総説血小板因子と肝再生機構

総説血小板因子と肝再生機構
長 ら くそ の実 体 が 不 明 で あ った肝 再 生 因 子 が ラ ッ ト血 小 板 か ら単 離 され,
け ら れ た。HGFに
加 え て, 血 小 板 中 に はTGF-β
とPDGI-α
制 因子 が存 在 す る こ とが 明 らか にな った 。 ま た, TGF-β
名づ
の2種 類 の肝 細 胞 増 殖 抑
と特 異 的 に 結 合 して そ の 活 性 を
マ ス クす る一 種 の 調 節 蛋 白質 が 血 小 板 か ら単 離 され た 。 す な わ ち,
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HGFと
血小板は再生の開始機
構 と と もに 停 止 機 構 を も備 え て お り, 肝 再 生 を は じめ 多 くの 組 織 再 生 や 創 傷 治 癒 に 重 要 な
役 割 を担 う血 球 成 分 で あ る こ とが 明 らか に な った 。 本 稿 で は, 新 た に 発 見 され た 血 小 板 因
子 を中 心 に 肝 再 生 機 構 に つ い て 論 じる 。
は じめ に
私 た ち人 間 を含 め 高 等 動 物 を形 作 っ てい る
の よ うな 組 織 器 官 の恒 常 性 維 持 の 仕 組 み は, 逆 に創 傷 治
体 細 胞 は神 経 細 胞 や 筋 肉細 胞 のわ ず か の 例 外 を 除 い て,
癒 や 再 生 機 構 の分 子 的 理 解 に よ って そ の解 明 の有 力 な手
す べ て細 胞 分 裂 に よ り再 生 し, 成 熟 分 化, 老 化, 死 の サ
が か りが つ か め る もの と考 え られ る。 筆 者 ら は, 本 稿 の
イ クル を個 体 の死 ま で く り返 す 。 この よ うに, 私 た ち の
主 題 で あ る肝 再 生 機 構 の 細 胞 生 化 学 的研 究 もそ の よ うな
各 器 官 を構 成 す る多 くの 種 類 の 細胞 は 一 定 の ル ー ル に よ
意 図 の も とで 行 な って い る。
っ て再 生 を く り返 し, 個 体 の命 を 保 って い る。 た と えば
, 成 長 後 の人 の肝 臓 は体 重60kgに
対 して約1.5kg
肝再 生 は 高 等 動 物 の再 生 現 象 の 中 で も, 最 も ドラマ チ
ッ クな もの で あ り, す で に ギ リシ ャ神話 の 中 に も登 場 す
の湿 重 量 に保 た れ てお り, 肝 臓 を構 成 す る全 細 胞 数 は約
るほ ど古 くか ら知 られ て い る。 しか しな が ら, 肝 再 生 に
2,500億
関 す る最初 の科 学 的 な記 載 は約1世
といわ れ て い る。 肝 臓 に 限 らず, す べ て の臓 器
紀前 に フ ラ ンス で な
の大 き さ はそ れ ぞ れ の生 物 個 体 の 大 き さに よ って一 定 で
さ れ た 。 そ の後, 多 くの 医 学, 生 物 学 者 の 関 心 に もか か
あ る。 臓 器 の大 き さは 生 物 の 大 きさ に 依 存 して お り, そ
わ らず, つ い25年
ほ ど前 に肝 再 生 が何 らか の液 性 因 子
れ よ り大 きす ぎて も小 さす ぎて も健 康 で安 定 な 生命 が保
に よっ て起 こ るこ とが示 さ れ るま で ほ とん ど実 質 的 な進
た れ ない 。 しか も, これ らの組 織 器 官 を構 成 す る細 胞 は
歩 が な か った。 肝 再 生 が肝 再 生 因子 と仮 称 さ れ た 液 性 因
とど ま る こ とな く生 と死 を く り返 して い る。 必 ず しも創
子 に よっ て駆 動 さ れ る こ とが示 唆^<1,2)>さ
れ て 以 来, 多 くの
傷 や 炎 傷 に よ って 失 わ れ た 組 織 を再 生す る 現 象 に 限 ら
研 究者 が そ の実 体 を 明 らか にせ ん と努 力 した が, そ の い
ず, 正 常 個 体 の 中 で組 織 再 生 は うむ こ とな く続 け られ,
ず れ も が失 敗 に帰 した^<3,4)>こ
の長 い失 敗 の理 由 は 肝 再 生
個 体 あた りの 器 官 の大 き さ が一 定 に保 たれ て い る。 い っ
因子 の活 性 を高 感 度 で, 再現 性 よ く, しか も 定 量 的 に測
た い どの よ うな 機 作 で この よ うな組 織 器 官 の恒 常 性 が 維
定 で き る in vitro 実 験 系 を 欠 い て いた こ とに よ る と考 え
持 され て い るの で あ ろ うか ?
創 傷 治 癒 や 臓 器 再 生 の機
られ る。 最 近, 肝 再 生 因子 の標 的 細 胞 で あ る成 熟 肝 細 胞
作 も生 物 の備 え る組 織 器 官 の ダイ ナ ミッ クな恒 常 性 維 持
を そ の多 才 な肝 機 能 を損 な うこ とな く培 養 す る こ とが で
機 構 の一端 に す ぎ な い と考 え られ る。 しか しなが ら, こ
き^<5∼7)>,
しか も長 ら く困難 と考 え られ て き た 成 熟 肝 細 胞
Toshikazu
Nakamura,
Research,
Tokushima
徳 島 大 学 酵 素 科 学 研 究 セン タ ー 酵 素 病 理 学 部 門 (〒770徳
University,
Kuramoto,
Tokushima
770,
島 市 蔵 本 町 三 丁 目18-15)
[Institute
for Enzyme
Japan]Platelet-derived Growth Regulators and Mechanism of Liver Regeneration
Key word
【肝細胞増殖因子 (HGF)】 【
肝 再生】【
肝細胞増殖抑制因子】【TGF-β 調節蛋白質】
1113
14
蛋 白 質
核 酸
酵 素
Vol. 32
No. 9
(1987)
の in vitroで の増 殖 が 可 能 に な った^<7∼9)>。
こ の成 功 に よ
って 肝 再 生 因 子 の 本体 で あ る 成 熟 肝細 胞 増 殖 活 性 を in
vitro で再 現 性 よ く鋭 敏 に測 定 でき る よ うに な った 。 そ
の結 果, 長 ら く不 明 で あ った 肝再 生 因 子 の 本 体 で あ る成
熟 肝 細 胞 増 殖 因 子 (hepatocyte
growth
factor ; HGF)
が 単 離 され た ぼ か りで な く, そ の ブ レー キ と して 働 く肝
細 胞 増 殖 抑 制 因 子 や そ の 調 節 蛋 白質 な どの新 しい 細胞 増
殖 制 御 因 子 が血 小板 か らつ ぎつ ぎに 見 い だ され精 製 され
た 。 本 稿 では, 成 熟 ラ ッ ト肝 細 胞 の in vitro
におけ る
増 殖 制 御 の研 究 か ら新 しく発 見 され た血 小 板 因 子 に つ い
て解 説 し, 肝 再 生 や 創 傷 治 療 機 構 に お け る これ ら血 小 板
因 子 の生 理 的 役 割 に つ い て 考 察 す る。I
図1.
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.
成 熟 ラ ッ ト初 代 培 養 肝 細 胞 の 増 殖 制 御
成熟肝細胞 の増殖能 と分化機能 の細胞密度
依存性調節
intact な 成 熟 肝 細 胞 は ラ ッ ト肝 臓 か ら コ ラ ゲナ ーゼ
灌流 法 に よっ てほ ぼ 純 粋 に, しか も高 収 率 で 分 離 で き
る^<10,11)>。
分 離 肝 細 胞 は 通 常 の細 胞 培 養 皿 上 で単 層 培 養 が
で き, こ の状 態 で肝 臓 の 示 す 多 種 多 様 な肝 特 異 機 能 と
高 い ホ ル モ ン応 答 能 を長 期 間 維 持 す る こ と が 可 能 であ
る^<11,12)>。
しか しな が ら, ミニ肝 臓 とも いえ る in vivo
の
状態 に近 い多 種 類 の肝 機 能 を発 現 維 持 し うる成 熟 ラ ッ ト
初 代 培 養 肝 細 胞 も, 長 ら く in vitro
図2.
