富山経済同友会

平成 15 年 3 月
富山経済同友会
この指とまれ委員会
「立山大使」について
1.趣旨
・富山の自然、文化等の魅力を深く理解し県内外へ発信すると
ともに、富山のまちづくりにあたり、
「小さくとも感動を与え
る街」
「富山らしい活性化」を目指し、意欲と勇気をもって行
動する。
2.資格・要件
・
「立山大使」の趣旨に賛同される方。
3.委嘱
・
「立山大使」は、富山経済同友会代表幹事が委嘱する。
4.行動内容
・富山の魅力、富山の良さの県内外でのPR
・富山のイメージアップを図るための県内外への情報発信、情
報提供
・富山のまちづくりの実行あるいはサポート(アイデアならび
に情報提供)
なお、立山大使は、富山の魅力のPR等にあたり、常日頃より
富山について、より深く理解するための自己研鑚を心がけるも
のとする。
5.名刺・ハンドブックの活用
・
「立山大使」は、常に立山大使の名刺、当ハンドブックを携帯
し、富山のPRの際に活用する。
6.その他
・富山経済同友会は、立山大使の活動にあたり、富山県観光連
盟他諸団体、諸企業等との情報の共有化に努め、緊密に連携
活動を行っていくものとする。
7.問合せ先
富山経済同友会 事務局
〒930-0046 富山市堤町通り 1 丁目 2 番 26 号
TEL (076)423-3209 FAX (076)422-0114
e-mail:[email protected]
「隠しておきたい富山」から
「教えてあげたい富山」へ
∼H12.5 富山経済同友会「この指とまれ委員会」提言
「隠しておきたい小都会−富山」より∼
1. 問題意識
・ 一般的に他県から見た時に富山の印象は薄いが、富山は決して
魅力のない街ではない。富山に居住経験のあるいわゆる「旅の
人」は富山で数多くの魅力に触れ、「隠しておきたい」と思う
程の心地よさを経験している。
・ しかし「旅の人」にとって、人の心に強く訴えかける「富山と
は何か」のイメージが弱く、存在感が希薄である。
・ このために、全国に「富山」を伝え、正当な評価を獲得してい
くことができないもどかしさがある。
2. 活性化に向けたパラダイムの転換
・ 富山に不足しているのはハードインフラではない。従来からの
活性化努力の結果、ハードインフラは既に全国的にも高い水準
にある。
・ ハードインフラは街の生活環境の改善に資するが、街の活気の
原動力とはなりえない。そのハードインフラをベースに、 素
材の組み合わせ=魅力 を考えることで、富山から人々に伝え
ていけるライフスタイルや価値観を確立しようとする試みが
「富山らしい活性化」につながる。
3. 「隠しておきたい富山」から「教えてあげたい富山」へ
・ 富山には天賦の自然の恵み、あるいは歴史的に蓄積されてきた
文化的資産が確実にあるはず。富山に立ち寄った人々が必ず感
じる富山の隠れた魅力を掘り起こし、同時に定量的かつ体系的
に把握するところから活性化は始まる。
・ 富山の魅力を体系的に整理することで、富山が全国にむけてア
ピールできるポイントを県民自身が理解し、同時に外部の正当
かつ客観的な評価を獲得することができる。
・ 人口 1,000 万人の東京には東京の個性があるように、人口 100
万人の富山には富山のスタイルがある。富山がめざしていくの
は、規模ではなく、ハードインフラの充実でもなく、小さくと
も人々に感動を与え、共感を得ることができる街である。
・ 富山に居住経験を持つ人々が「隠しておきたい」と思うような
この街の心地よさの源である富山の魅力をもう一度整理し、そ
こから明らかになった素材としての魅力を組み合わせて、新し
い、かつ富山らしい価値(ライフスタイル)、例えば、豊かに
「住む」
「働く」
「遊ぶ」
「学ぶ」、豊かな「健康」
「福祉」、防災
上の「安全」という「生涯にわたる豊かさと安心」を人々に提
案していくそのプロセスこそが、富山の活性化であり、「教え
てあげたい」富山にすることである。
富山の魅力の発信
立山大使
∼H14.2 富山経済同友会「この指とまれ委員会」
「富山の魅力の発信 立山大使 」より∼
1. 富山の魅力の源泉
・ 変化に富む気候、おいしい水、黒部峡谷や落差日本一の称名滝
などの美しい自然、これら富山の魅力の源泉は 立山(立山連
峰) であると言える。
・ 立山連峰こそが富山に住まう者にとっての究極の財産であり、
日本を誇る自然環境であるとの認識と自信をしっかりと持つ
ことが、富山が「人の魅力で活性化」してゆくための精神的な
基点となる。
2. 富山の魅力の発信
・ 富山の魅力を全国に向けて発信し、富山についてより多くの
方々に知っていただくため、富山の魅力のPRならびに富山の
イメージ向上に努める「立山大使」制度を創設する。
目
次
・ 「立山大使」について
・ 「隠しておきたい富山」から「教えてあげたい富山」へ
・ 富山の魅力の発信
立山大使
1.富山県データ
(1) シンボル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 6
(2) 基本データ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 6
(3) 暮らしまわりの良さ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 7
2.富山県の財産目録
・ 富山の自然(総括)10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P11
・ 富山の山 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P16
・ 富山の川 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P18
・ 富山の花 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P20
・ 富山の庭園 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P22
・ 富山の樹木 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P24
・ 富山の森 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P26
・ 富山の名水 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P28
・ 富山の滝 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P30
・ 富山の湖沼 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P32
・ 富山の海岸 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P34
・ 富山の味覚①海の幸 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P36
・ 富山の味覚②野山の幸 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P37
・ 富山の味覚③加工品 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P38
・ 富山の伝統工芸、地場産業 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・ P40
・ 富山の世界遺産、国宝、文化財 10 選・・・・・・・・・・・・・ P42
・ 富山の旧跡、遺跡 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P44
・ 富山の祭り 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P46
・ 富山のイベント 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P48
・ 富山の文化施設 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P50
・ 富山の公園、植物園 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P52
・ 富山の温泉 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P54
・ 富山の交通 10 選 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P56
3.富山県の歴史
(1) 「富山県」となるまで ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P58
(2) 立山について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P60
4.これからの富山
(1) 北陸新幹線 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P64
(2) 富山駅周辺の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P65
・観光と交通の問合せ先 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P67
1.富山県データ
(1) シンボル
・ 県花……チューリップ
・ 県鳥……ライチョウ
・ 県木……タテヤマスギ
・ 県獣……ニホンカモシカ
・ 県の魚…ブリ・シロエビ・ホタルイカ
(2) 基本データ
項
目
総面積
富山県
順位
全
国
年次
4,247k ㎡
33
377,812
H12
人口
1,121 千人
38
126,926
H12
人口密度
264 人/k ㎡
25
340
H12
世帯数
358 千世帯
40
47,063
H12
年少人口割合(※1)
14.0%
40
14.6
H12
老年人口割合(※2)
20.8%
17
17.3
H12
※ 1 … 総人口に占める 15 歳未満人口割合
※ 2 … 総人口に占める 65 歳以上人口割合
6
(3) 暮らしまわりの良さ
① 住環境
項
住 宅
目
富山県
持ち家比率
全国
年次
79.3%
1
61.1
H12
146.4 ㎡
1
91.3
H12
46.9 ㎡
1
33.8
H12
敷地面積(1 住宅当たり)
393 ㎡
5
273
H10
火災発生件数
2.3 件
1
4.9
H12
107.1 件
7
192.5
H12
0.96kg
2
1.14
H11
リサイクル率
14.0%
14
12.1
H10
植生自然度比率
30.0%
3
19.1
H 5
12.50 ㎡
7
7.92
H11
11.9 ㎡
10
9.3
H 9
88.4%
10
76.4
H12
73.0%
2
54.4
H12
1.67 台
1
1.09
H12
住宅延べ面積(1 世帯当たり)
住宅延べ面積(1 人当たり)
安 全
順位
(人口 1 万人当たり)(少なさ)
犯罪発生件数
(人口 1 万人当たり)(少なさ)
環境
保全
自 然
1 人 1 日当たりゴミ排出量
(少なさ)
都市公園面積 (都市計画区域
内人口 1 人当たり)
1 人当たり公園面積
交通網 舗装率(一般道路)
道路改良率
1 世帯当たり自家用自動車
保有台数
7
② 就業機会
項
就 業
商業
目
富山県
順位
全国
年次
就業率
62.0%
5
58.2
H12
女性就業率
51.5%
4
46.2
H12
共働き率
58.3%
3
44.9
H12
正規雇用率(男)
69.1%
12
67.8
H 9
正規雇用率(女)
51.8%
2
42.8
H 9
15.1 店
4
11.1
H11
1.94 店
7
1.40
H 9
31.1 店
15
29.0
H 9
2.33 軒
1
1.30
H10
理容師数(人口千人当たり)
2.55 人
11
1.99
H10
映画館数(人口 10 万人当たり)
2.13 館
6
1.53
H10
30.37 軒
9
21.14
H10
小売業商店数
(人口千人当たり)
食料品スーパーの数
(人口 1 万人当たり)
コンビニエンスストア数
(人口 10 万人当たり)
サービス クリーニング施設数
(人口千人当たり)
業
公衆浴場数
(人口 10 万人当たり)
8
③ 教育環境
項
家庭
教育
目
富山県
順位
全国
年次
三世代同居割合
23.3%
3
10.5
H 7
児童クラブ組織率
70.4%
8
41.5
H10
母親クラブ会員数
604 人
5
81
H 9
47.1
7
19.4
H10
高等学校等進学率
98.5%
1
96.9
H13
大学等進学率
49.9%
10
45.1
H13
68.8%
2
60.9
H11
小学校女子教員割合
70.4%
2
62.3
H11
中学校女子教員割合
49.2%
1
40.6
H11
5.34 館
1
2.10
H13
31.1 館
2
8.2
H11
24.9 館
4
13.8
H11
30.66 館
11
14.41
H11
353 冊
3
236
H12
124.4 人
3
52.6
H 7
(1 万世帯当たり)
勤労青少年・婦人福祉施設
数(人口 100 万人当たり)
学校
教育
(高等学校新規卒業者)
大学等・専修学校専門課程への
進学率(高等学校新規卒業者)
生涯
学習
公立図書館数
(人口 10 万人当たり)
博物館数
(人口 100 万人当たり)
文化会館数
(人口 100 万人当たり)
公民館数(人口 10 万人当たり)
公立図書館蔵書数
(人口 100 人当たり)
成人一般学級・講座受講者
数(人口千人当たり)
9
2.富山県の財産目録
平成 12 年、当会会員に対し、富山県の財産に関するアンケートを行
った。
アンケートの概要は以下のとおり。
① 実施期間
平成 12 年 10 月 31 日∼平成 12 年 11 月 21 日
② 回答数
89 名 [地元の方 58 名、地元以外の方 31 名]
③ アンケート項目
下記の分野ごとに、素材リストから5つまで選択
自然
(11 分野) 1:自然(総括)
6:樹木
2:山
7:森
3:川
8:名水
4:花
9:滝
5:庭園
10:湖沼
11:海岸
味覚
(3 分野) 12:海の幸
13:野山の幸
14:加工品
伝統工芸(1 分野) 15:伝統工芸・地場産業
建造物等(2 分野) 16:世界遺産・国宝・文化財 17:旧跡・遺跡
祭り
(2 分野) 18:祭り(伝統)
施設
(4 分野) 20:文化施設
19:イベント
21:公園・植物園
22:温泉
23:交通
本書ではアンケート結果による上位 10 位までを記載した。
項目ごとに「10 選」としているが、同位であることから「10」を越え
ている場合がある。
10
富 山 の 自 然 (総 括 )
10 選
しんきろう
蜃気楼
(魚津市)
・ 蜃気楼は、春と冬に見られるが、特に春の蜃気楼は、暖かく晴れた
