伊那市環境基本計画(PDF:1083KB)

伊那市環境基本計画
みんなで環境にやさしく
住みやすい伊那市を築いていこう!
平成21年3月
はじめに
伊那市は、南アルプスと中央アルプスの2つのアルプスに囲まれ、
その山々から流れ出す清流により育まれた「山紫水明」の地です。
私たちには、伊那市のこの豊かな自然環境を、次の世代に残して
いく責任があります。
現在、環境の問題はますます幅広くなり、自然環境、景観やごみ
問題といった身近な問題から、地球温暖化のような地球規模の問題
に至るまで目を向ける必要が出てきました。
特に地球温暖化に関しては、平成19(2007)年に、国連の気
候温暖化に関する政府間パネル(IPCC)が公表した第4次評価
報告書で、その原因を「人間の活動に起因する温室効果ガスの増加」とほぼ断定しています。私た
ちの生活から発生するCO2などの温室効果ガスが、地球規模の気候変動に大きく関わってきてい
るのです。
合併前の伊那市、高遠町及び長谷村ではそれぞれに環境基本計画を策定し、環境問題に取り組ん
できましたが、合併に伴う市域の拡大や、地球温暖化問題をはじめとする地球規模の環境問題に対
応するために、今回、新しい伊那市環境基本計画を策定いたしました。
本計画では、
「みんなで環境にやさしく住みやすい伊那市を築いていこう!」をスローガンに、
「自
然環境や景観の保全」
「ごみの減量」
「地球温暖化対策」
「環境教育推進と協働」を柱として、市民、
事業者、学校、行政の協働による環境問題への取り組みを明確化するように努めました。
本計画の実現に向け、市といたしましても、市政のあらゆる分野で環境の問題に取り組んでまい
りますが、市民や事業者の皆様におかれましても、なお一層のご理解、ご協力と、積極的な参加を
お願いいたします。
本計画を策定するに当たり、ご指導いただきました関係者の皆様、アンケートにご協力いただい
た皆様、貴重な意見をいただいた皆様に心から感謝を申し上げます。
平 成 21 年 3 月
伊那市長
-1-
小坂
樫男
目
次
はじめに
1
第1章
環境基本計画の役割
5
1
計画策定の背景
6
2
計画策定の目的
6
3
計画の役割
6
4
計画の期間
6
5
計画策定組織
7
6
計画の対象地域
7
7
計画を推進するための各主体の役割と責務
7
第2章
伊那市の概要
9
1
伊那市の概観
10
2
伊那市の自然環境
10
3
伊那市の生活環境
12
計画の体系
15
1
伊那市環境基本計画の体系
16
第4章
環境目標と具体な取り組み
19
第3章
第1節
伊那市の美しい自然環境や景観を守っていこう!
第1項 自然環境や景観の保全
20
20
1 山岳の環境の保全
20
2 川のある環境の保全
22
3 農山村の環境の保全
25
4 市の花「さくら」の保全と活用
29
5 街並みの景観の保全と整備
31
6 動植物との共存
32
第2節
ごみを減らし、住みやすい生活環境を作っていこう!
第1項 ごみの減量と資源化の推進
33
35
1 ごみの減量
35
2 ごみの分別と資源化
35
3 不法投棄やポイ捨ての防止
36
第2項 良好な生活環境の保全
37
1 水質の浄化
37
2 大気汚染や臭気対策
37
3 騒音や振動対策
38
-2-
第3節
ストップ地球温暖化!積極的に取り組んでいこう!
−地球温暖化対策地域推進計画−
第1項 温暖化対策の推進
39
39
地球温暖化の現状
39
1 省エネルギーの推進
41
2 新エネルギーの普及
44
3 カーボンオフセットの取り組み
46
4 温暖化対策を考えたまちづくり
47
5 温室効果ガスの削減
48
第4節
環境問題をみんなで学び実践していこう!
第1項 環境教育の推進
49
49
1 子どもに対する環境教育の推進
49
2 市民への啓発
51
第2項 協働による環境保全の推進
52
52
2 事業者との協働
53
3 学校との協働
53
4 協働の推進
54
第5章
1 市民との協働
計画の推進体制
55
第1項 計画の進行状況のチェックと公表
56
第2項 計画の見直し
56
資料編
57
1
伊那市環境保全条例
58
2
環境基本計画アンケート結果報告
63
-3-
-4-
第1章
環境基本計画の役割
-5-
第1章 環境基本計画の役割
1 計画策定の背景
環境問題は従来、公害対策、自然保護、快適環境対策など別々の枠組みの中で議論され、対策が行わ
れてきました。中でも、工場や鉱山から出される排ガス・排水が原因とされた公害問題のように、比較
的狭い地域で、原因者が特定される事例がほとんどでした。1990 年代に入り、市民の日常生活や産業
活動での環境負荷の増大により、フロンによるオゾン層の破壊や、地球温暖化等、地球規模の問題が増
え、総合的な対策が必要となっています。
合併前の伊那市・高遠町・長谷村ではそれぞれ環境基本計画を策定し、環境問題に取り組んできまし
たが、合併による市域の拡大や、環境に配慮した生活の機運が高まる等の時代の変化により、新しい環
境基本計画(以下本計画)の策定が必要になりました。
2
【伊那市環境保全条例
計画策定の目的
本計画は、伊那市環境保全条例(平成 18 年伊那市条例
第 63 号)を具体的な施策として展開していくため、同条
例第8条の規程により策定するものです。本計画は、同条
例第3条の基本理念に基づき、市民・事業者・学校・行政
が積極的に参加・協力し、率先して環境の保全を実行して
いくことを目的とします。
3
第3条の基本理念】
●環境の保全は、すべての市民が健全で豊かな環
境の恵みを享受するとともに、この環境が将来
にわたって維持されるように適切に行われなけ
ればならない。
●環境の保全は、すべての者の公平な役割分担の
もとに、環境への負荷をできる限り低減させる
ように、自主的かつ積極的に行われなければな
らない。
●環境の保全は、地域の環境が地球環境と深くか
かわっていることに着目し、すべての事業活動
及び日常生活において地球環境の保全に配慮し
て行われなければならない。
計画の役割
本計画は、伊那市総合計画と相互に補完するものとして位置づけられ、今後の伊那市の環境に関係す
る基本施策のガイドラインとして、以下の役割を果たしていきます。
(1)伊那市総合計画の基本構想における「自然や景観を守り生かすまちづくり」に基づいた施策を、
より具体的に、計画的に推進する。
(2)環境に関する施策を、数値目標を設け、あるべき姿を想定して目標を立て、体系的に示す。
(3)伊那市の豊かな自然をはじめとする良好な環境を、将来世代へ継承していくために、市民・事業
者・学校・行政の役割および行動を明確化する。
4
計画の期間(目標年次)
本計画は、平成 30(2018)年度を達成の目標年次として、環境の保全についての目標および施策
の方向を定めるものです。
なお、環境に関する状況の変化は非常に早いため、5 年ごとに見直す事とし、平成 25(2013)年
度を中間目標年とします。
-6-
5
計画策定組織
市民参加によるワークショップや庁内の作業委員会で施策の提案・検討を行い、庁内環境基本計画推
進委員会で検討し市長に報告しました。
環境審議会は市長から諮問のあった計画案に対し審議を行い、答申しました。
ワークショップ
庁内作業委員会
情報共有
市民参加の計画案の検討
基本方針・目標
提
資料集め 施策のチェック
計画案の検討
計画案の検討
言
事
務
提
局
言
生活環境課 環境計画推進係
意
見
報
告
市民アンケート
計画立案のための
庁内環境基本計画推進委員会
計画案等の検討
市民意識調査
報
環境審議会
諮問・答申
計画案の審議
告
報
市
告
長
市 議 会
諮問に対する答申
市民アンケートによる市民の意識・ワークショップ及び庁内作業委員会での意見等から、環境基本計
画のスローガンを「みんなで環境にやさしく住みやすい伊那市を築いていこう!」としました。また、
「自然環境や景観の保全」
「ごみの減量」
「地球温暖化対策」「環境教育推進と協働」の 4 つのテーマと
し、これらを計画のサブスローガンとしました。
6
計画の対象地域
本計画の対象地域は、伊那市内全域とします。各地域の特色を捉えながら、伊那市全域の環境保全の
推進を図ります。
また、本計画では、地球温暖化による地球規模の環境への影響に対して、市民・事業者・学校・行政
の関わりについても、
「地球温暖化対策地域推進計画」として捉えていきます。
7
計画を推進するための各主体の役割と責務
本計画の対象とする環境は、自然環境、生活環境、及びそれらの環境を支える地球環境とし、市全域
に関わるものとします。また、地域の持つ環境特性についても考慮しながら策定します。
計画を実行する主体は、全ての市民、事業者、学校、行政とします(ただし、施策上の関連から上伊
那広域連合、伊那中央行政組合、長野県、環境省等の行政機関についても言及する事もあります)
。
-7-
-8-
第2章
伊那市の概要
-9-
第2章 伊那市の概要
1 伊那市の概観
伊那市は、長野県の南東部に位置し、総面積は 667.81km2 で、長野県
の面積の約 5%を占めています。
本地域は、東に南アルプス、西に中央アルプスを仰ぎ、豊かな緑と水に
あふれ、気候は内陸型で年間の日照時間は長く、空気はよく澄み渡り、さ
わやかな住みよい自然環境にあります。
市域の西部には、標高約 600m 前後の伊那盆地が開け、天竜川や三峰
川とその支流が流れ、南アルプスと中央アルプスの山麓部に形成された複
合扇状地や、河川の浸食作用によって形成された段丘地形や田切地形を形
成し、田園・畑作地帯が開け、伊那谷特有の美しい景観を作り出していま
す。
山岳部分は、南アルプス国立公園、中央アルプス県立公園として、雄大
な自然や、豊かな動植物の分布が見られます。また、旧高遠町及び旧長谷村は三峰川水系県立公園に指
定されています。
集落の多くは、河川により形成された自然堤防上や河岸段丘中
段部分、山麓や三峰川水系の川に沿って発達してきましたが、現
在の中心市街地は天竜川の氾濫原にあり、人口もこの部分が一番
多くなっています。しかし、近年、扇央部にも住宅地が広がって
います。
広大な扇央部は、従来、水の得難い地域であったため、耕作に
はあまり適していませんでしたが、天竜川や三峰川の水を利用し
<天竜川>
た用水路などにより水田が広がる地域になっています。また、ま
すみヶ丘や西箕輪地域は、酪農や果樹の栽培も盛んです。
一方、高遠町地区及び長谷地区は、三峰川とその支流の形成する川に沿って、集落や農地が発達して
きました。国道152号線は、杖突街道・秋葉街道のある谷に沿って延びており、高遠町藤沢地区や、
長谷市野瀬地区に宿場の景観が残っています。
交通は、天竜川に沿ってJR飯田線や国道153号線が南北に走り、それらとほぼ平行して中央自動
車道が走っています。また、高遠町の藤沢川や三峰川に沿って国道152号線が南北に走っています。
東西方向には国道361号線が走っていますが、平成 18(2006)年に権兵衛トンネルが開通し、伊
那と木曽が結ばれ、経済、文化、観光等新しい交流が広がる事が期待されています。
冷涼な気候・風土、豊富な水・エネルギー資源を生かした機械・精密・電子などの先進技術産業も盛
んです。
2 伊那市の自然環境
(1)気象
伊那市は、東西に 3,000m 級の山岳を有し、中央部に天竜川や三峰川などが流れ、これらの川を中
心とした盆地が開けています。海洋から離れた内陸に位置しており、昼夜の寒暖差が激しい内陸型の気
候となっています。地形は、標高が高く複雑であり、この地形上の特色がそのまま気温にもみられ、南
にいくにつれてやや高くなり、天竜川を挟んだ東西については、東側がやや高い傾向にあるなど複雑な
- 10 -
気温分布となっています。
また、
伊那市は概ね標高 600m 以上にあるため、
年平均気温は 9.1∼14.2℃と冷涼であるとともに、
四季の気象変化に富んだ気候となっています。一方、降水量は夏と冬は少なく、春と秋は多く、年間降
水量は 527∼1,859mm となっており、降雪量は標高の高い山岳
地帯を除いて比較的少なくなっています。過去 10 年間の平均日照
時間は 1,946 時間で、全国平均(都道府県庁所在の 47 都市)の
1,880 時間と比べて 60 時間以上長くなっています。
盆地部分の局地的な気象現象として、風の少ない朝に、周囲の
山々から流れ降りる冷気が盆地の底に溜まる事により引き起こさ
れる「逆転層」が出現する事もあります。
<東駒ケ岳>
伊那市の気象状況
伊那市統計書より(資料:伊那消防署)
気温(℃)
天気(日)
降水量
年次
最高
最低
平均
(平成)
観測値
月/日
観測値
月/日
(㎜)
晴天率
降雪量
(㎜)
晴れ
曇・雨
(%)
雪
8
35.0
7/18・8/30
-10.5
2/22
13.0
1,586
104.9
227
139
62.0
9
35.5
8/2
-9.0
2/23
16.6
1,414
80.0
262
103
71.8
10
35.0
7/4
-8.3
1/25・2/11
14.2
1,809
102.8
209
156
57.3
11
35.0
8/4
-5.5
2/14
14.1
1,507
36.5
245
120
67.1
12
37.0
7/23
-7.0
1/28
14.1
1,383
40.0
222
144
60.7
13
35.5
7/24
-10.0
12/3
11.9
1,105
182.0
236
129
64.7
14
33.0
7/23
-12.0
12/28
10.1
990
82.6
224
129
64.7
15
31.0
8/4
-14.0
1/7
9.1
1,859
103.5
208
157
57.0
16
32.0
7/14
-13.0
1/26
11.0
1,724
94.3
227
139
62.0
17
35.0
8/5
-12.5
1/2
11.6
527
40.1
232
133
63.6
18
36.0
7/13・8/13
-12.0
1/8・2/6
11.7
1,298
23.0
197
168
54.0
(2)地形
地形的には東西の 3,000m 級の山岳地帯、里山部分、三峰
川とその支流の川沿いの地域、東西の山地に挟まれた平地部分
(天竜川を含む)に分かれます。
南アルプスは、その地質的・地形的な特色から平成 20
(2008)年に日本ジオパークに認定されました。
平地部分の地形の特色として、扇状地、河岸段丘や開析谷の
存在があります。東西の山地から天竜川に向かって流れ出る中
小河川は、扇状地を形成しましたが、さらに扇状地を浸食し開
析谷を形成しています。そのため、天竜川の氾濫原を除いて、
<権兵衛峠から望む伊那盆地と南アルプス>
南北に走る道路はアップダウンを繰り返しています。
また、河岸段丘や開析谷の発達により形成された斜面には、広葉樹を中心とした樹林となっていて、
市街地のすぐ近くに緑地がある事になり、伊那市独自の景観を作って来ました。あわせて、斜面緑地は
動植物の生育・生息空間やほ乳類などの移動空間(緑の回廊)となっています。
- 11 -
しかし、宅地開発やそれに伴う防災工事などにより斜面緑地が減少傾向にあり、動植物の生育・生息
空間の減少、身近な緑地による良好な景観の減少が懸念されています。
また、斜面緑地は、扇状地の末端に当たるため、湧水が多く、古くから人々の暮らしに利用されてき
ました。現在でも清水坂、清水町、泉町等の地名が散見できます。湧水の存在は、河川と共に伊那市の
豊富な水環境を支える要素となっています。しかし近年、宅地開発や防災工事などによりその箇所が減
り、湧出量も減少してきております。さらに、生活排水や農薬、融雪剤などによる水質悪化も懸念され
ています。
(3)動植物
伊那市は、標高差が大きく、山林、農地、平地林、斜面緑地、
市街地、河川など、多様な環境が存在する事から、多種多様な動
植物相の生育・生息環境が確保されてきました。しかし、無秩序
な開発、森林の減少、針葉樹への転換、植林地の荒廃、人間の生
活圏の拡大などによる生育・生息域の減少に加え、サル、カモシ
カ、シカ、イノシシ等による食害などの問題が発生しており、人
間と動物の共存が難しい状況となっています。また、アレチウリ、
オオキンケイギク、ブッドレア等の帰化植物や、ハクビシンなど
<ライチョウ>
の帰化動物、ネズミ駆除のために放されたキツネによるウサギ、リスの減少といった人為的な生態系へ
の影響も懸念されています。
鳥類については、南アルプスのライチョウや、広大な山林を必要とする、イヌワシ・クマタカといっ
た猛禽類の生息も確認されています。
一方、天竜川周辺には以前には確認されなかったカワウやサギ類も生息し、天竜川の漁業に影響を与
えています。
近年、中小河川の水質が改善されてきた事により、アカザやカジカ等の魚類の生息域が広がったり、
ホタルの復活が確認される一方で、コンクリート三面張り工法による河川改修や暗渠化により、川へ降
りられなかったり、川に親しめない環境になった場所も増えています。
3 伊那市の生活環境
(1)水質
天竜川は、以前は夏になると諏訪湖で発生したアオコによって、毒々しい
緑色の水が流れる川でしたが、ここ数年は諏訪湖の浄化が進み、アオコの発
生は見られなくなりました。
市内を流れる天竜川の支流や小河川の水質も、下水道への接続の増加や、
浄化槽の普及により生活雑排水の流入が減少し、少しずつ改善されてきてい
ます。しかし、下水道使用人口は、まだ5割弱となっており、更に下水道へ
の接続を進める必要があります。
一方、地下水も、生活雑排水、工場排水、肥料や農薬、融雪材などによる
水質汚染が懸念されています。
<小黒川キャンプ場>
- 12 -
(2)大気
工場の排気や自動車の排気ガスは、国の規制強化により改善され、以前に比べ大気汚染の苦情は少な
くなっています。しかし、一部の事業者や一般家庭におけるごみの焼却の苦情は、現在でも頻繁に寄せ
られています。
きれいな空気やそれゆえの美しい星空には、市民の満足度も高くなっており、きれいな空気は、伊那
市の特色にもなっています。このきれいな空気を次の世代に残していく事が大切です。
(3)ごみ
平成 15(2003)年 4 月に上伊那地域でごみ処理費用の有料化、プラスチック製容器包装の分別収
集が導入され、伊那市のごみの処理量はピークだった平成 14(2002)年度に比べると、約 35%削
減することができました。今後は生ごみの分別回収による減量化や堆肥化、資源ごみのリサイクルによ
りいっそうのごみ減量が必要です。
「3R」を推進し、ごみを出さない社会への転換を目指します。
一方、ごみの山林・里山等への不法投棄や歩道・生垣等へのポイ捨ては、いまだに無くなりません。
「ポイ捨て禁止条例の制定」による罰則や警察との更なる連携と、住民のモラル向上が必要です。
(4)交通
市内の公共交通機関は、飯田線のほか多くのバス路線がありましたが、自家用車の普及により採算が
取れなくなり、多くのバス路線が廃止になっています。そのため、交
通手段に自家用車の占める割合は、さらに増える傾向にあります。
しかし、高齢者や子ども等の交通弱者にとっては大きな問題であり、
運転をやめたい高齢者も車に乗らざるを得ない状況になっています。
その事が、交通安全にも大きな影響が出てきています。
また、各自が一台の自動車を運転する事は、CO2の発生が増加す
る事に繋がるため、環境面からも、公共交通機関の再編が必要です。
<い∼なちゃんバス>
最近では、健康志向から自転車を利用する人も増えています。しかし、伊那市はアップダウンが多い
事から、自転車の利用しにくいまちです。また、幹線道路は自動車交通量の多さから、自転車にとって
安全な道とはいえません。日常生活の中に安全に自転車を取り入れるには、自転車専用レーンや車歩道
(自転車も通れる歩道)の充実も課題です。
(5)災害への対応
平成 18(2006)年の豪雨災害では、天竜川の増水や土砂災害等の発生により、住民に避難勧告・
避難指示が出された場所がありました。
危険な河川や、土砂崩落が考えられる場所については、環境への配慮をする中で、護岸工事や里山の
保全、急傾斜地の開発への規制等の災害への対応が必要です。
(6)地域での活動
地域でのごみ収集や環境美化などに関する活動では、衛生自治会が中心的な役割を果たしています。
また、環境をテーマに活動している市民団体は数多くありますが、それぞれの団体が協働して取り組ん
でいるケースは少ないのが現状です。
環境に関心のある人たちが、お互いの活動を理解する、情報交換の場が必要です。
- 13 -
- 14 -
第3章
計画の体系
- 15 -
伊那市環境基本計画の体系
サブスローガン(基本方針)
ス
ロ
|
ガ
ン
み
ん
な
で
環
境
に
や
さ
し
く
住
み
や
す
い
伊
那
市
を
築
い
て
い
こ
う
!
