物理学教室年次研究報告 2010 年度 大阪市立大学 大学院理学研究科・理学部 物理学教室 目次 序 ……………………………………………………………………………… 1 2010 年度物理学教室談話会 ……………………………………………… 3 研究報告 物性物理学講座 超低温物理学研究室 ………………………………………………………… 4 光物性物理学研究室 ………………………………………………………… 9 生体・構造物性研究室 ……………………………………………………… 12 素励起物理学研究室 ………………………………………………………… 23 超伝導物理学研究室 ………………………………………………………… 27 電子相関物理学研究室 ……………………………………………………… 32 宇宙・高エネルギー講座 宇宙線物理学研究室 ………………………………………………………… 35 高エネルギー物理学研究室 ………………………………………………… 39 重力波実験物理学研究室 …………………………………………………… 46 宇宙・素粒子実験物理学研究室 …………………………………………… 53 基礎物理学講座 素粒子論研究室 ……………………………………………………………… 56 数理物理研究室 ……………………………………………………………… 59 宇宙物理研究室 ……………………………………………………………… 64 原子核理論研究室 …………………………………………………………… 68 序 平成22年度の記憶に残る大きな出来事は残念ながら不幸な出来事でした.一つは 学内でのことです.他専攻の大学院生が研究室から劇毒物を学外へ持ち出し、これを 用いて命を落としたことです.その後に学内に化学物質適正管理対策委員会が設立さ れ、研究室ごとに毒物・劇物の保管管理に関して一層厳重な取り扱いをするように求 められるとともに「毒物及び劇物の適正な保管管理の徹底のための教育訓練」が教職 員・院生・学生を対象に行われました.民間会社と比較して本大学での薬品類の取扱 に関する安全衛生面からの取り組みは全く不十分であると指摘を受けていましたが、 独立行政法人化後の整備が整わない間に起こってしまったことは大学人として心が 痛むところです.物理教室内研究室で薬品類を扱うところは決して少なくありません。 今後とも注意を怠らないようにせねばなりません. 学外での大きな出来事は、年度末の3月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震で す.地震による広範囲での被害だけでなく、誘発された津波による甚大な被害、その 中でも福島原子力発電所の冷却不能事態による放射性物質の大気中への大量放出は 決して忘れることがないでしょう.危機管理ということの難しさを痛感しました. 明るい出来事は、理系新学舎の建設工事が年度内に始まったことです。10年以上 前から学舎の建て替え計画が出ていましたが、バブル後の経済不況により予算措置が されずにいました。理学部全学舎の立替ではありませんが、平成24年夏に新棟(Ⅰ 期)が完成し、平成26年度の秋までに新棟(Ⅱ期)と他の全ての改修工事が完了す る予定です.工事中の騒音・振動などが懸念されましたが、今までのところ教育・研 究に悪影響となるような事態は起こっていません.充実した施設による教育・研究の さらなる飛躍が期待されます. 学生・院生が安全に教育を受け、研究を遂行出来るように、教員は適切に指導せね ばなりませんが、教員が学生・院生を管理せねばならない事態が他大学で起こりまし た.ソフトウエアーの不正利用です.また本学でも著作権を侵害するようなファイル 交換ソフトの使用がありました.パーソナルコンピュータ(PC)は現代の大学に於い て必須の持ち物ですが、著作権を侵害しない PC の使用と、学内で使用する PC 内のソ フトのライセンスの厳粛な管理とを徹底することが、指導教員に求められています. 理学部内での新しい動きとして、平成22年度4月より、後期博士課程研究奨学奨 励金制度が理学研究科内で発足しました.この制度は、優秀な後期博士課程学生に、 授業料相当額を奨学奨励金として給付して、その研究活動を援助し、発展させる事に あります.この制度を利用して、多くの方々が本学の後期博士課程に進学して活躍さ れることを期待します.また、教員に対するサバティカル制度が10月から実施され ました.制度を利用するにあたり、院生・学生の指導をどのように継続するかなど難 1 しい点もあります.しかし研究者にとって有意義な制度であり今後は有効活用されて いくものと考えます. 高大連携・地域貢献となる、春の市大授業(畑教授)、夏のオープンキャンパス開 催(中尾教授、村田教授)、大阪市立大学理科セミナー(荻尾准教授、村田教授、丸 山准教授)、大阪市立大学・近鉄文化サロン共催講座(林 教授)、全国同時七夕講演 会(中尾教授)、教員免許状更新講習会(畑教授)、大手前高校 SSH への協力(中尾教 授他)等が開催され、多くの教員が協力貢献してくれました.特に高校生向けの、春 の市大授業での物理コースへは百名を大きく越える参加者、夏のオープンキャンパス へは理学部全体で昨年度より数百名も増えた参加者がありました.平成22年度に大 きく減少した物理学科の入試受験者は平成23年度入試では少し増えたようですが、 大学入試レベルでは楽観を許さない状況が続いています.物理啓発の地道な努力の継 続が必要でしょう. 昨年度より始まった理科選択コースの平成23年度の物理配属希望者はゼロでし た.物理を希望する高校生が徐々に少なくなっていることを反映しているようです. 南部陽一郎氏のノーベル物理学賞受賞効果はいつ現れるのでしょうか. 大阪市の人員削減計画による理学部全体の削減は完了したので他学科では平成2 3年度4月1日付けでの新規採用人事が始まりました。しかし物理学科としてはまだ 完了していないため新採人事は暫くありません。平成22年度末に定年を段階的に延 長し65歳とする方向性が示され、物理教室のこの状況がもう暫く続くことが確実に なりました.教室内の高齢化が進みますが、在籍する教員の協力による、分野を超え た教育・研究を目指すことは大事であると考えます. 平成22年10月に、鐘本勝一氏が准教授へ昇任されました。一層のご活躍を期待 します。 最後に、本年度年次報告作成にご尽力された浜端広充氏と寺本吉輝氏に感謝いたし ます。 平成23年10月 平成22年度物理学教室主任 石川 修六 2 2010年度物理学教室談話会 世話人:安井、中野、鐘本 第1回:新入生歓迎談話会 日時:4月8日(木)14:45∼ 場所:理学研究科会議室 講師:村田 恵三氏(本学理学研究科 数物系専攻 教授) 題目:世界をリードする低温、超伝導 第2回:『アインシュタインの物理』でリンクする研究・教育拠点セミナー 日時:11月9日(火)17:00∼18:00 場所:理学研究科会議室 講師:福江 純氏(大阪教育大学 理科教育講座 教授) 題目:ブラックホールシャドーは 見える のか? 第3回 日時:12月1日(水)15:00∼16:30 場所:2号館220A号室 講師:南部 保貞氏(名古屋大学 理学研究科 准教授) 題目:Quantum energy teleportation with a linear harmonic chain 第4回:『アインシュタインの物理』でリンクする研究・教育拠点セミナー 日時:12月14日(火)17:00∼18:00 場所:第2講義室 講師:花垣 和則氏(大阪大学 理学研究科 准教授) 題目:LHCで探る対称性の破れ 第5回:教室研究発表会 日時:2011年1月6日(木)10:00∼17:35 場所:学術情報総合センター1F 文化交流室 3 超低温物理学研究室 畑 徹 石川修六 矢野英雄 小原 顕 教 授 教 授 准教授 講 師 嘉戸隆介(D3) 永合祐輔(D3) 加藤千秋(D3) 飯塚崇祐(M3) 小川徹也(M2) 森 亮彦(M2) 笹本征吾(M2) 木村 豊(M1) 西嶋 陽(M1) 小川翔輝(M1) 山口晃史(M1) 研究概要 1. NMR法によるエアロジェル中での超流動ヘリウム3の新奇界面現象の研究(石川、畑、 森、小川) 超低温度では、超流動ヘリウム3の研究は超純粋物質(スーパークリーン物質)と しての研究の場であった。エアロジェルと呼ばれる物質中では、エアロジェルの構成物 であるシリカの細い紐が不純物として働くことが分かっており、超流動性が抑制される。 圧力と温度を調整すると、バルク液体が超流動になっているときに、エアロジェル中は ノーマル状態とすることが出来る。このときにエアロジェル中の界面付近に新しい超流 動が現れるという理論予想がある。一種の近接効果であり、“奇周波数ペア”と呼ばれ る新しいクーパー対の出現が予想されている。異方的超伝導物資と金属との界面でも予 想されている普遍的な現象と考えられるが、異方的超伝導、超流動がp波軌道対称性を もつときにだけ起こると予想されている。これを調べるためにポロシティ97.5%の試料 セルを作製し、圧力24barでの測定を開始した。まだ奇周波数ペアの存在を示す結果は得 られていない。 2.第4音波法による平行平板中の超流動ヘリウム3(小原、石川、加藤) 第4音波を用いる超流動ヘリウム3の研究の新しい局面として、狭い平行平板間で の実験を開始した。目標はA相のテクスチャーを制御して、エネルギーギャップの異方性 や第4音波の減衰機構を調べることである。3種類の平行平板間(間隔が12μm、25μm、 50μm)を作製し圧力29barでの測定を始めた。12μm、25μmの音波セルでは第4音波の観 測に成功し、これから得られた超流動密度は他の実験手段で得られたものと良い一致を 示した。一方、50μmセルでは第4音波と第1音波が混合したものが観測された。12μm、 25μmセルでの音波の減衰は、流体力学近似によるものがよく説明している。さらに測定 を進めているところである。 3. 超流動ヘリウム量子渦の生成とダイナミクス 超流動は、熱エネルギーが奪われた極限の温度で存在する、マクロな量子凝縮相であ る。その流れは量子化され、超流動ヘリウム4や超流動ヘリウム3-B相の渦は、超流 動ではない芯と、芯からの距離に反比例する速度の超流動流で構成される。この渦糸は、 超流動中で途切れることができず、端がない渦環か、端が境界(壁)にある渦糸として のみ存在できる。渦環はスモークリングのように超流動を伝播する。また我々の研究か ら、壁と壁との間に付着する渦糸は、準安定的に存在し続けることがわかってきた。 3.1 超流動ヘリウム3中の振動物体による量子渦生成(矢野、畑、永合) 超流動ヘリウム3中で物体を振動させると、クーパー対破壊が起こる速度以上で、 渦の核生成が起こることが知られている。我々は、物体の振動周波数がある値よ 4 り低いとき、渦の核生成とは異なる機構の渦生成が現れることを発見した。この 渦生成はクーパー対破壊速度より低い速度で起き、またクーパー対破壊エネルギ ーに依存しない。低周波の振動でのみ現れることより、振動物体に付着する量子 渦が振動によって不安定になり、渦を生成することを示唆している。 3.2 超流動ヘリウム4中の量子渦環の伝播(矢野、畑、小川、西嶋) 量子渦環は超流動中を伝播する。超流動中に常流動成分が存在すると、伝播する 量子渦は、常流動との相互摩擦のため消滅する。我々は、常流動成分が存在する 量子渦環の伝播を調べ、予想される伝播速度よりも遅く、寿命は長いことを明ら かにした。今後は、常流動成分と渦環の伝播との関係から、なぜ伝播が遅く寿命 が長くなるのかを調べる。 3.3 量子渦のケルビン波探索(矢野、畑、永合) 量子渦は超流動の冷却過程で核生成され、壁のわずかな隙間にも渦が付着すると 考えられる。我々は、超流動相転移の冷却速度を変えることで量子渦発生の制御 を行い、また振動子として用いる超伝導ワイヤの直径や表面粗さを変えることで 付着量子渦の長さ制御を試みた。その結果、速い振動速度でも乱流遷移しない状 態(ワイヤ)の開発に成功した。この手法を基に、ワイヤと壁との間に付着する 量子渦に、振動により波(ケルビン波)を立たせ、波の振動モード検出を行う装 置を開発している。 4.回転する超流動ヘリウム3の研究(物性研,京大,福井大,岡山大との共同研究) (石川) 昨年度に引き続き、東京大学物性研究所に相互協力により完成したサブmK温度域の 超低温度回転クライオスタットを用いて量子流体力学に関する共同利用研究を行ってい る。最高回転速度は1秒間に2回転である. 昨年度後半に完成した巨視的角運動量の存在を調べるセルを物性研究所の装置に組 み入れて最初の測定に取りかかったところ、いくつかのトラブルが発生したため修理に 時間をとられ予定通り研究が出来なかった。1つ目は7月頃に発覚した冷凍機のリーク である。2つ目は年末に起こった超伝導マグネットのクエンチとそれに伴うセルのリー クである。次年度4月から博士研究員の雇用が出来るので協力して進めていく予定であ る。 5.寒剤を用いない希釈冷凍機の開発(畑、矢野、小原、石川、山口) 昨年までの最低到達温度9mKから、さらなる低温を得るために、熱交換器の増設、 音叉型水晶振動子を用いた温度計の開発を行った。その結果、音叉型水晶振動子温度計 の振幅は理論どおり温度に比例することを見出し、4.5mKまでの冷却に成功した。これ はこのタイプの希釈冷凍機では世界最低温度となった。上記と並行して、超低振動希釈 冷凍機を目指し、世界初のパルス管冷凍機分離型の希釈冷凍機開発のための基本コンセ プトを確立し、それに基づき全体設計、部品設計を進めた。 6.熱音響冷凍機の開発(畑、飯塚) 熱音響冷凍機は、熱エネルギーと音波エネルギーの変換を利用した冷凍機をさす。廃熱 の再利用ができること、音波媒体は空気などの安全な気体であること、機械的な可動部がな いことなどから、長寿命で環境にやさしい未来型の冷凍機(エアコン)として期待されてい るが、エネルギー変換効率が低く、実際に利用できるレベルには来ていない。そこで、熱源 部、冷凍機部の改良を進め、まずは熱から音波への変換がより低温で行われるための条件探 索を進めた。その結果、冷却の温度差として約10Kの冷却が実現できたが、エアコンに使 うにはまだ不十分で、更なる冷却温度めざしている。 5 7.液体ヘリウム4中の大振幅音波の研究(小原、木村) 液体ヘリウム4において大振幅の定在波を励起すると、異常な吸収が観測されるこ とを見出した。吸収率はほぼ100%近いが、発生は間欠的であり何時も起きるわけで はない。また、吸収が発生する瞬間に破裂音が聞こえるという特徴もある。我々はこの 異常な吸収を泡の発生であると考えて研究をスタートさせた。現在はより精密な計測の ための連続型1K冷凍機を製作中である。 教育・研究業績 学術論文 1. ‘Frictional relaxation time of 3He normal fluid component in aerogel obtained by fourth sound resonance’, C. Kato, T. Matsukura, Y. Nago, K. Obara, H. Yano, O. Ishikawa, T. Hata, S. Higashitani, and K. Nagai, J. Low Temp. Phys., 158, 182–187, (2010). 2. ‘Observation of remanent vortices attached to rough boundaries in superfluid 4He’, Y. Nago, T. Ogawa, A. Mori, Y. Miura, K. Obara, H. Yano, O. Ishikawa, and T. Hata, J. Low Temp. Phys., 158, 443–449, (2010). 3. ‘Critical behavior of steady quantum turbulence generated by oscillating structures in superfluid He-4’, H. Yano, Y. Nago, R. Goto, K. Obara, O. Ishikawa, and T. Hata, Phys. Rev. B, 81, 220507(R)(1-4), (2010). 4. ‘Frictional motion of normal-fluid component of superfluid He-3 in aerogel’, K. Obara, C. Kato, T. Matsukura, Y. Nago, R. Kado, H. Yano, O. Ishikawa, T. Hata, S. Higashitani, and K. Nagai, Phys. Rev. B, 82, 054521(1-7), (2010). 5. ‘Vortex generation induced by low-frequency wire vibration in superfluid 3He-B’, Y. Nago, M. Inui, R. Kado, K. Obara, H. Yano, O. Ishikawa, and T. Hata, Phys. Rev. B, 82, 224511(1-7), (2010). 6. ‘Acoustic Resonance of Superfluid He-3 in Parallel Plates’, K. Obara, C. Kato, S. Sasamoto, H. Yano, O. Ishikawa, T. Hata, J. Low Temp. Phys., 162, 190-195, (2011). 7. ‘Time-of-flight experiments of vortex rings propagating from turbulent region of superfluid 4He at high temperature’, Y. Nago, T. Ogawa, K. Obara, H. Yano, O. Ishikawa and T. Hata, J. Low Temp. Phys., 162, 322-328, (2011). 国際会議講演 1. K. Obara : “Fourth sound of superfluid 3He in aerogel”(invited talk), Symposium on Quantum Fluids and Solids QFS2010, August 1-7, 2010 -Grenoble, France 2. Y. Nago : “Time-of-flight measurements of vortex rings in superfluid 4He at high temperatures” (poster), Symposium on Quantum Fluids and Solids QFS2010, August 1-7, 2010 -Grenoble, France 3. Y. Nago : “Motions of vortex lines attached to oscillating objects in turbulent state of superfluid 4 He” (poster), Symposium on Quantum Fluids and Solids QFS2010, August 1-7, 2010 -Grenoble, France 4. H. Yano : “Transition to Steady Quantum Turbulence Generated by Thin Oscillating Structures in Superfluid 4He”, (invited talk) Symposia on Superfluids under Rotation (Vortices 2010), 11–16 Apr. 2010, University of Helsinki, Lammi, Finland. 学会・研究会講演 1. 加藤千秋:「平行平板中の超流動3He」 文部科学省特定領域研究「対称性の破れた凝縮系におけるトポロジカル量子現象」; 第4回集中連携研究会 2010年9月13日 大阪市立大学文化交流センター 6 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 小川徹也:「超流動4He中のVibrating wireによる乱流生成の温度変化2」 日本物理学会2010年秋季大会 2010年9月23日~26日 大阪府立大学 永合祐輔:「超流動4Heの量子渦に誘起されるKelvin波の観測」 日本物理学会2010年秋季大会 2010年9月23日~26日 大阪府立大学 石川修六:「不均一空間内でのスピン三重項S波超流動状態」 文部科学省特定領域研究「対称性の破れた凝縮系におけるトポロジカル量子現象」; 第1回領域研究会 2010年12月18日~20日 京都大学百周年時計台記念館 加藤千秋:「平行平板に閉じ込めた超流動3He 中の第4音波共鳴」(ポスター) 文部科学省特定領域研究「対称性の破れた凝縮系におけるトポロジカル量子現象」; 第1回領域研究会 2010年12月18日~20日 京都大学百周年時計台記念館 森 亮彦:「NMR study at the boundary between bulk 3He and Aerogel」(ポスター) 文部科学省特定領域研究「対称性の破れた凝縮系におけるトポロジカル量子現象」; 第1回領域研究会 2010年12月18日~20日 京都大学百周年時計台記念館 石川修六:「Impurity effect at the boundary between aerogel and bulk liquid 3He」 理研シンポジウム「量子凝縮系の非線形・非平衡現象」 2011年1月4日〜5日 矢野英雄:「振動物体が生成する超流動ヘリウムの量子乱流」 理研シンポジウム「量子凝縮系の非線形・非平衡現象」 2011年1月4日〜5日 森亮彦:「超流動3He-Bに接するエアロジェル界面での新奇界面現象」 日本物理学会66回年次大会 2011年3月25日~28日 新潟大学 田中佑輔:「エアロジェル中超流動3HeのAB共存状態」 日本物理学会66回年次大会 2011年3月25日~28日 新潟大学 田中佑輔:「エアロジェル中超流動3Heの壁面近傍状態」 日本物理学会66回年次大会 2011年3月25日~28日 新潟大学 加藤千秋:「平行平板内に閉じ込めた超流動3He中の第4音波測定II」 日本物理学会66回年次大会 2011年3月25日~28日 新潟大学 小原顕:「液体4He中の大振幅音波」 日本物理学会66回年次大会 2011年3月25日~28日 新潟大学 小川徹也:「超流動4He中のVibrating Wireによる乱流生成の温度変化3」 日本物理学会66回年次大会 2011年3月25日~28日 新潟大学 永合祐輔:「4Heの量子渦に誘起されるKelvin波の観測」 日本物理学会66回年次大会 2011年3月25日~28日 新潟大学 山口晃史:「ドライ希釈冷凍機の開発と音叉型水晶による温度測定」 日本物理学会66回年次大会 2011年3月25日~28日 新潟大学 学位論文 修士論文 1. 小川徹也:「超流動4He中の量子渦環の伝播」 2. 飯塚崇裕:「ガラス管を用いたループ型熱音響冷凍機の開発」 3. 森 亮彦:「NMRを用いたp波超流体ヘリウム3とエアロジェル中の液体ヘリウム3との 接合面の研究」 研究助成金取得状況 1. 石川修六:新学術領域研究「対称性の破れた凝縮系におけるトポロジカル量子現象」 計画研究「スピン三重項超流動体の新奇界面現象」 2010年度分 3,620万円 2. 畑 徹:挑戦的萌芽研究「冷凍機分離型無冷媒希釈冷凍機の開発」 2010年度分 240万円 7 3. 小原 顕;H22年度科学研究費補助金 若手(B)「量子音響タブレンスの観測に向け た極低温ヘリウム中の気泡生成の研究」 2010年度分 270万円 海外出張および海外研修 1. 2. 3. 矢野英雄: Symposia on Superfluids under Rotation (Vortices 2010), 11–16 Apr. 2010, University of Helsinki, Lammi, Finland, 2010年4月11日~16日, 出席・発表 K. Obara : International Symposium on Quantum Fluids and Solids QFS2010, August 1-7, 2010 -Grenoble, Franc, 2010年8月1日~7日, 出席・発表 Y. Nago : International Symposium on Quantum Fluids and Solids QFS2010, August 1-7, 2010 -Grenoble, Franc, 2010年8月1日~7日, 出席・発表 その他 山口晃史 低温工学関西支部 若手奨励賞受賞 2010年12月10日 4 「液体 Heレス希釈冷凍機の開発と水晶振動子による温度測定」 8 光物性物理学研究室 光物性物理学研究室 鐘本勝一 准教授 福永 篤志 (M2) 上田 裕二郎 (M1) 竹本 圭佑 (B4) 松岡 秀展 (M2) 金信 真理子 (M1) 井上 展幸 (M1) 太田 往宏 (B4) 研究概要 1. 過渡光誘起吸収分光法によるπ共役ポリマーの光励起ダイナミクス(福永、鐘本) π共役ポリマーは、薄膜化することで高い導電性や高効率な発光等の優れた光及び電子 機能を発現することから、光伝導素子や有機EL素子といったオプトエレクトロニクス素子 への応用が期待されている。本研究は、鎖長が有限に制御されたオリゴチオフェンおよび 鎖間相互作用を制御した希釈膜に対して100fs励起の過渡吸収分光を行い、鎖長及び鎖間相 互作用の影響による光励起ダイナミクスの違いを明らかにすることを目的とした。測定結 果から、鎖長の不均一性により複数の電子状態が混在することが明らかにされ、さらには、 鎖間相互作用の影響により、光励起で生成された励起子が単一鎖内から鎖間へとエネルギ ー移動を起こすことが明らかとなった。また、光強励起下で形成される特異な電子相を模 索することを目的として、オリゴチオフェン薄膜における光励起ダイナミクスの励起強度 依存性を調べた。その結果、強励起下において新たな吸収信号が観測され、その起源は、 励起子密度が高くなることで励起子同士の対消滅が生じ、それによって生成されるキャリ アに由来することを明らかにした。(大阪大学産業科学研究所との共同研究) 2. 光及び電流検出電子スピン共鳴法による有機半導体デバイスのスピン物性の研究 (松岡、鐘本) 近年、有機半導体においてLEDや太陽電池などの応用研究が盛んになされているが、同 時に、スピントロニクス素子への応用にも期待が集まっている。ここでは、有機半導体 素子内におけるスピン物性の解明と新規スピン物性の探索を目的とし、電流及び発光検 出電子スピン共鳴(ESR)応答に着目した。電流及び発光検出ESR計測において、ESRを起 こすことで顕著に電流ないし発光が変化することが観測され、その信号の起源は有機半 導体中のπ電子であることが確認された。次に、共鳴点における光電流ESR信号の時間変 化が測定され、ESR共鳴の発生及び消失の直後にスパイク状の過渡的な電流が生成される ことが発見された。そのスパイク電流値は、定常光電流値を超えており、過去に例が無 い巨大な電流応答であることが分かった。 3. π共役ポリマーを用いた光伝導素子に対する光誘起吸収(井上、鐘本) π共役ポリマーとフラーレンの混合物は、光励起により高効率な電荷分離を起こし、 光伝導効果を示すことが知られており、太陽電池への応用を目指した研究が盛んである。 実際に、π共役ポリマーの一つである、regioregular型ポリチオフェンとフラーレン誘導 体PCBMの複合体を用いて光伝導素子を作成し、その挙動を、連続光励起の光誘起吸収測 定から調べた。さらには、その光伝導素子のインピーダンス特性にも注目した。その結 果、光励起とともに、インピーダンス信号が変化し、それに伴って分光信号も変化し、 両測定結果が創刊することが明らかになった。 4. π共役ポリマー半導体素子に対する吸収検出ESR測定法の開発(上田、鐘本) π共役ポリマーを中心とした有機半導体は、素子への開発研究が盛んであると同時に、 素子動作における新規物理現象の検証も進められている。中でも半導体素子動作と電子 スピン物性の関係に注目が集まっている。それら半導体およびスピン物性の関係を解明 9 する上で重要な役割を与えるのは、スピンペアと考えられており、それを効果的に実験 で検出する手段の開発が求められてきた。本研究では、スピンペア状態の検出及びその 性質を明らかにすることを目的として、光吸収と電子スピン共鳴を結びつけた、吸収検 出ESR方法の開発に取り組んだ。結果として、室温において、信号を検出することに成功 した。 5. ポリマーELデバイスに対する変調分光計測による三重項状態の計測(金信、鐘本) π共役ポリマーは電圧印加により電界発光(EL)が生じ、その応用性が注目されてい る。そのEL素子動作時においては、キャリアのみならずキャリア間の衝突により生成す る励起子が発生する。MEH-PPVを用いてELデバイスを試作し、デバイス動作とともに発生 するキャリア及び三重項励起子を、変調分光により検出する実験を行った。その結果と して、キャリア及び三重項励起子が、電圧強度とともに生成する様子の検出に成功した。 さらに、EL発光を与える一重項状態と三重項状態の生成比が、印加電圧強度とともに変 化することを明らかにした。 教育・研究業績 学術論文 1. K. Kanemoto, N. Mizutani, K. Muramatsu, H. Hashimoto, M. Baba, J. Yamauchi, “ESR Investigations on Doped Conjugated Polymers Diluted in a Solid Matrix” Chemical Physics Letters, 494, pp. 41-44 (2010). 2. K. Kanemoto, A. Ogata, N. Inoue, T. Kusumoto, H. Hashimoto, I. Akai, T. Karasawa, “Direct optical probing of negative carriers from an operating [6,6]-phenyl C61 butyric acid methyl ester diode" Applied Physics Letters, 97, 033307-1-3 (2010). 国際会議講演 1. Katsuichi Kanemoto, Motoaki Yasui, Daisuke Kosumi, Mitsuru Sugisaki, Tsutomu Karasawa and Hideki Hashimoto, “Morphology dependent exciton formation in regioregular poly(3-alkyl)thiophenes" (1P03), 11-16 July, 2010, Brisbane, Australia 2. Daisuke Kosumi, Satoshi Maruta, Ritsuko Fujii, Katsuichi Kanemoto, Mitsuru Sugisaki, and Hideki Hashimoto, “Ultrafast Excited State Dyanmics of Monomeric Bacteriochlorophyll a”, 9th, International conference on excitonic processes in condensed matter, 11-16, July, 2010, Brisbane, Australia 3. K. Kanemoto, A. Ogata, D. Kosumi, H. Hashimoto, “Photocarrier Dynamics of The P3HT/PCBM Composite Photovoltaic Device as Revealed by Bleaching Spectroscopy", International conference on science and technology of synthetic metals 2010 (ICSM 2010), July 4-9 2010, Kyoto, Japan. 4. H. Matsuoka, K. Kanemoto, T. Shimoda, H.Hashimoto, “Exciton Dissociation under Electric Field in a MEH-PPV LED", International conference on science and technology of synthetic metals 2010 (ICSM 2010), July 4-9 2010, Kyoto, Japan. 5. K. Kanemoto, M. Yasui, D. Kosumi, M. Sugisaki, H. Hashimoto and T. Karasawa, “Morphology dependent excitons and carriers in the diode of regioregular poly(3-hexyl)thiophene", 2010 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (PACIFICHEM 2010), December 15-20, 2010, Honolulu, USA 学会・研究会講演 1. 鐘本勝一,安井基晃,小澄大輔,橋本秀樹,唐沢力「Bleaching信号からみたポリ3ヘキ シルチオフェン薄膜の光励起ダイナミクス」第4回分子科学討論会、大阪大学 (2010.9.14-17) 10 2. 福永篤志、鐘本勝一、小澄大輔、橋本秀樹、安蘇芳雄「フェムト秒過渡吸収分光による 長鎖オリゴチオフェンの光励起ダイナミクスの励起強度依存性」第21回光物性研究会、 大阪市立大学 (2010. 12. 10-11) 3. 松岡秀展、鐘本勝一、橋本秀樹「π共役ポリマーMEH-PPVデバイスにおける光電流の巨大 電子スピン共鳴応答」第21回光物性研究会、大阪市立大学 (2010. 12. 10-11) 4. 松岡秀展、鐘本勝一、橋本秀樹「有機薄膜デバイスにおける光電流の巨大電子スピン共 鳴応答」日本物理学会第66回年次大会、新潟大学(2011.3.25-28) 5. 福永篤志、鐘本勝一、小澄大輔、橋本秀樹、安蘇芳雄「ポリマーデバイス内における電 場 作 用 下 の 励 起 子 解 離 ダ イ ナ ミ ク ス 」 日 本 物 理 学 会 第 66 回 年 次 大 会 、 新 潟 大 学 (2011.3.25-28) 6. 井上展幸, 鐘本勝一,橋本秀樹「P3HT/PCBM複合体有機薄膜太陽電池に対する光誘起吸収 分光」日本物理学会第66回年次大会、新潟大学(2011.3.25-28) 7. 