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平成26年度 第1回 一般検査研修会
平成26年8月2日(土) 川崎医科大学現代医学博物館
体腔液検査の基礎
独立行政法人 労働者健康福祉機構
岡山ろうさい病院
中央検査部 友森 佐規子
本発表に関連し、開示すべきCOI関係にある企業はありません。
体腔の解剖・体腔液とは
体腔
胸腔:横隔膜より上部で胸壁に囲まれた空間。縦隔で左右に
分かれる。
腹腔:横隔膜より下部で、腹壁に囲まれた空間。
心腔:心臓が入っている空間。
右胸腔
心腔
腹腔
腹腔
左胸腔
体腔液
体壁側を覆っている漿膜(胸膜、腹膜、心膜)と臓器表面を
覆っている漿膜の間の空間(胸膜腔、腹膜腔、心膜腔)に
貯留する液体。
胸水:10~15mL
腹水:20~50mL
心嚢液:20~50mL
検査の目的
肉眼、生化学・免疫学的検査、細菌学的検査、細胞形態学的検査
により炎症、循環障害、悪性細胞などの体腔液貯留の原因を探す。
体液の分布
体
液
細 胞 外 液
細 胞 内 液
血
間 質 液
場 所
分布比
細
胞
内
8
(体重の40%)
2
間
質
漿
毛 細 血 管
3
(体重の15%)
1
(体重の5%)
1
病気がみえる 腎・泌尿器 vol.8 より引用改編
体腔液産生のメカニズム
間質
通常
リンパ管
間質液
膠質浸透圧
動脈側
間質液増加
間質液の過剰分が流入
静水圧
静脈側
毛細血管
毛細血管
間質
④リンパ管閉塞
間質液
①血管透過性亢進
②膠質浸透圧低下
③静水圧上昇
動脈側
毛細血管
間質液の移動
静脈側
内科学 第10版より引用改編
矢印の幅は
圧の大きさを表す
胸膜の解剖・胸水産生
pleural effusion
壁側胸膜
(肋骨胸膜)
臓側胸膜
・胸膜腔内は、常に陰圧に保たれている。このため肺は胸膜腔
一杯に膨張している。
・胸水は、正常でも10~15mL存在し、壁側胸膜(胸壁や縦隔、
横隔膜を覆う膜)と臓側胸膜(肺そのものを覆う膜)の癒着を
防ぎ呼吸で摩擦が生じないように潤滑剤として働く。
壁側胸膜
(縦隔胸膜)
・胸膜は単層扁平の中皮細胞により覆われており、中皮細胞の
下の結合組織には豊富な毛細血管とリンパ管が発達している。
壁側胸膜
(横隔胸膜)
・胸水の生成と吸収は、毛細血管と胸膜腔との静水圧と膠質浸
透圧のバランスによって成り立っている。
・胸水は、壁側胸膜の毛細血管から間質液がしみ出すことで産
生され、主に壁側胸膜のリンパ管から吸収される。臓側胸膜
からもわずかに吸収されている。
拡大図
胸水貯留の原因
pleural effusion
胸水産生
胸水貯留
漏出性胸水
滲出性胸水
胸膜腔
胸膜腔
水分
産生
産生
毛細血管
肺
実
質
吸収
吸収
臓側胸膜
壁側胸膜
リンパ管
肺
実
質
産生
産生
産生
吸収
臓側胸膜
胸水
病気がみえる 呼吸器 vol.4 より引用改編
吸収
壁側胸膜
壁側胸膜
胸膜炎症
毛細血管透過性
静水圧 ⇑⇑
毛細血管透過性 ⇑
静水圧 ⇑
膠質浸透圧⇓
膠質浸透圧 ⇓
水分や蛋白、細胞(炎症
細胞など)が胸膜腔へ
主に水分が胸膜腔へ
胸水
胸水
産生が吸収を上回り、吸収できない
大循環による静水圧の増加・・・うっ血性心不全
胸膜の炎症による血管透過性亢進・・・胸膜炎
胸水が胸膜腔に溜まる
血漿の膠質浸透圧の低下・・・・低アルブミン血漿(肝硬変など)
胸膜のリンパ管圧の上昇・・・・・・・・・・・腫瘍などによる
胸腔内圧の低下・・・・・・・・・・・・無気肺
リンパ管閉塞
主に水分が胸膜腔へ
胸水の分類
pleural effusion
滲出液と漏出液の鑑別
検査項目
滲出液
漏出液
原因
毛細血管の透過性の亢進
リンパ管による吸収低下
