2002 年日韓ワールドカップに対する若者の意識と行動に関する調査研究

<日本大学法学部・新聞研究会
報告資料>
2003 年5月8日
2002 年日韓ワールドカップに対する若者の意識と行動に関する調査研究
福田 充(日本大学法学部新聞学科)
世界を代表するスポーツのイベントであるサッカー・ワールドカップ大会が、昨年、
FIFA2002 日韓ワールドカップ大会として日本で開催された。開催国である日本代表と韓国
代表が、それぞれ決勝トーナメントに進出し大活躍を見せる中、日本中を興奮の渦に巻き
込みながら大会もその幕を閉じた。歴史的なメディアイベントであるこのワールドカップ
を日本の若者たちはどう経験し、どう受け止めたのだろうか。そして、このワールドカッ
プは日本の若者たちにどのような影響を与えたのだろうか。ワールドカップに対する若者
の意識や行動を明らかにするために、東京の学生を対象としたアンケート調査を実施した。
その分析結果の一部を報告したい。
【調査の概要】
1)調査期間: 2002 年 7 月 4 日~7 月 12 日
2)調査対象者: 東京の大学生
メディア、マスコミについて勉強している学生を有意抽出。
3)調査法:
質問紙法による集合調査
4)有効回答数:
273 票
5)回答者の基本属性
性別: 男性 54.6%、 女性 45.4%
年齢: 18 歳 52.0%、19 歳 35.5%、20 歳以上 12.5%
出身地: 東京 30%、神奈川 12.8%、埼玉 14.7%、千葉 11.4%
その他 31.1% (一人暮らし率 22.3%)
本調査の主な質問項目は、以下の通りである。
大学生のワールドカップ視聴量。日本戦の視聴。視聴した場所。CS放送の加入。W杯
視聴の動機。応援している特定の国。W杯で印象に残った試合。W杯関連番組への感想。
サッカー雑誌の購入について。W杯関連グッズの購入。W杯チケット問題について。サッ
カーの試合の観戦希望。W杯視聴の効果・影響。W杯出場の好きな選手。W杯出場の好き
な国。好きなJリーグチーム。好きなスポーツ。サッカーの経験。サッカーを好きか。フ
ェイスシート(デモグラフィック属性)。
1
図1 日韓ワールドカップで視聴した試合数
1.8%
1.8%
7.7%
31.5%
24.9%
0試合
1~5試合
6~10試合
11~20試合
21試合以上
N.A.
32.2%
W 杯で視聴・観戦した試合数は、1~5試合、6~10 試合という回答がともに約 3 割ず
つあり、日本戦を中心に見た若者が多い傾向が見られた。0試合と答えた人はわずか 1.8%
であり、W杯を全く見なかった人はほとんどいないことがわかる。また、11~20 試合見た
人が 25%、21 試合以上見たコアなファンも約8%いる。W杯を多くの学生が視聴してい実
態がわかる。
図2 ワールドカップを見ようと思ったきっかけ
0
10
20
30
40
50
70
46.5
サッカーが好きだから
49.8
好きな選手がいるから
39.6
好きなチーム(国)があるから
誰かに勧められたから
5.1
選手のプレイが自分のプレイの参考になるから
5.1
47.3
日本が開催国だから
58.6
日本代表がW杯に出場したから
33
テレビでやっていたから
41
周りが盛り上がっているから
その他
60
8.1
W 杯を見た動機については、「サッカーが好きだから」「好きな選手がいるから」「好き
なチームがあるから」などサッカーを普段から応援している「サッカーファン的動機」が
それぞれ 4 割前後あった。「日本が開催国だから」「日本代表が W 杯に出場したから」とい
う「ドメスティックな動機」が5割前後と多い。「テレビでやっていたから」「周りが盛り
上がっているから」という「便乗的・流行的動機」も3~4割ある。このように、W杯を
視聴し、参加した動機も多様であることがわかる。
2
図3 日本代表戦の視聴・観戦の度合い
0%
20%
日本vsベルギー
40%
60%
56
80%
2.66.6
24.9
69.2
日本vsロシア
2.96.6
57.1
日本vsチュニジア
8.8
52
日本vsトルコ
5.1
100%
9.5
15.4
11
5.9
15.4
13.9
全部
前半のみ
後半のみ
ハイライトのみ
見ていない
N.A.