基 本
1 伊那市の美しい自然環境や
景観を守っていこう!
1 自然環境や景観の保全
美しい自然や農山村の風景を、
次の世代に残していくために
努力します。
2 ごみを減らし、住みやすい
生活環境を作っていこう!
1 ごみの減量と資源化の推進
3Rによりごみを削減し、資源化
を推進します。また、美しい空気
や水を守り、生活しやすい伊那市
を目指します。
3 ストップ地球温暖化!
積極的に取り組んでいこう!
2 良好な生活環境の保全
1 温暖化対策の推進
地球温暖化を食い止めるために、
市民一人ひとりが目標に向け取り
組みます。
4 環境問題をみんなで学び
実践していこう!
環境問題を正しく理解し、市民
・事業者・学校・行政の協働で、
環境にやさしいまちづくりに取
り組みます。
- 16 -
1 環境教育の推進
2 協働による環境保全の推進
目 標
① 山岳の環境の保全
② 川のある環境の保全
基
③ 農山村の環境の保全
本
④ 市の花「さくら」の保全と活用
目
⑤ 街並みの景観の保全と整備
標
⑥ 動植物との共存
① ごみの減量
に
② ごみの分別と資源化
基
③ 不法投棄やポイ捨ての防止
づ
計画の推進体制
い
① 水質の浄化
③ 騒音や振動対策
た
1 計画の進行状
況のチェック
と公表
① 省エネルギーの推進
具
2 計画の見直し
② 大気汚染や臭気対策
② 新エネルギーの普及
体
③ カーボンオフセットの取り組み
的
④ 温暖化対策を考えたまちづくり
⑤ 温室効果ガスの削減
な
① 子どもに対する環境教育の推進
取
② 市民への啓発
り
① 市民との協働
組
② 事業者との協働
み
③ 学校との協働
④ 協働の推進
- 17 -
- 18 -
第4章
環境目標と具体的な取り組み
「具体的な取り組み」の表の見方
それぞれの項目について、「誰が取り組んでいくのか」を○で表します。この場合
は、補助を行うのは行政ですが、実際に設置するのは市民なので、市民と行政に○
が付いています。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
太陽光発電及び太陽熱の利用を推進します。
短:一般家庭への太陽光発電の導入を図るため、システム設置補助金
を継続します。
○
それぞれの項目の頭のマークは
短:短期目標 現在取り組み始めている、若しくは2・3年以内に取り組む事ができる事
中:中期目標 5年位で取り組む事ができる事
長:長期目標 10年位で取り組む事ができる事
- 19 -
を表しています。
○
第1節 伊那市の美しい自然環境や景観を守っていこう!
第1項 自然環境や景観の保全
1 山岳の環境の保全
○
「山並みの見えるまちづくり」を推進します。
伊那市を代表する景観は、南アルプスや中央アルプスの山並みです。2つのアルプスは伊那市のシン
ボルです。シンボルである景観を生かした「パノラマ伊那市」という観光のキャッチフレーズも使われ
るようになりました。
しかし、ビルやマンションができたことで、
「絶景」が遮られ
てしまった場所もあります。また、屋外広告物や電線によって
景色が阻害されている場所もあります。地域合意での景観協定
の策定などにより、美しい景観を保全します。
また、市内のいたるところにビューポイントがあります。市
民それぞれが好きなビューポイントを公募し、
「アルプスビュー
ポイント(仮称)
」
(※1)として指定し、市民に知ってもらう
中で、伊那市のシンボルとしてのアルプスの景観を、市民の中
<春の西駒ケ岳(雪形が見える)>
に定着していきます。
市民・事業者・行政それぞれが景観に配慮した、「山並みの見えるまちづくり」に取り組むことが必
要です。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
アルプスが見える伊那市の景観を守ります。
長:山並み景観を著しく阻害しないよう、建築物や屋外広告物の高さ・形状・
○
色や電線の地中化などの検討を行います。
長:景観協定の締結により、地域の環境に相応しい景観保全に取り組みます。
○
○
○
アルプスビューポイントを指定し、その広報を行います。
中:市民が「ビューポイント」と思っている場所を募集し、その中から「ア
ルプスビューポイント」を指定します。アルプスビューポイントは市民に
広報すると共に「アルプスの見える街」をアピールします。
○
○
なお、ビューポイントの広報は機会を捉えて継続的に行っていきます。
目標値
景観育成住民協定締結数
※1
平成 18 年度 12 件
中間目標年までに
18 件
アルプスビューポイント
国土交通省の観光事業としての「とるぱ」は、風景の美しい場所に駐車場を設置し、写真を撮る場所を
確保して観光につなげるものですが、アルプスビューポイントは、アルプスが美しく見える場所であれば施
設整備等は必要なく、指定することで、地域住民が景観に愛着を感じる場所となることを目的とします。
アルプスビューポイントをつなぐ散歩コースなど市民の工夫で活用できる場とします。
※2
遭対協
山岳遭難防止対策協議会の略称です。伊那市関係では、南アルプス北部遭対協と中央アルプス遭対協の2
つの組織があります。
- 20 -
○
山岳の自然に親しむ事のできる環境づくりに努めます。
山岳の美しさは遠くから眺めるだけでなく、山に登ってこそ感じられるものも多く、安全に山に親し
むためには登山道の整備や標識の整備等も大切です。地元の山岳会や遭対協(※2)とともに、自然に
やさしい登山道や遊歩道の整備を行います。
一方、入山者の増加に伴い、トイレの整備やごみの問題も出てきています。中心となる山小屋に環境
への負荷の少ないトイレの設置などの施設整備を始めています。また、ごみの持ち帰りや、自然保護に
関しては、入山者のモラル向上も必要であり、山小屋や林道バス等を利用してモラルの啓発を行います。
伊那市では長年、中学生が集団登山を行っています。集団登山にあたり、山岳での自然保護や環境保
全についての「山のルール」を積極的に伝えていきます。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
○
○
○
○
○
自然に配慮しつつ安全で快適な登山道や施設の整備を行います。
短:山岳に親しむため、地元山岳会や遭対協等と共に、登山道や遊歩道等の
整備を環境に配慮しながら進めていきます。
中:山小屋のトイレなどの施設は、環境に配慮した施設整備を行います。
入山者のモラル向上を目指します。
短:中学校の集団登山の機会に山岳の自然保護や山のルールを啓発します。
○
○
短:南信森林管理事務所などの関連機関と連携して自然保護の啓発を行いま
○
す。
中:入山者のモラル向上のため、山小屋や林道バスを利用した啓発活動を行
います。
○
○
○
○
○
南アルプスの世界自然遺産への登録を目指します。
南アルプスはその懐の深さから、比較的人の手の入っていな
い山岳地域で、国立公園に指定されています。地質的な特色と
して中央構造線を抱えた山岳地帯であり、平成 20(2008)
年 12 月に、日本ジオパークにも認定されました。
植生では、他の山岳に比べ、森林限界が高いという特色があ
り、貴重な高山植物が残されてきた山岳地帯です。また、最近、
激減していると言われている特別天然記念物のライチョウも
<仙丈ヶ岳>
生息し、伊那市の鳥に指定されています。
南アルプスがまたがる、山梨県・長野県・静岡県、及び関係市町村と連携し日本を代表する山岳地帯
である南アルプスの世界遺産への登録を目指し活動を続けます。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
○
○
○
○
○
○
世界自然遺産登録のための取り組みを推進します。
短:山梨県・長野県・静岡県の3県による南アルプス世界自然遺産登録推進
協議会や、飯田市・伊那市・富士見町・大鹿村の4市町村による南アルプ
ス世界自然遺産登録長野県連絡協議会と共に、南アルプスの持つ魅力や価
値をアピールし、関係機関へ働きかけます。
中:日本ジオパークへの認定をきっかけに、山岳についての学習環境を整え
ます。
- 21 -
○
2
○
川のある環境の保全
河川の景観を守りながら、災害にも強い川づくりを進めます。
伊那市は、市街地の中心部を天竜川が流れ、また、天竜川最大の支流である三峰川をはじめ、東西の
山岳地帯から流れ出る支流により、複雑な地形が形成されています。一方、それらの河原の中には市民
のやすらぎの場にもなっている場所も多くあります。
天竜川は、市街地の中心部を貫いて流れているため、交通の
障害でもあり、平成 18(2006)年 7 月豪雨災害の際には、
増水により市民生活の脅威になりましたが、一方で、夏の鮎つ
りや冬のざざ虫捕りの風景などは、伊那市の風物詩になってい
ます。
三峰川をはじめとする多くの支流は、美しい源流域と、農地
を流れる中下流域を持っています。また、平地部に入ったとこ
ろで天井川(※3)になっている河川もいくつかあります。
<18 年 7 月豪雨災害時の水神橋付近>
大きな支流では、上流部にダムや砂防えん堤が設置され、増水や氾濫が減少したことで、河川内にハ
リエンジュ(ニセアカシア)、サワグルミ、ネコヤナギ等の樹木が育ち、特に三峰川下流域は、河川内
樹木が林になっている場所も見受けられます。本来の河原の景観に戻すためにも、また、氾濫時に倒木
となり二次的な災害を引き起こさないためにも、そうした樹木の伐採が必要です。
三峰川に見られる霞堤(※4)は、増水した時に水の力を逃がし、水が減少した時には本流に水が戻
るという先人の工夫がうかがえる堤防です。しかし、下流部では霞堤内が農地になっていたり、家が建
ったりしているケースも見られます。霞堤の意味を後世に残していく事が大切です。
また、三峰川は、上流のダムにより通常はあまり水の流れない川になっていましたが、平成 19
(2007)年度より、高遠ダムからの放流量を増やし、魚の住める川になってきました。
護岸整備に当たっては、景観や環境、親水性等に配慮しながら、安全な護岸整備を行います。
また、各地に水害や川の怖さに関しての伝承が残っており、それらを伝えていく活動を行い、いざと
言うときに自分たちの地域を守る事のできる人材を育てていきます。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
○
○
○
○
市の中心を流れる天竜川の景観を保全します。
短:鮎つりやざざ虫捕りのできる天竜川の環境を守ります。
支流の美しい景観を守ります。
短:美しい渓流を保全します。
○
○
中:河川管理者と愛護団体が協働で河川内樹木の管理を行います。
○
○
歴史的景観としての霞堤を守ります。
中:霞堤の保存と役割を伝承し、歴史的文化財としての位置づけを検討しま
す。
○
○
○
○
○
○
災害のない川づくりを目指します。
中:地域ごとに体験者から次世代に災害の伝承を行い、危険箇所を把握する
など、自ら身を守ることができる人材を育成します。
長:景観や環境に配慮しながら、護岸整備を行います。
- 22 -
○
○
小河川や用水路を魚やホタルが住める自然水路に再生し保全します。また、湧水のある景観の
保全を行います。
伊那市内を流れる小河川や用水路は1960年代後半から改修が進み、その多くが、管理に手が掛か
らないU字溝や、三面張り工法の水路に形を変えています。そのため河川が直線的になり、澱みや瀬が
なくなり、魚やホタルが住みにくい環境になりました。また、道路幅を広げるためなど、やむを得ない
事情でふたをした水路もあり、子どもたちがメダカを追いかけるといった風景を見かけることがなくな
りました。
このような中で、自然に近い工法により魚やホタルの住める川づくりを行っている地域も出てきてい
ます。
また、段丘崖の下部は湧水が多く、昔から生活用水として利用されてきました。その湧水を利用して、
ワサビの栽培を行っていたり、サワガニが取れるたりする場所も多くありますが、近年、水質の悪化や
水量の減少が報告されている場所もあります。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
○
○
○
○
○
○
小河川や用水路を魚やホタルの住める自然水路に再生し保全します。
中:地域との連携で、より自然に近い工法で、水草が生え、魚やホタルのす
める川づくりを進めます。
中:農業用水路の中にも、防火用水としての性格を持つものもあるため、通
年通水を行い自然に近い環境づくりに努めます。
湧水のある景観の保全を図ります。
中:湧水マップを作成し、市民が湧水と触れ合う機会を作ります。
○
中:湧水の水質の保全を図ります。
○
中:湧水を守る意味からも段丘崖の自然を守ります。
○
※3
○
○
○
○
○
○
天井川
斜面を下ってきた川が平地に出る場所は、上流から運ばれてきた土砂が堆積し河床が高くなります。洪
水を防ぐために堤防を作ると河床はさらに上がり、周りの平地よりも高い場所を川が流れることになりま
す。このような状態を天井川と呼び、市内では西春近の藤沢川や、東春近の大沢川、野底の棚沢川でその
現象が見られます。
水害が起きたとき、水が川に戻らないため、被害が大きくなる事があります。
※4
霞堤
河川の堤防を、所々二重になるよう不連続に作ります。
普段はAのように流れていますが、水量が増えるとBのように堤防
の間から水が遊水地に流れ込みます。それにより堤防にかかる水圧
を逃がし、堤防の決壊を防ぎます。そして水が引くとCのように遊
水地に溜まった水が川に戻ります。また、本堤防が決壊した場合も、Cと同様に溢れた水が河川に戻りや
すくなります。36災害の際には実際に堤防の一部が決壊しましたが、最小限の被害ですんだそうです。
三峰川の霞堤は明治時代に築かれたのもので、上流のダムにより三峰川の水量が減り、増水することは
減りましたが、今でも現役の堤防です。この工法は、河川管理上重要な工法です。ナイスロードを高遠方
面に向かうとき、何回かアップダウンがあるのはこの霞堤を乗り越えて道が走っているためです。
なお、甲府盆地の霞堤が有名で、武田信玄が作ったとされ「信玄堤」と呼ばれています。
- 23 -
○
川が市民にとって、より身近なものになるよう取り組みます。
近年、河川が市民の生活から少し距離のあるものになっています。普段から川に親しみ、川の良いと
ころと川の怖いところを知ることが大切です。堤防上や、ダム湖の周辺を散策したり、学習や川遊び、
水上スポーツなどにより、河川に親しんだりする事が、河川の水質浄化や周辺の環境整備にもつながっ
ていきます。
また、伝統行事などの「川の文化」の伝承も河川をより身近なものに感じ、河川を市民が親しめるも
のとするために重要です。
<せせらぎ水路での水遊び>
<さんよりこより>
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
市民が河川に近付いたり、河川を考えたりする機会を増やします。
中:天竜川や三峰川堤防上の道路や高遠湖・美和湖周辺の遊歩道を、川に親
しむための散策路として活用します。
長:地域ごとに河川愛護会を育成し、市民が川を意識できるようにします。
○
○
○
○
河原や水辺を学習や遊びの場として活用します。
短:渓流やそこに住む生物に親しむための「川シンポジウム」を引き続き開
催します。
○
○
○
○
中:川遊びの基本的ルールを啓発します。
○
○
○
中:河原、堤防、せせらぎ、親水公園等を利用した学習活動を行います。
○
○
○
中:高遠湖・美和湖を水上スポーツの場として活用します。
○
○
中:湖の浄化を図ります。
○
○
長:親水公園を充実します。
○
○
○
○
川にまつわる文化を継承します。
中:水神様などの地域の川にまつわる文化を伝承します。
○
○
中:市無形文化財(平成6年指定)の「さんよりこより」をPRします。
○
○
- 24 -
3
○
農山村の環境の保全
美しい田園や里山の景観を守ります。
伊那市の風景は、日本の原風景である美しい田園や里山の風
景そのものでした。しかし、景観にそぐわない建物ができ、田
園風景を損なっているという指摘もあります。美しい風景を後
世に残していくためには、土地利用計画に即した適切な土地利
用を進めることや、地域住民の合意による景観協定締結による
景観の保全が必要です。
また、神社や寺の周囲の森は、聖域として樹木の伐採があま
りされず、適度に手が入れられてきました。そのため、巨木や
<里山風景(小黒)>
名木が残っており、林床には貴重な植物が残されている事も多いため、安易に開発することなく、保全
していく必要があります。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
○
○
○
○
○
○
田園風景や里山の美しさをアピールします。
中:伊那市の美しい田園風景や、里山の四季のそれぞれの美しさをカレンダ
ーや写真展示等でアピールします。
開発や建物の建築等に当たっては土地利用や景観に配慮します。
短:土地利用計画に即した適切な土地利用を進めます。
長:地域での景観協定の締結や、西箕輪地区で行っているような景観育成特
定地区の取り組みを支援します。
○
○
○
○
○
○
寺社林(鎮守の森)を保全します。
中:寺社林の大切さ(守られてきた巨木や林床の植生等)を啓発していきま
す。
中:住民参加で寺社林の保全を目指します。
○
農業の振興を図り、農地を守ります。
農地は、農作物を栽培するだけでなく、土地の保水性を高める「緑のダム」としての役割もあり、農
地の保全は環境を語る上で避けられないものになっています。
農地を環境保全の一環として捉えたとき、農業の振興は環境
にも大きな影響を与えています。農業の形態を再構築し、魅力
のある地場産品の開発や、地産地消による農産品の積極的な消
費等により、地元の農業を魅力あるものにすることが、農業を
守る(=環境を守る)事につながります。
増加しつつある遊休農地を減少させるためには、農業経営者
間での農地の貸借を推進する事や、市民農園として非農家によ
る耕作や、グリーンツーリズムにより都会の皆さんの参加等も
<田園風景(富県)>
重要です。
農産品の地産地消は、地域の農業の振興に加え、フードマイレージ(※5)の考え方からも、大切に
なっています。直売所や、スーパー等の産直売り場の充実で市民の地消を進めると共に、学校や保育園
の給食での積極的な使用も必要です。
- 25 -
また、食材カレンダーによる啓発や、地元の食材を使用した料理講習会やコンテスト等により、地産
