年
0
0
5
0
6
1
0
0
1
1
19 年
0
0
4
0
5
0
0
0
1
1
20 年
2
0
3
1
4
2
0
1
2
1
21 年
1
0
1
0
9
0
0
0
3
0
22 年
0
0
2
0
5
0
0
0
3
0
23 年
0
0
1
0
8
0
0
0
0
0
24 年
1
0
0
0
9
0
0
0
3
0
25 年
1
0
2
0
4
0
0
0
3
2
26 年
0
0
0
0
4
0
1
0
1
0
27 年
0
0
1
0
4
0
0
0
3
2
28 年
0
0
1
0
2
0
0
0
0
2
29 年
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
30 年
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
31 年
0
0
1
0
0
0
0
0
2
1
32 年
0
0
0
0
3
0
0
0
2
0
33 年
0
0
0
0
2
2
0
0
3
0
34 年
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
35 年
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
36 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
37 年
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
38 年
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
39 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
40 年超
0
0
2
2
0
0
0
0
0
0
合 計
305
9
6,431
88
297
50
110
38
101
106
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
- 88 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
管理栄養士
栄養士
調理師・ 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 衛生検査
歯科衛生士 歯科技工士
調理従事者 (PT)
(OT)
(ST)
技師
その他
合 計
2
13
3
20
5
2
1
0
0
225
2,094
1
11
2
14
2
3
0
0
0
13
1,715
0
10
2
9
1
0
0
0
0
21
1,209
0
13
2
1
1
0
0
0
0
18
823
0
1
3
1
1
0
0
0
0
7
583
0
3
2
4
0
0
0
0
0
8
431
0
0
0
2
0
0
0
0
0
8
255
0
3
3
2
0
0
0
0
0
1
190
4
0
2
1
0
0
0
0
0
2
132
0
2
0
0
0
1
0
0
0
4
119
1
4
9
0
0
0
0
0
0
3
109
0
1
0
2
0
0
0
0
0
0
51
0
0
1
0
1
0
0
0
0
1
37
1
0
0
1
0
0
0
0
0
0
41
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
26
0
0
6
0
0
0
0
0
0
1
36
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
13
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
17
0
0
7
1
0
0
0
0
0
0
22
2
0
0
1
0
0
0
0
0
1
15
0
1
4
1
0
0
0
0
0
0
22
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
16
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
11
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
10
0
1
0
0
0
0
0
0
0
1
15
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
13
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
10
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
0
0
1
2
0
0
0
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
8
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
11
63
55
64
12
6
1
0
0
315
8,062
- 89 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 3- 19 (QH-31)
事例の概要
事例の概要
薬剤
2013 年4月∼6月
%
件数
%
2,594
37.2
6,006
40.1
39
0.6
92
0.6
252
3.6
525
3.5
輸血
治療・処置
医療機器等
ドレーン・チューブ
199
2.9
392
2.6
1,057
15.1
2,258
15.1
539
7.7
1,102
7.4
1,436
20.6
2,790
18.6
検査
療養上の世話
その他
合 計
2013 年1月∼6月(累計)
件数
865
12.4
1,823
12.2
6,981
100.0
14,988
100.0
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
図表Ⅱ - 3- 20 (QH-33)
影響度
影響度
死亡もしくは重篤な状況に
至ったと考えられる
濃厚な処置・治療が必要
であると考えられる
軽 微 な 処 置・ 治 療 が 必 要
もしくは処置・治療が不要
と考えられる
合 計
2013 年4月∼6月
件数
2013 年1月∼6月(累計)
%
件数
%
27
0.8
70
1.0
105
3.1
236
3.5
3,309
96.2
6,507
95.5
3,441
100.0
6,813
100.0
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
- 90 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 3- 21 (QH-36)
発生要因
2013 年4月∼6月
発生要因
件数
%
10,383
4,362
1,773
197
199
1,269
910
1,673
3,871
598
425
1,473
90
644
641
1,560
194
229
130
107
127
582
191
2,166
575
118
232
1,241
17,980
当事者の行動に関わる要因
確認を怠った
観察を怠った
報告が遅れた(怠った)
記録などに不備があった
連携ができていなかった
患者への説明が不十分であった(怠った)
判断を誤った
ヒューマンファクター
知識が不足していた
技術・手技が未熟だった
勤務状況が繁忙だった
通常とは異なる身体的条件下にあった
通常とは異なる心理的条件下にあった
その他
環境・設備機器
コンピュータシステム
医薬品
医療機器
施設・設備
諸物品
患者側
その他
その他
教育・訓練
仕組み
ルールの不備
その他
合 計
57.9
24.3
9.9
1.1
1.1
7.1
5.1
9.3
21.6
3.3
2.4
8.2
0.5
3.6
3.6
8.7
1.1
1.3
0.7
0.6
0.7
3.2
1.1
12.1
3.2
0.7
1.3
6.9
100.0
2013 年1月∼6月(累計)
件数
%
21,990
9,498
3,589
421
393
2,775
1,922
3,392
8,861
1,305
880
3,454
188
1,424
1,610
3,402
430
634
300
236
213
1,156
433
4,842
1,345
247
498
2,752
39,095
56.3
24.3
9.2
1.1
1.0
7.1
4.9
8.7
22.6
3.3
2.3
8.8
0.5
3.6
4.1
8.7
1.1
1.6
0.8
0.6
0.5
3.0
1.1
12.3
3.4
0.6
1.3
7.0
100.0
※「発生要因」は複数回答が可能である。
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
表Ⅱ - 3- 22 (QH-61)
事例の概要×影響度
事例の概要×影響度
軽微な処置・治療が必要
死亡もしくは重篤な状況 濃厚な処置・治療が必要
も し く は 処 置・ 治 療 が
に至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
合 計
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月 (累計) 4月∼6月 (累計) 4月∼6月 (累計) 4月∼6月 (累計)
薬剤
5
19
30
88
1,139
2,363
1,174
輸血
1
3
1
8
22
38
24
49
治療・処置
1
4
10
17
112
215
123
236
医療機器等
2
6
8
15
78
133
88
154
ドレーン・チューブ
3
7
23
35
447
850
473
892
検査
7
14
6
17
338
650
351
681
療養上の世話
5
12
17
41
850
1,581
872
1,634
その他
3
5
10
15
323
677
336
697
27
70
105
236
3,309
6,507
3,441
6,813
合 計
- 91 -
2,470
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 3- 23 (QH-64)
発生場面×影響度
発生場面×影響度
薬剤に関する項目
手書きによる処方箋の作成
オーダリングによる処方箋の作成
口頭による処方指示
手書きによる処方の変更
オーダリングによる処方の変更
口頭による処方の変更
その他の処方に関する場面
内服薬調剤
注射薬調剤
血液製剤調剤
外用薬調剤
その他の調剤に関する場面
内服薬製剤管理
注射薬製剤管理
血液製剤管理
外用薬製剤管理
その他の製剤管理に関する場面
与薬準備
皮下・筋肉注射
静脈注射
動脈注射
末梢静脈点滴
中心静脈注射
内服
外用
坐剤
吸入
点鼻・点耳・点眼
その他与薬に関する場面
輸血に関する項目
手書きによる処方箋の作成
オーダリングによる処方箋の作成
口頭による処方指示
手書きによる処方の変更
オーダリングによる処方の変更
口頭による処方の変更
その他の処方に関する場面
準備
実施
その他の輸血検査に関する場面
準備
実施
その他の放射線照射に関する場面
製剤の交付
その他の輸血準備に関する場面
実施
その他の輸血実施に関する場面
治療・処置に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
その他の管理に関する場面
準備
その他の準備に関する場面
実施
その他の治療・処置に関する場面
軽 微 な 処 置・ 治 療 が
死亡もしくは重篤な状況 濃厚な処置・治療が必要
必要もしくは処置・治療
合 計
に至ったと考えられる
であると考えられる
が不要と考えられる
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
1,174
2,470
0
0
0
0
4
9
4
9
0
0
1
10
25
61
26
71
0
0
0
0
1
2
1
2
0
0
0
0
4
5
4
5
0
0
0
0
5
14
5
14
0
0
0
0
1
7
1
7
0
2
1
3
18
40
19
45
2
5
1
6
56
139
59
150
3
3
4
6
53
110
60
119
0
0
1
1
1
3
2
4
0
0
0
0
7
15
7
15
0
1
0
2
7
24
7
27
0
0
0
0
6
10
6
10
0
0
1
3
7
11
8
14
0
0
0
0
0
3
0
3
0
0
0
0
1
2
1
2
0
0
0
0
7
12
7
12
0
2
4
17
146
307
150
326
0
0
1
4
55
118
56
122
0
0
6
10
69
160
75
170
0
0
1
1
1
6
2
7
0
1
4
11
145
252
149
264
0
0
1
4
36
70
37
74
0
4
3
6
412
832
415
842
0
0
0
1
18
43
18
44
0
0
0
0
7
12
7
12
0
0
0
0
8
14
8
14
0
0
0
0
10
17
10
17
0
1
1
3
29
65
30
69
24
49
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
1
1
2
2
1
1
0
1
1
1
2
3
0
0
0
1
0
2
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
1
1
0
0
0
1
1
2
1
3
0
1
0
1
6
11
6
13
0
0
0
3
6
10
6
13
0
0
0
0
6
10
6
10
123
236
0
1
0
1
2
4
2
6
0
0
1
1
2
6
3
7
0
0
0
0
2
4
2
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
3
12
30
14
34
1
1
0
1
7
13
8
15
0
0
1
1
2
5
3
6
0
1
0
1
16
22
16
24
0
0
0
0
3
12
3
12
0
0
6
7
51
96
57
103
0
0
0
2
15
22
15
24
- 92 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
発生場面×影響度
医療機器等・医療材料の使用・管理に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
準備
使用中
ドレーン・チューブ類の使用・管理に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
準備
使用中
検査に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
準備
実施中
療養上の世話に関する項目
手書きによる計画又は指示の作成
オーダリングによる計画又は指示の作成
口頭による計画又は指示
手書きによる計画又は指示の変更
オーダリングによる計画又は指示の変更
口頭による計画又は指示の変更
その他の計画又は指示に関する場面
管理
準備
実施中
その他
合計
軽 微 な 処 置・ 治 療 が
死亡もしくは重篤な状況 濃厚な処置・治療が必要
必要もしくは処置・治療
合 計
に至ったと考えられる
であると考えられる
が不要と考えられる
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
88
154
0
0
1
1
0
0
1
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
10
20
10
20
1
2
2
5
20
35
23
42
0
0
2
3
20
28
22
31
1
4
3
6
28
48
32
58
473
892
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
3
9
10
87
181
97
194
0
2
2
3
80
132
82
137
0
0
0
0
3
4
3
4
2
2
12
22
277
533
291
557
351
681
0
0
0
0
2
3
2
3
0
0
1
2
9
17
10
19
0
0
0
0
3
4
3
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
2
0
0
0
0
0
1
0
1
2
2
2
9
41
102
45
113
0
0
0
0
33
52
33
52
1
5
0
3
58
129
59
137
4
7
3
3
192
340
199
350
1,208
2,331
0
0
0
0
6
11
6
11
0
0
0
0
3
3
3
3
0
0
0
0
5
6
5
6
0
0
0
0
2
2
2
2
0
0
0
0
1
5
1
5
0
0
0
0
2
2
2
2
1
2
2
8
137
316
140
326
2
4
3
5
221
391
226
400
0
0
3
3
43
73
46
76
2
6
9
25
430
772
441
803
3
5
10
15
323
677
336
697
27
70
105
236
3,309
6,507
3,441
6,813
- 93 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 3- 24 (QH-65)
事例の内容 × 影響度
事例の内容×影響度
死亡もしくは重篤な状況に 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もし くは 処 置・ 治 療 が
至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
薬剤に関する項目
処方忘れ
処方遅延
処方量間違い
重複処方
禁忌薬剤の処方
対象患者処方間違い
処方薬剤間違い
処方単位間違い
投与方法処方間違い
その他の処方に関する内容
調剤忘れ
処方箋・注射箋鑑査間違い
秤量間違い調剤
数量間違い
分包間違い
規格間違い調剤
単位間違い調剤
薬剤取り違え調剤
説明文書の取り違え
交付患者間違い
薬剤・製剤の取り違え交付
期限切れ製剤の交付
その他の調剤に関する内容
薬袋・ボトルの記載間違い
異物混入
細菌汚染
期限切れ製剤
その他の製剤管理に関する内容
過剰与薬準備
過少与薬準備
与薬時間・日付間違い
重複与薬
禁忌薬剤の与薬
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
混合間違い
その他の与薬準備に関する内容
過剰投与
過少投与
投与時間・日付間違い
重複投与
禁忌薬剤の投与
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の与薬に関する内容
合 計
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
1
0
1
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0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
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0
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0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
2
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0
0
0
0
0
0
1
0
3
0
1
0
1
0
0
0
0
2
1
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
1
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
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0
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1
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0
1
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0
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0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
4
2
0
0
2
2
1
0
0
0
0
1
2
- 94 -
3
0
3
3
1
0
2
0
3
1
1
3
1
1
1
0
0
3
0
1
1
0
1
1
0
0
0
2
3
0
0
0
0
0
0
2
2
2
0
5
3
3
8
2
1
1
3
2
1
0
1
1
4
6
6
68
2
9
5
0
5
8
6
4
16
7
14
5
20
2
14
3
28
0
2
3
0
25
3
0
0
0
17
13
9
15
5
0
3
0
3
12
6
3
30
6
67
88
61
70
26
3
49
16
24
23
8
21
224
88
150
4
22
8
3
9
11
7
11
48
18
20
6
42
10
40
4
65
0
4
10
0
60
5
0
0
0
38
21
22
32
6
1
5
0
12
24
15
4
55
12
139
197
134
148
44
11
96
31
48
43
11
35
454
168
1,174
2,470
71
2
10
5
0
5
8
6
4
17
7
15
5
21
3
15
3
32
0
3
4
0
27
3
0
0
0
17
15
9
15
5
0
3
0
3
14
6
3
30
6
67
92
63
70
26
5
51
17
24
23
8
21
225
90
154
4
25
13
4
9
13
7
14
49
19
24
7
46
11
41
4
69
0
5
11
0
63
7
0
0
0
40
25
23
32
6
1
5
0
14
26
17
4
60
15
142
205
137
149
45
14
98
32
48
44
12
39
460
178
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
事例の内容×影響度
死亡もしくは重篤な状況に 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もし くは 処 置・ 治 療 が
至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
輸血に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
指示量間違い
重複指示
禁忌薬剤の指示
対象患者指示間違い
指示薬剤間違い
指示単位間違い
投与方法指示間違い
その他の指示出しに関する内容
未実施
検体取り違え
判定間違い
結果記入・入力間違い
その他の輸血検査に関する内容
未実施
過剰照射
過少照射
患者間違い
製剤間違い
その他の放射線照射に関する内容
薬袋・ボトルの記載間違い
異物混入
細菌汚染
期限切れ製剤
その他の輸血管理に関する内容
過剰与薬準備
過少与薬準備
与薬時間・日付間違い
重複与薬
禁忌薬剤の与薬
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の輸血準備に関する内容
過剰投与
過少投与
投与時間・日付間違い
重複投与
禁忌薬剤の投与
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の輸血実施に関する内容
合 計
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
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0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
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0
0
0
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0
0
0
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0
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0
0
0
0
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0
2
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0
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0
0
0
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0
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0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
- 95 -
0
0
0
0
0
0
0
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0
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2
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1
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1
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1
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0
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0
0
0
12
24
49
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0
0
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0
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1
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1
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2
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2
2
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1
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4
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0
0
0
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2
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0
0
12
0
1
0
0
0
1
1
1
0
0
0
0
15
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
事例の内容×影響度
治療・処置に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
治療・処置指示間違い
日程間違い
時間間違い
その他の治療・処置の指示に関する内容
治療・処置の管理
その他の治療・処置の管理に関する内容
医療材料取り違え
患者体位の誤り
消毒・清潔操作の誤り
その他の治療・処置の準備に関する内容
患者間違い
部位取違え
方法(手技)の誤り
未実施・忘れ
中止・延期
日程・時間の誤り
順番の誤り
不必要行為の実施
誤嚥
誤飲
異物の体内残存
診察・治療・処置等その他の取違え
その他の治療・処置の実施に関する内容
医療機器等・医療材料の使用・管理に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
使用方法指示間違い
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
死亡もしくは重篤な状況に 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もし くは 処 置・ 治 療 が
至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
合 計
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
123
236
0
0
0
0
2
3
2
3
0
0
0
0
1
1
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2
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1
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1
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9
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6
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1
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2
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1
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14
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0
4
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0
3
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6
12
9
15
1
1
1
1
12
22
14
24
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0
2
2
5
2
7
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0
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3
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3
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3
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0
3
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51
85
54
90
88
154
0
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0
1
1
0
0
1
1
0
0
0
0
1
2
1
2
その他の医療機器等・医療材料の
使用に関する内容
0
0
0
0
2
10
2
10
保守・点検不良
保守・点検忘れ
使用中の点検・管理ミス
破損
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
2
0
1
0
3
1
5
3
7
0
5
3
19
2
5
3
10
0
6
3
23
3
その他の医療機器等・医療材料の
管理に関する内容
0
1
0
0
8
10
8
11
組み立て
設定条件間違い
設定忘れ
電源入れ忘れ
警報設定忘れ
警報設定範囲間違い
便宜上の警報解除後の再設定忘れ
消毒・清潔操作の誤り
使用前の点検・管理ミス
破損
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
1
0
0
2
0
0
0
0
0
1
2
0
1
5
4
1
0
0
0
0
5
1
2
7
4
1
0
0
0
0
7
2
1
7
4
1
0
0
0
0
6
1
2
9
4
1
0
0
0
1
9
2
その他の医療機器等・医療材料の
準備に関する内容
0
0
0
0
2
6
2
6
医療機器等・医療材料の不適切使用
誤作動
故障
破損
1
0
0
0
1
1
0
0
0
0
1
0
1
0
1
1
9
1
3
6
14
2
7
8
10
1
4
6
16
3
8
9
その他の医療機器等・医療材料の
使用に関する内容
0
2
1
1
14
22
15
25
- 96 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
事例の内容×影響度
死亡もしくは重篤な状況に 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もし くは 処 置・ 治 療 が
至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
合 計
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
ドレーン・チューブ類の使用・管理に関する項目
473
892
指示出し忘れ
0
0
0
0
0
0
0
0
指示遅延
0
0
0
0
0
0
0
0
対象患者指示間違い
0
0
0
0
0
0
0
0
使用方法指示間違い
0
2
0
0
1
1
1
3
その他のドレーン・チューブ類の
使用・管理の指示に関する内容
0
0
0
0
1
2
1
2
点検忘れ
点検不良
使用中の点検・管理ミス
破損
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
0
1
2
16
3
2
3
32
8
1
2
17
3
2
3
33
8
その他のドレーン・チューブ類の
管理に関する内容
1
2
3
4
57
92
61
98
組み立て
設定条件間違い
設定忘れ
消毒・清潔操作の誤り
使用前の点検・管理ミス
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
1
0
0
0
1
0
0
0
0
1
1
0
0
0
その他のドレーン・チューブ類の
準備に関する内容
0
0
0
0
2
3
2
3
点滴漏れ
自己抜去
自然抜去
接続はずれ
未接続
閉塞
切断・破損
接続間違い
三方活栓操作間違い
ルートクランプエラー
空気混入
誤作動
故障
ドレーン・チューブ類の不適切使用
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
11
2
0
0
1
2
0
0
1
0
0
0
0
5
16
4
0
0
2
2
0
0
1
0
0
0
0
13
243
24
24
3
13
16
2
3
1
0
0
0
3
27
463
51
44
5
29
33
4
8
4
0
0
1
5
15
254
26
25
3
14
18
2
3
2
0
0
0
3
32
479
55
45
5
31
35
4
8
5
0
0
1
5
その他のドレーン・チューブ類の
使用に関する内容
1
2
0
0
18
31
19
33
3
4
8
9
33
3
0
0
6
40
13
4
5
10
4
84
37
15
1
10
20
37
3
0
8
25
268
351
1
1
5
5
17
0
0
0
4
22
4
1
3
6
3
41
22
6
1
4
12
24
1
0
7
18
143
681
3
4
8
9
39
3
0
0
6
41
14
4
5
10
4
91
39
15
1
10
20
40
3
0
11
29
272
検査に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
指示検査の間違い
その他の検査の指示に関する内容
分析機器・器具管理
試薬管理
データ紛失
計算・入力・暗記
その他の検査の管理に関する内容
患者取違え
検体取違え
検体紛失
検査機器・器具の準備
検体破損
その他の検査の準備に関する内容
患者取違え
検体取違え
試薬の間違い
検体紛失
検査の手技・判定技術の間違い
検体採取時のミス
検体破損
検体のコンタミネーション
データ取違え
結果報告
その他の検査の実施に関する内容
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
2
0
0
0
0
0
0
0
1
3
1
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
1
1
- 97 -
0
0
0
0
4
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
3
0
0
2
1
3
1
1
5
5
13
0
0
0
4
22
4
1
3
6
3
40
20
6
1
4
12
24
1
0
4
17
141
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
事例の内容×影響度
療養上の世話に関する項目
計画忘れ又は指示出し忘れ
計画又は指示の遅延
計画又は指示の対象患者間違い
計画又は指示内容間違い
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
死亡もしくは重篤な状況に 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もし くは 処 置・ 治 療 が
至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
合 計
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
2013 年
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
1月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
4月∼6月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
1,208
2,331
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
1
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
その他の療養上の世話の計画又は
指示に関する内容
0
0
1
1
拘束・抑制
0
0
0
0
0
4
0
4
給食の内容の間違い
0
0
0
1
17
34
17
35
安静指示
禁食指示
外出・外泊許可
異物混入
転倒
転落
衝突
誤嚥
誤飲
誤配膳
遅延
実施忘れ
搬送先間違い
患者間違い
延食忘れ
中止の忘れ
自己管理薬飲み忘れ・注射忘れ
自己管理薬注入忘れ
自己管理薬取違え摂取
不必要行為の実施
0
0
0
0
2
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
1
0
3
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
9
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
25
5
1
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
8
6
16
7
498
163
2
0
1
13
1
11
0
3
1
1
8
0
1
7
17
13
27
11
919
285
11
0
1
25
1
29
0
8
7
4
10
0
1
12
8
6
16
7
509
164
2
2
1
13
1
12
0
3
1
1
8
0
1
7
17
13
27
11
947
291
12
3
2
26
1
30
0
8
7
4
10
0
1
12
その他の療養上の世話の管理・準備・
実施に関する内容
1
4
5
6
76
143
82
153
3
27
5
70
10
105
15
236
323
3,309
677
6,507
336
3,441
697
6,813
その他
合計
- 98 -
9
17
10
18
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
Ⅱ
- 99 -
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅱ - 3- 25 (QH-67)
発生要因×事例の概要
薬剤
輸血
治療・処置
2013 年
1月∼6月
(累計)
医療機器等
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月
(累計)
確認を怠った
2,208
5,119
28
72
148
313
149
288
観察を怠った
369
818
9
12
45
86
43
92
報告が遅れた(怠った)
82
175
5
5
13
27
5
11
記録などに不備があった
105
236
2
2
13
25
3
5
連携ができていなかった
566
1,275
10
21
68
126
19
48
患者への説明が不十分で
あった(怠った)
198
432
0
3
11
20
2
10
判断を誤った
423
888
6
14
58
111
27
57
知識が不足していた
295
694
5
15
40
80
33
65
技術・手技が未熟だった
195
434
1
6
31
65
29
41
勤務状況が繁忙だった
688
1,651
11
26
38
71
35
77
発生要因×事例の概要
2013 年
4月∼6月
2013 年
4月∼6月
2013 年
4月∼6月
当事者の行動に関わる要因
ヒューマンファクター
通常とは異なる身体的
条件下にあった
通常とは異なる心理的
条件下にあった
41
91
0
1
3
5
3
6
322
720
6
16
19
42
16
37
その他
269
746
4
6
27
60
30
59
90
223
1
1
5
11
4
12
194
550
0
3
7
15
0
2
医療機器
15
46
0
2
7
28
60
115
施設・設備
28
55
0
2
0
1
2
13
諸物品
18
40
0
0
4
8
10
19
患者側
69
186
0
3
9
21
1
5
その他
81
197
2
5
3
6
7
15
283
701
4
11
21
54
27
53
65
138
0
2
7
12
8
16
ルールの不備
136
285
1
3
14
33
14
27
その他
306
692
8
14
32
85
21
50
7,046
16,392
103
245
623
1,305
548
1,123
環境・設備機器
コンピュータシステム
医薬品
その他
教育・訓練
仕組み
合計
※「発生要因」は複数回答が可能である。
- 100 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
ドレーン・チューブ
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月
(累計)
検査
2013 年
4月∼6月
療養上の世話
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月
(累計)
その他
2013 年
4月∼6月
合計
2013 年
1月∼6月
(累計)
2013 年
4月∼6月
2013 年
1月∼6月
(累計)
10,383
21,990
432
929
402
817
505
936
490
1,024
4,362
9,498
538
1,103
30
70
560
1,071
179
337
1,773
3,589
18
29
26
56
20
48
28
70
197
421
5
11
15
34
13
19
43
61
199
393
163
343
98
216
193
401
152
345
1,269
2,775
157
336
26
56
430
843
86
222
910
1,922
410
873
72
130
539
1,032
138
287
1,673
3,392
3,871
8,861
58
123
63
128
53
99
51
101
598
1,305
61
126
38
70
40
76
30
62
425
880
227
504
80
193
234
552
160
380
1,473
3,454
11
20
12
21
10
30
10
14
90
188
77
168
49
107
61
119
94
215
644
1,424
100
212
49
110
97
226
65
191
641
1,610
1,560
3,402
8
11
32
68
9
24
45
80
194
430
11
27
1
6
11
20
5
11
229
634
20
46
8
20
4
10
16
33
130
300
19
36
1
7
51
105
6
17
107
236
28
44
3
10
55
75
9
17
127
213
136
261
11
22
315
600
41
58
582
1,156
15
32
9
24
44
78
30
76
191
433
2,166
4,842
49
119
57
109
82
182
52
116
575
1,345
5
12
14
26
10
22
9
19
118
247
13
28
24
49
18
45
12
28
232
498
142
318
57
124
137
295
538
1,174
1,241
2,752
2,703
5,711
1,177
2,473
3,491
6,908
2,289
4,938
17,980
39,095
- 101 -
Ⅱ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
1 概況
【1】分析対象とするテーマの選定状況
本事業においては、収集された情報を元に、医療事故防止に資する情報提供を行う為に、分析作業
を行っている。分析にあたっては、分析対象とするテーマを設定し、そのテーマに関連する事例をま
とめて分析、検討を行っている。テーマの選定にあたっては、①一般性・普遍性、②発生頻度、③患
者への影響度、④防止可能性、⑤教訓性といった観点から、専門家の意見を踏まえ選定している。
なお、分析を行う際に、医療事故情報とヒヤリ・ハット事例を総合的に検討するため、ヒヤリ・ハッ
ト事例収集・分析・提供事業における事例情報のテーマは、分析対象とするテーマから選択すること
としている。また、報告書にて分析結果を公表するテーマは該当する報告書対象期間内のヒヤリ・ハッ
ト事例収集・分析・提供事業における事例情報で、網羅的な情報収集を行ったテーマとする。
但し、本報告書対象期間内に収集した事例情報のうち、同期間内のヒヤリ・ハット事例収集・分析・
提供事業における事例情報のテーマとなっていないものについても、上記の5つの観点から分析を実
施し、情報提供を行うことが望ましいと判断した内容については、分析対象とするテーマとして選定
し分析・情報提供を実施することとしている。
本報告書において公表される分析テーマについて図表Ⅲ - 1- 1に示す。
図表Ⅲ - 1- 1 本報告書に掲載した分析テーマ
医療事故情報とヒヤリ・ハット
事例を総合的に検討したテーマ
○血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連
した医療事故
○血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での
観血的医療行為に関連した医療事故
本報告書対象期間内に収集した
事例情報から選定したテーマ
○リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例
○胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例
【2】分析対象とする情報
本事業で収集した本報告書対象期間内の医療事故情報及びヒヤリ・ハット事例のうち、対象とする
テーマに関連する情報を有している事例情報を抽出し、分析対象とした。
その後、分析の必要性に応じて、本報告書対象期間外の過去の事例についても、抽出期間を設定し
た上で、同様の抽出を行い、分析対象とした。
- 102 -
1 概況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
【3】分析体制
医療安全に関わる医療専門職、安全管理の専門家などで構成される専門分析班において月1回程度
の頻度で事例情報を参照し、本事業で収集された事例情報の全体の概要の把握を行っている。その上
で、新たな分析テーマに関する意見交換や、すでに分析対象となっているテーマについての分析の方
向性の検討、助言などを行っている。
その上で、事例の集積の程度や専門性に応じて設置が必要と判断されたテーマについては、テーマ
別専門分析班を設置し、分析を行っている。テーマ別専門分析班の開催頻度は報告書での公表のタイ
ミングや事例の集積の程度に応じて全体で月1∼2回程度としている。
また、テーマによってはテーマ別専門分析班を設置せず、専門分析班の助言を得ながら当事業部の
客員研究員や事務局員が分析を行っている。
最終的に専門分析班、テーマ別専門分析班の意見を踏まえ、当事業部で分析結果をとりまとめ、総
合評価部会の審議を経て分析結果の公表を行っている。
Ⅲ
【4】追加調査
専門分析班において、医療機関から報告された事例の記述内容を分析するうえで、さらに詳細な事
実関係を把握する必要があると判断される事例に関しては、医療機関へ文書などによる問い合わせや、
現地確認調査を行っている。追加調査の内容は、医療安全対策を検討するために活用している。医療
機関への現地確認調査は、平成25年4月1日から同年6月30日までに3件実施した。
概況
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
- 103 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
2 個別のテーマの検討状況
【1】血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に
関連した医療事故
血液浄化療法は、血液を体外で循環させ、血液中の病因や関連した物質について、半透膜を介して
拡散、濾過したり、あるいは材料表面へ吸着することによって除去する治療法である。血液浄化療法
の種類には一般的に、腎不全患者に対し尿毒症物質と水分を除去し、必要な場合は電解質を補正する
血液透析や血液透析濾過のほかに、神経疾患や自己免疫疾患などにおいて、病因に関連した物質を含
んだ血漿ごと(あるいは分画だけ)廃棄し、血漿と同量の新鮮凍結血漿やアルブミン液などの置換液
を補充する血漿交換がある。
我が国で行われている主な血液浄化療法の種類を図表Ⅲ - 2- 1に示す。
主な血液浄化療法の原理は、次のとおりである。
1) 血液透析は、半透膜を用いて濃度が異なる水溶液の間で生じる拡散現象を利用して老廃物等を
除去する方法である。低分子物質の除去性能に優れている。
血液濾過は、限外濾過圧を用いて濾過器から血液中の水分である濾液を除去する方法である。
2)
除去した濾液の代わりに体液と類似した成分からなる補充液を血液内に注入する。中∼大分子物
質の除去性能に優れている。
図表Ⅲ - 2- 1 主な血液浄化療法の種類
種類
血液透析
略語(英語表記)
HD(hemodialysis)
限外濾過
ECUM(extracorporeal ultrafiltration method)
血液濾過
HF(hemofiltration)
血液濾過
血液透析濾過
HDF(hemodiafiltration)
持続的血液透析
CHD(continuous hemodialysis)
持続的血液濾過
CHF(continuous hemofiltration)
持続的血液透析濾過
CHDF(continuous hemodiafiltration)
血液吸着
血漿交換
血漿吸着
血液吸着
HA(hemoadsorption)
直接血液吸着
DHP(direct hemoadsorption)
単純血漿交換
PE(plasma exchange)・PP(plasama pheresis)
二重濾過血漿交換
DFPP(double filtration plasama pheresis)
血漿吸着
PA(plasma adsorption)
- 104 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼ 6 月)
血液浄化療法の対象疾患は、急性腎不全、慢性腎不全はもとより除去対象となる物質の種類の増
加と選択可能な除去手段が増加したことにより、腎以外の臓器不全や多臓器不全、薬物中毒、さら
に自己免疫疾患と多岐にわたる。そのため関わる医療者も専門医や透析室スタッフのみならず、専
門以外の内科医や入院病棟スタッフなど多様になっている。
また、血液浄化療法の多くは、血液の浄化のみでなく、細胞外液や細胞内液にある老廃物を血液
に移動させて体液全体を浄化するため、老廃物が血液に移動するまでに時間を要す。その中で、透
析量、除水量の水分管理が必要であり、ひとりの担当医師だけではなく、医療者のチームで対応す
ることが一般的である。
日本透析医学会の「図説わが国の慢性透析療法の現況」1)によると平成24年末の慢性透析患者
数は約31万人であり、患者数が増加傾向にあることから、血液浄化療法を受ける患者数が増加し
ていることが推測できる。このように患者数が増加している血液浄化療法は、使用する血液回路、
ダイアライザなどの血液浄化器、透析用監視装置などの装置に関する医療事故やヒヤリ・ハット事
例は発生しうる点に留意が必要である。
Ⅲ
血液浄化療法の医療事故に関する全国規模の調査としては、平成12年度厚生科学特別研究事業
の「透析医療事故の実態調査と事故対策マニュアルの策定に関する研究」2)があり、同報告書では、
平成12年に発生した透析医療事故は21, 457件であり、100万透析あたり1,760回の発
生頻度であったとしている。調査の中でもっとも多かったのは抜針による出血などの事故であり、
2番目が穿刺針と回路接続部の離断、3番目が除水ミスであった。その後、平成14−16年度厚
生労働科学特別研究事業「血液透析施設におけるC型肝炎感染事故(含:透析事故)防止体制の確
立に関する研究」において、透析医療事故の重篤な事故についての調査を行い、最も多い医療事故
は患者の自己抜針を含めた穿刺針の抜針の事故であった。
した事例や、持続的血液透析濾過の際に誤って血漿交換用の血液浄化器を使用した事例などの報告
があり、今回テーマとして血液浄化療法を取りあげ、ヒヤリ・ハット事例や医療事故の分析を共有
することは有用であると考えた。
そこで本事業では、血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)が血液回路や装置を介
した血液体外循環をする仕組みであることに着目し、血液浄化療法の医療機器に関連した医療事故や
ヒヤリ・ハットを個別テーマとして取り上げ、事例を継続的に収集し、分析を進めている。
(1)血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した
医療事故の現状
平成25年1月から12月まで、ヒヤリ・ハット事例のテーマとして「血液浄化療法(血液透析、
血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した事例」を取り上げ、事例収集を行っている。
本報告書では、本報告書の分析対象期間(平成25年4月1日∼平成25年6月30日)に報告さ
れた5件の血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)
(以下血液浄化療法とする)の医
療機器に関連した医療事故事例を加えた94件について、特にバスキュラーアクセスに関する事例を
取り上げて分析を行った。
- 105 -
血液浄化療法︵血液透析、血液透析濾過、血漿交換等︶の
医療機器に関連した医療事故
さらに本事業の医療事故報告においても、血液浄化療法中に血液回路のカテーテルが外れて失血
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
①血液浄化療法の医療機器に関連した医療事故の分類
本報告書の分析で対象とする血液浄化療法を血液透析、血液濾過、血液透析濾過、持続的血液
透析、持続的血液濾過、持続的血液透析濾過、血漿交換・血液吸着・血漿吸着とした。本事業を
開始した平成16年10月から平成25年6月30日の間に報告された94件を図表Ⅲ - 2- 2に
示す。一般的に選択される血液透析が70件と最も多く、次に、多臓器不全や重症患者の血液浄化
の際に、全身状態改善や体液の恒常性の保持等の観点から緩徐な血液浄化療法として選択される持
続的血液透析濾過が16件と多かった。
図表Ⅲ - 2- 2 血液浄化療法に関連した医療事故の種類
種類
件数
血液透析
70
血液濾過
0
血液透析濾過
1
持続的血液透析
1
持続的血液濾過
0
持続的血液透析濾過
血漿交換
血液吸着
血漿吸着
合計
16
6
94
②発生状況
血液浄化療法は、
透析用監視装置などを使用し、
血液をバスキュラーアクセスから体外へ流出(脱血)
し、血液回路、血液浄化器等を経て体内に流入(返血)する仕組みであり、血液回路の接続部の緩
みや閉塞、装置の設定間違いなどの医療事故を引き起こす可能性がある。
本分析では報告された事例を体外循環の流れから「バスキュラーアクセス」、「血液回路」、「血液
浄化器等」
、「装置」に分類し、さらに「バスキュラーアクセス」は「穿刺時」
、「治療中」
、「抜去・
抜針時」として、事故の内容とともに図表Ⅲ - 2- 3に分類した。発生段階は、バスキュラーアク
セスが63件と最も多く、そのうち部位間違いが19件、意図しない抜針が15件、外套・ガイド
ワイヤーの残存が9件と多かった。血液回路は12件であり、接続部の緩み・はずれ、意図しない
回路の閉塞及び開放、血液回路からの血液漏れ及び空気の混入がそれぞれ4件であった。ダイアラ
イザやフィルターなどの血液浄化器等は3件であり、そのうち誤った使用が2件、機器の不具合が
1件であった。装置は、16件であり、そのうち設定及び操作の誤りが11件と多く、装置の不具
合が3件であった。
- 106 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼ 6 月)
図表Ⅲ - 2- 3 血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した
医療事故の発生状況
発生段階
事例の内容
血液透析 血液濾過
持続的 血漿交換
血液透析 持続的 持続的
血液透析 血液吸着
濾過 血液透析 血液濾過
濾過
血漿吸着
計
部位間違い
17
0
0
0
0
1
1
19
損傷・出血
5
0
0
0
0
2
1
8
外套・ガイドワイヤーの残存
8
0
0
0
0
0
1
9
その他
0
0
0
0
0
0
1
1
14
0
1
0
0
0
0
15
バスキュラーアクセスと回
路の接続はずれ
4
0
0
0
0
0
0
4
その他
0
0
0
0
0
0
0
0
カテーテル破損
6
0
0
0
0
0
0
6
その他
1
0
0
0
0
0
0
1
55
0
1
0
0
3
4
63
接続部の緩み・はずれ
4
0
0
0
0
0
0
4
誤った血液回路の使用
0
0
0
0
0
0
0
0
意図しない回路の閉塞及び開放
2
0
0
0
0
0
2
4
血液回路の不具合
0
0
0
0
0
0
0
0
血液回路からの血液漏れ及
び空気の混入
3
0
0
0
0
1
0
4
その他
0
0
0
0
0
0
0
0
小計
9
0
0
0
0
1
2
12
接続部の緩み・漏れ
0
0
0
0
0
0
0
0
誤った血液浄化器等の使用
0
0
0
0
0
2
0
2
血液浄化器等の血液漏れ
0
0
0
0
0
0
0
0
機器の不具合
1
0
0
0
0
0
0
1
その他
0
0
0
0
0
0
0
0
小計
1
0
0
0
0
2
0
3
設定及び操作の誤り
4
0
0
0
0
7
0
11
誤った管理・使用
0
0
0
1
0
0
0
1
保守・点検
0
0
0
0
0
0
0
0
装置の不具合
1
0
0
0
0
2
0
3
その他
0
0
0
0
0
1
0
1
小計
5
0
0
1
0
10
0
16
合計
70
0
1
1
0
16
6
94
穿刺時
バスキュラー
アクセス
意図しない抜針
治療中
抜去・抜針時
小計
血液回路
※
装置
※装置は透析装置・血液透析濾過装置・血漿分画装置・吸着装置などを示す
(2)「バスキュラーアクセス」に関する医療事故の概要
本分析では、血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事
故事例のうち、「バスキュラーアクセス」に関する事例を取り上げて分析した。
- 107 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
血液浄化療法︵血液透析、血液透析濾過、血漿交換等︶の
医療機器に関連した医療事故
血液浄化器等
(ダイアライザ・
フィルター等)
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
①発生状況
図表Ⅲ - 2- 3に示すように平成16年10月から平成25年6月30日の間に報告された血液
浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故事例のうち、
「バスキュラーアクセス」に関する事例は63件であった。
②医療事故の具体例の紹介
報告された「バスキュラーアクセス」に関する事例を、図表Ⅲ - 2- 3に示した発生段階と事例
の内容に分別し、複数の報告があった「部位間違い」「損傷・出血」「外套・ガイドワイヤーの残存」
「意図しない抜針」「バスキュラーアクセスと回路のはずれ」「カテーテル破損」について主な報告
事例の概要を図表Ⅲ - 2- 4に示す。
それらの事例について、テーマ別専門分析班及び総合評価部会で議論された内容を以下に示す。
数字は図表Ⅲ - 2- 4の事例番号を示す。
図表Ⅲ - 2- 4 バスキュラーアクセスの主な事例の概要
No.