で 増 殖 させ る こ と
成熟肝細胞の増殖制御
が で き なか った 。 約5年 ほ ど前 に筆 者 ら^<13,14)>を
は じめ,
世 界 の2∼3の
研 究 室^<15∼17)>に
お い て, 長 ら く困 難 とされ
て きた 成 熟 肝 細 胞 の in vitro で の 増 殖 に 成 功 した 。
成 熟 肝 細 胞 は 株 細 胞 の多 くが 活 発 に増 殖 す る10%胎
児 ウシ血 清 存 在 下 で も増 殖 しな い。 筆 者 らは 成 熟 ラ ッ ト
肝 細 胞 の増 殖 が 厳 密 な細 胞 密 度 依 存 性 の調 節 を 受 け てい
る こ とに気 づ き, 低 細 胞 密度 条 件 下 に イ ンス リ ン とEGF
が存 在 す る と成 熟 肝 細 胞 が in vitro
を 明 らか に した^<13,14,18)>。
逆に,
で も増 殖 す る こ と
成 熟 肝 細 胞 を飽 和 密 度 に
殖 相 のG_1期
に移 行 し, 適 当 な増 殖 因子 が 存 在 す る と増
殖 を 始 め る (図2)。 成 熟 肝 細 胞 の増 殖 制 御 は, 一 般 に多
くの 組 織 細 胞 が そ うで あ る よ うに, 分 化相 のG_0期 か ら
増 殖 期 のG_1期
に移 行 す る段 階 で行 なわ れ る。 こ の点,
in vitroで適 応 して 増殖 す る株 細 胞 は いず れ も in vivo
にお け る分 化 相 のG_0期
に は な く, す で に増 殖 相 に移 行
した 細 胞 と考 え られ る。筆 者 は増 殖 を停 止す る と とも に
組 織 固 有 の分 化 機 能 を発 現 して い る状 態 をG_0期
と定 義
近 い高 細 胞 密 度 条 件 下 で培 養 す る と, 高 い肝 特 異 機 能
して い る。in vivo
(分化 機 能) が 発 現 し, 増 殖 能 は 強 く抑 制 され る^<18,19)>。
し
第1制 御 点 であ るG_0→G_1シ フ トの段 階 で コ ン トロー ル
た が っ て, 従 来, in vivo
され て い る。 した が って, in vivo
に近 い肝 機 能 の発 現 と高 い ホ
の組 織 細 胞 の増 殖 は いず れ も, そ の
の 細胞 増 殖 制御 の第
ル モ ン応 答 能 を目 的 と して工 夫 され て きた 初 代 培 養 条 件
1制 御 点 の調 節 研 究 は, 通 常 の株 細胞 を用 い て 行 な うこ
は, 成 熟 肝 細 胞 の in vitro 増 殖 に とっ て は逆 に不 利 な条
とが で き な い とい え る。
件 で あ った とい え る。 図1に 示 す よ うに, 成 熟 肝 細 胞 の
分 化機 能発 現 と増 殖 能 は互 い た相 反 的 な細 胞 密 度 依 存 性
さ て, 成 熟 肝 細 胞 の第1増 殖 制 御 点 で あ るG_0→G_1シ
フ トの調 節 が 細 胞 密 度 に よ って 行 な わ れ, これ が 肝細 胞
調節 を 受 け る こ とが 明 らか に な った^<19,20)>。
す なわ ち, 成
ど う しの接 着 に よ る こ とが 明 らか に な った^<19)>。
肝 細胞 は
熟 肝 細 胞 は in vivo の肝 小 葉 に近 い コ ンパ ク トな高 細 胞
密 な細 胞 接 着 を 行 な う 条 件 下 ではG_0期
密 度 条件 下 で は, 分 化相 のG_0期
た とえ増 殖 因 子 が 高 濃 度 存 在 して も増 殖 しな い 。 筆者 ら
に あ り高 い肝 機 能 を発
に 維 持 され,
現 して い るが, 細 胞 密度 が低 下 す る と, 細 胞 接 着 が ル 門
は こ の細 胞 接 着 に よ っ て成 熟 肝 細 胞 のG_0期 を維 持 す る
ズに な り (in vivo
機 構 が, 肝 細 胞 膜 上 に 存 在 す る熱 お よび 酸 処理 に 不 安 定
111 4
の創 傷 状 態), 肝 細 胞 はG_0期 か ら増
血 小 板 因 子 と 肝 再 生 機 構
な高 分 子 量 の蛋 白質 性 因 子 に よ る こ とを 明 らか に した 。
て い る^<24)>。
また, in vivo
こ の膜 因子 を 可 溶 化,
に c-myc mRNA量
(cell surface
部 分 精 製 し, 細 胞 表 面 調 節 因 子
modulator
; CSM)
と名 づ け た^<21)>。CSM
で の ラ ッ ト肝 再 生 の ご く初 期
が 一 過 的 に 上 昇 す る こ と も観 察 さ れ
て い る^<25)>。
成 熟 ラ ッ ト肝 細 胞 を初 代 培 養 す る と, c-myc
は 一 種 の組 織 化 因 子 と考 え られ, 成 熟 肝 臓 の 肝 小 葉 で み
遺 伝 子 の発 現 が 少 しず つ 起 こ る。 この 自発 的 な 発 現 は,
られ る肝 細 胞 の増 殖 抑 制 と高 い 分 化 機能 発 現 を 調 節 して
た とえ高 細 胞 密 度 で 培 養 して も起 こ る こ とか ら, G_0→G_1
い る。 す なわ ち, 肝 小 葉 内 の成 熟 肝 細胞 は 密 な 細胞 接着
シ フ トに よ る もの で は な い。 ま た,
を介 す るCSM作
起 こ る こ とか ら, 血 清 に 依存 す る もの で は な い 。 今 の と
用 に よ り組織 化 さ れ て い るか ら こそ,
無血 清 条 件 下 で も
高 い分 化 機 能 を発 現 す るG_0期 に維 持 さ れ て い る と考 え
こ ろ理 由 は不 明 で あ るが, 培 養 開 始6時 間 ほ どで 分 離 直
られ る。
後 の約2倍
さ て, 低 細 胞 密 度 で培 養 され た成 熟肝 細胞 はG_0か
ら
ぐ らい に ま で 上 昇 し, 以後, 一 定 に 保 た れ て
い る。 初 代 培 養2日 後 に, イ ンス リン とEGFを
G_1期 に 移 行 し, 増 殖 因子 の刺 激 に よっ て複 製DNA合
る と, c-myc
成 (S期)
3時 間 で c-myc omRNA量
を 行 な う。 しか しな が ら, 成 熟 肝 細 胞 が in
vitro でDNA合
成 を開 始 す るた め に は, プ ロ リ ンが 必
須 要 因 で あ る こ とが 明 らか に な った^<22)>。
た とえ ば プ ロ リ
ンを含 ま な いMEM,
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15
DME,
L-15な
どの培 地 で は, た
添 加6時間
は対 照 の4∼5倍
に増 加 し,
後 に は元 の対 照 レベ ル に ま で低 下 す る。 筆 者
らは最 近, こ の イ ンス リン とEGFに
myc
添加す
遺 伝 子 の 一過 的 な発 現 上 昇 が起 こ り, 添 加
mRNA量
よ る一 過 的 な c-
の増 加 は10^<-7>Mの デ キ サ メサ ゾ ンを 添 加
存在
す る と完 全 に遮 断 さ れ る こ とを 見 い だ した^<26)>。
これ と並
して も, 肝 細 胞 は ほ とん どS期 に入 らな い。 しか し, こ
行 して, デ キサ メサ ゾ ンに よっ て成 熟 肝 細 胞 の イ ン ス リ
れ らの 培 地 に プ ロ リンを添 加す る と, 肝 細 胞 は速 や か に
ン とEGFに
S期 に 入 る。 プ ロ リンの作 用 は肝 細 胞 自身 の コ ラー ゲ ン
た 。 デ キサ メサ ゾ ンに よる成 熟 肝 細 胞 の増 殖 抑 制 作 用 は
合 成 を 介 して 働 く ら し く, コ ラー ゲ ン合 成 阻 害 剤 で あ る
す で に8年 ほ ど前 に 明 らか に され て いた^<13)>が,
そ の作用
シ ス ヒ ドロキ シ プ ロ リンに よっ て肝 細 胞 のS期 導 入 が 特
が 少 な くと もG_1期
異 的 に 阻 害 さ れ る。 こ の シ ス ヒ ドロキ シ プ ロ リ ンに よ る
発 現 の 抑 制 作 用 に よる こ とが 今 回 明 らか に な っ た 。 成
とえ 低 細 胞 密 度 条件 下 で イ ン ス リンお よびEGFが
肝 細胞 のDNA合
成 抑 制 は過 剰 の プ ロ リン添 加 に よ り解
除 され る こ とか ら, 細 胞 毒 性 な ど に よ る非 特 異 的, 不 可
逆 的 な も の で は な い。 プ ロ リ ンの肝 細 胞 増 殖 に 及 ぼ す 効
果 は イ ンス リン とEGF添
加後 か ら約12時
間存在すれ
よるDNA合
成 促 進 もほ ぼ完 全 に抑 制 され
の ご く初 期 に起 こ る c-myc
熟 肝 細 胞 の増 殖 制 御 にお い て, c-myc
発 現 はG_0か
らG_1期
遺伝 子
遺 伝 子 の一 過 的 な
へ の移 行段 階 で は な く, G_1期 の
ご く初 期 に起 こ り, 細 胞 をS期 に導 入 す る うえ で重 要 な
役 割 を担 う と考 え られ る。
ば 充 分 で あ り, 逆 に, シ ス ヒ ドロキ シ プ ロ リンに よ る阻
害 効 果 も こ の時 間 帯 に も っ と も強 く認 め られ る。 この こ
とは増 殖 因 子 添 加 後 約12時
間 のG_1期
II.
