フランスと日本の余暇比較

フランスと日本の余暇比較
−人生の充実とさらなる女性の社会進出を考える−
✿方法
❀文献(後記)
・余暇学、余暇生活論、社会心理学、統計
・フランス社会についての資料
❀アンケート調査
フランス人:リュクサンブール公園にて30名
程度の学生に、フランス語で書かれた紙面で
調査 (期間2006年10月19日、23日)
日本人:アルバイト先の塾、日本女子大学西
生田キャンパス、慶應義塾大学日吉キャンパ
スにて学生に日本語で書かれた紙面で調査
期間(2006年11月1日〜16日)
❀インタビュー
・大沢真知子先生の話
・OG、社員訪問で得た実際に働く人の話
❀講演、授業
動機
❀充実した生活
人生のテーマ:時間を無駄にしないで、いかに有意義
な生活を送るか。
・時間の花 By「デザインする時間」
・できる人の時間の使い方
❀時間の過ごし方
アメリカ人と日本人の日曜日・・・宗教
日曜日のフランスのデパート・・・法律
❀女性労働
就職・結婚・出産・復帰・・・ライフプランと
キャリザデザイン
男女平等参画社会の実現
1✿問い
❀フランス人と日本人の余暇の量とその過ご
し方には大きな違いがあるのでは?
❀余暇のもたらす労働への効果はあるのだろ
うか?日本でのライフワークバランス社会
の実現を目指すには?
2✿仮説
❀フランス人>日本人
余暇時間・Lifestyle・地域コミュニティ
❀大きな余暇の付加価値
心身の健康・労働力率UPの効果・ライフワークバランス社会実現
(男性の余暇取得は女性の労働力率、さらなる社会進出に好影響を及ぼす。)
❀充実した時間は自分の意志で創る
制度を知る・スケジューリング
3✿日仏比較
〜労働関係データ〜
❀年間総労働時間(製造業・生産労働者)
1990年→2002年
フランス 1683(所定外、0)時間→1539(0)時間
日本
2124(219)時間→1954(171)時間
❀製造業の週当たり実労働時間 (就業状態:雇用者、実労働時間)
2002年
フランス 35.3時間
日本
37.8時間
❀年間休日日数
日本2002年
フランス1992年
週休日
104日
104日
週休日以外の休日
15日
11日
年次有給休暇
8.8日
25.0日
❀労働力率(%)
計
男
女
男女差
フランス 54.7
62.2
47.8
14.4
日本
60.8
74.1
48.3
25.8
厚生労働省雇用均等・児童家庭巨億『
厚生労働省雇用均等・児童家庭巨億『女性労働の分析2005 中高年女性の就業実態と意識』
中高年女性の就業実態と意識』2006年
2006年
『世界統計白書2006年版』
世界統計白書2006年版』2006年
2006年 大本書店
4✿日仏比較
〜育児・家事データ〜
❀年間出産および育児手当
・出産、育児休暇に対する手当ての給付水準
フランス100%(上限まで)
日本一日あたり平均基本賃金の60%。
母親が賃金あるいは傷病手当を受給している場合、給付減額。
❀出産・育児休暇期間(週)
出産休暇
有給
計(長期休暇期間)
フランス
16
73
162
日本
14
8
58
❀男性の家事時間割合
1995年
フランス
約38%
日本
約17%
厚生労働省雇用均等・児童家庭巨億『
厚生労働省雇用均等・児童家庭巨億『女性労働の分析2005 中高年女性の就業実態と意識』
中高年女性の就業実態と意識』2006年
2006年
『世界統計白書2006年版』
世界統計白書2006年版』2006年
2006年 大本書店
5✿ヴァカンス(Vacances)の小史
❀ヴァカンスについて
7〜8月 グランド・ヴァカンス
人口の約60%が平均3週間の休暇をとる
(春、秋、冬) 2週間
❀ヴァカンスの過ごし方
・海辺 コートダジュールなど
・家族、親戚、友人と食事、おしゃべりを楽しむ
・ コロニー・ド・ヴァカンス
・3S→3D、3Aへ
❀ヴァカンスの発展
産業革命→工場制、資本主義→労働者階級の犠牲
× 週休休暇、1日十数時間の労働
・1814年・・・日曜が休みになる。
・1919年・・・1日8時間労働(週48時間)
・1936年・・・週40時間労働制、年に2週間の有給休暇
・1982年・・・有給休暇5週間
・現在.・・・2〜4週間まとめてとる権利を有する
・2000年・・・週39時間労働→35時間労働
6 ✿余暇について
❀余暇(Leisure)の分類
①平日の余暇・・・午後5時以降
②週末の余暇・・・土曜・日曜
③季節の余暇・・・夏休み・冬休み
