障害者権利委員会 包容する教育に関する一般的意見 2016/09/01 国連

障害者権利委員会
包容する教育に関する一般的意見
2016/09/01
国連人権高等弁務官事務所
障害者権利委員会は、障害者権利条約 24 条に関する一般的意見を公表した。この一般的意見では、障
害のある生徒を、組織・カリキュラム・授業方法などに構造的変更を加えず通常の学級に在籍させるこ
とは包容にはならないこと、包容する教育は、すべての生徒とくに様々な理由で排除され周縁化される
おそれのある生徒の十分・実効的な参加、施設・サービスの利用の容易さ、登校、達成度に重点を置く
ものであることが述べられている。委員長は次のように述べる。「包容する教育の権利は、すべての就
学者の教育を確保するために、あらゆる公式・非公式教育環境における文化・政策・実行を変換するこ
とを意味する。これは差別の撲滅、多様性・参加の促進を助けるものであり、障害者だけでなく、彼ら
が生活する社会にとっても重要である。包容する教育を可能にするには、法律・政策・財政・行政・計
画・授業方法・監視の面から教育制度を徹底的に変換することが求められる。」
アフリカの障害者支援に関する会合
開催の予定
2016/09/01
国連人権高等弁務官事務所
アフリカの障害者への支援サービス改善に関する会合が、障害者の権利に関する国連特別報告者の主催
で9月6?7日、アディスアベバ(エチオピア)で行われる。アフリカ各国の専門家・政策立案者・擁護者、
アフリカ障害協議会役員、アフリカ連合・国連の人権専門家、学識経験者、市民団体らが参加する。障
害者の包容と平等な参加の支援を前進させるための各国の現行措置、市民レベルから生まれた取組みが
討議される予定である。特別報告者は、「障害者のための支援提供における社会ネットワークとコミュ
ニティの役割が検討されることに大変興味がある。障害者団体が関与してコミュニティ・レベルで提供
される支援は、彼らの社会への積極的参加を確保するための最善の方法である」と述べている。特別報
告者は来年3月の人権理事会に提出する報告書で、今回の会合について報告し、持続可能で質的に安定
し、手ごろで利用の容易な支援サービスに焦点を当てる予定である。
移住労働者権利委員会
移住者の子どもに関する原則を支持
2016/09/05
国連人権高等弁務官事務所
移住労働者権利委員会は、すべての移住段階で子どもが直面する人権侵害に懸念を示し、移動中の子ど
もと移住の影響を受けている子どもための政府・NGO その他の関係者の行動に関する推奨される原則
を支持した。この推奨される原則は、人権高等弁務官事務所、難民高等弁務官事務所、国際移住機関、
ユニセフなどが今年 5 月の専門家会合で作成したものである。子どもの最善の利益が子どもに関するす
べての行動において最優先に考慮されるべきであると規定し、親の移住を理由に子どもを拘禁すること
は子どもの権利侵害となることも明らかにしている。委員会は、この推奨される原則は、子どもの権利
条約や移住労働者権利条約などの国際人権規範を反映するものであり、9 月 19 日の移住者・難民の大
規模移動に関するハイレベル会合や 12 月の移住・開発に関するグローバル・フォーラムでも討議され
るよう期待を表明した。
移住労働者権利委員会
締約国と会合
2016/09/05
国連人権高等弁務官事務所
移住労働者権利委員会は、移住労働者権利条約締約国、国際機関、NGO との会合を行った。委員会は、
現在の国際的移住傾向を概説し、条約の批准・実施促進のための活動を報告した。また、子どもの移住
者と簡素化された報告手続実施に関する二つの一般的意見の起草の最新状況、市民団体や国内人権機関
との協力にも言及した。各国政府や NGO の代表は質問事項として、もっと効果的でこれまでとは異な
る条約批准加速のための方法、子どもの移住者に関する一般的意見草案についての協議の過程と期限、