7.3
22.3
6.6
日本代表戦の試合をテレビで全部見た人の割合は、5~6割と、テレビ放送での平均視
聴率に非常に近い数字となった。前半のみ見た人は少ないが、後半のみ、ハイライトのみ
という人も合わせて3割前後いることがわかる。もっとも視聴した人の割合が高いのは、
「日本vsロシア」である。
図4 日本戦他の試合を視聴・観戦した場所
0%
20%
40%
60%
56.8
日本vsベルギー
80%
8.4 0.4
7.7 1.8
9.2
100%
15.8
0
自宅
65.9
日本vsロシア
9.5 0.7
5.5 4.84.48.8 0.4
友人宅
試合会場
日本vsチュニジア
49.5
8.8 6.6
0 8.1
17.6
9.5 0
応援会場
飲食店など
日本vsトルコ
46.9
5.9 011.7
7
18.7
9.2
0.7
その他
見ていない
開幕戦(フランスvsセネガル)
決勝戦(ブラジルvsドイツ)
40.7
4 0.4
0
52.4
68.9
5.5 0.7
0.4
1.8
1.1 19.4
2.2
N.A.
2.2
ほとんどが自宅でのテレビ視聴である。日本戦に関しては、友人・知人宅で他の人と視
聴している人も 1 割弱いる。予選で一番盛り上がったロシア戦、決勝トーナメントのトル
コ戦など日本代表の試合は、応援会場で応援した人も若干数いることがわかる。
開幕戦では見ていない比率が過半数あるが、日本戦、決勝戦ではとてもよく見られてい
ることがわかる。
3
ワールドカップは、若者の消費行動にどのような効果を与えたのであろうか。雑誌の購
入、CS放送への加入、グッズの購入などについても質問を行った。下記の数字は、W杯
開催中に行った人の比率である。
1)W杯グッズを購入
24.2%
2)サッカー雑誌を購入
14.3%
3)「スカイパーフェクTV!」に加入
2.9%
東京オリンピックが日本におけるテレビ普及を加速させる一因にもなったように、他の
メディア普及やメディア利用、グッズなどの消費の拡大もメディアイベントの特徴である
といえる。W杯関連グッズを購入した人は 24.2%いて、4人に1人がグッズを購入してい
る。また、サッカー雑誌を購入した人は 14.3%いて、このことがスポーツ雑誌の売り上げ
増大につながっている。調査対象者が学生であるにもかかわらず、このW杯の試合を見る
ために、W杯を全試合放送した「スカイパーフェクTV!」に加入した人が 2.9%(8名)
いることは、W杯がCS放送の普及にも少なからず影響を与えていることを示していると
いえよう。
図5 これから見たいサッカーの試合
非常に見たい
0%
10%
Jリーグ
18.3
高校サッカー
19
20%
30%
その他の海外リーグ
50%
N.A.