肝 細胞 増 殖 因 子
(HGF)
に, 肝 細 胞 自身
が 合 成 す る ご く微 量 の コ ラ ー ゲ ンが 肝 細胞 のS期 導 入 に
成 熟 ラ ッ ト初 代 培 養 肝 細 胞 のDNA合
重 要 な役 割 を担 って い る こ とを 示 唆 して い る。 肝 細胞 が
ン とEGFに
合 成 す るS期 導 入 に 必 要 な コ ラ ー ゲ ンが どの よ うな タイ
は, イ ンス リン とEGFが
成 が イ ンス リ
よっ て促 進 され る こ とが報 告 さ れ た^<27)>当
初
肝 再 生 因 子 の 本 体 では な いか
プ で あ り, そ れ が い か な る機 作 に よ るの か な どは不 明 で
と考 え られ た。 しか しな が ら, 肝 再 生 時 に イ ン ス リ ンも
あ る。 筆 者 らはG_1期
EGFも
の コラ ー ゲ ンが,
competent
に 肝 細胞 が 微量 合 成 す る あ る種
3T3細
胞 に お け るPDGFの
よ うに
factor 的 な 役 割 を果 た して い る の で は な い
か と考 え て い る。
BALB/cお
よび Swiss 3T3細
血 中 で増 加 す る こ とな く, む しろ イ ン ス リ ンは
低 下 す る こ とが知 られ て い る。 さ らに血 中EGF濃
0.5ng/ml以
下 と低 く, 肝 細 胞 のDNA合
効 濃 度 の1/10以
胞 を は じめ 多 くの細 胞
の 増 殖 開 始 に 際 して, c-myc 遺 伝 子 の発 現 が 一 過 的 に起
度は
成 に 要 す る有
下 で あ る こ とな どか ら, 筆 者 らは これ
ら以 外 に真 の肝 再 生 因子 を探 索 した。
筆 者 ら は最 初, 肝 再 生 因子 の本 体 で あ る肝 細 胞 増 殖 因
こ る こ とが よ く知 られ て い る。 正 常 細 胞 の増 殖 開 始 期 の
子 (HGF)
み な らず, 種 々 の癌 細 胞 で c-myc
に発 見 し, 部 分 精 製 した^<28)>。
肝 再 生 ラ ッ ト血 清 は そ の ま
遺 伝 子 の発 現 が 高 ま
を70%肝
部 分 切 除 した 肝 再 生 ラ ッ ト血 清 中
って お り, 一 般 に細 胞 増 殖 に関 与 す る基 本 的 な遺 伝 子 で
ま では 種 々 の阻 害 活 性 にか くれ てHGF活
あ ろ う と理 解 され て い る^<23)>。
最 近, c-myc
く検 出 され な いが, Sephadex
DNA複
遺伝子産物は
製 系 の重 要 な成 分 で あ る とい う結 果 が 報 告 され
G-200の
性が再 現性 よ
ゲ ル濾 過 に か け
る と, 阻 害 因 子 と分 離 し, 分 子 量10∼15万の
位 置に強
1115
16
蛋 白 質
い 活 性 と して 検 出 され る。HGF活
でに12時
核 酸
酵 素
Vol. 32
No. 9
(1987)
性 は 肝 部 分 切 除後 す
間 で血 中 に上 昇 が み られ, 24時 間後 ピ ー クに
な り, そ れ 以 後 徐 々 に低 下 す る。 ゲ ル濾 過 後 のHGFは
ヘ パ リンセ フ ァ ロ ー ス ア フ ィニ テ ィ ク ロマ トグ ラ フ ィー
に よ りさ らに 精 製 され, 血 清 か ら約200倍
程 度 の部 分 精
製 標 品 が 得 られ る。 こ の部 分 精 製HGFは70℃,
間 あ る いは100℃,
処 理,
90秒
20分
間 の熱 処 理, 1N酢
酸 に よ る酸
トリプ シ ン消 化, ジ チ オ ス レイ トー ル に よ る還 元
に よっ て失 活 す る。HGFは
熱 お よび酸 に きわ め て不 安
定 な蛋 白質 性 因子 で あ り, 既 知 の い ずれ の増 殖 因子 とも
異 な っ て い る。 同様 な 因子 は ヒ トの劇 症 肝 炎 患 者 血 清 中
に も検 出 され, 最 近, 部 分精 製 され た^<29)>。
熱 お よび酸 に き わ め て不 安 定 なHGFを,
図3.
1しか も肝 再
生 中 の ラ ヅ ト血 清 か ら精 製 す る こ とは た い へ ん 困難 で あ
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る と考 え られ た の で, HGFを
ラ ッ ト血
小板 中 に高 濃度 に 含 有 され て い る こ とが 明 らか に な っ
た 。血 小板 中 のHGFは
血 小板 を トロ ン ビ ン処 理 に よっ
て 活 性化 す る と分 泌 され, 効 率 よ く粗HGF画
でき る。 粗HGF画
分 か ら Mono
分 を 調製
SFPLCと
リア ク リル ア ミ ドゲル
タ ノール 添 加)
高 濃 度 に 含む 貯 蔵 分 泌 組
織 を 捜 す 努 力 を 行 な った 。 そ の 結 果, HGFが
精 製HGFのSDS-*ポ
電気泳動
1 : 非 還 元 条 件, 2 : 還 元 条件 下 (メ ル カ プ トエ
ヘ パ リンア
鎖 の2種 類 の ポ リペ プ チ ドか らな る異 型2量 体(hetero
dimer)で
mlで
あ る こ とを示 して い る^<31)>。
精 製HGFは1ng/
有 効 で あ り, 5∼10ng/mlで
の最 大 活 性 はEGF
最 大 活 性 を示 す 。 こ
(上 皮 細 胞 増 殖 因 子) の そ れ の約2
フ ィ ニテ ィ ク ロ マ トグラ フ ィー のわ ず か2段 階 でHGF
倍 で あ り, さ らにHGFはEGFや
を 高 度 に 純 化 す る こ とに成 功 した^<30)>。HGF単 離 の成 功
あ るい は 相 乗 的 で あ る。 た とえば, 三 者 共 存 下 で は成 熟
の カギ は, HGFを
ラ ッ ト初 代 培 養 肝 細 胞 の80%以
高 濃 度 に含 有 す る貯 蔵 組 織 が 見 いだ
イ ンス リン と相 加 的
上 が い っせ い にS期 に
され た こ と と とも に, 著 し く効 率 の高 い精 製 法 の発 見 に
入 る。 さ ら に, HGFは
あ る。 と りわ け, HGFが
容 体 へ の結 合 を な ん ら阻 害 (競 合) しな い こ とか ら も,
強 いヘ パ リ ン親 和 性 を有 して
[^<125>I]
EGFの
肝 細 胞 膜EGF受
お り, ヘ パ リ ンア フ ィニ テ ィ クロ マ トグ ラ フ ィーが 効 果
両 者 は 異 な る受 容 体 を 介 して 成 熟 肝細 胞 の増 殖 を 相 加 的
的 なHGF精
に促 す といえ る。HGFはBALB/cお
製 手段 に な りえ た こ とで あ る。 最近, FGF
(線維 芽 細 胞 増 殖 因子) を は じめ 種 々 の増 殖 因子 の精 製
細 胞 やNRK49F細
にヘ パ リン ア フ ィニ テ ィ ク ロマ トグラ フ ィーが ドラマ チ
殖 に は無 効 で あ る。 逆 に,
ッ クな成 果 を あげ て い る。 さ ら にHGF精
細 胞 の増 殖 には 無 効 で あ るが, 3T3細
くに記 す べ き こ と は, 粗HGF画
PDGFが
Mono
SFPLCに
よ りほ ぼ完 全 にHGFか
離 され る こ とで あ る。 こ の こ とはHGFが
生 物 学 的 性 質 を異 にす る 以 外 に,
的 に もPDGFと
Mono
製 途 上,
と
分中に 高濃度混在す る
ら分
種 々 の化 学 的
ク ロマ トグラ フ ィー
異 な る物 質 で あ る こ とを意 味 して い る。
S FPLC段
階 でHGFは
一 挙 に190倍
に精 製 さ
よび Swiss 3T3
胞, L細 胞 な ど の 線維 芽 細胞 の増
PDGFは
肝 細胞 な どの上 皮
胞 な どの 結合 組
織 由来 の線 維 芽 細 胞 の増 殖 を強 く促 進 す る。HGFは
胞 特 異 性 の面 で もPDGFと
細
明 らか に 異 な る血 小 板 由来
の増 殖 因 子 であ る。
HGFは
ヒ ト劇 症 肝 炎 時 に血 中 に 著 明 に 増 加 す る こ と
が 明 らか に され て い る^<32)>。
最 近, ヒ トで も, 肝癌 摘 出 の
た め 部 分 肝 切 除 を行 な うと, そ の24時
間後 にHGF活
れ, ヘ パ リ ンア フ ィニ テ ィ ク ロマ トグ ラ フ ィー に よ り,
性 が ラ ッ トでみ られ た よ うに血 中 に 数 倍 増 加 す る こ とが
粗 画分 か ら12,400倍
報 告 され て い る^<33)>。
す なわ ち, ヒ トで も肝 傷 害 と並 行 し
に も高 度 に精 製 さ れ る。 さ ら に
C_4カ ラ ム を用 い た逆 相HPLCに
よ り, HGFは
単一標
HGFレ
品 に ま で純 化 さ れ る^<31)>。
図3は 精 製HGFのSDS-PAGEを
る。HGFの
め られ,
分 子 量 はSDS-PAGEか
血 中濃 度 が 変 動 す る こ とが 予 想 され, 血 中
ベ ルは 肝 炎 診 断 の よ き指 標 とな り うる可 能 性 が
示 した も め で あ
あ る。 また, HGFは
ら 約85Kと
生 促 進 薬 と して, あ る いは 肝 炎 に よ る細 胞 壊 死 に 抵 抗 す
求
還 元 す る と そ れ ぞ れ 分 子 量69Kと34Kの
2本 のバ ン ドに分 離 す る。 こ の こ とはHGFが
1116
てHGFの
肝 癌 摘 出 な どの 外 科 手 術後 の 肝 再
る抗 肝 炎 薬 な ど の肝 臓 薬 と して臨 床 上 の 応 用 が 期 待 され
重 鎖 と軽
る。 す で に ラ ッ トHGFは,
3,500頭 の ラ ッ ト血 小 板 か
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血小板
図4.