地消をアピールします。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
長:経営規模拡大による農業の確立を図ります。
○
○
長:地域に合った特産品の開発を進めます。
○
○
○
○
○
○
○
農業の振興を図ります。
○
○
○
遊休農地の活用を図ります。
短:農地の貸借により遊休農地の解消を推進します。
中:遊休農地の市民農園としての活用を図ります。
中:遊休農地を都市と農村の住民交流の場としての活用を検討します。
○
○
中:荒廃しつつある山間農地の活用を検討します。
○
○
地元食材の利用を図ります。
短:地元食材の保育園や学校での積極的な消費を進めます。
中:旬の食材カレンダーを作成し、地元食材のPRに努めます。
○
中:地元の食材を使った料理講習会やコンテストを実施し、消費拡大を図り
ます。
中:余剰作物を直売所へ斡旋するなどの販売ルートについて検討します。
※5
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
フードマイレージ
外国産の食材は、国内産に比べ安価で、端境期にも安定して供給されることや、輸送技術の向上等により、
消費が増えています。しかし、その輸送にかかるエネルギーを考えると、多くのCO2が発生しています。
食材ごとに国内産のものと、外国産のものについて、その平均的なCO2発生量を比較するのが、フードマ
イレージの考え方です。
例えば、オーストラリアから輸入したアスパラガスの場合、1 本あたり 341g のCO2を排出したことに
なりますが、地元産なら輸送時のCO2排出はほとんど考慮の必要がありません。
値段は地元産が10円高くても、341g のCO2を考えたら「地元産の方が良い」と判断するための目安に
なります(東京ではフードマイレージを表示したお店も出てきています)
。
ただし、フードマイレージでは、温室栽培のような輸送以外のエネルギー消費は考慮されていません。ハ
ウス栽培等の場合にも、エネルギーを多く使っていますので、栽培のエネルギーや加工調理のエネルギーに
」の考え方もあります。
よるCO2排出も考慮した「カーボンフットプリント(※11)
いずれにしても、地元産の食材をなるべく、旬に食べる事が環境にはやさしいといえます。
参考 フードマイレージキャンペーンホームページ
- 26 -
http://www.food-mileage.com/
○
段丘崖の斜面緑地や里山の保全を図ります。
伊那市の特色のひとつとして、市街地の近くにある段丘崖の斜面緑地が挙げられます。現在は針葉樹
の割合が多くなっていますが、かつては薪炭採取の目的もあったため、広葉樹が生育していました。現
在でも、場所によっては山桜やコブシ等の雑木やヤマブキのような潅木が多く、花の季節には目を楽し
ませてくれます。
段丘崖の斜面が開発され、建物が建っている場所もありますが、景観からも、防災の観点からも問題
があります。都市計画法の地域地区指定や、土砂災害防止法に基づく特別災害警戒区域の指定により、
行き過ぎた開発行為に対する規制を検討します。
一方、周辺部の里山は、戦後の植林によるスギやヒノキ・カラマツ等の針葉樹の単相林になっている
場所がありますが、木材価格の低迷や、後継者不足、労働の過酷さ
等により間伐などの手の入っていない山も多くあります。また、民
有林の中には不在地主や、世代が変わって境界がはっきり分からな
い場所が多いことも、山に手を入れられない理由になっています。
しかし、山に手を入れ健全な樹木を育成することは、環境面から
も防災上の観点からも重要であることを発信する必要があります。
なお、間伐材の利用は、パルプや合板の原料、建設時の資材のほ
か、薪や木質ペレット等の木質バイオマス利用が始まっています。
具体的な取り組み
<ペレットストーブ>
市民
事業者
学校
行政
段丘崖の斜面緑地の保全を図ります。
中:防災上の観点から針葉樹だけではない斜面緑地を目指し、山桜やエノキ
やクヌギ・カシ類等を加えた、本来の斜面緑地の林相に改良します。
中:斜面緑地にある雑木やヤマブキなどの潅木を守ります。
中:土砂災害防止法の特別災害警戒区域の指定などにより、開発を抑制し、
安全で美しい斜面緑地を維持します。
○
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○
○
○
○
○
健全な里山の育成に努めます。
短:地域の里山を守る活動への支援を行います。
○
中:松くい虫などの病害虫対策を進めます。
○
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○
中:間伐を推進するとともに、間伐材の有効利用を図ります。
○
○
○
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○
中:個人所有林の境界確認の支援を行い、間伐や下草刈り等、山の管理をし
やすくすると共に、放置里山の解消を目指します。
中:森林施業計画に基づく間伐に対する補助などの支援を行い、計画策定を
呼びかけると共に計画策定の際のアドバイスを行います。
中:森林里親促進事業などを利用し、森林整備に意欲的な企業や団体等の活
動の誘導を検討します。
中:森林を使った市民観察会を開催します。
○
中:学校での林業体験学習を行います。
○
○
○
○
○
目標値
間伐実施面積
平成 18 年度
年 475ha
中間目標年までに 2,500ha
- 27 -
○
○
ますみヶ丘の平地林を市民の森として活用します。
ますみヶ丘の平地林は、比較的市街地に近く、なだらかな地
形のため、市民が気楽に訪れることのできる森林です。遊歩道
も整備されて、植物名の表示もあり、市民が森に親しむには絶
好のフィールドとなっています。また、森の中には、ササユリ
のような貴重な植物も生育しています。
この、ますみヶ丘の平地林を市民の森として位置づけ、散策
や森林浴、森林セラピー等により市民が森に親しむ場とするほ
<ますみヶ丘平地林での薪作り>
か、子どもたちの林業体験の場としての活用も可能です。
さらに、薪ストーブ購入の補助を受けた市民に声をかけ発足した、「フォレスタークラブ」による間
伐や薪作りといった試みも始まっています。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
ますみヶ丘の平地林を市民の森として活用します。
短:遊歩道の整備や植物名の表示等により市民が親しめる森づくりを進めま
す。
中:森林浴や森林セラピー等の体験ができるイベントを実施します。
中:フォレスタークラブによる森林整備の実施や、間伐材をストーブの薪に
する活動を推進します。
中:子どもたちの林業体験の場として活用します。
○
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○
○
農林業の後継者の育成に努めます。
農地や森林を健全な形で守っていくためには、農林業に従事する人が必要です。
しかし、伊那市統計書によると平成 7(1995)年に 8,223 人であった農業従事者が平成 17(2005)
年には 5,132 人に減少しています。
しかも、
年齢別農業従事者数
15∼19
20∼29
30∼39
40∼49
50∼59
60∼69
70歳以上
平成7年
平成12年
平成 17 年の統計では、70 歳以上の従事者
が 52.7%を占めており、従事者の高齢化が
進んでいます。このような状況では、農地を
守っていく事がますます難しくなってきます。
農業の形態を再構築し、魅力のある地場産
品の開発と共に、後継者を育成していく事が
平成17年
0
2,000
4,000
6,000
8,000
人
10,000
重要な課題です。
林業については、従事者数や年齢について
の統計がありませんが、私有林では、まったく手の入っていない山も多くあります。平成 17 年版の農
林業センサスでは、林業従事世帯は 271 世帯となっていますが、年間の林業就労日数が 29 日以下と
いう世帯が 78%となっており、私有林を所有する多くの世帯が、林業以外に主たる生業があり、林業
は片手間になっている事がわかります。
しかし、農林業ともにその魅力を感じ就労する若者もいる事から、農林業が経済的にも魅力ある職業
となるような、基盤の整備と共に新規就農林者の育成を図って行く必要があります。
- 28 -
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
中:特産品の開発・普及や米のブランド化等を進めます。
○
○
中:信大農学部と連携し地域に適した農畜産物の開発や定着を促進します。
○
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農林業が魅力のある職業となるように環境を整えます。
中:担い手の高齢化や後継者不足解消のため、集落営農組織の充実を図りま
す。
○
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○
新規就農者や新規就林者等の育成・定着を図ります。
中:新規に就農する人が、農業の研修を受けながら就農資金が確保できるシ
ステムを構築します。
中:新規就農者を地域で支援し、孤立させないシステムを構築します。
中:従来の農家の概念だけでなく、集落営農組織などに新規就農者が加わる
形での後継者の育成確保を進めます。
中:林業についても新規就業できるシステム作りを検討します。
○
○
目標値
集落営農法人数
4
○
平成 18 年度
2法人
中間目標年までに 24 法人
市の花「さくら」の保全と活用
日本一の桜の里づくりを目指します。
伊那市を代表する花は、やはり「さくら」です。観光の目玉でもあ
る「高遠城址公園のタカトオコヒガンザクラ」はもちろん、春日公園・
伊那公園・六道の堤といった桜の名所や、学校や堤防沿いの桜、段丘
崖や里山の山桜等、伊那市の春は「さくら」抜きには考えられません。
伊那市は、平成 19(2007)年に「さくら」を市の花に指定し、
「日本一の桜の里作り事業」の中で、市内各所にある桜をデータベー
<高遠城址公園の夜桜>
ス化する事業も始まっています。
学校の桜についても、花見給食や若葉給食等、学校行事に桜を取り入れているところも増えており、
桜守の指導で桜の手入れを行っている学校もあります。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
「日本一の桜の里づくり」を目指します。
短:高遠城址公園を始めとする公園の桜が、いつまでも美しい状態であるよ
うに、市民と共に適切に管理します。
○
短:学校にある桜に子どもたちが親しめる活動に取り組みます。
○
短:三峰川や天竜川の堤防の桜を適切に管理します。
○
中:桜のデータベースをもとに、各所の一本桜や山桜のある河岸段丘や里山
の紹介をします。
中:桜の周辺の環境整備を行う場合には、木製ガードレールなどの景観に配
慮した工法を採用します。
- 29 -
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5
○
街並みの景観の保全と整備
街並みの景観を保全します。
街並みの景観の保全も大切な要素です。新しく建て直された家屋や店もありますが、高遠の城下町の
景観や、三州街道の伊那部宿や杖突街道の藤沢地区、秋葉街道
の市野瀬地区にも宿場の面影が残っている場所があります。こ
うした古くからの景観を壊すことなく、調和の取れた街並みに
していく事が大切です。市民、事業者、行政それぞれが景観に
配慮した取り組みが必要です。
また、一般の住宅街や商店街でも、地域の景観に合わない奇
抜な建物や看板を作らないよう地域ぐるみで景観協定を結ん
でいる地域もあります。
<花いっぱい活動(諏訪形区社会福祉協議会)>
道路脇や法面の草や樹木の整備、ごみ拾い等を住民と共に行うことで、ポイ捨てのない美しい街並み
の景観の保全を目指します。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
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城下町や宿場町の街並み景観を保全します。
中:地域での景観協定の締結を支援します。
長:高遠市街や三州街道、杖突街道、秋葉街道に残されている景観を住民と
共に守り、歴史を感じる街並みを再生します。
長:住宅地や商店街の景観も地域と共に保全していきます。
道路沿いの環境整備を行い、ポイ捨てのない道路にします。
短:道路脇の空き地などを利用した、地域の花いっぱいの活動を支援します。
中:地域と行政の協働により、道路周辺の環境整備(道路脇・法面の樹木整
備や草刈、ごみ拾い等)を行います。
中:汚れた場所の写真展示や映像を使い、ポイ捨ての汚さを市民に啓発しま
す。
- 30 -
○
○
6
○
動植物との共存
希少な動植物の保護及び生息できる環境を守ります。
伊那市には標高 600m程の里地から、標高 3,000mを超える高山まであるため、その動植物の分布
は多様です。南アルプス、中央アルプスには、高山植物も多く生育しています。また、入笠山周辺には
高層湿原も形成され、貴重な植物の生育が確認されています。
山岳部には、イヌワシやクマタカといった猛禽類が生息していますが、ひとつの個体に必要とされる
面積が非常に広いことから、生息数や生息状況等についてはあまりわかっていません。
南アルプスには国の特別天然記念物で、「伊那市の鳥」にも指定されているライチョウが生息してい
ます。ライチョウは、氷河期の生き残りと言われる鳥で、南アルプスが最南端の生息地ですが、最近減
少が報告されています。かつては、中央アルプスにも生息していましたが、1960 年代に絶滅したと言
われています。
高遠町・長谷地区には、ミヤマシロチョウが生息しています。ミヤマシロチョウは南アルプス、八ヶ
岳及び浅間山山系に生息する蝶ですが、南アルプス地域では生息数が減少しています。こうしたことか
ら高遠町地区では、小学生と協働で食草であるメギの再生を行っています。
また、上新山地区では、日本最小のトンボであるハッチョウトンボをはじめ、36 種類のトンボの生
息が確認され、
「トンボの楽園」を守る活動を行っています。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
○
○
希少な動植物の保護及び生息できる環境を守ります。
短:トンボの楽園やメギの再生等の住民活動を支援します。
○
中:希少な動植物の分布を調査し、その保護に努めます。
○
中:減少傾向の猛禽類の調査を行います。
○
中:市の鳥「らいちょう」の保護に努めます。
○
長:入笠山周辺の高層湿原の保全を図ります。
○
○
○
○
○
○
○
○
上伊那地方の指定希少動植物及び特別指定希少野生動植物
指定脊椎動物
指定無脊椎動物
指定希少野生植物
特別指定希少植物
クマタカ
タカネマダラセセリ
オキナグサ
シナノコザクラ
ライチョウ
クモマツマキチョウ
エンビセンノウ
コマウスユキソウ
アカイシサンショウウオ
ヒメヒカゲ
ヤマシャクヤク
アツモリソウ
イヌワシ(特)
チャマダラセセリ
ベニバナヤマシャクヤク
クマガイソウ
オオイチモンジ(絶滅危惧) サクラソウ
イワチドリ
ミヤマシロチョウ(特)
キンラン(絶滅危惧)
タヌキマメ
ササユリ
この他に大切にしたい動植物として
オオムラサキとエノキ
ヤマユリ
ヒメギフチョウとウスバサイシン
サギソウ
ジャコウアゲハとウマノスズクサ
トキソウ
クロツバメシジミとツメレンゲ
ミズチドリ
フクロウ 等があげられます。
センジョウデンダ
また、天竜川、三峰川等の礫河原固有の生物として、
植物ではカワラハハコ、カワラニガナ、カワラヨモギ、カワラサイコ、カワラノギク
鳥類としてイカルチドリ、コチドリ、コアジサシ、ヒバリ、シギ類、セキレイ類等があげられます。
- 31 -
○
○
動植物との共存を図ります。
河川敷や荒廃農地を中心に、アレチウリを目にする事が多く
なりました。また、天竜川の土手に多く見られる黄色いオオキ
ンケイギクの群落や長谷地区の河川敷を中心としたブッドレ
ア(フサフジウツギ)が増えています。さらに、セイタカアワ
ダチソウも市内あちらこちらで見られるようになりました。こ
れらの帰化植物はその旺盛な繁殖力から、従来の生態系を駆逐
してしまうため駆除が必要です。
特に、アレチウリは、人手によって抜くしか適切な駆除の方
<アレチウリ駆除>
法がないため、市民団体や衛生自治会等との協働で駆除を行っています。
また、伊那市の広大な山林にはツキノワグマ、ニホンジカ、ニホンカモシカ、イノシシ、ニホンザル
といった大型哺乳類をはじめ、多くの野生動物が生息しています。
最近、それらの動物が人里近くに現れ、農作物に被害をあたえることが増えてきました。
動物が里地まで出てくる理由として、「山の食べ物が減った」、「暖冬により冬期に死ぬものが減った
ため個体が増えた」
、
「農作物の味を覚えてしまった」等いくつもの理由が考えられます。特にニホンジ
カは個体数の増加が報告されています。ニホンジカは、えさを求め高山帯にまで進出しており、高山植
物にまで食害を起こしています。高山植物の食害により、土壌の流出やライチョウの食草の減少も観察
されており、対策として高山植物の群生地をネットで囲む試みがなされています。
動物が里地に出てくる理由のひとつに、以前は手が入っていた里山に手が入らなくなった事も考えら
れています。緩衝帯としての里山整備をはじめ、動物と人間が共存できる自然溢れる伊那市を作ってい
きます。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
○
○
帰化植物についての啓発を行います。
短:どの植物が帰化植物なのか、帰化植物の何がいけないのかを啓発します。
在来種の保護のため、帰化植物の駆除を行います。
短:アレチウリをはじめとする帰化植物の駆除を、住民と共に行います。
○
○
○
野生動物による食害への対応を検討します。
短:高山植物への食害について調査を行い、その対策を行います。
中:緩衝地帯としての里山を整備し、動物が里地まで出てこない環境を整え
ます。
中:農作物への食害の現状を把握し、食害対策を行います。
○
○
○
○
○
○
○
<美しい風景ですが、オオキンケイギクの繁茂により、在来の植物は駆逐されてしまいます。>
- 32 -
○
○
第2節 ごみを減らし、住みやすい生活環境を作っていこう!
