報告14_出雲いりすの丘公園の再生方針案について(1948KB

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議
会
資
料
平成 26 年(2014)6 月 26 日
産業観光部観光交流推進課
出雲いりすの丘公園の再生方針案について
■再生に向けた基本的な考え方(H25.6 議会 検討状況中間報告)
(1)再生に向けた論点の整理
・公園の再生については、白紙から様々な可能性を検討することも考えられるが、設置
目的でもある「農業」をキーワードとした施設としての再生を考えていく方が実現的
ではないか。
・広大な敷地である公園全体を一括で考えていくよりも、活用の可否によって施設やゾ
ーンを区分していく方が、方向性が固まりやすいと思われる。
(例えば、6次産業化ゾ
ーン、健康保養ゾーン、市民公園ゾーンなど)
・来園者を呼び込むことは必要であるが、入園料に頼る施設運営からは脱却する必要が
あるのではないか。それなりの対価となるサービスの提供等できなければ、逆に来園
を敬遠される要因にもなりかねない。
(2)民間活力導入の必要性
・市施設として継続し現用途を基本とする方向性は踏まえつつも、行財政の効率化に取
り組んでいる中で民間移譲に準じた管理運営が求められている。
・6次産業化によって本質的な所得向上、雇用創出に繋げるためには、民間事業者の参
入が重要であり、他方、市内農畜産物に限定するのか、その場合、参入企業の実現性
はあるのかといった点を考慮しなければならない。
■出雲いりすの丘公園の再生方針にかかる調査業務報告書の概要
(1)再生の前提条件・基本方針の設定
1.再生に向けた基本方針の検討(プロジェクトで提示された基本方針案に関する考察)
・土地、施設等については市が所有するが、経営負担を伴わない手法により運営を行う。
・6次産業化を図るために地場農畜産物の生産加工・販売を行う拠点とする。
・求められる役割・機能によってゾーンを区分して利活用を検討する。
・美人の湯は、健康施設として分離させ、指定管理者による運営を継続する。
・来園者を呼び込む必要はあるが、入場料に頼る施設運営からの脱却を図る。
・施設の管理運営については、最大限、民間活力の導入を図る。
・既存の指定管理者・施設利用者及び周辺地域の類似事業者の事業・活動を妨げない利
活用策を検討する
・地域にふさわしい樹木の植栽、維持管理の仕組みなど公園としての機能向上を図る
(2)再生に向けた事業コンセプト・対象事業の設定
1.ゾーニングの考え方(ゾーンの設定と事業スタンス)
①6次産業化ゾーン・・既存施設を活用したソフト面での取り組みの積み重ね。必要に
応じたハード整備。将来的な集客強化。多用途での利活用も視
野に。
②温浴保養ゾーン・・・指定管理者による運営。
③多目的ゾーン・・・・遊休資産としての活用。公共性の高い事業を含むあらゆる利活
-1-
用を視野に。活用アイディアを民間事業者や市民から広く募集。
2.「6次産業化ゾーン」の利活用方策の検討
(事業コンセプトを設定し、個別事業案を提示)
①『創る』
加工施設を活用した新事業展開支援(短期)
②『伝える』
地域の食と農を伝える課外教育プログラム(短期~中期)
③『集う』
地域イベント及び市民活動による活用促進(短期)
④『もてなす』 憩いの空間づくり及び維持管理ガイドラインの策定(短期)
直販・飲食機能を有する常設スペース設置(中期~長期)
⑤『結ぶ』
公園内事業者連携体制の構築(短期~中期)
6次産業化ネットワークの構築(将来)
3.「多目的ゾーン」の有効活用に関するアイディア抽出
(前提条件を整理し、方向性を提示)
①健康づくり、健康増進
②子供たちの遊び場整備
③家畜放牧(循環型飼育)
⑤憩いの空間づくり(公園全体)
④環境教育・体験の場
グランドゴルフ場
埋立
多目的
ゾーン
池
6次産業化
ゾーン
ぶどう畑
温浴保養
ゾーン
-2-
■出雲いりすの丘公園の再生方針案
(1)公園全体の再生方針
・厳しい市財政状況の下、市の負担を出来るだけ少なくしながら民間活力による再整備、
管理運営を行う。
・農業公園としての集客型観光施設に回帰するのではなく、既存の施設を有効活用しなが
ら地元農畜産業の 6 次産業化や農業振興に資する施設を目指すが、実現性や継続性、地
域振興への波及効果等といった視点により施設の用途は幅広く考える。
・公園全体を3つのゾーンに区分しゾーン毎の基本的な考え方を示しながら、広大な用
地を最大限有効に活用することを最優先とする。
(2)ゾーン別の基本的な考え方
①6次産業化ゾーン
農業公園(6次産業化)の機能を継承・集約し、補助事業で整備した施設について補助
事業の目的に沿った施設運営を目指す。また、農業振興に寄与する目的であれば、加工
品目の変更や施設の用途変更を行うことも視野におく。
②温浴保養ゾーン
ひかわ美人の湯は市民の健康増進を主たる目的とする施設として分離し、指定管理によ
る管理運営を継続する。
③多目的ゾーン
農業公園としての機能にとらわれることなく市民に利活用されるような空間となるこ
とが望ましいが、市の貴重な資産として有効活用を図る。
(3)今後の取り組み
①補助事業で整備した施設の休園の条件となっていた再生方針の検討結果について国へ
説明する。
②新たな活用に関する事業提案を募集する。
・ゾーン別の基本的な考え方を踏まえた公園全体の活用に関する事業の提案を期待する
が、出雲いりすの丘公園用地を有効に活用する事業について広く提案を求める。
・公園全体を対象とせず、各ゾーンを対象とする部分的な提案についても検討の対象と
する。
・事業の選考にあたっては、市の財政負担が出来るだけ少ないこと等、既存施設や遊休
地が有効活用されることを重視する。
・提案された事業については原則提案者により整備、管理運営を行うこととするが、場
合によっては市の関与も検討する。
・事業実施の可否については、補助事業の取扱いにかかる国との協議を経た後に決定す
る。
-3-
(4)今後の取り組みイメージ
目標年次
26 年度
取組み内容
既存指定管理施設
・再生方針案について国への説明
26 年度~27 年度 ・新たな活用策(提案事業)について募集 ・指定管理による運営
・提案された事業について国との協議
(指定理者の公募)
・提案事業の選考
・提案事業の採択
28 年度~
・再生事業の実施
【出雲いりすの丘公園の再生】
-4-
(指定管理による運営)
出雲いりすの丘公園の再生方針にかかる
調査業務 報告書
平成 26 年 3 月
株式会社山陰経済経営研究所
<目
次>
調査の目的 .................................................................................... 1
Ⅰ.出雲いりすの丘公園の現況把握・分析 ............................................ 2
1.従前事業の総括 ............................................................................... 2
(1)出雲いりすの丘公園の整備及び運営の特徴(開園当初) ........................... 2
(2)来園者数・売上高・客単価の動向(平成 12〜18 年度) ........................... 4
(3)開園時の運営状況に関する分析結果(平成 12〜18 年度) ........................ 5
(4)実質的な休園に至った経緯と斐川町の対応 ............................................ 6
(5)実質的な休園後の活用状況 ................................................................ 6
2.⽴地特性の分析・把握 ..................................................................... 10
(1)アクセス環境............................................................................... 10
(2)国道 9 号の交通量......................................................................... 10
(3)日本三美人の湯「湯の川温泉」 ........................................................ 11
3.公園内各施設の現在の利⽤形態 .......................................................... 12
4.指定管理者及び施設利⽤者ヒアリング結果 ........................................... 13
(1)公園の管理・利⽤状況 ................................................................... 14
(2)今後の有効活⽤に関する意⾒・アイディア .......................................... 15
Ⅱ.出雲いりすの丘周辺地域の農業及び類似施設の現況把握 ................... 16
1.出雲市の農業に関する動向................................................................ 16
2.出雲市の農業生産・販売動向 ............................................................. 17
(1)農業産出額の推移 ......................................................................... 17
(2)JA取扱実績の推移 ...................................................................... 18
3.出雲市の代表的な農産品及び農水産加工品 ........................................... 19
(1)主な農産品 ................................................................................. 19
(2)主な農水産加工品 ......................................................................... 20
4.日帰り温浴施設等の類似事業者の状況 ................................................. 21
5.道の駅の⽴地状況 ........................................................................... 22
6.その他関連事業者及び施設の⽴地状況 ................................................. 23
Ⅲ.先進事例調査 ......................................................................... 24
1.視察事例の概要及び事業の特徴 .......................................................... 25
2.先進事例から学ぶべきポイント .......................................................... 26
Ⅳ.再生の前提条件・基本方針の設定 ................................................ 27
1.事業コンセプト・対象事業にかかる前提条件の設定 ................................ 27