金信真理子, 鐘本勝一,橋本秀樹「デバイス変調分光法によるポリマーELデバイスの動 作過程についての研究」日本物理学会第66回年次大会、新潟大学(2011.3.25-28) 特許出願 1. 鐘本勝一、松岡秀展「電流制御方法および電流制御装置」特願2010-143266、 平成22年6月24日 2. 鐘本勝一、松岡秀展「電流制御方法および電流制御装置」特願2010-273225、 平成22年12月8日 学位論文 修士論文 1. 福永篤志: 「光誘起吸収分光法によるπ共役ポリマーの光励起ダイナミクスに関する研究」 2. 松岡秀展:「光及び電流検出電子スピン共鳴法を用いた有機半導体デバイスにおけるスピ ン物性の研究」 研究助成金取得状況 1. 鐘本勝一:日本学術振興会・科学研究費補助金 若手研究B 「分光・磁気共鳴技術の融合 による有機半導体デバイスのスピン物性発現機構の解明」270万円 その他 鐘本勝一:2010年度電子スピンサイエンス学会奨励賞を受賞 ャリアに対する電子スピンダイナミクスの研究」 11 題目「導電性ポリマー中のキ 生体・構造物性研究室 橋本 南後 杉﨑 丸山 藤井 須貝 秀樹 守 満 稔 律子 祐子 教授 特任教授 准教授 准教授 特任准教授 特任助教 小澄 大輔 斉藤 圭亮 (PD) (PD) 楠本 堀部 喜多 殿内 西坂 桝屋 横江 丸田 浦上 井上 千住 長岡 米田 利行 智子 麻美子 規之 好晃 豪 拓人 聡 千藍紗 和亮 直輝 悠也 一史 (D5) (D1) (M2) (M2) (M2) (M2) (M2) (M1) (M1) (B4) (B4) (B4) (B4) 研究概要 1. 極超短光パルスを用いたカロテノイドのコヒーレント分子振動の制御(杉﨑,小澄,斉藤, 藤井,橋本) 代表的な光合成色素であるβ-カロテンの誘導フォトンエコー(SPE)信号に,コヒーレント 分子振動の結合モードが顕著に表れるという非常に興味深い現象を見出した.同様の現象 は,紅色光合成細菌Rba. sphaeroides 2.4.1から抽出したスフェロイデンにおいても明瞭に観 測されたため,この現象がカロテノイド一般に起こることが明らかになった.この興味深 い現象の起源として,(1) 光励起に伴う構造変化,(2) 電子状態間のカップリングに伴う非 線形な振電相互作用,の2つの可能性が考えられる.そのため,これらのモデルの妥当性 を明らかにするために,Rba. sphaeroides 2.4.1の光合成膜を用いて,SPE信号測定を行った. その結果,光合成膜を用いて測定したSPE信号においても,結合モードが非常に顕著に現 れることが分かった.光合成膜中において,カロテノイドは周辺蛋白質に取り囲まれてい るために,構造変化を行うための自由度を持つことが殆ど不可能である.そのため,今回 観測された現象は,電子状態間のカップリングに起因するという結論に至った.一連の研 究成果を,学術論文[7,8]として発表した. 2. 電場変調吸収分光理論の基礎付け(斉藤,橋本) 電場変調吸収(EA)分光は,電子的構造を実験的に調べるための有用な方法であり,光 合成蛋白を含むさまざまな物質に対して用いられている.EA分光の解析には,異なる2つ の理論が使われている:Liptay理論と状態和理論である.前者はEA分光によるスペクトル を簡単な関係で巨視的物性量と結びつけるが,後者は同じスペクトルをより微視的な電子 的構造と詳細に関係づける.両者の理論は,一見異なるように見え,その関係は明らかに なっておらず,しばしば混乱を招いていた.我々は今回,理論的に両者の関係を明らかに することに成功した.そこでは,光許容励起状態(明状態)と他の光禁制励起状態(暗状態) との間に縮退がない場合には,Liptay理論と状態和理論は近似的に一致することが示され た.縮退がある場合にはLiptay理論は破綻するが,Liptay理論を拡張することで,この場合 にも同じ解析を可能にする新しい表式を得た.さらに,この新しい表式を使えば,縮退し た状態間の遷移双極子に関する情報を実験から得ることが可能であることを示した.その ことの具体例として,この表式を用いて,共役鎖長が9のβ-カロテン同族体では明状態と暗 状態との間の遷移双極子相互作用の大きさが5 Debyeであることを明らかにした.研究成果 12 は学術論文[14]として発表した. 3. フェムト秒分光を用いた光合成色素の超高速励起状態ダイナミクスの研究(小澄,丸田, 堀部,藤井,杉﨑,橋本) 光合成のアンテナ系は,カロテノイドと (バクテリオ)クロロフィルの2種類の色素分子 が重要な役割を果たす.我々が独自に開発した高感度検出分光装置を用いて,紅色光合成 細菌におけるアンテナ色素蛋白複合体の励起状態ダイナミクスを詳細にわたり調べた.特 に,異なる種における紅色光合成細菌のアンテナ色素蛋白複合体を調べることで,それぞ れの種において,エネルギー伝達効率及びエネルギー伝達経路が異なることを明らかにし た2,9,11,12).また,Rhodospirillum rubrum S1由来の光合成コア複合体において,バクテ リオクロロフィルからカロテノイドへ一重項間逆励起エネルギー移動が起こっているこ とを世界で初めて明らかにした.この結果は,高等植物で知られている非光化学的励起エ ネルギー消失(Non-Photochemical Quenching)に類似の光防御機構が光合成細菌の場合に も備わっていることを示唆している.得られた成果は,権威ある学術雑誌である,Angew. Chem. Int. Ed.に掲載された(論文[10]). 4. 光電変換機能を持つ光合成蛋白質/色素ナノ構造の構築とその機能解析(南後,橋本) 光合成細菌から単離精製した光合成蛋白質/色素複合体のLH2およびRC-LH1をリポソー ム膜中に導入し,その後,基板上に化学修飾した脂質二分子膜と膜融合を行い,基板上で の脂質二分子膜中へ光合成色素複合体の組織化を行った.興味深いことに,脂質の組成の 組み合わせによって,効率の良い光エネルギー移動を示すLH2およびRC-LH1複合体の自己 組織化単分子膜の形成が基板上で認められた(論文[15,16]). またRCと同様に,距離と配向を制御した光電変換機能をもつクロロフィル色素分子 の組織化を行うために,光合成蛋白質を模倣した諸種のSH基をもつポリペプチドをデザ インして合成し,金電極上でポルフィリン色素分子との蛋白質/色素複合体を形成させた. これらの色素複合体を金電極上に自己組織化して光電流を測定した結果,ポルフィリン分 子と電極基板との距離と配向に依存した電流応答が認められ,その組織化の成功を確認し た(論文[4]).今後,諸種のポリペプチドをデザインして,高効率な光電変換機能をもつ ポルフィリン色素複合体の電極基板上での組織化を検討する予定である. 5. 氷結晶の成長形と融解形の非対称(丸山) 結晶はミクロな構造異方性をもつために,特定の方位の結晶面がマクロな結晶外形を形 づくる.ゆっくりと成長または融解する結晶では一般的に,成長形は成長速度の遅い方位 の面によって,融解形は融解速度の速い面によって囲まれる.その結果、両者の形には顕 著な違いが表れる。ここでは,氷円盤結晶側面の二回対称系を用いて実験観察を行い,成 長形と融解形の間の非対称性を次の通り明らかにした. 氷円盤結晶は,c 軸方向から見ると丸い円状であるが,c 軸に垂直方向からは,2 枚の平行 な{0001}ファセットとそれらをつなぐ曲面(微斜面とラフ面)が見え,2 回対称になる.この 円盤結晶をアンビル・セル中の圧力下で成長・融解させた.圧力は約 500 気圧,温度は-4℃ ~-5℃の範囲で行った.温度を一定にしておくと,アンビル・セル内は圧力も一定値に保 たれ,平衡形が実現される.成長・融解は温度を一定速度で下降・上昇させて起こす.小 さい駆動力のもとではファセットは不動であり,曲面のみが前進・後退する.成長過程で は,微斜面が減衰しラフ面が大きくなる.ラフ方位は平均曲率が減少しながら成長する. 一方融解過程では,微斜面が大きく張り出し,ラフ面は小さくなる.ラフ面の曲率は時間 とともに増加する.成長と融解では,微斜面とラフ面の時間発展およびラフ面の曲率発展 が逆になることが分かった(論文[19]). 13 教育・研究業績 学術論文 1. M. Sugisaki, M. Fujiwara, D. Kosumi, R. Fujii, M. Nango, R.J. Cogdell, and H. Hashimoto, “Comparison of transient grating signals from spheroidene in an organic solvent and in pigment-protein complexes from Rba. sphaeroides 2.4.1” Phys. Rev. B81, 245112 (2010). 2. D. Kosumi, K. Abe, H. Karasawa, M. Fujiwara, R.J. Cogdell, H. Hashimoto, and M. Yoshizawa, “Ultrafast relaxation kinetics of the dark S1 state in all-trans-β-carotene explored by one- and two-photon pump-probe spectroscopy”, Chem. Phys. 373, 33-37 (2010). 3. T. Kusumoto, T. Horibe, T. Kajikawa, S. Hasegawa, T. Iwashita, R.J. Cogdell, R.R. Birge, H.A. Frank, S. Katsumura, and H. Hashimoto, “Stark absorption spectroscopy of peridinin and allene-modified analogues”, Chem. Phys. 373, 71-79 (2010). 4. T. Ochiai, M. Nagata, K. Shimoyama, M. Amano, M. Kondo, T. Dewa, H. Hashimoto, and M. Nango, “Immobilization of porphyrin derivatives with a defined distance and orientation onto a gold electrode using synthetic light-harvesting α-helix hydrophobic polypeptides”, Langmuir 26, 14419-14422 (2010). 5. K. Nakagawa, S. Sakai, M. Kondo, T. Dewa, T. Horibe, H. Hashimoto, M. Nango, “Structural forming of photosynthetic polypeptide supramolecular complexes and functional analysis of carotenoids in these complexes”, Kobunshi Ronbunshu 67, 574-583 (2010). 6. N. Kuwamura, R. Kato, K. Kitano, M. Hirotsu, T. Nishioka, H. Hashimoto, and I. Kinoshita, “Carbene–carbanion equilibrium for tris(2-pyridylthio)methanido Fe(II) complexes”, Dalton Trans. 39, 9988-9993 (2010). 7. M. Sugisaki, D. Kosumi, K. Saito, R.J. Cogdell, and H. Hashimoto, “Strong coherent coupling of vibronic oscillations in spheroidene” Physics Procedia 13, 74-77 (2011). 8. M. Sugisaki, D. Kosumi, K. Saito, R.J. Cogdell, and H. Hashimoto, “Control of the coherent vibronic oscillations in carotenoids by ultrashort laser pulses”, Phys. Stat. Solidi (c) 8, 151-154 (2011). 9. D. Kosumi, T. Kusumoto, R. Fujii, M. Sugisaki, Y. Iinuma, N. Oka, Y. Takaesu, T. Taira, M. Iha, H. A. Frank, and H. Hashimoto, “Ultrafast S1 and ICT state dynamics of a marine carotenoid probed by femtosecond one- and two-photon pump-probe spectroscopy”, J. Lumin. 131, 515-518 (2011). 10. D. Kosumi, S. Maruta, T. Horibe, R. Fujii, M. Sugisaki, R. J. Cogdell, and H. Hashimoto, “A Novel Ultrafast Energy Transfer Pathway in a Purple Bacterial Photosynthetic Core Antenna as Revealed by Femtosecond Time-resolved Spectroscopy”, Angew. Chem. Int. Ed. 50, 1097-1100, (2011). 11. D. Kosumi, S. Maruta, R. Fujii, K. Kanemoto, M. Sugisaki, H. Hashimoto, “Ultrafast excited state dynamics of monomeric bacteriochlorophyll a”, Phys. Stat. Solidi (c) 8, 92-95, (2011). 12. S. Maruta, D. Kosumi, T. Horibe, R. Fujii, M. Sugisaki, R.J. Cogdell, and H. Hashimoto, “The dependence of excitation energy transfer pathway on conjugation length of carotenoids in purple Bacterial Photosnthetic Antennae” Physica Status Solidi (b) 248, 403-407, (2011). 13. S. Maruta, D. Kosumi, T. Horibe, R. Fujii, M. Sugisaki, R.J. Cogdell, H. Hashimoto, “Unusual enhancement of triplet formation in pigment-protein complexes as revealed by femtosecond pump-probe spectroscopy”, Phys. Procedia 13, 58-61, (2011). 14. K. Saito, K. Yanagi, R.J. Cogdell and H. Hashimoto, “A comparison of the Liptay theory of electroabsorption spectroscopy with the sum-over-state model and its modification for the degenerate case”, J. Chem. Phys. 134, 044138, (2011). 15. A. Sumino, T. Takeuchi, M. Kondo, T. Dewa, N. Sasaki, N. Watanabe, T. Morii, H. Hashimoto, and M. Nango, “Reconstitution and AFM observation of photosynthetic membrane protein assembly in planar lipid bilayers”, Surface Science and Nanotechnology 9 15-20(2011). 16. A. Sumino, T. Dewa, M. Kondo, T. Morii, H. Hashimoto, A. Gardiner, R. Cogdell, and M. Nango, “Selective assembly of photosynthetic antenna proteins into a domain-structured lipid bilayer for the construction of artificial photosynthetic antenna systems: structural analysis of the assembly using surface plasmon resonance and atomic force microscopy”, Lamgmuir 27, 1092-11099 (2011). 17. T. Kusumoto, D. Kosumi, C. Uragami, H. A. Frank, R. R. Birge, R. J. Cogdell, and H. Hashimoto, “Femtosecond transient absorption spectroscopic study of a 2 carbonyl-containing carotenoid analogue, 2-(all-trans-retinylidene)-indan-1,3-dione”, J. Phys. Chem. A 115, 2110-2119 (2011). 18. R. Nakamura, K. Nakagawa, M. Nango, H. Hashimoto, and M. Yoshizawa, “Dark excited states of carotenoids regulated by bacteriochlorophyll in photosynthetic light harvesting”, J. Phys. Chem. B 115, 3233 (2011). 14 19. M. Maruyama, “Relation between growth and melt shapes of ice crystals”, J. Crystal Growth 318, 36-39 (2011). 国際会議録 1. A. Sumino, T. Takeuchi, M. Kondo, T. Dewa, H. Hashimoto, and M. Nango, “Lipid-Domain-Selective Assembly of Photosynthetic Membrane Protein in Solid-Supported Membranes Green and Technology”, Zero-Carbon Energy Kyoto 2009, Springer, 123-128 (2010). 2. Y. Takeuchi, H. Li, S. Ito, M. Kondo, S. Ishigure, K. Kuzuya, M. Amano, T. Dewa, H. Hashimoto, and M. Nango, “Light-Induced Transmembrane Electron Transfer Catalyzed by Phospholipid-Linked Zn Chlorophyll Derivatives on Electrodes”, Green and Technology, Zero-Carbon Energy Kyoto 2009, Springer, 129-134 (2010). 3. M. Fujiwara, K. Yamauchi, M. Sugisaki, A. Gall, B. Robert, R.J. Cogdell, and H. Hashimoto, “Specific Channel of Energy Dissipation in Carotenoids: Coherent Spectroscopic Study”, in Ultrafast Phenomena XVI, Springer Series in Chemical Physics, vol. 92, edited by P. Corkum, S. De Silvestri, K. A. Nelson, E. Riedle and R. W. Schoenlein, in press. 4. K. Nakagawa, S. Suzuki, R. Fujii, A. T. Gardiner, R. J. Cogdell, M. Nango, and H. Hashimoto “Probing the carotenoid in its binding site in a reconstituted LH1 complex from the photosynthetic bacterium Rhodospirillum rubrum with electroabsorption spectroscopy”, in Proceedings of 14th International Congress on Photosynthesis Research, Ch. 16, 297-300 (2008). 国際会議講演 1. M. Amano, M. Nagata, M. Kondo, H. Hashimoto, Y. Amao, T. Dewa, M. Nango, “Photocurrent Measurement of photosynthetic complex including the dye associated with porphyrin on electrodes”, The 37th porphyrin society science symp., Tokyo Institute of Technology, Suzukake Campus, 17 Apr, 2010. 2. M. Sugisaki, D. Kosumi, K. Saito, R. Fujii, R. J. Cogdell, and H. Hashimoto, “Strong coherent coupling of vibronic oscillations in carotenoid dissolved in an organic solvent and bound in pigment-protein complexes”, 17th int. conf. on dynamical processes in excited states of solids (DPC'10), Argonne, Illinois, USA, 20-25 June, 2010. 3. D. Kosumi, S. Maruta, R. Fujii, M. Sugisaki, M. Iha, H.A. Frank, and H. Hashimoto, “Ultrafast S1 and ICT state dynamics of marine carotenoid as revealed by femtosecond one- and two-photon pump-probe spectroscopic measurements” , 17th int. conf. on dynamical processes in excited states of solids (DPC'10), Argonne, Illinois, USA, 20-25 June, 2010. 4. S. Maruta, T. Horibe, D. Kosumi, R. Fujii, M. Sugisaki, R.J. Cogdell, and H. Hashimoto, “New energy transfer pathway in a purple bacterial photosynthetic core antenna from Rhodospirillum rubrum S1 Revealed by femtosecond time-resolved spectroscopy”, 17th int. conf. on dynamical processes in excited states of solids (DPC'10), Argonne, Illinois, USA, 20-25 June, 2010. 5. M. Sugisaki, D. Kosumi, K. Saito, R. J. Cogdell, and H. Hashimoto, “Control of the coherent vibronic oscillations by ultrashort laser pulses”, The 9th int. conf. on excitonic and photonic processes in condensed and nano materials (EXCON'10), Novotel Brisbane, Brisbane, Australia, 11-16 July, 2010. 6. D. Kosumi, S. Maruta, T. Horibe, R. Fujii, K. Kanemoto, M. Sugisaki, R.J. Cogdell, and H. Hashimoto, “Ultrafast excited state dynamics of monomeric and aggregated bacteriochlorophyll a in bacterial photosynthtic membranes”, The 9th int. conf. on excitonic and photonic processes in condensed and nano materials (EXCON'10), Novotel Brisbane, Brisbane, Australia, 11-16 July, 2010. 7. S. Maruta, T. Horibe, D. Kosumi, R. Fujii, M. Sugisaki, R.J. Cogdell, and H. Hashimoto, “A new ultrafast energy transfer pathway in a purple bacterial photosynthetic core antenna”, The 9th int. conf. on excitonic and photonic processes in condensed and nano materials (EXCON'10), Novotel Brisbane, Brisbane, Australia, 11-16 July, 2010. 8. M. Sugisaki, D. Kosumi, S. Saito, R. Fujii, R. J. Cogdell, and H. Hashimoto, “Strongly coupled vibronic modes investigated by means of four-wave mixing spectroscopy”, 17th int. conf. on ultrafast phenomena (UP10), The Silvertree Hotel and Snowmass Conference Center, Snowmass Village, Colorado, USA, 18-23 July, 2010. 9. D. Kosumi, S. Maruta, R. Fujii, M. Sugisaki, M. Iha, H.A. Frank, and H. Hashimoto, “Excitation energy dependence of the S1 and ICT state dynamics in marine carotenoid studied by femtosecond one- and two-photon pump-probe spectroscopy”, 17th int. conf. on ultrafast phenomena (UP10), The Silvertree Hotel and Snowmass Conference Center, Snowmass Village, Colorado, USA, 18-23 July, 2010. 15 10. K. Abe, R. Nakamura, H. Hashimoto, and M. Yoshizawa, “Coherent Control of the Selected Excited State by Two-Color Multipulse Excitation”, 17th int. conf. on ultrafast phenomena (UP10), The Silvertree Hotel and Snowmass Conference Center, Snowmass Village, Colorado, USA, 18-23 July, 2010. 11. R. Nakamura, T. Yoshioka, K. Abe, S. Sakai, K. Nakagawa, M. Nango, H. Hashimoto, and M. Yoshizawa, “Energy Flow in the Light Harvesting Complex Manipulated by Pre-excitation of the Energy Accepter”, 17th int. conf. on ultrafast phenomena (UP10), The Silvertree Hotel and Snowmass Conference Center, Snowmass Village, Colorado, USA, 18-23 July, 2010. 12. D. Kosumi, S. Maruta, R. Fujii, M. Sugisaki, K. Nakagawa, M. Nango, and H. Hashimoto, “Femtosecond Spectroscopy of Metal-Substituted Bacteriochlorophyll a”, International Conference on Science and Technology of Synthetic Metals 2010 (ICSM2010), Kyoto, Japan, 4-9 July, 2010. 13. K. Harada, O. Goto, M. Kondo, K. Shimada, K. Nagashima, S. Nagashima, K. Iida, H. Hashimoto, C. Azai, H. Oh-oka, T. Dewa, M. Nango, “Assembly of photosynthetic protein/pigment complex onto clear electrode with a defined orientation”. Seminar on photosynthetic pigments and the reaction center XVII, Kyoto University, Japan, 10-11 July, 2010. 14. S. Sakai, K. Nakagawa, A. Nakashima, T. Dewa, K. Iida, R. Fujii, H. Hashimoto, T. Mizuno, T. Tanaka, and M. Nango, “Reconstitution and immobilization onto planar substrate of photosynthetic light harvesting complex using model polypeptide”, The 22nd symp. on bifunctional chemistry Summer School, Seki lodge, 16-17 July, 2010. 15. S. Sakai, A. Nakashima, K. Nakagawa, T. Dewa, K. Iida, R. Fujii, H. Hashimoto, T. Mizuno, T. Tanaka, and M. Nango, “Reconstitution of photosynthetic light harvesting complex using model polypeptide and pigment and immobilization of its complexes onto planar substrate”, The 20th symp. on polymers and biosciences, university Tokyo University, 28-29 July, 2010. 16. A. Sumino, T. Dewa, N. Sasaki, N. Watanabe, H. Hashimoto, T. Morii, and M. Nango, “Reconstitution and AFM observation of photosynthetic membrane protein assembly in artificial planar lipid bilayers”, The 13th int. conf. on non-contact atomic force microscopy, Kanazawa, 31 July-4 Aug, 2010. 17. M. Maruyama, “Relation between growth and melt shapes of ice crystals”, The 16th int. conf. on crystal growth, Beijing, China, 8-13 Aug, 2010. 18. M. Maruyama, H. Ogura, T. Komatsu, T. Ogawa, S. Isoda and R. Matsubayashi, “Silver nanoparticles and their application to sintered interconnections”, The 16th int. conf. on crystal growth, Beijing, China, 8-13 Aug, 2010. 