事故の
程度
事故の内容
背景・要因
改善策
バスキュラーアクセス / 穿刺時 / 部位間違い
1
患者は、末期腎不全にて尿毒症が出現してい
る状況で入院した。慢性腎不全については右
大腿静脈へ血液透析用中心静脈カテーテルを
挿入し血液透析を導入とした。動脈縫合術後
の経過は良好であり、左前腕に内シャント造
設術を施行した。内シャントの血流は良好で
あった。末期腎不全に対する緊急透析の準備
のため、血液透析用中心静脈カテーテル挿入
術を超音波ガイド下により右内頸静脈に施行
した。この際、内頸静脈ではなく血液ガスの
障害残存
分析により、右内頸動脈に誤挿入されている
の可能性
ことが判明した。直ちに脳神経外科医師へ相
なし
談し、脳神経外科医師より手術で動脈吻合術
が必要であることを家族に説明された。翌日
中心静脈カテーテルの抜去および動脈吻合術
が施行された。手術中、右内頸動脈に挿入さ
れた中心静脈カテーテルが右鎖骨下動脈に挿
入されていることが分かったため、心臓血管
外科医師に応援を依頼し、中心静脈カテーテ
ルの抜去および血管吻合術が施行された。
- 108 -
手技的には腎臓内科で作成 ・中心静脈カテーテル挿入術
している通常のプロトコー を緊急に施行する場合は、
ル に 準 じ て 施 行 し て お り、 何らかの理由で大腿動脈が
また安全を期するため超音 使用できない等の理由がな
波ガイド下で行った。外套 い限り、大腿静脈への中心
からの逆血がなぜ弱かった 静 脈 カ テ ー テ ル 留 置 と す
の か は 原 因 不 明 で あ る が、 る。
超音波でガイドワイヤーが ・中心静脈カテーテル挿入術
静脈内にあることを確認し を施行する際は、できるだ
て手技を進めており、やむ け多くの上級医とともに手
を得なかったと考えている。 技を行う。
中心静脈カテーテル挿入術 ・中心静脈カテーテル挿入の
は、常に動脈を傷つけるリ 際には動脈への誤挿入の危
スクのある手技であり、患 険性があることを再度全員
者 本 人 に 前 も っ て 同 意 を で確認し、さらなる注意に
とって施行してた。またそ 努める。
の 後 の 対 応 も 行 っ て い る。
ただし、緊急時の中心静脈
カテーテル挿入術は可能な
限り大腿静脈に設置すべき
と考え、診療科内でも周知
徹底した。
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼ 6 月)
No.
事故の
程度
事故の内容
背景・要因
改善策
バスキュラーアクセス / 穿刺時 / 損傷・出血
2
血液透析施行開始時に左上腕の人工血管に対
して透析針の穿刺を上級医である当事者の指
導監視下で、研修医が施行したが、脱血側お
よび返血側ともに穿刺を失敗した。 そこで、
上級医である当事者に穿刺を交代し、脱血側
および返血側ともに穿刺施行し血管確保を得
た。ただし、研修医による脱血側の穿刺部位
に明らかな腫脹は認めなかったが、血管外漏
出予防のため同部位のベルト圧迫を透析中に
行った。血液透析開始し、透析中も全身状態
障害残存
に問題なく透析を終了したが、透析終了後の
の可能性
体重測定後に左上腕の人工血管周囲の腫脹を
なし
発見した。そこで、速やかに、穿刺部位を用
手的に圧迫し約20分間止血を行った。その
後、腫脹の拡大がないことを肉眼的に確認し
て、約30分間止血ベルトで圧迫止血を行っ
たが、ベルト圧迫解除後に人工血管のシャン
ト音を確認したところ、シャント音を聴取せ
ず人工血管の閉塞を認めた。人工血管に対し
て狭窄部位の PTA 施行および静脈流出部位
の閉塞に対してステントを留置し人工血管の
再開通が得られた。
臨床経過から、人工血管周 ・もともと人工血管の穿刺困
囲の腫脹部位より研修医に 難はあったが、穿刺技術の
よる脱血側穿刺時にグラフ 向上を上げることが必要で
ト損傷があったが、ベルト ある。
圧迫により透析中は血管外
漏出が軽微に留まっていた
が、透析終了後の用手的止
血が結果的に不十分であり
血腫拡大を誘発したと推測
している。
Ⅲ
バスキュラーアクセス / 穿刺時 / 外套・ガイドワイヤーの残存
カテーテルを留置した際に、・院内で事例を共有する。
ガイドワイヤーを抜くこと ・診 療 科 カ ン フ ァ レ ン ス で
を失念した。早く透析を開 報告する。
始 し た い と 焦 り が あ っ た。・処置後のエックス線写真は
処置後のエックス線写真を 担当医師が読影のポイント
注意深く読影しなかった。
を 明 確 に し て 記 録 す る。
(位置・深さ・異物の有無)
・血液浄化を担当する臨床工
学技士もエックス線写真を
確認し、カテーテルの位置
をチェックする。
バスキュラーアクセス / 治療中 / 意図しない抜針
4
透析2時間30分経過したところでコンソー
ルの静脈下限アラームが鳴り、患者の所へ行
くと返血ルートが抜針した。テガダームがつ
障害残存
いていた為か急には下降せず、約100か
の可能性
ら200mLの出血により、患者の意識レベ
がある
ルが低下した。緊急に脱血側よりゆっくり返
(低い)
血した。ブミネートを点滴し、意識レベル改
善する。当日はCCUへ入室しナイアガラカ
テーテルを挿入し輸血する事となった。
- 109 -
透析途中にトイレまで車椅 ・体動の多い患者には頻回の
子で行き、トイレの後テー 観察と確認を行う。
プ固定し直しており、抜針 ・針の固定方法をテガダーム
7分前に左側臥位になった と絆創膏ではなく、リボン
時もテープ固定、ルートな テ ー プ を 用 い て × 結 び を
ど再度確認していたにも関 し、針挿入部位をケーパイ
わらず、抜針した。
ンで固定する方法に変更す
る。
血液浄化療法︵血液透析、血液透析濾過、血漿交換等︶の
医療機器に関連した医療事故
3
血液浄化用のダブルルーメンカテーテルを鼠
径部から挿入留置した。その後血液浄化装置
にて血液透析を開始したところ送血管の圧が
高く、脱血管に切り替えた。送血管の圧の
障害残存 高さを調べるためにエックス線撮影したとこ
の可能性 ろ、ガイドワイヤーの遺残を発見した。小切
開にて、ガイドワイヤー、カテーテルを抜去
なし
した。改めてカテーテルを挿入し透析を開始
した。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
事故の
程度
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
事故の内容
背景・要因
改善策
バスキュラーアクセス / 治療中 / バスキュラーアクセスと回路の接続はずれ
穿刺針に透析用回路セットルアーロックを
しっかり接続し部分絆創膏固定をした。上肢
シーネ固定をした。定時観察した後の約 15
分後、患者のレベルが下がっており、確認し
たところルアーロックが緩み出血していた。
5
透析のマニュアルはあり知 ・新 人 指 導 時 の 安 全 確 認
識は得られていたが、指導 チ ェ ッ ク リ ス ト を 作 成 す
者の観察視点が決められて る。
おらず、指導者の力量に任 ・チェックリストに基づいた
せられていた。機械等およ 安全確認をする。
びバイタルサインのチェッ
クはしたが刺入部、接続部
各種のチェックが確実でな
かった。透析看護師の新人
受け入れの機会が少なかっ
た。
障害なし
バスキュラーアクセス / 抜去・抜針時 / カテーテル破損
6
透析終了時、静脈側穿刺針が抜けず、医師の
手技で抜針した。穿刺針先端が 5mm 程度短
かかった。前腕から鎖骨下までエックス線撮
影したが、先端は分からなかった。事故状況
障害残存
を患者・家族に説明し、異常があれば来院す
の可能性
ることを説明し帰宅した。翌透析日に穿刺部
なし
に異物が触れたため外科的に除去した(皮膚
直下に遺残している穿刺針先端を局所麻酔下
で除去した。皮膚は 1 針のみ 5-0 ナイロン
で縫合した。)。
穿刺時内針を再挿入したこ ・穿刺時に内針を再挿入しな
と に よ る 外 套 が 破 損 し た。 いことを再確認する。 先端が人工血管を突き抜け ・穿刺手技の安全性見直しと
て皮下に遺残した。穿刺時 ルールの再確認をする。
の手技について明確にルー
ル化されていなかったこと
による、手技の不統一もあっ
た。
ⅰ 穿刺時―部位間違い
ア)概要
穿刺時の部位間違いは、静脈と動脈の間違い、留置する静脈の間違い、シャント穿刺する際
に動脈を穿刺したという報告があり、詳細については後述する。
イ)専門分析班及び総合評価部会における議論
No. 1 カテーテル挿入時、誤って右内頸動脈へ挿入した事例(第33回報告書再掲)
○当該事例で大腿静脈を選択しなかった理由があるのだろう。改善策を立てる際、その背景・
要因を分析するとよい。
○大腿静脈への穿刺は、シャワー浴が出来なくなることがあるなど患者のQOLの制限を大
きくするものであり、総頸静脈の選択をする場合もある。
○末期腎不全に対する緊急透析の患者であり、起こり得る誤挿入の事例である。
○報告では、手技はプロトコールに準じており、やむをえなかったと考えられる。
○当該事例は超音波下で行っており、血液ガス分析結果で誤挿入に気がついている。そのよ
うに間違いに気がつく仕組みが働いた点はよい。
ⅱ 穿刺時―損傷・出血
ア)概要
穿刺時の損傷・出血は、動脈の損傷や右心室損傷などがあり、また損傷に伴った仮性動脈瘤
や動静脈瘻が形成されたという報告があった。
- 110 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼ 6 月)
イ)専門分析班及び総合評価部会における議論
No. 2 内シャントの穿刺時の損傷による出血の事例
○改善策で示されているように穿刺技術の向上は重要だが、人工血管への穿刺の特徴として
損傷した後の止血の対応を検討しておくことは重要である。
○人工血管の止血ベルトの圧迫は血管を閉塞させる危険性がある。
「慢性血液透析用バスキュ
ラーアクセスの作製および修復に関するガイドライン」3)では、止血の際の圧迫について、
人工血管を潰さないように、スリルや拍動を指先に感じる程度とすることが記載されてい
る。このように指先で感じることができる用手での止血がいいのでないか。人工血管へ止
血ベルトの使用を禁止している医療機関もある。
ⅲ 穿刺時―外套・ガイドワイヤーの残存
ア)概要
穿刺時の外套・ガイドワイヤーの残存は、ガイドワイヤーの抜き忘れや複数回の穿刺により
Ⅲ
外套が破損し血管内に残存したという報告があり、詳細については後述する。
イ)専門分析班及び総合評価部会における議論
No. 3 カテーテル挿入時、ガイドワイヤーが残存した事例(第33回報告書再掲)
○報告内容で詳細が不明だが、背景要因に「ガイドワイヤーを抜くことを失念した」とあるが、
ガイドワイヤーは抜かないと接続できないはずなので、ガイドワイヤーが途中で切れて遺
残したと推測される。
○当事者は医師一人の記載になっているが、複数名の関わりがあるのではないか。またエッ
○鼠径部からカテーテルを挿入しており、挿入時、患者が動いてガイドワイヤーの断裂が起
きた可能性もあるのではないか。
ⅳ 治療中―意図しない抜針
ア)概要
治療中の意図しない抜針には、患者による自己抜針のほかに、圧がかかるルートに対して固
定が十分でなかった、患者がトイレに行った後の固定が十分でなかったという報告があった。
イ)専門分析班及び総合評価部会における議論
No. 4 治療中、返血ルートが抜針した事例(第33回報告書再掲)
○透析中、トイレに行くことなど、患者の動きが大きいことはよくある。
○返血側の抜針は装置ですぐに検知できない現状がある。静脈下限アラームの厳しい設定は、
患者の少しの体動でアラームが鳴り、誤報が多くなる可能性があるため現場で下限アラーム
を著しく厳しい設定をすることは現実的ではない。本質的な対策は針の固定に依存するし
かない現状がある。現場では意識レベルや認知能力の低下している患者の管理は悩ましい
問題である。
○抜針を発見する努力より、抜針をさせない工夫が重要である。
- 111 -
血液浄化療法︵血液透析、血液透析濾過、血漿交換等︶の
医療機器に関連した医療事故
クス線撮影を担当した放射線技師なども含め複数名が適切に関わるとよい。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
○針の固定を監視するために、血液検知装置などの製品もあるが、コストがかかり導入が難
しい。
○患者により発汗が多い、皮膚が乾燥している、落屑がある、かゆみがあるなど固定の問題
は多様である。
ⅴ 治療中―バスキュラーアクセスと回路の接続はずれ
ア)概要
治療中のバスキュラーアクセスと回路の接続はずれは、ルアーロックがゆるみ出血したとい
う報告があった。なお、詳細については次号の報告書で「血液回路」の接続部のはずれ・緩み
とともに分析する予定である。
イ)専門分析班及び総合評価部会における議論
No. 5 治療中、穿刺針と血液回路セットのルアーロックが外れた事例(第33回報告書再掲)
○ルアーロック(ねじ込み)の接続の際に、スリップイン(はめ込み)が十分にできていなかっ
た可能性がある。
○当該看護師は18年職種経験があるが、当該者部署配置期間は1ヶ月であり、ルアーロック
操作に慣れていなかった可能性がある。
○新人(新任者)に対するルアーロック式の血液回路の指導の際には、①スリップインした
うえで、②ルアーロックする、と丁寧に手順を教えることは重要である。
○スリップインができていなければ、ルアーロックができないといった「フールプルーフ:
利用者が誤った操作ができない設計」の考え方に則した製品の開発も望まれる。
ⅵ 抜去・抜針時―カテーテル破損
ア)概要
イ)専門分析班及び総合評価部会における議論
No. 6 抜針時、カテーテルの外套が残存した事例(第33回報告書再掲)
○針を挿入後、外套に血液の逆流がないことで、一旦抜きかけた内針を再び戻してしまうこ
とで外套を傷つけたと考えられる。
○当該透析用留置針の添付文書4)の【警告】に「使用前及び穿刺中に、外套針の中で金属内
針を前後に動かさないこと。
〔カテーテルが損傷し、カテーテルの破断、外套針からの漏
血を生じる恐れがある。〕」と記載されている。医療機関内において、警告内容を周知して
おくことは有用である。
○穿刺の際に逆流確認のため、シリンジを装着して行うことも対策のひとつである。
(3)「バスキュラーアクセス」に関する医療事故の分析
血液浄化療法におけるバスキュラーアクセスは血液の体外へ流出し(脱血)し、循環を経て体内
に流入する(返血)手段であり、一時的なものと永久的なものがある。血液浄化療法のバスキュラー
アクセスは、半永久的な自己血管を用いた内シャント(動静脈瘻:AVF)が望ましいとされてい
るが、他に人工血管を用いた内シャント(グラフト:AVG)、動脈の表在化がある。また、静脈
- 112 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼ 6 月)
カテーテルは経皮的に内頸静脈や、大腿静脈、鎖骨下静脈などへ静脈カテーテルを挿入する方法であ
り、緊急の際や内シャント作成まで一時的に使用されるものと、長期的に使用される植込み型がある。
平成20年に日本透析医学会が行ったバスキュラーアクセスの実態調査によると、自己血管による
内シャント89.7%、人工血管による内シャント7.1%、動脈の表在化1.8%、一時的静脈カテー
テル、長期植込み型静脈カテーテルはそれぞれ0.5%、単針透析0.2%、動脈直接穿刺0.1%、
その他0.1%であったが3)、図表Ⅲ - 2- 5では、静脈カテーテルが34件と多く、内シャントは
20件であった。血液浄化療法のバスキュラーアクセスの際、静脈カテーテルの選択の割合は少ない
ものの、本事業に報告されたバスキュラーアクセスの医療事故の静脈カテーテルの割合は半数以上で
あり、穿刺時の部位間違いの事例が17件と多いことから、静脈カテーテル穿刺の際、静脈に並走す
る動脈を傷つける危険性があると考えられる。また、内シャントの治療中の意図しない抜針が8件で
あり、緊急の場面ではなく、維持透析などの場面で発生していることが推測できる(図表Ⅲ - 2- 5)
。
Ⅲ
図表Ⅲ - 2- 5 バスキュラーアクセスの分類
発生段階
穿刺時
バスキュラー
アクセス
治療中
不明
計
部位間違い
17
2
0
0
19
損傷・出血
7
1
0
0
8
外套・ガイドワイヤーの残存
6
2
0
1
9
その他
1
0
0
0
1
意図しない抜針
1
8
1
5
15
バスキュラーアクセスと回路の接続はずれ
2
1
0
1
4
その他
0
0
0
0
0
カテーテル破損
0
5
0
1
6
その他
0
1
0
0
1
小計
34
20
1
8
63
本報告書では、バスキュラーアクセスに関する事例の中から、報告件数が多かった①穿刺時の部位
間違い、②穿刺時の外套・ガイドワイヤーの残存、③治療中の意図しない抜針、の 3 つに着目し分析
を行った。
①穿刺時の部位間違い
ⅰ 「穿刺時の部位間違い」の分類
穿刺時の部位間違いの事例を大別すると、静脈カテーテル挿入が17件、内シャントへの穿刺
が2件、動脈の表在化への穿刺は0件であった(既出、図表Ⅲ - 2- 5)
。報告された内容から、
それらをさらに詳細に分類した。
静脈カテーテルは、静脈に穿刺するところ動脈に穿刺した、針を挿入する血管を間違えた「動
脈と静脈の間違い」、下大静脈に留置すべきところ腰静脈に迷入した「留置すべき静脈の間違い」、
上大静脈から縦隔へ逸脱した「静脈から縦隔に逸脱」の3つがあり、内シャントは「シャント穿
刺部位の間違い」があった。
(図表Ⅲ - 2- 6)
。このように静脈カテーテル挿入時、静脈を穿刺
する予定が、誤って動脈を穿刺した事例が12件と最も多かった。
- 113 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
血液浄化療法︵血液透析、血液透析濾過、血漿交換等︶の
医療機器に関連した医療事故
抜去・
抜針時
静脈カ
動脈の
内シャント
テーテル
表在化
事例の内容
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅲ - 2- 6 「穿刺時の部位間違い」の分類
静脈カテーテル
17
動脈と静脈の間違い
12
内頸静脈
5
大腿静脈
5
鎖骨下静脈
2
留置すべき静脈の間違い
2
静脈から縦隔に逸脱
3
内シャント
2
シャント穿刺部位の間違い
2
動脈への穿刺
1
吻合部への穿刺
1
合計
19
ⅱ 「穿刺時の部位間違い」の概要
穿刺時の部位間違いの主な概要を図表Ⅲ - 2- 7に示す。
それらの事例の中から主なものについて、テーマ別専門分析班及び総合評価部会で議論された
内容を以下に示す。数字は図表Ⅲ - 2- 7の事例番号を示す。
図表Ⅲ - 2- 7 「穿刺時の部位間違い」の主な事例の概要
No.
事故の
程度
事故の内容
背景・要因
改善策
静脈カテーテル / 動脈と静脈の間違い
1
右鼠径部より透析用カテーテルを留置した。
挿入はスムーズで透析用カテーテルを用いて
透析を行った。穿刺部からの少量の血液の滲
出が続いた。単純CTではカテーテルは静脈
内に留置されていたが、穿刺部からの血液の
滲出は持続し、挿入部での動脈穿刺の可能性
障害残存
が考えられた。左鼠径部に透析用カテーテル
の可能性
を入れ替え、右鼠径部の透析用カテーテルは
がある
抜去した。抜去時出血が多かったため、造影
(低い)
CTを施行した。CT所見上、右鼠径部で右
浅大腿動脈と右大腿静脈が動静脈瘻を形成し
ていることが判明した。留置カテーテルが右
浅大腿動脈を貫いて右大腿静脈に挿入されて
いたと考えられた。経過観察、動静脈瘻は改
善された。
- 114 -
穿刺前に超音波で動静脈の ・透析用カテーテルを挿入、
位置確認は行っており、本 留置する際は試験穿刺、本
穿刺した際も問題なかった 穿刺、拡張操作時の血流流
が、おそらく右浅大腿動脈 出および動脈性の拍動がな
の左側壁を一部かすめて穿 いかを注意深く観察する。
刺しており、その後の拡張
操作で動脈を貫通して静脈
にカテーテルが挿入された
と考えられる。
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼ 6 月)
No.
事故の
程度
事故の内容
背景・要因
改善策
静脈カテーテル / 留置すべき静脈の間違い
2
死亡
胃癌の手術後に栄養状態が不良となり消化器
外科へ入院後、低リン血症によるCO2ナル
コーシス状態となり、人工呼吸器管理で改
善を行った。血液透析も実施していたが、内
シャントが閉塞し、左鼠径部より透析用カ
テーテルを挿入、留置した。経口食が摂取不
可能で、高カロリー輸液も必要であった為、
トリプルルーメンカテーテルを用いた。9日
後にその刺入部の感染症状が出現した為、反
対側の右鼠径部へ同じ種類のカテーテルを入
れ替えた。さらに2日後の血液透析時にルー
トが閉塞(透析液の注入が出来なくなった)
したため、ガイドワイヤーを用い、新しいト
リプルルーメンカテーテルを入れ替えた。そ
の後は問題なく経過していたが、入れ換えか
ら2週間後に患者が、腰痛、腹痛を訴えた。
CT撮影を行ったところ、カテーテルが、下
大静脈ではなく右腰静脈に留置され、右腸腰
筋の血腫、膿瘍、または点滴内容物の貯留を
思わせる所見が認められた。直ちにカテー
テルを抜去したが、血液データ上の強いアシ
ドーシスと筋肉融解所見を示す値(CPK>
2000)が確認され、カテーテル抜去後、
2日目に死亡した。家族へは事実と病理解剖
の必要性を説明したが、同意を得られなかっ
た。
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
血液浄化療法︵血液透析、血液透析濾過、血漿交換等︶の
医療機器に関連した医療事故
- 115 -
患者は、2年前にも原因不 ・カテーテル挿入後のエック
明の左腸腰筋血腫が確認さ ス線確認方法を一律に正面
れていたが、カテーテル挿 とするのは問題発見が遅れ
入時の実施者の手技として る可能性があることを認識
困難感など無かった。床上 する。
安静であったが自力での体 ・高カロリー輸液を透析ルー
動は不可であった。カテー トと共に使用することは危
テ ル 挿 入 は、 病 室 で 行 い、 険であると考える為、今後
ポータブルエックス線写真 は行わないようにする。
撮影を行ったが、正面側の
みの撮影で確認した為、留
置血管は大腿静脈から総腸
骨 静 脈 で あ る と 判 断 し た。
側面からの撮影を行ってい
れば、発見できた可能性は
ある。非常にまれな事例と
考えるが、病理解剖が行わ
れていない為、点滴内容物
の貯留なのかどうか不明で
ある。ポータブルエックス
線写真撮影時に側面からの
撮 影 は 難 し い 点 が あ る が、
撮影方法としてのステレオ
撮影であれば可能かもしれ
ない。しかし、このような
事例は透析部門での経験が
なく、当該事例を教訓とし
て今後の診療にあたってい
く。
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
事故の
程度
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
事故の内容
背景・要因
改善策
静脈カテーテル / 静脈より縦隔への進入
3
右内頸静脈上大静脈流入部の完全閉塞があ
り、左内頸静脈より長期型バスキュラーカ
テーテル(ソフトセル)を透視下で留置を行っ
た。ガイドワイヤーを上大静脈まで留置し、
血管走行を確認し、最終的にカテーテルを留
置しようと試みたところ、透視下でカテーテ
ル先端が上大静脈より縦隔内に進入した可能
性が示唆された。このため造影剤をカテーテ
ルから注入したところ血管外漏出を認めた。
その後カテーテルを抜去し、再度血管造影を
行ったが、新たな血管外漏出は認められな
かった。尚、状態評価目的に胸部単純CT検
査を施行した。病変は縦隔内であり、まずは
障害残存
バイタルサインの変動、貧血進行を経時的に
の可能性
追っていく方針とした。
がある
(低い)
高度全身浮腫につき、当初 ・今回のアクシデントは、カ
からバスキュラーカテーテ テーテルを進めていく際の
ルの留置困難が予想された 確認が充分でなかったと考
ため、超音波ガイド下に内 える。
頸静脈穿刺を行い、透視下 ・基 本 的 で は あ る が、 透 視
でガイドワイヤーによりバ 下でカテーテルを進める際
スキュラーカテーテルの留 は、 数 人 で 確 認 し な が ら
置 を 試 み た。 血 管 造 影 上、 手技を施行するよう徹底す
右内頸静脈から上大静脈流 る。
入部が閉塞しており、高度
全身浮腫があったため両鼠
径の大腿静脈からの留置が
困難であった。よって左内
頸静脈からバスキュラーカ
テーテルを留置することに
なったが、短期型バスキュ
ラーカテーテルはカテーテ
ル自体が固く左内頸静脈か
らの挿入は縦隔穿破をする
危 険 が 高 く 禁 忌 と さ れ る。
よって長期型バスキュラー
カ テ ー テ ル( ソ フ ト セ ル )
の留置を試みたが、高度の
全身浮腫、肥満があり、手
技を行うスペースが充分と
れなかったこと、術者同士
の充分な確認を怠ったこと
が今回のアクシデントを生
じた要因と考えた。
内シャント / 動脈への穿刺
4
10 時 30 分ごろ、透析施行のため看護師A
が、前腕部のシャント穿刺を行ったが、動脈
側より脱血がなかったため、再度穿刺したが
脱血を認めなかった。そのため、静脈側の脱
血が良好であったため、静脈側を動脈脱血に
使用し、静脈返血のための血管を、上腕に確
保することにした。看護師Aが手で駆血し、
看護師Bが血管を確認した。動脈性の拍動が
なかったためシャント走行血管(静脈)と思
障害残存 い、テフロン針で穿刺し固定した。その後、
の可能性 透析回路に接続する際に穿刺部を確認したと
がある ころ、上腕腫脹を認めた。血管漏出と考え、
(低い) 圧迫止血のため、止血タンポンを準備してい
る間に、さらに腫脹が増大したため、テフロ
ン針を抜針し、ガーゼで圧迫止血した。圧迫
止血後も上腕腫脹が増大、腎臓内科医師より
血管外科医師にコンサルト、医師にて圧迫止
血を試みたが、透析にてヘパリン投与されて
おり、2 時間圧迫後も止血できなかった。医
師より、患者および家族へ、動脈誤穿刺のた
め、出血による上腕腫脹を認め、緊急手術が
必要なことを話し、止血術施行となった。
- 116 -
全身浮腫があり、特に上肢 ・穿 刺 に 不 安 を 感 じ た 時 に
浮腫が強かったため、血管 は、必ず医師に確認をする。
確認を行ったが動脈性の拍
動がなかった。看護師 2 人
で 血 管 の 確 認 を 行 っ た が、
シャントによる走行血管(静
脈)と思いこんだ。高度の
浮腫、肥満さらに左内頸静
脈からのカテーテル留置を
要した症例であり、縦隔穿
破を起こしにくい長期型バ
スキュラーカテーテル留置
を試みた。
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼ 6 月)
No.
事故の
程度
事故の内容
背景・要因
改善策
内シャント / 吻合部への穿刺
5
当院に転院され、入院当日より透析が行われ
た。左上肢で行われたが穿刺困難な状況にあ
り、通常穿刺してはいけない吻合部に穿刺し
た。その後、体動などあり、軽度の腫脹が見
られたため、刺し換えを行ったがこの際、透
析を継続した。終了時、病棟看護師に当初に
障害残存 刺して腫脹した吻合部の止血が困難な状況に
の可能性 ある旨を伝え止血状態の観察を依頼した。翌
日腫脹は軽度持続されていたが、透析前後の
なし
腫脹の増強なく、透析を終了した。透析後3
日目病棟看護師より腫脹部の増強と熱感があ
ることを外科医師に報告する。患部の冷罨法
を行い、別ルートを確保し透析は行われたが、
採血結果で貧血が進んでおり、皮下出血が考
えられることから輸血を実施した。
入院当日からの透析であり、・他院からの情報で不明な点
前医からの情報はあったが、 は、再確認し十分な情報を
患 者 把 握 に は 情 報 不 足 で 得た後に患者に関わる。
あったが、再確認せず実施 ・穿 刺 ト ラ ブ ル 時 の 対 応 マ
した。再穿刺の際も穿刺部 ニュアル作成、再学習して
位の確認不十分のまま刺し 対応する。
た。
・病棟との連携を密にし患者
の情報交換を行っていく。
Ⅲ
<動脈と静脈の間違い>
No. 1 カテーテルが浅大腿動脈を貫いて大腿静脈に挿入された事例
○改善策では、部位間違いについて早期に発見することを記載されているが、まずは、部位間違
いをしないことが重要である。血管の確認のために、超音波検査下で穿刺することは再発防止
策として有用である。
○穿刺部位を誤った医師の職種経験年数は1年 10 ヶ月であり、経験の少ない医師の処置の実施
は上級医の指導下で行うことが望ましい。
No. 3 カテーテル先端が上大静脈から縦隔に逸脱した事例
○当該事例では、全身状態が悪化している患者の緊急の血液透析に対して、カテーテル検査室に
おいて透視下で、さらに超音波検査のガイド下でのバスキュラーアクセスの実施をしており、
慎重に対応したことが伺える。
○改善策に「数名で透視下で確認しながら手技を施行する」とあるように、カテーテル留置の困
難さが予測される患者には、複数名で確認することは望ましい。
○また、患者や家族に対してカテーテル留置についての説明と起こりうるリスクについて十分に
説明し、同意を得ることも重要である。
<シャント穿刺部位の間違い>
No. 5 穿刺部位の確認不十分のまま通常穿刺してはいけない吻合部に穿刺した事例
○当該事例は、患者のシャント吻合部が視認できなかったため、吻合部と気付かず穿刺した可能
性と、シャントの吻合部は原則的には穿刺してはいけない部位であると知らずに穿刺した可能
性がある。
○他院からの転院当日の透析であり、施設間において受け渡される患者情報にシャントの写真や
バスキュラーアクセス穿刺部位のマッピングなどが加わると類似事例の再発予防策となる。
- 117 -
血液浄化療法︵血液透析、血液透析濾過、血漿交換等︶の
医療機器に関連した医療事故
<静脈より縦隔へ進入>
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
○血液透析に限らず、血管確保を仕損じた場合、部位より末梢側に再穿刺することは避けたほう
がよい。
ⅲ 「穿刺時の部位間違い」の背景・要因
報告された事例の内容から主な発生・要因を「動脈と静脈の間違い」
「留置すべき静脈の間
違い」「静脈から縦隔に逸脱」「シャント穿刺部位の間違い」のそれぞれについて整理した。
ア)動脈と静脈の間違い
報告された事例について、穿刺時および穿刺直後に、動脈と静脈を間違えた主な背景につい
て図表Ⅲ - 2- 8に整理した。静脈の走行を視診し、血管に動脈性の拍動がないか触診したう
えで穿刺を行っているが、患者の血管の走行や、浮腫の状態などで部位を誤ったり、穿刺後に
逆血の色調や抵抗圧で静脈血であるかの確認の際、患者の呼吸機能などにより静脈血であるこ
との判断を誤る可能性がある。
図表Ⅲ - 2- 8 動脈と静脈の間違いの背景
穿刺時
左右に並行して走っている動脈と静脈のうち、体表側に動脈が走行していた。
1
患者が痩せ型で、動脈までの距離が短かった。
1
動脈が蛇行していた。
1
動脈と静脈が近接した部位に穿刺した。
1
全身浮腫があり動脈の拍動がわからなかった。
1
穿刺直後
患者は慢性肺疾患があり、動脈血が静脈血に見えた。
2
外套からの逆血が弱かった。
1
※ひとつの事例に複数の記載されている場合がある。
そこで、より確実な超音波検査下やエックス線透視下で穿刺針の挿入が行われており、報
告された事例においても、6件は超音波検査下やエックス線透視下での穿刺であった(図表
Ⅲ - 2- 9)。超音波検査下やエックス線透視下での客観的評価は有用であるが、それでも間違
いは生じることを医療スタッフは認識したうえで、患者や家族への説明を行う必要がある。
図表Ⅲ - 2- 9 超音波検査やエックス線透視の実施
穿刺前
超音波検査による位置確認の実施
2
超音波検査下での実施
2
エックス線透視下での実施
1
超音波検査下・エックス線透視下での実施
1
穿刺中
- 118 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼ 6 月)
イ)留置すべき静脈の間違い
報告された事例について、穿刺時に、留置すべき静脈を間違えた主な背景について図表
Ⅲ - 2- 10に整理した。ポータブルエックス線撮影の正面側のみの撮影であったため、下大
静脈に留置すべきところ、腰静脈にカテーテル留置した事例および切断したカテーテルが内頸
静脈に誤って入った事例であった。
図表Ⅲ - 2- 10 留置すべき静脈の間違いの背景
穿刺時
カテーテル挿入は病室であり、ポータブルエックス線撮影を行ったが、
正面側のみの撮影であった。
1
カテーテルの入れ替えを行った際に、ガイドワイヤーの挿入が困難であり、
カテーテルに一部を切断した。
1
Ⅲ
ウ)静脈から縦隔に逸脱
報告された事例について、静脈から縦隔に逸脱した主な背景について図表Ⅲ - 2- 11に整
理した。実施前からカテーテルの留置困難が予想されていたため、超音波検査およびエックス
線透視下で行った事例およびカテーテル挿入時抵抗があったにもかかわらず、エックス線撮影
画像での再評価を怠った事例であった。
図表Ⅲ - 2- 11 静脈から縦隔に逸脱の背景
穿刺時
1
高度の全身浮腫、肥満があり、内頸静脈からのカテーテル挿入であったため、
手技のスペースが十分に取れなかった。
1
カテーテル挿入時抵抗があったが、カテーテル挿入後の血液の出し入れの
抵抗がなかったため画像による再評価を怠った。
1
※ひとつの事例に複数の記載されている場合がある。
エ)シャント穿刺部位の間違い
報告された事例について、シャント穿刺部位を間違えた主な背景について図表Ⅲ - 2- 12
に整理した。看護師2名で血管の確認を行ったが、拍動がなかたためシャントと思い込んだ事
例および転院当日の透析の際、前医からのシャントについての情報が不十分であった事例で
あった。
図表Ⅲ - 2- 12 シャント穿刺部位の間違い
穿刺時
全身浮腫があり、動脈性の拍動がなかったため、シャントと思い込んだ。
1
前医からの情報不足で穿刺部位の確認が不十分であった。
1
- 119 -
血液浄化療法︵血液透析、血液透析濾過、血漿交換等︶の
医療機器に関連した医療事故
カテーテル留置困難が予測されたため、超音波検査およびエックス線透視下で
行った。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
②「穿刺時の外套・ガイドワイヤーの残存」
穿刺時の外套・ガイドワイヤーの残存の事例9件であり、静脈カテーテル挿入が6件、内シャン
トへの穿刺が2件、不明が1件であった(既出図表Ⅲ - 2- 5)
。9件の事例を外套とガイドワイヤー
でわけたところ、外套の残存が4件、ガイドワイヤーの残存が5件であった(図表Ⅲ - 2- 13)
。穿
刺時の外套の残存に関する事例4件はすべて外套の部分的な破断であり、ガイドワイヤーに関する
事例は、ガイドワイヤーを抜くところ忘れた事例が4件、ガイドワイヤーを使用していた最中に血
管に迷入した事例が1件であった。
図表Ⅲ - 2- 13 「穿刺時の外套・ガイドワイヤーの残存」の分類
外套の残存
4
部分的な破断
4
ガイドワイヤーの残存
5
抜き忘れ
4
迷入
1
合計
9
ⅰ 「穿刺時の外套・ガイドワイヤーの残存」の概要
穿刺時の部位間違いの主な概要を図表Ⅲ - 2- 14に示す。それらの事例の中から主なものにつ
いて、テーマ別専門分析班及び総合評価部会で議論された内容を以下に示す。数字は図表Ⅲ - 214の事例番号を示す。
図表Ⅲ - 2- 14 「穿刺時の外套・ガイドワイヤーの残存」の主な事例の概要
No.
事故の
程度
事故の内容
背景・要因
改善策
外套 / 部分的な破断
透析開始時、16Gの穿刺針で穿刺したが、困
難であった。一時抜針したところ、プラスチッ
ク針(外套)の先端が2mm程度切れて患者
の体内(皮下)に残留した。泌尿器科医師へ
コンサルトとなり、超音波にて残留針を確認
後、同部位を皮膚切開し、残留した留置針の
外套部分を切開・抜去した。
1
障害残存
の可能性
なし
- 120 -
透析開始時の穿刺を、その ・透析開始時、研修医単独で
部署に配属されてまだ間も 穿刺は行わないよう、周囲
ない 2 年目の研修医単独で が気づき、声かけをする。
行っていた。看護師は近く ・介助についた際は、内針を
にいたが、別の処置をして 抜いたあと外套に再度戻す
いた。研修医が穿刺時は上 ような手技が見られた場合
級医が付くように部署内の は、その前に説明し、即抜
申し合わせではなっていた 針する。
が、上級医は少し離れた別 ・研修医の全体研修時に定期
の 患 者 の 穿 刺 を し て い た。 的に静脈留置針の扱い方に
穿刺針は、一旦金属内針を ついて説明する。
外套(プラスチック)から ・部署内の医師のバックアッ
抜いた場合は、そのあと外 プ 体 制、 指 導 教 育 体 制 を
筒に内針を戻さないように 守 っ て も ら う よ う 徹 底 す
しなければならないところ る。
を、何度も戻していた様で
あった。研修医の教育が十
分ではなかった。
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼ 6 月)
No.
事故の
程度
事故の内容
背景・要因
血管移植術バイパス移植術を受けた。人工血
管に留置針を2本挿入し透析を開始した。2
時間後、透析が終了し、看護師が外套を抜去
した際に、先端2cmの欠損を発見した。
2
障害なし
改善策
手術後まもなくで、人工血 ・穿刺部位並びに穿刺の順
管の穿刺部位に制限があり、 番を考える。
穿刺針の距離が近く、金属 ・人工血管を穿刺する場合、
内 針 で 外 套 が 切 断 さ れ た。 捻らないこと、抵抗があれ
人 工 血 管 に 穿 刺 し た 場 合、 ば直ちに再穿刺することを
外套が損傷しやすく、少し 遵守する。
のきっかけで外套が欠損す ・穿刺針が触れ合わない部
る可能性は、一般のシャン 位を選ぶ。
ト血管に比べて高いと思わ
れる。
ガイドワイヤー / 抜き忘れ
3
血液浄化用のダブルルーメンカテーテルを鼠
径部から挿入留置した。その後血液浄化装置
にて血液透析を開始したところ送血管の圧が
高く、脱血管に切り替えた。送血管の圧の
障害残存 高さを調べるためにエックス線撮影したとこ
の可能性 ろ、ガイドワイヤーの遺残を発見した。小切
開にて、ガイドワイヤー、カテーテルを抜去
なし
した。改めてカテーテルを挿入し透析を開始
した。
カテーテルを留置した際に、・院内で事例を共有する。
ガイドワイヤーを抜くこと ・診療科カンファレンスで報
を失念した。早く透析を開 告する。
始 し た い と 焦 り が あ っ た。・処置後のエックス線写真は
処置後のエックス線写真を 担当医師が読影のポイント
注意深く読影しなかった。
を明確にして記録する。
・(位置・深さ・異物の有無)
血液浄化を担当する臨床工
学技士もエックス線写真を
確認し、カテーテルの位置
をチェックする。
ガイドワイヤー / 迷入
医師が過労のため体調不良 ・カ テ ー テ ル を 入 れ 替 え る
であり、注意力が落ちてい 際に、違う種類のカテーテ
た可能性が高い。手技的に ルを使う場合、ガイドワイ
は難しいものではなく、本 ヤーを使用した交換は避け
来間違うはずのない行為が た方が賢明と思われる。
比較的ベテランといえる中
堅医師によってなされてし
まった。手が滑ったと思わ
れる。
<外套の残存>
No. 1 一旦金属穿刺針が抜いたが、再び戻した手技のため、外套を破断した事例
○(2)②ⅵの No. 6で前述したとおり、当該透析用留置針の添付文書の4)【警告】に「使用前
及び穿刺中に、外套針の中で金属内針を前後に動かさないこと」と記載されている内容を遵守
することは重要である。
○可能であれば穿刺針にシリンジを付け、逆血を確認したうえで、金属内針を抜くことも検討し
ていただきたい。
No. 2 内シャントに留置した2本の穿刺部位が近く、外套を破断した事例
○当該事例は部分的な短い人工血管の穿刺であり、人工血管内で穿刺針がクロスすることを想定
していなかったと推測できる。
○皮膚上で穿刺針がクロスすることはあっても、血管内で穿刺針がクロスしないようにするとよ
い。
- 121 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
血液浄化療法︵血液透析、血液透析濾過、血漿交換等︶の
医療機器に関連した医療事故
4
救急ICUにて透析用のカテーテルを挿入
する際に、もともと入っていた中心静脈用
カテーテルを利用しようとした。中心静脈カ
障害残存 テーテル切断部からガイドワイヤーを挿入し
の可能性 ようとしたところ、バスキャス用ガイドワイ
がある ヤーが太く挿入しづらかったため、力が入り
(低い) 手が滑った。カテーテルが血管内に入り込ん
でしまい、直ちに刺入部から鉗子で取り出そ
うと試みたが、取り出すことができず、放射
線科にアンギオ室で摘出してもらった。
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
<ガイドワイヤーの迷入>
No. 4 救急で透析カテーテルを挿入する際、違う種類のガイドワイヤーを使用し、手技の途中で
迷入した事例
○適用外のガイドワイヤーの使用は、間違いを生む原因となる可能性があるので、適用内のガイ
ドワイヤーの使用が望まれる。
○医師の体調不良の際、他の医師に交代するなど相談できる場を組織で工夫してつくることが望
まれる。
ⅱ 「穿刺時の外套・ガイドワイヤーの残存」の背景・要因
報告された事例の内容から主な発生・要因を「外套の部分的な破断」
「ガイドワイヤーの残存」
のそれぞれについて次に述べる。
ア)外套の部分的な破断
外套の部分的な破断は、カテーテル挿入が難しかったり、時間を要した中で、複数回外套と
金属内針を再び戻したことが推測できる事例が3件、脱血側、返血側と2本挿入した穿刺針が
人工血管内で接触し、どちらかの金属内針が他方の外套を傷つけた事例が1件であった。
(2)②ⅵ No. 6「抜針時、カテーテルの外套が残存した事例」
(前掲112頁)で記載し
たように、刺中に、外套針の中で金属内針を前後に動かすと、カテーテルが損傷したり、カテー
テルの破断する可能性がある。一般的な透析用留置針を金属内針により外套が破損するイメージ
を図表Ⅲ - 2- 15に示すので、院内教育の場で活用していただきたい。
図表Ⅲ - 2- 15 外套の破損のイメージ
1)外套に金属内針が納まっている状態。(金属内針がやや長い)
2)外套から金属内針を少し引いた状態。
- 122 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼ 6 月)
3) 外套が金属内針により破損した状態。金属内針を戻すことでプラスチック製の外套が破損する
可能性がある。
Ⅲ
拡大図
また、(2)②ⅵ No. 6「抜針時、カテーテルの外套が残存した事例」で使用された透析用
留置針の添付文書4)を例にすると、次の【警告】が掲載されている。医療機関で使用している
透析用留置針の添付文書をご確認いただきたい。
<透析用留置針 ハッピーキャスV 添付文書より抜粋>
【警告】
・使用前及び穿刺中に、外套針の中で金属内針を前後に動かさないこと。
〔カテーテルが損傷し、カテーテルの破断、外套針からの漏血を生じる恐れがある。
〕
イ)ガイドワイヤーの残存
カテーテルを挿入後、適切な部位のエックス線撮影を行うことは一般的に行われているが、
エックス線写真を撮っているにもかかわらず、ガイドワイヤーの残存に気付かなかった事例が
2件あった。その内容は、
心電図の電極のリードがエックス線写真に写っており確認しずらかっ
- 123 -
血液浄化療法︵血液透析、血液透析濾過、血漿交換等︶の
医療機器に関連した医療事故
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
た事例および処置後のエックス線写真を注意深く読影しなかった事例であった。カテーテル挿
入後にエックス線写真撮影は、留置したカテーテルの位置を確認する目的と、ガイドワイヤー
などの残存がないか確認する目的があることを認識しておくことが必要である。
図表Ⅲ - 2- 16 ガイドワイヤーの残存のエックス線写真での確認
エックス線写真での確認あり
4
エックス線写真で気付いた
2
エックス線写真で気付かなかった
2
不明
1
合計
5
③「治療中の意図しない抜針」
血液浄化療法の際の血液流量は約200mL/分を基準として患者個々の身体機能や病態に合わ
せて設定される。高流量でもバスキュラーアクセスが安全かつ安定して使用できるように管理する
ことが重要である。
ⅰ 「治療中の意図しない抜針」の分類
治療中の意図しない抜針は、大別して1)患者による自己抜去が明らかなもの、2)患者によ
る自己抜去が明らかではないがその可能性が考えられるもの、3)原因は明らかでないが穿刺針が
意図せず抜けていた(以下、自然抜去とする)
、4)医療者による意図しない抜去、がある(図表
Ⅲ - 2- 17)。自然抜去が8件と最も多く、患者による自己抜去が明らかではないがその可能性が
考えられるものが5件、患者による自己抜去が2件であった。また、医療者による意図しない抜去
の事例の報告はなかった。
図表Ⅲ - 2- 17 「治療中の意図しない抜針」の分類
部位
合計
返血部(静脈)
不明
患者による自己抜去
1
1
2
患者による自己抜去の可能性がある
5
0
5
自然抜去
7
1
8
医療者による意図しない抜去
0
0
0
合計
15
ⅱ 「治療中の意図しない抜針」の概要
治療中の意図しない抜針の主な概要を図表Ⅲ - 2- 18に示す。それらの事例について、テーマ別
専門分析班及び総合評価部会で議論された内容を以下に示す。数字は図表Ⅲ - 2- 18の事例番号を
示す。
- 124 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼ 6 月)
図表Ⅲ - 2- 18 「治療中の意図しない抜針」の主な概要
No.