ら約50μgの
PDGIの
因 子 と 肝 再 生 機 構 17
酸 性 条 件 下 で の バ イ オ ゲ ルP60の
精 製 標 品 が 得 られ て お り, N末 端 か らア ミ
ゲル ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー に よ る分 離
を 解 離 させ る 目的 で, 6M尿
素 処 理 後, 6M尿
ノ酸 配 列 が 決 定 され, これ と相 補 的 な ヌ ク レオ チ ドを プ
の ゲル 濾 過 を行 な った 。 そ の結 果, PDGI活
ロー ブ に して, 巨核 球 ポ リA
量 蛋 白質 と解 離 して, 分 子 量25∼30Kの
したcDNAラ
mRNAを
イ ブ ラ リー か らHGF
鋳 型 と して 作 成
cDNAを
ス ク リー
ニ ング して い る。
III.
れ た 。 この 画 分 を1N酢
酸 で透 析 後, 1N酢
した バ イオ ゲルP60の
ゲ ル 濾過 に か け る と, 図4に 示
され る よ うにPDGI活
性 は3つ
カ ラム容 積 (Vt)
血 小 板 中 のHGF活
位 置 に溶 出 さ
性 は, 血 小板 を い き な り超 音 波 処
酸 で平 衡 化
の ピ ー クに分 離 して溶
出 され る。これ らを 仮 にPDGI-α, -β, -γ
肝細胞増殖抑制因子
素存在下
性 は高 分 子
と名 づ け た。
よ り遅 れ て 溶 出 さ れ るPDGI-γ
は非
透 析 性 で あ り, 中性 条 件 下 の ゲル 濾 過 で は分 子量 約25K
理 で破 壊 した 血 小 板 破 壊 液 中 で は検 出 され な くな り, 逆
を示 す 蛋 白質 で あ る こ とか ら, 酸 性条 件 下 の バ イ オ ゲル
に, イ ン ス リン とEGFに
P60に
よ る肝 細 胞 のDNA合
成促進
親 和 性 を示 す と考 え ら れ る。 こ のた め, 好 都 合
を強 く抑 制 す る。 また, ス ロ ン ビ ン処 理 に よる血 小 板 分
な こ とに大 部 分 の爽 雑 蛋 白質 と分 離 され, PDGI-γ
泌 液 中 のHGF活
の ゲル 濾 過 だ け で一 挙 に 約3,000倍
性 を 熱 あ るい は酸 処 理 に よ り失 活 させ
る と, 強 い 肝 細 胞 増 殖抑 制 活 性 が 出 現す る。こ の こ と
は, 血 小 板 中 にはHGF以
外 に, 肝 細胞 増 殖 因子 が 含 ま
れ て い る こ と を示 してい る。 筆 者 ら は,
こ の増 殖 抑 制
因子 を血 小 板 由来 に ち なん で Platelet-derived
inhibitor (PDGI)
growth
と名 づ け た^<34)>。
させ た の ち, 血 小 板 凝 集 塊 をPBS
(phosphate
分泌
buffered
に精 製 され る。
そ こで, 精 製 が 容 易 で あ る と考 え られ た γ画 分 の純 化
か ら まず 試 み た 。 そ の結 果, PDGI-γ
は フ ェニ ル5PW
カ ラ ムに よ る逆 相HPLCに
よ り最 も効 率 よ く精 製 され
る こ とが わ か った 。PDGI-γ
は0.1%ト
で 平 衡 化 した フ ェ ニル5PWカ
ラ ッ ト血 小 板 か ら ス ロ ンビ ン処 理 に よ りHGFを
はこ
リフル オ ロ酢 酸
ラ ムか らゆ るや か な ア
セ トニ ト リル濃 度 勾 配 に よ りシャ ー プな 単 一 ピ ー ク と し
て溶 出 され る。 この 逆 相HPLCに
よ り, PDGI-γ
は血
saline) に 懸濁 させ, 超 音 波処 理 に よ り 破 壊 液 を調 製 し
小 板 破 壊 液 か ら約1万 倍 に 精 製 され, ほ ぼ 均 一 標 品 に な
た。 血 小 板 破 壊 液 をPBSで
る。 精 製PDGI-γ
平 衡 化 した Sephadex
200あ るい は Sephacryl S-300の
G-
ゲル濾 過 にか け る と,
はSDS-PAGEか
あ り, 還 元 す る と 約14Kに
ら分 子 量 約25Kで
な る こ と か ら 同 型2量
肝 細 胞 増 殖 抑 制 活 性 は い ず れ も ボ イ ド容 積 に溶 出 され
体 (homo-dimer)
た 。 これ はPDGIが
化 学 的 性 質 か らす で に そ の構 造 が 明 ら か に さ れ て い る
何 らか の高 分 子 量 蛋 白質 と結 合 し
て存 在 す る こ とを示 して お り, PDGIと
高 分 子 量 蛋 白質
transforming
で あ る。PDGI-γ
growth
は 分 子量 や 種 々 の
factor-β (TGF-β)
と著 し く類 似
1117
18
蛋 白 質
核 酸
酵 素
Vol. 32
No. 9
(1987)
天 中 で の コ ロ ニ ー形 成 を促 進 しな い 。こ の こ とはPDGIβ や-γ
と異 な り, PDGI-α
はTGF-β
とは異 な る血 小
板 由来 の 細 胞 増 殖 抑 制 因 子 で あ る こ とを 示 し て い る。
PDGI-α
は 成 熟 肝 細 胞 以 外 に, Coon
た 肝 細 胞 株BRL-3A細
に よっ て樹 立 され
胞 の増 殖 に 対 して も抑 制 作 用 を
示 す 。 現 在, PDGI-α
の完 全 精 製 とそ の ア ミノ酸 配 列 の
決 定 に努 力 して い る。
次 に, TGF-β
に よ る肝 細 胞 増 殖 抑 制 機構 につ い て調
べ た最 近 の結 果 につ い て簡 単 にふ れ る。TGF-β
で はNRK-49F細
胞 の軟 寒 天 中 で の コロ ニー形 成 促 進
活 性 を示 さず, EGFあ
るい はTGF-α
す る。 そ れ ゆ え, Assoian
図5.
精 製PDGIに
よる 肝 細 胞 増 殖 抑 制 とNRK49F細
は単 独
の 共 存 を必 要 と
らはTGF-β
のEGF受
へ の影 響 につ い て調 べ た。 そ の結 果, TGF-β
容体
がEGF
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胞 の コ ロ ニ ー形 成 促 進
受 容体 数 を増 加 さ せ るこ とを見 つ け, この 受 容 体 数 の増
(a)
PDGI-α,
(b)
PDGI-β
& γ(TGF-β)
● : 成 熟 ラ ッ ト初 代 培 養 肝 細 胞 のDNA合
成抑制
○ : NRK49細
胞 の軟 寒 天 中 で の コ ロニ ー形 成 促 進
加 に よ りEGFと
の協 調 作 用 機 作 を 説 明 し よ う と した^<38)>。
しか しな が ら, 逆 にTGF-β
に よっ て増 殖 抑 制 を受 け る
成 熟 ラ ッ ト初 代 培 養 肝 細 胞 の 場 合 も, TGF-β
して い た。
EGF受
そ こで, PDGI-γ
につ い てNRK-49F細
中で の コ ロ ニ ー形 成 能 に よ るTGF-β
胞 の軟 寒 天
活性を調べた とこ
に よ って
容 体 数 が 低 下 す る こ と は な く, や は り濃 度 依 存
的 に増 加 す る^<39)>。
またTGF-β
はEGFの
HGFに
成 を も抑 制 す る こ とか
よる肝 細 胞 のDNA合
の作 用 はEGF受
み で な く,
ろ, 図5に 示 す よ うに, 肝 細 胞 増 殖 抑 制 活 性 と対 象 的 な
ら, TGF-β
コ ロ ニー 形 成 能 の濃 度 依 存 曲線 を示 す こ とが 明 らか に な
容 体 以 後 の 細 胞 内 プ ロセ ス の い ずれ か に働 き細 胞 増 殖 を
容 体 レベ ル で は な く, 受
った 。 また, 逆 に, ヒ ト血 小 板 か ら純 化 され たTGF-β
調 節 して い る と考 え られ る。TGF-β
は1ng/ml以
初 代 培 養 肝 細胞 の 増 殖抑 制 はG_1期
下 の低 濃 度 で成 熟 ラ ッ ト初 代 培 養 肝 細 胞 の
イ ン ス リン とEGF,
あ るい はHGFに
よ るDNA合
成
に よる成 熟 ラ ヅ ト
の初 期 にわ ず か1時
間 作 用 す るだ け で 充 分 で あ る。 わ ず か1時 間 のTGF-β
促 進 活 性 をほ ぼ 完 全 に抑 制す る^<35,36)>。
さ ら に, PDGI-γ