第1項 ごみの減量と資源化の推進
1 ごみの減量
○
ごみを減量します。
伊那市のごみ処分量
(資源ごみを除く)
t
上伊那地区ではごみの減量化、資源化及
30,000
び負担の公平性の確保を目的に平成 15
25,000
(2003)年 4 月から可燃ごみ・不燃ごみ
20,000
の「ごみ処理費用の有料化」を実施してい
15,000
ます。
10,000
ごみ処理費用の有料化によって、ごみの
処分量は、ピークだった平成 14(2002)
燃やせないごみ
燃やせるごみ
資源ごみを除く
5,000
0
14
年度には 24,974tであったものが、平成
15
16
17
18
19
年度
19(2007)年度には 16,508tに削減されています(約35%の削減)。
平成 20(2008)年度現在、プラスチックごみ以外の最終処分場(※6)が市内にはなく、可燃ご
みは、伊那中央清掃センター(上伊那広域連合で運営)で焼却後、群馬県草津町の民間の最終処分場に、
不燃ごみは鳩吹クリーンセンターで破砕・分別後、飯島町または小諸市の民間の最終処分場に運んで埋
立処分しています。最終処分には、コストだけでなく、輸送時のCO2排出の問題もあるため、上伊那
圏域での処分が必要です。
一方、資源プラスチック(※7)についても、ごみ処理費用の有料化と同時に収集が始まり、現在は
箕輪町の事業者で、分別・圧縮・梱包した後、富山県の事業者に送られ、リサイクルされています。
ごみ焼却施設での焼却によって生じるダイオキシンなどの有害物質は、連続燃焼する事や、集塵装置
などの高度排ガス処理の普及により大幅に減少しています。しかし、予定されているごみ中間処理施設
(上伊那広域連合)の建設には多額の費用が必要となり、施設の規模をできるだけ小さくするためにも、
一層のごみの減量が必要です。
ごみの減量には処理の現状を知ることも大切であるため、ごみ処理施設や最終処分場等の見学会を開
催します。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
ごみを減量します。
短:ごみ処理費用の有料制度を継続します。
○
短:ごみの減量化・資源化を推進します。
○
○
○
○
中:ごみの減量を啓発するため、市民を対象としたごみ処理施設や最終処分
場の見学会や学習会を開催し、ごみの処理状況を知り、ごみについて考え
○
○
る機会を作ります。
※6
最終処分場
伊那中央清掃センターで焼却した灰は、ほぼ毎日 10tトラック一杯、群馬県草津町の最終処分場に運ん
でいます。その費用は年間に約 9,000 万円かかっています。
一方、鳩吹クリーンセンターに運び込まれた粗大ごみや不燃ごみは、細かく砕かれた後に分別され、燃
やせるものは伊那中央清掃センターへ、金属類は関係業者に売却(リサイクル)
、陶器やガラス等の不燃物
は飯島町または小諸市にある民間の最終処分場へ、プラスチック製のごみだけは、鳩吹クリーンセンター
奥の最終処分場に埋め立てられています。
- 33 -
○
ごみ減量化のためのリデュース・リユースを推進します。
ごみを減らしていくためには、いわゆる「3R(※8)」
(リデ
ュース:ごみをださない、リユース:再利用、リサイクル:再資
源化)がありますが、ここでは「ごみの減量という視点」で、リ
デュースとリユースに絞って述べます。
日本人の美徳として、 もったいない という意識があります。
この もったいない 意識は、最近国外でも注目され「MOTT
AINAI」は国際語化されはじめています。
<フリーマーケット>
しかし、日本の経済成長は、「大量生産・大量消費」という
もったいない
の対極にあるものに支
えられてきました。
「たくさん作って、たくさん使って、たくさん捨てる社会」からの転換が必要です。
買い物のときの過剰包装、子どもの服や学用品等、工夫をしていけば解決できそうな もったいない
もいくつもありますので、市民や事業者と連携してリデュース、リユースを、積極的に推進します。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
○
○
リデュース(ごみを出さない)を推進します。
中: もったいない
意識を啓発します。
○
中:マイ用具(マイバッグ、マイ箸、マイボトル等)の使用を促進します。
○
○
○
中:事業者とも協力し、過剰包装削減を図ります。
○
○
○
中:ペーパーレスを図ります。
○
○
○
リユース(再利用)を推進します。
中:フリーマーケットやバザー等の情報を収集し発信します。
○
○
中:「おさがり」の啓発を行います。
○
○
○
中:学用品のリユースについて検討します。
○
○
○
目標値
一般家庭からの
一人当たりの一日のごみ排出量
※8
中間目標年までに 593g
平成 18 年度 624g
(5%減量)
3R
「3R」とはリデュース=Reduce(ごみをださない)
、リユース=Reuse(再利用する)
、リサイクル=Recycle
(再資源化する)の3つの単語の頭文字の「R」から来ています。リフューズ=Refuse(不要なものの受け
取りを断る)
、リペア=Repair(壊れたものを修繕して使う)を加えて「5R」と言うこともありますが、
後の2つはリデュースの中に含んで考えていくことが一般的です。
リサイクルは、ごみを原料にして新しいものを作り出すこと(マテリアルリサイクルとも言います)です
が、原料化及び製品化の際にそれなりのエネルギーが必要です。また、ごみを燃料とし、その熱を使用する
ことをサーマルリサイクルと呼びますが、これは再資源化できない物の最終的な処理方法です。
地球温暖化防止の立場から言うと、リデュース・リユースを優先したいものです。平成 12(2000)年の循
環型社会形成推進基本法では、廃棄物処理やリサイクルの優先順位を、リデュース、リユース、サイクル、
サーマルリサイクルであると明記しています。
マイグッズ運動は、リデュースの第一歩ですし、 おさがり
財布にもやさしいリユース活動です。
- 34 -
による子ども服の使いまわしは、環境にも
2
○
ごみの分別と資源化
ごみの分別により資源化を推進します。
ごみの中には資源になるものも多く含まれます。資源物として回
収されているものは、それぞれリサイクルされています。以前から
新聞紙は古紙を原料としてきましたし、現在では古紙 100%の紙も
上質紙として使用されています。伊那市では従来、新聞紙、広告、
ダンボール、雑誌、を古紙として回収してきましたが、それらに含
まれない紙も汚れていないものであれば、 その他の紙 として回収
<回収されたペットボトル>
に力を入れています。
その他、缶類、びん類、ペットボトル、資源プラスチック等は、資源として使うため、汚れを落とし
てきちんと分別する事が必要です。
分別した資源物は、さまざまな製品に加工されていますが、その製品を使う事も大切です。
また、燃やせるごみの中の約 45%(重量比)を占める
生ごみ
について、減量化・堆肥化を進め
るため、伊那市では個人の電動生ごみ処理機や堆肥化容器の購入に対して補助金を出しています(平成
20(2008)年制度復活、3 年間を予定)
。加えて地域に大型の生ごみ処理機を貸し出し、生ごみの堆
肥化を進める事業を、大萱県営住宅常会をモデルに開始しました。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
資源物の回収を徹底します。
短:古紙類、缶類、びん類、ペットボトル、資源プラスチック等の資源物回
○
収を徹底します。
○
短:ごみ処理費用の有料制度により、資源化(資源プラスチックは有料制度
○
の対象外とする)を誘導します。
短:缶類、びん類、ペットボトル、資源プラスチック等は、汚れを落として
○
きちんと分別してからステーションに出すよう啓発します。
○
○
○
○
再生品の使用を促進します。
短:グリーン購入により、再生紙や再生プラスチック製品使用を促進します。
○
○
資源化により生ごみを減量します。
短:家庭用電動生ごみ処理機や堆肥化容器の普及を図ります。
短:地域に大型の生ごみ処理機を貸し出し、自分たちの地域でのリサイクル
を図ります。
中:生ごみの堆肥化について検討します。
○
○
○
○
○
○
目標値
ごみのリサイクル率
平成 18 年度
生ごみ処理容器助成数
平成 18 年度 3480 台
※7
26.5%
中間目標年までに
30.0%
中間目標年までに 4000 台
資源プラスチック
製品を中に入れて売られている、容器や包装は、容器包装リサイクル法によって、リサイクルし再商品化
することを目指しています。プラスチック製の容器や包装は資源プラスチックとして収集されていますが、
汚れた状態のものは再資源化できないため、汚れを落としてから出す必要があります。
- 35 -
3
○
不法投棄やポイ捨ての防止
地域と共に不法投棄やごみの野焼きを減らします。
山の中への不法投棄は、タイヤ・バッテリー等の処理困難物や家電製品が多いのですが、なぜ、わざ
わざこんな場所に捨てるのか、と感じるほどの山奥に捨てられている事もあります。
また、ごみステーションに出されるごみも、分別が不徹底なた
めに、ステーションに残される事も多く、管理する衛生自治会の
役員に多大な迷惑がかかっている地域があります。
ポイ捨てに関しては、自動車からのポイ捨てが多く、信号機の
ある交差点では、タバコの吸殻や飲み物の空き缶やペットボトル
のポイ捨てが目立ちますし、道路脇や公共施設の駐車場等に、弁
当と飲み物のごみが、レジ袋に入れられて捨ててあるのもよく見
<不法投棄の現場>
かけます。
一方、ごみの野焼きは、地域によっては庭でごみを燃やす家がまだありますし、土手焼きや、剪定枝
等の焚き火の際に農業用資材(ビニール類)を混ぜて燃やす事例もまだあります。自宅でごみを燃やす
人たちの中には悪い事と知っていながら、早朝や夜間に燃やしているという指摘もあります。
いずれも、基本的には行う人のモラルの問題ですが、地道に啓発を続けていくことや、通報があった
時には対応していく事が必要です。また、地域の中で、不法投棄やポイ捨て、ごみの野焼きを許さない
環境づくりが必要です。そのため、現在検討中の「ポイ捨て禁止条例」により法的な規制を強めていく
事も必要になります。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
○
○
不法投棄やポイ捨て削減を目指します。
中:不法投棄の映像を公開する事で、不法投棄禁止の啓発を行います。
○
中:地区ごとに、不法投棄の常習箇所の検証を行い、その対策を考えます。
○
中:不法投棄ごみ、ポイ捨てごみの住民による回収を検討します。
○
○
○
○
○
○
中:ポイ捨てされやすい品物を販売する事業者には、その回収を積極的に行
うよう指導します。
○
ポイ捨て禁止条例を策定し、ごみのポイ捨てがないまちを目指します。
短:条例を策定しポイ捨てについて考える機会を作ります。
○
短:罰則によりポイ捨てを牽制します。
○
○
ごみの野焼きを減らします。
短:ごみの野焼きがなぜいけないのかを啓発し、積極的に指導します。
- 36 -
○
○
第2項 良好な生活環境の保全
1 水質の浄化
○
水質の浄化に努めます。
下水道や浄化槽の整備、家庭からの雑排水の流入が減少した事等により、伊那市内の河川の水質は向
上しています。特に天竜川は、ここ数年、以前のようなアオコの発生に
よる毒々しい緑色の流れを見る事はなくなりました。
平成 19(2007)年度末の下水道普及率は 75.7%ですが、実際に接
続を行っているのはその中の 65.9%なので、下水道を使用している市
民は全体の 49.9%です。また、浄化槽の設置は約 2,500 基です。下水
道への接続を進める事や、計画外の地域では、浄化槽の普及を促進し、
家庭雑排水による河川の汚染を減らします。
農業による肥料や農薬が河川を汚染することも多いため、農薬や肥料
の適切な使用を啓発します。一方、工場や事業所等の排水による水質汚
<小黒川の清流>
染は、以前と比べて減っていますが、必要に応じて指導を行います。
また、水路にごみや汚物を流す事例も後を絶たないため、モラルの向上が必要です。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
水質の浄化に努めます。
短:工場や事業所等からの排水についての情報を行政に伝えます。
○
中:下水道接続、浄化槽設置を促進します。
○
中:農地からの余分な肥料・農薬の河川への流入防止を呼びかけます。
○
中:工場や事業所等からの排水は、適正水質の排水を行うよう呼びかけます。
中:河川や水路にごみや汚物を流さないように啓発します。
○
○
○
○
○
○
○
目標値
下水道普及率
平成 19 年度 75.7%
中間目標年までに
83.8%
水洗化率
平成 19 年度 65.9%
中間目標年までに
69.8%
水質保全値(BOD)の達成率
平成 18 年度 87.5%
中間目標年までに
90.0%
2
○
大気汚染や臭気対策
大気汚染や臭気に対して適切な指導を行います。
工場や事業所等からの排気や自動車の排気ガスに対する国の規制強化により、大気の汚染の苦情は以
前に比べずいぶん少なくなりました。しかし、一部の事業者や家庭でのごみ焼却による苦情は寄せられ
ており、啓発活動と共に適切な指導が必要です。
また、窒素酸化物や揮発性有機化合物が、紫外線による光化学反応により形成されると言われている
光化学オキシダントは、県内でも平成 20 年 5 月に佐久地方で注意報が発令されました。光化学オキシ
ダントに対する注意報や警報が発令された際には、県のマニュアルに沿って対応します。
食品工場や堆肥工場等からの臭気や、畜産業や畑地への堆肥散布に伴う臭気に対する苦情には、適切
な指導を行います。
- 37 -
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
大気汚染に対して適切な対応を行います。
短:工場や事業所等からの排気についての情報を行政に伝えます。
○
中:工場や事業所等からの排気について、適正な排出を行うよう呼びかけま
○
す。
○
中:ごみの焼却に対して適切な指導を行います。
○
中:光化学オキシダント発生時には、県のマニュアルに沿って対応します。
○
○
○
○
臭気に対して適切な指導を行います。
中:食品工場や堆肥工場、搾乳器具の洗浄水の腐敗等の、臭気への苦情対応
を行います。
中:家畜や堆肥の臭気への対応を検討します。
3
○
○
○
○
○
騒音や振動対策
騒音や振動に対して適切な指導を行います。
工場や事業所等からの騒音や振動については、それぞれ騒音規制法・振動規制法等による規制により、
騒音・振動苦情も減少傾向にあります。
しかし、トラックや自動車の走行時の騒音や振動の苦情は依然としてあり、最近は駐車場での長時間
のアイドリングによる騒音の苦情も出てきています。
最近、ダンスの騒音や、深夜の花火や店外で騒ぐ人の声等に対する苦情も寄せられています。モラル
の問題が指摘されていますが、警察や事業者等と連携を図り、適切な指導を行います。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
騒音や振動に対して適切な指導を行います。
短:工場や建設工事から出る騒音や振動について情報を行政に伝えます。
○
中:工場や建設工事から出る騒音や振動について適切に指導します。
○
中:トラックなどの走行に伴う騒音、振動について対応します。
○
中:駐車場でのアイドリングストップを啓発します。
中:夜間のバイクや花火、店の外で騒ぐ人について指導します。
中:カラオケやダンスホール等の騒音について良識ある営業を指導します。
- 38 -
○
○
○
○
○
○
○
○
第3節 ストップ地球温暖化!積極的に取り組んでいこう!=地球温暖化対策地域推進計画
第1項 温暖化対策の推進
地球温暖化の現状
地球温暖化は、地球環境に様々な影響を与えています。
平均気温の上昇は、極地の氷床(※9)や山岳氷河を溶か
し、氷床の融解や海水の膨張による海面上昇が、海抜の低
い南太平洋の島々や、バングラデシュ等の国々に水害をも
たらしています。また、北極海の海氷(※9)の減少は、
ホッキョクグマの生態系にも大きな影響を与えています。
地球規模で気候のバランスが崩れ、猛暑や極寒、干ばつ
100 年前
現在
<山岳氷河の後退(スイス アレッチュ氷河)>
や豪雨・豪雪といった異常気象や、身近なところでは、平成 18(2006)年 7 月に伊那市を襲った豪
雨や、平成 20(2008)年夏に話題になったゲリラ豪雨といった現象も、地球温暖化の影響と言われ
ています。
以前は伊那市内の多くの学校が校庭にリンクを作ってスケートをしていましたが、最近は伊那西スケ
ート場でさえ、滑走できる日は限られています。県内では諏訪湖の御神渡りの拝観式も「平成」に入っ
てからは 6 回しか行われていません。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が、平成 19 年(2007)に公表した第4次評
価報告書では、地球温暖化の原因は「人間の活動に起因する温室効果ガス(※10)の増加である」とほ
ぼ断定し、地球温暖化対策を強化していかないと、地球の平均気温は今世紀末には現在より最大 6.4℃
上昇するなど、人類の将来はきわめて厳しい状況に陥ると警鐘を鳴らしています。
温室効果ガスの代名詞でもあるCO2は、産業革命以後飛躍的に増えてきた化石燃料の消費により急
増しました。現在では、産業や生活で使うエネルギーの大部分を化石燃料から得ている状態のため、省
エネルギーや新エネルギーの導入によって、化石燃料の使用を抑えていくことが急務です。
平成9(1997)年の 12 月に締結された京都議定書では、世界各国に温室効果ガスの削減を呼びか
けており、日本は平成2(1990)年を基準として平成 24(2012)年までに6%削減を求められて
います。
そのため、政府は平成 10(1998)年に「地球温暖化対策の推進に関する法律(通称
温対法)」を
制定し、温室効果ガスの削減を図ってきましが、平成19年の日本の温室効果ガス排出量(速報値)は
1990 年と比べ、8.7%の増加となっており一層の削減が必要です。
長野県も、平成 18 年 3 月に「長野県地球温暖化対策条例」制定すると共に、この条例に基づいて、
平成 15(2003)年 4 月に制定された「長野県地球温暖化対策県民計画」を、平成 20 年 2 月に改定
し、取り組みを強めています。長野県でも平成2年に対して平成 24 年までに温室効果ガスの6%削減
を目標としていますが、現状では 15.3%の増加となっており、その原因として、県内経済の拡大、冬
季の暖房や水道の凍結防止帯、自家用車の使用が多い事などがあげられています。県の計画では省エネ
と、森林吸収量を増やすことで 6%の削減達成を目指しています。
最近では、フードマイレージをはじめ、農作物や工業製品の原料・製造・輸送・廃棄といったそれぞ
れのレベルで発生する二酸化炭素量を製品に標示し、購入時の参考にしようという「カーボンフットプ
リント(※11)
」や、国土交通省が推奨する建築物の環境性能評価システムである「キャスビー(※12)」
等、いくつもの環境配慮の指標となるものが出てきました。この様な指標を活用することで、CO2削
減に取り組む事ができます。
- 39 -
※9
氷床
海氷
氷床とは、正式には陸地を覆う5万k㎡以上の氷の塊を指します。現在は南極大陸及びグリーンランド
にのみ存在します。ただし、温暖化問題で氷床と呼ぶ場合は、もっと小規模な氷河や、南極の氷棚(氷床
が海に押し出された場所)等も含んでいます。
一方、海氷は、海に張る氷で、北極海は海氷に覆われています。ホッキョクグマはこの海氷の上を歩き、
えさとなるアザラシを捕食しているため、海氷の減少は種の危機につながります。
※10
温室効果ガス
太陽からの熱は、地球の大気を暖めますが、夜間にはその熱の一部を宇宙空間に放出することで、気温
を安定させています。
しかし、温室効果ガスが増えると、本来は宇宙空間に放出される熱も大気内にとどまり、次第に大気が
暑くなってきます。これが地球温暖化の原因です。
この温室効果ガスは、二酸化炭素(CO2)の他、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)(=一酸化二
窒素)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF
6 )の6種類です。排出量としてはCO2 が一番多くなっています。
<地球温暖化の仕組み>
出展 (財)省エネルギーセンターホームページ
※11
http://www.eccj.or.jp/summary/warm.html
カーボンフットプリント
1.個人や団体、企業などが生活・活動していく上で排出される二酸化炭素などの温室効果ガスの出所を
調べて把握することで、炭素の足跡の意味です。
2.1.を企業が自社の商品に表示することで、二酸化炭素(CO2)の可視化が図れます。
例えば、ある食品を加工して販売する場合、原料の栽培、輸送、工場での加工、販売店それぞれでCO
2 が発生しますが、商品一袋あたりどのくらいCO2が発生しているのかを記載することで消費者は購入
の参考とし、企業は社会的責任を果たすという考え方です。
※12
キャスビー(CASBEE、建築物総合環境性能評価システム)
国土交通省が主導し開発された環境性能を評価するための指標です。建築物の持続可能性への関心が集
まる中、省エネルギーなどに限定された従来の環境性能よりも広い意味での環境性能を評価することが必
要になり、開発されました。
音環境や光・視環境、換気性能など住み心地に大きく関わる要素、ランニングコストの決め手となる冷
暖房効率などは、建築物の商品価値として求められるもので、これらの客観的な評価を消費者が一覧でき
るという意義もあります。
- 40 -
1
○
省エネルギーの推進
省エネについて率先的に取り組むと共に啓発に努めます。
CO2 の発生原因の一番大きなものは、化石燃料由来のエネルギーの消費に伴うものです。省エネは
CO2の削減に大きな影響があります。