事故の
程度
事故の内容
背景・要因
改善策
今まで刺入部の固定保護は
問題なく血液透析を終了し
ていたため、危機意識が低
下していた。患者のベッドの
すぐ隣で、腹水濾過濃縮再
静注法の説明を受けていた
ため、患者の動きに伴う物音
で直ぐに駆けつけ、対処でき
るという油断があった。透析
室スタッフ全員が一緒に腹
水濾過濃縮再静注法の説明
を受けていたため、常時患
者の状態が観察できていな
かった。返血用の針のみが
抜針されたため、急激な圧
低下にはならずアラームが作
動しなかった。穿刺部の腕が
布団の中だったため、目視で
きなかった。
・透 析 治 療 中 は、 常 時 2 人
以上で観察する。
・穿刺部の状態が目視できる
ように布団などかけずに、
バスタオルなどで覆ってお
く。
・認知行動がある患者は、病
棟側からの申し送りやカル
テの記載内容から問題、情
報を共有する。
・漏血シートを使用する。
患者による自己抜針
1
患者は右足趾壊疽で右足趾切断術後であっ
た。週 3 回血液透析を受けていた。血液透
析中、時々起き上がる行動があったが、透析
中であることを説明すると臥床でき、穿刺部
に触れることはなかった。10 時 40 分、
「寒
い」と布団をかぶり穿刺部の上肢も布団に覆
われていた。10 時 50 分、穿刺部周囲とベッ
ド下の多量の血液に気付いた。返血部の針が
障害残存
自己抜針されていた。針、チューブのテープ
の可能性
固定は通常より多くの箇所を固定していた。
がある
穿刺部は包帯で保護していたが、前腕部の包
(低い)
帯は除去されていた。
患者による自己抜去の可能性がある
死亡
- 125 -
透析装置と人工呼吸器、ベッ ・透 析 指 示 が あ っ た 場 合、
ドの配置など治療に適した 事前に透析部門医師・臨床
環境が整備されていなかっ 工学技士・透析認定看護師・
た。バスキュラーアクセス 診 療 科 医 師 と 病 棟 看 護 師
として鼠径部にカテーテル は、患者情報の共有を行う。
が留置されていたが、採血 ・出張透析を行う環境を見
側、返血側ともに両腕の肘 直し、ある程度の広さ、看
部表在化動脈に穿刺してい 護ステーションとの距離な
た。穿刺部位の固定部に力 どを調査し、あらかじめ各
がかからないように血液回 病棟ごとに出張透析を行え
路 を ル ー プ 固 定 し て い な る個室を選択した。
かった。毛布で穿刺部位を ・表在化動脈をアクセスと
覆っていたため出血を確認 するときは穿刺方向、固定
で き な か っ た。
( 回 路 の 不 など穿刺部位でのトラブル
可視化と、毛布の重みで回 に十分な配慮を行う。
路に引っ張る力が加わるた ・穿刺部を布団などで覆う
め)ベッドサイドでのケア、 行為を禁止し、常に直視下
痰の吸引等の処置を行った で監視できるようにする。
と き に 血 液 回 路 に 負 荷 が ・体動の多い意識障害患者
加わった可能性が考えられ などの高リスク患者では出
る。透析を受ける患者の看 血センサの導入なども検討
護に対する知識不足により、 する。
穿刺針の挿入部を掛け物で
覆ってしまい、穿刺針の脱
落及び出血の発見が遅れた。
心電図モニタの設置場所が
看護師の背後にあり、吸引
操作中に監視できていな
かった。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
血液浄化療法︵血液透析、血液透析濾過、血漿交換等︶の
医療機器に関連した医療事故
2
患者は病棟の個室で、人工呼吸器で呼吸管理
され、心電図モニタを装着していた。患者の
意識レベルは II −20∼ II −30で変動し
ており、スタッフとのコミュニケーションは
十分に取れない状況であった。事故発生当日、
担当技師は病室へ行き、透析装置および使用
器材の準備を行い、約10分後、血液浄化療
法科の医師が治療条件指示を確認した後、穿
刺をおこなった。技師が介助し、血液透析を
開始した。穿刺部位は両腕の肘部表在化動脈
で、動脈側は末梢側へ向け、静脈側は中枢側
へ向けて穿刺針を幅の広いテープで固定、血
液回路と穿刺針との接続部 1 箇所と血液回
路を2箇所、計3箇所を固定した。治療は、
血液透析濾過法(HDF)4リットル交換を
3時間の予定で開始した。治療中、バイタル
も安定していたが、透析開始50分後頃に人
工呼吸器が血中酸素飽和度低下、呼吸器ア
ラーム(一回換気量低下)を報知したため、
看護師Aが訪床し、警報を解除するとともに
ベッドサイドで痰の吸引作業を開始した。そ
の際、担当技師はベッドの足もと付近で待機
していた。痰の吸引作業をし間もなく、別の
看護師Bがセントラルモニタの心拍数が50
台まで低下した警報音に気づき訪室した。看
護師Bが上半身の掛け毛布をめくり、返血側
の穿刺針が左上腕部付近に脱落しパジャマ、
シーツに血液が付着しているのを発見した。
直ちに技師が、除水を停止、回路内血液を返
血するため鼠径部に留置されているトリプル
ルーメンカテーテルに返血側の回路先端部を
接続し、返血を進めながら病室内の看護師B
に医師を呼ぶよう依頼した。複数の医師が駆
けつけ救命処置を行った。
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
事故の
程度
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
事故の内容
背景・要因
改善策
自然抜去
3
透析2時間30分経過したところでコンソー
ルの静脈下限アラームが鳴り、患者の所へ行
くと返血ルートが抜針していた。テガダー
障害残存
ムで固定していた為か急には下降せず、約
の可能性
100から200mLを出血し、患者の意識
がある
レベルが低下。緊急に脱血側よりゆっくり返
(低い) 血した。ブミネート点滴し、意識レベルは改
善した。当日はCCUへ入室しナイアガラカ
テーテルを挿入し、輸血する事となった。
透析途中にトイレまで車椅 ・体動の多い患者には頻回の
子で行き、トイレの後テー 観察と確認を行う。針の固
プ固定し直しており、抜針 定方法をテガダームと絆創
7分前に左側臥位になった 膏ではなく、リボンテープ
時もテープ固定、ルートな を 用 い て × 結 び を し、 針
ど再度確認していたが、抜 挿入部位をケーパインで固
針した。
定する方法に変更する。
<患者による自己抜去>
No. 1 一旦金属穿刺針が抜いたが、再び戻した手技のため、外套を破断した事例
○シャントを造設した患者は指先の循環が悪くなるため末梢の冷感への対応が必要である。また、
血液浄化療法を受ける患者は体外循環をしているので体温の調整が難しく、室温の管理だけで
は対応が難しい現状がある。
○当該事例では、スタッフ全員で腹水濾過濃縮再静注法の説明を受けているが、複数回に分ける
など、常時患者の状況を観察できる体制を組み説明会を開催するとよい。
<患者による自己抜去の可能性がある>
No. 2 内シャントに留置した2本の穿刺部位が近く、外套を破断した事例
○静脈圧下限警報は返血側の圧力を監視しているものであり、穿刺針が抜けることを監視する機
能ではないことを医療スタッフが知っておくことは有用である。
○毛布や布団の重みなどで回路が引っ張られ、穿刺針は抜けることはありうるので、可能な限り
穿刺部位は見えるようにしておくことが望ましい。
○穿刺針の固定方法は、
「透析施設におけるブラッドアクセス関連事故防止に関する研究」5)に「回
路にS字状のたるみを持たせる。穿刺針から伸びる血液回路を一旦Uターンさせて固定する。
穿刺針から伸びる血液回路にループを形成させて固定するなどの方法がある。」と掲載されて
おり、医療機関内で固定方法の検討の際に参考になる。
ⅲ 「治療中の意図しない抜針」の背景・要因
報告された事例の内容から主な発生・要因を「患者による自己抜去」「患者による自己抜去の可
能性がある」「自然抜去」について図表Ⅲ - 2- 19に整理した。
患者による自己抜去は、2例とも認知症の患者であった。患者による自己抜去の可能性がある事
例では、認知症は1件であり、他に患者の意識障害を背景とした事例はなかった。また、保温のため、
毛布や布団で穿刺部を覆っていたために確認ができなかったことを4件あげており、穿刺部の固定
や血液回路のループの固定が不十分であったことを3件あげている。自然抜去においても、毛布な
どで穿刺部を覆っていた3件、テープの固定5件であり、意図しない抜針の医療事故に対する背景
として共通する問題点が多いことが考えられる。
- 126 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼ 6 月)
また、毛布や布団で穿刺部を覆うことは観察がしにくいだけでなく、毛布等の重みや動きで血液
回路が牽引される可能性がある。また、意識障害がなく、理解力のある患者であっても食事や日常
動作の体動により、血液回路が牽引される可能性もある。このようにどのような患者であっても血
液回路の牽引の危険性は存在し、余裕を持ったテープ固定の工夫は有用であると考える。No. 2の事
例についての意見にあるように、
「透析施設におけるブラッドアクセス関連事故防止に関する研究」5)
では、回路にS字状のたるみを持たせる、穿刺針から伸びる血液回路を一旦Uターンさせて固定する、
穿刺針から伸びる血液回路にループを形成させて固定するなどの方法を掲載しているので、参考に
していただきたい。
図表Ⅲ - 2- 19 「治療中の意図しない抜針」の背景・要因
患者による自己抜去
○認知障害
2
・患者に認知症であることは知っていたが自己抜去予防策を実施していなかった。
○毛布・布団で穿刺部を覆っていた
1
Ⅲ
・穿刺部の腕が布団の中だったため、目視できなかった。
患者による自己抜去の可能性がある
○認知障害
1
○患者の体動
2
・食事のため横を向いた時に、左肩から背中に穿刺針と血液回路が繋がったまま身体の
下に敷きこまれた可能性があった。
・左側臥位(シャント側)で寝ていることが多く、圧力(抵抗)が高かった。
○テープの固定
3
・皮膚保護用テープを使用しているため固定の粘着力が弱かった。
・穿刺部位の固定に力がかからないように血液回路をループ固定していなかった。
○静脈の圧力
1
・シャント静脈側の圧力(抵抗)が高く針が抜けやすい状態であった。
○毛布・布団で穿刺部を覆っていた
4
・毛布や布団で穿刺部位を覆っていたため穿刺部の確認ができず、出血の早期
発見ができなかった。
・保温のため穿刺肢位にも布団を掛けていたため観察が十分できなかった。
- 127 -
血液浄化療法︵血液透析、血液透析濾過、血漿交換等︶の
医療機器に関連した医療事故
・固定がしにくい場所であり、テープ固定が不十分であった可能性があった。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
自然抜去
○テープの固定
5
・患者がテープかぶれを起こすので、通常より刺激の少ないテープを使用していた。
・ルート固定を刺入部と手首近くの2カ所しか行っておらず、圧がかかっている
ルートの固定としては不足していた。
・皮膚が弱く、テープでの皮膚損傷予防の為、必要最小限(6 箇所)しか固定し
ていなかった。
○患者の体動
1
・患者が持ち込んだラジオを自分でチューニングしたため、刺入部位の安静が
保てなかった。
○静脈の圧力
1
・通常より穿刺が深く進まず1cm 程度の浅い刺入で透析を開始した。
○毛布・布団で穿刺部を覆っていた
3
・透析側の腕は布団から出して観察しやすいよう説明していたが、
寒がりであり、
説明したことは常に守ることから布団で覆っても大丈夫と考えた。
・留置針の刺入部が毛布で覆われ目視できない状況であった。
○その他
1
・患者は体がむずむずし良く動いておりルートに負荷がかかった。
※ひとつの事例に複数の記載されている場合がある。
④改善策のまとめ
ⅰ 「穿刺時の部位間違い」の事例に報告された改善策
1)超音波検査やエックス線透視下での実施
○可能な限り超音波で血管の走行を確認する。
○超音波ガイド下での挿入を実施する。
○数人で透視下で確認しながら手技を実施する。
2)血管走行や経路の確認
○穿刺時には解剖学的な刺入点や脈管走行の確認を行う。
○スムーズなカテーテル挿入ができない際には、再穿刺やダイレーションを行い経路を確認する。
○動脈の蛇行を確認し、穿刺困難の際には、穿刺場所、穿刺者を変更するなど対応する。
3)手技・操作
○ガイドワイヤーの操作を慎重に行う。
○できるだけ大腿静脈へのカテーテル留置とする。
○カテーテルを挿入、留置する際は試験穿刺、本穿刺、拡張操作時の血流流出および動脈性
の拍動がないかを注意深く観察する。
○手技が困難と考える場合には助手をつけて処置を行う。
4)教育・指導
○カテーテル挿入の際には動脈への誤挿入の危険性があることを全員で確認し、さらなる注
意に努める。
- 128 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼ 6 月)
○穿刺する際は、できるだけ多くの上級医とともに手技を行う。
○穿刺に不安を感じた時には、必ず医師に確認をする。
○事例を全科全病棟に情報の共有を行った。
ⅱ 「穿刺時の外套・ガイドワイヤーの残存」の事例に報告された改善策
1)手技の確認
○中心静脈ルート挿入の基準策定を考慮と手技の確認を行う。
○ガイドワイヤーを確実に抜去したことを確認するようCVCの挿入、観察のためのチェック
シートの改訂を行った。
○穿刺時の内針が引き抜けるように動いたときは、その時点で抜針する。内針を元に戻さない。
○介助者は、術者からの穿刺針の外套抜去を確認してから次に使用するものを術者に手渡す事
を徹底する。
Ⅲ
2)エックス線写真での確認
○処置後のエックス線写真は担当医師が読影のポイントを明確にして記録する。
(位置・深さ・
異物の有無)血液浄化を担当する臨床工学技士もエックス線写真を確認し、カテーテルの位
置をチェックする。
3)教育
○研修医の全体研修時に定期的に静脈留置針の扱い方について説明する。
○部署内の医師のバックアップ体制、指導教育体制を守ってもらうよう徹底する。
1)固定方法の工夫
○テープの材質・固定方法をスタッフ全員で再検討。
○ラインの固定を2カ所行うことの指導を徹底する。
○針の固定方法をテガダームと絆創膏ではなく、リボンテープを用いて × 結びをし、針挿入
部位をケーパインで固定する方法に変更する。
○認 知 症 や 不 穏 状 態 に あ る 患 者 の 場 合 は, 通 常 の テ ー プ 固 定 に 加 え, 密 閉 フ ィ ル ム
(IV3000)を貼り十分固定する。
○安全な留置針の固定のため、穿刺から看護師が介助に入りテガダームとエラストテープに
よる固定を追加する。
○刺入部の安静が保ちにくい高齢者等は、患者の同意を得てシーネ固定を行う。
2)適切な穿刺針の留置
○観察は、ライン、穿刺部位を確認することを再度周知した。
○1cm 程度の針の刺入での透析は実施しない。
○表在化動脈をアクセスとするときは穿刺方向、固定など穿刺部位でのトラブルに十分な配
慮を行う。
- 129 -
血液浄化療法︵血液透析、血液透析濾過、血漿交換等︶の
医療機器に関連した医療事故
ⅲ 「治療中の意図しない抜針の事例」に報告された改善策
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
○鼠径部靭帯より大腿側に刺入部を造る。
○穿刺のサーフローを長針に変更し、留置部分を長くしたことで脱落防止とした。
3)穿刺部位の観察
○布団はかけないことを患者に説明する。患者および透析担当者に徹底し、寒さに対する対
策は部分的な保温などの対応を行う。
○刺入部が常に見えるようにし、寒いとの訴えに対しては臨床工学技士が送血温度をあげる。
○患者に協力を得て、穿刺部位は必ず布団から出しておく(患者一人一人へ文書を用い危険
性を説明して回った)。
○透析監視装置の警報がなった場合は必ず刺入部の状態・固定状況を目視確認し記録する。
4)患者の観察
○体動の多い患者には頻回の観察と確認を行う。体動の多い意識障害患者などの高リスク患者
では出血センサーの導入なども検討する。
○食前・食後、針・回路チェック後、リーダーに報告する(透析中に食事を摂らない患者も
対象とする)。
5)情報共有
○透析患者の定期カンファレンスや、毎日業務開始前や実施中にリーダーを中心とした情報共有
の場を設ける。
○特殊な状況でのシャント形成など、一般的な状況と異なる場合は、図示をするなど誰が見て
もわかりやすいものを患者ファイルへ残す。
○透析指示があった場合、事前に透析部門医師・臨床工学技士・透析認定看護師・診療科医師
と病棟看護師は、患者情報の共有を行う。
○認知行動がある患者は、病棟側からの申し送りやカルテの記載内容から問題、情報を共有する。
6)スタッフ間の連携
○患者観察の注意点など、臨床工学技士と看護師の連携をはかる。
○透析治療中は、常時2人以上で観察する。
7)ものの面からの工夫
○穿刺部位を保護でき、なお観察も容易にできるシーネ購入を検討する。
○漏血シートの使用を検討する。
8)その他
○ラジオ等の持ち込みがある時は、オリエンテーションを十分に行い、透析中の操作は看護師
が行う。
○体位変換時はカテーテルの刺入部を意識して行なう。
- 130 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼ 6 月)
(4) 血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した
ヒヤリ・ハット事例の現状
前回の報告書が対象とした29件に平成25年4月1日から6月30日の間に報告された血液浄化
療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)に関連したヒヤリ・ハット事例は44件を加えた73件
を医療事故と同様に分析、集計した(図表Ⅲ - 2- 20)。
医療事故同様に血液透析が52件と最も多く、持続的血液透析濾過が14件であった。
図表Ⅲ - 2- 20 血液浄化療法に関連したヒヤリ・ハット事例の種類
種類
件数
血液透析
52
血液濾過
0
血液透析濾過
0
持続的血液透析
0
持続的血液濾過
0
持続的血液透析濾過
Ⅲ
14
血漿交換
血液吸着
0
血漿吸着
不明
7
合計
73
①血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連したヒヤリ・ハット事例
報告された事例を、医療事故と同様に体外循環の流れから「バスキュラーアクセス」「血液回路」
「血液浄化器等」「装置」に分類し、さらに「バスキュラーアクセス」は「穿刺時」
「治療中」「抜去・
抜針時」として、事故の内容とともに図表Ⅲ - 2- 21に分類した。
- 131 -
血液浄化療法︵血液透析、血液透析濾過、血漿交換等︶の
医療機器に関連した医療事故
の発生状況
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅲ - 2- 21 血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した
ヒヤリ・ハットの発生状況
発生段階
事例の内容
穿刺時
バスキュラー
アクセス
治療中
血液透析 血液濾過
持続的 血漿交換
血液透析 持続的 持続的
血液透析 血液吸着
濾過 血液透析 血液濾過
濾過
血漿吸着
不明
計
部位間違い
0
0
0
0
0
0
0
0
0
損傷・出血
0
0
0
0
0
0
0
0
0
外套・ガイドワイヤー
の残存
0
0
0
0
0
0
0
0
0
その他
0
0
0
0
0
0
0
0
0
意図しない抜針
5
0
0
0
0
0
0
0
5
バスキュラーアクセス
と回路の接続はずれ
0
0
0
0
0
0
0
0
0
その他
0
0
0
0
0
0
0
0
0
カテーテル破損
0
0
0
0
0
0
0
0
0
その他
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
5
接続部の緩み・はずれ
2
0
0
0
2
0
0
0
4
誤った血液回路の使用
4
0
0
0
1
0
0
0
5
意図しない回路の閉
塞及び開放
4
0
0
0
1
0
0
0
5
血液回路の不具合
0
0
0
0
0
0
0
0
0
血液回路からの血液
漏れ及び空気の混入
1
0
0
0
2
0
0
1
4
その他
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
6
0
0
1
18
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
2
3
0
0
0
0
0
0
0
3
機器の不具合
0
0
0
0
0
0
0
0
0
その他
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
5
24
0
0
0
5
0
0
3
32
誤った管理・使用
3
0
0
0
3
0
0
0
6
保守・点検
1
0
0
0
0
0
0
2
3
装置の不具合
1
0
0
0
0
0
0
1
2
その他
2
0
0
0
0
0
0
0
2
31
0
0
0
8
0
0
6
45
52
0
0
0
14
0
0
7
73
抜去・抜針時
小計
血液回路
小計
接続部の緩み・漏れ
誤った血液浄化器等
の使用
血液浄化器等の血液
漏れ
血液浄化器等
(ダイアライザ・
フィルター等)
小計
設定及び操作の誤り
装置※
小計
合計
※装置は透析装置・血液透析濾過装置・血漿分画装置・吸着装置などを示す
- 132 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼ 6 月)
(5)「バスキュラーアクセス」に関するヒヤリ・ハット事例の内容
図表Ⅲ - 2- 21に示すように、平成25年1月1日から平成25年6月30日に間に報告された
血液浄化療法に関連したヒヤリ・ハット事例のうち「バスキュラーアクセス」に関する事例は5件で
あり、概要を図表Ⅲ - 2- 22に示す。
事例の内容はすべて治療中の意図しない抜針であり、患者の自己抜針は(事例1)
、抜針の状況は
不明確であった(事例2)
、針先の調整やテープ固定を医療者行う際に、予定外に針が抜けてしまっ
た(事例3―5)、であった。どの事例も抜去後の止血処置が適切になされたため、患者への影響が
軽微であったためヒヤリ・ハットで止まったと推測できた。
図表Ⅲ - 2- 22 バスキュラーアクセスに関するヒヤリ・ハット事例の概要
No.
事故の内容
背景・要因
改善策
意図しない抜針 / 患者による自己抜針
1
血液透析実施中、開始から 2 時間 45 分経過後、 患者は過去に自己抜針を行った ・自己抜針を行った患者に対す
患者及び他患者の透析機器を点検中、気泡アラー 経験のある患者であったが、そ る透析に当たっては、自己抜
ムが鳴り、自己抜針していることが分かった。
の情報が共有できていなかった 針のおそれが分かる記載を表示
ことが要因である。
し、病棟が変更しても職員に患
者の自己抜針の情報が共有でき
るよう連携を密にするよう指導
した。
意図しない抜針 / 自然抜去
2
意図しない抜針 / 医療者による意図しない抜針
3
透析のため、医師が穿刺、介助者が留置針のテー
プ固定を行った。その後、看護師から刺入部か
ら出血しているとの連絡を受け、針先の調節を
行っている際に静脈側留置針を予定外に抜針し
てしまった。
穿刺した際の留置針の刺入が浅 ・透析センター以外の職員で管
い印象であり、静脈圧が適正で 理することを極力避け、透析施
あったためテープ固定を施した 行中の針先などの調節を必要と
が、常に観察できる状況にな することから、透析スタッフ管
かったことが要因である。
理の下で行うように改善を図っ
た。
4
透析開始後、患者からのナースコールで訪室し 穿刺針が浅いと患者からの指摘 ・予定外抜針の再発防止に向け
た。静脈穿刺部から血液流出があり、穿刺部の があり、当初から挿入部よりじ て、テープの固定強化や再固定
処置を行う際、予定外の抜針となった。
わじわ出血していたが、再挿入 など観察だけに頼ることがない
やテープの再固定をしなかった ように指導した。
ことが要因である。
5
定期的に行っている血液透析中、返血側を右手 テープ固定の場所が不安定な場 ・固定テープを大きくして確実
手背静脈に穿刺していたが、静脈圧が上昇した 所であるため、確実な固定が必 に固定する。
ため針を引き気味にすると、下降したため、そ 要であったが怠った。
・指にかかるような場合は屈曲
の場所で看護師が固定した。針先を調節して固
させ、固定に影響がないか確認
定したテープが指にかかっていたため、患者が
し、確実に固定する。
屈曲させたとき針が引っ張られて抜けかけてし
・危険がある場合は、一人で判
まい、漏血したと思われる。漏血したのを臨床
断せずに他の人に確認してもら
工学技士が発見した。
う。
- 133 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
血液浄化療法︵血液透析、血液透析濾過、血漿交換等︶の
医療機器に関連した医療事故
透析中、穿刺部位を確認するときに、右手背の 入室時に留置物の確認が不足し ・入室時には患者の留置物を確
ロックルートが、抜けているのを発見する。本 たため、透析中の留置物管理が 認し、透析施行中も定期的に
人は入眠しており時折、寝返りをしていた。ルー 十分ではなかった。
観察する。
ト部位を触ったか問うと「憶えていない。そん
なのあった?」と答える。刺入部より出血はみ
られなかった。
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
(6)まとめ
血液浄化療法の医療機器に関連した医療事故やヒヤリ・ハット事例のうち、バスキュラーアクセス
に関する事例を分析した。バスキュラーアクセスに関する事例の中から、報告件数が多かった「穿刺
時の部位間違い」「穿刺時の外套・ガイドワイヤーの残存」「治療中の意図しない抜針」の 3 つに着目
し、事例の背景要因の整理して示した。穿刺時の部位間違いには、動脈と静脈の間違いの事例があり、
穿刺時の外套・ガイドワイヤーの残存では穿刺針の破断の事例があり、治療中の意図しない抜針は毛
布や布団で穿刺部が覆ってあることで観察が十分にできなかった事例などがあった。また、穿刺針の
外套の破損のイメージについて写真を掲載したので、院内教育の場で活用していただきたい。
バスキュラーアクセスに関するヒヤリ・ハット事例5件は治療中の意図しない抜針の事例であり、
抜針後の止血処置が適切になされたことにより、患者への影響が軽微であったためヒヤリ・ハットで
留まったと推測できた。
今後も継続して事例の収集を続け、専門分析班において、具体的ないくつかの分類の事例に焦点を
あてた分析を行っていくこととしている。
(7)参考文献
1. 日本透析医学会.「図説わが国の慢性透析療法の現況」2012年末の慢性透析患者に関す
る 基 礎 集 計(Online)
.available from < http://docs.jsdt.or.jp/overview/index.html >(last
accessed 2013-8-29)
2. 厚生科学特別研究.透析医療事故の実態調査と事故対策マニュアルの策定に関する研究.
平成12年度.
3. 日本透析医学会.「慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作製および修復に関するガイド
ラ イ ン 」 2 0 1 1 年 版(Online)
.available from < http://www.jsdt.or.jp/jsdt/17.html >
(last accessed 2013-7-16)
4.ハッピーキャスV添付文書 . 東郷メディキット株式会社 . 2011年11月改訂(第3版 )
.
5. 厚生科学特別研究.
透析施設におけるブラッドアクセス関連事故防止に関する研究.
平成19年度.
医療安全・医療技術評価総合研究事業 .
- 134 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
【2】 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での
観血的医療行為に関連した医療事故
血液凝固阻止剤、抗血小板剤は抗血栓療法等に使用される薬剤である。血液凝固阻止剤は、主とし
て静脈血栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓など)や、心房細動による心房内血栓からの脳塞栓(心原性
脳塞栓)の発症予防に用いられ、抗血小板剤は、主として動脈血栓症(脳梗塞、心筋梗塞、末梢動脈
血栓症など)の予防に用いられる。
血液凝固阻止剤、抗血小板剤は、投与量によっては重篤な副作用が発現しやすいことから、特に安
全管理が必要な医薬品であるハイリスク治療薬に位置づけられている。また、その適切な投与方法に
ついて日本循環器学会から「循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン」1)、
日本消化器内視鏡学会から「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」2)が公表され
ている。本事業においても、第20回報告書で「凝固機能の管理にワーファリンカリウムを使用して
いた患者の梗塞及び出血」をテーマとして取り上げて分析し、患者の凝固能を把握せずに投与してい
た事例があることなどを示すとともに、医療安全情報 No. 51「ワルファリンカリウムの内服状況や
Ⅲ
凝固機能の把握不足」でも、その内容を情報提供している。
そこで本事業では、平成24年7月から平成25年6月まで血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開
始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に関連した事例を個別のテーマとして取り上げ、事例
を継続的に収集し、分析した。
(1) 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的
医療行為に関連した医療事故の現状
与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に関連した事例を分析の対象としている。
① 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に関連した
事例の考え方
本分析で対象とする血液凝固阻止剤、抗血小板剤は、内服薬又は注射薬とし、それらの投与につ
いて現象としてとらえ「開始」
「継続」
「中止」
「再開」に分類した(図表Ⅲ - 2- 23)
。また、
「観
血的医療行為」とは、穿刺術、切開術、切断術、臓器摘出術、臓器移植術、生体組織診断(以下、
生検)を伴う内視鏡検査など、出血を伴うことが予測される治療、処置、検査とした。
ⅰ 開始
「開始」とは、観血的医療行為の実施に伴って、血液凝固阻止剤、抗血小板剤(本項目では
以下「薬剤」
)の投与を開始した事例である。観血的医療行為前に投与開始になった事例(図表
Ⅲ - 2- 23内の①)と、観血的医療行為中に投与開始になった事例(②)、観血的医療行為後に
投与開始となった事例(③)とがある。
ⅱ 継続
「継続」とは、観血的医療行為前から観血的医療行為後まで継続して薬剤を投与した事例であり、
同じ薬剤を継続投与した事例(以下「継続(同一薬剤)
」(④)と薬剤を変更して継続投与した事
例(以下「継続(薬剤変更)」)とがある。
- 135 -
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下︵開始、継続、中止、再開等︶での
観血的医療行為に関連した医療事故
本テーマでは、本事業に医療事故として報告された事例の中から、血液凝固阻止剤、抗血小板剤投
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
このうち「継続(薬剤変更)
」には、観血的医療行為前に薬剤を変更した事例(⑤)と、観血
的医療行為後に薬剤を変更した事例(⑥)、観血的医療行為前に薬剤を変更し、観血的医療行為
後に観血的医療行為前の薬剤に戻した事例(⑦)とがある。
ⅲ 中止
「中止」とは、投与していた薬剤を、観血的医療行為実施前に中止した事例(⑧)である。
ⅳ 再開
「再開」とは、観血的医療行為前または行為中に薬剤の投与を中止し、観血的医療行為後に再
度薬剤の投与を開始した事例であり、同一薬剤を再度投与した事例(以下、「再開(同一薬剤)
」)
(⑨)と異なる薬剤を投与開始した事例(以下、
「再開(薬剤変更)」)がある。このうち 「 再開(薬
剤変更)」 には、観血的医療行為後に再開した際に薬剤を変更した事例(⑩)と観血的医療行為
前に薬剤を変更したうえで、観血的医療行為後に再開した事例(⑪)とがある。
図表Ⅲ - 2- 23 観血的医療行為を実施する際の血液凝固阻止剤、抗血小板剤の投与パターンの分類
観血的医療行
為以前の投与
分類
開始
同一薬剤
継続
薬剤変更
中止
同一薬剤
再開
薬剤変更
観血的医療行為に伴う
薬剤の投与
前
中
後
①
-
薬剤A
②
-
-
薬剤A
③
-
-
-
④
薬剤A
⑤
薬剤A
⑥
薬剤A
⑦
薬剤A
薬剤B
⑧
薬剤A
中止
-
-
⑨
薬剤A
中止
-
薬剤A
⑩
薬剤A
中止
-
薬剤B
⑪
薬剤A
薬剤B
-
薬剤B
薬剤A
薬剤B
薬剤B
薬剤A
※矢印は投与の継続を示す。
※「-」は投与なしを示す。
② 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に関連する
事例の発生状況
本報告書では、第33回報告書で分析した本事業を開始(平成16年10月)から平成25年3
月31日までに医療事故として報告された血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、
再開等)での観血的医療行為に関連する事例218件に、本報告書分析対象期間(平成25年4月
1日∼6月30日)に報告された12件を加えた230件について分析を行った。報告された事例
を、図表Ⅲ - 2- 24に示す「開始」
「継続(同一薬剤)」
「継続(薬剤変更)」
「中止」
「再開(同一薬剤)
」
「再開(薬剤変更)」の投与パターンに則して集計した。また、手術室で全身麻酔や局所麻酔下に行
われる観血的医療行為を「手術」、手術室以外で行われる経皮的冠動脈形成術(PCI)や胸腔穿
刺などのカテーテル治療や穿刺術を「手術以外の治療・処置」とし、冠動脈血管造影や生検を伴う
内視鏡検査などを「検査」とし、投与された薬剤とともに発生状況を集計した。
- 136 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
投与パターンでは、
「継続(同一薬剤)」が72件、
「開始」が69件と多かった。観血的医療行為では、
「手術以外の治療・処置」が117件と最も多く、そのうち血液凝固阻止剤を使用した事例は87
件であった。続いて「手術」が71件であり、
そのうち血液凝固阻止剤を使用した事例は47件であっ
た。「検査」は42件であり、そのうち血液凝固阻止剤を使用した事例は25件であっ た。このよ
うに「手術」
「手術以外の治療・処置」
「検査」のいずれも投与された薬剤は血液凝固阻止剤が多かった。
図表Ⅲ - 2- 24 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的
医療行為に関連する事例の発生状況(医療事故として報告されたもの)
薬剤
開始
血液凝固阻止剤
抗血小板剤
両方
小計
血液凝固阻止剤
手術以外の
抗血小板剤
治療・処置
両方
小計
血液凝固阻止剤
検査
抗血小板剤
両方
小計
合計
手術
19
3
1
23
32
5
3
40
6
0
0
6
69
継続
同一薬剤 薬剤変更
5
14
3
2
0
6
8
22
30
13
12
0
3
0
45
13
12
1
6
0
1
4
19
5
72
40
中止
6
5
1
12
2
6
0
8
2
4
0
6
26
再開
同一薬剤 薬剤変更
0
1
2
0
0
1
2
2
0
1
0
0
1
0
1
1
2
0
1
0
0
0
3
0
6
3
不明
合計
2
0
0
2
9
0
0
9
2
1
0
3
14
47
15
9
71
87
23
7
117
25
12
5
42
230
③ 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に関連する
事例の患者への影響
る事例の事故の程度を集計した(図表Ⅲ - 2- 25)。平成24年1∼12月(1年間)の事例の事
故の程度(第32回報告書、図表 Ⅱ - 2- 15 事故の程度、48頁)と比較すると、医療事故報
告全体では「死亡」
「障害残存の可能性がある(高い)
」の割合が、それぞれ7.1%、11.8%で
あるのに対し、本テーマの事例では16.1%、25.2%と高かった。これらの事例は出血、梗塞
や心タンポナーデを起こした事例であった。このように、血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、
継続、中止、再開等)での観血的医療行為に関連する事例においては、報告された医療事故一般に
比べると患者に与える影響が大きいと考えられる。
図表Ⅲ - 2- 25 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的
医療行為に関連する事例の事故の程度
事故の程度
件数
%
死亡
37
16.1
障害残存の可能性がある(高い)
58
25.2
障害残存の可能性がある(低い)
62
27.0
障害残存の可能性なし
32
13.9
障害なし
28
12.2
不明
13
5.7
230
100.0
計
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
- 137 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下︵開始、継続、中止、再開等︶での
観血的医療行為に関連した医療事故
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に関連す
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
(2) 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下での観血的医療行為に関連する「中止」
「再開」
の医療事故事例の分析
ワルファリンカリウムなどの血液凝固阻止剤や、アスピリンなどの抗血小板剤を投与している患者
に対し、それらの薬剤を継続した場合に起こりうる事象と、中止した場合に起こりうる事象を総合的
に判断し、薬剤の投与を中止したうえで、治療や検査のために薬剤を中止して観血的医療行為を行っ
た後に、中止した薬剤の投与を再開することがある。
本報告書では、医療事故として報告された血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、
再開等)での観血的医療行為に関連した事例のうち、
「中止(既出、図表Ⅲ - 2- 23内の⑧)」と「再
開(既出、図表Ⅲ - 2- 23内の⑨∼⑪)
」の事例について取り上げて分析した。
①発生状況
医療事故として報告された血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)
での観血的医療行為に関連した医療事故のうち、
「中止」の事例は26件であり、そのうち、
「手
術」が12件と多く、「手術以外の治療・処置」が8件、「検査」が6件であった(既出、図表
Ⅲ - 2- 24)
。
「再開(同一薬剤)
」の事例は6件であり、そのうち、
「検査」が3件「手術」が2件「手術以
外の治療・処置」が1件であった。
「再開(薬剤変更)
」の事例は3件であり、そのうち、
「手術」
が2件「手術以外の治療・処置」が1件であった(既出、図表Ⅲ - 2- 24)
。
②「中止」
「再開」に関する事例の具体事例の紹介
医療事故として報告された事例のうち、「中止」「再開」の主な事例の概要を図表Ⅲ - 2- 26
に示した。
- 138 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅲ - 2- 26 「中止」「再開」の主な事例の概要
事故の
程度
No.