静水圧の上昇
膠質浸透圧の低下
外観
混濁
透明~淡黄色
比重
≧1.018
≦1.015
蛋白
≧4.0g/dL
≦2.5g/dL
LD
≧200U/L
<200U/L
リバルタ反応
+
-
細胞種類
中皮細胞・好中球・リンパ球・組織球
組織球・中皮細胞
Lightの基準
①~③のうちいずれか1つを満たす
①~③いずれも満たさないもの
①胸水蛋白/血清蛋白
②胸水LD/血清LD
③LD
血清‐胸水アルブミン濃度差
(SEAG)
SEAG:serum-effusion albumin gradient
<1.2g/dL
≧0.5
≧0.6
≧血清LD正常上限×2/3
≧1.2g/dL
胸水の検査
pleural effusion
生化学・免疫学的検査
検査項目
基準(目安)
考えられる疾患
pH
約7.60
pHの低下は胸水中への胸膜あるいは細菌からの酸産生の増加、胸
腔からの酸流出低下によっておこる
pH≦7.30 肺炎,膿胸,癌性胸水,結核,SLE
pH≦6.00 食道破裂
グルコース
血中とほぼ同じ
≦60mg/dLあるいは胸水/血清比≦0.5
リウマチ性胸膜炎,膿胸,癌性胸水,結核
アミラーゼ
血中,尿中より低値
胸水/血清比≧1.0 急性膵炎,悪性腫瘍,食道破裂
ADA
参考(血中)
5~20U/L
≧ 40U/L結核性胸水
CEA
参考(血中)
≦5ng/mL
≧10ng/mL 癌性胸水(感度50%以下)
血清中より6倍以上高値で診断意義高い
ヒアルロン酸
参考(血中)
≦50ng/mL
≧10万ng/mL 悪性中皮腫
TG
結核性胸水 アイソザイムADA2優位,
細菌性胸水 アイソザイムADA1優位
≧110mg/dL 乳び胸
Medical Technology 2005 vol.33 No.13より引用改編
腹膜の解剖・腹水産生
peritoneal effusions/ascites
・腹膜は、胃や肝臓といった腹部の臓器全体ないし一部を覆っており、
表面は中皮細胞で覆われている。
・腹腔臓器の外表を覆う臓側腹膜と腹腔臓器を腹壁につなぎ留める
間膜、腹壁を覆う壁側腹膜があり、膜表面の総面積は1.7~2.0m2
にも及ぶ。
・腹水は、正常でも20~50mL存在し腹腔内臓器の運動の摩擦を防い
でいる。
・腹水の発生機序としては、膠質浸透圧の低下、門脈圧亢進、レニン・
アンギオテンシン・アルドステロン系の亢進、血管透過性の亢進、リン
パ管の破綻などがあげられる。
胃
肝臓
腎臓
膵臓
腎臓 脾臓
下大静脈
腹大動脈
腹部横断面
腹腔内臓器:胃、肝臓、脾臓、小腸、結腸、直腸、卵巣、子宮体部、大網など
腹膜下後器官(後腹膜下器官):膵臓、腎臓、十二指腸、副腎、膀胱、腹部大動脈、腹部下大
静脈、尿管、腎動静脈、脾動静脈、精巣卵巣動静脈など
腹水貯留の原因
peritoneal effusions/ascites
滲出性腹水・・・血管透過性の亢進と腹膜リンパ管の吸収障害(悪性腫瘍性腹水・炎症性腹水)
漏出性腹水
アルブミン低下
肝硬変
アルブミン漏出
膠質浸透圧低下
ネフローゼ症候群
有効循環血漿量低下
腎性腹水
門脈圧亢進
糸球体輸入細動脈圧低下
腹水
肝性腹水
レニン・アンギオテンシン・
アルドステロン系亢進
下大静脈圧亢進
心臓性腹水
遠位尿細管での
Na・水の再吸収亢進
うっ血性心不全
病気がみえる 消化器 vol.1 より引用改編
腹水の分類
peritoneal effusions/ascites
滲出液と漏出液の鑑別
SAAG(血清-腹水アルブミン濃度差)
SAAG:serum-ascites albumin gradient
<1.1g/dL(滲出液)
≧1.1g/dL(漏出液)
腹水蛋白
膵炎
癌性腹膜炎
化膿性腹膜炎
