平成26年度内閣府沖縄総合事務局調査 沖縄県内企業の海外展開における 現状と課題 ~事例紹介~ 内閣府沖縄総合事務局 総務部調査企画課 1.はじめに 沖縄には、亜熱帯の特色ある生物資源、天然資源が豊富に存在し、独特の文化、癒しの空間等、 多種多様な「地域資源」があります。また、沖縄科学技術大学院大学(OIST)等による世界水準の 研究・教育が始まっており、ビジネスのシーズを育てる「知の基盤」が形成されています。更に、成長 著しい東アジア主要都市と4時間圏内に位置し、人の流れ、モノの流れの要石(キーストーン)とも なり得る「地の利」があります。 こうした「地域資源」(Diversity)、「知の基盤」(Talent)、「地の利」(Plaza)は、沖縄が持っている 強み「沖縄力」であり、富を生む源泉といえます。 この「沖縄力」を富を生み出す産業にどう変えていくか、内閣府沖縄総合事務局では、有識者等 からなる「沖縄フロンティア戦略会議」(平成24年度)を開催し、3つの戦略目標と実現するための 4つの柱を取りまとめました。 本資料は、沖縄フロンティア会議の結果等を踏まえて、沖縄に拠点を置く企業の海外展開の状況 や課題等について、また、海外展開の支援機関に対して、海外展開する際の注意点等、実際に 経験しどのように対応したか等について、職員が直接ヒアリングして、平成25年度に取りまとめた レポート(『県内企業の海外展開における現状と課題 ~事例紹介~』に、今般、新たな企業・支援 機関へのヒアリング結果や、他地域における海外展開取組事例を追加するとともに、平成25年度 調査において挙げられた要望や課題に係る現在の状況について調査しました。 調査の結果、相手国による制度や手続の違い、情報の不足、信用リスク等様々な課題がある中 でも、海外展開に果敢に挑戦する企業の姿が浮かび上がりました。中小・零細企業故の課題も少なく ありません。支援機関や行政機関への要望も多岐に亘っています。企業と一体となった取り組みが 不可欠といえます。 本資料が、海外展開している企業やこれから検討する企業、支援策を検討している自治体や支援 機関の海外展開支援の一助となれば、幸いに存じます。 本調査に、多忙な中ご協力頂きました企業、支援機関、行政機関の担当者の皆様には、心より感謝 申し上げます。 [留意点] ①取りまとめた内容については、調査時点の情報であり、現時点では異なっている可能性があります。 ②ヒアリングに協力して頂いた沖縄県内企業21社は、沖縄を拠点に活動し、物品の輸出、飲食店 の出店等多様な海外展開の内容が把握出来るよう留意しました。また、ヒアリングは、会社代表者や、 海外展開実務を担当している方に伺いました。 内閣府沖縄総合事務局 総務部 調査企画課 振興企画官 目 次 調査概要編 …………………………………………………………………………………… 1 本編 1.海外展開企業事例(企業ヒアリングから) (1)平成26年度企業ヒアリング ……………………………………………………… 16 ①海外展開に取組んでいる企業 …………………………………………………… 17 ・株式会社アイ・ラーニング ・うるまバイオ株式会社 ・オキコ株式会社 ・沖縄明治乳業株式会社 ・拓南製鐵株式会社 ・株式会社マブイストーン ・琉球黒糖株式会社 ②海外展開関連企業 ………………………………………………………………… 32 ・琉球通運株式会社 ・株式会社Resorz (東京在の海外展開関連企業) (2)平成25年度調査ヒアリング(平成25年度調査報告書から) ……………………… 38 ・沖縄特産販売株式会社 ・沖縄ハム総合食品株式会社 ・株式会社オキネシア ・有限会社オフィスりょう次 ・オリオンビール株式会社 ・金秀バイオ株式会社 ・株式会社シャイニーボールホールディングス 株式会社 ャイ ディ ・株式会社白石 ・有限会社水耕八重岳 ・タイガー産業株式会社 ・株式会社トリム ・株式会社パラダイスプラン ・八重山殖産株式会社 2.海外展開支援について (1)沖縄県内の主な海外展開支援機関 ……………………………………………… 66 (2)主な海外展開関連会議等 ………………………………………………………… 69 (3)自治体の海外展開支援の取組(大阪市の事例から) …………………………… 73 (4)沖縄と香港の経済交流 …………………………………………………………… 76 (5)沖縄県内の海外展開関連ビジネスマッチングイベント …………………………… 77 3.海外展開の課題について(現状調査) (1)外国人観光客(インバウンド)向け観光と沖縄県産品PRの状況 ………………… 79 (2)海上物流の現状、課題、支援状況 ………………………………………………… 83 (3)海外展開に取り組む企業の認証(承認)制度、海外企業の財務情報 …………… 89 (4)県内金融機関のL/C(信用状)の取扱状況 ……………………………………… 92 4.輸出における国内手続きについて ……………………………………………… 93 5.統計資料 ……………………………………………………………………………… 99 調 査 概 要 編 調査概要 1.調査方法等 (1)調査方法 本調査は、平成25年度調査『県内企業の海外展開における現状と課題 ~事例紹介~』 をベースに、当局で把握している沖縄を拠点に海外展開に取組んでいる企業の代表者や 実務担当者、及び公的支援機関等に対し、当局職員がヒアリングを実施し海外展開事例を 取りまとめたものである。 なお、大阪市や東京都の事例については、企業ヒアリング等から得られた情報を基に実施 した。 (2)調査時期 ①平成25年度調査・・・平成25年11月~平成26年3月 沖縄県内企業13社、公的支援機関、沖縄県 ②平成26年度調査・・・平成26年10月~平成27年4月 沖縄県内企業7社、県内物流企業1社、県外企業1社、県外自治体、 公的支援機関 調 査 方 法 平成26年度調査 『沖縄県内企業の海外展開にかかる現状と課題 ~事例紹介~』 沖縄県内企業ヒアリング(25・26年度) 県外企業ヒアリング(26年度) 沖縄県内支援機関ヒアリング(25・26年度) 県外自治体調査(26年度) 県内現状調査(関係機関ヒアリング) 平成25年度調査 沖縄県内企業 ヒアリング(13社) 輸出手続の流れ(25年度) 統計資料 『県内企業の海外展開にかかる現状と課題 ~事例紹介~』 沖縄県内支援機関 ヒアリング 輸出手続の流れ 課題・要望 26年度追加 企業ヒアリング (県内企業、県内物流企業、 県外企業) 26年度追加 支援機関ヒアリング 26年度追加 県内の現状調査(関係機関ヒアリング) 県外自治体調査 1 (3)調査対象及び主な海外展開対象国 【沖縄県内企業の海外展開概要】 調査 年度 企業名(五十音順) 主な商品等 海外展開対象国 26 株式会社アイ・ラーニング 日本語学校、算数(珠算)教室、 台湾、ベトナム 学校教材 うるまバイオ株式会社 26 (H27年3月末沖縄事業撤退) フコイダン、健康食品、化粧品、 台湾、香港、韓国、アメリカ合衆 飲料ドリンク 国 26 オキコ株式会社 菓子類、乾めん類 香港、台湾、マレーシア 25 沖縄特産販売株式会社 菓子類、シークヮーサー飲料、 モズク・玉ねぎ加工食品等 台湾、香港、シンガポール、中 国、タイ、アメリカ合衆国、ヨー ロッパ 25 沖縄ハム総合食品株式会社 食肉加工品、レトルト・冷凍食品、 香港、台湾、シンガポール 健康飲料、黒糖、紅芋関連商品 26 沖縄明治乳業株式会社 アイスクリーム(アイスバー) 25 株式会社オキネシア カルシウム原料「ラグーン」、 カーブチー由来の香水「UTAKI」 台湾、フランス(欧州) 等 25 有限会社オフィスりょう次 居酒屋(ラーメン)「りょう次」 カナダ 25 オリオンビール株式会社 オリオンビール 台湾、香港、シンガポール、中国、 アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリ ア、ニュージーランド、マレーシア、 タイ、インドネシア、ロシア等 25 金秀バイオ株式会社 健康食品(アガリクス、フコイダ 台湾、香港、シンガポール、インドネ ン、ウコン関連等)、もろみ酢、青 シア、韓国、中国、ロシア、マレーシ ア、ベトナム、フィリピン 汁等 25 株式会社シャイニーボール 浄水装置システム「MJTシステ ム」、浄水器 ホールディングス 台湾 ベトナム、韓国、香港、フィリピン 25 株式会社白石 通信販売サイト「沖縄如意百貨 商店」運営(沖縄県産品等) 中国 25 有限会社水耕八重岳 ゴーヤー茶 台湾、香港 2 【沖縄県内企業の海外展開概要】 調査 年度 主な商品等 企業名(五十音順) 海外展開対象国 25 タイガー産業株式会社 建築資材、ごみ収集用コンテナ 中国(工場)、香港(貿易会社) 26 拓南製鐵株式会社 ビレット、鉄筋「ネジテツコン」 台湾 25 株式会社トリム 多孔質軽量発泡資材(軽石 「スーパーソル」)、製造プラント 台湾、中国、ベトナム、タイ、バヌ アツ、ニュージーランド 25 株式会社パラダイスプラン 製塩「雪塩」 台湾、香港、オーストラリア、 ドイツ 26 株式会社マブイストーン 放送番組コンテンツ 「琉神マブヤー」 等 マレーシア、シンガポール 25 八重山殖産株式会社 クロレラ粒及び粉末 イギリス、オランダ、ドイツ、オーストリア、 スイス、スウェーデン、スロベニア、カナ ダ、アメリカ、メキシコ、オーストラリア、 ニュージーランド、中国、韓国、マレーシ ア、シンガポール 等 26 琉球黒糖株式会社 加工黒糖「チョコっとう。」 等 加工黒糖「チョコっとう。」 等 香港、中国、韓国、シンガポール 香港、中国、韓国、シンガポ ル 【海外展開関連企業概要】 調査 年度 企業名 業務内容 26 琉球通運株式会社 (沖縄県) 小口混載輸送サービス「コミコミ輸出うちなー便」 株式会社Resorz(リソーズ) 26 (東京都) ・海外進出支援プラットフォームサービス「Digima~出島~」の 運営 ・マンガアニメ動画制作サービス「MANGAnimation(マンガニ メーション)」 3 2.調査結果概要 (1)企業ヒアリング結果概要 海外展開のビジネス態様は、沖縄県内で製造した製品を輸出し現地小売店やコンビニ店で 販売する事例や、海外で製品を製造する事例など、現地企業と何らかの連携をしていることが 多い。 物流面では、ANA沖縄貨物ハブ事業を利用する企業が増えてきている。一方海上物流に おいては、小口貨物対応として輸出混載輸送サービスを提供する事業者もある。 海外展開のきっかけは、企業代表が海外視察を通して見識を深めたり、社員の海外留学等 での人的なつながり、海外企業での勤務経験、商社との連携が挙げられた。 (ヒアリング概要は本編P16~ に掲載) ※太字の項目については、本編において現状調査を行った。 ①海外展開の態様 【地域資源の活用】 製造業については、沖縄の農産物や地域資源を活用した食品、飲料、健康食品を 製造している。コストを抑える観点から、原料や材料を輸出し海外で製品化する事例がある 【コンビニとの連携】 食品製造に従事する企業が海外に進出しているコンビニエンスストアと連携し、企 画商品を海外に輸出、現地のコンビニ店で販売している 【海外企業との連携】 食品製造に従事する企業が海外の物産展に出店する他、海外企業と連携し食品 を製造、また海外企業の日本代理店となり商品を販売している 【ハラル認証】 食品製造に従事している企業が、ムスリム向けの市場を開拓するため、ハラル認証を受けた 【環境関連、ODA】 環境関連企業が、沖縄県内の廃材を利用した製品を、また海外勤務で培った技術 を用いた製品を海外に輸出している。また、海外進出の足掛かりとしてODA(政府開発援助)を利用 【建築資材製造業】 鋼材を製造している企業が、半製品(ビレット)を輸出している 【海外工場】 建設資材関連の製造卸売業を行っている企業が、県内・国内工場に加え海外に工場を設立 【インターネット通信販売運営】 中国銀聯オンラインショッピングモール内に沖縄店が開設され、県内企 業が運営。銀聯カード会員向けに沖縄県産品が出品され販売されている 【飲食店店舗開設】 サービス業に従事する企業が、海外において居酒屋及びラーメン店をオープン。沖 縄からの留学生等の情報交換の場、イベント開催などの拠点の場としての役割を果たしている 【放送番組コンテンツ】 キャラクターを用いた放送番組コンテンツを海外に輸出、併せて関連商品を販 売。また、コンテンツ販売をきっかけに相手国のテレビ局と連携し、沖縄を舞台にドラマを制作している 【学習塾の海外展開】 海外で日本語学校や算数(珠算)教室を設立、日本の授業をインターネットにより 海外に配信、一部は準備を進めている 【外国人技能実習制度】 海外展開事業と併行し、外国人技能実習制度を利用。沖縄県内企業で外国人 を雇用する事例がある 4 【小口輸送サービス】 沖縄県内の運送業者による、輸出量が小口の場合に対応した輸出混載輸送の パッケージサービスがある 【東京在の海外展開関連企業】 東京在の民間企業が、海外プラットフォームを運営し、電話やメールに より海外展開に関する相談に対応し、相談に応じ提携企業を紹介している 【その他】 沖縄県内企業(製造業)が本土企業や商社へ商品を販売した後、本土企業や商社によって海 外に輸出されている事例がある。沖縄県内企業の商品が海外展開されている形となっている ②海外展開のメリット 【企業PR】 海外展開事業がメディアに取り上げられることにより、企業のPRに繋がっている 【リスク分散】 食品製造業においては、海外市場の販路を持つことで、売上増加や工場稼働率の向上な ど国内市場の変化に左右されにくくなる等、経営上のリスク分散が図れる 【在庫管理】 食品製造業においては、海外に輸出することで商品の在庫管理がし易くなり、廃棄リスクを 減らすことが可能となる 【社会貢献】 環境関連製品の場合、海外展開を行うことで相手国の生活の質が向上するなどの社会的な 貢献が期待される 【雇用確保】 建設業においては、人件費が費用の半分以上を占め、工期も重要。海外工場の開設により 建設資材の供給が工期に沿って計画通り行われることとなり、結果、建設業者の雇用の確保に繋がってい る 【アジアへの距離】 沖縄は日本の他地域と比べ、アジアへの距離が短いことから、輸出の地理的メリット がある 5 ③海外展開の課題 【沖縄の知名度】 香港やシンガポールでは世界中から商品が集まってきており、日本の産地間競争と なっている。 沖縄の知名度が浸透していないことから、商品の紹介前にまず沖縄の紹介を行う必要があり、時間とコ ストがかかっている ⇒本編3.(1)外国人観光客(インバウンド)向け観光と沖縄県産品PRの状況 【船便に対する補助】 ANA沖縄貨物ハブ事業にかかる補助事業が実施されているものの、船舶輸送 にかかる補助は少なく、輸送料金等の経費は企業に負担感がある ⇒本編3.(2)海上物流の現状、課題、支援状況 【中城湾港から那覇港への陸送】 中城湾港には船の定期便が入っておらず仮倉庫も設置されていな いことから、中城湾港新港地区工業団地に立地する企業は製品を那覇港に陸送しなければならない状 況にあり、コスト増となっている ⇒本編3.(2)海上物流の現状、課題、支援状況 【運賃と港使用料】 沖縄発の船便の運賃が高い。また、那覇港の使用料が日本全国の港と比較しても割 高感がある 【中城湾港工業地域内の通行】 工場から港の西埠頭へ製品を運ぶ際に公道を通ることから、車両への 製品の積み替えが必要となり、非効率である 【屠畜場】 牛肉の輸出の際、相手国の認可する屠畜場(選定工場)が必要であるが、沖縄に認可屠畜場 がなく、本土(鹿児島県)の屠畜場で処理せざるを得ず、効率が悪い上、輸送コストもかかっている 【賞味期限】 加工黒糖を中国に輸出した際に、数カ月間税関に留め置かれることがあり、輸送にかかる 日数もあることから、店頭で販売されるには賞味期限が短くなるという問題がある 【成分表示】 健康食品等を輸出する際には、ジェトロのHPにより成分表示が公表されているものの、基本 的なものであり、実際には更に細かい成分表示に対応しなければならない 【L/C】 沖縄において、輸出のためのL/C決済(信用状)を直接取り扱う地方銀行がない ⇒本編3.(4)県内金融機関のL/C(信用状)の取扱状況について 【語学】 語学の堪能な人材が不足。商談は通訳を介し順調に進んでも、その後の詳細を詰める段階で外 国語が話せず商談が成立しなかった事例がある。また、海外からの問合せに対応できず、ビジネスチャン スを逃している事例もある 【知的財産権】 アジアにおいて、DVDソフト商品の知的財産権に対する認識が低く、コピー商品が出 回っている 【商社との取引】 商社を介した場合に、相手国企業との橋渡し迄は行うが、後は企業任せとなり、アフ ターフォローまで入らないことがある 6 ④海外展開への対応・要望 【沖縄貨物ハブの補助】 ANA沖縄貨物ハブ事業関連の補助の継続を望む声が多い 【海上(低温)輸送への支援】 低温輸送のニーズはあるが、輸送コストが割高になることがある。 また、輸送費を商品に価格転嫁せざるを得ない状況があることから支援が必要 ⇒本編3.(2)海上物流の現状、課題、支援状況 【外国人観光客に対する沖縄県産品PR】 沖縄及び商品の海外での知名度を上げるためには、観光と タイアップし、沖縄へ来る外国人観光客(クルーズ船)に対し、商品の試食会やプロモーションの場を設 ける等の取組が有効と思われる。 更に沖縄の認知度が上がることで観光に訪れる外国客の増加が見込まれる等のシナジー効果が期待 される ⇒本編3.(1)外国人観光客(インバウンド)向け観光と沖縄県産品PRの状況 【沖縄の情報発信】 海外においては沖縄の情報が少なく知名度が低いが、国によってはインターネット 環境により沖縄の情報を得るのが難しい状況がみられる。 沖縄の情報を容易に得られるような仕組みを構築したり、「クール・ジャパン」のような沖縄のコンテンツ を紹介するようなイベント開催が必要である ⇒本編3.(1)外国人観光客(インバウンド)向け観光と沖縄県産品PRの状況 【公的な認証制度】 行政側から企業に対し、この企業は信用に足る企業であるとするお墨付きの証明 書の発行があれば、相手国側も信用し事業活動がし易くなる ⇒本編3.(3)海外展開に取り組む企業の認証(承認)制度、海外企業の財務情報 【財務情報】 海外企業のデータや財務情報が手軽に入手できる仕組みがあれば展開がし易い ⇒本編3.(3)海外展開に取り組む企業の認証(承認)制度、海外企業の財務情報 【行政と企業との連携】 日本や世界の産地間競争が起こっている中では、日本の他の自治体の事例 のように、企業単独で海外展開に取り組むのではなく、行政と企業が連携して取組むほうが効果が大き い ⇒本編2.(3)自治体の海外展開支援の取組(大阪市の事例から) 【琉球人材】 海外展開には人材の確保が不可欠。万国津梁の掛け橋となった沖縄の先人達のDNAを、 現代にも生かしていくべきである 【見本市等】 海外での展示会や見本市について、例えば健康食品関係については、健康関連の展示会 への出店等、専門分野に特化した展示会へ力を入れるのも商品の知名度を上げるためには有効。 また、展示会での出店自体が目的化しイベントへの参加のような状態で終わる場合があることから、確実に 商談につなげるための効果的な展示場所や展示方法等を考えていく必要がある 【輸出手続書類】輸出の際、相手国がどういう書類が必要なのかを調べるのに苦労していることから、相手 国の輸出手続等の情報が容易に入手できるようになればありがたい 【相談窓口】 海外展開に関する行政の相談窓口が多く、たらい回しになったこともあったため、窓口が 一本化されれば相談がしやすい ⇒本編2.(1)沖縄県内の主な海外展開支援機関一覧 7 (2)支援機関等ヒアリング結果概要 企業の海外展開を支援する機関が、支援する中で得られた海外展開への留意点、企業への アドバイスを整理した。 ○平成25年度 ①海外展開の留意点 【沖縄の食品・農産物】 温暖な気候であるアジアでは、沖縄の農産物と競合し易い(マンゴー、パイナッ プル)。また海外から見て、「沖縄の食品といえば○○」というイメージが定着していない。沖縄の食品や農 林水産物を展開するにあたっては、戦略的に国や地域ごとに絞り込む必要があると思われる 【原料の安定供給】 食料品や農産物の輸出について、原料が不足することがあり、安定的な供給が難し い 【チームでの取組】 香港やシンガポール市場等は、世界中のメーカー商品で氾濫している。その様な市 場への売込みには時間や工夫が必要である。 特に香港市場は日本産商品(地域特産品)の一位の輸出先であることから産地間競争が激しく、売場の 確保や販路の確保について販売促進費(広告宣伝費・プロモーション・棚代)を量販店側から求めるケー スが増えているのが現状である。海外展開する上で、物流コスト低減や商談件数を増やすためにも、メー カー個別ではなくチームとして商流を行うと共に、信頼性の高いジャパンブランドとして売込む必要がある と考える (沖縄はブランドとして認知度はまだまだ浸透しておらず、段階を踏んでブランド訴求する事が必要である) 【商標】 中国を始めアジア諸国においては、商標などに関して予め(輸出と同時に)登録しておくことが重 要。ニーズがあると認められる商品等を先に商標登録するケースが多く、商標の販売をビジネス化する事 業者も多い 【海外の販売員】 海外で県産品を販売する店舗において、沖縄のことや商品知識を理解した上で販売す る店員は少ない。直に海外の顧客に販売する販売員に対しての商品の優位性や特徴など、セールストー クを伝授することや、沖縄を知るための勉強会の開催や、沖縄へ招待し実際に現地を見てもらう等の取組 みが重要 【パッケージ、ネーミング】 高級感のあるパッケージや縁起が良いと思われるネーミングも重要。 また、日本では問題ないネーミングでも、海外では印象の悪い言葉(響き)になる場合がある ②企業の課題・注意点 【商習慣・商流】 現地の商習慣や商流について、メーカー側の勉強が必要。東南アジアや香港市場等 は、県産品のターゲット市場として限られたニッチ市場(富裕層)であることから、商流については注意が必 要である。継続的な取引を行うためにも、「ワンアイテム・ワンサプライヤー」が望ましい。(サプライヤーの積 極的な販売展開を期待) 当機関の事例ではないが、複数のサプライヤーと取引をして混乱(マーケットでのバッティングやダンピン グ)を招いたケースがあると聞いている 要因として、同じ商品を現地卸2社以上経由で販売することで価格競争が始まりメーカー側が価格引下 げに対応できなくなる。現地卸の本気度がなくなるということがある 【語学力】 海外展開する企業において、語学力を有する社員が存在するか否かで取引拡大に大きな影 響があるため、語学力堪能な社員の雇用や人材育成が必要 【ビジネスパートナー】 現地にネットワークを持つ、信頼できるビジネスパートナー探しが重要 【企業意識】 国内での販売実績をこのまま海外へ持ち込む感覚の企業がおり、コスト高から上手くいかな いケースがある。また、自社で製造した商品の海外展開を支援機関等に全面的に任せるような(商品を提 供するのみで良しとする)意識でいくと上手くいかない。 また、生活習慣や文化の違いなどで想定しない使用・活用方法もあることから、現地での事前のマーケ ティング・リサーチは重要。意識の高い企業は、商品を用意するのみならず、どう売っていくか、どう企業と タイアップしていくか、売り方の提案まで行っている 【企業意識】 公的機関の高率補助をあてにして、海外展開を軽く考えている企業がいる。海外ビジネスへ の意識を高く持つことが成功への鍵である 8 ③現地企業等との交渉・商談 【交渉の継続】 企業側が海外企業との商談に消極的な場合があり、沖縄でのイベントや海外での見本 市に出店し海外バイヤーとの商談のきっかけをつかんだにもかかわらず、その後のビジネスにつなげら れなかったケースが多い。途中であきらめず交渉を継続していくことが必要である 【貿易実務】 交渉時の課題として、展開を行う国(地域)の関税や物流コスト等を予め把握しておくこと が重要。スピードを求める海外バイヤーに即答できるよう、貿易実務を身につけ、予め予定価格等用意 することも重要。(支援機関は、企業間の直接の商談交渉の場に入っていない) 【スピード感】 バイヤーは時間が限られていることから、連絡が取れない等対応が遅いと直ちに次の企 業に移り、ビジネスチャンスを逃してしまうこともある。スピード感を持って的確に対応することが重要であ る 【ストーリー】 海外市場では、値段が高くても購入するケースがある。商品についてのこだわりや製造過 程でのストーリーをバイヤーにも解りやすく説明することは有効的である ○平成26年度 ①企業支援の課題 【沖縄の支援メニュー】 沖縄の行政における海外展開の支援は、香港、台湾などアジア中心であり、ア ジア以外の国への支援が少ないことから、支援メニューが活用できない事例もある 【相手国政府機関との交渉】 北米への海外展開に取組んでいる沖縄県内企業について、企業の製品 が高く評価されたことから商談を継続中であるが、商談を進めるにあたり相手国の政府機関と交渉をする ことがある。相手国の政府機関との交渉に、沖縄の中小企業1社のみでは対応が難しい。 相手国の政府機関との交渉が入る場合には、沖縄の行政側が同行してもらえれば商談も進めやすい と思われる 【人材育成】 相手国側と商談する上で、人材不足により商談全体をマネジメントできる人材が不足して いる。また、相手国側の人材を従業員として雇用する場合に、外国人を使いこなせる人材も不足してい る ・海外において会社を設立した沖縄県内の企業から、現地従業員(外国人)を沖縄に呼び研修するに当 たっての公的支援についての相談があった。関係機関に照会したが、本ケースにおいては、外国人に 対しての助成や、支援は適用できないとの回答があり、支援できなかった 外国人の雇用を希望する企業のニーズは増えてきていることから、今後行政側の支援の必要性が高 まってくるものと思われる 【輸出規制】 ヨーロッパのある国で開催された物産展において、沖縄の企業提供の農水産物を紹介 しようと試みたが、当該農水産物が輸入禁止されていることが分かり、計画が頓挫したことがある 【支援策全般】 現在の支援策の中には海外展開企業の現状にそぐわないものもあり、企業の相談ニー ズに充分に対応できないことがある。 沖縄全体で海外展開に取組んでいくのであれば、最初の取組みから最後までのAtoZの大まかな展 開の流れを作り、支援策を活用し易いプラットフォームをつくる必要があると思料する。 また、沖縄の貿易を支援する、貿易公社のような機関をつくるのも展開の一つの方法ではないかと思 われる 【広告宣伝費】 広告費に対する支援策はあるが充分ではないため、更に拡充する必要がある 【海上物流】 貿易における物流は、世界的な流れとしては基本的に船舶を用いているが、沖縄におい ては、海上輸送よりも航空輸送に対する支援が手厚いのが現状である。船のコンテナ等への支援につ いても、より拡充する必要がある 9 3.行政、公的機関の支援状況について 平成25年度及び26年度調査において、企業より、企業と行政や公的機関と一体化した 海外展開への取組や、相談窓口の一本化についての要望があったことから、行政の支援 状況について調査した。 (本編 P66~ に掲載) (1)沖縄県内の海外展開支援機関(相談窓口)一覧(順不同) ・独立行政法人日本貿易振興機構沖縄貿易情報センター(ジェトロ沖縄) ・公益財団法人沖縄県産業振興公社 ・株式会社沖縄県物産公社 ・独立行政法人中小企業基盤整備機構沖縄事務所 ・沖縄県よろず支援拠点 ・独立行政法人国際協力機構JICA(ジャイカ)沖縄 ・沖縄振興開発金融公庫 ・那覇港管理組合 ・一般社団法人沖縄県発明協会 ・沖縄県商工労働部国際物流商業課 ・沖縄県農林水産部(流通・加工推進課、糖業農産課、畜産課、水産課等) ・那覇市経済観光部(商工農水課) ・内閣府沖縄総合事務局経済産業部(商務通商課・国際室、地域経済課) ・内閣府沖縄総合事務局農林水産部農林水産物等輸出相談窓口 (2)主な海外展開関連会議等 沖縄県内の行政機関が、経済団体や民間企業、及び支援機関と会議等を主催し、海外展開 への取組を検討・推進している。 会 議 等 名 称 主催、事務局 沖縄県アジア経済戦略構想策定委員会 沖縄県商工労働部産業政策課 沖縄国際物流戦略チーム 沖縄県商工会議所連合会 内閣府沖縄総合事務局開発建設部 沖縄地域農林水産物等輸出促進協議会 内閣府沖縄総合事務局農林水産部 沖縄国際ハブクラスター推進会議 沖縄国際ハブクラスター推進会議事務局 (一財)南西地域産業活性化センター 内閣府沖縄総合事務局経済産業部 10 (3)自治体の海外展開支援の取組(大阪市の事例から) 平成25年度調査において、大阪市と民間企業が連携してベトナムへの海外展開を進めて いる旨の情報があったことから、先進地事例として大阪市にヒアリングを実施した。 (ヒアリング結果概要は本編 P73~に掲載) 併せて、経済産業省近畿経済産業局が、経済団体やジェトロ等と設立した「関西ベトナム 経済交流会議」や、ベトナムとの経済連携枠組協力文書の締結等についてレポートに掲載 した。 調 査 先 ヒアリング内容 大阪市経済戦略局 ・大阪市のビジネスパートナー都市交流事業(BPC事業) 大阪市が関西経済連合会と連携し、アジアの13都市とパートナー シップ協定を締結 ・海外展開支援プロジェクト(OBDI)事業 海外展開に取組む中小企業に対し、専門家派遣等の支援を実施 大阪 水環境ソリューション 大阪市、大阪府、関西経済連合会、企業等が連携し、大阪の環境 機構(OWESA) 行政で培った技術を活用し、ベトナムにおける海外展開活動を実施 (4)沖縄と香港の経済交流 ・平成26年8月、沖縄県は香港貿易発展局(HKHDC)と覚書(MOU)を締結した。 ・平成20(2008)年10月、特定非営利法人日本香港協会は「全国連合会」を発足。全国9番目 の地方支部として「沖縄日本香港協会」を設立。会長に、國場幸 の地方支部として「沖縄日本香港協会」を設立。会長に、國場幸一沖縄県商工会議所連合会 沖縄県商工会議所連合会 会長が就任。事務局を那覇商工会議所内に設置している。 (5)沖縄県内の海外展開関連ビジネスマッチングイベント 沖縄においては、経済界が行政、公的支援機関等と連携し、海外展開を促進するための ビジネスマッチングイベントを開催している。 沖縄県内の主なビジネスマッチングイベント イ ベ ン ト 名 オキナワベンチャーマーケット 沖縄大交易会 「万国津梁大異業種交流会」 運 主催:オキナワベンチャーマーケット運営事務局 営 ((株)OKINAWA J-Adviser内) 主 体 共催:(公財)沖縄県産業振興公社 等 11 主催:沖縄大交易会実行委員会 ((公財)沖縄県産業振興公社内) 創設会員:沖縄県、沖縄懇話会 4.海外展開の課題 平成25年度及び平成26年度調査において、企業や支援機関へのヒアリングにより得られた 課題や要望をピックアップし、現在の状況について関係機関へのヒアリング等の調査を実施 した。 その他、商談後語学の問題で対応できず成約を逃している事例、海外ビジネスに対応可能 な人材不足の事例が挙げられている。今後の取組としては、企業側においては外国人を含む 語学の堪能な人材の雇用、公的研修制度(万国津梁産業人材育成事業等)の利用が挙げら れる。また、行政と連携し、商談から成約までのフォローアップ体制の構築、外国人観光客向け 通訳アプリケーションの応用等、ICT技術を活用した対応の検討などが考えられる。 ○課題、要望(平成25・26年度)に対する現状調査(関係機関ヒアリング結果概要) (1)海外展開関連相談窓口の一本化 (本編 P66~) ・沖縄県内の海外展開にかかる相談窓口は、自治体や国の機関、公的機関等多岐に渡って いる ・平成26年に経済産業省中小企業庁が設置した「沖縄県よろず支援拠点」においては、企業 からの海外展開関係の相談をはじめ中小企業の諸課題へのアドバイスや、関係機関への 橋渡し等のワンストップサービスを行っている (2)外国人観光客(インバウンド)向け観光と沖縄県産品PRの状況 (本編 P79~) ・船会社からの県産品販売の要望もあり、クルーズ船ターミナルにおいての県産品販売は 試験的に実施されているが、外国人観光客の沖縄滞在時間が限られており土産品等の 購入時間が短いこと、海外にも輸出可能な商品かどうかの確認が必要であること等の課題 がある。 