19. K. Nakagawa, S. Sakai, A. Nakashima, M. Kondo, T. Mizuno, A.T. Gardiner, R.J. Cogdell, R. Fujii, H. Hashimoto, T. Dewa, and M. Nango, “Reconstitution of light-harvesting 1 (LH1) complexes using zinc-substituted bacteriochlorophyll a and LH1-polypeptides isolated from purple photosynthetic bacteria together with all-trans carotenoids”, Photosynthetic light harvesting, The satellite meeting to the 15th int. cong. of Photosynthesis, Tianjin, China, 18-22 Aug, 2010. 20. A. Sumino, T. Dewa, N. Sasaki, N. Watanabe, H. Hashimoto, T. Morii, and M. Nango, “AFM observation of artificial photosynthetic antenna protein complexes assembled on a solid membrane support”, Zero-Carbon Energy Kyoto 2010, The 2nd int. symp.: Kyoto University Global COE Program Energy Science in the Age of Global Warming Toward CO2 Zero-emission Kyoto, 19-20 Aug, 2010. 21. K. Kato, T. Dewa, M. Uchida, Y. Kouzuma, K. Iida, T. Asai, N. Oku, and M. Nango, “Development of polyamine-lipid conjugates for gene transfer and resolution of transfection mechanism”, The 59th SPSJ symp. on macromolecules, Hokkaido University, 15-17 Sep, 2010. 22. S. Yajima, T. Dewa, O. Goto, H. Fujiwara, A. Sumino, K. Iida, T. Morii, H. Hashimoto, and M. Nango, ”Organization of photosynthetic membrane proteins (LH2, LH1-RC) onto lipid modified substrates”, The 59th SPSJ symp. on macromolecules, Hokkaido University, 15-17 Sep, 2010. 23. N. Watanabe, A. Sumino, N. Sasaki, T. Dewa, T. Morii, H. Hashimoto, and M. Nango, “Evaluation of energy transfer of photosynthetic antenna membrane proteins (LH2, LH1-RC) assembled onto solid-supported lipid bilayer”, The 59th SPSJ symp. on macromolecules, Hokkaido University, 15-17 Sep, 2010. 24. 23. Y. Sugai, C. Uragami, R. Fujii, M. Nango, H. Hashimoto, In situ observation of artificial photosynthetic membrane by atomic force microscopy and microspectroscopy, 2010 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies, Honolulu, Hawaii, USA (2010.12.15-20). 25. M. Nango and H. Hashimoto, “Self-assemblies of light-harvesting complexes and its synthetic model complex on electrodes for construction of an artificial photo-energy conversion system”, The satellite 16 26. 27. 28. 29. 30. 31. 32. 33. 34. 35. 36. 37. 38. 39. meeting of the 15th International congress of photosynthesis”, Tianjin, China, 18-22 Aug, 2010 (invited). Hashimoto, T. Dewa, and M. Nango, “Organization of photosynthetic antenna-reaction center complex into supported lipid bilayer and its functional analysis”, Symp. on biorelevant chemistry, CSJ Osaka University, Toyonaka-Campus, 24-26 Sep, 2010. Y. Sugai, A. Sumino, C. Uragami, R. Fujii, T. Nishioka, T. Dewa, I. Kinoshita, M. Nango, H. Hashimoto, “Atomic force microscopy observation of reconstituted photosynthetic membranes”, The 17th international SPACC Symp., Kagoshima University, Kagoshima, Japan, 13-16 Oct, 2010. H. Hashimoto, D. Kosumi, S. Maruta, T. Horibe, R. Fujii, M. Sugisaki, M. Nango, and R.J. Cogdell, “Energy-transfer dynamics between carotenoid and bacteriochlorophyll in the light-harvesting system of purple photosynthetic bacteria as visualized by sub-picosecond pump-and-probe and sub-20 fs four-wave mixing spectroscopies”, The satellite meeting of the 15th int. congress of photosynthesis”, Tianjin, China, 18-22 Aug, 2010 (invited). M. Yoshizawa, R. Nakamura, K. Abe, T. Yoshioka, O. Yoshimatsu, S. Sakai, K. Nakagawa, M. Nango, and H. Hashimoto, “Ultrafast dynamics of reconstituted light-harvesting complexes from photosynthetic bacteria”, Symposium on general aspects of graphene, CNT & ultrafast phenomena of nanomaterials, Taipei Taiwan, 15-16 Nov, 2010 (invited). M. Yoshizawa, R. Nakamura, K. Abe, T. Yoshioka, O. Yoshimatsu, S. Sakai, K. Nakagawa, M. Nango, and H. Hashimoto, “Ultrafast dynamics of light-harvesting complexes investigated by multi-pump spectroscopies”, Symp. on the development of ultrashort pulse lasers and ultrafast spectroscopy, Tokyo Japan, 17 Sep, 2010 (invited). H. Hashimoto, “Solar to Fuels; Natural Tactics of Solar Energy Conversion by Photosynthesis”, Zing Conference on Solar Fuels & Photochemistry, Puerto Morelos, Mexico, 1-4 Dec, 2010 (invited). M. Nango and H. Hashimoto, “Artificial photosynthetic antenna; Self-assembly of light-harvesting complexes onto and its synthetic model complex on electrodes for developing nanobiodevices”, The 70th Okazaki conf., molecular mechanism of photosynthetic energy conversion: the present research and future prospects, Okazaki, 4-6 Dec, 2010. M. Kondo, K. Harada, S. Nagashima, K.V.P. Nagashima, T. Dewa, K. Iida, H. Hashimoto, and M. Nango, “Self-assembly of photosynthetic antenna core complex onto an electrode with a defined orientation”, The 70th Okazaki conf., molecular mechanism of photosynthetic energy conversion: the present research and future prospects, Okazaki, 24-6 Dec, 2010. M. Amano, M. Nagata, M. Kondo, H. Hashimoto, Y. Amao, T. Dewa, M. Nango, “Photocurrent Measurement of Photosystem I of higher plant on electrodes”, The 70th Okazaki conf., molecular mechanism of photosynthetic energy conversion: the present research and future prospects, Okazaki, 4-6 Dec, 2010. S. Sakai, K. Nakagawa, A. Nakashima, M. Kondo, K. Iida, H. Hashimoto, T. Mizuno, T. Tanaka, T. Dewa, and Mamoru Nango, “Immobilization of reconstituted LH1-type complexes using His-tagged LH1 proteins on an electrode”, The 70th Okazaki conf., molecular mechanism of photosynthetic energy conversion: the present research and future prospects, Okazaki, 4-6 Dec, 2010.. T. Dewa, A. Sumino, N. Sasaki, N. Watanabe, T. Morii, H. Hashimoto, and M. Nango, “Supramolecular assembly of bacterial light-harvesting/reaction center complex (LH2/LH1-RC) in planar lipid bilayers: AFM observation, energy transfer and photocurrent generation”. The 70th Okazaki conference, Molecular mechanism of photosynthetic energy conversion: the present research and future prospects, Okazaki, Japan, December 4-6, 2010. K. Saito, M. Sugisaki, and H. Hashimoto, Theory for Photon Echo in Carotenoids Including Effects of the Rabi Oscillation and the Duschinsky Rotation, The 70th Okazaki conf., molecular mechanism of photosynthetic energy conversion: the present research and future prospects, Okazaki, 4-6 Dec, 2010.. H. Hashimoto, D. Kosumi, S. Maruta, T. Horibe, R. Fujii, M. Sugisaki, M. Nango, and R.J. Cogdell, “Energy-transfer dynamics between carotenoid and bacteriochlorophyll in the light-harvesting system of purple photosynthetic bacteria as visualized by sub-picosecond pump-and-probe and sub-20 fs four-wave mixing spectroscopies”, The 3rd int. conf. of the OCU advanced research institute for natural science and technology –Kakuno memorial–, Osaka, Japan, 7-9 March, 2011 (Invited) R. Fujii, M. Kita, N. Senju, D. Kosumi, M. Doe, M. Iha, T. Mizoguchi and H. Hashimoto, “Pigments and function of the oceanic photosynthetic antenna from Japanese brown alga, ‘Okinawa Mozuku’”, The 3rd int. conf. of the OCU advanced research institute for natural science and technology –Kakuno memorial–, Osaka, Japan, 7-9 March, 2011 (Invited) 17 学会・研究会講演 1. 中川勝統,酒井俊亮,中島彩乃,水野稔久,出羽毅久,飯田浩史,橋本秀樹,森井孝,南後守, 「光合成のアンテナ系タンパク質色素複合体の再構成;カロテノイド色素の機能評価」,第20回バイ オ・高分子シンポジウム,東京大学先端科学技術研究センター,2010年7月28日~7月29日. 2. 角野歩,出羽毅久,佐々木伸明,渡部奈津子, 橋本秀樹,森井孝, 南後守, 「光合成膜タンパク質 を含む平面脂質膜の構築と原子間力顕微鏡による直接観察」,第20回バイオ・高分子シンポジウム 東京大学先端科学技術研究センター,2010年7月28日~7月29日. 3. 井野曜子,小河原雅子,菱山隆,五十嵐友二,藤井律子,橋本秀樹,「アスタキサンチンシス体の吸 光係数の決定 1:ヨウ素・光平衡化法」,日本食品科学工学会第57回大会,東京農業大学世田谷 キャンパス,2010年9月1日~9月3日. 4. 小河原雅子,井野曜子,菱山隆,五十嵐友二,藤井律子,橋本秀樹,「アスタキサンチンシス体の吸 光係数の決定 1:ヨウ素・光平衡化法」,日本食品科学工学会第57回大会,東京農業大学世田谷 キャンパス,2010年9月1日~9月3日. 5. 井野曜子,小河原雅子,菱山隆,五十嵐友二,藤井律子,橋本秀樹,「アスタキサンチンシス体の吸 光係数の決定 1:ヨウ素・光平衡化法」,食品分析研究会H22年学術集会,東洋大学(東京),2010 年9月6日. 6. 小河原雅子,井野曜子,菱山隆,五十嵐友二,藤井律子,橋本秀樹,「アスタキサンチンシス体の吸 光係数の決定 1:ヨウ素・光平衡化法」,食品分析研究会H22年学術集会,東洋大学(東京),2010 年9月1日. 7. 杉﨑満,小澄大輔,斉藤圭亮,藤井律子,橋本秀樹,「カロテノイドのコヒーレント分子振動に観測さ れる強いモード間カップリング」, 2010年光化学討論会,千葉大学西千葉キャンパス,2010年9月8日 ~9月10日. 8. 小澄大輔,中川勝統,丸田聡,楠本利行,藤井律子,杉﨑満,南後守,橋本秀樹,「金属置換したバ クテリオクロロフィルのフェムト秒分光」, 第4回分子科学討論会,大阪大学,2010年9月14日~9月17 日. 9. 杉﨑満,小澄大輔,斉藤圭亮,藤井律子,橋本秀樹,「四光波混合法により励起されるカロテノイド のコヒーレント分子振動 モード間カップリング」,第24回カロテノイド研究談話会,徳島大学附属 病院,2010年9月14日~9月15日. 10. 丸田聡,堀部智子,小澄大輔,藤井律子,杉﨑満,橋本秀樹,「紅色光合成細菌Rhodospillium rubrum S1に結合したスピリロキサンチンのS*励起状態と励起3重項状態T1」,第24回カロテノイド研 究談話会,徳島大学附属病院,2010年9月14日~9月15日. 11. 小澄大輔,丸田聡,楠本利行,藤井律子,杉﨑満,伊波匡彦,Harry A. Frank,橋本秀樹, 「fucoxanthinにおける分子内電荷移動ダイナミクス」,第24回カロテノイド研究談話会,徳島大学附 属病院,2010年9月14日~9月15日. 12. 池中俊哉,浦上千藍紗,楠本利行,藤井律子,廣津昌和,西岡孝訓,橋本秀樹,木下勇,「β-カロ テンと金属錯体の相互作用によるカチオンラジカル様励起状態」,第24回カロテノイド研究談話会, 徳島大学附属病院,2010年9月14日~9月15日. 13. 堀 部 智 子 , 小 澄 大 輔 , 藤 井 律 子 , Pu Qian , C. Neil Hunter , 橋 本 秀 樹 , 「 Rhodospirillum molischianum由来LH3に結合したカロテノイドのStark 吸収分光」,第24回カロテノイド研究談話会, 徳島大学附属病院,2010年9月14日~9月15日. 14. 山元麻衣,鈴木修一,小嵜正敏,岡田惠次,堀部智子,西坂好晃,藤井律子,南後守,橋本秀樹, 「光合成LH1アンテナ系色素蛋白複合体の機能解明を目的としたアンヒドロロドビブリンアナログ体 の再会合」,第24回カロテノイド研究談話会,徳島大学附属病院,2010年9月14日~9月15日. 15. 中村亮介,中川勝統,南後守,橋本秀樹,吉澤雅幸,「光合成アンテナ複合体LH1におけるカロテ ノイド光学禁制準位(S*)の生成機構」,第24回カロテノイド研究談話会,徳島大学附属病院,2010 年9月14日~9月15日. 16. 吉岡拓也,中村亮介,中川勝統,南後守,橋本秀樹,吉澤雅幸,「異なる色素を再会合した光合成 アンテナ複合体のエネルギー移動」,第24回カロテノイド研究談話会,徳島大学附属病院,2010年9 月14日~9月15日. 17. 出羽毅久,角野歩,佐々木伸明,渡部奈津子,森井孝,橋本秀樹,南後守, 「光合成膜タンパク質 集合体の構築と機能解析」,第59回高分子討論会,北海道大学,2010年9月15日~9月17日 18 18. 丸田聡,堀部智子,小澄大輔,須貝祐子,藤井律子,杉﨑満,橋本秀樹,「カロテノイドの共役鎖長 依存性から見た光合成における光保護作用効果」, 日本物理学会2010年秋季大会,大阪府立大学, 2010年9月23日~9月26日. 19. 小澄大輔,丸田聡,楠本利行,藤井律子,杉﨑満,伊波匡彦,Harry A. Frank,橋本秀樹,「励起エ ネルギー依存性から見たカルボニルカロテノイドにおける分子内電荷移動ダイナミクス」, 日本物理 学会2010年秋季大会,大阪府立大学,2010年9月23日~9月26日. 20. 斉藤圭亮,杉崎満,橋本秀樹,「カロテノイドにおけるフォトンエコーの理論的研究」, 日本物理学会 2010年秋季大会,大阪府立大学,2010年9月23日~9月26日. 21. 阿部健太,中村亮介,橋本秀樹,吉澤雅幸,「Multi-Color光励起によるカロテノイドの振動制御」, 日本物理学会2010年秋季大会,大阪府立大学,2010年9月23日~9月26日. 22. 吉松織優,阿部健太,中村亮介,橋本秀樹,吉澤雅幸,「共鳴フェムト秒誘導ラマン分光によるカロ テノイド励起状態の研究」,日本物理学会秋季大会,大阪府立大学,2010年9月23日~9月26日. 23. 中村亮介, 中川勝統, 南後守, 橋本秀樹, 吉澤雅幸,「光合成アンテナ複合体におけるカロテノイ ドのダーク準位(S*)」, 日本物理学会2010年秋季大会,大阪府立大学,2010年9月23日~9月26 日. 24. 吉岡拓也,中村亮介, 中川勝統, 南後守, 橋本秀樹, 吉澤雅幸,「中心金属が異なるバクテリオクロ ロフィルを再会合した光合成アンテナ複合体のエネルギー移動」, 日本物理学会2010年秋季大会, 大阪府立大学,2010年9月23日~9月26日.. 25. 中川 勝統,酒井 俊亮,出羽 毅久,南後 守,「光合成に学ぶ染色現象:光合成でのカロテノイド 色素の構造と機能」,第49回染色化学討論会,山形大学工学部,2010年9月27日~9月28日. 26. 藤井律子,喜多麻美子,土江松美,飯沼善朗,岡直宏,高江洲勇貴,平良寛進,伊波匡彦,溝口 正,橋本秀樹「オキナワモズクの光合成アンテナタンパクの構造と機能」,大阪市立大学 複合先端 研究機構 2号館開所記念講演会,大阪市立大学 学術情報総合センター 10階 大会議室, 大阪, 2010年11月18日 27. T. Kusumoto, D. Kosumi, C. Uragami, H. A. Frank, R. R. Birge, R. J. Cogdell, and H. Hashimoto, “ Femtosecond transient absorption spectroscopic study on a polar carotenoid analogue, 2-(all-trans-retinylidene)-indan-1,3-dione”,大阪市立大学 複合先端研究機構 2号館開所記念講 演会,大阪市立大学 学術情報総合センター 10階 大会議室, 大阪, 2010年11月18日. 28. A. Masuya, N. Kuwamura, T. Kusumoto, K. Saito, O. Goto, M. Nango, and H. Hashimoto, “ Photoinduced electron transfer between a gold electrode and a self-assembled monolayer of photosynthetic pigments”,大阪市立大学 複合先端研究機構 2号館開所記念講演会,大阪市立 大学 学術情報総合センター 10階 大会議室, 大阪, 2010年11月18日. 29. D. Kosumi, T. Kusumoto, R. Fujii, M. Sugisaki, M. iha, H. A. Frank, and H. Hashimoto, “Ultrafast intramolecular charge transfer dynamics in a polar carotenoid”,大阪市立大学 複合先端研究機構 2号館開所記念講演会,大阪市立大学 学術情報総合センター 10階 大会議室, 大阪, 2010年11 月18日. 30. T. Horibe, K. Nakagawa, T. Kusumoto, R. Fujii, R. J. Cogdell, M. Nango, and H. Hashimoto, “Structure of spirilloxanthin bound to the LH1 complexes from Rhodospirillum rubrum S1 probed by stark absorption spectroscopy”, 大阪市立大学 複合先端研究機構 2号館開所記念講演会,大阪 市立大学 学術情報総合センター 10階 大会議室, 大阪, 2010年11月18日. 31. Y. Nishisaka, Y. Sugai, T. Kusumoto, T. Horibe, R. Fujii, and H. Hashimoto, “Electroabsorption spectroscopy of isolated core complexes and reconstituted membrane of Blastchloris virides”, 大阪市 立大学 複合先端研究機構 2号館開所記念講演会,大阪市立大学 学術情報総合センター 10 階 大会議室, 大阪, 2010年11月18日. 32. S. Ikenaka, C. Uragami, T. Kusumoto, R. Fujii, M. Hirotsu, T. Nishioka, H. Hashimoto, and I. Kinoshita, “High efficiency production of β-carotene cation radical using thiacalix[3]pyridine metal complexes”, 大阪市立大学 複合先端研究機構 2号館開所記念講演会,大阪市立大学 学術情 報総合センター 10階 大会議室, 大阪, 2010年11月18日. 33. N. Kuwamura, A. Nakatou, K. Takeguchi, R. Kato, K. Kitano, M. Hirotsu, T. Nishioka, H. Hashimoto, I. Kinoshita, “ Synthesis and Electrochemical Properties of Thiocarbanion Coordinated First 19 34. 35. 36. 37. 38. 39. 40. 41. 42. 43. 44. Transition Metal Complexes”, 大阪市立大学 複合先端研究機構 2号館開所記念講演会,大阪 市立大学 学術情報総合センター 10階 大会議室, 大阪, 2010年11月18日. 小澄大輔,「カルボニルカロテノイドの分光学研究」,2010年カロテノイド若手の会,箱根,2010年12 月18日~12月19日. 藤井律子,小澄大輔,喜多麻美子,Harry A. Frank,伊波匡彦,杉崎満,橋本秀樹,「オキナワモズ ク盤状体由来の光合成アンテナにおける励起エネルギー移動」,第52回日本植物生理学会年会, 東北大学,2011年3月20日~3月23日. 杉﨑満,小澄大輔,橋本秀樹,「ヘテロダイン検出法を用いたIR144の光学応答」,日本物理学会第 66回年次大会,新潟大学,2011年3月25日~3月28日. 小澄大輔,喜多麻美子,藤井律子,杉﨑満,Harry A. Frank,伊波匡彦,橋本秀樹,「褐藻類由来 の光合成アンテナ系における励起エネルギー移動」,日本物理学会第66回年次大会,新潟大学 , 2011年3月25日~3月28日. 長岡悠也,堀部智子,斉藤圭亮,小澄大輔,杉﨑満,P. Qian,C. N. Hunter,橋本秀樹,「特殊な条 件下で培養された光合成アンテナ系LH3におけるフェムト秒分光」,日本物理学会第66回年次大会, 新潟大学,2011年3月25日~3月28日. 須貝祐子, 角野歩, 浦上千藍紗, 藤井律子, 西岡孝訓, 出羽毅久, 木下勇, 南後守, 橋本秀樹, 「異種の光合成細菌由来のアンテナおよびコア複合体を組み込んだ光合成再構成膜の高分解能 AFM観察」, 日本化学会第91春季年会, 神奈川大学,2011年3月26日~3月29日. 渡部奈津子,角野歩,佐々木信明,出羽毅久,森井孝,橋本秀樹・南後守,「光合成アンテナタンパ ク質集合体の脂質膜中での構築とそのエネルギー移動評価, 日本化学会第91春季年会, 神奈川 大学,2011年3月26日~3月29日. 酒井 俊亮,中川勝統,中島彩乃,飯田浩史,橋本秀樹,水野稔久,田中俊樹,出羽 毅久,南後 守, 「組み換えLH1タンパク質を用いた再構成LH1型複合体の基板上への組織化」, 日本化学会 第91春季年会, 神奈川大学,2011年3月26日~3月29日. 近藤政晴,原田香織,永島咲子,永島賢治,橋本秀樹,出羽毅久,南後守, 「光合成のアンテナ系 -反応中心複合体のITO基板上への組織化と光電流応答」, 日本化学会第91春季年会, 神奈川 大学,2011年3月26日~3月29日. 天野瑞貴,葛谷廣太郎,永田衞男,近藤政晴,橋本秀樹,出羽毅久,南後守,「光合成のアンテナ タンパク質/色素複合体の電極基板上への組織化およびその光電流応答」, 日本化学会第91春季 年会, 神奈川大学,2011年3月26日~3月29日. 藤井律子,千住直輝,伊波匡彦,橋本秀樹,「高速向流クロマトグラフィーを用いたクロロフィルcの 単離」,日本化学会第91春季年会, 神奈川大学,2011年3月26日~3月29日. 著書 1. D. Kosumi, S. Maruta, R. Fujii, M. Sugisaki, M. Iha, H.A. Frank, and H. Hashimoto, “Excitation Energy Dependence of the S1 and ICT State Dynamics in Marine Carotenoid Studied by Femtosecond One- and Two-Photon Pump-Probe Spectroscopy”, Ultrafast Phenomena XVII, (ed. M. Chergui et al., Oxford University Press, Oxford, New York, Auckland, 2011) pp. 526-564. 2. M. Sugisaki, D. Kosumi, K. Saito, R. Fujii, R. J. Cogdell, and H. Hashimoto, “Strongly coupled vibronic modes investigated by means of four-wave mixing spectroscopy”, Ultrafast Phenomena XVII, (ed. M. Chergui et al., Oxford University Press, Oxford, New York, Auckland, 2011) pp. 502-506. 3. K. Abe, R. Nakamura, H. Hashimoto, and M. Yoshizawa, “Coherent control of the selected excited state by two-color multipulse excitation”, Ultrafast Phenomena XVII, (ed. M. Chergui et al., Oxford University Press, Oxford, New York, Auckland, 2011) pp. 793-795. 4. R. Nakamura, T. Yoshioka, K. Abe, S. Sakai, K. Nakagawa, M. Nango, H. Hashimoto, and M. Yoshizawa, “Energy flow in the light harvesting complex manipulated by pre-excitation of the energy accepter”, Ultrafast Phenomena XVII, (ed. M. Chergui et al., Oxford University Press, Oxford, New York, Auckland, 2011) pp. 598-600. 解説 1. 杉﨑 満,小澄 大輔,橋本 秀樹,「カロテノイドの超高速光学応答」,光化学協会会誌「光 20 2. 化学」41 巻 1 号,光化学協会 (2010) pp. 28-34. 南後守,橋本秀樹, 「光合成膜の反応中心タンパク質複合体を用いた光電変換素子への展開」, 人工光合成と有機系太陽電池,日本化学会編,大倉一郎,瀬川浩司,南後 守,福住俊一企 画・編集,化学同人 (2010) pp.40-46. 特許 1. 橋本秀樹,溝口律子,伊波匡彦,飯沼善朗,「色素化合物の定量方法」,特願 2010-204632, 提出日 H22 年 9 月 13 日. 2. 橋本秀樹,溝口律子,伊波匡彦,飯沼善朗,「クロロフィル c および/またはキサントフィル を分離精製する方法」,特願 2010-271456,提出日 H22 年 12 月 6 日. 学位論文 修士論文 1. 喜多麻美子:「褐藻由来のアンテナ色素タンパク複合体に結合したフコキサンチンに周 囲の環境が及ぼす影響」. 2. 殿内規之:「周辺環境は電子及び振動ダイナミクスにどのように影響を及ぼすのか?」. 3. 西坂好晃:「再構成光合成膜の電場変調吸収分光測定」. 4. 桝屋豪:「光合成色素分子単層膜の光電変換特性」. 5. 横江拓人:「新規有機非線形結晶の開発と物性評価」. 研究助成金取得状況 1. 橋本秀樹:科学技術振興機構・CREST「光合成初期反応のナノ空間光機能制御」29,560 千円. 2. 橋本秀樹:科学技術振興機構・A-STEP「オキナワモズクFCP(Fucoxanthin-Chlorophyll a/c Protein)の解明とフコキサンチン生産技術への応用」500万円. 3. 