結核
胆汁漏出
好中球数
≧250/μL
特発性細菌性腹膜炎
<2.5g/dL
門脈圧亢進
肝硬変
肝外静脈閉塞 晩期
(バッドチャーリー症候群)
転移性肝癌
低栄養
≧2.5g/dL
うっ血性心不全
肝外静脈閉塞 早期
(バッドチャーリー症候群)
肝静脈閉塞症
末期腎不全
甲状腺機能低下症
内科学 第10版より引用改編
腹水貯留をきたす疾患
peritoneal effusions/ascites
漏出性腹水
滲出性腹水
性状
原因疾患
血性腹水
癌性腹膜炎
子宮外妊娠
肝細胞癌破裂
腹部大動脈破裂
乳び腹水
悪性リンパ腫
悪性腫瘍の転移
胃癌
膵癌
結核性腹膜炎
門脈血栓
腹部外傷
胸管・リンパ管の外傷などで破裂
フィラリア
リンパ管の閉塞、乳び管の破裂
膿性腹水
化膿性腹膜炎
細菌性腹膜炎
真菌性腹膜炎
胆汁性腹水
急性胆嚢炎
粘液性腹水
腹膜偽粘液種
悪性中皮腫
性状
漿液性腹水
原因疾患
循環障害(門脈圧亢進)
肝硬変
門脈圧亢進症
門脈血栓
肝外静脈閉塞(バッドチャーリー症候群)
肝静脈血栓症
うっ血性心不全
低蛋白血症(膠質浸透圧低下)
ネフローゼ症候群
蛋白濾出性胃腸炎
低栄養
亜急性肝炎
劇症肝炎亜急型
病気がみえる 消化器 vol.1 より引用改編
腹水の検査
peritoneal effusions/ascites
生化学・免疫学的検査
検査項目
基準(目安)
pH≦7.4 炎症性腹水
pH
グルコース
考えられる疾患
血中とほぼ同じ
ビリルビン
腹水/血清比<1.0または<40mg/dL 炎症性腹水,消化管穿孔(極端に低くなる)
腹水/血清比≧1.0 腸管または胆管穿孔
LD
腹水/血清比≦0.4
腹水/血清比≧1.0 感染性,癌性腹水
アミラーゼ
腹水/血清比≦0.4
腹水/血清比≧0.5 急・慢性膵炎,膵癌
TG
≧200mg/dL 乳び腹水
T-CHO
≧45mg/dL
癌性腹水アイソザイムLD4,LD5高値
癌性腹水
ADA
参考(血中)
5~20U/L
≧30U/L 結核性腹膜炎
CEA
参考(血中)
≦5ng/mL
>5ng/mLまたは腹水/血清比≧1.2
>5ng/mLかつALP≧240U/L
癌性腹水(感度58% 特異度100%)
癌性腹水(感度92% 特異度88%)
Medical Technology 2005 vol.33 No.13より引用改編
心膜の解剖・心嚢液産生
pericardial effusion
・心膜は、心筋の外側を覆う臓側心膜(心外膜)と心臓全体を包む壁側
心膜から成っており、表面は中皮細胞で覆われている。
・心膜腔(心嚢)には、正常でも20~50mLの心嚢液が存在し、心膜の摩
擦を防いでいる。
・心嚢液貯留の原因として、急性心膜炎、心筋梗塞による心破裂、大動
脈解離、悪性腫瘍、外傷などがある。
・心膜腔に心嚢液が多量にあるいは急速に貯留し心膜内圧が上昇し、
心室拡張障害をきたす。それに伴い激しい静脈還流障害、心室充満
低下とする拍出量低下を生じた病態を心タンポナーゼという。
心嚢液貯留の原因
pericardial effusion
心嚢液貯留の原因
1.特発性(非特異性)(原因不明であるが1/4は先行ウイルス感染が疑われる)
2.感染性心膜炎(急性,慢性) ウイルス:コクサッキーB,エコー,アデノなど
陰性桿菌),結核菌 真菌,寄生虫
3.外傷(胸部外傷,手術,医原性)
4.急性心筋梗塞(貫壁性梗塞に接する心膜の炎症,心タンポナーデ)
5.代謝性(尿毒症,粘液水腫)
6.腫瘍性(肺癌,乳癌,造血器の悪性腫瘍などによる転移性腫瘍)
7.放射線(肺や縦隔に対する照射による)
8.自己免疫疾患(SLE20~40%,全身性強皮症16%,関節リウマチ10%)
9.薬剤