2.再生に向けた基本方針の検討 ............................................................. 28
Ⅴ.再生に向けた事業コンセプト・対象事業の設定............................... 30
1.ゾーニングの考え方 ........................................................................ 31
2.「6次産業化ゾーン」の利活⽤方策の検討 ............................................. 32
(1)事業コンセプトの設定 ................................................................... 32
(2)再生に向けて取り組むべき個別事業(案)の提示 ................................. 33
3.「多目的ゾーン」の有効活用に関するアイディア抽出............................... 41
4.次年度検討すべき事項 ..................................................................... 43
調査の目的
「出雲いりすの丘公園」の現況を把握したうえで、
再生に向けた基本方針及び事業コンセプトについて
検討し、既存施設の活用を前提として取り組むべき
個別事業(案)などを提示することによって、出雲
市当局が「出雲いりすの丘公園再生プロジェクト」
を推進する基礎資料とすることを目的とする。
出雲いりすの丘公園 正面ゲート
1
Ⅰ.出雲いりすの丘公園の現況把握・分析
出雲市「出雲いりすの丘公園再生プロジェクト」資料をもとに、同公園に関する従前
事業を総括したうえで、統計資料や文献等の既存資料を活用して立地特性を把握する。
また、現在施設を利用している事業者等の利用実態、今後の事業展開等を把握するため、
指定管理者及び施設利用者へのヒアリング調査を実施する。
1.従前事業の総括
(1)出雲いりすの丘公園の整備及び運営の特徴(開園当初)
斐川リフレッシュパーク「出雲いりすの丘公園」は、日本三美人の湯として有名な「湯
の川温泉」の東側丘陵地(敷地面積 26ha)に、農畜産物加工体験販売施設、健康セ
ンター施設、遊園施設などを有する農業公園として、平成 12 年 4 月にオープンした。
施設整備・運営の特徴として、①全国各地で農村型観光施設開発を行う「㈱ファーム
(愛媛県西条市)」からのコンセプト及びノウハウの提供、②農林水産省の補助事業を活
用した農畜産物加工体験販売施設の整備、③斐川町と斐川町農業協同組合、㈱ファーム
の出資による第三セクター「㈱湯の川ファーム」による運営、④生産農家から農産品等
の提供を受ける地元を巻き込んだ仕組み(地域連携協定)などが挙げられる。
図表Ⅰ-1
事業の目的(開園当初)
1.斐川町の農業・畜産業に、新たに観光を取り入れた6次産業としての道を拓き、地元
農家と一体となって農産物の安定的な供給を図るとともに、地場農畜産物を加工し、
付加価値を高めて販売することにより、農家所得の向上を図る。
2.日本三美人の湯「湯の川温泉」を活用した健康施設を、子供から大人まで町民誰もが
気安く利用できるリフレッシュ施設として整備し、町民の健康づくりの拠点とすると
共に、周辺市町村の住民の方々も利用できる場所として整備する。
3.余暇時間の増大や生活の豊かさを求めて多様化する住民ニーズに対応するため、子供
から大人まで幅広く楽しめる特色ある遊空間を提供する。
4.古い歴史と伝統に根ざしたヨーロッパの文化を取り入れ、独特の街並みや生活文化を
再現し、異空間を創造することにより、ヨーロッパの文化を理解する場を提供する。
5.施設への従業員雇用を通して、中高齢者の就業機会の増大を図ると共に、若者の地元
への定着を図る。
図表Ⅰ-2
施設名称
所 在 地
主な施設
運営主体
施設投資額
入場見込者数
公園の概要(開園当初)
斐川リフレッシュパーク「出雲いりすの丘公園」
簸川郡斐川町大字学頭 3646 番地 1(現 出雲市斐川町学頭 3646 番地 1) 【約 26ha】
①農畜産物加工体験販売施設、②健康センター施設(ひかわ美人の湯)、③遊園施設
㈱湯の川ファーム(①及び②)
、㈱ファーム(③) [図表Ⅰ-3 参照]
34 億円 [図表Ⅰ-3 参照] 開 園 日 平成 12 年 4 月 8 日
年間 200,000 人
雇 用 者 数 正社員 60 人、パート・アルバイト 40 名
2
図表Ⅰ-3
施設整備と運営主体(開園当初)
図表Ⅰ-4
事
事業主体
事業名
(地区名)
事業年度
国庫補助
金名
施工箇
所又は
設置場
所
業
の
内
補助事業一覧(竣工当時)
容
事
田園空間
型グリー
ン・ツー
リズム整
備事業
(ひかわ
地区)
事業種目
(事業細目)
工
種
構
造
施設区分
事
内
業
量
容
地域特産
物活用施
産 地 形 成 促 鉄骨平屋建
設整備事
進施設(青空 252.36 ㎡
業
市場)
青空市場備品
平
成
10
年
度
繰
越
鉄骨平屋建
食の健康拠
658.06 ㎡
点施設(地ビ
地ビール製造
ール醸造所)
設備・備品
斐
川
町
地域農業
基盤確立
農業構造
改善事業
農村資源
活用農業
構造改善
事業
(ひかわ
地区)
斐川町
大字
学頭
費
(単位:千円)
負
鉄骨平屋建
産 地 形 成 促 671.39 ㎡
進施設(加工 乳製品加工設
房)
備及び加工房
備品
農業農村
活性化農
業構造改
善事業費
補助金
業
総合交流タ
都市農村
鉄骨平屋建
ーミナル施
交流施設
464.40 ㎡
設(体験工
整備事業
体験工房備品
房)
総事業費
国庫補 都道府
助金
県費
273,562 136,781
担
区
処分制限期間
分
市町村費
その他
耐用
年数
処分制限
年月日
うち起債
136,781
134,498
34
H46.3.16
30,309
30,309
29,803
34
H46.3.16
227,418 113,709
113,709
111,811
31
H43.3.16
60,618
119,846
59,923
59,923
58,922
34
H46.3.16
体験農業 ふ れ あ い 体 鉄骨平屋建
土地基盤 験 農 園 整 備 334.83 ㎡
整備事業 (牧舎)
牧舎備品
55,456
27,728
27,728
27,266
31
H43.2.17
平
成
11
年
度
ぶどう畑
体験農業 ふ れ あ い 体
1.5ha
土地基盤 験 農 園 整 備
施肥作業、棚
整備事業 (ぶどう畑)
張作業
10,000
5,000
14
H26.3.23
平
成
12
年
度
近代化施
設整備事
業(地域
特産物活
用施設整
備事業)
97,600
48,800
48,800
34,800
34
H47.3.22
844,500 422,250
87 422,163
397,100
農畜産物処
理加工施設
(ワイン資
料館)
鉄骨平屋建
225.655 ㎡
加工設備及び
備品
合
計
3
87
4,913
(2)来園者数・売上高・客単価の動向(平成 12〜18 年度)
開園当初(平成 12 年度)は 42 万人あった来園者数が、平成 18 年度には 21 万人と半
減し、売上高も 435 百万円から 155 百万円に減少した。平成 18 年度の部門別収支状況
をみると、
「美人の湯」、
「外食」、
「外販」などは黒字であったが、入場券売上を含む「事
務所等」が5千万円以上の赤字であり、公園全体としては厳しい経営状況であった。
これまでにも来園者増加を図るために、町民の公園入園料の無料化、各種イベントの
誘致、団体客営業の強化などを行った。また、売上増加を図るために、ギフトや露店営
業の強化、夏のビアガーデンや温泉と食事のセットメニュー販売などを行った。さらに、
加工部門では、ソーセージ以外は収支赤字で、特にワインは平成 18 年度に改善計画を
策定して取り組んだが、その効果は十分なものとはならなかった。
図表Ⅰ-5
600
500
400
出雲いりすの丘公園 来園者数・売上高・客単価の推移
(千人、百万円)
(円)
1,030
994
435
422
163
美人の湯 利用者数(左軸)
公園 来園者数(左軸)
売上高(左軸)
客単価(右軸)
925
897
854
333
331
300
732
274
263
236
163
151
600
226
225
193
130
0
163
H12
13
212
400
183
155
119
260
100
1,000
800
810
296
169
200
1,200
132
112
96
107
14
15
16
17
128
200
84
18年度
0
※アンダーラインの数字は来園者数合計(公園+美人の湯、左軸)
図表Ⅰ-6
出雲いりすの丘公園の経営実績(平成 18 年度)
(千円)
区分
売上高
売上原価
売上総利益
販売管理費 (うち人件費)
営業利益
事務所等
40,844
1,192
39,652
90,476
( 29,811 ) △ 50,824
美人の湯
40,488
490
39,998
38,111
(
外 食
49,688
22,412
27,276
19,449
( 13,829 )
売 店
23,765
12,318
11,447
11,716
(
9,947 )
△ 269
加 工
30,136
16,194
13,942
19,891
( 15,716 )
△ 5,949
体験教室
1,670
422
1,248
76
(
0 )
1,172
外 販
6,088
3,124
2,964
430
(
61 )
2,534
合 計 192,679
56,152
136,527
180,149
※㈱湯の川ファームと㈱ファームの合計
4
8,300 )
1,887
7,827
( 77,664 ) △ 43,622
(3)開園時の運営状況に関する分析結果(平成 12〜18 年度)
「出雲いりすの丘公園再生プロジェクト」では、開園時(平成 12∼18 年度)の運営
状況を分析し、運営全体の課題として主に 4 点が指摘されている。また、部門別にみる
と、「ひかわ美人の湯」は周辺に類似施設がオープンした影響もありながら、黒字を確
保している。しかし、その他の部門では利用者数が減少するなかで、経営環境の変化に
対応した集客増加や公園の魅力向上といった効果的な取り組みが十分ではなく、事業縮
小・経費削減がさらなる売上減少を招く「負の連鎖」が続いたことがうかがえる。
図表Ⅰ-7
開園時の運営状況に関する分析結果(再生プロジェクト)
≪運営全体の傾向≫
運営上の課題
分析結果
◆入場者減少による売上ダウンと
収支不均衡
・急激な入場者数減(特に冬季)による園内各部門の売上大幅減
・収支の不均衡(入場者数に対して人件費等の経費が過大)
◆コスト削減優先による負の連鎖
・入場券売上減少による広告宣伝費の減少(集客PR不足)
・経費削減による魅力低下(売店に商品がない、店が開店していない等)
・魅力低下による集客力低下 → 集客力低下による売上減少
◆黒字部門でも売上が減少
・「美人の湯」「外食」「外販」は黒字であるが、売上は年々減少
・唯一集客が見込める「美人の湯」においても来場者が横ばい状態
・上記以外は赤字、黒字部門からの補てんあり
◆構造的な問題解決への対応の遅れ
・構造的にコスト高な維持管理経費
・外販強化路線への転換の遅れ
・当初計画見直しの遅れ(コスト高の牛乳生産、収穫できないぶどう畑等)
≪部門別の傾向≫
部
門
事務所・ぶどう畑・牧舎・施設管
理等
ひかわ美人の湯
外食(レストラン、BBQ、ファ
ーストフード)
売店(加工売店、温泉売店、ワイ
ン資料館売店、青空市場)
加工(パン工房、ハム・ソーセー
ジ工房、乳製品工房、ピザ工房)
分析結果
・急激な入場者数減(特に冬季)による園内各部門の売上大幅減
・入場料売上の減少による広告宣伝費の確保困難
・冬季(12 月∼2 月)における予想以上の入場者数減
・全体経費に占める人件費割合の増加
・ぶどうの収穫が安定しないこと(多雨・鳥害)によるコスト増(ワイン製
造への影響)
・施設老朽化による営繕関係支出の増加
・黒字を確保しているが、利用者数は伸び悩み(出雲駅前温泉らんぷの湯
(H16.10)、割烹温泉ゆらり(H16.12)オープンの影響が大きい)