無風に近い日によく見ることができる。光の屈折によって、対岸の
景色や海上の船が浮き上がったり、伸びたり、変幻自在の映像を見
せる。
・ 「蜃気楼」という名前は、
「蜃(しん)」と呼ばれる大ハマグリが沖合
いで気を吐いて、空中楼閣を出現させると考えた中国人の想像から
きている。
また、
それが市場や城のようにも見えたことから「海市(か
いし)」あるいは「喜見城(きけんじょう)」とも呼ばれてきた。
・ 春の蜃気楼は 4 月∼6 月。暖かく晴れ、北からの微風が吹くような
日。暖かい空気と、海面に接する冷たい空気の層の境目で、光りの
屈折が起きると、実像の上側に虚像が現れて蜃気楼となる。冬の蜃
気楼は 12 月∼3 月。気温が海水温より低いときによく現れ、春とは
逆に、実像の下側に虚像が現われる。
ご か や ま
五箇山
(平村、上平村)
・ 庄川上流及び支流の利賀(とが)川沿い、山合いにある下梨(しもな
し)・上梨(かみなし)・赤尾・小谷(おだん)・利賀谷(とがだに)の 5
つの谷から成る地域の総称。
・ 合掌造りの民家が残る山里で、観光ポイントは相倉(あいのくら)合
掌集落、上梨の村上家・羽馬家、菅沼の合掌集落と西赤尾の岩瀬家・
行徳寺等。相倉合掌集落、菅沼合掌集落は世界遺産。(P42 参照)
・ こきりこ踊り、麦屋節など国選択無形文化財に指定されている民謡
の宝庫であり、毎年 9 月 23 日∼26 日の平の祭には全国から観光客
が訪れる。
・ 400 年の歴史を持つ五箇山和紙は、現在も主要な地場産業として生
産され、その品質、用途において好評を得ている。毎年 9 月には五
個山和紙まつりが開催されている。
11
富 山 の 自 然 (総 括 )
10 選
く ろ べ きょうこく
黒部 峡 谷
(宇奈月町)
・ 北アルプスの中央部、富山湾に流れ込む黒部川が後立山(うしろたて
やま)連峰と立山連峰の間に刻み込んだ峻険な峡谷。黒部湖を境に上
流は上廊下(かみのろうか)、下流が下廊下(しものろうか)と呼ばれ
る絶壁の、わが国で最も深い谷。
・ ここの名物として人気のトロッコ電車は、元は工事用に敷設された
もので、41 のトンネル、28 の橋を巡る全長 20.1km の断崖景勝の旅
は他では味わえないスリルとロマンに満ち溢れている。
(P56 参照)
・ 沿線には、西欧の古城を想わせる造りが楽しめる「新柳河原発電所」
、
峡谷随一の景勝地「後曳橋」の他、「鐘釣温泉」
「猿飛峡」
「錦繍関」
など名所が多い。初夏の新緑、夏の万年雪、秋の紅葉をはじめ折々
の渓谷美を楽しめる。
たてやま く ろ べ
立山黒部アルペンルート
(立山町)
・ 富山市から長野県信濃大町まで(約 100km)、ケーブルカー、高原バ
ス、トロリーバス、ロープーウェイなどの乗り物を乗り継いで(P56
参照)
、日本の屋根・北アルプスを横断する山岳観光ルート。中部山
岳国立公園に位置し、一帯は原生林・高山植物や野鳥の宝庫となっ
ている。
・ 美女平、弥陀ヶ原、室堂、大観峰、黒部ダムなどを駆けめぐる観光
ルートで、立山連峰や北アルプスの雄大な景色を間近に眺められる。
初夏には残雪、雪の回廊、夏は高山植物や野鳥、秋は紅葉など、期
間を通じ見どころは絶えない。
・ 所要時間は約 5 時間。立山∼扇沢までの全区間が開通するのは毎年
4/下∼11/下で、年間 100 万人もの人が訪れている。
12
富 山 の 自 然 (総 括 )
10 選
たてやま
立山
(立山町)
・ 飛騨山脈北部に位置し、富士山、白山と並んで日本三名山の一つに
あげられる。だが正確には「立山」という山は存在せず、雄山(おや
ま)、大汝山(おおなんじやま)、富士ノ折立(ふじのおりたて)を総称
して立山と呼ぶ。また雄山、浄土山(じょうどさん)、別山(べっさん)
を立山三山という。最高峰は 3,015m の大汝山。
・ 古くから信仰登山の対象となった山で、雄山山頂の雄山神社は大宝
元(701)年開基と伝えられる越中国一の宮。平安時代には天台宗や修
験道の修業の場となっていた。立山への庶民の信仰・登山は江戸時
代に盛んになった。
・ 立山には多くの野生動物が生息する。その中には富山県の県鳥・ラ
イチョウや、県獣・ニホンカモシカなど、特別天然記念物に指定さ
れているものもいる。
しょうみょうだき
称 名滝
(立山町)
・ 日本一の落差(350m)を誇る大滝。
「日本の滝百選」にも選ばれてい
る。
・ 弥陀ヶ原の北端を削りとるように流れる称名川が岸壁を 4 段
(70m+58m+96m+126m)になって流れ落ち、その水量は毎秒 1∼2 トン
に及ぶ。また、雪解けで水量の増す春には、称名滝の右側にもう一
つの滝(ハンノキ滝)が現れ、2 本の滝が巨大な V 字を描く。峡谷の
途中には安山岩の絶壁が 2km に渡り続く「悪城(あくしろ)の壁」が
ある。
・ 滝の見ごろは 5 月から 11 月頃まで。初夏には、新緑の間に咲き乱れ
るムラサキヤシオツツジやオオカメノキの可憐な花々を見ることが
できる。滝の周辺は、県の天然記念物・クモマツマキチョウの生息
地でもある。紅葉の盛りは 10 月上旬。赤や黄色の山肌が水煙に淡く
かすむ風景は、まさに称名滝探勝のクライマックスと言える。
13
富 山 の 自 然 (総 括 )
10 選
さんきょそん
散居村
(砺波市)
・ 砺波平野の集落は、緑豊かな屋敷林に囲まれた家々が、平野一面に
碁石を散りばめたように点在する典型的な散居集落。その美しい風
景は、日本の稲作農村を代表する景観の一つ。
・ 散居村地帯の広さは約 220k ㎡、散居民家は約 7,000 戸を数える。
・ 農家を取り巻く屋敷林は「カイニョ」と呼ばれ、その起源は平野の
開拓時にさかのぼり、原生林の一部を屋敷林として残したものと思
われる。
・ 砺波平野は三方が山に囲まれた盆地状の平野で、冬は雪が降って寒
く、夏は 30℃を超す日が続くほど暑く、また一年を通じて西風が吹
く。厳しい冬の風雪と夏の暑さを防ぐためにも屋敷林は欠くことの
できないものだった。
つるぎだけ
剱岳
(上市町)
・ 北アルプスの北部の一郭をなす岩峰で標高 2,998m。立山連峰の中で
も剱(つるぎ)という名のとおり最も険しい山で、垂直にそびえる断
崖は、ロッククライミングには絶好の場所となっている。
・ 氷河に削りとられた氷食尖峰で、岩の殿堂の名にふさわしく天空を
さす山容は圧巻的。三ノ窓、大窓、小窓など窓と呼ばれる懸垂氷食
谷がある。稜線も氷河に削られたU字谷になっている。
・ 東南にある剱沢は日本三大雪渓の一つといわれる大きな雪渓。平蔵
谷・長次郎谷・三ノ窓などの雪渓は一年中とけることがない。
・ 山頂には大きな岩の上に祠がある。360 度の展望には、立山、後立
山連峰、鹿島槍ヶ岳などが見渡せる。
・ 『日本百名山』の著者、深田久弥氏が「北の俊英である・・・」と讃え
た山。
14
富 山 の 自 然 (総 括 )
10 選
ホタルイカ
(滑川市)
・ 富山特産で、滑川海岸を群遊の中心地とする体長 5∼6cm の深海魚。
・ ホタルイカの大群の発光が見られるのは日本中で滑川近くの富山
湾に限られている。日中は沖合の 200∼400m という深海に棲み、夜
間に海面近く、しかも陸近くまで上がってくるのは産卵や餌生物を
追うためと言われている。
・ 富山湾で毎年 3 月∼5 月頃を中心にこのホタルイカの集群が見られ
るのは、富山湾のすり鉢のような地形と海流の関係(すり鉢状の底
から上に向かって流れる湧昇流)で岸近くまで押されるためと言わ
れている。その妖しいまでに美しい群遊海面は国の天然記念物に指
定されている。
・ ホタルイカは全身に発光器を持ち、大群が入り乱れて青白く光る様
子は、とても神秘的である。ホタルイカをテーマにした、世界で唯
一のミュージアム(ほたるいかミュージアム)で実物を見ることが
できる。
ありみね こ
有峰湖
(大山町)
・ 原生林に囲まれたダム湖。
・ 常願寺川支流、和田川の上流 有峰に電源開発の計画が立てられたの
は、大正時代に遡る。以後、時代の変遷を経て有峰ダム(高さ 140m)
が完成したのは、昭和 35(1960)年のことである。
・ 県内随一の人造湖は、名立たる山々の清流を集め、満々と水をたた
えている。豊富な水量は、発電や、富山平野の農業用水や、富山市
民の喉を潤す上水道源としても利用される。
・ 一帯は、有峰県立自然公園に指定されている。
・ 周辺は、有峰ふるさと自然公園として整備されおり、ビジターセン
ター、バーベキュー広場、モニュメント広場、キャンプ場などのほ
か、有峰記念館もある。
15
富 山 の 山
素
材
10 選
コメント
P14 参照
つるぎだけ
剱岳
〈上市町〉
おやま
たてやま
雄山(立山)
〈立山町〉
や く し だけ
薬師岳
〈大山町〉
おおなんじやま
たてやま
標高 3,003m。立山の主峰・雄山山頂には、日本で一番高い位
置にある社、伊邪那岐命(いさなぎのみこと)・天手力雄命(た
じからおのみこと)を祀る雄山神社峰御社が建てられてお
り、室道ターミナルから往復 4 時間ほどで登頂できる。
(立山については P13 参照)
標高 2,926m。北アルプスのほぼ中央にそびえ、北アルプスの
名山として名高い。石英斑岩や石英安山岩が露出し風化して
いる乾いた山。南北に長い尾根を持つ雄大な山容で知られ
る。東面には 4 つの広大なカールが広がり、国の特別天然記
念物に指定されている。古くから信仰の山として崇められ、
山頂には薬師如来を祀る祠がある。山頂からの展望には、北
の五色ヶ原の広がりと立山・剱連峰をはじめ、360 度妨げる
ものがなく、何ともぜいたくな眺めが得られる。
標高 3,015m。立山の最高峰で、日本でも 20 番目に高い山で
大 汝 山(立山) ある。頂上からは北アルプスの山々が見渡せる。
〈立山町〉
しろうまだけ
白馬岳
〈朝日町〉
おくだいにちだけ
奥大日岳
〈大山町〉
(立山については P13 参照)
標高 2,932m。長野、新潟、富山の 3 県にまたがって位置する。
杓子岳、白馬鑓ヶ岳とともに白馬三山と呼ばれる北アルプス
の名峰。東側には1年中雪が残る大雪渓があり、剱沢雪渓、
針の木雪渓とともに日本三大雪渓の一つで、全長 3.5km、標
高差 600m という日本一の規模を誇る。その上部には通称「お
花畑」と呼ばれる高山植物帯がある。さらにコースの要所に
山小屋があり比較的用意に歩けるため、北アルプスでも屈指
の人気を誇っている。山頂からは北アルプスのほとんどの山
が望まれる。
標高 2,611m。立山の西にある。隣の立山や剱岳に比べ登る人
は少なく静かな山登りが楽しめる。西から大日岳,中大日岳
と最高峰の奥大日岳の 3 つのピークが有る。高山植物も豊富。
中大日岳付近の紅葉も美しい。
16
素
材
か し ま やりがたけ
鹿島槍ケ岳
〈大山町〉
〈宇奈月町〉
じょうどさん
浄土山
〈立山町〉
べっさん
別山
〈立山町〉
く ろ べ ご ろ う だけ
黒部五郎岳
〈大山町〉
コメント
標高 2,889m。北アルプス北部、後立山連峰の盟主。北峰と南
峰の双耳峰で、2 つの峰はゆるやかな吊尾根でつながってい
る。三角点があるのは南峰。角閃石ひん岩と輝石安山岩から
成り、東側の急に切れ込んだ崖の斜面と、西側の緩やかな斜
面をもつ典型的な非対称山陵である。山頂からの展望はすば
らしく、槍、穂高連峰、立山などの北アルプスの山々はもち
ろん、遠く南アルプスまで広く望むことができる。
標高 2,831m。立山三山の一つ(P13 参照)。頂上がなだらか
なお花畑であることから仏教の浄土になぞらえて名付けら
れた。古くから佛の奥の院にあたる山とされている。立山曼
陀羅ではこの上空に必ず日輪と二十五菩薩来迎の姿が描か
れているという。
標高 2,880m。立山三山の一つ(P13 参照)。別山のピーク自
体、主尾根上の平凡な一ピークだが、ここからの眺めは中々
スケールが大きく、剱岳や立山を眺めるのに最高の展望台と
なっている。またここには、硯が池(すずりがいけ)という
日本第 3 位の高山湖がある。
標高 2,840m。飛騨山脈立山連峰南部、富山と岐阜の県境に位
置する。鍋岳、中ノ俣岳とも呼ばれる。雪渓が多く、山頂の
東側を底深く抉る比較的大規模なカール部には、多くの高山
植物が咲き乱れハイマツが縁取りをそえる。またモレーンや
日本の氷河遺跡では珍しいといわれる羊群岩なども見られ
る。古くからの信仰の山であり、山頂の石積みの間には薬師
如来の祠がある。展望はさえぎるものがなく雄大。眼下には
雲ノ平の平原が広がる。
17
富 山 の 川
素
く ろ べ がわ
黒部川
しょうがわ
庄川
じんづうがわ
神通川
じょうがん じ が わ
常 願寺川
まつかわ
松川
材
10 選
コメント
北アルプスのほぼ中央に位置する鷲羽岳に源を発し、日本海
に注ぐ我が国屈指の急流河川。上流は人を寄せ付けず、下流
は「黒部四十八カ瀬」と称される「暴れ川」。その激しい流
れは、3,000m 級の立山連峰・後立山連峰の間に黒部峡谷を形
成している。川沿いにはトロッコ電車が走り雄大な景勝をつ
ぶさに見ることができる。
岐阜県北西部の烏帽子岳(標高 1,626m)を源に、飛騨山地か
ら水を集める数々の支川を併せて富山県に入り、砺波市、高
岡市を経て新湊市から日本海にそそぐ長さ約 115km の一級河
川。万葉集に「雄神川(おかみがわ)」と詠まれ、流域には砺
波平野が広がり、越中米や日本一の産地として名高いチュー
リップなど、多くの特産物がそこで産み出されている。
岐阜県の霊峰「川上岳(かおれだけ)」(標高 1,626m)をその
源に、飛騨地方から富山県の中央部を通って日本海にそそぐ
長さ約 120km の一級河川。上流の岐阜県内では、宮川と呼ば
れているこの川は、富山岐阜県境付近で、槍、穂高、焼岳を
水源とする最大の支川高原川と合流し、急峻な神通峡谷を形
成しながら北流し、富山平野を貫き富山湾に注いでいる。
北アルプスの北ノ又岳(標高 2,661m)を水源として、わずか
56km で日本海へ流れ出るという我が国屈指の急流河川。その
ため上流部の非常にもろい地盤条件と相まって、上流から流
れ出す土砂の量が非常に多いという特徴があり、下流部にお
いては川底の方が両岸の土地より高いという危険な天井川
を形成している。
富山城址公園に沿うように流れ、四季折々に趣ある風景で市
民に親しまれている。桜の名所として知られる川辺は、春に
なると 200 本以上のソメイヨシノが薄紅色の回廊を作る。松
川の両岸は、木々の間に 28 体の彫刻を配した「松川べり彫
刻公園」となっており、自然の中のギャラリーを川辺を散策
しながら楽しむことができる。
18
素
材
がわ
いたち川
はやつきがわ
早月川
かたかいがわ
片貝川
お
や
べ がわ
小矢部川
し み ず がわ
清水川
も
お がわ
万尾川
コメント
富山市街地をほぼ南北に流れる流路延長 14.88km の一級河
川。常願寺川から取水された常西合口用水を水源に、上新川
群大山町馬瀬口付近(120m)で分流されて いたち川 とな
る。宮本輝『螢川』の舞台にもなった。安政 5(1858)年の大
地震で、常願寺川の水源が崩壊、いたち川が氾濫し、多くの
人々が犠牲となったため、いたち川添いには、数多くのお地
蔵さんが祀られている。延命地蔵もその一つ。
剱岳北面に発する白萩川、西面に発する立山川、大日岳を発