橋本秀樹:日本学術振興会・基盤研究B「励起状態の振動制御による光合成系エネルギー 伝達過程の高効率化の研究」650千円 4. 橋本秀樹:日産科学振興財団「光合成活用発電システムの構築と機能解析」900万円. 5. 橋本秀樹:Human Frontier Science Program, “Understanding supramolecular architectures in photosynthesis by space and time resolved spectroscopy”, 900万円. 6. 橋本秀樹:共同研究・三星ダイヤモンド工業株式会社「新規太陽電池の要素技術に関す る研究」600万円 7. 杉﨑 満:日本学術振興会・基盤研究B「可視二次元分光技術の確立と光合成励起エネル ギーフローの人為操作」750万円. 8. 丸山 稔:受託研究・新電元工業株式会社「次世代モジュール接合用ナノ銀ペーストの開発お よびナノ銀ペーストの物性評価と新規ナノ粒子の合成」300万円. 9. 小澄大輔:日本学術振興会・特別研究員奨励費「極超短光パルスを用いた光合成系エネル ギー伝達機構の解明とコヒーレント制御」 80万円 10. 斉藤圭亮:日本学術振興会・若手研究B「超高速コヒーレント分光で検証可能な励起エ ネルギー移動の包括的理論」1,170千円 海外出張および海外研修 1. 南後 守:アメリカ合衆国,2010年5月20日~29日,Symposium in Memory of professor Toshio Muraにおける招待講演、およびNorthwestern UniversityならびにSan Franciscoにお 21 ける討論、情報収集の為. 2. 橋本秀樹:フランス,2010年5月30日~6月6日,光合成アンテナを用いた太陽電池開発に 関する共同研究の打合せと実験研究. 3. 杉崎 満:2010年6月20日~6月27日, アメリカ合衆国, 固体における励起状態の動的過 程に関する国際会議(DPC'10) に出席し研究発表 固体における励起状態の動的過程に関する国際会議(DPC'10) に出席し研究発表 4. 小澄大輔:オーストラリア, 2010年7月10日~17日,国際会議9th International Conference on Excitonic and Photonic Processes in Condensed and Nano Materials”にて研究成果発表の為. 5. 杉崎 満:アメリカ合衆国,2010年7月18日~25日,第17回超高速現象国際会議(UP10)に 出席し研究発表を行う為. 6. 橋本秀樹:メキシコ, 2010年8月4日~8月18日, C4型光合成植物に存在するカロテノイド 色素の調査研究の為. 7. 橋本秀樹:中華人民共和国, 2010年8月19日~22日, Satellite Meeting to the 15th International Congress of Photosynthesis Photosynthetic Light-Harvesting での招待講演、および研究成果 の発表・討論の為. 8. 南後 守:中華人民共和国, 2010年8月17日~24日, Satellite Meeting to the 15th International Congress of Photosynthesis Photosynthetic Light-Harvesting での招待講演、研究成果の発 表・討論, および the 15th International Congress of Photosynthesis 本会議(北京)での情報 収集の為. 9. 橋本秀樹:イタリア,2010年9月30日~10月5日,Human Frontier Science Program の Annual Meeting にて研究の進捗状況を報告、および今後の課題討論の為. 10. 橋本秀樹:メキシコ,2010年11月30日〜12月6日,Zing Conference on Solar Fuels & Photochemistryでの招待講演の為 11. 須貝祐子:アメリカ合衆国(ハワイ,ホノルル),2010年12月15日~20日, 2010環太平 洋国際化学会議に参加、研究成果の発表の為. 新聞報道 1. 橋本秀樹:産業経済新聞(近畿版),平成 23 年 1 月 8 日朝刊,大学の挑戦「複合先端研究機 構が本格稼働」. その他 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 「大阪市立大学 複合先端研究機構 2号館開所記念講演会」開催,2010年11月18日,大 阪市立大学 学術情報総合センター10階大会議室. 「The 2010 1st International OCARINA Symposium」開催,2010年12月8日,大阪市立大学 学 術情報総合センター10階大会議室. 「The 3rd International Conference on the OCU Advanced Research Institute for Natural Science and Technology ~Kakuno Memorial~」開催,2011年3月7日~3月9日,大阪市立大学 学術情 報総合センター10階大会議室. 橋本秀樹:日本カロテノイド研究会幹事役員,Carotenoid Science編集委員長. 橋本秀樹:国際カロテノイド学会Council Member, President-elect. 橋本秀樹:Advisory Board Member, Chemical Physics Letters 橋本秀樹:Adjunct Professor, Ma Chung University, Indonesia 22 素励起物理学研究室 坪田 鈴木 竹内 誠 教授 正人 講師 宏光 特任助教 塚本 光昭(PD) 安永 足立 畔柳 石野 昌司(D3) 洋之(M2) 裕紀(M2) 隼伍(M1) 藤本 山本 和也(M1) 眞史(M1) 研究概要 1. 2成 分ボ ー ス凝 縮体 の 量子 乱流 (坪田、竹内、石野) 当研究室では近年,量子流体の不安定性を調べている。 今回は、混合した2成分ボース凝縮体の対向流によって 生 じ る 不 安 定 性 と 量 子 乱 流 に つ い て 、 Gross-Pitaevskii(GP)方程式を用いて調べた(右図)。 対向流不安定性は2成分間の運動量交換と量子渦生成を 引き起こす。その量子渦が成長し、2成分量子乱流に発 展する。この研究は世界の多くの実験研究者の関心を呼 び、現在その実現が目指されている。 2. 超流 動 4 He対 向 流量 子乱 流 の速 度分 布 (坪田、足立) 前年度に、渦間相互作用を取り入れた量子渦糸モデルにより、初めて、超流動4Heの熱 対向量子乱流の統計的定常状態の実現に成功した。その研究を発展させて、乱流中の速 度分布を調べた。一般に乱流中の速度の確率密度分布はガウス分布になることが知られ ている。我々の研究は、比較的速度の小さい領域ではガウス分布を示すが、速度の大き い領域では、個々の量子渦周りの速度分布を反映したベキ則を示す事を見いだした。こ れは乱流の量子-古典対応を考える上で、重要な知見である。 3. 捕 獲 ボ ー ス 凝 縮 体 中 で 振 動 ポ テ ン シ ャ ル に より誘起される量子渦とソリトンの融合ダ イナ ミク ス (坪田、藤本) 捕獲原子気体ボース凝縮体でどのように量 子乱流を生成するかについて、理論実験の両面 から研究が進められている。ここでは、斥力ポ テンシャルを振動させることで起こる特徴的 な不安定性とダイナミクスについて、2次元GP方程式を用いて、調べた(上図)。振動ポ テンシャルは、量子渦とソリトンを作り、それらが凝縮体内に集積する事で、両者の相 互作用と相互転換を含む特徴的なダイナミクスを見いだした。渦生成の条件を調べ、臨 界速度の新たな表式を提案した。 23 教育・研究業績 学術 論文 1.H. Takeuchi, S. Ishino, M. Tsubota, “Binary quantum turbulence arising from counter-superflow instability in two-component Bose-Einstein condensates”, Phys. Rev. Lett. 105, 205301 (2010). 2. K. Fujimoto, M. Tsubota, “Synergy Dynamics of Vortices and Solitons in an Aotmic Bose-Einstein Condensate Excited by an Oscillating Potential”, Phys. Rev. A82, 043611 (2010). 3. N. Suzuki, H. Takeuchi, K. Kasamatsu, M. Tsubota, H. Saito, “Crossover between Kelvin-Helmholtz and counter-superflow instabilities in two-component Bose-Einstein condensates”, Phys. Rev. A82, 063604 (2010). 4. Y. Kurita, M. Kobayashi, H. Ishihara, M. Tsubota, “Particle creation in Bose-Einstein condensates: Theoretical formulation based on conserving gapless mean-field theory”, Phys. Rev. A82, 053602 (2010). 5. M. Yasunaga, M. Tsubota, “Ferromagnetic resonance in spinor dipolar Bose-Einstein condensates”, Phys. Rev. A83, 013608 (2011). 6. H. Kuroyanagi, M. Tsukamoto, M. Tsubota, “Study of Kosterlitz–Thouless Transition of Bose Systems Governed by a Random Potential Using Quantum Monte Carlo Simulations”, J. Phys. Soc. Jpn.80, 034603 (2011). 7. H. Adachi, M. Tsubota, “Numerical study of velocity statistics in steady counterflow quantum turbulence”, Phys. Rev. B83, 132503 (2011). 8. K. Fujimoto, M. Tsubota, “Nonlinear Dynamics in a Trapped Atomic Bose-Einstein Condensate Induced by an Oscillating Gaussian Potential”, Phys. Rev. A83, 053609 (2011). 9. S. Ishino, M. Tsubota, H. Takeuchi “Countersuperflow instability in miscible two-component Bose-Einstein condensates”, Phys. Rev. A83, 063602 (2011). 10. M. Eto, K. Kasamatsu, M. Nitta, H. Takeuchi, M. Tsubota, “Interaction of half-quantized vortices in two-component Bose-Einstein condensates”, Phys. Rev. A83, 063603 (2011). 11. J.A. Seman, E.A.L. Henn, R.F. Shiozaki, G. Roati, F.J. Poveda-Cuevas, K.M.F. Magalhães, V.I. Yukalov, M. Tsubota, M. Kobayashi, K. Kasamatsu, V.S. Bagnato, “Route to turbulence in a trapped Bose-Einstein condensat e”, Laser Phys. Lett.8, 691 (2011). 12. N. Sasa, T. Kano, M. Machida, V. S. L’vov, O. Rudenko, M. Tsubota, “Energy spectra of quantum turbulence: Large-scale simulation and modeling”, Phys. Rev. B83, 054525 (2011). 13. S. Ishino, H. Takeuchi, M. Tsubota, ”Counterflow Quantum Turbulence and the Instability in Two-component Bose-Einstein Condensates” , J. Low Temp. Phys. 162, 361 (2011). 14. S. Yamamoto, H. Adachi, M. Tsubota, ”Transition to Quantum Turbulence and the Propagation of Vortex Loops at Finite Temperatures”, J. Low Temp. Phys. 162, 340 (2011). 15. K. Fujimoto, M. Tsubota, ”Dynamics of Vortices and Solitons in a Bose-Einstein Condensate by an Oscillating Potential” , J. Low Temp. Phys. 162, 307 (2011). 16. M. Yasunaga, M. Tsubota, ”Magnetic Field Dependence of Internal Josephson Effects in Spinor Dipolar Bose–Einstein Condensates” , J. Low Temp. Phys. 162, 258 (2011). 17. H. Takeuchi, K. Kasamatsu, M. Nitta, M. Tsubota, ”Vortex Formations from Domain Wall Annihilations in Two-Component Bose-Einstein Condensates”, J. Low Temp. Phys. 162, 243 (2011). 18. M. Tsubota, H. Adachi, ”Simulation of Counterflow Turbulence by Vortex Filaments Statistics of Vortex Reconnections”, J. Low Temp. Phys. 162, 367 (2011). 19. H. Kuroyanagi, M. Tsukamoto, M. Tsubota, ”Quantum Monte Carlo Simulations of the Kosterlitz-Thouless Transition for Two-Dimensional Disordered Bose-Hubbard Model”, J. Low Temp. Phys. 162, 609 (2011). 20. M. Tsukamoto, M. Tsubota, ”Bose Hubbard model confined in the restricted geometry” J. Low Temp. Phys. 162, 603 (2011). 24 国際 会議 発 表 QFS2010: International Symposium on Quantum Fluids and Solids, Grenoble World Trade Center, Grenoble, France, 2010.8.1-7. 1. .S. Yamamoto, H, Adachi, Tsubota, Transition to quantum turbulence and propagation of vortex loops at finite temperatures 2. M. Tsubota, H. Adachi, Simulation of counterflow turbulence by vortex filaments Statistics of vortex reconnections 3. H, Kuroyanagi, M. Tsukamoto, Quantum Monte Carlo simulations of the Kosterlitz-Thouless transition for two dimensional disordered Bose-Hubbard model 4. M. Tsukamoto, M. Tsubota, Bose Hubbard model confined in the restricted geometry 5. S. Ishino, H. Takeuchi, M. Tsubota, Counterflow quantum turbulence and the instability in two-component Bose-Einstein condensates 6. S. Ishino, H. Takeuchi, M. Tsubota, Two-superfluid model of two-component Bose-Einstein condensates; first sound and second sound 7. Kasamatsu, H. Takeuchi, M. Nitta, and M. Tsubota, Analogue of D-branes in Bose-Einstein condensates 8. K. Kasamatsu, M. Kobayachi, M. Tsubota, V. S. Bagnato, Soliton and vortex generation in Bose-Einstein condensates under oscillatory excitations 9. M. Yasunaga, M. Tsubota, Magnetic field dependence of internal Josephson effects in spinor dipolar Bose–Einstein condensates 10. H. Takeuchi, K. Kasamatsu, M. Nitta, M. Tsubota, Vortex formations from domain wall annihilations in two-component Bose-Einstein condensates 11. K. Fujimoto, M. Tsubota, Dynamics of vortices and solitons in Bose-Einstein condensates by an oscillating potential 12. M. Tsubota, Quantum hydrodynamics based on the Gross-Pitaevskii model (Invited) M odel Equations in Bose-Einstein Condensation and Related Topics,Kyoto University, Japan, 2010.12-6-8. 13. M. Tsubota, Some current topics on quantum hydrodynamics (Invited)K orea-Japan Solid Helium Workshop, KAIST, Daejeon, Korea, 2010. 12. 20-21. São Paulo School of Advance Science, the Instituto de Física of São Carlos, São Carlos, Brasil, 2011. 4. 4-14. 14. M. Tsubota, Instability of quantum hydrosynamics (Invited) 15. M. Tsubota, Quantum turbulence -from superfluid helium to atomic BECs (Invited) 16. S. Ishino, Countersuperflow Instability in Two-component Bose-Einstein Condensates 17. M. Tsubota, Simulations of quantum turbulence: achievements and prospects(Invited) Workshop on Classical and Quantum Turbulence: Abu Dhabi, United Arab Emirates, 2–5. 5. 2011. 学会 ・研 究 会講 演 日本物理学会、2010年秋季大会、大阪府立大学中百舌鳥キャンパス、2010.9.23-26 1.山本眞史、足立洋之、坪田誠, 有限温度における渦タングルの伝播 2.藤本和也,坪田誠, ボース凝縮体中で振動物体により誘起されるソリトンと量子渦のダイ ナミクス 3.石野隼伍,竹内宏光、坪田誠, 2成分超流体の第一音波と第二音波 25 4.畔柳裕紀,塚本光昭、坪田誠,サイトランダムな二次元ボースハバードモデルの超流動とパ ーコレーションとの対応 5.足立洋之,坪田誠,熱対向流量子乱流における量子渦再結合の統計的性質 6.安永昌司,坪田誠,スピノール・ダイポールBECにおける強磁性共鳴 7.塚本光昭,坪田誠,有限領域に閉じ込められたボース・ハバードモデルの数値計算 8.竹内宏光,笠松健一、新田宗土、坪田誠,ボース・アインシュタイン凝縮におけるドメイ ン壁の対消滅における量子渦の生成;Dブレーンと反Dブレーンの対消滅におけるストリ ングの生成 9.坪田誠、量子乱流、物性談話会、名古屋大学工学部、2010.11.9 10. 坪田誠、量子流体不安定性と量子乱流、理研シンポジウム「量子凝縮系の非線形・非平衡 現象、理化学研究所、2011. 1. 4-5 11. 坪田誠、量子乱流と量子流体不安定性の研究の最近の進展、講演会、学習院大学理学部、 2011. 2. 3 日本物理学会、第66回年次大会、新潟大学五十嵐キャンパス、2011.3.25-28 12. 坪田誠,藤本和也、ボース凝縮体中で振動ポテンシャルによって誘起される量子渦とソリ トン Ⅰ.ダイナミクス 13. 藤本和也,坪田誠、ボース凝縮体中で振動ポテンシャルによって誘起される量子渦とソリ トン Ⅱ.量子渦生成 14.峯田由計,坪田誠、固体微粒子と量子渦の結合ダイナミックス 学位論文 博士 論文 1. 安永 昌司:「原子気体ボース・アインシュタイン凝縮体における磁気共鳴現象とジョセ フソン効果」 修士 論文 1. 足立 洋之:「超流動4He中の量子渦のダイナミクス及び量子乱流の数値解析的研究」 2. 畔柳 裕紀:「ランダムポテンシャル中の2次元ボース・ハバードモデルの量子モンテカ ルロ計算」 研究助成金取得状況 1. 2. 坪田誠:日本学術振興会・科研費基盤研究(B)「量子流体力学の展開」590万円 安永昌司:日本学術振興会特別研究員奨励費 60万円 26 超伝導物理学研究室 超伝導物理学研究室 村田惠三 教授 横川敬一(客員研究員) Tamilselvan (D4) Md. Nuruzzaman(国費留学生、D1)1 増田耕育(M1) 久世哲嗣(M1) 仲田春紀(M1) 研究概要 1. HMTSF-TCNQの磁場誘起新電子相の発見 最初の有機物超伝導体はTMTSF2PF6は擬1次元金属性を持ち、温度低下によりある温度 でフェルミ面のネスティングと強相関性により絶縁体化する。この絶縁相はスピン密度波 によるものであった。これを0.65 GPaの圧力下では超伝導が見られ、更なる高圧では全温 度領域で金属となる。概ね超伝導が現れる圧力域で、磁場誘起でスピン密度波が現れる。 これにはサブ相があり、磁場掃引で1次の相転移を次々と引き起こす。また、このサブ相 内で量子Hall効果を示す。 TMTSF2PF6に至る前駆物質にTTF-TCNQという物質があり、擬1次元金属性を持ち、温 度低下によりある温度でフェルミ面のネスティングと電子格子相互作用により絶縁体化 する。この絶縁相は電荷密度波によるものであった。TTF-TCNQの発展類縁物質に HMTSF-TCNQという物質があり、これでTMTSF2PF6塩で見ららたものと対照的な現象が 見えたら物理学の理解に大いに寄与する。本研究はそれを狙っている。 仙台(2010.11)および米国(National High Field Magnet Lab/ Florida State Univ. FL, USA) での強磁場下で高圧力セルを回転しながら測定した磁気抵抗の測定からその実態が益々、 顕著になってきた。各種国際会議、および学術論文に発表した。 2. α-[(S,S)-DMDH-TTP]2AuI2での1軸加圧によるDirac cone生成の可能性。 本物質に1軸加圧するとより半導体的になったり、金属的になったりする。バンド構造 が敏感に変化するためと思われる。その一つの方向では完全に温度依存しない電気抵抗が 観測され、Dirac coneバンドが形成されたものと考えている。 3. β-(BDA-TTP)2I3における1軸加圧方向依存するMott/電荷秩序相および超伝導の発現 本物質を1軸加圧する向きにより、絶縁相がMott絶縁体になったり、電荷秩序絶縁体に なったりすることが予想され、実際、金属・非金属転移の温度が異なったり、超伝導の実 現圧力や転移温度が異なったりすることが発見された。 4. ポリマー超伝導の探索 有機物の超伝導は結晶に限られてきた。しかし、歴史的には高温超伝導はポリマーで起 こるとLittleにより予言されていたもので、我々は加圧により、超伝導が起こるものかど うか調査している。 5. 次世代超高圧印加用圧力媒体油の研究 高圧力実験は閉じ込められた空間内に試料をおき、試料空間サイズをシリンダー状の軸 方向に押して加圧する。全ての媒体はある圧力で固化するので、固化したあと更に加圧す ると、静水圧力でもなく、1軸圧力でもなくなり、物理的解析は困難になる。このため、 我々は固化圧力の高い圧力媒体の開発を行い、広く物性物理学の発展に寄与を目指してい 27 る。現在、導電ペーストを溶かさない媒体としては、室温で3.7 GPaという世界最高の値 を出して、多くの研究者に使われている。 教育・研究業績 著書 1. なし 学術論文 1. K Murata, K Yokogawa, JS Brooks, A Kismarahardja, E Steven, M Kano, Y Seno, NR Tamilselvan, H Yoshino, T Sasaki, D Jérome, P Senzier, K Bechgaard, M Uruichi and K Yakushi,Transport properties of HMTSF-TCNQ up to 8 GPa and a novel hysteresis and quantum oscillatory behavior in magnetoresistance in magnetic field up to 31 Tesla, J. Phys. Conference Series, 215 (2010) 012064/1-5. 2. Harukazu Yoshino, Narumi Hiratani, Hiroki Akutsu, Jun-ichi Yamada, Koichi Kikuchi and Keizo Murata, Quantum critical behavior in the organic conductor κ-(DHDA-TTP)2SbF6, Yufeng Weng, Synthetic Metals, 159, Issues 21-22, (2009), Pages 2394-2396. 3. Keizo Murata, Yufeng Weng, Yuki Seno, Natarajan Rani Tamilselvan, Kensuke Kobayashi, Sonachalam Arumugam, Yusaku Takashima, Harukazu Yoshino and Reizo Kato, Fluctuation of charge density wave of TTF–TCNQ under high pressure, Synthetic Metals, Volume 159, Issues 21-22, November 2009, Pages 2397-2398 4. K. Murataa, K. Yokogawa, J.S. Brook, A. Kismarahardja, E. Steven, M. Kano, Y. Seno, N.R. Tamilselvan, H. Yoshino, T. Sasaki, D. Jérome, P. Senzier, K. Bechgaard, M. Uruichi and K. Yakushi, Successive bi-stable quantum phases in HMTSF-TCNQ induced by field-sweep, PhysicaB405 (2010) 5111-5112. 5. K. Murata, K.Yokogawa, K. Kobayashi, K. Masuda, T. Ssakai, Y. Seno, N. R. Tamilselvan, H.Yoshino, J.S. Brooks, D. Jerome, K. Bechgaard, M. Uruichi, K.Yakushi, Y. Nogami, R. Kato, Field-Induced Successive Phase Transitions in the CDW Organic Conductor HMTSF-TCNQ, J. Phys. Soc. Jpn. 79, (2010) p.103702. 6. Taichi TERASHIMA, Nobuyuki KURITA, Akiko KIKKAWA, Hiroyuki S. SUZUKI, Takehiko MATSUMOTO, Keizo MURATA, and Shinya UJI; Magnetotransport Studies of EuFe2As2: The Influence of the Eu2+ Magnetic Moments, J. Phys. Soc. Jpn. 79 (2010) 103706. 7 H. Aizawa, K. Kuroki, H. Yoshino and K. Murata, “Pudding mold”-type Band as an Origin of Large Thermopower in τ-type Organic Conductors, Physica B 405 (2010) S27-S29. 8. H. Yoshino, H. Aizawa, K. Kuroki, G. C. Anyfantis, G. C. Papavassiliou and K. Murata, Thermoelectric Figure of Merit of -type Conductors of Several Donors, Physica B 405 (2010) S79-S81. 国際会議講演 1. H. Yoshino, K. Ishida, Rika Tanaka and K. Murata, “Anisotropy of Thermal Conductivity and Thermopower of -(BEDT-TTF)2I3”, International Conference on Science and Technology of 28 Synthetic Metals (ICSM2010), Kyoto (Japan), 8A-11, 2010/7/4-9. 2. K. Murata, K. Yokogawa, K. Kobayashi, K. Masuda, Y. Seno, K. Morishima, T. Sasaki, H. Yoshino, D. Jérome, J.S. Brooks, K. Yakushi, M. Uruichi and R. Kato, “Field-induced Successive Magnetic States in the 1D CDW System, HMTSF-TCNQ”, International Conference on Science and Technology of Synthetic Metals (ICSM2010), Kyoto (Japan), 6Ax-12, 2010/7/4-9. 3. K. Yokogawa, Y. Takashima, K. Morishima, H. Yoshino, S. Ichikawa, J. Yamada and K. Murata, “Dirac-cone Like Completely Flat Temperature Dependence of Resistivity in α-[(S,S)-DMDH-TTF]2AuI2 under Uniaxial Strain along a Restricted Axis”, International Conference on Science and Technology of Synthetic Metals (ICSM2010), Kyoto (Japan), 7B1-16, 2010/7/4-9. 4. H. Yoshino, H. Nakada, K. Murata and R. Tanaka, “Thermal Conductivity of BEDT-TTF Salts”, 21st IUPAC International Conference on Chemical Thermodynamics (ICCT-2010), Tsukuba Science City (Japan), OP-5201-1140, 2010/8/1-6. 5. H. Yoshino, K. Murata, “Overview of Recent Topics of τ-Type Organic Conductors”, Japan-UK Joint Seminar, Arima (Japan), 2010/8/9. 