10.遅延性心筋ー心膜障害後症候群,心筋梗塞後症候群,心膜切開後症候群
11.乳び性心膜炎(外傷,腫瘍,胸部外科手術)
12.全身浮腫をきたす疾患(心不全,腎不全,肝硬変)
細菌:一般細菌(肺炎球菌,ブドウ球菌,連鎖球菌,グラム
心タンポナーゼに関連する血性心嚢液の原因
原因
比率(%)
医原性(心カテーテル治療,ペースメーカー挿入,心膜切開後症候群)
31
悪性(乳癌,肺癌,悪性リンパ腫,その他癌)
26
急性心筋梗塞の合併症
11
特発性
10
尿毒症,外傷,感染性,結核,SLEなど
22
Medical Technology 2005 vol.33 No.13より引用改編
心嚢液の分類
pericardial effusion
滲出液と漏出液の鑑別
パラメーター
診断項目
診断精度
滲出液
感度 98% 特異度72%
SEAG<1.2g/dL 滲出液
SEAG≧1.2g/dL 漏出液
感度90% 特異度80%
心嚢液/血清コレステロール比 ≧0.3
滲出液
感度91% 特異度83%
心嚢液/血清ビリルビン比 ≧0.6
滲出液
感度90% 特異度65%
胸水滲出液診断基準の改変適用
LD≧200 U/L
心嚢液/血清蛋白比 ≧0.5
心嚢液/血清 LD比 ≧0.6
血清‐心嚢液アルブミン濃度差
(SEAG)
Medical Technology 2005 vol.33 No.13より引用改編
当院における体腔液検査の現状
体腔液検査状況
胸水
件数
n=134 2013.5.1~2014.6.18
腹水
心嚢液
男性
女性
計
男性
女性
計
男性
女性
計
計
94
(70%)
21
(16%)
115
(86%)
9
(7%)
4
(3%)
13
(10%)
2
(1.5%)
1
(0.5%)
3
(2%)
3
(2%)
悪性体腔液の組織型鑑別頻度
胸水
女性
計
男性
腺癌
2(11.1%)
3(16.7%)
5(27.8%)
1(5.6%)
小細胞癌
3(16.7%)
3(16.7%)
扁平上皮癌
1(5.6%)
1(5.6%)
悪性中皮腫
5(27.8%)
5(27.8%)
その他
11
n=18 2013.5.1~2014.6.18
腹水
男性
計
その他
1(5.6%)
1(5.6%)
4
15
1
女性
0
心嚢液
計
男性
女性
計
1(5.6%)
1(5.6%)
1(5.6%)
2(11.1%)
1
1
1
2
体腔液検査方法
検査の流れ
胸水・腹水・心嚢液
一般用
培養
PCRなど
外観の確認
pH・比重測定
細胞数
細胞診
3000rpm 5分
パパニコロウ染色(湿固定標本)
1500rpm 5分
上清
3000rpm 5分
再度遠心
生化学・免疫検査
など
沈渣
アルブミンを1滴加えて
再度遠心1500rpm 5分
塗抹標本作成:沈査の上清をぎりぎりまで取り除き標本を数枚作成する。
(乾燥標本) 血液が多い場合はバフィーコートで標本を作成する。
メイ・ギムザ染色後、細胞分類
体腔液検査方法
外観(色調)の確認
①漿液性・・・淡黄色~黄色 透明
淡黄色~黄色 混濁
②血性・・・・・赤色 混濁
③膿性・・・・・膿様 混濁
④乳び性・・・白色 混濁
体腔液検査方法
細胞数の数え方
体腔液細胞数:基準値 250個/μL以下
●細胞数が少ない場合
1)原液をBurker‐Turk計算盤(改良Neubauer計算盤)の1mm2区画で算定する。
数値×10=
個/μL
2)サムソン液法(髄液と同様)
体腔液 180μL サムソン液 20μL
Fuchs-Rosenthal計算盤に入れ算定する。
数値/3=
個/μL
●細胞数が多い時
1)チュルク液で希釈して算定する。(血球算定と同様)
体腔液 20μL チュルク液 180μL