する小又(おまた)川の水を集める、代表的な山岳急流河川。
流路延長が約 50km でとても短い。3,000m クラスの山から一
気に富山湾に流れ出す冷たい水は、春、富山湾に幻想的に表
れる蜃気楼の発生の要因の一つと考えられている。
越中三賦の一つ「立山の賦」の中で詠まれた河川。水源は毛
勝山系の猫又山麓で魚津市から富山湾に注ぐ二級河川。いわ
ゆる立山からは離れている。魚津市に扇状地を形成し、夏で
も冷たく良質の「美味しい水」が名物となっている。この冷
たい水は、蜃気楼を出現させる仕掛人でもある。
富山県の大門山(標高 1,572m)をその源に、小矢部市、高岡
市を経て新湊市において庄川に併流しながら日本海にそそ
ぐ長さ約 68km の一級河川。急勾配の河川が多い富山県にお
いて、小矢部川は、流路の多くが平野部を流れるため比較的
穏やかな川。
高岡市中田地区を流れる清水川は、県の天然記念物トミヨの
生息地である。トミヨは清水が湧き出る河川でしか生息しな
い。この中田地区の用水では、ほかにアシツキやゲンジボタ
ルなどが見られる。
氷見平野の万尾川一帯は、奈良時代に「布勢(ふせ)の水海(み
ずうみ)」と呼ばれた大きな湖水が広がり、大伴家持が遊覧
したとされる。国の天然記念物イタセンパラが生息し、その
保護のためワンド(※)が設置されている。
(※)ワンド…河川敷地内にある本流沿いの池。イタセンパラのように流れが早
い場所では棲めない魚にとっては絶好のたまり場。
19
富 山 の 花
素
材
10 選
コメント
桜
約1km の桜ロードが神通川富山大橋から布瀬町へ続く磯部
(磯部・松 川 堤 ) 堤。色とりどりの錦鯉が泳ぎ、両岸に 水と緑のプロムナー
ド をテーマとした桜並木遊歩道が続く松川堤。どちらも川
〈富山市〉
べりにはソメイヨシノがピンクの回廊を作っている。特に松
川堤では、富山ゆかりの彫刻家たちの彫刻が配され、桜並木
と芸術が見事に調和している。また、松川茶屋北側から出発
する松川遊覧船に乗り込み、サクラの舞うなかを桜橋から舟
橋への七橋巡りをするのは格別の風情がある。
<七橋めぐり>
いそべ
まつかわづつみ
さくらばし
かめいばし
しおくらばし
けいうんきょう
しちじゅうにほうばし
あずみばし
桜 橋 −華明橋 −塩倉橋 − 景 雲 橋 −七十二峰橋 −安住橋
ふなはし
−舟橋
チューリップ
となみ
(砺波チューリップ公園)
〈砺波市〉
梨
く れ は きゅうりょう
(呉羽 丘 陵 )
〈富山市〉
桜
こじょうこうえん
(高岡古城公園)
〈高岡市〉
チューリップは富山の県花。
毎年ゴールデンウィークにはチューリップフェアが開催さ
れ、全国から大勢の観光客が訪れる砺波チューリップ公園。
この公園周辺や散居の所々の畑に、さまざまな美しいチュー
リップの競演を見つけることができる。公園面積は、5.4ha
あり、隣接の水車苑には日本一の五連水車がある。
富山県を東西に分ける呉羽丘陵。ここは身近に自然とふれあ
うことのできるハイキングコースであり、梨の一大産地でも
ある。明治 30 年から栽培され、その面積は 213ha。
「幸水」
や「豊水」といった品種を主体としている。4 月下旬からじ
ゅうたんを敷きつめたように、白い花が一斉に咲き誇る。
市街地のほぼ中心部に、約 21ha の広大な敷地を持つ高岡古
城公園。加賀藩 2 代藩主であった前田利長が江戸時代初期に
築いた城跡を、明治 8 年に市民の憩いの場として開放した公
園である。ここには、約 1,400 本のソメイヨシノを中心にコ
シノヒガンザクラが約 250 本、他にヤマザクラ、オオシマザ
クラ、八重ザクラなど約 20 種類計 2,700 本余りのサクラが
ある。
20
素
材
コメント
ミ ズ バ シ ョ ウ 「夢見て咲いている水のほとり」と歌われているように、高
なわがいけ
(縄ケ池)
〈城端町〉
桜
くれはやま
(呉羽山)
〈富山市〉
地の湿原に大群生地をつくり、訪れる人に神秘的な感動を起
こさせるミズバショウ。高清水山の山腹標高 830m にある、
周囲約 2km の縄ケ池に、この花の群世地がある。ブナ林に囲
まれたこの池の南側に約 5 万∼6 万株のミズバショウが、雪
解けとともに白く大きな仏炎苞(ぶつえんほう)を開く。
富山市街の西、富山平野を東西に二分して南北に長く連なる
呉羽丘陵は「呉羽丘陵県定公園」となっており、特に海抜
76.8m の呉羽山一帯は市民の身近な自然公園として親しまれ
ている。桜の名所としても知られ、美しいソメイヨシノが約
500 本咲き乱れている。ここからの見晴らしはすばらしく、
晴れた日には立山連峰から富山湾まで一望できる。
コスモス
ゆめ
たいら
(夢の 平 )
〈砺波市〉
ハナショウブ
らんじょう
もり
(頼 成 の森)
〈砺波市〉
ニッコウキスゲ
し ら き みね
(白木峰)
〈八尾町〉
アジサイ
たいこうやま
(太閤山ランド)
〈小杉町〉
砺波市の「夢の平スキー場」では、シーズンオフにコスモス
が栽培され、秋には白やピンクのコスモスの花 100 万本がゲ
レンデ一面を覆いつくす。見頃は 9 月下旬頃から 10 月下旬
頃まで。10 月初旬の休日には、イベントも開催される。
砺波市頼成の森にある約 6ha の水生植物園には 580 品種 70
万株のハナショウブが咲いている。この水生植物園は「頼成
の森花しょうぶ水絵巻(四季の花と歌)」をテーマに 5 つのエ
リアで構成され、サンクンガーデン形式(沈床花壇)になって
いる。6 月には花しょうぶ祭りが開催される。
岐阜との県境にある白木峰は高山植物の宝庫で、東西
1,500m、南北 800m にわたる湿原帯には、四季に応じてさま
ざまな花が咲き乱れる。夏に大群落を見せるのがニッコウキ
スゲで、日中しか開かない黄色い花々は、壮大な自然のステ
ージに文字通り花を添える。
太閤山ランドは富山県内最大の都市公園で、スポーツゾーン
などの近代施設はもちろん、緑豊かな自然も残っている。そ
の中でもより人目を引くのが「あじさい通り」。6 月には 500m
の園路の両サイドに、50 品種 2 万株のアジサイが咲き誇る。
毎年 6 月下旬∼7 月上旬にはあじさい祭りが開催される。
21
富 山 の 庭 園 10 選
素
材
富山県
水墨美術館庭園
(平庭式)
〈富山市〉
うちやまてい
内山邸庭園
(平庭式)
〈富山市〉
こくたいじ
国泰寺庭園
(池泉観賞式/
枯山水)
〈高岡市〉
ずいせんじ
瑞泉寺庭園
(池泉観賞式)
〈井波町〉
コメント
富山県水墨美術館は作品鑑賞の場以外に、茶室や日本庭園を
提供している。空間を贅沢に使った庭園には 1 本のシダレザ
クラが植えられている。周囲はサクラ、ツツジ、サツキに囲
まれ、春には次々と彩りを添える。夏は芝生の緑が映え、秋
は木々が赤や黄色に染まる。うっすらと雪が積もる冬の日に
は、冠雪した立山連峰を借景とする銀世界が広がる。
越中の豪農・内山家の 13 代当主・季友(すえとも)氏が 1977
年 8 月、邸宅と共に富山県に譲ったもので、その歴史は 450
年にものぼる。特色を添えるのは、京都風の庭園を意識した
名石で、表座敷の南側正面に富士山型の巨石、その左右に平
石が 2 つ配置され、庭の中心的な景観を構成している。右の
2 つの石は、京都鞍馬産の紅石で庭園随一の名石。縁側に置
かれた長方形の小さな花壇も、銀閣寺の花壇をまねて、同じ
御影石の切石で組み立てられている。
国泰寺は二上山麓にある臨済宗の古刹で、ここには 2 つの庭
がある。1 つは緑の空間が広がるように感じられる庭。池の
ほとりにカキツバタが植えられ、花の季節には緑に彩りを添
える。もう 1 つは法堂と方丈の間に造られた石庭「月泉庭(げ
っせんてい)」。庫裏(くり)に囲まれた砂州の中に浮かぶ巨石
は、静寂の中で特異な雰囲気を持つ。
越中真宗王国の拠点であった瑞泉寺。縁側から庭を望むと、
杉木立を隔てて遥かに八乙女山が見える。庭境には自然石を
積んだだけの苔むす山灯籠が据えられ、庭へと延びる千鳥打
ちの飛び石が、素朴なリズムを刻んでいる。寺全体が山や緑
に囲まれており、静寂が辺りを包む。
高岡市
万葉歴史館庭園
(池泉回遊式)
〈高岡市〉
「四季の庭」と呼ばれる庭園があり、ウメやモモなど春に開
花する木や春の七草が見られる「春の庭」、芝生広場を中心
にケヤキやタブの木が配された「夏の庭」、紅葉する落葉広
葉樹や秋の七草が見られる「秋の庭」
、砂利敷の枯山水庭で、
景石とマダケが配され、閑散とした庭を構築している「冬の
庭」というように、万葉集ゆかりの草花や樹木が、それぞれ
の四季を趣き深く彩っている。
22
素
材
ご こ く じ
護国寺庭園
(池泉回遊式)
〈朝日町〉
こうきゅうじ さ て い
光久寺茶庭
(池泉回遊式)
〈氷見市〉
のうがくどう
富山能楽堂庭園
(平庭式)
〈富山市〉
ぜんとくじ
善徳寺庭園
(枯山水)
〈城端町〉
えんざんあん
「円山庵」茶庭
(平庭式)
〈富山市〉
コメント
池の中や周囲に様々な形の石を配し、ツツジやサツキなどが
植えられ、新緑と赤茶色のモミジが庭園を彩る。変化に富ん
だ格調高い造りはまるで絵を見ているよう。斜面には回廊が
造られており、いろんな角度で庭を眺められる。境内からは
日本海が見渡せ、空と海の青さが溶け合う様は壮観。
県の名勝に指定されている光久寺茶庭は江戸時代に加賀藩
庭師、能登の駒造によって造られたと伝えられる。後ろ山の
深い森を背景に庭園が広がり、御堂の茶室と書院を結ぶ回廊
が、奥庭と中庭を仕切っている。真正面には阿弥陀如来、観
音菩薩、勢至菩薩に見立てた苔むした三尊石があり、そこか
ら流れ出る滝の水がせせらぎとなって回廊の下を流れ、中庭
の池へと注いでいる。四季それぞれに美しい茶庭であるが、
ツツジの頃が一段と美しい。
庭園は大きく 4 つに分けられ、東には本格的な草庵風の茶庭
がある。つづく芝生の庭は富山平野を表したもの。次は日本
海の波を描いた砂利敷きの庭。最後には立山連峰の深山幽谷
をイメージした枯山水の庭がつづき、富山の自然美を表した
庭となっている。植栽や樹木の種類も豊富で、季節ごとに
楚々とした茶花で彩られる。
この庭園の作庭者は、加賀藩庭師、能登の駒造と伝えられる。
縁側から座って眺めると、下方に見える家々が塀に隠れ、袴
腰(はかまごし)山麓が見事な借景となる。庭の突き当たりの
茶室へと、大胆に敷かれた飛び石がつづき、ツツジやナンテ
ンの茂み、自生のツバキが両脇を彩る。視線を奥へと移すに
つれいろいろな表情を見せる、とても奥行きを感じる露地で
ある。
茶室「円山庵」は大正時代に茶室「録寿庵(ろくじゅあん)」
として建てられた草庵。昭和時代になってから富山市民族民
芸村に移され、「円山庵」と命名された。緑豊かな庭は、自
然のままの姿を生かした素朴な雰囲気が漂う。民芸館前の斜
面を利用した庭では、春になるとツツジが美しい。
23
富 山 の 樹 木 10 選
素
材
タテヤマスギ
び じ ょ だいら
(美女 平 )
〈立山町〉
ブナ
(ブナ坂のブナ林)
〈立山町〉
りゅう せ ん じ
コメント
タテヤマスギは昭和 41 年、県民投票により県木に指定され
た。寒さや雪に強く、富山県東部を中心に広く分布しており、
特に立山山麓の美女平周辺では、樹齢 300∼500 年の天然木
を見ることができる。その中でも推定樹齢 300 年、樹高 21m、
幹周 940cm の最大のスギは「日本の巨樹・巨木 100 選」に選
定されている。
標高約 1,100m のブナ坂を中心とした美女平∼下ノ小平一帯
は「全国森林浴の森 100 選」に選ばれており、周辺には樹齢
数百年のブナ林が広がっている。ブナは冷温帯性の落葉広葉
樹で、北海道南端から鹿児島県に広く分布するが、中でも本
州東北地方から中部地方の日本海側に多く生育している。富
山県では山地帯が主な生育域で、ことにブナ坂のブナ林は見
事である。
名刹立山寺の参道 100m の両脇にとが並木がある。富山県で
モミ( 立 山寺 参 はモミの木に「トガ」の方言があり、とが並木はモミの木で
ある。とが並木のモミは、幹周りが 3m に及ぶ巨木で、全部
道のとが並木)
〈上市町〉
あしくら お や ま
で 34 本ある。天正年間(1573∼92)の初めに、戦火で焼失し
た立山寺を再建した際、能登から苗木を取り寄せて植えたの
が始まりだという。県の天然記念物に指定されている。
芦峅雄山神社の境内には、所狭しと立山杉の巨樹が亭々とそ
杉 ( 芦峅 雄山 神 びえている。また、木々に囲まれて開山堂、本堂、岩塊上の
若宮、閼伽池(あかいけ)などがあり、この地域一帯が、神々
社境内杉林)
〈立山町〉
の宿る森に包まれた素晴らしい聖地であることを物語って
いる。県の天然記念物に指定されている。
イチョウ
朝日山公園近くの上日寺境内の入り口にあるイチョウ。全国
の国指定 27 本のイチョウのうち第 5 位といわれる巨木であ
る。樹高約 35m、幹周り約 10.5m、その枝張りは広い境内を
いっぱいにおおっている。地上 4∼5m の所に、大小数十個の
気根(乳房状の木のこぶ)が垂れ下がり、「乳イチョウ」と
も呼ばれている。国の天然記念物に指定されている。
じょうにちじ
(上日寺のイチョウ)
〈氷見市〉
24
素
材
コメント
松
浜黒崎の並木にある「親鸞聖人腰かけの松」は承元元(1207)
(浜黒崎の松並木) 年に聖人が越後に流罪になった際、ここで休まれたといわれ
ているクロマツの老樹である。江戸時代には、参勤交代の際
〈富山市〉
に浜街道を使用し、道番人が並木の手入れを行っていた。現
在は数が減ったものの、江戸時代の松並木街道の景観を今も
しのばせる貴重な存在である。県の天然記念物に指定されて
いる。
はまくろさき
杉
すぎさわ
(杉沢の沢スギ)
〈入善町〉
杉沢の沢スギは入善町吉原地区の海岸近くにある。ここは黒
部川扇状地の扇端部で、面積は 2.67ha ある。以前は 130ha
もあったが、昭和 48 年頃に整理された。沢スギは旧河道の
地下水が流れる地層の上に、根を張りめぐらし、水分やその
中に含まれる酸素の供給を受けて生育している。国の天然記
念物に指定されている。
トチ
幹周り 10m、樹高 30m、樹齢約 1000 年の老樹。巨大な枝を四
(利賀のトチノキ) 方に張り出し、幹肌には節くれ立った大小の瘤が突き出てい
る。富山県内の山間部には、いたる所にトチノキがあるが、
〈利賀村〉
これだけの大きさのものは見当たらない。老樹のため,数年
にわたる樹勢回復手術を施したが,平成 9 年 7 月,ついに枯
死と判断された。国指定の天然記念物であったが、平成 10
年 1 月 19 日付で指定が解除された。
と
が
松
新湊市の中心にある専念寺の前庭いっぱいに枝が地上を這
(専念寺の 傘 松) うように広がっている松。以前に日本の植物学会や遺伝学会
でも注目され、調査の結果、アイグロマツ(クロマツとアカ
〈新湊市〉
マツの雑種)で、突然変異によって傘状になったと判定され
た。県の天然記念物に指定されている
せんねんじ
からかさまつ
ツバキ
おいだん
(老谷の大ツバキ)
〈氷見市〉
氷見市の西部、老谷集落にある幹周り 3.4m、樹高 8m のヤブ
ツバキ。地上 1m の所から太い 3 本の幹に分かれ、さらに伸
びた小枝が互いに入り組み、絡み合って見事な樹型を形どっ
ている。その形状から「さしまた(刺股)の椿」ともいわれる。
県の天然記念物に指定されている。
25