平成26年10月より、免税品の対象が従来免税販売の対象となっていなかった消耗品 (食品類、飲料類、薬品類、化粧品類その他の消耗品)を含めたすべての品目が新たに 免税対象に拡大された。更に、平成27年度から、クルーズターミナル内においての免税店 出店制度が整備される等、県産品販売に向けての環境整備が整いつつある ・沖縄県内の自治体が、関係機関と連携し、海外において観光と物産のPR活動を行っている ・那覇空港国際線ターミナルにおいて、外国人観光客向けの沖縄県産品を扱った店舗を開設 ・外国人観光客向けの、沖縄の伝統文化を取り入れたナイトエンターテインメントの利用は コンテンツの充実が望まれる ・県内の飲食店においては、外国語表記や、メニュー表示が不充分であることから、外国人 観光客にとって利用しづらい状況がみられる ・本土大手量販店や、コンビニエンスストアに外国人観光客が流れている状況がみられる 12 (3)海上物流の現状、課題、支援状況 (本編 P83~) ・那覇港のコンテナ取扱量は全国15位(平成25年度)であるが、沖縄発のコンテナの約半分 が空となっており、貨物量の増加が課題 ・沖縄県産品の主要輸出先である香港への船便のリードタイムが20日となっており、リード タイムの短縮が課題 ・那覇港においては、コンテナ貨物輸送に対する補助、ガントリークレーン、国際コンテナ ターミナル及び総合物流センターの整備等が進められている。 平良港や石垣港においても、ターミナル等の整備が進められている ・平成26年度より、関係機関や船社等の取組により、沖縄から台湾等への航路が新規開設 された。また、県内自治体が国の事業を利用し、沖縄本島北部から東京大阪の主要港まで の実証実験が開始されている 【平成26年度新規開設路線】 船会社名 開設路線 琉球海運株式会社 那覇港 → 台湾高雄 南西海運株式会社 那覇港 → 台湾高雄 南西海運株式会社 中城湾港 → 平良港 → 石垣港 【平成26年度実証実験】 船会社、自治体名 実験路線 南日本汽船株式会社、中城湾港運株式会社 中城湾港 → 鹿児島志布志港 ※平成27年度より定期航路化 本部町(沖縄北部連携促進特別振興事業費) 本部港 → 東京航路、阪神航路 ※継続中 (4)海外展開に取り組む企業の認証(承認)制度、海外企業の財務情報 (本編P89~) ・日本の企業に対する行政等の承認(認証)制度は現在ないが、中小企業庁 『中小企業白書』 においては、民間の支援機関に対して政府が何らかの「お墨付き」を与えることで中小企業 のニーズに応えるなど、民間との効果的な連携の模索についての記載がある ・海外企業の財務情報については、ジェトロや民間企業が情報の提供や調査を行っている。 また、政府系金融機関((独法)日本貿易保険(NEXI))においては、貿易保険加入者を対象 に、取引先の調査を行っている事例がある (5)県内金融機関のL/C(信用状)の取扱状況 (本編 P92) ・沖縄県内金融機関においては、輸入に比べ輸出のL/Cの取扱は少ないものの、5年程前 から徐々に増えてきている。業務提携しているメガバンクに手続を依頼することもある 13 本 編 1.海外展開企業事例(企業ヒアリングから) (1)平成26年度企業ヒアリング ①海外展開に取組んでいる企業 (7社) ・株式会社アイ・ラーニング ・うるまバイオ株式会社 ・オキコ株式会社 ・沖縄明治乳業株式会社 ※平成27年4月ヒアリング ・拓南製鐵株式会社 ・株式会社マブイストーン ・琉球黒糖株式会社 (五十音順) 平成25年度調査に引続き、平成26年9月~平成27年3月の間※、海外展開に取組んでいる 企業に対し、海外展開の状況や課題等についてヒアリングを行った。 (ご対応者の役職名はヒアリング時点当時のものである) ○ヒアリング事項 ①海外展開対象国名 ②海外展開用製品等 ③海外展開状況 ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 ⑥現地の法律、規制等の対応状況 ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 ⑨運送に関して(コスト、所用時間等) ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上高、経常利益(前年との比較可) ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ⑬その他(行政に対する要望) 16 株式会社アイ・ラーニング 企業名 株式会社アイ・ラーニング 本社所在地 浦添市城間1丁目2番1号 事業内容 学習塾、予備校、幼児教育 ご対応者 加納滋徳代表取締役社長、泉川寛秀総務部課長、小川宣長TOYO協同組合 沖縄支部開発準備室担当 ①海外展開対象国名 台湾、ベトナム ②海外展開用製品等 学校、学校教材 ③海外展開状況 ・2013(平成25)年、台湾に、当社を含む日本企業3社及び台湾企業1社で合弁会社及び日本語学校 を設立。台湾に教室(スタジオ)を設置し、日本での授業を、インターネットを活用し台湾の学校に配 信している。合弁会社の比率は、台湾企業が51%、残る49%を3社で出資している ・2015(平成27)年に、ベトナムに、沖縄(日本式)の算数教室をインターネットで配信するため現 在準備中である。 教育事業においては教材が重要であることから、当社オリジナルの算数教材を開発した。 2015年1月に、ベトナムの教育関連会社と業務提携しホーチミン市に現地法人を設立予定で、4月よ り事業を開始する予定である。 今後は、ベトナムを始めとして、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシアにも進出していきた いと考えている ・TOYO協同組合(所在地・東京都江戸川区平井4丁目7番16号)と連携し、外国人技能実習制度を利 用しベトナムの現地日本語教師を沖縄でトレーニングする事業を準備中。 ・また、同実習制度によりベトナム人を沖縄県内の企業(建設業及びホテル業)で雇用する準備を進め ている。1社で3名の雇用が可能で、生活関連の費用は企業側が持つこととなる。 沖縄では観光客が増加しているが、ホテルのビルメンテナンス関係の対応が不足してきており、特に清 掃係が足りないとのことである。外国人観光客向けの料理を提供する店も少ない。いずれはアジアから 沖縄へ人材を派遣し、沖縄の観光業の人材不足の解消に尽力したい (※平成27年度に入り、ベトナム人を受け入れる県内企業が3社決定した。検討中の企業も他に複数 あり、3社の受入状況を見て決めるとのことで、今後更に受入企業が増える見込みである。また、他の 企業からは、介護分野での外国人受入の要望が増えてきている。今後法律の整備がなされた場合は、介 護分野での受入企業も増えていくものと思われる) ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 ・加納滋徳社長がアメリカの大学に在籍していた頃の学友が、現在台湾の大学の教授となっている。同 教授のつてもあり、台湾企業と連携し日本語学校を設立することに決めた ・2010年頃から海外進出のチャンスを伺っていたが、加納社長の知合いの公認会計士がジェトロの担 当者を紹介してくれるなど、ベトナム進出への背中を押してくれた。 ベトナムは、日本と時差が2時間しかなく、沖縄から5時間で移動できる。また、日本の企業がベトナ ムにおいて橋や道路などのインフラ整備をしていることから喜ばれており、日本に対して良いイメージ を持っている ・海外では日本式の教育マーケットはまだ小さいが、ベトナムでは公文式(㈱日本公文教育研究会・本 社大阪市)の教室が進出しており、日本の教育関係の海外進出では先駆者である。ホーチミンやハノイ 等で47校を展開している。あと5年~10年では日本式の教育マーケットがかなり普及していくので はないかと考えている。 ベトナムでは4~5年前にそろばんブームが起きており、そろばんに対する関心は高い。沖縄ではそろ ばん10段の技能者が261人おり、日本全国でもそろばん人口が最も多くレベルが高いことから、日本 式のそろばんがアジアにも普及できるのではないかと考えた 17 株式会社アイ・ラーニング ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 ジェトロの支援で市場調査を行った ⑥現地の法律、規制等の対応状況 ベトナムは日々決まりごとが変わっていく国であり、契約が守られないことがある。日本の常識は通用 しないということを念頭に置きながら海外事業を進めている ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 加納社長のネットワークを活用。調査費等でジェトロの支援を受けた ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 元々、当社は東京の予備校の授業(代々木ゼミナール)を沖縄の教室にDVDで配信する事業を行って いる。このノウハウを応用し、台湾の教室にサテライトスタジオを設置し、インターネットを活用し日 本語の授業を配信している。 ベトナムにおいても、沖縄のそろばん塾と提携し、ベトナムの学校にそろばんの授業をインターネット 配信する準備を進めている ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上高、経常利益(前年との比較可) 台湾の日本語学校は2年目を迎えるが、軌道に乗ってきており売上も伸びている ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・海外展開関係の調査費用はジェトロより助成があるが、調査のための人件費は当社で負担する必要が ある。何カ月かの雇用でも、数百万円の固定費がかかっている。海外進出のための資金は常に必要な状 況である ・そろばんは習得するのに一定期間練習が必要であるが、ベトナムを始めとするアジアでは「そろばん はすぐ身に付くもの」という意識を持たれている。習得にはある程度の時間が必要であることを理解し てもらう必要がある ⑬その他(行政に対する要望) これまで海外事業については、ジェトロの支援を受けてきた以外は、当社のネットワークを活用しなが ら独自で進めてきた。 行政機関より資金面などの支援を受けたいが、窓口が多いことからどこに相談に行っていいのか分から ずたらい回しになったりすることがあった。海外事業関係の相談窓口が一本化できれば、企業が様々な 相談をし易くなると思われる 18 うるまバイオ株式会社 企業名 うるまバイオ株式会社 本社所在地 沖縄県うるま市字州崎13番33 (国際物流特区産業集積地域内) 事業内容 フコイダン抽出製造、健康食品の開発・製造・販売、沖縄特産品の開発・製 造・販売 ご対応者 与那城拓己生産管理課長 ①海外展開対象国名 台湾、香港、韓国、アメリカ合衆国 ②海外展開用製品等 フコイダン、健康食品、化粧品、飲料ドリンク ③海外展開状況 ・2007年に国際物流拠点産業集積地域(旧沖縄特別自由貿易地域)に工場を建設、操業開始 ・2010年より、モズクからフコイダン含有の健康食品等を台湾に輸出開始。フコイダン配合の飲料ドリ ンクを韓国に輸出した。定期的にではなく、スポット的に輸出している ・モズクは季節変動があり、供給量が不安定であることから、伊是名島など沖縄県内複数の地域から調達 している ・2年前までは台湾に隔月のペースで、フコイダン飲料を出荷していた。現在は台湾企業に対し、スポッ ト的にフコイダン(飲料ドリンクの原料)を出荷している ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 近年、オキナワモズクから抽出されたフコイダン等の沖縄素材が日本全国のみならず世界にも認められ、 注目を浴びている。当社と、琉球大学等学術機関との研究により、フコイダンが健康や美容に有効である ことが学術的にも証明された。フコイダンを利用した健康食品や化粧品等を、沖縄から国内外に発信しよ うと考えた ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 ・ジェトロ主催の海外の展示会等に出展し、来場者の反応をみる ・日本国内に支社を持っている海外企業と連携し、マーケティング調査等を行っている ⑥現地の法律、規制等の対応状況 ・通関については運送業者に任せており特に問題はない。輸出手続については自社で英文の書類を作成し ているが、書類は一度作成すれば後は同じ要領で作成すればよいので、郵便や宅急便の伝票を書く程度の レベルであり、ハードルは高くない ・法規制等については、取引先の企業と連携し対応している ・韓国については放射能検査の証明書の提出の必要があり、沖縄県内の検査機関に依頼し証明書を発行し てもらっている ・化粧品は、種類ごとに相手国に申請が必要である。 韓国や中国は、国内においては1品目あたりの検査及び申請にかかる費用は約30万円だが、日本からの申 請は倍の60万円の費用がかかる。申請から承認までの期間も1年を超えることから、現地法人に依頼し検 査を行っている ・韓国は、中国と同様にカプセルで加工した健康食品の輸出が難しい。フコイダンの原料を供給するほう が輸出がし易い ・中国においてのサプリメント販売には、各省ごとに申請が必要となる ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 ・日本国内に支社を持っている外資系企業と連携 ・沖縄県より、国際物流拠点産業集積地域制度の助成を受け、商品出荷のための運賃等の補助を受けてい る ・ジェトロからは、展示会出展等のサポートを受けている ・沖縄県産業振興公社からは、海外渡航費等の助成を受けた 19 うるまバイオ株式会社 ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 韓国や中国においての化粧品の検査を、現地法人に依頼している ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) ・国際物流拠点産業集積地域の入居企業に対する、運賃の補助制度を利用。日本国内及び国外への輸送に 対し、航空便及び船便の半額の助成があり、四半期ごとに沖縄県に申請している ・輸出する国により、船便、飛行機便を使い分けている。台湾には船便を利用 ・沖縄航空貨物ハブは利用していない ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 ・英文表記の当社ホームページを作成してから、海外からの問合せが増えている。しかし、語学に堪能な 社員がおらず、問合せに対応できずその後が続かなかったことがある ・タイからも引き合いがきている ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上高、経常利益(前年との比較可) ・海外分の売上は、当社全体の売上高の5%程度である ・2010年の輸出開始時より売上は半減している(数百万程度) ・日本国内で、外国人観光客に対する土産品としての売上は好調である。ラオックス(LAOX)の一部店 舗に当社商品を置いている。沖縄:東京の売上比率は1:5である。中国人観光客にとっては沖縄はあく までも東京等への通過点であるという感覚を持っており、東京等の大都市の免税店や量販店をまわり購入 しているのではないかと思われる ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・苦労したことは人材。語学の堪能な人材が不足している。海外の商談会では、商談の場では盛り上がる ものの、その後の調整が語学の問題で対応できず続かない ・中国との取引においては、英語が堪能な日本人を雇っても、相手企業の中国人担当者が日本人を信用し ておらず相手にされないことがあった ・中国での交渉には中国人同士が進めやすいことから、以前、当社で中国人を雇い、売上も上がるように なったが、次第にトラブルが増えたことから続かなかった ・海外進出の際に商社を介した場合、商社は相手国企業と繋ぐことはするが、あとは会社任せになりフォ ローが入らないということがある ・成分表示・・・ジェトロのHPにより成分表示が公表されているものの、基本的なものであり、実際には更 に細かい成分表示に対応しなければならない ⑬その他(行政に対する要望) ・商談会に精通し、後のアフターフォローまで対応可能な人材が必要である ・企業の海外事業に対応できるような外国人の人材育成をし、沖縄県内の企業に紹介するようなしくみを 作っていただけると助かります。 ※平成27年3月31日、うるま市の工場を閉鎖。沖縄からは事業撤退した 20 オキコ株式会社 企業名 オキコ株式会社 本社所在地 西原町字幸地371番地 事業内容 パン、和洋菓子、めん、サンドウィッチ・中食の製造販売、 菓子、食品の仕入れ販売 ご対応者 仲田龍男代表取締役社長、當間明弘常務取締役営業本部長 ①海外展開対象国名 香港、台湾、マレーシアにおける展示会出展 ②海外展開用製品等 菓子類、乾めん類 ③海外展開状況 ・約5年前より㈱沖縄県物産公社と連携し、香港、台湾で開催される沖縄フェアにおいて出品されてい る沖縄県産品(菓子類「紅いもころころ」、乾めん類「オキコラーメン」)を提供している ・平成26年、琉球銀行が主催しマレーシアにおいて開催された食品展示会に、沖縄物産として菓子類を 出品した ・アメリカの食品製造会社リグレイ社の日本総代理店となり、同社のガムを販売している。(香港、台 湾に工場がある)リグレイ社の取り扱う菓子の種類は多いが、含有成分の関係で日本に輸入されるのは 一部商品(板ガム等)となっている。リグレイ社によると、日本向けに製品をつくるには、成分を変更 しなければならない等、ハードルが高いとのことである ・約30年前より、アメリカの食品会社ローマンミール社とライセンス契約を受け、全粒粉(ホールグレ 約30年前より、アメリカの食品会社ロ マンミ ル社とライセンス契約を受け、全粒粉(ホ ルグレ イン)の食パン「麦のめぐみ 全粒粉入り食パン」を製造、販売している。 ローマンミール社がアジア展開事業を開始した際に、日本においても地区ごとにライセンス契約を結ん だ。原料となる麦はローマンミール社から送られており、同社の提供した製法を用いて製造する。売上 げは販売促進費に活用される。ローマンミール社との契約会社は、関東地区の山崎製パン株式会社、中 部地区の敷島製パン株式会社(昭和47年よりオキコ㈱と技術提携)などで、沖縄地区については当社と 契約している ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 沖縄県物産公社や、取引先である琉球銀行より、海外で開催される沖縄物産展への出品の打診があった ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 香港は関税はかからないが、台湾は関税がかかるため、商品の価格に転嫁する必要がある。また、輸出 手続きや輸送には日数がかかるため、当社の日配品(パン・めん類)の輸出は難しいと考えている ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 沖縄県物産公社、沖縄企業連合、琉球銀行と連携している ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) ・輸出手続や海外への輸送は、沖縄県物産公社等の支援機関に任せている ・西原町の工場で製造し、那覇に自社倉庫があり陸送している。海外への輸送は沖縄県物産公社が行っ ているが、沖縄貨物ハブで空輸していると思われる。西原から那覇までの陸送については、日々、日配 品を工場から那覇まで陸送していることから、海外輸出用の商品についても輸送上の問題は特にない 21 オキコ株式会社 ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 自社HPについて、英語表記のHPをつくるかどうか検討中である ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上高、経常利益(前年との比較可) ・海外についての出店は5年前から行っているが、定番化には至っておらず、海外部門での売上はこれ からといったところである ・リグレイ社の商品については主に板ガムを取り扱っており、日本の店舗に商品を置いているが、日本 国内では粒ガムが主流となっていることから苦戦している ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット 当社は沖縄県内での日配品の製造販売(パン類、めん類等)を事業の主力としている。海外での沖縄物 産展に出品しているが、本格的に輸出を行うには現状ではハードルが高いと感じる。決済や支払関係で も、代金が回収できないなど県内企業のトラブルの事例も聞いており、相手国側の信用できるパート ナーづくりが必要である。また、関税や、輸送費(沖縄貨物ハブ)等を考慮するとコスト増となること から、現状では海外展開を進めるには課題が多いと思われる ⑬その他(行政に対する要望) ・沖縄に観光に来る外国人観光客が年々増加していることから、沖縄県産品のPRを行うチャンスであ る。以前、那覇クルーズ船ターミナルに、当社商品を販売できないか照会したが断られたことがある。 ターミナル内で、クルーズ船の外国人観光客に沖縄県産品をPRする場があれば、沖縄県産品の更なる 販路拡大につながると思われる ・当社は、パン製造部門では平成47年より敷島製パン㈱(愛知県)と業務提携をしている。菓子製造部 門では 県外ではぼんち㈱(大阪府大阪市)や 三立製菓㈱(静岡県浜松市) 沖縄県内は ブルー 門では、県外ではぼんち㈱(大阪府大阪市)や、三立製菓㈱(静岡県浜松市)、沖縄県内は、ブルー シール㈱(アイスクリーム)、㈱上間菓子店(梅菓子「スッパイマン」)等と連携している。また、本 土企業と連携し、食品の卸売(問屋)事業を行っている 平成26年、当社と洋菓子製造販売のエーデルワイス㈱(大阪市)が共同出資してエーデルワイス沖縄 ㈱を設立した。エーデルワイスはシークヮーサーや黒糖などの沖縄の特産品や、年々増加する沖縄観光 客に注目し沖縄進出を決めた。現在、那覇市内で2店舗を展開しているが、売上高は当初予想よりも多 く、工場はフル稼働の状況にある ・日本各地の物産を沖縄に集め、アジアへ輸出する動きがあるが、引続き沖縄県産品への支援について もお願いしたい。海外においては、沖縄の黒糖や紅芋は品質が良いと評価されている 22 沖縄明治乳業株式会社 企業名 沖縄明治乳業株式会社 本社所在地 浦添市牧港1-65-1 事業内容 ○牛乳、加工乳、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、清涼飲料水、醗酵 乳、プリン、ゼリー等の製造・販売 ○市乳製品、アイスクリーム製品の仕入販売 ご対応者 村田紳取締役営業本部長、仲田和男営業部部長、宮城裕介営業部企画課 係長 ①海外展開対象国名 台湾 ②海外展開用製品等 アイスクリーム(アイスバー) ③海外展開状況 2014年、㈱沖縄ファミリーマートと共同企画した商品(「ファミリーマートコレクション」)である アイスバー(シークヮーサーバニラバー、チョコもち)を、沖縄県内のファミリーマートで販売すると 共に、台湾ファミリーマートにて販売。 ・台湾にはファミリーマートを含めたコンビニエンスストアは約1万店舗展開されているとのことであ る ・エムアンドビー株式会社(出資比率:沖縄明治乳業㈱51%、ブルーシール㈱49%)工場でアイス バーを製造、出荷している。台湾側の業者によると、今回輸出した商品のような、例えばバニラとシー クヮーサー、チョコと餅のような、複数の異なる食材を組み合わせてアイスをつくる技術を持つ工場 は、台湾にはないとのことである ・台湾の食品にかかる関税がかかることと、台湾への輸送費分のコストを商品に価格転嫁していること から日本での価格より割高となっているが、台湾では好評で売れている。2015年以降は、定番化する 方向で進めている ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 元々、台湾や香港で㈱明治の商品を展開しており、2007年より明治乳業㈱(当時)の商品を台湾ファ ミリーマートで販売開始していたことから、商流が確立されていた。当社の商品を台湾で販売するにあ たっても、㈱明治の商流を活用した ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 2013年、自社製品(シークヮーサースティック、きなこもち)を台湾ファミリーマートでテスト販売 したところ、好評であったことから、台湾への展開を決めた ⑥現地の法律、規制等の対応状況 台湾の問屋と提携しており、現地での対応をしてもらっている。㈱明治のサポートも受けている。当社 においては栄養成分表を準備し台湾宛て提出するなどの対応を行ったが、これまで通関で止められたこ とはなく、特に問題はなかった ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 ㈱明治等、国内企業と連携している 23 沖縄明治乳業株式会社 ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) ・台湾への輸出に際しては、20フィート冷凍コンテナを利用。約2000ケース分の商品を積みこみ、船 便にて輸送している。那覇港管理組合より、沖縄県産品の海外への輸出で、一度にこれほどの量を那覇 港から輸送することは中々ないと言われている ・物流業者に輸送・輸出手続及び輸送を依頼している ・沖縄明販㈱(沖縄明治乳業の関連会社)にて冷凍コンテナに積み込んだ後は、台湾の倉庫に到着する まで開封することはない ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上高、経常利益(前年との比較可) ・2014年の販売開始後、4月から10月の7カ月間で計2000万円の売上額となっている ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・メリットとしては、販売の市場が海外に広がることで、更なる売上が見込まれる ・輸出を行うことで、沖縄県内の倉庫に保管している商品の在庫をなくすことができ、保管料がかから ないというメリットもある ・台湾展開においては、既に㈱明治による実績もあり、商流も既に出来上がっていたので、特に問題は なかった。 台湾は沖縄に近いことから認知度も高く、沖縄に対するイメージも良い。また、台湾の問屋及び台湾 ファミリーマートの社員は日本語が話せるので、意思疎通の中で少々のニュアンスの違いはみられるも のの、当社側で外国語を話したり通訳を入れる必要がなく、言葉の問題は特にない ⑬その他(行政に対する要望) ⑬ 他(行政 対す 要 ) ・当社の商品は、輸送するのに冷蔵施設が必要であるが、航空機には冷凍設備がなく、商品の品質が変 異する可能性があり空輸することができない ・海上物流費(コンテナ代、船便の運賃)についての補助が必要である。現状では、物流費のコストを 商品価格に転嫁せざるを得ない状況があり、価格も高くなっている。物流費の負担が減ると、商品価格 もより安く抑えることが可能になる ・那覇港からのコンテナ代の補助については、前回輸送時と比較しての貨物増加分に対しての補助はあ るが、新規での輸送については該当しない。新規での輸送についても物流費の補助があれば、新たに海 外展開に取組む企業が増えていくと思われる 24 拓南製鐵株式会社 企業名 拓南製鐵株式会社 本社所在地 那覇市字壺川3丁目2番地4(拓南ビル3F) (新中城工場:沖縄市海邦町3番26) 事業内容 異形棒鋼(鉄筋)、軟鋼線材(釘、ワイヤーメッシュの原料)等の製造 (各種異形棒鋼/普通丸棒鋼/軟鋼線材/バーインコイル/異形コイル /ネジテツコン/消石灰/生石灰/スラグ/シルバー鉄筋/高強度異形 棒鋼/パワーリング785/T-コンフープ) ご対応者 八木実常務取締役、松井太郎営業部課長 ①海外展開対象国名 台湾 ②海外展開用製品等 ビレット、鉄筋(ネジテツコン) ③海外展開状況 当社は沖縄県内(一部県外)からの鉄スクラップを利用し鉄筋を製造している。 工場では約23万トン/年の鋼材を製造しており、そのうち約1万4千トン/年の鉄筋を鹿児島に出荷し ている。 当社工場で鉄筋を製造する過程で生産された半製品のビレットを台湾の単圧メーカーに向け輸出してい る。輸出量は在庫や市況、為替状況により異なるが、多い時で約3万トン/年となっている。 今期(平成26年度)は約6千トン/を台湾に向け輸出した。台湾の市況低迷と、中国の高炉メーカーに よる需要を無視した過剰生産による中国産鋼材の価格下落に伴い、前年と比べ出荷数量は落ち込んでい る。 ビレット以外には、平成26年より、東京鉄鋼株式会社との業務提携により鉄筋に付加価値を付けて製造 した「ネジテツコン」を本土商社を介し、スポット的に台湾へ輸出を開始した。(日系ゼネコンが携 わっている台湾の大学建設に使用している) 通常の鉄筋をつなぐ際に溶接・圧接を行うため、溶接・圧接資格を持つ職人が必要となる。ネジテツコ ンは、形状がネジ状になっており、カプラーと呼ばれる機械式継手を回して鉄筋同士をつなぐことがで きる付加価値のある鉄筋であり、溶接・圧接資格のない人でも簡単に作業を行うことができる。 海外展開事業はこれからといったところであり、本格的に進めるのであれば、海外で製造していないよ うな付加価値のある鉄筋の輸出が有効であると考える。平成25年に安治川鉄工株式会社他と沖縄コー テック株式会社を設立し、エポキシ樹脂粉体塗装鉄筋の製造(日本国内向け)を開始するなど、新製品 の開発には力を入れている。 然しながら、特に東南アジアにおいては「安かろう、悪かろう」の世界で鉄筋の品質よりもコスト重視 の傾向が強く、高付加価値、高価格製品のニーズはまだ少ない。また、ネジテツコンについても、扱い が比較的簡便なことから人手不足に対応可能というメリットを持つ鉄筋であるが、東南アジアの労働力 コストを鑑みると、メリットを活かせないという現状がある。 ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 ビレットの輸出を開始したのは昭和57年度からであるが、本格的に輸出し始めたのは平成10年度以降 となる。 台湾は電力事情が良くなく、当地でスクラップからビレットを製造すると電気代がかかりコスト高とな るが、ビレットを輸入することによりそのコストを抑えることができるため、ビレット使用へのニーズ がある。 当社では、ビレットを再加熱し鉄筋を製造することも可能ではあるが、生産の全体効率や市況を鑑み、 ビレットの状態での輸出が優位と判断した場合、ニーズのある台湾へ出荷している。 ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 三井物産スチール株式会社を始めとした商社と連携、またセミナー等に出席し海外情報の入手を行って いる ⑥現地の法律、規制等の対応状況 台湾向けについては、ビレット、ネジテツコンともに放射線関連の証明書が必要。また、ビレットを輸 出する際に使用する枕木については燻蒸処理するよう義務付けられている。(燻蒸処理は他社に委託し ている) 25 拓南製鐵株式会社 ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 ビレットの輸出については主に三井物産スチール株式会社、東京鉄鋼と技術提携しているネジテツコン については株式会社メタルワンと連携している。公的機関からの支援も受けている。 ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 輸出を行っている本土商社と連携している。 ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) 輸出用の製品は原則FOB(港渡し)となっている。