42 LP 陽性となった意識消失発作を伴う J 波症候群の一例 ◎村井 翔太郎 1)、世戸 弘美 1)、山崎 桂子 1)、中本 有美 1)、西田 栄子 1)、橋本 憂奈 1)、 藤岡 央 2)、飯沼 由嗣 3) 金沢医科大学病院 中央臨床検査部 1)、同 循環器内科 2)、同 臨床感染症学 3) 【はじめに】近年 J 波症候群は特発性心室細動 ホルター心電図:PVC 8105 回/24 時間。第 20 病 との密接な関係について相次いで報告されて 日 ECG:正常洞調律+PVC、Ⅱ,Ⅲ,aVF J 波陽性。 いる。一方 J 波症候群に認められる早期再分極 加算平均心電図:fQRSd:125µV(+)、 (J 波)は一部若年健常人にも認められ両者の鑑 RMS40:7.4μV(+)、LAS40:64ms(+)以上より 別は未だ明確ではなく診断に苦慮することが LP 陽性。 多い。今回、加算平均心電図(心室遅延電位, 【入院経過】第 26 病日 EPS による VT/VF Late Potential:LP)陽性となった意識消失発作を study において誘発は無く、Tc-99mMIBI 心筋 伴う J 波症候群の一例について経験したので報 血流 SPECT は有意な虚血性変化を認めず、 告する。 Head up tilt 試験は陰性であった。PVC 治療を 【症例】67 歳男性、運転代行業<主訴>繰り 目的として左室後壁基部に対しカテーテルア 返す意識消失発作<既往歴>無し<家族歴> ブレーション(RFCA)が実施され、第 34 病日 父:胃癌 Loop 【現病歴】<意識消失発作 1 回目>2015 年 RFCA 後のホルター心電図は PVC 1 月、AM 5:30 外気温氷点下 2℃での散歩中に意 /24 時間と減少し、第 42 病日退院となった。 識消失。通行人の通報により近医に心肺停止 以降は外来通院 follow となる。現在 Loop 状態で救急搬送され蘇生に成功。偶発性低体 recorder 解析においてイベントは無く、意識消 温症と診断され、11 日後に退院。<意識消失 失発作は認めていない。 発作 2 回目>2015 年 3 月、AM10:00 眼前暗黒感 【考察】J 波症候群患者の J 波は下壁誘導にお 及び冷汗、意識消失し転倒。1,2 分後に意識は いて増高を認めることが多く、LP 陽性の機序 自然回復するも同病院に救急搬送。精査は希 は心外膜の伝導遅延によると推定されている。 望されず帰宅、本業継続。<意識消失発作 本症例においても臨床症状・検査所見の一致 3 回目>2015 年 12 月、通勤途中に自動車で電 から J 波症候群の VT/VF による意識消失発作 柱に衝突し田んぼに転落。事故前後の記憶は と推測された。RFCA 後の意識消失は認めず 無く運転時の眠気及び意識消失等については PVC から VT/VF への移行の可能性が低下した 不明。救急隊到着時に前胸部痛の訴えあり。 ものと考えられた。 当院に救急搬送、交通外傷、多発肋骨骨折及 【結語】意識消失患者において J 波及び LP 陽 び血気胸にて入院となった。 性であることが J 波症候群の臨床診断に結びつ 【入院時検査所見】血液検査:CK 507U/L、 recorder 移植が施行された。第 36 病日 いた症例であった。 LDH 357U/L、RBC 4.7×106/μL、Hb 11.8g/dL。 脳波検査:てんかんを強く疑う所見無し。3DCTA:虚血を生じる狭窄所見無し。 【心電図検査(ECG)経過】入院時 ECG:正常洞 調律、Ⅱ,Ⅲ,aVF J 波陽性。第 8 病日 ECG:正常 洞調律+PVC、Ⅱ,Ⅲ,aVF J 波陽性。第 13 病日 連絡先 076-286-2211 (内線 4247) 1976 回
© Copyright 2024 Paperzz