富 山 の 森
素
材
ありみね
有峰
〈大山町〉
たてやまびじょだいら
立山美女平
〈立山町〉
くれはきゅうりょう
呉羽丘陵
〈富山市〉
県民公園
らんじょう
もり
頼 成 の森
〈砺波市〉
しょうみょうけいこく
称 名 渓谷
〈立山町〉
10 選
コメント
標高 1,000m に位置する有峰周辺は、満々と水をたたえる有
峰湖や、ブナ、ミズナラ、トチノキ、カエデなどの美しい森
が広がる自然の宝庫。昭和 35 年の有峰ダム完成後、県と北
陸電力により豊かな自然が守られてきた。有峰湖周辺の森林
は、
「日本の水源の森 100 選」にも選ばれている。平成 14 年
8 月に 水と緑といのちの森を永遠に を基本理念に掲げる
「有峰森林文化村」が開村した。
標高 1,000m の台地、美女平には樹齢 1000 年を超えるような
立山杉の巨木やブナ、トチ、コメツガなどの原生林が広がり、
ウグイス、オオルリなど 60 種類以上もの野鳥が生息してい
る。「全国森林浴の森百選」にも選ばれ、樹林の中には遊歩
道が設けられていて、バードウオッチングを楽しみながら思
う存分森林浴にひたることができる。また、樹林の中の洞窟、
岩陰、倒木の根陰などには県の天然記念物であるヒカリゴケ
を見ることができる。
富山平野を東西に分ける丘陵。総面積が約 200ha、標高 145m
の城山。尾根に立って東を望むと、白銀の北アルプスが圧倒
的な高さで迫ってくる。ミズナラ、オオヤマザクラ、ヤブコ
ウジなど樹種が豊富で、また、タヌキやムササビが生息する。
山の斜面には五百羅漢もある。
富山県を代表する森林公園で、115ha の広大な自然の中、森
林科学館、遊歩道、フィールドアスレチック、バーベキュー
広場などがある。約 6ha の水生植物園には 580 品種 70 万株
のハナショウブが咲き、ほかにスイレン、ミズバショウ、コ
ウホネなどが彩りを添えている。林道ひよどり線 1km の斜面
には、1 万株のアジサイが花しょうぶとともに鑑賞できる。
称名滝を含む称名渓谷は、自然景観に優れ、学術的価値も高
く、又保護すべきものとして、国の名勝及び天然記念物に指
定されている。高さ 500m、長さ 2km に及ぶ「悪城(あくしろ)
の壁」は日本有数の断崖絶壁である。この崖の上に、弥陀ヶ
原の高原が広がり、立山黒部アルペンルートの名所の一つに
なっている。
26
素
材
ふるどう
古洞森林水公園
〈富山市〉
ふたがみやま
二上山
〈高岡市〉
たいこうやま
太閤山ランド
〈小杉町〉
ばんばじま
馬場島
〈上市町〉
いおうぜん
医王山
〈福光町〉
コメント
たくさんの野鳥が生息し、野鳥観察や森林浴が楽しめる。ま
た四季を通して移り変わる古洞ダム周辺は遊歩道の散策コ
ースになっている。冬季には古洞ダム湖にマガモを始め川鵜
等多くの水鳥が飛来し、夏季には星を観る会、土とのふれあ
いのできる収穫体験等がある。
大伴家持に多く歌われた山で、山頂からは富山湾が望める。
万葉植物園は、二上山の自然をそのまま生かした、敷地1万
㎡の森の散策路で、傍らの木々にゆかりの万葉歌の説明があ
る。ほかに複数の遊歩道、展望台、キャンプ場などが整備さ
れており、気軽に森林浴を楽しめる。
富山県が置県 100 年を記念して造成した県内最大の公園で、
総面積 117.2ha の森と池に富んだ公園。日本海沿岸随一の内
容を誇るプール広場や森林浴の森、2 万株のアジサイ園、噴
水パラダイスなど一日中楽しめる。
剱岳の直下、早月川支流の立山川と白萩川の合流地点に広が
る河岸段丘地帯であり、北アルプス剱岳を望む登山基地。自
然が豊かで、春の山菜採り、夏のハイキング、岩魚釣りなど、
近年は山麓リゾートとしても人気が高まっている。この馬場
島にある「剱岳青少年旅行村」には、キャンプ場やバーベキ
ュー広場などが整っている。
今から約 1200 年前、由緒ある天台密教の霊山として開山さ
れた。山中には多くの奇勝地があり、医王山県立自然公園に
指定されている。形がとびのくちばしに似ていることから名
づけられた「とんび岩」や水草の浮島ととんび岩を映した水
面が美しい「大池」など見所も多く、気軽に登山を楽しめる
場所として親しまれている。
27
富 山 の 名 水 10 選
素
材
富山湾の深層水
あな ん たん
れいすい
穴の谷の霊水
〈上市町〉
たてやまたまどの
ゆうすい
立山玉殿の湧水
〈立山町〉
いくじ
コメント
富山湾 300m 以深にある低温の「日本海固有水」が富山湾の深
層水である。富山湾は急に深くなっているため、太平洋と比
べて水温が低く、酸素含有量が多い。富山湾の深層水の主な
特徴は以下のとおり。
①年間を通して水温が 1∼2℃以下で安定している
②病原体や細菌類が極めて少ない
③無機栄養分が豊富
魚介の養殖実験では成長が早く、発病率が低い結果が出たり
して、漁業振興活用されている。また、冷え性や肩こりが治
るなど海洋療法で美容と健康にも効果が現れている。
参道から 108 段の石段を下った谷間に薬師観音堂があり、そ
こにまつられた薬師如来像右横から湧き出る清水は、環境省
選定「全国名水百選」の一つ。霊水として脚光を浴びるよう
になったのは、昭和 32 年、広島出身の岡本弘真法尼が「穴
の谷の水は万病に効くありがたい水」と遺言を残して亡くな
ってから。以来、万病に効く不思議な水として評判を呼び、
今では全国から年間 15 万人以上の人々が訪れている。
環境省の「全国名水百選」に選ばれている北アルプス立山直
下の湧水。立山黒部アルペンルートの立山トンネルが開通し
たことで噴出した。花崗岩や変成岩の地質などに濾過され
て、不純物が除かれミネラルが豊富に加味され、名水となっ
て湧き出してくる。その水量は日量 2 万トン、水温は夏期で
2∼5℃、そのまま飲用として利用できる。登山家や観光客に
親しまれている。
生地は、環境省の「全国名水百選」に選ばれた湧水地帯の一
生地 の共同洗い つで、ふんだんに水が湧き出る清水が 18 カ所、そのうち共
同洗い場が 6 カ所ある。現在では、コンクリートやステンレ
場
〈黒部市〉
スなどで整備されており、スイカやビールを冷やしたり、洗
濯や野菜洗いに利用する主婦らのにぎやかな語らいの場と
なっている。
28
素
材
おおいわにっせきじ
ふじみず
大岩日石寺の藤水
〈上市町〉
いしくらまち
石倉町の
えんめい じ ぞ う
みず
延命地蔵の水
〈富山市〉
ゆみ
〈高岡市〉
瓜裂清水
〈庄川町〉
北陸本線(魚津∼泊間)は明治 43 年に開通したが、当時から
この湧水は乗降客の飲料水として利用されていた。御影石で
造られた水飲み場は、昭和 59 年に黒部市の市制 30 周年を記
念して再整備されたもの。花崗岩層で濾過され、適度のミネ
ラルを含み、味はまろやか。水温は年間を通して 11∼12℃。
環境省の「全国名水百選」に選ばれている。
さと
清水の里
〈黒部市〉
れいすい
不動滝の霊水
〈井波町〉
こうぼうだいし
しみず
弘法大師の清水
〈上市町〉
この清水は、いたち川の泉橋詰めの延命地蔵の境内にあり、
御手洗水に使われている。万病に効く霊水として評判を呼
び、境内にはいつも人影が絶えない。昔は自噴水であったが
戦災で埋まり、昭和 28 年に井戸を掘りなおした。
今から 600 年ほど前、京都・本願寺の綽如(しゃくにょ)上人
がこの地を訪れた際、馬の蹄が陥没して、そこから清水が湧
き出したという。その水に瓜を冷やしておいたところ、あま
りの冷たさに瓜が割れたと伝えられる。環境省の「全国名水
百選」に選定されてからは、訪れる人も増え、水場は小公園
として整備され、観光名所になっている。
うりわりしょうず
ふ ど う だき
不動明王の厳石を廻り出る御霊水で、眼病平癒に霊験あり、
諸人の願いに御利益があるとされている。科学的にも硼酸
(ほうさん)分が含まれていることが証明されている。
昔、木曽義仲が兵の渇きをいやすため、「南無八幡大菩薩」
と唱えながら、弓を引いて矢をがけ下の地に放ったところ、
そこから清水が湧き出たと言い伝えられている。隣には、こ
の名水を利用した流しそうめんの店がある。
しょうず
弓の清水
しょうず
コメント
天保のころ、100 日の大干ばつが続き、農作物が枯れ、井戸
水も枯れて、疫病がはやったとき、里人はこの清水を飲んで
救われたという。また、井波の常永寺住職がこの霊水を捧げ
7 日 7 夜不動滝に祈ると、万願の夕刻から雨が降って山野を
潤し、万物が蘇ったと伝えられている。
東福寺野公園の奥、日本海が一望できる高台の湧き水で、弘
法大師の祈祷により湧き出したと言われる。飲むと頭が良く
なるとも言われ人々に親しまれている。
29
富 山 の 滝
素
材
しょうみょうだき
称名滝
10 選
コメント
P13 参照
〈立山町〉
ソーメン滝
〈立山町〉
ハンノキ滝
〈立山町〉
つるぎ
剱 大滝
〈立山町〉
とこにじ
常虹の滝
〈細入村〉
いち
一の滝
〈小矢部市〉
落差 100m で、みくりが池、地獄谷に源を発している。地獄
谷の豊富な温泉の湯を幾条にも分けて称名川に落としてお
り、ソーメンを流したように見えるところから呼ばれてい
る。立山黒部アルペンルートの天狗平から、立山をバックに
眺められる。
称名滝の右側に、雪解け時か大雨時にのみ現れる「幻の滝」
。
この滝が現れた時は、称名滝とともに巨大な V 字を描く。落
差は約 500m で称名滝を大きく上回るが、
「幻の滝」であるた
め日本一に公認されていない。称名滝ほどの水量はなく、崖
の表面を滑るように流れ落ちる。2 つの滝が同じ滝壷に落ち
る様子も迫力がある。
黒部峡谷、下の廊下に位置する十字峡の支流、剱沢にある剱
大滝は、大小合わせて 12 段からなる大滝。落差は最大のも
ので約 48m、最小のものは約 0.8m で合計約 130m。滝への到
達は困難を極め、滝の全貌を見た人は数えるほどしかいな
い。瀑布の音が峡谷中に響きわたるが、滝の姿が見えないた
め、「幻の滝」と呼ばれている。
猪谷川下流にある細入村内最大の滝で、右手に蛇歯見(じゃ
ばみ)の滝、正面に 2 筋の夫婦滝、その上に大滝(不動滝)
がある。毎朝のようにきれいな虹がたつことから、これら 5
筋の滝を総称して「常虹の滝」と呼んでいる。落差は、一番
大きい蛇歯見の滝で 35m。
小矢部川の支流、子撫川の清流に沿った谷間を宮島峡とい
う。宮島峡一帯は硬軟両質の層が交互に堆積し、一の滝はこ
の硬い層が岩盤を構成し、川幅前面に落下する滝で、「小さ
なナイアガラ」と言われる。落差 3m、幅 63m。川床には県の
天然記念物「甌穴(おうけつ)」が見られる。
30
素
ふどうだき
不動滝
〈立山町〉
さんだん
三段の滝
〈庄川町〉
たつがみ
龍神の滝
〈大山町〉
いわむろ
岩室の滝
〈立山町〉
ふどうだき
不動滝
〈井波町〉
材
コメント
立山の弥陀ヶ原一ノ谷から落ちる落差 90m の滝。大日平山荘
近くの展望広場からの眺めが見事。この辺り一帯はお花畑に
なっている。
庄川町で一番高い山、牛岳。その牛岳基幹林道を登っていく
と庄川の三段の滝がある。高さは約 20m で、岩から岩へと白
布を掛けたように落ちている。
大山町の瀬戸倉山、牛首谷の上流にある滝。立山火山の噴出
物を侵食して流れ落ちる様子は、龍が天に昇っているように
見える。落差は 40m。その下流 200m にわたって岩肌の美しい
百間滑がある。
白岩川の支流である虫谷川にかかる滝で落差は 24m。滝に向
かって右側に横穴があるが、これは軟弱な泥岩が逆巻きなが
ら落下する水や、滝の飛沫(ひまつ)で削られてできたもの
で、ここから滝の名前がついたものと思われる。
井波町の市街から南西へ約 3km、赤岩川の上流にある滝で落
差は 40m。白布に包まれた不動尊を想像させるこの滝から岩
山を一つ越した北斜面の岩壁から清水が噴出しているのが、
古来から里人に語り継がれる「不動滝の霊水」である。
31
富 山 の 湖 沼 10 選
素
材
ありみねこ
有峰湖
コメント
P15 参照
〈大山町〉
たじりいけ
田尻池
〈富山市〉
く ろ べ こ
黒部湖
〈立山町〉
こじょう こうえん すい
富山市南西部にある周囲約 400m のため池。20 年ほど前から、
この池にはシベリアから 100 羽前後のオオハクチョウが飛来
し、越冬するようになった。オオハクチョウたちは水草など
を食べて田尻池で冬をすごした後、3 月下旬に再び大陸を目
指して飛び立つ。
黒部ダムは黒部川上流の秘境に造られた日本最大のアーチ
式ドーム型ダムである。昭和 38 年に完成し、3,000m 級の山々
から流れ入る水は、優に 2 億トンを誇る。エメラルドグリー
ンに輝くダム湖は、立山連峰、後立山連峰に抱かれ、大自然
の中に見事な曲線を描き、湖岸には樹齢 200∼400 年のブナ
林をはじめ、貴重な自然が残されている。
総面積の約 3 分の 1 が水濠からなる水濠公園。玄手川の清ら
高 岡 古城 公園 水 かな伏流水を取り入れた水濠とその周辺は、多くの生き物の
ごう
濠
住処となっている。特に鳥類は、鳥獣保護区に指定されてい
〈高岡市〉
なわがいけ
縄ケ池
〈城端町〉
たてやまさんがくこしょう
立山山岳湖沼
〈立山町〉
ることもあり、飼育されているコブハクチョウ、コクチョウ
など以外にも、数多くの留鳥、渡り鳥を間近で見ることがで
きる。
周囲約 2km の山間の池で、周囲はミズバショウに代表される
湿性植物の宝庫となっている。湿原内には木道が整備され、
ミズバショウの群落の中を歩きながら、池までたどることが
できる。池の周辺にあるブナ林は、新緑や黄葉の季節には、
その緑や黄葉が池に映え、鮮やかである。また、池畔には伝
説の竜神を祀る縄ケ池姫神社がある。
立山にはカルデラ湖や池塘(ちとう)群など多くの池が見ら
れる。周囲 600m 強のみくりが池は室堂周辺の火口湖では一
番大きな湖で、ライチョウやイワヒバリを見ることができ
る。ほかに、ミヤマリンドウやタテヤマリンドウが多く見ら
れるりんどう池や、酸化鉄が多く含まれるため赤い色をした
池塘群の血の池、みくりが池と比べるとはるかに小さく浅い
みどりが池がある。
32
素
材
コメント
淡水魚イタセンパラとスイレン科の一年草オニバスは十二
町潟を代表する生物である。どちらも国指定天然記念物であ
り、生息地、発生地は極限されている。十二町潟水郷公園内
には、イタセンパラの池とオニバスの池が作られ、貴重な動
植物が地域ぐるみで守られている。
じゅうにちょうがた
十二町潟
〈氷見市〉
庄川には、庄川用水合口ダム、小牧ダム、祖山ダム、小原ダ
ムがあり、あるところでは庄川の水を湖のごとく静かに、ま
〈庄川町、利賀村、 たあるところでは激流をうながし、独特の佳景を見せてくれ
平村、上平村〉 る。小牧ダム、祖山ダムを含む庄川町∼平村間は庄川峡と呼
ばれる景勝地である。また小原ダムの湖岸には世界遺産リス
トに登録された菅沼合掌集落がある(P42 参照)。
しょうがわ
こ
庄 川 のダム湖
ふるどう
いけ
古洞の池
〈富山市〉
さくらがいけ
桜ケ池
〈城端町〉
富山市の南西に位置するこの池は、雑木林に囲まれ人の手を
広げたように入り組んだ形をしているため、鳥たちにとって
は絶好の隠れ家となっている。一年を通じてホオジロ、ウグ
イス、ミサゴなど多くの野鳥が生息し、北陸有数の野鳥の楽
園として知られる。周辺は「とやま古洞の森自然活用村」と
して整備されている。