・公園の広告宣伝費減によるPR不足
・黒字を確保しているものの、週末客・団体客の減少による売上減
・BBQはゴールデンウィークと夏季には多少集客があるものの一時的
・客単価の減少(特にBBQはリーズナブルな価格設定に改定)
・経費節減により赤字幅を圧縮
・在庫を抑制したため商品陳列にボリューム感不足
・ワイン資料館売店は来客数減により閉店日を増加(人件費圧縮)
・維持管理費が大きく構造的な問題(一定の来園者がないと利益が出ない)
・ソーセージ工房で唯一利益が出ている
・乳製品工房の主力であるヨーグルトが伸び悩む(学校給食からの撤退)
・販売不振と賞味期限が短いことにより牛乳生産の中止
・パン工房の石窯パンは園内販売のみで、入場者数の減少が直接影響
体験教室
・数字上は黒字だが、実質的人件費は加工部門で計上
外販
・外販は営業努力により一定の成果あり
5
(4)実質的な休園に至った経緯と斐川町の対応
前述のような厳しい経営状況の下、平成 19 年 5 月 18 日に㈱ファームより、経営不振
を理由に、平成 20 年 3 月末をもって㈱湯の川ファームへの人材の出向とノウハウの提
供を終了し、第三セクター経営から離脱する意向の申し出があった。その後、斐川町が
継続運営の要請を行ったが承諾を得られず、平成 19 年 9 月にこの申し出を受け入れる
に至った。
同町では、撤退後の公園経営に参画する企業も見つからず、閉園も視野に入れた検
討・協議が重ねられた。だたし、閉園した場合には、農林水産省の補助事業で整備した
施設の補助金返還と、その補助残として借り入れた起債の繰り上げ償還が必要となると
いった財政上の課題も顕在化していた。
こうしたことから、補助事業の所管である農林水産省 中国四国農政局との協議を行
い、「利活用方法が補助事業の目的の範囲内であれば、分割した施設運営もやむを得な
い」という判断を受け、平成 20 年 2 月に以下のような今後の運営方針を示した。
図表Ⅰ-8
今後の運営方針(斐川町、平成 20 年 2 月)
①現在行っている「出雲いりすの丘公園」としての一体的な運営及び経営は取り
やめる。
②出雲いりすの丘公園施設のうち、補助事業で設置した加工施設等は、当初の設
置目的の変更も含め、有効な利活用を検討する。なお、この間、公園部分は休
園とし、維持管理のみを町で行う。維持管理にあたっては、ボランティアを募
集し支援いただく。
③出雲いりすの丘公園施設のうち、温泉施設は町民温泉として多くの利用があり、
収支もあっていることから、経営を指定管理者制度により継続する。
④公園内の各施設の有効な利活用方法の検討に併せ、公園の開放も検討する。
(5)実質的な休園後の活用状況
① 「ひかわ美人の湯」の営業継続
平成 20 年 4 月からは、㈱湯の川ファームが「ひかわ美人の湯」の指定管理を受けて
営業を行った(それ以外の施設は実質的な休園状態)ほか、㈱ファームとの清算業務、
㈱湯の川ファームの財産整理に着手した。斐川町では、財政が著しく悪化していること
から、指定管理料は支払わず、従業員は出雲いりすの丘公園の従業員を極力採用するこ
とを条件とした。しかし、㈱湯の川ファームでは、指定管理料が 0 円である影響を受け
て、赤字が膨らんでおり、財産処分がほぼ完了した平成 21 年 3 月 31 日をもって会社を
解散させ、指定管理を解除するに至った。
平成 21 年 4 月からは、新たに公募で選定された「㈱MIしまね(松江市)」が指定管
理者となり、現在も同社が運営・管理を行っている。
6
② 補助施設の活⽤(指定管理者制度導⼊)
上記の運営方針にもとづいて補助施設の有効な利活用に関する働きかけを行い、平成
21 年 1 月に指定管理者制度を導入し、当初は以下の 5 社が施設全体の 6 割部分を管理
運営する体制であった。
しかし、平成 22 年 2 月には経営不振等を理由に「㈱まめや(出雲市)」の指定管理を
取消、平成 24 年 3 月には内需低迷による厳しい経営環境下で「㈱ファーストプライズ
(米子市)」が指定管理期間満了をもって事業を終了するなど、現在の利用状況は施設
全体の 3 割弱にとどまっており、新たな指定管理者の募集、あるいは施設の管理手法そ
のものの再検討が必要となっている。
図表Ⅰ-9
出雲いりすの丘公園の施設利活用状況(平成 21 年度当時)
施設名
加
工
房
補
助
施
設
管理区分
管理者
内容等
加工房A棟
指定管理 ひかわ食品加工㈱
トマトケチャップ、トマトジュース、ジャム等
加工房B棟
指定管理 ㈱MIしまね
いちごジャム、ブルーベリージャム
ハム・ソーセージ工房
指定管理 ㈱めぐみ
ベーコン、ソーセージ等の食肉加工品
乳製品工房
指定管理 ㈱ファーストプライズ アイスクリーム
ピザ工房
直営管理 出雲市
パン工房
指定管理 ㈱まめや
加工売店
指定管理 ㈱まめや
体験工房
指定管理 ㈱まめや
地ビール醸造所(レストラン)
直営管理 出雲市
牧舎
直営管理 出雲市
ぶどう畑
直営管理 出雲市
パン、ケーキ、クッキー
料理教室
③ その他の施設の活用
「パターゴルフ場・ゴーカート場・自転車場」については、斐川町が行政財産使用を
許可し、平成 20 年 4 月より、地元のグランドゴルフ愛好会である「学頭親成クラブ(平
成 25 年度からは、高齢者ふれあいサロン)」がグランドゴルフ場として整地改良し維持
管理を請け負っている。同クラブは、「ゴーカート管理棟」を島根県社会福祉協議会の
補助事業を活用して「ふれあいサロン」として整備した。
また、「公園管理棟」については、同様に行政財産使用を許可し、平成 21 年 10 月よ
り、子育て支援に取り組む「NPO法人プレーパークてんとう虫」が事務所として活動
開始した(島根県の補助事業を活用して改修)。ただし、古民家を活用した親子カフェ
「コミカフェななほし」のオープンに伴い斐川町内に移転し、現在は利用していない。
このほか、地域イベントとして「斐川だんだんよさこい祭(7 月)」
、
「斐川シクラメン
祭(11 月)」が毎年開催、平成 25 年には「斐川町商工まつり(10 月)」も開催された。
現在の施設管理・利用状況については、P12 からの「3.公園内各施設の現在の利
用形態」及び「4.指定管理者及び施設利用者ヒアリング結果」で詳しく紹介する。
7
④ 公園の管理運営に係る経費の推移
歳入をみると、補助施設の指定管理者制度を導入した平成 21 年度以降は、総額で 2
千万円弱の推移となっており、大部分は「負担金(指定管理者からの電気・水道の実費
分)」が占めている。
一方、歳出では平成 20∼22 年度に「損失負担金」及び「旧斐川町土地開発公社償還
負担金」を計上したため総額が膨らんでいる。平成 24 年度は「光熱水道費」、
「委託料」
、
「借地料」などを合計すると 30,553 千円となり、収支をみると 12,169 千円の歳出超過
となっている。
図表Ⅰ-10
出雲いりすの丘公園に係る経費の推移
(千円)
歳 入
平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度
摘要
負担金
0
12,140
15,721
16,711
使用料
361
33
71
455
345 施設使用料(体験工房等)
19
268
333
244
893 倉庫、駐車場等の使用料
行政財産使用料
国庫補助金
17,116 指定管理者 電気・水道ほか負担金
0
7,000
0
0
0 経済危機対策臨時交付金(H21)
財産収入
720
58
5
0
0 ワイン醸造機器売払(H20)ほか
雑収入
114
31
40
33
1,214
19,530
16,170
17,443
歳入合計
歳 出
30 寺床地区水道使用料ほか
18,384
平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度
賃金
43
13
20
13
旅費
75
0
0
0
0
4,973
16,000
17,774
16,703
18,269
消耗品費
68
6
40
17
燃料費
59
3
66
0
需用費
食糧費
摘要
0 羊毛刈り賃金、樹木管理賃金
5 合鍵代等
70 ガソリン、混合油、灯油
0
7
6
6
107
13,162
16,107
16,455
修繕費
4,653
2,784
1,499
198
300 漏水修繕等
飼料費
87
38
55
28
56 羊飼育代
光熱水道費
8 ボランティアお茶
17,830
※H20いりす全体光熱水道費(17,088千円)
役務費
695
914
490
64
委託料
3,689
5,047
5,156
5,971
5,740 維持管理保守業務、指定管理委託
使用料及び賃借料
2,701
2,666
2,666
3,353
3,353 借地料ほか
工事請負費
0
8,873
3,675
1,506
3,121 美人の湯修繕ほか
備品購入費
53
252
498
2,004
64,280
17,035
195,583
0
0 土地開発公社償還負担金(H20∼22)
負担金補助及び交付金
投資及び出資金
34 上水タンク清掃料、建物共済
0 美人の湯券売機購入(H23)ほか
H19分損失負担金(H20)
2,450
0
0
0
0 株式購入(H20)
補償補填及び賠償金
0
2,733
0
0
0 損失補償(H21)
償還金利子及び割引料
0
2,717
0
0
78,959
56,249
225,861
29,615
30,553
△ 77,745
△ 36,719
△ 209,691
△ 12,172
△ 12,169
歳出合計
収支(歳入−歳出)
8
国庫返還金(H21)
35 指定管理者負担金過年度還付(H24)
図表Ⅰ-11
出雲いりすの丘公園のこれまでの経過(∼平成 25 年 11 月)
年 月
計
画
・
準
備
事 項
平成元年
1月 ○斐川町が出雲・湯の川ヘルシータウン整備方針を公表 (町民の福祉増進・地域の活性化を目的)
平成4年
3月 ○斐川町総合基本計画(第3次)にて、湯の川ヘルシータウン整備を重点事業とする
平成5年
○出雲広域圏が地方拠点都市地域に指定(地域拠点都市法)
○湯の川ヘルシータウンが出雲地方拠点都市地域基本計画において「重点的に実施する事
業」として明記
平成6年
○斐川町議会全員協議会にて概要説明
平成7年
平成9年
○斐川町が「湯の川ヘルシータウン計画」を策定、事業開始
3月 ○斐川町議会で用地買収難航のため次年度事業予算を計上しないことを決定(事業凍結)
9月 ○湯の川ヘルシータウンの代替案として、温泉施設を取り入れた農業公園誘致の検討開始
12月 ○出雲・湯の川ヘルシータウン整備事業の中止を正式決定、農業公園誘致へシフト
○県知事へ要望書を提出
平成10年
6月 ○「㈱ファーム」と基本協定締結(㈱ファームのコンセプトとノウハウを活用)
10月 ○農業公園造成にかかる開発行為許可(県)
○用地造成工事開始
○農林水産省の補助事業(農業構造改善事業)を活用して加工施設等の整備開始
営
業
平成11年
3月 ○「㈱湯の川ファーム」設立(資本金1,000万円、町主導第三セクター)
平成12年
4月 ○出雲いりすの丘公園オープン
平成13年
4月 ○ワイン資料館オープン
平成19年
5月 ○「㈱ファーム」から経営撤退の申し入れ
平成20年
3月 ○「㈱ファーム」が運営主体である「㈱湯の川ファーム」から正式に経営から撤退
4月 ○「㈱湯の川ファーム」が温泉部分の経営引き継ぎ⇒温泉以外の公園は実質休園状態
平成21年
〃
〃
○「㈱湯の川ファーム」の清算手続きを進めるとともに出雲いりすの丘の活用策を検討
○パターゴルフ場・ゴーカート場・自転車場を行政財産使用許可により地元グランドゴル
フ愛好会「学頭親成クラブ」が利用開始(グランドゴルフ場として整地改良して維持管理)
〃
○ゴーカート管理棟を「学頭親成クラブ」が「ふれあいサロン」として模様替え
1月 ○加工房パン工房、加工売店、体験工房を「㈱まめや」へ指定管理委託【∼H23.12/31】
〃
○青空市場を改築、加工房A棟として「ひかわ食品加工㈱」へ指定管理委託【∼H25.12/31】
3月 ○第三セクター「㈱湯の川ファーム」解散
4月 ○温泉施設を「㈱MIしまね」に指定管理委託【∼H23.3/31】
〃 ○ワイン資料館を改築、加工房B棟(ジャム工房)として「㈱MIしまね」へ指定管理委託
【∼H26.3/31】
実
質
的
休
園
後
〃