④リフレッシュ余暇・・・10年、20年の労働の後に1回
⑤生涯の余暇・・・退職後 10万時間
瀬沼克彰、薗田碩哉編、日本余暇学会監修 2004年
2004年『余暇学を学ぶ人のために』
余暇学を学ぶ人のために』世界思想社より引用
❀余暇(Leisure)の定義
Ⅰ肉体的疲労や神経的疲労を解きほぐす可能性を提供
Ⅱ反復的労働から生ずる日常的倦怠から解放する可能性を提供
Ⅲルーティン化し、ステレオタイプ化した事態から各人を離脱させる可能
性を提供
デュマズディエ、J
デュマズディエ、J・牛島千尋訳 1981年
1981年『レジャー社会学』
レジャー社会学』社会思想社 より引用
❀余暇から自由時間へ
生涯生活時間 労働:7万時間以下、余暇:30
万時間以上(高齢期10
10万時間)、教育:3万時間
万時間)、教育:3万時間
労働:7万時間以下、余暇:30万時間以上(高齢期
①消費的自由時間:個人の楽しみのための時間
②投資的自由時間:将来の生活や社会の充実につながる時間
③移転的自由時間:他者のために行うボランティアなどの時間
参考:暇開発センター編、通商産業省余暇開発室監修1999
年『時間とは幸せとは−自由時間政策ビジョン』
参考:暇開発センター編、通商産業省余暇開発室監修1999年
時間とは幸せとは−自由時間政策ビジョン』通商産業省
調査会出版部 瀬沼克彰、薗田碩哉編、日本余暇学会監修 2004年
2004年『余暇学を学ぶ人のために』
余暇学を学ぶ人のために』世界思想社
7✿アンケート結果
30
25
18
20
4
女性
男性
15
2501
10
23 2 2
2
4
5
3
21
7
4
6
4
19
6
0
170
0
15 2 2
0
5
10
10
0
フランス
日本
16
12
5
フランス
日本
←年齢比 ↑男女比
15
35
30
❀待ち合わせの比較
余裕の見られるフランス人
アンケート項目Ⅵ 7時に恋人と待ち
合わせているとします。
Aあなたはいつも何時に着こうと考え
ますか。
B実際は何時に着くことが多いですか。
25
日本 現実
日本 理想
フランス 現実
フランス 理想
20
15
10
5
0
1時間前 10分前
10分後 1時間後
❀その他
・一人で過ごす時間
14
12
・家族、親戚、近所との関わりと家庭
にかける時間
・土日、連休
10
フランス 理想
フランス 現実
日本 理想
日本 現実
8
6
4
2
0
1時間前
ちょうど
1時間後
8✿アンケート② 余暇による効果
SEIKOのアンケートより
・ON/OFFの切り替え上手→活動的、有効的に余暇を過ごす
(78.3%の「何もしない人」はOFFになりきれていない。)
日経WOMAN アンケートより
2007年2月号
・「ひとり時間上手」な人は、仕事もプライベートも上手くいく!
・「ひとり時間」の満足度が高い人は自分に自信がある!
・「ひとり時間」??(→ペルソナを外す・自分の心と体を癒す・素の自
分を認める・隠れた気持ちを表に出す)
9✿インタビュー
❀大沢 真知子先生(現代社会学科・労働経済学)
問い:男性が余暇を多く取ると日本経済にダメージを与えることになるのだ
ろうか?
→ならないのでは?労働力率UP。
例:フランスの労働時間短縮→アメリカを抜く
問い:男性の取得率をあげるには?
→教育による意識改革
小さなサンプルを段々と広め実現へ。
10 ✿結論
❀余暇時間・・・フランス人>日本人
ライフスタイルの多様化・忙しく過ごすフランス人・余暇の国際化
❀余暇のもたらすもの
心と体への健康。OFFがあってこそのON。
⇒時間単位での労働力率UPの効果を生み出す。
⇒時間的余裕から見られる優しさや家族サービス。心の豊かさ。
ライフワークバランス社会の実現・・・
男女とも有休、育休など余暇を取る。男性が積極的に余暇を取り入れること
により、 女性の労働力率の均衡化、さらなる社会進出を図ることができる。
⇒法制度の改正により残業を減らす。男性でも育児休暇の取り易い環境作り。
⇒女性の育児負担の軽減化、少子化改善
ドミノ人事、社員同士の協力、休暇中の資格取得
❀充実した時間は自分の意志で創る
充実した時間を支える制度も必要
仕事と余暇のバランスが保たれている。
・個人の能力のレベルアップ→仕事、趣味、勉強、遊び
・社会に貢献→仕事、ボランティア
メリハリのある生活。スケジューリング。
・時間をデザインする→過去、現在、未来
・青少年期の余暇教育→余暇ノウハウをもっていない人が多い