60%
70%
80%
100%
1.1
1.5
45.8
71.1
20.9
52.7
33
31.9
32.2
32.2
30.8
7.7
13.2
35.2
30.4
24.9
90%
41
33.7
オリンピック
プレミアリーグ(イギリス)
40%
見ない
39.6
ワールドカップ
セリエA(イタリア)
見てみたい
36.6
42.9
0.4
1.1
0.7
0.7
1.5
ワールドカップ効果によって、「J リーグ」や高校サッカーも見たいと思う人が過半数を
超えていることがわかる。果たして、このW杯効果によって「Jリーグ」の観客動員数は
盛り返すことができるのだろうか。W杯に出場した世界の選手が活躍する、「セリエA」や
「プレミアリーグ」のような海外リーグも見たいという希望が6割以上ある。現在、CS
放送やBS放送、または地上波の深夜放送で世界各国のサッカーリーグの試合が見られる
が、これらの視聴者層をW杯が作り出したといえる。一番観戦の希望率が高いのは日本代
表が戦うワールドカップとオリンピックであった。
4
図6 ワールドカップが自分の意識・行動に与えた効果・影響
あてはまる
0%
10%
どちらでもない
20%
30%
サッカーを始めた
サッカー選手の髪型をまねた
5.9
新聞をよく読むようになった
90%
100%
12.1
19.4
13.2
21.2
12.5
21.2
79.9
4
0.4
0.4
0.4
90.1
18.3
9.9
13.9
71.8
21.6
64.5
1.5 8.4
89.7
31.1
22.3
23.1
0.4
46.5
26
41.4
海外旅行に行きたくなった
TVニュースを見るようになった
80%
15
12.5
親子の会話が増えた
野球がつまらなくなった
70%
27.1
57.1
7.3
世界の地理や文化に詳しくなった
60%
74
サッカー選手をたくさん覚えた
彼氏・彼女ができた
50%
53.5
サッカーの試合をテレビで見るようになった
友だちが増えた
40%
N.A.
72.9
サッカーを好きになった
サッカーのことに詳しくなった
サッカーのテレビゲームをするようになった
あてはまらない
50.9
20.1
22.3
24.2
24.9
24.9
39.9
38.5
53.5
50.2
24.2
35.9
ワールドカップによって、若者は意識面や行動面でさまざまな効果・影響を受けている
ことがわかる。サッカーを好きになったり、詳しくなったりする、W杯による「直接的効
果」は非常に大きい。また、それに続いて、世界の文化に詳しくなったり、海外旅行に行
きたくなったり、新聞報道やテレビニュースをよく見るようになる「派生的効果」も大き
な影響力を持っていることがわかる。友だちが増えたり、親との会話が増えたりする「コ
ミュニケーション的効果」も少なからず存在することがわかる。
表1:
W杯の効果・影響に関する因子分析
因子
第1因子 第2因子 第3因子
問19-D: サッカーの試合をTVで見るようになった
0.758428 0.358958 0.105996
問19-B: サッカーのことが詳しくわかるようになった 0.756086 0.251686 0.237837
問19-A: サッカーのことを好きになった
0.715144 0.337216 0.049922
問19-C: サッカー選手をたくさん覚えた
0.696228 0.200333 0.114705
問19-O: TVニュースを見るようになった
0.312181 0.750578 0.032567
問19-N: 新聞をよく読むようになった
0.172872 0.716049 0.185665
問19-J: 親子の会話が増えた
0.220615 0.546079 0.105805
問19-K: 世界の地理や文化に詳しくなった
0.232433 0.536648 0.217316
問19-L: 海外旅行に行きたくなった
0.154324 0.485694 0.138674
問19-M: 野球がつまらなくなった
0.086948 0.35803 0.103955
問19-E: サッカーを始めた
0.209848 0.042043 0.564981
問19-G: サッカーのテレビゲームをするようになった 0.206243 0.109953 0.520311
問19-I: 彼氏・彼女ができた
-0.07008 0.131281 0.513442
問19-F: サッカー選手の髪型をまねた
0.004426 0.11536 0.478282