ビレットは商社の手配するチャーター船を利用し中 城湾港から輸出している。輸出量は一度に約6千トン。 ネジテツコンは那覇港へ陸送し、南西海運株式会社が週に一回運航している定期船にて輸出している。 (平成26年度実績は約1千6百トン) ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上高、経常利益(前年との比較可) 平成25年は、約1万8千トンのビレットを輸出し、9~10億円の売上げがあった。例年、市況により売 上げは変動しており、前年比で1/3といった状況である。 海外への輸出に係る売上高は、会社全体の売上高の7~8%程度である ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット 沖縄は本土と比べ、台湾を始めとした東南アジアへの距離が短く、製品を輸出する際に地理的なメリッ トがあると認識している。 反面、海外情勢や市況に左右されている面もある。例えば、中国においては、好景気により鋼材を増産 したが、その後中国国内の景気の一服感がみられるようになっても減産は行わず、台湾、韓国等のアジ アを始めとした世界中へ安値の鋼材が流れており、円安のメリットを差し引いても、価格的な面で輸出 環境は芳しくない。 ⑬その他(行政に対する要望) 中城湾港においては、6千トン級の大型船が入ることのできるバースの整備が必要である。バースの整備 が進むことで、現在チャーターしている船が入港するスペースの確保が可能となる。(現状では、一度 の多数の大型船が停泊できないこともあり、出荷に支障が生じることがある) また、当社中城工場は中城湾新港地区内に立地しており埠頭まで目の前の距離にあり近いものの、製品 を埠頭に運ぶ際に公道を通らなければならないことから、製品の積み替えが必要であり非効率である。 また、西埠頭と現在整備中の東埠頭の間は公園緑地により分断される形になっており、両埠頭の行き来 が不便である。 工業地区は国際物流拠点産業集積地域にも指定されており、立地する企業にとって、中城湾港からの出 荷が効率的となるような港湾整備が必要であると思料する。 平成26年より南西海運株式会社が中城湾港より週に一便、宮古・石垣向けの運航を開始した。今までは 那覇港まで陸送していたため、宮古・石垣向けに出荷を行っている当社を始めとした、中・北部の会社 にとってはコスト面で非常に大きなメリットを享受している。 沖縄へ移入・輸入される貨物が多い半面、移出・輸出される貨物が少ない「片荷輸送」が長年の課題と なっている。よく「にわとりが先か卵が先か(貨物の増加が先か港の整備・航路開拓が先か)」と言わ れているが、貨物の増加を待って航路開拓を行うのではなく、船会社や荷主双方との話合いにより、ど のように貨物を増やすか知恵を出し合うことで、今回の宮古・石垣便のような航路の新規開拓につなが ることとなる 26 株式会社マブイストーン 企業名 株式会社マブイストーン 本社所在地 豊見城市豊崎1-411 豊崎ライフスタイルセンターTOMITON内 事業内容 キャラクター商品の企画・開発 ご対応者 古谷野裕一代表取締役 ①海外展開対象国名 マレーシア、シンガポール ②海外展開用製品等 放送番組コンテンツ(TVシリーズ『琉神マブヤー』、マレーシア版『琉神 ジュワラー』、ドラマ『沖縄恋物語(邦題)』) ③海外展開状況 ・『琉神マブヤー』のマレーシア版『琉神ジュワラー』をマレーシアにおいて制作。マレーシアの地上波 放送において2014(平成26)年1月から第1シーズン放送開始。同年11月に第2シーズン放送終了。 ・マレーシア国内での視聴率は、キッズ部門で1位、ドラマ部門で2位と好評だった ・マレーシアにおいてドラマ『沖縄恋物語(邦題)』制作、マレーシアの衛星テレビ局(アストロ)に販 売。2015(平成27)年8月放送予定。沖縄ロケを実施し、沖縄出身の俳優(尚玄)を主演に起用。7 月より番組のPRを開始する予定となっている ・『沖縄恋物語(邦題)』では、ベナスタス㈱の石鹸(ラ・クッチーナ)と、沖縄特産販売㈱のシー クヮーサージュースとコラボレーションし、マレーシア番組で視聴者プレゼント等で紹介できないか交渉 中。また、日本の旅行会社(㈱JTB)と連携し、沖縄ツアーができないか交渉中である ・当社は、2通りのビジネスモデルで海外展開に取組んでいる。 当社は、2通りのビジネスモデルで海外展開に取組んでいる。 ①日本(沖縄)国内で制作した番組をベースとして、海外版を制作(ex『琉神ジュワラー』) ②日本(沖縄)国内で制作した番組を、台詞の吹き替えを入れる等加工し海外向けに販売 ①か②方式で番組を制作後、番組関連商品を販売する等、ライセンスビジネスを進めていく計画で海外展 開を進めている ・マレーシアはサトウキビ栽培の盛んな「砂糖王国」であり、チョコレート菓子製造等の番組関連商品の 販売が見込めることから、『琉神ジュワラー』の関連グッズをつくる計画で、当初はマレーシアの製造 メーカーにあたってみたが、多民族国家ならではの問題が生じている。『琉神ジュワラー』はマレーシア の公用語であるマレーシア語で制作されている。マレーシアにおいては、政府はマレー人が多いが製造 メーカーは中国系の華僑が多く、華僑は通常英語や中国語を話しマレー語の番組を見ないため、番組に対 する理解が得られず商品化が難しい状況にある。首都クアラルンプールでは主に英語が使用されており、 番組の続編をつくるのであれば、英語版に変更するかどうかといったところである ・『琉神ジュワラー』の続編を制作するにも制作費が必要になることから、現在はイオンマレーシアに対 し、グッズ制作について交渉しているところ ・シンガポールの放送番組は、隣接するマレーシア南部でも見ることができることから、今後はシンガ ポールでの展開も考えている ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 2010(平成22)年、香港国際映画祭に併設の香港フィルマートが開催された際、沖縄コンベンション ビューロー(OCVB)内にある沖縄フィルムオフィスのブースに『琉神マブヤー』を出展した。 近くにマレーシアブースがあり、日本のテレビ局の紹介で『琉神マブヤー』を見たマレーシアの担当者よ り、マレーシア版『琉神マブヤー』制作の打診があった。当初はシンガポールも展開の視野に入れていた が、物価(人件費)が高いことから、シンガポールの市場圏内にあり、物価が安いマレーシアでの制作を 決めた ⑥現地の法律、規制等の対応状況 ・マレーシア政府の知的財産権に対するチェック機能が甘く、中国語の字幕が付けられた『琉神マブ ヤー』の海賊版を政府が許可してしまうケースがみられる。マレーシア以外でも、中国上海や北京で、D VDの販売やレンタルされているのを見たことがある ・番組関連グッズのコピー品(例えばTシャツ等)は、まだ出ていないようである。Tシャツにしても、 まず生地を仕入れる必要があり、コストがかかる。コピー業者からは、摘発される可能性を考えるとグッ ズのコピー商品はハイリスクであるとみなされている。関連グッズに比べ、DVDは安価でコピーし易い ことから出回っている状況である 27 株式会社マブイストーン ・アジアにおいては、自動車、工業製品等については知的財産権の対策意識が高いが、番組コンテンツの ようなソフト商品に対しては意識が低い ・番組コンテンツは工業製品と異なり、商標登録等の対策では、番組タイトル一つであってもそれぞれの 国の言語(例えばタイ語、中国語)での登録が必要となるため、出願費用も手間もかかる。国家間の条約 により、1つの国に出願すれば条約締結国に有効となる出願もあるが、条約に加盟していない国は適用さ れずどうしても抜け穴が出てくる ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 ・マレーシア進出の際は、FS調査等で中小企業基盤整備機構の支援を受けた ・『琉神ジュワラー』制作にあたっては、読売テレビの小会社である読売テレビエンタープライズと連携 し、総務省の支援を受けた。制作費5000万円のうち、3000万円を総務省からの交付金、残る2000万 円を、当社と読売テレビ側でそれぞれ50%の権利を持ち折半して負担した。(読売テレビとの連携は、 古谷野社長のネットワークを活用) ・『沖縄恋物語(邦題)』の制作には、OCVB(沖縄フィルムオフィス)から2000万円の出資を受けて おり、番組の沖縄ロケ地の手配などの支援を受けた ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 番組制作に当たっては、マレーシアの政府機関(日本でいえば文部科学省にあたる)から、国内テレビ局 (地上波の政府系テレビ局「メディアプリマ」)を紹介してもらう等の支援があった。 当初は、マレーシアより制作資金提供の話も出ていたが、『琉神マブヤー』がアニメーションではなく実 写(特撮)であることから、マレーシアでは実写映像番組は馴染みがないという理由で出資は見送られ た。(マレーシアにおいては、「ドラえもん」「NARUTO -ナルト-」など日本のアニメーションが放送 されており、人気があるとのこと) ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 ・日本国内においては『琉神マブヤー』をインターネットで配信中であるが、海外向けには配信していな い ・『琉神マブヤー』の漫画コミック版が秋田書店(『チャンピオン』)から出ており、大和田秀樹氏版 『琉神マブヤ 』の漫画 ミック版が秋田書店(『チャンピオン』)から出ており、大和田秀樹氏版 (同氏作の「ガンダム」のコミック版がアジアで人気)が人気がある。ストーリーは作家のオリジナル で、当社は原案・監修を行っており、インターネットで購入することも可能である。タイにおいてはタイ 語版のコミックが発売されている ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上高、経常利益(前年との比較可) 『琉神ジュワラー』はこれまで数千万円の売上があったが、制作経費もかかっているため、とんとん、と いったところ。番組販売のみでは厳しく、次の関連商品の販売等、ライセンスビジネスにつなげていくこ とが重要である ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・番組製作資金の捻出に苦労した。また人材が圧倒的に不足しており、古谷野社長一人で、番組制作や関 連商品の制作や交渉を一手に行わなければならない状況にある。2014年は国外での活動に比重を置いて いたため、国内活動が手薄になってしまった ・メリットとしては、海外に新しいビジネスを起こすことができた。また、海外事業をきっかけに、国外 で関連商品として菓子類等を製造し輸入するなど事業拡大の可能性がある ⑬その他(行政に対する要望) ・マレーシアの人口の60%がムスリムであるため、沖縄の食のPRが難しい。『マレーシア恋物語』の 沖縄ロケでも、ムスリムであるマレーシアの俳優は沖縄の豚肉等を使った料理が食べられず自炊してい た。ムスリムへの食の提供にはハラルへの対応が必要となるが、現在のハラル対応は厳格なムスリム向け のものであり、ハードルが高いと思われている面もある。ムスリムの中でも、信仰や戒律に温度差がある ・沖縄への観光客誘致のためには、現地に沖縄をPRすることが重要だが、PRのために『琉神ジュワ ラー』などの番組コンテンツを活用することは有効である ・今後は、マレーシア向けの沖縄の旅番組を制作したいと考えており、観光客向けに沖縄のカジキ釣りな どの釣りレジャーを取り上げた番組も有効ではないかと考えている。魚であればムスリムも食べられるこ とが出来ることから、富裕層にPRすることができるのではないかと思われる 28 琉球黒糖株式会社 企業名 琉球黒糖株式会社 本社所在地 糸満市西崎町4丁目16-19 事業内容 加工黒糖の製造・販売 ご対応者 與座範裕代表取締役社長 ①海外展開対象国名 香港、中国、韓国、シンガポール(スポット的輸出) ②海外展開用製品等 加工黒糖 ③海外展開状況(ハラル認証について) ・㈱沖縄県物産公社等の商社と連携し、香港に黒糖を出荷している。シティスーパーで沖縄物産展が開 催された際に当社の黒糖を出している。当初は売上げも良く、毎月1回は香港に出張し対応していた が、次第に売上が落ちてきており、現在は渡航回数も年3回程度となっている。当社が店舗の様子を見 ながらてこ入れが出来れば良いのだが、香港への渡航費もかかることから、沖縄県内の店舗のようには いかないのが現状である ・中国においては、トンガン(広東省東莞市)に設けられている日本物産展示場(楽座(RA-KUZA)の 中に沖縄物産スペースを借り、中国出身者の経営する日本商社を通じ当社製品を置いている ・台湾は黒糖を食べる習慣があるが、中国は元々黒糖を食べる習慣はなく、お茶に黒糖を入れて飲む程 度で、「食品・菓子」というよりも、「栄養剤」といった認識があるようである ・韓国には、2カ月に1回のペースで商品を輸出している ・平成26年10月、当社製品がハラル認証を受けた。当社の黒糖製品はアルコールを使用していないこ とから、ISO認証よりはハードルは高くなかった。現在20アイテムが認証されている ・当社の工場のロットがハラル認証を受けていることから、商品のみに対する認証とは異なり、認証さ れたロットで製造された商品であれば、認証機関であるNPO法人日本アジアハラール協会に原料を記 載した書類を提出するのみでハラル食品の認定が受けられる ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 ・黒糖は以前に比べ若い人が食べなくなり、年配者が購入することが多くなったことから、国内での販 売が鈍化している状況にある。かつてはNHKドラマ「ちゅらさん」の沖縄ブームにより黒糖の売上げが 伸びた時期もあるが、2001年の9.11テロの影響による沖縄への観光客の減少と共に、黒糖の売上も減 少した。現在は沖縄の観光客は増えているものの、観光客は黒糖は購入せずハイチュウなど別のお菓子 を買っていく。このような状況の中新たな販路を海外に求めようと、㈱沖縄県物産公社と連携し香港や シンガポールなどの海外展開に取組んでいる ・中国と韓国は、国家間の政治的事情もあり、海外展開が以前に比べ難しい状況となっている。そのた め、次のステップとして、ムスリム向けのハラルの認証を考えた。当社と取引のある、のり製品でハラ ル認証を受けた愛知県の食品問屋(永井海苔)からの勧めもあった ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 沖縄県物産公社と連携し、デパート等の物産展に出展し売上状況や客の反応をみている。売上や経費等 を検討し、販売するかどうか決定している ⑥現地の法律、規制等の対応状況 相手国により、含有成分や香料等に規制がある場合があり、沖縄県物産公社を通じて対応している 29 琉球黒糖株式会社 ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 ・沖縄県物産公社より通訳を手配してもらう等、海外展開の支援を受けている。ジェトロの支援も受け ている ・沖縄県(沖縄県産業振興公社)からは、沖縄貨物ハブを利用した際の渡航費や旅費等の助成を受けた ・ハラル認定においては、取引先である永井海苔のハラル認証を参考としており、琉球銀行の支援助成 を受けている ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) 沖縄から製品を輸送する上では、燃料費と売上高との兼ね合いを考慮している。ロットが少ないとコス トとの兼ね合いが難しくなるので、多くの商品を製造する必要がある ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 ・国内においては、インターネット販売に対応しており、月20万円の売上げがあるが、当社に英語対応 のできる人材がおらず、英語等のホームページについてはこれからといったところである ・中国の通信販売会社から当社宛てに引き合いが来ており、現在交渉中である。また、ベトナムやボリ ビアより、沖縄県系人を通じた引き合いも来ている ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上高、経常利益(前年との比較可) ・香港においての事業開始当初は、年間約2000万円の売上があったが、現在は約300万円に減少して いる ・中国トンガンでの売上は、年間約100万円程度である ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・苦労したことは、第一に言葉の問題である。 以前、シンガポールの商談会に出展した際、日本アジアハラール協会のサイード理事の仲介で、現地企 業と商談し交渉するに至った。商談会の後、後日細かい調整のため現地企業から当社に電話があった が、言葉の問題で対応できず最終的に商談が成立しなかったことがある。なお、当商談会には高知県の 食品会社(アイス)も出展していたが、英語対応が出来たことから商談は即成立していた ・第二は、賞味期限である。 当社製品は賞味期限を10カ月程度としているが、中国においては3~4カ月間税関に留め置かれること があり、輸送にかかる日数もあることから、店頭で販売されるまでには賞味期限が短くなるという問題 がある ・メリットとしては、海外に販路を拡げることで、黒糖の廃棄リスクを減らすことができる。また、海 外における黒糖の知名度が上がると共に、沖縄の物産への認知度も上がっていくこととなる ⑬その他(行政に対する要望) 今後も、東京ビックサイトの「フードマーケット」などの国内での展示会や、海外で開催されている商 談会等に積極的に出展し、海外販路拡大に努めていきたい 30 ②海外展開関連企業 海外事業に取組んでいる企業を物流面から支援している企業と、企業のニーズに合った サポート企業や専門家の紹介やセミナー等を行っている、東京在の民間企業に対しヒアリング を行った。 (ご対応者の役職名はヒアリング当時のものである) ・琉球通運株式会社(物流面からの支援) ・株式会社Resorz (リソーズ:東京在の海外展開関連企業) 32 琉球通運株式会社 【沖縄県内企業の海外展開を物流面から支援】 企業名 琉球通運株式会社 (英記/RYUKYU FREIGHT FORWARDERS) 本社所在地 那覇市港町4丁目3番地9 事業内容 一般貨物自動車運送業/外航第一種利用運送業/引越・梱包業/倉庫業/内航運 送取扱業/内航第二種利用運送業/納品代行業務/冷蔵倉庫業/産業廃棄物収集 運搬業/設営・設置業務/通関業 ご対応者 嘉数欽哉ソリューション事業部部長、藤崎圭介国際物流課主任通関士 ①海外進出支援概要 ・昭和36年に設立、昭和47年の本土復帰時に県内で初めて本土~沖縄間の混載サービスを開始した ・輸出に取組む沖縄県内企業に対し、集荷、梱包、通関、船積み手続等の支援を行っており、平成26 年に第一種外航利用運送業を取得し、輸出企業への物流面でのサポートを行っている ○通関サービス・・・輸出入通関、各官公庁への申請手続き(食品申請・減免税申請、動植物検疫)を輸 出者に代わって行う他にも、税関やジェトロとの事前相談などを通じて輸出全体のプランニングにも 携わる ○フォワーディングサービス・・・那覇港から海外の各港にコンテナ、又は小口貨物を混載して輸送す る。特に混載便ではパッケージサービス『コミコミ輸出うちなー便』を提供している ○倉庫・物流センター・・・那覇港湾エリアに倉庫3棟、糸満西崎にも倉庫1棟を配置しており、この他 に衛生管理された食品専用物流センターとして定温・低湿物流センター 低温流通センターを整備 に衛生管理された食品専用物流センターとして定温・低湿物流センター、低温流通センターを整備。 特に低温流通センターは保税倉庫として国内外の商品を取り扱っている ・航路があれば世界中どの港にも輸送するが、中でもアジア、米国向けの取り扱いが多い。そのほか 定期的な取引であれば、取引先国の物流業者と連携し新たな物流経路の構築も行う ②輸出混載サービス『コミコミ輸出うちなー便』について ・平成25年より、輸出混載輸送のパッケージサービス(『コミコミ輸出うちなー便』)を開始し、次 のような顧客のニーズに対応している。 1. 海外進出の過渡期にあり、少量の取引が多い 2. エアー便から、比較的コストのかからない海上輸送へのシフトを検討している 3. 輸送スケジュール(納期)と輸送費を明確にし、商談をスピーディーに行えるようにしたい 4. 輸出に掛かる手配業務をワンストップ(窓口の集約)で行いたい ・輸出混載サービスは那覇港から直接海外へ、または横浜・大阪・神戸・福岡港へ転送し、最も費用 効果の高い経由地を選択し輸出するサービス。 ・料金には輸出通関・取扱料・国内転送料・海上運賃が含まれており、35,000円~(1㎥/1TONあ たり)と定額となっている。集荷・梱包・海上保険もオプションで追加できる 輸出混載サービス「コミコミ輸出うちなー便」の流れ 那覇CFS、那覇港 大阪・福岡港他 33 台湾基隆/香港、他世界主要港 琉球通運株式会社 ③現地の法律、規制等の対応状況 当社のサービスを利用された企業様より輸出先国の通関や輸送に関するお問合せを頂くことがあり、 そのような場合は提携先や物流業者同士のネットワークを通じて入手した情報をご提供させて頂いて いる。 近年では、各国の港湾事情や法律令の改正による通関トラブル(輸入出来ないなど)等もあり、その ような情報は精力的に収集するように心がけている ④国内、海外においてのネットワークの活用方法 海外の物流業者の代理店として輸入貨物を取り扱っている関係を活かし、海外向けの輸出に関しても ネットワークの構築を進めており、これと並行して木材の熱処理業者と提携し輸出木材こん包の申請 を予定している ⑤インターネットの活用状況 弊社ではホームページの一部に英語版も設置していることもあり、海外からの問合せが増えている ⑥その他(行政に対する要望) ANA貨物ハブ事業で講じた運賃補助のような仕組みを海上輸送でも行っていただくことをご一考いた だければと思います。 特に低温輸送に関しては潜在的なニーズはあるものの、仕向け地・温度帯・貨物種別となるとコンテ ナ1本分の物量を確保することが難しいため輸送コストがかなり割高になることもあり、このような支 援策の効果は高いものと推測します。 34 株式会社Resorz 【日本企業の海外展開活動をサポート】 企業名 株式会社Resorz(リソーズ) 本社所在地 東京都目黒区上目黒3丁目34-1-4 ■海外進出支援事業 <Digima~出島~><オフショア開発.com><BPOサービス紹介センター> 事業内容 ■クリエイター海外進出支援事業 <マンガニメーション> ご対応者 高島優季広報担当社員 ①海外進出支援概要 (1)海外進出支援プラットフォームサービス『Digima~出島~』の運営 『Digima~出島~』 https://www.digima-japan.com/ ・600社の企業(以下サポート企業)等と提携し、海外展開に取組む企業にサポート企業等の紹 介・マッチングを行っている。これまでの支援実績は約8500件(2015年8月現在)。 ・『Digima~出島~』を利用する企業は、サービスを無料で受けられる(サポート企業等と契約を結 ぶ場合等には費用が発生する) 【Digima~出島~のサービス一覧】 ○海外進出無料相談窓口・・・企業が相談窓口に問合せ→出島事務局がサポート企業を複数紹介→ 企業が自社に合ったサポート企業を選び、依頼契約を行う ○海外ビジネスニュース・・・各国のメディアと提携、現地ビジネスニュースを配信。海外で流れて いる現地ニュースや、日系企業の海外展開を取り上げたニュースを紹介 ○海外ビジネスコラム・・・各国のビジネス専門家が、海外進出成功ノウハウを連載 ○海外ビジネスセミナー・・・海外ビジネスセミナーを毎月開催 ○海外視察ツアーアレンジ・・・各社の個別ニーズに合ったオリジナル視察ツアーを提案 ○海外ビジネス交流会・商談会・・・企業や専門家などが会する交流会・商談会・展示会等を毎年開催 ○海外への業務アウトソース先紹介・・・オフショア開発、BPO業務のアウトソース先企業の紹介 ・<オフショア開発.com>⇒http://www.offshore-kaihatsu.com/company/index.php ・<BPOサービス紹介センター>⇒http://www.bpo-center.com/news/n150410/ ・平成25年は、1年間で約1000件の問合せ があった。平成26年は、10月時点(調査 時)で約600件の問合せがあり、前年を 上回る見込み ・信用金庫等、企業の海外支援を行っている 金融機関からの問合せが入ることもある。 今後は、金融機関へのサポートにも力を 入れていく予定 ・相談の多い地域は、関東、関西、九州。 沖縄からの相談は2件(平成26年10月 時点)で、ダイビング業者と建設コンサル タント会社であった ・メールやインターネット電話での相談も 受け付けており、沖縄など遠隔地からの 相談にも対応可能である。 更に相談受付を増やしていきたいと 考えている 35 株式会社Resorz ・営業職や海外渡航経験があり、英語が話せる等の条件に基づき社員として採用し、実際に海外に行 き海外の現地企業の情報収集やネットワークづくりを行っている。(「ヒッピー営業」) 当社社員が実際に海外を廻ることで、生の情報を直に得ることが出来、信頼できる海外企業を見つ けることができる ・Resorzの海外展開の取組は、中小企業基盤整備機構等とも協力している ・中小企業白書2014版に、Resorzの取組が掲載された。(427ページ) ・2014年5月26日日本経済新聞、2014年7月10日朝日新聞などのメディアに、Resorzの海外ビ ジネス支援の取組が掲載されている (2)マンガアニメ動画制作サービス『MANGAnimation(マンガニメーション)』 http://www.manganimation.jp/ ・海外での展示会、WEBプロモーション用に、日本企業のPR用動画を漫画とアニメーションで作成す る。また、動画以外に漫画を活用したWEBページ制作やマーケティングツールの作成も行っている ・日本の漫画は海外で人気があり「クールジャパン」 として評価も高い。日本のプロの漫画家に依頼し、 漫画とアニメーションを作成する ・平成26年10月、イスラエル大使館の依頼により、 イスラエルの観光資源のPR映像を「マンガ ニメーション」で作成。2015 World Media Festival/観光編で3部門を受賞している ②㈱Resorz起業のきっかけ ・当社創業者である兒嶋裕貴代表取締役社長が学生時代より海外を見聞しており、海外から見た日本の 良さ、日本の持つ技術が海外に通用すること実感した。IT企業に就職しベトナムでのオフショア開発 事業に従事する中、実際に海外企業とビジネスをすることで、日本企業の海外展開の可能性を一層強く したいと考えた事から これまでの経験やネットワークを生かし 日本企業の海外進出をサポートする したいと考えた事から、これまでの経験やネットワークを生かし、日本企業の海外進出をサポートする ため、2009年に起業した ・会社名の「Resorzリソーズ」は、Resource(資源・手段・機転)と「理想図」という二つの言葉 を由来としている。また、「Digima~出島~」は、江戸時代に日本の海外交流の唯一の玄関口となっ た長崎の「出島」と、兒嶋社長のIT企業での経験を基にした「Digital Market」とをかけた造語で ある ③企業からの相談事例 ・相談する企業の業種は製造業や飲食・ITと幅広く、現地拠点の展開サポートや販路拡大の相談が多い ・企業より、海外で会社を展開する上の法務・税務上の取扱いはどこで調べたらよいのか、また、海外 で勤務する社員に対する労務管理はどのように行えば良いのかなどの専門的な業務の問合せもある ・ECサイトやECモール出品など、インターネットを活用した海外進出相談も増えている ④海外展開支援を行う上での課題点、その他(行政への要望) ・海外進出する上でのビジョンがなく、安易に海外に拠点をつくる企業がある。また、会社形態を取ら ず、個人として海外で事業をしたいという問合せもあるが、ただ漠然と海外に出たいというのみで、 マーケット調査の実施やしっかりしたビジョンを持っていない事例もある ・海外で事業に行き詰まり撤退したり、海外での拠点を代える(工場等)企業もあるが、撤退するに も、相手国からの縛りがあり、簡単に撤退できないこともある ・日本の税金対策で、海外にペーパーカンパニーをつくる事例がある。実際に海外活動は行っていない ・これからの日本の企業はグローバルな視点が不可欠であり、海外にも通用するような人材育成が必要 であるが、現状では民間主導になってしまっている。国や行政が関与しての人材教育が必要なのではな いか。また、企業が海外展開していく上での、行政からの補助金、助成金を充実させていくことが必要 であると思われる 36 (2)平成25年度企業ヒアリング(平成25年度調査報告書から) 平成25年度調査『県内企業の海外展開における現状と課題 ~事例紹介~』において 調査を行った企業のヒアリング結果を再掲する。 (ご対応者の役職名は平成25年度調査当時のものである) ○ヒアリング期間 平成25年11月~平成26年3月 ○ヒアリング企業(13社) ・沖縄特産販売株式会社 ・沖縄ハム総合食品株式会社 ・株式会社オキネシア ・有限会社オフィスりょう次 ・オリオンビール株式会社 ・金秀バイオ株式会社 ・株式会社シャイニーボールホールディングス ・株式会社白石 ・有限会社水耕八重岳 ・タイガー産業株式会社 ・株式会社トリム ・株式会社パラダイスプラン ・八重山殖産株式会社 (五十音順) 38 沖縄特産販売株式会社 企業名 沖縄特産販売株式会社 本社所在地 豊見城市字豊崎3番84 事業内容 食品製造・販売 ご対応者 與那嶺憲一海外事業部主任 ①海外展開対象国名 台湾、香港、シンガポール、中国、タイ、(スポット的輸出)アメリ カ、ヨーロッパ ②海外展開用製品等 野菜チップス、シークヮーサー飲料、モズク加工食品、玉ねぎ加工食品 ③海外展開状況 ・野菜チップスは、台湾より野菜等の原料を輸入し加工後輸出 ・シークヮーサー飲料は台湾に輸出しているが、シークヮーサーの認知度が低く、出荷量はまだ少ない ・モズクは、沖縄の漁連より原料を買い付け、当社で加工後輸出。当社の製品の中では最も海外で売れ ている ・玉ねぎ加工食品は、日本本土(淡路島等)から玉ねぎを買い付け加工販売している ・アメリカ、ヨーロッパは、日系スーパーに年1回程度(10ケース、20ケース)輸出している。売上 が好調であれば今後輸出量を増やしていく予定 ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 ・当社の與那覇修会長が若い頃より海外を見聞しており、会社設立後に当社製品を海外に輸出する等、 海外事業を開始した ・海外事業をきっかけとして、沖縄に観光にくる外国人客を当社アンテナショップに呼びたい意向も あった(インバウンドの増加) ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 ・海外で開催される展示会等に出店し、バイヤーや客の反応をみている ・できるだけ海外に足繁く通って販路開拓に努めている。日系商社を通じるとそれなりに人件費も抑え ることができ手っ取り早いのかも知れないが、自分の足で稼ぐほうが、自らの経験となって今後の役に 立つと考えている ⑥現地の法律、規制等の対応状況 ・食品は、国ごとに成分表示の項目が異なることから対応が必要。例えば、香港は、トランス脂肪酸、 不飽和脂肪酸の表示が義務化されている ・中国の上海は、尖閣問題後、通関の手続きが厳しくなった。原材料はどの飛行機を利用しどのルート で運んでいるのかなど細かく聞いてくることがある。例えば、醤油を使用した商品を輸出しようとする 場合、醤油の原料である大豆の生産地や、どのようなルートで仕入れたかどうかなどを確認してくる。 