事故の内容
事故の背景要因
改善策
中止
患者の外来受診時に白内障手術の入院申し込
みを行った。その際、患者から「ワーファリ
ンは休薬した方がよいか?」と聞かれたた
め、「循環器内科の医師から休薬の許可が出
れば休薬した方が無難ですが、休薬は必須で
はありません。また内科の医師に聞いておい
て下さい」と説明し、対診依頼は出さなかっ
た。その後、外来受診はなく3ヵ月後に患者
は入院となったが、1 週前からワーファリン
を休薬しており、入院時のPT(INR)が
1.28となっていた。患者本人に話を聞い
たところ、ワーファリンの休薬について循環
器医師に相談せず、自己判断で中止したとの
ことであった。
1
障害なし
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下︵開始、継続、中止、再開等︶での
観血的医療行為に関連した医療事故
- 139 -
患者が自己判断でワーファ ・抗凝固剤に限らず、眼科手
リンを休薬することを想定 術の際に休薬が望ましいと
しなかった。また、後で分 思われる投薬が他院または
かったことだが、本患者は 他科からなされている場合
納豆が大好物で、ワーファ は、必ず当該主治医に連絡
リン服用中に納豆が食べら の上、休薬の可否について
れないことがずっと不満で 相談する。
あった。今回の眼科医の「休 ・文面でのやり取りを基本と
薬した方が無難」という発 するが、それが不可能な場
言をワーファリンを休薬す 合、相談内容とその結果を
れば納豆を食べることがで 眼科主治医がカルテに記載
きると解釈して、循環器医 する。
師に相談せずにワーファリ ・休薬については、患者本人
ンを休薬して、大好物の納 に対し、自己判断で休薬す
豆を思う存分食べていた。
ることはしないように説明
し、曖昧な発言はしないよ
うにする。
・抗 凝 固 剤 の 休 薬 に つ い て
は、白内障手術及び薬物硝
子体内注射を行う場合は、
抗凝固剤の休薬を行わな
い。
以上のことを、週に 1 回行
わ れ る 医 局 会( 眼 科 医 師、
眼科検査員、病棟師長、病
棟主任、外来師長が出席)
で、当該症例についてのプ
レゼンテーションを行い、
周知徹底した。
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
2
3
4
事故の
程度
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
事故の内容
事故の背景要因
改善策
狭心症、CABG後で、抗凝固剤(バイア
スピリン、プラビックス)を服用していた。
バイアスピリンは、1ヶ月前より服用を中止
していた。プラビックスも中止を指示してい
たが、一包化された薬剤の中に入っており、
中止されてなかった。生検前に抗凝固剤、内
服の有無を薬剤手帳で中止になっていること
を確認した。膀胱鏡による膀胱生検を実施し、
生検後に少し出血が多いと感じたが、抗凝固
薬は中止になっていることもあり、自然に止
血すると判断した。生検後に帰宅した患者か
ら、夕方より尿が出ず、粘りのある出血があ
ると電話があり、受診を指示した。診察を行
障害なし い、膀胱タンポナーデと診断し、バルンカテー
テルを留置、膀胱洗浄を行いコアグラを大量
に排出し、持続膀胱洗浄で、血尿は一旦改善
した。再度、薬剤手帳を確認した際に、一包
化の記載がありプラビックスが含まれていた
事に気がついた。しかし、患者に薬局でプラ
ビックスを除いてもらった事を確認した。血
尿が増悪したため、手術室で経尿道的電気焼
灼術を施行し、3WAYバルンカテールを留
置し、持続膀胱洗浄を継続した。翌日、薬剤
科に持参薬確認をしてもらうと、プラビック
スは一包化がされたままであり、抗凝固剤を
内服していたことが発覚し、プラビックスを
中止した。1週間後に軽快退院した。
易出血性の血管を摘んでし ・細心の注意をはらいつつ
まい、通常は止血しうるが、 施行するが、完全に防止は
抗凝固剤が継続されており、 できないと思われるので、
出血が止まりにくかったた 十分なICと迅速に対応し
めに、膀胱タンポナーデに ていくことが重要である。
なったと思われた。
・今回の生検は、抗凝固剤
の内服中でも行う検査では
ある。抗凝固剤の内服の確
認は、お薬手帳で 2 度行っ
たが、患者の年齢等を考え
るとその場で現物の確認が
望ましい(外来薬剤師の配
置を望む)。
・抗凝固剤内服下の患者に
生検を施行した場合は、生
検後の出血が強ければ経過
観察入院も考慮する。
手術予定。抗凝固剤服用中にて、2週間前に
内服中止となる。一包化していたため、薬剤
部に抗凝固剤を抜いて貰うように依頼した。
抗凝固剤を抜いた状態で薬剤部より薬が届
障害なし き、確認せずそのまま術前まで内服させた。
術後に薬が再開となり、再度薬の中身を確認
したところ、抗凝固剤が0.5錠入っている
のが発覚した。
他の病棟から転棟した患者 ・マニュアルを遵守する。
であり減量になった薬剤を
申し受けており、確認してい
ると思った。一包化されて
いる薬の個数の確認をしな
かった。薬剤部で確実に減
量されていると思い込んだ。
減量を依頼する際に、薬剤
情報を添付せずに依頼した。
7年前に他院で腎移植を行った患者が、PSA
高値となったため、腎生検で移植腎組織診断
と同時に前立腺生検を行う予定だった。入院
後、病棟で患者の持参薬確認を薬剤師が行っ
た。その日は通常の病棟担当薬剤師ではな
かった。リーダー看護師は持参薬確認を行っ
た薬剤師に患者の入院目的を伝え忘れた。患
障害残存 者の担当看護師は検査前の準備に入り、腎移
の可能性 植チームの医師から依頼された一般泌尿器科
がある 医師がサドルブロックを実施した。ブロック
(低い) 後に担当看護師が、持参薬確認用紙を見て、
患者がバイアスピリンを休薬していないこと
がわかった。担当医師に連絡し、生検は延期
となり、患者は退院となった。
主治医は外来で免疫抑制剤 ・生 検 で 入 院 す る 患 者 は、
の指示に気を取られ、また 入院前の外来で医師・看護
前立生検と腎生検を同時に 師が必ず処方画面を確認す
行うため多くの書類作成が る。
必 要 で、 多 忙 だ っ た た め、 ・患者が抗凝固薬について
バイアスピリンの休薬を忘 分かりやすい案内用紙を作
れた。外来看護師は主治医 成する。
から何も指示がなかったこ ・病棟では、医師・看護師・
とと、患者から「抗凝固薬 薬剤師が相互に患者の入院
は飲んでいない」という返 目的を確認し合い、持参薬
答を信じ、処方画面を確認 確認表を確認する。
しなかった。病棟で薬剤師 ・電子カルテシステムで抗
は入院目的を自分で確認し 凝固薬については色に変化
なければならないとは思っ を付ける、またはアラート
ていなかった。病棟でサド 機能がつけられないか検討
ルブロックを実施した医師 する。
は、依頼された医師から注 ・手術チェックリストに「抗
意事項を何も言われなかっ 凝固薬・休薬の有無」チェッ
たため、そのまま実施した。 ク欄を設ける。
- 140 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
No.
5
事故の内容
障害残存
の可能性
がある
(低い)
患者は、僧帽弁狭窄症、三尖弁閉鎖不全症の
手術ため、手術予定日の1週間前に入院した。
しかし、入院日に患者の手術は、他患者の手
術状況から、当初の予定日より3日後に行わ
れることが決まった。患者は、朝食後にワー
ファリン4mgを服用していた。当該部署で
は、通常ワーファリンを服用している心臓手
術患者は、手術予定の1週間程前に入院し、
入院日に薬の中止が指示され、ヘパリンが投
与されていた。患者の担当医は、入院時に手
術が延期になったため、ワーファリン内服は
指示あるまで継続すると指示した。そのため
看護師は、中止の際は指示が出ると思い、与
薬時に指示を確認し、他の薬と一緒に一包化
されたワーファリンを与薬していた。麻酔科
医師は、変更された患者の手術は月曜日だっ
たため、手術3日前の金曜日に患者を訪問し
た。麻酔科医師は、患者のカルテをチェック
した際、カルテ上でワーファリンが中止され
て い な い こ と を 認 識 し た。 し か し、 麻 酔 科
医 師 は、 心 臓 手 術 の 際 は 抗 凝 固 剤 を 停 止 す
るのは常識であり、カルテの記載がないだけ
で、中止されているだろうと思い、担当医に
薬の中止を確認しなかった。手術当日の朝、
カルテを再確認した麻酔科医師は、薬が中止
された様子がなかったため、手術室看護師に
病棟への確認を依頼した。手術室看護師は、
8時30分ごろ、患者を手術室へ案内した病
棟看護師と担当医に、ワーファリン中止を確
認した。担当医が病棟リーダー看護師に確認し
たところ、入院3日目に指示すべき薬剤中止
指示が出ておらず、ワーファリンは手術前日
の朝まで服用されていた事が判明した。担当
医、執刀医と麻酔科医師が協議を行い、止血
検査の結果(APTT:143、PT:23、
I N R: 2.3 1)、 ケ イ ツ ー 4 0 m g と
FFPの投与を行い、予定通り手術が行われ
ることになった。手術は止血状態を確認しな
がら行われ、血圧110∼80/50∼40
m m H g、 脈 拍 6 0 ∼ 7 0 回 / 分 で 経 過 し
た。手術中の出血量は、ガーゼ420g、吸
引50m L、セルセーバー850m L(うち返
血250m L)、輸血量はRCC1,400m L
(うち人工心肺充填8単位)、FFP1,440
m L、 血 小 板 4 0 0 m L で あ っ た。 手 術 は、
1 4 時 3 0 分 に 終 了 し、 患 者 は I C U に 入
室した。術後ドレーンからの出血が2時間で
1,000m L あり、血圧低下、CVPの上昇
を認めた。経食道エコー検査が行われ、心周
囲に血腫貯留が認められ、心タンポナーゼが
判明したため、18時30分、緊急止血手術
が行われた。右側胸壁2カ所からの出血が確
認され、止血が行われ、患者は21時05分
にICUに入室した。しかしICUに帰室後
より再度、ドレーンからの出血が続き、1時
間で1,000m L 認めたため、22時に再々
止血術が行われた。骨膜からの動脈性の出血
と、肋間にかけられたワイヤー刺入部の2カ
所からの出血が認められた。止血術が行なわ
れ、患者は23時35分にICUに入室した。
入室後バイタルサインは安定して経過した。
事故の背景要因
- 141 -
改善策
手術延期により、通常入院 ・担当医は患者の手術日が
日に中止する薬剤を継続使 再度決定した日に、中止薬
用したため、中止指示のきっ 剤を確認する。
かけがなくなり、担当医は ・担当医は、患者にも術前
うっかり中止指示を出し忘 中 止 薬 が あ る こ と を 説 明
れた。看護師は、通常、術 し、患者からの注意喚起も
前中止薬は担当医から指示 期待する。
があり、看護師から薬剤中 ・麻酔科医師は、術前訪問
止について確認することが 時に術前中止薬の中止を確
少なかったため、担当医か 認する。
ら薬の中止の指示が出ると ・看護師は、患者の処方薬
思いこんだ。看護師の与薬 の薬理作用を理解して配薬
行為が機械的になっていた する。
ため、ワーファリン中止の ・看護師は術前に中止が必
必要性が認識されず、担当 要な内服薬を把握し、医師
医師に確認が行われなかっ に確認する。
た。麻酔科医師は、通常ワー ・当該部署は、術前に抗凝
ファリンは中止されて手術 固 薬 や 抗 血 小 板 薬 の 中 止
室に搬入されるため、中止 が チ ェ ッ ク 出 来 る よ う に
されているであろうと思い チ ェ ッ ク リ ス ト を 改 定 す
こみ、担当医に確認しなかっ る。
た。部署でワーファリンは、 ・術 前 中 止 薬( 抗 凝 固 剤・
単剤のヒートで薬袋に入っ 抗血小板薬など)は常用薬
ていることが多く、患者の とは別の薬袋を作成し、薬
場合は、他の朝食後薬と一 袋に手術日を示すようにす
緒に一包化されていたため、 る。
看護師のワーファリンに対
する認識が低くなった。担
当医と執刀医、麻酔科医師
が話し合い、ケイツーとF
FPの投与をしたうえで手
術が行われたが、判断した
状態を上回った。
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下︵開始、継続、中止、再開等︶での
観血的医療行為に関連した医療事故
事故の
程度
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
6
7
事故の
程度
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
事故の内容
事故の背景要因
改善策
抗凝固剤を中止せずEMRを施行し後出血を
起こした。患者は以前、内視鏡的粘膜下層剥
離術(ESD)を施行した。その後のフォ
ローアップのために呼吸器内科入院中に大腸
内視鏡検査を施行し、内視鏡的切除(EMR)
適応のポリープを指摘された。しかしながら
プラビックスを内服していたため、観察のみ
で終了した。その際にESDの主治医であっ
た消化器内科医師より次回抗凝固剤を中止し
た状態でのEMR目的の大腸内視鏡検査予約
された。同意書については入院中の主治医で
障害なし
あった呼吸器内科医より説明されたがその時
点でも理解が十分に得られなかっられなかっ
た(抗凝固剤内服の有無のところに、
「わか
らない」と記載されている)。当日、プラビッ
クスが投与されたままEMRが行われ、2日
後に下血にて当院救急を受診。大腸内視鏡に
てEMR後の後出血と診断され、内視鏡的止
血術を施行し、同日入院となった。
再検査を予約する際、予約 ・検査予約医がカルテに抗
し た 消 化 器 内 科 医 師 よ り、 凝固剤中止の依頼を記載す
患者に対して抗凝固剤中止 る。
の説明を行ったが、カルテ ・将来的に検査予約時に抗
にその旨が記載されておら 凝固剤内服の有無の入力を
ず、直接検査予約に関わっ しないと検査予約できない
ていない呼吸器内科主治医 ようにするオーダ方法の変
による同意書説明の際、抗 更を要望していく。
凝固剤中止についての指示 ・問診票の看護師による前
ができなかった。抗凝固剤 日、検査医による施行直前
内服については看護師が検 の確認を徹底する。
査前日にカルテ記載より確 ・患者用チェック票を作成
認することになっていたが、 して確認を促す。
今回確認ができていなかっ ・検査予約時のカルテ記載
た。内視鏡施行医師が検査 のみでは今回の様に数ヶ月
直前に問診票を確認するこ 後の検査時に記載を見逃す
とになっていたが、今回確 可能性があるため、今後、
認ができていなかった。検 検 査 予 約 に 特 化 し た コ ー
査説明から検査当日までに ディネータ設置を要望して
期間が空いていたが、その いく。
間、抗凝固剤内服の有無を
確認できる者がいなかった。
右大腿骨頸部骨折で施設より緊急入院。医師
は、電子カルテ内でバイアスピリン中止の指
示を出した。入院を受けた看護師 A は、家
族より持参薬を受け取った。持参薬の取り扱
いは、時間内(平日 8:30 ∼ 17:00、土曜
日 8:30 ∼ 12:00)と時間外で異なる。時
間内の入院の持参薬は、薬局に提出するが、
当事例は時間外であったため、病棟で処理す
ることとなった。持参薬にバイアスピリンが
あることを確認したが、
「内服薬の中からバ
イアスピリンを抜く処理は、他の入院処理が
終了してから実施しよう」と思い、薬袋にバ
イアスピリン中止のことを記入せず、また
障害なし セットすることなく配薬カートに入れた。他
の看護師 B が、配薬カートの個人ボックス
に他の薬と一緒に(バイアスピリンは抜かれ
ないまま)セットした。月曜日、薬局担当者
(当該病棟担当薬剤師)が、内服薬チェック
時にバイアスピリン中止の指示に気づき、配
薬カートを確認するとバイアスピリンを抜い
ていない状況でセットされており、2回投与
された。電子カルテ上、手術前の休薬に関し
ては、患者情報の禁忌欄に手術禁忌項目とし
て登録されていれば、手術オーダ画面が開い
た時点で「手術前に休薬が必要な薬剤を服用
中の患者です」と表示されるが、今回は記載
がなかった。
内服の薬袋にバイアスピリ ・手術目的であることをしっ
ン中止のコメントは記載さ かり把握し気に留めながら
れていなかった。内服セッ 内 服 チ ェ ッ ク を 行 っ て い
ト者のサインがない。バイ く。
アスピリン中止の指示を把 ・内服セット者または受け
握していなかった。
持ち看護師は誰が見ても分
かるように薬袋への記載、
または張り紙をし注意喚起
を行う。
・術前に内服中止薬のある
患者の一覧表を作成する。
・電子カルテシステムでの
改善として、手術オーダ画
面に「休薬確認」のような
入力項目を追加して、必須
入力とする方法を検討す
る。
- 142 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
事故の
程度
事故の内容
障害残存
の可能性
がある
(高い)
全身性エリテマトーデスの悪化のため内科
へ緊急入院となった患者。入院時より深部
静脈血栓症に対して持続点滴でヘパリン投与
(1万単位/日)を開始した。軽度の見当識
障害があり中枢神経ループスが疑われ、神経
内科に髄液検査の依頼がされた。当日の血小
板数は5.5万であった。神経内科医の指示
で、10:30 か ら ヘ パ リ ン を 中 止、11:30
に腰椎穿刺を行い髄液を採取し、13:15 か
らヘパリン点滴を再開した。当日の処置係
の神経内科医が、患者に検査の方法について
説明した際、出血の可能性について説明しな
かった。同日夜から腰痛を認め、その後ベッ
ドサイドでの転倒 2 回、排尿障害、両下肢
麻痺が出現した。内科医は、腰痛が出現した
時点で、腰椎穿刺による出血を疑わず、両下
肢麻痺が出現した時点で神経内科にコンサル
トした。CTを施行したが転倒による骨折は
認めず、MRにて腰椎部に硬膜外血腫を認め
た。整形外科に紹介し緊急手術で血腫除去術
を行った。血腫除去術は、腰椎穿刺の3日後
であった。現在も両下肢麻痺・膀胱直腸障害
は継続している。
No.
事故の背景要因
改善策
再開
8
腰椎穿刺時のヘパリン休止 ・腰 椎 穿 刺 実 施 の 際 に は、
期間について神経内科では インフォームドコンセント
明確な取り決めがなかった。 を行い同意書を取る。
軽度の見当識障害がある患 ・事例をリスクマネジャー
者に、口頭で検査の説明を 会議で報告し職員に周知す
行ったが、患者家族に説明 る。
を行い同意書を取っていな ・ヘパリン停止の期間の取
かった。腰痛が出現した時 り決め(各診療科に関連し
点で硬膜外血腫を疑うこと たガイドラインに沿って取
ができなかった。依頼した り決める)。
内科と依頼を受けた神経内 ・侵襲のある検査・処置に
科の医師間で患者の病状等 ついてのインフォームドコ
について話し合うことがな ンセント、同意書の取得を
かった。
行う。
・診療科間で情報の共有を
行う。
10
患者は足趾潰瘍の加療のため、当院皮膚科に
入院していた。心房細動があり、当院の循環
器内科にてプラザキサで加療中であった。腎
障害残存 機能障害の急激な進行を認めたため、腎臓内
の可能性 科にコンサルトした。腎生検を考慮してプラ
がある ザキサの中止が指示された。翌日、腎生検は
(高い) 中止となったがプラザキサは再開されなかっ
た。2週間後、早朝にベッドから転落してい
るところを発見した。左半身麻痺を認め、心
原性脳梗塞と診断された。
薬 剤 に 関 す る 知 識 の 不 足。 ・塞栓症のリスクがある場
D-dimer な ど 血 栓 の リ ス ク 合、抗凝固薬中止前に心房
の経過を追う経時的な採血 内血栓の確認や代替治療に
をしていなかった。内科に ついて循環器内科にコンサ
薬剤管理を任せてしまって ルトする。
いた。
・血 栓 傾 向 の 確 認 の 為 に
D-dimer の測定を行う。
- 143 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下︵開始、継続、中止、再開等︶での
観血的医療行為に関連した医療事故
自分は投薬ミスは起こさな ・チーム内の医師によるダ
いだろうという過信による ブルチェックを行う。
確認ミス。他科からのオー ・他科からのオーダに関し
ダとして、自ら計算しなかっ ても自ら再度計算し確認す
た。
る。
9
患者はワーファリン服用していたため、S 状
結腸癌術前より心臓外科医から術後可能な限
り速やかにヘパリンを開始するように指示さ
れていた。術翌日にヘパリン開始の指示を得
たが、投与量の指示はなく、依頼票の指示「ヘ
パリン3mL静脈注射した後、ヘパリン原液
障害残存 0.5持続」を「ヘパリン3mL静脈注射し
の可能性 た後、ヘパリン原液3持続」と指示を出して
がある いた。麻酔科の指示により、午後 9 時にヘ
(低い) パリンを止め、翌日9:30、硬膜外カテー
テルを抜去。午前 11 時再開。翌日夕方より
ドレーンの性状がやや血性であること、ド
レーン刺入部のガーゼが赤いことに看護師が
気づき、医師に報告、ヘパリンを中止し、オー
ダを確認したところ過量投与が判明した。
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
11
事故の
程度
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
事故の内容
事故の背景要因
患者が発作性心房細動を合併しており、ワー
ファリンを内服中であったため、入院 後に
ワーファリンを中止し、持続的にヘパリンを
投与していた。PCI術直前にヘパリンを中
止し、PCIの術前造影後にヘパリンの再投
与を考えていたが、造影後にヘパリンの再投
障害残存
与を忘れ、抗凝固治療の追加をせずにPCI
の可能性
の施行を継続してしまった。PCI開始後
がある
1時間程度たった後、ステントの冠動脈内留
(低い)
置後にステント内に血栓が発生し、ヘパリン
の投与と冠動脈内の血栓吸引を行なったが、
冠動脈末梢に塞栓が飛び、胸痛、心電図異常
が持続した。血栓吸引とバルーン拡張により
冠動脈血流の改善をはかり、血流を回復して
手技を終了した。
改善策
PCI術前にヘパリンによる ・術者と助手の双方が術前
抗凝固治療を行なうが、そ に必要な薬剤投与を行なっ
の投与を忘れ、抗凝固治療 たか確認を行なう。
の追加を行なわずにPCI ・PCI前に看護師より投
治 療 を 継 続 し て し ま っ た。 与薬剤についての確認を必
記録している看護師からも ず術者に行なうことを徹底
指摘がなかった。
する。
③ 医療事故として報告された「中止」「再開」に関する事例の分類
本事業でいう医療事故とは、過誤および過誤を伴わない事故の両方が含まれるため、本テーマで
集計している事例には、次の3つ全てに該当する事例が報告されている。
ア)ガイドラインで推奨されている投与内容に基づいている
イ)医師が意図した通り行われている
ウ)発症した病態を現病で説明できる
そこで、
報告された「中止」
「再開」の事例について、
「ア)∼ウ)すべてに該当する事例」と「ア)∼ウ)
のいずれかに該当しないことが明らかな事例」、報告された事例の内容からはア)∼ウ)のいずれ
かが不明であり判断できない事例を「不明」として分類した(図表Ⅲ - 2- 27)
。
「中止」では、
「ア)∼ウ)すべてに該当する事例」は6件、
「ア)∼ウ)のいずれかに該当しな
いことが明らかな事例」は12件であり、詳細がわからない事例8件を「不明」とした。「中止」の「ア)
∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例」は、ワーファリンやバイアスピリンを中止す
ることを忘れたために手術や生検が中止になった事例や、複数の血液凝固阻止剤、抗血小板剤を中
止すべきところ一部しか中止できていなかった事例などである。
「再開(同一薬剤)
」では、
「ア)∼ウ)すべてに該当する事例」は1件、
「ア)∼ウ)のいずれか
に該当しないことが明らかな事例」は2件、詳細がわからない事例3件は「不明」とした。
「再開
(薬剤変更)
」では、「ア)∼ウ)すべてに該当する事例」は1件、「ア)∼ウ)のいずれかに該当し
ないことが明らかな事例」は2件であった。「再開」の「ア)∼ウ)のいずれかに該当しないこと
が明らかな事例」は、血液凝固阻止剤、抗血小板剤の再開を忘れた事例、再開したが投与量が多かっ
た事例などである。
- 144 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅲ - 2- 27 「中止」「再開」の事例の分類
分類
ア)∼ウ)すべてに該当する事例
中止
ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例
件数
6
12
不明
8
ア)∼ウ)すべてに該当する事例
1
同一薬剤 ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例
合計
2
不明
3
ア)∼ウ)すべてに該当する事例
1
26
6
再開
薬剤変更 ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例
不明
2
3
0
Ⅲ
④「中止」の事例の背景・要因
「中止」の事例のうち、ここでは「ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例」の
12件の事例の背景・要因を分析した。
「中止」の事例を、血液凝固阻止剤、抗血小板剤を「中止した」「一部中止していなかった」「中
止していなかった」の3つに分類したところ、「中止していなかった」事例が7件と多く、「一部中
止していなかった」事例が3件、「中止した」事例が2件であった(図表Ⅲ - 2- 28)
。
図表Ⅲ - 2- 28 中止の実施
件数
中止した
2
一部中止していなかった
3
中止していなかった
7
合計
12
さらに、12件の事例について「ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例」に分
類した理由を集計した(図表Ⅲ - 2- 29)
。
「中止した」事例は、患者の自己判断で中止していた事例や、中止指示は出したが、血液凝固阻止剤、
抗血小板剤の中止後のリスクを考慮せず、観察を怠っていた事例であった。
「一部中止していなかった」事例は3件あり、それらは複数の薬剤の中止の指示が出されていた
ところ、一部の血液凝固阻止剤、抗血小板剤は中止したが、一部の血液凝固阻止剤、抗血小板剤が
取り除かれていなかったために継続投与となった事例であった。
「中止していなかった」事例にも、
同様に中止する薬剤を取り除かなかった事例が1件あった。
「中止していなかった」事例は、医師が中止の指示を出していなかった事例が4件と多く、本来
中止して観血的医療行為が行われるところ、血液凝固阻止剤、抗血小板剤が継続して投与された事
例であった。また、患者に中止の説明を行ったが、患者が飲み続けていた事例が2件あった。患者
が中止する薬剤の効果を重要視するあまりに、自己判断で中止しない選択をしてしまうことも考え
- 145 -
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下︵開始、継続、中止、再開等︶での
観血的医療行為に関連した医療事故
中止の実施
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
られるため、なぜ、中止するのかという中止の目的や、中止しなかった場合の危険性も合わせて説
明する必要がある。
図表Ⅲ - 2- 29 ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかと考えられた理由
中止の実施
理由
件数
1
中止した
医師が薬剤を処方した他の医師に確認するよう患者に依頼したため、
患者が自己判断で薬剤を中止していた
薬剤の中止後、患者の観察を看護師が怠った
1
中止する複数の薬剤のうち、一部を薬剤師が取り除かなかった
3
医師が中止の指示を出していなかった
4
医師または看護師が中止するよう患者に説明したが、患者は飲み続けていた
2
中止する薬剤を看護師が取り除かなかった
1
一部中止して
いなかった
中止して
いなかった
合計
12
※「薬剤」とは、血液凝固阻止剤や抗血小板剤を指す。
「中止した」
「一部中止していなかった」
「中止していなかった」それぞれの事例の観血的医療行
為の内容、患者の影響をまとめ、事例の背景・要因と合わせて記載しているので、参考にしていた
だきたい(図表Ⅲ - 2- 30)
。
「中止した」事例は、どちらもワーファリンを5日前または7日前に中止していたが、1件は
白内障手術の入院前に、眼科の医師が患者に「ワーファリンの休薬は必須ではないが、内科の医師
に確認するように」と説明したところ、患者が自己判断で中止していた事例、1件はワーファリン
を中止後に観察を怠り、脳梗塞の発見が遅れた事例であった。中止の判断や確認を患者に委ねるの
ではなく、観血的医療行為を行う担当医師が判断するか、もしくは血液凝固阻止剤、抗血小板剤の
投与を指示している医師に自ら確認する必要がある。また、血液凝固阻止剤、抗血小板剤は、原疾
患の治療のために投与されているのであって、観血的医療行為を行うために血液凝固阻止剤、抗血
小板剤を中止することにより高まるリスクを十分に考慮したうえで観察を行い、異常を早期に発見
することが必要であろう。
「一部中止していなかった」事例は、バイアスピリンとプラビックスの中止指示を出したが、患
者が依頼した調剤薬局では一包化された袋からバイアスピリンのみ中止し、プラビックスを取り
出していなかったために中止できていなかった事例や、薬剤部で一包化された薬剤の中から中止に
なったワーファリンを取り除いてもらったが、0.5錠の薬剤が残ったままとなり継続投与した事
例であった。観血的医療行為を行うために血液凝固阻止剤、抗血小板剤を中止することを説明する
場面は外来が多いことから、患者自身が調剤薬局で中止の説明ができるよう中止する薬剤名を紙に
書いたものを渡すなどの工夫が必要であろう。また、薬剤師が中止になった薬剤を取り除いたとし
ても、看護師も患者に投与する薬剤師がの内容を確認する必要がある。
「中止していなかった」事例は、No. 9のように医師が手術前にワーファリンの中止指示を忘れ、
看護師は指示がないので継続だと思い込み、麻酔科医は中止指示がないことに気付いたが、カルテ
に記載がないだけだろうと思い込んだため、手術当日まで内服を続けていた事例などがあった。観
血的医療行為前に医師が血液凝固阻止剤、抗血小板剤を中止する指示を出し、看護師が指示を受け、
- 146 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
薬剤師または看護師が該当薬剤を取り除き、投薬前に看護師が確認するという一連の業務の流れを
途絶えることなく正確に行うことが必要である。
図表Ⅲ - 2- 30 「ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例」の事例の内容
中止した時期
と薬剤
観血的医療行為
の内容
影響
背景・要因
中止した
1
7 日前∼
ワーファリン 白内障手術
を中止
2
5 日前∼
ワーファリン 腎生検
を中止
詳細不明
○眼科医師は患者に「ワーファリンは中止した方が無難だが、必須
ではない。内科の医師に確認してください」と説明し、内科医師
に診察依頼はしなかった。
○患者は納豆が大好物だったため、医師の言葉を都合よく解釈し、
納豆を食べるため自己判断で中止した。
脳梗塞
○看護師はワーファリンの内服中止後に定期な観察を行っていな
かった。
○看護師は、家族から様子がおかしいと言われたが、脳梗塞を起こ
しているとは考えていなかった。
○医師は薬剤の中止指示後の観察指示を出していなかった。
Ⅲ
一部中止していなかった
3
4
(時期不明)
ワーファリン
膀胱癌手術
を中止、バイア
スピリンを継続
○ワーファリンは 1 ヶ月前から中止していた。
○患者が院外薬局で抗血小板剤を抜くよう依頼したが、一包化され
膀胱内出血
た薬剤の中にプラビックスが入ったままになっていた。
○医師はお薬手帳でプラビックスが中止になっていると確認し、現
物の確認は行わなかった。
詳細不明
○医師は口頭で患者にワーファリンとバイアスピリンを中止するこ
とを説明した。
○患者は調剤薬局でワーファリンの中止の指示のみ伝え、バイアス
ピリンは中止と伝えなかった。
2週 間 前 ∼
ワーファリン 腹 膜 透 析 の
詳細不明
を中止
(1錠)
、 チューブ挿入術
0.
5錠を継続
○薬剤部に一包化された薬剤の中からワーファリンを抜いてもらう
よう依頼したが、一部のみ抜き取り0.5錠が残っていた。
○看護師は薬剤部から戻ってきた薬を確認せず内服させた。
中止していなかった
6
7
8
プラビックス
を継続
内視鏡検査
バイアスピリン
前立腺生検
を継続
ワーファリン
を継続
○医師はプラビックス中止の指示を出していなかった。
治 療 に影 響
○看護師はプラビックスが抗凝固剤だと認識していたが、検査と結
(内視鏡検査
びつかなかった。
のみで組織
○カメラ施行中に内服中であることに気付き、組織検査は行わな
採取中止)
かった。
○主治医は他薬剤の指示に気が取られたこと、多くの書類が必要で
多忙だったことから、バイアスピリンの休薬の指示を忘れた。
治療に影響 ○看護師は、患者の「抗凝固剤は飲んでいない」という言葉を信じ、
(検査延期) 画面を確認しなかった。
○薬剤師は患者の入院目的を確認しなければいけないと思っていな
かった。
治療に影響
○循環器内科医師から、ワーファリン中止の指示がなかった。
大動脈弁狭窄症 ( ケ イ ツ ー
○薬剤の管理が看護師に任されていた。
の手術
投与し手術
○循環器外科と循環器内科の医師の連携が不足していた。
施行)
- 147 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下︵開始、継続、中止、再開等︶での
観血的医療行為に関連した医療事故
5
1ヶ 月 前 ∼
ワーファリン
を中止、プラ 膀胱粘膜の生検
ビックスを
継続
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
中止した時期
観血的医療行為
の内容
9
ワーファリン
を継続
○看護師は中止の指示が出ると思っていた。
術中出血多
○麻酔科はワーファリンが中止されていないことに気付いたが、記
く、術後に
僧 帽 弁 狭 窄 症、
載していないだけで中止されているだろうと担当医に確認しな
ドレーンか
三尖弁閉鎖不全
かった。
らの出血と
症の手術
○担当医はうっかり指示を出し忘れた。
心タンポ
○薬が一包化されていたため、ワーファリンの認識が低くなった。
ナーデ
○ケイツーと FFP の投与で手術可能としたが、
判断を上回っていた。
10
ワーファリン
を継続
心臓カテーテル 治療に影響
撮影検査
(検査延期)
11
○消化器内科医師はプラビックス中止の説明を患者にしたが、カル
テには記載しなかった。
○呼吸器内科医師は、同意説明の際にプラビックスについて確認し
なかった。
EMRの
プラビックス 内 視 鏡 的 切 除
○看護師は検査前日にカルテを確認することになっていたが、して
2 日後に下
を継続
(EMR)
いなかった。
血
○内視鏡医師は問診票を確認することになっていたが、確認できて
いなかった。
○前回の ESD から 4 ヵ月半の間にプラビックス内服の有無を確認
できる者がいなかった。
12
○看護師は中止するバイアスピリンが薬袋に入っていることを認識
していたが、後で処理をしようと配薬カートに入れた。
○他の看護師は薬袋に記載がなかったので、そのまま配薬した。
○電子カルテ上の患者情報の禁忌欄に手術禁止項目として登録され
ていなかった。
影響
バイアスピリン 大腿骨頸部骨折
詳細不明
を継続
の手術
背景・要因
○外来で医師は患者にワーファリン中止を口頭で説明し、看護師も
再度口頭で説明したが、入院時患者は中止していなかった。
○外来業務の中での説明作業が、流れ作業のようになっていた。
⑤「再開」の事例の背景・要因
「再開」の事例のうち、ここでは「ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例」の
4件の事例を分析した。「再開」の事例を、血液凝固阻止剤、抗血小板剤を「再開した」「再開して
いなかった」の2つに分類したところ、「再開(同一薬剤)」「再開(薬剤変更)」のどちらも、「再
開した」、「再開していなかった」事例がそれぞれ1件であった(図表Ⅲ - 2- 31)。
図表Ⅲ - 2- 31 再開の実施
投与区分
再開の実施
件数
再開した
1
再開していなかった
1
再開した
1
再開していなかった
1
再開(同一薬剤)
再開(薬剤変更)
合計
4
4件の事例について「ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例」に分類した理由
を集計した(図表Ⅲ - 2- 32)
。「再開した」事例では、血液凝固阻止剤、抗血小板剤の中止や再
開の時期の取り決めがなかった事例や、血液凝固阻止剤、抗血小板剤を予定通り再開したが、投与
- 148 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
指示が過量であった事例であった。また、
「再開していなかった」事例では、2件ともに再開の指
示が出されていなかった事例であった。
図表Ⅲ - 2- 32 ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかと考えられた理由
投与区分
再開の有無
理由
件数
再開した
観血的医療行為を行った診療科では、薬剤の中止や再
開の時期について取り決めがなかった
1
再開していなかった
医師が薬剤の再開指示を出していなかった
1
再開した
薬剤を再開したが、医師の指示量が過量であった
1
再開していなかった
医師が治療中に薬剤の再開を忘れた
1
同一薬剤
再開
薬剤変更
合計
4
※「薬剤」とは、血液凝固阻止剤や抗血小板剤を指す。
Ⅲ
「再開した」
「一部再開していなかった」
「再開していなかった」のそれぞれの事例の発生要因、
観血的医療行為の内容、患者の影響をまとめ、事例の背景・要因と合わせて記載しているので、参
考にしていただきたい(図表Ⅲ - 2- 33)
。
「再開した」事例は2件の報告があり、再開時期の取り決めが曖昧であったため、観血的医療行
為の1時間45分後にヘパリンを再開し、血腫を生じた事例や、ワーファリンを中止後、ヘパリン
を再開したが、過量投与したためにドレーンから出血した事例があった。観血的医療行為後は、通
常よりも出血しやすい状況にある上、血液凝固阻止剤、抗血小板剤の再開を契機に治療を要する出
血や血腫の形成の可能性が高まるおそれがあり、慎重な投与が必要である。
を出すのか曖昧なまま2週間にわたり再開されず、脳梗塞をきたした事例や、ヘパリン再開の指示
を忘れたためステント内に血栓が発生した事例であった。「中止」の事例と同様に、観血的医療行
為を行うために血液凝固阻止剤、抗血小板剤を中止することにより高まるリスクを十分に考慮し、
指示者を明確にした上で、観血的医療行為を行うことだけを目的にするのではなく血液凝固阻止剤、
抗血小板剤の管理を含めて検査や治療を行う必要がある。
図表Ⅲ - 2- 33 「ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例」の事例の内容
中止した
時期
再開した
時期
観血的医療
行為の内容
影響
背景・要因
再開(同一薬剤)
再開した
1
1 時間前
医療行為の
1 時間 45 分 腰椎穿刺
後
○内科医師は、神経内科に髄液検査を依頼した。
○神経内科の指示で、検査 1 時間前にヘパリンを止め、
腰椎穿刺の 1 時間 45 分後に再開した。
再 開 日、 硬 膜
○神経内科では、腰椎穿刺時のヘパリンの休止時間の取
外血腫
り決めがなかった。
○依頼した内科と依頼を受けた神経内科の医師間で患者
の病状等について話し合うことがなかった。
- 149 -
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下︵開始、継続、中止、再開等︶での
観血的医療行為に関連した医療事故
「再開していなかった」事例は2件の報告があり、複数の診療科が担当したためにどちらが指示
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
中止した
時期
再開した
時期
観血的医療
行為の内容
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
影響
背景・要因
再開していなかった
2
不明
−
腎生検
○皮膚科に入院していた際に、腎機能障害の急激な進行
を認めたため、腎臓内科にコンサルトした。
○腎生検を考慮した際、腎臓内科医師が血液凝固阻止剤
2 週間後、
心原性
を中止したが、腎生検が中止されても血液凝固阻止剤
脳梗塞を発症
は再開されなかった。
○ D-dimer など血栓のリスクの経過を追う、経時的な検
査をしていなかった。
○薬剤を腎臓内科に任せてしまった。
再開(薬剤変更)
再開した
3
術前
○ワーファリンを術前に止めていたため、ヘパリンで血
再開19時間後、 液凝固阻止剤を再開することになった。
S 状 結 腸 癌 腹腔内ドレーン ○心臓外科医師がヘパリンを0.5mL/hのところ
術後 2 日目
の手術
刺入部からの
3mL/hと思い込み指示した。
出血
○指示を受けた消化器外科医師は、投薬ミスは起こさな
いだろうと過信し、計算し直さなかった。
再開していなかった
4
直前
−
PCI
P C I 開 始
1 時 間 後、 冠 ○PCI直前にヘパリンを止め、造影後に再開するつも
動脈に留置し
りが投与を忘れ、PCIの施行を継続した。
た ス テ ン ト に ○記録をしている看護師からも指摘がなかった。
血栓が発生
⑥「中止」と「再開」の事例に報告された薬剤
「中止」と「再開」の事例に記載されていた血液凝固阻止剤、抗血小板剤を図表Ⅲ - 2- 34に示
す。「中止」の事例は、血液凝固阻止剤のワーファリン、抗血小板剤のバイアスピリンを中止した
事例がそれぞれ8件であった。「再開」の事例は、使用した薬剤ごとに事例が1∼2件程度であり、
特に報告が多かった薬剤はなかった。
「再開(薬剤変更)」の事例では、観血的医療行為後にいずれ
もヘパリンを再開していた。
日本薬剤師会が公表している「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイド
ライン(第2版)
」4)や日本病院薬剤師会が公表している「ハイリスク薬に関する業務ガイドライン
(Ver. 2. 1)
」5)において、血液凝固阻止剤は投与時に特に注意が必要と考えられる治療領域の薬
剤として分類され、業務の注意点の中に『服用管理の徹底(検査・手術前の服薬中止、検査・手術
後の服薬再開の確認)』と記載されている。医師は血液凝固阻止剤、抗血小板剤がハイリスク薬で
あることを十分に認識し、適切な管理下で使用するとともに、薬剤師は情報提供や服薬指導の他に
他医療機関から処方された薬剤を確認することなどに積極的に介入する必要があろう。
- 150 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅲ - 2- 34 「中止」または中止後に「再開」した血液凝固阻止剤、抗血小板剤
薬剤分類
血液凝固阻止剤
中止
製品名
件数
ワーファリン錠/細粒
8
ヘパリン※
1
不明
1
バイアスピリン錠
8
バイアスピリン錠+プラビックス錠
2
プラビックス錠
2
バファリン配合錠
1
プレタールОD錠/散
1
不明
1
ワーファリン錠/細粒+バイアスピリン錠
1
抗血小板剤
血液凝固阻止剤
抗血小板剤
合計
26
1
薬剤名不明
1
バイアスピリン錠
2
バイアスピリン錠+パナルジン錠/細粒
1
ワーファリン錠/細粒+プラビックス錠
1
血液凝固阻止剤
再開
(同一薬剤)
抗血小板剤
血液凝固阻止剤
抗血小板剤
合計
再開
(薬剤変更)
6
血液凝固阻止剤
ワーファリン錠/細粒 ⇒(再開)ヘパリン※
2
血液凝固阻止剤
抗血小板剤
バイアスピリン錠+ワーファリン錠/細粒
⇒(再開)ヘパリン※
1
合計
3
※ヘパリンとは、事例内に「ヘパリン」と記載されたヘパリンナトリウムやヘパリンカリウムを指す。
⑦「中止」「再開」の事例の専門分析班及び総合評価部会における議論
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に関連す
る事例に関する「中止」「再開」の主な事例について、専門分析班や総合評価部会で特に議論され
た内容を以下に示す。数字は、図表Ⅲ - 2- 26の事例番号を指す。
ⅰ 中止
No. 1 嗜好品を食べたかった患者が、手術前に自己判断でワーファリンを中止した事例
○入院後、PT−INRのチェックをし、検査データを把握しているのはよい。
○医師は患者に「内科医師に聞いておいてください」と伝えているが、その後、ワーファリン
を中止したかどうかの確認が入院時までされていない。
- 151 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下︵開始、継続、中止、再開等︶での
観血的医療行為に関連した医療事故
ヘパリン※
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
○外来で説明後、入院まで期間が空く場合、患者の内服している薬剤の情報を得る方法を検討
する必要がある。
○患者には、ワーファリンを内服している場合に納豆を食べてはいけないという知識はあった
が、自己判断で中止する危険性についての認識は薄かったのではないか。ワーファリンを内
服する患者にはビタミンKの作用についても教育しておくとよいのではないか。
No. 2 バイアスピリンは1ヶ月前から中止していたが、中止するはずのプラビックスが一包化
の中に残っていた事例
○バイアスピリンとプラビックスについて、どこの診療科が原疾患に関する投与の指示を出し、
生検を行うための中止指示を出したのかが事例では明確になっていないため、情報としてあ
るとよい。
○事故の内容に「生検前に抗凝固剤、内服の有無を薬剤手帳で中止になっていることを確認し
た。」とあるが、誰が、どの薬剤が中止になっていることを確認したのか事例からは読み取れ
ない。お薬手帳はあくまでも患者に交付された薬剤の情報になる可能性がある。
○血液凝固阻止剤や抗血小板剤を内服している場合は、日帰りできる検査であっても最初から
経過観察のため1泊入院することも考慮する。
No. 4 入院時に持参薬の確認は行ったが、生検査前に中止する薬剤があるか確認しないまま生検
を行った事例
○薬剤師は持参薬の確認を行っており、医師が持参薬確認用紙を元に入院後に投与する薬剤の
指示をしていれば、中止すべき薬剤に気付いたのではないか。
○当該事例は、看護師がブロック後に持参薬確認用紙を見ているが、本来であればブロック前
に行う業務の流れにし、確認をした上で検査を行うことにするとよい。
○背景要因に「患者から『抗凝固剤は飲んでいない』という返答を信じ」とあり、医療機関か
らどのように質問したかが事例では明確ではないが、抗凝固剤という言葉を使用するのでは
なく、
「血液をサラサラにする薬」や「血を固まりにくくする薬」など、患者が理解しやすい
言葉で確認できるとよい。
No. 6 EMR前にプラビックスの中止説明が不十分なまま4ヵ月半後に検査したところ、中止
できていなかった事例
○説明から検査の実施までに 4 ヵ月半空くと、責任の所在や確認作業がおろそかになる。
○休薬が必要な観血的医療行為の場合は、システム上において、観血的医療行為が近くなると
確認事項があることなどがリマインドでき、医療機関から患者に連絡して確認する仕組みが
あるとよい。
○当該事例では、説明をする医師(呼吸器内科)と検査を実施する医師(消化器内科)が違うが、
患者への説明は治療を行う医師が行ってはいかがか。
○背景要因に、前日の看護師確認や、検査直前の医師の確認が今回は出来ていなかったと書か
れているが、出来なかった背景を検討してはいかがか。また、本来であれば中止する薬剤の
確認が出来ていないのであれば、検査を中止することも考慮すべきであろう。
- 152 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
ⅱ 再開
No. 8 腰痛穿刺に伴うヘパリンの中止・再開時期を診療科で決めていなかった事例
○患者の病態からヘパリンの中止時間を長く取ることが難しい事例であった可能性があるが、
診療科内で取り決めておくとよい。
○腰椎穿刺前にACTを測定し、穿刺が可能か判断することを検討するとよい。
○腰痛穿刺後に起りやすい合併症について、診療科間で連携を取りながらフォローできる体制
があるとよい。
No. 9 術後再開したヘパリンが過量投与となった事例
○事例からは、記載されている「ヘパリン開始の指示を得たが」や「依頼票に指示を出していた」
の主語が不明であり、事例の内容がつかみにくい。
○「ヘパリン原液0.5持続」という指示は、院内、病棟または診療科の慣例的な指示だった可
能性がある。誰が見ても分かるような「ヘパリン○V 0.5mL/h」などと指示を出すこ
Ⅲ
とが必要であろう。
○看護師は、ヘパリンを調製する際に、通常のヘパリンの投与量との違いなどに気付けるとよい。
○使用したヘパリンがどのように病棟に上がってきたか不明であるが、薬剤師による疑義照会
が行える状況にあれば過量投与に気付いた可能性がある。
No. 10 腎生検前にプラザキサを中止したが、生検中止後に再開されなかった事例
○当該事例は、入院中の皮膚科、プラザキサを処方している循環器内科、腎生検を行う腎臓内
科と3科が関連しており、どこが主に患者をみるのか曖昧になったのではないか。
も出すことにすると良い。
○最終的には、入院している主の診療科が患者の状況を把握しておく必要があろう。
⑧「中止」「再開」の事例の改善策
「中止」
「再開」の事例は、発生要因が様々であり、背景・要因も多様であるため、事例個々の改
善策が多い。そのため、ここでは特に共通した改善策を整理して以下に示す。
ⅰ 中止
ア)中止した事例
○ 血液凝固阻止剤、抗血小板剤に限らず、手術の際に休薬が望ましいと思われる処方が他院
または他科から出ている場合は、患者に確認を委ねるのではなく、医師が必ず当該主治医
に連絡の上、休薬の可否につき直接相談する。
○患者本人に、自己判断で休薬することは絶対にしないように説明する。
イ)一部中止していなかった事例
○血液凝固阻止剤、抗血小板剤の内服の確認をお薬手帳だけで行ったが、患者の年齢が高齢
であることなどを考えると、薬剤師による確認が望ましい。
- 153 -
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下︵開始、継続、中止、再開等︶での
観血的医療行為に関連した医療事故
○薬剤の中止と再開はセットの指示と考え、プラザキサの中止指示を出した診療科が再開指示
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