城端町のはずれ、立野ケ原(たてのがはら)台地の一角にある
周囲約 3km の人造湖で、かんがい用貯水池として富山県内有
数の規模を誇っている。湖畔を取り囲むように木々が生い茂
り、木々の間を通り抜けるように遊歩道がつけられている。
桜の花びらが舞う春、綿毛がまだ残る新緑の季節。紅葉の秋
もさることながら、湖面の上に雪が降りしきる季節には、幻
想的な雰囲気を創りだす。
33
富 山 の 海 岸 10 選
素
材
あまはらし
雨 晴 海岸
(伝説の義経岩)
〈高岡市〉
コメント
能登半島国定公園雨晴海岸は、白い砂浜と、松の林がつづく
景勝の地である。富山湾越しに見る立山連峰の雄大な眺め
は、四季それぞれに変化し、息を呑む美しさ。万葉の歌人、
大伴家持はこの雨晴の風景をこよなく愛し、多くの歌を残し
た。また、雨晴海岸は日本海沿岸屈指の遠浅で、絶好の海水
浴場として知られ、能登立山シーサイドラインの起点ともな
っている。平成 8 年には、雨晴海岸から松田江の長浜(氷見
市)までが「日本の渚百選」に選ばれた。「雨晴」という珍
しい名前の由来は源義経が奥州に落ちのびる時、岩かげ(義
経岩)に宿り、にわか雨を晴らしたという伝説による。
みやざき
宮崎海岸
(ヒスイの原石)
〈朝日町〉
海水の透明度も高く、美しいエメラルドグリーンの自然海
岸。朝日県立自然公園最大の景勝地である。日本でも珍しい
玉砂利の海岸で、ヒスイの原石が拾えることから「ヒスイ海
岸」とも呼ばれている。海のすぐ横が山なので、景色も楽し
める。「日本の渚百選」の一つ。
氷見市から七尾市にいたる約 30km の海岸。山地が海岸近く
にまで迫り、海岸に沿って伸びる国道 160 号線は、一方が岩
(灘浦沖の虹が島)
壁、もう一方が海で、通称「シーサイドライン」と呼ばれる
〈氷見市〉
格好のドライブコース。特に、水平線上にくっきりときわだ
つ立山連峰の壮大なパノラマは、世界でも珍しい眺め。また
灘浦海岸から 1km ほど沖にひょうたんの形をした虹が島が浮
かんでいる。
なだうら
灘浦海岸
神通川河口から常願寺川河口までの富山湾に面した海岸線
は、白い砂と黒松の林が続く風光明媚なところで、「越中舞
こ し
(松並木、古志の松
子」の別名もある。岩瀬浜は県下で最もポピュラーな海水浴
原)
場として、また海釣り場として知られ、東には浜黒崎海岸が
続く。岩瀬から浜黒崎まで続く黒松並木は「古志の松原」と
〈富山市〉
呼ばれる県指定天然記念物で、その松林越しに立山連峰がそ
びえて見える。
はまくろさき
い わ せ はま
浜黒崎・岩瀬浜
34
素
材
うおづ
魚津海岸
しんきろう
(蜃気楼)
〈魚津市〉
コメント
魚津の海岸には、蜃気楼・埋没林・ホタルイカの三大奇観が
集まっている。この三大奇観をキーワードにして「しんきろ
うロード」が整備されている。かつて鯛網でにぎわった魚津
海岸は、今は朝市でにぎわい、毎月第 2 日曜日、魚津港魚市
場で開かれている。(蜃気楼については P11 参照)
滑川の沖合は、世界でも有数のホタルイカの生息地。青白い
光が夜の海を浮かび上がらせる 郡遊海面 は、特別天然記
(ホタルイカ、深層
念物に指定される幻想的な風物。観光船に乗って海上から眺
水)
めることもできる。シーズンの毎年 4∼5 月に、港は最も活
なめりかわ
滑 川 海岸
〈滑川市〉
ま つ だ え
ながはま
松田江の長浜
〈氷見市〉
な
ご
うら
奈呉の浦
〈新湊市〉
気づく。また滑川沖の水深約 300m からは海洋深層水が採取
される。
(ホタルイカについては P15、深層水については P28
参照)
島尾から松田江まで続く白砂青松の砂浜。人工海岸の多い富
山湾沿岸の中にあって、珍しく緩やかな弓なりの砂浜が続
く。このあたりは万葉集にも詠まれており、
「日本の渚百選」
「日本の水浴場 55 選」
「遊歩百選」に選ばれている。凝った
設備で全国の海浜食物を美しく見せてくれる氷見市海浜植
物園もある。
新湊の北西方には、女性的な能登の山並みがはるか日本海の
水平線にまで連なり、東には秀麗 3,000m 級の峨々たる立山
連峰が、呉羽丘陵や浜街道の松並木を前景に、鮮やかなスカ
イラインを見せている。大伴家持が越中国司として在任した
間に新湊市の海辺風景を多く詠んでいる。
黒部川が流れ込む入善吉原沖には、
「海底林」がある。
「吉原
海底林」と呼ばれ、約 1 万年前には、そこが陸地であったこ
よしわら
(吉原沖の海底林)
とを物語る樹林が多く残っている。この海底林は世界最古の
もので、立木の状態で現存するのは世界でここだけである。
〈入善町〉
にゅうぜん
入 善 海岸
いくじ
生地海岸
〈黒部市〉
「天然のいけす」と呼ばれる富山湾の湾曲が鮮やかに見渡せ
る黒部市生地海岸。冬ともなれば波が大きくうねるこの荒磯
の風物詩となっているのが、昔ながらの漁法「地曳網」であ
る。冷たい浜風の中、30 人以上の漁師たちが 1 時間余りの時
間をかけて厳冬の荒波と格闘する姿は、まさに圧巻。
35
富 山 の 味 覚 ① 海 の 幸
素
材
10 選
コメント
シロエビ
4∼11 月に富山湾で獲れる世界的に珍しいエビ。透明感のあ
る淡いピンク色は「富山湾の宝石」と呼ばれ、酢の物やかき
揚げ、すまし汁などでうまみを味わう。
ブリ
「富山湾の王者」と呼ばれるブリは 11∼1 月に沿岸の定置網
によって漁獲される寒ブリが最も美味とされる。特に氷見に
水揚げされるブリは越中ブリと呼ばれ珍重されている。
ホタルイカ
シロエビと並ぶ富山独自の味覚。青白く発行するのが特徴
で、春先に産卵のため来遊し、「富山湾の神秘」の名のとお
り幻想的な光のショーが繰り広げられる。
ベニズワイガニ
寒ブリと並び富山の冬の味覚を代表するカニ。深海のカニか
ごで獲れる。カニのおいしさを手軽な料金で味わえるとあっ
て人気が高い。
甘エビ
甘エビは、富山湾以北の日本海でとれる寒流性のエビで、新
湊は分布のほぼ南限。ブリ、カニとともに冬の味覚の代表。
バイ貝
バイ貝は種類が多いが、富山湾でとれるのは深海性の 4 種。
大きさが 15cm 前後にもなるオオエッチュウバイ、エゾボラ
モドキ、12cm 前後のカガバイ、それより小さめのツバイ。
タラ
白子を生で食べるのは富山ならでは。また「たら汁」は富山
名物。
マグロ
マグロは、5∼6 月、日本海を北上回遊する際に富山湾へ来遊
する。古くから定置網漁業の重要な対象魚種とされており、
100∼200kg の大物も珍しくない。
ヤリイカ
富山ではサヤナガと呼ばれるイカ。薄く透き通るような身に
は、やわらかい中にも程良い歯ごたえがあってイカ独特の旨
味もたっぷり。
アオリイカ
墨を大量に吐き出すので「墨鳥賊」とも呼ばれるイカ。肉厚
で歯ごたえがあり、何とも言えない旨味がある。
アジ
富山で周年水揚げされるが 5∼7 月に漁獲が多い夏の魚。
「ア
ジは味なり」という言葉どおり、塩焼き、タタキ、刺身、フ
ライ等に美味。
ヒラメ
富山ではメビキとも呼ばれる魚。冬が旬で、刺身、煮つけ、
フライなどにすると美味。
36
富 山 の 味 覚 ② 野 山 の 幸
素
材
くれは
呉羽梨
富山干柿
10 選
コメント
「呉羽梨」は 100 年以上もの歴史があり、春の呉羽丘陵を真
っ白な花で埋め尽くし、夏に黄金色に輝く果実をたわわに実
らせる。200ha の梨園で収穫された約 5,000 トンの梨は、県
内、中京市場、京阪神市場へも出荷されている。
医王山の吹き下ろし風で自然乾燥させ、一つ一つ手間ひまか
けてつくる「つるし柿」は、古くから福光地方に伝わってき
た。その風味を保ちながら品質の向上を図り、今では越中名
産の「富山干柿」として全国に知られている。
長さ約 50 ㎝、幅約 30 ㎝、重さは 15∼20 ㎏の楕円形状で、
緑色の縦縞が 15 条あり、皮は厚くて日持ちが良く、遠距離
くろべ
西瓜(黒部西瓜) の輸送にも耐えるため贈答用として利用されている。味は淡
泊な甘味と清純な果汁で、糖度は 12 度位である。
にゅうぜん
入 善 ジャンボ
うおづ
魚津りんご
みずしま
水島柿
果実に袋をかけないで育てる無袋栽培により、太陽光線をい
っぱいに受けて育つ。充分に味が乗ってから収穫するため、
果汁が多く、歯ざわりも良く、糖度が高い。
新湊市射水平野の裾野で栽培され、丸顔、色黒、シミ、ソバ
カスという外見が特徴。甘さ、みずみずしさ、柔らかさの三
拍子そろった柿である。
すすたけ
五箇山等で取れるたけのこの一種。わらび、ぜんまい、うど
なども含め、富山の山菜は、春の雪解け水をたっぷり吸って
育ち、みずみずしくおいしい。
たけのこ
高岡市西田(さいだ)、小杉町黒河産が有名。国泰寺の精進料
理をきっかけとして、西田地区には広くたけのこ料理店が点
在する。
さといも
富山のさといもは粒が揃って色つやも食味もよい。滑川市か
ら上市町にかけての畑では、江戸時代から栽培されていたと
いう由緒ある特産物である。
みょうが
大山町のみょうがは、10 トンの生産量があり、質・量ともに
県内一で、2.5 トンが加工の材料となり、酢漬け、粕漬け、
みそ漬けとなる。
いちじく
「風の里」大沢野町の特産品。ヘルシーなアルカリ性食品と
して女性のファンが多い。
37
富 山 の 味 覚 ③ 加 工 品
素
材
鱒のすし
ひ
み
氷見うどん
10 選
コメント
樽型の独特の容器のふたを開けると、笹に包まれた鱒のすし
が姿を現す。その起源は遠く享保 2(1717)年、割烹の術に秀
でていた富山藩士「吉村新八」が初めてつくったと言われ、
時の将軍徳川吉宗公に献上したところ激賞を受け、富山の名
物となって今日に至る。良質の富山米と淡泊な鱒の風味が調
和した美味さで人気が高い。
氷見市に江戸時代からの歴史を持つ半乾燥の手延うどん。小
麦粉を塩水で練った固まりを、手で引き延ばしてだんだん細
く麺線にしていくという製法。独特の強いこしと粘り、餅の
ような食感と風味、のどごしの良さと歯ごたえが自慢
昆布じめ
昆布じめ刺身は、冬、雪が降り出漁できなくなると、昆布で
魚の水分を取り身をしめ雪の中で美味しく保存したという、
生活の知恵と独自の食文化により生まれた郷土料理。魚の生
臭みが消え、絶妙な調和は贈物にも最適。かじきと鱈が多く
使われる。
かまぼこ
日本海の新鮮な魚を原料にした富山の名物。漂白しないので
色黒だが、その分、味が深い。太巻き、昆布巻きのほか、タ
イなどをかたどった婚礼用、上に紅鮭、アナゴ、ウニなどを
乗せて、笹でくるんだのせかま「地曳」などもある。
黒作り
塩辛の一種の黒作りは、富山湾でしか作られていない珍味。
今から 300 年ほど前の寛文年間に、滑川あたりでイカの塩辛
を冬期の不漁の際に保存食として作っていたのが始まり。新
鮮な生いかの胴内に、肝臓といかのスミを混ぜ一週間あまり
樽に入れ熟成させたもの。
おおかど
大門そうめん
かぶら寿し
コシの強さと歯ぎれのよさ、そしてのどごしの爽快さが身上
の大門そうめんは 130 年の歴史を持つ。まゆに束ねた独特の
形、郷愁を誘う昔からの包装にも人気が集まっている。
北陸の冬に欠かせないかぶら寿し。地のかぶら、富山湾のぶ
り、さばが主材料。数ある漬物の中でもかぶら寿しは、独得
な歯ざわりの白かぶ、ぶり、さば、麹の妙味に他の漬物と違
った味わいがある。
38
素
材
ご か や ま
五箇山とうふ
コメント
五箇山とうふは普通の豆腐に比べて堅いのが特長。この堅さ
は、大豆の栄養がぎゅっと詰まった証拠で、2 升の大豆から
10cm 角の豆腐を 8 丁、絹ごしなら 4∼5 倍はできる濃縮豆腐
である。大豆の風味が香ばしく、潤沢な湧き水と山の冷気、
それに村人たちに長年受け継がれてきた技が、五箇山を代表
する味を作っている。
甘塩スルメ
新湊でとれた新鮮なスルメイカを、薄い塩水に軽く漬け、ゆ
っくり乾燥させたもの。新湊の水産加工物の中でも横綱格
で、頑固なまでに味と品質が吟味されている。丁寧に手作業
で作られるので美味しいと評判。
みりん干し
富山湾でとれた新鮮ないわし・あじを、手でていねいに開き、
みりんで漬け込んだ後、天日で乾燥させたもの。ゴマの香ば
しさと甘さがほどよく調和し昔ながらの手作りによる自然
食品として好評を博している。
39
富山の伝統工芸、地場産業
素
材
とやまの薬
〈富山市ほか〉
いなみらんま
井波欄間・彫刻
〈井波町〉
高岡銅器
〈高岡市〉
えっちゅう や つ お
越 中 八尾和紙
〈八尾町〉
ご か や ま
五箇山和紙
〈平村〉
10 選
コメント
元禄 3(1690)年江戸城内で、三春城主(現福島県)秋田河内守
の突然の腹痛を、富山藩主 2 代目の城主前田正甫(まさとし)
が、反魂丹(はんごんたん)により治した。それを眺めていた
全国の諸大名が自国での薬の販売を懇請し、正甫が富山の薬
種業に製造を命じ諸国へ行商させたことから、富山売薬が全
国に普及したと言われている。年 2 回一軒一軒得意先へ訪問
し、新しい薬の配布と代金の回収を行う独特の販売法は、世
界にも殆ど類例のない商法で、現在も存続している。
井波彫刻は、安永 3(1774)年、焼失した瑞泉寺再建の折、京
都本願寺の御用彫刻師前川三四郎が派遣され、井波拝領地大
工番匠屋田村七左衛門らがその技法を習ったのがその始ま
り。その後、住宅用欄間、獅子頭、天神様、衝立をはじめ様々
な木彫刻品を生産している。特に欄間は、約 200 種類のノミ
を駆使し 2∼3 ヶ月もの日数をかけて制作される。昭和 50 年
5 月、国の伝統的工芸品に指定された。
高岡銅器は、慶長 14(1609)年加賀藩主前田利長が高岡開城後
に招いた 7 人の鋳物師達(河内国丹南郡の技術を受け継ぐ)
の手によって始まった。昭和 50 年には国の伝統的工芸品の
産地指定を受けており、発祥以来 390 年たった現在も日本唯
一の銅鋳物の産地としてインテリア小物から屋外のブロン
ズ像までの幅広い製品を手がけている。
国指定の伝統工芸品、八尾和紙は江戸時代中期、越中売薬の
起こりとともに、その薬の包み紙や薬を入れる大袋用紙とし
て作り始められた。現在は、手すき独特の風合いを活かし、
古典的な障子紙、半紙、堤灯紙や近代的な書画、版画用紙、
100 種以上にもおよぶ染紙などが生産されている。また強靭
なコウゾ紙は型染絵加工品として全国に販売されている。
江戸時代、平村で作った中折紙が加賀 2 代藩主前田利長に贈
られて以来、五箇山和紙は加賀藩の手厚い保護を受けながら
発展し、良質和紙の産地として今日に至っている。その質の
高さは京都・桂離宮の解体修理の際、特別に指名されたこと
からも知ることができる。八尾和紙、蛭谷和紙とともに「越
中和紙」の名で国の伝統的工芸品に指定されている。
40
素
材
コメント
高岡漆器は、慶長 14(1609)年 2 代目加賀藩前田利長が高岡城
を築き、武具や箪笥、膳等日常生活品を作らせたのが始まり。
その後、中国から堆朱(ついしゅ)、堆黒(ついこく)などの技
法が伝えられ、彫刻塗、錆絵(さびえ)、螺鈿(らでん)、存星
(ぞんせい)など多彩な技術が生みだされた。昭和 50 年に国
の伝統的工芸品の産地指定を受けている。
高岡漆器
〈高岡市〉
えっちゅう せ
室町時代初期に、日本六古窯に次いで生まれた陶器。加賀藩
主 2 代目前田利長が瀬戸の陶工師、彦右エ門に陶器製作の下
知状を授けて作らせたのが始まりと言われ、400 年の歴史を
誇る。瀬戸焼や美濃焼の技法を引き継いでおり、天目、黄瀬