7月 ○加工房乳製品工房を「㈱ファーストプライズ」へ指定管理委託【∼H24.3/31】
︵
10月 ○公園管理棟を行政財産使用許可により「NPO法人プレーパークてんとう虫」が利用開始
平成22年
平成23年
2月 ○「㈱まめや」の指定管理取り消し(経営不振等の理由)
1月 ○公園管理棟を「NPO法人プレーパークてんとう虫」が(事務所として)模様替え
3月 ○地ビール醸造所の厨房を行政財産使用許可により「葉泉スピラエ研究所」が利用開始
4月 ○温泉施設を「㈱MIしまね(継続)」に指定管理委託【∼H26.3/31】
︶
指
定
管
理
等
○加工房ハム・ソーセージ工房を「㈱めぐみ」へ指定管理委託【∼H24.3/31】
6月 ○「出雲いりすの丘公園内施設指定管理者等連絡協議会(いりすNET)」発足
10月 ○出雲市と斐川町が合併
平成24年
3月 ○「㈱ファーストプライズ」の指定管理期間満了
4月 ○加工房ハム・ソーセージ工房を「㈱めぐみ(継続)」に指定管理委託【∼H27.3/31】
平成25年
10月 ○第1回出雲いりすの丘公園再生プロジェクト
(公園の概要、休園に至った経緯、休園後の経過、現在の状況)
12月 ○出雲市総合振興計画『新たな出雲の國づくり計画「出雲未来図」』において、いりすの
丘の民間活力の導入を含めた活用方策の検討を明記
2月 ○第2回出雲いりすの丘公園再生プロジェクト
(運営状況の分析、現状に至る再生(運営)方針、再生に向けた基本的な方向性)
3月 ○「NPO法人プレーパークてんとう虫」が公園外に移転
4月 ○グランドゴルフ場を「高齢者ふれあいサロン」に貸出【∼H26.3/31】
11月 ○「いりすNET」が公園内4社の商品をまとめたギフトセットを販売
※㈱山陰経済経営研究所にて一部加筆
9
2.⽴地特性の分析・把握
(1)アクセス環境 〜⾼速道路網の整備進展、出雲空港まで約 5 ㎞の⽴地〜
出雲いりすの丘公園周辺では、近年、山陰自動車道及び松江自動車道の整備が進めら
れており、最寄りの宍道ICまでは 5.1 ㎞、斐川ICまでは 5.3 ㎞(国道 9 号経由は
8.4 ㎞)と車でアクセスしやすい立地となっている。また、中国横断自動車道尾道松江
線整備によって、例えば、広島市からの所要時間は 1 時間 56 分(宍道IC−広島西風
新都IC、NEXCO西日本「料金・経路検索」より)と 2 時間圏内にある。
また、空路については出雲空港まで 4.8 ㎞の距離である。同空港は現在、羽田便と伊
丹便がともに 1 日 6 往復、福岡便は同 2 往復、隠岐便は同 1 往復が運航している。
図表Ⅰ-12
出雲いりすの丘公園開園後の主な高速交通網の整備
開通年月日
道路名称
区間
区間距離
平成 13 年 03 月 24 日
山陰自動車道
松江玉造IC−宍道IC
14.1 ㎞
平成 15 年 03 月 16 日
松江自動車道
三刀屋木次IC−宍道JCT
10.6 ㎞
平成 18 年 11 月 25 日
山陰自動車道
宍道JCT−斐川IC
4.6 ㎞
平成 21 年 11 月 28 日
山陰自動車道
斐川IC−出雲IC
13.6 ㎞
平成 24 年 03 月 24 日
松江自動車道
吉田掛合IC−三刀屋木次IC
12.3 ㎞
平成 25 年 03 月 30 日
松江自動車道
三次東JCT・IC−吉田掛合IC
48.7 ㎞
(2)国道 9 号の交通量 〜⾼速道路無料化の影響もあり、平成 22 年度は⼤幅減〜
平成 22 年度「道路交通センサス」によると、「国道 9 号 斐川町学頭」の自動車類交
通量は平日 12 時間が 10,671 台となっており、前回調査と比べて大幅に減少している。
ただし、平成 22 年度の調査実施期間(9∼11 月)が、高速道路無料化社会実験(平成
22 年 6 月 28 日∼平成 23 年 6 月 20 日)の期間中であったことを考慮する必要がある。
図表Ⅰ-13
自動車類 12 時間交通量(国道 9 号 斐川町学頭)
20,000
(台)
15,846
16,461
15,091
17,033
15,000
13,988
17,304
14,604
17,840
16,071
14,598
10,000
10,671
5,000
平日(12h)
休日(12h)
0
H2
6
9
11
17
22年度
資料:島根県高速道路推進課「島根県道路交通情勢調査(道路交通センサス)」
10
(3)日本三美人の湯「湯の川温泉」 〜⼊込み客数は減少、道の駅は増加基調〜
出雲いりすの丘公園は、日本三美人の湯として有名な「湯の川温泉」に立地しており、
6 つの宿泊施設(湖静荘、草菴、湯元 湯の川、松園、はらだ荘、出雲市斐川社会福祉
センター 四季荘)が営業している。なお、平成 23 年 3 月末に閉館した「四季荘」は、
日帰り入浴を含む温浴施設であり、平成 24 年 9 月にリニューアルオープンしている。
島根県観光動態調査によると、「湯の川温泉」の入込み客数は、平成 24 年が 45,687
人となり、平成 10 年(107,164 人)以降は減少基調で推移している。また、
「道の駅湯
の川」の入込み客数をみると、平成 24 年は 428,743 人と過去最多となり、足元では増
加基調で推移している。
図表Ⅰ-14
湯の川温泉周辺マップ
資料:湯の川温泉ホームページ(http://www.yunokawaonsen.jp/)
図表Ⅰ-15
湯の川温泉周辺施設の入込み客数の推移
ひかわ美人の湯
いりすの丘公園
道の駅湯の川
出雲市宿泊客数(※)
湯の川温泉
600
(千人、宿泊客数は千人泊)
500
400
300
200
100
0
H10 11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23 24年
※「出雲市宿泊客数」は、調査方法変更に伴い、平成 14 年以前と平成 15 年以降は
厳密には連続しない
資料:島根県観光振興課「島根県観光動態調査」
11
3.公園内各施設の現在の利⽤形態
前述した今後の運営方針(斐川町、平成 20 年 2 月)にもとづいて、補助施設につい
ては平成 21 年 1 月より指定管理者制度を導入し、個々の施設ごとに地元の食品関連事
業者が指定管理を受けて事業を行っている。現在、加工房A棟は「ひかわ食品加工㈱(出
雲市)」
、加工房B棟は「㈱MIしまね(松江市)」
、ハム・ソーセージ工房は「㈱めぐみ
(米子市)」が入居している。また、出雲市の直営管理施設のうち、地ビール醸造所(レ
ストランの厨房)は「葉泉スピラエ研究所(出雲市)」が行政財産使用許可により利用
しており、体験工房については市が「㈱MIしまね(松江市)」に管理業務を委託して
いる。
単独施設については、平成 21 年 4 月より「㈱MIしまね(松江市)」が温浴施設の指
定管理を受けて運営しているほか、出雲市の直営管理であるグランドゴルフ場を「高齢
者ふれあいサロン」が利用している。
図表Ⅰ-16
出雲いりすの丘公園の施設利活用状況(平成 25 年 11 月現在)
施設名
管理者
内容等
加工房A棟
指定管理 ひかわ食品加工㈱
トマトケチャップ、トマトジュース、ジャム等
加工房B棟
指定管理 ㈱MIしまね
いちごジャム、ブルーベリージャム
ハム・ソーセージ工房
指定管理 ㈱めぐみ
ベーコン、ソーセージ等の食肉加工品
乳製品工房
直営管理 出雲市
稼働実績なし
ピザ工房
直営管理 出雲市
稼働実績なし
パン工房
直営管理 出雲市
一部の施設備をひかわ食品加工㈱が使用
加工売店
直営管理 出雲市
一部の施設備をひかわ食品加工㈱が使用
体験工房
直営管理 出雲市
㈱MIしまねに管理委託(年間20日程度料理教室等で利用)
地ビール醸造所(レストラン)
直営管理 出雲市
厨房:葉泉スピラエ研究所がノンアルコール梅酒製造
牧舎
直営管理 出雲市
高齢者ふれあいサロンが羊の飼育
ぶどう畑
直営管理 出雲市
草刈等の実施、ぶどう収穫は困難
温浴施設
指定管理 ㈱MIしまね
温浴施設の運営、イベント等企画
グランドゴルフ場
直営管理 出雲市
高齢者ふれあいサロンが使用
いりすの丘ゲート
直営管理 出雲市
稼働実績なし
その他公園施設全体
直営管理 出雲市
イベント会場としての利用、草刈等
加
工
房
補
助
施
設
単
独
施
設
管理区分
12
4.指定管理者及び施設利⽤者ヒアリング結果
現在、出雲いりすの丘公園を利活用している指定管理者及び施設利用者を対象として、
公園内での事業展開の現状や課題、今後の利用意向などを把握するために、以下の要領
で訪問ヒアリング調査を実施した。
図表Ⅰ-17
調査目的
調査対象
[実施順]
調査時期
主な
調査項目
ヒアリング調査 実施要領
○出雲いりすの丘公園での事業展開に関するこれまでの経緯や現状、今
後の課題等の把握
○出雲いりすの丘公園の今後の有効活用に関する意見・アイディア聴取
◆ひかわ食品加工㈱(出雲市)【加工房A棟】
◆葉泉スピラエ研究所(出雲市)【地ビール醸造所】
◆高齢者ふれあいサロン(出雲市)
【グランドゴルフ場】
◆㈱めぐみ(米子市)【ハム・ソーセージ工房】
◆㈱MIしまね(松江市)【ひかわ美人の湯、加工房B棟、体験工房】
平成 25 年 11 月∼12 月
○組織概要(事業分野、組織体制、事業エリア など)
○いりすの丘公園での事業展開(きっかけ、生産・販売状況 など)
○生産している商品の特徴と主な販売先
○今後の見通し、課題
○今後の有効活用、行政支援に関する意見・要望、アイディア など
ひかわ食品加工㈱ 外観
㈱めぐみ ハム・ソーセージ工房 外観
いりすNETギフトセットのチラシ(㈱MIしまね 提供)
13
(1)公園の管理・利⽤状況
出雲いりすの丘公園の管理・利用者である 5 事業者について、ヒアリング調査結果を
もとに組織概要や事業の特徴、今後の課題などを整理すると以下の通りである。
図表Ⅰ-18
ヒア リン グ先
本社 等所 在地
主な 事業 ・業 種
ひか わ食 品加 工㈱
葉泉 スピ ラエ 研究 所
高齢 者ふ れあ いサ ロン
㈱め ぐみ
㈱M Iし まね
いり すの 丘公 園内
出 雲市 斐川 町
いり すの 丘公 園内
米 子市
松江 市
加工 食品 製造
飲 料、 脱臭 剤製 造
趣味 のサ ーク ル的 活動
食 肉加 工品 製造
公共 施設 の指 定管 理
平 成18年
平成 16年 12月
○ 大山 山麓 で育 てら れ
たど んぐ りを 給餌 す
る豚 「と とり こ豚
(とん )」 のブ ラン ド
化を 手掛 ける
○公 共施 設の 指定 管理
( 島根 県東 部中 心)
平成 20年 4月
組 織設 立
平成 20年 11月 (法 人化 )
平 成18年ご ろ
公園 での 事業
以 前の 状況
○平 成6 年か ら「 ひか
わ 加工 グル ープ 」と
し て農 産加 工品 製造
○日 テレ 系「 どっ ちの
料 理シ ョー 」で トマ
ト ケチ ャッ プ紹 介
( H16)
○ 平成 11年 ごろ 家庭 菜
園か らユ キヤ ナギ 抽
出エ キス の特 性発 見
○ 島根 大学 と共 同研 究
○ 美郷 町の 加工 施設 を
利用 (片 道2時 間弱 )
加工 房A 棟
地 ビー ル醸 造所
グラ ンド ゴル フ場
ハ ム・ ソー セー ジ工 房
ひか わ美 人の 湯、 加工
房B 棟、 体験 工房
利用 形態
指定 管理
施 設利 用
施設 利用
指 定管 理
指定 管理
事業 開始
平成 21年 4月
平 成23年3月
平成 20年 4月
平 成21年4月
平成 21年 4月
管 理・利用施 設
従業 員数
い
り
す
の
丘
公
園
で
の
事
業
出雲いりすの丘公園での事業展開(ヒアリング調査結果より)
2名
※繁忙期のみアルバイト
(当時 は、学 頭親 成ク ラブ)
−
2 ∼3 名
30名 程度 (会 員数 )
3 名 (うち正社員1名)
13名 (美 人の 湯)
4∼5名( 加工 房)
きっ かけ
○生 産拡 大を 図る ため
の 新た な拠 点づ くり
○旧 斐川 町か らの アド
バ イス で法 人格 取得
○ イベ ント でい りす の
丘を 訪れ た時 に同 施
設を 知り 、旧 斐川 町
に相 談
○グ ラン ドゴ ルフ の活
動 に利 用し たい と旧
斐 川町 に相 談
○ 「と とり こ豚 」を よ
く知 る旧 斐川 町職 員
から の紹 介
○ 不人 気部 位有 効活 用
○屋 内温 水プ ール の管
理 ・運 営ノ ウハ ウを
温 浴施 設に 応用