○本来であれば中止して行う生検を、血液凝固阻止剤、抗血小板剤を内服したまま患者に施
行した場合は、生検後の出血に応じて経過観察入院も考慮する。
ウ)中止していなかった事例
○情報の確認
・生検で入院する患者は、入院前の外来で医師・看護師が必ず画面で薬歴を確認する。
・手術日が決定した日に、担当医は中止を検討する薬剤の有無を確認する。
・麻酔科医師は、術前診察時に術前中止薬が止められていることを確認する。
・看護師は術前に中止が必要な内服薬を把握し、医師に確認する。
○患者への説明
・患者に分かりやすいように、血液凝固阻止剤、抗血小板剤の中止に関する案内用紙を作成
する。
・担当医は、患者に術前中止薬があることを説明する。
・患者用チェック票を作成し、患者自身にも確認を促す。
○情報の共有
・病棟では、医師・看護師・薬剤師が相互に患者の入院目的を確認し合い、持参薬鑑別表を
確認する。
・薬剤師への薬剤管理を依頼し、協力を得ることにした。
・術前に血液凝固阻止剤、抗血小板剤の中止がチェック出来るようにチェックリストを改定
する。
・内服セット者または受け持ち看護師は、誰が見ても分かるように薬袋へ記載し、注意喚起
を行う。
・検査を予約した医師がカルテに血液凝固阻止剤、抗血小板剤の中止指示を記載する。
・検査予約時のカルテ記載のみでは、検査が数ヶ月先になると記載を見逃す可能性があるた
め、検査予約に特化したコーディネータの設置を要望する。
○システム
・電子カルテシステムで、血液凝固阻止剤、抗血小板剤については色に変化を付ける、また
はアラート機能がつけられないか検討する。
・電子カルテシステムでの改善として、手術オーダ画面に「休薬確認」のような入力項目を
追加して、必須入力とする方法を検討する。
・将来的に、検査予約時に血液凝固阻止剤、抗血小板剤の内服の有無を入力しないと検査予
約できないなどのオーダ方法の変更を要望していく。
ⅱ 再開
ア)再開した事例
○ヘパリンの中止期間を、各診療科に関連したガイドラインに沿って取り決める。
○観血的医療行為を依頼した診療科と施行する診療科間で情報の共有を行う。
○チーム内の医師により、指示のダブルチェックを行う。
○他科からの指示に関して、再度計算し確認する。
- 154 -
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
2 個別のテーマの検討状況
イ)再開していなかった事例
○塞栓症のリスクがある場合、血液凝固阻止剤の中止前に心房内血栓の確認や代替治療につ
いて循環器内科にコンサルトする。
○ D-dimer の測定を行い、患者の血液凝固機能を確認する。
○術者と助手の双方が術前に必要な薬剤投与を行ったか確認し、看護師は、PCI前に必ず
投与薬剤の確認を医師に行うことを徹底する。
⑨ 血液凝固阻止剤や抗血小板剤投与下での観血的医療行為に関連した医療安全に関する取り組み
観血的医療行為を行う際の血液凝固阻止剤、抗血小板剤の投与については、日本循環器学会、日
本消化器内視鏡学会、日本脳卒中学会などからガイドラインが公表されているので、主なものを次
に紹介する。
ⅰ 「循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン(2009 年改訂版)
」について
Ⅲ
日本循環器学会など関連13学会は、血栓形成に対する抗血栓療法という観点から各種疾患(急
性心筋梗塞,肺梗塞,血栓性静脈炎を除く)におけるその適応指針を「循環器疾患における抗凝固・
抗血小板療法に関するガイドライン(2009年改訂版)
」1)としてまとめた。その中の『Ⅳ . 補
足 2 抜歯や手術時の対応』には、手術の内容に応じた抗凝固薬や抗血小板剤の投与の継続や中
止時期などを示している。
また、近年、直接トロンビン阻害剤や第Xa因子阻害薬など、複数の新規抗凝固薬の開発が進
んでいる。そこで、日本循環器学会では、平成23年に「心房細動における抗血栓療法に関する
緊急ステートメント」6)を公表し、新規抗凝固薬の正しい位置づけ、使用上の注意とともに「抜
ⅱ 「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」について
日本消化器内視鏡学会は、2005年に「内視鏡治療時の抗凝固薬、抗血小板薬使用に関する
指針」7)を作成し、抗凝固・抗血小板療法を必要とする血栓などの発症予防効果を損なうこと
なく内視鏡治療をできるだけ安全に行うために、抗血栓薬の使用法を示すことを目的とした指針
を公表した。
さらに、同学会は2012年に「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」2)
をまとめた。従来のガイドラインでは、抗血栓薬を休薬することによる血栓症の発症リスクが考
慮されず、内視鏡中の出血予防が重視されていた。新しいガイドラインでは、抗血栓薬を継続し
て使用することによる消化管出血だけでなく、休薬による血栓塞栓症の誘発にも配慮された内容
を提言している。本財団のEBM医療情報部が運営している Minds(マインズ)では「抗血栓薬
服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」3) が閲覧できる。(http://minds4.jcqhc.or.jp/
minds/gee/20130528_Guideline.pdf )
。
ⅲ 「脳卒中治療ガイドライン2009」について
日本脳卒中学会など関連5学会は、「脳卒中治療ガイドライン2009」8)において、上記2
つのガイドラインと同様に、治療で使用している抗凝固薬などを継続する、またはいつから中止
するなどを観血的医療行為の内容に応じて示している。
- 155 -
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下︵開始、継続、中止、再開等︶での
観血的医療行為に関連した医療事故
歯、手術、生検査時の対応」などの周知を行っている。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
ⅳ 海外の文献について
The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE(2013年5月30日号)に掲載されている
Baron らのレビュー9)は、米国における最近のガイドラインに基づいて、抗血栓療法を受けてい
る患者が侵襲的処置を受ける際の手引きと推奨される方法を提示している。このレビューには、
血栓のリスク評価、侵襲的処置による出血のリスク評価、抗凝固薬の bridging(橋渡し)療法、
抗血栓療法を中止する時期と再開する時期などが述べられている。
(3) 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的
医療行為に関連したヒヤリ・ハットの現状
①発生状況
平成24年 7 月から収集しているヒヤリ・ハットのテーマの「血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与
下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に関連したヒヤリ・ハット事例」に対して、
前回の報告書で142件の事例があったことを報告した。その後、平成25年4月1日∼6月30
日の間に報告された32件を加えた174件を分類、集計した(図表Ⅲ - 2- 35)。医療事故とし
て報告のあった事例では、「開始」「継続」が多かったが、ヒヤリ・ハット事例では「中止」の事例
が73件と多く、ついで「開始」
「再開(同一薬剤)
」の事例がそれぞれ33件であった。また、観
血的医療行為の分類では、医療事故として報告のあった事例では「手術以外の治療・処置」が多かっ
たが、ヒヤリ・ハット事例では「手術」が109件と最も多く、
「手術以外の治療・処置」の事例
は44件であった。
図表Ⅲ - 2- 35 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下での観血的医療行為に関連するヒヤリ・ハット
事例の発生状況
開始
血液凝固阻止剤
手術
同一薬剤 薬剤変更
中止
再開
同一薬剤 薬剤変更
不明
合計
12
3
9
17
10
0
3
54
抗血小板剤
2
2
2
29
11
0
1
47
両方
0
0
2
1
5
0
0
8
小計
14
5
13
47
26
0
4
109
9
5
2
7
2
0
1
26
5
2
0
6
1
0
0
14
0
0
1
1
2
0
0
4
血液凝固阻止剤
手術以外の
抗血小板剤
治療・処置
両方
小計
検査
継続
14
7
3
14
5
0
1
44
血液凝固阻止剤
3
1
0
8
1
0
0
13
抗血小板剤
2
0
0
4
0
0
0
6
両方
0
0
1
0
1
0
0
2
小計
5
1
1
12
2
0
0
21
合計
33
13
17
73
33
0
5
174
- 156 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
(4) 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下での観血的医療行為に関連した「中止」
「再開」
のヒヤリ・ハット事例の分析
①発生状況
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に関連した「中
止」
「再開」の事例は、医療事故では他と比べて報告件数が少なかったが、ヒヤリ・ハット事例では「中
止」の事例が73件、「再開」の事例が33件と多かった(既出、図表Ⅲ - 2- 35)
。
「中止」の事例は、「手術」の事例が47件と多く、そのうち、血液凝固阻止剤よりも抗血小板剤
の投与に関連した事例は29件と多かった。
「手術以外の治療・処置」の事例は14件、「検査」の
事例は12件であった。
「再開(同一薬剤)」の事例は「手術」事例が26件と多く、
「手術以外の治療・処置」の事例は5件、
「検査」の事例は2件であった。血液凝固阻止剤と抗血小板剤の投与に差はなかった。また、
「再開(薬
剤変更)」の事例は、ヒヤリ・ハット事例では報告がなかった。
Ⅲ
②ヒヤリ・ハット事例の「中止」「再開」に関するヒヤリ・ハット事例の分類
報告のあった「中止」の事例と「再開(同一薬剤)」の事例についても、医療事故として報告のあっ
た事例と同様に、次の3つのア)∼ウ)に該当するか分類した(図表Ⅲ - 2- 36)
。
ア)ガイドラインで推奨されている投与内容に基づいている
イ)医師が意図した通り行われている
ウ)発病した病態を現病で説明できる
「中止」の事例は、
「ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例」が72件であり、
詳細が不明のため「不明」に分類した事例が1件あった。「再開(同一薬剤)」の事例33件は、す
図表Ⅲ - 2- 36 「中止」
「再開」の事例の分類
分類
ア)∼ウ)すべてに該当する事例
中止
件数
合計
0
ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例
不明
72
73
1
ア)∼ウ)すべてに該当する事例
再開
ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例
(同一薬剤)
不明
0
33
33
0
③「中止」の事例の背景・要因
「中止」のヒヤリ・ハット事例73件のうち、「ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らか
な事例」の72件について、事例の背景・要因を分析した。
72件の事例を「中止した」
「一部中止していなかった」
「中止していなかった」の3つに分類し
たところ、
「中止していなかった」事例が67件と圧倒的に多く、
「中止した」事例が3件、
「一部
中止していなかった」事例が2件であった(図表Ⅲ - 2- 37)
。
- 157 -
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下︵開始、継続、中止、再開等︶での
観血的医療行為に関連した医療事故
べて「ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例」であった。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅲ - 2- 37 「中止」の実施
中止の実施
件数
中止した
3
一部中止していなかった
2
中止していなかった
67
合計
72
さらに、事例72件の事例にいて「ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例」に
分類した理由を集計した(図表Ⅲ - 2- 38)
。
「中止した」事例3件は、看護師は医師が出した中止指示を受けていなかったが、中止されてい
ないことに気付き、予定通り中止できた事例や、看護師が医師の指示よりも早く中止してしまった
事例や生検を予定したところ、他院で血液凝固阻止剤、抗血小板剤を検査の8日前に中止するよう
説明を受けたが、生検を行う医療機関では14日前からの中止が必要であり、中止する時期が違っ
たという事例があった。
「一部中止できていなかった」事例の2件は、いずれも中止指示が出た複数の血液凝固阻止剤や
抗血小板剤のうち、一部の薬剤を取り除いていなかった事例であった。
「中止していなかった」事例68件のうち複数報告された理由は、中止指示が出ていたが、看護
師が指示を受けていなかったために薬剤が中止されなかった事例が20件、患者が内服している血
液凝固阻止剤、抗血小板剤を把握していなかったため、中止指示が出ていなかった事例が16件、
血液凝固阻止剤、抗血小板剤の内服を把握していたが、医師が中止指示を出すのを忘れた事例が
15件、中止指示はあったが薬剤師や看護師が中止になった薬剤を取り除いていなかったために投
与された事例が9件などであった。観血的医療行為前には、患者に投与されている薬剤の把握が重
要であるとともに、血液凝固阻止剤、抗血小板剤を中止する指示を出し、その指示を受け、指示さ
れている薬剤を取り除くという業務の流れを途絶えないようにする必要がある。そのためにも、医
師、薬剤師、看護師が適切に連携し、患者の情報を共有することが必要であろう。
その他には、患者が自己管理していた薬剤の中に血液凝固阻止剤や抗血小板剤が含まれていた
が、持参薬を預かっていなかったために継続内服していた事例や、患者が自己管理薬の中から中止
になった薬剤を取り除く際、視力障害があっために中止薬剤以外の薬剤を取り除いた事例があった。
血液凝固阻止剤や抗血小板剤を中止する場合は、患者が自己管理している薬剤についても、医療機
関側が注意して薬剤を取り除く必要がある。
さらに、抗血小板剤を中止後に眩暈が生じたため、患者が薬効を理解しないまま自己判断で抗血
小板剤の内服を再開した事例が1件あった。観血的医療行為の前に血液凝固阻止剤や抗血小板剤を
中止する際は、患者にその目的だけでなく、中止しない場合にどのような危険性があるのかについ
ても十分に説明することが重要である。
- 158 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅲ - 2- 38 ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかと考えられた理由
中止の実施
中止した
一部中止して
いなかった
中止して
いなかった)
理由
件数
医師が中止の指示を出していなかった(投与前に気付いて中止できた)
1
医師の指示よりも早く看護師が中止した
1
中止したが、指示した他院では8日前、観血的医療行為を行う当院では14日
前と中止する時期が違った
1
中止する薬剤が複数あり、薬剤師がすでに処方されている薬包から一部の薬剤
を取り除いていなかった
2
中止指示が出ていたが、看護師は指示を受けていなかった
20
医師は内服している薬剤を把握していなかったため、指示を出していなかった
16
医師は薬剤を把握していたが、中止の指示を出すのを忘れていた
15
薬剤師または看護師は中止する薬剤を取り除かなかった
9
自己管理薬に薬剤が含まれていたが、患者に渡したままだったため継続した
2
患者が中止する薬剤を抜いたが視力障害により識別が困難で別の薬剤を抜いた
1
中止した薬剤を患者が自己判断で再開した
1
医師や看護師は、薬剤が中止になったことを患者に説明していなかった
1
ヘパリンを中止する予定が、同時に投与されていたハンプの輸液ポンプを止めた
1
中止指示を出した医師以外の医師が再開指示を出していた
1
合計
72
※「薬剤」とは、血液凝固阻止剤や抗血小板剤を指す。
報告のあった「再開(同一薬剤)」の「ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例」
の33件について、事例の背景・要因を分析した。
33件の事例を「再開した」
「一部再開していなかった」
「再開していなかった」の3つに分類し
たところ、
「再開していなかった」事例が20件と多く、次いで「再開した」事例が11件であった。
「一部再開していなかった」事例が2件であった(図表Ⅲ - 2- 39)
。
図表Ⅲ - 2- 39 「再開」の実施
再開の実施
再開した
件数
11
一部再開していなかった
再開していなかった
2
20
合計
33
さらに、33件の事例にいて「ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかな事例」に分類
した理由を集計した(図表Ⅲ - 2- 40)
。
「再開した」事例のうち複数の報告があった事例は、再開した際、持参薬と院内処方が開始にな
- 159 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下︵開始、継続、中止、再開等︶での
観血的医療行為に関連した医療事故
③「再開」の事例の背景・要因
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
り重複投与になった事例が3件、薬剤を再開することを説明に行ったところ、患者が自己判断です
でに再開していた事例が2件、再開していたが、薬剤が無くなったあと再処方されず継続投与して
いなかった事例が2件あった。その他に、再開した事例には、重複投与、過量投与、過小投与など
の事例が報告されているので、血液凝固阻止剤や抗血小板剤を再開する際に、再開する薬剤量を確
認するとともに、持参薬を再開するのか、それとも新たに院内処方するのかといった確認も必要で
ある。
「一部再開していなかった」事例は、複数の血液凝固阻止剤や抗血小板剤の再開指示があり、そ
のうち一剤のみを処方忘れなどにより投与していなかった事例であった。先述した「中止」の事例
にも、複数の薬剤があったことで一部が中止されていなかった事例の報告があり、血液凝固阻止剤
や抗血小板剤を複数処方されている患者の処方変更に関する指示や指示受けは慎重に行う必要があ
る。
「再開していなかった」事例のうち複数の報告があった事例は、自己管理している患者へ再開の
説明をしたが、再開していなかった事例が8件、血液凝固阻止剤、抗血小板剤の再開指示が出てい
たが、指示を受けていなかったために投与されていなかった事例が6件、再開指示があったが、処
方されていなかった事例が2件であった。観血的医療行為後に再開される薬剤の処方、指示受け、
患者への説明など、薬剤を再開する際に行うべき業務の工程をそれぞれの職種が行う必要がある。
また、血液凝固阻止剤や抗血小板剤などのハイリスク薬は患者の自己管理に任せたままにせず、医
療者側からも薬剤の再開がスムーズに出来るよう、内服したことを確認する、または医療者側が配
薬するなどの工夫も必要であろう。
さらに、医師の指示に「抗血小板剤を再開」と記載されていたが、看護師は中止されていたニチ
ステート(パナルジンの後発品)が抗血小板剤という認識がなく、再開されなかった事例もあった。
先述して紹介した「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」2)には、主な抗血小
板剤、血液凝固阻止剤の薬剤の一覧が記載されており、特に抗血小板剤においては、後発品の薬剤
数が多く、全ての薬剤名を把握するのは難しい。医師が薬剤の指示を出す際は、患者に処方されて
いる薬剤名を記載して出すことや、血液凝固阻止剤のワーファリンや抗血小板剤のバイアスピリン
といったよく耳にする薬剤だけでなく、後発医薬品等についても薬剤名と効能・効果を正確に把握
することも必要であろう。
- 160 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅲ - 2- 40 ア)∼ウ)のいずれかに該当しないことが明らかと考えられる理由
再開の実施
再開した
一部再開して
いなかった
再開して
いなかった
理由
件数
3
患者が自己判断で予定よりも早く再開していた
2
医師が再開時に処方した薬剤の続きの処方をしていなかったために継続して投
与されなかった
2
再開後、患者は自己管理していた朝のみの薬剤を夕にも内服していた
1
再開した際に患者が持参薬を過量に内服した
1
再開時、看護師は指示量よりも過少投与した
1
指示はなかったが、処方された薬袋に「夕∼」の記載があったので再開したと
ころ、翌日まで保留中の薬剤であった
1
複数の薬剤のうち、看護師は一剤のみ用法間違いだと思い取り除いた
1
複数の薬剤のうち、医師は一剤のみ処方していなかった
1
自己管理している患者へ再開の説明をしたが、再開していなかった
8
再開指示が出ていたが、看護師は指示を受けていなかった
6
再開指示はあったが、医師は処方していなかった
2
患者の持参薬の確認が不十分となり、再開する薬剤が入っていなかった
1
再開指示はあったが、看護師は薬剤を取り除いたものを渡していた
1
看護師は自己管理だった患者の薬剤を預かっていたが、患者が持っていないこ
とに気付かなかった
1
「抗血小板剤を再開」と指示があったが、看護師はニチステートが抗血小板剤
であるという知識がなく再開しなかった
1
合計
33
※薬剤とは血液凝固阻止剤や抗血小板剤を指す。
④「中止」「再開」のヒヤリ・ハット事例に気付いた理由
ヒヤリ・ハット事例は、何らかの理由で患者への影響がなかったり、または軽微な影響で済んだ
りした事例である。そのため、医療事故には至らなかったものの再発防止策を検討するに当たって
有用である。
「中止」
、「再開」の事例の内容や背景・要因から、ヒヤリ・ハット事例に気付いた理
由を分類した。
「中止」の事例では、薬剤師や看護師など医師以外の医療者が、患者の入院目的から、本来であ
れば中止すべき薬剤が中止されていないことに気付き、予定通り観血的医療行為を行えた事例が
あった。また、
「中止」「再開」のどちらの事例にも、患者自身から質問があり、薬剤を中止したり、
再開したりしていない状況に気付いた事例があった。血液凝固阻止剤、抗凝固剤を投与する患者に
対する教育の重要性が示唆される。
しかし、
「中止」の事例の中には、医師が中止指示を出したクレキサン皮下注射を看護師が行う
際に、PDAで認証作業をしたところ『×』が表示されたが、電波状況の悪さや、バーコードを何
度も読み込んだために『×』のサインが出たのであって、認証済みであると思い込み投与した事例
- 161 -
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下︵開始、継続、中止、再開等︶での
観血的医療行為に関連した医療事故
再開した際、持参薬と院内処方薬が開始になり重複投与になった
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
も報告されている。誤りに気付くきっかけを打ち消して実行するのではなく、表示された『×』が
意味する内容を考え、患者の指示を再度確認することも必要であろう。
誤りに気付いた理由を整理して次に示す。
ⅰ 「中止」の事例
○手術のため入院した患者に、医師は中止すべき薬剤の中止指示を医師が出すのを忘れていた
が、薬剤師が指示がないことに気付き、中止できた。
○アブレーション目的で入院した患者に、医師はワーファリンの中止指示を出していなかった
が、指示がないことに看護師が気付き、中止できた。
○手術前で中止すべきワーファリンが中止になっていないことを患者から質問され、指示が出
ていないことに気付いた。
○患者から「手術だけど、血液サラサラの薬はいつから止めるか?」と質問があり、予定通り
中止できた。
ⅱ 「再開」の事例
○プラビックス・バイアスピリンの内服を中止していたが、患者から「いつから再開するのか?」
と質問があり、再開できていないことに気付いた。
○患者から「プレタールが中止のままだが、いつから飲んだらよいのか?」と質問され、再開
していないことに気付いた。
(5)まとめ
本報告書では、医療事故として報告された血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下での観血的医療行為
に関連した事例の「中止」と「再開」の事例について注目し、事例の概要とともに、報告された事例
の背景・要因を集計し、分析した。また、
専門分析班で議論された内容や、
事例の主な改善策を掲載した。
同様に「中止」
「再開」のヒヤリ・ハット事例の背景・要因やヒヤリ・ハットに気付いた理由を分析した。
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下での観血的医療行為に関連した事例については、ヒヤリ・ハット
のテーマとして1年間にわたり事例を収集した。第31回報告書では概要を概観し、第32回報告書
では、「開始」に関連した事例を、第33回報告書では「継続」に関連した事例を特に取り上げて分
析を行った。血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下での観血的医療行為に関連した事例の発生予防や再
発防止のため、これら第31回∼第34回報告書の内容を参考にして頂きたい。
(6)参考文献
1. 日 本 循 環 器 学 会 循 環 器 疾 患 に お け る 抗 凝 固・ 抗 血 小 板 療 法 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン
( 2 0 0 9 年 改 訂 版 )
(Online),available from <http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/
JCS2009_hori_d.pdf>(last accessed 2013-4-16)
2. 抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン,日本消化器内視鏡学会雑誌 Vol. 54
(2012)No. 7 P. 2075−2102
- 162 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
3. 公益財団法人 日本医療機能評価機構.EBM医療情報サービスMinds(マインズ)抗血
栓薬服用者に対する消化器内視鏡診薬ガイドライン,(Online)available from < http://minds.
jcqhc.or.jp/n/med/4/med0143/G0000518/0001>(last accessed 2013-7-4)
4. 公益社団法人 日本薬剤師会 薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイ
ドライン(第2版)平成23年4月15日 (Online),available from <http://www.nichiyaku.
or.jp/action/wp-content/uploads/2011/05/high_risk_guideline_2nd.pdf>(last accessed
2013-7-4)
5. 一般社団法人 日本病院薬剤師会 ハイリスク薬に関する業務ガイドライン(Ver. 2. 1)平
成 2 5 年 2 月 9 日 改 定 (Online),available from <http://www.jshp.or.jp/cont/13/0327-1.
pdf>(last accessed 2013-7-4)
6. 一般社団法人 日本循環器学会 心房細動における抗血栓療法に関する緊急ステートメント
平 成 2 3 年 8 月(Online)
,available from <http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/statement.
pdf>(last accessed 2013-7-4)
Ⅲ
7. 日本消化器内視鏡学会リスクマネージメント委員会 内視鏡治療時の抗凝固薬、抗血小
板 薬 使 用 に 関 す る 指 針(Online),available from <http://www.jgesdb.net/members/pdf/
ZENDOS12-13_63110.pdf>( last accessed 2013-7-4)
8. 日本脳卒中学会 脳卒中治療ガイドライン2009 (Online)
,available from <http://www.
jsts.gr.jp/jss08.html>( last accessed 2013-7-4)
9. Management of antithrombotic therapy in patients undergoing invasive procedures(N Engl J
Med 2013; 368 : 2113-24.)
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下︵開始、継続、中止、再開等︶での
観血的医療行為に関連した医療事故
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
- 163 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
【3】リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例
リツキシマブ(遺伝子組換え)製剤(商品名:リツキサン ® 注 10 mg / mL)は、抗悪性腫瘍剤、
抗CD20モノクローナル抗体であり、ヒトBリンパ球表面に存在する分化抗原CD20(リンタン
パク質)に結合するモノクローナル抗体であり、CD20抗原を有する細胞に対して、①補体依存性
細胞傷害作用、②抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用を有する。
リツキシマブはCD陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫に対しての効果が認めるほか、B細胞に
特化した免疫抑制の強化を目的として、肝移植、腎移植の術前に投与されることもある。このように
リツキシマブは免疫療法、化学療法に使用される代表的な薬剤である。
しかし、リツキシマブは、化学療法や移植時の免疫抑制の強化の際に広く活用され、がん患者や移
植患者の治療に貢献している現状がある一方で、重大な副作用の可能性があり、緊急時に十分に対応
できる医療機関で、十分な経験と知識を持った医師のもとで投与を開始することが重要である。
リツキシマブの重大な副作用を次に示す。
<重大な副作用>
1)アナフィラキシー様症状、肺障害、心障害等
2)腫瘍崩壊症候群
3)B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎、肝炎の増悪
4)肝機能障害、黄疸
5)皮膚粘膜症状等
6)汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少
7)感染症
8)進行性多巣性白質脳症(PML)
9)間質性肺炎
10)心障害
11)腎障害
12)消化管穿孔・閉塞
13)血圧下降
14)可逆性後白質脳症症候群等の脳神経症状
本事業の医療事故報告には、これまでにリツキシマブ投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例が
報告されており、その内容には背景・要因として、診療科間の情報伝達やアラートシステムについて、
より安全な対策を構築する必要性を分析しているものがあった。リツキシマブ投与後のB型肝炎再活
性化は、単一の医療機関でしばしば経験する事例ではないが、警鐘的事例と考えられるため、本報告
書において分析テーマとして取り上げることとした。
なお、本事業は医療安全の推進を目的として行っているため、本事業でいう事故には、過誤及び過
誤を伴わない事故の両方が含まれる。また、ご報告いただく事例の範囲には、誤った医療または管理
を行ったことが明らかである事例や、予期していたものを上回る処置や治療を要した事例のほかに、
- 164 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
医療機関内における事故の発生の予防及び再発の防止に資すると認める事例が含まれている。そのた
め、医療機関で発生する多様な事例を全国的に共有することができる仕組みとなっている。
(1)発生状況
リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例は、事業開始(平成16年10月)∼
本報告書分析対象期間(平成25年4月1日∼6月30日)において4件の報告があった。そのうち
本報告書分析対象期間に報告された事例は2件であった。
(2)事例概要
リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例4件の概要を以下に示す。
事例1
Ⅲ
【内容】
患者は血液型適合生体腎移植術を受けた。免疫学的ハイリスク症例〔FCXM(フローサイト
メトリークロスマッチ検査)T(+), B(+)〕であり、減感作療法として術前血漿交換および
リツキサン200mg投与を行っている。免疫抑制剤は手術 2 週間前から開始した。グラセプター、
セルセプト、メドロール、シムレクトで導入した。術前は、HBs抗原(−)、抗HBc抗体(+)、
HBV - DNA(−)であった。移植後の経過は良好で、退院とした。術後はグラセプター、セ
ルセプト、メドロール3剤で維持免疫抑制療法を行った。
4ヵ月後まで 1 週間毎に外来受診して頂き、毎回採血検査を行い腎機能および全身状態の評価
を行った。外来での経過は良好で、5ヵ月後より2週間毎の外来受診とした。8ヵ月後、当科定期
抗原陽性、抗HBc抗体陽性であり、移植後B型肝炎ウイルスの再活性化と診断し、即日入院加
療を開始した。
【背景・要因】
・免疫抑制剤内服に伴うB型肝炎の再活性化症例である。
・肝臓の専門領域においては、2011年9月26日に 免疫抑制・化学療法により発症する
B型肝炎対策ガイドライン(改訂版) が出されているものの、他の領域においては周知が十
分に行われていない状況である。
・また、リツキサンを使用しないこともまたリスクが高いと考えるため、リツキサン使用の是
非を問うことは困難である。
事例2
【内容】
肺癌の疑いで呼吸器内科外来を受診した際、HBs抗原(−)を確認した。2ヶ月後針生検で
悪性リンパ腫と診断され血液腫瘍科に転科し、約5カ月の化学療法(R - CH О P療法8コース)
を受け寛解した。
化学療法初回の1週間後にB型肝炎ウィルス検査が不十分であることに気付き、外来担当医が
- 165 -
リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例
受診日の検査でAST 79、ALT 104と上昇を認めたため、追加検査を行ったところHBs
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
HBs抗体とHBc抗体の追加検査を行った。さらにHB e 抗体検査も追加した際、電子カルテ
の操作を誤りHB e 抗体のみが指示され、前もって入力していた2項目の検査が削除されてしまっ
た。その後も結果が出ていなかった事に気付かず、月1回のHBV - DNA定量検査によるモニ
タリングも行われていなかった事が分かった。
その後、肝酵素が上昇、黄疸、倦怠感、食欲低下出現し、診察の結果、T - Bill 16.9
mg/dl、AST 1133 IU/L、ALT 1260 IU/L と著明に上昇。HBs抗原
150.0CОI<と陽転化あり劇症B型肝炎と診断した。すぐに肝炎治療の専門医に指示を仰
ぎ、治療を開始した。
【背景・要因】
・当該科では初診時にB型肝炎に関する検査を必ず実施している。当該患者は他科からの転科
で実施済みと思い込んだ連携不足があった。
・他科の検査状況を不足と認識し、追加したはずの検査結果を確認し忘れていた。
・決められた通りの追加入力ができていれば指示した検査項目が失われることはなかったが、
他の操作をしてしまった事に気付かず、追加項目だけが入力された。アラート表示も誤解を
招き易い表現だった。
・通常は化学療法開始直前に肝炎に関する検査が行われているか肝胆膵内科医師が確認し、不
足時は指示入力していたので漏れがなかったが、その後、各担当医が実施するよう医師に周
知したが、未実施のものがあり、ルールの周知不足があった。
・リツキシマブ治療開始前のHBs抗体・HBc抗体検査漏れに対するセイフティネット構築
が不十分であった。
事例3
【内容】
当院耳鼻咽喉科・頭頸部外科受診し生検にてマントル細胞リンパ腫と診断が確定した後、血液
内科に紹介され、化学療法を実施することになった。
CHOP療法を開始し腫瘍の縮小は認めたが効果は不十分であり、リツキサンの併用投与を試
みた。しかし、副作用が非常に強くリツキサンの継続投与ができなかったためCHOP療法のみ
実施し、一定の小康状態を保つことができた。その後、患者の一番の苦痛であった外痔核の手術
を実施したが、この間に、扁桃・頸部腫瘤の増大、呼吸困難が出現し、ベンダムスチン・リツキ
サン治療を開始、4 コース目の途中で劇症肝炎を発症した。
初回化学療法前には、「HBs抗原陰性」であることを確認していたが、その後の追加検査
(HBC抗体、HBs抗体)を実施せずに化学療法を開始し、患者が肝障害を発症するまで、
B型肝炎の再活性化について察知することが出来なかった。
【背景・要因】
・血液内科では、
「免疫抑制剤・化学療法により発症するB型肝炎治療ガイドライン」につい
ては十分認識しており、当事者も加わり当該科で作成したR - CH О P療法クリニカルパス
にも治療前確認事項として「初回治療時に全症例に対して、HBs抗原、HBc抗体、HB
s抗体測定」と明記している。しかし、耳鼻咽喉科・頭頚部外科から当該患者の治療を引き
- 166 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
受けた時には、患者のリンパ腫は進行しており、一刻も早く化学療法の開始が必要とされた。
そのような経過から、本来初回治療時に実施すべきHBV検査を失念してしまった。
・当院では該当薬剤処方時のアラートや検査未実施であることについてのアラート機能は設置
されておらず、検査未実施に気づくことができなかった。
事例4
【内容】
悪性リンパ腫の患者。HBs抗体陽性 / 抗原陰性のB型肝炎の既感染パターンで、B型肝炎ウ
イルス量は陰性であったが、R - CHOP療法後にB型肝炎ウイルス再活性化が確認された。
【背景・要因】
・化学療法の施行に伴い免疫が抑制されたことによって B 型肝炎ウイルスの再活性化が起こっ
たと考えられる。
(3)リツキシマブの重要な副作用等に関する注意喚起
厚生労働省は平成19年2月、医薬品・医療機器等安全性情報(No.233)
3)
において、改訂を
指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について、平成16年11月4日から18年
12月11日の間に、死亡例5例を含む6例の症例の概要等を紹介した。症例の中には劇症肝炎や、
死亡例1例を含む3例の消化管穿孔の症例の概要等に関する情報が掲載されている。添付文書の「医
薬品の使用上の注意」の改訂内容は次のとおりである。
Ⅲ
リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
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3-〔2〕
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Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
<<厚生労働省<医薬品・医療機器等安全情報 No. 233>抜粋>>
(4)B型肝炎治療ガイドラインについて
以前より、免疫抑制・化学療法の際に、HBVキャリアの患者にHBV再活性化による、重症肝炎
が惹起されることは指摘されていた。その後、HBs抗原陰性で、かつHBc抗体またはHBs抗体
陽性例においても、リツキシマブなど強力な抗悪性腫瘍剤の使用により、HBV再活性化により重症
肝炎が発症することがあることから、厚生労働省「肝硬変を含めたウイルス性肝疾患の治療の標準化
- 168 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
に関する研究」班及び「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班の両研究班は早急なHBV再活
性化対策が必要として、合同でワーキンググループを設立した。そして平成19年に「免疫抑制・化
学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン」を作成し、平成24年5月日本肝臓学会は、それ
にさらに改訂を加えた「B型肝炎治療ガイドライン(第1.1版)」4)を作成、公表した。
当該ガイドラインに示されている免疫抑制・化学療法を施行する際に実施するHBV感染のスク
リーニング及び治療の流れを次に示す。
Ⅲ
リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
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Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
※(B型肝炎治療ガイドライン(第1.1版)図7免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドラインより転載)
また同ガイドラインでは、添付文書上、B型肝炎ウイルス再燃の注意喚起のある薬剤を掲載し、広
く注意喚起を行っているので、その一覧を次に示す。自施設において使用されている医薬品の有無を
検索したり、院内に周知する際の参考となる。
- 170 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
添付文書上 B 型肝炎ウイルス再燃の注意喚起のある薬剤
薬効分類
一般名
商品名
アザチオプリン
アザニン錠 50mg、イムラン錠 50mg
エベロリムス
サーティカン錠 0.25mg、0.5mg、0.75mg
サンディミュン点滴静注用 250mg
シクロスポリン
ネオーラル内用液 10%
ネオーラルカプセル 10mg、25mg
グラセプターカプセル 0.5mg、1mg、5mg
免疫抑制剤
プログラフカプセル 0.5mg、1mg、5mg
タクロリムス水和物
プログラフ顆粒 0.2mg、1mg
プログラフ注射液 2 mg、5mg
ミコフェノール酸モフェチル
セルセプトカプセル 250
ミゾリビン
ブレディニン錠 25、50
抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン
サイモグロブリン点滴静注用 25mg
グスペリムス塩酸塩
スパニジン点滴静注用 100mg
シムレクト静注用 20mg
バシリキシマブ(遺伝子組換え)
シムレクト小児用静注用 10mg
コルチゾン酢酸エステル
コートン錠 25mg
デカドロン錠 0.5mg
デキサメタゾン
レナデックス錠 4mg
デカドロンエリキシル 0.01%
リメタゾン静注 2.5mg
デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステ
メサドロン注 2mg、3mg
ルナトリウム
デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム
トリアムシノロン
デカドロン注射液 1.65mg、6.6mg
デキサート注射液 1.65mg
レダコート錠 4mg
ケナコルト -A 皮内用関節腔内用水懸注 50mg/5ml
副腎皮質
トリアムシノロンアセトニド
ホルモン剤
ケナコルト -A 筋注用関節腔内用水懸注 40mg/1ml
フルドロコルチゾン酢酸エステル錠
フロリネフ錠 0.1mg
プレドニゾロン錠 1mg、5mg
プレドニゾロン
プレドニゾロン散
プレドニゾロンリン酸エステルナトリウム
プレドネマ注腸 20mg
プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム 水溶性プレドニン 10mg、20mg
ベタメタゾン
リンデロン錠 0.5mg、リンデロン散 0.1%、
リンデロンシロップ 0.01%
ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム
リンデロン注 2mg、4mg(0.4%)
ベタメタゾン・d- クロルフェニラミンマレ セレスタミン配合錠
イン酸塩
セレスタミン配合シロップ
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1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
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3-〔3〕
リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例
デキサメタゾンパルミチン酸エステル
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
薬効分類
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
一般名
商品名
ベタメタゾン酢酸エステル・ベタメタゾン
リンデロン懸濁注
リン酸エステルナトリウム配合
ヒドロコルチゾン
コートリル錠 10mg
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリ
ソル・コーテフ注射用 100mg
ウム
副腎皮質
水溶性ハイドロコートン注射液 100mg
ホルモン剤 ヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム
ステロネマ注腸 3mg、1.5mg
メチルプレドニゾロン
メドロール錠 2mg、4mg
ソル・メドロール静注用 125mg、500mg
メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナ
注射用プリドール 40、125、1000
トリウム
デポ・メドロール水懸注 20mg、40mg
エベロリムス
アフィニトール錠 5mg
テムシロリムス
トーリセル点滴静注液 25mg
テモダールカプセル 20mg、100mg
テモゾロミド
テモダール点滴静注用 100mg
フルダラ錠 10mg
フルダラビンリン酸エステル
抗悪性腫瘍剤
フルダラ静注用 50mg
ベンダムスチン塩酸塩
トレアキシン点滴静注用 100mg
メソトレキセート錠 2.5mg
メトトレキサート
メソトレキセート点滴静注液 200mg
注射用メソトレキセート 5mg、50mg
モガムリズマブ(遺伝子組換え)
ポテリジオ点滴静注 20mg
リツキシマブ(遺伝子組換え)
リツキサン注 10mg/ml (100mg/10ml)
アダリムマブ(遺伝子組換え)
ヒュミラ皮下注 40mg シリンジ 0.8ml、20mg
シリンジ 0.4ml
アバタセプト(遺伝子組換え)製剤
オレンシア点滴静注用 250mg
レフルノミド製剤
アラバ錠 10mg、20mg、100mg
抗リウマチ剤 インフリキシマブ(遺伝子組換え)
レミケード点滴静注用 100
エタネルセプト(遺伝子組換え)製剤
エンブレル皮下注 25mg シリンジ 0.5ml、バイアル
ゴリムマブ(遺伝子組換え)製剤
シンポニー皮下注 50mg シリンジ $
トシリズマブ(遺伝子組換え)
アクテムラ点滴静注用 80mg、200mg、400mg
メトトレキサート
リウマトレックスカプセル 2mg
※(B型肝炎治療ガイドライン(第1.1版)表16添付文書上B型肝炎ウイルス再燃の注意喚起のある薬剤より転載)
(5)事例が発生した医療機関の改善策について
事例が発生した医療機関の改善策を整理し、以下に示す。
1)リツキシマブ投与開始時、アラートが現れるシステムの検討
・電子カルテに何らかの表示ができないか検討する。
・オーダリングシステム上の患者個人情報画面へ感染症表示方法の工夫を行う予定である。
- 172 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
・必ず治療前に検査するシステムを構築する。
2)診療科間の連携の強化
・全体に向けて化学療法によるB型肝炎ウィルスの再活性化に関するガイドラインついて研修会
を開く。さらに内科ミーティングで周知する。
・HBVの再活性化問題に関する医療改善委員会を設置する。
・腎移植の適応等について、内科を含め委員会を設置し、検討する。
・ガイドラインに準じた免疫抑制剤・化学療法実施前の B 型肝炎スクリーニング検査を確実に行
えるシステムの構築を行うための調整を開始した。
3)わかりやすいマニュアルの作成など
・マニュアルへのよりわかりやすい記載と、定期的な注意喚起を行っていく
4)情報の共有
・全体に向けて化学療法によるB型肝炎ウィルスの再活性化に関するガイドラインついて研修会
を開く。
Ⅲ
・内科ミーティングで周知する。
・電子カルテの不易性について医師にメールで周知し、検査指示後の結果確認を周知した。
・院内会議、リスクマネージャー会議での周知を行った。
5)教育
・中途採用者・新採用者にもオリエンテーションできるようにする。(ガイドラインを渡す等)
・医師、薬剤師、看護師を対象に「B 型肝炎再活性化問題に関する講演会」を開催した。
(6)まとめ
製剤投与後のB型肝炎再活性化などの重大な副作用の可能性があり、本事業にも事例が報告された。
リツキシマブ投与後のB型肝炎再活性化は、単一の医療機関でしばしば経験する事例ではなく、また
警鐘事例と考えられるため、事例の内容や背景・要因、報告された改善策のほか、医薬品・医療機器
等安全性情報(No. 233)や日本肝臓学会が作成・公表した「B型肝炎治療ガイドライン(第1.