問19-H: 友だちが増えた
0.246385 0.262506 0.410528
因子抽出法: 主因子法 回転法: Kaiser の正規化を伴うバリマックス法
この変数で因子分析を行ったところ、下の表のように3つの因子が形成された。第1
因子が「直接的効果」で、第2因子が「派生的効果」、第3因子が「コミュニケーション効
果」にあたる。
5
モデル1:
ワールドカップに関する意識・行動の変数間における相関関係
0.44***
問1
W杯視聴量
0.56***
問 19-a
サッカー好き効果
0.69***
0.38***
問 17-a
Jリーグ観戦意向
0.27***
問 17-b
高校サッカー観戦意向
0.43***
問 19-b
サッカー知識効果
問 17-d
オリンピック観戦意向
0.37***
問 17-g
海外リーグ観戦意向
派生的効果
0.24***
問 19-n
新聞購読効果
0.32***
問 19-o
TV ニュース視聴効果
0.34***
問 19-i
海外旅行意向
*** : p<0.001 ,
※
図中の数値は相関係数
6
** : p<0.01 ,
* : p<0.05
アンケートへの回答データを変数化したもの同士の相関関係を見るために、相関分析を
行った。その結果、多くの変数間に相関関係が見られた。
「W杯視聴量」の変数と「サッカ
ー好き効果」、「サッカー知識効果」との間に正の相関関係があった。つまり、W杯を多く
見た人ほどサッカーを好きになり、サッカーについて詳しくなっている。また、サッカー
を好きになった人ほど、他のJリーグ等の試合も見たいという意向を持ち、またW杯を多
く見てサッカーを好きになった人ほど、新聞を読むようになったり、TVニュースを見る
ようになったという、メディア行動に関する「派生的効果」が発生していることがわかる。
つまり、新聞離れ、ニュース離れといわれる若者の中でも、ワールドカップというメディ
アイベントの報道と接することによって、新聞を読む時間、TVニュースを読む時間が増
えているということがわかる。
しかし、これはあくまで相関関係であり、どの変数が原因で、どの変数がその結果なの
か、変数間の因果関係についてはこの相関モデルではわからない。よって、W杯における
諸行動による効果・影響の流れについて考察するために、重回帰分析を用いたパス解析を
行った。そのモデルが、下の図である。
モデル2:
ワールドカップ視聴による効果のパス解析モデル
問1
0.47
問 19-b
0.63
W杯視聴量
***
サッカー知識効果
***
※
数値は標準化係数。
問 19-a
サッカー好き効果
0.25
***
問 19-n
新聞購読効果
*** : p<0.001, ** : p<0.01, * : p<0.05
パス解析によって、上記のような流れでW杯の効果が発生していることがわかる。つま
り、W杯を視聴することによって、サッカーに関する知識が増え、その知識が増えること
によってサッカーが好きになるという効果が発生する。そして、サッカーが好きになるこ
とにより、そのサッカーについて報道している新聞を読むようになる。というプロセスで
ある。
新聞購読だけでなく、TVニュース視聴や、海外旅行意向や、Jリーグ観戦意向などに
ついても、同じようなモデルが得られた。つまり、これらの派生的効果は、同じ過程を経
て、発生していることがわかる。また、確実にW杯を見ることによって発生した効果であ
るといえる。
7
図7 各国サッカー代表へのファン意識
好き
0%
10%
20%
30%
ブラジル
ドイツ
80%
30
48
4.4
73.3
オランダ
23.8
23.8
72.2
42.1
9.2
70
16.8
0.4
24.9
0.4
84.2
6.6
75.8
25.3
トルコ
6.6
65.2
19
ナイジェリア
5.5
77.3
12.8
メキシコ
2.9
83.2
16.1
パラグアイ
4
4.4
54.9
11.4
9.5
2.2
79.5
ポルトガル
ロシア
2.20.7
3.3 0.4
62.6
16.1
アメリカ
6.6
57.1
35.2
クロアチア
5.9
43.2
39.2
ユーゴスラビア
3.7
8.1
76.6
スペイン
デンマーク
100%
5.1
37
50.2
スウェーデン
90%
27.8
19
イングランド
4.8 0.4
58.2
20.5
16.5
75.5
カメルーン
日本
70%
46.2
フランス
韓国
60%
66.3
ウルグアイ
中国
50%
N.A.