また、東日本大震災の影響で、放射能影響の証明書の提出が義務付けられている。そのため、商品を中 国に輸出するのに、通関で1カ月間留め置かれることもある。税関の担当者により対応に温度差があ り、また、同じ製品でも手続きの度に提出書類が異なることもある。業者全体に対しての見せしめ的な 意味合いもあるのではないかと思われるが、手続きを煩雑にすることによって、誠実性とやる気のある 企業なのかどうかを見極めているようでもある ・香港、シンガポールは、比較的輸出手続は容易である ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 沖縄総合事務局農水部に原産地証明書を発行してもらった 39 沖縄特産販売株式会社 ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 ・現地代理店や、卸業者から情報を得ている ・代理店に全面的に任せるのではなく、企業が直接開拓するのが海外展開を長期的に行うには最適であ ると思われる。積極的に商談会に出店したり、直接小売店(スーパー)を回ってセールスを行うことが 重要。但し、スーパーによっては、代理店を通すようにとの返答があり、対応してもらえない店もある ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) ・ANA国際ハブ事業による航空便使用で、台湾、香港へ輸出。沖縄県の補助があり、航空運賃は0 円。別途燃料サーチャージ料金がかかる ・香港には一部船便を利用しているが、コンテナ使用で1回につき3万円程度で輸送できる(1kgあた り80円~90円、300kg×90=30000円) ・日本郵便のEMS(国際スピード郵便)を利用し、タイに当社製品を郵送した ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 現時点では、海外からの問い合わせや引き合いはなし ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上髙、経常利益(前年との比較可) 売上高は前年比で増加している ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・苦労したこと・・・香港、シンガポールは、日本からの進出企業が多く競争となっており、その中でどの ように売り先を確保していくかが課題 ・相手国により習慣、言葉の壁があるため、相手国に合わせたパッケージにすることも重要である メリットとしては、当社の海外展開事業の取組がメディアや情報誌等に取り上げられることによっ ・メリットとしては、当社の海外展開事業の取組がメディアや情報誌等に取り上げられることによっ て、会社全体のプロモーションにもなっている ⑬その他(行政に対する要望) ・輸出の際、相手国がどういう書類が必要なのかどうかを調べるのに苦労している。相手国の輸出手続 等の情報が容易に入手できるようになればありがたい ・アジアに海外展開する上で、沖縄の食品については、「黒糖、ちんすこう」のイメージがなじみすぎ ている。今後更なる売上を目指すのであれば如何に売り方を工夫しているのかどうかが重要になる ・各企業単体で海外展開は難しい。沖縄の青い海、青い空、美味しい食べ物を総合的にプロデュースす ることが大切。各企業が連携して海外展開を図るべきではないか ・現在の、沖縄県の実施しているANA貨物ハブ事業航空運賃の補助について、今後も引続き継続してい ただければありがたい ・一方、沖縄県の海外展開関係の事業はソフト面が弱いように思われる。特に若手の人材育成が重要で あり、例えば語学についても、外国語の話せる人材は基地従業員に流れていってしまっている。企業側 の中には、行政機関の補助金制度があることでのんびり構えている企業もある。今後は、例えば基地の ネットワークを生かしたホームステイを行う等、ソフト面についての事業が必要ではないかと思料する 40 沖縄ハム総合食品株式会社 企業名 沖縄ハム総合食品株式会社 本社所在地 読谷村字座喜味2822番地の3 事業内容 食肉加工品製造販売、.惣菜製造販売、レトルト食品製造販売、乾燥製品 製造販売、飲料製造販売、精肉商品 ご対応者 長濱德勝代表取締役社長 ①海外展開対象国名 香港、台湾、シンガポール ②海外展開用製品等 食肉加工品(ハム、ソーセージ)、レトルト食品、冷凍食品、健康飲 料、黒糖、紅芋関連商品 ③海外展開状況 ・約8年前より海外展開を開始し、6年前より香港向けに食肉加工品等を輸出。シンガポールには健康 飲料及び紅芋関連商品をスポット的に輸出している ・2013年1月、沖縄県物産公社が新しく香港のサプライヤー(卸業者)「ホイチョンルン(海昌隆)」 と取引開始。香港のスーパーマーケット「パークンショップ」に2商品を定番化することとなった。香 港は比較的輸出のハードルが低く、JAPANブランドに対する信頼が厚い ・台湾には健康飲料とレトルト食品を輸出している。現在県内企業と連携して青切パパイヤ(GABA) やシークヮーサー(ノビレチン)を利用した健康飲料を台湾に展開するための取組を行っている ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 貿易自由化による非関税障壁の緩和により、外国産の食肉加工品(ハム、ソーセージ)の日本への輸入 が増加し競争となっていることから、外国へ新たな販路を開拓する必要が出てきていたところ、沖縄 県、沖縄県物産公社及び沖縄県産業振興公社の支援もあり、海外展開を本格的に進めることとなった ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 見本市や現地デパートの催事等に出店し売上や客の反応をみる ⑥現地の法律、規制等の対応状況 ・添加物の規制(表示義務)が国ごとに異なる。例えば、香港は日本国内で販売される製品への添加物 が禁止されていることから、当社工場内で当添加物を除外して製造した ・相手国に対しては成分分析表の提出が義務付けられているが、対応はできている ・相手国の規制に合わせて商品パッケージを変更することもある ・以前は、グアムと、ハワイ沖縄県人会やハワイ大学教授の協力の元、アメリカのハワイ州に食肉加工 品を輸出しようと取り組んだこともあったが、アメリカFDA(食品医薬品局)の許可を受けた工場で 加工した食肉が輸出の対象になるとのことで、当社工場が許可を受けるには非常にハードルが高かった ことから断念した経緯がある ・精肉の輸出は、食肉加工品と比較しても利益が大きい。沖縄県内企業と連携し牛肉を香港に輸出した ことがあったが、海外用の加工場が沖縄県内になく、鹿児島に3か所指定されている屠畜場に沖縄から 牛肉を輸送し処理しなければならずコストがかかったため現在は同事業は行っていない ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 ・沖縄県物産公社には、販路開拓等サポートをしてもらい助かっている ・沖縄県及び沖縄県産業振興公社のバックアップがある。また、産業振興公社の研修制度を利用し、英 語の話せる人物を半年間当社で研修をしてもらい、正式に採用を行った。また、海外のサプライヤーを 通じ現地企業を紹介してもらい当社社員を派遣し、今期は1名を2ヵ月間研修を実施した 41 沖縄ハム総合食品株式会社 ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 ・沖縄県産業振興公社の海外事務所のサポートを受けている ・日系企業や、現地沖縄出身者と情報交換を行っている ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) 香港への出荷には、ANAの貨物ハブ事業を活用している ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 当社の通信販売の売上額は、日本国内も含め全体で1カ月あたり200万円程であるが、海外分について はこれからというところ。昨年は、外国から黒糖の注文が多かった ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上髙、経常利益(前年との比較可) 2013年は売上髙1500万円であり、2014年は4000万円を目標としている。数年以内に8000万円ま で売上を伸ばしたいと考えている ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット 約2年前、香港において、定番化直前のドライ(レトルト)商品の出荷が停止し売上が半分近く減った ことがある。現在は別のサプライヤー(ホイチョンルン(海昌隆))と取引しており売上は回復してい る ⑬その他(行政に対する要望) ・沖縄県等公的機関の支援があり助かっているが、仮に100%の補助制度があったとしても、企業側の 海外展開に対するスキルが育たず売上が伸びない。企業側においても積極的に海外展開に取り組む自覚 を持つ必要があると思料する ・牛肉を海外に輸出するためには相手国の認可する屠畜場が必要であるが、沖縄県内に認可屠畜場がな いことから本土の屠畜場で処理する必要があり、時間とコストがかかっている。2年前、沖縄県に対 し、海外用の屠畜場の整備を要請したことがあるが、既存の施設では対応できず新規に建設する必要が あり、建設費も10~20億円必要となることから、予算上対応ができないとの回答があった ・マレーシアやインドネシアではハラール食品のニーズがあり研究を行っているが、食品の配合も全く 異なり、既存の工場では対応できず新規に設置することが必要となるため、まだ先のことと思料される 42 株式会社オキネシア 企業名 株式会社オキネシア 本社所在地 那覇市首里金城町4丁目71−12 事業内容 県産素材を生かした自社PB商品の企画開発及び製造、販売 ご対応者 金城幸隆代表取締役社長 ①海外展開対象国名 台湾 ②海外展開用製品等 水溶性珊瑚乳酸カルシウム『ラグーン』 ③海外展開状況 平成23年より、台湾企業にサンゴ由来のカルシウム原料を販売している。カルシウムは水に溶けにくい 性質を持っており、県内では加工施設がないことから、本土の業者に原料を供給し、製造委託している。 本土業者が台湾向けに輸出している ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 会社設立前よりサンゴカルシウムを利用した事業展開を模索していたところ、以前より付き合いのあった 台湾企業と事業開始した ⑥現地の法律、規制等の対応状況 事業を開始した平成23年は、円高であったことから利益は比較的大きかった一方で、東日本大震災の時 期とも重なり、台湾側より、放射能検査の結果を記載した書類の提出が義務付けられていた。 ジェトロの紹介により琉球大学において放射能検査の分析を行うこととなり、問題なしとの書類を提出、 検査をクリアすることができた ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 ジェトロ沖縄、琉球大学 ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 台湾の取引先企業、沖縄県台北事務所 ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) 原料⇒本土の製造メーカー(加工)⇒東京晴海(船便)⇒台湾(基隆、高尾) ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 これまで実績はないが、インターネットは今後必要な販売ツールとなると見込まれるため、今後の課題。 ホームページの多言語化等、取組を行う必要がある ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上髙、経常利益(前年との比較可) 輸出量:平成23年・・・1トン、平成24年・・・1トン ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・苦労したこと・・・外国語(コミュニケーション)にもどかしさを感じる事が多々あった ・メリット・・・海外市場の販路を持つことで売上増加と経営的なリスク分散が図れる ⑬その他(行政に対する要望) 当社は企画販売を行っており、製造は他社に委託しているが、その分柔軟な企画開発が可能となってい る。また、沖縄という地の利を生かした販売(輸出)方法の工夫も必要であるが、まずは商品力を高め、 数量の確保を最優先にすべきと思料する 43 株式会社オキネシア ※海外展開準備中の製品 ①海外展開対象国名 フランス、欧州 ②海外展開用製品等 カーブチー(沖縄在来柑橘)由来の香水、アロマ・エッセンシャルオイ ル ③海外展開状況、海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 ・当初から海外展開を考えていた訳ではなく、カーブチーを生産する本部町のミカン業者の高齢化や、生 産量減少の問題があったことから、地域おこしや若手育成の一環としてカーブチーを生かした付加価値の ある製品を考えたことが始まり ・平成17(2005)年にカーブチー由来の香水(UTAKI)を、フランスで製造、販売開始。沖縄県 内では、プラザハウス、カーゴス(モノレール牧志駅ビル)に卸売している ・平成21~23(2009~2011)年、農商工連携事業の認定を受け、北里大学と共同研究を行い、アロ マエッセンシャルオイルを開発。動物実験の結果、沈静効果、リラックス効果のあることが科学的に実証 され、ニューヨーク、ロサンゼルスで開催された学会において論文発表(エビデンスの構築) ・アロマエッセンシャルオイルを、アロマ協会(アロマセラピストの認定機関)に提供販売。沖縄出身の 資格者が20名程おり、オイル普及の担い手となっている。近年はゆず等の和のアロマが世界的にも注目 されており、また高齢化社会に伴いリハビリの一環で使用されるメディカルアロマが注目されているとこ ろから、カーブチーにも可能性があるとのこと ・沖縄TLOの紹介で、台湾の大学の学者で事業も行っている教授にオイルを紹介。商談進行中 ・11月に開催された大交易会プレ交易会の際来沖したフランスの百貨店(ボンマルシェ)のバイヤーよ り、当社オイルの評価を受ける ・フランスでは毎年秋に「日本祭」が開催されるが、沖縄県産業振興公社の職員がフランスに出張した際 に、現地でオキネシアの名前が挙がっていたとのことで、2014年の日本祭に出店しないかとの打診があ る ・フランスの香水学校「Cinquieme Sens サンキエーム・サンス」においてもカーブチーオイルを紹介 ・今後は、カーブチー由来の新しい香水及びオードトワレを開発する予定 ⑥現地の法律、規制等の対応状況 フランスの、日本でいえば厚生労働省にあたる機関より、パッチテストの結果安全性に問題なしとの認定 を受ける ⑦国内の協力支援者 支援機関の活用状況 ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 農林水産省、経済産業省、ジェトロ沖縄、琉球大学(沖縄TLO)、沖縄県産業振興公社、日本アロマ コーディネーター協会(JAA)及び会員 ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 フランス政府、フランス香水学校、フランス在住日本人調香師、フランス沖縄県人会 ⑬その他(行政に対する要望) ・支援機関の実施する海外展開セミナーや支援事業により情報を得ているところであるが、企業側が海外 展開において何をしたいのかはっきりさせないと支援策が生かせないと思料する。自社でできるもの、支 援機関のサポートが必要なものを明確にする必要がある ・多くの支援により海外展開への道筋が開けているが、最終的には地域が活性化することが重要と考え る。香水(UTAKI)についても、発売当初はメイドインフランスに付加価値があると考えていたが、香水 の製造技術や機械については沖縄でも十分対応可能であることが分かった。調香師が沖縄にいない、原料 の一部が日本国内で調達できないという課題もあるが、いずれは沖縄県内で香水が製造できるような仕組 みを模索していきたい ・現在、カーブチーの原料は本島北部から那覇市内へ移動・保管し、本社内で抽出をしているが、いずれ は生産地である本部町に、「みかんの里」としてカーブチーを生かした観光客や地元客の集まる施設をつ くりたい。そうすれば若い担い手も増えることで雇用も増え、地域おこしにもなると考える 44 有限会社オフィスりょう次 企業名 有限会社オフィスりょう次 本社所在地 那覇市金城5-4-6 通堂本店3F 事業内容 飲食店経営 ご対応者 島尻吉信専務取締役 ①海外展開対象国名 カナダ ②海外展開用製品等 カナダに沖縄スタイルの居酒屋をオープンし、琉球料理、ラーメン、和食 等を提供している ③海外展開状況 ・カナダに現地法人「RYOJI of CANADA Inc.」を設立。2013年1月、カナダトロントにラーメン店 と居酒屋の両方を備えた飲食店「りょう次」をオープン ・築100年の3階建てアパートの1階に出店。カナダでは地震が少ないことから、築100年クラスの建物 は珍しくない ・店長と料理長と厨房スタッフは沖縄より従業員を派遣。サーバー(ホールスタッフ)はカナディアン (カナダ人)を採用 ・バンクーバーには居酒屋が多かったものの、2013年オープン当時、トロントには当店以外には居酒屋 が数店舗しかなかったが、ここ1年で居酒屋やラーメン店が増加してきている ・沖縄からカナダへの輸送コストがかかることから、食材は殆ど現地調達。日本食材を取り扱ったスー パーマーケットを利用している。沖縄そばとラーメンの麺はカナダ産小麦を使用し、現地会社に製麺を依 頼。島豆腐やかまぼこは当社が現地で手作りしている。泡盛等日本のアルコール、沖縄の塩、そうめん、 調味料等は日本商社(キッコーマン小会社・大阪港よりカナダバンクーバー、トロントに輸出)を通じ調 達している ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 ・約10年程前より海外展開を構想していた ・カナダ「りょう次」の上地店長がカナダのワーキングホリデーにより留学した経験があり、玉城料理長が アメリカの飲食店勤務の経験があったこと、島尻専務の親戚がオタワに住んでおりカナダの情報が得やす かったことが契機となり、中国上海、タイ、アメリカロスアンゼルスも検討したが、最終的にカナダ出店 を決めた。カナダには居酒屋文化が浸透しておらず、沖縄スタイルの居酒屋とラーメンをカナダに広めた いと考えた ・カナダは法人税が安いことも進出の理由の一つである ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 カナダ「りょう次」の上地店長のカナダ在住の経験を元に、人脈を生かした情報収集を行った ⑥現地の法律、規制等の対応状況 ・【契約等】カナダ人弁護士を採用し手続きを行った。例えば、店舗の賃貸契約については建物オーナー の弁護士と当社弁護士が行った ・【衛生法】衛生許可については、日本に比べカナダの保健所の許可はすぐ下りなかった ・【アルコールライセンス】酒を取り扱う場合、カナダではアルコールライセンスを取る必要があるが、 取得に最低半年はかかる。出店した場所は以前レストランとなっており、前経営者よりライセンスを買い 取ったことから取得に時間はかからなかった ・【消防法】当初は2012年にオープンを予定していたが、カナダの消防法の規制が日本より厳しいこと 等で許可が遅れ、4カ月程オープンが遅れた。オープン迄に、沖縄から派遣した従業員の給与や、居住の ための家賃代等、予想外の経費がかかったことから、プロモーションのための予算がなくなり充分に宣伝 ができなかった ・【酒税】カナダは酒税が高い(但しワインは安価である)。日本商社を通じて泡盛や日本酒を仕入れて いるが、泡盛は4合瓶で6000円程度となる。泡盛は40度が主流だがアルコール度数が高くなると酒税も 上がることから、当社と取引のある沖縄の泡盛製造会社に20度で泡盛を製造するよう依頼している。ま た、カナディアンは日本酒を好むが、一方でオリオンビールのリクエストもあり会社担当者に相談した が、カナダへのオリオンビールの輸出量が少ないことから他社のビールで対応している 45 有限会社オフィスりょう次 ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 公的支援機関にも相談に行ったが、出店後の相談だったことが理由なのか不明であるが支援が受けられな かった。今後改めて相談することを検討している ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 ・カナダには沖縄県人会があり、トロント支部カミヤマ氏を通じ、月1回程度情報交換を行っている。沖 縄三世、四世が集まることもある ・バンクーバーの沖縄県出身者とも情報交換を行っている ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) 出店にあたり、店内に設置する沖縄の赤瓦、シーサー、琉球ガラス等の沖縄の工芸品等を那覇港から船便 でカナダにコンテナで輸送した。到着までに約1カ月程要したが、特にハードルはなく、問題なかった ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 フェイスブックを活用し、店舗について紹介や宣伝を行ったり利用客と情報交換等を行っている ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上髙、経常利益(前年との比較可) ・一月につき約1500万円の売上げを目標としているが、2013年1月のオープン後、夏場の売上は好調 であったが、冬場は大寒波(気温マイナス20~30℃)のため目標を下回った。今後、夏場に向けてメ ニューの見直しを検討している ・当初の想定よりランチタイムの客の入りが少ない。当店の立地がリトルイタリーのダウンタウン(繁華 街)のビジネス街から離れた位置にあることから、仕事の休憩時間(カナダは日本と同じ1時間程度)時 に利用しにくいことが分かった。現在ビジネス街にアンテナショップを出店することを検討している ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・カナダの法律や規制へ対応するため、予想外の経費がかかる等の苦労があった ※⑥参照 ・メリットとしては、トロントは居酒屋が増えていることから、当店がカナダのメディアに取り上げられ る機会が増えてきている ・当店がカナダを訪れる沖縄からの留学生や旅行者の集う場となりつつある。今後はワーキングホリデー 利用の留学者の受入れ先となり、店でアルバイトをしながら英語やフランス語が学べるような拠点づくり を行っていきたい ⑬その他(行政に対する要望) ・当社が飲食店を開業した際は、軌道に乗せるまでの期間を通常1年としているが、カナダでは3年程度 かかるとみており、最初の1年目は日本からスタッフを派遣しているが、2年目より現地スタッフを増や していき、3年目は現地スタッフのみの経営を予定している。今後は、カナダで5、6店舗を展開し、ア メリカも視野に入れた進出ができればと考えている ・「Cool Japan/クールジャパン」の沖縄版のような、行政主催による沖縄のコンテンツを紹介するよ うなイベント「沖縄ウイーク」を開催できれば、カナダ国内のみならず北米全体(アメリカ)に沖縄の情 報を紹介することが可能となる。以前、トロント国際映画祭において沖縄の空手映画が上映されたが、関 連して沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の依頼でカナダ「りょう次」でも出演した俳優をゲス トとして映画の上映会を行ったことがある。店内にプロジェクターを設置していることから、場所を提供 することも可能である 46 オリオンビール株式会社 企業名 オリオンビール株式会社 本社所在地 浦添市字城間1985番地の1 事業内容 ビール類製造販売、清涼飲料販売 ご対応者 大久保竜也外販部次長、森山康外販部外販課長 ①海外展開対象国名 台湾、香港、シンガポール、中国、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラ リア、ニュージーランド、マレーシア、タイ、インドネシア、ロシア 等 ②海外展開用製品等 オリオンビール ③海外展開状況 ・2013年は、台湾、香港、シンガポール、中国、アメリカ合衆国(LA、NY、サンフランシスコ、サク ラメント、ハワイ)、カナダ(バンクーバー)、オーストラリア(メルボルン、シドニー)、ニュージー ランド(オークランド)、マレーシアに出荷。ロシアにもスポット的に輸出。2014年1月に初めてタイ への輸出を開始 ・香港では日系飲食店を中心に約70店舗、百貨店、スーパー等は約400店舗で販売されている ・台湾では日本料理店向けの業務用が主要であり、樽生ビールの出荷が中心。また缶類では日系百貨店や コンビニエンスストアにて期間限定で販売している。 ・中国(深圳)にも出荷しているが、尖閣問題の影響を受け一時出荷が途絶え、2013年8月より出荷再 開。現在は主に日系百貨店で販売されている ・2014年は、タイへの出荷を開始。年内を目処にインドネシアやロシア(極東地区)への輸出開始を目 指す ・日本のビールメーカーは世界市場での戦略として海外の企業と提携又はM&Aを行い、現地生産へシフ トしているが、メイドインジャパンの味や品質にこだわる消費者、料飲店や量販店より、日本産のビール の需要がある。当社は沖縄県内での製造であり、安心・安全且つ日本国内と変わらない品質と味のビール が提供できることを強みとしている ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 ・1960年代より台湾にビールの輸出を開始したが、出荷量は少なかった。約20年前より海外に日本料 理(沖縄料理含む)の店が増え、ビールの需要が高まったことから1995年より出荷が増加。7~8年前 より本格的な海外展開に取り組んでいる ・ASEAN諸国において、EPA(経済連携協定)が締結され、輸入関税撤廃の動きが出てきていることも 海外展開の追い風となっている ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 ・当社独自で海外への市場開拓を行っており、市場調査のため社員を現地に派遣し取引候補企業にヒアリ ングを行っている。現地のローカルディストリビューター(卸売業者)を活用し、日本のビールメーカー との競合を避け、独自の市場を確保している ・ジェトロの支援を受け、現地のインフラや物流ルートの情報を収集している。また、沖縄県物産公社と 連携して市場開拓を行っている ⑥現地の法律、規制等の対応状況 ・ジェトロ海外事務所や、ローカルディストリビューターより現地の商習慣等の情報を得ている ・商品デザインについては当社オリジナルを使用しているが、商品の外箱については海外仕様にデザイン している ・国ごとに成分表示の表記が異なることから、相手国に合わせ成分を記載したシールを商品に貼る事や必 要表記を記載したPB缶を製作し、対応している 47 オリオンビール株式会社 ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 ・香港においては2014年1月に沖縄県、沖縄県物産公社、沖縄県産業振興公社、沖縄観光コンベンショ ンビューローと連携し、沖縄の観光と当社商品のプロモーション活動を共同で展開した ・ASEAN諸国へのカーゴ構築事業(中小企業課題解決地域連携プロジェクト)として沖縄県産業振興 公社の助成を受け、県物産公社やその他県内企業と連携したプロモーション活動を実施した ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 ・沖縄県産業振興公社海外事務所及び海外駐在員、ジェトロ海外事務所より、現地の情報提供やバイヤー の紹介及び選定を行う際の支援を受けている ・アメリカ、豪州などでは県人会とのネットワークを構築。 米国は現地の日系企業「MUUTAL TRADING CO.,INC./共同貿易」を中心に取引を行っている。 ・香港、シンガポール、タイ、マレーシア、オーストラリアではローカルディストリビューターと連携 ・台湾には、沖縄県人会会長でもある諸喜田社長の運営するパレット貿易(日系商社)を通じ販売してい る ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) ・輸送ルートは、名護工場→那覇港→海外 ・輸送はほぼ100%船便を利用。イベント等で緊急に出荷する場合等にANA貨物ハブ事業を利用し出 荷することもある。(沖縄県物産公社にて) ・ハワイに輸送する際は、沖縄から船便で3週間かけて一旦アメリカロサンゼルスに行き、ハワイに戻る 航路であることから、4~5週間を要することがある ・ロシアに出荷した際,、輸送、荷揚げに3ヵ月近くを要した ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 現在当社では活用していないが、オーストラリアでは国土が広大であることから通信販売でのニーズがあ り、ディストリビューター側で通信販売を運営しオリオンビールを販売しているとのこと ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上髙、経常利益(前年との比較可) ・2013年4月~2014年3月の海外向け出荷数量は、前年比130%増加で着地する見込み。次年度 (2014年4月~2015年3月)の販売数量は前年比170%増を目標としている ・当社の売上髙の比率は、県内87%、県外13%でそのうち海外は2%程度 ・外貨リスクを防止するため、円立てでの支払いを行っている ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・メリットとしては、海外展開することでオリオンビールのブランドが世界中に広がることとなる。ま た、海外販路を開拓し出荷量が増えることで、当社工場の稼働率も上がることが期待される ・当社社長(嘉手苅義男代表取締役社長)が海外展開に積極的で、トップセールスを行っており、海外事 業に対しても理解がある ⑬その他(行政に対する要望) 船舶での輸送が多いことから航路の安定が課題。また、円安の進行による原油の高騰が運賃に転嫁されて いる。ANA貨物ハブ事業においてはコンテナ代の助成があるが、船舶のコンテナに対しても充実した助 成があれば、商品のプロモーションの経費を増やす余裕ができることから、海外展開が進めやすくなる。 今後は船舶貨物の支援についても力を入れていただけると助かります。 48 金秀バイオ株式会社 企業名 金秀バイオ株式会社 本社所在地 糸満市西崎町5丁目2−2 事業内容 健康食品の製造・販売 ご対応者 松野朝昭営業部執行役員部長、佐々木努営業部営業課長、萩田なるみ営業部 営業課社員 ①海外展開対象国名 香港、台湾、シンガポール、インドネシア、韓国、中国、ロシア、マレーシ ア、ベトナム、フィリピン(9カ国) ②海外展開用製品等 健康食品(アガリクス、フコイダン、ウコン関連が中心。特定保健用食品の 「ファイバーセブン」はロシアに出荷)、もろみ酢、青汁 等 ③海外展開状況 展開方法としては、①沖縄県物産公社などの日本商社を通じ販売、②グループ会社である金秀商事を通じての 販売、③当社から海外への直接の販売がある ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 元々沖縄県物産公社と取引があり、台湾にあった公社のアンテナショップ(わしたショップ)や、台湾三越へ の物産展に出展する話がきたことをきっかけとして、2002年より事業開始 ⑤現地の市場調査 マーケティングの方法 ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 沖縄県産業振興公社の補助を用いて海外への展示会(フード台北)等に出品し、バイヤーや客の反応をみる ⑥現地の法律、規制等の対応状況 ・健康食品については、国によって成分の表示項目が異なることから成分表の提出が必須となっており、当社 も現地の輸入代行業者に成分表を提出している。