戸、青磁を中心に茶器や花器、食器が作られている。
と
越 中 瀬戸焼
〈立山町〉
しょうがわひきもの き
じ
庄 川 挽物木地
〈庄川町〉
たてやま
立山ひょうたん
〈立山町〉
よう り
養鯉
〈福岡町〉
慶応 2(1866)年、庄川町貯木場の豊富な木材を求めて木地師
がろくろ木地を営んだのが始まりと言われる。横ろくろを使
用し、横木材を材料に挽き物をするのが特徴で、年輪がさま
ざまな形で現れ、その表情は変化に富み、独特の深い色調が
木目を引き立てている。昭和 53 年に国の伝統的工芸品指定
を受けている。
立山は日本三大霊山の一つとして全国に知られ、地元男子は
15 歳にして立山山頂に詣でて成人の証とした。その時お神酒
を詰めたのが立山ひょうたんであった。福運の象徴として各
農家でこのひょうたんが生産加工されるようになり今に至
っている。千成、百成等、大小様々なものがある。県指定の
伝統工芸品。
福岡町の鯉の養殖の歴史は古く、慶応 2(1866)年、大和の国
郡山から種鯉が数匹、矢部地区へ移入されたのが始まり。矢
部地区は湿地帯であり水田の開拓が難しいため、沼地を利用
して鯉の養殖に取り組んだ。豊富な地下水を利用した養殖に
より、養鯉の年間生産量は約 450 トンと富山県の 85%のシェ
アを占め、全国的にも有名。
41
富山の世界遺産、国宝、文化財
素
材
ずいりゅうじ
国宝瑞龍寺
〈高岡市〉
世界遺産
あいのくらがっしょうしゅうらく
相倉合掌集落
〈平村〉
ずいせんじ
瑞泉寺
〈井波町〉
世界遺産
すがぬまがっしょうしゅうらく
菅沼合掌集落
〈上平村〉
ちょうけいじごひゃくらかん
長慶寺五百羅漢
〈富山市〉
10 選
コメント
加賀藩 2 代藩主前田利長の菩提寺で、3 代藩主利常が 18 年を
要して建立した。加賀藩 120 万石の財力を如実に示す江戸初
期・禅宗に典型的な建物群である。中国浙江省の径山万寿寺
を模し、総門、山門、仏殿、法堂を一線上に配した伽藍配置。
石廟には利家や信長などの分骨を納める。仏殿、法堂、山門
が国宝に、総門、禅堂、高廊下、回廊、大茶堂が重要文化財
に指定されている。
相倉は五箇山地方に残る最も古い建築様式の合掌集落。20
数戸が往時のままの姿を伝え、集落全体が国指定史跡であ
り、世界文化遺産として登録されている。平村では、森林や
渓谷などの周辺景観も含め、総合的な環境の維持保全対策に
地域ぐるみで取り組んできた。また、合掌造りの住居の多く
は民宿を営んでおり、体験学習に役立っている。
明徳元(1390)年、本願寺 5 世綽如(しゃくにょ)が開基。井波
彫刻の豪華な装飾「雲水一匹竜」を施した 18 世紀建立の山
門、獅子の子落しの彫刻で知られる勅使門(菊ノ門)、県内最
大の木造建築物である本堂が見もの。宝物殿には綽如上人勧
進状(重要文化財)等、多数の寺宝がある。
国道 156 号沿い、庄川右岸のわずかな台地にひっそりと佇む
9 棟の合掌造り家屋。庄川にかかる吊り橋・菅沼橋のケーブ
ルと合掌造り、川面がハーモニーを奏で、風情ある景観を見
せてくれる。集落には、合掌造りを利用した塩硝の館、五箇
山民俗館が建っており、貴重な民具や資料が展示されてい
る。国指定史跡。
立山に面した呉羽山斜面の木立の中に、整然と雛壇のように
七層に 535 体の石仏、五百羅漢が並んでいる。江戸時代、回
船問屋黒牧屋善次郎が各地より布施を集めて佐渡の石工に
よって彫られた。一体一体顔の表情が違っていて趣がある。
市指定文化財。
42
素
材
高岡大仏
〈高岡市〉
きたまえぶね
北前船回船問屋
もりけ
「森家」
〈富山市〉
おおいわさん に っ せ き じ
大岩山日石寺
〈上市町〉
い わ せ け
ご か や ま
岩瀬家(五箇山最
大の合掌造り)
〈上平村〉
コメント
高岡大仏は、奈良大仏(752 年)、鎌倉大仏(1246 年)と並んで
日本三大仏に数えられる高岡のシンボル。その歴史は 1221
年頃までさかのぼる。当初は 5m ほどの木造大仏であったが、
大火による消失と再建を繰り返し、昭和 7 年に青銅製の大仏
に生まれ変わった。台座を含めて地上から 15.85m もあり高
岡を代表する観光地となっている。
富山港で知られた岩瀬の大町通りにある森家は、北前船回船
問屋で栄えた商家の一つ。明治 6 年大火のあと明治 11 年に
再建した建物であるが、往時の面影をよく遺している。見ど
ころは表構え、吹き抜けのオイの間、土蔵扉の鏝絵彫刻、一
枚岩のある土間廊下など。大町通り町並に、参勤交代で賑わ
った北陸浜街道の匂いがある。国指定の重要文化財。
大岩山日石寺は真言密宗の大本山として知られ、行基菩薩が
大岩川の岩に不動明王を刻んだことが起源と伝えられてい
る。高さ 3.46m の本尊不動明王像のほか 4 体が凝灰岩の巨岩
に半肉彫りで彫り出され、中部地方の最高傑作として高い評
価を受けており国指定重要文化財となっている。毎年 1 月の
大寒には滝打ち修行が行われる。
260 年ほど前、越中の豪族・藤井長右衛門によって 8 年がか
りで建てられた合掌造りの家屋。約 130 年前に岩瀬家が譲り
受けた。桁外れに大きく、柱や敷板にケヤキを使用し、書院
造りの座敷があるので普通の合掌造りと異なっているのが
特長。昭和 33 年に国の重要文化財に指定されている。
富山県民会館分 富山県民会館分館内山邸は、越中の豪農であった内山家の邸
うちやまてい
館 「内山邸」
〈富山市〉
宅、庭園等を、昭和 52 年に 13 代内山季友(すえとも)氏から
富山県へ譲渡されたもの。富山藩時代の豪農屋敷の特色を残
している内山邸、美術品、民俗資料等を文化遺産として永く
保存するとともに、富山県民会館の分館として一般の観覧に
供するほか、お茶・お花などの文化的諸行事の開催の場とし
て利用する施設となっている。
43
富山の旧跡、遺跡
素
材
さくらまち
桜 町 遺跡
〈小矢部市〉
高岡城跡
〈高岡市〉
おおざかい
大 境 洞窟遺跡
〈氷見市〉
さくらだに
桜 谷 古墳
〈高岡市〉
やないだぬのおやま
柳田布尾山古墳
〈氷見市〉
10 選
コメント
昭和 63 年に、国道 8 号バイパスの建設工事に伴い発見され
た縄文時代の遺跡。高床建物の柱材と考えられる貫穴(ぬき
あな)や桟穴(えつりあな)とよばれる加工が施された木柱の
出土は、それまで弥生時代に日本へ伝えられたと考えられて
いた高床式の建物が、定説よりも 2000 年も前の縄文時代に
すでに存在していたことを証明して、全国的に話題になっ
た。桜町遺跡は 縄文最前線 の遺跡として、現在も発掘調
査が続けられている。
高岡城は慶長 14(1609)年に加賀 2 代藩主前田利長の隠居城
として高山右近の設計によって作られたが、元和元(1615)年
一藩一城令により廃城となった。現在もなお築城時の縄張り
や土橋・石垣・堀などがほぼ完全な形で残っている。付近一
帯は高岡山古墳群をはじめ縄文・弥生・古墳時代の遺跡が多
く、西へ 2km の国分寺跡までのコースには古墳時代前期の寺
田山古墳群・富士山古墳群が並ぶ。
日本で初めて発見された洞窟住居跡。海食による自然洞窟
で、奥行 35m、入り口の幅 16m、高さ 8m。落盤により縄文期
から近世まで 6 層に分かれた地層からは、土器や石器がつぎ
つぎと出土していて、「縄文時代」が「弥生時代」より古い
ことを実証した。国の史跡に指定されている。
二上山の北方、雨晴海岸に近い桜谷の丘にある桜谷古墳は、
4 世紀∼5 世紀にかけてのものと言われ、2 基の前方後円墳と
14 基以上の円墳からなる。その中の主墳ともいうべき、前方
後円墳第一号は、地方としては稀に見る雄大さ。古墳からは
鏡や管玉なども出土、国の史跡に指定されている。
平成 10 年に氷見市柳田地区にある標高 30m の丘陵頂部で発
見された。全長 107m と、日本海側最大規模の前方後方墳で、
全国でも 10 番目の大きさである。また古墳全体の中でも能
登以北の日本海側において最大の規模を誇る。しかも、墳丘
の形が極めて良好に残されており、当時の古墳造成技術を研
究するうえでも貴重なものとされる。
44
素
材
く り か ら げ ん ぺ い
コメント
木曽義仲が、500 頭余りの牛の角にたいまつをつけて、平維
倶利伽羅源平 古
盛率いる平家の陣に追い入れ、勝利をあげた「火牛の計」で
戦場
〈小矢部市〉
やすだ
安田城跡
〈婦中町〉
あさひ
朝日貝塚遺跡
〈氷見市〉
たかせ
高瀬遺跡
〈井波町〉
まつくら
松倉城跡
〈魚津市〉
有名な古戦場。源平ラインが走り、眺望にも恵まれ、春は
6,000 本にも及ぶ八重桜、秋は紅葉が美しい。猿ヶ馬場・源
平供養塔・倶利伽羅不動寺・旧北陸道・護国八幡宮などがあ
り、歴史探訪や行楽に最適である。
天正 13(1585)年、豊臣秀吉が佐々成政を攻めた際、前線基地
となった白鳥城の支城として使った城。昭和 52、53 年度調
査で本丸・二の丸・右郭・堀・土塁が確認された。堀と土塁
の形態が現在まで比較的良好な形で残っており、このように
全体像がはっきりしている戦国末期の平城は全国的に少な
く、国民の貴重な歴史的遺産である。
大正 7 年に発見された縄文時代の貝塚で、国指定史跡。朝日
山公園誓度寺の境内を中心とした南北約 70m、東西約 60m の
範囲。土器や石器類,6 体の人骨,海や陸の動物の骨が見つ
かっており、特にバスケット形の縄文時代中期の土器は大変
貴重なものである。また、貝層の下からは炉跡が 2 つ発見さ
れ、わが国初めての住居跡発見となった。
奈良時代から平安初期にかけての東大寺荘園跡と考えられ、
古代荘園跡としては、わが国で初めての国指定史跡。出土品
には、木簡(もっかん)、土師器(はじき)、須恵器(すえき)、
漆器などがある。史跡公園は、歴史的に重要な価値を持つこ
の遺跡を大切に保存し、後世に伝えるため荘所跡や古代河川
を復元したもの。初夏には公園内の花菖蒲が一斉に咲き誇
り、訪れる人の目を楽しませてくれる。
松倉城は、鹿熊字城山の山頂部(標高約 430m)に築かれた山城
で、主郭(通称本丸)からのろし台まででも 800m を測り、越
中最大規模の山城と言われている。築城の年代は明らかでな
いが、南北朝期の 14 世紀前半と推定される。県指定の史跡
で、現在は美しい自然に囲まれた公園として整備されてい
る。
45
富 山 の 祭 り 10 選
素
材
かぜ
ぼん
おわら風の盆
〈八尾町〉
みくるまやままつり
高岡御車山 祭
〈高岡市〉
じょうはな
まつり
城 端 むぎや 祭
〈城端町〉
さんのう
山王祭り
ひ
え
(日枝神社大祭)
〈富山市〉
いわせひきやま
岩瀬曳山祭り
(けんか山)
〈富山市〉
たてもん祭り
〈魚津市〉
コメント
開催日:9 月 1 日∼9 月 3 日
高音域の男声が、三味線・胡弓と協和して絶妙なアンサンブ
ルを奏でる「おわら節」は、日本を代表する民謡の一つ。八
尾の人たちが一年間の情熱を 3 日間(9/1∼9/3)で燃焼させる
静かな爆発が風の盆である。魅せられて集まる観光客は 20
万人。小さな町は人口が 10 倍にも膨れ上がって人であふれ
る。創始は元禄 15(1702)年と伝えられる。
開催日:5 月 1 日
桃山文化を引き継いだ高岡名工の技光る 7 基の御車山が、巨
大な花傘を揺らして迫力の車輪をひびかせながら、高岡の町
内を巡行する。
開催日:9 月 15 日∼9 月 16 日
平家の落人達が五箇山に住みつき農耕の合間に歌い舞い踊
ったと伝えられるむぎや踊り。男たちは笠で地を衝き、くる
くる回しながら切れのよい動作で踊り、女たちは対照的に柔
らかく艶やかに踊る。
開催日:5 月 31 日∼6 月 2 日
元禄 3(1690)年、富山藩主前田正甫(まさとし)より 2 基の神
輿が寄進され、以来城下を巡幸する慣わしが始まったとされ
る。「山王さん」の周辺には 1,000 店にものぼる露店が延々
と並び、大変な混雑となる。
開催日:5 月 17 日∼5 月 18 日
岩瀬の曳山車は県内で多い豪華絢爛で優雅な曳山車とは違
い、頑丈に造られた山車本体の上に「たてもん」とよばれる
飾りを取り付けて、勢いよく勇壮に曳き回されるのが特徴。
夜になると山車どうしが激しくぶつかり合い、互いの力を比
べる曳き合いが行われる。
開催日:8 月 7 日∼8 月 8 日
高さ 16m に達する「たてもん」には、90 個余りの提灯が輝い
ている。「たてもん」は漁船を型どったものであり、獲れた
魚をこれに乗せ神饌として奉納して、豊漁と安全を祈願する
神事である。
46
素
よたか
材
ひきやま
コメント
開催日:5 月 1 日∼5 月 2 日
夜高祭り(曳山) 鮮やかな赤を基調とした 7 基の大行燈を含む二十数基の大・
〈福野町〉
やんさんま祭り
や ぶ さ め
(流鏑馬)
〈下村〉
高岡七夕まつり
〈高岡市〉
ふしきひきやままつり
伏木曳山祭
(けんか山)
〈高岡市〉
しんみなとひきやま
新 湊 曳 山 祭り
〈新湊市〉
中・小行燈が 1、2 日の両日出される。慶安 5(1652)年、当地に
建立した神社へ伊勢神宮の分霊を迎えるために、行灯で出迎
えたのが祭りの始まりと伝えられる。
開催日:5 月 4 日
加茂神社が創建された治暦 2(1066)年から行われていたと伝
えられる祭礼で、田の神となった武者が牛に乗り、その牛を
若衆が地面に押し伏せる「牛乗式(うしのりしき)」、走る馬
上から矢を射る「流鏑馬」などがある。やんさんまとは、流
鏑馬が訛ったもの。
開催日:8 月 1 日∼8 月 7 日
高さ 28m のジャンボ願い七夕をはじめ、花火大会・民謡踊り
町流し・七夕町ねり・七夕川流しフェスティバル等、イベン
ト盛り沢山で、期間中は全国からの大勢の観光客でにぎわ
う。
開催日:5 月 15 日
昼は風雅な花傘の曳山、夜は壮麗な提灯山へと変身して、重
さ 4∼8 トンの巨体をぶつけ合うことから別名「けんか山」の
名称で呼ばれる。この祭りは七福神を祭神とし、文政 3(1820)
年に始まった。
開催日:10 月 1 日∼10 月 2 日
それぞれの個性を振りまきながら 13 本もの曳山が通り過ぎ
てゆく。全体的には花傘の曳山なのだが、中町だけは空中に
浮かぶような異形の構造が目を引く。慶安 3(1650)年に創設
された大古新町から始まった。
開催日:9 月 23 日∼9 月 24 日
つくりもんまつ
伝統 300 余年、五穀豊穣を感謝して毎年 9 月 23 日を中心に、
り
〈福岡町〉
旧福岡地区の地蔵祭りに合わせ催される奇祭「つくりもんま
つり」の行事は、今では全国に知られる観光名物となった。
野菜、果物、自然の草花を利用し趣向を凝らしたその作品は、
素朴でユーモラスな人情溢れる庶民芸術。
47
富 山 の イ ベ ン ト
素
材
となみ
砺波チューリップフェア
〈砺波市〉
10 選
コメント
開催日:4 月下旬∼5 月上旬
毎年ゴールデンウィークに砺波チューリップ公園で開催さ
れる。会場には 350 種、100 万本以上のチューリップが咲き
誇り、様々な色と形のチューリップに出逢える。開催期間中
は多彩なイベントが繰り広げられ、多くの人々で賑わう。
開催日:4 月第 2 土曜・日曜日
全日本チンドン
富山城址公園や総曲輪通り、中央通り、西町、松川べりを中
コンクール
〈富山市〉
えっちゅうまんようむげんたん
越中万葉夢幻譚
〈高岡市〉
と
が
心とした地域で繰り広げられるチンドンコンクール。全国か