処 理 に よ り, 18∼24時
がTGF-β
抑 制 され る こ とか ら, 細胞 内 にTGF-β
と同 一 物 質 で あ る こ とはN末 端 か ら約30残
間後 のDNA合
成がほぼ完全に
の シ グ ナル を 記
基 の ア ミノ 酸 配 列 を決 定 した とこ ろ, こ の配 列 がTGF-
憶 す る何 らか の 機 構 が あ る と予 想 され た。 こ のシ グ ナル
β とま った く一 致 した こ とか ら も確 認 され た 。
の記1意に 蛋 白質 合 成 やmRNA合
成 が あず か っ て い るか
ど うか を 調 べ る 目的 で, TGF-β
処 理 時 に シ クロヘ キ シ
β画 分 につ い て も, Mono
交 換FPLCと
Qカ
フ ェニ ル5PWの
ラ ム を用 いた ア ニオ ン
逆 相HPLCに
よ り単 一
に ま で精 製 した と ころ, γ と同様, や は りTGF-β
と同
ミ ドお よび α-アマ ニチ ンを共 存 させ てみ た が, TGF-β
に よ る肝 細 胞 のDNA合
成 抑 制 作 用 は 失 わ れ な か っ た^<40)>。
一 物 質 で あ る こ とがわ か っ た。 酸 性 下 の バ イ オ ゲルP
TGF-β
60に
合 成 を 必 要 と しな い, 何 らか の, た とえば リン酸化 の よ
よ る ゲ ル濾 過 でTGF-β
が β と γに分 離 して溶 出
され る理 由 は 明 らか で な いが, TGF-β
をV_tよ
り遅 れ
て 溶 出 させ る こ とに よ り, 2段 階 の簡 単 な精 製 過 程 で,
しか も30→40%の
高 収 率 で純 化 す る こ とが で き る よ う
に な っ た^<37)>。
Q FPLC,
ら判 断 して約20%ほ
純 度 の標 品 が 得 られ た 。PDGI-α
TGF-β
やPDGI-α
以 外 に, 最 近 イ ンタ ー ロイ キ ンー
1β (IL-1β) が 成 熟 ラ ッ ト初 代 培 養 肝 細胞 の増 殖 抑 制 因
よ る成 熟 肝 細 胞 のDNA合
の acute phase proteins 合 成 の イ ンデ ュサ ー で あ る こ と
より
はす で に よ く知 られ て い る。 した が っ てIL-1β
どの
能 と増 殖 の 相 反 的 調 節 因 子 とい う こ とが で き, 肝臓 の 生
は 図5に 示 す よ うに,
を ほ ぼ 完 全 に 抑 制 す る濃 度 で も, NRK49F細
1118
ゲ ル濾 過
C_4カ ラ ムに よる逆 相HPLCに
精 製 を進 め, SDS-PAGEか
イ ンス リン とEGFに
うな 化 学 的 修 飾 に よ って い る のか も しれ な い。
子 で あ る こ とが 明 らか に な った^<41)>。IL-1β
は成 熟肝 細 胞
さ て, α画 分 で あ るが, バ イ オ ゲルP60の
後, Mono
シ グ ナ ル の 細 胞 内 記 憶 は蛋 白質 お よびmRNA
成促進
胞 の軟 寒
ほ肝 機
理 機 能 な らび に病 態 に重 要 な 役 割 を担 っ てい る こ とが 予
想 され る。IL-1β
の 肝細 胞 増殖 抑 制 の 作 用 点 はTGF-β
と同様G_1期 に あ る。 しか しな が ら, IL-1β に よ る抑 制
血 小 板 因 子 と肝 再 生 機 構
19
効 果 はG_1初 期 に1時 間 作 用 す れば 充 分 で あ るTGF-β
25Kの
と異 な り, G_1期 を通 して少 な く と も10時
子 量 の 担 体蛋 白質 に結 合 して血 小 板 中 な らび に 分 泌 液 中
間以 上 作 用
しっ づ け る 必 要 が あ る。 とこ ろ が, G_1期 を 前期 (0∼
6h)
と後 期 (6∼12h)
に 分 け る と, 前期 お よび後 期 の最
初 の1時 間 ず つ 計2時 間IL-1β
G_1期 の 約12時
が 肝 細胞 に 作用 して も
間存 在 しつ づ け た の と同 じ強 い肝 細胞
増殖 抑 制 作 用 が 認 め られ る。 こ の こ とはIL-1β
点 がG_1期
の 作用
の 前期 と後 期 の少 な く と も2点 存 在 し, この
両 点 の共 同作 用 でIL-1βの
肝 細 胞 増 殖 抑 制 作用 が発 現
す る こ とを示 唆 して い る。
位 置 に 溶 出 され る。 こ の こ とはTGF-β
に存 在 す る こ と, しか もTGF-β
合 す る と, TGF-β
は そ の 担 体 蛋 白質 と結
活 性 が 完 全 に マ ス ク (masking)
TGF-β
masking
protein あ るい はTGF-β
HGF精
製 の最 初 の ス テ ップ で あ る Mono
よ る カ チオ ン交 換FPLCに
HGFは
カ ラ ムに 強 く吸 着 され る が, MP
した が って, MPはHGF精
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やPDGI-α
は 前 述 した よ うに,
ゲ ル濾 過 で は いず れ も ボ イ ド容 積 に溶
した Sephacryl
ロ ン ビ ンで 活 性化 す る と, PDGFやHGFと
とも に分 泌
さ れ るが, や は り高 分 子 量 の潜 在 型 で あ る。 血 小 板 分 泌
は95℃,
3分 間 の熱 処 理, 1N酢
あ るい は6M尿
を1N酢
酸 あ るい は6M尿
下 の ゲル 濾 過 に か け る と, TGF-β
図6.
酸によ
素処理 によって 活性化 さ れ
素存在
本来 の分 子 量 で あ る
TGF-βMPの6M尿
とMPを
S-300の
S素 通 り画
解 離 後, 6M尿
素
素 で平 衡 化
ゲ ル濾 過 あ る い は Mono
Qカ
か け る と, いず れ の
クロ マ トグ ラ フ ィ ー で も両 者 は 完 全 に分 離 して溶 出 され
は0.25
は血 小 板 を ス
製 過 程 の Mono
ラ ムに よ る ア ニ オ ン交 換FPLCに
不 活 性 な 潜 在 (latent) 型 で あ る。TGF-β
る。 潜 在 型 のTGF-β
Pro
分 を出 発 材 料 に し て精 製 で き る。素 通 り画分 を6M尿
る。 図6に
る 酸処 理,
(masking
は カ ラ ム を素 通 りす る。
調 節 蛋 白 質-TGF-β
出 され る。 しか も, 高 分 子 量蛋 白質 と結 合 した 状 態 で は
液 中 のTGF-β
Sカ ラム に
血 小 板 分 泌 渡 を か け る と,
protein
高 分子 量 の蛋 白質 と結 合 し て お り, 中 性 条 件 下 のSePhacryl S-300の
調 節 蛋 白質 と名 づ
け, ラ ッ ト血 小 板 か ら精 製 した^<42,43)>。
処 理 に よ りTGF-β
血 小 板 中 のTGF-β
され
る こ とを示 して い る。 筆 者 らは この 担 体 蛋 白質 をTGFβ masking
tein)と 結 合 した 潜在 型TGF-β
IV.
が高分
Mono
M NaClに,
Q FPLCの
結 果 を示 した が, TGF-β
MPは0.4MNaClの
され, 相 互 に分 離 され る。MP活
塩 濃 度 に溶 出
性 はTGF-β
に よ る肝
細 胞DNA合
成 抑 制 あ るい はNRK-49F細
胞 の コロニ
ー形 成 促 進 を中 和 す る活 性 と して測 定 で きる。MPは
TGF-β
と中性 条 件 下 で混 合 す る と, 室 温下 で も4℃
低 温 下 で も直 ち に結 合 し, TGF-β
MPは6M尿
素 存在 下 で の Mono
活 性 を マ ス クす る。
素 で平 衡 化 した Sephacryl
Q
FPLCに
の
S-300の
ゲル
よ る分 離 精 製
111 9
20
蛋 白 質
核 酸
酵 素
Vol. 32
No. 9
表1.
(1987)
TGF-βMPに
よる ラ ッ トお よび ヒ トTGF-β
活性の中和
1 : イン ス リン
トTGF-β
(10^<-7>M),
(1ng/ml),
MP
EGF
(20ng/ml),
: masking
ラ ッ トお よ び ヒ
protein
(1μg/ml),
数
値 は 平 均 値 ±標 準 偏 差 。
図7.
精 製TGF-βMPのSDS-ポ
リア ク リル ア ミ ド
表2.