1版)
」
を紹介した。今後の免疫抑制療法や化学療法の実施にあたり、参考にしていただきたい。
(7)参考文献
1. リツキサン ® 注10mg/mL添付文書 . 全薬工業株式会社・中外製薬株式会社2013年
6月改訂(第17版 ).
2.リツキサン ® 注10mg/mL添付文書 . 全薬工業株式会社 . 2013年6月改訂(第15版 ).
3. 厚生労働省 . 医薬品・医療機器等安全性情報 . Pharmaceuticals and Medical Devices Safety
Information No.233(Online),available from <http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/02/
h0222-2.html>(last accessed 013-07-9)
4. B型肝炎治療ガイドライン(第1.
1版)一般社団法人日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成
委員会 . 肝臓 Vol. 54
(2013)No.6 P402‐472.2013年7月1日 (Online)
.
,available
from <http://dx.doi.org/10.2957/kanzo.54.402 >(last accessed 013-09-05)
- 173 -
リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例
リツキシマブは、化学療法や移植の免疫抑制の強化の際に使用される有用な薬剤であるが同時に、
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
【4】胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例
本事業では、手術・処置部位の取り違えに関連した医療事故については、過去に第5回報告書∼
第7回報告書および第18回報告書において、個別テーマとして取り上げ分析を行った。また、平成
19年7月には、手術・処置部位の取り違えの中でも特に手術の際の左右取り違えに着目し、医療安
全情報 No. 8「手術部位の左右の取り違え」を作成、提供し、その中で手術部位のマーキングが適切
になされなかった事例が多かったことを注意喚起した。
その後も、類似事例が報告されていることから、平成23年1月には、医療安全情報 No. 50「手
術部位の左右の取り違え(第2報)」を作成、提供し、報告された事例には、手術部位のマーキング
が適切になされていないこととともに、執刀直前に手術部位の確認をしていない事例があることを注
意喚起した。また、医療機関では、手術直前に、医師、看護師などのチーム全員で、いったん手を止
めて患者、手術部位、手技等を確認するなどの医療安全対策を講じている施設が多く、手術の場面に
おける部位取り違えの防止のための対策は進んでいることから、医療安全情報の中で紹介した。
その後、本報告書対象分析期間(平成25年4月∼6月)において、胸腔穿刺及び胸腔ドレーン挿
入の際に左右を取り違えた事例が2件報告されたため、胸腔穿刺及び胸腔ドレーン挿入時の左右の取
り違え防止についてあらためて検討することは有用であると考えた。
そこで本報告書では、胸腔穿刺及び胸腔ドレーン挿入(以下胸腔穿刺という)の際の左右の取り違
えに着目し分析した。
(1)発生状況
胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例は、事業開始(平成16年10月)∼本報
告書分析対象期間(平成25年6月30日)までの期間において13件報告されていた。
① 胸腔穿刺の目的
胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入の目的は大別して、1)ドレナージによる空気や体液の排出と、
2)薬剤の注入がある。また、1)にはさらに、ⅰ 肺から漏出した空気を排出する「脱気」と、ⅱ
胸腔に貯留した胸水や膿を排出する「排液」がある。13件の事例について、
胸腔穿刺や胸腔ドレー
ン挿入を行った目的を集計したところ、脱気が5件であり、排液が8件であった。また薬剤の注入に
関する事例の報告はなかった(図表Ⅲ - 2- 41)
。
- 174 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅲ - 2- 41 胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入の目的
目的
件数
ドレナージによる排出
13
・脱気
5
・排液
8
持続的な胸水の排液
3
一時的な胸水の排液
2
胸水の試験穿刺
2
胸水の検査
1
薬剤の注入
0
合 計
13
②当事者の職種経験
事例の報告にあたっては、
「当事者」を入力する仕組みになっており、
「当事者1」から「当事者
Ⅲ
10」まで最大10名まで事例に関わった人に関して職種や職種経験などの情報を入力できる。この
うち、事例に最も関わりが深いと考えられる「当事者1」の職種と経験年数を図表Ⅲ - 2- 42に示
す。胸腔穿刺は医師が実施するため「当事者1」は全て医師であった。また、職種経験年数は必ず
しも年数の少ない医師が多く左右の取り違えの当事者となっているわけではなく、処置内容や手技を
熟知していると考えられる経験年数が多い医師も当事者となっていた。
図表Ⅲ - 2- 42 発生段階
職種経験
医師
件数
3年
3
4年
1
7年
1
8年
1
10年∼15年
3
16年∼20年
2
21年∼25年
2
合 計
13
※報告があった職種経験の年区分を掲載した。
- 175 -
胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例
職種
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
③発生段階
13件の事例内容を、取り違えが生じた段階を分析し、ア)診断、イ)準備、ウ)実施の3つに分類
した(図表Ⅲ - 2- 43)
。それぞれの分類に該当する事例は次の通り。
ア)診断 医師が疾患を診断する時点で左右を取り違えた事例。
イ)
準備 診断時は部位を含めて正しく診断したが、医師や看護師が患者を処置台に臥床させ準備
する際に、左右を取り違えた事例。
ウ)
実施 診断や準備までは正しい部位に対して行なわれていたが、医師の実施時に左右を取り
違えた事例。
取り違えが発生した段階が「診断」の事例は 5 件、
「準備」の事例は 6 件であり、報告事例の内容
からは取り違えの段階が不明な事例が2件あった。また、「実施」の事例はなかった。
図表Ⅲ - 2- 43 発生段階別分類
発生段階
件数
診断
5
準備
6
実施
0
不明
2
合 計
13
次に、報告事例13件を発生段階別に整理した事例の概要を図表Ⅲ - 2- 44に示す。
図表Ⅲ - 2- 44 発生段階別事例の概要
事故の
程度
No.
事故の内容
事故の背景要因
改善策
診断
1
患者は右気胸であった。エックス線撮影指示
は立位正面と側面の撮影であった。患者は立
位・坐位の保持が出来ないため仰臥位で胸部
エックス線を撮影した。エックス線撮影画
像のフィルム処理時にA→P撮影であるとこ
ろP→Aとして処理した画像が送られた。医
師は患者を診察した際に呼吸音が弱く、また
エックス線撮影フィルムを確認して、左気胸
と診断し左胸腔にドレーンを挿入した。胸水
障害なし
と空気が引かれたため疑問に思った医師が再
度エックス線フィルムを確認すると、左右逆
であることを発見した。放射線技師に確認す
ると、処理を間違えていたことがわかった。
患者は両側気胸であるため、左右のドレーン
を留置することとなった。
- 176 -
医師は電話連絡を数日前に
受けており、紹介状(右肺
気胸)の確認を怠った。医
師 2 名で画像を確認したが、
患者は以前も両側気胸を起
こしており、フィルムから
左気胸と思い込み、確認が
不十分であった。エックス
線撮影フィルム画像が間
違って処理された。画像処
理時、放射線技師 2 名で確
認したがお互い声かけせず、
又 1 名は電話対応していた
ためルールを怠った。昼休
憩時間でエックス線撮影検
査の待機患者が多く、放射
線技師は焦っておりダブル
チェックをしなかった。
・フィルム画像処理時に注
意喚起するマークを 2 箇
所貼る。
・スタッフ間での声かけを
する。
・確認行動の徹底を行う。
・指差し呼称。
・マンパワーの確保。
・五感を用いて診察を行い、
あらゆる情報の共有をす
る。
・疑問は声だしをして解決
し行動する。
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
No.
2
事故の内容
事故の背景要因
患者は胸痛のため,救命救急センターへ来院
し、呼吸器疾患を疑い胸部エックス線写真を
撮影した。その際、エックス線用グリッドを
裏表を逆にセットしていたため画像が左右が
逆になっていたが気付かずに左肺(心陰影・
下行大動脈が右側にあることは内臓偏位と考
えた。
)に気胸があると診断し、左肺に胸腔
障害残存
ドレーンを挿入した。その後、再び救命救急
の可能性
センターで胸部エックス線写真を撮影し画像
がある
を確認すると、挿入したドレーンは左胸腔内
(低い)
にあるが右の肺が虚脱しており、心陰影・下
行大動脈が左側で内臓偏位もないことから、
最初に撮影した胸部エックス線写真が左右逆
になっていることに気が付いた。
患者の聴診を行い、右気胸と一旦診断した
医師は、エックス線撮影室のモニタ画面を
見ていたところ、画面上左の肺が2/3虚脱
し、右方シフトも見られた。SpO 2 は60
台となり、患者の意識レベルも朦朧としてい
たので、医師は急いで処置をしなければと思
い、聴診とは部位が違いおかしいと感じたが、
エックス線撮影画面で確認した通りに左胸腔
にトロッカーを挿入した。挿入前のエック
ス線画像のフィルムの所見の確認も行った。
障害残存 トロッカー挿入部の固定後、確認のための
の可能性 エックス線撮影を施行した時点で撮影した技
がある 師から「さっきのフィルムは左右が逆であっ
(低い) た」と報告された。しかしすでに虚脱してい
ない左肺にトロッカーを挿入していた。
- 177 -
改善策
救命救急センターで放射線 ・エックス線写真の撮影ミ
技 師 以 外 の 者 が 撮 影 し た スは今後も起こり得る可能
エックス線写真が左右が逆 性が高いため、救命救急セ
になっていたが気が付かな ンターにおける撮影は以下
かった。
の事項について改善策を検
討した。
1.カセッテの設定は、原
則として放射線技師に撮
影を依頼する。
2.歩行可能な患者や緊急
時以外は放射線部でエッ
クス線撮影検査を行う。
3.エックス線画像を転写
するなどの差し替えがあ
る場合は、履歴を残して
おくように放射線技師に
注意喚起する。
エックス線撮影を行った放 ・複数人で処置直前の確認
射線技師に医師の指示と撮 を行うことを徹底する。
影条件についての知識がな ・エックス線撮影室のモニタ
く、患者の状態と指示内容 画面での診断を禁止する。
がそぐわないことに気づか ・エックス線オーダと撮影
なかった。患者の状態で撮 方法の教育を行う(医師・
影条件が変わる時には放射 看護師)。
線技師の裁量で撮影後画像
を修正をしていることを医
師や看護師が知らなかった。
エックス線撮影室のモニタ
画面はその時撮影した画像
がそのまま反映され、確定
画面ではないことを放射線
技 師 以 外 は 知 ら な か っ た。
医師はおかしいと思った時
に誰も確認していない。医
師は処置開始直前に、複数
人で部位や処置内容の最終
確 認 を し な か っ た。 医 師、
技師、看護師ともに当直明
けであった。患者の状態が
不良で、焦っていた。コミュ
ニケーション不足があった。
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例
3
事故の
程度
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
4
事故の
程度
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
事故の内容
事故の背景要因
患者は、前医で胸部エックス線写真を 2 枚撮
影され、フィルム2枚の裏側には、患者の氏名・
撮影日がマジックで記載されていた。当院を
受診し、エックス線フィルム2枚が電子カル
テに表と裏を逆に(記載された日時・氏名が
読める側を表にして)放射線科事務職員によっ
て取り込まれた。当院外来で初診診察した医
師は、そのエックス線フィルムを見て左胸水
の貯留を右胸水の貯留と取り違えてカルテに
記載した。患者は胸水の貯留のため同日、緊
急入院となった。入院後、4年目医師が患者
に対して胸腔ドレーンの留置を開始した。右
胸水の貯留であると判断し、右側胸部に超音
波を当て肝臓を確認した。20年目医師が来
室し指導を行った。血性の液体を少量吸引し
障害なし
たため4年目医師はこれを胸水だと判断した。
胸水の排液を認めないため再度、試験穿刺を
行ったが排液を認めず、空気を吸引した。そ
の後も剥離を行ったが排液を認めなかったた
め、20年目医師が交代したが超音波で明ら
かな胸水を確認できず、穿刺時に胸水の排液
はなく空気を吸引したため、処置を終了した。
11時頃、胸部CTを撮影し、左胸水の貯留を
確認した。健側である右側の穿刺部に少量の
肺出血を認めた。また軽度の右気胸を認めた。
SpO 2 は95%(room air)
、
疼痛はなかった。
改善策
他院で撮影されたエックス ・他院で撮影されたエック
線フィルムの、裏側に撮影 ス線フィルムを取り込む際
した日付・患者氏名が記載 には、放射線科診断医に確
されおり、左右が識別でき 認を行うなど左右確認を十
る表示はなかった。 当院で 分に行い慎重に取り込む。
の電子カルテへの取り込み ・処置前には、当院での画
の際には、上記の背景があ 像撮影を行う。
り左大量胸水の貯留による ・超音波検査(画像の保存)
縦隔の圧排で心陰影からの を含め十分に行い、身体所
エックス線フィルムの左右 見を十分にとる。
の 判 断 が 難 し か っ た た め、
エックス線フィルムが表と
裏が逆のまま取り込まれた。
穿刺前に聴診また超音波を
用いていたが、右が健側で
あることに気が付かなかっ
た。
13時30分、左胸腔ドレーン留置を実施。翌
日、胸部エックス線写真を撮影し、気胸の増
悪がない事を確認した。その後、胸部CTの
結果、右気胸は改善した。
5
自然気胸の診断のため紹介受診した患者は、
他院で撮影した胸部エックス線写真を持参し
ていた。医師がエックス線写真を読影する際、
シャウカステンに表と裏を逆にかけたため、
左自然気胸であったのに右自然気胸と誤っ
た。患者は緊急入院し胸腔ドレーンを挿入し
た。医師は診察時に病変は右と思いこんでい
たため、右にドレーンを留置した。処置後の
胸部エックス線写真撮影で挿入したドレーン
障害残存 と反対側の気胸の存在に放射線技師が気付き
の可能性 医師に連絡した。すぐに患側である左胸腔ド
がある レーンを挿入した。患者に説明し、不必要な
(低い) 処置で体に侵襲を加えるとともに肉体的・精
神的苦痛を与えてしまったことを謝罪した。
- 178 -
医師は、別の患者の手術開 ・左 右 の 部 位 確 認 の た め、
始までの時間の中で、緊急 複 数 の 医 師 の 目 で 確 認 す
のドレーン挿入をしなけれ る。
ばならず焦っていた。診察 ・処置の前には理学的所見
の際にエックス線写真を読 の取得を必ず行い部位を確
影していたので右側と思い 認する。
こみ、ドレーン挿入前の理 ・患者の疑問の言葉には注
学的所見診察を怠っていた。 意を払う。
外 来 の 体 制・ 手 術 の ス ケ ・正確な訴えの聴取を行う。
ジュールには人的余裕がな ・可能であれば、余裕を持っ
い。胸部エックス線写真の た診療体制が組めるように
読影は、日常的に行われる することを診療科・病院全
診断行為であり、通常左右 体 の 課 題 と し て 考 え て い
や表裏を誤ってしまうこと く。(例えば、診療科を超
は希であるが、ちょっとし えて手術に入らない医師に
た不注意や散漫な精神状態 依頼が可能かどうか。)
で読影にあたると誤ったま
ま思い込んでしまうことも
あることを痛感した。
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
事故の
程度
No.
事故の内容
事故の背景要因
改善策
準備
6
一連の行動の中に左右の部 ・セイフティ情報を発行し、
位確認の場面が全くなかっ 院内全てに左右確認につい
た。他科入院の病棟であり て周知した。
医師とのコミュニケーショ ・院内ルールの作成(現在
ンがとりずらかった。権威 は 手 術 部 位 の 左 右 確 認 に
性、権威勾配があった。セッ つ い て の み 明 文 化 さ れ て
トを開くなどの準備が整わ い る ) → セ イ フ テ ィ マ ネ
ないうちに、処置が開始と ジャー全体会で検討する。
なった。処置ベッドは主に ・当該部署では,処置ベッ
泌 尿 器 科 が 使 用 す る た め、 トの枕を常設しない。
患者の右側で処置しやすい ・左右確認の張り紙をする。
ような配置で枕が置かれて ・確認、声だしの申し合わ
いた。電子カルテの配置の せをする。
問題があった。職場風土の
問題があった。
17時頃、左膿胸の疑いの患者に対し、左右 繁忙のため確認が充分でな ・胸腔ドレーン承諾書には、
を間違えて、右胸腔ドレーンを挿入した。す かった。処置の前に医師と 左右を記入。
ぐに間違いに気づいたため、左胸腔ドレーン 胸腔ドレーンを挿入する側 ・手術時と同様、処置実施
挿入を引き続き行った。患者は「左向きの方 ( 左 右 ) の、 体 位 を 確 認 で 前には、承諾書に基づいて
が息がしやすい」と左側臥位をとっていた。 きていなかった。左側に胸 医師と介助につく看護師で
その後、医師から患者へ右側臥位をとるよう 腔ドレーンを挿入すると把 患者名・左右確認・処置の
に説明したが患者自身が自分で動く様子が 握していたにもかかわらず、 体 位 を ダ ブ ル チ ェ ッ ク す
なかったため、看護師も右側臥位ととるよう 処置中左右の違いに気づけ る。
患者に説明した。患者が右側臥位をとる前に ず、処置の介助についてい ・可能であれば患者も一緒
障害残存 「頭と足の向きを逆にしたい」と言われたた た。右側に挿入しているに に確認する。
の可能性 め、看護師が介助し、足と頭の向きを変更し もかかわらず、左側に挿入
た。その後、
「ゆっくり向きます。
」と患者か していると思いこみがあっ
なし
ら発言があった。看護師は処置の準備をする た。右側臥位をとるよう患
ため、一度患者から目を離した。患者は左側 者に説明していたが、患者
臥位のままであったが、医師、看護師ともに は左側臥位のままであった
気付かず処置を実施した。右側に胸腔ドレー (向きを変えるのを忘れて
ンを挿入後にドレーン先端を確認するための いたと後に患者から発言が
胸部エックス線写真撮影に行く準備をしてい あった)。
る間、左右を取り違えて胸腔ドレーンを挿入
したことに気付いた。その後、改めて正しい
側に胸腔ドレーンを挿入した。
- 179 -
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例
7
外来診察医から、左気胸患者の入院連絡が
あった。入院直後患者の強い希望で一旦外
出し帰院後にドレーンを挿入することとなっ
た。 医 師 は、 患 者 が 帰 院 し た 連 絡 を 受 け、
1年次研修医に胸腔ドレーンを挿入する患者
がいる事を連絡した。研修医は呼吸器内科の
研修で胸腔ドレーン挿入は未経験であった。
患者は処置室で片側を壁につけた処置台に左
を壁側にして臥床していた。医師は患者に服
を脱いでもらい、研修医にドレーンを挿入す
る位置を示し(右)
、左右の確認をしないま
ま処置が始まった。研修医の手元を見ていた
医師は、何か違和感を感じ、振り向いた場所
に置いてある電子カルテで胸部エックス線写
真を確認し気胸は左だと認識した。しかし、
再度患者の方に振り向いた時には漫然と研修
障害なし
医の手元を見ていた。そして緊張を和らげる
ためにずっと患者に話しかけながら、研修医
を指導した。処置終了後、部屋で待っていた
母に処置が無事終わったことを説明する段階
で左右を取り違えてドレーンを挿入したこと
に気がついた。介助についた助産師は、胸腔
ドレーン挿入の介助の経験がなかったため補
助の看護師がいたが、左右どちらに挿入する
か認識していなかった。左と聞いていた介助
の助産師は「あれ、右かな、左かな」と声を
出したが、医師は認識しなかった。患者もお
かしいと思ったが声を出さなかった。いずれ
も「でも医師がするならそれが正しいのだろ
う」と思い疑問を投げかけることはなかった。
処置にあたった研修医は左右どちらに挿入す
るか全く認識していなかった。
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
事故の
程度
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
事故の内容
事故の背景要因
14:00、処置室のPCで胸部CT画像を
写し出し、内科主治医と外科医師と看護師の
3人で処置を開始した。外科医師が患者を処
置台に誘導し、左下側臥位の体位を患者にと
らせた。外科医師は患者の背側から右胸部に
トロッカーカテーテルを留置した。その後、
外科医師が反対側へ処置したことに気付き、
本来の左胸部へトロッカーカテーテル留置し
た。その後、15:00右胸部のトロッカーカ
テーテルを抜去した。処置直後はT36.
1℃、
PR100回/分、BP136/78mmHg、
S p O 2 は 9 6 %( 酸 素 な し ) で あ っ た。
8
障害なし
病室に帰室後15:20頃から悪寒があり
SpO2は81%まで低下したため末梢ルート
確 保と酸 素吸 入を開始した。19:00の胸
部単純撮影で右気胸になっており、20:00
右胸部へアスピレーションキットを挿
入 し た。 そ の 後 低 圧 持 続 吸 引 を 実 施 し
エアリークは認めなかった。
- 180 -
改善策
処 置 部 位 の 確 認 に つ い て 同意書について
主治医は胸腔ドレナージの ・観血的処置を行う際の同
同意書を院内同意書の雛形 意書には処置を行う目的で
から独自に作成した。観血 ある「病名」や部位を特定
的処置を行う「病名」や部 する「左右」が必要であり、
位を特定する「左右」は記 胸腔ドレナージの同意書を
載がなかった。同意書とし 診療部で検討し医療安全担
ては不完全な内容であった。 当者会に提出する。
外科医師は左胸部へ胸腔ド 部位確認について
レナージを行うと主治医か ・次の2点は観血的処置を
らの依頼は理解していたが、 行う場合に必ず実施するこ
処置台に患者を誘導し体位 ととしてリスクマネージメ
を整える時には部位確認は ントマニュアルに追加する
しなかった。また、処置直 (医療安全担当者会に提出
前に患部を聴診・打診は行 し検討した)。
わなかった。手術室では「タ ①処置直前には実施医によ
イムアウト」として全員参
る患部の聴診・打診を行
加し患者部位確認を手術部
う。
位チェックリストに沿って ②直 前 に 処 置 に 関 わ る
行っている。観血的処置を
スタッフ全員で部位確認」
行う場合も患者部位確認を
を行う。実施医が実施部
処置直前に立ち会う職員全
位を指差し呼称し、介助
員で行う必要があった。胸
者がカルテ(同意書)と
腔ドレナージの基本手技に
画像を確認する。
関して明文化されたものはな
かった。処置直前の超音波
検査は、事前のCTで胸水
の貯留があきらかであった
ため行わなかった。
右胸部トロッカーカテーテル
を抜去後の気胸について低
圧持続吸引ではリークは認
めなかったが、処置による
肺損傷は不明である。右胸
部トロッカーカテーテルを
抜去後2時間で気胸を認め
ており処置により発生した
と考えられる。
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
No.
9
事故の内容
事故の背景要因
改善策
患者の背中側に限局した胸水を抜くため、背 背側に限局した胸水であり、 ・処置時の患者、部位など
部から胸腔穿刺を実施した。医師2人で処 通常、胸腔穿刺を行なう体 の確認は複数人で行なう。
置の準備を始め、患者を処置室に招き入れ 位ではなかった。
・患者に部位を確認する。
た。患者に処置台に側臥位になっていただく
・処置部位にマーキングを
際、左と右を間違え患側を下に向けてしまっ
行なう。
た。医師は、事前にCTで部位を確認してお
・声に出して部位を確認す
り、穿刺位置を決めていた。穿刺直前の診察
る。
時に健側の呼吸音、打診、超音波を施行し確
・単 純 な 思 い 込 み に よ る
ヒューマンエラーであるこ
障害残存 認を行なった際に、位置決めの根拠になる確
とから、誰もが間違えると
の可能性 証は得られなかったが、背部に限局した胸水
であったため画像診断ができないのだろうと
いう教育を目的に、院内で
なし
思い込み、そのまま健側を穿刺した。胸水は
研修医も含めた職員参加の
引けず、処置を断念した。その後患者のエッ
事例検討会を開催した。討
クス線写真を撮ったところ、患部を間違えて
論の中で出された改善案
穿刺した、さらに健側に気胸を発症させてし
は、事故防止対策委員会、
まったことがわかった。患者にすぐに説明し、
医療問題対策委員会など医
謝罪するとともに気胸に対する処置を行っ
療安全に関る委員会の承認
た。患側の処置は翌日に施行した。
を得て全職員へ周知され
た。
患者は胸部エックス線、胸部CTを撮影し、
左胸水の貯留があり、臨床症状等から膿胸が
疑がわれた。A医師はB医師へ左第3肋間
背側より胸腔穿刺をするよう指示した。 予
診室で、B医師、C医師、D看護師、学生 2
人にて胸腔穿刺を開始した。患者は椅子に座
り、テーブルに枕をのせ、それを抱えるよう
に前かがみの姿勢になった。患者の右前方に
学生1人、正面にC医師、左前方にD看護師、
左側方に学生1人、後方にB医師という位置
であった。穿刺者が患者の背側より患者の背
中に超音波のプローブを当て、穿刺部位にマ
ジックでマーキングした。超音波では胸壁よ
障害残存
り内側に肺は認めなかった。胸腔穿刺を行っ
の可能性
たが穿刺液は採取できず、空気のみ吸引でき
がある
たため胸部エックス線にて認められていたエ
(低い)
アスペースに穿刺したと判断した。 その後、
A医師が来室し、患者正面より手技を観察し
ていた際、胸水を採取することができなかっ
た為、穿刺部位を確認し左右誤認を指摘した。
呼吸状態が安定していた為、改めて左胸腔穿
刺を行ったが胸水は採取できず、患者は咳
嗽、呼吸苦出現、顔色不良となりSpO 2 87%に低下、酸素 2L経鼻開始し、右気
胸と判断し全ての手技を中止した。胸部エッ
クス線及び透視下でのトロッカー挿入し、
SpO 2 97∼98%と改善し、右肺の拡張
改善を認めた。 その後呼吸器病棟へ入院と
なった。
予診室には医師2人、看護 ・2名以上の医師、看護師
師1人、患者本人と在室し で部位を確認する。
ており、声かけなどの基本 ・手術時同様、複数人で処
的なことで回避できたと考 置 直 前 に 確 認 す る こ と を
える。誤針するまでに、超 ルール化し、胸腔ドレーン
音波で確認し、マーキング、 手順に追加することを検討
消毒、局所麻酔と確認する する。
時機があったにもかかわら ・どのような時にでもスタッ
ず、複数人での確認を怠っ フが十分な確認を行なえる
た。
よう、外来処置においても、
マーキング、複数人で処置
直前に確認することなどの
システムを構築する。
- 181 -
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例
10
事故の
程度
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
11
事故の
程度
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
事故の内容
事故の背景要因
救急外来の看護師より、左に胸水貯留がある
ため、病棟で胸腔穿刺を行う旨を病棟看護師
A、B 2 名に申し送った。入院後、胸腔穿
刺の準備を看護師 A・看護師 B で行った。主
治医は、自ら超音波を準備し病室に入り、ベッ
ドサイドの右側に立った。主治医は救急外来
で左側胸部であると確認していたが、右側か
らの穿刺であると勘違いした。超音波も、右
側を行った。看護師Aは、左の胸水貯留につ
いて、救急外来からの申し送りで聞いていた
が、医師が右側で準備を始めたことで、右で
良かったのか疑問を持ったまま介助を行っ
た。看護師 B は、右側も刺すのかと思ったが、
医師に確認はしなかった。主治医は、今まで
侵襲を伴う検査や処置に関して、必ず他の医
師に付いてもらい実施していた。今回、穿刺
前に上級医に一緒に付いてもらう連絡を入れ
たが、その時間、上級医2名は外来と救急外
来の対応中であり付いてもらうことができな
かった。前病院では一人で行っていた経験は
あり、当院での胸腔穿刺実施を一人で行うこ
とは初めてで、手技への不安が多少あったが、
一人で行うことにした。右の胸腔穿刺を行っ
たが胸水が引けなかった為、その時点で左で
あったと間違いに気づいた。左胸腔穿刺を実
障害残存 施し、20mLの胸水を引き検体を検査へ提
の可能性 出した。胸腔穿刺終了後、主治医は胸水のな
がある い右側を刺したことで、気胸になるのではと
(高い) 不安はあった為、肺音の聴取を行った。看護
師へも「胸の音を聴いて下さい」と指示した。
気胸という言葉を看護師に伝えたかは忘れて
しまい不明である。看護師も終了後バイタル
サインを測定し肺音の聴取も行っており、特
に異常をとらえなかった。主治医は終了後、
何度か訪室し状態を確認した。患者自身に
は、呼吸状態の変化はなかったが、モニタ上、
HRの上昇があり心臓の圧迫により呼吸不全
が出ている為であると判断した。15時30
分穿刺後に胸部エックス線写真を撮り、画像
を確認した。その時の画像では、気胸と判断
できなかった。患者の状態が変わらなかった
為、CTの指示は出さなかった。17時日勤
リーダーの看護師Cは、ナース室での患者の
アラーム音が鳴っていた為、看護師 B に確
認に行くように指示した。看護師B・Cで患
者のベッドサイドに行き状態を観察、患者は
呼吸苦を訴えSpО 2 の低下が認められた。
看護師Cは、主治医に連絡した。診察の結果、
胸部CTの指示を出し、撮影した。CTの結
果、右の気胸の診断にて、上級医に相談した。
外科医師にコンサルト後すぐに右胸にトロッ
カーを挿入した。家族には、胸腔穿刺後に気
胸になりトロッカー挿入する旨を電話で説明
した。
- 182 -
改善策
今回の胸腔穿刺(侵襲を伴う 病院全体としての取り組み
検査)において、医師、看護 ・当院では、現在手術時の
師共に検査前の名前・部位の 複数人で処置直前に確認す
確認を行っていない。また、医
師が右側に立った時点で、看 ることは実施しているが、
護師は疑問に思ったが自ら画 侵襲的な処置や検査におい
像を確認しておらず、曖昧な ては実践されていない。今
ままに介助についてしまい確 回の胸腔穿刺時の部位誤認
認不足があった。医師は、右 の事故を受け、侵襲を伴う
肺を超音波で確認し穿刺をし
ている為、胸水貯留時の超音 検 査 に つ い て の 誤 認 防 止
波の所見が読めていない知識 に向けて、複数人で処置直
不足があった。医師は、胸腔 前に確認することを導入す
穿刺を当院で 1 人では行って る。
おらず、自身でも手技に不安 ・医局での教育の整備・経
があったが、上級医の手が離
せない状況から、1 人でもでき 験年数が浅く、技術に不安
ると判断し実施している。誤穿 のある医師には、必ず上級
刺後の患者観察において、診 医の監視下での検査・処置
療および看護記録に観察内容 を行う。
を残していなかった。看護師 B ・上級医が、業務でつけな
は、経験年数 3 年であったが
当院入職 2 週間と短く、記録 い場合は、時間をずらし必
の記載について病棟側の指導 ず 2 人で実施する。また、
も不十分であった。しかし、穿 緊急を要する場合は、他科
刺後の観察は経験のある看護 の医師にも協力要請の体制
師であれば記録に残すべきで を作る。
あり、看護師の知識不足も考
えられる。医師は、穿刺後に胸 ・検査所見から診断がつけ
部エックス線撮影で気胸の確 られるように、上級医が画
認を行っているが、気胸と診 像 指 導 を 行 う。( 超 音 波・
断しなかった。後日、他の医師 エックス線撮影所見)
の所見では、すでに気胸になっ 看護師の業務の見直し
たとの所見であった。この時点
での気胸の診断ができなかっ ・病棟看護師の知識不足に
たことは、エックス線撮影所見 より検査実施後の観察が不
を判断できない技量不足があ 十分であり気胸の症状が早
る。しかし、17:00 の患者が 期に発見できなかった。今
呼吸苦を訴えSpO2が低下し 後、介助時の注意点も含め
た時点で撮ったCTの画像で
は、15:30 のエックス線撮影 胸腔検査時の手技・注意点・
所見と比べ気胸の大きな悪化 観察項目・合併症の早期発
は見られていなかった。看護 見のために病棟での勉強会
師は、穿刺後に何度か患者観 を実施する。
察を行ってる。穿刺後にアラー ・看護師の教育不足により、
ムで HR の上昇が見られたが、
患者自身からの呼吸苦の訴え 必要な記録が抜けていたこ
がなかったことと、循環器病棟 とから、定期的な記録監査
でのアラームに対する慣れが を病棟で実施、監査内容を
あり、患者観察が不十分であっ 職員へ伝達する。
た。医師は、病棟看護師へ肺
音の聴取については指示した
が、気胸の可能性については、
伝えたか覚えていない。伝え
られていない看護師は、気胸
の可能性についての観察や危
機感がなかった。医師は、当
該病棟には、この患者しか受
け持ちしておらず、忙しそうに
している看護師に声を掛けづ
らかったとのことで、穿刺後の
観察についても看護師から情
報を取らずに自ら診察に行き、
看護師との情報共有が足りな
かった。
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
事故の
程度
No.