54.9
アルゼンチン
チュニジア
40%
嫌い
67
イタリア
サウジアラビア
どちらでもない
43.2
4
52
9.2
4.8
82.4
5.9
8.4
80.6
4.4
13.6
73.3
22.3
32.6
38.5
89
28.9
7
4
それぞれの国に対して、若者がどの程度好きか、嫌いかを評定してもらった結果、図 7
のようになった。結果を見ると、日本代表の人気が 89%と圧倒的に高い。その次にイング
ランドの 73%、ブラジルの 67%、ドイツの 66%、イタリアの 55%と、今大会で活躍した
サッカー強国が続く。中津江村キャンプ騒動で話題になったカメルーンも人気が高く、メ
ディアへの露出度が影響を与えている可能性がある。一方で嫌いな割合の高い国を見ると、
日本と対戦したロシアやトルコがともに 16%と高くなっている。また、韓国は好きな人と
嫌いな人がほぼ同数いることから、共同開催国の隣国の活躍を見て、一緒に応援したい側
面と、ジェラシーを感じる側面のアンビヴァレントな感情が発生している可能性がある。
韓国に続いて「嫌い」と答える割合が高かったのは、アメリカ(25%)、中国(22%)で、
これには国際政治、外交関係上の影響が反映されている可能性もある。
8
サッカー代表チームに対するファン意識の分布(MDS)
2.5
韓国
2.0
1.5
日本
1.0
イングランド
中国
.5
サウジアラビア
0.0
ドイツ
チュニジア f9q
f9m
f9k
f9nf9t
f9r
ロシア
ウルグアイ
アメリカ
-.5
トルコ
2
次元
スウェーデンフランス
カメルーン
ブラジル
スペイン
オランダ
アルゼンチン
ポルトガル
-1.0
イタリア
-1.5
-3
-2
-1
0
1
2
3
4
次元 1
図7の結果を「多次元尺度法(MDS)」という統計データ処理方法で分析した結果、フ
ァンの社会心理の中に上の図のような構造があることがわかった。この構造を解釈すると、
横の軸(次元1)は、自分にとって「好き-嫌い」もしくは、「仲間-ライバル」
、「身近-
疎遠」な感覚によるものであると考えられる。よって、人気の高い日本やイングランド、ブ
ラジル、ドイツなどが数値の高い右側に位置し、今回の大会で対戦相手であったロシア、
トルコ、これまでアジア予選のライバルであった韓国、中国、サウジアラビアなどが数値
の低い左側に位置していると考えられる。
象限ごとにこの図を見ると、人気の高いイングランドやドイツという国が、日本に対す
るイメージと非常に近いところにあることがわかる。ラテン系のサッカーとして通好みな
人気の高いアルゼンチン、ポルトガル、イタリア、スペインなどもイメージの布置が近い。
一方で、韓国に対するイメージは、日本とはかけ離れて独立した傾向をもっていることが
わかる。
9
図8 世界のサッカー選手へのファン意識
好き
0%
どちらでもない
20%
40%
N.A.