Burker‐Turk計算盤(改良Neubauer計算盤)の1mm2区画で算定する。
数値×100=
個/μL
体腔液穿刺時に抗凝固剤としてヘパリンを用いている場合、サムソン液やチュルク液で
希釈するとヘパリンが酢酸と反応して微粒子が生じ、細胞数算定が困難になることがあ
るので注意が必要である。
計算盤上の細胞(チュルク液)
×100
単核球
×400
単核球
×400
多核球
×400
単核球
×400
単核球
×400
大型細胞集塊
×400
大型細胞集塊
×400
体腔液検査方法
塗抹標本の作製方法・分類の仕方
1.血液塗抹標本作製と同様の手順で作製する。(ウェッジ法)
*引き終わりは止めずに軽く持ち上げるように塗抹する。(リフトアップ法)
最後を軽く持ちあげる
最後を止めたり、引き切ったりしない
2.素早く、冷風乾燥後、メイ・ギムザ染色を実施。
3.塗抹標本を弱拡大で観察する。引き終わり、辺縁には癌細胞などの大型細胞が集まり
やすいので注意して観察する。
4.やや厚めの部分で分類する。(強拡大)
体腔液検査方法
塗抹標本の作製方法・分類の仕方
*粘度が高い場合はすり合わせ法を用いるとよい。
1.スライドガラスに検体をのせ別のスライドガラスを重ね、軽く押さえつけながら左右に引く。
2.素早く、冷風乾燥後、メイ・ギムザ染色を実施。
体腔液検査方法
引き上げ法
引き止め法
引き切り法
すり合わせ法
体腔液検査方法
引き上げ法
×40
×100
MG染色
×400
体腔液検査方法
引き止め法
×100
×40
MG染色
×400
体腔液検査方法
引き切り法
×40
×100
MG染色
×400
体腔液検査方法
すり合わせ法
×100
MG染色
×400
体腔液検査方法
塗抹標本の観察部位による細胞分布
大型細胞が集まり易い部分
小型の細胞(リンパ球)の相対的比率が高い部分
分類しやすいが、大型細胞がやや少なくなる
厚く分類し難いが各細胞の比率は最も正確
体腔液検査方法
細胞観察時のポイント
1.塗抹標本の出来具合(フィブリン析出、細胞分布状態など)、出現細胞の様相を見るために弱拡大で
全体を観察する。
2.異型細胞の有無を見るため、引き終わりから辺縁などを特に注意し全体をくまなく観察する。異型細胞
と思われる細胞が見つかった場合には腫瘍性か反応性かを見極めるため強拡大にしてよく観察する。
3.体腔液は、末梢血に比べて細胞が不均一になりやすい。分類する場所によって結果に大きく影響する。
それを防ぐためには、できるだけ厚い部分で分類する方がよい。(最低でも200カウント)
*細胞の分布にかなり片寄りがある場合はカウント数を上げたり、分類場所を引き終わり、辺縁、
中心部と分けて分類したもので百分率を出す方法もある。
4.異型細胞かどうか判断する場合には、核所見(N/C比、クロマチン、核小体)や細胞質の所見(染色性、
辺縁)をよく観察し1つの細胞のみで判断するのではなく同じような形態をもつ別の細胞を探して、総合
的に判断する。
5.体腔液内の細胞は、血液中の細胞に比べて形態が変化していることが多いので注意する。
(異型細胞と見誤らない。特にリンパ球、組織球、形質細胞)
6.年齢、性別、既往歴など患者背景も参考にする。
引き終わり
MG染色×400
MG染色×400
MG染色×100
引き終わりよりやや手前
MG染色×100
MG染色×400
分類しやすい場所
MG染色×100
MG染色×400
やや厚い場所
MG染色×400
MG染色×100
体腔液に出現する細胞
中皮細胞(mesothelial cell)
・胸膜、腹膜、心膜を構成する単層扁平上皮
・胸膜腔、腹膜腔、心膜腔表面を一層のシート状に覆っている
・細胞表面には、3~4μm程度の微絨毛(microvilli)があり、その表面をヒアルロン酸