例えば、台湾は長命草(サクナ)は薬扱いとなり、香港では 甘味料のステビアは添加物として認められていない ・中国では健康食品のカプセルは食品としては認められなくなったことから、これまでより輸出のハードルが 高くなった(これまでは、カプセルは中国でいう「一般食品」に分類されていたことから輸出は容易であった が、現在では「保健食品(日本でいう特定保健用食品)」に分類が変更され、手続が難しくなった) ・商品のパッケージは相手国によって変更することもあるが、国内版のパッケージに現地の表示等のシールを 貼って対応することもある ・日本名ですばらしいネーミングの商品でも、現地ではイメージが悪い意味合いになることもあるので、気を 使うところである ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 ・ジェトロの事業を利用し、貿易アドバイザーを活用 ・国、沖縄県、中小企業基盤整備機構より、渡航費、広告費の補助を受けている ・金秀グループの呉屋守將会長がWUB沖縄の役員でもあり、また、金秀グループ呉屋秀信創業者の夫人の人 脈により、ペルーやアルゼンチンとも交流がある(呉屋守將会長が在沖縄ペルー名誉領事となっている) ・沖縄県産業振興公社の研修制度を利用。中国語の話せる人物を1年間当社で研修をしてもらい、正式に採用 を行った(その他に多言語を使用できる社員が数名在席) ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 ・沖縄県産業振興公社の海外事務所や、ジェトロ海外事務所からは、海外渡航の際現地でのサポートをしても らった 49 金秀バイオ株式会社 ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) ・船便での輸送が多い ・一部ANA貨物ハブを利用し、サプリメントを空輸している。沖縄県の補助事業により、コンテナ借り上げ 費用の補助を受け助かっている ・商品は比較的軽量なので、運賃の費用が負担になることはない ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 ・当社ホームページを、日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語で作成。個人や企業からのメールや電話 での問い合わせが週に1回程度入ってくることがある ・日本の商社に卸売している当社商品の問い合わせが入ることもあり、その場合は商社に連絡をして対応して もらっている ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上髙、経常利益(前年との比較可) ・売上は前年比111%。短期的目標として当社売上全体の2割を海外売上としており、まだまだ増大の余地 はあると見込む ・当社はさとうきびのバガスを利用した健康食品の販売から始め、次第に販路を拡大していったが、東日本大 震災の影響や法律改正等で韓国、中国等の売上が減少し厳しくなっている。今後は香港、台湾に重点を置く予 定 ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・苦労したこと・・・国ごとの規制のハードルが高いことがあり、要求事項が多いが対応はできている ・いかに信用に値するパートナーを探すかどうかが課題。以前、取引先の間で商習慣により取引の住み分けが なされていることがあり、商談がまとまりかけた段階で白紙に戻ったことがある ・メリット・・・日本国内において法律の規制がかかり表示できない効能効果でも、海外では法律が異なること から効能効果がうたえる場合もある ・健康食品は国によって流行りすたりがある。アメリカが最初ブームになり、2年後日本で流行、その2年後 台湾でブームになることがある 海外に販路拡大を行うことで 流行をキャッチし商品を投入することが可能 台湾でブームになることがある。海外に販路拡大を行うことで、流行をキャッチし商品を投入することが可能 となる(1国でブームが去り売上が減少したとしても、別の国に販路を拡大する等、リスク回避の効果が見込 まれる) ⑬その他(行政に対する要望) ・ANA国際ハブ貨物の補助事業について、今後も引続き継続していただきたい ・食品関係の展示会に出品しているが、一般の食品と異なり健康食品は摂取目的も異なる上に、価格帯も食品 と比較して高額になることから、デパート、スーパーに一般食品と一緒に陳列しても客に浸透しづらい面があ る。(スーパーに来る客は食品購入を主要目的として来ているので、価格の高い健康食品は受け入れられにく い) ・海外では健康食品の見本市も開催されている。こうした見本市への出店補助があれば、さらに販路は拡大で きるものと期待 ・北海道では優れた機能性健康食品に対して認証する制度がある。(「北海道食品機能性表示制度-ヘルシー do!」沖縄でもこうした認証制度があれば大きな助力になると思われる (http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/sss/ks/hyouziseido.htm) 50 株式会社シャイニーボールホールディングス 企業名 株式会社シャイニーボールホールディングス 本社所在地 糸満市西崎町5-14-11 事業内容 産業廃棄物処分中間処理業、生ゴミ残渣環境リサイクル処理業、SBH真 空醗酵乾燥装置製造・販売、MJT汚濁水処理システム製造・販売、シャ イニー波動蘇水システム製造・販売 ご対応者 前田初雄技術顧問(シャイニーグループ会長)、末吉正幸代表取締役、徳 嶺勝信常務取締役(シャイニーベトナム社長) ①海外展開対象国名 ベトナム、韓国、香港、フィリピン ②海外展開用製品等 浄水装置システム(MJTシステム)、浄水器 ③海外展開状況 ・ベトナム(2007年シャイニーベトナム設立)、韓国、香港、フィリピンに合弁会社を設立し、浄水装 置システムを製造、販売 ・2012年、ベトナムホーチミン市に工場を建設。当社で製造した浄水装置の部品をベトナムに輸出し、 工場で組み立てを行っている ・外務省の2013年度政府海外援助(ODA)事業を採択し、ベトナムで排水処理設置調査を行っている (ODAを活用した中小企業等の海外展開支援に係る委託費事業) ・現在、アフリカからも浄水装置の引き合いがあり、交渉中 ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 ・前田会長は元々アメリカの石油会社(モービル)において石油プラントのエンジニアの仕事をしてい た。西アフリカ諸国、アラブ諸国で仕事をする中で、飲料水の確保に苦慮している国が多いことが分かっ た。元々は油関係が専門だったが、アフリカにおいて、三菱商事との発電所共同開発の際赤土汚濁水を浄 化する装置を開発したのがきっかけで、浄水装置を製造するようになった ・平成15年、シャイニーボールホールディングス設立(前身はシャイニーワールド) ・前田会長が石油会社勤務時代の仲間のつてで東南アジアを回っている時に、水事情が悪いことが分かっ た。また、徳嶺常務は以前沖縄の貿易会社に勤務しており、シャイニーボールの機械を取り扱っていた。 ベトナムも水源地の汚染による河川の汚濁がひどく、飲料水の水質が悪いことがわかり、ベトナムで事業 を開始することとなった ・当社の浄水システムはセラミックを使用し、汚染水を分子レベルで分解・イオン化し有害物質を吸着さ せて除去する方式を取っており、フィルターを使用していないことから、フィルター交換の必要がなく、 機械の故障も少ない。また機械自身で定期的に水流による内部洗浄を行うしくみとなっていることから、 メンテナンスの回数が少なくて済む。更に、水圧を利用した運転への切り替えにより電力無しの操作も可 能で、発電装置を建設する必要がないことから設置コストが安価に抑えられる(特許取得済)。これらの ことから、河川の汚染がひどく、コストを抑えたい相手国側のニーズにマッチした ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 ・相手国の政府機関の実施するコンペティションに応募、或いは売り込みを行う。ビデオで説明しながら プレゼンテーションを行った ・相手方に浄水機のデモンストレーション実演を行い機械の紹介をしたり、無料で貸出して使用してもら い売込みを行っている ⑥現地の法律、規制等の対応状況 ・浄水装置を輸出すると高い関税が課せられることから、コストを低く抑えるため部品を輸出し、ベトナ ムの工場で組み立てしている ・ベトナムは法律が頻繁に代わる国であり、取引を進める上でシステムが複雑で様々な人が介在している ことから、対応のためベトナム人の顧問弁護士を置いている。また、ベトナム政府の外資系企業への対応 は特に厳しく、法律に対応できないと罰金等のペナルティを科せられることもある。大手企業に比べ、中 小企業はコンサルタント等他者に任せっきりになってしまうと、相手国側の規制に引っ掛かり損害を被る こととなるので、自社で主体的に法律や規制に対応する意識を持つことが重要である 51 株式会社シャイニーボールホールディングス ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 前田会長及び徳嶺常務の人脈を活用 ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 前田会長及び徳嶺常務の人脈を活用 ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) ・本社工場→那覇港→ベトナム(船便利用) ・コンテナは混載されており、運賃が割高となっている ・沖縄経由の船便の運賃が高い。東京-ベトナム(ホーチミン)間より、東京-沖縄間の運賃が高くなっ ている ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 現在自社ホームページをリニューアル中であることから、特に活用はしていない ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上髙、経常利益(前年との比較可) ・売上は年々増加しており、今年も、ベトナムのドンナイ省内の学校790校に浄水器を設置することと なった。今後、ベトナムの他省からも発注が入ることが期待され、更なる売上増加が見込まれる ・他国からの注文も増えているが、人員の関係で全ての注文に対応できていないのが現状である ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・苦労したこと・・・事業が軌道に乗るまで、相手国に対し、当社は信用に足る企業であると納得してもらう ことに苦労した。相手国の政府機関は様々な国の企業から売り込みが入ることから、品質面、価格面の ハードルを高くしている。信用を得るには、企業の規模を拡大する以前に技術力を高め、売込む製品の品 質を高めることが重要と考える。当社は、日本国(沖縄県)内から少しずつ実績を伸ばしていった(ホテ ル、病院等に納入)ことによって、相手国政府機関の信用を得ることができた ・メリット・・・当社の製品を使用することにより水が浄化され、これまで水で困っていた相手国の生活の質 が向上することから、当社が社会的に貢献していることとなる。ひいては相手国のみならず日本国の発展 にも寄与することができる ⑬その他(行政に対する要望) ・実際にベトナムでビジネスを行っている上での実感であるが、海外展開のためには、語学力、人材、資 金力が必要であり、企業1社のみではコストがかかっているのが現状である。大阪市や北九州市の事例の ように、実際は企業が動くにしても、名義上は行政側が前面に立って、中小企業から構成されるチーム (企業は入れ替えがあってもよい)で相手国に当たることができれば、海外展開の時間がかなり短縮され る(大阪市の事例はかなり成功していると思う)。1社で動くのと行政側が前面に立つのとでは、海外展 開にかかる時間に1~2年の差の開きがある ・また、行政が企業に対し、この企業は信用に足る企業であるとする、お墨付きの証明書(「レター」) を発行する認証制度があれば、海外展開もし易くなると思う。韓国は、海外展開を国家プロジェクトと位 置付けていることから、企業に「レター」を発行して積極的に海外展開支援をしている ・現在の沖縄県の海外展開関連の支援制度は、企業が海外活動することに対する費用の補助金に重点が置 かれているように思われる。沖縄県も海外に積極的に出向き、併せて沖縄の観光をアピールすれば、ベト ナムの国民は旅行好きであり日本に親しみを持っていることから、沖縄への外国人観光客の増加が見込ま れることにもなる 52 株式会社白石 企業名 株式会社白石 本社所在地 那覇市西1丁目19番1号 事業内容 油脂燃料の販売、オートガス・プロパンガスの製造 および販売、不動産開発、ガス設備の設計・施工 および配管工事一式 ご対応者 喜屋武盛淳営業推進部長 ①海外展開対象国名 中国 ②海外展開用製品等 沖縄県産品を中心とした日本製品 ③海外展開状況 ・沖縄県産品を中心とした日本製品を取り扱った、銀聯オンライン公式ショッピングモール「銀聯在線商 城」の日本館の中にある「沖縄如意百貨商店」を運営。2012年11月にオープンし現在出品企業は30社と なっている ・「沖縄如意百貨商店」のほか、「沖縄海洋高級名品店」(カヌチャリゾートのプロモーション)、 「Ryuspa Japan」(㈱ポイントピュールの商品を販売)を運営している http://www.shiraishi-oki.jp/img/120105ginren.pdf ※⑩参照 ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 ・以前から取引のあった、㈱富士通マーケティング・エージェントと中国銀聯グループの業務提携に伴い中 国向けのビジネスを検討していたところ 2011年3月に正式に中国銀聯公式ショッピングモールへ日本館 国向けのビジネスを検討していたところ、2011年3月に正式に中国銀聯公式ショッピングモールへ日本館 がオープンする事となり、当社が沖縄代理店として契約(2011年11月) ・銀聯モールは現在、①中国館、②日本館(沖縄含)、③台湾館、④米国館のサイトがある。日本館運営 は、㈱China Commerce(チャイナ・コマース/㈱富士通マーケティング・エージェント等出資会社)が 行っている ・銀聯は中国政府主導で設立された銀行カード連合組織であり、銀聯カード所有者は6億人以上となってい る。中国への販路拡大に取り組んでいる沖縄県産品取扱企業に対し、①安心できる決済システム、②安心で きる物流、③安心できるサポートシステム(コールセンター)を構築する事により、沖縄県内企業が、安 心・安全に中国への販路開拓・マーケティングの提供が可能と判断し参入を決定した ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 ・China Commerceによる現地市場調査、マーケティングのコンサルを受けている ・銀聯グループや提携銀行主催の中国での展示会に出店し客の反応をみる ⑥現地の法律、規制等の対応状況 ・法律や規制については、㈱富士通マーケティング・エージェント、㈱China Commerce及び銀聯グルー プの上海銀聯電子支付服務有限公司(China Pey/ネット決済専門会社)により対応している。中国語表記 の訂正の連絡や、もろみ酢や化粧品等については、中国の法律に合わせた成分表示が求められたりすること があるが、対応できている ・個人輸入扱いであることから、通関におけるハードルは低い ・中国国内ではインターネットで「沖縄」を検索することが容易でなく、沖縄の情報が得られにくい ・中国においては化粧品などの販売許可の取得が非常に難しく、対象商品を中国で検査する必要があること などから、輸入商品に対する承認は数少ないと言われている。通信販売の個人輸入については販売権の取得 は必要ないことから、ポイントピュールの銀聯モール出店につながっている ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 ・㈱富士通マーケティング・エージェント、㈱ChinaCormmerce、㈱創創(China Peyと提携)のアドバ イス支援を受けている ・沖縄県の一括交付金事業や、沖縄県産業振興公社の海外派遣時の旅費の補助を受けたりセミナーに参加す ることもあるが、海外展開事業の要件に該当せず支援を受けられないこともあった 53 株式会社白石 ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) ・日本郵便のEMS(国際スピード郵便)を利用。日本館の商品については物流センターを設けており、陸 路→空路で運んでいるが、沖縄は島しょ県で離れているため、沖縄のみ独自で日本郵便と連携している。沖 縄から北京、上海までの所要日数は1週間程度と比較的短い ・China Cormmerceが上海にコールセンターを設置しており、問い合わせやトラブルに対応している。商 品が手元に届かない場合、EMSで追跡サービスがあり配送状況を把握することが可能だが、中国国内での 詳細な配送状況はChina Cormmerceが追跡調査を行うこともある ・出店企業が梱包し発送(郵便局が無料集荷)しているが、オープン当初は購入者より泡盛の瓶が破損して いたとの連絡が入ったこともあった。梱包方法を外国用に工夫するよう対策を取ったため、現在は破損の連 絡はない ・注文した商品数が異なっていたり、運送の過程で商品の「中抜き」が行われたこともあったが、EMSで 2万円まで保障する制度がある ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 ・2012年1月「沖縄海洋高級名品店」オープン⇒カヌチャリゾートのプロモーションを主な目的として運 営、カヌチャオリジナルアメニティ等を販売、物品登録数は40品目 ・2012年3月「沖縄如意百貨商店」オープン⇒沖縄県産品を中心に、県内から出品企業を募集し商品を掲 載・販売を行う。物品登録数は230品目となっており、今後500品目を目標としている ・2013年3月「RyuspaJapan」オープン⇒㈱ポイントピュールの「Ryuspa」コスメブランド商品を登 録販売。物品登録数17品目 ・出品にかかる費用は、1商品あたり1万円。掲載についての中国語への翻訳やレイアウトデザイン、構成 等は原則当社が行っている ・銀聯カード会員がインターネットで注文を行い、事前に料金を支払った後(デビットカード方式)、日本 館でとりまとめを行い出店企業が商品の発送をEMSで行う ・現在「中国銀聯モールを活用した中国販路開拓」支援キャンペーンの一環で、①登録料②利用料③翻訳料 などの特別料金を設定し参加企業の募集を行っている ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上髙、経常利益(前年との比較可) ・販売状況;2年目の販売個数が月間40個~80個。1年目に比べると売上も3倍増になったが、通信販売 ・販売状況;2年目の販売個数が月間40個~80個 1年目に比べると売上も3倍増になったが 通信販売 で中国向けの販路開拓をするには、解決する課題が多々ある ・銀聯モールが開設して約3年と日が浅く、中国国内の通信販売では後発組であり知名度も含めこれからと いうところ ・今年の春節においては贈答品としての購入が多かった。また、キャンペーン商品として出品すると良く売 れる傾向がある ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・中国国内における沖縄の知名度が低い。また、中国国内のインターネットで「沖縄」を検索しても容易に は出てこないことから、銀聯モールの沖縄店まで中々アクセスできない ・空輸での輸送となっていることから、送料が高額となっており、価格設定に苦慮している半面、関税、税 金等の輸出のコストがかからないメリットもある ・尖閣問題や中国情勢の影響で、数年前は沖縄県内企業の中国通信販売における不安感が払拭できず出品企 業の参加が鈍かったが、最近は持ち直してきている。昨年中国の見本市等のイベントに参加したが、中国側 の反応は上々であり、尖閣問題の影響は感じられなかった ⑬その他(行政に対する要望) ・行政側の、海外向け通信販売による販路開拓の取組が弱いように思われる。中国客が沖縄の情報を手軽に 入手できるよう、中国国内でサーバーを構築しドメインを取得、沖縄関係のウェブサイトを構築するための 支援が必要である ・店舗での販売とは異なり通信販売は実際に商品を手に取る機会がないことから、外国客への商品のPR方 法が課題。2013年より中国からの観光客が前年比で増加してきていることから、那覇空港国際線やクルー ズ船旅客ターミナルにおいて、外国客対象の販売会を開催したり、通信販売を紹介したパンフレットやチラ シを設置できないだろうか。或いは飛行機の機内誌に広告を掲載することで、沖縄県産品の知名度も上がっ ていくものと思料する ・出店企業より商品の商標登録についての問い合わせがあり対応しているが、海外での商標登録に関する助 成金制度があれば、海外展開に取組む企業も増えていくと思われる 54 有限会社水耕八重岳 企業名 有限会社水耕八重岳 本社所在地 名護市中山894番地の9 事業内容 ゴーヤー茶および関連製品の開発・製造 ご対応者 大畑雅也営業部課長 ①海外展開対象国名 台湾、香港(見本市等へのスポット的輸出) ②海外展開用製品等 業務用ゴーヤー茶、販売用ゴーヤー茶 ③海外展開状況 ・約5年前より海外事業開始。台湾の企業(耐斯企業(ナイスグループ))に業務用ゴーヤー茶を輸 出、現地で加工し、台湾内においてゴーヤー配合飲料「分解茶」を販売。パッケージデザインも現地で 対応。(価格競争によりコストを低く抑える必要がある。現地で加工するほうがコストが安くあがるた め) ・台湾の達正食品に対し、沖縄県物産公社を通じゴーヤー茶を販売 ・香港においては、沖縄見本市が開催された時にゴーヤー茶をスポット的に輸出 ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 当社のホームページを見た台湾の耐斯企業(ナイスグループ)が、当社のゴーヤー茶の品質が良いと評 価し取引を打診してきた ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 台湾で開催される沖縄フェア(見本市)に出店しゴーヤー茶を販売。同時に台湾内で市場調査を行い、 展開可能であると判断した ⑥現地の法律、規制等の対応状況 耐斯企業(ナイスグループ)は、台湾においては日本でいうところの特定保健用食品を取り扱う企業で あるので、台湾国内での信頼性は高い。現地においては、成分分析表や農薬に関する書類の提出を求め られたため、日本国内の分析機関に依頼。何度か書類の訂正があったものの、特に大きな問題はなかっ た ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 制度等の相談のため、沖縄県物産公社、沖縄県産業振興公社、日本貿易振興機構(JETRO)を活用 ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 台湾企業(ナイスグループ)と連携しながら事業を行っている 55 有限会社水耕八重岳 ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) ・ANA国際物流ハブ(航空便)を利用してからは、より早く現地に製品を輸送することが可能になっ た。一度にまとまった量(コンテナ1~2個分、500kg)を輸送していることから、コンテナ調整が入 ることもあるものの殆ど問題はない ・当社から那覇空港には自社のトラックで輸送している。(大手運送会社への委託は費用がかかるた め) ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 インターネットは制約があり活用していないが、当社の運営するゴーヤーパークを訪れる香港の観光客 が増えており、土産品として購入されるゴーヤー茶の販売量が増えている。香港観光客に対するイン ターネット通信販売ができないかどうか、検討を行っているところである ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上髙、経常利益(前年との比較可) 5年前の発売当初は商品がかなり売れ、最初の1~2年は売上が良かったが、現在は一服感があり次第 に売上及び台湾への出荷量が減ってきている。新たな商品を開発しなければいけないと考えている ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・苦労したことは言葉(英語、台湾の繁体語)。最初は言葉の問題により相手方との交渉の際価格を引 き下げられる等、当社のペースで商談が進められなかった。達正食品との価格交渉やパッケージ料の設 定についても最初は苦労した。 ・また、相手方、人と人とのつながりをどう構築していくのかが重要。いかに相手方の要望を聞き、コ ストを安くした上で、自社の利益も出すような、ウィンウィンの関係をどう築いていくのかが重要とな る ・メリットとしては、様々な国をまわっていくことによって、海外のサプライヤーと出会う機会が増 メリ トとしては 様々な国をまわ ていくことによ て 海外 サプライヤ と出会う機会が増 え、取引方法を知る等、いろいろを学ぶことができた。また、ゴーヤーは日本のみならずアジア各地で 栽培されているため、アジア各地のゴーヤーの栽培状況を直接見ることができた。(アジア各国に比 べ、沖縄のゴーヤーは農薬を使用していない分だけ品質が良いことが分かった) ⑬その他(行政に対する要望) 沖縄県産業振興公社等から現地の渡航及び宿泊費用の助成が半分ほどあり助かっているが、半分は会社 の負担であり、海外展開を行うには、商品のPRの前にまず沖縄についてのPRから始めなければなら ず、時間と費用がかかっているのが現状である。 沖縄では近年、外国クルーズ船の来航による外国客が増えてきており、ターミナルビル等で、クルーズ 客を対象とした商品のテスト販売を行うことはできないだろうか。テスト販売を行うことで、客の好み や販売傾向を分析することが可能となり、マーケティングを行う上での参考にもなり、海外渡航のため の費用も軽減され、時間も短縮できる。テスト販売ができないかどうか、行政において検討していただ きたい 56 タイガー産業株式会社 企業名 タイガー産業株式会社 本社所在地 うるま市字州崎12番地11 事業内容 建築・土木資材等製造卸売 ご対応者 島袋太悟代表取締役社長 ①海外展開対象国名 中国(工場)、香港(貿易会社) ②海外展開用製品等 当社の中国工場が、日本に資材を輸出する外に、販路拡大のため独自で 中国市場を開拓。中国企業よりごみ収集用コンテナ、ナットの注文依頼 を受け製造。当社グループ内の売上に貢献している ③海外展開状況 中国に現地法人を設立。自社工場を建設し建築資材等を製造。香港においては貿易会社を設立 ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 ・当社は約3万点の建築資材等を取り扱っているが、前社長(島袋盛義会長)が、コストカットを図る ため外国からの資材の導入を決め、当初台湾、中国、韓国のメーカーを回り資材を輸入。しかし資材の 品質が悪いことから、現地中国において資材の検品を行う工場を建設することとなった ・当時中国の南寧市には開発地区が設けられており立地企業を募集していたことから、当社が入居する こととなった。南寧市はサトウキビ産業が盛んであり、気候も温暖で沖縄に似ている土地であったこと も工場立地の決め手となった ・中国工場は当初部品の検品を行っていたが、品質が向上しないことから検品をやめ、中国において自 社製造することとなった ・中国工場の運営は、当初日本から現地に指示を出していたが、製造計画等のマネジメントが上手くい かず現場が混乱した。今年より、生え抜きの中国人管理者を現地会社の副社長(副総経理)に抜擢した ところ、工場の生産性が上がってきている ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 前社長である島袋会長が各国をまわりトップセールスを行った ⑥現地の法律、規制等の対応状況 ・当初、南寧市の開発地区に敷地5,000㎡の工場を建設した(南寧泰格金属製品有限公司・南寧タイ ガー)が、その後開発地区周辺に住宅が増えたことから、工場の稼働に支障をきたすこととなり、南寧 市より代替地の提供を受け(敷地約11,000㎡)新工場が建設された(広西盛虎金属製品有限公司) ・当社の日本国内での製造部品は日本の建築基準法に合わせ製造されたものであることから、中国の基 準に合わずそのまま出すことができない。現地の規格に合わせて製造することが必要となる ・中国の通関が、尖閣問題の影響で日本企業に対するチェックを厳しくすることがある(常時ではな く、担当者次第とのこと) ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 当社島袋専務が南寧市出身で、父親の人脈を活用したことから南寧市との調整が上手くいった。また、 沖縄華僑華人総会等の招きで中国の要人が沖縄に招待されることがあり、島袋専務が通訳及び案内を 行っている 57 タイガー産業株式会社 ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) ・本土から沖縄へは船便で資材を運んでいるが、沖縄から本土への船便は資材を積載せず空の状態であ るにもかかわらず、運賃が高い ・現在中城湾港に船の定期便が入っておらず、資材を那覇港に陸送していることからコストがかかって いる。(現在沖縄県事業により、中城湾港から本土までの貨物船1便を実験的に運航)船をチャーター することは1社のみではコスト的にかなり難しい。また、中城湾港には資材を保管する仮の倉庫の整備 もなされていない。中城湾港の整備が完了し定期便の運航が可能となれば、那覇港までの陸送分のコス トがなくなり、負担軽減されることとなる ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上髙、経常利益(前年との比較可) ・中国工場は当初黒字とされていたが、経理の計上ミスで実際は工場稼働時から今年まで赤字。今年に 入り、中国人管理者を副社長にした頃から黒字転換への兆しが見えてきている。工場の売上は一時期よ り下がっているが、生産性が上がったことから利益は上がってきている(現時点ではプラスマイナスゼ ロ) ・資材の輸入に関しては、円安傾向が続いていることから利益は下落傾向 ・当社は、沖縄県以外に大阪、東京、仙台にも営業所があり、関連会社のタイガー工業㈱もあることか ら、1営業所が赤字となっても他で利益が上がる等、相互補完されており、全体的には増収増益となっ ている ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット 工事は工期が重要であり、全体の工事費のうち3~4割は人件費であることから、1日でも資材が調達 できず工事がストップした場合でも人件費を支払わなければならないことから、資材の調達は重要事項 である。当社は、海外に工場を建設し全国に営業所を持つことで資材を充実させており、例えば朝に注 文を受ければ同日の昼前には資材を届ける迅速対応が可能であることから、建築業者の信頼を得てい る。結果的に工事業者の雇用の確保に貢献している ⑬その他(行政に対する要望) ・当社は営業力、企画力は良いが、中国工場の混乱をみるにつけ、経営のマネジメントや社員の意見の 集約が図られなかったことが課題であると考えたことから、現在軌道修正を図っている。