60%
80%
100%
83.9
中田英寿
12.8
72.5
稲本潤一
12.1
35.2
13.2
74.7
ベッカム(イングランド)
23.1
58.6
オーウェン(イングランド)
2.20.4
49.1
21.6
安(韓国)
9.2
51.6
54.6
59.7
ジダン(フランス)
2.6
36.6
80.6
カーン(ドイツ)
31.5
50.2
リバウド(ブラジル)
モストヴォイ(ロシア)
11.4
ヴィルモッツ(ベルギー)
12.1
4.8
3.3 0.4
53.5
33.3
チラベルト(パラグアイ)
6.6
50.2
42.9
バティストゥータ(アルゼンチン)
2.6
45.1
46.2
ロベルト=カルロス(ブラジル)
3.7
16.8
61.9
ロナウド(ブラジル)
0.4
26.7
42.9
フィーゴ(ポルトガル)
0.4
0.4
52.4
41.4
トッティ(イタリア)
2.2
40.7
45.1
デル=ピエロ(イタリア)
3.3
41.4
51.6
鈴木隆行
3.3
24.2
46.5
戸田和幸
エムボマ(カメルーン)
嫌い
57.9
8.1
76.2
0.7
12.5
79.1
41
3.7
8.8
56
2.9
各国代表の選手ごとにその選手がどれくらい好きかをたずねたところ、図 8 のような結
果となった。1位は日本代表の中心的存在である中田選手であった。続いて 2 位は日本代
表選手をおさえてドイツのカーン選手、3 位はイングランドのベッカム選手であった。カー
ン選手はドイツ代表を準優勝に導いた立役者として大活躍し、ベッカム選手はそのタレン
ト的な人気から多くのメディアが競って報道したことの影響であると考えられる。続いて、
稲本選手、ロナウド選手、ジダン選手、オーウェン選手と続く。反対に、韓国の安選手に
対しては、活躍に反して嫌いと答える人の割合がトップであった。
10
世界のサッカー選手に対するファン意識の分布(MDS)
2.0
鈴木
戸田
1.5
1.0
稲本
安
.5
ベッカム
0.0
カーン
エムボマ
ヴィルモッツ
デル=ピエロ
中田
ジダンオーウェン
ロベルト=カルロス
バティストゥータ
リバウド ロナウド
トッティ
フィーゴ
モストヴォイ
チラベルト
2
次元
-.5
-1.0
-4
-3
-2
-1
0
1
2
次元 1
図8の結果を先と同じく「多次元尺度法(MDS)」で分析した結果、世界の代表選手に
対するファンの社会心理の中に上の図のような構造があることがわかった。これを見ると、
先の国別のファン心理構造とやや似た傾向が見られた。
人気トップの中田選手は、ともに人気の高いカーン選手、ベッカム選手らと近い位置に
あることから、それらが似たようなイメージでとらえられていることがわかる。そう考え
ると、横軸の左右の関係は、「好き-嫌い」の関係に近いといえる。右に行くほど好きで、
左に行くほど嫌いという構造である。
中田選手やベッカム選手、カーン選手がいる位置は、先の各国に対するファン意識の分
布と非常に近い位置にあり、ベッカム選手へのイメージがイングランドへのイメージと関
係が強く、カーン選手へのイメージがドイツへのイメージと非常に深く関係していること
がわかる。実際に相関分析をした結果、国と選手個人への評価の関係には非常に高い相関
が見られた。韓国と安選手の位置も近く、同じことが言える。
11
図9 Jリーグ・チームに対するファン意識
0%
10%
20%
鹿島アントラーズ
どちらでもない
30%
40%
50%
嫌い
60%
39.6
横浜F・マリノス
53.5
25.3
65.9
12.8
ヴィッセル神戸
8.4
コンサドーレ札幌
8.4
ベガルタ仙台
8.8
アビスパ福岡
4.4
京都パープルサンガ
7
79.5
5.1
12.8
16.1
72.9
11
15
74
11
80.2
81.7
83.2
82.8
81.7
川崎フロンターレ 3.7
84.2
水戸ホーリホック 3.7
82.4
0.4
10.3
63.4
7.3
FC東京
9.2
10.6
75.1
31.5
ジェフ市原
9.5
9.5
72.2
14.7
浦和レッズ
9.9
8.8
77.7
17.2
セレッソ大阪
100%
18.7
37
ガンバ大阪
90%
8.4
66.3
ジュビロ磐田
名古屋グランパスエイト
80%
74
15
清水エスパルス
70%
58.6
17.6
東京ヴェルディ1969
N.A.