事故の内容
事故の背景要因
改善策
不明
12
13
胸水貯留のため試験穿刺を行ったが、穿刺す 医師の経験不足による技術
る部位の左右を間違え、気胸を発症した。
未熟であった。処置実施時
間の調整不足があった。処
置介助看護師が受け持ち看
護師ではなかった。看護師
は患者の状態を十分把握し
ていなかった。看護師が患
障害残存
者家族との対応中に一人で
の可能性
処置を始めた。医師は看護
なし
師の勤務交代時前であり気
が焦っていた。医師・看護
師は処置開始前に穿刺部位
の確認をしなかった。医師
の技術教育の統一ができて
いない。穿刺介助の手順通
りの行動になっていない。
患者は、原発性肺癌の疑いで入院精査中であ
り、診断目的で胸水試験穿刺を施行した。担
当医は胸腔穿刺時、少量の血性の液体を吸引
したため検査を中止した。担当医は3時間後、
診療録への記載の際に左右を取り違えたこと
に気付いた。担当医は穿刺前に超音波検査で
障害残存
胸水の有無を確認した際、脾臓を胸水と誤認
の可能性
してしまったことなどが原因と考えられ、患
なし)
者と家族にこれらの事実について説明し謝罪
した。
・処 置 時 間 の 調 整 を 医 師、
看護師間で実施する。
・処置介助は受け持ち看護
師ができるよう業務調整を
行う。
・医師・看護師間での情報
共有を行う。
・穿刺部位の確認は複数人
で声だし確認する。
・医師の技術教育のシステ
ムの検討。
・処置介助の手順の再検討
する。
(2)発生段階別の背景・要因の分析
報告事例13件のうち、取り違えの発生段階が「診断」の事例5件および「準備」の事例6件につ
いて、分析を行った。
ア)「診断」の事例について
診断は、医師が疾患を診断する時点に左右を取り違えた事例である。事例5件の内容は全てエッ
クス線画像に関するものであった(図表Ⅲ - 2- 45)
。医師がエックス線画像を見て診断する際に、
すでにエックス線フィルムや画像の左右が取り違えられていた事例が4件であり、その他に医師が
シャウカステンにエックス線フィルムを左右を取り違えて掲示した事例が1件あった。
- 183 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例
右 側 と 左 側 の 確 認 を 怠 り、 ・胸水試験穿刺時には胸部
患側を誤認していた。超音 エックス線、あるいは胸部
波検査にて胸水を確認した CTなどの画像所見をプリ
が、脾臓と胸水を誤認した。 ントアウトし、傍らに置い
て直前にも再度確認する。
・可能であれば複数のスタッ
フで処置するようにする。
・超音波で胸水を確認する
ときは、脾臓・肝臓などの
正常組織を認識し、その後
に胸水という異常所見を検
索する。
・両側を超音波にて検索す
る。
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅲ - 2- 45 発生段階が「診断」の取り違えの場面
取り違えの場面
内 容
・診療放射線技師がエックス線撮影後、左右を取り違え
画像を処理した。
エックス線撮影画像の
・胸部エックス線写真を撮影の際、エックス線用グリッド
フィルムの処理
(散乱線防御板)を表と裏を逆にセットしたため画像が
逆になった。
エックス線フィルム
や画像の左右間違い
エックス線撮影室モニタ
画面の表示
・診療放射線技師は、エックス線フィルム処理の際に修
正するつもりで、指示された条件から、左右が入れ違
う条件で撮影した。撮影中のモニタ画面で医師は左右
の修正前の画像を見ることができた。医師は左右の修
正が必要なことを知らなかった。
エックス線フィルムの情 ・放射線科事務職員は前医のフィルムのマジックの記載
報を取り込む際の左右の 内容(患者の氏名、撮影日時)が読める画面を表にし
取り違え
て取り込んだが、表と裏を取り違えた。
エックス線フィルムを掲示する際の左右間違い
・医師が読影の際にシャウカステンにエックス線写真の
表と裏を逆にかけた。
エックス線画像は、医師の胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入の適応を決めるための診断に不可欠な検
査のひとつではあるが、医師はエックス線の画像診断のほかに、聴診や超音波検査など複数の検査
結果に基づいて診断していることが事例の内容に記載されている。したがって、エックス線画像を左
右を取り違えても、他の検査結果と合わせて診断することで左右の取り違えを防ぐことができる可能
性がある。
しかし実際には、エックス線画像が中心的な情報として診察が進み、その他の所見と一定程度整
合しなくても、エックス線画像の左右の取り違えがないことまで遡って確認することは容易ではない
のが現状である。また、呼吸音で聴診することなどにより判断することが原則的になされているが、
実際には、両側の肺に病変が存在する場合や、全身状態が良好でないため一側の肺の異常の発見が
難しい場合などがあることから、エックス線検査以外の検査結果を活用しても左右の取り違えを予防
する対策としては十分とは言えない。
そこで、エックス線画像を左右を取り違えて処理することがないように、また、モニタで左右を取
り違えた表示がなされることがないように、エックス線撮影の段階に関わる診療放射技師などを中心
に対策を講じることが、まず重要であると考えられる。
また報告された事例の中には、
「聴診と部位が違いおかしいと思ったが、誰にも確認しなかった」
という記載があり。医師は、少しでも「おかしい」と思ったことがあれば、他の医師に助言を仰いだ
り、他の医療スタッフの意見を聞いたりすることにより、左右の取り違えを防ぐことが出来る可能性
がある。
イ)「準備」の事例について
準備は、医師は部位を含め正しく診断したが、患者を処置台に臥床させて準備する際に左右を取
り違えた事例であり、6件の報告があった。患者の体位を決める際の取り違えが4件、マーキング
の左右取り違えが1件、医師が穿刺部位へのアプローチする位置を勘違いした事例が1件であった
(図表Ⅲ - 2- 46)
。また、
左右を含めた処置直前の部位確認は6件全てにおいて行われていなかった。
- 184 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
処置直前の左右の部位確認がなされていれば、取り違えに気が付いた可能性があることから、胸腔
穿刺や胸腔ドレーン挿入のように患者に侵襲のある処置の場合、手術と同様に①直前に、②関わる
医療スタッフ全員で、③根拠となる書類(エックス線写真など)とともに処置部位を確認する、こ
との重要性が示唆された。
図表Ⅲ - 2- 46 発生段階が「準備」の取り違えの場面
左右取り違えの場面
内 容
処置直前の
左右確認
・処置ベッドは患者の右側からの処置がしやすいような
配置で枕が置かれていた。
・患者は息がしやすい方向に体を向けていた。
・医師と看護師は患者に正しい体位をとるよう説明をし
たが、患者は説明されたことを忘れていた。
患者の体位取り違え
Ⅲ
・医 師 は、 患 者 を 処 置 台 に 誘 導 し、 体 位 を と る 際 に、
部位の確認を行わなかった。
・医師は、患者を処置台に誘導し、体位をとる際、左右
を取り違えた。
・背部に限局した胸水であったため、常に行う体位では
なかった。
マーキングの取り違え
・処置室で患者を座位にし、穿刺部位確認のために背部
から超音波のプローブを当て位置を確認してマーキン
グした段階で左右を取り違えた。
医師の思い込み
・医師は、左側胸部と確認していたが、右側からの穿刺
と勘違いし、ベッドの右側に立った。
実施なし
報告された事例の事故の程度(図表Ⅲ - 2- 47)では、
「障害残存の可能性が低い」
、「障害残存の
可能性なし」
、「障害なし」がそれぞれ4件であり、患者への影響の程度は小さかった。しかし、事例
の記述内容から患者には気胸や肺出血の症状が出現していることがわかる(図表Ⅲ - 2- 48)。この
ように胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入の左右の取り違えによって、患者に治療を要する症状が生じるこ
とがあることを十分に認識する必要がある。
図表Ⅲ - 2- 47 事故の程度
事故の程度
件数
障害残存の可能性がある(高い)
1
障害残存の可能性がある(低い)
4
障害残存の可能性なし
4
障害なし
4
合 計
13
※報告があった数の程度の区分を掲載した。
- 185 -
胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例
(4)患者への影響
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅲ - 2- 48 患者の症状
症状
件数
気胸
7
肺出血
1
不明
5
(5)事例が発生した医療機関の改善策について
事例が発生した医療機関の改善策の中からア)「診断」、イ)「準備」のそれぞれの段階について
内容を整理し、以下に示す。
ア)「診断」
①エックス線画像撮影や処理に関すること
・ エックス線撮影の際、カセッテの設定に関することについて原則として放射線技師に依頼する。
・フィルム画像処理時に注意喚起するマークを2箇所貼った。
・エックス線画像を転写する等差し替える場合は,履歴を残しておく。
②読影に関するもの
・上級医が画像読影についての指導を行う。(超音波、エックス線所見)
③他院からの情報に関するもの
・他院で撮影されたエックス線フィルムを取り込む際には、左右確認を十分に行い慎重に取り
込む。
・放射線科診断医に確認を行い取り込む。
・処置を行う前には、当院での画像撮影を行う。
イ)「準備」
①実施前の所見の確認
・胸水試験穿刺時には胸部エックス線画像、あるいは胸部CTなどの画像所見をプリントアウ
トし、傍らに置いて直前にも再度確認する。
・処置の前には理学的所見の取得を必ず行い部位を確認する。
・処置直前には実施医による患部の聴診・打診を行う。
②処置直前の、左右確認のルール化と実施
・侵襲を伴う検査は処置直前の部位確認の導入を行う。
・処置直前に処置を行う全員で部位確認を行う。実施医が実施部位を指差し呼称し、介助者が
カルテ(同意書)を確認する。
・2 名以上の医師、看護師で部位を確認する。
・手術時と同様、処置実施前には、承諾書に基づいて医師と介助につく看護師で患者名・左右
確認・処置の体位をダブルチェックする。
③マーキングのルール化
・処置部位にマーキングを行う。
- 186 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
④チームでの確認
・スタッフ間での声かけ・声だし確認。
・疑問は声だしをして解決してから行動する。
・医師・看護師間での情報共有を行う。
(8)まとめ
本報告書では、胸腔穿刺の際の左右の取り違えに着目し、発生段階に分類し、「診断」「準備」の段
階についての取り違えの場面や内容について分析した。
「診断」での取り違えは、全てエックス線画像に関するものであり、エックス線画像が中心的な情報
として診察が進み、その他の所見と一定程度整合しなくても、エックス線画像の左右の取り違えがある
かどうかを遡って確認することは容易ではない現状がある中で、エックス線を撮影する段階で関わる
診療放射線技師などを中心に対策を講じることの重要性について述べた。
また「準備」での取り違えは、全て処置直前の左右の部位確認が行われていない事例であり、胸腔
穿刺や胸腔ドレーン挿入のように患者に侵襲のある処置の場合、手術と同様に①直前に、②関わる医
Ⅲ
療スタッフ全員で、③根拠となる書類(エックス線写真など)とともに処置部位を確認する、ことの
重要性が示唆された。
胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
- 187 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
3 再発・類似事例の発生状況
本事業では、医療事故情報及びヒヤリ・ハット事例を収集し、個別のテーマに関する医療事故情報
とヒヤリ・ハット事例を併せて総合的に検討・分析を行い、更に、個別のテーマの他に「共有すべき
医療事故情報」や「医療安全情報」により、広く共有すべき医療事故情報等を取り上げ公表してきた。
ここでは、これまで個別のテーマや「共有すべき医療事故情報」、「医療安全情報」として取り上げ
た再発・類似事例の発生状況について取りまとめた。
【1】 概況
これまでに提供した「医療安全情報」について、本報告書分析対象期間(平成25年4月∼6月)
に類似事例の内容は21であり事例数は29件であった。このうち、類似事例が複数報告されたもの
は、「小児への薬剤 10 倍量間違い」が4件、
「小児の輸液の血管外漏出」、「注射器に準備された薬剤
の取り違え」、「体位変換時の気管・気管切開チューブの偶発的な抜去」、「皮下用ポート及びカテーテ
ルの断裂」、「アレルギーのある食物の提供」がそれぞれ2件であった。
また、「共有すべき医療事故情報」について本報告書分析対象期間に類似事例が報告された共有す
べき医療事故情報の内容は15であり、事例数は49件であった。このうち、類似事例が複数報告さ
れたものは、「『療養上の世話』において熱傷をきたした事例」、「小児への薬剤倍量間違いの事例」が
それぞれ6件、
「熱傷に関する事例(療養上の世話以外)
」、「施設管理の事例」
、「ベッドからベッドへ
の患者移動に関連した事例」がそれぞれ5件、「ベッドなど患者の療養生活で使用されている用具に
関連した事例」、「ベッドのサイドレールや手すりに関連した事例」、「病理検体に関連した事例」がそ
れぞれ4件、
「注射器に準備された薬剤の取り違えの事例(名前の記載あり)
」、「体内にガーゼが残存
した事例」、「食物アレルギーに関連した事例」がそれぞれ2件であった。
個別テーマについて本報告書分析対象期間に類似事例が報告されたテーマは、8テーマであり、事
例数は12件であった。このうち類似事例が複数報告されたものは、
「散剤の薬剤量間違い」が3件、
「貯
血式自己血輸血に関連した事例」、「膀胱留置カテーテル挿入の際、尿流出を確認せずにバルーンを膨
らませ尿道損傷を起こした事例」がそれぞれ2件であった。
「医療安全情報」
、「共有すべき医療事故情報」及び「個別のテーマの検討状況」に取り上げた類似
事例の報告件数を図表Ⅲ−3−1に示す。
本報告書分析対象期間において発生した類似事例のうち、医療安全情報として取り上げた、「誤っ
た患者への輸血」、「ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故」について事例の詳細を紹介
する。
- 188 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅲ - 3- 1 平成25年4月から6月に報告された再発・類似
内容
件数
出典
グリセリン浣腸実施に伴う直腸穿孔
1
医療安全情報 No.3(平成 19 年 2 月)
小児の輸液の血管外漏出
2
医療安全情報 No.7(平成 19 年 6 月)
製剤の総量と有効成分の量の間違い
1
医療安全情報 No.9(平成 19 年 8 月)
誤った患者への輸血
1
医療安全情報 No.11(平成 19 年 10 月)
注射器に準備された薬剤の取り違え
2
医療安全情報 No.15(平成 20 年 2 月)
湯たんぽ使用時の熱傷
1
医療安全情報 No.17(平成 20 年 4 月)
伝達されなかった指示変更
1
医療安全情報 No.20(平成 20 年 7 月)
処方入力の際の単位間違い
1
医療安全情報 No.23(平成 20 年 10 月)
小児への薬剤10倍量間違い
4
医療安全情報 No.29(平成 21 年 4 月)
アレルギーの既往がわかっている薬剤の投与
1
医療安全情報 No.30(平成 21 年 5 月)
ガベキサートメシル酸塩使用時の血管外漏出
ガベキサートメシル酸塩使用時の血管炎(第2報)
1
電気メスによる薬剤の引火
1
医療安全情報 No.34(平成 21 年 9 月)
持参薬の不十分な確認
1
医療安全情報 No.39(平成 22 年 2 月)
清拭用タオルによる熱傷
1
医療安全情報 No.46(平成 22 年 9 月)
体位変換時の気管・気管切開チューブの偶発的な抜去
2
医療安全情報 No.54(平成 23 年 5 月)
皮下用ポート及びカテーテルの断裂
2
医療安全情報 No.58(平成 23 年 9 月)
画像診断報告書の確認不足
1
医療安全情報 No.63(平成 23 年 2 月)
アレルギーのある食物の提供
2
医療安全情報 No.69(平成 24 年 8 月)
病理診断報告書の確認忘れ
1
医療安全情報 No.71(平成 24 年 10 月)
放射線検査での患者取り違え
1
医療安全情報 No.73(平成 24 年 12 月)
持参薬を院内の処方に切り替える際の処方量間違い
1
医療安全情報 No.78(平成 25 年 5 月)
6
共有すべき医療事故情報(第 5 回報告書)
左右を取り違えた事例
1
共有すべき医療事故情報(第 8 回報告書)
熱傷に関する事例(療養上の世話以外)
5
共有すべき医療事故情報(第 9 回報告書)
注射器に準備された薬剤の取り違えの事例(名前の記載あり)
2
共有すべき医療事故情報(第 10 回報告書)
小児への薬剤倍量間違いの事例
6
共有すべき医療事故情報(第 10 回報告書)
三方活栓の閉塞や接続ハズレなどの使用に関する事例
1
共有すべき医療事故情報(第 11 回報告書)
ベッドなど患者の療養生活で使用されている用具に関連した事例
4
共有すべき医療事故情報(第 11 回報告書)
施設管理の事例
5
共有すべき医療事故情報(第 11 回報告書)
ベッドからベッドへの患者移動に関連した事例
5
共有すべき医療事故情報(第 13 回報告書)
ベッドのサイドレールや手すりに関連した事例
4
共有すべき医療事故情報(第 13 回報告書)
体内にガーゼが残存した事例
2
共有すべき医療事故情報(第 14 回報告書)
医療安全情報 No.33(平成 21 年 8 月)
医療安全情報 No.77(平成 25 年 4 月)
〔次項につづく〕
- 189 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
概況
「療養上の世話」において熱傷をきたした事例
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
内容
件数
出典
病理検体に関連した事例
4
共有すべき医療事故情報(第 15 回報告書)
食物アレルギーに関連した事例
2
共有すべき医療事故情報(第 15 回報告書)
薬剤の併用禁忌に関連した事例
1
共有すべき医療事故情報(第 16 回報告書)
希釈して使用する薬剤の量を間違えた事例
1
共有すべき医療事故情報(第 16 回報告書)
貯血式自己血輸血に関連した事例
2
個別のテーマの検討状況(第 18 回報告書)
生殖補助医療に関連した事例
1
個別のテーマの検討状況(第 19 回報告書)
予防接種ワクチンの管理に関する医療事故
1
個別のテーマの検討状況(第 23 回報告書)
散剤の薬剤量間違い
3
個別のテーマの検討状況(第 24 回報告書)
画像診断報告書の内容が伝達されなかった事例
1
個別のテーマの検討状況(第 26 回報告書)
医薬品添付文書上【禁忌】の疾患や症状の患者へ薬剤を投与し
た事例
1
個別のテーマの検討状況(第 29 回報告書)
膀胱留置カテーテル挿入の際、尿流出を確認せずにバルーンを
膨らませ尿道損傷を起こした事例
2
個別のテーマの検討状況(第 31 回報告書)
血液検査採取時、患者間において採血管を取り違えた事例
1
個別のテーマの検討状況(第 31 回報告書)
※共有すべき医療事故情報や、個別テーマの検討状況に計上された事例は、医療安全情報と重複している場合がある。
- 190 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
【2】「誤った患者への輸血」(医療安全情報 No. 11)について
(1)発生状況
医療安全情報 No. 11(平成19年10月提供)では、輸血用血液製剤を接続する際に、患者と使
用すべき製剤の照合を最終的に行わなかった「誤った患者への輸血」事例を取り上げた(医療安全情
報掲載件数6件 集計期間:平成16年10月∼平成19年6月)。更に第25回報告書においても、
分析対象期間内に類似事例が報告されたことを受け、「再発・類似事例の発生状況」(第25回報告書
146∼150頁)の項目において事例の概要、背景要因などを取りまとめた。
このたび、本報告書分析対象期間(平成25年4月∼6月)においても類似の事例が1件報告され
た報告されたため、再び取りあげた。
これまで報告された「誤った患者への輸血」の件数の推移を図表Ⅲ - 3- 2に示す。
図表Ⅲ - 3- 2「誤った患者への輸血」の報告件数
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
平成20年
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
1∼3月
(件)
4∼6月
(件)
7∼9月
(件)
10∼12月
(件)
合計
(件)
0
1
2
0
0
0
1
0
1
1
1
0
1
1
2
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
−
0
0
1
0
0
1
0
2
0
−
0
1
3
2
1
2
2
2
0
2
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
﹁誤った患者への輸血﹂︵医療安全情報№
図表Ⅲ - 3- 3 医療安全情報 No. 11「誤った患者への輸血」
Ⅲ
︶について
11
- 191 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
(2)事例概要
平成25年に報告された事例概要を以下に示す。
事例1
【内容】
患者AはVT、VFを繰り返しPCPS、IABPを挿入中。出血傾向が強く、適宜RCC
(赤血球濃厚液)投与していたが、輸血庫より取り出す際に看護師は患者BのRCCを出して投与
した(血液型は同じ)
。看護師が投与10分後にバーコード認証を行ったところ、患者間違いが分
かった。投与前、ダブルチェックした際、パソコンの指示画面で患者氏名は確認したが、適合票 ※
の患者氏名の確認が抜けてしまった。また、投与前にバーコード認証を行わなかったため、患者
間違いに気づかなかった。
【背景・要因】
・同じ血液型の棚に、複数の患者の血液が、重ねて置いてあった。
・ダブルチェックの方法の間違い。
・パソコンでの患者氏名の確認は、ダブルチェックで行ったが、適合票の患者氏名の確認は行わ
ず、患者本人のバーコード認証をしなかった。
※報告された事例では「輸血票」との記載であったが、他の事例との帳票の表現の整理のため、本報告書では「適合票
(交差適合試験適合票)」とした。
事例2
【内容】
患者Xは、大動脈便置換術、僧帽弁形成術および上行大動脈欠陥置換術の術後、腎不全にてC
HDF開始し、またCODP急性増悪に対し人工呼吸を含めた呼吸管理、遷延するDICに対
して輸血療法中であった。当日、検査データからFFP(新鮮凍結血漿)
、PC(濃厚血小板)
、
RCC(赤血球濃厚液)輸血予定となる。腎不全、呼吸不全があり、輸液の水分過剰によるバイ
タル変化をさけ、透析中に輸血が終了できるようにFFP、PC、RCC輸血を順次実施する予
定であった。患者XのA型のPCとRCCが輸血部から到着した際に、医師は到着照合と開始入
力を行った。FFPが輸血中であったため、医師は看護師Aに輸血製剤専用保冷庫(以下、保冷
庫とする)に保管するよう指示し、看護師AはRCCを入れたトレイにベッド番号を貼付し、保
冷庫に保存した。
患者Xの受け持ち看護師Bは、医師から透析をしている間にRCCを実施するよう指示があっ
たため、凍結血漿終了後にすぐに接続できるよう保冷庫からRCCを取り出した。その際、患者
Yに輸血予定のAB型のRCCを保冷庫から誤って取り出し、点滴棒へかけた。看護師Bは、患
者Xの看護ケア中にFFPが終了したため、血液型確認を行わずにかけておいたAB型RCCを
接続した。10分後、患者Xに呼吸苦が出現し医師へ報告し、酸素増量等の処置を行なった。こ
の時点では患者間違いによる異型輸血に気がつかなかった。その後、患者YのAB型のRCCが
ないと報告があり、A型の患者XにAB型の輸血を投与したことがわかった。
- 192 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
【背景・要因】
○患者について
・患者XはA型でベッド番号10番であった。患者Xは透析回路からFFPを投与中であり、
続けてPC、RCCの投与を予定していた。
・患者YはAB型でベッド番号20番であった。患者YにもRCCが払い出され、ベッド番号
「20」の紙を貼ったトレイに入れ、保冷庫に保管していた。
○医師
・医師は、ICUに患者XのPC、RCCなど複数の輸血製剤が届いた際、全て投与する予
定であったため『到着時照合』と同時に、医療情報システムに輸血開始画面を開き、本来で
あれば投与直前に行う「患者のリストバンド」と「輸血製剤」のバーコードを読み取りによ
る『開始入力』を全ての輸血製剤に行った。
・FFP終了後、続いてPCを投与する予定であったため、看護師Aに開始入力済のRCC
を保冷庫に保管するよう伝えた。
Ⅲ
・FFP投与中に患者Xのカリウムが高値となったため、医師はRCCを透析中に投与を終
了したいと考え、看護師BにPCよりも先にRCCを投与することを伝えた。
・医師は患者XのRCCの投与開始時には立ち会っていなかった。
○看護師
・看護師Aは、昼休憩中の担当看護師Bに変わって、患者Xを担当していた。
・看護師Aは、医師からRCCを保冷庫に保管しておくよう指示されたため、トレイに患者
XのA型のRCCを入れ、ベッド番号「10」の紙をトレイの側面に貼って保管した。
・休憩が終了した看護師Bは、看護師AよりRCCを保冷庫に保管していることを申し送ら
・看護師Bは、医師からRCC投与の指示を受けた後、RCCをあらかじめ準備しておこう
と思い、保冷庫からRCCを取り出した。その際、トレイに貼っていたベッド番号の10番
と20番を見誤り、20番の患者YのAB型のRCCを取り出し、患者名を確認しないまま
患者Xのベッドサイドの透析の点滴棒にかけた。
・看護師Bは、患者Xのケア中にFFPがなくなることに気付き、透析回路内に空気が混入
しそうだったため慌てていたこと、すでに『開始入力』が登録してあったことから、点滴棒
にかけていたAB型の患者YのRCCの名前を確認しないまま患者Xに接続し、投与開始し
た。
したところ、患者YのAB型RCCが投与されていることに気付いた。その時点で、2単位
を全量投与したところであった。
(3)病棟での輸血準備から実施までの業務工程について
報告された事例の背景・要因をみると、事例1は、
「患者氏名の確認はダブルチェックで行ったが、
輸血票の患者氏名の確認は行わず、また患者本人のバーコード認証をしなかった」と記載されており、
事例2は、「輸血バッグが病棟到着した時の照合とあわせて実施入力を行なった後で、輸血バッグを
- 193 -
︶について
・看護師Cから患者YのAB型のRCCがないと報告があり、患者Xに投与中のRCCを確認
﹁誤った患者への輸血﹂︵医療安全情報№
れた。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
11
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
保冷庫で保管した。輸血開始時には血液型、
氏名の確認をしなかった」と記載されている。2事例とも、
本来あるべき姿の業務工程に則して実施していれば、医療安全情報 No. 11の事例が発生した医療機
関の取り組みに掲載されている「輸血マニュアルを遵守し、輸血用血液製剤を接続する際は、患者と
使用すべき製剤の照合を最終的に行う。」ことがなされ、実施直前に他の患者の輸血であることに気
が付いた可能性がある。
そこで本報告書では、2つの事例の輸血の業務工程のうち、特に準備から実施までの場面に着目し
て、あるべき姿の業務工程図の一例(図表Ⅲ - 3- 4)を示した。また、図表Ⅲ - 3- 5、6では事例が辿っ
たと推測される工程を赤線で記載し、業務工程図の問題点を青字で示した。また点線の緑枠は、なさ
れなかった確認の工程を示す。
図表Ⅲ - 3- 4 病棟での輸血準備から実施までの業務工程図の例
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- 194 -
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3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
①事例1の業務工程について
事例1の業務工程について図表Ⅲ - 3- 5に示す。事例1では、輸血の確認と輸血申し込み伝票の
確認のダブルチェックの工程の際に、両者がチェックする内容などの役割や、使用する帳票が明確で
なかった可能性がある。一見すると「ダブルチェック」という表現で記載されているため、相互確認
ができていると考えられる工程について、あらためて誰が何を確認するのかを明示した手順やマニュ
アルを整備することが望まれる。また、投与前に行うバーコード認証を開始後に行っているため、認
証の役割を果たさなかった事例であることから、バーコード認証の工程を形骸化させないことの重要
性が示唆された。
図表Ⅲ - 3- 5 事例1の輸血準備から実施までの業務工程図
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- 195 -
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︶について
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﹁誤った患者への輸血﹂︵医療安全情報№
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
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Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
②事例2の業務工程について
事例2の業務工程について図表Ⅲ - 3- 6に示す。事例2では、本来なら実施時あるいは実施直後
に入力するパソコンの実施操作を、準備のダブルチェック後に行ったことや、中断業務が生じた際に
患者の確認を怠っていることから、
輸血の業務工程を一連の流れとして実施できていない。また、
日々
の業務の中で、確認行為の意味が曖昧になっていることも推測できる。そこで、業務工程を一連の
流れとして捉えたうえで、工程中に位置付けられている確認やダブルチェックの意味を理解するため
に、職員を教育することの重要性が示唆された。
図表Ⅲ - 3- 6 事例2の輸血準備から実施までの業務工程図
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- 196 -
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3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
(4)輸血過誤防止のための輸血実施手順書
2001年に日本輸血学会(現、日本輸血・細胞治療学会)は輸血過誤防止のために「輸血実施手
順書」を表し、その中で、①輸血同意書の取得、②血液型の検査と記録、③輸血指示の確認、④血液バッ
グの確認、⑤患者の確認、⑥適合票にサイン、⑦輸血患者の観察、⑧使用血液の記録、という手順を
示している。輸血の実施直前に行う⑤患者の確認では、患者に姓名と血液型を聞く、患者リストバン
ドの姓名と血液型が、血液バッグの血液型及び適合票の姓名、血液型と一致していることを確認する、
ことが示されている。また、日本赤十字社は日本輸血学会の輸血実施手順書を「輸血情報 0105-64」
として掲載しているので、次に紹介する。
<【図解】輸血実施手順より抜粋>
Ⅲ
﹁誤った患者への輸血﹂︵医療安全情報№
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
︶について
11
- 197 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
(5)事例が発生した医療機関の改善策について
1)輸血マニュアルの見直し及び遵守状況の確認
・輸血マニュアルを見直し、以下を追記した。
○ 輸血部からの血液製剤の払い出しは一製剤ずつとする。
○『開始登録』後、「直ちに」輸血を開始する。
○『開始登録』後に輸血が開始できない場合は、
『開始登録』の登録を抹消し、保冷庫で保管する。
保冷庫が設置されていない病棟では、返品入力後に一旦輸血部に返品する。
○ 医師の責任の下、医師が輸血製剤をつなぐ。
・部署をラウンドし、輸血到着から実施までの実際の実施方法を確認した。
2)バーコード認証システムの徹底
・投与前のバーコード認証を徹底する。
・システムの改善点を併せ使用方法に関するマニュアルを作成し、各部署へ配布し操作方法の再周
知を行った。
3)スタッフ教育
・医師、看護師全員で事例検討し、輸血投与手順の再確認・徹底。
4)その他
・複数輸血の際、輸血製剤の払い出しは輸血を行う直前に1バッグずつとし、まとめて複数の血液
製剤を払い出さない。
・すぐに使用しない輸血製剤は、一旦輸血部に返却し、できるだけICU内の保冷庫での保管をな
くす。
<参考>
第34回報告書分析対象期間内に、輸血指示が明確でなかったため、患者Bの輸血指示を患者A
の輸血を輸血センターから取り寄せ、患者Aに投与した事例が報告された。この事例は、患者A・
B共に払い出し可能な輸血が存在し、また輸血を接続する際に、患者Aに使用すべき製剤と実施伝
票がそろっているため、最終的に照合を行っても防止できない事例であった。先述した「輸血実施
手順書」
(197頁)の「⑤患者の確認」が実施できていなかった事例ではないため、医療安全情報
No. 11「誤った患者への輸血」の再発・類似の事例とは言えない。しかし、
「輸血実施手順書」の
「③輸血指示の確認」に関係する事例であることから参考事例として以下に示す。
参考事例
【内容】
患者Aの術中に使用せずに余った輸血は、
「一時預かり」として、
術後輸血センターに返却された。
医師は「術後 1 日目の採血結果によってはRCC 2単位輸血」と、病棟看護師に口頭指示を出し、
看護師はその内容をカーデックス(患者情報用紙)に手書きで記入した。
患者Aと同じ日に同様の手術を受けた患者Bは、術後 1 日目の採血結果に関係なく、輸血指示
が出されていた。リーダー看護師Xは輸血請求準備のため、コンピューター画面を開いたことろ、
患者Bの名前は表示されず患者Aのみ表示された。(看護師Xは画面表示を切り替えなければなら
- 198 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
なかったが、その切り替え方法を知らなかった)。看護師Xは、患者Aの事が気になっていたこと
もあり、輸血を実施するのは患者Aと思い込み、画面から患者Aの「輸血引き替え券」を出力し、
看護補佐に渡した。輸血センターでは、病棟から事前の電話では「患者Bの輸血払い出し」と聞
いていたが、患者Aの引き替え券であったため、手術後一時預かりしていた患者Aの輸血を払い
出した。
病棟では、患者Aの採血結果は誰も確認しないまま、看護師Xから指示された看護師Yが、当
直医師と共にダブルチェックをし、輸血指示のない患者Aに輸血を実施した。
【背景・要因】
○輸血オーダシステム
・電子カルテと輸血オーダシステムは独立した別のシステムである。
・輸血オーダシステムのデフォルトが「登録日(オーダを行った日)」になっており、輸血のオー
ダはあるが払い出しされていない患者が表示される。病棟の輸血オーダシステムから、一時
預かりの血液製剤がある患者の名前を見るには、「予定日(1週間の幅あり)
」に変える必要
Ⅲ
があった。
○指示
・輸血の投与タイミングや流量等の指示は、血液製剤と一緒に病棟に届く指示・実施記録に記
載することになっているため、輸血製剤が届くまでは、医師が指示を記載(または入力)す
る場所がなかった。輸血は医師が口頭で指示し、看護師がカーデックスに記載することになっ
ていた。
・電子カルテを導入しているが、輸血は電子カルテシステムと連動していない。
○医師
当直医師には検査結果の確認や輸血のことを申し送っていなかった。
・患者Bの担当医は、患者Bに対し翌日輸血を行うよう看護師に口頭指示を出したが、血液
製剤引換券は出力しなかった。
・当直医師は、患者Bの担当医から患者Bに輸血を行うことは聞いていた。
・当直医師は、看護師Xから患者Aの血液製剤のダブルチェックを依頼された際、患者Bだ
けでなく、患者Aも輸血することになったのだと思い、ダブルチェック後、指示・実施記録
に輸血の指示を記載した。
○看護師
ダー間の申し送りがあり、リーダーであった看護師Xと、カーデックスから情報を得た看護
師Yは知っていた。
・引換券は医師が出力することが多かったため、輸血オーダシステムからの引換券の方法を
知らなかった。
・看護師Yは看護師Xから患者Aの血液製剤を渡されたため、患者Aに輸血をすることになっ
たのだと思い、検査結果は確認しなかった。
○輸血センター
・輸血センターでは、看護師Xから患者Bの引換券の出力方法について問い合わせがあった
- 199 -
︶について
・「患者Aは翌日の検査結果により輸血」と「患者Bは翌日輸血」という情報は、各勤務のリー
﹁誤った患者への輸血﹂︵医療安全情報№
・患者Aの担当医は、
患者Aの翌日の検査結果により輸血することを看護師に口頭指示したが、
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
11
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
ため、患者Bの血液製剤を準備していた。
・輸血センターでは、電話連絡ではBと聞いていたが、患者Aの血液製剤引換券を医師の指
示と認識していたため、患者Aの血液製剤を看護補佐に払い出した。
<参考>の事例が発生した医療機関の主な改善策として以下の事項が報告されている。
・一時預かりの輸血を輸血センターにとりに行く時は、病棟から指示・実施記録を持参することに
した。
・輸血実施記録用紙のフォーマット変更や輸血手順の見直しを行う。
・注射指示と同様に、輸血指示が指示票に自動表示されるようシステム改修を検討する。
・将来的に指示注射ワークシートに輸血の指示が反映されるようにシステムの変更を検討する。
(6)まとめ
平成19年10月に医療安全情報 No. 11「誤った患者への輸血」を提供した。事例が発生した医
療機関の取り組みとして、院内の輸血マニュアルを遵守し、輸血用血液製剤を接続する際は、患者と
使用すべき製剤の照合を最終的に行う、ことを紹介した。
本報告書では、報告された事例を参考に、輸血の準備から実施までの業務工程図の例を作成し、事
例の問題点について分析し、医療者間で相互理解できていると思われているが実際には不十分な「確
認」について、あらためて誰が何を確認するのか明確にしておく必要性について述べた。また、業務
工程を流れとして捉えたうえで、工程中に位置付けられている確認やダブルチェックの意味を理解す
るための教育の重要性が示唆された。
今後も引き続き類似事例の発生について注意喚起するとともに、その推移に注目していく。
(7)参考文献
1. 一般社団法人日本輸血・細胞治療学会 . 輸血過誤防止対策【図解】
.
輸血実施手順 (Online)
.
,available
from http://www.jstmct.or.jp/jstmct/Guideline/Reference.aspx?ID=11(last accessed
2013-07-10)
2. 日本赤十字社 . 輸血情報 .0105-64「輸血過誤防止のための輸血実施手順書―日本輸血学会作成
―」(Online),available from http://www.jrc.or.jp/vcms_lf/iyakuhin_yuketu0107-64_090805.
pdf(last accessed 2013-07-10)
- 200 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
【3】 共有すべき医療事故情報「ベッドからベッドへの患者移動に関連した
医療事故」(第13回報告書)について
(1)発生状況
第13回報告書では分析対象期間(平成20年1月∼3月)において、ベッドからベッドへの患
者移動に関連した事例が報告され「共有すべき医療事故情報」として取り上げた。更に、類似事例が
報告されたため、第23回報告書(分析対象期間:平成22年7月∼9月)および第31回報告書
(分析対象期間:平成24年7月∼9月)においても、
「再発・類似事例の発生状況」
(第23回報告
書125頁、第31回報告書156∼163頁)において、事例の概要、背景要因などを取りまとめた。
このたび、本報告書分析対象期間(平成25年4月∼6月)においても類似の事例が4件報告され
た報告されたため、再び取りあげた。
これまで報告された「ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故」の件数の推移を図表Ⅲ -
Ⅲ
3- 7に示す。
図表Ⅲ - 3- 7「ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故」の報告件数
4∼6月
(件)
7∼9月
(件)
10∼12月
(件)
合計
(件)
0
0
1
2
0
1
2
4
2
0
2
0
0
1
0
3
4
4
0
1
2
1
1
2
3
3
−
0
1
1
0
0
1
2
2
3
−
0
1
4
3
3
1
5
10
14
6
(2)事例概要
本報告書分析対象期間に報告された事例4件の概要を以下に示す。
事例1
【内容】
患者はクローン病による左半結腸切除後、縫合不全のため緊急にて開腹ドレナージ・人工肛門
造設術を施行した。その際、左側腹部から仙骨前面に 1 本、右側腹部からダグラス窩に 1 本、腹
部正中に 1 本ドレーンが挿入された。
手術が終了し、抜管後、病棟帰室のためストレッチャーに移動の際、左側腹部に挿入したドレー
ンが抜けた。再開腹しドレーン再挿入となった。
【背景・要因】
・手術台と平行にストレッチャーを並べ、患者の頭側に麻酔科医師、右側に看護師、左側に外科
医師が配置し移動しようとしていた。
・右側腹部のドレーンバッグと腹部正中のドレーンバッグは看護師が患者の上に置き、安全な状
態であることを確認していた。
- 201 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
共有すべき医療事故情報﹁ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故﹂
︵第 回報告書︶について
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
平成20年
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
1∼3月
(件)
13
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
・左側腹部のドレーンバッグは、左側に医師がいたので、ドレーンのチューブ等の確認をしてい
ると思い、安全な状態であるかの確認・声かけをしなかった。
・移動後、詳細な原因は不明であるがドレーンが抜けてしまった。
事例2
【内容】
患者は、胆のう炎のためPTGBDを挿入し、ジェジュナルチューブは排液バッグのみ使用し
ている状態であった。その後、PICCを挿入し、膀胱留置カテーテル、酸素吸入含めて5ルー
トが存在した。PTGBDの流失が不良のため胆のう造影を施行した。
放射線検査室の透視下にて造影を施行した際に、造影剤の漏出を認めたためCT撮影をした。
検査科のストレッチャーでCT撮影室へ移動した。その時、PTGBDの先端排液バッグを外し、
代わりに造影に使用した注射器を接続した。
CT撮影後検査科ストレッチャーから再度透視台へ医師1名、放射線技師2名、看護師1名で
移動を行った。放射線技師、看護師からはルートが見えず、医師には見えていたが引っ掛からな
いだろうと思った。「チューブが多いから気を付けましょう」と声をかけあったが、下ろしたベッ
ド柵にPTGBDの接続していた注射器が引っ掛かり、バルーンが膨らんだ状態で抜けた。主治
医より家族に説明され再挿入となった。
【背景・要因】
・移動前に声を掛け合ったが、実際にルートをたどり確認を行っていなかった。
・看護師は2年目で酸素吸入、腸瘻、点滴ルート、膀胱留置カテーテルとPTGBDカテーテル
の 5 つのルートがある患者を受け持つのは初めてであった。
・医師はチューブが多いことに気付いていたが引っ掛からないだろうと思い確認を怠った。
事例3 【内容】
髄膜脳炎で入院加療中。入院後から人工呼吸管理であり、気管切開術施行。その後、精査目的
に全身造影CT予定であった。医師3名、看護師3名で病室からCT室へ搬送し、用手換気は研
修医が行っていた。患者ベッドから検査台に移動時に、気切カニューレが一時的に外部に牽引さ
れた。気切カニューレとバッグバルブを外さず、移動を行っていた。検査台移動後の用手換気で強
い抵抗を認めた。気切カニューレ入れ替えを試みるも困難であり、気切孔をガーゼでふさぎバッグ
バルブマスクを用いて換気したがSpO 2 の低下があったため、緊急気管挿管を施行した。その後、
SpO 2 は上昇した。CT検査は中止し、再度患者用ベッドに移動する際に右内頸の中心静脈カテー
テルが牽引され抜去した。同部位より少量の出血があり圧迫止血をした。
【背景・要因】
・移動時には、患者の体には中心静脈カテーテル、末梢点滴ルート、シリンジポンプ、胃管、尿
道カテーテル、モニタが装着されていた。
- 202 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
・CT室には医師 1 人、研修医 2 人、看護師 3 人、放射線技師 1 人がおり、移動時の換気は研
修医が行っていた。
・リーダーシップをとって指示するものはいない状態であった。移動時には一旦換気を中止、バッ
グバルブを外すなどの指示を出していなかった。
事例4
【内容】
入浴のため、浴室内のエレベートバス用ストレッチャーに看護師二人で抱え移動した。着地の際、
右足第 5 趾が浴室ストレッチャーに敷いてある発泡スチロール製のマットにひっかかった。移動
を行った看護師はその場では気づいていなかったが、病室に戻った患者から、「移った時にマット
にぶつかり、その後から小趾が痛い」と聞き、足の趾の痛みを訴えたためそのことを知った。面
会に来ていた母親に看護師は、
「入浴時にマットにひっかかり、その後、趾の痛みを訴えている」
Ⅲ
と説明した。足趾のエックス線撮影、整形外科医に所見を診てもらった際に、右第 5 趾基節部骨
折と診断された。母親へ電話にて、整形外科医師から骨折と診断されたことの状況について、「ヒ
ビが入っている。古いものかは不明ではあるが、治療としては、痛みに対する処置をすることと、
保存的療法で経過観察をする」と伝えた。
【背景・要因】
・移動時に趾先がマットレスにひっかかり、過伸展により基節部に負荷がかかった。
事例が発生した医療機関の改善策として、以下の事項が報告されている。
1)移動時の確認
○移動時は一度全員で手を止め、ライン等の安全確認を声出し指さし確認を徹底する。
○ストレッチャーを移乗時にルートの絡みがないか、声だし指さし確認を行う。
○実際に指でルートを追って確認する。
○周囲に引っかかるものがないか確認をしてゆっくり移動をする。
2)教育
○カテーテルの重要性を認識する。
○病棟で事例の情報共有、初めての体験時の教育体制の確認、見直し。
3)物の整備
○気切カニューレが万が一抜去したときを想定して、バッグバルブマスク、予備の気管カニューレ
や、気管挿管の準備をしておく。
4)チームコミュニケーション
○移動時には、
患者に影響が及ぶような手技が必要な場合(移動時のバッグバルブマスクの換気など)
は担当医が責任を持ち管理する。
○ベッド移動時には、リーダーを決め、リーダーが指示を出すようにする。
○リーダーは全体が見える位置につく。
- 203 -
共有すべき医療事故情報﹁ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故﹂
︵第 回報告書︶について
(3)事例が発生した医療機関の改善策
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
13
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
(4)「ベッドからベッドへの患者移動に関連した事例」の現状
ベッドからベッドへの患者移動に関連した事例の報告数は、本事業開始(平成16年10月)から
図表Ⅲ - 3- 7のとおり増加傾向であり、第31回報告書では平成22年以降のベッドからベッドへの
患者移動に関連した事例について分析した。その後、本報告書の対象期間(平成25年4月∼6月)
までに報告された35件について、事故の内容について分類を図表Ⅲ - 3- 8に示す。事故の内容は、
ドレーン・チューブ類の抜去の事例が最も多く11件報告であり、次に骨折の事例が10件であった。
今回、最も多く報告された「ドレーン・チューブ類の抜去」の事例11件について着目し、分析した。
図表Ⅲ - 3- 8 事故の内容
事故の内容
件数
ドレーン、チューブ類の抜去
11
骨折
10
打撲
5
切創・裂傷など
4
意識消失
2
誤嚥性肺炎(酸素加湿水の逆流)
1
不明
2
合計
35
(5)「ドレーン・チューブ類の抜去」の事例について
①移動の場面
移動時にドレーン・チューブ類が抜けた事例11件の移動の場面を分類した(図表Ⅲ - 3- 9)。
移動の場面は、手術が5件と最も多く、次いで入浴と、検査が各2件、処置、その他が各 1 件であった。
図表Ⅲ - 3- 9 移動の場面
場面
件数
手術
5
検査
2
入浴
2
処置
1
その他
1
- 204 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
②事故の内容
ベッドからベッドに移動した際に抜けた、ドレーン・チューブ類の種類を分類したところ、手術
時に挿入した腹腔内ドレーンが6件と多かった(図表Ⅲ - 3- 10)。次いで、尿道カテーテルと気管・
気管切開チューブがそれぞれ2件あり、その他に中心静脈カテーテルや経腸栄養チューブなどの報
告があった。患者に挿入されているドレーン・チューブ類の種類を問わず、患者の体内に挿入され、
外表に出ている部分があるものは、抜けるきっかけがある。
図表Ⅲ - 3- 10 ドレーン・チューブ類の種類
種類
件数
腹腔内ドレーン
6
尿道カテーテル
2
気管・気管切開チューブ
2
中心静脈カテーテル
1
経腸栄養チューブ
1
Ⅲ
※ 1 事例に 2 本のドレーン・チューブ類が抜けた事例が報告されている。
さらに、報告された事例から、ドレーン・チューブ類が抜けた背景・要因を場面別に分類した。
その内容をみると、ドレーン・チューブ類の位置を確認しないまま移動した事例が多い。また、一
部のチューブ類は確認したが、ドレーンは医師が行うだろうといった思い込みや、声に出してドレー
ン・チューブ類の位置の確認を行なっていない事例が多い。このことにより、移動の指揮を執るリー
を確認のうえ、移動することの重要性が示唆された。
図表Ⅲ - 3- 11 ドレーン・チューブ類が抜けた背景・要因
場面
背景・要因
ドレーン側に医師がいたため、
主治医が管理するものだと思い、
確認の声をかけなかった。
(2件)
スライダーを勢いよく移動したため、スライダーの端にドレーンが引っ掛かった。
手術
ドレーンをシーツにテープで固定していたことに気付かなかった。
輸液ラインと尿道カテーテルは注意したが、ドレーンの確認は医師に任せた。
入浴介助が多く焦っていたため、移動時にチューブ類をまとめなかった。
入浴
チューブ類を確認しないまま移動した。
移動前に声をかけたが、ルートをたどってチューブ類の位置を確認しなかった。
検査
移動前にリーダーシップを取って、指示をする者がいなかった。
処置
その他
移動時にチューブ類の確認を看護師が怠った。
移動時、声かけをする者が人工呼吸器からチューブをはずしたことを確認していなかった。
- 205 -
共有すべき医療事故情報﹁ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故﹂
︵第 回報告書︶について
ダー役を決め、リーダーの声かけで、全員でドレーン・チューブ類が移動に安全な位置にあること
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
13
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
③患者への影響
ベッドからベッドに移動した際にドレーン・チューブ類が抜けた事例の患者への影響を分類し
た(図表Ⅲ - 3- 12)
。手術により挿入していたドレーンが抜けた事例は、5件とも再開腹後、
再挿入となっている。患者の状態が不安定な手術直後の時期に再び麻酔をかけ、創部を開腹する必
要があり、患者の身体へ与える侵襲は大きい。気管・気管切開チューブが抜けた事例のうち1件は、
患者のSpO 2 が低下するなど呼吸状態が悪化し、再挿管を行っている。尿道カテーテルが抜けた
事例のうち1件は、尿道を損傷し、その後、尿道カテーテルを再挿入している。事例内に記載され
ている内容からは、患者への影響が不明の事例が3件あった。移動により、治療のために挿入され
ているドレーン・チューブ類が予定外に抜けることは、患者へ与える影響が大きい。
図表Ⅲ - 3- 12 患者への影響
影響
件数
ドレーン再挿入
6
SpO 2 低下し、再挿管
1
尿道損傷し、尿道カテーテルを再挿入
1
不明
3
(6)イラストから見る事例のイメージについて
ベッドからベッドに移動した際にドレーン・チューブ類が抜けた事例のうち、報告の多かった手術
台からストレッチャーへ移動する際の事例について、事例1のイメージの移動前と移動後、移動前の
確認の一例をイメージしやすいようイラストを掲載する。
事例1のイメージの移動前は、手術担当医師、麻酔科医師、看護師は、それぞれが個別に患者移動の
際に患者の状況やドレーン・チューブ類の位置などの安全確認を行っていることは推測できる(207頁、
図表Ⅲ - 3- 13)。しかしながら、確認する事項や範囲が互いに共有されていないため、短い言葉か
けの中でそれぞれの「思い」が他の医療スタッフに伝わらず、ドレーンの確認が十分に行われていない。
そのため、図1のイメージのまま移動すると、208頁の図表Ⅲ - 3- 14のようにドレーンを手術台
にかけたまま移動してしまい、ドレーンを引っ張ってしまうことになる。
そこで、209頁の図表Ⅲ - 3- 16に移動前の確認の一例を示した。麻酔科医師がリーダー役と
なり、医療スタッフに確認して欲しい内容を明確に指示し、また、それぞれがリーダーの指示に従っ
て確認し、声に出して返答している。このように確認することで、移動時にドレーン・チューブ類が
抜けることなく、安全に移動できるであろう。
- 206 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅲ - 3- 13 事例1のイメージ(移動前)
移動前
こちらのドレーンと
ハルンバッグは患者の上に
置いたからOK。
向こう側のドレーンは
先生が見ているだろうな。
動きますよ。
呼吸は
しっかりしているな。
胸部の動きも問題なし。
酸素ルートや点滴ラインは
移動しても余裕が
ありそうだ。
○○さん
ベッドを移動
しますよ。
よし、背中まで手が
入った。管は全部、
大丈夫かな。
Ⅲ
はい。
共有すべき医療事故情報﹁ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故﹂
︵第 回報告書︶について
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
13
はい。
動きますよ。
呼吸はしっかり
しているな。
四肢の位置はOK。
みんな、動くよ。
せ∼の!