TGF-βMPの
糖 鎖 消 化酵 素処 理 の影 響
ゲル 電 気 泳 動
M
: 分 子 量 マ ー カー
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MP
: TGF-β
masking
protein
濾 過 では ボ イ ド容 積 よ り少 し遅 れ た 分 子量400∼500K
の位 置 に溶 出 され る。MPは
TGF-β
Mono
と分 離 後, さ らに Mono
グ ラ フ ィーに よ り Mono
Q FPLCの
再 ク ロマ ト
S-300の
ラ ム に よ る 逆 相HPLCに
SDS-PAGE上
よ り
S素 通 り画 分 か ら約120倍
精 製 され る。 つ づ い て, Sephacryl
そ してC_4カ
Q FPLCに
に
ゲル 濾 過,
よ り, MPは
で 単 一バ ン ドを 示 す ま で に 純 化 さ れ
部 分 精 製 masking
Protein (9μg/50μl) を5ミ
素 で37℃,
3時 間 処理 した 。
リ単 位 の 各 酵
た^<43)>。
MPの
Kの
分 子 量 は 中性 条 件 下 の ゲ ル 濾過 で は, 400∼500
大分 子量 を 示 し, SDS-PAGEで
は180∼220Kを
示 す 。 また, 還 元 条 件 下 のSDS-PAGEで
蛋 白質 で あ り, コ ン カナ バ リンA-セ
フ ァ ロー ス に 強 ぐ
吸 着 し, α-メチル マ ン ノ シ ドに よ り 特 異 的 に 溶 出 さ れ
は 図7に み ら
る。MPの
糖 鎖 は 活 性 に 必 須 で あ り, 表2に 示 す よ う
れ る よ うに46Kの
単一 バ ン ドを与 え る。 これ らの こ と
に, 高 マ ン ノー ス糖 鎖 を切 断す る エ ン ドグ リコ シ ダーゼ
か ら, MPは46Kの
サ ブユ ニ ッ ト4個 か らな る同 型4
Hに よ り失 活 す る。 しか しなが ら, 高 マ ンノ ー ス糖 鎖 の
量 体 (homo-tetramer)
であ り, さ らに 中 性条 件下 で は
数 分 子 が 会 合 し て大 分 子 を形 成 す る と考 え られ る。MP
は メル カ プ トエ タ ノ ール や ジ チオ ス レイ トール で還 元 し
て単 量体 に す る と失 活 す る。
に よ るTGF-β
胞 のDNA合
を濃 度 依 存 的 に マ ス
ほ ぼ 完 全 に 中 和 す る。表1に,
MP
活 性 の中 和 を, 成 熟 ラ ッ ト初 代 培 養 肝 細
成 抑 制 能 とNRK49F細
胞 の軟 寒 天 中 で
の コ ロ ニ ー形 成 能 の両 ア ッセ イ 法 で 調 べ た 結果 を示 す 。
ラ ッ ト血 小 板 か ら精 製 し たMPは
TGF-β
に よる肝 細 胞DNA合
ラッ トお よ び ヒ ト
成 抑 制 な らび にNRK-49
安 定 で あ るが,
mMジ
1120
3分 間 の熱 処 理 お よび1N酢
10μ9/mlの
活 しな い。 また,
ノイ ラ ミニ ダ ー ゼや α-マ ンノ シ ダ ー
結 合 な らび に マ
ス ク活 性 に高 マ ン ノー ス糖 鎖 が ど の よ うに関 与 して い る
の か, 今 後 の興 味 深 い課 題 であ る。
TGF-β
は細 胞 増 殖 の制 御 のみ な らず , 最 近,
質 で あ る こ とが 明 らか にな っ て きた^<44)>。TGF-βMPは
た だ単 な るTGF-β
担 体蛋 白質 と してだ け で は な く, 多
の 作 用 を 調 節 す る蛋 白 質 と して の 役 割 を担
っ て い る と考 え られ る。 た とえ ば, MPがTGF-β
酸処理 に
トリプ シ ン消 化 お よ び50
チ オ ス レイ トー ル処 理 に よ り失 活 す る。MPは
糖
細胞分
化 や 種 々 の細 胞 機 能 の調 節 に関 与 す る多 才 な 生 理 活 性 物
才 なTGF-β
細 胞 コ ロ ニー 形成 促進 を とも に 中和 す る。
MPは95℃,
お わ れ て い る と働 け な い エ ン ドグ リ コシ ダー ゼDで は失
ゼ 処理 で は 失 活 しな い。MPのTGF-β
精 製MPは1ng/mlのTGF-β
ク し, 約40ng/mlで
頭 部 が シ ア リル ガ ラ ク トシ ル ア セ チ ル グ ル コサ ミ ンでお
をマ
ス クで き な くな った り, 合成 不 能 に 陥 った りした場 合 ,
TGF-β
は 常 に 活 性化 状 態 に置 かれ , 細 胞増 殖 や 細胞 分
化 が 異 常 に な る こ とが 予 想 され る。事 実, 癌 細 胞 の 中 に
血 小 板 因 子 と肝 再 生 機 構
舷TGF-β
が 常 に活 性 型 で分 泌 され, こ のTGF-β
によ
血 小 板 中 に, 新 た に上 皮 組 織 の増 殖 因 子 で あ るHGFが
る autocrine 機 構 で細 胞 が 自律 的 増 殖 な どの種 々 の癌 的
発 見 され,
性 質 を発 現 して い るも の が あ る。 い ま や, TGF-β
れ る事 実 は, 血 小 板 の組 織 再 生 や 創 傷 治 癒 に果 た す 生 理
は癌
組 織 に 限 らず, 多 くの正 常 組 織 中 に も含 まれ る こ とが よ
とも に血 小板 の 活 性 化 に よ って血 中 に分 泌 さ
的役 割 の重 要 さ を 示 して い る。
血 小板 中 に は, PDGF,
く知 られ て い る。 しか しな が ら, 正 常細 胞 中 のTGF-β
HGF,
ど の増 殖 因 子
の み な らず, TGF-β
T3細
抑 制 因子 が 同 時 に 貯 蔵 され てお り, や は り血 小 板 の活 性
胞 はTGF-β
を潜 在 型 と して分 泌 す るが, これ を
を 活 性型 で
やPDGI-α
EGFな
は 常 に不 活 性 な 潜 在 型 で存 在 す る。 た とえ ば, 正 常 な3
マ ウ ス 肉腫 ウ イル スで 癌 化 す る と, TGF-β
な ど の強 力 な細 胞 増 殖
化 に よ って 分 泌 され る こ と が 明 らか に な っ た。PDGF
やHGFな
ど の ア クセ ル に対 して, ブ レー キ の役 割 を担
の 異 常 とい う観 点 で理 解 で き る可 能 性 を 示 して い る。 す
うTGF-β
やPDGI-α
な わ ち, 正 常 細 胞 ではTGF-β
実 は, 再 生 の 開 始 シ グ ナル のみ な らず, 再 生 お よび創 傷
分 泌 す る よ うに な る^<45)>。
こ の こ とは 細 胞 の 癌 化 をMP
はMPに
よ って 不 活 性
化 され てお り, 必 要 時 に のみ タ イ ミ ング よ くMPか
ら
が と も に血 小 板 中 に局 在 す る事
治 癒 後 の増 殖 停 止 機 構 に も血 小 板 が 重 要 な役 割 を担 っ て
解 離 して活 性 化 され る。 しか しな が ら, も し何 らか の異
い る こ とを 示 して い る。 す なわ ち, HGFやPDGFによ
常 に よ りMPが
っ て 肝 再 生 や 創 傷 治 癒 が 進 行 し, 終 りに 近 づ い た と き
働 け な くな っ た り, 常 に活 性 化 機 構 が
作 働 しつ づ けた り, あ る い はMPの
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21
てTGF-β
生合成異常に よっ
が 常 に裸 の活 性 型 で存 在 す る と, 細 胞 は 癌 化
す る。TGF-β
に, そ れ 以 上 の不 必 要 な増 殖 を速 や か に停 止 させ るた め
に, TGF-β
やPDGI-α
が ブ レー キ と して働 くの で あ ろ
は そ の発 見 の当 初 か ら正 常 細 胞 を一 過 的
う。 組 織 が 傷 つ く と, ど う して傷 を受 け た 近 傍 の 細 胞 が
に形 質 転 換 す る因 子 と して注 目を集 め た 強 力 な生 理 活 性
増 殖 を始 め る よ うに な る の か とい った 開 始 機 構 のみ な ら
物 質 で あ る。 す な わ ち, MPは
ず,肝 臓 が 元 に 回復 す る か あ る い は創 傷 が 治 癒 す る と,
あ た か も手 榴 弾 の安 全 ピ
ンの役 目を担 う蛋 白質 と してTGF-β
節 して い る と考 え られ る。MPの
TGF-β
の多 才 な機 能 を調
細 胞 増 殖 が 停 止 す る機 構 は た い へ ん不 思 議 な 現 象 で あ
異 常 あ る いは 恒 常 的 な
る。 こ の停 止 機 構 に, 前 述 した 細 胞 接 着 を 介 す るCSM
活 性 化 に よ る発 癌 仮 説 の 実 証 は, 制 癌 とい う観
機 構 に加 え て, さ ら に血 小 板 中 の液 性 因 子 で あ るTGF-
点 か らも今 後 の興 味 深 い研 究 課 題 で あ る。 また, 後 述 す
β やPDGI-α
る よ うに, MPか
遊 離 活 性 化 機 構 は肝 再 生
傷 治 癒 後 に増 殖 が停 止 しな い で 無 目的 に 増 え つ づ け る場
や 創 傷 治 癒機 構 に お い て も重 要 な役 割 を担 っ て い る と予
合, そ れ は ま さ に癌 で あ る こ とを 考 え る と, 細 胞 増 殖 制
想 され る。
御 機 構 の 中 で増 殖 抑 制 の 占 め る意 義 は た い へ ん大 き い。
ら のTGF-β
が 関 与 して い る と考 え られ る。 再 生 や 創
た だ 単 に, 細 胞 の増 殖 は増 殖 因 子 の供 給 が 停 止 す る こ と
V.