省エネ行動のひとつひとつは小さな事かもしれませんが、それを積み上げると大きな省エネになりま
す。伊那市が率先して省エネ活動に取り組むと共に、省エネがどの程度のCO2削減の効果を持つのか
具体的な数字を広報しながら、伊那市全体で省エネに取り組む事が大切です。
省エネはコストの削減にもつながる事から、温暖化対策としてこまめな消灯や冷暖房の温度設定によ
る省エネを実行している人たちも比較的多いと思われます。経費
削減のほかに「こんな貢献もできる」を広報していく事で、さら
に省エネを進めて行く事が可能です。
また、最近は、健康のために歩いたり、自転車を使用するとい
った健康面につながる省エネを行っている人たちも増えてきて
います。単にCO2削減という面からだけでなく、コストの削減
や健康志向を組み合わせて広報していく事も、省エネには大切で
<伊那まつりでの打ち水>
す。
また、
「省エネ=節約=苦労」という構図ではなく、楽しい省エネイベントとして、打ち水大作戦や、
ライトダウンに伴うキャンドルナイトなどもあり、「楽しいエコ」の活動から省エネを考えていく事も大
切です。
具体的な取り組み
市民
事業者
○
○
○
○
○
○
学校
行政
冷暖房の省エネに取り組みます。
短:クールビズやウォームビズによる省エネに取り組むとともに、事業者や
家庭での取り組みを啓発します。
中:グリーンカーテンや、壁面緑化、屋上緑化等の啓発により、省エネを推
進します。
○
○
○
自動車の省エネに取り組みます。
短:率先してエコドライブに取り組むよう、家庭や事業者へ啓発を行います。
○
短:公用車使用を減らし、自転車やバイクを率先して使用します。
○
短:エコ通勤の取り組みを継続すると共に、事業者への啓発を行います。
○
○
○
中:市民や事業者に対し、環境負荷の少ない自動車導入の啓発を行います。
○
○
○
中:家庭や事業者も、可能な部分から自動車を使わないことを啓発します。
○
○
○
長:公用車の更新時には、なるべく環境負荷の少ない車種を導入します。
○
家庭や職場での基本的な省エネを啓発します。
短:不要な電灯の消灯や、冷蔵庫の開閉の減等基本的な省エネを啓発します。
○
○
○
○
○
○
○
○
省エネ購入を実施すると共に、省エネ製品の紹介をします。
短:リサイクル品や、環境負荷の少ない製品を購入します。
中:電球⇒蛍光灯⇒LEDの様に、より環境にやさしい製品を紹介します。
中:どんなところで省エネ製品を作っているか、売っているかを情報発信し
ます。
- 41 -
○
○
具体的な取り組み
市民
事業者
○
○
学校
行政
フードマイレージの啓発を行います。
中:フードマイレージに関する啓発を行い、地産地消を進めます。
○
ESCO(※13)事業や省エネ診断等を啓発します。
中:市役所本庁舎へのESCO事業導入を検討します。
○
中:事業者に対して、ESCO事業や省エネ診断の実施を啓発します。
中:効率のよい照明の配置の促進を図ります。
○
○
○
○
○
省エネ型の施設整備を行います。
中:公共施設の新設・改築等にあたっては、省エネを考えた施設整備を行い
○
ます。
エコ住宅の普及促進を行います。
中:高断熱壁や、ペアガラス設置等の高断熱住宅や、太陽熱利用のエコ住宅
について調査・啓発等を図ります。
○
○
○
○
グリーンITの導入を推進します。
中:低消費電力機器の導入、機器の統合や仮想化技術(※14)の活用やネッ
トワーク技術を活用し、ITでの省エネを推進します。
省エネの全国イベントに参加し「楽しいエコ」を啓発します。
短:打ち水大作戦に、市民や事業者も参加するようPRに努めます。
○
○
○
○
○
○
○
○
短:ライトダウンキャンペーンに、多くの市民や事業者が参加し、省エネを
考える場とし、年に数回、市街地の明かりを減らし星空を体験できるよう
にします。
※13
ESCO
Energy Service Company の略。省エネルギーの提案、施設の提供、維持・管理など包括的なサービスを
行う事業のことです。サービスを提供する会社は、顧客に省エネシステム等を提供しランニングコストを
下げるかわりに、軽減した電気代などの光熱費、水道料金から一定の割合(数年間にわたって 50%といっ
たもの)を受け取るビジネスモデルです。提供する会社が顧客の光熱費の削減に失敗した場合でも、顧客
には負担がかからないのが一般的な方法です。
※14
仮想化技術
1台のコンピュータの中に複数のコンピュータを稼動させる環境を構築できる技術です。
これにより、複数のコンピュータが1台で済むため、高価な機器を有効利用でき、管理コストも削減でき
て消費電力を大幅に削減できます。
- 42 -
参考
こんな事で、節約とCO2の削減ができる
節
事 柄
約
コスト(年)
CO2
削減量(年)
家での省エネ
1,850 円
31.3kg
石油ファンヒーターの設定温度を 21℃から 20℃に変更
820 円
25.4kg
石油ファンヒーターの設定温度 20℃で 1 時間運転短縮
1,360 円
41.1kg
90 年製の 29 型ブラウン管TVを 06 年製の 32 型液晶に買い替え
2,354 円
39.9kg
960 円
12.9kg
1,030 円
13.9kg
940 円
12.9kg
20,680 円
350.6kg
冷蔵庫は適切に(設定温度を強から中にする)
1,360 円
23.0kg
風呂が冷めないうちに、家族が間隔を開けずに入浴する
5,730 円
81.7kg
毎日のシャワーの時間を一分短くする
2,920 円
28.4kg
ふんわりアクセルの「eスタート」
(5 秒間で 20km/h 程度に加速)
11,370 円
193.9kg
加減速の少ない運転(道路状況を見て無駄な加速・減速をしない)
3,980 円
68.0kg
早めのアクセルオフ(信号等で早めに減速)
2,460 円
42.0kg
アイドリングストップ(5 秒の停止でエンジンオフ)
2,360 円
40.2kg
60W の白熱灯を、ほぼ同じ明るさの 12W の電球型蛍光灯に取り替え
電子レンジで下ゆで ほうれん草、キャベツ等
ブロッコリー、かぼちゃ等
じゃがいも、サトイモ等
90 年製の 460 リットルの冷蔵庫を 06 年製の 470 リットルに買い替え
エコドライブ
出典:チーム・マイナス6%ホームページ
(http://www.team-6.jp/try/uchieco/2007warmbiz.html)
※15
バイオディーゼル燃料とバイオエタノール
バイオディーゼル燃料(Bio Diesel Fuel=BDF)は、植物由来の油から取るディーゼルエンジン用の
燃料で、日本では廃食用油を精製して利用しています。しかし、そのまま使用すると低温時に粘度が高く
なるため、軽油と混合して使われることが多く、軽油と混合した場合、軽油取引税の対象にもなります。
バイオエタノールは植物から抽出したアルコールで、ガソリンの代用になり、ブラジルなどでは以前か
ら使用されています。現在では、稲わらや建設廃材からの抽出技術も出来てきました。
どちらも、油脂植物や穀物から直接抽出するので比較的簡単ですが、本来食料用の作物が燃料に転換さ
れる事から、食糧不足を懸念する声も出ています。
- 43 -
2
○
新エネルギーの普及
CO2削減のため新エネルギーの導入を図ります。
CO2 の削減のためには、化石燃料を再生可能なエネルギ
ー に 転 換 し て い く 事 も 大 切 で す 。 伊 那 市 で は 平 成 18
(2006)年度に「伊那市地域新エネルギービジョン」を策定
し、伊那市の環境に合った新エネルギーとして、太陽光、木
質バイオマス、小水力の導入を目指しています。
<太陽光パネル>
なお、大型の風力発電については、平成 17(2005)年当時民間の事業者が、入笠から鹿嶺高原に
かけての稜線に、大型の風力発電所を建設するプランを出しましたが、建設の際の環境保護や景観保全
の観点から問題があるとして、伊那市では山岳への大型・中型の風力発電の導入は見合わせる事になり
ました。
太陽光発電に関しては、晴天率が高く冷涼な伊那市の気候は、太陽光発電に向いている事から、「住
宅用太陽光発電システム設置補助」を平成 20(2008)年 4 月から行っています。導入の経費が高い
太陽光発電の普及を目的に、発電能力1kwについて 3 万円の補助を行っています。平成 21(2009)
年 1 月からは国の設置補助も始まり、市と国の両方に申請した場合には1kwあたり 10 万円の補助と
なり、今後の普及が期待されます。
また、公共施設の屋上や、道路の法面への太陽光発電システムの設置についても、検討していきます。
木質バイオマス利用は、伊那市の豊富な森林資源、特に間伐材の有効活用と森林整備につながるため、
期待されている分野です。薪ストーブはファッション性も高く若い世代を中心に、新築時に設置する家
が増えています。燃料となる薪の確保が大変なところから、市内には薪の供給とセットでストーブを販
売する事業者も出てきています。
一方、木質ペレットは、製造過程ではエネルギーを使用しますが、薪と比べて取扱いが楽な事から、
年齢の高い人や、公共施設での使用が見込まれます。ペレットストーブは学校への導入が進んでおり、
平成 20 年度末には延べ 59 台が設置の予定です(公共施設全体では 80 台の設置)
。
保育園にはペレットボイラーの設置が始まっており、ペレットボイラーで造られたお湯を園舎の暖房
や厨房で使用しています。今後、新築の保育園に順次設置していく予定です。ペレットの製造は、上伊
那森林組合が行っているため、地産地消の意味からもペレットストーブ・ボイラーの普及が望まれます。
水力発電は、伊那市の豊富な水資源の有効活用につながるエネルギーとして期待されています。しか
し、水利権の問題や、発電適地から電力需要のある場所までの距離の問題もあるため、発電した電気の
使い道まで考えた導入が必要です。
小型風力発電は、環境負荷も少なく、新エネルギーの啓発の意味もあるため、太陽光発電とのハイブ
リッド型の外灯を、学校を中心に人の集まる場所に設置していきます。
バイオディーゼル燃料(BDF)(※15)は廃食用油を原料として精製されますが、ディーゼルエン
ジンに手を加える事なく使用でき、CO2排出にカウントされないクリーンなエネルギーです。箕輪町
や駒ヶ根市では農業用のトラクターや巡回バスの燃料として使用されています。精製場所や廃食用油の
収集方法、軽油取引税の問題も含め、環境にやさしい燃料として今後研究が必要です。
バイオエタノール(※15)は、植物から採ったアルコールでガソリンの代替燃料になります。伊那市
内でも休耕田で育てた稲(収穫量は大きいが食用には向かない品種)からバイオエタノールを生産する
研究が始まりました。植物由来の燃料のため、BDF同様、使用しても CO2 発生にはカウントとされ
ず、また遊休農地の有効利用としても期待されています。
- 44 -
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
太陽光発電及び太陽熱の利用を推進します。
短:一般家庭への導入のため、太陽光発電システム設置補助を継続します。
○
○
短:学校などにハイブリッド外灯を導入します。
○
短:太陽光発電の普及には、売電価格の充実が有効なため、国県へ働きかけ
○
ます。
中:事業者への導入を啓発します。
○
中:公共施設への太陽光発電システムの設置を図ります。
○
中:太陽熱の利用を推進します。
○
○
○
○
○
○
薪・ペレットの利用を推進します。
短:学校や保育園にペレットストーブ、ペレットボイラーを導入します。
短:一般家庭や集会施設等への薪・ペレットストーブの設置補助を行い、普
及を図ります。
○
○
短:農業用施設へのペレットボイラーの導入を検討します。
中:薪の供給体制として、自ら間伐を行うグループを育成します。
中:間伐材、河川内樹木の伐採木、ダムの流木、公園の剪定枝等の薪利用を
推進します。
○
○
○
○
○
○
○
中:バイオマスタウン構想を継続して推進します。
長:ペレットストーブのデザインや、技術革新等について調査研究を働きか
○
○
○
○
○
○
中:ダムの放流水や農業用水、下水の処理水等を利用した発電を検討します。
○
○
中:電柵や農業用等、発電した電気の新しい使用方法について検討します。
○
○
けます。
水力発電を推進します。
中:発電適地は多いので、水利権や電力の使用場所等を検討し、積極的に推
進します。
小型の風力発電の設置を図ります。
中:市民の集まる場所に、小型の風力発電を積極的に設置します。
○
バイオディーゼル燃料・バイオエタノールについて研究します。
中:回収した廃食用油のバイオディーゼル燃料利用について検討します。
中:休耕田を利用して専用のイネを栽培し、それを原料にしたバイオエタノ
ール生産について研究します。
○
○
○
○
目標値
公共施設へのペレットボイラー・
ストーブ設置
住宅用太陽光発電システム設置
平成 20 年度末 80 台
中間目標年までに 100 台
平成 19 年度 650 台
中間目標年までに 900 台
- 45 -
3
○
カーボンオフセットの取り組み
カーボンオフセットの活動を検討します。
カーボンオフセット(carbon offset)とは、人間の経済活動や生活などを通して「ある場所」で排
出された二酸化炭素などの温室効果ガスを、植林・森林保護・クリーンエネルギー事業等によって「他
の場所」で直接的、間接的に吸収しようとする考え方や活動の総称です。
平成 20(2008)年 2 月に伊那市と新宿区との間で締結され
た、
「地球環境保全協定」は新宿区の予算で伊那市内の森林整備を
行い、その整備した森林が吸収したCO2を新宿区側のCO2削減
量に算定するというものです。平成 20 年から長野県が導入した
森林税も広い意味では、カーボンオフセットに含まれます(県民
からそのために集めたお金で森林整備を行うため)
。
その他、伊那市内のNPOがペレット利用による森林整備から
<新宿区との地球環境保全協定>
カーボンオフセットを進める動きがあります。
飯田市では、事業者が公共施設の屋根を利用した太陽光発電によるグリーン電力(※16)の販売を行
っており、伊那市でも事業者に公共施設の屋根を貸し、グリーン電力の生産を検討します。
また、豊富な森林を利用した排出量取引や、伊那市や関連機関のオリジナルグッズなどの販売に当た
り、その価格に上乗せをする形でのカーボンオフセットについても研究します。
具体的な取り組み
市民
事業者
○
○
学校
行政
森林税を財源とした森林整備に取り組みます。
短:森林税を財源とした森林整備に取り組みます。
○
新宿区との連携による森林整備を進めます。
中:新宿区との「地球環境保全協定」に基づく、森林整備を行います。
○
○
グリーン電力の生産や、グリーン電力の使用について検討します。
中:太陽光発電事業者への公共施設の屋根スペースの貸出しによるグリーン
電力の生産を検討します。
中:公共施設や、イベント等でのグリーン電力の使用について検討し、実現
を図ります。
○
○
○
○
○
○
○
○
カーボンオフセットを研究します。
中:具体的な排出量取引について研究を行います。
中:市や関連機関のオリジナルグッズの販売額の一部による、森林整備を検
討します。
※16
グリーン電力
再生可能エネルギーにより発電された電力は、
「電力そのものの価値」に加え、
「CO2排出量の少ない電
力(化石燃料等に比べ)である価値」
、すなわち環境付加価値があります。この環境付加価値を有する電力
をグリーン電力と呼び、太陽光発電、水力発電、バイオマス発電などがあります。グリーン電力証書は、
この環境付加価値分を証書化し市場で取引可能にしたものです。
- 46 -
4
○
温暖化対策を考えたまちづくり
温暖化対策を考えたまちづくりに取り組みます。
深夜のほとんど交通量がない道路に、煌々と街路灯の明かりがついている風景に、「こんなに照明が
必要なのか」と感じる事もあります。安全のために明るくする必要もありますが、その結果「明るすぎ
て稲に影響があるため、間引点灯する」といった街路灯もあります。道路新設の際に、地域で街路灯の
明るさについて考えていく必要があります。
商店の深夜営業は、ライフスタイルの変化もあり、便利ではありますが、軽井沢町のように深夜営業
を認めていない地域もありますので、今後の検討が必要です。また、看板のライトアップも、「営業し
ていない時間のライトアップは、無駄が多く、環境にもやさしくないので、PRには逆効果」という風
潮ができれば徐々に減少していくと考えられます。
まちづくりを考えていく中では、交通対策は非常に大切な要素です。伊那市は坂が多いため、自転車
利用には厳しいですが、自転車は中学生・高校生には必要な交通手段です。また、健康志向や省エネか
ら自転車を利用する市民も増えてきました。しかし、交通量が多いのに、幅員が狭く、自転車では走り
難い道路も多いため、道路の改良にあわせて自歩道の設置や、自転車通行レーンの設置も必要です。
公共交通機関の目的としては、交通弱者の「足の確保」が重要ですが、利用者が増えれば、CO2排
出の削減にもつながります。公共交通機関の利用促進や、デマンド交通(※17)等地域にあった公共交
通機関の普及も検討します。
また、通勤や出張等の際に自家用車と公共交通機関を組み合わせるパークアンドライドという方法が
あります。中央自動車道伊那インター付近の駐車場や、いなっせの駐車場を利用して高速バスに乗る事
は定着してきていますが、より使い易い方法を検討します。また、通勤時の乗り合いによるパークアン
ドライドについても検討していきます。
「まちづくり」は建物や道路といったハードだけの問題ではなく、人づくりも重要な要素です。地球
温暖化対策に意欲のある人たちの中から、
「地球温暖化防止市民リーダー(仮称)」を養成し、地域や家
庭からのCO2削減の啓発を行っていきます。
具体的な取り組み
市民
事業者
○
○
学校
行政
環境を考えたまちづくりに取り組みます。
中:地域で行う、営業時間や照明・ライトアップ等についての協定作りを支
援します。
○
自家用車の使用を少なくするために、公共交通機関の充実や、歩行者や自転車にやさしいまちづくりを推
進します。
短:通勤や出張時のパークアンドライドについて検討します。
○
○
○
中:市街地循環バスの充実やデマンド交通の導入を検討します。
○
○
○
長:道路の新設や改修等にあわせ、歩道や自歩道、自転車専用レーンを整備
○
し歩行者や自転車にやさしいまちを目指します。
地域で地球温暖化防止の啓発できる人材を育成します。
中:地球温暖化防止市民リーダー(仮)を育成し、地域や家庭でのCO2削
減の啓発を行います。
○
○
○
○
目標値
伊那市の運行するバス
などの年間利用者数
平成 18 年度 163,667 人
- 47 -
中間目標年までに 180,000 人
5
○
温室効果ガスの削減
温室効果ガス削減のための目標を設定します。
伊那市内の石油類及び電気の使用量は、販売店調査及び伊那市統計書によると下表のようになってお
り、伊那市の燃料や電気の使用から排出される CO2 は、年間 50 万トン近くになっています。
伊那市のCO2排出量推計
(伊那市統計書及び販売店調査による)
販売(使用)量
品
名
単位
18(2006)
19(2007)
削減
年度
年度
目標
CO2排出量(t)
25(2013)
年度
係数
18 年度
19 年度
(目標)
25 年度
(目標)
ガソリン
Kℓ
40,600
40,500
10%
36,500
2.322
94,300
94,000
84,800
軽
油
Kℓ
18,500
18,200
10%
16,700
2.619
48,500
47,700
43,700
灯
油
Kℓ
23,000
24,000
7%
21,400
2.489
57,200
59,700
53,300
A 重 油
Kℓ
8,000
7,600
7%
7,400
2.719
21,800
20,700
20,100
L P G
千㎥
2,631
2,726
5%
2,500
6.500
17,100
17,700
16,300
電
千 KWh
521,243
547,789
5%
495,200
(※)
250,700
257,500
238,200
489,600
497,300
456,400
気
計
<CO2 6.8%の減>
※18 年度は 0.481、19 年度は 0.470、25 年度は 18 年度の係数を使用
ガソリン・軽油の大部分が、自動車によって使用されていると考えられますが、エコドライブを行う
と燃費は 10%近く向上すると言われています(財団法人省エネルギーセンター調べ)。また、最近の自
動車は燃費が向上しているため、エコドライブが普及すれば 10%の削減は可能です。
灯油及び A 重油は、暖房での使用が多いため、ウォームビズなどの暖房の省エネにより7%の削減を
目指します。同様に LPG、電気についても不要な電気の消灯や、エコクッキング等の普及により5%
の削減を目指します。
本計画の中間目標年の平成 25(2013)年度までに、CO2排出量を平成 18(2006)年度から
6.8%削減します。国及び長野県では基準年を平成 2(1990)年としていますが、伊那市においては
数値の把握ができていない事から、平成 18 年度を基準年としています。
なお、本計画は、あくまで化石燃料からのCO2排出量の削減で、農地からのメタンの排出や、森林
の吸収量等は、対象としていません。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
○
○
○
○
CO2排出量を、平成 25 年度までに 6.8%削減します。
中:省エネルギーの普及・新エネルギーの導入等によりCO2排出を削減し
ます。
※17
デマンド交通
あらかじめ登録しておいた利用者が目的地や利用時間を事前にセンターに連絡し、利用者を乗合いで輸
送する方法です。新しい公共交通の方法として、路線バスなどの採算の合わない地域で始まりました。伊
那市でも伊那西部地区で実証が始まっています。
- 48 -
第4節 環境問題をみんなで学び実践していこう!