他の条約機関・特別手続・人権理事会・市民団体との協力などを取り上げた。これらの質問に答えて委
員会は、子どもの移住に関する一般的意見草案は来年末までに完成予定であること、移住における子ど
もに関しては、発生の原因、受入れ社会での移住者のニーズ、外国人排斥とテロなどの問題に取り組む
必要があることなどに言及した。
人権理事会開催の予定
2016/09/07
国連人権高等弁務官事務所
人権理事会第 33 会期が 9 月 13?30 日に開催される。今会期では、人権教育・研修に関する国連宣言5
周年、先住民女性・少女に対する暴力、若者と人権をテーマとするパネル・ディスカッションが行われ
る。また、シリア、ブルンジなどの状況についての討議、民主的・公平な国際秩序の促進、一方的強制
措置、恣意的抑留、高齢者の権利、水と衛生、強制失踪、現代的形態の奴隷制、傭兵の利用、危険廃棄
物、先住民族、アフリカ系の人々などの問題を担当する専門家との討議も行われる。さらに、人権高等
弁務官の報告、すべての人権の促進・保護、理事会の留意を要する人権状況、普遍的定期審査制度、ウ
ィーン宣言・行動計画のフォローアップ・実施、人種主義・人種差別、技術支援・能力構築に関して、
一般討論が行われる。14 カ国に関する普遍的審査の文書についても検討が行われる。理事会のすべての
公開の会合は、インターネットで生中継される予定である。
子どもの権利委員会開催の予定
2016/09/07
国連人権高等弁務官事務所
子どもの権利委員会が 9 月 13?30 日に開催され、ナウル、シエラレオネ、ニュージーランド、南アフリ
カ、サウジアラビア、スリナムの子どもの権利状況について審査が行われる。9 月 23 日には子どもの
権利と環境に関する一般討論が行われる。この討論の目的は、子どもの権利と環境の関係に対する理解
を促進すること、子どもに関する法律・政策・実行が環境問題に適切に配慮するために何が必要かを明
らかにすること、環境に関連する法律・政策・実行が子どもに敏感であるよう確保することにある。ま
た、将来の活動、締約国の報告書の審査手続、個人通報に関する選択議定書に関わる活動方法、条約機
関強化のフォローアップなども討議される。さらに、青少年、路上の子ども、移住における子どもに関
する一般的意見についても引き続き作業が行われる予定である。
移住労働者権利委員会第 25 会期閉幕
2016/09/07
国連人権高等弁務官事務所
移住労働者権利委員会第 25 会期が閉幕した。今日の会合では、会期中に審査が行われたホンジュラス、
ニカラグア、ニジェール、スリランカの報告書に関する最終見解と勧告が採択された。会期中に委員会
は、国際移住の状況にある子どもに関する声明を採択し、移動中の子ども・移住の影響を受けている子
どもに関する行動の指針となる推奨される原則を支持した。また、国際移住の状況における女性に関し
て、人権高等弁務官事務所、UN Women、女性差別撤廃委員会との共同声明も採択した。さらに、移住
労働者権利条約締約国、国際機関、NGO と会合し、条約批准の促進・加速のためのこれまでとは異な
る方法、子どもの移住に関する一般的意見の起草過程、9 月 19 日のハイレベル会合への参加などにつ
いて討議を行った。第 26 会期は 2017 年 4 月 10?21 日に開催され、バングラデシュ、ジャマイカ、ナ
イジェリアの報告書が審査される予定である。
人権専門家が補償に関する委員会の創設を求める
2016/09/09
国連人権高等弁務官事務所
一方的強制措置が人権にもたらす悪影響に関する特別報告者が、人権理事会に報告書を提出した。内容
は以下のとおり。制裁が人権に悪影響をもたらしている場合には、被害者は国内・国際レベルの機関を
利用して、救済・賠償などを求めることができるようにすべきである。しかしながら、世界レベルの一