(島袋社長 は)空手道場の道場主でもあることから、日頃の鍛錬により、会社運営は人材によるところが大きいと 考える。マネジメントは勿論のこと、海外展開においては長期的にみると人材育成が必要。当社会長も 中国語は殆ど話せないが、持ち前のバイタリティで現地と交渉を行った。沖縄の先人達のように、海外 に出ていくグローバルな視点を持った人材(「琉球人材」)を育成する必要がある ・中城湾港新港地区工業団地においては、入居企業は増えているものの、業種にばらつきがあることか ら事業者間の連携が取れておらず個々の活動となっているため、工業団地からの出荷が増えない一因と なっている。また、港湾の整備に関しては国や県、工業団地内の保安については警察、更には工業団地 自体がうるま市と沖縄市の2市にまたがっていることから、統一的な運営がなされていない。(沖縄県 のサポートセンターがあるものの、国際物流拠点産業集積地域内の企業がサポートの対象)団地を統一 的に運営できるような支援機関があれば、長期的には出荷量も増えていくものと思われる 58 株式会社トリム 企業名 株式会社トリム 本社所在地 那覇市宇栄原1丁目26番地23号 事業内容 食品流通販売、環境改善商品、教育事業、リサイクル事業、飲食事業部 等 ご対応者 坪井巖代表取締役社長 ①海外展開対象国名 台湾、中国、ベトナム、タイ、バヌアツ、ニュージーランド ②海外展開用製品等 多孔質軽量発泡資材(軽石)「スーパーソル」及び製造プラント ③海外展開状況 ・廃ガラスを再生した多孔質軽量発泡資材(人工軽石)「スーパーソル」を製造するシステムで、外務省の 政府海外援助(ODA)案件化調査事業を採択。また、島しょ型環境システム海外展開推進事業では、平 成24年度はバヌアツ共和国で雨水貯留システムの導入調査、平成25年度はタイのピー・ピー・ドーン島 (ピピ島)において調査を行い生活排水浄化処理システムの導入を目指している ・海外の企業よりスーパーソルについての引き合いがあり、実証実験用に輸出することがある ・台湾は10年以上前より交流を深めてきているが、交渉が上手く進まなかったところ、交渉相手を代え たことから弾みがついて話が進みつつある ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 ・環境問題への関心が世界的に高まっている中、海外よりスーパーソルについての問い合わせや引き合い が増えている。ODA事業を採択し調査を行っていくうち、排水や水の水質に問題のある国が多いことが 分かった ・当社は北海道から沖縄まで13拠点に地域から排出される廃ガラスを利用したスーパーソル製造のため の廃ガラス再資源化プラントを設置している。廃ガラスの処理に苦慮している国からは、プラントを設置 することで水環境が向上すると共に廃ガラスの処理も可能となることから引き合いがあり、特に発展途上 国についてはニーズがあると判断した ・沖縄からスーパーソルのみを相手国に輸出するには、製品の特性上多大なコストがかかることから、今 後は海外に廃ガラス再資源化プラントを設置し、スーパーソルの現地生産を目指している ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 ・ODA事業による調査 ・沖縄県の主催する県産品拡大事業の一環で、東南アジア(ベトナム、タイ、インドネシア)やアメリカ において展示会が実施された。当社も出店し、来場者の反応や感触を知ることができた ⑥現地の法律、規制等の対応状況 ジェトロの事業により専門家を派遣してもらい、アドバイスを受けている ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 沖縄県、沖縄県産業振興公社、ジェトロ、JICA、沖縄総合事務局より支援を受けている ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 現地の日本人在住者より情報を得たり、ネットワークを活用している 59 株式会社トリム ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) ・スーパーソルは人工軽石のため1個当たりの重量は軽いものの、大量に使用する必要があることから全 体の容積が大きくなり、沖縄から海外に出すとなると輸送コストがかかり事業にならない。例えば、 ニュージーランドからサンプル出荷の引き合いがあった際に20ftコンテナに積み込みした商品代金が3 0万円に対し、運送コストが36万円かかった ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 ・当社ホームページを英語、中国語、ベトナム語、で作成している。 ・また、スーパーソルを紹介したプロモーションビデオを作成し、Youtube/ユーチューブに投稿して いる。(英語、中国語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語)ユーチューブを見た外国の企業から問い 合わせが入ることもある ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・最初は相手国の担当者と交渉していたが、先方に細かなニュアンスが伝わらず交渉が上手くいかなかっ たことがあることから、日本人を介した交渉をしている ・メリットとしては、ODA事業を採択したことを契機として海外へのビジネスチャンスが広がると共 に、当社の技術で相手国の問題が解決し、相手国から感謝されることにもつながると考える ⑬その他(行政に対する要望) ・沖縄で、輸出のためのL/C決済(信用状)を直接取り扱っている地方銀行がない(沖縄へ輸入するた めのL/C決済の取扱はある) ・那覇港の使用料が日本全国の港湾と比較しても最も高い。また、輸出手続きについて、那覇港で適正に 書類提出を行ったにもかかわらず、手続きが遅れる場合があると聞いている ・沖縄から輸出を拡大させていくためには、上記2点について行政側が検討を行っていく必要があるもの と思料する。現状では、当社は全国に製造プラントを設置していることから、沖縄からではなく日本本土 から輸出を行ったほうがコスト上も時間的にも有利である ・沖縄は島しょ県であるが、アジアへの地の利が良いことから、日本本土への展開も海外展開も、海を渡 るという意味では同じであると考えている。琉球王国時代に交易を行っていた先人のDNAを現代にも活 用する位の気構えを持てば、海外展開への道も開けていくものと思われる 60 株式会社パラダイスプラン 企業名 株式会社パラダイスプラン 本社所在地 宮古島市上野字野原1190-188 事業内容 製塩事業、生活関連事業、観光事業 ご対応者 西里長治代表取締役社長 ①海外展開対象国名 台湾、香港等 ②海外展開用製品等 製塩(「雪塩」) ③海外展開状況 ・台湾に業務用塩「雪塩」を輸出しているが、今年台湾との合弁会社が台湾三越に塩の専門店「塩屋」 をオープン ・代理店を介しオーストラリア、ドイツ等に輸出 ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 塩の専門店「塩屋」は、沖縄県内の4店舗に加え東京に2店舗展開しているが、本土進出と同時に海外 展開も既に視野に入れていた。海外においては、塩は日本国内より「品質のいい塩は体に良い」という 考えはまだ浸透していない国が多く、健康に良いイメージで売っていくことが重要である ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 西里社長が各国を回りトップセールスを展開。見本市などのイベントは、バイヤーとの商談の機会を逃 すと次の機会を設けることは難しいことから、スピード感が必要。出店する際は予め輸出やインフラ等 を調べておき、イベント時には契約の準備まで行い、直ちに商談に入ることが可能な状態にしている ⑥現地の法律、規制等の対応状況 ・台湾に合弁会社があることから、合弁会社より現地情報や法律の対応等を依頼 ・香港においては、貿易発展局(HKTDC)の日本国内の機関が大阪、東京にあり、現地の情報提供や手 続き等のサポートをしてもらった。また、えんグループの又吉代表とも情報交換を行っている ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 沖縄県産業振興公社より支援を受けている ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 沖縄県産業振興公社の台湾及び香港事務所には現地情報提供やサポートをしてもらった 61 株式会社パラダイスプラン ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) 宮古島より航空便で那覇市の当社倉庫まで塩製品を空輸。日本本土や海外には船便で運んでいる。倉庫 内のストックを増やさないようにするため計画的に空輸を行っているが、迅速な運送は可能なもののコ ストはかかっていることから、将来的には船便での輸送を検討している ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 当社のメールにアジアのみならず欧米からも問い合わせがある。また、取引したいとの商談が持ちかけ られることもあるが、インターネットを介した取引はこれから。今後は、外国語に対応した自社ホーム ページを作成する計画である ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上髙、経常利益(前年との比較可) 台湾、香港、オーストラリア共に売上高は前年比で伸びている。当社全体の売上高からすると貢献度は まだ低い ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・商談がまとまりかけた時点で取引先の名前を出したところ、当社とは取引しないと白紙になったこと がある。いかに信頼に足る商社、代理店等のパートナーを探すことが重要となる ・海外展開するにあたり語学力は必要。また、海外にも通用するような人材が必要である。当社も外国 人を雇用しており、「塩屋」を訪れる外国人観光客へ対応している ⑬その他(行政に対する要望) ・帝国データバンクの海外企業データのように、海外の企業のデータや与信情報が手軽に入手できれば と思料する ・海外企業との交渉の際、当社が信用に足る企業であるとするお墨付きのような制度があれば、交渉も より行い易くなると思われる 62 八重山殖産株式会社 企業名 八重山殖産株式会社 本社所在地 石垣市白保287-14 事業内容 クロレラ及び藻類の生産・加工・販売 ご対応者 石垣輝彦営業部営業一課課長 ①海外展開対象国名 ヨーロッパ(イギリス、オランダ、ドイツ、ベルギー、チェコ、オースト リア、スイス、ブルガリア、スウェーデン、フィンランド、スロベニ ア)、北米(カナダ、アメリカ、メキシコ)、大洋州(オーストラリア、 ニュージーランド)、アジア(中国、韓国、マレーシア、シンガポール) ②海外展開用製品等 クロレラ(淡水産葉緑藻類)粒及び粉末 ③海外展開状況(ハラル認証について) ・約20年前より、ヨーロッパや北米向けにクロレラ粉末及びバルク(粒)を開始し、現在20カ国に輸 出している。海外では、「ヤエヤマクロレラ」の名称が定着している ・2011年中国企業と専売権契約を行い、当社がパッケージデザインも含め製造したPB商品を中国国内 に約800店舗を展開する薬局「同人堂」(約1800年前に創業)で取り扱うこととなった。ドラッグスト アや百貨店でも展開する予定である ・2013年12月、沖縄県内で初めて当社製品がハラール認証を受けた。今後、ムスリム圏への新規開拓 も期待される ・クロレラはヨーロッパで需要が高いが、今後はアジアについても力を入れていく予定 ④海外展開しようとしたきっかけ 経緯 事業の実施を決めた理由 ④海外展開しようとしたきっかけ、経緯、事業の実施を決めた理由 ・約20年前、商社を通じて、アメリカアナハイム市で開催されている「Natural products Expo West(ナチュラル・プロダクト・エキスポ・ウエスト)」にサンプルを持ち込んだ。翌年から商社の担 当者を付け当社単独で出展し、顧客獲得を展開した ⑤現地の市場調査、マーケティングの方法 ・アメリカ、ヨーロッパ(スイス)の展示会に出展し、ブースに訪れる顧客と情報交換した ⑥現地の法律、規制等の対応状況 ・ラべリング等のパッケージデザインについては、日本で行うとコストがかかること、現地の法律に合わ せた成分表示を行う必要があることから、相手国の規格に合わせて現地企業が行っている ・クロレラのバルクの大きさは相手国側の注文に合わせて当社工場で製造している。例えば、クロレラの 定番規格は200mgであるが、アメリカでは250mgとなっている ・商品の内容や消費期限等について記載したシッピングマーク(Shipping Mark(荷印))は当社が作 成し輸出用段ボールに貼付している ・ハラールの認証には3年かかった。当社はクロレラ及び藻類を事業対象としているが、仮にクロレラ以 外の食品材料も取り扱っていた場合は、更に審査が厳しくなったと思われる ・コーシャ(Kosher)の認証も取得しているが、東京に認定機関があり、抜き打ちでの検査が行われる ことがある ・アメリカにおいては、9.11テロ後施行されたバイオテロ法により、アメリカで流通する食品を製造す る施設について登録が義務付けられることとなり、2003年12月、アメリカFDAの登録が完了。2011 年1月、食品安全強化法の成立により、偶数年度に登録更新が義務化。また登録施設に対してHACCP手 法を取り入れた措置、さらに、FDAの査察を受けることが義務付けられた。2014年2月にアメリカ FDA査察が行われ、滞りなく終了した ・東日本大震災の影響で、放射能関連の成績書を提出する必要があり、特にヨーロッパの一部の国では現 在も義務付けられている。石垣島は被災地から数千キロも離れているが、外国からみると同じ日本である との認識であり、対応は同じである 63 八重山殖産株式会社 ⑦国内の協力支援者、支援機関の活用状況 ・沖縄県産業振興公社からの支援を受けている ・ハラールの認証には拓殖大学イスラーム研究所のアドバイスを受けた ⑧現地における協力支援者、海外ネットワーク等の活用状況 中国、チェコ、シンガポールの企業とは、日本商社を介しビジネスパートナーとなっている ⑨輸送に関して(コスト、所用時間等) ・船便で、石垣港→那覇港→横浜や関西へ輸送している。輸出のための保険手続きやインボイスの作成は 日本商社が行っている ・今後沖縄から輸出するのであれば、ANA貨物ハブを活用したいと考えている ⑩インターネット(通信販売)の活用状況 ホームページを英語版で作成しており、海外からメールでの問い合わせが入ることがある。その場合は、 日本商社に対応を依頼している ⑪海外展開事業にかかる出荷額、売上髙、経常利益(前年との比較可) ・当社の売上比率は、海外:国内=6:4である ・2008年のリーマンショックの影響による円高傾向により売上げが減少した。2012年から売上は持ち 直しており、円安傾向である現在は、リーマンショック前の水準に回復しつつあるが、海外からの引き合 いは以前に比べまだ鈍いように思われる ⑫海外展開するにあたって苦労したこと、又はメリット ・リーマンショックの影響や、東日本大震災時の原発事故後の日本に対する海外のイメージ低下による売 上げ減少に苦労した ・韓国においては、原発汚染水問題の影響で、2013年に3日間開催された機能性原料の展示会の日本の ブースには殆ど来訪者がなく、3日間を待たず撤収する日本企業もあった。中国に関しては、尖閣問題後 対応が厳しくなり香港や経由で中国に製品を出していたこともあった。但しアジア、中国の民意において は、日本製品は品質が良いというイメージを依然として持っているようである ・メリットとしては、国内の売上げが落ち込んだ際も、海外に原料を輸出することで、量でカバーし製造 原価等のコストを抑えることが出来、売上げの落ち込みを抑えられるということがある (クロレラ食品の日本国内の最初のブームは1970年代にあったが、国内の同業者によるフェオホルバイ ド(クロロフィル分解物)関連の健康被害により、業界全体の売上げが落ち込んだ。1990年代に健康食 品ブームが起こり持ち直したものの、リーマンショックの影響で売上は減少した。沖縄県内にも当社を含 め5社のクロレラ関連業者があったが、現在では当社1社のみである) ⑬その他(行政に対する要望) ・日本の全てのジャンルの製品等を取り扱った展示会に出展する 場合、展示ブースの場所が悪く健康食品である当社製品が目立た ないことがある。サプリメントやオーガニック等の健康食品に 特化したフロアに出展した場合は目につきやすい ・支援機関主催の展示会において、担当者により取組みへの温度 差があり、流れ作業のような対応になったり、出展自体が目的化 してしまい、イベントへの参加のような状態で終わってしまって いる場合がある ・このような状況においては、相手国の企業と名刺を交換したと しても次につなげられないこともある。出展における企業負担も 30~40万円程度かかることから、確実に商談につなげるための 効果的な展示場所や展示方法等を検討する必要がある 64 2.海外展開支援について 65 (1)沖縄県内の主な海外展開支援機関 ①支援機関一覧(順不同) 支援機関名、URL 独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ) 沖縄貿易情報センター (ジェトロ沖縄) https://www.jetro.go.jp/ jetro/japan/okinawa.html 事業内容等 所在地、担当部署(連絡先) 国内外ネットワークを活用し、 那覇市小禄1831番地1 対日投資の促進、農林水産 (沖縄産業支援センター609号室) 物・食品の輸出や中堅・中小 企業等の海外展開支援等を TEL:(098)859-7002 行う 公益財団法人 沖縄県産業振興公社 http://okinawa-ric.jp/ 地域ビジネスに関する情報提 供、県内企業の海外ビジネス 支援、外資系企業の誘致、県 産品の販路拡大、外国人観 光客の誘致を行う 株式会社 沖縄県物産公社 http://www.washita.co.jp/info/ 沖縄県産品のアンテナショッ プ「わしたショップ」を運営。 沖縄県産品の海外への販路 開拓や企業支援を行っている 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 沖縄事務所 http://www.smrj.go.jp/okinawa/ 那覇市小禄1831番地1 中小企業の海外進出をサ (沖縄産業支援センター313-1号 ポート。 室) 本部及び全国9ヶ所の地域本 部で、海外ビジネスの専門家 TEL:(098)859-7566 が相談対応を行っている 沖縄県よろず支援拠点 http://yorozu.okinawa/ 那覇市小禄1831番地1 国(中小企業庁)が全国に設 (沖縄産業支援センター4階・沖縄 置する経営相談所。中小企 県産業振興公社内) 業・小規模事業者・個人事業 主の売上拡大、経営改善な TEL:(098)851-8460 ど、経営上の相談に対応 独立行政法人 国際協力機構 JICA(ジャイカ)沖縄 http://www.jica.go.jp/okinawa/index. html 日本の政府開発援助(ODA) 浦添市前田1143-1 を一元的に行う実施機関とし (沖縄国際センター) て、開発途上国への国際協 TEL:(098)876-6000(代表) 力を行う 沖縄振興開発金融公庫 http://www.okinawakouko.go.jp/ ジェトロ等と連携し、海外展開 那覇市おもろまち1-2-26 に関する企業への融資等を 融資第一部地域振興班 行っている 那覇市小禄1831番地1 (沖縄産業支援センター4階) 海外・ビジネス支援課 TEL:(098)859-6238 TEL:(098)859-6255(代表) 那覇市小禄1831番地1 (沖縄産業支援センター7階) 海外事業部(H27.4~) TEL:(098)859-6325 TEL:(098)859-6456(代表) TEL:(098)941-1961 66 支援機関名、URL 事業内容等 所在地、担当部署(連絡先) 那覇港管理組合 http://www.nahaport.jp/ 沖縄県、那覇市及び浦添市 の3自治体で構成された一部 事務組合で、平成14年4月1 沖縄県那覇市通堂町2-1 日設立。 那覇港の管理者として、物流 企画建設部企画室 施設の整備、新規航路実証 TEL:(098)868-4544 実験、コンテナの補助等を 行っている 一般社団法人 沖縄県発明協会 http://www.okinawa-jiii.jp/ 発明の奨励と振興、産業財産 権制度の普及啓発、特許情 報等の提供サービスの事業を 行っている。 「地財総合支援窓口」を設置 し、知的財産権に関する相談 に応じている うるま市字州崎12-2 (沖縄県工業技術センター1F) (地財総合支援窓口) TEL:(098)995-8778 (協会代表) TEL:(098)921-2666 沖縄県商工労働部 国際物流商業課 http://www.pref.okinawa.jp/site/sho ko/kokusaibutsuryu/index.html 沖縄県農林水産部 農 (流通・加工推進課、水産課、糖業農 産課、畜産課) http://www.pref.okinawa.jp/ 那覇市経済観光部 (商工農水課) http://www.city.naha.okinawa.jp/kak uka/syoukou/ 「沖縄21世紀ビジョン」計画に 基づき、沖縄県産業振興公社 等と連携し、企業の海外展開 を支援。 国際物流拠点、沖縄国際物 流ハブ関連業務を所掌 「沖縄21世紀ビジョン」計画に き、農林水産 畜産物 基づき、農林水産・畜産物の 輸出を支援。 水産物の輸出証明書を水産 課で発行している 「中小企業事業者の県外・海 外向け販路拡大支援事業」 那覇市内の中小企業を対象 に、海外展開や、見本市等出 展のための補助を実施してい る 内閣府沖縄総合事務局 経済産業部 貿易関係全般、企業等の海 (商務通商課・国際室、地域経済課) 外展開支援や、調査事業等 http://www.ogb.go.jp/keisan/index.ht を行っている ml 内閣府沖縄総合事務局 農林水産部 農林水産物等輸出相談窓口 http://ogb.go.jp/nousui/yusyutu/sou dan.pdf 農林水産物・食品の輸出に関 する相談について対応する 「農林水産物等輸出相談窓 口」を開設。 食品等(水産物・酒類除く)の 「輸出証明書」の発行を行っ ている 67 那覇市泉崎1-2-2 沖縄県庁8階 国際物流商業課 TEL:(098)866-2340 TEL:(098)866-2333(代表) 那覇市泉崎1-2-2 沖縄県庁9階 流通・加工推進課、水産課、糖業 農産課、畜産課 TEL:(098)866-2333(代表) 那覇市泉崎1-1-1 那覇市役所6階 経済観光部商工農水課 TEL:(098)951-3212 那覇市おもろまち2-1-1 那覇第2地方合同庁舎2号館9階 商務通商課・国際室、地域経済課 TEL:(098)866-0031(代表) 那覇市おもろまち2-1-1 那覇第2地方合同庁舎2号館8階 農政課(相談窓口) TEL:(098)866-1627 食品・環境課(輸出証明書) TEL:(098)866-1673 ②沖縄県内の海外展開関連のワンストップサービス相談窓口 ○沖縄県よろず支援拠点 国(経済産業省中小企業庁)が平成26年に全国に設置した、中小企業向けの相談窓口。(独法)中小 企業基盤整備機構が「よろず支援拠点全国本部」として位置付けられており、各よろず支援拠点をバック アップしている。 沖縄県は「沖縄県よろず支援拠点」として沖縄県産業振興公社内に設置され、沖縄の企業の相談全般 や、海外展開関係の相談にも応じている。相談内容に応じ専門家チームで対応、また、関係機関や施策 の紹介を行うワンストップサービスを行っている。 (沖縄県よろず支援拠点HP) 68 (2)主な海外展開関連会議等 沖縄からの海外展開を促進させるため、現在行政や公的支援機関が経済界及び学識経験者等と 連携し、委員会及び会議等が開催されている。 ○沖縄県アジア経済戦略構想策定委員会 沖縄県は、平成26年度に「沖縄21世紀ビジョン(沖縄振興計画)」に基づき、「沖縄県アジア経済 戦略構想」策定事業を開始した。アジアの巨大なマーケットの中心に位置する沖縄の地理的優位性 を活かし、成長著しいアジアのダイナミズムと連動することでアジアの活力を取り込み、沖縄県の自立型 経済を発展させる。 構想策定にあたり委員会・作業部会を設置。各種関連調査を実施し委員会に報告した上で、 平成27年度までに戦略構想を策定、構想に基づき施策展開する予定となっている。 (事務局:沖縄県商工労働部産業政策課) 沖縄県アジア経済戦略構想策定委員会 委員名簿 ◎会長 ○副会長 作業部会 分野 氏 名 所属団体及び職名 ( )は可能な場合 に参加 沖縄国際大学産業情報学部 教授 第2部会 (第1、3部会) 石田 達也 ジェトロ沖縄貿易情報センター 所長 第1、2、3部会 観光 上地 恵龍 琉球大学観光産業科学部 客員教授 第2部会 第3部会 4 物流 赤嶺 真一 沖縄ヤマト運輸株式会社 代表取締役社長 第1部会 5 物流 植松 只裕 ANAホールディングス株式会 社グループ経営戦略部 副部長 第1部会 第2部会 6 物流 萩野 章次郎 双日ロジスティクス株式会社 元専務取締役 第1部会 第3部会 7 経済全般 安里 昌利 ○ 一般社団法人沖縄県経営者協会 会長 第1部会 第2部会 8 製造業 金城 盛順 一般社団法人ものづくりネット ワーク沖縄 代表理事 第1部会 9 情報産業 名護 宏雄 株式会社コンピュータ沖縄 代表取締役 第3部会 10 グローバル 人材育成 益戸 正樹 バークレイズ証券株式会社 顧問 第3部会 (第1、2部会) 1 地域経済 富川 盛武 ◎ 2 貿易・海外 ネットワーク 3 作業部会 担 当 分 野 第1部会 貿易・海外ネットワーク、物流、製造業、農林水産(グローバル人材育成) 第2部会 観光、健康医療、地域経済・アジア経済(グローバル人材育成) 第3部会 情報通信、環境・エネルギー、グローバル人材育成 (沖縄県アジア経済戦略構想関連資料(沖縄県庁HP)に基づき作成) 69 ○沖縄国際物流戦略チーム 平成9年、政府は「総合物流施策大綱(1997-2001)」を閣議決定。「総合物流施策大綱(2002-2004)」 に引続いて閣議決定された「総合物流施策大綱(2005-2009)」においては、国や地域による施策の推進 体制の構築が提言された。沖縄においては平成19年3月に、国際物流拠点の形成を図るべく、効率的・ 効果的な国際物流体系の構築に向けた今後の戦略を検討していく「沖縄国際物流戦略チーム」を設立。 平成20年に「沖縄の国際物流戦略に関する提言」がなされ、提言の実現化に向けて取組を進めている。 (事務局:沖縄県商工会議所連合会、沖縄総合事務局開発建設部港湾計画課) 【平成26年度 沖縄国際物流戦略チーム本会合名簿】 (平成27年2月27日現在・順不同) 役職 所 属 経 済 団 体 等 物 流 関 係 団 体 等 行 政 関 係 者 氏名 沖縄県商工会議所連合会 会長 國場 幸一 沖縄経済同友会 代表幹事 玉城 義昭 (一社)沖縄県経営者協会 会長 安里 昌利 沖縄地方内航海運組合 理事長 山城 博美 (一社)沖縄港運協会 会長 照喜納 建二 (一社)沖縄県倉庫協会 会長 伊舎堂 栄 沖縄県冷蔵倉庫協会 会長 新里 孝 (公社)沖縄県トラック協会 会長 國吉 保武 那覇国際コンテナターミナル(株) 取締役 中城湾新港地区協議会 会長 名護 宏雄 (株)ANA Cargo 沖縄統括室 室長 谷村 昌樹 那覇市 市長 城間 幹子 浦添市 市長 松本 哲治 沖縄市 市長 桑江 朝千夫 うるま市 市長 島袋 俊夫 沖縄県 土木建築部長 末吉 幸満 沖縄県 商工労働部長 下地 明和 那覇港管理組合 常勤副管理者 金城 勉 国土交通省 大阪航空局 空港部長 奥田 薫 沖縄地区税関 次長(総務担当) 森 英樹 厚生労働省 那覇検疫所 所長 柏樹 悦郎 第十一管区海上保安本部 次長 今井 忠義 内閣府沖縄総合事務局 経済産業部長 牧野 守邦 内閣府沖縄総合事務局 運輸部長 坪井 史憲 内閣府沖縄総合事務局 開発建設部長 島袋 修 小平田 浩司 (沖縄国際物流戦略チーム第10回本会合資料(沖縄総合事務局HP)) 70 ○沖縄地域農林水産物等輸出促進協議会 平成17年4月に「農林水産物等輸出促進全国協議会」(以下「全国協議会」)設立。平成19年5月に 「我が国農林水産物・食品の総合的輸出戦略」が決定され、同年7月に「沖縄地域農林水産物等輸出 促進協議会」設立。更に、2013(平成25)年8月策定の「農林水産物・食品の国別・品別輸出戦略」、 平成26年6月閣議決定された「「日本再興戦略」改訂2014」に基づき、全国協議会の下に「輸出戦略 実行委員会」が設置された。 (事務局:沖縄総合事務局農林水産部農政課) 【沖縄地域農林水産物等輸出促進協議会構成員】 (平成26年10月1日現在・順不同) (◎会長、○副会長) 所 属 所属・役職 内閣府 沖縄総合事務局 次長 農林水産部長 農林水産部 総務調整官 沖縄地区税関 農林水産省 那覇植物防疫事務所 植物検疫所 ◎ 幸田 淳 ○ 伊元 武信 農政課長 原 孝文 経営課長 白坂 進一 生産振興課長 奥平 雅彦 畜産振興室長 前田 博 消費・安全課長 遠山 清尚 食品・環境課長 冨里 清 林務水産課長 勢理客 安彦 平良 浩二 商務通商課長 玉城 秀一 開発建設部 港湾計画課長 花田 祥一 企画室長 成田 佳奈子 酒類業調整官 譜久村 意次 統括審査官 久場島 清隆 所長 渡久地 章男 大塚 誠也 沖縄支所長 沖縄県 田中 愛智朗 経済産業部 地域経済課長 運輸部 財務省 沖縄国税事務所 氏名 農林水産部長 農林水産部 農政企画統括監 農業振興統括監 山城 毅 金城 陽一 大城 健 農漁村基盤統括監 増村 光広 農林水産総務課長 長嶺 豊 流通・加工推進課長 宜野座 葵 営農支援課長 新里 良章 園芸振興課長 松尾 安人 糖業農産課長 西村 真 畜産課長 長崎 祐二 水産課長 新里 勝也 商工労働部 国際物流推進課長 慶田 喜美男 (独)日本貿易振興機構沖縄貿易情報センター 所長 石田 達也 沖縄振興開発金融公庫 融資第三部 農林漁業融資班課長 當間 直治 (公社)沖縄県工業連合会 専務理事兼事務局長 沖縄県農業協同組合 常務理事 安次富 均 沖縄県花卉園芸農業協同組合 代表理事組合長 宮城 重志 沖縄県漁業協同組合連合会 代表理事会長 國吉 眞孝 (株)沖縄県物産公社 海外事業部 海外事業課長 金城 辰三 桑江 修 (平成26年度沖縄地域農林水産物等輸出促進協議会資料(沖縄総合事務局HP)) 71 ○沖縄国際ハブクラスター推進会議 アジア経済圏等の新たな市場拡大に向けた民間ビジネス戦略を展開する場として、関係企業を中心に 大学、金融機関及び関係支援機関等で形成される沖縄国際ハブクラスターを推進するため、「平成26 年度新産業集積創出基盤構築支援事業(沖縄国際ハブクラスター形成推進事業)委託事業実施計画」 に基づき、沖縄国際ハブクラスター推進会議を設置した。 