第1項 環境教育の推進
1 子どもに対する環境教育の推進
○
学校や地域での環境教育を支援します。
環境に興味を持つためには、子どもの頃から周囲が働きかけていく事が必要です。子どもたちに「こ
れをしなさい」と言うだけでなく、「なぜそれが必要なのか」を知る事から、環境への興味が生まれ、
環境保全の行動に結びつきます。場合によっては、子どもたちから親世代への働きかけも期待できるた
め、子どもに対する環境教育は重要です。
小中学校では、平成 19(2007)年度より「学校省エネ大作戦」の事業に取り組んでおり、消灯や、
節水を子どもたちに呼びかけ、前年と比べ消費量が減った学校には、消耗品などの予算が多くなる制度
ですが、多くの学校でこれをきっかけにして省エネが定着してきました。
「キッズISO」の取り組みは、児童が自宅のエネルギー使用量やごみの排出量を確認し、温室効果
ガスの削減につなげていくプログラムです。現在、富県小学校で取り組みをしていますが、他の学校に
も取り組みを広げていきます。
学校周囲の自然をフィールドにした学習活動を行っている学校も多いため、活動を把握すると共に、
地域の指導者も参加し、学校と地域の協働での環境学習
を進めます。
伊那市では、ごみに関する副読本「地球にやさしいき
れいな伊那市に」の発行を平成 5(1993)年から行っ
ていますが、引き続きわかりやすい副読本を発行し、学
校の授業での使用を進めます。また、平成 17(2005)
年から行っている「子どもエコツアー」も、より多くの
学校で取り組めるよう啓発します。
<子どもエコツアー(鳩吹クリーンセンター)>
現在、小学生を対象とした環境教育プログラムはいくつかありますが、中学生を対象とした環境教育
プログラムも必要です。中学生はクラブ活動や受験勉強等で忙しく、地域との関係も薄くなりやすい時
期です。しかし、環境に関して考えるには、むしろ大切な時期ですので、今後、中学生向けの環境教育
プログラムを開発し、学校とともに取り組んでいく必要があります。
また、保護者と児童生徒が一緒に考える事のできる環境講演会などを、学校やPTAとの協働で開催
していく事も推進します。
就学前の子どもたちにも電気や水を大事にする気持ちを持ってもらう事は大切です。伊那商工会議所
の女性部が、平成 20(2008)年度に県の補助金を受け園児向けの紙芝居を作成し、保育園を回って
その紙芝居を上演しています。この様な団体の活動も支援していきます。
子どもたちの環境学習の活動は、学校だけでなく地域での取り組みも大切です。環境関係の市民団体
や各地域の育成会が主催する「地域での環境学習」の機会についても、情報を収集すると共に、プログ
ラムの提供、講師の紹介、活動場所の提供、広報活動等の支援をしていきます。
また、地域の指導者の発掘や育成活動を行い、地域での指導者の充実を図ります。
- 49 -
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
短:学校省エネ大作戦の取り組みを継続します。
○
○
短:キッズ ISOなどの環境に関連するプログラムの導入を検討します。
○
○
○
○
○
○
学校での環境教育を支援します。
短:学校の敷地や周辺地域の自然を活用した環境教育の開催に努め、
「自分
たちのフィールド」への愛着を持った子どもを育てます。
○
短:ごみ学習のための副読本「地球にやさしいきれいな伊那市に」の作成を
継続し、
「子どもエコツアー」を引き続き開催するなど、学校と連携した
活動を続けます。
短:保育園児への環境教育を支援します。
○
○
中:児童・生徒や保護者を対象とした環境講演会を開催します。
中:中学生向けの環境教育プログラムを策定し、中学校に対して環境教育プ
ログラムの活用を提案します。
○
○
○
○
○
親子一緒に環境に取り組む場を作ります。
短:市民団体の親子環境教室の開催や育成会で行う環境活動を支援します。
短:親子環境壁新聞コンテストなどの、親子で環境を考えるプログラムを作
成します。
○
○
○
○
地域での指導者を発掘・育成します。
中:地域の指導者の発掘・育成を行い、学校への講師派遣を行います。
○
○
○
○
○
市の行う環境教育プログラムの充実を図ります。
環境教育のプログラムとして、伊那市では川シンポジウ
ムを、昭和 63(1988)年から行っています。清流を守
る事や、そこに住む生物に親しむ事から、伊那市の環境を
考えていく教育活動です。
また、フィールドでの学習活動、シンポジウムや講演会、
取り組みの紹介等、幅広い世代の方が参加することが可能
なプログラムであるため、今後は、事業者の活動を紹介す
るなどマンネリ化しないよう内容や時期等を検討しながら
開催していきます。
一方、毎年 8 月に行っているスターウォッチングは、全 <川シンポジウム(せせらぎウォッチング)>
国統一で行っている行事であり、最近では定員を超える盛
況となっています。伊那市の「美しい星空の見える環境」を大切にしていくためにも、スターウォッチ
ングを続けていきます。
なお、伊那市主催の行事だけでなく、地域の団体が主催する星空観察会なども開かれている事から、
観察会の情報を集め発信していく事も必要です。
また、「どこで見ると星空が見やすいのか」という問い合わせもあるため、美しい星空の見えるポイ
ントの情報を集め、発信していきます。
- 50 -
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
市の行う環境教育プログラムを充実します。
短:渓流やそこに住む生物に親しむため、「川シンポジウム」を引き続き開
催します。
短:美しい星空に親しむため、「スターウォッチング」を引き続き開催しま
す。
短:県伊那文化会館のプラネタリウムを利用しての学習会を開催し、星空に
親しめる環境を作ります。
中:市内で星空の見えるポイントの情報を集め、紹介します。
○
○
中:市民団体が行っている星空観察会の情報を収集し発信します。
○
○
2
○
市民への啓発
正しい情報の共有のための広報活動を行います。
環境の問題は日々変化しているため広報活動が欠かせません。たとえばごみの分別では、全て一緒の
ごみ袋に入れる、分別回収しない都会のやり方が、「手がかからないから進んでいる」と誤解されてい
るケースもあります。また、温暖化の問題でも、「太陽光発電は発電するエネルギーよりも、製造時の
エネルギーが大きいため、温室効果ガス削減には役に立たない」という古い情報を、まことしやかに言
っていた評論家もいます。
正しい知識を普及するためには、
「なぜそうなってい
るのか」
、
「なぜそうしなければいけないのか」を啓発
していく必要があるため、具体的な事例をあげて広報
していきます。
また、環境の問題は、写真や映像で訴えることで理
解が深まる事も多いので、地球温暖化やごみ処理、不
法投棄等の状況を映像化し、市役所のロビーや人の集
まる場所での展示や上映等による啓発にも取り組みま
<環境講演会(遠藤秀一さん)>
す。
昔の人の生活は、周囲の環境に左右される中で環境と共存していました。そうした昔の人たちの暮ら
しの知恵を見直し、現在に生かしていく事も必要であり、生活の知恵の収集及び紹介を行っていきます。
また、伊那市では、環境について地域課題も多く、伊那市全体としての課題に加え、地域の課題に対
応するため、地域自治区や衛生自治会を中心に、その地域に合った啓発を行います。
- 51 -
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
正しい情報の共有のための広報活動を行います。
短:「ごみの処理はどうなっているか」、「CO2削減のために何をしたらい
○
いか」といった具体的なテーマで継続的な広報を行います。
短:市民が環境問題を考えるきっかけになるような、環境講演会を開催しま
す。また、学校や事業者等が取り組む講演会などの情報を集め発信します。
中:不法投棄現場の写真の掲示や、地球温暖化の映像等を公共の場で繰返し
上映し、映像での啓発活動に取り組みます。
中:環境についてわかり易いコラムを、ホームページやメールマガジン等に
○
○
○
○
○
○
○
○
より定期的に発信します。
○
○
地域での指導者を発掘、育成します。
中:地域の指導者の発掘・育成、地域での学習会への講師派遣を行います。
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
周囲の環境と共に生きてきた「生活の知恵」を紹介します。
中:「もったいない」意識からきた生活の知恵を紹介します。
それぞれの家庭での環境教育について啓発を行います。
中:環境家計簿を紹介し、それぞれの家庭での取り組みを図ります。
中:家庭で、親子で取り組む事のできる環境教育プログラムを研究し、その
普及を行います。
地域自治区や衛生自治会と共に、地域に合った啓発活動を推進します。
中:地域自治区の活動としてその地域に合った啓発活動を推進します。
○
○
第2項 協働による環境保全の推進
1 市民との協働
○
市民団体の活動の情報を集め、その活動を支援します。
伊那市内には環境問題に取り組む団体が多くあります。団体の多くは自主的にその活動を行っていま
すが、活動の内容を市や他の団体が把握していない事もあります。今後、
「地域人材バンク」
「伊那市地
域づくり団体バンク」への登録を呼びかける中で、各団体の行う事業やイベント等の情報を収集し、市
民に広げていくことで、事業に協力していきます。
また、活動の場や事業を発表する場を提供します。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
○
○
○
○
市民団体の活動の情報を集め、その活動を支援します。
中:地域の中でどんな活動をしている人たちがいるか、また、どんな活動を
している団体があるのか知るために、
「地域人材バンク」
「地域づくり団体
バンク」を作り、公表すると共に、定期的な更新を図ります。
中:市民団体の行う事業やイベントの内容を把握し、その情報を市民に提供
します。
中:環境問題に取り組む団体の活動や発表の場を提供します。
○
○
○
○
○
○
目標値
地域つくり団体登録数
平成 19 年度 115 団体
(注:環境を対象とした団体のみの登録数ではない)
- 52 -
中間目標年までに 145 団体
2
○
事業者との協働
事業者の環境活動の支援と共に、事業者の持つ「ノウハウ」を市民に広げます。
伊那市内には環境問題に積極的に取り組んでいる事業者も少なくありません。環境にやさしい製品を
製造・販売している事業者もあります。伊那商工会議所・伊那市商工会・上伊那農協等と連携し、環境
にやさしい事業者の取り組みを広報していく事を検討します。
また、そうした事業者には、長く環境活動に取り組んできた方や、省エネなどの技術を持った方もお
られる事から、そうした方々に、地域や学校でも活躍してもらえるような、仕組みを作ります。
企業がISO14001やエコアクション 21 等の環境マネジメントシステムの導入を図る際には、
その認証取得に対しての支援を行います。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
事業者の環境活動の支援と共に事業者の持つ「ノウハウ」を市民に広めます。
短:事業者の環境マネジメントシステムの認証取得に対し支援を行います。
○
中:事業者の技術者を環境教育の講師に派遣してもらう様な仕組みを作りま
○
す。
○
○
○
中:伊那商工会議所や伊那市商工会、上伊那農協等と連携して、環境にやさ
しい活動を行っていたり、環境にやさしい製品を作ったり、販売している
○
○
○
事業者の活動を紹介します。
3
○
学校との協働
教職員や学生が地域の中で活動できるよう支援します。
信州大学農学部をはじめ、地域の学校には環境問題に取り組んでいる先生方もたくさんいますが、そ
の活動が学校内だけで行われている場合が多く、教職員の異動によってその活動が終わってしまう事も
少なくありません。そうした人材が、地域の中でも活躍できる場を増やしていく事で、学校ではなく、
地域での継続性が図られます。
また、環境問題に興味を持つ学生も多いことから、地域でどんな事が行われているのかを知る機会を
作り、共に活動してくれる事が重要ですので、学生たちに投げかけていくための窓口を作ります。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
教職員や学生が地域の中で活躍できるよう支援します。
中:学校で環境問題の研究や、環境を守る取り組みを行っている指導者が、
地域での活動ができるよう環境整備を行います。
中:学生が地域と連携していくために、「地域人材バンク」「地域づくり団体
バンク」の充実を図り、学生たちに広報していきます。
中:学生と地域とが、連携できる仕組みをつくります。
- 53 -
4
○
協働の推進
地域で活動している人たちのネットワーク化を図ります。
地域で環境に関する活動をしている人たちや団体は多いのですが、お互いの活動を知らないのが現状
です。地域で活動している人たちが、お互いに顔の見える関係を作っていくためにも、それぞれの団体
や個人が参加できる連絡協議会(仮称)も必要になってきます。連絡協議会では、お互いの活動を知る
とともに、協働して取り組んでいく事ができないかを考えていくために、相手を尊重しながら、自由に
意見を出すことができる場にする必要があります。
そうした活動の中から、伊那市全体(民・産・学・官)の協働で取り組める事を考えていきます。そ
のシンボルの一つとして市民全員が何かに取り組む「伊那市環境の日」「環境週間」の制定を目指しま
す。
具体的な取り組み
市民
事業者
学校
行政
○
○
○
○
○
○
○
○
地域で活動している人たちのネットワーク化を図ります。
中:地域で活動している人たちが、お互いに顔の見える関係になっていくた
めの、連絡協議会的な場をつくり、活動している人たちのネットワークを
構築します。
伊那市独自の「環境の日」「環境週間」の制定を検討します。
中:伊那市独自の「環境の日」「環境週間」を制定し、環境に関するイベン
トの開催や、市民の活動発表の場を設け、一般市民が参加できる行動を検
討します。
環境の問題は、誰かが取り組めばそれで良いというものではなく、市民、事業者、学校、行政すべて
の主体が、知恵を出し合い取り組んでいく事が必要です。各主体が持つ力を出し合って、協働していく
中で「環境にやさしく住みやすい伊那市」を目指します。
- 54 -
第5章
計画の推進体制
- 55 -
第1項
計画の進行状況のチェックと公表
本計画の推進にあたり「市が行うべき事業」については、年に一回、各担当課でその進捗状況の
確認作業を行い、その結果を環境審議会に報告します。また、その報告は市のホームページ上で公
表します。進捗状況についての市民による検証も行い、その後の計画の見直しや市の施策に反映し
ます。
市民や事業者や学校での取り組みについては、その取り組み状況を調査し、進んだ取り組みの事
例を広報します。
計画の進行状況のチェックの流れ
市
個
人
団
公開
担
報告
当
課
第2項
民
体
等
事業者
校
意見
事
報告
務
意見
学
局
意見
庁
内
環
境
基
本
計
画
環
推
進
委
員
会
報告
境
審
意見
議
会
計画の見直し
本計画の目標年度は、平成 30(2018)年度です。
しかし、環境の問題は技術の進歩や新しい情報により変化しており、それに伴い国の施策も大き
く変更される事があるため、平成 25(2013)年度を計画の中間年とし、計画の進行状況や社会
情勢の変化等に伴い、計画の見直しを行います。
- 56 -
資料編
- 57 -
1
伊那市環境保全条例
3
平成 18 年 3 月 31 日
環境の保全は、
地域の環境が地球環境と深くかかわ
っていることに着目し、
すべての事業活動及び日常生
条例第 63 号
活において地球環境の保全に配慮して行われなけれ
目次
ばならない。
第1章
総則(第 1 条―第 6 条)
(市の責務)
第2章
環境保全施策等(第 7 条―第 30 条)
第4条
第3章
伊那市環境審議会(第 31 条―第 35 条)
第4章
環境の保全のための日常活動、生活規範等
市は、環境保全施策を科学的知見に基づいて
策定し、及び実施する責務を有する。
2
環境保全施策の効果的な実施を図るため、市は、市
(第 36 条―第 42 条)
民及び事業者並びにこれらの者をもって構成する民
第5章
雑則(第 43 条・第 44 条)
間団体(以下「民間団体」という。)の自主的かつ積極
第6章
罰則(第 45 条・第 46 条)
的な活動の支援に関し、
必要な措置を講ずるよう努め
附則
なければならない。
3
第1章
総則
と連携することにより、
環境の保全に寄与するよう努
(目的)
第1条
前 2 項に定めるもののほか、市は、近隣の市町村
めなければならない。
この条例は、市の環境の保全について基本理
(市民の責務)
念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにする
第5条
市民(一時滞在者、旅行者等を含む。以下同じ。)
とともに、環境の保全に関する施策(以下「環境保全
は、環境の保全上の支障を防止するため、日常生活に
施策等」という。)の基本となる事項を定めることに
伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
より、当該施策を総合的かつ計画的に推進し、もって
2
前項に定めるもののほか、市民は、環境の保全に自
市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを
ら努めるとともに、
この条例において定める環境保全
目的とする。
施策に協力する責務を有する。
(定義)
第2条
(事業者の責務)
この条例において、次の各号に掲げる用語の
第6条
意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)
環境への負荷
事業者は、環境の保全上の支障を防止するた
め、事業活動を行うに当たっては、これに伴って生じ
人の活動により環境に加えられる
る汚水等の適正な処理その他の公害防止の措置を講
影響であって、
環境の保全上の支障の原因となるおそ
じ、
及び自然環境を保全するために必要な措置を講ず
れのあるものをいう。
るとともに、製品等が廃棄物となった場合にその適正
(2)
公害
環境の保全上の支障のうち、事業活動その
他の人の活動に伴って生じる相当範囲にわたる水質
な処理が図られるようにしなければならない。
2
事業者は、その事業活動に係る製品等が使用され、
の汚濁、大気の汚染、土壌の汚染、騒音、振動、地盤
又は廃棄される段階において、
環境への負荷の低減に
の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人
努めるとともに、
再生資源又は環境への負荷の低減に
の生活に密接な関係のある財産並びに動植物及びそ
資する原材料等を利用するよう努めなければならな
の生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生じる
い。
ことをいう。
3
前 2 項に定めるもののほか、事業者は、その事業
(基本理念)
活動に関し、環境の保全に自ら努めるとともに、この
第3条
条例において定める環境保全施策に協力する責務を
環境の保全は、すべての市民が健全で豊かな
環境の恵みを享受するとともに、
この環境が将来にわ
2
有する。
たって維持されるように適切に行われなければなら
第2章
ない。
(施策の基本指針)
環境の保全は、
すべての者の公平な役割分担のもと
第7条
環境保全施策等
市は、環境保全施策の策定及び実施に当たっ
に、環境への負荷をできる限り低減させるように、自
ては、次に掲げる事項を基本指針とし、環境の保全に
主的かつ積極的に行われなければならない。
関する各種施策相互の有機的な連携のもとに総合的
かつ計画的に推進するよう努めるものとする。
- 58 -
(1)
人の健康又は生活環境に被害を及ぼす環境保全上
(1)
現に公害が著しく、かつ、公害防止施策を総合的
の支障を防止し、
安全で安心して居住できる生活環境
に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難
を維持すること。
であると認められる地域
(2)
環境の自然的構成要素である水、大気、土壌等を