方的制裁に関する問題について判断するための一般的管轄権を有する独立の司法機関は存在しない。こ
れは緊急課題の一つである。そうした機関に対して、国や個人が制裁に関して、手続き面だけでなく、
制裁の背後にある政治的動機も問題にし訴えることができるようにしなければならない。人権理事会と
国連総会に対して、一方的措置によって人権が侵害された被害者の効果的な救済の権利を、宣言を通し
て再確認するよう求めたい。また、すべての国際的制裁を統一・集中的に記録する制度を国連内に設け、
事実を公表する重要性を強調したい。
人権理事会第 33 会期開幕
2016/09/13
国連人権高等弁務官事務所
人権理事会第 33 会期が開幕した。開会にあたりゼイド人権高等弁務官があいさつを行った。内容は以
下のとおり。人権高等弁務官事務所や人権担当機関が自国や特定の地域にアクセスするのを拒否する国
が増えている。人権に関する調査を妨害・回避しようとする国が増えるのに伴い、人権理事会の分裂も
進んでいる。すべての人々の人権のために共同行動が必要である。政府が国際的監視機関のアクセスを
妨害しても、人権侵害が不問に付されることはない。それどころか、いったい何を隠しているのかとい
う当然の疑問が生じる。われわれ人権高等弁務官事務所を締め出しても、われわれを黙らせることも、
われわれの目をくらますこともできない。アクセスが拒否されるならば、われわれは最悪の事態を想定
し、重大な申立てについて、遠隔からの監視などにより、可能な限り正確な報告を行うことに全力を尽
くすことになろう。
子どもの権利委員会第 73 会期開幕
2016/09/13
国連人権高等弁務官事務所
子どもの権利委員会第 73 会期が開幕した。今会期では、6 カ国の報告書の審査に加えて、子どもの権
利と環境に関する一般討論、さらに、青少年期の子どもの権利、路上の子どもに関する一般的意見、移
住の状況下にある子どもに関する移住労働者権利委員会との共同の一般的意見の検討も行われる。開会
のあいさつを行った人権高等弁務官事務所の代表は、子どもたちが一般的意見の作成に直接・積極的に
関わり、会期中の一般討論では発言する予定であることに言及した。また、移住の状況下にある子ども
が困窮しており、子どもの難民は5年間で 75%増え 800 万人に達していると強調した。委員長は、現
在の締約国数について、子どもの権利条約は 196 カ国、紛争への子どもの関与に関する選択議定書はブ
ルネイとサモアの批准により 165 カ国、子どもの売買等に関する選択議定書は 173 カ国、個人通報に関
する選択議定書はウクライナの批准により 28 カ国であると報告した。
民主的・公平な国際秩序に関する専門家の報告書
2016/09/13
国連人権高等弁務官事務所
民主的・公平な国際秩序に関する独立専門家が人権理事会に報告書を提出した。内容は以下のとおり。
今こそすべての貿易協定と WTO のルール・規制において人権を主流化する時である。民主的・公平な
秩序は、透明性・説明責任・独立性に関して疑問のある紛争解決の場を設けることによるのではなく、
公の裁判所を拡大することによって構築される。調停者や裁判官には、人権条約上の義務に照らして貿
易協定を解釈することが求めらる。国内裁判所は、投資家と国の間や WTO による紛争解決の決定が人
権を侵害するのであれば、そうした決定の効果を否定しなければならない。主な当事者との協議や市民
の参加がないまま秘密裏に交渉された貿易協定は民主的正当性を有しない。すでに発効している場合に
は、その正当性が関係国の憲法裁判所や地域の人権裁判所で問われるべきである。貿易協定に対する国
連憲章の優越性を再確認した国際司法裁判所の勧告的意見が参考になるはずである。
人権理事会
民主的・公平な国際秩序、一方的強制措置を討議
2016/09/13
国連人権高等弁務官事務所