ら集結したきらびやかなチンドンマンたちが市内を練り歩
く。いまや貴重な存在となったチンドンマンの姿を見ること
ができるユニークな祭りとして全国的にも有名。
開催日:8 月下旬
万葉のふるさと高岡市・古城公園で毎年開催される、日本最
大規模の歴史スペクタクル野外音楽劇。最先端の音響技術を
駆使したサウンドシステム、カラフルな演出照明などによる
音と光の壮大な幻想的野外劇で、夏の風物詩として全国から
多くの人々が訪れている。
開催日:4 月下旬∼5 月上旬・7 月下旬∼8 月上旬・10 月初旬
利賀 フェスティバル・
合掌造りの民家を改造した利賀山房やギリシャ風野外劇場
演劇祭
〈利賀村〉
を舞台に世界各国から前衛演劇グループを招く世界演劇祭。
この時期は人口 1,200 人余りのこの村に、世界中から 1 万人
以上の人々が集まる。1999 年にいったん終了したが、日中韓
国民交流年である 2002 年に再開した。
開催日:10 月上旬
高岡万葉まつり
豊かな万葉の詩情と地域に根ざす文化のまちを実現するた
「万葉集全 20 巻
め、市民総参加で催されている祭り。メイン会場となる高岡
朗唱の会」
〈高岡市〉
古城公園では、万葉集全 20 巻、4,516 首を三昼夜にわたりリ
レー方式で朗唱する「万葉集全 20 巻朗唱の会」をはじめ、
万葉まつり大茶会、芸能発表などが開催される。
48
素
と
材
コメント
開催日:2 月下旬
豪雪地帯の利賀にふさわしい冬の祭り。そば粉 100%手打
ちそばや岩魚の塩焼き、五平餅など、利賀の伝統の味を味
わいながら、大雪像群の中で民謡・歌謡ショー、雪上ゲー
ムなどが楽しめる。夜には花火があがり、冬の空に幻想的
な空間を創り出す。
が
利賀そば祭り
〈利賀村〉
いなみ
井波彫刻まつり
〈井波町〉
きょくすい
えん
ふちゅう 曲 水の宴
〈婦中町〉
開催日:11 月上旬
長い歴史を誇る井波彫刻を一堂に展示。千支彫刻展や天神
様の即売、木彫品のプレゼントなどが行われる。また、全
国の小学校に寄贈する木彫パネルを、祭り期間中に仕上げ
る公開制作には、町の彫刻師が総力を結集する。
開催日:4 月中旬
「公卿・文人が庭園の川辺に座し、小川に酒盃を浮かべ、
流れてくる盃が自分の前を通り過ぎる前に詩歌を作り詠ず
る」という平安時代の行事を再現したもの。婦中町の各願
寺で毎年催されている。
開催日:1 月中旬
日本海高岡なべ祭
高岡市の地場産業技術の粋を結集して作られた、銅とアル
り
ミ製の直径 2m を超えるジャンボ鍋に、冬の日本海の味覚で
ある魚類や野菜類をふんだんに盛り込んで開催するイベン
ト。いろいろな鍋のほか、海鮮炭焼きコーナーやふかしい
もコーナーもある。
〈高岡市〉
らんじょう
もり
頼 成 の森
ょうぶ祭り
〈砺波市〉
花し
開催日:6 月中・下旬
県民公園頼成の森、水生植物園で開催され、580 品種、70
万株の花しょうぶをメインに、スイレン、コウホネなどが
6ha にわたって咲き揃う。しっとりとした美しさの中で、
琴演奏、花しょうぶ俳句コンテスト、野点など多彩なイベ
ントが開催される。
49
富 山 の 文 化 施 設
素
材
10 選
コメント
日本特有の風土と永い伝統の中ではぐくまれた水墨画など
富山県水墨美術
の特色ある日本文化の美を広く紹介し、県民の教養の向上と
館
〈富山市〉
文化の発展に寄与するため設置された美術館。県民と芸術家
の美術文化交流の場、また、富山県と国内外の地域との交流
の場として活用されている。展示活動としては、常設展示の
近代水墨画の系譜や下保昭作品室をはじめ、企画展示・教育
普及活動・情報コーナー・図書室・茶室「墨光庵」の活用な
どを行う。
1981 年 7 月の開館以来、富山を代表する文化施設として多く
富山県立近代美
の人々に親しまれている美術館。豊かな緑に映える白御影石
術館
〈富山市〉
とミラーガラスに囲まれたシンプルな外観に、広い展示空間
が特色。常設展示室では「20 世紀美術の流れ」を開催。コレ
クションから特に選りすぐった約 170 点の作品で構成され、
20 世紀の多様な美術活動の軌跡を時代をおって概観できる。
企画展示室では、年間約 6 本の企画展示により、様々な視点
から 20 世紀の美術を紹介する。
2,000 人以上を収容できる文化施設。客席可変機能により、
オーバードホー 1,650 席のオペラ形式、1,800 席のコンサート形式、2,200
席のコンベンション形式を実現している。バルコニー席を持
ル
〈富山市〉
つ 4 層 5 階の構造は、客席と舞台に一体感を与えて、観客と
役者を一つにつなぐ。また、50 本をこえる美術バトンを備え
た吊物機構、調光装置 800 回路の舞台照明、入力 36 の音響
調整卓という設備により、どんな構成も柔軟にサポートす
る。
富山市芸術文化ホール
たてやま
立山カルデラの大自然の営みと人間の努力・英知たる砂防
立山 カルデラ砂
を、屋内展示と野外ゾーンの体験学習により紹介する。常設
防博物館
〈立山町〉
展示は、立山カルデラ展示室からSABO展示室へ「崩れる」
→「流れる」→「防ぐ」→「創る」→「伝える」という一貫
したストーリーで構成されており、大型地形ジオラマ、大型
映像ホール、砂防工事用トロッコなどが特色。
50
素
材
コメント
平成 2 年に開館した、「万葉集」を中心テ−マに据えた初め
高岡市万葉歴史
ての研究施設。「万葉集」や「越中万葉の世界」を楽しみな
館
〈高岡市〉
たてやま
がら学べる常設展示「家持劇場」や企画展示を行っている。
また、「万葉集」とその時代の関係資料が閲覧できるように
なっている。
「立山の自然と人間のかかわり」をテーマに、立山の自然や立
富山県「立山 博
山信仰の歴史・文化を紹介する博物館。実物資料・模型・標
物館」
〈立山町〉
う な づ き
宇奈月国際会館・
「セレネ美術館」
〈宇奈月町〉
富山ガラス工房
〈富山市〉
本を用いて概説を説明する展示館、3 面横 15m の大型映像で
紹介する遙望館、立山に伝わる「立山蔓茶羅」の世界を五感
をテーマに分類構成し、空間的に表現したまんだら遊苑、な
どの施設がある広域分散型の博物館である。
「秘境黒部の大自然」を、絵画芸術を通して後世に残していく
ことをコンセプトとした美術館。平山郁夫氏をはじめとする
現代日本画壇を代表する 7 名の画家が、秘境黒部を描いた作
品を展示している。企画展示も開催。
技術者の養成を第一とし、ガラス工芸の創作活動を通じてガ
ラス工芸品を富山の新しい産業として定着させることを目
的に設置された施設。一般の来館者が制作過程を見学できる
コーナーや作品のギャラリー、ショッピングコーナーも充実
しており、気軽にガラスと触れ合える場となっている。
自然や宇宙の神秘について楽しく学べる博物館。水をテーマ
富山市科学文化
にした理工展示、富山の自然を探る自然史展示、座席数 220
センター
〈富山市〉
のプラネタリウムがある。自然教室・科学教室・天文教室な
どの行事を行っている。
うおづ
魚津の海岸で発見された特別天然記念物「魚津埋没林」をそ
魚津 埋没林博物
の場で保存・展示するユニークな博物館として昭和 30 年に
館
〈魚津市〉
設置され、平成 4 年 4 月に全面リニューアルオープンした。
リニューアルに際し、館のテーマとして埋没林に加えて蜃気
楼も取り入れ、ハイビジョンホールや展示のなかで蜃気楼を
紹介している。
51
富山の公園、植物園
素
材
こじょう
高岡古城公園
〈高岡市〉
県民公園
たいこうやま
太閤山ランド
〈小杉町〉
かいおうまる
海王丸パーク
〈新湊市〉
となみ
10 選
コメント
高岡市のほぼ中心にある公園で面積は 21ha。全体の約 3 分の
1 を水濠が占める野趣溢れる自然公園であり、春は桜、夏は
緑、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々の美しさで迎えてくれ
る。今から約 390 年前、加賀 2 代藩主前田利長が、当時の有
名な建築家であった高山右近に設計させて築城したのが高
岡城であり、その城跡が古城公園である。日本の都市公園 100
選に選定されている。
置県 100 年を記念して昭和 58 年に開園された、総面積
117.2ha の県内最大の都市公園。水と緑に囲まれた美しい自
然の中に、日本海沿岸随一の内容を誇るプール広場や森林浴
の森、噴水パラダイスなど多数の施設が配置され様々なスポ
ーツやレクリエーション活動を楽しむことができる。日本の
都市公園 100 選に選定されている。
富山新港の一角にある県民公園。そこには、かつて活躍した
帆船海王丸が展示され、船内見学も可能になっている。7 月
20 日の「海の記念日」等の特別な日には総帆展帆で白い帆を
いっぱいに広げた美しい姿も披露される。公園内には日本海
交流センターがあり、中では色々な船の模型が見られる。セ
ンター建物の外には大きな錨などを展示している。
四季折々の色と香りが迎える花のテーマパーク。園内には、
砺波 チ ュ ー リ ッ フ ゚ 公
日本で唯一のチューリップ博物館、チューリップ四季彩館の
園
〈砺波市〉
ふがんうんがかんすい
ほか、美術館や郷土資料館などがあり、ゴールデンウィーク
はチューリップフェアの会場として、全国からの観光客で賑
わう。
「とやま都市MIRAI計画」のシンボルゾーンとして、富
富岩運河環水 公
山の自然と富岩運河の歴史を活かしながら 2000 年とやま国
園
〈富山市〉
体に向けて整備された親水文化公園。公園内は遊歩道や芝生
のスロープが整備され、野外劇場風の広場と湧泉で構成する
フロントデッキは異国の雰囲気を醸し出しており、憩いの空
間を演出している。
(富岩運河については P66 参照)
52
素
材
じょうし
城址公園
(富山城)
〈富山市〉
コメント
富山城跡を整備して作られた公園。富山城は戦国時代の越中
の守護代・神保氏の居城で、その後織田信長の配下佐々成政、
江戸時代に加賀前田家から前田利次が入居し、以来富山藩 10
万石の居城となっていた。天守閣の中は、富山市郷土博物館
になっていて、富山藩関係の文書や絵図などを展示してい
る。公園内には、城郭風の富山美術館もある。
約 25ha の敷地に国内外から集めた 5,000 種類以上の植物を
富山県中央植物
展示。屋外では、国内外の野生植物を中心に、中国雲南省の
園
〈婦中町〉
植物や日本海側特有の植物などを世界の植物ゾーン、日本の
植物ゾーンに分けて展示。室内展示室ではラン、熱帯雨林植
物、熱帯果樹植物、高山植物が観賞できる。
動物園・遊園地・芝生広場・バーベキューコーナーなどがあ
富山市ファミリーパー
る多目的公園。広い園内には、豊かな自然林があり、森林浴
ク
〈富山市〉
や自然観察も楽しめる。動物園には、約 110 種類 500 点の動
物たちが飼育・展示されており、柵などを利用して自然本来
の環境に近い形で生活する様子が観察できる。
置県 100 年記念事業の一環として設置された自然博物園。自
県民公園自然博
然に親しみ、自然から学べる場として 13ha のフィールドと
物園「ねいの里」
〈婦中町〉
しろやま
城山公園
しらとりじょう
(白 鳥 城 )
〈富山市〉
540 ㎡の展示館がある。フィールドには一周約 2km の観察路
があり、展示館には野生鳥獣や昆虫類の標本が展示されてい
る。他に、映像や音声によって学べる機器がある。
呉羽山山系最高峰、城山の白鳥城跡を中心とした呉羽丘陵南
側一帯を整備した公園。公園一帯には、豊臣秀吉が富山城の
佐々成政を攻めたときに本陣を置いたという白鳥城跡のほ
か、遺跡や古墳群がある。緑につつまれた丘陵を散策すると、
眼下には富山市街地、遠くは立山連峰や能登半島が眺望でき
る。
53
富 山 の 温 泉 10 選
素
材
う な づ き
宇奈月温泉
〈宇奈月町〉
おおまき
大牧温泉
〈利賀村〉
おがわ
もとゆ
小川温泉元湯
〈朝日町〉
いけ
みくりが池温泉
〈立山町〉
かねつり
鐘釣温泉
〈宇奈月町〉
コメント
黒部川の電源開発とともに湧き出た富山最大の温泉地。高温
の単純泉で透明度が高いことで知られている。湯量も豊富
で、やわらかい肌ざわりが好評。数多い観光スポットの中で、
特に人気は黒部峡谷鉄道。ダム建設用に敷設されたトロッコ
列車は、宇奈月温泉から終点欅平まで全長 20.1 ㎞。トンネ
ル 41 カ所、橋 28 カ所をめぐるアドベンチャー列車に乗って
大自然にふれるのもいい。
寿永 2(1183)年、砺波山の合戦で敗れた平家の武将が偶然発
見したと言われる温泉。庄川河畔の一軒宿で、最近は船でし
か行けない温泉として有名になり、全国各地から秘峡の湯を
求めて多くの観光客が訪れている。涼感あふれる夏場もいい
が、川面を赤く染める秋、積雪に埋もれる冬の風情もまた格
別の趣がある。
朝日町の東南、小川上流の湖近くに湧く自然豊かな温泉。400
年の歴史を持つ霊泉として知られている。飲泉も可能で胃腸
病などに効果があると言われる。一軒宿のホテル小川は,豪
華な施設を誇るホテル部と昔ながらの湯治の宿「不老館」に
分かれており,目的に合わせた宿泊ができる。清流の河畔に
岩風呂があるが,上流へ 500m ほど行くと奥が半分洞窟にな
った天然洞窟温泉がある。
立山黒部アルペンルートの中心地、標高 2,450m の室堂にあ
る日本最高所の温泉。天狗平から弥陀ヶ原、遠く富山平野の
展望が見事である。湯は地獄谷に湧く湯を利用しており、熱
交換でない地獄谷の湯を体験できる唯一の宿。硫黄の香りが
する白い濁り湯。
黒部川の河原にある天然の露天風呂で、河原から自然に適温
のお湯が湧き出してくる。文政 2(1819)年、ブナやナラの原
生林に囲まれた河原のあちこちから湯が湧き出しているの
が発見されて開湯したと伝えられる。野趣豊かな天然岩風呂
や渓流露天風呂があり、「黒部万年雪」も眺められる。着替
え用テントが用意されている。
54
素
材
立山の室堂平周辺には、地獄谷から引き湯された山小屋が数
軒あり、総じて「地獄谷温泉」と名付けられている。2,300
∼2,450m の高所にこれだけ温泉がまとまってあるのは、日本
ではここだけ。みくりが池温泉、ロッジ立山連峰、雷鳥荘、
雷鳥沢ヒュッテなどは、この地獄谷に湧く湯をポンプアップ
して利用したり、これを熱源にしてパイプに通した水を沸か
したりしている。
じごくだに
地獄谷温泉
〈立山町〉
しょうがわ
庄 川 温泉郷
〈庄川町〉
〈山田村〉
雨晴海岸のそばに宿があり、客室が海側に面しているので、
夕景、漁火揺れる夜景、そして朝日に輝く海面と、富山湾の
変化に富む表情が見てとれる。内湯はパノラマ温泉大浴場に
なっており、湯気の向こうに能登半島から立山連峰が一望で
きる。近海で獲れた新鮮な魚介類を使った料理も自慢。
あまはらし
雨 晴 温泉
〈高岡市〉
片貝川畔の天神山の麓、のどかな田園地帯の一軒宿。毎分
1,000ℓという豊富な湯量で魚津の名所になっている。300 坪
の壁画大浴殿をはじめ、500 坪の銘石大浴場、300 坪の大露
天風呂など、合計 1,100 坪にも及ぶ湯めぐりは壮観。
きんたろう
金太郎温泉
〈魚津市〉
み
あ
お
水の美しい庄川の流域には温泉も多く、総称して 庄川温泉
郷 と呼ばれている。のどかな自然につつまれたいで湯の里
は、美肌の湯として知られ、落ちついた雰囲気の宿が多い。