6. K. Yokogawa, T. Kuse, Y. Takashima, K. Morishima, H. Yoshino, S. Ichikawa, J. Yamada, K. Murata, Completely Flat Temperature Dependence of Resistivity in α-[(S,S)-DMDH-TTP]2AuI2, under Uniaxial Strain - Dirac-Cone like -, Japan-UK Joint Seminar, Arima (Japan), 2010/8/9. 7. K Murata, K Yokogawa, K Kobayashi, K Masuda, T Sasaki, N R Tamilselvan, H Yoshino, D Jérome, JS Brooks, M Uruichi, K Yakushi, Y Nogami, R Kato, Successive Hysteretic Phases in HMTSF-TCNQ Induced by High Magnetic Field under Pressure, Japan-China Joint symposium on Organic Conductors, Kyoto, 2010, 10, 18. . 8. K Murata, K Yokogawa, K Kobayashi, K Masuda,T Sasaki,Y Seno, N R Tamilselvan, H Yoshino, JS Brooks, D Jérome, K Bechgaard, M Uruichi, K Yakushi, Y Nogami, R Kato, High Pressure and High Field Properties on TTF-TCNQ, TSeF-TCNQ and HMTSF-TCNQ, ICOCOM, Sousse, Tunisia 2010, Nov 3-6. 9. K Murata, K Yokogawa, K Kobayashi, K Masuda, Sasaki, Y Seno, N R Tamilselvan, H Yoshino, JS. Brooks, D Jérome, K Bechgaard, M Uruichi, K Yakushi, Y Nogami, R Kato, High Pressure and High Field Study on Organic Conductor, HMTSF-TCNQ, ACHPR(アジア高圧会議) Matsue, Japan, Nov 11, 2010, 11A-1-3. 10. N. Kurita, M. Kimata, K. Kodama, A. Harada, H. Suzuki, T. Matsumoto, S. Uji, T. Terashima, K. Murata, High Magnetic Field Studies of Pressure-induced Superconductor EuFe2As2, MAR11 Meeting of The American Physical Society Sorting Category:05.18(E). 学会・研究会講演 1. 有機伝導体α-(BEDT-STF)2I3の層間ホール効果, 佐藤光幸,三浦克哉,遠藤里美,高山皓平, 菅原滋晴,田嶋尚也,村田惠三,西尾豊,梶田晃示, 日本物理学会2010年秋季大会,25aYC-1, 大阪府立大,2010/9/23-26. 29 2. 有機ゼロギャップ(?)伝導体α-(BEDT-STF)2I3の磁場中における電気伝導特性, 三浦克哉, 佐藤光幸,遠藤里美,高山皓平,菅原滋晴,田嶋尚也,村田惠三,西尾豊,梶田晃示,日 本物理学会2010年秋季大会,25aYC-2,大阪府立大,2010/9/23-26. 3. 1 軸 ひ ず み 下 の α-[(S,S)-DMDT-TTP]2AuI2 の 温 度 依 存 性 の な い 電 気 抵 抗 ” , “Temperature-Independent Resistivity in α-[(S,S)-DMDT-TTP]2AuI2 under Uniaxial Strain”,橫 川敬一,久世哲嗣,高島侑作,森嶋健太,吉野治一,市川俊,山田順一,村田惠三,日本 物理学会2010年秋季大会,26aRB-4,大阪府立大,2010/9/23-26. 4. “輸送現象測定に向けた圧力媒体Daphne混合オイル,グリセリンの静水圧性”,“The Hydrostatic Effect of Pressure Medium Daphne Mixed Oil and Glycerin for Measurement of Transport Phenomena”,橫川敬一,N. R. Tamilselvan,青山昌二,岡田太平,横山文彦,吉 野治一,村田惠三,日本物理学会2010年秋季大会,26aRB-5,大阪府立大,2010/9/23-26. 5. “β 型および型BEDT-TTF塩の熱伝導度”,“Thermal Conductivity of b- and k-Type BEDT-TTF Salts”,吉野治一,仲田春紀,村田惠三,日本物理学会2010年秋季大会,26aRB-6, 大阪府立大,2010/9/23-26. 6. τ型有機導体の熱電性能指数Z II, 吉野治一,石田啓一,G.C. Papavassiliou,相澤啓仁,黒 木和彦,村田惠三, 日本物理学会2010年秋季大会,26aYC-9,大阪府立大,2010/9/23-26. 7. τ型有機導体における高い熱電能のプリン型バンドによる解釈, 相澤啓仁,黒木和彦,吉 野治一,村田惠三, 日本物理学会2010年秋季大会,26aYC-10,大阪府立大,2010/9/23-26. 8. (TMTTF)2Brの1軸圧縮による超伝導発現,横川敬一,吉野治一,中村敏和,James S. Brooks, 村田惠三 日本物理学会2010年秋季大会,26aYC-12,大阪府立大,2010/9/23-26. 9. HMTSF-TCNQにおける強磁場,低温下における量子振動下の履歴現象, 村田惠三,横川敬 一,J.S. Brooks,A. Kismarahardja,E. Steven,狩野みか,瀬能夕貴,N.R. Tamilselvan,吉 野治一,佐々木孝彦,K. Bechgaard,D. Jerome, 日本物理学会2010年秋季大会,27pYC-3, 大阪府立大,2010/9/23-26. 10. “ 一 軸 ひ ず み 下 で の -[(S,S)-DMDH-TTP]2AuI2 の 温 度 依 存 性 の な い 電 気 抵 抗 2” , “Temperature-Independent Resistivity in α-[(S,S)-DMDH-TTP]2AuI2 under Uniaxial Strain 2”, 久世哲嗣,横川敬一,吉野治一,市川俊,山田順一,相沢啓仁,黒木和彦,村田惠三,日本 物理学会第66回年次大会,25pTA-9,新潟,2011/3/25-28. 11. “(TMTTF)2Brの静水圧力,1軸ひずみ下の非線形伝導”,“Nonlinear Conductivity under Hydrostatic Pressure and Uniaxial Strain in (TMTTF)2Br”,横川敬一,吉野治一,中村敏和, J. S. Brooks,村田惠三,日本物理学会第66回年次大会,26pTB-7,新潟,2011/3/25-28. 12. .“HMTSF-TCNQの圧力下,磁場誘起相の詳細角度依存性”,“Angle Dependence of Field Induced Phase of HMTSF-TCNQ under Pressure”,増田耕育,久世哲嗣,横川敬一,Woun Kang, Soyoon Lee,吉野治一,佐々木孝彦,加藤礼三,村田惠三,日本物理学会第66回年次大会, 26pTB-10,新潟,2011/3/25-28. 13. . “Orientation Dependence of Uniaxial Strain on the Superconductivity of β-(BDA-TTP)2I3”, Md. Nuruzzaman,吉本治男,横川敬一,吉野治一,菊地耕一,村田惠三, 日本物理学会第66回年次大会,26pTB-13,新潟,2011/3/25-28. 30 14. . “ 新 規 型 有 機 伝 導 体 τ-(S,S-DMeET)2(AuBr2)1+y お よ び τ-(ETO-R,R-DMEDT-TTF)2 (AuBr2)1+yの熱電性能指数”,“Thermoelectric Figure of Merit of Novel t-Type Conductors -(S,S-DMeET)2(AuBr2)1+y and τ-(ETO-R,R-DMEDT-TTF)2(AuBr2)1+y”,仲田春紀,S. J. Krivickas,森初果,G. C. Papavassiliou,村田惠三,日本物理学会第66回年次大会,28aTK-3, 新潟,2011/3/25-28. その他 1. 村田惠三ほか: 2010.8.5 8.6 オープンキャンパス 物理教室の実験担当 2. 村田惠三ほか: 2010.8.27市大理科セミナー 物理教室の実験担当 3. 村田惠三ほか SPP 清風高校対象。 学位論文 修士論文 1. なし 博士論文 1. なし 研究助成金取得状況 1. 2. 村田惠三:学術振興会・基盤研究(C)「ポリマー超伝導の探索」120万円 村田惠三:「次世代超高圧印加用圧力媒体油の研究」45万円 海外出張および海外研修 1. 2. 3. 4. 5. 6. 村田惠三:2010.10.28 – 11.9 Universite P&M Curie研究所訪問(Paris, France)と、 「International Conference on Conducting Materials (ICoCoM2010) (Sous, Tunisia、」の会議で の招待講演。 村田惠三:2010.12.19 – 12.30, 「上海専門家派遣事業」による上海交通大学訪問による研 究交流。 村田惠三:2011.1.27 – 1.29, ソウル大学(韓国)におけるセミナー。 村田惠三:2011.2.10 - 2011.2.21、米国国立強磁場センター(Tallahassee, Florida, USA)、研 究実験。 村田惠三:2011.3.8- 2011.3.16、2国間交流事業によりBharathidasan大学(主)、およびIndian Institute of Technologyにて講義などによる研究交流。 村田惠三: 2011.3.19- 2011.3.25、 「米国物理学会出席と米国物理学会での日本物理学会 の英文誌JPSJの広報活動および調査活動を内容とした学会活動」。 その他 1. 2. 3. 4. 5. 村田惠三:日本物理学会 2010.10 -2011.9 物理学会 領域 7代表 村田惠三:東北大学金属材料研究所強磁場施設利用者委員 村田惠三:東京大学物性研究所利用者委員 村田惠三:日本物理学会 欧文編集誌 編集委員 村田惠三:文部科学省 科学技術専門調査員 31 電子相関物理学研究室 電子相関物理学研究室 小栗 章 教授 西川 裕規 講師 大谷奈央 (B4:物質) 島本将志 (M1) 研究概要 2010年度は、(1) 3角形3重量子ドット系の近藤効果、(2) 超伝導体を含む3端子のリード線 に接合された量子ドット系におけるAndreev・Josephson・近藤効果の競合、(3) 軌道縮退の ある量子ドット系の低エネルギー状態の性質、および非平衡定常状態におけるショットノイ ズ、完全計数統計、(4) Hund結合のある量子不純物系における多体相関によるくりこみの効 果、に関する研究を進めた。 (1) 3角形3重量子ドット系では、準位間を周回する軌道による量子干渉効果と電子相関 の協演により、多彩な近藤効果が起ることを我々は以前から明らかにしてきた。今年度は正 三角形構造からずれの効果を、占有電子数の異なる広いパラメータの範囲で調べ、この系の 低温の振る舞いの全貌がほぼ明らかにした。特に、歪が大きい場合に長岡強磁性に基づくス ピンS=1状態がS=0状態に転移点付近で電気伝導度が増加することなどを示した。 (2) 3端子の超伝導/量子ドット/常伝導の接合系の輸送特性を数値くりこみ群を用いて 詳細に調べた。特に、低エネルギーの多彩な振る舞いが相互作用するBogolibov粒子系のFermi 流体として統一的に理解できることを示した。また多体論に基づく解析的なアプローチから 証明を与え、超伝導接合系の微視的局所Fermi流体論による定式化を行った。 (3) 今年度は軌道縮退のある量子ドット系の、局所Fermi流体状態の軌道依存性を精密に 調べ、非平衡状態電流、ショットノイズ、完全計数統計における軌道の効果を電子間斥力U が有限なAnderson模型系に対して明らかにした。また、数値的研究に加え、電子正孔対称な 場合のUの4次まで摂動級数の解析的表式を得た。 (4) 昨年度に引き続き、フント結合を有するアンダーソン模型について研究を継続した。 本年度は主に電子正孔対称性が無い場合について、繰りこまれたパラメータを計算すること により研究した。また本年度から同モデルの持つ量子臨界点に関する研究を開始し、継続中 である。さらに磁場中での同モデルの繰りこまれたパラメータを計算し、これに基づいて磁 場中の性質について研究中である。また昨年度に引き続き量子ドット(4重量子ドット上の 磁性的性質と近藤効果)の研究を引き続き行った。 32 教育・研究業績 総説 A. C.Hewson, A. Oguri, and J. Bauer, Renormalized Perturbation Approach to Electron Transport through Quantum Dots, Physical Properties of Nanosystems, edited by J. Bonča and S. Kruchinin (Springer, Dordrecht, 2011). 学術論文 1. A. Oguri, S. Amaha, Y. Nishikawa, T. Numata, M. Shimamoto, A.C. Hewson and S. Tarucha, “Kondo effects in a triangular triple quantum dot with lower symmetries”, Physical Review B 83 (2011) 205304, 17 pages. 2. R. Sakano, T. Fujii, and A. Oguri, “The Kondo crossover in shot noise of a single quant um dot with orbital degeneracy”, Physical Review B 83 (2011) 075440, 9 pages. 3. Y. Nishikawa, D.J.G. Crow, A. C. Hewson, “Renormalized parameters and perturbation th eory for an n-channel Anderson model with Hund's rule coupling: Symmetric case”, Phys. Rev. B 82 (2010) 115123, 13 pages. 4. Y. Nishikawa, D.J.G. Crow, A. C. Hewson, “Renormalized parameters and perturbation th eory for an n-channel Anderson model with Hund's rule coupling: Asymmetric case”, Phys. Rev. B 82 (2010) 245109, 9 pages. 国際会議講演 1. A. Oguri and Yoichi Tanaka,: “Josephson effect and Andreev scattering in a three-terminal quantum dot in the Kondo regime”, Americaln Physical Society March Meeting (March 24, 2011, Dallas). 2. A. Oguri: “Kondo Effects in Triangular Triple Quantum Dot: Ground-State Properties”, International workshop on Novel Research Aspects in Nano-Carbon Device (March 2, 2011, Osaka). 3. R. Sakano, A. Oguri, T. Kato, and S. Tarucha: “Full Counting Statistics for Multi-Orbital Impurity Anderson Model of Quantum dot”, International Symposium "Nanoscience and Quantum Physics 2011", (January 26, 2011, Tokyo). 4. A. Oguri and Yoichi Tanaka: “Josephson current and Andreev reflection through a Kondo Y-junction”, International Symposium on Nanoscale Transport and Technology (January 11, 2011, NTT Atsugi R&D Center). 5. R. Sakano, T. Fujii, and A. Oguri: “Shot Noise of the Kondo effect in a quantum dot system”, International workshop on Quantum Spintronics (October 18, 2010, Italy). 33 学会・研究会講演 1. 小栗 章, 天羽 真一, 西川 裕規, A C Hewson, 樽茶清悟, 沼田貴英:「3重量子ドット系の 近藤効果: 3角形配列の歪の影響II」 , 日本物理学会 2010年会, 岡山大学 2. 小栗 章,阪野 塁,藤井 達也: 「電子正孔対称・軌道縮退Anderson模型 の Uに関する 3ループ 摂動理論」, 日本物理学会 (2011.3.27, 新潟大学). 3. 阪野塁,小栗章,加藤岳生,樽茶清悟:「軌道縮退アンダーソン模型の電荷搖動の完全 係数統計への影響」, 日本物理学会 (2011.3.28, 新潟大学). 4. 島本 将志,小栗 章:「3角形3重量子ドット系における長岡強磁性とJosephson効果の競 合」,日本物理学会 (2011.3.28, 新潟大学). 5. 小栗 章, 田中 洋一: 「3端子に接続された量子ドット系のJosephson電流とAndreev-Kondo 共鳴」, 日本物理学会 (2010.9.24, 大阪府立大学). 6. 島本 将志,小栗 章:「準位構造が異なる3角形3重量子ドットの近藤効果」, 日本物理 学会 (2010.9.24, 大阪府立大学). 7. 阪野 塁,藤井 達也, 小栗 章:「 量子ドット系での非対称アンダーソン模型のショッ トノイズ」, 日本物理学会 (2010.9.24, 大阪府立大学). 8. 山田 康博,田中 洋一,川上 則雄,小栗 章:「超伝導相関のある量子ドットを介した 常 伝 導リ ー ド間 の非 局所 輸 送特 性: 数値 く りこ み 群に よ る解 析」 , 日 本 物理 学会 (2010.9.24, 大阪府立大学). その他 学位論文 修士論文 博士論文 研究助成金取得状況 1. 小栗章:学術振興会・基盤研究(C)「量子ドット・ナノ物質系における近藤効果の理論的 研究」80万円 海外出張および海外研修 1. 2. 西川 裕規:英国インペリアルカレッジ、2010年8月29日 ~ 2010年9月21日、研究打ち合 わせ 小栗 章:米国、2011年3月20日~3月26日、アメリカ物理学会出席・発表 その他 34 宇宙線物理学研究室 宇宙線物理学研究室 林嘉夫 荻尾彰一 櫻井信之 小島浩司 教授 准教授 特任助教 客員教授 奥田剛司(D3) 南野真容子(D3) 藤井俊博(D1) 山下祐(M2) 倉本和幸(M1) 松宮大輔(M1) 山﨑勝也(M1) 南平兵衛(B4) 森文香(B4) 米田泰久(B4) 研究概要 1. インド・ウーティーにおける空気シャワーアレイを用いた宇宙線・ガンマ線観測(林、小 島、南野、山下、松宮、森) 本研究室とインド・タタ基礎研究所による日印国際共同実験『GRAPES-3空気シャワ ー実験』は2000年3月から現在まで安定した観測を行っている。本実験は10TeV以上の宇宙 線・ガンマ線観測による超高エネルギー天体現象の解明を目的として、一次宇宙線の化学 組成解析やガンマ線源探索等をおこなっている。2010年度の研究実績は以下の通りである。 ① 安定した観測を実現するための装置の運用 ② 空気シャワーの到来方向決定精度の評価 ③ ガンマ線点源、等方的、銀河面からの拡散ガンマ線の探索 ④ 宇宙線到来方向異方性の精密測定 ⑤ 高分解能、広測定レンジTDCの開発 2. インド・ウーティーにおける大面積ミューオン検出器を用いた宇宙線観測(小島、林、南 野、松宮、森) GRAPES-3 のミューオン望遠鏡は、70 GeV 程度の一次宇宙線によって生成される1 G eV 以上の大気ミューオンの強度変動を詳細に観測する事ができる。このミューオン望遠 鏡の特徴は、構成しているミューオン検出器が従来のミューオン計や中性子計に比べて角 度分解能が格段に優れ、ミューオンの到来方向を約7°程度の精度で決定できるのに加え, 検出面積が大きい(従来の観測の約10倍以上)ので,各々の入射方向毎の強度変動を高統 計精度で観測できる点にある。そのため、これまで測定が困難であった宇宙線異方性の微 細な空間構造を直接的に2次元で観測する事が可能となった。このような特徴を生かし、 次のような研究を行っている。ひとつは太陽フレアやCME 等によって生じると推定される Forbush Decrease (FD) と呼ばれる宇宙線強度の一時的減少の観測である。しかし2010 年は、FDは観測されなかった。また、もうひとつの研究テーマである宇宙線恒星時異方性 について解析し、太陽圏及び外部太陽圏とそれに続いて広がっている恒星間空間の電磁プ ラズマの様子について引き続き調査した。 3. テレスコープアレイ実験における最高エネルギー宇宙線の観測と装置の較正、データ解析 プログラムの開発、データ解析(荻尾、櫻井、奥田、藤井、山﨑、南平、米田) 最高エネルギー宇宙線の日米韓露による国際共同観測プロジェクト、『テレスコープ アレイ実験』は2008年3月から定常観測を開始した。本研究室は実験装置の設計・開発か ら現在まで研究グループの主力として本実験に参加している。2010年度の主な研究実績は 以下の通りである。 ① 装置の運用と観測実施 ② 最高エネルギー宇宙線のエネルギースペクトルと化学組成の測定 ③ 最高エネルギー宇宙線到来方向の自己相関の評価による点源探査 ④ 地表検出器の改良を目指したテストベンチの製作と大阪市大への設置 ⑤ 大気蛍光望遠鏡較正用可搬UVレーザーの完成・運用試験 35 4. 大気中の荷電粒子カスケードシャワーからの分子制動放射の特性測定(荻尾、倉本) 全く新しいシャワー観測法の基礎研究を2009年から継続している。その観測法とは、 シャワー中の電子成分粒子からの分子制動放射(Molecular Bremsstrahlung Radiation、 MBR)を、特に4GHzマイクロ波帯(Cバンド、Kuバンド)で検出する方法である。この方法 の特徴は現在までに提案されている電波検出法の中で唯一、空気シャワーの縦方向発達を 測定できるほどの空間分解能を有することである。大気をターゲットとし、カロリメトリ ックなエネルギー推定と粒子種判別を実現でき、duty factor=100%となる可能性を持った 新しい空気シャワー検出法である。2010年度はKuバンドで宇宙線空気シャワーアレイとの 同時観測など行ったあと、装置を改良し、さらに観測を継続した。 教育・研究業績 著書 なし 学術論文 1. “The angular resolution of the GRAPES-3 array from the shadows of the Moon and the Sun”, A. Oshima, et al., Astropart Phys. 33 , 97-107(2010) 国際会議会議録 1. H. Tokuno, et al., “Telescope Array Experiment: Status and Prospects”, AIP Conf. Proc., 1238, 365-368 (2010) 2. N. Sakurai, et al., “Telescope Array results (in Hadron-Hadron and Cosmic-Ray Interactions at multi-TeV Energies Mini-proceedings ECT Workshop, Torent, 2010)”, arXiv:1101.1852v1 [hep-ex] 10 Jan. 2011 国際会議講演 1. 林嘉夫:「Upper limit of the Diffuse Gamma Ray Flux using GRAPES-3 Experiment」、口頭 発表、5th Workshop on AstroParticle Physics,Dec.14-16 (Ooty , India) 2. 櫻井信之: 「Result from Telescope Array」、招待講演、Workshop on high-energy hadron-hadron and cosmic-ray interactions, Nov. 29-Dec. 3(Trento, Italy) 3. 4. 5. 6. 荻尾彰一、「Future Plans of Telescope Array」、招待講演、International Symposium on the Recent Progress of Ultra-high Energy Cosmic Ray Observation、Dec.10-12(名古屋国際会議場) 奥田剛司、「Searching small clusters by autocorrelation analysis from Telescope Array」、ポスター発 表、International Symposium on the Recent Progress of Ultra-high Energy Cosmic Ray Observation、 Dec.10-12(名古屋国際会議場) 藤井俊博、「An Event Reconstruction Method for the Telescope Array Fluorescence Detectors」、ポス ター発表、International Symposium on the Recent Progress of Ultra-high Energy Cosmic Ray Observation、 Dec.10-12(名古屋国際会議場) 倉本和幸、「Surveys of Microwave Emission from Air Showers」、ポスター発表、International Symposium on the Recent Progress of Ultra-high Energy Cosmic Ray Observation、Dec.10-12(名古屋国際 会議場) 学会・研究会講演 1. 荻尾彰一:「テレスコープアレイ実験の将来計画」、宇宙線研究者会議将来計画シンポ ジウム(招待講演)、平成 22 年 9 月 17 日、東京大学柏キャンパス 2. 荻尾彰一:「TA 実験 180:可搬 UV レーザーによる大気蛍光望遠鏡の較正」、日本物理学 会 2010 年秋季大会、平成 22 年 9 月 11 日、九州工業大学 3. 倉本和幸:「空気シャワー電波から放射されるマイクロ波放射の探査」、日本物理学会 2010 年秋季大会、平成 22 年 9 月 12 日、九州工業大学 4. 藤井俊博:「TA 実験 177:大気蛍光望遠鏡による極高エネルギー宇宙線の単眼解析」、日 本物理学会 2010 年秋季大会、平成 22 年 9 月 11 日、九州工業大学 5. 奥田剛司:「TA 実験 182:地表粒子検出器による超高エネルギー宇宙線の到来方向分布と 自己相関解析」、日本物理学会 2010 年秋季大会、平成 22 年 9 月 11 日、九州工業大学 36 6. 南野真容子:「Ooty 空気シャワー実験 28(拡散ガンマ線の観測)」、日本物理学会 2010 年秋季大会、平成 22 年 9 月 14 日、九州工業大学 その他 なし 学位論文 修士論文 なし 博士論文 1. 奥田剛司:「Search for point like sources of ultra high energy cosmic rays by evaluating small scale clusters of cosmic ray arrival directions observed by the Telescope Array」 研究助成金取得状況 研究助成金取得状況 1. 荻尾彰一:科学研究費補助金・特別推進研究「最高エネルギー宇宙線で探る宇宙極高現 象」(H21~25年度) 研究分担者、H22年度分担金:14,000千円 2. 荻尾彰一:科学研究費補助金・基盤(B)「可搬UVレーザーを用いたTA実験大気蛍光望遠鏡 の較正」研究代表者、H22年度:1,600千円 3. 荻尾彰一:科学研究費補助金・挑戦的萌芽「大気中の荷電粒子カスケードシャワーから の分子制動放射の特性測定」研究代表者、H22年度:1,300千円 4. 荻尾彰一、林嘉夫:東京大学宇宙線研究所共同利用研究費「宇宙線望遠鏡実験用地表検出 器の製作と性能試験」研究代表者(荻尾)、研究分担者(林)、600千円 海外出張および海外研修 1. 藤井俊博:米国ユタ州テレスコープアレイ実験観測所、2010年4月28日-2010年5月30日、 最高エネルギー宇宙線観測の実施、共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 2. 南野真容子:米国ユタ州テレスコープアレイ実験観測所、2010年5月3日-2010年6月3日、 最高エネルギー宇宙線観測の実施、共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 3. 荻尾彰一:米国ユタ州ユタ大学、2010年6月25日-2010年6月30日、国際共同研究「テレ スコープアレイ実験」の共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 4. 櫻井信之:米国ユタ州ユタ大学、2010年6月25日-2010年6月30日、国際共同研究「テレ スコープアレイ実験」の共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ 5. 奥田剛司:米国ユタ州ユタ大学、2010年6月25日-2010年6月30日、国際共同研究「テレ スコープアレイ実験」の共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ 6. 藤井俊博:米国ユタ州ユタ大学、2010年6月25日-2010年7月1日、国際共同研究「テレス コープアレイ実験」の共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ 7. 櫻井信之:ベルギー・ブリュッセル、2010年8月18日-2010年8月23日、国際共同研究「テ レスコープアレイ実験」の共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ 8. 奥田剛司:ベルギー・ブリュッセル、2010年8月18日-2010年8月23日、国際共同研究「テ レスコープアレイ実験」の共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ 9. 林嘉夫:インド(ムンバイ,ウーティー)Ooty宇宙線観測所、2010年8月4日-2010年8月 25日、宇宙線観測の実施、国際ワークショップに参加・講演、共同研究者と打合わせ。 10. 倉本和幸:米国ユタ州テレスコープアレイ実験観測所、2010年9月28日-2010年11月18日、 最高エネルギー宇宙線観測の実施、共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 11. 櫻井信之:米国ユタ州テレスコープアレイ実験観測所、2010年10月24日-2010年11月28 日、最高エネルギー宇宙線観測の実施、共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 12. 山﨑勝也:米国ユタ州テレスコープアレイ実験観測所、2010年10月24日-2010年12月18 37 日、最高エネルギー宇宙線観測の実施、共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 13. 藤井俊博:米国ユタ州テレスコープアレイ実験観測所、2010年12月31日-2011年1月17日、 最高エネルギー宇宙線観測の実施、共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 その他 なし 38 高エネルギー物理学研究室 清矢 山本 脇坂 濵口 良浩 和弘 隆之 敦成 教授 准教授 (研究生) (D3) 田代 松村 大和 山本 一晃 知恵 大祐 将士 (M2) (M2) (M2) (M2) 中居 貴士 中嶋 一八 プラドウ スラキア 朝妻 大周 真崎 俊介 (M1) (M1) (M1) (B4) (B4) 研究概要 1. 陽子・反陽子衝突型加速器を用いた素粒子実験(清矢,山本和,脇坂,濵口,大和,プラドウ) 日米科学技術協力事業の一環として 行われている米国フェルミ国立加速器研 究所の陽子・反陽子衝突型加速器テバト ロンと汎用型素粒子検出器 CDF を用いた 実験を継続遂行した.2010 年度もテバト ロン加速器と CDF 検出器の運転は安定的 に行われ,CDF 検出器に届けられた陽 子・反陽子ビームの積分ルミノシティは, 図 1 に示したように 2011 年 3 月末現在で 10.7 fb−1 を超えた.データ収集効率 82%を 考慮すると,解析に使用できる統計は 8.8 fb−1 となった.2009 年度 3 月末と比べると, 30%の増加であった。 図 1: CDF 検出器で得られた陽子・反陽子衝突の 積分ルミノシティ.