ルートが沢山あるな。
ドレーンのバッグも
乗っているし、全部、
体の上に乗っただろう。
- 207 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅲ - 3- 14 事例1のイメージ(移動後)
移動後
あ!!
ドレーンが・・・。
- 208 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
図表Ⅲ - 3- 16 移動前の確認の一例
移動前の確認の一例
①
② A看護師
こちら側のドレーンと
ハルンバッグはOKです。
C医師(リーダー)
確認します。
Aさん、そちら側のドレーンとハルンバッグは
OKですか?
Bさん、酸素チューブ、点滴ライン、硬膜外チューブ
はOKですか?
D先生、
E先生、
そちら側のドレーン乗せましたか?
それぞれ、
引っ掛かってないですか?
移動しても余裕がありますか?
Ⅲ
○○さん、ベッドを移動しますよ。
③ B看護師
酸素チューブ、点滴ライン、
硬膜外チューブはOKです。
共有すべき医療事故情報﹁ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故﹂
︵第 回報告書︶について
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
2-〔4〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
13
④ E医師
⑤
こちら側は・
・・・。
D医師
あ、
ドレーンがあります!
移動を待ってください。
- 209 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
(7)まとめ
第13回報告書および第23回報告書では、医療機関の取り組みとして複数人で移動することの検
討や、安全に移動できる環境づくりについて掲載した。第31回報告書では平成22年以降のベッド
からベッドへ患者移動に関連した事例26件の、移動の目的や事故の内容を分析し、事故の経緯や事
故の程度などを整理して掲載した。本報告書では、ベッドからベッドへの患者移動に関連した事例よ
り、さらにドレーン・チューブ類の抜去について着目し、移動の場面やドレーン・チューブ類の種類、
ドレーン・チューブ類が抜けた背景・要因、患者への影響などを整理して示した。報告された事例は、
ドレーンの位置確認不足や、医療者間でのコミュニケーション不足などで発生している。移動する際
は全体の指揮を執る役割を決め、ドレーンの位置確認を医療者全員で行うことの重要性が示唆された。
また、報告のあった事例をもとに事例1のイメージの移動前と移動後、移動前の確認の一例のイラス
トを作成し掲載した。各医療機関で移動時の危険性について情報共有するとともに、移動時の危険予
測をすることにより未然防止に役立てられるよう広く活用いただきたい。
今後も引き続き類似事例の発生について注意喚起するとともに、その推移に注目していく。
- 210 -
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
参考 医療安全情報の提供
平成18年12月より医療事故情報収集等事業において報告書、年報を作成・公表する情報提供に
加え、その内容の一部を事業に参加している医療機関などに対してファックスなどにより情報提供する
こととした。本報告書には、平成25年4月∼6月分の医療安全情報 No. 77∼ No. 79を掲載する。
【1】事業の目的
医療事故情報収集等事業で収集した情報に基づき、特に周知すべき情報を提供し、医療事故の発生
予防、再発防止を促進することを目的とする。
【2】主な対象医療機関
① 医療事故情報収集・分析・提供事業報告義務対象医療機関及び参加登録申請医療機関
② ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業参加登録医療機関
③ 情報提供を希望した病院
なお、これまで情報提供の希望を3回募り、平成23年11月にも医療安全情報の提供を受けてい
ない病院に対し、情報提供の希望を募り、医療安全情報 No. 63より、約5,300医療機関へ情報
提供を行っている。
【3】提供の方法
主にファックスにより情報提供している。
(注)公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 211 -
参考
なお、公益財団法人日本医療機能評価機構のホームページ(注)にも掲載し、広く社会に公表している。
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
【4】医療安全情報 No. 77
医療事故情報収集等事業 医療安全情報 No.77 2013年4月
公益財団法人 日本医療機能評価機構
ガベキサートメシル酸塩
医 療 使用時の血管炎
(第2報)
安全情報
医療事故情報収集等事業
No.77 2013年4月
医療安全情報No.
33
(2009年8月)
「ガベキサートメシル酸塩使用時の血管外漏出」
で、
3年半の間に8件の事例が報告されていることを情報提供いたしました。その
後、約3年半で類似の事例が11件報告されていますので、
再度、
情報提供いたします。
(集計期間:
2009年7月1日∼2013年2月28日)
。
報告事例のうち10件は、添付文書に「末梢血管
から投与する場合、輸液の濃度を0.2%以下で
点滴静注することが望ましい」と記載があるに
もかかわらず、0.2%を超える濃度で末梢血管
から投与した事例です。
薬剤の濃度
件数
≦0.
2%
1件※
0.
2%<
10件
末梢血管から投与した
ガベキサートメシル酸塩の濃度
※濃度が「≦0.
2%」の1件は、
血管外に漏出した事例です。
0.
3%
0.
4%
0.
6%
3.
1%
4.
2%
1件
4件
2件
2件
1件
◆ガベキサートメシル酸塩の添付文書に、
「高濃度で血管内壁を障害し、注射部位および刺入
した血管に沿って静脈炎や硬結、潰瘍・壊死を起こすことがあるので、末梢血管から投与する
場合、本剤100mgあたり50mL以上の輸液(0.
2%以下)
で点滴静注することが望ましい」
と記載されています。使用については添付文書をご確認ください。
33
「ガベキサートメシル酸塩の血管外漏出」の第2報
◆この医療安全情報は、医療安全情報No.
です。
- 212 -
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
医療事故情報収集等事業
医療事故情報収集等事業
医療
No.77 2013年4月
安全情報
ガベキサートメシル酸塩使用時の血管炎(第2報)
事例
中心静脈ラインのダブルルーメンから高カロリー輸液とレミナロン1500mg/生食48mL
(濃度3.
1%)の投与を開始した。その後、抗生剤と輸血を追加する指示があり、右手背に
末梢血管のルートを確保したが22Gと細かったため、
輸血を中心静脈から投与することにした。
輸血とレミナロンは原則単独投与であることから、
末梢血管のルートからレミナロンを同じ濃
度のまま投与するよう変更した。その後、右手背の発赤・腫脹が出現し、皮膚科受診したが潰
瘍・壊死が拡大したため、
デブリドマンを実施した。
ガベキサートメシル酸塩の製品
アガリット静注用100mg
ガベキサートメシル酸塩注射用100mg
「サワイ」
注射用エフオーワイ100
注射用パナベート100
注射用プロビトール100mg
注射用メクロセート100mg
レミナロン注射用100mg
ガベキサートメシル酸塩注射用500mg
「サワイ」
注射用エフオーワイ500
注射用パナベート500
注射用プロビトール500
注射用メクロセート500mg
レミナロン注射用500mg
※PMDA「医療用医薬品の添付文書情報」
より
(2013.2.28 現在)
事例が発生した医療機関の取り組み
・ガベキサートメシル酸塩を末梢血管から投与する際は、輸液の濃度を
0.2%以下(本剤100mgあたり50mL以上の輸液)とすることを周知
徹底する。
※この医療安全情報は、
医療事故情報収集等事業(厚生労働省補助事業)
において収集された事例をもとに、
当事業の
一環として総合評価部会の専門家の意見に基づき、医療事故の発生予防、再発防止のために作成されたものです。
当事業の趣旨等の詳細については、
当機構ホームページに掲載されている報告書および年報をご覧ください。
http://www.med-safe.jp/
※この情報の作成にあたり、
作成時における正確性については万全を期しておりますが、
その内容を将来にわたり保証
するものではありません。
※この情報は、
医療従事者の裁量を制限したり、
医療従事者に義務や責任を課したりするものではありません。
公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部
〒101-0061 東京都千代田区三崎町1-4-17 東洋ビル
電話:03-5217-0252
(直通) FAX:03-5217-0253
(直通)
http://www.jcqhc.or.jp/
- 213 -
参考
総合評価部会の意見
・末梢血管から投与する際のガベキサートメシル酸塩の濃度は、
0.2%
以下が望ましいとされています。
・中心静脈などから末梢血管へ投与経路を変更する場合は、
濃度に注意
しましょう。
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
医療安全情報 No. 78
医療事故情報収集等事業 医療安全情報 No.78 2013年5月
公益財団法人 日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業
医療
安全情報
No.78 2013年5月
持参薬を院内の処方に
切り替える際の処方量間違い
持参薬を院内の処方に切り替える際、
処方量を間違えた事例が4件報告されています
(集計期間:2009年1月1日∼2013年3月31日、第9回報告書「個別のテーマの
検討状況」
(P74)
に一部を掲載)
。
持参薬を院内の処方に切り替える際、処方量
を間違えた事例が報告されています。
間違え 処方量間違い
の背景
た量
持参した薬剤
院内で処方した薬剤
ハルシオン錠0.125mg
1錠
ハルシオン錠0.25mg
1錠
2倍
アスペノンカプセル10mg アスペノンカプセル20mg
4カプセル
4カプセル
2倍
ヒダントールF配合錠※ ヒダントール錠100mg※
6錠
6錠
4倍
アスベリン錠10mg
6錠
アスベリン散100mg/g
10倍
6g
持参薬と
同じ規格が
なかった
持参薬と
同じ剤形が
なかった
※ヒダントールF配合錠とヒダントール錠100mgの有効成分量:
ヒダントールF配合錠は、
12錠中にフェニトイン300mg、
フェノバルビタール100mgなどが含まれる。
ヒダントール錠100mgは、
1錠中にフェニトイン100mgが含まれる。
- 214 -
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
医療事故情報収集等事業
医療事故情報収集等事業
医療
No.78 2013年5月
安全情報
持参薬を院内の処方に切り替える際の処方量間違い
事例1
入院後、
患者は持参薬を内服していたが、
薬が足りなくなったため、
医師は院内処方に切り替
えた。その際、
紹介状に
「アスペノンカプセル10 4C 分2 朝夕食後」
と記載してあるのを確
認した。そこで、
コンピュータに
“アスペノン”
と入力したところ、院内では10mgの規格は採
用されておらず、
アスペノンカプセル20mgのみが表示された。アスペノンカプセル20mg
であれば、
2カプセルを分2と処方すべきところ、
用量が違うことに気付かず、
4カプセルを分2
で処方した。患者は退院から5日後の朝に自宅で痙攣を起こし、
他院に救急搬送された。
事例2
入院時、患者は他院で処方されたヒダントールF配合錠 6錠を分2で内服していた。院内処
方に切り替える際、医師はヒダントールF配合錠とヒダントール錠に含まれるフェニトインの
量や有効成分の内容が違うことを知らず、院内処方にあったヒダントール錠100mg 6錠を
分2で4日分処方した。薬剤師は誤りに気付かず、処方通りに調剤した。次の処方を調剤する
際、薬剤師がフェニトインの量が1日量の上限を超えることを疑義照会したため、医師は誤り
に気付いた。
事例が発生した医療機関の取り組み
※この医療安全情報は、
医療事故情報収集等事業(厚生労働省補助事業)
において収集された事例をもとに、
当事業の
一環として総合評価部会の専門家の意見に基づき、医療事故の発生予防、再発防止のために作成されたものです。
当事業の趣旨等の詳細については、
当機構ホームページに掲載されている報告書および年報をご覧ください。
http://www.med-safe.jp/
※この情報の作成にあたり、
作成時における正確性については万全を期しておりますが、
その内容を将来にわたり保証
するものではありません。
※この情報は、
医療従事者の裁量を制限したり、
医療従事者に義務や責任を課したりするものではありません。
公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部
〒101-0061 東京都千代田区三崎町1-4-17 東洋ビル
電話:03-5217-0252
(直通) FAX:03-5217-0253
(直通)
http://www.jcqhc.or.jp/
- 215 -
参考
・持参薬から院内の処方に切り替える際の処方時は、規格、剤形、
成分量に注意して入力する。
・持参薬から院内の処方に切り替える際は、可能な限り薬剤師が
介入する。
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
医療安全情報 No. 79
医療事故情報収集等事業 医療安全情報 No.79 2013年6月
公益財団法人 日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業
2006年から2011年に
医療
安全情報 提供した医療安全情報
No.79 2013年6月
2012年にも類似事例が発生しています
1)
番号
タ イト ル ∼ 内 容 ∼
2012年に報告
された件数
【事例】
No.3
グリセリン浣腸実施に伴う直腸穿孔
∼グリセリン浣腸に伴い直腸穿孔などをきたした事例∼
2件
浣腸を実施する際、看護師は患者に左側臥位となるよう言ったが、患者の希望で右側臥位で実施
した。反応便は無く、浣腸液流出と共にポータブルトイレの底に径10cm程度の下血(鮮血)が
あった。主治医は直腸診にて、直腸に腫瘤は無く、肛門の0時の位置に柔らかい内痔核があること
を確認し、様子観察とした。
5日後、退院前検査として腹部CTを撮影したところ、直腸の右側にair
を認め、
直腸の穿孔がわかった。
(他1件)
No.4
薬剤の取り違え
∼薬剤の名称が類似していることにより取り違えた事例∼
2件
降圧剤のアルマール2錠を分2で開始するところ、
誤ってアマリール2錠を分2で処方した。
約1ヵ月後
の受診時に誤りに気づいた。患者は時々空腹感を覚えることがあり、
HbA1c、
FBSも軽度低下を
認め、血糖値が低下していたと推測された。当院のオーダリングシステムでは、以前、薬剤の取り
違えの対策としてアマリールの薬剤名の後に「糖尿病薬」の文字を表示していたが、
システムが
変更になった際に表示されなくなっていた。
(他1件)
小児の輸液の血管外漏出
No.7
∼薬剤添付文書上、輸液の血管外漏出に関する危険性の言及の
有無にかかわらず、小児に対する点滴実施の際、輸液の血管外
漏出により、治療を要した事例∼
9件
患児に、
左足背末梢から輸液ポンプを用いてフィジオ35を50mL/hで投与していた。夜勤者から
引き継ぎを受けた看護師が末梢静脈留置針の刺入部を観察したところ、左足背全体に輸液の
血管外漏出によると思われる腫脹、硬結、大小12個以上の水疱形成、足指の色調不良を認めた。
左膝から足首までは外観上明らかな左右差はなかったが、
触診すると左足に軽度の硬結を認めた。
整形外科医の診察の結果、
減張切開が必要と診断された。
(他8件)
- 216 -
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
医療事故情報収集等事業
医療
安全情報
No.79 2013年6月
2006年から2011年に提供した医療安全情報
1)
番号
タ イト ル ∼ 内 容 ∼
2012年に報告
された件数
【事例】
No.8
手術部位の左右の取り違え
∼手術部位の左右を取り違えた事例∼
2件
左鼠径ヘルニア根治術を予定していた。通常は医師が当日の朝に病室でマーキングを行ってい
るが、
この時は手術室搬入後に口頭で名前と部位を確認し、右側にマーキングした。所見では、
へルニアは左右両側にあったため取り違えには気付かず、右鼠径ヘルニア根治術を行った。術後
の回診時に患者より手術した場所が違うと言われ、
左右間違いに気づいた。
(他1件、
医療安全情報No.
50
(2011年1月:第2報提供済み)
No.9
製剤の総量と有効成分の量の間違い
∼製剤の総量と有効成分の量との誤認による事例∼
1件
既往歴にてんかんがあり、
他院で処方された内服薬で加療中の患者が、
手術目的にて外科病棟に
入院した。入院時に持参したお薬手帳の『セレニカR顆粒40%1回0.
333g、
カルバマゼピン細粒
(テグレトール細粒50%)
「アメル」
1回0.
4g 1日3回』
をもとに、
担当医は抗てんかん薬を1日量
としてセレニカR顆粒40%1000mg、
テグレトール細粒50%1200mg 分3朝昼夕食後6日分を
処方した。
その際、
お薬手帳には総量で記載されていたが、
当院のオーダーは成分量表示のため、
総量と成分量を間違えた。その結果、セレニカR顆粒は2.
5倍量、テグレトール細粒は2倍量が
処方、投薬され、患者は服用した。退院後、ふらつきが継続するため、家族が処方薬について院外
薬局に確認を依頼し、
過量投与であることが発覚した。
MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み
∼MR
I検査室内への磁性体
(金属製品など)
の持ち込みに伴う事例∼
4件
外部委託清掃作業員が定期清掃作業中に清掃器材がMRI機に吸着した。作業を行った外部委託清
掃作業員は、病院の清掃は今回が初めてであった。
(他3件)
No.13
輸液ポンプ等の流量の確認忘れ
∼輸液ポンプ等を使用した際に、流量の確認を忘れた事例∼
1件
人工呼吸器を装着中の患者にプロポフォール注を6mL/hで持続投与中であった。スワンガンツ
カテーテルの薬剤、輸液ルートを整理した際、
プロポフォールの輸液ポンプを変更したが、前の設定
が残ったまま開始した。その後、麻酔科医師が、
プロポフォール持続注射の流量が42mL/hである
ことに気づいた。約40分間で、
28mL投与された。
- 217 -
参考
No.10
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業
医療
安全情報
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
No.79 2013年6月
2006年から2011年に提供した医療安全情報
1)
番号
タ イト ル ∼ 内 容 ∼
2012年に報告
された件数
【事例】
No.14
間違ったカテーテル・ドレーンへの接続
∼複数のカテーテル・
ドレーンが留置されている患者において、輸液
等を間違って接続した事例∼
4件
タケプロンを静脈ルートから投与するつもりが、
膿瘍洗浄用ドレーンの三方活栓につないでしまった。
投与開始前に気付き、
静脈ルートから投与した。
(他3件)
注射器に準備された薬剤の取り違え
No.15
∼手術・処置等の際、複数の注射器にそれぞれ薬剤名を表示して
準備していたにも関わらず、確認を怠ったことにより、取り違え
た事例∼
2件
患児Aの水溶性プレドニン5mg(0.
5mL)を看護師2名で確認しながら注射器に用意し、患児Bの
水溶性プレドニン13mg(1.
3mL)と一緒に一つのトレイに入れた。担当看護師は患児Aの病室を
訪問し、注射伝票、
リストバンド、注射器についているラベルのバーコードを認証した。投薬直前、
患児Aに使用していたシリンジポンプのアラームが鳴ったため、手に持っていた注射器をトレイ
に戻しアラーム対応をした後、再びトレイの中から注射器を手に取り薬液を注入した。使用後の
注射器をトレイに戻した際、患児Aの薬剤が入った注射器が残っていることに気づき、患児Bの
注射薬を取り違えて注入したことに気付いた。
(他1件)
No.17
湯たんぽ使用時の熱傷
∼湯たんぽを使用した際、熱傷をきたした事例∼
1件
患者は、発熱・呼吸困難で当院に搬送され、下肢に不随運動はあったが危険行動はなかった。準夜
帯から四肢の冷感があり、掛物で保温していたが、下肢の冷感は持続していた。そこで看護師は、
湯たんぽの代わりに氷のうにお湯
(約60度)
を入れ、
カバーをしないまま、
患者に直接触れないよう
10cm以上離して、足元近くに置いた。
2時間後のラウンド時、氷のうは触れるとまだ温かく、患者
には触れていないことを確認した。
1時間後、
全身清拭の際に右下腿と左母指に皮膚の損傷を認め、
その後、
Ⅲ度の低温熱傷と診断された。
No.18
処方表記の解釈の違いによる薬剤量間違い
∼「3×」や「分3」の処方表記の解釈の違いにより薬剤量を間違え
た事例∼
1件
患者のデパケンシロップを準備する際、
担当看護師Aは処方せんに
「デパケンシロップ5% 15mL
1日3回(毎食後)」
と記載されているのを確認した。
しかし、用意されていたデパケンシロップは1
5mLであり、
内服薬や内服量などが記載された手書きの患者リスト表を確認すると
「デパケンシ
ロップ1回15mL」
と記入されていた。患者リストに記載した看護師Bは、処方せんの1日量を
1回量と間違えて患者リスト表に記入していた。
デパケンシロップを準備した看護師Cは、
患者記録
を見て薬剤を準備していた。患者に投与する前に誤りに気付いた。
(医療安全情報No.
41
(2010年4月:第2報提供済み)
)
- 218 -
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
医療事故情報収集等事業
医療
安全情報
No.79 2013年6月
2006年から2011年に提供した医療安全情報
1)
番号
タ イト ル ∼ 内 容 ∼
2012年に報告
された件数
【事例】
No.19
未滅菌の医療材料の使用
∼誤って未滅菌の医療材料を準備・使用した事例∼
4件
休日の手術当日、
業者から機材の受け渡しがあったため、
手術室看護師Aは滅菌室のオートクレーブ
のウォーミングアップをした。
看護師Aと看護師Bは滅菌室へ行き、
機材を受け取ったのちスタート
のボタンを押した。
1時間後に機材を取り出し、手術室内に搬送した。手術室で看護師A∼Dの
4名で物品確認をした際、外側の布にいつもより水滴が付いていた。滅菌室スタッフに確認した
ところ、
滅菌済と思い「すぐに使用するのであれば水分が浸み込むことはない」
との回答を得たの
で、手術を通常通り行った。翌朝、滅菌室スタッフが出勤した際にオートクレーブの始業点検をし
たところ、
ウォーミングアップの運転履歴はあったが滅菌運転の履歴がないことから、
使用した器材
が滅菌されていなかったことが判明した。
(他3件)
No.20
伝達されなかった指示変更
∼関連する部署に指示変更が伝わらなかったため、変更前の指示
が実施された事例∼
3件
手術前の定型の指示のポンタールシロップが処方されていたが、患者はアスピリン禁忌だったた
め、
ポンタール中止の指示が出ていた。
しかし、指示を受けた看護師Aは薬剤の返納処理をしな
かった。看護師Bは冷蔵庫に入っていた患者に処方されていたポンタールシロップを取り出し、
処方せんを確認しないまま、薬液ボトルの氏名のみを見て患者へ投与した。
1時間後、受け持ち
の看護師Cが病室に行くと患者より呼吸困難の訴えと喘鳴があり、患者の酸素飽和度を測定する
と80%台であった。患者より
「白い薬を飲んだ」
と報告があった。
(他2件)
化学療法の治療計画の処方間違い
∼化学療法の際、治療計画を間違えて投与した事例∼
1件
医師は、抗がん剤投与日程を標準療法の通り5日間と考えていたが、電子カルテのレジメンは
6日間で登録されていた。
6日目の投与が開始された時点で、
医師が間違いに気付いた。
No.23
処方入力の際の単位間違い
∼処方入力の際、薬剤の単位を間違えたことにより過量投与した事例∼
4件
患者に中心静脈栄養を開始する際、
10%塩化ナトリウムを4
「mL」
と入力するところ、
4
「A
(アン
プル)」
と誤って入力し、
80mL投与する指示をした。指示した医師は誤りに気づいて修正したが、
それが看護師に伝わっておらず、
当初の指示のまま点滴をした。
(他3件)
No.24
人工呼吸器の回路接続間違い
∼人工呼吸器の回路接続を間違えた事例∼
3件
患者は人工呼吸器が装着され、
NO療法(一酸化窒素吸入療法)
をしていた。受け持ち看護師Aの
サポートとしてベッドサイドに行った看護師Bは、
NOの供給回路が患者の口元側についているの
を見て、吸気側に付ける方が安定した供給になると考え、回路の接続を変えた。翌日、他患者の
観察のため来棟していた臨床工学技士に回路の確認を依頼したところ、吸気側でなく呼気側に
接続していたことが判明した。
(他2件)
- 219 -
参考
No.22
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業
医療
安全情報
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
No.79 2013年6月
2006年から2011年に提供した医療安全情報
1)
番号
タ イト ル ∼ 内 容 ∼
2012年に報告
された件数
【事例】
No.25
診察時の患者取り違え
∼外来診察の際、口頭で行った患者氏名の確認が不十分であった
ため、患者を取り違えた事例∼
1件
患者は誤って娘の診察券で受付をした。診察に呼ぶ際、
クラークが診察券の娘のフルネームを
呼んだところ、患者が診察室に入った。医師は診察室で患者の確認を怠り、娘の氏名、番号のまま
診察し、
CT検査の指示を出した。
CT撮影前に診療放射線技師が患者にフルネームと生年月日を
言ってもらった際、依頼票と患者名が違うことに気付いた。
No.27
口頭指示による薬剤量間違い
∼口頭指示の際、薬剤の単位や量、希釈の条件を明確に伝えなか
ったため、薬剤量を間違えた事例∼
4件
不穏状態の患者に対し、
リントンを使用したが改善を認めなかった。看護師の依頼を受けた口腔
外科当直医は、指導医に電話で連絡し「セルシン2ミリ
(=2mg)」の指示を受けた。当直医は、
2ミリの意味を2mL
(=10mg)
と理解し、静脈注射した。
(他3件)
No.29
小児への薬剤10倍量間違い
∼小児に対する処方の際、薬剤量を10倍間違え、過量投与した事例∼
3件
緊急帝王切開により出生した新生児はNICUへ収容された。
新生児感染症に対し、
人工呼吸器管理
のもと抗生物質製剤を使用していたがCRPの上昇、
血小板減少があり、
メロペン+バンコマイシン
に変更となった。主治医は変更のオーダーを行う際、
バンコマイシンの用量を計算間違いし、
1回
0.
027gであるところ0.
27g
(10倍量)
とオーダーした。
1回分投与されたところで主治医は
過量であることに気付いた。
(他2件)
No.30
アレルギーの既往が分かっている薬剤の投与
∼診療録の決められた場所に薬物アレルギー情報の記載がなかった
ため、禁忌薬剤を投与した事例∼
6件
第1子を帝王切開術にて出産した際、子宮収縮剤のアトニンを使用した。その際、頻脈とST低下
が生じたが、電子カルテのアレルギー情報に登録されていなかった。
2年後、第2子出産のため
選択的帝王切開術を施行した際、術中に弛緩出血をきたし、アトニンを使用したところ、胸痛、
ST低下、
血圧低下などの症状が出現した。
術中に血管拡張剤を使用して症状は改善した。
(他5件)
- 220 -
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
医療事故情報収集等事業
医療
安全情報
No.79 2013年6月
2006年から2011年に提供した医療安全情報
1)
番号
タ イト ル ∼ 内 容 ∼
2012年に報告
された件数
【事例】
ガベキサートメシル酸塩使用時の血管外漏出
No.33
∼ガベキサートメシル酸塩を投与する際、添付文書の「用法・用量に
関する使用上の注意」
に記載されている濃度を超えて使用し、輸液
が血管外へ漏出した事例∼
2件
患者は、
ダブルルーメンCVカテーテルが挿入されて転院してきたため、
CVカテーテルの
(1)
から
高カロリー輸液、
(2)
からレミナロン1500mg/生食48mLの投与を開始した。その後、
輸血の
指示があり、
末梢のルートを確保したが22Gと細かったため、
輸血をCVカテーテルの(2)の側管
から投与することにした。看護師2名は相談し、
レミナロンを右手背の末梢ルートから投与するよ
う変更した。その後、右手背から投与中のレミナロンが漏れ、右手背の発赤、腫脹が増強した。
皮膚科を受診し、
リンデロンの局所注射等を行っていたが、潰瘍、壊死が拡大し、デブリードメント
を実施した。
(他1件)
No.34
電気メスによる薬剤の引火
∼電気メスの使用により薬剤に引火し、
患者に熱傷をきたした事例∼
1件
胃全摘術終了後、左側腹部よりプリーツドレーンを挿入する際、腹壁の刺入部を切開する前に
消毒を行った。通常であれば、
アルコール非含有のイソジン液を用いるところ、消毒液の成分の
確認を怠り、
0.
5%ヘキザックアルコールを使用した。真皮以下を電気メスで切開する際、消毒液
に含有されるアルコールに引火し、
熱傷を生じた。
「スタンバイ」にした人工呼吸器の開始忘れ
∼
「スタンバイ」
のまま患者に人工呼吸器を装着したため、
換気され
なかった事例∼
1件
医師と看護師は人工呼吸器が作動していることを確認した。
10分後、看護師が点滴を見た時に
も人工呼吸器の作動を確認した。その30分後、医師と看護師が吸引しようとした際、人工呼吸器
がスタンバイモードになっており、停止していることを医師が発見した。
No.38
清潔野における注射器に準備された薬剤の取り違え
∼手術・検査等の清潔野において、準備された注射器の識別を誤り、
薬剤を取り違えた事例∼
3件
加齢黄斑変性に対し、
カリパー(計測器)で計測後にルセンティスを硝子体内に注射し、その後
パニマイシンを結膜下に注射し終了する1分程度の手術であった。今回は、患者の眼球が動き、
ばね式開眼器を使用したため、術野の視野が悪くなり調整に時間を要し、
カリパーとルセンティス
を繰り返し使用していた。看護師はルセンティスと同じ注射器に入っていたパニマイシンを執刀医
に「パニマイシンです」
と言って手渡した。執刀医は「ルセンティスです」
と言われたと思い込み、
薬液の量と注射針の太さに気付かないまま硝子体内に投与した。
(他2件)
- 221 -
参考
No.37
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業
医療
安全情報
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
No.79 2013年6月
2006年から2011年に提供した医療安全情報
1)
番号
タ イト ル ∼ 内 容 ∼
2012年に報告
された件数
【事例】
No.39
持参薬の不十分な確認
∼入院の際、持参薬の確認が不十分であったため、患者の治療に影
響があった事例∼
6件
患者は、手術目的で転院となった。冠動脈ステント術の既往があるため、入院時から抗凝固剤
(ヘパリン)の持続注入を開始した。前医からの退院時要約には「バイアスピリン、
プラビックスに
ついては内服中止」
と記載があったが、一包化された持参薬の薬包からプラビックスは除去され
ておらず、
バイアスピリンについては除去されているものと、そうでないものとがあった。看護師
は中止する抗凝固剤はバイアスピリンのみであると思い込み、薬包からバイアスピリンだけを抜
いた。薬剤師は持参薬確認表を確認したが、気づかなかった。その後、看護師が内服薬をチェック
した際、
手術前に中止するべきプラビックスが一包化された薬袋に含まれていることに気づいた。
主治医は出血リスクが高いと判断し、
手術を1週間延期した。
(他5件)
No.46
清拭用タオルによる熱傷
∼清拭の際、
ビニール袋に準備した清拭用タオルが患者の身体にあ
たり、熱傷をきたした事例∼
2件
看護師Aが、
患者の陰部洗浄を行っているところへ、
看護師Bが清拭用の蒸しタオル5枚をビニール袋
に入れて持参し、ベッド上(患者の左側)に置いて清拭を開始した。同時に、看護師BのPHSが
鳴り、他の患者の検査出棟の連絡があり、退室した。その際、看護師Bはタオルがベッド上にある
ことを看護師Aに伝えなかった。その後、看護師Cが検温の為に訪室した際、看護師Aが1人で
ケアを行っていたので一緒に患者ケアを行った。患者を左側臥位にして臀部を洗い、仰臥位に戻
した際に、看護師Cは患者の左大腿部に発赤があり、ベッドの上にビニールに入った蒸しタオルが
あることに気付いた。左側臥位にした際に、蒸しタオルの上に患者の足を乗せたための熱傷と
考えられた。皮膚科医師の診察結果、
Ⅱ度の熱傷と診断された。
(他1件)
No.47
抜歯部位の取り違え
∼歯科において、
抜歯部位を取り違えた事例∼
9件
右上7番部分の歯肉の歯牙破折片を除去する予定であったが、エックス線画像上で右上6番に
骨吸収を認めたことで勘違いし、右上6番を抜歯した。当事者は抜歯後に気づき、患者に説明した
上で右上6番の再植を行い、
右上7番部歯肉の歯牙破折片を除去した。
(他8件)
No.48
酸素残量の未確認
∼酸素ボンベ等の残量の未確認に関連した事例∼
3件
退院当日、病室の酸素配管から在宅酸素療法用の酸素ボンベに変更した。携帯用酸素ボンベは
自宅にあったものを家族が持参したもので、
退院にあたり看護師は酸素流量は確認していたが、
酸
素の残量は医師、看護師、在宅酸素業者、患者とも確認していなかった。院内エレベーターに乗っ
た際に呼吸困難を自覚し、
ストレッチャーに臥床させたところ症状は回復したが、
退院中止とした。
そ
の後、携帯用酸素ボンベの圧力計がゼロであったことが判明した。
(他2件)
- 222 -
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
医療事故情報収集等事業
医療
安全情報
No.79 2013年6月
2006年から2011年に提供した医療安全情報
1)
番号
タ イト ル ∼ 内 容 ∼
2012年に報告
された件数
【事例】
No.53
病理診断時の検体取り違え
∼病理診断において、
別の患者の検体と取り違えた事例∼
1件
3名の患者のホルマリン固定した乳腺針生検の検体瓶が3本一緒に病理に提出された。本来、
検体瓶に病理番号を記載後、検体瓶を番号順に並べるが、先に検体瓶を並べた。この時、並べる
順番をA→B→CとするところB→C→Aと並べ、
病理番号を記載した。
3つ目の検体Aの病理申込書
の氏名と検体瓶の氏名が異なることに気付き、
検体取り違えが発見された。
No.54
体位変換時の気管・気管切開チューブの偶発的な抜去
∼人工呼吸器を装着した患者の体位変換を行った際に、気管チュ
ーブまたは気管切開チューブが抜けた事例∼
5件
人工呼吸器装着中の患者の口腔ケアの際に、
担当看護師は気管チューブの固定を確認した。
40
分後、
オムツ交換時に看護師2名で左側臥位へ体位変換を実施した際、
人工呼吸器の回路をアー
ムより外していたが、
回路の保持が出来ていない状況だったため、
気管チューブが抜けた。抜管後、
バッグバルブマスクにて補助換気を実施し、
再挿管した。酸素飽和度の変動はなかった。
(他4件)
No.56
MRI検査時の高周波電流のループによる熱傷
∼MRI検査の際に、患者の皮膚と皮膚が接触していたため身体の一
部に高周波電流のループが生じ、熱傷に至った事例∼
1件
No.57
PTPシートの誤飲
∼患者が薬剤を内服する際に、
誤ってPTPシートから出さずに薬剤
を服用した事例∼
13件
看護師Aは、内服薬7個をPTPシートのままカップに入れたものを弱視の患者に渡した。患者は
いつも薬はPTPシートから出してカップに入っていたので、そのまま口に入れたところ、痛みが
あり吐き出した。そのことを看護師Bに伝えたが、看護師Bは誤飲したとは考えず、吐き出された
薬剤をPTPシートから出し、個数を確認しないまま投薬した。翌日、患者からこの出来事を聞いた
看護師Cが誤飲の可能性を考え主治医に報告した。エックス線撮影をしたところPTPシート様の
ものが映し出され、
内視鏡で異物除去を行った。
誤飲した薬の数が不明であり、
経過観察を要した。
(他12件)
- 223 -
参考
MRI入室時、
MRI担当の診療放射線技師は患者に金属・義歯・補聴器の有無の確認を行った後、
検査台に仰臥位になってもらった。下腹部には4つ折りのタオルを置き、臍部から大腿部3分の1
まで覆うボディコイルを設置し、検査を実施した。患者の検査衣は寝間着タイプであり、股から
両大腿部にかけてタオルなどは入れなかった。単純撮影終了時に患者から
「股の間が熱い」
と訴え
あり、
診療放射線技師はボディコイルを外し、金属がないか確認をしたが、大腿部内側や股の皮膚
の観察は行わなかった。
4日後、
再来院した患者から
「先日のMR
Iの時に股が熱く、
家に帰り見てみ
ると、
熱傷のような跡があった」と言われた。確認したところ、両大腿部内側に3cm大の発赤と
1cm大の褐色の瘢痕を認めた。その後、
MRIの高周波ループによる熱傷であることが分かった。
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業
医療
安全情報
医療事故情報収集等事業 第 34 回報告書(平成 25 年4月∼6月)
No.79 2013年6月
2006年から2011年に提供した医療安全情報
1)
番号
タ イト ル ∼ 内 容 ∼
2012年に報告
された件数
【事例】
No.58
皮下用ポート及びカテーテルの断裂
∼皮下用ポートが埋め込まれている患者において、カテーテルの
断裂が起きた事例∼
6件
5年前に左鎖骨下静脈に挿入した抗がん剤治療用の皮下用ポート
(現在は使用していない)の
カテーテル部分が断裂し、
カテーテルの先端部分が左肺動脈に迷入していた。患者に症状はなか
ったが、
癌のフォローアップ目的のCT検査で断裂がわかった。
入院し、
血管内から摘出した。
(他5件)
No.61
併用禁忌の薬剤の投与
∼医療用医薬品の添付文書上、併用禁忌(併用しないこと)
として
記載のある薬剤を併用した事例∼
2件
患者は自閉症で院外処方のオーラップを内服していた。患者が風邪で外来受診した際、医師は
院内処方でクラリスを処方した。薬剤師は院外処方の内容を知らず、患者に薬を渡した。患者が
昼に内服したところ、
いつもと異なり傾眠傾向となった。
家族からの連絡で確認したところ、
クラリス
は、
オーラップの併用禁忌であることがわかった。
(他1件)
1)
の番号は、
医療安全情報の提供番号を示しています。
◆上記タイトルの未掲載事例につきましては、平成24年年報に掲載いたします。
※この医療安全情報は、
医療事故情報収集等事業(厚生労働省補助事業)
において収集された事例をもとに、
当事業の
一環として総合評価部会の専門家の意見に基づき、医療事故の発生予防、再発防止のために作成されたものです。
当事業の趣旨等の詳細については、
当機構ホームページに掲載されている報告書および年報をご覧ください。
http://www.med-safe.jp/
※この情報の作成にあたり、
作成時における正確性については万全を期しておりますが、
その内容を将来にわたり保証
するものではありません。
※この情報は、
医療従事者の裁量を制限したり、
医療従事者に義務や責任を課したりするものではありません。
公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部
〒101-0061 東京都千代田区三崎町1-4-17 東洋ビル
電話:03-5217-0252
(直通)
FAX:03-5217-0253
(直通)
http://www.jcqhc.or.jp/html/index.htm
- 224 -
公益財団法人日本医療機能評価機構(以下「本財団」という)は、本報告書に掲載する内容について、善良なる市民および医療の質に関わ
る仕事に携わる者として、誠意と良識を持って、可能なかぎり正確な情報に基づき情報提供を行います。また、本報告書に掲載する内容につ
いては、作成時点の情報に基づいており、その内容を将来にわたり保証するものではありません。
したがって、これらの情報は、情報を利用される方々が、個々の責任に基づき、自由な意思・判断・選択により利用されるべきものであり
ます。
そのため、本財団は、利用者が本報告書の内容を用いて行う一切の行為について何ら責任を負うものではないと同時に、医療従事者の裁量
を制限したり、医療従事者に義務や責任を課したりするものでもありません。