人権理事会の午前の会合では、民主的・公平な国際秩序の促進に関する独立専門家が発言し、公の制度
を用いずに民間で紛争を解決する傾向がみられるが、これは法の支配と社会契約の仕組みそのものを損
ねるものであり、止めさせなければならないと述べた。一方的強制措置に関する特別報告者も発言し、
一方的強制措置によって国民が影響を受けた国は、条約上の利用可能な解決手段を用いることを検討す
べきであると述べた。民主的・公平な国際秩序に関する討議では、社会的責任に関する条約の採択、有
害な自由貿易協定の一時停止を求めた独立専門家の提案が歓迎され、貿易ルールが発展途上国の健康・
教育・労働・気候変動に関する政策の採択を妨げていること、現在の貿易に関する紛争解決制度がさら
なる人権侵害をもたらしていることが指摘された。一方的強制措置に関する討議では、措置が各国に与
えた影響について、国連が公正・公平な調査を行うことが提案された。
人権理事会
飲み水・衛生、恣意的抑留を討議
2016/09/13
国連人権高等弁務官事務所
人権理事会の午後の会合では、安全な飲み水・衛生の人権に関する特別報告者が発言し、ジェンダーの
不平等は水・衛生分野で深刻であり、女性・少女が一生の間、健康で自己決定できる生活を送るために
同一の機会を確保することが急務であること、カースト・年齢・性的指向・性自認などによる不平等に
特別な留意が必要であることに言及した。恣意的抑留作業部会議長も発言し、人権理事会は国連総会に
対して、恣意的抑留に反対する国際デーの創設を提案すべきであると述べた。討議では、水の供給者・
利用者としての女性の極めて重要な役割、安全な飲み水に完全にアクセスするために女性が技能や知識
を備える必要性が確認され、紛争下での水・衛生へのアクセスの不平等は生きるか死ぬかを意味するこ
と、過密のために拘禁場での水・衛生が劣悪な状態にあることなどに言及があった。また、恣意的抑留
に反対する国際デーの創設を支持する発言もあった。
社会権規約委員会開催の予定
2016/09/14
国連人権高等弁務官事務所
社会権規約委員会が 9 月 19 日?10 月 7 日に開催される。この会期では、コスタリカ、キプロス、ポー
ランド、チュニジア、レバノン、ドミニカ共和国、フィリピンの状況が審査される。これらの国を含む
社会権規約委員会締約国(現在 164 カ国)は、規約の実施状況について委員会による審査を受ける。18
人の独立の人権専門家で構成される委員会は、各締約国の代表と会合を持ち、規約に関わる様々な問題
について審査を行う。委員会の最終見解は、各国の条約上の人権義務の遵守について独立に評価するも
のである。なお、今年は、社会権規約と自由権規約の採択 50 周年にあたる。人権高等弁務官事務所は、
権利と自由の永遠のテーマ、とくに恐怖からの自由、表現の自由、信仰の自由、欠乏からの自由に関す
る周知を促進するために、「われわれの権利、われわれの自由、いかなる時も」と題するキャンペーン
を年間を通して行っている。
国際民主主義デーに向けて人権専門家が声明
2016/09/14
国連人権高等弁務官事務所
9 月 15 日の国際民主主義デーに向けて、民主的・公平な国際秩序の促進に関する独立専門家が声明を
発表した。内容は以下のとおり。民主主義は日々存在し実行されなければならない。民主主義は、市民
の意思と法律・政策との真の相関関係を意味する。代表民主制が"民主的"とみなされるのは、議員が有
権者に法律・条約を積極的に周知し、彼らと定期的に協議し、彼らの意思を誠実に実行に移そうと努力
する場合に限られる。少なくとも民主主義は完全な開示と多くの関係者の参加を必要とする。国民投票
に付されたならば間違いなく拒否されると思われる法律・条約は数多く存在する。国民の同意のないま
ま、そのような条約を民主的に選出された議会が批准してはならない。民主的な変化を生み出すには、