緑で塗られた領域が 2010 年 度分. CDFグループでは,これらのデータを 用いて未知または未発見の新粒子の探索 を続けているが,中でも特に精力的に行 われているのが,標準模型ヒッグス粒子 (H)の探索である.テバトロンのようなハ ドロンコライダーにおいて,ヒッグス粒 子は種々のモードで生成され崩壊すると 考えられているので,探索するには複数 のチャンネルの解析を足し合わせ,総合 的に信号の優位性を探す必要がある. b, 我々が考慮したモードは,WH → ℓνbˉ + − b , H → γγ, VH → E/ Tbb, ZH → ℓ ℓ b ˉ b , gg → H → W+W−, VH → j j b ˉ 図 2: CDF 実験で得られた,標準模型ヒッグス粒 Η → τ+τ−+2jets である.5.9 fb−1 のデータ解 子の生成断面積の上限値と理論予想値との比. 析が終了し,ヒッグス粒子生成を示す優 位な事象数の超過は認められなかった。 このことから,ヒッグス粒子生成断面積の上限値を計算し,標準模型による予言値との比を とって表したのが図 2 である,ヒッグス質量が 165 GeV/c2 のときに,比の値として 1.13 が得 られており,CDF実験が単独でヒッグス粒子の検出感度に到達するまで,もう少しのところ まできた.図 3 は,テバトロン加速器でCDFとともに実験を行っているDØ実験の結果を,CDF 実験の結果と統計的に足し合わし,ヒッグス粒子生成断面積の上限値について表したもので ある.理論予想値との比が 1 より小さいところが棄却領域となるので,今回の結果からは, 158 GeV/c2~175GeV/c2, および 109GeV/c2 以下の領域のヒッグス粒子の存在を 95%の信頼度 で棄却することに成功した. 39 図 3: CDF 実験と DØ 実験の両データを合わせて得られた,標準模型 ヒッグス粒子の生成断面積の上限値と理論予想値の比.158GeV/c2~ 175GeV/c2,および 109GeV/c2 以下の質量領域でのヒッグス粒子の存 在が 95%の信頼度で棄却された. 2. 長基線ニュートリノ振動実験(清矢,山本和,田代,松村,中居,中嶋) 茨城県東海村に建設された J-PARC から,岐阜県飛騨市のスーパーカミオカンデとの 295km の間でニュートリノ振動を測定する T2K 実験は,2009 年中に測定器のほぼ全てのコン ポーネントのインストールとコミッショニングが完了し,2010 年 1 月に物理ランが開始され た.加速器に関しては,6 月終りから 11 月中旬にかけて長期シャットダウンを行い,その間 に大幅な増強を行った結果,図 4 に示したように,6 月以前のラン(Run 1)の平均ビームパワ ーが 50kW であったのに対して,11 月以降のラン(Run 2)では 114kW~145kW と,2 倍から 3 倍の出力を得ることに成功した.これに伴い,収集された統計は 1.43×1020 p.o.t.(protons on target:パイオン生成標的に照射された陽子の総数)に達した.これは,T2K 実験の先駆的実 145kW 50kW 図 4: T2K 実験でニュートリノ生成のために標的に照射された陽子の総数, 及び陽子ビーム 1 パルスあたりに含まれる陽子数の推移. 40 験であった K2K 実験が 4 年間に蓄積した全統計 1.0×1020 p.o.t. を既に超えており,J-PARC 加 速器の性能の良さを示していると言える. T2K Run 1 と Run 2 におけるニュートリノビームの安定性は,ミューオンモニター (MUMON)と On-Axis ニュートリノモニター(INGRID)で測定された.MUMON は,グラファ イト製のパイオン生成標的から 110m 下流にあるビームダンプのすぐ後方に置かれ,π+ → μ+ + νμ の崩壊でニュートリノと同時に生成されるミューオンを測定することにより,間接的に ニュートリノの方向,強度,及びプロファイルを測定する.間接的ではあるが,荷電粒子で あるミューオンを測定することにより統計の高いデータがすぐに得られ,ほぼリアルタイム でニュートリノビームの様子を知ることができる.これに対して INGRID は,パイオン生成 標的から 280m 下流に位置する前置検出器の 1 つとして置かれ,鉄原子核に対するニュート リノ反応を測定することにより,直接的にニュートリノビームの方向,強度,プロファイル を得る.図 2 は MUMON で測定されたミューオンプロファイルの中心位置,および INGRID で測定されたニュートリノプロファイルの中心位置を時間の関数としてプロットしたもので ある.これらを見ると,ニュートリノビームの方向の不安定性は,実験条件として要請され た 1mrad よりかなり小さく抑えられていることが確認された. 図 2: MUMON で測定されたミューオンプロ ファイルの中心位置の推移(上),及び INGRID で測定されたニュートリノプロファイルの中 心位置の推移(左). T2K 実験では,スーパーカミオカンデに向かうニュートリノは,そのエネルギーを 0.65GeV あたりの狭い範囲に絞るために,もともとの陽子ビームの中心軸から 2.5°離れた方 向を向いている.これらスーパーカミオカンデに向かうニュートリノの振動前の振舞いを測 定する装置が前置検出器 ND280 である.上記の INGRID と同じ,パイオン生成標的から 280m 下流に設置されている.図 3 に INRGID と ND280 の概観図を示す.ND280 でも Run 1,Run 2 ともに順調にデータ収集が行われ,多くのニュートリノ反応のデータから ND280 の基礎的性 能が調べられた.例として,ND280 に組み込まれている TPC (Time Projection Chamber)で得ら れた荷電粒子のエネルギー損失(dE/dx)の測定結果を図 3 に示す.ミューオン,電子,陽子の 識別が可能であることが分かる.また,dE/dx の測定精度は 10%以内,1 GeV/c の荷電粒子の 運動量測定精度も 10%程度であることが得られている. 41 図 3: ND280 の TPC で得られた,荷電粒子 のエネルギー損失(dE/dx)を粒子の運動量の 関数でプロットしたもの.ミューオン,電 子,陽子の識別が可能であることを示して いる. スーパーカミオカンデは GPS を用いて J-PARC と時刻の同期がとられており,ビーム タイミングと合った事象を選ぶことで,背景事 象の混入を最小限に防いでいる.スーパーカミ オカンデで観測されたニュートリノ事象の時 刻分布を解析すると,図 4 に示したように J-PARC のビームのバンチ構造が明確に観測さ れ,遠く離れた 2 地点で時刻の同期が正しくと られていることが確認された.また,ニュート リノ振動の様子はこれら 2 地点で観測された ニュートリノの数とエネルギー分布を比較す ることで測定がなされるが,その解析は進行中 であり,結果に関しては次年度の年次報告を期 待されたい. 図 4: スーパーカミオカンデでニュートリノ 反応が観測された時刻と,J-PARC のビーム タイミングの差.ニュートリノの飛行時間の 補正を加えてある. 最後に,3 月 11 日に発生した東日本大震災で受けた T2K 実験への影響を報告しておきた い.J-PARC も震度 6 弱の大きな揺れに襲われ,ライフラインを含めて施設が大きな損害を受 けたが,津波による被害は無かった.各種放射線施設からは放射線の問題は生じていないこ とが報告されている.詳しい調査の結果,加速器と測定器本体は大きな損壊を免れており, 復旧は可能であるとの見通しが立てられている.これに基づき,年内の調整運転再開を目指 して急ピッチで復旧作業が進められている. 教育・研究業績 学術論文 1. 2. 3. T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Search for single top quark production in 𝑝𝑝̅ collisions at √𝑠 = 1.96 TeV in the missing transverse energy plus jets topology”, Phys. Rev. D 81, 072003 (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “First Measurement of the b-Jet Cross Section in Events with a W Boson in 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 104, 131801 (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Search for the Higgs Boson Using Neural Networks in Events with Missing Energy and b-Quark Jets in 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 104, 141801 (2010). 42 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Measurement of the 𝑡𝑡̅ production cross section in 𝑝𝑝̅ collisions at √𝑠 = 1.96 TeV using soft electron b-tagging”, Phys. Rev. D 81, 092002 (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Measurement of the W+W- Production Cross Section and Search for Anomalous WWγ and WWZ Couplings in 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 104, 201801 (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Search for Pair Production of Supersymmetric Top Quarks in Dilepton Events from 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 104, 251801 (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration, D0 Collaboration): “Combined Tevatron upper limit on gg→H→W+W- and constraints on the Higgs boson mass in fourth-generation fermion models”, Phys. Rev. D 82, 011102(R) (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Measurement of the Ratio 𝜎𝑡𝑡̅ /𝜎𝑍/𝛾∗ →ℓℓ and Precise Extraction of the Cross Section”, Phys. Rev. Lett. 105, 012001 (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Measurement of W-Boson Polarization in Top-Quark Decay in 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 105, 042002 (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Measurement of Zγ production in 𝑝𝑝̅ collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. D 82, 031003(R) (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Studying the underlying event in Drell-Yan and high transverse momentum jet production at the Tevatron”, Phys. Rev. D 82, 034001 (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Search for the Production of Scalar Bottom Quarks in 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 105, 081802 (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Measurement of the top pair production cross section in the dilepton decay channel in 𝑝𝑝̅ collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. D 82, 052002 (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Search for anomalous production of events with two photons and additional energetic objects at CDF”, Phys. Rev. D 82, 052005 (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Exclusion of an Exotic Top Quark with -4/3 Electric Charge Using Soft Lepton Tagging”, Phys. Rev. Lett. 105, 101801 (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Search for New Physics with a Dijet Plus Missing ET Signature in 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 105, 131801 (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Search for R-Parity Violating Decays of Sneutrinos to eμ, μτ, and eτ Pairs in 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 105, 191801 (2010). K. Matsuoka, K. Maeda, C. Matsumura, T. Ozaki, K. Tashiro, K. Yamamoto et al.: “Design and performance of the muon monitor for the T2K neutrino oscillation experiment”, Nucl. Instr. Meth. A 624, 591 (2010). T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Measurement of the WW+WZ production cross section using a matrix element technique in lepton+jets events”, Phys. Rev. D 82, 112001 (2010). T. Aaltonen, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Observation of single top quark production and measurement of |Vtb| with CDF”, Phys. Rev. D 82, 112005 (2010). 43 21. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Direct Top-Quark Width Measurement at CDF”, Phys. Rev. Lett. 105, 232003 (2010). 22. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Improved Search for a Higgs Boson Produced in Association with Z→ℓ+ℓ- in 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 105, 251802 (2010). 23. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Top Quark Mass Measurement in the lepton+jets Channel Using a Matrix Element Method and in situ Jet Energy Calibration”, Phys. Rev. Lett. 105, 252001 (2010). 24. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Search for Randall-Sundrum gravitons in the diphoton channel at CDF”, Phys. Rev. D 83, 011102(R) (2011). 25. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Search for a new heavy gauge boson W′ with event signature electron+missing transverse energy in 𝑝𝑝̅ collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. D 83, 031102(R) (2011). 26. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Measurement of 𝑡𝑡̅ spin correlation in 𝑝𝑝̅ collisions using the CDF II detector at the Tevatron”, Phys. Rev. D 83, 031104(R) (2011). 27. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Observation of Bs0→J/ψK*(892)0 and Bs0→J/ψKS0 decays”, Phys. Rev. D 83, 052012 (2011). 28. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Search for High Mass Resonances Decaying to Muon Pairs in 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 106, 121801 (2011). 29. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF Collaboration): “Measurement of b Hadron Lifetimes in Exclusive Decays Containing a J/ψ in 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 106, 121804 (2011). 学会・研究会会議録 1. K. Yamamoto for the CDF Collaboration: “Higgs searches at the Tevatron”, Int. J. Mod. Phys. A25, 5097-5104 (2010). 学会・研究会講演 1. 松村 知恵:「T2K 実験ニュートリノモニターINGRID の性能評価」,日本物理学会,2010 年 9 月 11 日~14 日,九州工業大学 2. 中居 貴士:「ニュートリノ振動実験 T2K ビームを用いたダイヤモンド検出器の性能評価」, 日本物理学会,2011 年 3 月 25 日~28 日,新潟大学 3. 中居 貴士:「ニュートリノ振動実験 T2K ビームを用いたダイヤモンド検出器の性能評価」, 関西高エネルギーグループ研究発表会,2011 年 3 月 25 日~26 日,大阪大学 その他 【国際共同研究グループ内口頭発表(英語)】 1. 濵口 敦成:CDF SUSY Group, Very Exotic Phenomena Group, Exotic Physics Group:2010年 6月29日,10月12日,10月26日,11月10日,11月16日,12月9日,2011年1月19日,2月3日, 3月3日 2. 松村 知恵:T2K INGRID working group:2010年8月31日,10月6日 44 学位論文 卒業論文 1. 朝妻 大周,真崎 俊介:「水中で発生するチェレンコフ光によるチェレンコフリングの観測」 修士論文 1. 田代 一晃:「T2K ニュートリノ振動実験でのミューオン検出器としての CVD ダイヤモン ド製検出器の性能評価」 2. 松村 知恵:「T2K ニュートリノ振動実験でのニュートリノビームモニターINGRID の性能 評価」 3. 大和 大祐:「重心系エネルギー1.96TeV 陽子・反陽子衝突実験における前方領域の電子同 定」 4. 山本 将士:「多変量解析を用いた WZ 生成断面積の測定」 研究助成金取得状況 1. 日米科学協力事業費「陽子・反陽子衝突型加速器を用いる実験」260万円 2. 山本 和弘:特定領域研究「ダイヤモンド検出器を用いるルミノシティモニターの開発研究」80 万円 海外出張および海外研修 1. 2. 3. 4. 5. 清矢 良浩:米国フェルミ国立加速器研究所,2010 年 8 月 5 日~8 月 29 日,陽子・反陽子衝 突型加速器を用いる実験 CDF 大和 大祐:米国フェルミ国立加速器研究所,2010 年 9 月 10 日~10 月 16 日,陽子・反陽子 衝突型加速器を用いる実験 CDF 濵口 敦成:米国フェルミ国立加速器研究所,2010 年 10 月 1 日~11 月 30 日,陽子・反陽子 衝突型加速器を用いる実験 CDF 山本 和弘:米国フェルミ国立加速器研究所,2010 年 11 月 11 日~11 月 29 日,陽子・反陽 子衝突型加速器を用いる実験 CDF 清矢 良浩:米国フェルミ国立加速器研究所,2010 年 12 月 18 日~2011 年 1 月 6 日,陽子・ 反陽子衝突型加速器を用いる実験 CDF 45 重力波実験物理学研究室 神田 岡田 山本 譲原 展行 雄太 尚弘 浩貴 教授 (M1) (B4) (B4) 研究概要 本研究室では、重力波検出実験 LCGT 計画を中心に、同将来計画の DECIGO 実験、アクシオ ン探索実験の研究を進めている。 2010 年度の最大のトピックスは、LCGT 計画の予算の措置がなされ、建設開始されたことで ある。本研究室も LCGT 建設タスクの一部を担い、研究題材も多くはそれに沿ったものを中心に なる。 1. レーザー干渉計将来計画 LCGT(岡田、山本、譲原、神田) LCGT は東大宇宙線研究所をホストとした共同研究である。低温サファイア鏡による熱雑音 抑制を特徴とし、神岡鉱山内に片腕の基線長 3km のレーザー干渉計を建設する計画である。 2010 年度に「最先端研究基盤事業」補助対象に選ばれ、装置(機器)に関わる98億円の措 置が決定した。このほかにトンネル等を含む総額は157億円の計画である。 我々の主たる研究は、 ・LCGT データ取得系∼データ保管系および解析システム関連 ・LCGT 天体からの重力波検出を目的としたデータ解析 である。 現在は、LCGT のデータ取得系、キャリブレーション関連、データ転送/貯蔵系についての 必要な性能から仕様策定を進めている (図 2。 重力波の種類として、連星中性子星や連星ブラックホールの合体から放出される重力波の波 形はチャープ波形、パルサーから放出される重力波の波形は連続波形と呼ばれ、それらは理 論的に予測できるために、波形テンプレートとの相関を取るマッチドフィルタリングという 手法による探索が可能である。図 3 に探索レンジを示す。 LCGT の建設が確定したことにより、世界の複数台の検出器を用いた場合の見積もりなども 再評価が進んでいる。本研究室でも、背景重力波観測の overlp reduction function (検出器 の組み合わせにより、ある周波数帯域の背景重力波にどのくらい感度があるかという指標 ) の計算などを行っている。(図 5) また、時系列の雑音シミュレーションを作成中である。 2. 重力波のラジオメトリ探査、複数台検出器のコヒーレント検出についての基礎研究(日印交 流)(岡田、神田) インド IUCAA (Inter-University Centre for Astronomy and Astrophysics) との研究交流プ ログラムでの研究である。日本学術振興会の二国間共同研究に採択されている。 この課題は、複数台の検出器を用いた場合の解析についての研究で、コヒーレント法とコイ ンシデンス法の比較と、重力波のラジオメトリ探査が研究課題である。 今年度はラジオメトリ探査についてフレームワークおよび数値計算による研究が進んだ。特 に、おとめ座銀河団が hot spot として観測される可能性を指摘(論文 [5]、レフリー付き学 術誌は現在審査中)した成果は、重力波ラジオメトリ探索の可能性を示すものとして世界に 先駆けた成果だと考えている。 46 client pre-proces / calibration server IF digital control Main Server Main data Storage (disk or tape) spool client Kashiwa Kamioka facility ? underground client Data Sharing 図 1: (a)LCGT のデータ系概観 Main Data Server for Analysis and Storage raw data full archive analysis results, IF Digital Control feedback & error sig. selected data proc. data archive frame builder DAQ raw data archive * short duration spool ? Analysis Clients, End-users pre-process Analysis Clients, End-users ・calibration ・quality flag ・etc... LSC,Virgo data sharing (Network Data Storage) h(t) for low latency analysis 図 2: (b)LCGT のデータフロー また、数値計算(シミュレーション)が進んでおり、図??に示すように、ラジオメトリ解析 による重力波の天球マップと、点源ないし活動的な領域の同定可能性について、定量的な研 究が進んでいる。 3. 干渉計ノイズのガウス性評価(山本) TAMA 実験の観測データと昨年度の4回生のマイケルソン型干渉計のデータを試験材料と して、干渉計ノイズのガウス性を統計的に評価した。 定量的な考察のために、Kolmogorov-Smirnov 検定および Anderson-Darling 検定を導入し た。KS 検定は分布全体での検定に向き、AD 検定は分布の中心から大きく離れたテールの 成分に敏感に検定できる。これらを用いて、非定常性な成分や、定常的であるが非ガウス的 な振る舞いを区別して評価できるかなどを調査した(例:図 6)。 結果として、TAMA のフロアノイズのガウス性は周波数帯によらず同程度であった。また、 市大実験室のノイズは感度のよいとされる帯域でのガウス性が悪かった。 全体として、ノ イズレベルの大小とガウス性の善し悪しに強い相関は見られなかった。 4. 銀河分布の観測データを用いた LCGT での重力波観測シミュレーション(譲原) LCGT が観測を始めると、銀河系外からの連星合体信号を受けられるが、銀河団や超銀河団 などの高密度領域からのほうが確率が高い。したがって観測した重力波源の方向分布は、既 知の銀河分布を反映すると考えられる。近傍の大きな銀河団からは、シグナルー雑音比のよ いイベントや高頻度が期待できる。一方で観測装置の方向に依存する感度パターンにより、 47 10Gyr 100Myr 1Gyr 10Gpc 1Gpc Look Back Time Luminocity Distance 0.1 13Gyr 100Gpc LCGT detection range (VRSE-D) Detection Range (with optimal direction) for CBC | for BH QNM SNR=3 | SNR=3 SNR=8 | SNR=8 SNR=100 | SNR=100 100Mpc Cosmological Redshift : z 1 1.4Msolar (Typical Neutron Star) 10 10Mpc 0.01 0.001 10 0 10 1 2 10 mass of one star [Msolar] (BH mass = 2M) 10 3 10 4 図 3: LCGT の重力波観測レンジ:宇宙論的赤方偏移の効果も取り入れてある 図 4: 背景重力波観測にたいする overlap reduction function 多少のバイアスかかかることも考えられる。ただし干渉計型重力波検出器は、望遠鏡などに 比べれば遥かに広い視野をもつので、バイアスはおおきくないとも期待できる。これらを確 認するために、既知の銀河カタログ(2MRS)をとりいれた検出シミュレーションをおこなっ た(図 7)。 近傍銀河分布を反映させたシミュレーションに成功した。また、銀河が球内に一様分布だと した場合のイベント検出効率の見積もりは、他のシミュレーションや解析結果とよく一致す ることを確認した。 5. アクシオン探索実験の基礎開発(神田) アクシオンは PQ 対称性の破れを解決するために予想される未知の素粒子で、ダークマター の候補の一つでもある。アクシオン a と物質 Z との相互作用結合定数は大きくないが、強 磁場中でプリマコフ効果をおこして、 γ + Z → Z + a 48 図 5: 重力波ラジオメトリによる天球マップのシミュレーション 図 6: TAMA データのガウス性検定:Kolmogorov-Smirnov 検定値と Anderson-Darling 検定値の 比較 のように生成されると予想されている。したがって、高いエネルギー密度で位相を測定でき るレーザー光の共鳴キャビティに、強磁場を印加する事によってアクシオン生成を捉えるこ とができる可能性がある。 我々は KEK 低温グループとの共同で、重力波実験のレーザー技術を移植してアクシオン探 索実験を始めた。2010 年度は、偏光変調システムの評価、マグネットの設置と回転機構の 作成などを進めた。 6. 学内重点研究「『アインシュタインの物理』でリンクする研究・教育拠点」 H20 年度から5年間の計画で、上記のテーマで学内重点研究を申請、採択された。この計画 は、近接する物理学の諸分野にまたがるトピックスをとりあげ、学外の物理研究者とも連携 して、分野をリンクした新しい研究を立ち上げることを目的としている。 2010 年度は、10月に学内外の研究者を募っての研究会、2月に大学院生中心のセミナー をおこなった。 49 図 7: 銀河カタログ (2MRS, 赤点) と重力波イベント 100 個 教育・研究業績 学術論文 1. “Prospects for true calorimetry on Kerr black holes in core-collapse supernovae and mergers”, Maurice H.P.M. van Putten, Nobuyuki Kanda, Hideyuki Tagoshi, Daisuke Tatsumi, Fujimoto Masa-Katsu and Massimo Della Valle, Phys Rev D 83, 044046 (2011) 2. “DECIGO and DECIGO pathfinder”, Masaki Ando, Nobuyuki Kanda(10 番目) et al (計 140 名), Class. Quantum Grav. 27 084010 (2010) 3. “GRB as a counterpart for Gravitational Wave detection in LCGT”, Nobuyuki Kanda, LCGT collaboration, Proceeding of “Deciphering the Ancient Universe with Gamma-Ray Bursts”, 2010 4. “Coherent versus coincidence detection of gravitational wave signals from compact inspiraling binaries”, S. Dhurandhar, H. Mukhopadhyay, H. Tagoshi, N. Kanda arXiv:1003.5490 (Based on the presentation at the 1st Galileo Xu Guangqi conference, Shanghai.) 5. “The cross-correlation search for a hot spot of gravitational waves”, Sanjeev Dhurandhar, Hideyuki Tagoshi, Yuta Okada, Nobuyuki Kanda, Hirotaka Takahashi arXiv:1105.5842 50 学会・研究会講演 1. 