○ジ ャム 生産 同時 開始
活動 頻度
○週 5日
○ 不定 期( 受注 生産 )
○グ ラン ドゴ ルフ は冬
季 以外 はほ ぼ毎 日
○カ ラオ ケや 民謡 など
は 週2 回程 度
○ 週5 日程 度
○美 人の 湯: 不定 休
○加 工 房: 週1回程度
○体 験工 房: 年数 回
主な 商品 等
○ト マト ケチ ャッ プ
○焼 肉の タレ
○ト マト ジュ ース
○ジ ャム
○ 雪梅 (ノ ンア ルコ ー
ル梅 酒)
○ 脱臭 スプ レー
(商 品開 発中 )
○健 康づ くり 、憩 いの
場 (サ ロン )
○周 辺の 維持 管理
( 羊の 世話 を含 む)
○ 「と とり こ豚 」を 使
った ハム ・ソ ーセ ー
ジ・ ベー コン
○「 ひか わ美 人の 湯」
と 売店 の運 営
○ジ ャム (い ちご 、ブ
ル ーベ リー )
○料 理教 室(管 理の み)
商品 の特 徴
○ほ ぼ斐 川町 産の 原料
を 使用
○保 存料 や合 成添 加物
を 一切 使用 しな い
○ 「自 然発 酵熟 成エ キ
ス」には 、脱臭 、保 湿、
防腐 、抗 菌、特 定害 虫
忌避 の効 果が ある
−
○ 東洋 のイ ベリ コと 呼
ばれ るプ レミ アム ポ
ーク
○ 生産 頭数 は少 ない
(大 山山 麓で 生産 )
○ジ ャム 原料 のい ちご
ブ ルー ベリ ーは すべ
て 斐川 町内 から 調達
主な 販売 先
○道 の駅 湯の 川、 美人
の 湯、 いち じく 館、
ア イな ど( 実店 舗)
○ケ ンコ ーコ ム、 JA
ア グリ 島根 、バ リュ
ー エー ジェ ンシ ー
(ネッ ト)
○ 島根 県物 産館 、キ ラ
ラ多 伎、菅原 天満 宮、
八重 垣神 社、 シャ ミ
ネな ど( 実店 舗)
○ しま ねの ぢげ もん 、
縁結 び通 販(ネッ ト)
−
○ 自社 ネッ ト販 売
○ 首都 圏の レス トラ ン
やホ テル など
(販 売代 理店 経由 )
○「 ひか わ美 人の 湯」
「 ゆう あい 熊野 館」
の 売店 (実 店舗 )
○ら でぃ っし ゅぼ ーや
( ネッ ト)
施設 ・設 備
の 特徴
○直 売所 のあ った 場所
を 県補 助金 など を活
用 して 施設 整備
○ 現在 の厨 房は エキ ス
抽出 の専 用施 設で は
ない
○パ ター ゴル フ・ ゴー
カ ート 場を 整地 改良
○島 根県 社会 福祉 協議
会 や出 雲市 の支 援で
「 ふれ あい サロ ン」
を 整備
○ 既存 施設 をほ ぼそ の
まま の状 態で 活用
○ワ イン 資料 館の 跡地
に ジャ ム生 産に 必要
な 設備 等を 持ち 込み
連携 事業 者
パー トナ ー
○ト マト 契約 農家
( 14軒 )
○ひ かわ 加工 グル ープ
(現在 も活 動に 参画 )
○い りす NE Tに 参画
○ 松浦 造園 ㈱及 び㈲ 宝
箱( とも に松 江市 )
と業 務提 携
○ 島根 県産 技セ ンタ ー
○ 奥出 雲薔 薇園 (脱 臭
剤の バラ エキ ス)
○ いり すN ET に参 画
○地 域の 福祉 施設 (餅
つ きな どの イベ ント
で 訪問 )
○ 精肉 スラ イス 、販 売
代理 店( とも に松 江
市内 の業 者)
○ オー ナー レス トラ ン
等( 委託 生産 )
○ いり すN ET に参 画
○ブ ルー ベリ ー生 産農
家 (大 田市 在住 者)
○「ゆ うあ い熊 野館 」な
ど 他の 同社 管理 施設
○い りす NE T事 務局
事 業の 見通 し
今後 の課 題
○営 業・ 販売 力の 強化
○製 造可 能商 品が 限定
○通 年稼 働の ため に冷
凍 ・保 存施 設が 必要
○近 隣に トマ ト加 工食
品 の製 造者 が増 加
○ 脱臭 剤は 医療 や介 護
施設 向け 営業 強化
○ 模倣 品対 策と して 国
際特 許も 視野
(国 内特 許取 得済 )
○会 員数 に比 べて サロ
ン 施設 が手 狭で ある
○ 他社 に真 似の でき な
い特 異性 のあ る商 品
で差 別化 を図 りた い
○ 規制 や許 認可 の関 係
で既 存施 設で 生産 可
能な 商品 が限 定
○今 のと ころ 生産 量や
販 路拡 大は 想定 して
い ない (原料 調達 難)
○温 浴施 設の 大規 模改
修 やメ ンテ ナン スを
懸 念
ヒ アリ ング 実施 日
平 成25年11月15日(金 )
平成 25年11月15日(金)
平成 25年 11月 15日 (金 )
資料:各事業者に対するヒアリング結果をもとに作成
14
平 成25年11月20日(水)
平成 25年 12月 3日 (火)
(2)今後の有効活⽤に関する意⾒・アイディア
出雲いりすの丘公園の今後の有効活用について、ヒアリング調査で頂いた主な意見・
アイディアを整理すると以下の通りである。
図表Ⅰ-19
分
今後の有効活用に関する主な意見・アイディア(ヒアリング調査結果より)
類
意見・アイディア
○新規事業者を呼び込み、食品産業の集積度をアップさせる
農・食品関連
○コラボレーション商品開発(特にパン工房を稼働させてほしい)
企業等の集積
○食品産業のチャレンジショップやインキュベーション的機能
○地元大学や研究機関等の研究開発拠点・実証圃場として活用する
空きスペースの
有効活用
6次産業化関連の
新たな取り組み
○空きスペースを活用できるような規制緩和や利用料低減
○施設の空きスペースを植物工場のように活用する
○エコフィード(食物残さを活用した家畜飼料)の仕組み
○小中学校の工場見学や生産体験の受け入れ
○広島を含む 2 時間圏内の小学生対象の田舎ツーリズムの仕組み
○樹木の管理が行き届いていない(従業員のモチベーションにも影響)
ので、イベントや活動で市民に無料で場所提供し、利用者には草刈
りや掃除など少しだけ維持管理に協力してもらう仕組み
公園樹木の
維持管理
○桜を植えて名所にしてほしい
○特産のチューリップとユキヤナギを植えてほしい
(飛行機から紅白のコントラストがきれいに見える)
○地域に根差した樹木(実のなるものがより良い)を植えて、訪れる
人や働く人が季節を感じ、見て楽しめる公園にする
○子どもたちが遊べる遊具などの設置
公園に求める機能
○ふれあいサロンは、地域住民の健康づくりや憩いの場として、今で
はなくてはならない存在である
○「よさこい祭」、「シクラメン祭」のような地域イベント開催
イベント開催や
集客の仕組み
○体験したり、食べたり、購入してもらえるイベント開催
(土日だけのマルシェなど)
○農産物・水産物の直売機能や飲食機能(温泉とセットで集客)
○日照時間が短く、地盤が固いので農業生産は難しい
その他の
意見・アイディア
○建物がしっかりしているので、温泉のある介護施設
○温泉の廃湯を活用した何か新たな事業
○「日本三美人の湯」をもっとPRしていく
○地域資源の活用(醸造技術、薬効のある植物、神話のストーリー性など)
15
Ⅱ.出雲いりすの丘周辺地域の農業及び類似施設の現況把握
出雲いりすの丘公園周辺地域の農業生産や農水産品加工の動向を把握するとともに、
日帰り温浴や農産物直売所、道の駅など類似施設の立地状況や利用動向などについて、
各種ホームページや既存資料等の情報をもとに把握する。
1.出雲市の農業に関する動向(農家数、農業就業人口、耕地面積)
農林水産省「農林業センサス」から農業の動向をみると、平成 22 年の総農家数は、
出雲市全体で 8,096 戸となり、平成 12 年と比べて 21.3%減少している。販売農家数、
農業就業人口、経営耕地総面積を平成 12 年比でみると、いずれも島根県、全国よりも
減少幅が大きくなっている。また、平成 22 年の農業就業人口に占める 65 歳以上の割合
は 7 割を超え、全国を 10 ポイント上回っている。
販売農家の内訳をみると、兼業農家が大幅に減少するなかで、専業農家数は出雲市全
体(同 0.4%増)でほぼ横ばい、旧斐川町(同 29.3%増)では増加している。
図表Ⅱ-1
【出雲市全体】
出雲市及び旧斐川町の農業に関する動向(農家数、農業就業人口、耕地面積)
平成12年 平成17年 平成22年
【うち旧斐川町】
12年比(%)
平成12年 平成17年 平成22年
12年比(%)
総農家数
戸
10,281
9,185
8,096
▲ 21.3
総農家数
戸
2,265
1,941
1,637
▲ 27.7
販売農家数
戸
8,018
6,223
4,790
▲ 40.3
販売農家数
戸
1,931
1,381
952
▲ 50.7
うち専業
戸
715
731
718
0.4
うち専業
戸
75
116
97
29.3
うち第一種兼業
戸
665
675
474
▲ 28.7
うち第一種兼業
戸
124
115
81
▲ 34.7
うち第二種兼業
戸
6,638
4,817
3,598
▲ 45.8
うち第二種兼業
戸
1,732
1,150
774
▲ 55.3
農業就業人口
人
11,574
9,233
6,924
▲ 40.2
農業就業人口
人
2,582
1,932
1,287
▲ 50.2
65歳以上割合
%
63.3
68.6
71.6
-
65歳以上割合
%
63.4
70.4
75.9
-
経営耕地総面積
ha
7,957
6,532
5,447
▲ 31.5
経営耕地総面積
ha
2,408
1,785
1,371
▲ 43.1
耕作放棄地面積
ha
1,140
1,163
-
耕作放棄地面積
ha
68
53
-
【島根県】
-
平成12年 平成17年 平成22年
【全国】
12年比(%)
-
平成12年 平成17年 平成22年
12年比(%)
総農家数
戸
49,480
44,312
39,467
▲ 20.2
総農家数
戸 3,120,215 2,848,166 2,527,948
▲ 19.0
販売農家数
戸
36,010
29,349
24,190
▲ 32.8
販売農家数
戸 2,336,909 1,963,424 1,631,206
▲ 30.2
うち専業
戸
4,912
4,939
5,228
6.4
うち専業
戸
426,355
443,158
451,427
5.9
うち第一種兼業
戸
2,763
2,789
1,922
▲ 30.4
うち第一種兼業
戸
349,685
308,319
224,610
▲ 35.8
うち第二種兼業
戸
28,335
21,621
17,040
▲ 39.9
うち第二種兼業
戸 1,560,869 1,211,947
955,169
▲ 38.8
農業就業人口
人
51,293
42,744
32,271
▲ 37.1
農業就業人口
人 3,891,225 3,352,590 2,605,736
▲ 33.0
65歳以上割合
%
66.5
71.3
74.4
-
65歳以上割合
%
61.6
-
経営耕地総面積
ha
34,187
29,310
25,874
▲ 24.3
経営耕地総面積
ha 3,883,943 3,608,428 3,353,619
▲ 13.7
耕作放棄地面積
ha
5,412
6,605
6,629
22.5
耕作放棄地面積
ha
資料:農林水産省「農林業センサス」より作成
16
52.9
342,789
58.2
385,791
395,981
15.5
2.出雲市の農業生産・販売動向
(1)農業産出額の推移 〜産出額は減少傾向、「果実」「花き」の割合が⾼い〜
次に、農林水産省「生産農業所得統計(平成 19 年以降は市町村データが公表されて
いない)」から農業産出額の動向をみると、平成 18 年は出雲市全体で 143 億円となり、
減少傾向が続いている。部門別にみると、「米」と「畜産」の落ち込みが大きくなって
いる。
また、農業産出額の品目別構成比をみると、出雲市全体では「果実」、
「花き」の割合
が比較的高くなっている。旧斐川町では「米」が全体の約半数を占めている。
図表Ⅱ-2
300
280
265
251
250
244
258
67
200
63
78
228 226
220 223
217 218
66
75
54
32
150
51
51
50
46
41
236
215
31
23
31
20
21
24
100
118
140
111
103
その他
217
30
204
28
34
28
34
29
30
21
50
出雲市の農業産出額(部門別)の推移
(億円)
26
31