人権、特に多元主義、選挙に関する法原則、意見・表現の自由、平和的集会・結社の自由が尊重されな
ければならない。
人権理事会
高等弁務官の報告に関する一般討論
2016/09/14
国連人権高等弁務官事務所
人権理事会の午前の会合では、昨日の人権高等弁務官の口頭での報告について、一般討論が行われた。
発言者は、世界中の国や地域での人権侵害を取り上げ、人権の不可分性、自由権と社会権のバランスや
発展の権利実現の重要性を強調した。また、メディアや市民団体が圧力を受けている国々の人権状況に
懸念を示す発言、人権促進のための武力行使はマイナスでしかないと警告する発言もあった。日本の代
表も発言し、2 年前の人権高等弁務官就任以降、世界の人権状況は改善していないこと、外国人拉致な
ど北朝鮮による人権侵害が引き続き重大な懸念事項であること、市民団体の自由な表現・活動の確保は
民主主義の根幹であり、こうした権利が制限されている国の状況が懸念されることに言及した。北朝鮮
はこれに対して、韓国や日本の申立ては政治的な動機によるものであり、自国に対する決議は敵国の陰
謀であると述べた。
人権理事会
国連人権教育・研修宣言に関するパネル
2016/09/14
国連人権高等弁務官事務所
人権理事会の午後の会合では、人権教育・研修に関する国連宣言採択 5 周年を記念するパネル・ディス
カッションが行われた。人権副高等弁務官は、国連宣言は、人権教育・研修を提供・促進する国際法上
の政府の義務、多くの関係者が率先することの重要性、国際人権機関や国際社会が各国の努力を支援す
ることの必要性を強調していると述べた。ユネスコの代表は、人権教育はかつてなく必要とされており、
ユネスコは、地球市民教育の理論的枠組みの中で教育の権利の一要素として人権教育を奨励していると
述べた。討議で発言者は、国内での人権教育・研修の促進・実施、確かな人権文化の構築について説明
し、寛容・忍耐・共存のグローバルな文化の発展を人権教育に含めることが重要であると述べた。また、
人種主義・人種差別根絶における人権教育の役割、暴力的過激主義の影響を受けている国で人権教育を
促進する際の課題などを取り上げた。
人権理事会
高齢者の人権を討議
2016/09/15
国連人権高等弁務官事務所
人権理事会の午前の会合では、高齢者の人権に関する独立専門家が発言し、高齢者は現時点で9億人で
あるが、2050 年までに 20 億人に達すると予想されていること、高齢者の人権の保護とその固有の困難
への対処のために、さらなる措置が必要であること、労働、社会的保護、平等・非差別、司法へのアク
セス、暴力・嫌がらせからの保護に対処するための高齢化に関する国内政策・戦略などが有用であるこ
とを指摘した。討議では、多くの社会で高齢者は若い世代に伝えるべき伝統的知識の保有者であり、高
齢者の介護は社会的価値があるだけでなく特恵でもあること、国内政策・戦略によって高齢者の人権に
対処する緊急の必要があることなどに言及があった。また、現行の国連諸条約が高齢者の人権を十分に
保護しており、それらの一層の実施が必要であるとする見解の一方で、作業部会で高齢者の権利に関す
る条約起草を進めるべきだとする提案を支持する意見もみられた。
人権理事会
現代的形態の奴隷制に関する専門家が発言
2016/09/15
国連人権高等弁務官事務所
人権理事会では、現代的形態の奴隷制に関する特別報告者が発言した。内容は以下のとおり。奴隷労働
としても知られる借金による束縛は世界中で行われ、根深い歴史的原因をもつ奴隷制の一形態であるが、
一般には理解されていない。借金により束縛され奴隷状態にある人々の数は ILO によれば推定 2,100
万人である。こうした奴隷制に人々を追いやる要因には、構造的・制度的不平等、貧困、差別、不安定
な労働移住などがある。また、貧困の世代間の悪循環に陥った人々の奴隷労働からの解放とリハビリを