神田展行 “大型低温重力波望遠鏡 LCGT で探る高エネルギー天体現象”(招待講演) 宇宙線研究所共同利用研究会「ガンマ線天文学 ∼日本の戦略∼」2010/11/16 2. 神田展行 “スペース重力波アンテナ DECIGO 計画 (17)” 日本天文学会 2010 年秋 3. 神田展行 “DECIGO における連星重力波同定を用いた太陽系固有運動測定の検討” 日本物理学会 2010 年秋季大会 4. 岡田雄太 “Study of gravitational wave radiometry using LCGT” 日本物理学会 2010 年秋季大会 5. 神田展行 “LCGT における重力波とガンマ線バーストの同時観測の検討” 日本物理学会 2010 年秋季大会 6. Nobuyuki Kanda “GRB as a counterpart for Gravitational Wave detection in LCGT” (Poster) GRBs 2010 Deciphering the Ancient Universe with Gamma-Ray Bursts, April 19-23, 2010 Kyoto, Japan 7. Nobuyuki Kanda “Title ”Starting the construction of new japanese interferometric gravitational wave detector -LCGT-” colloquium, IUCAA, India, Dec. 1, 2010 註:上記は登壇者が当研究室のものに限る。 学位論文 1. 山本尚弘 “干渉計ノイズのガウス性評価” 2. 譲原浩貴 “銀河分布の観測データを用いた LCGT での重力波観測シミュレーション” 研究助成金取得状況 1. 神田展行:日本学術振興会 H22 年度 二国間交流事業共同研究/セミナーによる研究交流 2. 神田展行:学内重点研究 H22 年度「『アインシュタインの物理』でリンクする研究・教育拠点」 海外出張および海外研修 1. 神田展行:インド(プネー) 2010 年 11 月 28 − 12 月 5 日、学術振興会二国間交流事業共 同研究により、IUCAA に滞在、研究交流 2. 神田展行:アメリカ合衆国(ミルウォーキー) 2011 年 1 月 25 − 31 日、第 14 回重力波デー タ解析国際会議 サイエンス委員会 その他 研究会主催 1. 会議名:第3回『アインシュタインの物理』でリンクする研究・教育拠点研究会 期間:2010 年 10 月 15-16 日 参加登録数:60名(学外者13名) 於: 大阪市立大学 2. 学内重点研究主催: 冬のセミナー(第3回) 2011 期間:2011 年 2 月 19-21 日 51 海外研究者訪問/招聘 1. Prof. Sanjeev V Dhurandhar (ICUAA, 印) : 学術振興会二国間交流事業共同研究により来 日 2011/3/2-15 公開活動 1. 「“ 宇宙 (天文) を学べる大学 ”合同進学説明会」於:大阪市立科学館 2010/6/12 2. 「世界天文年 全国同時七夕講演会」於:大阪市立科学館 2010/7/10 52 宇宙・素粒子実験物理学研究室 寺本 吉輝 中野 英一 准教授 准教授 松原大輔 山本健二 惠上祐介 吉川尚希 (M1) (M1) (B4) (B4) 研究概要 1. KEK Bファクトリー加速器による素粒子実験(Belle)(寺本,中野) 高エネルギー加速器研究機構の Belle 実験装置を用いた国際共同実験を行っている. Belle 実験装置は,Bファクトリー加速器を用いた電子・陽電子反応によってB 中間子対 を大量生産して,CPの破れの検証やB 中間子の崩壊の測定などを目的とした装置である. 建設に於いて,我々は高抵抗板素粒子検出器 (RPC) を用いた KL0・ミュー粒子検出器を 東北大学などと共同で担当した.データ解析に関しては,主に荷電粒子の飛跡解析とミ ュー粒子の同定を担当している.Belle実験のデータ収集は2010年6月に終了したが、引 き続き物理解析を行っている.KEKB加速器の大幅な増強に伴い、Belle実験装置もそれに 対応可能な性能へ改良を行う予定である.2010年度の物理解析は,荷電B中間子が反D*0 中間子または反D0中間子とτ+とντ対へ崩壊する過程の観測を行った.この崩壊過程は 荷電ヒッグス粒子に敏感であり、崩壊分岐比の解析結果は標準模型の予言と誤差の範囲 で矛盾は無いが、やや大きめの結果となった.この様なτ粒子を含む事象は、終状態に ニュートリノを複数含むため、これまで解析が困難だったが、B中間子対事象を大量に収 集した結果可能となった. 2. 平行板型素粒子検出器の研究開発(寺本,中野,吉川) 高抵抗板素粒子検出器(RPC)は平行な高抵抗板の間にガスを入れ,高抵抗板に8~10 kV 程度の電圧をかけることにより,荷電粒子がこれを通過した時,その位置と時間を測定 できる装置である.2010年度は高圧供給用の電極での信号伝播時間から荷電粒子の通過 位置を測定する試みを進め,通過位置に依って信号波形が変化する現象を観測した. 3. ネットワーク型宇宙線観測装置を使った宇宙線観測(寺本,中野,惠上) 都道府県にまたがって時間相関を持って到来する宇宙線を観測するために,宇宙線の 到来時間を GPS を用いてマイクロ秒の精度で決定でき,インターネットを用いてデータ をリアルタイムに交換できる簡易型空気シャワー観測装置「宇宙線ステーション」を開 発し,高校や科学館などに配備し大規模な観測網を構築する計画を 1999年から始めてい る.2010年度も前年に引き続き観測を行なった. 4. Micro Pattern Gas Detector の開発(中野,松原,山本) 薄型で2次元読み出しを行えるガス測定器の1つであるGEMの他分野への応用を図る目 的で高エネルギー加速器研究機構,東京理科大学,信州大学,東北学院大学,東京農工 大学,近畿大学と共同開発を行っている.2010年度は医療分野への応用として硬X線検出 器の開発を進めるとともに、検出荷電粒子検出器としての基礎研究を近畿大学と共に進 めた. 5. Belle CDC のアップグレードの準備研究(中野) 近い将来に計画されている KEKB加速器の増強に対応するため、Belle測定器の飛跡検 出器のアップグレードを進めている. 53 教育・研究業績 学術論文 1. B.R. Ko, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Search for CP violation in the decays D+(s) → Ks0π+ and D+(s) → Ks0K+”, Phys.Rev.Lett.104:181602,2010. _ 2. C.-C. Chiang, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Search for B0 → K*0K*0, B0 → K*0K*0 and B0 → K+π-K-+π+- Decays”, Phys.Rev.D81:071101,2010. 3. M. Petric, Y. Teramoto et al., “Search for leptonic decays of D0 mesons”, Phys.Rev.D81:091102,2010. 4. R. Louvot, Y. Teramoto et al., “Observation of Bs0 → Ds*-π+, Bs0 → Ds(*)-ρ+ Decays and Measurement of Bs0 → Ds*-ρ+ Polarization”, Phys.Rev.Lett.104:231801,2010. 5. A. Drutskoy, Y. Teramoto et al., “Measurement of Y(5S) decays to B0 and B+ mesons”, Phys.Rev.D81:112003,2010. 6. H.J. Hyun, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Search for a Low Mass Particle Decaying into µ+ µ- in B0 → K*0X and B0 → ρ0X at Belle”, Phys.Rev.Lett.105:091801,2010. _ 7. A. Bozek, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Observation of B+ →D*0 τ+ ντ and Evidence for B+ → _ D0 τ+ ντ at Belle”, Phys.Rev.D82:072005,2010. 8. S. Esen, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Observation of B0s → Ds(*)+Ds(*)- using e+e- collisions and _ a determination of the Bs-Bs width difference ΔΓs”, Phys.Rev.Lett.105:201802,2010. _ 9. K. Hara, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Evidence for B- → τ- ν with a Semileptonic Tagging Method”, Phys.Rev.D82:071101,2010. 10. C.-C. Peng, Y. Teramoto et al., “Search for Bs0 → hh Decays at the Y(5S) Resonance”, Phys.Rev.D82:072007,2010. 11. S. Uehara, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Measurement of ηη production in two-photon collisions”, Phys.Rev.D82:114031,2010. 12. Y. Nakahama, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Measurement of CP violating asymmetries in B0 → K+K-K0s decays with a time-dependent Dalitz approach”, Phys.Rev.D82:073011,2010. 13. A. Das, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Measurements of Branching Fractions for B0 → Ds+π- and _ B0 → Ds+K-”, Phys.Rev.D82:051103,2010. 14. C.P. Shen, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Search for charmonium and charmonium-like states in Y(1S) radiative decays”, Phys.Rev.D82:051504,2010. 15. K. Sakai, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Search for CP violating charge asymmetry in B+- → J/ ψK+- decays”, Phys.Rev.D82:091104,2010. 16. H. Guler, Y. Teramoto et al., “Study of the K+π+π- Final State in B+ → J/ψK+π+π- and B+ → ψ’K+π+π-”, Phys.Rev.D83:032005,2011. 17. W. Dungel, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Measurement of the form factors of the decay B0 → D*-l+ν and determination of the CKM matrix element |Vcb|”, Phys.Rev.D82:112007,2010. 18. G. Pakhlova, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Measurement of e+e-→ Ds(*)+Ds(*)- cross sections near threshold using initial-state radiation”, Phys.Rev.D83:011101,2011. 19. H. Ha, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Measurement of the decay B0→π-l+ν and determination of |Vub|”, Phys.Rev.D83:071101,2011. 20. T. Ishikawa, Y. Teramoto et al., “Three-dimensional drift chambers of the DCBA experiment for neutrinoless double beta decay search”, Nucl.Instrum.Meth.A628:209-211,2011. _ 21. T. Aushev, Y. Teramoto et al., “Study of the decays B → Ds1(2536)+ D (*)”, Phys.Rev.D83:051102,2011, Phys.Rev.D83:059902,2011. 22. J. Li, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Observation of Bs0→ J/ψf0(980) and Evidence for Bs0→ J/ ψf0(1370)”, Phys.Rev.Lett.106:121802,2011. 54 学研究会会議録 1. Takashi Ishikawa, Y. Teramoto et al., “Status of neutrinoless double beta decay experiment DCBA”, Published in *Tsukuba 2010, Radiation detectors and their uses* 110-119 研究助成金取得状況 1. 中野英一:新学術領域研究「多彩なフレーバーで探る新しいハドロン存在形態の包括的研 究」計画研究「Bファクトリー実験におけるエキゾチックハドロンの研究」2010年度分 80万円 55 素粒子論研究室 中尾憲一(教授) 阿部博之(D2) 寺川達哉(D1) 西川隆介(M2) 速水真裕(M2) 宇野竜也(M1) 研究概要 我々をとりまく世界で起こるあらゆる事象は、クォークとレプトンそしてヒッグス粒子と 呼ばれる素粒子の相互作用として理解できると考えられています。相互作用には、重力相互 作用、電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用の4つが知られており、これらの相互作 用はゲージ粒子とよばれる粒子が媒介すると考えられています。重力相互作用を除く3つの 相互作用に関しては、すでにその存在は実験的に確かめられていますが、重力相互作用を媒 介するゲージ粒子だけは、間接的にその存在は確かめられてはいますが未だに直接観測はな されていません。また、重力相互作用だけが未だに量子論的な枠組みでの記述に成功してい ません。その理由は、重力相互作用が他の相互作用と比べて極端に弱く、そのためにその量 子論的な性質を実験的に確認することが極めて困難だからです。一番身近な力でありながら、 実験的にも理論的にも未だに未知の部分が多い重力相互作用は、21世紀に残された物理学 における最大のテーマの一つといえます。この研究室では、この重力相互作用を中心に様々 な研究を行っています。2010年度に行った研究は以下の通りです. 1. 時空特異点(trans-Planckian domain) 強い重力場を記述する古典理論の最有力候補である一般相対論によれば、巨大質量の星は その進化の最終段階で、自らが生み出す重力によって限りなく収縮していきます.この現象 は重力崩壊と呼ばれ、エネルギー密度や圧力、温度、そして時空の曲率といった物理量が無 限大になる 領域 が最終的に形成されます.この領域は時空の裂け目のような構造を持ち、 時空特異点と呼ばれています.時空特異点は、一般相対論を含めた既知の物理法則の適用範 囲外にあり、重力相互作用の量子論的な性質が現れる非常に興味深い領域(trans-Planckian domain)である可能性があります.時空特異点は観測可能性という観点から二種類に大別す ることができます.一つは、我々のような観測者がそこに行かない限り見ることのできない タイプのものであり、ブラックホールはその一例です.そしてもう一つは、原理的に観測可 能なタイプであり、「裸の時空特異点」と呼ばれています.この裸の特異点は、もし我々の 宇宙に存在するならば、実験的・観測的に重要な意味を持ちます. 今年度は、ブラックホール周りで粒子衝突のエネルギーが、素粒子間の重力相互作用が無 視できなくなるスケール(=重力の量子論的効果が重要になるエネルギースケール)以上に なりうるというBanados-Silk-West効果と、すでに稼働が始まっているLarge Hadron Colliderに よって観測可能なtrans-Planckian domainの生成可能性について研究を行いました.この研究は、 さらに発展し、現在も継続中です. 2. ダークエネルギー問題:非一様宇宙の可能性 我々の宇宙は現在、加速膨張しているように見えます.より厳密に言うと、宇宙の物質・ 輻射分布や空間の幾何学的性質が一様等方とするならば、現在得られている観測結果は、宇 宙空間の膨張速度が加速していることを意味する、ということです。さらに、アインシュタ インの一般相対性理論が正しい重力理論だと仮定すると、この観測事実は、宇宙空間に負の 圧力(正の張力)を持つダークエネルギーと名付けられた不可解なエネルギーが満ち満ちて 56 いるということを意味します.このダークエネルギーの起源はもちろん未だに分かっていま せん。この問題をダークエネルギー問題と呼んでいます.上記の説明から分かるように、観 測事実からダークエネルギーの存在を演繹するために2つの仮定をしています.一つ目は「宇 宙は一様等方」、二つ目は「一般相対論が正しい」です.この二つの仮定のうち一つでも正 しくないということになれば、ダークエネルギーの存在を仮定せずに観測事実の説明ができ る可能性があります. 我々のグループは、ダークエネルギー問題に対する一つのアプローチとして、「我々の宇 宙は非一様」と仮定し、ダークエネルギー問題が解決可能かどうかを研究しています.この アプローチで取り組む研究者は、宇宙論の業界では少数派ですが、近未来に得られる様々な 観測事実を用いて理論モデルの正否を確認できる唯一のモデルであり、その意味で最も健全 なアプローチと言えます.一つは昨年度から引き続き、京都大学基礎物理学研究所の佐々木 節教授,柳哲文博士らと共同で、物質優勢の宇宙における極めて大きなボイドの中心に我々 が位置する宇宙モデルの研究を宇宙背景輻射に注目して進めました.もう一つは、質量ゼロ のスカラー場に満たされた宇宙に巨大なボイドが存在する宇宙モデルを、スカラーテンソル 重力理論の枠組みで再考し、インドのタタ基礎科学研究所のJoshi教授らのグループと共同で 研究しました。 3.ブラックホール物理学 ブラックホールはこの研究室のライフワーク的な研究テーマの一つです.ブラックホール は,強い重力場を伴う時空構造の典型的な例の一つであり,観測的にもその存在が強く示唆 されているだけでなく,現在計画中あるいは既に動き始めた観測プロジェクトによって,近 い将来にその詳細な性質がさらに明らかになると期待されています.その観測をにらみ,本 物理学科の宇宙物理研究室、及び大阪大学の田越秀行助教と共同で,ブラックホール磁気圏 などのブラックホール周りの物理現象,物理過程の研究を進めています. 教育・研究業績 学術論文 1. Masashi Kimura, Ken-ichi Nakao, Hideki Tagoshi, "Acceleration of colliding shells around a black hole: Validity of the test particle approximation in the Banados-Silk-West process ", Physical Review D Vol. 83: (2010) 044013. 2. Yohsuke Takamori, Ken-ichi Nakao, Hideki Ishihara, Masashi Kimura, Chul-Moon Yoo, “Perturbative analysis of a stationary magnetosphere in an extreme black hole spacetime: On the Meissner-like effect of an extreme black hole”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society, Vol.412 (2011) 2417. 3. Chul-Moon Yoo, Tomohiro Kai, Ken-ichi Nakao, “Redshift drift in LTB void universe”, Physical Review D,Vol.83 (2011) 0435278. 4. Chul-Moon Yoo, Ken-ichi Nakao, Misao Sasaki, “CMB observations in LTB universe: Part II – the kSZ effect in an LTB universe”, JCAP, Vol.1010 (2010) 011. 5. Ken-ichi Nakao, Tomohiro Harada, Umpei Miyamoto, “Visible borders of spacetime generated by high energy collisions”, Physical Review D, Vol. 82 (2010) 121501R 6. Chul-Moon Yoo, Ken-ichi Nakao, Misao Sasaki, “CMB observations in LTB universe: Part I – Matching peak positions in the CMB spectrum”, JCAP, Vol. 1007 (2010) 012. 7. Ryusuke Nishikawa, Masasi Kimura, “Stability analysis of squashed Kaluza-Klein black holes with charge”, Classical and Quantum Gravity, Vol. 27 (2010) 215020. 57 国際会議,国際研究会発表 1. Chul-Moon Yoo, Tomohiro Kai, Ken-ichi Nakao, “Redshift Drift in LTB universe”, 20th JGRG workshop, 京都大学2009年9月. 学会・研究会講演 1. 中尾憲一,原田知広,宮本雲平: Formation of visible border by high energy collision 日本物理学会2010年度秋季大会,九州工業大学戸畑キャンパス,2010年9月. 2. 寺川達哉,中尾憲一,孝森洋介,木村匡志,阿部博之,伊形尚久,宮本雲平: (N+1) 次元円筒対称null-shellの重力崩壊によるブラック• ストリング形成とその安定性 日本物理学会2010年度秋季大会,九州工業大学戸畑キャンパス,2010年9月. 3. 阿部博之,中尾憲一,孝森洋介,柳哲文: ブラックホール宇宙の初期条件 日本物理学会2010年度秋季大会,九州工業大学戸畑キャンパス,2010年9月. 4. 西川隆介,柳哲文,中尾憲一: アンチコペルニクス宇宙モデルの摂動論 日本物理学会2010年度秋季大会,九州工業大学戸畑キャンパス,2010年9月. 5. 柳哲文,中尾憲一,甲斐智博: LTB時空を用いた逆問題と赤方偏移ドリフト 日本物理 学会2010年度秋季大会,九州工業大学戸畑キャンパス,2010年9月. 6. 中尾憲一,大川督博,柴田大: Visible borders produced by high energy collisions 第12回特異点研究会,神奈川工科大学,2011年1月8日-10日 外 部 資 金 1. 科学研究費補助金• 基盤研究(C) 相対論的非一様宇宙に関する理論的な研究 . そ の 他 1. 第2回全国同時七夕講演会: ブラックホールって何? ,大阪市立科学館,2010年7 月10日. 2. 近鉄文化サロン• 大阪市立大学共催講座: ビッグバン宇宙への招待 ,阿倍野アンド, 2010年10月9日. 58 数理物理研究室 糸山浩司 教授 安井幸則 准教授 大田武志(数学研究所員) 吉岡礼治(数学研究所員) 米澤信拓(数学研究所員) 宝利 剛(数学研究所員) 高部遼一(M2) 出口翔(M2) 松田元一(M2) 姫島智樹(M2) 樋ノ上和貴(M1) 研究概要 1. β変形行列模型とNekrasov分配関数(糸山・大田・米澤) 2次元共形場理論のconformal blockと4次元ゲージ理論のNekrasov分配関数の等価性に関す るAlday-Gaiotto-Tachikawa予想を具体化する方法として、Dotsenko-Fateev表示をSelberg 積分を拡張したβ変形行列模型と考えることによって、Nekrasov分配関数の展開係数を計算 する手法を前年度あみだした。今年度はそのSCALING極限等でさらに進展があった。 2. N=2超対称性及びその部分的かつ自発的破れに関する更なる研究(出口・松田・糸山) 出口は修士論文において、一般的なN=2超対称ゲージ理論の非くりこみ定理の別証明を、N=1 supergraphからの独自の手法により与えた。松田は藤原・糸山・阪口模型に於いてゲージ群 が直積群である場合の真空が、N=0にまで破れる可能性を考察・追求した。 3. 超重力理論のブラックホール解の対称性の解析(安井・宝利) 物質場のない真空中の高次元ブラックホール時空の“隠れた対称性”は共形キリング・矢野 テンソルと呼ばれる特別なテンソル場が存在することから理解することができる。物質場が 存在するときこのような対称性はどうなるのか?超弦理論・超重力理論の舞台となる高次元 時空には重力以外にスカラー場、反対称テンソル場等々いろいろな物質場が存在する。我々 は、超重力理論の高次元ブラックホール時空にも“隠れた対称性”が存在し「ねじれ」を持 つ共形キリング・矢野テンソルがそのような対称性を記述することを明らかにした。 4. 行列模型に対するオリエンティフォールディングの効果 (吉岡・糸山) 超対称性を最大限に尊重し、オリエンティフォールディングを施したIIB行列模型に対して、 行列の固有値についての有効作用の長距離展開を2-loopまで行った。行列模型では固有値は 時空点の座標を表わすので、求めた有効作用からその間に働く力について調べた。長距離に おいては引力が働き、近距離では斥力が働く。特にオリエンティフォールディングの効果に よって時空点にはそれぞれ鏡像点が存在し、その点との相互作用により4つの特別な方向が選 ばれ4次元時空の生成が示唆される。 教育・研究業績 学術論文 1. H. Itoyama, K. Maruyoshi and S. Minato, ``Low Energy Processes Associated with Spontaneously Broken N=2 Supersymmetry,'' Nucl. Phys. B830 (2010) 1-6. 59 2. H. Itoyama, K. Maruyoshi and T. Oota, ``Quiver Matrix Model and 2d-4d Conformal Connection,'' Prog. Theor. Phys. 123 (2010) 957-987. 3. H. Itoyama and T. Oota: “Method of Generating q-Expansion Coefficients for Conformal Block and N=2 Nekrasov Function by β-Deformed Matrix Model,” Nucl. Phys. B838: B838 298-330, 2010 4. H. Itoyama, T. Oota and N. Yonezawa: “Massive Scaling Limit of beta-Deformed Matrix Model of Selberg Type,” Phys. Rev. D 82, 085031, 2010 5. T.Oota and Y.Yasui: “Separability of Gravitational Perturbation in Generalized Kerr-NUT-de Sitter Spacetime”, Int. J. Mod. Phys. A25 25 (2010) 3055-3094 6. R Yoshioka: “Effects of Matrix Orientifolding to Two-Loop Effective Action of Bosonic IB Matrix Model”, arXiv:1009.1695[hep-th] 7. T. Houri, D.Kubiznak, C.M. Warnick and Y.Yasui: “Generalized hidden symmetries and the Kerr-Sen black hole ”, JHEP (2010) 1007:055. 8. T. Houri, D.Kubiznak, C.M. Warnick and Y.Yasui: “Symmetries of the Dirac operator with skew-symmetric torsion”, Class. Quant. Grav. 27 (2010) 185019 9. G. W. Gibbons, T. Houri, D. Kubiznak and C. M. Warnick, ``Some Spacetimes with Higher Rank Killing-Stackel Tensors,'' Phys. Lett. B700 (2011) 68-74. 国際会議講演 1. Hiroshi Itoyama, ``Developments in the β-Deformed Matrix Model of Selberg Type,'' 3rd Workshop on Geometric Methods in Theoretical Physics , Sissa, Trieste, Italy, July 8, 2010. 2. Y.Yasui: “Compact Einstein Manifold from Kerr-NUT-de Sitter Black Hole”, NIMS Workshop on Differential Geometry, Gravitation and String Theory, Ewha Womans Univ., Korea, August 2010. (招待講演) 3. T. Oota: “Nekrasov Function and Beta-Deformed Matrix Model of Selbeg Type,” <<Synthesis of integrabilities in context of gauge/string duality>> conference, Math Department of Higher School of Economics, Moscow, Russia, September 20, 2010. 4. Tsuyoshi Houri, ``Generalized hidden symmetries and the Kerr-Sen black hole,'' The 20th Workshop on General Relativity and Gravitation in Japan (JGRG20), Kyoto University, September 21, 2010. (Poster Presentation) 学会・研究会講演 1. 糸山 浩司, 大田 武志, 米澤 信拓, ``AGT対応に関連するbeta-deformed matrix modelの進 展,'' 日本物理学会 第66回年次大会, 新潟大学五十嵐キャンパス, 2011年3月26日. 2. 糸山 浩司, 京都大学,”Progress in the β-Deformed Matrix Model of Selberg Type” 2010年10月 3. 糸山浩司, “Developments in the β-Deformed Matrix Model of Selberg Type” 基研研究 会「場の理論と超弦理論の最先端」, 京都大学基礎物理学研究所, 2010年7月23日 4. 糸山浩司, 「場の量子論と超紐(弦)の30年-歴史的概観」, 学内重点研究会 「アインシュタ 60 インの物理」冬のセミナー, セミナーハウス未来塾和歌山県紀美野町, 2011年2月20日 5. 安井幸則,“Higer-dimensional charged Kerr-NUT black hole and HKT structure,”場の理 論と超弦理論の最前線, 京都大学基礎物理学研究所, 2010年7月 6. 安井幸則, “高次元ブラックホールの対称性,”研究集会「重力・幾何・素粒子」,大阪市立 大学, 2010年9月 7. 大田武志:“Beta-deformed Matrix Model and Nekrasov Function,” 大阪市立大学理学研 究科数理物理研究室, 2010年7月27日 8. 大田武志:``Beta-deformed Matrix Model and Nekrasov Function,” 第二回日露共同研究国 内working seminar (名古屋), 名古屋大学理学部, 2010年8月3日 9. 