50.5
31.9
柏レイソル
サンフレッチェ広島
好き
0.4
11.4
9.9
8.1
12.8
11.4
12.1
13.9
J リーグのチームに対してどのような意識をもっているかを示したのが、図 9 である。最
も人気が高いのが鹿島アントラーズ(39.6%)である。続いて、ジュビロ磐田(37%)、横
浜 F・マリノス(31.9%)、浦和レッズ(31.5%)と続く。東京の学生に対するアンケート
であるため、マリノスやレッズなど関東圏のチームの人気が高いが、ジュビロやアントラ
ーズのように毎年優勝争いのできる強いチーム、日本代表を多く輩出するチームの人気が
高い傾向が見られる。
12
Jリーグチームに対するファン意識の分布(MDS)
2.0
横浜 F.マリノス
鹿島アントラーズ
1.5
東京ヴェルディ 1969
1.0
.5
ガンバ大阪
アビスパ福岡
水戸ホーリーホック
コンサドーレ札幌
セレッソ大阪
川崎フロンターレ
柏レイソル 清水エスパルス
ヴィッセル神戸
サンフレッチェ広島
名古屋グランパスエイト
ベガルタ仙台
京都パープルサンガ
0.0
-.5
2
次元
FC 東京
ジェフ市原
ジュビロ磐田
-1.0
浦和レッズ
-1.5
-2
-1
0
1
2
3
次元 1
多次元尺度法(MDS 法)で分析した結果を見ると、アントラーズとマリノスが非常に近
いイメージでとらえられており、レッズとジュビロも近いイメージがあることがわかる。
日本代表、イングランド代表、イタリア代表を例にして、日本代表チームと代表選手、
イングランド代表チームと代表選手、イタリア代表チームと代表選手、それぞれがどのよ
うな関係にあるのか、相関分析を行った。そこでわかることは、代表チームの好き嫌いは、
代表選手の好き嫌いと非常の高い相関があるということである。つまり、サッカー選手の
好みが、好きなナショナルチームと結びついており、逆に言えば、好きなナショナルチー
ムへのイメージは、代表選手のイメージと非常に強く結びついているということである。
このことは、この3カ国だけでなく、韓国でも、ブラジルでも、ドイツでも、カメルーン
でもあてはまった。つまり、MDSの分析結果を見ても、相関分析の結果を見ても、ナシ
ョナルチームのイメージとサッカー選手のイメージは非常に強く結びついている。そのナ
ショナル・イメージが戦い合う場こそが、このワールドカップというメディアイベントな
のである。
13
モデル3: 日本代表選手や所属チームへのファン意識の構造
0.43*** 中田選手
0.43***
F 9-z
0.22***
稲本選手
日本代表ファン
0.29***
ガンバ大阪
0.29***
戸田選手
0.36***
鈴木選手
0.26***
問 17-a
清水エスパルス
0.30***
0.25***
Jリーグ観戦希望
鹿島アントラーズ
問 13
グッズ購入
0.44***
問 12-2
サッカー雑誌購入希望
※
数値は相関係数。
*** : p<0.001, ** : p<0.01, * : p<0.05
モデル4: イングランドチームと代表選手へのファン心理の構造
F10-e
0.19**
0.66*** ベッカム
ファン意識
F9-g
問 17-f
プレミアリーグ
0.53*** 観戦希望
イングランド代表
ファン意識
F10-f
0.21** 問 12-2
オーウェン
0.46*** ファン意識
※
数値は相関係数。
サッカー雑誌
0.28***
購入希望
*** : p<0.001, ** : p<0.01, * : p<0.05
モデル5: イタリアチームと代表選手へのファン心理の構造
F10-g
0.56***
0.55*** デルピエロ
ファン意識
F9-c
問 17-f
セリエA
0.33*** 観戦希望
イタリア代表
ファン意識
F10-h
0.26***問 12-2
トッティ
0.54*** ファン意識
※
数値は相関係数。
サッカー雑誌
0.19**
購入希望
*** : p<0.001, ** : p<0.01, * : p<0.05
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