34
31
20
22
23
26
33
34
34
26
35
87
99
32
32
32
131
104 103 104 102
41
120
93
97
畜産
180 176 177
29
28
28
34
31
33
25
30
30
38
29
91
168
27
153 150 154 156 149
26
75
69
68
27
31
26
68
27
26
26
27
22
24
58
62
27
24
24
59
花き
143
果実
28
27
24
23
24
24
23
60
57
53
野菜
米
0
S57
59
61
63
H2
4
6
8
10
12
14
16
18年
※合併前の各市町村データを合計した数値
資料:農林水産省「生産農業所得統計」より作成
図表Ⅱ-3
0%
10%
出雲市全体
(H18、143億円)
20%
48.8
島根県
(H23、598億円)
麦類
豆類
22.4
いも類
野菜
60%
16.3
花き
25.9
種苗・苗木類・その他
17
80%
6.4
9.0
肉用牛
2.5
2.8
4.1
90%
5.4 2.1 5.7
18.3
※データの年次は「出雲市全体」、「旧斐川町」が平成 18 年、「島根県」、「全国」が平成 23 年
資料:農林水産省「生産農業所得統計」より作成
70%
15.9
14.9
2.5
果実
50%
3.0 2.8
39.8
全国
(H23、8兆2,463億円)
米
40%
1.1
1.2
1.1
37.4
旧斐川町
(H18、36億円)
農業産出額の品目別構成比
30%
12.7
10.4
5.6
乳用牛
11.2
9.1
豚
鶏
6.5
10.2
100%
1.4
1.1
3.91.1 6.1
4.0
9.1
その他畜産
6.9
1.2
3.2
その他
(2)JA取扱実績の推移
〜JA斐川町管内では 6 割以上が「⽶」〜
出雲市を管轄エリアとする「いずも農業協同組合(JAいずも)」と「斐川町農業協
同組合(JA斐川町)」の受託販売品取扱実績から農産物の生産・販売動向を確認する。
「JAいずも」の平成 24 年度取扱高は 78 億 29 百万円(前年度比▲1.9%)となり、
種類別にみると、
「畜産物(23 億 63 百万円)」が最も高く、次いで「果物(18 億 87 百
万円)」、「米(17 億 79 百万円)」、
「野菜(10 億 48 百万円)」となっている。平成 21 年
度以降は 80 億円を下回る水準が続いている。
一方、「JA斐川町」の平成 24 年度取扱高は 23 億 83 百万円(前年度比▲2.5%)と
なり、種類別にみると、
「米(14 億 56 百万円)
」が 6 割以上を占めており、次いで「野
菜(4 億 32 百万円)」、
「畜産物(2 億 33 百万円)
」、
「麦・豆・雑穀(2 億 1 百万円)
」と
なっている。平成 16 年度以降、20∼25 億円程度で推移している。
図表Ⅱ-4
100
88.7
88.7
80
28.4
28.1
82.8
26.0
60
40
JAいずも 受託販売品取扱高の推移
(億円)
22.5
23.8
11.9
13.0
13.5
21.5
18.6
H18
19
20
79.3
78.2
79.8
24.6
24.3
25.4
78.3
23.6
その他
林産物
畜産物
花き
果物
20.2
20.4
12.9
13.7
13.8
10.5
麦・豆・雑穀
15.8
15.3
15.4
16.9
17.8
米
20
21
22
23
24年度
22.2
21.1
18.9
野菜
0
資料:いずも農業協同組合「ディスクロージャー誌」より作成
図表Ⅱ-5
JA斐川町 受託販売品取扱高の推移
30
(億円)
25
22.8 22.5 23.4 22.2 23.4
20
15
2.9
2.8
4.9
4.3
1.5
1.8
12.3
12.5
2.8
4.1
1.6
2.6
4.2
1.0
2.3
4.4
1.7
5
13.4
20.4
2.6
2.4
4.2
4.4
1.6
14.3
11.1
2.3
畜産物
4.2
4.3
花き
1.7
2.0
果物
野菜
14.8
15.5
14.6
0
H16
17
18
19
20
21
22
23 24年度
資料:斐川町農業協同組合「ディスクロージャー誌」より作成
18
その他
2.4
1.7
10
14.0
23.7 24.4 23.8
麦・豆・雑穀
米
3.出雲市の代表的な農産品及び農水産加工品
(1)主な農産品
「JAいずも」の受託販売品取扱高(平成 24 年度)を品目別にみると、「JA米」、
「ぶどう」
、
「生乳」の上位 3 品目がともに 10 億円を超え、
「肉牛」、
「子牛」、
「鶏卵」な
ど畜産関連品目が続いている。果樹では「ぶどう」、「柿」、「いちじく」、野菜では「ブ
ロッコリー」、
「青ネギ」、
「アスパラガス」、その他では「サンマッシュ(菌床しいたけ)」
などが代表的な農産品となっている。
同様に、「JA斐川町」についてみると、
「流通米」が 12.8 億円と高くなっており、
次いで、
「生乳」
、
「加工用米」、
「野菜苗」が 1 億円を超えている。穀類では「麦類」、
「大
豆類」、「ハトムギ」、野菜では「たまねぎ」、「青ねぎ」、「キャベツ」、「リーフレタス」、
「ミニトマト」などが代表的な農産品となっている。
このほか、出雲いりすの丘公園周辺地域において、生産者や加工事業者がある程度集
積している農産品としては、
「出西しょうが」、
「茶」、
「シクラメン」、
「トルコギキョウ」、
「チューリップ」
、「そば」、「ウメ」などが挙げられる。
図表Ⅱ-6
取扱高上位 20 品目(JAいずも、平成 24 年度)
品目
図表Ⅱ-7
取扱高上位 20 品目(JA斐川町、平成 24 年度)
取扱高[千円]
品目
取扱高[千円]
1
JA米
1,689,910
1
流通⽶
2
ぶどう
1,530,450
2
生乳
183,041
3
生乳
1,153,581
3
加工用米
114,407
4
肉牛
544,515
4
野菜苗
112,198
5
子牛
313,301
5
⻨類
95,633
6
鶏卵
295,545
6
大豆類
58,028
7
サンマッシュ
261,963
7
たまねぎ
54,050
8
柿
240,185
8
ハトムギ
47,498
9
ブロッコリー
140,294
9
⻘ねぎ
46,929
1,279,476
10
いちじく
90,921
10
ぶどう
42,459
11
⻘ネギ
75,927
11
キャベツ
40,841
12
花卉
70,715
12
子牛
39,670
13
スモール牛
56,097
13
リーフレタス
39,492
14
アスパラガス
52,823
14
ミニトマト
34,566
15
ふるい下米穀
49,964
15
個別流通⽶
32,947
16
きゅうり
43,365
16
くず米
29,557
17
加工用米
39,543
17
白ねぎ
16,258
18
飼料⽤⽶
33,831
18
いちご
15,900
19
メロン
32,771
19
大玉トマト
15,652
20
⻨
18,144
20
鉢物
10,708
資料:斐川町農業協同組合
「第 52 回通常総代会資料(H25.6.29)」より作成
資料:いずも農業協同組合HPより作成
19
(2)主な農水産加工品
平成 24 年度より出雲推奨商品認定委員会(事務局:NPO法人 21 世紀出雲産業支援
センター)が取り組んでいる「おいしい出雲」の認定商品のうち、出雲いりすの丘公園
周辺の事業者が生産・販売している商品、または同公園周辺で生産された農水産品を活
用している商品を挙げると、以下の通りである。
図表Ⅱ-8
「おいしい出雲」認定商品(いりすの丘公園周辺の事業者及び農水産品を使った商品)
商品名
主な原料(地元産品)
出雲そば
出雲の生蕎麦
出雲そば餃子
麺 出雲そば(乾麺)
類 出雲そばセット
二八そば
つるつる手延べうどん
しじみらーめん しまね軒
生姜糖
生姜金平糖
出西生姜美人シフォンケーキ
ぶどう娘、荘原焼芋ゴロゴロ(菓子)
ピリッとしょうが神社ー(洋菓子)
菓 島根の葉茶め茶おいしいろうる(洋菓子)
子 いつも(出雲)神様のそば
しょうが飴
飲
料
・
酒
類
調
味
料
漬
物
水
産
加
工
品
そば
そば
そば
そば
そば
そば
コシヒカリ、ひまわりオイル
宍道湖しじみ
出西しょうが
しょうが
出西しょうが
ベリーA、さつまいも
出西しょうが
大麦若葉、ケール、桑茶
そば
出西しょうが
おいしいぼー 出西みどりしょうが味(洋菓子) 出西しょうが
いちじく加工品(ゼリー、ジャム、ドレッシング) 多伎いちじく
スイートパーシモン(干し柿)
西条柿
愛きらり・夢ふわり(洋菓子)
多伎いちじく、西浜芋
ジンジャーワイン
出西しょうが
ぶどうジュース(デラウェア、甲州、マスカットベリーA) ぶどう
★雪梅(ノンアルコール梅酒)
梅、雪柳エキス
出雲茶(ペットボトル、煎茶)、抹茶カプチーノ 茶
弁慶番茶
茶
発芽はと麦茶
茶
たまねぎジャム
たまねぎ
とまとケチャップ
トマト
★トマトケチャップ
トマト
トマト、たまねぎ、しょうが、にんにく
トマトミックスソース
出西生姜粕漬
出西しょうが
しま瓜奈良漬
しま瓜
青瓜、胡瓜おろち漬
青瓜、胡瓜
津田かぶ、青しま瓜、大根、梅
漬物各種
津田かぶぬか漬け、はりはりキムチ
津田かぶ、大根
冷凍大和しじみ(神西湖産)
神西湖しじみ
出雲の国 大和しじみ
神西湖しじみ
宍道湖産しじみ汁
宍道湖しじみ
食べるしじみ
宍道湖しじみ
しじみレトルト、漁師のしじみみそ汁、活しじみ 宍道湖しじみ
すずきのスパイシースモーク
宍道湖産すずき
出雲の風(水産物の一夜干し)
のどぐろ、甘鯛等
十六島海苔入り佃煮
十六島海苔
★印は出雲いりすの丘公園内で加工製造されている商品
資料:出雲推奨商品認定委員会「おいしい出雲」より作成
20
事業者
遠藤製麺
㈲玉木製麺
㈱健菜厨房
いずも農業協同組合
㈲米山萬商店
サトー食品㈲
斐川町農業協同組合
ライフサービス㈱
山陰名産 來間屋生姜糖本舗
㈱原寿園
吉岡製菓
〃
すのうはっと
〃
〃
ふれんど
天使のケーキ屋さん
いずも農業協同組合
〃
いしはら
㈱島根ワイナリー
〃
葉泉スピラエ研究所
㈱桃翠園
㈲武永茶舗
斐川町農業協同組合
天使のケーキ屋さん
黒目IPG
ひかわ食品加工㈱
かんばだん
斐川園芸㈲
〃
㈲マルヤス
㈲けんちゃん漬
宮本食品㈲
㈱かみありづき
㈲コクヨー
サトー食品㈲
㈱河村食材
㈲宍道湖
大竹屋川魚店
㈲小伊津海旬房
㈱海産物松村
所在地
斐川町
斐川町
渡橋町
姫原町
浜町
大社町
斐川町
大社町
平田町
今市町
斐川町
〃
小山町
〃
〃
斐川町
斐川町
姫原町
〃
今市町
大社町
〃
斐川町
斐川町
今市町
斐川町
斐川町
斐川町
斐川町
斐川町
斐川町
〃
斐川町
渡橋町
上塩冶町
知井宮町
斐川町
大社町
東福町
斐川町
斐川町
灘分町
平田町
4.日帰り温浴施設等の類似事業者の状況
出雲市、松江市、雲南市に立地している日帰り温浴施設をリストアップすると、「ひ
かわ美人の湯」を含めて 22 軒あり、そのうち 10 軒が 20 ㎞圏内に立地している。
このうち、島根県観光動態調査の対象となっている 10 軒の入込み客数動向をみると、
ここ数年は緩やかながら減少傾向がみられる施設も多い。平成 24 年では「割烹温泉ゆ
らり」が 261 千人と最も多く、
「玉造温泉ゆ∼ゆ」
、
「鹿島多久の湯」、
「ゆうあい熊野館」
が続いている。「ひかわ美人の湯(130 千人)」に比較的近い客数規模の施設としては、
「多伎いちじく温泉」、
「きまち湯治村大森の湯」
、
「おろち湯ったり館」が挙げられる。
図表Ⅱ-9
温浴施設名
温泉地名
日帰り温浴施設一覧(出雲市、松江市、雲南市)
いりすと
の距離
所在市町村
オープ ン 年月
ひかわ美人の湯
湯の川
出雲市斐川町
-
出雲市斐川福祉センター 四季荘
湯の川
出雲市斐川町
0.4㎞
H6
−
出雲市平田町
9.2㎞
H16.12
きまち
湯元楯縫 割烹温泉ゆらり
きまち湯治村 大森の湯
北山健康温泉
出雲駅前温泉らんぷの湯
出雲ドーム健康温泉
えんや温泉
大東農村環境改善センター 桂荘
出雲平成温泉
SKプラザ
国民宿舎くにびき荘
多伎いちじく温泉
ふかたに荘
500円
○
400円
○
600円
○
民営
㈱中ノ島ニューシティプラザ
11.5㎞
H13.9