血 小板 因子 に よ る 再 生 開 始 と停 止 機構
に よ って止 ま る とい っ た もの で は な く, 上 述 した よ うに
生 体 内 で は二 重 三 重 の 積 極 的 な 停 止 機 構 が 存 在 し, 組 織
HGFは
長 ら く求 め られ て き た 肝 再 生 因子 の本 体 で 拳
る 。HGFの
発 見 に よっ て肝 再 生 の 開 始機 構 が今 後 明 ら
か に され てい く もの と期 待 され る。 と りわ け ラ ッ トに お
い てはHGFが
血 小 板 に貯 蔵 され てお り, 血 小板 の活 性
再 生 や創 傷 治 癒 の み な らず, 組 織 や 器 官 の恒 常 性 維 持 に
関与 して い る と考 え られ る。
さ て, HGFやPDGFの
増 殖 因 子 が 血 小 板 か ら活 性
型 と して 分 泌 され る の に反 し て, 増 殖 抑 制 因子 で あ る
化 に よ っ て血 中 に 分泌 され る こ とは 生 理 学 的 に重 要 な意
TGF-β
味 を有 す る。 ラ ッ トに 限 らず, イ ヌや ヒ トに お い て も肝
る。 この事 実 は 生 理 学 的 にみ てた いへ ん好 都 合 で あ る。
部 分 切 除 手 術 に よ って, 術 後12時
創 傷 部 位 あ るい は 再 生 部 位 でHGFやPDGFが
間 ほ どの 間 に血 小板
やPDGI-α
は 不 活 性 な 潜 在 型 と して 分 泌 され
血 小板
が 一 過 的 に激 減 す る こ とが 知 られ て い る。 また, ヒ トに
か ら分 泌 され, まず 細 胞 増 殖 が 促 進 され 再 生 が進 行 した
お い て も, 前 述 した よ うに 劇 症 肝 炎 や 肝 癌 摘 出 手 術 な ど
あ とに, 再 生 終 了 点 近 くでTGF-β
の 大 規 模 な 肝 傷 害 に よ って, 血 小 板 が 著 し く減 少 す る と
らのMPか
と も にHGFが
後 の 増 殖 が 速 や か に停 止 し, 不 必 要 な過 剰 増 殖 が 防 止 さ
血 中 に 増 加 す る。 ヒ トでは, 血 中EGF
やPDGI-α
がそれ
ら遊 離 活 性 化 され る。 これ に よ っ て, 再 生
も血 小 板 由来 であ る こ とが 明 らか に され てい る^<46)>。
肝再
れ うる と考 え られ る。 も し, ア クセ ル と同 時 に ブ レーキ
生 をは じめ 一 般 に 組織 再 生 や 創 傷 治 癒 は 結 合 組 織 と上皮
で あ るTGF-β
組 織 の増 殖 に よ って進 行 す る。 こ の意 味 で, 従 来, 結合
た ら, 再 生 開 始 シ グナ ルが 強 力 な細 胞 増 殖 抑 制 因 子 のた
組 織 の増 殖 因 子 で あ るPDGFし
め に キ ャ ンセ ル され て しま い, 再 生や 創 傷 治 癒 が 起 こ ら
か 知 られ て い な か った
やPDGI-α
が 活 性 型 で分 泌 され る と し
1121
22
蛋 白 質
核 酸
酵 素
Vol. 32
No. 9
(1987)
な くな っ て し ま う と い う不 都 合 が 生 じ
る。 他 方, 多様 な働 きを もつ 生 理 活 性 物
質 で あ るTGF-β
が血 中 を 活 性 な 状 態 で
循 環 す る こ とは, 全 身 的 にみ て種 々の 不
都 合 が 生 じる と考 え られ る。 こ の よ うな
不 都 合 を 防 止 す る た め に, TGF-β
PDGI-α
はMPに
や
よ っ てそ れ ら の活 性
が マ ス クされ てい る必 要 が あ る。 す な わ
ち, TGF-βMPはTGF-β
を 局所 の 発
現 す べ き部 位 に運 ぶ 担 体 蛋 白質 と して の
み な らず, TGF-β
活 性 を調 節 す る一 種
の調 節 蛋 白質 で あ る。 そ れ ゆ え, MPと
結 合 した 不 活 性 型TGF-β
の局 所 にお け
る遊 離 活 性 化 機 構 の研 究 は再 生 停 止 機 構
Database Center for Life Science Online Service
の 理 解 に とっ て 重 要 で あ る。 再 隼 終 了
時 に タ イ ミング よ くTGF-β
がMPか
やPDGI-α
ら遊 離 して活 性 型 に な る機 作
図9.
生 後0日
生 後0日
目の幼 若 ラ ッ ト肝 細 胞 の 自律 的 増 殖
目の 新 生 仔 ラ ッ ト肝 細 胞 を 無 血 清, 無 ホ ル モ ソ条 件 下 で 培 養 した 。
右 端 の写 真 は 培 養48時
間 後 に [^3H] チ ミジン を 培 地 に 添 加 し, 24時
後 の オ ー トラジ オ グ ラ ムを 示 す 。
間培養
と して次 の可 能 性 が 考 え られ る。 再 生 部
位 や 創 傷 部 位 には 単 球, マ ク ロフ ァー ジ, リ ンパ 球 な ど
与 して い る こ とが 予 想 され る。 以 上 の 筆 者 の 考 え を 図8
の 白血 球 系 細 胞 が 浸 潤 して複 雑 な細 胞 間 相 互 作 用 が 起 こ
に 図解 して要 約 した 。 とも あれ, 血 小 板 は 古 典 的 な 止血
っ て い る。1つ
に は これ らの 白血 球 系 の細 胞 が分 泌 す る
プ ロ テ ア ーゼ に よ っ てMPが
限 定 分 解 を 受 げ, TGF-β
に果 たす 役 割 だ け で な く, 肝 再 生 をは じめ 多 くの組 織 再
生 や 創 傷 治 癒 に重 要 な役 割 を担 う血 球 成 分 であ る こ とが
が 遊 離 す る機 構 が 考 え られ る。 あ る い は, 白血 球 系 の細
明 らか に な った 。 今 後 も, 血 小 板 か らは まだ まだ 重 要 な
胞 に よっ て ミ ク ロ環 境 下 で酸 性 化 が生 じ, これ に よっ て
生 理 活 性 物 質 が 発 見 され る と考 え られ る。
TGF-β
がMPか
ら解 離 す る な ど の可 能 性 が 考 え られ
る。 いず れ に しろ, 再 生 終 了 時 に タ イ ミング よ くTGFβ やPDGI-α
が そ れ らのMPか
VI.
幼 若肝 細 胞 の 成 熟 分 化 に 伴 う
増 殖 制 御 機 構 の転 換
ら遊 離 活 性 化 され る機
構 が あ る はず で あ り, これ に血 球 系 の細 胞 の sequential
な細 胞 間 相 互 作 用 とそ れ を仲 介す る種 々の 機 能 分 子 が 関
生 後 ま も な い幼 若 期 の動 物 の肝 臓 は活 発 な細 胞 増 殖 と
成 長 を行 な っ て お り, 成 熟 動 物 の肝 臓 が 傷 害 時 に増 殖 を
始 め再 生 す る の とは異 な った 調 節 機 構 が 予 想 され る。 事
実, 生 後 数 日の幼 若 ラ ッ ト肝 細 胞 は図9に み られ る よ う
に, 増 殖 因子, ホ ル モ ン, 血 清 を ま った く含 ま な い培 養
条 件 下 で も活 発 に増 殖 す る。 幼 若 肝 細 胞 は 成 熟 肝 細 胞 が
HGFやEGFな
どの外 来 性 増 殖 因子 に依 存 して増 殖 す
る の に反 して, 癌 細胞 の よ うに 自律的 に増 殖 す る こ とが
明 らか に な った^<47)>。
この幼 若 期 の肝 細 胞 の 自律 的 増 殖 能
は 図10に
示 す よ うに, ラ ッ ト生 後 の成 長 に伴 っ て低 下
し, 生 後3週
で 消 失す る。 生 後 直 後 の幼 若 肝 細 胞 はほ と
ん どす べ て の細 胞 が活 発 な 自 律的 増 殖 を行 な っ て い る 。
筆者 らは幼 若 肝 細 胞 の 自律 的増 殖 能 が 幼 若 肝 細 胞 自身
が 分泌 す る 増 殖 因 子 に よ って 増 殖 す る 機 構,
autocrine
図8.
1122
血小板 因子に よる肝再生お よび創傷治 癒機構
す なわ ち
機 構 に よ る ので は な い か と考 え た。 そ こ で,
生後 す ぐの幼 若 ラ ッ ト肝 細 胞 を初 代培 養 し て 得 た お 古
血 小 板 因子
と肝 再 生 機 構
23
に 測 定 す る と, 増 殖 中 の肝 細 胞 とTO発
現肝細胞がみ ご
とに 分 離 す る。す な わ ち, 増 殖 中 の肝 細 胞 はTO未
で あ る し, TO発
発現
現 肝 細 胞 は 自律 的 増 殖 を して い な い。
こ の こ とは, 幼 若 肝 細 胞 はTO発
現 能 を獲 得 して成 熟 分
化 す る と, もは や 自律 的 増 殖 を行 なわ な くな る こ とを示
して い る。
生 後 ま も な い幼 若 ラ ッ ト肝 細 胞 の分 泌 す る増 殖 因子 は
成 熟 ラ ッ ト肝 細 胞 の 増 殖 に は 無 効 で あ り, 逆 に, HGF
は幼 若 肝 細 胞 の 増 殖 に は 無 効 で あ る。 幼 若 肝 細胞 の
HGF応
答 能 は 図10に
示 す よ うに ラ ッ ト成 長 に 伴 って
認 め られ る よ うに な り増 大す る。 このHGF応
答 能の発
現 パ タ ー ンは ち ょ う ど 自律 的増 殖 能 の そ れ と相反 して い
る。 ま た, HGF応
答能 の パ タ ー ンはTO発
現のそれ と
並 行 して お り, 幼 若 な 未 熟 肝 細胞 が 最 終 分 化 して 成 熟 肝
細胞 に な る と, 自身 の autocrine 因 子 の 産 生 分 泌 能 とそ
Database Center for Life Science Online Service
図10.