妨げている要因には、経済的その他の規制の不足や欠如、司法へのアクセスの欠如、法執行の欠如、腐
敗などがある。こうした実態を撲滅・防止するために、各国政府は、国際人権基準に基づいた包括的・
総合的な行動計画を策定し、影響を受けている人々のニーズに対処し、根本原因を除去すべきである。
人権理事会
強制失踪、現代的形態の奴隷制を討議
2016/09/15
国連人権高等弁務官事務所
人権理事会の昼の会合では、強制失踪作業部会議長が発言し、シリアなどの国々の強制失踪は極めて深
刻であること、移住の途中や移住した国での失踪の報告や、大規模に行われる場合もある非政府主体に
よる誘拐が増えていることに言及した。現代的形態の奴隷制に関する特別報告者も発言し、自身の報告
書では、非常に多くの女性・男性・子どもが様々な形態の奴隷制に陥る事態が続いていると指摘し、奴
隷労働を推し進めている原因と根絶を妨げている要因を明らかにし、人権に基づく取組みを奨励してい
ると説明した。討議では、移住状況下の失踪、特に不法移住者の状況に対して細心の注意が必要である
ことが指摘され、強制失踪作業部会に対してこの問題に関する活動を続けるよう求められた。また、奴
隷労働は世界中で行われていること、撤廃するには根本原因に取り組む必要があること、人身取引・強
制労働・借金による束縛は交差していることなどが指摘された。
人権理事会
有害物質・廃棄物、傭兵の利用に関する専門家が発言
2016/09/15
国連人権高等弁務官事務所
人権理事会の午後の会合では、有害物質・廃棄物に関する特別報告者が発言し、子どもは毒物や汚染物
質により、がん、成長障害、学習障害、呼吸器疾患など多くの健康への悪影響を受けており、WHO の
推定では 150 万人以上の5歳未満の子どもが毒物・汚染物質などにさらされることにより死亡している
こと、また、毎年推定 200 万人の労働者が有害物質に関連する職業病で死亡していることを訴えた。傭
兵の利用に関する作業部会議長も発言し、アゼルバイジャン、カザフスタン、キルギス、モルドバ、タ
ジキスタン、ウズベキスタン、オーストラリア、ニュージーランド、ナウル、パプアニューギニア、米
国に言及した。すなわち、はじめの 6 カ国は民間軍事会社規制のために様々な取組みを行っているが、
民間軍事会社と法執行当局の役割と機能が曖昧であり、また、いずれの 11 カ国にも民間軍事会社の敵
対行為への参加に関する特別な規則がないと報告した。
人権理事会
強制・非自発的失踪に関する作業部会が発言
2016/09/15
国連人権高等弁務官事務所
人権理事会では、強制・非自発的失踪に関する作業部会が、最新の報告書を提示し説明した。内容は以
下のとおり。強制失踪は、国内の治安維持とテロ撲滅に有用であるという間違った有害な信念のもとで
ますます増加している。われわれは 1980 年の設立以降、107 カ国に 55,273 件を通知し、91 カ国にお
ける 44,159 件について積極的な検討を行った。昨年は、新たに報告を受けた 37 カ国における 766 件の
うち 483 件について緊急行動で対処した。これは前年の3倍以上になる。また、いわゆる"短期間の失
踪"が急増していることも懸念している。多くの場合に再び被害者が出ており、こうした形態の強制失踪
も深刻であり、根絶されなければならない。強制失踪は、いかに短期間であっても発生したことに変わ
りはない。さらにわれわれは、強制失踪の被害者と家族・証言者・人権擁護活動家に対する脅迫・嫌が
らせ・報復にも留意している。
人権理事会
傭兵の利用、有害物質・廃棄物を討議
2016/09/16
国連人権高等弁務官事務所
人権理事会の午前の会合では、傭兵の利用に関する作業部会議長が発言し、傭兵について、各国でテロ
対策法が安易に適用されていること、有用な国際行動規範はあるが自主的なルールに過ぎないことなど
