H25年 8月号 (PDFファイル)

④
平成25年8月号
-
-
熊本南病院は地域に密着した優しく思いやりのある医療をめざします。
①患者さまの人権と意志を尊重した医療に努めます。
②地域医療機関と連携し、安全かつ安心な医療で地域の信頼に応えます。
③医療の進歩に対応して日々研鑽し、質の高い医療を提供します。
◆地域基幹病院として、救急医療を含めた消化器・生活習慣病・循環器疾患、
がん診断治療など一般医療の充実に努めます。
◆呼吸器(結核、がんを含めた)の専門的医療を提供します。
◆神経・筋疾患の専門的医療を提供します。
第 66 回 地域ケア連携研修会
消化器がん治療の最前線とがん緩和ケア
平成25年4月26日(金)
地域医療連携室長(副院長) 金光 敬一郎
消化器がんですので頻度の多い胃癌、大腸癌を中心に、また最近その治療法が発達している肝胆膵の癌治療及
び緩和ケアについて解説しました。
まず、胃癌での診断ですが、早期の胃癌を発見するためには、内視鏡検査が必須です。胃粘膜の異常を見つけた
ら色素散布で病変を特定し、NBIという特殊な光線を粘膜に照射すると粘膜下の血
管像が観察でき、また拡大内視鏡も同時に行うと、癌では異常な血管が浮き彫りとな
り早期診断に役立っています。
そして生検でがんの確定診断を得ます。このように早期胃癌で発見された場合、そ
の癌の胃壁内への深達度で治療法が異なり、浅い浸潤(粘膜がん、smの浅いがん)
であれば、内視鏡の専門医で内視鏡的に病変を切除する方法が可能となってきてい
ます。
ただ尐し深めの深達度ではリンパ節転移の可能性が大きくなり、外科的切除が行
われますが、最近では腹腔鏡下の胃切除術でリンパ節郭清まで行う手術が可能となり、熊本南病院でも行っていま
す。
大腸癌も早期発見は大腸カメラにて行いますが、ごく早期の病変は大腸カメラでの処置で済みますが、大腸の壁
は薄く、内視鏡治療で壁に穴があき腹膜炎を起こすリスクもあります。大腸壁内で多臓器転移のない症例では腹腔鏡
補助下の大腸切除が行われ、熊本南病院でも行っています。
肝癌の手術は手術機械の発達で肝臓の予備力があれば肝臓の大量切除も可能になってきており、転移性肝がん
も切除がされるようになってきています。
また胆嚢癌はポリープの状態で発見されれば腹腔鏡下胆のう摘出術で治療が可能となります。
進んだ膵臓がんはまず抗がん剤治療を行って、がんを小さくしてから切除手術に向かいます。
このように難しい手術も工夫を行って根治手術に持っていきますが、治療の前にもがんによる症状(痛み)から栄養
状態がすぐれない、体力が落ちたままで手術が不安などの訴えがあります。
これらの痛みや精神的な不安をケアするのも緩和ケアの重要な役目の一つです。がんの終末期のケアが緩和ケア
ではなく、がんが発見されてからのケアが緩和ケアと思われます。
熊本南病院では診断から終末期のケアまで一貫した癌治療に取り組んでいます。
相談窓口で相談を受けていますので、ご気軽にご連絡ください。
P1
「第68回 地域ケア連携研修会」報告
熊本南病院 理学療法士 出口 敬浩
6月19日(水)に「呼吸リハビリ」をテーマに地域ケア連携研修会を開催した。理学療
法士、作業療法士、言語聴覚士をはじめ、看護師、保健師、ケアマネージャー等、
院内外から約 80 名の参加を頂いた。業務後にもかかわらず多数の方に参加頂き、
呼吸リハへの関心の高さを伺い知ることができた。
今回の研修は①呼吸リハの概念が理解できる。②呼吸理学療法手技の理解ができ
る。③聴診・打診・呼吸介助を体験できることを目的に行った。
まず、「急性期からの呼吸リハビリテーション」という事で講義を行った。その中で、呼
吸リハの概念、呼吸理学療法手技、運動療法の説明に加え、早期から他職種で包括
的に呼吸リハを行っていく事が重要である事を説明した。後半は聴診・打診・呼吸介
助の実技をグループに分かれて実施した。狭いスペースの中、みなさん最後まで熱
心に実技をされていた。
研修会終了後のアンケートでは「実技があってわかりやすかった」「今後の業務に活かせそう」といった意見を頂く事ができた。
一方で「説明があいまい」「実技の際、各グループに指導者がいてくれると良かった」といった意見もあった。皆様のご意見やご
要望を踏まえて、より密度の濃いものにしていきたいと考えます。今後も本研修会を通して、皆様方とより一層の連携がとれるよ
うに取り組んで参ります。どうぞ宜しくお願い致します。
「第67回 地域ケア連携研修会」 報
経営企画室長
牧野 功
がん医療における緩和ケアとサイコオンコロジー ~自分らしくを支えるチーム医療のために~
告
第67回地域ケア連携研修会を平成25年5月24日(金)19時 ウイング松橋 視聴覚室にて開催しました。
今回のテーマは「緩和ケア」として、国立病院機構九州がんセンター サイコオンコロ
ジー科医長 大島 彰先生の講演を行いました。まず、サイコオンコロジーとは?