ラ ッ ト成 長 に 伴 う幼 若 肝 細 胞 のTO発
殖 能, な らび にHGF応
答 能 の変 化
現,
自律 的 増
の応 答能 を 失 い, 代 わ りにHGF応
答能を獲得す るよ う
に な る こ とを 示 し てい る。 す な わ ち, 図11に
示す よ う
の培 地 中 の増 殖 促 進 活 性 を 種 々 の 増 殖 因 子 に 応 答 す る
に, 幼若 肝 細 胞 の 増 殖 制 御 機 構 は 成 熟 分 化 に 伴 っ て
swiss
autocrine か ら endocrine
あ る い はBALB/c3T3細
の 結果, 生 後0日
胞 を用 い て調 べ た 。 そ
の幼 若 肝 細 胞 は培 地 中 に多 量 の増 殖 因
autocrine
機構 に 転 換 す る。
機 構 は癌 細 胞 の 自律 的 増 殖 能 を説 明す る仮
子 を分 泌 して い る こ とが 明 らか にな った^<48)>。
こ の増 殖 因
説 と して, Todaro
子 合成 分泌 能 は, ラ ッ ト成 長 に した が っ て低 下 し, 幼 若
うにな った 。 幼 若 ラ ッ ト肝 細 胞 の 自律的 増 殖 は癌 細 胞 に
肝 細胞 自身 の 自律 的 増 殖 能 と平 行 して い る。 幼 若 肝 細 胞
限 らず, 正 常 細 胞 で も発 生 時 期 には autocrine 機 構 に よ
の 分泌 す る増 殖 因子 は熱 お よび 酸 処 理 に安 定 な, 非 透 析
る増 殖 を行 な うこ とを示 して い る。 これ に よ り幼 若 ラ ッ
性 の蛋 白質 で あ る。 こ の因 子 は ジ チ オ ス レイ トール に よ
ト肝 臓 は 細 胞 数 を増 し, 生 後3週
って還 元 す る と失 活 す る。 こ の増 殖 因子 はIGF-IIに
対
に よ って 提 唱 され, 広 く知 られ る よ
ま で に成 熟 肝 レベ ル の
細 胞 数 に達 す る。 す なわ ち, 肝 臓 器 官 形 成 期 の幼 若 肝 細
す る抗 体 に よっ て 中和 され な い こ と, また [^<125>I]
EGF
胞 は autocrine 機 構 に よ り, 成 熟 肝 細 胞 は外 来 性 増 殖 因
の肝 細 胞 膜EGF受
子 に よ る endocrine
容 体 へ の 結 合 を 阻 害 しな い こ と, さ
らに イ ンス リンやEGFと
IGFやEGF様
他方, 生後0日
相 加 的 に働 くこ とな どか ら,
の増 殖 因子 とは異 な る。
機 構 に よっ てそ の増 殖 が 調 節 さ れ
て い る。 幼 若 期 の肝 細 胞 は 自 らの責 任 で器 官形 成 を 行 な
うた め に最 も都 合 の よ い autocrine 機 構 を, 他 方, 成
目の幼 若 ラ ッ ト肝 細 胞 は肝 細 胞 の成 熟
熟 期 の肝 細 胞 は創 傷 時 の再 生 に 最 も好 都 合 な endocrine
分 化 (最 終 分 化) の典 型 的 な指 標 で あ る トリプ トフ ァン
機 構 を採 用 して い る とい え るか も しれ な い。 新 生 時期 の
オキ シ ゲナ ー ゼ (TO)
autocrine
遺 伝 子 が 未 発 現 状 態 で あ る。 図
10に み られ る よ うに, TO発
機 構 はそ の成 熟 化 と とも に消 失 す るが,
この
現 は ラ ッ ト成
長 に 伴 って 徐 々に顕 著 に な り,ち ょ うど幼 若
肝 細 胞 の 自律 的増 殖 能 と逆 の パ タ ー ン を示
す^<48)>。
幼 若 ラ ッ ト肝 細胞 のTO発
現 をTO特
異 抗 体 を用 い た 免 疫 細胞 化 学 法 に ぶ り調 べ る
と, ラ ッ ト成 長 と と もに, TO発
現肝細胞数
が 増 加 し, これ とTOmRNA量
やTO遺
伝
子 の転 写 活 性 の 増 加 とが よ く並 行 す る^<49)>。
ま
た, 増 殖 能 を [^3H] チ ミジ ンを用 いた オ ー ト
ラ ジ オ グ ラ フ ィ ー に よ り, 他 方TO発
現を
図11.
免 疫 細 胞 化 学 法 に よ る二 重 染 色 法 に よ り同時
幼若 肝 細 胞 の 最 終 分 化 に 伴 う増 殖 制 御 の autocrine
か ら endocrine
機構への転換
1123
24
蛋 白 質
核 酸
酵 素
Vol. 32
機 構 が 成 熟 肝 細胞 で 何 らか の 刺激 (化 学発 癌 剤, 放 射 線
3)
No. 9
Leffert,
H.
な ど) に よっ て再 び発 現 し, しか も固 定 され る と肝 細 胞
肝 癌 発 生機 序 を暗 示 し七 い て興 味 深 い。
Alison,
M.
Ichihara,
R.:
S.,
Moran,
T.,
76,
Physiol.
A.,
Mol.
6)
肝 臓 は 肝 小 葉 を基 本組織 単 位 と して 構 築 さ
Rev.,
同心 円 状 の形 態 を し
Nakamura,
Cell.
Rubal
1470-1501
66,
43,
C.,
Biochem.,
499-541
10,
肝 細 胞 を主 役 に, 5種 類 の細 胞 種 か ら
9)
T.,
1-16
(review)
McGowan,
Hepatocytes
る。 そ れ ゆ え, 肝 再 生 は 肝 細 胞 の増 殖 の み な らず, これ
Guillouzo,
in
Cell
Isolated
(eds.
Str.
Func.,
C.),
and
Guillouzo,
pp.
Ltd./INSERM,
ら非 実 質 細 胞 の 増 殖 カミと もに 起 こ り, 両 者 め巧 妙 な 細 胞
(1985)
A.:
(1985)
J. A.:
な る 非 実 質 細 胞 で 組 織 化 され た 細 胞 社 会 を 構 成 して い
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(1983)
425-446
Ichihara,
K.:
(1982)
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35-56
57,
Nakamura,
Tanaka,
145-160
Guillouzo,
53/54,
7) ’†‘º•qˆê : •¶‰»Šw,
8)
T.,
Biochem.,
Gugen-Guillouzo,
Cell.
個 の細 胞 か らな る。 肝 小 葉 は細 胞 数 た
して60∼70%の
K.
(1986)
5)
て お り, 約50万
Koch,
Gastroenterology,
(1979)
4)
れ て い る。 肝 小 葉 は 直 径 約1mmの
L.,
cava,B.:
は 自律的 増 殖 能 を 恒 久 的 に獲 得す る こ とに な り, ま さ に
お わ りに
(1987)
13-38,
J.
London
Cultured
A.,
Gugen-
Libbey
Eurotext
(1986)
1 0) ’†‘º•qˆê•E•ÂŽR˜aŽi•EŽsŒ´ –¾ : –{Ž•, •Ê•û
間 相 互 作 用 を 介 して 調 和 あ る増 殖 と組 織 化 が つ ぎつ ぎに
Database Center for Life Science Online Service
進 行 す るこ とに ま り達 成 さ れ る と考 え られ る。 本稿 で も
,
12)
子 な ど に加 え て, 肝 細 胞 と非 実 質 細 胞 あ る い は それ らが
pp
13)
14)
く促 進 され る こ と, そ して こ の促 進 作 用 が 細 胞 表 面 の不
15)
16)
ち, 肝 細 胞 の増 殖 が 非 実 質 細 胞 の うち で も, 間 葉 系 細 胞
幽
と上 皮 系 細 胞 に よ
っ て相 反 的 な調 節 を 受 け る こ とを示 し
て い る。
17)
135,
Nakamura,
T.,.
363-371
T.,
G.,
R.,
Kligerman,
R.
L.:
Cancer
McGowan,
Y.,
1029-1035
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A.,
19)
K.,
20)
42,
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Bucher,
N.
Tomita,
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Res.,
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Cancer
1124
Moolton,
F.
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1496-1501
(1964) •u272-274
2)
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Koga,
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必 要 で あ る。 これ に よ り, 再 生 現 象 だ け でな く, 組 織 器
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胞 社 会 の 仕 組 み を分 子 レベ ル で明 らか に して い く研 究 が
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現 象 と理 解 され る。 そ れ ゆ え, 今 後 は in vivo の特 性 を
分 子 レベ ル で可 能 に な る と期 待 さ れ る。
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Isolation,
ー
トコ ン トロー ル に加 え て, 細 胞 接 着 を 介 す る ロー カ ル
官 の 恒 常 性維 持 機 構 や そ れ らの 異 常 に よ る病 気 の理 解 が
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(1982)
肝再 生 に 限 らず 多 くの組 織 再 生 は 液 性 因 子 に よ る リモ
損 うこ とな く単 純 な in vitro 系 を 開発 しつ つ, 複 雑 な細
(eds.) :
Hepatocytes,
Ltd./INSERM,
chem.Biophys.
18)
な調 節 に よ り微 妙 に か つ巧 妙 に調 節 され て進 行す る生 物
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C.
Cultured
Eurotext
1-408
19,
の 増 殖 を強 く抑 制 す る こ とも 明 ら か に な った 。 す なわ
Gugen-Guillouzo,
and
Biochem.,
した^<50)>。
さ らに, 非 実 質 細 胞 の うち で も, 胆 管 由来 の上
皮 細 胞 は 間葉 系 由 来 の 非 実 質 細 胞 とは 逆 に, 成 熟肝 細 胞
55-76
(1987)
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Tomita,
Cell
溶 性 の コ ラー ゲ ン様 蛋 白質 に よ る ら しい こ とを 明 らか に
1-350
Libbey
用 を介 して, 肝 細 胞 の増 殖 や 機 能 発 現 が 複 雑 に調 節 され
の 増 殖 が 非 実 質 細 胞 の うち 間 葉 系 由来 の細 胞 に よ ら て強
pp
Guillouzo,
Isolation
との相 互 作
てい る と考 え られ る。 最 近, 筆 者 らは 成 熟 ラッ ト肝 細 胞
pp
11) ’†‘º•qˆê : •‰‘ã”|—{ŠÌ•×–EŽÀŒ±–@, Šw‰ï•o”ŃZƒ“ƒ^•[
述 べ た肝 細 胞 間 ど う しの相 互 作 用 や液 性 因子 の血 小板 因
産 生 した 細 胞 間 基 質 (extracellular matrix)
No.
24, •g•}•à“®•¨ŽÀŒ±‚ÌŽè‹ZŽè–@•h,
Makino,
133,
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Gohda,
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