に言及した。有害物質・廃棄物に関する特別報告者も発言し、死因の約 30%が環境に関わるが、環境リ
スクがもたらす影響にほとんど資金が充てられていないこと、有害物質は計り知れないほど存在するが、
廃棄物に関する国連諸条約は 26 の物質しか扱っていないことを指摘した。討議では、民間軍事会社は
法の欠如した状態で活動し、あらゆる残虐行為を行っていることが指摘され、民間軍事会社の活動の規
制のための包括的な文書を求める作業部会の提案が支持された。また、武力紛争が残した危険物の監
視・特定を行う国内・国際機関との活動が必要なこと、汚染は発展途上国や周縁化された人々にとって
一層深刻であり、これらの国の民間企業は責任を負うべきことが主張された。
人権理事会
人権の促進・保護に関する一般討論
2016/09/16
国連人権高等弁務官事務所
人権理事会の昼の会合では、人権高等弁務官事務所の代表が、国連事務総長と人権高等弁務官の 18 の
報告書を紹介した。報告書では、暴力的過激主義の防止・対策、大規模移動における移住者の人権など
のテーマが扱われている。その後、すべての人権の促進・保護に関する一般討論が行われた。発言者は、
発展の権利と責任の分担について、いかに分担するかは、各国の政策や気候変動・自然災害・暴力的過
激主義・社会の混乱などの要因で拡大する不平等や貧困を考慮して決定されなければならないと述べた。
また、移住者・難民の適宜・連携した保護、暴力的過激主義と地球温暖化への対応が必要であると強調
した。さらに、市民の参加スペースが縮小していることなどに懸念を示した。加えて、多くの国が新た
なテロ対策法を制定し、曖昧かつ広範に定義したテロ関連犯罪に死刑を適用し、死刑を再開しているこ
とを遺憾とした。
人権理事会
人権の促進・保護に関する一般討論終了
2016/09/16
国連人権高等弁務官事務所
人権理事会の午後の会合では、人権の促進・保護に関する一般討論が終了した。討論では、ジャーナリ
ストの安全、発展の権利、世界で進行中の多くの紛争につながる人権侵害など、広範な問題が取り上げ
られた。多くの発言者が移住者・女性・子どもなどの弱者の窮状に触れ、移住者の人権行使には法的手
段へのアクセスが不可欠であると指摘した。韓国の NGO は、日本軍の性奴隷の問題に関する昨年 12
月の日韓政府の合意には責任の認定、事実の認識、自責の念や謝罪が含まれていないと主張した。ヒュ
ーマンライツ・ナウは、34 の米軍施設が沖縄の総面積の 10%を占め、施設建設に対する平和的な抗議
活動を日本政府が抑圧しているとし、日米政府に先住民族の権利と土地へのアクセスを尊重するよう求
めた。これに対して日本政府は、沖縄での米軍施設の建設は沖縄県の許可に基づき、規則・規制に則っ
て行われており、政府は沖縄で表現の自由を不当に制限していないと述べた。
難民・移住者に関する国連サミットを前に人権専門家が声明
2016/09/16
国連人権高等弁務官事務所
9 月 19 日の難民・移住者に関する国連サミットを前にして、国連の人権専門家7名が共同声明を発表
した。内容は以下のとおり。国際人権・人道法上の義務が難民・移住者に関するグローバル・コンパク
トの基盤でなければならない。この義務には、平等・非差別、正義・救済へのアクセスなどの人権の尊
重・保護・充足が含まれる。各国政府に対して、グローバル・コンパクトに移住者の子どもの抑留の禁
止を含め、移動のあらゆる段階で子どもの権利に基づいた取組みと保護を行うよう求める。また、移住
者の脆弱性の認識・対応においては、移動中の性暴力を考慮する必要がある。サミットで各国政府は、
紛争による 4,000 万人以上の国内避難民の窮状にも取り組む必要がある。さらに、移住者・難民に対す
る差別・排斥は許されないとの明白なメッセージを送り、暴力・憎悪の扇動者の責任を追及し、ヘイト
スピーチに対する具体的な措置をとらなければならない。