(2)
人口及び産業の急速な集中その他の事情により公
良好な状態に保持するとともに、資源を大切にし、そ
害が著しくなるおそれがあり、かつ、公害防止施策を
の有効利用等を促すことにより、
環境への負荷を低減
総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著し
させること。
く困難になると認められる地域
(3)
生物の多様性の確保、希少野生生物の保護及び森
2
前項の公害防止計画は、
環境基本計画に基づいて策
林、農地、水辺等の多様な自然環境を地域の自然的、
定するものとする。
社会的条件に応じて体系的に保全し、
潤いと安らぎの
(環境影響評価の推進等)
ある自然と人との共生を確保すること。
第 10 条
(4)
市は、事業を行う者が、あらかじめ当該事業
自然環境と一体となっている美しい景観や地域の
に係る環境への影響について、自ら適正に調査、予測
歴史、文化の特性等を生かし、快適な生活環境を創る
又は評価を行うこと(以下「環境影響評価」という。)
こと。
及びその結果に基づき、
当該事業に係る環境の保全に
(5)
地球の温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、砂漠化
ついて配慮することを推進するため、
必要な措置を講
等の地球環境問題及びその他の環境問題に対する市
ずるよう努めるものとする。
民等の自主的な学習等を啓発し、
環境保全施策への市
2
民の積極的な参加と実践活動を促すこと。
法令等の規定に基づいて行われる環境影響評価を
除き、市長は、前項の措置に関し、事業を行う者が環
(環境基本計画)
境影響評価を行わなければならない事業等について、
第8条
規則で定める。
市長は、環境保全施策の総合的かつ計画的な
推進を図るため、
環境の保全に関する市の基本となる
3
計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければ
果について、規則で定めるところにより、その事業の
ならない。
実施前に市長に届け出なければならない。
2
環境基本計画には、
次に掲げる事項を定めるものと
する。
(1)
(財政上の措置)
第 11 条
環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大
綱
環境への配慮指針
(3)
前 2 号に掲げるもののほか、環境保全施策を総合
財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
第 12 条
市は、公害の原因となる行為及び自然環境の
適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、
的かつ計画的に推進するために必要な事項
これを規制する基準を定め、
必要な措置を講ずるもの
市長は、環境基本計画を定めるときは、伊那市環境
審議会の意見を聴かなければならない。
この場合にお
4
市は、環境保全施策を推進するため、必要な
(規制的措置)
(2)
3
前項に規定する事業を行う者は、
環境影響評価の結
とする。
2
前項に定めるもののほか、市は、環境の保全上の支
いて、環境基本計画を決定したときは、これを公表し
障を防止するため、
国及び県の講ずる規制措置を市民
なければならない。
及び事業者が遵守することに関し、
必要な指導に努め
前項の規定は、
環境基本計画の変更について準用す
る。
るものとする。
3
(公害防止計画)
第9条
第 1 項の規制の措置の基準(以下「規制基準」とい
う。)は、規則で定める。
市長は、次の各号のいずれかに該当する地域
(特定施設の設置等の届出の義務)
において、実施されるべき公害の防止に関する施策
第 13 条
公害を発生させるおそれのある物質を排出
(以下「公害防止施策」という。)の基本方針を示すと
する施設のうち、
規則で定めるもの及び市長が特に指
ともに、その施策に係る計画(以下「公害防止計画」
定するもの(以下「特定施設」という。)を設置しよう
という。)を策定し、関係者に必要な協力を求めるも
とする者は、法令等に基づき届け出る場合を除き、規
のとする。
則で定めるところにより市長に届け出なければなら
- 59 -
ない。特定施設の届出事項を変更し、又は廃止すると
(特定施設の一時操業停止命令等)
きも、同様とする。
第 19 条
市長は、改善命令を受けた者(特定施設の設
(特定施設の設置の制限等)
置者に限る。)が当該命令に従わないときは、環境の
第 14 条
保全上の支障の除去又は防止に必要な限度において、
前条の特定施設に係る届出をした者は、その
届け出た日から、
規則において定める期間を経過した
当該特定施設の設置者に対して、
施設の操業の一時停
後でなければ、
当該施設の設置又は変更のための工事
止を命じることができる。
に着手してはならない。
2
2
市長は、前条の届出事項の内容が、規制基準に適合
ときは、伊那市環境審議会の意見を聴くものとする。
していると認めるときは、前項の規定による規則にお
(施設整備等に関する援助)
いて定める期間について、これを短縮することができ
第 20 条
る。
3
市長は、第 17 条及び前項の規定による命令を行う
市は、事業活動等に伴って生じる環境への負
荷の低減を図るための施設の整備その他の措置を事
特定施設を設置し、又は変更しようとする者は、当
業者が講ずることを助長することにより環境に対す
該施設の設置又は変更の工事を完了したときは、
規則
る保全上の支障を除去し、又は防止するため、当該事
で定めるところにより、
市長に届け出なければならな
業者に対して、
国県等の資金融資制度のあっせんその
い。
他の必要な援助に努めるものとする。
(特定施設の計画変更等の指示)
(資源の有効利用の促進等)
第 15 条
第 21 条
市長は、第 13 条の届出事項の内容が、規制
基準に適合しないと認めるときは、
当該届出がされた
及び事業者に対して、廃棄物の減量、適正処理及び再
日から規則で定める期間内に、当該届出者に対して、
資源化等を推進し、
並びに環境への負荷の低減に資す
特定施設の構造及び施設の使用又は管理の方法等に
る原材料、
製品又は再生品の使用及びエネルギーの有
ついて計画の変更その他必要な事項を指示すること
効利用が促されるようにするため、
必要な措置を講ず
ができる。
るよう努めるものとする。
(改善勧告)
第 16 条
(環境教育及び環境学習の推進等)
市長は、前条の規定による指示に従わない者
第 22 条
市は、環境の保全に関する教育及び環境学習
並びに既に設置されている特定施設及び規則で定め
を推進するほか、
市民及び事業者並びに民間団体が環
る特定施設以外のもののうち、
規制基準に適合しない
境の保全について自ら進んで理解を深め、及びこれら
と認めるものの設置者に対して、
期間を定めて当該施
の者による環境の保全に関する活動を行う意欲が増
設の構造及び施設の使用又は管理の方法等について、
進されるようにするため、必要な措置を講ずるよう努
環境の保全上の支障の除去又は防止に必要な改善の
めるものとする。
措置を講ずるよう勧告(以下「改善勧告」という。)
(民間団体等の自発的な活動の促進)
することができる。
第 23 条
(改善命令)
第 17 条
市は、市民及び事業者並びに民間団体が自発
的に行う緑化活動、環境美化活動、再生資源に係る回
市長は、前条の規定による勧告を受けた者が、
収活動その他の環境の保全に関する活動が促進され
当該期間内に、当該改善の措置を実施しないときは、
るようにするため、
必要な措置を講ずるよう努めるも
期限を定めて、
同条の改善の措置を講ずるよう命じる
のとする。
(以下「改善命令」という。)ことができる。
(情報の提供)
(改善措置の実施に関する届出の義務等)
第 18 条
第 24 条
改善勧告又は改善命令を受けた者が、当該勧
市は、第 22 条に規定する環境教育及び環境
学習の推進等並びに前条に規定する民間団体等が自
告又は当該命令に基づき当該改善の措置を実施した
発的に行う環境の保全に関する活動の促進を図るた
ときは、規則で定める期間内に、市長に届け出て、検
め、適切に情報を提供するよう努めるものとする。
査を受けなければならない。
2
市は、環境への負荷の低減を図るため、市民
(調査の実施等)
前項の検査を受けた者は、
当該検査に係る改善の措
第 25 条
市は、環境保全施策を策定し、実施し、及び
置が有効に保持されるよう施設の管理に努めなけれ
推進するため、環境状況の把握、環境の変化による影
ばならない。
響の予測に関する調査その他の環境保全施策に必要
- 60 -
な調査を定期的に実施するほか、
必要な措置を講ずる
(3)
よう努めるものとする。
(委員の任期)
(監視等の体制の整備)
第 26 条
関係行政機関の職員
第 33 条
市は、環境保全施策を適切に実施し、推進す
委員の任期は、2 年とする。ただし、補欠委
員の任期は、前任者の残任期間とする。
るため、必要な監視、巡視、測定、検査等の体制の整
2
備に努めるものとする。
(会長及び副会長)
(公害紛争の処理等)
第 27 条
委員は、再任されることができる。
第 34 条
市は、公害に係る紛争に関するあっせん、調
審議会に会長及び副会長各 1 人を置き、委
員が互選する。
停その他の措置の申立てがあったときは、状況を調査
2
会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
し、
その結果に基づき必要な措置を講ずるよう努める
3
副会長は、
会長を補佐し、
会長に事故があるときは、
ものとする。
その職務を代理する。
(地球環境の保全に関する施策)
第 28 条
4
市は、国及び県の講ずる地球環境の保全に関
会長及び副会長にともに事故があるときは、
あらか
じめ会長が指名する委員がその職務を代理する。
する施策を推進するとともに、
他の関係機関等と協力
(会議)
して地球環境の保全に関する国際協力を推進するた
第 35 条
め、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2
(年次報告書等の作成)
第 29 条
会議は、会長が招集し、会長が議長となる。
審議会は、委員の過半数の出席がなければ、会議を
開くことができない。
市は、第 8 条に規定する環境基本計画に基
3
づく施策その他の環境保全施策について、適切に実施
審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同
数のときは、議長の決するところによる。
し推進するため、毎年、それぞれの分野における環境
第4章
状況等を集録した年次報告書等を作成するものとす
(環境の保全活動の推進等)
る。
第 36 条
環境の保全のための日常活動、生活規範等
何人も、環境を保全するため、すすんで市を
(施策推進機関の整備等)
美しくする市民活動を実施し、推進するとともに、自
第 30 条
然環境の維持及び保護に努めなければならない。
市は、各種の環境保全施策について、相互に
有機的な連携を図り、
かかる施策を総合的かつ体系的
(投棄等の禁止)
に推進するため、これを企画し、調整し、推進する機
第 37 条
何人も、環境を保全するため、公共施設等に
関の整備及び環境の保全に関する専門的な知識を有
空き缶、たばこの吸い殻、紙くず等をポイ捨てし、又
する指導者の養成並びに環境の保全に資する手法の
は放置し、若しくは廃棄してはならない。
開発その他の活動基盤の整備等に関し、
必要な措置を
(雑排水等の処理)
講ずるものとする。
第 38 条
第3章
伊那市環境審議会
生活排水を排出しようとする者のうち、公共
下水道又は農業集落排水処理施設等による集合処理
(環境審議会)
をしていない者は、合併浄化槽を設置し、排水を処理
第 31 条
するように努めなければならない。
環境基本法(平成 5 年法律第 91 号)第 44 条
の規定により、伊那市環境審議会(以下この章におい
2
て「審議会」という。)を置く。
2
合併処理浄化槽の所有者又は占有者は、
その機能が
良好な状態で保持できるように維持管理をしなけれ
審議会は、
この条例において審議会の意見を聴くこ
ばならない。
ととされているもののほか、
環境の保全に関する事項
(土壌汚染の防止)
及び廃棄物の減量等に関する事項について市長に意
第 39 条
見を具申することができる。
何人も、土壌汚染を防止するため、汚染原因
となる物質を埋め立てたり、投棄してはならない。
(審議会の組織)
(騒音の防止)
第 32 条
第 40 条
2
審議会は、委員 15 人以内で組織する。
委員は、次に掲げる者のうちから、
市長が委嘱する。
(1)
市議会議員
(2)
識見を有する者
何人も、近隣の静穏を害するような騒音を発
生させないよう努めなければならない。
2
事業者は、
その事業活動により近隣の静穏を害する
騒音を発生させるおそれがあるときは、施設の位置、
- 61 -
構造及び作業の方法等について、
必要な措置を講じな
(2)
ければならない。
した者
(地下水等採取の制限)
第 41 条
2
何人も、地下水等を多量に採取した場合にお
ける地下水等の復元は容易ではないことを理解し、
地
次の各号のいずれかに該当する者は、3 万円以下の
罰金に処する。
(1)
下水等の乱用をしてはならない。
2
第 19 条第 1 項の規定による一時停止命令に違反
第 13 条の規定に違反して届出をせず、又は虚偽
の届出をした者
地下水源の枯渇と地盤沈下等の防止を図り、
地下水
(2)
第 18 条第 1 項の規定に違反して届出をせず、若
等の合理的な利用と開発の基準を定めることができ
しくは虚偽の届出をした者又は同項の規定による検
る。
査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
3
井戸を設置して地下水を採取する者で規則で定め
(3)
第 43 条第 1 項の規定による報告をせず、若しく
るものは、
あらかじめ市長の許可を受けなければなら
は虚偽の報告をし、
又は同項の規定による検査を拒み、
ない。
妨げ、若しくは忌避した者
4
市長は、公共用水道の水源確保と水質汚濁防止等の
ため、地下水等の保全が特に必要な場合は、地下水等
(両罰規定)
第 46 条
保全地域を指定することができる。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、
使用者その他の従業員が、その法人又は人の業務に関
(土地建物等の管理)
し、前条に規定する違反行為をしたときは、行為者を
第 42 条
罰するほか、その法人又は人に対して同条に規定する
何人も、環境を保全するため、占有し、若し
くは管理する土地又は建物等の管理に関し、
周辺の環
罰金に処する。
境に悪影響を及ぼすことのないよう清潔に保ち、
及び
附
危害の防止に努めなければならない。
(施行期日)
第5章
雑則
1
則
この条例は、
平成 18 年 3 月 31 日から施行する。
(環境の保全措置等に関する報告及び立入検査)
(経過措置)
第 43 条
2
市長は、環境の保全上の支障を除去し、又は
この条例の施行の日(以下「施行日」という。)の前
環境への負荷の低減を図り、
並びに環境を保全するた
日までに、合併前の伊那市環境条例(平成 9 年伊那市
め、この条例の施行上必要な限度において、特定施設
条例第 11 号)、高遠町いきいき環境保全条例(平成 9
の設置者に対して、
環境の保全に関する措置の状況そ
年高遠町条例第 20 号)又は長谷村自然環境保全条例
の他必要な報告を求め、
又は関係職員をして当該施設
(平成 10 年長谷村条例第 14 号)(以下これらを「合
に係る事業所その他の場所へ立ち入り、
必要な書類等
併前の条例」という。)の規定によりなされた処分、
を検査させることができる。
手続その他の行為は、
この条例の相当規定によりなさ
2
前項の規定による立入検査をする職員は、
身分を示
す証明書を携帯し、
関係者に提示しなければならない。
3
れたものとみなす。
3
第 1 項の規定による立入検査の権限は、犯罪調査
については、なお合併前の条例の例による。
のために認められたものと解してはならない。
4
(委任)
第 44 条
この条例に定めるもののほか、この条例の施
罰則
次の各号のいずれかに該当する者は、10 万
円以下の罰金に処する。
(1)
以内に規則で定めるところにより、
その旨を市長に届
け出なければならない。
(罰則)
第 45 条
この条例の施行の際現に井戸を設置し、
又は設置す
るためにこれに着手している者は、施行日から 60 日
行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
第6章
施行日の前日までにした行為に対する罰則の適用
第 17 条の規定による改善命令に違反した者
- 62 -
2
環境基本計画アンケート結果報告
Ⅰ
アンケートの方法と回答の状況
1 回答者の年齢層
市内に住む 20 歳以上の方 1,000 人を無作為
抽出し、郵送によりアンケート用紙の配布を行い、
25
5
回答をいただきました。
66
115
有効回答者は 444 人で、回答率は 44.4%とな
20 歳代
30 歳代
40 歳代
50 歳代
60 歳代
70 歳代以上
無回答
っています。
年齢別には 20 歳代がやや少ないものの、30
70
歳代以上についてはほぼ満足できる回答数を得る
85
ことができました。
78
居住地別では人口比 0.4%∼0.7%であり全人
口の 0.6%の回答がありました。
2 居住地
男女比は、男性 173 人(40.1%)、女性 253
8
竜西
竜東
富県
美篶
手良
東春近
西箕輪
西春近
高遠町
長谷
無回答
11
53
92
47
28
87
32
17
Ⅱ
21
す。
中学生については、各中学校の2年生各1クラ
ス(生徒数の多い東部中学校は2クラス)の生徒
に学校を通じて配布・回収をし、回収数 206 件
でした。男女比は男子 96 人、女子 107 人でほ
ぼ半々です。
あなたの身の周りの環境やあなたの行動について
設問1
①
48
人(57.0%)で、女性の回答が多くなっていま
身の周りの環境についてお聞かせください
環境への満足度
アルプスの景
Ⅱ−1−① 環境への満足度
観、星空の美しさ、
空気の澄み方と
家周辺の臭い
いった項目につ
夜間の明るさ
いては、満足度が
星空の美しさ
高く、天竜川の水
の美しさ、用水路
86
79
82
公園の緑
85
項目では満足度
家の周辺の緑
が低い結果が出
里山・農村景観
てきています。
アルプスの景観
一時期に比べる
支流
天竜川
と最近きれいに
102
146
91
自然の中での遊び
63
149
133
家の周りの騒音
47
176
161
空気の澄み方
小河川
196
104
や小川といった
天竜川の水は
80
66
103
148
21
31
200
40
満足
- 63 -
ほぼ満足
122
普通
やや不満
不満
無回答
16
18
67
4 13
9 18
38
53
177
9 8
52
125
119
10 14
31
139
182
25
37
135
67
12
10
135
159
60
37
56
129
235
23
40
156
126
102
23
69
168
15
16
15 7 10
129
153
20
19
17
17
なってきているように思いますが、堤防等の問題があり市民から遠くなっているところもこの結果に現
われているのではないでしょうか。特に 60 歳代、70 歳代の伊那地区の方などは、きれいな天竜川で
泳いだ記憶が残っており、その頃の流れと比べてしまうために満足度が低くなっているように感じます
(記述でのご意見の中にもありました)。また、地域の用水路や小川については、水路がコンクリート
の三面張になったり、暗渠化したことにより天竜川同様生活から遠くなっていることが原因となってい
るかも知れません(記述の部分で御園区内の思沢川や、東春近地区の小川といった小河川の保全を訴え
ているものもありました。
)
。
「夜間の明るさ」の設問については記述の中で、
「明るくて安全(で満足)
」
といった防犯上の問題を上げている方がある一方、
「明るくて星が見えない(から不満)」という意見も
あり、設問の方法の難しさを感じました。
②
あなたの家の周辺で野生動物を見かけたことがありますか?