【こころ】の研究をおこなう心理学 (サイコロジー)
【がん】の研究をする腫瘍学
(オンコロジー)
この2つを組み合わせた俗語で、「精神腫瘍学」と訳され、1980年代に設立した新
しい学問だそうです。
大島先生の演題は「がん医療における緩和ケアとサイコオンコロジー」で、
・ がん医療における緩和ケアのニーズ
・ がん医療におけるこころのケアのニーズ
・ サイコオンコロジーについて
・ がん患者の心の反応(うつ、適応障害)と対応
・ 緩和ケアチームについて
と内容を5つに分けての講演でした。参加者の声として、ターミナル患者の訪問時、今まで以上に気持ちがわかる
ようになった。患者の心のケアの大切さがわかった。と言った声が多く有り、参加人数も101名(院外82名、
院内19名 )と、沢山の医療関係者が集まり、盛大な研修会となりました。
第 18回 熊本南病院 開放型病院連絡会 のお知らせ
第18回 熊本南病院開放型病院連絡会 を
講演
開催いたします。
① 「血液・膠原病内科として私にできること」
日時:平成25年 9 月 25 日(水曜日)
19 時~21時 30 分
場所:熊本南病院 リハビリ室
血液内科部長 長倉 祥一
② 「当院で経験した胸腔鏡(補助)下右上葉切除術の1例」
外科部長 多森 靖洋
③ 「当院における神経難病医療への取り組み」
神経内科部長 山下 太郎
④
どなたでも聴講できますので、多く皆様のご参加をお待ちしております。
P 2
新鮮力紹介
熊本医療センターから転任してきました長倉 祥一です。血液・膠原病内科を専門としております。
これまで熊本南病院には血液内科がありませんでしたので、少しずつ体制を整えています。汎血球
減少や多血症等造血異常、多関節痛、不明熱などの診断を中心に診療を行っています。また、最近
は関節リウマチの生物学的製剤など感染リスクの高い患者さまのフォローアップにも力を入れて
血液・膠原病内科
います。私 1 人ですので微力ではありますが宇城地区の医療に貢献していきたいと思います。よろ
しくお願いします。
長倉 祥一
平成25年4月から熊本南病院 外科に赴任いたしました多森と申します。平成5年に熊本大学医学部附
属病院 第2外科へ入局し、現在医師20年目になります。前任地は国立病院機構 熊本医療センター
で、5年間、消化器外科手術、呼吸器外科手術、救急医療などに携わってきました。現在まで培ってきまし
た知識、経験を生かして、宇城地区の医療に貢献いたしたいと思っております。この地域での勤務は初め
てで、色々と御迷惑をおかけすることもあるとは存じますが、御指導、御鞭撻のほど宜しく御願い申し上げ
ます。
外科
多森 靖洋
皆様、はじめまして。平成 25 年 4 月 1 日より、熊本南病院の神経内科医長、神経難病センター長として着任
致しました山下太郎と申します。私は、1991 年に第一内科に入局して以来、神経内科疾患全般、特に家族
神経内科
山下 太郎
性アミロイドポリニューロパチー(FAP)を中心とした研究や診療に携わって参りました。この度、病院長の植
川和利先生をはじめ、学生/研修医の頃よりご指導頂いた先輩方といっしょに、当院における診療に参加さ
せて頂けることを大変光栄に感じながら、日々診療しております。
前任地の熊本大学神経内科において、遺伝性であり特定の地域に集積する FAP への取り組みを通じて、
患者様とご家族の立場にたった神経内科診療、同僚やコメディカルと共同で行うチーム医療、多岐にわたる
合併症に対する包括的な医療、地域の病院や診療所との連携について経験して参りました。
当院におきましては、パーキンソン病などの神経難病加え、頭痛や、認知症、脳卒中、不随意運動、てんかんなどに関しましても可
能な限りの医療サービスを提供し、患者様の QOL の向上に貢献できればと考えております。
熊本大学における病棟長や、医局長など、20 年間の経験を生かして、地域の先生方と連携をとりながら、住民の方々により良い医
療を提供したいと考えております。ご指導、ご鞭撻頂ければ幸いでございます。
診療科紹介
血液・膠原病内科
血液内科医が一人でやれることは主に診断が中心となります。赤血球数異常・白血
球数異常・血小板数異常など診断・治療方針決定を行っています。急性白血病の抗
がん剤治療は骨髄抑制が強いため、診断確定後は熊本医療センターや森都総合病
院、熊本大学附属病院など適切な病院への紹介を迅速に行っていきます。悪性リン
パ腫の初期治療は標準的な治療ですので当院で行うことができます。サルベージ療
法は白血病と同様骨髄抑制が強いため上記病院へ紹介します。多発性骨髄腫や骨髄
異形成症候群など輸血、抗菌薬投与など支持療法が必要な患者さまは当院入院の上
治療を行います。
膠原病に関しては多発関節痛や不明熱など原因精査が必要な患者さまの診断を
行っています。関節リウマチや膠原病の診断が確定した後は免疫抑制剤(メソトレ
キセートやステロイド)にて外来治療を行っています。疑わしい患者さまがおられ
ましたら当院へご紹介いただければ幸いです。最近は生物学的製剤等免疫不全を来
すような薬剤が多くなり、感染に注意を行いながらみていく必要があります。リウ
マチの患者さまで生物学的製剤を使用している方でも時々当院へご紹介いただけ
れば感染などのスクリーニングを行っていきたいと思います。
P 3
5
PP 4