の表面被覆物質が覆っている
・細胞は円形~楕円、中型からやや大型
・細胞質は大きさや形が整っており、染色性は淡くレース状
・核は円形、卵円形で中心性
・核間距離は広く、ほぼ均一
・核クロマチンは微細顆粒状、核小体は小型
細胞は円形から楕円形
核は円形
window
MG染色×400
MG染色×400
bleb
MG染色×400
反応性中皮細胞
細胞質が濃青色
MG染色×400
MG染色×400
反応性中皮細胞
細胞質境界が直線状に
見えることあり
MG染色×400
MG染色×400
MG染色×400
反応性中皮細胞
多核細胞もあり
MG染色×400
体腔液に出現する細胞
組織球(histiocyte)
・正常状態でも体腔液中に存在
・奨膜に病変が波及した場合には、体腔液貯留の初期から遊出してくる旺盛な異物貪食
能をもつ細胞であり、良性疾患、悪性疾患いずれにおいても増加
・細胞質はレース状、泡沫状
・細胞質内に大小の空胞や貪食物を認めることがある
・核は小型で、類円形、楕円形、腎形を示し偏在
・核クロマチンは細顆粒状で核小体は小型
細胞質は泡沫状
細胞質内に空胞・
貪食物あり
核は小型で腎型
から円形・楕円形
偏在
MG染色×400
MG染色×400
MG染色×400
体腔液に出現する細胞
リンパ球(lymphocyte)
・慢性炎症、急性炎症の回復期、ウイルス感染などで出現
・結核性胸膜炎では、異型性に乏しい小型リンパ球が目立つ
・変性像をATL細胞や単球細胞と混同しない(核形不整や立体感に乏しいクロマチン像)
・良性を示唆する所見としては、色々な成熟段階のリンパ球が出現し、背景には好中球、
好酸球、形質細胞などが混在しており、核に異型性がない
体腔液に出現する細胞
異型リンパ球(atypical lymphocyte)
・細胞の大きさは15~20μmで、通常のリンパ球より大きい
・細胞質は好塩基性で濃青色
・核は楕円形で不整形もみられ、偏在傾向を示しN/Cはやや大きい
・核クロマチンは微細~粗大で、不明瞭な核小体を認めることがある
MG染色×400
MG染色×400
体腔液に出現する細胞
形質細胞(plasma cell)
・慢性関節リウマチなど免疫系疾患の時に見られやすい(リンパ球が豊富な体腔液で
は多少認められることもある)
・異型が認められる場合や形質細胞が優位な場合は多発性骨髄腫の浸潤を考慮
・細胞質は好塩基性で深青色、核偏在、核周明庭を認めクロマチンは粗大凝集状
・塗抹後の乾燥を速やかに行わないと、小型リンパ球との鑑別が困難
MG染色×100
MG染色×400
体腔液に出現する細胞
腺癌細胞(adenocarcinoma)
・体腔液中に出現する悪性腫瘍で最も頻度が高い
・細胞集塊を形成する場合が多い(結合性の強い立体的集塊)
・細胞質は淡く染色性は不均一、粘液を有することがある
・核は大小不同で核形不整、偏在傾向
・核ク ロマチンは顆粒状で不均一
・大きな粘液空胞を有し、核が偏在するものを印環細胞と呼ぶ
MG染色×100
MG染色×100
核形不整
クロマチン増量
核は偏在傾向
核小体が目立つ
MG染色×400
結合性の強い集塊
核小体明瞭
細胞質に空胞あり
MG染色×400
MG染色×100
MG染色×100
核は偏在
細胞質に粘液
MG染色 ×400
N/C比大
MG染色×400
MG染色×400
MG染色×100
MG染色×400
MG染色×100
結合性の強い集塊
乳頭状
マリモ
MG染色×400
体腔液に出現する細胞
Pap染色
体腔液に出現する細胞
扁平上皮癌細胞(squamous cell carcinoma)
・体腔液中に出現することは稀であるが、出現する場合は、肺癌、食道癌が多い
・細胞質は厚く渦巻状模様が見られることがある