指定管理 ㈱きまち湯治村
400円
○
13.0㎞
H11.4
指定管理 ㈲トラベルシリウス
500円
○
−
出雲市駅南町
13.9㎞
H16.10
民営
㈱イマコウランド
600円
○
(光明石) 出雲市矢野町
14.5㎞
H14.1
指定管理
NPO法人出雲スポーツ振興21
500円
民営
㈱ニューウェルシティ出雲
600円
出雲市塩冶有原町
14.6㎞
S56
松江市玉湯町
17.5㎞
H8.7
(東日登) 雲南市木次町
指定管理 ㈱玉造温泉ゆうゆ
18.2㎞
H9.12
指定管理 木次都市開発㈱
500円
雲南市大東町
21.7㎞
S59
指定管理 海潮地区振興会
300円
−
出雲市平成町
22.2㎞
H6.9
指定管理 NPO法人川と湖いきいき神西
500円
松江しんじ湖 松江市千鳥町
22.8㎞
S61
湖陵
出雲市湖陵町
23.1㎞
S47
民営
−
出雲市多伎町
27.4㎞
H7.4
雲南市三刀屋町
29.0㎞
H6.4
指定管理 ㈱吉田ふるさと村
30.3㎞
S37
奥出雲湯村温泉 共同浴場
出雲湯村 雲南市木次町
30.4㎞
H13.12
H15.10
−
松江市鹿島町
31.9㎞
八雲
㈱さんびる
○
H24.9リニューアル
○
H22.3民営化、リニ ューアル
○
H24.2リニューアル
○
H21.4民営化
500円
○
指定管理 ㈱多伎振興
400円
○
指定管理 深谷温泉振興対策協議会
300円
○
300円
○
民営
摘要
500円
指定管理 ㈱カリス湖陵
出雲湯村 雲南市吉田町
○
宿泊
400円
海潮
国民宿舎清嵐荘
ゆうあい熊野館
指定管理 ㈱MIしまね
指定管理 湯の川温泉有限責任事業組合
出雲市西林木町
(みとや深谷)
鹿島多久の湯
大人料金 飲食
松江市宍道町
玉造
おろち湯ったり館
管理者
−
−
玉造温泉ゆ∼ゆ
H12.4
管理区分
湯乃上館
300円
○
○
○
指定管理 鹿島町産業振興協同組合
400円
○
松江市八雲町
32.9㎞
H9.4
指定管理 ㈱MIしまね
400円
○
○
ゆかり館
出雲須佐 出雲市佐田町
33.6㎞
H7.12
指定管理 ㈱すばる企画
500円
○
○
掛合まめなかセンター
(塩ケ平) 雲南市掛合町
35.3㎞
H15.10
指定管理 掛合自治振興会
300円
※温泉地名の( )は、一般社団法人日本温泉協会データベースに掲載のない温泉地
※「飲食」とは、温浴施設に併設する食事処やレストランのことを指す
資料:出雲市、松江市、雲南市ホームページ等の情報をもとに作成
図表Ⅱ-10
350
日帰り温浴施設等の入込み客数の推移
(千人)
ひかわ美人の湯
300
割烹温泉ゆらり
250
200
150
261
きまち湯治村大森の湯
219
201
180
166
玉造温泉ゆ∼ゆ
130
117
108
94
75
100
50
【ゆうあい熊野館】
【ゆかり館】
【多伎いちじく温泉】
【鹿島多久の湯】
【出雲湯村温泉 清嵐荘】
0
H10
※【
おろち湯ったり館
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24年
】はいりすの丘から 20 ㎞圏外の施設、点線はオープンに伴う 12 カ月未満の年次データ
資料:島根県観光振興課「島根県観光動態調査」
21
5.道の駅の⽴地状況
出雲いりすの丘公園の国道 9 号入口には年間 40 万人以上が訪れる「道の駅湯の川」
が立地している。そこで、周辺に立地している道の駅をリストアップすると、20 ㎞圏
内に「道の駅湯の川」を含む 4 施設、50 ㎞圏内には同 13 施設が立地している。
このうち、島根県観光動態調査の対象となっている 5 施設の入込み客数動向をみると、
平成 24 年では「キララ多伎」が 523 千人と最も多く、次いで「湯の川」が 429 千人と
なり、「さくらの里きすき」及び「掛合の里」は 10 万人前後となっている。「湯の川」
では足元で増加傾向がみられるものの、他の 3 施設は足元で減少傾向となっている。
図表Ⅱ-11
道の駅一覧(出雲いりすの丘公園から 50 ㎞圏内)
特産
直売
飲食
併設する機能等
○
○
足湯、温泉スタンド、花ハウス
指定管理 さくらの里㈱
○
○
コンビニ
指定管理 ㈱SKSS
−
○
マリンスポーツ、キャンプ
−
−
吉兆館、コンビニ
指定管理 ㈱多伎振興
○
○
海水浴、コテージ
H5.8
指定管理 掛合運送㈲
○
○
公園
コンビニ
所在市町村
いりすと
の距離
湯の川
国道9号 出雲市斐川町
1.3㎞
H11.10
指定管理 ㈱特産ひかわ
さくらの里きすき
国道54号 雲南市木次町
15.2㎞
H13.10
秋鹿なぎさ公園
国道431号 松江市岡本町
17.9㎞
H11.4
出雲市大社町
19.5㎞
H5.3
キララ多伎
国道9号 出雲市多伎町
28.4㎞
H10.4
掛合の里
国道54号 雲南市掛合町
32.9㎞
本庄
国道431号 松江市野原町
駅名
路線
大社ご縁広場
県道
管理区分
オープ ン 年月
直営
管理者
出雲市
35.2㎞
H18.5
業務委託 道の駅本庄企業組合
○
○
雲南市吉田町
35.4㎞
H25.3
指定管理 ㈱吉田ふるさと村
○
○
おろちの里
国道314号 雲南市木次町
37.8㎞
H23.5
○
○
ロード銀山
国道9号 大田市久手町
43.3㎞
H22.5
○
○
酒蔵奥出雲交流館
国道432号 奥出雲町亀嵩
45.3㎞
H19.4
民営
奥出雲酒造㈱
○
−
交流館、醸造棟、温泉スタンド
広瀬・富田城
主要地方道 安来市広瀬町
45.4㎞
H7.10
直営
安来市
○
−
広瀬絣センター
あらエッサ
国道9号 安来市中海町
46.3㎞
H23.4
直営
安来市
○
○
たたらば壱番地
市道
直営
雲南市
指定管理 ㈱大田ふるさとセンター
資料:国土交通省 道路局、出雲市、松江市、雲南市、安来市、奥出雲町ホームページ等の情報をもとに作成
図表Ⅱ-12
道の駅の入込み客数の推移
700
(千人)
600
523
500
429
400
道の駅湯の川
道の駅さくらの里きすき※
道の駅キララ多伎
300
道の駅掛合の里※
200
108
96
52
100
0
H12 13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23 24年
※「道の駅さくらの里きすき」、「道の駅掛合の里」は平成 20 年より調査対象施設
資料:島根県観光振興課「島根県観光動態調査」
22
道の駅おろちの里
6.その他関連事業者及び施設の⽴地状況
出雲いりすの丘公園の今後の利活用に関連がありそうな「直売所」、
「市民農園」、
「各
種体験・教室等」
、「公園」などの事業者及び施設が 20 ㎞圏内に多数立地している。
図表Ⅱ-13
その他関連事業者及び施設(出雲いりすの丘公園から 20 ㎞圏内)
主な事業
分
類
施設名称
そ
物
の
販
他
飲
食
体
験
市
民
農
園
宿
泊
温
浴
施
設
公
園
摘要
い
と
り
の
す
距
の
離
丘
JAくにびき
○
5.2㎞
出雲市斐川町
JA斐川町
○
6.3㎞
ハートファームNEO
出雲市斐川町
㈱ハートファームNEO
直売所彩イロドリ
出雲市平田町
㈱アイティーオール
出雲市国富
㈲金山グローカルファーム
○
○
○
出雲市東福町
JAいずも
○
出雲市灘分町
ヨコハマ
○
田根グリーンショップ
松江市宍道町
地元グループ
○
Aコープかも産直コーナー
雲南市加茂町
JA雲南
○
くるみ市
出雲市大津町
鐘推園芸
○
加茂遊学ファーム
雲南市加茂町
㈱加茂遊学ファーム
○
うんなんナチュラルべじまーと
雲南市加茂町
うんなんナチュラルべじまーと運営委員会
○
トマトハウス
雲南市加茂町
地元グループ
○
とびす市
松江市宍道町
出雲市東林木町
出雲市矢野町
○
農業生産法人㈱桃源
○
出雲市塩冶有原町 NPO法人まめだがネット
JA雲南
○
グリーンショップたまゆ
松江市玉湯町
JAくにびき
○
高松ななえちゃん市場
出雲市高松町
JAいずも
○
農業生産法人㈱桃源
○
木次とれたて市場
11.8㎞
Aコープかも店
11.8㎞
12.0㎞
12.2㎞
加茂文化ホールラメール、月1回
12.8㎞
13.1㎞
○
菅原天神そば工房、無人
○
13.2㎞
JAいずも鳶巣支店、水曜のみ
13.5㎞
洋菓子工房、レストラン
14.6㎞
15.0㎞
道の駅さくらの里きすき隣接
15.2㎞
15.5㎞
JAいずも高松支店、日曜のみ
15.8㎞
16.9㎞
JA雲南
○
Aコープきすき店
17.2㎞
地元グループ
○
水曜・土曜のみ
17.6㎞
JA女性部大社地区 ふれあい市場
出雲市大社町
JAいずも
○
グリーンセンター大社、金曜のみ
18.0㎞
出雲大東産直市ほたる
雲南市大東町
㈱大東農産加工場
○
JR出雲大東駅隣接
19.0㎞
神話の郷ぶどう直売所
出雲市大社町
地元グループ
○
シーズンのみ
19.6㎞
大東モリモリ奥出雲
雲南市大東町
JA雲南
○
Aコープだいとう店
19.6㎞
神門新鮮やさいはうす
宍道湖市民農園
雲南市木次町
10.1㎞
11.1㎞
○
雲南市木次町
9.6㎞
9.9㎞
JAいずも久多美支店
○
JAいずも
たんびにきて家
出雲市下古志町
ショッピングセンターVIVA
○
よこはまだんだん市場
菅原菅公市場
7.1㎞
○
菜っちゃん市場
桃源直売所
出雲市知井宮町
出雲市園町
㈲黒崎電工
○
8.0㎞
○
11.7㎞
上津ふれあい農園
出雲市上島町
上津コミュニティセンター
稗原やまびこ市民農園
出雲市稗原町
個人
そば庄たまき そば道場
出雲市斐川町
㈲玉木製麺
○
黒田農場
出雲市斐川町
㈲黒田農場
○
かくれ庵
出雲市斐川町
かくれ庵
キッチンスタジオ 夢の食卓
出雲市今市町
㈲あさつ
島根中酪、出雲ミルクの里ホルン
出雲市平野町
島根県中央酪農連
海の家 幟立
出雲市河下町
海の家 幟立
○
○
○
サザエ網外し、いりこ作り、魚調理
16.1㎞
古志古民家塾
出雲市古志町
江角アトリエ
○
○
○
料理教室、古民家宿泊・レンタル
17.0㎞
ぱん教室はるかぜ
出雲市下横町
個人
○
パン教室
17.2㎞
木次林業総合センター
雲南市木次町
大原森林組合
○
木工実習、研修室
17.2㎞
島根ワイナリー
出雲市大社町
㈱島根ワイナリー
○
○
○
ワイン製造、工場見学
17.6㎞
ナチュラルフーズアンドグッズ菜野花
雲南市加茂町
ナチュラルフーズアンドグッズ菜野花
○
○
○
自然食品、弁当、パン、料理教室
18.6㎞
大社観光ぶどう園
出雲市大社町
地元グループ
○
ぶどう狩り
18.8㎞
木次乳業、食の杜
雲南市木次町
木次乳業㈲
○
㈲奥出雲葡萄園、㈲コロコロの舎、室山農園㈲、日登牧場
18.9㎞
民泊 山里の宿
雲南市大東町
民泊 山里の宿
○
農作業、田舎体験、料理体験
20.0㎞
荒神谷史跡公園
出雲市斐川町
NPO法人出雲学研究所
宍道ふるさと森林公園
松江市宍道町
(一財)宍道湖西岸森と自然財団
宍道総合公園
松江市宍道町
斐川公園
出雲市斐川町
宍道湖グリーンパーク
公
園
直農
売産
所物
松江市宍道町
すさのおの里青空市場
各
種
体
験
・
教
室
等
食
生
品
産
加
・
工
JA斐川町グリーンセンター
桃源村
市
民
農
園
運営管理主体
グリーンショップしんじ
北山ガルテン
直
売
所
所在地
出雲市園町
○
○
○
○
○
そば打ち
2.8㎞
○
農作業、観光案内
6.2㎞
○
○
収穫、そば打ち
○
○
○
19.0㎞
○
○
○
○
○
○
○
6.7㎞
料理教室
13.2㎞
乳製品、パン、工場見学、料理教室
13.5㎞
○
遺跡、博物館
3.8㎞
○
コテージ、キャンプ場
4.3㎞
NPO法人しんじ湖スポーツクラブ
○
スポーツ施設
6.2㎞
三洋興産㈱
○
斐川町内12公園を一括管理
6.5㎞
○
○
ゴビウス、自然観察
8.0㎞
○
8.9㎞
○
(公財)ホシザキグリーン財団
今在家農村公園
出雲市斐川町
農事組合法人あかつきファーム今在家
○
収穫体験
愛宕山公園
出雲市平田町
たてぬい建設事業協同組合
○
○
スポーツ施設、動物広場
9.5㎞
平田スポーツ公園
出雲市平田町
NPO法人ひらたスポーツ・文化振興機構
○
スポーツ施設
9.5㎞
西谷墳墓群史跡公園
出雲市大津町
出雲市
○
出雲弥生の森博物館
10.9㎞
斐伊川河川敷公園
出雲市武志町
㈱MIしまね
○
スポーツ施設
11.6㎞