【事務局】 (一財)南西地域産業活性化センター(内閣府沖縄総合事務局経済産業部委託) 与那覇嘉隆クラスターマネージャー、栃木晃コーディネーター(物流担当)、原一広コーディネーター(広域連携担当) 沖縄国際ハブクラスター推進会議 委員名簿 (平成27年3月現在) 産業界(五十音順) 赤嶺 真一 沖縄ヤマト運輸株式会社 代表取締役社長 新垣 旬子 株式会社新垣通商 代表取締役 小嶺 淳 株式会社沖縄県物産公社 代表取締役社長 谷村 昌樹 株式会社 ANA Cargo 沖縄統括室長 渕辺 俊一 株式会社ジェイシーシー 代表取締役会長 又吉 真由美 えんグループ 代表 宮城 幹夫 金秀バイオ株式会社 代表取締役社長 山川 朝賢 株式会社アイディーズ 代表取締役社長 山城 博美 琉球海運株式会社 代表取締役社長 支援機関等 玉城 義昭 沖縄経済同友会 代表幹事 外間 登美子 国立大学法人 琉球大学 理事・副学長 宮城 健三 沖縄振興開発金融公庫 融資第一部長 金城 棟啓 一般社団法人 沖縄県銀行協会 会長 屋比久 盛敏 公益財団法人 沖縄県産業振興公社 専務理事 下地 明和 沖縄県 商工労働部長 牧野 守邦 内閣府沖縄総合事務局 経済産業部長 オブザーバー 石田 達也 独立行政法人日本貿易振興機構 沖縄貿易情報センター所長 三澤 孝 独立行政法人中小企業基盤整備機構沖縄事務所長 幸田 淳 内閣府沖縄総合事務局 農林水産部長 【研究会・WG】 沖縄ハブクラスター参画企業を中心に作業部会を設置。 食品加工施設(セントラ 食品メーカー・商社・シンクタンク・関係支援機関・沖縄県等で構成。 ルキッチン等)整備に 平成27年度は「海外対応セントラルキッチンプロジェクトチーム」を設置 係る研究会 物流機構WG 物流業者・人材育成機関・港湾管理者・沖縄県・沖縄総合事務局長等で構成。平成27年 度は「国際海上プロジェクトチーム」を設置し推進 環境・エネルギーWG 県内環境・エネルギー関連企業で構成 『平成26年度「新産業集積創出基盤構築支援事業」沖縄国際ハブクラスター形成推進事業報告書』(沖縄総合事務局HP) 72 (3)自治体の海外展開支援の取組(大阪市の事例から) 平成25年度調査において、沖縄の企業より、自治体が官民挙げて海外展開に取組んでいる旨の情報が あり、事例として大阪市が挙げられていることから、大阪市産業戦略局、及び大阪 水・環境ソリューション 機構の事務局である(一財)都市技術センターの担当者に対し、大阪市の海外展開の状況を聞いた。 大阪市経済戦略局 立地推進部 http://www.city.osaka.lg.jp/keizaisenryaku/soshiki_list.html 【経済戦略局紹介・大阪市HPより】 「にぎわいを創出し、世界中から人・モノ・投資等を呼び込むた め、観光・文化・スポーツの振興や国際化に関する施策、公立大学法人大阪市立大学の支援、総合 特区制度に関する施策や企業立地支援、中小企業の活性化に取り組んでいます。」 【経済戦略局関連施設】 ・「大阪産業創造館(サンソウカン) 」・・・中小・ベンチャー企業支援拠点。大阪市経済戦略局の外郭 団体である「(公財)大阪市都市型産業振興センター」が運営 ・「インテックス大阪」・・・国際展示場・会議場。大阪市、大阪府等の出損する「(一財)大阪国際経済 振興センタ(IBPC大阪)が運営 ①大阪市経済戦略局立地推進部の海外展開関連事業 ○大阪市のビジネスパートナー都市交流事業(BPC事業)BPC=Business Partner City 【事業概要】 ・昭和63年より事業開始。大阪市と大阪商工会議所等経済団体が、ビジネスパートナー都市としてア ジア大洋州13都市の行政機関、商工会議所等経済団体と連携 ・都市間のネットワーク強化及び交流を図るため、年1回のBPC交流会、研修生受入れ、商談会やセ ミナー等を開催。在阪中小企業に対する国際ビジネス活動の支援を行う ・委託先: 般財団法人 大阪国際経済振興センタ 大阪国際経済振興センター(IBPC大阪) (IBPC大阪) ・委託先:一般財団法人 【提携都市】 ・提携都市⇒香港、シンガポール、バンコク、 クアラルンプール、マニラ、ジャカルタ、ソウル、 上海、天津、ホーチミン、ムンバイ、メルボルン、 オークランド ○海外展開支援プロジェクト(OBDI) OBDI=Overseas Business Dovelopment Initiative (IBPC大阪HP) 【支援の状況】 ・海外展開を模索している中小企業にコーディネーターを派遣し、海外展開の支援を行っている。 ・コーディネーターには商社OBや、コンサル会社社員等が就任 ・大阪市内のみならず、大阪市外の企業も対象 ・委託先:公益財団法人 大阪市都市型産業振興センター(平成26年度) 【課題】 ・OBDIの委託団体は毎年度契約へと変更になった。通常、相手国企業との成約には複数年を要す るが、同事業が単年度となっていることから、時期によっては支援が途中で打ち切りになるおそれがあ る(企業には単年度ごとの支援である旨予め説明している) ・コーディネーターに支払う報酬が高いとの指摘があり、予算としては削減傾向。平成27年度以降の 事業方針として、BPC事業とOBDI事業を1つにまとめる案も出ている ※OBDI事業は、平成27年3月31日をもって事業終了。海外展開支援プロジェクトは、大阪産業創 造館に設置された、「海外展開支援相談窓口」、「BPC等交流交流事業」に事業移管されている。 (海外進出相談窓口) http://www.sansokan.jp/overseas/consult/ (BPC等交流交流事業) http://www.city.osaka.lg.jp/keizaisenryaku/page/0000220529.html 73 ②大阪 水・環境ソリューション機構(OWESA)の水・環境関連産業海外展開支援 http://www.owesa.jp/ 大阪 水・環境ソリューション機構(OWESA) ・大阪市(建設局、水道局、環境局、経済戦略局※) 関西経済連合会、大阪商工会議所により、平成23年度設立。 平成24年度より大阪府も参画(事務局:(一財)都市技術センター) ※H23年度当時は、政策企画室、経済局だが、H25年度の組織改編で、 機構関連業務を経済戦略局に集約 ・(OWESAパンフレットより・本機構について) 「大阪では、 これまで、水・環境に係わる様々な課題を官、民両者の様々な 取組により克服してきました。本機構では、行政が持つ都市 経営のノウハウおよび民間が持つ先進的な要素技術を活用 しながら、大阪・関西企業の海外展開を支援しつつ、アジアを 中心とした海外の多様な水・環境問題の解決を目指します。」 【大阪水ビジネスの背景】 ・大阪は、琵琶湖や京都からの排水が淀川を通って大阪湾に流れ込むことで水環境が悪化したことに 加え、1960年代の高度経済成長に伴う工場のばい煙等による大気汚染が深刻となり、大阪市及び企 業の取組みにより環境問題を克服した、という経緯がある 【大阪 水・環境ソリューション機構】 ・当機構は、大阪府市の部局、経済団体が構成団体となっているが、部局ごと案件ごとにそれぞれ海 外展開活動をしている。活動状況や情報は、機構の構成部局間で情報共有している ・通常の海外展開活動は、参画企業主体で推進されており、相手国政府や公的機関等との調整等に ついては自治体側も前面に出て対応している ・大阪商工会議所を通じ大阪の企業と連携している。なお、中小企業の海外展開は、大阪商工会議 所も独自に実施している。(近畿経済産業局とも連携) ・JICAのODA、環境省の国際環境協力事業、経済産業省(NEDO)の調査事業にこれまで参加して いるが、相手国側等との成約までは至っていない 【ベトナムでの日本自治体の取組】 ・ベトナムでは、横浜市、北九州市、大阪市が事業に取組んでおり、北九州市(ハイフォン等4都市)が 先行、次いで横浜市(ハノイ)が続く ・ベトナムでの活動は日本の各自治体で地域ごとに住み分けができている ・中国や韓国企業の進出もあるが、ベトナム企業も育ってきていることから、ベトナム企業と連携しない とビジネスを進めるのは厳しい状況となってきている 【課題】 ・課題としては、本社は大阪に所在しているものの海外部門は東京、という企業が多く、会議等でも東 京から出張してもらうことがあるなど、連携が容易でない部分もある。また、連携民間企業の多様化も 課題とのこと (OWESA HP) 74 ③経済産業省近畿経済産業局の海外展開支援 経済産業省の地方支分部局である近畿経済産業局は、自治体・経済界・産業支援機関等と連携し、 関西企業の海外展開支援に取組んでいる。ベトナムでは、現地政府との連携によるビジネス交流の 促進や裾野産業の育成を進めており、環境・省エネ分野においては、Team E-Kansaiの取組を通じて、 アジアでのビジネス展開を支援している。 ○関西ベトナム経済交流会議 近畿経済産業局はベトナムとの経済交流を発展されるため、平成24年4月27日、国、公的支援機関、 地方自治体から構成される「関西ベトナム経済交流会議」を設置し、具体的な取組について議論を 進めている。 (経済産業省近畿経済産業局HP) ○近畿経済産業局がベトナムと締結した主な経済協力枠組 署名日時 2012(平成24)年 ベトナム側 ベトナム商工省 11月28日 文書名(和訳) 「日本国経済産業省近畿経済産業局及びベトナム社会主義共和国 商工省による経済協力枠組」 【協力文書の対象4分野】 1.経済・貿易・ビジネス交流の促進に関する協力 2.ベトナムにおける裾野産業育成に関する協力 3.環境・省エネ分野における経済協力 4.産業人材育成に関する協力 2013(平成25)年 4月8日 2014(平成26)年 6月2日 ドンナイ省 「日本国経済産業省近畿経済産業局及びベトナム社会主義共和国 人民委員会 ドンナイ省人民委員会による経済協力枠組」 ホーチミン市 「日本国経済産業省近畿経済産業局及びベトナム社会主義共和国 人民委員会 ホーチミン市人民委員会による経済協力枠組」 ホ チミン市人民委員会による経済協力枠組」 75 (4)沖縄と香港の経済交流 ①沖縄県と香港貿易発展局との覚書(MOU) 沖縄県は、平成26年8月に、香港貿易発展局(HKTDC)と経済連携強化を目的に覚書(MOU) を締結した。 (沖縄コンベンションビューロー(OCVB)HP) ②沖縄日本香港協会 日本香港協会は、日本と香港の文化・経済・社会面で交流の輪を広げることを目的に民間の 任意団体として1988(昭和63)年に東京に設立。2002(平成14)年に特定非営利法人となる。 2008(平成20)年10月、全国にある協会の取りまとめ役として「全国連合会」を発足した。 全国連合会は、香港貿易発展局東京事務所に事務局を置き、地区協会が主催するビジネス セミナーや会員同士の交流の場となるパーティーなど、様々な活動を支援している。 沖縄県においては、同年、文化および経済の交流に資することを目的に全国で9番目の協会 となる「沖縄日本香港協会」を発足。会長に、沖縄県商工会議所連合会会長(株式会社國場組 代表取締役社長)の國場幸一氏が就任。那覇商工会議所内に事務局を設置している。 なお、國場会長は、2012(平成24)年4月から2014(平成26)年3月の間、日本香港協会全国 連合会の二代目会長に就任している。 ※香港貿易発展局(HKTDC) 香港政府が香港の対外貿易・経済関係促進を目的として1966(昭和41)年に発足した特殊法人。 ※香港ビジネス協会世界連盟(通称“Federation”)とは、2000(平成12)年に香港貿易発展局が世界 24カ国に展開している香港ビジネス協会を統括して発足した非営利組織(国際的ネットワーク)。 日本香港協会は、Federationに参加している団体の一つとなっている。 (参考:日本香港協会、沖縄日本香港協会、香港貿易発展局HP) 76 (5)沖縄県内の海外展開関連ビジネスマッチングイベント 沖縄においては、経済界が行政、公的支援機関等と連携し、海外展開を促進するための ビジネスマッチングイベントを開催している。 主な沖縄県内開催のイベントは以下の通り。 イ ベ ン ト 名 沖縄ベンチャーマーケット 「万国津梁大異業種交流会」 沖縄大交易会 主催:オキナワベンチャーマーケット運営事務局 主催:沖縄大交易会実行委員会 運 営 主 体 等 ((株)OKINAWA J-Adviser内) 創設会員:沖縄県、沖縄懇話会 共催:(公財)沖縄県産業振興公社 運営:沖縄大交易会実行委員会事務局((公財) 沖縄県産業振興公社内)、㈱JTB西日本、 ㈱JTB沖縄、㈱アカネクリエーション 第1回 開催年 概 要 参 加 企 業 数 2010年 2014年(2013年プレ交易会開催) 新たなビジネスチャンスの創出を目的に、様々な 東アジアの中心に位置する沖縄の地理的優位性 ニーズを持った沖縄県内、県外、アジアの技術開発 を活かした国際物流ネットワークを活用し、日本全国 系企業、食品・サービス分野の企業が一堂に会し、 の特産品等の海外販路拡大につなげることを目的 ビジネスパートナーを探索する、沖縄初の本格的 に開催。事前マッチング型においては日本最大規模 BtoB型ビジネスマッチングイベント の「食」をテーマとした国際食品商談会 出展企業 254社 サプライヤー 200社(県外142社、県内58社) (沖縄県内 98社、県外 42社、海外 114社) バイヤー 182社(海外116社、国内66社) (2015年第6回実績) (2015年第2回実績) (出典:㈱)OKINAWA J-AdviserHP及び会社資料) 77 (出典:沖縄大交易会HP) 3.海外展開の課題について(現状調査) 78 (1)外国人観光客(インバウンド)向け観光と沖縄県産品PRの状況 沖縄県内の那覇クルーズターミナル及び那覇空港国際線ターミナル においての沖縄県産品のPRの状況について、関係機関にヒアリングを 行った。 ①那覇クルーズ船ターミナル クルーズ船ターミナル内での県産品の販売等は、ほとんどのクルーズ船の停泊時間が8~10時間 であることから、島内観光の時間も制限があり、販売等によりバス・船の発着の遅れ等に影響するこ とから断られている状況である。 クルーズ船が来るようになった当初は、船から客が降りられてから歓迎レセプションを行っていたよ うだが、今は着岸前に船上から見ていただき、降船後はすぐにバスが出発できるようにしているよう である。 少しでも観光や買い物に時間を費やしたい、客の要望等に応えてのことだが、今後は、クルーズ 船内売店等で販売やプロモーションをできないか検討している。 これまで、沖縄の物産販売を即席的に何回か実施したが、船着き場で当地物産の販売が行われ ていると船内での事前告知がなかったため、船客が知っていないことから、期待した売上に繋がら なかったことがあると聞いている ・平成25年12月、フェリー「飛鳥Ⅱ」において、沖縄県産品の販売を実験的に行ったことがある ・船会社からは、船内において沖縄県産品等の商品販売をしてもらいたい旨のリクエストが入ってい る ・平成26年12月、クルーズ船ターミナルのピロティ部分で、「飛鳥2」の乗客を対象に沖縄県産品の 販売を行った。売上げは当初目標を達成できなかった。13時から18時まで約5万円の売上。乗客 は、買物に取る時間よりも、観光する時間がほしいという要望が強く、今後の課題として残った。(ク ルーズ船ターミナル内においては、営業行為はNGとなっている) ・スタークルーズ社の「アクエリアス号」が那覇から石垣への寄港したが、船用レストランにおいてブ ルーシールアイスクリームやオリオンビールが振る舞われた。また、売店においては、ナンポー通商 の菓子を扱っていた ・船の売店は免税であるが、国により輸出入に制限がある食品があることから、売店で取り扱う食品 を事前に調べておく必要がある ・年々増加するクルーズ船で来訪する外国人クルーズ客に対して、クルーズターミナルの賑わいづ くりは必要であると考えており、併せて沖縄県産品PRの取組も進めていく必要がある ・沖縄を訪れるクルーズ船は殆どが日帰り観光となる。中国人客は殆どがツアー客のため、ツアー バスで観光や買い物をしている。ツアー客が3000人に上る場合もあり、その際はバスも一度に70~ 90台で移動することとなる。入国手続は約1時間30分を要する ・台湾人客は全体の半数はツアーに出るが、残り半数は個人でタクシーやレンタカーによる観光を 行っている ・欧米人客はバスツアーは少なく、フリーで観光を楽しんでいる ・歓迎セレモニーや式典は初寄港時のみに実施しているが、歓送のセレモニーは毎回実施してお り、乗客は船のデッキから鑑賞している ・課題としては以前、クルーズターミナルのピロティ部分で沖縄県産品のPRやテスト販売を行ったこ とがある。那覇港→台湾→日本というルートだったことから、那覇港で購入した商品が(台湾からの) 輸入品扱いとなるため、肉類(加工品を含む)の販売ができなかった ・県産品のPRや販売は、来訪するクルーズ客の国籍や販売する商品の輸出輸入の可否等を確認 して実施する必要がある ※消費税法等の一部改正により、外国人旅行者向けの免税品の対象が、平成26年10月1日より消耗品等 全品目に拡大された。また、平成27年4月1日より、クルーズ船の寄港する港湾施設内に、免税店を臨時 出店する手続きが簡素化されることとなった。 79 ②那覇空港国際線ターミナル 【国際線ターミナル店舗出店】 (関係機関ヒアリング) 国際線ターミナル内に県産品(健康食品含む)を扱う企業の出店予定があり、その店舗を活用し てプロモーションを行いたいと出店企業に相談している。 企業側からは、了承をいただいているが最終的な了承はビル・税関等の問題もあり、可能か出店 後に空港側に確認したいと考えている。 ※平成26年11月、健食沖縄株式会社が、国際線ターミナル内に「KENSHOKU OKINAWA」を オープンした。 ※国際線ターミナル内での企業及び観光関連パンフレット設置について、当調査担当者が那覇空港 に問い合わせたところ、那覇空港ビルディング株式会社及び沖縄観光コンベンションビューローの 設置する観光案内所より、以下の通り返答があった。 【パンフレット設置について】 ・ターミナル内のパンフレットラック及びレンタルボックスは、OCVBが設置している。 ・パンフレットを設置するには、OCVBの賛助会員になる必要がある。 ・ラック及びレンタルボックスは企業への割り当て枠が埋まっておりキャンセル待ちになる場合が あることから、OCVBへの問合せが必要。 ・3週間の期間限定で、夜間に限りパンフレットが設置できる「夜置き」がある。 【年度別沖縄県入域観光客数】 沖縄県を訪れる観光客は、平成23年度から増加している。特に外国人観光客は、平成25年度・ 平成26年度は前年度比で大幅に増加している。 【年度】年次別入域観光客数の推移(国内外・空海路別) (単位:人) 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 入域観光客数 (総数) 5,129,700 5,171,600 5,571,500 5,705,100 5,892,300 5,934,300 国内客 5,020,900 5,048,700 5,433,600 5,608,300 5,703,500 5,697,300 外国客 108,800 122,900 137,900 96,800 188,800 237,000 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 入域観光客数 (総数) 5,690,000 5,705,300 5,528,000 5,924,700 6,580,300 7,169,900 国内客 5,443,800 5,422,500 5,226,600 5,542,200 5,953,100 6,183,900 外国客 246,200 282,800 301,400 382,500 627,200 986,000 国内客 年次別沖縄県入域観光客数の推移(国内外) 外国客 入域観光客数(総数) (単位:人) 8,000,000 7,000,000 6,000,000 5,000,000 4,000,000 3,000,000 2,000,000 1,000,000 0 (『平成26年沖縄県観光要覧』を基に作成) 80 ③外国人観光客誘客活動、受入れの状況(インバウンドビジネス) (ヒアリング先:OCVB) 【旅行博覧会】 ・世界各国が主催する旅行博覧会に、沖縄県と沖縄コンベンションビューロー(OCVB)が出展し、 沖縄観光をアピールしている。博覧会には、スポーツ、ウエディング、ダイビング関連企業も出展 ・OCVBには、沖縄県内企業500社が賛助会員となっているが、博覧会には、賛助会員になってい なくても出展は可能。出展料は無料で、渡航費は2分の1の助成がある(半分は出展業者負担) 【沖縄文化・芸能のPR】 ・中国上海や台湾において、沖縄の伝統文化のPRの一環で、伝統芸能等や沖縄のバンドによる公 演を行うため、沖縄県やOCVBがコーディネートした。 具体的には、モンゴル800、HY、オレンジレンジ、夏川りみが台湾においてコンサートを行うた め、OCVBがコーディネートした。台湾での会場確保や、コンサートのFacebookでのPRは、現地 コーディネータが担当。 台湾では、日本のファッション雑誌等が日本語版、中国語版で販売されており、雑誌を通じて沖 縄のことを知っており、沖縄のアーティストへの認知度は高い 【パンフレット、自治体による誘客PR】 ・OCVBが観光用PRに、8言語、69種類のパンフレットを作成している。パンフレットには沖縄の企 業の特産品を掲載している。行政や団体からの依頼があれば、沖縄の特産品を掲載することも可能 である ・沖縄県香港事務所と連携し、沖縄の自治体が香港においてPRを行った 読谷村・・・村長を始めとした、読谷村及び読谷の物産のPRを行った。国際旅行博への読谷村出 展のための予算化も行っているとのことである 久米島町・・・㈱ポイントピュール等、久米島の企業とタイアップし、久米島の観光PRを行った 【外国人観光客の受入れ状況(インバウンドビジネス】 ≪土産品≫ ・外国人にとって、日本製品は品質が良く安心できるというイメージがあり、土産品についても、中国 語や英語表記したものはイメージが良くないという話もある (あくまでも日本製を求める) 語や英語表記したものはイメージが良くないという話もある。(あくまでも日本製を求める) ・那覇市国際通りのドンキホーテは、24時間営業ということもあり、外国人観光客でにぎわっており、 売上もドンキホーテの中で全国1位であると言われている。豊見城市アウトレットモールあしびなー 内のラオックスの売上も良いとのこと ≪飲食店≫ ・沖縄滞在中の食事については、ラーメンや日本料理が好まれている。国際通りのステーキ店も、 外国人受入れの体制を整えている ・課題としては、居酒屋等の飲食店については、店の入り口にメニュー料金が出ておらず、外国語 表記もなされていない店が多いことから、外国人観光客がどのような料理が出されるのか不安が あったり、どの店に入っていいのか分からない、という点がある。特に沖縄の魚は、魚の写真や多言 語化し外国語表記をメニューに行うのが望ましいと思われる。店側も、日本人観光客の対応で充分 という意識があり、外国人観光客への対応まで回っていないのが現状である ・OCVBでは、メニュー等の多言語化への対応も行っている ≪ナイトエンターテインメント等≫ ・ナイトエンターテイメントは、若者にニーズはあると思う。アジアの中ではタイ人は夜遊びが好きで あり、本国ではゴーゴーバーが盛況である ・沖縄でも、ノンバーバルパフォーマンス「TEE!TEE!TEE!」の公演があったが、沖縄県民でな いと分からない表現も見受けられ、外国人観光客向けとしては今後課題が残った ・南米の国からは、ダンスクラブ営業の店を紹介してもらいたい旨の依頼が来て、対応できる店を紹 介したことがある ・読谷、恩納村に宿泊した外国人観光客は、コンビニエンスストアで酒を買い、ホテルの部屋で飲ん でいることもあるという 【中国版無料通信アプリ(微信、Wechat(ウィーチャット)】 ・平成26年10月、OCVBは、中国の「微信」に沖縄公式アカウントを開設した。中国人向けに沖縄 の観光情報を発信する。 宿泊施設や飲食店を運営する企業の他、沖縄県産品のPRや販売をしたい企業も登録を受け付 けている。 平成27年度より物販も取り扱う予定であるが、実際の商品のやり取りは微信内では行わず、事業 者-利用客(BtoC)とのやり取りとなる。よって、事業者側もアカウントを持つことが必要となる 81 ④クルーズターミナルの整備 那覇港、平良港、石垣港のクルーズ船ターミナルの整備について、国と港湾管理者が連携して 取組んでいる。 (沖縄国際物流戦略チーム第10回会合資料・:沖縄総合事務局開発建設部の取組より抜粋) 【クルーズ船の寄港回数】 2014(平成26)年のクルーズ船寄港回数は162回となっているが、2015(平成27)年の寄港回数は 247回を予定しており、前年比で大幅に増加する見込みである。 (回) 300 247回 250 186回 200 162回 125回 126回 150 100回 100 61回 50 21回 0 1 2 28 4 3 14 30 2006 2007 97回 102回 112回 3 5 5 38 47 49 56 57 52 53 2008 2009 2010 2011 1 3 40 2 1 5 4 1 52 65 67 56 2012 2013 6 3 3 3 7 15 その他 97 石垣港 73 80 2014 99 128 2015見込み (H26.12.22時点) 現 在 ※天候等により増減があり得る (沖縄国際物流戦略チーム第10回会合資料・:沖縄総合事務局開発建設部の取組より抜粋) ※港湾管理者(沖縄県、那覇港管理組合、宮古島市、石垣市)からのヒアリングに基づく(平成27年6月30日時点) (沖縄総合事務局開発建設部資料) 82 平良港 81 那覇港 (2)海上物流の現状、課題、支援状況 沖縄は島嶼県であり、他府県や外国へ貨物を輸送するには海路及び空路の利用が不可欠 である。平成25年度調査における企業ヒアリングにおいては、航路での輸送支援に対する要望 が挙がっており、海外展開を促進するためには、那覇空港の活用と同様、港湾関係の物流支援 も重要である。 海上物流の現状や課題について、関係機関に状況を聞いた。 ①那覇港における海上物流の現状 ・那覇港と那覇空港の貨物取扱量で、那覇港の占める割合は、約97%。 ・外貿・内貿コンテナの総取扱量は、490,946TEUで全国第8位(2013年速報値) ・外貿コンテナ取扱量は、85,970TEUで全国第15位(2013年速報値) ・内貿コンテナ取扱量は、404,976TEUで全国第3位(2013年速報値) 港湾別外貿・内貿コンテナ総取扱量ランキング 港湾別外貿コンテナ取扱量ランキング (2013年速報値) (2013年速報値) 順位 港湾名 順位 貨物量(TEU) 港湾名 貨物量(TEU) 1 東京(京浜) 4,353,394 2 横浜(京浜) 2,588,074 3 名古屋 2,530,154 4 大阪(阪神) 2,193,939 5 神戸(阪神) 2,048,889 6 博多 830,222 7 北九州 417,133 8 清水 407,603 490,946 9 苫小牧 211,162 北九州 487,669 10 四日市 193,533 苫小牧 327,294 11 新潟 180,526 12 広島 156,443 13 仙台塩釜 118,288 (2013年速報値) 14 水島 110,671 貨物量(TEU) 15 那覇 85,970 1 東京(京浜) 4,860,784 2 横浜(京浜) 2,888,200 3 名古屋 2,708,653 4 神戸(阪神) 2,553,257 5 大阪(阪神) 2,485,019 6 博多 926,948 7 清水 498,726 8 那覇 9 10 港湾別内貿コンテナ取扱量ランキング 順位 港湾名 1 東京(京浜) 507,390 16 伏木富山 73,059 2 神戸(阪神) 504,368 17 秋田 71,135 3 那覇 404,976 18 福山 70,636 4 横浜(京浜) 300,146 19 徳山下松 64,185 5 大阪(阪神) 291,080 20 三河 62,138 6 名古屋 178,499 国土交通省港湾局「港湾別のコンテナ取扱貨物量(2013年度速報値)」を基に作成 83 (那覇港管理組合資料) 【沖縄から香港への輸送について】 ・沖縄県産品の主要輸出先となっている香港について、香港への直行便については、マリアナ・ エクスプレス・ラインが唯一であるが、那覇港からグアム・サイパン・ハワイ・フィリピン等を経由 することから、沖縄から香港に到着するまで約20日かかる。沖縄から香港へのリードタイムの 短縮が課題となっている 【船社対象の社会実験】 ・平成25年度事業の一つとして、那覇港管理組合が船社を対象とした香港向け航路の社会実験 を行ったが、結果として航路開設に至らなかった ※平成26年度に、民間企業の業務提携により新たな香港向け航路のサービスが開始され、リード タイムの短縮が図られている 【ガントリークレーン】 ・那覇港に寄港するAPL(アメリカン・プレジデント・ラインズ)社の船には、5000TEU積みクラスが ある ・600本のコンテナの揚げ積みをガントリークレーン2基で行った場合は、約10時間を要する。 2基のうち1基が他船のコンテナの積み下ろしで使用できないと、1基で20時間かかることとなる ・平成26年度は、ガントリークレーンの3号機 を設置した。平成27年度中に4号機を設置 する予定となっている。1、2号機に比べ、より 大きい船にも対応できる機械となっている ・1・2号機を用いて大型船のコンテナ積み 下ろしを行う場合、クレーンが届かずコン テナを積載できない可能性があることから、 沖縄着の場合は、船に搭載したコンテナを あらかじめ岸壁側に移動させておく等の 工夫が必要である ※「ガントリークレーン整備事業」(平成24年 度~平成26年度)沖縄振興特別推進交付金 事業主体:那覇港管理組合 那覇港管理組合 『那覇港だより 2015.3 84 第13号』 ②沖縄の海上物流の課題 【片荷輸送】 ・日本本土や外国から沖縄への船便のコンテナに比べ、沖縄から出港する船のコンテナは貨物 が少なく、空コンテナ輸送となる片荷輸送構造のため、輸送コストが高くなっている。 (P103 統計資料参照) ・「移出貨物品目別構成図」の移出量の第1位 移出貨物品目別構成図 「その他輸送機械」は、コンテナを載せる荷台 (シャーシ)を指している。 沖縄から日本本土への貨物が少ないことから、 シャーシのみを返却している状況となっている 【新規航路開設】 ・新規航路開設については、例えば、那覇から 香港までの航路の目途がついても、香港から 先のルートにも輸送する荷物がないと、コスト高 となってしまうことから、新規航路を増やすことが 難しい 【ガントリークレーン】 ・ガントリークレーンのコンテナ積み下ろし時間 が重要。積み下ろしの予定時間を超過すると、 次の港の入港時間に間に合わせるため船の スピードを速くしなければならなくなり、重油代 等のコストがかかる 那覇港管理組合 『那覇港の統計2013(平成25)年)』 ③課題解決に向けての取組 ○那覇港輸出貨物増大促進事業 「那覇港輸出貨物増大促進事業」(平成25年度~平成28年度) 事業主体:那覇港管理組合(組合単独事業) 平成25年度は、香港直行航路の社会実験を実施し、コスト、リードタイム等を検証しつつ、香港直 行航路の定着への課題検討、定着への方策の検討を行った。また、荷主対象の社会実験も行って いる。 (那覇港管理組合資料) 85 「那覇港輸出貨物増大促進事業」の一環で、那覇港から輸出する荷主の貨物に対して支援を行っ ている。新規貨物の場合は全てが対象。既に那覇港から輸出している場合は前年度と比較して、増 加した分のコンテナ貨物に対し、支援金(事務局負担金)を支給している。 ・新規に輸出されるコンテナ貨物及び小口混載貨物(※) ・既に那覇港から輸出している場合は前年度と比較して、増加した分のコンテナ貨物及び小口混載 貨物(※) ※定期RORO航路で運ばれるコンテナ以外の貨物も対象 (那覇港管理組合資料) ○総合物流センター整備 【那覇国際コンテナターミナル・那覇港総合物流センター】 ・現在、那覇国際コンテナターミナルの後背地に総合物流センターの整備を進めており、平成26 年度は実施設計を行い、平成27年度から29年度にかけて工事を行う予定である (平成29年度完成予定) ・物流センター1階・2階は、冷凍・冷蔵倉庫対応の設計となっている ・関連施設の整備として、平成25年度にターミナル内に設置されているリーファー電源を、60口 から100口に増設した (那覇港管理組合資料) 86 ④平成26年度の主な航路新規開設・実証実験(那覇港、中城湾港、本部港) 平成26年度は、船会社が関係機関と連携し、新規に台湾航路等が開設された。