・細胞質にグリコーゲンを有する場合細胞質が明るく抜ける
・核周囲の染色性は淡く、細胞質辺縁は厚ぼったいが、角化が進むと青く染まる(パパ
ニコロウ染色のオレンジG好染性に相当)
・角化が進むと細胞質外形は多形性を示し楕円形、紡錘形が目立つ
・核は中心性が多く、類円形ないし軽度の不整がみられる
・核の異型は比較的強く、粗~結節状の核網を有するが、角化が進むと濃染(pycnosis)
し核内構造を認めない
MG染色×100
MG染色×400
核中心性
細胞質は渦巻状構造
MG染色×400
体腔液に出現する細胞
小細胞癌(small cell carcinoma)
・小型でN/C比が高くリンパ球、悪性リンパ腫との鑑別が必要
・円形から多辺形、時に紡錘形をしている
・ところどころで細胞間結合性を示す部分がみられインディアンファイル状に配列し、核が
木目込み細工様を示すのが特徴的
・核クロマチン染色性は繊細
・核小体は目立たない
MG染色×100
×
インディアンファイル状
配列
MG染色×400
木目込み
体腔液に出現する細胞
悪性リンパ腫(malignant lymphoma)
・細胞間の結合性が乏しい類円形細胞
・N/C比は高い
・均一性のとれたmonotonusな細胞の増殖(細胞質の染色性、核網の染色性に細胞間
の変化が乏しい)
・核不整、細胞質の空胞が目立つ場合もある
MG染色×100
均一性
結合性のない
類円形細胞
MG染色×400
MG染色×100
核不整
細胞質空胞
MG染色×400
体腔液に出現する細胞
悪性中皮腫(malignant mesothelioma)
・胸膜、腹膜、心膜に起こる悪性腫瘍で多くは胸膜(大部分壁側胸膜)に発生
・成人に多く、アスベスト暴露歴と関係する
・胸水は、黄色、ゼラチン様でヒアルロン酸が著しく上昇する
・著しい中皮細胞の増加を認めるが、炎症像は乏しい
・極端に細胞数が多い球状や乳頭状集塊を見る
・相互封入像や細胞間の空隙(window)形成、細胞相接所見が見られる
・2核以上の多核細胞が目立つ
・核中心性で細胞質は核周囲よりも辺縁が厚いが、細胞質辺縁は不明瞭
・腺癌に比較して核網は繊細で、核不整は目立たない
体腔液に出現する細胞
悪性中皮腫の鑑別ポイント
悪性中皮腫
細胞質
核周囲が明るく辺縁は
塩基性
細胞形
bleb形成
hump様細胞質突起
核所見
多核
反応性中皮細胞
全体的に好塩基性
腺癌細胞
レース状,粘液空胞
bleb形成
円柱状
単核~多核
単核,円形~類円形
中心~偏在性
偏在性
核位置
中心~偏在性
核小体
円形
クロマチン
細顆粒状
細顆粒+粗顆粒
粗顆粒+粗網状
細胞集塊
重積性の強い球状,
乳頭状
比較的平面的
様々
小型類円形
円形
MG染色×100
MG染色×100
核中心性
乳頭状細胞集塊
MG染色×400
MG染色×400
MG染色×100
多核大型細胞
MG染色×400
bleb
MG染色×400
細胞相互封入像
hump
hump
MG染色×400
悪性中皮腫細胞
Pap染色 胸水
calretinin(+)
m-EMA(+)
免疫染色(胸水)
HE染色 胸水
CEA(-)
p53(+)
アスベスト電子顕微鏡像
アスベスト繊維
アスベスト小体
クリソタイル(白石綿)
アスベスト繊維
アスベスト小体
クロシドライト(青石綿)
アスベスト繊維
アモサイト(茶石綿)
アスベスト繊維
トレモライト/アクチノライト
アスベスト小体
BAL液 Pap染色
肺組織 位相差顕微鏡
肺組織 HE染色
LE細胞(MG染色×400)
ATL細胞(MG染色×400)
ご静聴ありがとうございました。
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