野生動物を見たことがあるという
方が 261 人(58.7%)見たことは
ないという方が 177 人(40.0%)
という回答でした。
Ⅱ−1−② 見かけた動物の種類
160
149
140
132
120
目撃された動物の種類ではタヌキ、
キツネという、比較的人間の生活圏
100
83
の近くに生活する動物についで、ニ
80
ホンジカ、ニホンザルの目撃件数が
60
82
65
多くなっています。
43
40
地域別で見るとニホンジカについ
ては、高遠町地区、長谷地区、富県
12
3
無回答
その他
狸
狐
猿
撃されています。ニホンザルについ
カモシカ
鹿
猪
0
熊
地区と市の東側の山麓地域で多く目
25
20
ては山麓部分では東西ともに目撃さ
れています。
動物を見たときにどんなことを感じましたか?(記述)
「食害等の問題を思い浮かべた」、「こんな道沿いに出てくるのは危ない」、といった意見が多く出さ
れました。また、集団で暮らすことが多いニホンザルについては「怖い」という意見もありました。一
方で、
「山の中で暮らせなくなっているからかわいそう」といった意見も出ています。
また、動物を見たことで「自然が残っている」と感じている人もいますが、一方で「昔はこんなに人
家の近くでシカやサルを見ることがなかった。この状態はむしろ不自然」という意見もありました。
野生動物と「共生したい」と考えている人の回答は多かったのですが、実際に被害を受けてしまうと、
「困ってしまう」
「憎らしくなる」といった答えになってしまうようです。
- 64 -
設問2
日頃の生活の中で「もったいない」と感じることはありますか?
一般市民全体では 351 人(90%
無回答除く)の人が「もったいない」と感じることがあると回
答しています。また各年齢層共に 90%近い
Ⅱ−2 「もったいない」を感じたこと
人が「もったいない」と感じていることがあ
124
中学生
るということがわかります。
しかし、中学生の回答では「もったいない」
75
22
20歳代
1
と感じている割合が 62.3%と激減していま
57
30歳代
4
す。
一般の自由記述では、食べ物に関する「も
61
40歳代
ったいない」の記述が非常に多かったのです
6
62
50歳代
9
が、中学生では、電気や水に関する記述が多
67
60歳代
くなっています。食べ物については、中学生
にとっては今の生活基準が普通であり、大人、
特に食料難時代を経験してきた人たちとの
70歳代
79
一般 計
351
「もったいない」の感覚の違いが表れている
0%
20%
40%
のかも知れません。
ある
7
11
38
60%
80%
100%
ない
一般の「もったいない」の中には、作りす
ぎの農作物(収穫せずに畑に残されたもの)などの指摘もあり、地域性が感じられました。
また、子ども服や靴、学用品や教科書といったものは、成長と共にいらなくなり、捨てざるを得ない
ことを、もったいなく感じている人が多く見られました。
設問3
①
ごみや3Rについてお聞きします
3Rという言葉を知っていますか?
40 歳代、50 歳代の「知っている」
Ⅱ−3−① 3Rを知っていますか
「聞いたことはある」の割合が、比較的
中学生
61
20歳代
7
52
多くなっている、一方で、中学生、20
92
8
歳代、30 歳代と若い世代に「知らない」
10
の率が高くなっています。TVCM等で
25
30歳代
15
28
40歳代
25
18
も頻繁に放送されていますが、やはり関
心の薄さが関係するのかもしれません。
23
一方、ニュースや生活関連の番組で取
27
50歳代
60歳代
21
26
25
30
り上げられることも多いため、40 歳代、
50 歳代での認知度が高くなっていま
33
70歳代
39
31
37
一般
149
128
155
す。
環境負荷のより小さいリデュースや
0%
20%
知っている
40%
60%
聞いたことはある
80%
知らない
- 65 -
リユースを推進していくためには、3R
100%
の概念をさらに普及していく必要性を
感じました。
②
ごみの分別の仕方を知っていますか?
一般の全体をみると約半数が「十分理解」していると回答しています。「時々わからなくなる」を加
えると、9割近い人たちが理解し
Ⅱ−3−② ごみの分別の理解
中学生
5
30歳代
15
60 歳代、70 歳代で分別の理解
10 12 0
88
93
20歳代
ているように思います。50 歳代、
4
16
度は高くなり、「時々わからなく
0
0
なる」は 20 歳代、30 歳代に多
0
1
0
49
いと言う結果になっています。
40歳代
4 1
0
39
25
50歳代
34
43
60歳代
54
70歳代
69
27
しかし、現実のごみステーショ
0
1
0
ンや、処理施設に出されるごみの
0
20
状態を考えたとき、この数値が必
ずしも信頼できるものではない
40
2
32
ように感じます。
一般
161
2
198
214
本アンケートにご回答いただ
0%
20%
充分理解
必要性がわからない
40%
60%
時々わからなくなる
その他
80%
100%
いた方が、こういった問題に関心
難しいので適当
が高いためこのような結果が出
てきたのかもしれません。
記述の部分では、「市から配布している小冊子や、カレンダーを見ながら分別を行っている」という
回答がありました。
また、
「ごみ袋への氏名の記入により責任を持たせるべき」という意見もいただいています。
③
生ごみの処理についてはどのようにしていますか?
生ごみの処理の状況は地域によって大きな差が出
Ⅱ−3−③ 生ごみ処理の状況
ています。市街地では燃やせるごみとして処理し
全 体
ていることが多いのですが、周辺部では、堆肥化
竜 西
若しくは畑等での処理をされている家庭が多くな
竜 東
手 良
なウエイトを占めていますが、現状では、市街地
東春近
での生ごみ処理がそのネックになりそうです。
西箕輪
記述での回答の中で、周辺部の方ですが、
「コン
ポストの場合、動物に荒らされるので燃やせるご
13
10
8
21
16
18
21
22
14
20%
堆肥化
2
5
6
0%
- 66 -
10
8
16
長 谷
促進するべきであるという意見も出ています。
5
9
6
高遠町
また、補助金等により、生ごみ処理機の普及を
26
12
10
3
9
9
西春近
みとして出している」との回答もありました。
55
22
15
美 篶
ごみの減量化に関しては、生ごみの削減が大き
66
15
富 県
っています。
222
128
123
21
40%
畑に埋める
60%
80%
可燃ごみ
100%
④
ごみ減量化のためにしていることはありますか?
30 歳代、40 歳代で「生ごみの自家処理」の数が少なくなっています。これには住んでいる家の問
題、住宅地や集合住宅では処理しにくい
Ⅱ−3−④ ごみの減量化
中学生
30歳代
55
40歳代
57
32
29
19
38
28
22
6
5
10
16
28 0
38
91
53
1 50
20歳代
という傾向が出ているのではないでし
ょうか。
5
1
中学生は「きちんと分別」が多くなっ
16
2
ていますが、③の内容と比べると現実に
16
5
14
6
はどうなのか疑問を感じます。
「不必要なものを買わない」は中学生が
50歳代
64
60歳代
65
32
26
34
多く、20 歳代にはその意識が少ないよ
70歳代
85
一般
3 45
0%
20%
きちんと分別
買わない
設問4
①
23
35
188
40%
49
47
65
190
160
60%
生ごみの自家処理
高くてもいいもの
2
19
29
27
98
80%
うに感じました。
2
記述の中では、いわゆるリデュース
18
(発生抑制)に言及しているものが多い
100%
再利用
その他
ように感じました。
地球温暖化
温暖化を感じたことがありますか?
Ⅱ−4−① 温暖化を感じたこと
多くの人々が温暖化を感じたことが「ある」と
の回答を寄せていますが、70 歳代及び中学生で
中学生
は、比較的温暖化を感じていない人が多いようで
20歳代
す。
30歳代
中学生に関しては、以前との比較ができないこ
とが、温暖化を実感していない理由であると考え
140
60
22
3
58
40歳代
6
59
50歳代
9
65
6
られます。
「感じたことがある」という回答も記
60歳代
64
11
述の部分では、TVやマスコミ報道から温暖化を
感じるという回答が多く、他の世代のように、
「ス
70歳代
ケートができなくなった」とか、
「氷の張り方」
一般
といった実体験に基づく記述は少ないのが特徴
70
25
34 0
0%
20%
40%
ある
60
60%
80%
100%
ない
です。
70 歳代の方に実感がない理由は、外出の機会の減少によるものかも知れません。
アンケートを行った時期の問題もあり、暑さに関する記述が多かったようにも感じましたが、「農作
物の植え付けや収穫の時期」
「干し柿がうまくできない」
「作った味噌の味が変わる」といった農業や生
活に密着した部分で温暖化を実感している人も多くなっています。しかし一方で、「身の回りでは特に
感じない」といった意見もありました。
②
温暖化は、温室効果ガスが原因であることを知っていますか?
温室効果ガスが、温暖化の原因であることを、各世代とも 90%以上の皆さんが「知っている」又は
「聞いたことがある」と回答しており、年齢が若いほど高い割合になっています。
温暖化の原因は、理解されているようです。
- 67 -
③
「CO2排出量の6%削減」を知っていますか?
「知っている」との回答は 40 歳代、50 歳
Ⅱ−4−③ 6%削減目標を知っていますか
代、60 歳代で割合が高いのですが、中学生は
「知らない」という回答が4割近くなっていま
中学生
す。これに関してもテレビなどの報道で 40 歳
20歳代
代以上は知識を得ているが、若い世代には関心
30歳代
がないという傾向が出ているのだと思います。
40歳代
35
50歳代
40
若い世代に、温暖化に対する興味が少ないの
62
64
9
77
11
28
5
28
10
28
6
27
11
は、
「体験としての温暖化の感覚」がないことも
60歳代
45
36
1
影響しているのかもしれません。
70歳代
52
47
11
211
177
45
京都議定書の重要性については、中学生に対
一般
しては、授業等での説明機会をもう少し増やし
0%
ていく必要があるのではなでしょうか。
④
20%
知っている
40%
60%
聞いたことがある
80%
100%
知らない
温室効果ガスの発生増は、生活関連からの発生によるものと知っていますか?
温室効果ガスの発生増が、
「生活関連からの発生」によるということは、各世代とも 90%前後の皆さ
んが「知っている」又は「聞いたことがある」と回答しています。
自分たちの生活が環境に影響を与えていることについては、理解されているようです。
⑤
温暖化対策に取り組んでいますか?
30 歳代の「取り組んでいる」は突出して
Ⅱ−4−⑤ 温暖化対策に取り組んでいるか
多くなっています。
「取り組みたい」「何をす
中学生
49
20歳代
82
7
40
6
ればいいか分からない」を含めても、30 歳
31
7
代の温暖化対策に対する意識の高さが見られ
4
ます。
30歳代
44
40歳代
30
11
7
7
9
16
1
中学生、20 歳代の「取り組んでいる」が
少ない結果であるのは、前の質問で出てきた
関心の薄さに加え、温暖化対策としてできる
50歳代
29
60歳代
25
34
9
24
10
ことが「身近にある」ということの、認識不
11
4
足もあるのではないでしょうか。
温暖化対策は、省エネ=コスト削減につな
70歳代
31
一般
29
177
21
111
63
8
36
がっていることから、この設問では「何をす
ればいいかわからない」「取り組んでいない」
と回答した人の中にも⑥の設問では、消灯等
0%
20%
40%
取組んでいる
何をすればいいか分からない
60%
80%
100%
の身の回りのことはできていることも多く、
取り組みたい
取り組んでいない
そのあたりの徹底が必要なのではないかと感
じました。
- 68 -
⑥
温暖化対策のためにお宅で工夫していることは?
「消灯」
、
「ごみを出さない」
、「冷
Ⅱ−4−⑥
お宅での工夫
⑥ お宅での工夫
蔵庫の開閉」、「冷暖房の設定」とい
った、日常生活の中での取組みに
ついては、かなりの家庭で取り組
108
自動車使用を控える
低公害車
み始めているようです。
一方、
「自動車の使用を控える」
、
「環境を考えるイベントへの参
117
238
139
148
省エネ機器導入
ルギー導入」、「高断熱住宅」、「省
19
消灯
エネ機器導入」といった、導入時
に大きな経費がかかるものについ
冷蔵庫の開閉
ては、積極的に取組むことは難し
冷暖房の設定
いことが現れています。
401
54
286
41
336
76
地元食材
てみたい」という回答が少なくな
281
33
ごみを出さない
しかし、それらについても、
「し
山の手入れ
67
環境を考えるイベント
なりそうです。
「マイバッグ」や「地元食材の
253
86
マイバッグ
いため、導入についての誘導策が
あれば、それなりの導入が可能と
169
60
家族だんらん
ものや、
「低公害車導入」
、
「新エネ
177
64
高断熱住宅
加」といった、少し努力が必要な
165
87
新エネルギー導入
160
100
利用」の項目については、予想以
118
146
31
0
267
200
している
300
400
500
してみたい
上に、定着してきていることを感
じました。
記述での答えの中には、
「なるべく歩くようにしている」
「自転車購入した」といった健康づくりも加
わった回答や、省エネ=節約といった他の分野と関連付けての回答も印象的でした。
⑦
温暖化対策に必要なこと
飛びぬけて多くの方が、「家庭で
Ⅱ−4−⑦ 温暖化対策に必要なこと(一般)
270
の省エネ」を上げています。
「まず、
114
103
自分たちでやれることから」と言う
193
178
150
139
139
135
74
ことでこのような結果になってい
るのではないでしょうか。
続いて「植物によるCO 2 の吸
子 ど も への 環 境 教
育
市 民 への 啓 発
石 油 によら な い エ
ネ ルギ ー
植 物 による CO 2
吸着
公 共交 通機 関 の充
実
自 動車 利用 の減
商 店等 の営 業時 間
事 業所 等 での省 エ
ネ
工 場 等 で の 省 エネ
家 庭 で の 省 エネ
300
250
200
150
100
50
0
着」「商店等の営業時間」という項
目も高いポイントになっています。
CO 2 排出量が多い自動車に関
しての項目「公共交通機関の充実」
「自動車利用の減」といった項目の
ポイントは、意外に低くなっています。
- 69 -
一方、中学生の回答を見
Ⅱ−4−⑦ 温暖化対策に必要なこと(中学生)
ると、
「植物によるCO2」
160
138
140
が一番多く、ついで「家庭で
120
の省エネ」、
「自動車利用の
93
76
80
減」となっています。
60
日常的に自動車を使って
71
47
47
34
33
40
20
家庭 での省 エネ
工場等 での省 エネ
事業所等 での省 エネ
商店等 の営業時間
自動車利用 の減
公共交通機関 の充実
植物 による CO2吸着
せん。
石油 によらな い エネ ルギー
子ども への環境教育
0
冷静な評価なのかもしれま
市民 への啓発
いる大人と比べ、在る面、
⑧
111
106
100
太陽光発電や薪・ペレットストーブの補助金について知っていますか?
市の行っている、太陽光発電システム設置や薪ストーブ、ペレットストーブの設置に関する補助金に
ついての質問です。
「知っている」が 132 人(31%)「聞いたことある」が 114 人(27%)
「知らな
い」が 174 人(42%)ということで、積極的な広報の必要性を感じました。
設問5
環境教育・環境活動について
「①環境や地球温暖化に関するイベントや
Ⅱ−5−① あなた自身が参加したい
施設見学
44
専門家の話
41
199
映像での学習
50
177
自然体験
137
28
勉強会に、回答者自身が参加したいか」の設
125
116
104
85
77
95
問については、「専門家の講演」や「映像で
89
の学習」については「積極的参加」「内容に
103
よって参加」という回答が 50%なのに対し
て、「自然体験」や「美化活動」といった参
163
加型の活動については、あまり積極性が感じ
美化活動
80
積極的参加
85
135
内容によ
って参加
知人に誘
われれば
111
たぶん参
加しない
られない回答になっています。
「たぶん参加しない」と回答された人の中
には、「参加したいけれど、年なので」といっ
た方も多く見られました。特に 70 歳以上の方の「自然体験」の「たぶん参加しない」には 55%の方が回
答されています。
Ⅱ−5−② 子どもたちに参加させたい
しかし、同じ項目について「②子どもた
ちに参加させたいか」という質問には、
「自
然体験」や「美化活動」といった体験的な
活動に対して「積極的参加」
「時間があれば」
施設見学
115
専門家の話
106
映像での学習
138
141
158
118
26
129
24
14
107
124
が 70%を超え、子どもたちの体験型活動
への参加は必要と考えている方が多いこと
がわかりました。
自然体験
美化活動
一方、中学生自身も「自然体験」
、
「美化
175
159
積極的参加
学校でやればいい
活動」については「参加したことがある」
、
- 70 -
149
178
66
57
時間があれば
必要性を感じない
14
11
「参加してみたい」という回答が 70%前後
Ⅱ−5 中学生の環境活動への参加への意識
あることから、そういった興味を、どう実
施設見学
践に結び付けていけるか、今後の検討課題
です。
22
4
専門家の話
15 6
映像での学習
13 8
自然体験
小学生のとき
Ⅲ
72
82
92
106
41
美化活動
96
49
69
26
75
9
54
81
中学になっても
56
参加してみたい
参加したくない
好きな風景、子どもたちに残したい風景
回答していただいた方の多くの方が、
「好きな風景がある」との回答を寄せています。
しかし、一般の方の9割が好きな風景
Ⅲ 好きな風景はあるか
が「ある」と答えているのに対して、中
学生では7割強にとどまっています。中
142
中学生
49
学生にとっての風景は、日常目にするも
のであり、特別ではない、当たり前のも
のとして捉えていて、伊那市外へ出る機
会が多くなれば、さらに伊那の良さを実
20歳代
23
1
30歳代
54
3
57
40歳代
5
感できるようになるのではないないで
しょうか。
59
50歳代
一方、年長者の回答の中に、昔に比べ
60歳代
て景観も悪くなったという意見が散見
70歳代
3
63
7
84
7
340
26
されました。
記述では、
「桜」
、
「アルプス」、
「川」
、
「田園風景」といったものが多く出され
一般
0%
20%
40%
ある
ていますが、
「○○から眺める仙丈(西
60%
80%
100%
ない
駒)
」
「△△からの桜と残雪のアルプス」といった具体的なビューポイントも多く出されています。
Ⅳ
環境に関して何でも
環境に関して感じていることを何でも書いてほしいという項目です。同じような意見はまとめました
が、この自由記述だけで 7 ページにもわたる文書量です。啓発や環境教育、ごみや3R、景観や身の回
りの自然環境等に関する意見が多く出されています。
多くの方が環境に興味を持っていることがわかりましたが、ごみの分別等については、多すぎる情報
に惑わされている意見も散見されました。正確な情報発信や啓発の必要性を強く感じました。
- 71 -
伊那市環境基本計画
平成21年3月
発行:伊那市
編集:伊那市市民生活部生活環境課
電話:0265−78−4111(代表)
FAX:0265−74−1260
E-mail:sei@inacity.jp