大田武志:「Selberg積分にもとづくbeta-deformed matrix modelの進展」, 日本物理学会2010 年秋季大会, 北九州工業大学, 2010年9月14日 10. 大田武志:“Gauge theories and beta-deformed matrix model of Selberg-type,” 大阪市 立大学研究会「重力・幾何・素粒子」, 2010年9月29日 11. 大田武志: “Beta-Deformed Matrix Model of Selberg Type and its Massive Scaling Limits,” 東京工業大学素粒子論研究室, 2011年2月16日 12. 大田武志: “Beta-deformed matrix models and N=2 gauge theories,” 日本物理学会第66 回年次大会, 新潟大学, 2011年3月26日 13. 米澤信拓: “弱引力領域におけるLieb-Liniger 模型の状態方程式と相転移, ” 日本物理学 会2010 年秋季大会, 大阪府立大学中百舌鳥キャンパス, 2010年9月26日 14. 吉岡礼治: “Effects of orientifolding in IIB matrix model” NTNUセミナー, 台湾師範 大学, 台湾, 2011年3月10日 15. 米澤信拓: 「量子力学における境界条件について」, 重点研究セミナー「アインシュタイン の物理」, セミナーハウス未来塾, 和歌山, 2010 年 2 月 21 日 16. 米澤信拓: 「量子境界条件、量子点状相互作用の一般論と熱平衡状態」, 数理セミナー, 大 阪市立大学, 学術情報総合センター9 階グループ研究室 2, 2010 年 6 月 15 日 17. Tsuyoshi Houri: “Hidden symmetries of higher-dimensional charged rotating black holes”, Seminar, National Taiwan Normal University (NTNU), Taiwan, April 1, 2010 18. 宝利剛, D.Kubiznak, C.M.Warnick, 安井幸則,``Generalized conformal Killing-Yano symmetry and Kerr-Sen black holes,'' 日本物理学会 2010 年秋季大会, 九州工業大学戸畑 キャンパス, 2010 年 9 月 11 日 19. 宝利剛, D.Kubiznak, C.M.Warnick, 安井幸則, ``Hidden symmetry of supergravity black holes,''日本物理学会 第 66 回年次大会, 新潟大学五十嵐キャンパス, 2011 年 3 月 28 日 20. 宝利剛, 「Generalized hidden symmetries and the Kerr-Sen black hole」研究会「重力・ 幾何・素粒子」, 大阪市立大学, 2010 年 9 月 27 日-29 日(ポスター発表) 21. 宝利剛, 「Generalized hidden symmetries and the Kerr-Sen black hole」Seminar, Univerisity of Alberta, Edmonton, Canada, Octover 15, 2010 22. 宝利剛, 「Generalized hidden symmetries and the Kerr-Sen black hole」セミナー, 東京 工業大学, 2011 年 1 月 15 日 61 23. 宝利剛,「Generalized hidden symmetries and the Kerr-Sen black hole」Seminar, ITP Charles University, Prague, Czech Republic, March 1, 2011 24. 宝利剛, 「Hidden symmetries of higher-dimensional charged rotating black holes」素 粒子論研究室セミナー, 京都大学, 2010 年 6 月 2 日 25. 宝利剛, 「Hidden symmetries of higher-dimensional charged rotating black holes」宇 宙物理・重力研究室コロキウム, 大阪市立大学, 2010 年 7 月 2 日 その他 1. 糸山浩司, 素粒子物理学に於ける対称性の自発的破れ,『科学基礎論研究』2010年 第113 号 Vol. 37 No. 2 (特別寄稿)(大阪市立大学杉本キャンパスに於ける特別講演に基づく。) 2. 吉岡礼治“Introduction to localization”集中講義, 2011年3月28, 29日, 大阪市大 3. 阪口真(2003,2004年度メンバー)が2010年度数学研究会特別賞(OCAMI Association Special Prize)を受賞。受賞題目:「スペシャルケーラー幾何に基づく超対称性の自発的部分的破れ の研究」。受賞講演,2011年2月3日。 学位論文 修士論文 1. 出口翔, N=2超対称U(1)ゲージ理論におけるケーラー項へのループ補正 2. 松田元一, 直積ゲージ群におけるN=2超対称性の自発的破れ 3. 姫島智樹, AdS/CFT対応の検証~Heun方程式と佐々木-Einstein多様体~ 研究助成金取得状況 1. 糸山浩司: 日本学術振興会・基盤研究(C)・研究代表者, No.20540278「ゲージ理論と紐理論に 於ける可積分性の出現と非摂動効果の解明」117万円 2. 安井幸則: 日本学術振興会・基盤研究(A)・研究分担者, No.21244003「AdS/CFT対応とGIT安定 性」30万円 3. 糸山浩司:日本学術振興会・二国間交流事業ロシアとの共同研究・研究代表者,「ゲージ理論 と弦理論の双対性に立脚する可積分性の統合」250万円 海外出張および海外研修 1. 糸山浩司:3rd Workshop on Geometric Methods in Theoretical Physics , Sissa, Trieste, Italy, July 5 -10, 2010に出席、講演。 2. 糸山浩司:Math Department of Higher School Economics, Moscow, Russia, 2010年9月20日 -24 日 , <<Synthesis of integrabilities in the context of gauge/string duality>> conference に出席。 3. 安井幸則:Ewha Womans Univ. Korea, 2010年8月17日-20日, NIMS Workshop on Differential Geometry, Gravitation and String Theoryに出席・発表。 62 4. 安井幸則:ケンブリッジ大学, 2011年2月8日-23日, 高次元ブラックホールに関する共同研究. 5. 大田武志:Math Department of Higher School Economics, Moscow, Russia, 2010年9月20日 -24 日 , <<Synthesis of integrabilities in the context of gauge/string duality>> conference に出席・発表 6. 吉岡礼治、日本学術振興会 組織的な若手研究者等海外派遣プログラム「数学研究所がリード する数学・数理科学の国際的若手研究者の育成」により台湾師範大学を訪問。 台北, 台湾, 2011年2月15日-3月20日, 台湾師範大学においてセミナー発表 7. 宝利剛, 日本学術振興会 組織的な若手研究者等海外派遣プログラム「数学研究所がリードす る数学・数理科学の国際的若手研究者の育成」により三カ国(アルバータ大学・カナダ・2010 年10月1日-2010年12月28日、ケンブリッジ大学・英国・2011年1月17日-2011年3月20日、チャ ールズ大学・チェコ・2011年2月28日-2011年3月7日)を訪問し,高次元ブラックホールに関 する共同研究を行った. その他 1. 糸山浩司:京都大学基礎物理学研究所運営協議委員。 2. 糸山浩司:理化学研究所協力研究員。 3. 糸山浩司・安井幸則:本学物理学科の公式活動として、他研究室の教員数人とともに大手前 高校のSSHプログラムを、受け入れ大学研究者として援助推進した。 4. 糸山浩司・安井幸則:宇宙・重力グループと協力して大阪市立大学研究会「重力・幾何・素 粒子」, 2010年9月27‐29日を学術情報センター10階にて開催した。 5. 糸山浩司:学振日露共同研究の一環として開催された国際会議<<Synthesis of integrabilities in context of gauge/string duality>> Math Department of Higher School of Economics, Moscow, Russia, September 20‐24, 2010の日本側取りまとめ役を果たした。 6. 糸山浩司:日露共同研究のメンバーと協力し、日露共同研究国内working seminar を梅田、 名古屋、大岡山周り持ちで今年度5回実施した。 7. 宝利剛:関西地区若手有志と協力し、大阪素粒子セミナーを梅田文化交流センターに於いて 今年度5回実施した。 63 宇宙物理研究室 石原 秀樹 浜端 広充 教授 准教授 松野 木村 孝森 伊形 龍岡 研 (数学研究所研究員) 匡志(数学研究所研究員) 洋介(D4) 尚久(D2) 聖満(D1) 高田 西脇 荒木 加納 桝田 真聡(M2) 圭亮(M2) 彩人(M1) 有規(M1) 篤樹(M1) 研究概要 <重力理論分野> 宇宙物理(重力)グループは,アインシュタインの一般相対性理論を基礎として, 宇宙に おける強い重力場を伴う物理的現象を重点的に研究している.素粒子論研究室とはコロキウ ムを共同開催し,研究・教育も協力して行っている.また,数理物理研究室とも盛んな研究 交流がなされている.2010年度に行った研究を以下にまとめる. 1. 高次元ブラックホール(龍岡,伊形,孝森,西川,木村,松野,石原) 重力を含む統一理論では,高次元時空が示唆される.これを検証する鍵となるのが高次元 時空におけるブラックホールであると考えられている.今年度は以下の様な研究を行った. ・ 奇数次元の最大荷電ブラックホール計量の解析性. ・ Kaluza-KleinブラックホールのHawking放射. ・ Kaluza-Kleinブラックホールの安定性解析. ・ ブラックリングの周りの安定束縛軌道の存在. 2. 外場からの力を受けている粒子の運動の定数(伊形,石原,古池(慶応大)) 電磁場から力を受けつつ曲った時空中を運動する荷電粒子が保存量が満足する方程式を導 出し,高次元ブラックホールにおける保存量の存在を示した. 3. 宇宙ひも(西脇,伊形,石原) 5次元の平坦な時空中において定常回転するストリングの古典解を解析的に求めた.特に, 閉じた定常ストリングの存在を示した. 4. ブラックホール磁気圏(孝森,木村,石原,中尾,柳(基研研究員)) 縮退するホライズンをもつ球対称なブラックホールを用いて,定常軸対称force-freeプラ ズマ-電磁場系を記述する Grad-Shafranov 方程式を摂動的に取り扱う方法を定式化した. 5. ボース・アインシュタイン凝縮体による曲がった時空のアナロジー (坪田,石原,栗田(神奈川工大),小林(東大)) ボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)を用いて曲った時空のアナロジーを構成し, 量子場の粒子生成が,凝縮体に対する反作用を定式化した. 6. ブラックホール・シャドウ(高田,伊形,石原) ブラックホールのホライズンの大きさ程度の分解能をもった観測がなされたとき,ブラ ックホールの光学的な像がどのように見えるか,球対称光源の明るさの分布の研究をした. 7. 最大回転ブラックホールのまわりでの粒子の衝突(木村,原田(立教大)) 最大回転ブラックホールの最内安定円軌道で粒子の衝突が起こるときの粒子の完成中心 系でのエネルギーを評価した. 64 <流体・プラズマ物理分野> 1. HALL MHD方程式に対する非線形磁気流体波の厳密解(浜端) 理想および非理想の MHD 方程式に対する非線形磁気流体波について,これまで数多 く厳密解を見いだしてきた.今回 HALL 効果を考慮した MHD 方程式に対する非線形磁 気流体波の厳密解について研究し,2次元および軸対称の非線形磁気流体波の厳密解が存 在することを明らかにした. また,昨年度に引き続き,自己重力のある非理想の成層流体中で,温度勾配によりつ くられる対流力が存在する場合の非線形磁気流体波の厳密解についても検討中である. 2. Firehose不安定の非線形発展(浜端) 温度異方性のあるプラズマ中で生じるマクロな不安定である firehose 不安定の非線形 発展について研究し,イオンの有限ラーマー半径効果を考慮した CGL 方程式を数値解析 することにより,firehose 不安定の非線形の時間発展を調べている.既に,知られている 非線形の解析解は不安定で,この解は現実には実現されず,実際には firehose 不安定はカ オス的になっていくことを明らかにしている.昨年度に引き続き、解析解がカオス解へ 移行するに当たり,乱れの磁気エネルギーの空間一様性が壊れていくことに着目し,そ の効果を取り入れた基礎方程式系を導き,その方程式系を用いて,firehose 不安定の非線 形発展の数値解析を行いつつある.更に,波動・粒子共鳴相互作用等運動論的効果を考 慮するため,Vlasov 方程式に基づく理論解析および数値シミュレーションについても検 討中である. 3. 大 振 幅 Alfvén波 の パ ラ メ ト リ ッ ク 不 安 定 ( 浜 端 ) これまで大振幅のAlfvén波のパラメトリック不安定に関する研究の殆どはMHD方程式に 基づくもので,波動-粒子共鳴相互作用の効果は考慮されてこなかった.昨年度に引き 続き,Vlasov方程式に基づいた線形解析による大振幅のAlfvén波のパラメトリック不安定 への運動論的効果についての研究を進行中である.また,大振幅Alfvén波のスペクトルの 広がりの効果についてもMHD方程式とともにVlasov方程式に基づいた研究についても取 りかかりつつある.更に,不安定の非線形発展については,数値シミュレーションの手 法を用いた研究も検討中である. 教育・研究業績 学術論文 1. Ken Matsuno, Koichiro Umetsu "Hawking radiation as tunneling from squashed Kaluza-Klein black hole." Phys.Rev. D83 (2011) 064016 2. Tomohiro Harada, and Masashi Kimura "Collision of an innermost stable circular orbit particle around a Kerr black hole." Phys.Rev. D83 (2011) 024002 3. Y.Takamori, K.-i.-Nakao, H.Ishihara, M.Kimura and C.-M.Yoo "Perturbative Analysis of a Stationary Magnetosphere in an Extreme Black Hole Spacetime : On the Meissner-like Effect of an Extreme Black Hole" Mon. Not. Roy. Astron. Soc. 412, (2011) 2417–2432 4. Y.Kurita, M.Kobayashi, H.Ishihara and M.Tsubota, "Particle creation in Bose-Einstein condensates: Theoretical formulation based on conserving gapless mean field theory" 65 Phys. Rev. A 82 (2010) 053602 5. Ryusuke Nishikawa, and Masashi Kimura "Stability analysis of Squashed Kaluza-Klein Black Holes with Charge." Class.Quant.Grav. 27 (2010) 215020 6. T.Igata, H.Ishihara and Y.Takamori "Stable Bound Orbits around Black Rings" Phys. Rev. D 82 (2010) 101501 7. T.Igata, T.Koike and H.Ishihara "Constants of Motion for Constrained Hamiltonian Systems: A Particle around a Charged Rotating Black Hole" Phys. Rev. D 83 (2011) 065027. 国際会議発表 1. Igata Takahisa, H.Ishihara, Y.Takamori, “Stable Bound Orbits around Black Rings”, The 20th workshop on General Relativity andGravitation in Japan (JGRG20) 21-25 Sept.2010, Yukawa Institute for Theoretical Physics, Kyoto University 2.Kozaki Hiroshi, Hideki ISHIHARA, and Tatsuhiko KOIKE “Dynamics of membranes with symmetry and projection formalism” The 20th workshop on General Relativity and Gravitation in Japan (JGRG20) 21-25 Sept. 2010, Yukawa Institute for Theoretical Physics, Kyoto University 3. Yasunari Kurita1, Michikazu Kobayashi, Hideki Ishihara, and Makoto Tsubota. “Backreaction problem in Bose-Einstein condensates: an analogy with curved spacetime” The 20th workshop on General Relativity and Gravitation in Japan (JGRG20) 21-25 Sept. 2010, Yukawa Institute for Theoretical Physics, Kyoto University 4. K. Matsuno, H. Ishihara, M. Kimura, S. Tatsuoka “Multi-black strings in five-dimensional Einstein-Maxwell theory” The 20th workshop on General Relativity and Gravitation in Japan (JGRG20) 21-25 Sept. 2010, Yukawa Institute for Theoretical Physics, Kyoto University 学会・研究会講演 1. 坂井伸之,石原秀樹,中尾憲一 “U(1)対称性を含むスカラー場の新しいソリトン解” 日本物理学会第66回年次大会(新潟大学、3月25日~28日) 2. 原田知広,木村匡志 “Kerrブラックホール周りのISCO粒子の衝突” 日本物理学会第66回年次大会(新潟大学、3月25日~28日) 3. 龍岡聖満,石原秀樹A,松野研B,木村匡志 “ひねられた余剰次元を持つ奇数次元の最大荷電ブラックホール” 日本物理学会第66回年次大会(新潟大学、3月25日~28日) 4. 孝森洋介,形尚久,石原秀樹 “ブラックリング周りの光子の安定束縛軌道” 日本物理学会第66回年次大会(新潟大学、3月25日~28日) 5. 伊形尚久,石原秀樹,孝森洋介 “ブラックリング時空における粒子軌道のカオス性” 日本物理学会第66回年次大会(新潟大学、3月25日~28日) 6. 伊形尚久,石原秀樹,孝森洋介 “ブラックリング周りの粒子の安定束縛軌道” 66 日本物理学会2010年秋季大会, 九州工業大学 2010 9月11日-14日 7. 栗田泰生,小林未知数,石原秀樹B,坪田誠 “粒子生成による反作用効果の取り扱いについて:ボース・アインシュタイン凝縮体の場 合”日本物理学会2010年秋季大会, 九州工業大学 2010 9月11日-14日 8. 伊形尚久 “ブラックリング時空中の安定束縛軌道とそのカオス性” 第12回特異点研究会『特異点と時空、および関連する物理』 2011 年1月8日~1月10日 神奈川工科大学 9. 孝森洋介 “定常ブラックホール磁気圏の摂動解析” 第4回ブラックホール磁気圏勉強会 2011年2月28日~3月2日大同大学 10. 石原秀樹 “一般相対論のツボ: 相対論のブラックホール” 第4回ブラックホール磁気圏勉強会2011年2月28日~3月2日大同大学 その他 1. 石原秀樹 “~宇宙への招待~ ブラックホールとは、なんだろう?” 近鉄文化サロン共催講座 2010 年 12 月 18 日 2. 石原秀樹 “ブラックホールの物理学” 第3回「“宇宙(天文)を学べる大学”合同進学説明,天文講演会 2010年6月12日 学位論文 修士論文 1. 高田真聡 “シュワルツシルトブラックホールまわりの球対称連続光源の見え方” (OPTICAL APPEARANCE OF SPHERICALLY SYMMETRIC CONTINUOUS LIGHT SOURCE SURROUNDING A SCHWARZSCHILD BLACK HOLE) 2011年3月 2. 西脇圭亮 “5次元ミンコフスキー時空における定常なストリング” (Stationary strings in five-dimentional Minkowski spacetime) 2011年3月 博士論文 1. 孝森洋介 “Perturbative Analysis of Stationary Black Hole Magnetospheres” (定常ブラックホール磁気圏の摂動解析) 2010年 3月24日 研究助成金取得状況 1. 石原秀樹:学術振興会・基盤研究(C)(代表) 「大域的に非自明な漸近平坦性をもつ高次元ブラックホール」 海外出張および海外研修 1. 伊形尚久:Spanish Relativity Meeting - ERE 2010, 2010 Sept.6-10, Granada Spain 出席・発表 67 原子核理論研究室 櫻木 弘之 有馬 正樹 教授 准教授 中村 拓馬 (M1) 徐 裕貴 (M1) 鈴木 博之 (M1) 寺尾 昌樹 (B4) 渡辺 実希生(B4) 研究概要 1. πN → ππN 反応に対する核子共鳴 N(1520) の寄与(平尾、有馬、鎌野(阪大理)) πN 散乱の解析で見出される核子の共鳴状態の研究は、核子の内部構造を明らかにす るための重要な手がかりである。特に、πN →ππN 反応の解析は πN 弾性散乱の解析と並 ぶ貴重な情報源である。それは、この反応がπN 散乱における最大の非弾性チャンネルで あり、多くの共鳴状態がππN状態に崩壊するからである。これまでの研究で、この反応に 対する∆(1232) や N(1440) の寄与が定量的に見積もられ、それらの役割の重要性を指摘 した。本研究は、それを発展させて、新たに N(1520) という共鳴状態を考慮したもので ある。反応の微分断面積などを評価することにより、N(1520) の寄与が期待通りに大き いことがわかった。また、このことを踏まえて、N(1520) が関わる反応の強さを定量的 に評価することができた。 2. 高エネルギー領域における核間ポテンシャルの斥力転移について(古本、櫻木) 複素G行列理論を用いた原子核間相互作用に関する昨年度までの研究で、原子核間の微 視的光学ポテンシャルの実部が、入射エネルギーが E/A=200~300 MeV以上の高エネルギ ー領域では斥力になる可能性を示唆したが、この領域で弾性散乱実験を行った場合、散乱 断面積の角分布にこの斥力性が、エネルギーの変化に伴ってどのように現れるかを、散乱 振幅のnearside/farside分解法を用いて詳細に分析し、引力→斥力転移の実験的検証の可能 性と必要な精度や散乱角度領域についての具体的な提案を行い、国際会議録および論文と して出版した(論文3,6,7)。 3. 偏極陽子+8B散乱における8B→7Be+p分解過程および7Beコア核の効果(堀井、古本、櫻木) 8 B≒4He+3He+p三体模型に基づいて、偏極陽子と8Bの弾性散乱における8B→7Be+p分解過 程および7Beコア核の 7Be→4He+3He 分解過程の効果を、断熱リコイル近似およびCDCC法 を用いて研究した昨年度の研究成果を論文にまとめて出版した(論文2,5)。 68 4. 複素G行列CEG07に基づく重イオンglobal optical potential の研究 (古本、堀内(新潟大)、高階(阪大)、櫻木、山本(都留文科大) ) 現在、理研のRIBFをはじめとする不安定核ビーム実験施設で生成され核反応実験に供さ れる、E/A=100~400 MeV領域での多くの不安定核について、それらと種々の標的核との光学 ポテンシャルが核反応分析で不可欠となるが、このエネルギー領域では、安定核でも弾性散 乱の実験データが殆どなく、不安定核では更に(今後も)実験が難しいために、現象論的な 光学ポテンシャルを得ることができず、これが核反応分析の大きなネックになっている。こ のような中、昨年度より、我々は複素G行列有効核力CEG07を用いたfolding modelに基づき、 炭素(C)、酸素(O)、ネオン(Ne)、マグネシウム(Mg)、ケイ素(Si)、硫黄(S)、アルゴン(Ar)、カ ルシウム(Ca)の、proton drip line から neutron drip line までの全偶々核同位体(下図)を入射 粒子とし、12C, 28Si, 40Ca, 58Ni, 90Zr, 120Sn, 208Pbを標的核とするすべての組み合わせの散乱系につ いて「複素光学ポテンシャル」をE/A=50~400 MeV まで理論的に計算し、そららを使いやす い形で関数化した「重イオンglobal optical potential」作成プロジェクトを遂行し、第一段階の 計算と分析をほぼ終えた。 教育・研究業績 学術論文 1. M. Takashina, T.Furumoto, and Y.Sakuragi, “16O+16O inelastic scattering studied by a complex G-matrix interaction”, Phys. Rev. C 81, 047605-1 – 047605-4 (2010). 2. K. Horii, M. Takashina, T. Furumoto, Y. Sakuragi, and H. Toki “Elastic scattering of 8B from 12C with internal three-cluster structure of 8B”, Phys. Rev. C 81, 061602-1(R) – 061602-5(R) (2010). 3. T. Furumoto, Y. Sakuragi and Y. Yamamoto “Importance role of three-body repulsive force effect in nuclear reactions” European Physical Journal Web of Conferences, 3, 06011 (2010) 9 pages. 4. T.Furumoto, Y.Sakuragi, and Y. Yamamoto, “Erratum: Effect of repulsive and attractive three-body forces on nucleus-nucleus elastic scattering”, Phys. Rev. C 82, 029908(E) (2010) (3 pages). 5. K. Horii, M. Takashina, H. Toki, T. Furumoto and Y. Sakuragi “Elastic scattering of 8B from 12C with internal three cluster structure of 8B” Hadron and Nuclear Physics 09, (World Scientific, 2010), 374-377 6. Y. Sakuragi, T. Furumoto and Y. Yamamoto “Present Status of microscopic theory for complex nucleus-nucleus interactions” Hadron and Nuclear Physics 09, (World Scientific, 2010), 348-360 7. T. Furumoto, Y. Sakuragi, and Y. Yamamoto, “Repulsive nature of optical potentials for high-energy heavy-ion scattering”, Phys.Rev.C82, 044612(2010) (14 pages) 69 国際会議会議録 1. T. Furumoto, Y. Sakuragi, Y. Yamamoto, “Role of three-body forces in proton and heavy-ion scattering”, The International Nuclear Physics Conference 2010 (INPC2010) , (July 4-9, 2010, Vancouver, Canada), e-published in th Open Access Journal of Physics: Conference Series (JPCS) (in press). 国際会議発表 国際会議発表 1. T. Furumoto, Y. Sakuragi, Y. Yamamoto, “Role of three-body forces in proton and heavy-ion scattering”, The International Nuclear Physics Conference 2010 (INPC2010) , (July 4-9, 2010, Vancouver, Canada) 2. Y.Sakuragi, “Recent development on nuclear reaction theory” (invited talk), International Symposium on Asian Nuclear Science (ISANS), (Oct.14-15, 2010, Beihang University, Beijing, China) 学会・研究会講演 1. 櫻木弘之「核反応に用いる核間相互作用モデルの現状と課題」(RCNP研究会「不安定核 を用いた核反応機構の研究」、阪大核物理研究センター、2010年8月2日~4日) 2. 高階正彰、古本猛憲、櫻木弘之「16O のクラスター状態と 非弾性散乱における多段階効 果」(RCNP研究会「少数粒子系物理の現状と今後の展望」2010年8月21日-22日、福岡) 3. 堀井香織、高階正彰、古本猛憲、櫻木弘之、土岐博 「Elastic scattering 8B from 12C target with internal three cluster structure」(RCNP研究会「少数粒子系物理の現状と今後の展望」 2010年8月21日-22日、福岡) 4. 古本猛憲、櫻木弘之、山本安夫「現実的核力に基づく 原子核間光学ポテンシャルの 高 エネルギー領域での振る舞い」(RCNP研究会「少数粒子系物理の現状と今後の展望」2010 年8月21日-22日、福岡) 5. 古本猛憲、櫻木弘之、山本安夫「Important role of three-body forces effect on nucleus-nucleus elastic scattering」日本物理学会2010年秋季大会(九州工業大学, 2010年9月11-14日) 6. 古本猛憲、堀内渉、高階正彰、櫻木弘之、山本安夫「不安定核における微視的グローバル光学 ポテンシャルの構築」日本物理学会第66回年次大会(新潟大学, 2011年3月25-28日→震災 の為、学会中止) 海外出張および海外研修 1. 櫻木弘之、北京航空航天大学(中国), 2010年10月14日‐15日, アジア原子核科学国際シ ンポジウム(International Symposium on Asian Nuclear Science (ISANS)) 出席、招待講演。 学位論文 なし 研究助成金獲得状況 なし 70 その他 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 櫻木弘之:理化学研究所客員主管研究員(兼職)(仁科加速器研究センター中務原子核 理論研究室) 櫻木弘之:先端研究拠点事業-国際戦略型-(2008年度~2010年度)「エキゾチック・ フェムトシステム研究国際ネットワーク」に、協力研究機関・協力研究者として参加 櫻木弘之:RCNP研究会「不安定核を用いた核反応機構の研究」(2010年8月2日-4日) 世話人 櫻木弘之:RIKEN RIBF Users Executive Committee (UEC) 委員(Oct.2009 – Sept.2012) 櫻木弘之:Yukawa International Seminar (YKIS) 2011 "Frontier Issues in Physics of Exotic Nuclei" (YKIS2011) : International Advisory Committee (IAC)委員 (Oct.2009-Oct.2011) 櫻木弘之:高校出張授業:大阪府立三国丘高校・三丘セミナー(2010年7月16日) 櫻木弘之:高校出張授業:大阪府立天王寺高校(2010年11月10日) 櫻木弘之:研究科長(2010年4月1日~) 71
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