上流にある庄川峡には遊覧船もあって、秋には紅葉につつま
れた渓谷美が楽しめる。春は庄川堤の桜が素晴らしい。
北陸最古といわれる古い伝統をもつ温泉。江戸時代、殿様が
好んで湯あみに通われ、経営者に「湯本」姓を与えられた程
の名湯。その昔、猿が矢傷を治したとも伝えられている。肌
にやわらかい、やさしい感覚と評判。大浴場のほかにも、元
湯「夢殿」があり、また川をはさんで露天風呂や、珍しいか
ま風呂というサウナが人気。
やまだ
山田温泉
ひ
コメント
うら
氷見漁港の北、阿尾漁港近くの海に面した新興温泉。夜の漁
氷見阿 尾 の 浦 温
り火がちらちら揺れる様や、立山から昇る明け方の空をゆっ
泉
〈氷見市〉
くり染めてゆくさまなど、時に移ろう氷見の表情を、湯に浸
りながら眺められる。
55
富 山 の 交 通 10 選
素
材
トロッコ電車
くろべきょうこく
(黒部峡谷鉄道)
〈宇奈月町〉
たてやま く ろ べ
立山黒部
アルペンルート
〈立山町〉
市電
〈富山市〉
しょうがわきょう
庄川峡
湖上遊覧船
〈庄川町〉
コメント
遥か眼下に清流を臨む険しい黒部峡谷の絶壁に沿ってゆっ
くりと標高を上げる「黒部峡谷トロッコ電車」。元はダム建
設用に敷設されたもの。41 のトンネルと 28 の橋を渡りなが
ら、車窓のすぐ下に臨むは垂直の絶壁。さらにその先にコバ
ルトブルーに澄んだ淵と白波を立て流れ下る激流を交互に
垣間見て、峡谷をぬける涼風を直接肌に感じる時、自然の美
しさと厳しさが伝わってくる。
乗物を乗り継いで、日本の屋根・北アルプスを横断する山岳
観光ルート。
① 立山駅∼美女平 :ケーブルカー(1.3km 7 分)
② 美女平∼室堂
:高原バス(23km 50 分)
③ 室堂∼大観峰
:トロリーバス(3.7km 10 分)
④ 大観峰∼黒部平 :ロープウェイ(1.7km 7 分)
⑤ 黒部平∼黒部湖 :ケーブルカー(0.8km 5 分)
⑥ 黒部湖∼黒部ダム:徒歩(15 分)
⑦ 黒部ダム∼扇沢 :トロリーバス(6.1km 16 分)
⑧ 扇沢∼信濃大町 :路線バス(18km 40 分)
というコースで、立山駅から信濃大町まで抜ける。(P12 参照)
富山市街地の南端・南富山駅前を起点とし、富山市中心部を
抜けてJR富山駅前を経由、神通川を渡り富山大学までを結
ぶ全長 6.4km の市内電車。歴史は古く大正 2 年にまでさかの
ぼる。普段の通勤・通学の足として、また買い物のお供とし
て親しまれている。積雪時でも運休することがないのも市電
の大きな特徴。
庄川峡の風景を船上から楽しめる。発着所は桜の名所として
知られる小牧ダムのすぐ近くで、定期船は大牧温泉への往
復。所要時間は片道約 30 分。木々の緑や紅葉が川面に美し
く映える様は庄川峡ならではのもの。女性的なダム湖と岩を
かむ男性的な流れの両方を堪能できる。
56
素
材
まつかわ
松川遊覧船
〈富山市〉
まんようせん
万葉線
〈高岡市〉
く ろ べ こ
黒部湖遊覧船
〈立山町〉
がっしょうおおはし
合 掌 大橋
〈上平村〉
あとびきばし
後曳橋
〈宇奈月町〉
こし
かた
越の潟渡し舟
〈新湊市〉
コメント
富山市の中心部を流れる松川は、両岸に桜の並木と 28 体の
彫刻が並んでいる市民の憩いの場。富山城址公園から発着す
る遊覧船の川下りは富山市の素顔を満喫できるコース。桜橋
をはじめ風情ある 7 つの橋と松川べりの風景を約 35 分かけ
てめぐっていく。春は川面に張り出した桜のトンネルで人気
を集めている。(P20 参照)
JR 高岡駅前と新湊市越の潟(こしのかた)を結ぶ全長 12.8km
の鉄道。軌道線区間での路面電車としての姿と、鉄道線区間
での専用軌道上での姿が好対照で、他の路面電車には無い魅
力を持っている。「万葉線」というのは一般公募による愛称
で、万葉集ゆかりの地ということでつけられた。
日本一高い所にある遊覧船で、黒部湖を 30 分で遊覧する。
目前に迫る立山三山と針ノ木岳の雄姿と、黒部峡谷の大自然
に触れながらのアルペンクルージングが満喫できる。立山連
峰と後立山連峰に挟まれた黒部峡谷の雄大さを気軽に味わ
うのに最適。
五箇山と白川郷を結ぶ国道 156 号に架けられている斜張橋。
橋名はこの橋の塔が合掌造りを模したことに由来する。合掌
造りの塔の形は、左右 2 径間の橋桁をバランスよく吊る上で
も都合のよいものであった。
黒薙(くろなぎ)川にかかる橋。黒部峡谷鉄道の沿線でもっと
も狭く深い谷で、絵葉書や写真パネル等によく使われてい
る。鉄道開通前に入山者が、谷の縁に立ち、あまりの深さに
後へ引き下がったとのことから、「後曳」と呼ばれている景勝
地。
新湊市と富山市を結ぶ連絡船。この渡し船は、富山湾の改修
によって陸つなぎだった土地を分断したため、市民の足の確
保を目的として 24 時間体制で就航している。越の潟の船着
き場に隣接して、加越能鉄道の万葉線の終点「越の潟」駅が
ある。(上記「万葉線」参照)
57
3.富山県の歴史
(1)「富山県」となるまで
① 大化の改新(645 年)の頃、北陸地
〈7 世紀末〉
方一帯は越(こし)(高志(こし)、古
志(こし))の国とよばれていた。
越後
7世紀末、越前、越中、越後に三分
され、越中国の政庁は高岡市伏木
越中
越前
に置かれていた。
② 大宝2(702)年に越中国に属して
〈天平 13(741)年〉
いた頸城(くびき)、魚沼地方が越
後に移され、天平 13(741)年に能
越後
登地方が越中に合併された。
越中
天平 18(746)年に、万葉の歌人大
越前
伴家持が越中守( えっちゅうのか
み)に任ぜられている。
③ 天平宝字(ほうじ)元(757)年に越 〈天平宝字元(757)年〉
中国から能登地方が分かれて、越
中は現在の富山県の県域と同じに
越後
なった。
越中
越前
58
④ 天正 10(1582)年に佐々成政が越
〈寛永 16(1639)年〉
中をほぼ統一し、その後、越中4郡
は加賀前田氏の領国となった。寛永
富山藩
加賀藩
富山県
加賀藩
16(1639)年婦負郡と新川郡の一部
金沢県
が富山藩に分封され、前田利次が
大聖寺藩
初代藩主となった。
⑤ 明治4(1871)年の廃藩置県により、
〈明治 4(1871)年〉
越中のうち旧富山藩領は富山県に、
旧加賀藩領は金沢県の一部となっ
金沢県
た。
大聖寺県
⑥ 明治4(1871)年 11 月に富山県は新 〈明治 4(1871)年〉
七尾県
川郡、砺波郡を加えて新川県に改
められ、県庁は魚津に置かれた。ま
新川県
金沢県
た、射水郡は七尾県に編入された。
・魚津
⑦ 明治5(1872)年、七尾県が廃され、 〈明治 5(1872)年〉
射水郡が新川県に編入される。
これにより越中全域が新川県となり、
石川県
県庁は富山に置かれた。
59
・富山
新川県
⑧ 明治9(1876)年、越中全域が石川
〈明治 9(1876)年〉
県に編入された。このため、行政の
主力を金沢中心の道路整備に置く
加賀・能登側と、治水を急務とする
・金沢
石川県
越中側の意見が対立し、分県運動
が起こった。
⑨ 明治 16(1883)年 5 月、現在の富山
〈明治 16(1883)年〉
県が生まれた。初代県令には国重
正文(くにしげまさふみ)が任ぜられ、
県庁は旧富山城址に置かれた。
富山県
石川県
⑩ 明治 22(1889)年、市制・町村制が実施され、富山町と高岡町が市と
なり、2 市 31 町 238 村が定まった。
その後、町村合併促進法(昭和 28(1953)年施行)や新市町村建設促
進法(昭和 31(1956)年施行)などにより、市町村の合併が進み、昭和
44(1969)年には現在の 9 市 18 町 8 村となり、現在に至る。
60
(2) 立山について
・ 立山は富士山、白山と並ぶ日本三霊山の一つとされ、山岳信仰
の聖地だった。昔、タチヤマ(そびえ立つ山)と呼ばれ、神の
あらわれでる山として敬われ、安楽往生を願う人々が全国各地
からやってきて登拝した霊山である。
・ 立山の開山縁起や伝承では、平安初期に越中の国司であった佐
伯有若(ありわか)の子、有頼(ありより)[慈興(じこう)上人]
が立山を開いたとされる。
・ 立山は、伝承によると 701 年の開山と伝えられており、平成
13 年は、立山開山 1300 年周年にあたった。
[立山開山伝説]
大宝元(701)年、越中の国司佐伯有若の子、有頼が父の愛
用の白タカで狩りをしていたが見失ってしまう。
深山に分け入るとクマに襲われ、有頼は弓矢でクマを射
た。手負いのクマを追跡したところ、クマは玉殿の岩屋に入
り、阿弥陀如来となった。
有頼は如来の教令により僧となり、慈興と名乗って立山を
開いた。
61
・ 開山当時、硫黄の臭いをただよわせ、熱湯や火山ガスを噴き上げ
る立山の地獄谷は、天台宗修験者の修行の場所になっていた。
『今昔物語』などの説話集でもこの山を「地獄・極楽」と特徴づけ、こ
こに行けば「あの世」にいる亡者と会うことができるとされている。
・ 江戸時代には庶民の信仰の山となり、立山衆徒は立山の御札(お
ふだ)、縁起(えんぎ)や立山曼荼羅(まんだら)(立山信仰を勧める
ための絵解き用として描かれた絵画)を持って全国各地を廻り、立
山への登拝を勧めた。
・ 万葉の歌人 大伴家持が越中守として赴任したのは天平
18(746)年のことであった。その後、天平勝宝 3(751)年に少納
言に遷任して、上京するまでの5年の越中守時代に、家持は歌
を223首詠んでいる。その中で、 立山
を詠み込んで残し
た歌は次の2首であった。
たちやま
立山に
とこなつ
降り置ける雪を
あ
かむ
見れども飽かず
たちやま
立山の
常夏に
く
神からならし
はひつき
雪し消らしも
わたりぜ
川の渡瀬
62
延槻の
あぶみ つ
鐙 浸かすも
・
おやま
おおなんじやま
立山 というのも、雄山(標高 3,003m)
、大 汝 山(3,015m)
、
ふ じ
おりたて
べっさん
富士の折立(2,999m)の総称で、その両脇を固める別山(2,880m)
、
じょうどさん
浄土山(2,831m)とあわせ「立山三山」と呼ばれている。立山
つるぎだけ
三山を中心に、左手には岩峰の鋭い 剱 岳(2,998m)
、右手には
りゅうおうだけ
おにだけ
し し だ け
龍 王 岳 (2,872m)、鬼岳(2,750m)、獅子岳(2,714m)等が連
や く し だけ
なり、大らかな山体の薬師岳(2,926m)が優美なスカイライン
を描いている。そして、立山連峰はこれら山脈全体を指す。
・ 富山県立山町から黒部ダムなどを経て長野県大町市に至る「立
山黒部アルペンルート」は、平成 13 年 6 月に全線開業 30 周年
を迎えた。
63
4.これからの富山
(1) 北陸新幹線
北陸新幹線の上越−富山間(約 110km)の工事が平成 13 年 5 月
に着工した。工事費は約 5,030 億円で、平成 25 年頃の完成を
目指している。
■ 北陸新幹線に関する経緯
昭和 45 年 5 月
全国新幹線鉄道整備法公布
昭和 48 年 11 月 整備計画決定
平成元年 8 月
高崎−軽井沢間着工(フル規格)
平成 3 年 9 月
軽井沢−長野間着工(フル規格)
平成 4 年 8 月
石動−金沢間着工(スーパー特急方式)
平成 5 年 10 月
糸魚川−魚津間着工(スーパー特急方式)
平成 9 年 10 月
高崎−長野間開業
平成 10 年 3 月
長野−上越間着工
平成 12 年 12 月 長野−富山間フル規格着工決定
平成 13 年 5 月
上越−富山間着工
● フル規格 … 標準の新幹線。最高速度時速 260km 程度。
● スーパー特急 … 新幹線規格新線。将来フル規格の車両が走れるよ
うに線路の基礎部分が造られている。当分は線路の幅をフル規格よ
りも狭くし、在来線に直通する新幹線車両を走らせる。最高速度は
時速 160∼200km。
64
この北陸新幹線により、東京−富山間が 2 時間強で移動可能
となる。
また、富山以西の整備についても、今後段階的な整備を進め
る方針となっている。
(2) 富山駅周辺の整備
北陸新幹線整備の一環として、富山県の目下の課題は、「新
黒部」「富山」「新高岡」の 3 駅周辺整備である。
中でも富山駅は、駅周辺の「南北一体的なまちづくり」をね
らい、在来線を高架化する連続立体交差事業を検討している。
富山市の整備方針は、高架化した富山駅下に幅 30m 前後の南
北自由通路をつくり、城址大通り、富山駅北線と結んで歩行者
ネットワークを形成。駅北から中心市街地までを
ふがん
① 富岩運河(※)環水公園一帯の「交流・親水ゾーン」
② 「駅周辺ゾーン」
③ 富山城址公園を軸とした「歴史・文化・観光ゾーン」
④ 中心市街地の「中心商業地ゾーン」
の 4 つに区分し、市電の駅北延伸と都市計画道路牛島蜷川線、
堀川線の拡幅、駅南北線の新設で各ゾーンの回遊性を高める、
65
というものである。
また、その連続立体交差事業を前提とした富山駅周辺の地下
利用構想もある。具体的には、
① 地上と地下空間を結ぶサンクンガーデン(ガラス張りの
屋根を備えた広場)の形成
② 駅南口での地下空間の増設によるバス停や電停との一体
化
③ 南北間、施設間の回遊性を高めるための新たな地下歩道
ネットワークの整備
などである。
ふ
がん
(※)富 岩 運 河
富山駅北と富山港を結ぶ延長 5.1km の富岩運河は、沿線へ
の工場誘致、鉄道駅と港の連結などの目的で昭和 9 年に建設
された。
物流の中心が水運から陸上輸送へと移ったために衰退し、
道路化の計画もたてられたが、環境整備へと方針が転換し、
現在上流は環水公園となっている。(P52 参照)
平成 8∼9 年度にかけて中島閘門が、平成 12∼13 年度にか
けて牛島閘門が建設当時の姿に復元された。中島閘門は国の
重要文化財、牛島閘門は国の登録有形文化財に指定されてい
る。
現在、
「自然の復元」
「歴史の活用」
「水面の活用」などを指
針とし、さらなる整備が検討されている。
66
観光と交通の問合せ先
名
称
電話番号
富山県観光通商課
(076) 431‐4111
(社)富山県観光連盟
(076) 441‐7722
いきいき KAN(富山観光物産センター)
(076) 444‐7120
立山黒部営業本部
(076) 432‐2819
富山地方鉄道
(076) 432‐5111
加越能鉄道
(0766) 22‐4886
日本道路交通情報センター(富山情報)
(076) 432‐2223
富山県旅客自動車協会
(076) 423‐0622
富山個人タクシー協同組合
(076) 424‐1635
富山空港総合案内所
(076) 495‐3100
富山県ホテル・旅館環境衛生同業組合
(076) 441‐4796
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【参考文献】
・ 「富山がわかる本」
(富山県統計課・富山県統計協会)
・ 「越中万葉歌碑めぐり」(高岡市万葉歴史館編)
・ 「北陸再発見シリーズ」
(北陸電力)
立山大使ハンドブック
2003 年 3 月発行
発行者
富山経済同友会
〒930-0046
事務局
富山市堤町通り 1 丁目 2 番 26 号
TEL (076)423-3209
FAX (076)422-0114
e-mail:[email protected]
印刷所
北日本印刷株式会社