また、平成27年度 より、中城湾港と鹿児島志布志港を結ぶ新たな航路が開設される予定である。 更に、本部町においては、沖縄北部連携特別推進事業費を利用した、東京や大阪の主要都市 への定期航路開設の実証実験事業を開始した。 【琉球海運株式会社台湾航路開設】 平成26年、琉球海運株式会社は、商船三井株式会社と業務提携を締結。琉球海運の大型 RORO船 「みやらび」により、那覇港から台湾高雄港へコンテナを輸送。高雄港より、商船三井 の船で各国の港への輸送が可能となった。 那覇港から香港への輸送期間は、最短6日と短縮される。 内閣府沖縄総合事務局: 『 Okinawa General Bureau Report 2014 (沖縄経済社会の現況及び展望)』より (琉球海運株式会社HP) 【南西海運株式会社台湾航路開設】 南西海運株式会社は平成26年8月、 台湾の大手船会社と業務提携し、台湾 ・高雄を主な中継拠点とする積み替え (トランシップ)サービスを開始した。 同社の新造船「せつ丸」で沖縄発の 貨物を台湾・高雄まで運び、台湾の船 会社が中国本土や東南アジア向けに 輸送する。 また、離島向け航路については、 平成26年11月より南西海運が中城湾 新港-平良港、石垣港間の定期航路 を開設している。 (南西海運株式会社HP) 87 【中城湾港実証実験の取組)】 国際物流拠点産業集積地域うるま・沖縄地区 においては、平成23年度から中城湾港を活用し 本土向けの定期船を就航させるために鹿児島 航路の実証実験を行ってきた。 平成26年度で実証実験を終了し、平成27年度 からは南日本汽船㈱が中城湾港から初の民間 定期船を就航する予定となっている。 (中城湾港運株式会社(南日本汽船㈱代理店)HP) 【北部連携物流拠点機能強化事業】 本部町の本部港においては、北部地域の 農林水産物等を、東京や大阪の主要都市に 直接輸送するための定期航路開設の実証 実験事業を平成26年度より開始した。 国の実施する北部振興事業「沖縄北部連携 特別推進事業費」を利用している。 平成28年度にかけて、航路の開設・定着に 向けた、継続的な社会実験を行う。 (『広報もとぶ 2015年3月号』 より 88 (3)海外展開に取り組む企業の認証(承認)制度、海外企業の財務情報 ①企業に対する認証(お墨付き)制度について 日本の企業に対する、国や地方自治体等公的機関の認証(お墨付き)制度は設定されていない。 一方、輸出品に対しては、国や地方自治体の承認制度が策定されている。 制 度 主 体 制 度 名 概 要 農林水産省、 農林水産省 公益社団法人中央畜産会 北海道 輸出促進ロゴマーク 和牛統一マーク 道産品輸出用シンボル マーク http://www.maff.go.jp/j/shoku san/export/e_logo/index.html http://www.maff.go.jp/j/export /wagyu/index.html http://jlia.lin.gr.jp/wagyu/jpn/a boutmark1.html http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ kz/ksk/trading/symbolmark.ht m 日本産農林水産物・食品の輸 出に当たり、日本産であること の識別を容易にし、品質やお いしさなどを海外の消費者に アピールする 「日本産の本物の和牛の肉」で あることをアピールし、輸出や 広報活動に広く活用するため のマークを決定 北海道では、海外における道 産食品の識別力を高め、北海 道ブランドを保護することを目 的に「道産品輸出用シンボル マーク」を作成 ー シ ン ボ ル マ ク (英語版) (簡体字版) (農林水産省 ) (農林水産省HP) (農林水産省 (農林水産省、(公社)中央畜産会HP) (公社)中央畜産会 ) (北海道庁HP) (北海道庁 ) 中小企業庁 『中小企業白書2014』においては、民間の支援機関に対して政府が何らかの「お墨付き」を 与えることで中小企業のニーズに応えるなど、民間との効果的な連携の模索についての記載がある。 (中小企業庁HP 『中小企業白書2014』 第4章-第4節「海外展開支援の有り方」より抜粋) 89 ②海外企業の財務関係情報について 海外企業の財務関係情報の入手方法について、事例を調査した。 ○ジェトロ ジェトロホームページにある「ジェトロビジネスライブラリー」において、財務情報を検索し、国別のダイレク トリー(企業録)等の資料が入手できる。担当者によると、ジェトロ沖縄において資料のコピーが可能(資料 代金は原則無料だが一部有料、コピー代金は有料。情報によっては東京や大阪のジェトロから入手する こともある。資料が閲覧可能となっており、資料の貸し出しも行っているとのことである。 また、ジェトロ会員向けに有料の信用調査を行っている。(民間調査会社:コファスサービスジャパン株式会社) (ジェトロHP) 90 ○民間会社の信用調査事例 海外展開をサポートしている株式会社Resorz(リソーズ)(P35~)では、世界の企業のデータベース 「OneSource(ワンソース)」を販売しているワンソース・ジャパン株式会社と連携し、世界の企業リスト提供 サービスを行っている。 「OneSource(ワンソース)は全世界の4000もの多国籍企業、金融機関、IT関連企業、コンサルティング 会社、教育機関等で利用されている企業データベースです。」(Resorz運営サイト「Digima~出島~」より) Resorz広報担当によると、与信情報を取得する場合は、パッケージで示している企業基本情報にプラス した調査が必要になると思われるため、必要情報についてヒアリングし、見積という流れになるとのことである。 (㈱Resorz運営サイト「Dijima~出島~」HPより抜粋) ○貿易保険に関連した信用調査、与信審査(NEXI) 独立行政法人日本貿易保険(NEXI:Nippon Export and Investment Insurance)は経済産業省が100% 出資する組織として、貿易保険の事業運営を行っている。 (本店・東京都千代田区、大阪支店・大阪府大阪市) 当貿易保険を利用した場合に、輸出取引先に対する、NEXI独自の信用調査や与信審査を行っている。 与信審査結果は格付けを行い、NEXIの「海外商社名簿」に登録されている。 海外事業展開に対する支援に積極的な地域金融機関と提携して、貿易保険の普及と利用促進に取組 んでいるとのことである。 91 (4)県内金融機関のL/C(信用状)の取扱状況 平成25年度調査において、ヒアリング企業より、沖縄県内にはL/C決済の直接の取り扱いがないとの 情報があったことから、沖縄県内の金融機関に状況を聞いた。 ①L/Cとは L/C= Letter of Credit(信用状) 「L/Cは、「信用状」と呼ばれるもので、貿易取引を円滑にするために利用される決済方法のひとつで、 信用状に記載された条件通りの書類の呈示があれば、信用状発行銀行が輸入業者(買手)に代わって 貨物代金を輸出業者(売手)に支払うことを確約する保証状です。」(中小企業基盤整備機構HPより) ②L/C開設・決済の主な流れ(日本から海外に船舶を使用し輸出する場合) 為替取引(コルレス)契約 相手国金融機関 (L/C発行銀行) 【輸入側】 ③L/C開設(発行)、通知 ⑨荷為替手形(船積書類)郵送 日本国金融機関 (通知銀行、コルレス 銀行) 【輸出側】 ⑩為替手形代金支払 L/C関係約定書 ④ L/C到着通知 ①売買契約 ⑭船荷証 券呈示 ⑧ 買取代金支払 ⑦ 荷為替手形(船 提出、買 積書類) 取依頼 ⑬ 船積書類引渡 代金支払 ⑫ 為替手形決済・ 着・決済案内 ⑪ 荷為替手形到 依頼書」 提出 ②「輸入信用状開設 L/C関係約定書 相手国 買い手【輸入側】 日本 売り手【輸出側】 ⑤貨物船 運送人(船会社) ⑮貨物引渡 積手配 ⑥船荷証券発行 (中小企業基盤整備機構HP、金融機関ヒアリングを基に作成) ③沖縄県内金融機関のL/C取引の状況(金融機関ヒアリング) ・沖縄からの輸出関連のL/C取扱事例は少ないが、約5年程前より取扱が少しずつ増えてきている (尚、輸入にかかるL/C取引は月に数件程度ある) ・相手国金融機関とコルレス契約(※)を結んでいる場合は、直接L/Cを取り扱っている事例はある。 コルレス契約を締結していない場合は、業務提携しているメガバンクに手続を依頼することもある ・L/C取引にあたっては、事前に輸出者・輸入者への与信調査を行い約定書を交わしている。船積書類 の内容も金融機関側でチェックしている。但し、貨物の輸送上のトラブル(破損、減損等)への対応は 金融機関では行っていないため、輸出者側で対応する必要がある(海上保険への加入等) ※「コルレス契約」「コルレス銀行」・・・海外の取引銀行との間でお互いに為替業務を代行する為替取引契約(コルレス契約)を 締結している銀行を「 ルレス銀行」という。 締結している銀行を「コルレス銀行」という。 (中小企業基盤整備機構HPより) 92 4.輸出における国内手続きについて 平成25年度調査において、公的支援機関からの情報を基に、沖縄の黒糖及び 豚肉をアジアに輸出する場合の手続きをとりまとめたので再掲する。 93 輸出における国内手続きについて 沖縄において生産された野菜や果物、食肉を国外に輸出しようとす る場合は、輸出相手国や貨物の種類(野菜、果物、食肉など)によっ て、下記の検査等を経る必要があります。 各種申請に際しては、事前に担当機関にご相談され、輸出要件や 申請書類、必要な添付資料等を確認されてください。 ○輸出食肉認定制度:厚生労働省 輸出先国においては、食肉となる畜産動物等について、その衛 生品質を担保するため、厚生労働省等が認定したと場・食肉処理 場で処理する必要があります。 また、輸出の際には所定のと畜場等で適正に処理されたことを 証明する「衛生証明書」等の添付が必要の場合があります。 輸出先国別さらに畜肉種別毎に認定と場等が異なる等、輸出先 国において手続きに差異がありますので 詳しくは下記 をご参 国において手続きに差異がありますので、詳しくは下記URLをご参 照ください。 URL:http://www.mhlw.go.jp/topics/haccp/other/yusyutu_syokuniku/ また、本件に係るご相談は、沖縄県保険医療部生活衛生課及び 最寄りの福祉保健所、那覇市にあっては那覇市保健所までご相 談下さい。 所) 沖縄県保健医療部生活衛 生課(旧環境生活部) TEL 住所 FAX 〒900-8570 沖縄県那覇市泉崎1-2-2 098-866-2055 北部福祉保健所 〒905-0017 沖縄県名護市大中2-13-1 0980-52-2714 0980-53-2505 中部福祉保健所 〒904-2155 沖縄県沖縄市美原1-6-28 沖縄県中部合同庁舎中部福祉保健所棟 098-938-9886 098-938-9779 南部福祉保健所 〒901-1104 沖縄県島尻郡南風原町宮平212 098-889-6351 098-888-1348 宮古福祉保健所 〒906-0007 沖縄県宮古島市平良 字東仲宗根476番地 0980-72-2420 0980-72-8446 八重山福祉保健所 〒907-0002 沖縄県石垣市真栄里438 0980-82-3240 0980-83-0474 〒900-8585 沖縄県那覇市与儀1-3-21 098-853-7963 098-853-7965 那覇市保健所生活衛生課 94 ○輸出証明:沖縄総合事務局 東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて諸外国・地域が 実施している輸入規制強化に伴い、日本から食品等を輸出する際 に証明書等の添付を必要とする場合があります。 輸出先国が導入している規制措置は、輸出先国各国の事情を 踏まえて異なるものとなっていますので、輸出に当たっては、これ ら規制措置の内容を事前に十分確認することが重要です。 なお、酒類にあたっては沖縄国税事務所、水産物にあたっては 沖縄県農林水産部水産課が申請窓口となっています。 http://www.ogb.go.jp/nousui/yusyutsu/expo_oki.html 沖縄総合事務局農林水産部食品・環境課 〒900‐0006 沖縄県那覇市おもろまち2丁目1番1号 那覇第2地方合同庁舎2号館 ○動物検疫:農林水産省動物検疫所沖縄支所 食肉等の畜産物を輸出する場合には、「家畜伝染病予防法」に 基づき動物検疫を受ける必要があります また 家畜伝染病予防 基づき動物検疫を受ける必要があります。また、家畜伝染病予防 法で指定していない畜産物であっても、輸出相手国が家畜の伝染 性疾病をひろげるおそれのない旨の証明を要求しているものは検 ○通関:沖縄地区税関 査の対象となります。 食肉(を含む貨物)を輸出しようとするときには、関税法に基づき 輸出相手国の要求に応じて検査を実施することになり、要求事 税関へ輸出の申告を行い、必要な検査を経てその許可を受けな 項によっては、事前の調査や事実確認に時間を要する場合があり ければなりません。 ますので、輸出者は受入の可否及び受入条件を確認の上、できる だけお早めに動物検疫所に相談してください。 URL:http://www.customs.go.jp/tsukan/index.htm URL:http://www.maff.go.jp/aqs/tetuzuki/product/47.html 農林水産省動物検疫所 沖縄支所 住所 〒900 ‐0001 那覇市港町2 ‐11 ‐1 那覇港湾合同庁舎 TEL:098‐861‐4370 FAX:098‐862‐0093 沖縄支所那覇空港出張所 住所 〒901‐0142 那覇市字鏡水280那覇空港国際線ターミナルビル TEL:098‐857‐4468 FAX:098‐859‐1646 95 ○植物検疫:農林水産省那覇植物防疫事務所 野菜や果物等を輸出する場合には、多くの輸出相手国は輸出 時に植物防疫所の検査及び証明書の発給を求めています。また、 輸出相手国が栽培地における検査を要求している植物について は、あらかじめその栽培地で植物防疫官の検査に合格しなければ なりません。 輸出にあたっては下記URLをご確認されると共に、那覇植物防疫 事務所に相談して下さい。 URL:http://www.maff.go.jp/pps/j/introduction/export/index.html 農林水産省那覇植物防疫事務所 住所 〒900 ‐0001 那覇市港町2 ‐11 ‐1 那覇港湾合同庁舎 ○通関:沖縄地区税関 農林水産物や食料品等を含むす ての貨物を輸出しようとする 農林水産物や食料品等を含むすべての貨物を輸出しようとする ときには、税関へ輸出申告を行い、貨物につき必要な検査を経て 輸出の許可を受けなければなりません。これを一般に「輸出通関」 といいます。 輸出申告の手続きは、輸出しようとする貨物の品名並びに数量 及び価格その他必要な事項を記載した所定の様式の輸出申告書 に、仕入書、その他必要な書類を添付して税関に提出することに より行います。 URL:http://www.customs.go.jp/tsukan/index.htm 沖縄地区税関本関分庁舎 〒900‐0001 沖縄県那覇市港町2‐11‐1 那覇港湾合同庁舎3F TEL:098‐863‐0099(税関相談官) 輸出に関する諸制度は、輸出相手国の規制や要請により各種対 応が異なり、また、国内外の情勢の変化や家畜伝染病等の流行 により、随時その対応は変わってきますので、輸出にあたっては、 上記に示した行政情報の他にも、在日大使館や輸出相手国の事 業者を通じて、常に最新の情報を得るようにしてください。 96 事例:香港への豚肉輸出の流れ 選定施設 ●香港へ豚肉を輸出する場合は、豚のと畜について各自治体が選定した 施設で処理する必要があります。 また、選定施設でと畜したことを証明する「と畜証明書」や選定施設を 所管する保健所の「食肉検査公式証明書」が発行されます。 【沖縄県内で豚肉の香港向けに選定されている施設】 ・「株式会社沖縄県食肉センター」(南城市) ・「名護市食肉センター」(名護市) 等 動物検疫 通 関 香港へ 通 関 輸送 ●輸出される豚肉は動物検疫を受ける必要があります。 動物検疫所沖縄支所または那覇空港出張所に輸出検疫申請書と併せ て、香港向けに輸出される豚肉の認定施設を管轄する沖縄県(食肉衛 生検査所または保健所)から発行された「食肉検査公式証明書 (OFFICIAL MEAT-INSPECTION CERTIFICATE)」及びインボイス、パッ キングリスト、船荷証券(B/L)・航空運送状(AWB)等を提出し、指定さ れた港や空港内の検査場所において無作為抽出による現物検査を受け ます。書類審査及び現物検査の結果、香港側の受入条件を充足し、家 畜の伝染性疾病の病原体を広げるおそれがないと認められるときは、「輸 出検疫証明書」が公布されます。 ●輸出される貨物は、通関手続を行う必要があります。税関ではその申告 が正しく行われているかどうかを審査し、貨物について必要な検査を行って います。貨物によっては家畜伝染病予防法などの関税法以外の手続きが 必要となるものがあります。税関ではこれらの手続きが正しく行われているか どうかを最終的に確認しています。 輸出の許可は、これら税関の審査・検査が終了したあとに行われ、税関の 許可後、申告された貨物は航空機や船舶に積み込まれ、外国へ向けて輸 出されます。 ●香港において検疫 及び放射能検査、 通関を経ます。 香港内で 流通 ※事例は香港に豚肉を輸出するものです。規制内容は輸出相手国や日本国内の情勢により変化しますので、常に新しい 情報を諸機関に確認されるとともに、輸出相手側事業者等から最新の情報を得るようにして下さい。また、その他の食品等 を輸出を検討される場合は、諸機関等にご確認下さい。 ※沖縄県産の食肉を香港へ輸出する場合は、「東京電力福島第一原子力発電所事故に係る諸外国への輸出に関する 証明書発行について」に関する証明は不要となっています(なお、別途香港側において放射能検査を受けることになりま す。)。 ※認定施設は、国毎に畜肉の種類(主に牛肉、豚肉、鳥肉)毎に異なりますので、ご注意下さい。事例は香港向けの豚肉 の認定施設のものです。 97 事例:中国への黒糖菓子輸出の流れ 輸出証明 通 関 中国へ 輸送 ●「中国向けに輸出される食品等に関する証明書の発行 事務要領」に基づき、黒糖菓子に使用されている黒糖等 の原産地及び加工地の「産地証明書」を必要とします。 生産・加工施設の名称と所在地、原料の名称と産地、 生産・加工年月日等について審査がなされ、「産地証明」 が発行されます。 ●輸出される貨物は、通関手続を行う必要があります。税 関ではその申告が正しく行われているかどうかを審査し、 貨物について必要な検査を行っています。貨物によって は関税法以外の手続が必要となるものがあります。税関 ではこれらの手続きが正しく行われているかどうかを最終 的に確認しています。 輸出の許可は、これら税関の審査・検査が終了したあと に行われ、税関の許可後、申告された貨物は航空機や 船舶に積み込まれ、外国へ向けて輸出されます。 ●中国において 通関を経ます。 中国内で 流通 ※事例は中国に黒糖菓子を輸出するものです。規制内容は輸出相手国や日本 国内の情勢により変化しますので、常に新しい情報を諸機関に確認されるととも に、輸出相手側事業者等から最新の情報を得るようにして下さい。 また、その他の食品等を輸出を検討される場合は、諸機関等にご確認下さい。 98 5.統計資料 99 (1)沖縄県の貿易動向 沖縄県の貿易について、輸出額は平成23年は石油製品及び再輸出品等の輸出額が減少した ことにより輸出額の落ち込みが見られた後、平成24年に増加傾向に転じたが、平成26年は再び 再輸出品等の減少により減少に転じた。一方、輸入額は平成25年は前年比で減少したものの、 年々増加傾向にある。 平成26年の輸出品目の内訳は、輸出金額の多い順に石油製品、再輸出品、輸送用機器と なっている。 (百万円) 輸入額 輸出入貿易額(沖縄管内) 400,000 輸出額 380,584 336,046 350,000 309,989 300,000 269,730 250,000 200,000 207,981 182,334 150,000 82,119 100,000 80,654 83,423 80,589 57,538 47,752 50,000 0 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 (出典:沖縄地区税関資料) 輸出品目品別内訳(平成26年) 平成26年品目別内訳 順位 品名 (単位:百万円) 7 一般機械, 8 魚介類及び同 調整品, 2,125 2,328 金額 1 石油製品 39,498 2 再輸出品 17,438 3 輸送用機器 6,409 4 金属鉱及びくず 3,942 5 電気機器 2,742 6 パルプ及び古紙 2,336 7 一般機械 2,328 8 魚介類及び同調整品 2,125 9 その他の雑製品 586 10 精油・香料及び化粧品類 550 9 その他の雑製 品, 586 10 精油・香料及 び化粧品類, 550 6 パルプ及び古 紙, 2,336 5 電気機器, 2,742 4 金属鉱及びく ず, 3,942 3 輸送用機器, 6,409 H26年 輸出額 80,589 1 石油製品, 39,498 2 再輸出品, 17,438 (単位:百万円) (沖縄地区税関資料を基に作成) 100 (2)沖縄からの食料品等の輸出について 沖縄地区税関資料によると、平成21年から平成26年にかけての沖縄からの食料品等の輸出に ついては、「魚介類及び同調製品」の輸出額が、例年約20億円余りで推移している。 平成26年においては、肉類等、果実等、その他の調整品(健康食品)等、ビールの輸出額は 前年に比べ大幅な伸びを示している。 ここ数年の食料品等の輸出額の伸びについては、平成21年10月に沖縄貨物ハブが開設された ことにより、生鮮品の輸出が比較的短期間で行われるようになったことが一因であると考えられる。 食料品・飲料・塩関係輸出額(沖縄管内) (単位:千円) 品名 主要品目内訳 肉類及び同調 魚介類及び同調 製品 製品 糖類及び同 その他の調製 果実及び野菜 調製品及び 品(健康食品 ビール はちみつ 等) 泡盛 塩 平成21年 7,999 2,374,868 39,790 12,289 32,126 77,549 4,634 4,283 平成22年 15,508 2,034,590 31,687 20,593 67,359 89,817 3,628 3,963 平成23年 34,934 2,509,030 33,073 27,660 83,114 113,855 2,630 14,948 平成24年 40,502 2,330,931 40,722 33,701 150,200 150,995 7,072 16,013 平成25年 87,621 2,052,019 71,033 31,132 185,825 201,333 9,167 11,334 平成26年 152,278 2,125,451 119,524 28,168 299,612 275,619 5,369 19,411 沖縄地区税関『菅内貿易統計』、財務省貿易統計より作成 (沖縄管内)食料品・飲料・塩輸出額 (単位:千円) 3,000,000 2,500,000 2,000,000 魚介類及び 同調製品 1,500,000 1,000,000 350,000 肉類及び同調製品 500,000 300,000 果実及び野菜 0 250,000 200,000 糖類及び同調製品 及びはちみつ 150,000 その他の調製品 (健康食品等) ビール 100,000 泡盛 50,000 0 塩 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 101 (3)那覇空港国際貨物取扱量 平成21年10月のANA沖縄貨物ハブ開設以降、那覇空港の国際貨物取扱量が増加しており、平成 26年は国際貨物取扱量が全国4位となった。平成26年は、新事業会社「㈱ANACargo」が設立され、 新たに青島線、広州線、シンガポール線が開設され、全12路線となった。 (単位:トン) 那覇空港の国際貨物取扱量の推移 200,000 185,092 180,000 149,644 160,000 154,650 143,683 140,000 那覇空港の国際貨物取扱量の推移 137,603 (単位:トン) 120,000 国際貨物取扱量 100,000 平成21年 22,671 80,000 平成22年 149,644 60,000 平成23年 143,683 平成24年 137,603 平成25年 154,650 平成26年 185,092 40,000 22,671 20,000 0 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 国土交通省『空港管理状況調書』 那覇空港食料品輸出品目別内訳 (2013年) 品 名 数量(KG) 食料品及び動物 ー (かに) ー 62MT 金額(千円) 446,601 前年比(%) 主な品目 207.6 172.2 257,490 272.5 58,213 170.1 246,858 283.4 に、うに、え 2,776 全増 6,066 魚介類及び同調製品 (なまこ) 前年比(%) び 167.7 82,400 206.4 (牛肉) 10,156 917.4 37,780 750.2 (豚肉) 33,504 132.1 34,089 109.7 9,004 288.6 10,531 300.1 58,821 123.4 うこん、フコイ 132.1 58,821 123.4 食品 99.9 30,299 166.1 肉類及び同調製品 (調整品) その他の調製食料品 (調製食糧品) 果実及び野菜 52MT 全増 なまこ、か ー ー 12,513 27,737KG 22,096 179.7 にがうり、紅 (海藻等) 1,509 全増 1,805 (桃) 1,296 全増 1,588 全増 等、もずく、 全増 桃、いちご 654 194.6 1,462 172 105.6 (野菜) (いちご) ー ー ダン等健康 芋、きのこ 12MT 133.3 11,591 (ベーカリー製品) 5,617 67.7 8,160 74.4 焼菓子、餃子 (詰物をしたパスタ) 5,654 全増 3,431 全増 穀物及び同調製品 ー コーヒー・茶・ココア・香辛料類 (茶) 536 糖類及び同調製品・はちみつ (砂糖菓子) 1,085 4,472 371.1 全増 3,794 全増 0.0 1,519 39.3 1,172 67.5 黒糖を使用し 66.0 た砂糖菓子 ※沖縄地区税関『那覇空港における食料品の輸出』を基に作成 102 (4)那覇港の輸出動向 那覇港の輸出貨物取扱量をみると、平成21年から平成24年迄は年々増加していたが、平成25年 に減少に転じ、平成26年は前年比で微増している。 輸出の約半分以上は空コンテナの片荷輸送となっており、今後の課題となっている。 平成26年の輸出にかかる取扱貨物を種別にみると、最も多いのは再利用資材(古紙、ダンボール くず等)となっており、次に取合せ品(混載貨物)、金属くずとなっている。 那覇港輸出入貨物取扱量 (単位:トン) 輸出 輸入 輸出入計 1,400,000 1,136,658 1,115,577 1,200,368 1,188,186 1,188,115 1,187,245 1,200,000 1,000,000 800,000 861,816 810,903 796,411 844,568 834,992 840,276 600,000 319,166 400,000 325,755 353,194 338,552 342,677 347,839 200,000 0 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 (速報値) コンテナ輸出 コンテナ以外 輸出 那覇港 輸出貨物取扱量 (含コンテナ) (単位:トン) 400,000 350,000 319,166 325,755 353,194 338,552 342,677 347,839 332,641 324,644 334,725 20,553 18,033 13,114 平成24年 平成25年 300,000 250,000 200,000 150,000 303,427 313,969 327,543 15,739 11,786 11,009 平成21年 平成22年 平成23年 100,000 50,000 0 取扱貨物種別(輸出・平成26年) 那覇港 外貿(輸出)コンテナ貨物量 (コンテナベース) (単位:TEU) 空 平成26年 (速報値) 実入 品種 輸出計 貨物量(トン) 割合 1 再利用資材 159,610 45.9 2 取合せ品 134,965 38.8 3 金属くず 15,032 4.3 4 産業機械 9,565 2.7 25,000 5 自動車部品 9,548 2.7 20,000 6 石油製品 4,494 1.3 50,000 41,905 45,000 40,000 42,902 41,936 42,212 40,968 37,732 35,000 30,000 24,341 24,600 23,342 24,097 22,252 20,712 15,000 10,000 17,020 17,564 18,302 18,594 18,115 18,717 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 (速報値) 5,000 7 衣類・見廻品・はきもの 2,136 0.6 8 染料・塗料・合成樹脂・その 他化学工業品 1,741 0.5 その他 10,748 3.1 347,839 , 100.00 0 合計 那覇港管理組合 『那覇港の統計 平成26年(2014年)』より作成 (那覇港管理組合『那覇港の統計』より作成) 103 ○調査協力企業・支援機関等 ○企業名(五十音順) 【平成26年度】 【平成25年度】 ・株式会社アイ・ラーニング ・沖縄特産販売株式会社 ・うるまバイオ株式会社 ・沖縄ハム総合食品株式会社 ・オキコ株式会社 ・株式会社オキネシア ・沖縄明治乳業株式会社 ・有限会社オフィスりょう次 ・拓南製鐵株式会社 ・オリオンビール株式会社 ・株式会社マブイストーン ・金秀バイオ株式会社 ・株式会社Resorz ・株式会社シャイニーボールホールディングス ・琉球黒糖株式会社 ・株式会社白石 ・琉球通運株式会社 ・有限会社水耕八重岳 ・タイガー産業株式会社 ・株式会社トリム ・株式会社パラダイスプラン ・八重山殖産株式会社 ○支援機関等名(順不同) ・沖縄地区税関 ・農林水産省動物検疫所沖縄支所 ・農林水産省那覇植物防疫事務所 ・沖縄県商工労働部国際物流商業課(旧国際物流推進課) ・沖縄県生活医療部生活衛生課(旧環境生活部) ・那覇市保健所生活衛生課 ・大阪市経済戦略局 ・一般財団法人都市技術センター ・公益財団法人沖縄県産業振興公社 ・株式会社沖縄県物産公社 ・独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)沖縄貿易情報センター ・独立行政法人中小企業基盤整備機構沖縄事務所 ・沖縄県よろず支援拠点 ・那覇港管理組合 ・沖縄観光コンベンションビューロー ・内閣府沖縄総合事務局(農林水産部、経済産業部、運輸部、開発建設部) 平成27年12月 平成26年度内閣府沖縄総合事務局調査 沖縄県内企業の海外展開における現状と課題 ~事例紹介~ 編集 内閣府沖縄総合事務局総務部 調査企画課 調査班、振興企画官 〒900-0006 沖縄県那覇市おもろまち2丁目1番1号 電話 (098)866-0047(直通) FAX (098)860-1025
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