加茂中央公園
雲南市加茂町
㈱キラキラ雲南
○
スポーツ施設
13.9㎞
出雲健康公園
出雲市矢野町
NPO法人出雲スポーツ振興21
○
出雲ドーム、クラブハウス、温浴施設
ふるさと尺の内公園
雲南市木次町
(公財)ホシザキグリーン財団
○
15.4㎞
幡屋中央農村公園
雲南市大東町
雲南市
○
15.6㎞
春殖農村公園
雲南市大東町
雲南市
○
出雲玉作史跡公園
松江市玉湯町
松江市
○
資料館
17.2㎞
空口公園
松江市玉湯町
松江市玉湯体育協会
○
スポーツ施設
17.3㎞
大東公園
雲南市大東町
㈱キラキラ雲南
○
浜山公園
出雲市大社町
NPO法人出雲スポーツ振興21
○
スポーツ施設
17.7㎞
花ふれあい公園(しまね花の郷)
出雲市西新町
NPO法人国際交流フラワー21
○
花壇、アレンジメント
19.1㎞
心の駅 陽だまりの丘
雲南市大東町
㈱丸隆
○
巨大迷路、バーベキュー、田舎暮らし体験
畑鵯森林公園
雲南市大東町
畑鵯森林公園管理部
○
真幸ヶ丘公園
出雲市神門町
真幸ヶ丘協会
○
○
○
○
○
17.0㎞
17.4㎞
19.1㎞
19.6㎞
スポーツ施設
資料:以下の各ホームページの情報等をもとに作成
(出雲市、松江市、雲南市、JA 斐川町、JA いずも、JA くにびき、JA 雲南、島根県、中国四国農政局、都市農山漁村交流活性化機構、i タウンページ等)
23
14.5㎞
19.9㎞
Ⅲ.先進事例調査
出雲いりすの丘公園の利活用を検討するための参考として、6次産業化や農業・食品
関連産業の集積拠点づくり等の先進的な取り組みを行っている 3 事業者について、平成
25 年 11 月 25 日(月)∼27 日(水)の日程で視察ヒアリング調査を実施した。
図表Ⅲ-1
視察ヒアリング調査 実施要領
調査目的
出雲いりすの丘公園の利活用方策を検討するうえでの参考とするため
調査対象
◆有限会社ゆうま
[実施順]
◆株式会社フードパル熊本(熊本県熊本市)
ほっこり農園(福岡県岡垣町)
◆あさぎりフードパーク協同組合(静岡県富士宮市)
調査時期
主な
調査項目
平成 25 年 11 月 25 日(月)∼27 日(水)
○組織概要(設立経緯、組織体制、実施事業 など)
○施設整備事業(きっかけ、コンセプト、資金調達、行政支援 など)
○事業展開(事業の特徴、利用者数・売上高動向、集客を図るコツ など)
○今後の事業見通し・地域に求められる役割、経営上の課題
フードパル熊本 園内
ほっこり農園 入口
あさぎりフードパーク 入口(道の駅朝霧高原側)
24
など
1.視察事例の概要及び事業の特徴
視察ヒアリング調査を実施した 3 事業者の組織や運営する施設の概要、事業の特徴、
今後の課題などを整理すると以下の通りである。
図表Ⅲ-2
ヒアリング先
本社所在地
有限会社ゆうま ほっこり農園
株式会社フードパル熊本
あさぎりフードパーク協同組合
福岡県遠賀郡岡垣町
熊本県熊本市北区
静岡県富士宮市
組織設立
平成12年
平成5年4月(当時は協同組合)
平成22年2月
従業員数
2名(食育体験教室スタッフ)
17名
5名
施設名称
食育体験ファーム ほっこり農園
フードパル熊本
あさぎりフードパーク
コンセプト
「自然」「食育」「生命」「感謝」
「笑顔」の5つをキーワードとし
た食育体験施設
子どもから大人まで楽しめる製造
、販売、遊が一体となった全国初
の「生活者交流型食品工業団地」
「食と自然が融合した・林の中の
食品工房」をコンセプトとした食
のテーマパーク
きっかけ
○レストラン、ウェディング等を
展開する㈱グラノ24Kを中心と
する「ぶどうの樹グループ」の
食育体験の場
○「自分たちでできることは自分
たちでやる」手づくりで整備
○熊本市による農業・食品産業の
生産拠点整備構想(平成2年)
をもとに、入居予定企業が協同
組合を設立
○団地内に熊本市が公共施設(食
品交流会館)を整備
○富士宮市は食によるまちづくり
「フードバレー構想」を推進
○隣接する道の駅の運営会社の関
係者が土地を確保し、地元食品
企業が協同組合を設立
平成23年4月
平成9年11月
平成24年4月
○食育体験、冒険体験、農業体験
などの各種教室
主な事業・機能 ○学習塾と連携した小学生以下対
象の「食育農園 大自然塾」
○生ゴミ堆肥化 など
○食品関連企業を中心に24社が立
地(工場見学や体験メニューを
設定している企業あり)
○熊本市食品交流会館、とれたて
市(朝市)、こだわり工房村(レ
ンタル工房)
○地域イベントやフリーマーケッ
トの開催 など
○食品企業6社が立地(全社が販
売施設、工場見学、体験教室メ
ニューを設定)
○組合が運営する共同販売所
○富士山麓にふさわしい樹木の植
栽がある公園(規約に基づく)
など
○「ぶどうの樹グループ」が所有
する山林(約13ha)
○もともと農地であった熊本市郊
外の丘陵地(約26ha)
○平成16年にオープンした「道の
駅朝霧高原」に隣接する原野や
放牧場(約5ha)
環境事業団 (現(独法)環境再生保全機構)
「集団設置建物建設事業」
(独法)中小企業基盤整備機構
「中小企業高度化事業」
㈱杉養蜂園
朝霧乳業㈱
81万人
22万人
(道の駅朝霧高原:約130万人)
○熊本市内の小学生、幼稚園・保
育園児(工場見学など)
○地域住民(とれたて市、各種イ
ベント参加)
○富士宮市内の小中学生(工場見
学など)
○観光客
○崇城大学、熊本保健科学大学、
地元農業高校(イベント出店)
○地元自治会、まちづくり団体
(イベント企画・共催)
○フリーマーケット運営会社
○北海道帯広市、福井県小浜市、
三重県松阪市(フードバレー構
想で富士宮市と交流、各市の商
品の取り扱い)
○宿泊や飲食を伴うプログラムを
提供するにあたって、グループ
施設を活用(相乗効果)
○食品残さの堆肥化の仕組み構築
(堆肥を農家に無償提供)
○各企業及び商品を知ってもらう
生産拠点としての機能(販売先
の多くを団地外に持つ)
○バイヤーや直販先に安心・安全
を訴求できる場
○地域住民のイベント開催の場
○地元原料を使ったこだわり食品
生産を行う地元企業6社が集積
○オープン初年度のメディアによ
る宣伝効果
○地域に必要な教育・体験機能
(グループ内での役割明確化)
○現時点で整備進捗状況は4割程
度(今後も手づくりで整備)
○事業展開上は、上下水道の未整
備が課題
○見せる工業団地として産業観光
による集客拡大
○新商品開発に向けた企業同士や
地域農業との連携促進
○レンタル工房のインキュベーシ
ョン的機能強化
○富士山麓でのくつろぎの提供
○コラボレーションによる「あさ
ぎりブランド」の確立
○敷地面積拡大による食品企業集
積度の向上(計画あり)
○平成26年度より借入金返済
施設オープン
管
理
・
運
営
施
設
の
概
要
各事例の特徴(視察ヒアリング調査結果より)
立地場所
−
行政支援メニュー
中核企業
利用者数(H24)
主な利用者
同社のみ
−
○子ども会やスポーツ団体
○学習塾の生徒(小学生)
○学校PTAの研修
○ぶどうの樹グループ各施設
○英進館㈱(福岡市、福岡県を中
心に52校の学習塾を展開)
地域の連携主体
○モクモク手づくりファーム(三
重県伊賀市、食育体験教室の運
営手法導入)
企業経営及び
地域に与えた影響
今後の事業展開
経営上の課題
視察ヒアリング実施日
平成25年11月25日(月)
平成25年11月26日(火)
資料:各事業者に対する視察ヒアリング結果をもとに作成
25
平成25年11月27日(水)
2.先進事例から学ぶべきポイント
他地域視察ヒアリング調査を踏まえ、これらの 3 事例の取り組みから学ぶべきポイン
トを集約すると以下の通りである。
有限会社ゆうま ほっこり農園(福岡県岡垣町)
○大手学習塾と連携し、都市部の子どもたちに学校や塾で学ぶことのできない貴重
な体験及び教育の場を提供している。
○「ぶどうの樹グループ」の事業との連携によって、単体ではビジネスになりにく
い教育・体験事業に積極的に取り組んでいる。
○先進的な事業者(モクモク手づくりファーム)からの体験教室運営ノウハウを導
入、一方でバイキングレストラン運営ノウハウを先方に提供している。
○食品関連事業を主体とする企業グループとして、食品残さの堆肥化システムを構
築し、環境教育の一環として活用している。
株式会社フードパル熊本(熊本県熊本市)
○食品工業団地でありながら見せる工場、緑地公園、イベント開催、公共施設など
さまざまな機能を有している。
○小学生の工場見学、地元大学・農業高校との連携など、学校教育の一環として幅
広く活用されている。
○恒例となっているフリーマーケットのほか、各種地域イベントの場として地域住
民に定着している。
○地域農家と消費者の接点である農産物直売所「とれたて市」、小規模事業者と消費
者との接点である「こだわり工房村」などの機能を有している。
あさぎりフードパーク協同組合(静岡県富士宮市)
○富士宮市の推進する食によるまちづくりに沿った形で整備された、地元老舗企業
が主体となった食のテーマパークとなっている。
○国の支援策(中小企業高度化事業)を有効活用して整備・運営されている。
○地元原料を使ったこだわり食品を生産する 6 社が集積しており、小中学生の工場
見学のほか、一般客向けの体験教室メニューを提供している。
○富士山麓の自然や景観に配慮して、樹木の種類などを規約で定めており、統一感
を演出している。
26
Ⅳ.再生の前提条件・基本方針の設定
「出雲いりすの丘公園再生プロジェクト」では、同公園の概要、休園に至った経緯、
現在の利活用状況、運営状況の分析など、同公園の従前事業を総括したうえで「再生に
向けた方向性(案)」及び「基本方針(案)」が提示された。
ここでは、今後の利活用方法を検討していくうえで必要となる事業コンセプト・対象
事業の設定にかかる前提条件を確認する。また、
「基本方針(案)
」については、実態調
査を踏まえた考察・検証を行ったうえで提示する。
1.事業コンセプト・対象事業にかかる前提条件の設定
「第 2 回出雲いりすの丘公園再生プロジェクト(平成 25 年 2 月 15 日)
」では、再生
に向けた方向性に関する「民間移譲について」、
「他用途への変更」
、
「施設の廃止・休止」
の 3 点について、以下のような検証結果が提示された。
これらの検証結果を、今後の再生に関する事業コンセプト・対象事業の設定にかかる
前提条件とする。
図表Ⅳ-1
プロジェクトによる再生に向けた方向性の検証結果
検証項目
主な指摘事項
検証結果(前提条件)
民間移譲について
・無償で民間譲渡する場合、公金を投入して整備しているこ
温浴施設については検討
とから理解が得られない
の余地があるが、民間移
・有償で民間譲渡する場合、国庫補助金の返還が生じる可能
性が高い。また、広大な敷地や施設にかかる費用を負担で
譲は現実的ではない
きる希望者が出ないことが予想される
・温浴施設については、公園から切り離して民間譲渡するこ
とは可能かもしれないが、給湯使用料を負担していないう
えに指定管理料を踏まえて経営を行っている状況からハー
ドルが高いと考えられる
他用途への変更
・現用途での再生をする場合、再度、経営悪化等の課題に直
面する可能性がある
現用途を基本に経営リス
クの低い再生手法を目指
・他用途への変更をする場合、再生手法の選択肢は広がるが、
用途変更の必要性についての住民や議会の合意、補助金の
す方が、実現性が高い
返還といった課題がある
・公園全体での用途は維持しつつも、施設やエリア毎に利活
用方法を講じるなど柔軟な対応も考えられる
施設の廃止・休止
・施設を廃止した場合、他用途への変更を含めた広大な敷地
の利活用策(再生計画)が求められる
・施設を休止した場合、補助金上の問題が生じるため、現在
に至っている
27
プロジェクトとして、施
設の廃止・休止を前提と
した検討はしない
2.再生に向けた基本方針の検討
前述の方向性の検証結果(前提条件)を踏まえて提示された基本方針(案)の 6 項目
について、実態調査結果等をもとに考察すると以下の通りである。
図表Ⅳ-2
プロジェクトで提示された基本方針(案)に関する考察
基本方針(案)6項目
考察(コメント)
①土地、施設等につい
○「民間移譲は現実的ではない」との前提
ては市が所有する
条件を踏まえ、引き続き市の所有が現実
が、経営負担を伴わ
的である
ない手法により運営
を行う。
なし
○市の財政状況を勘案すると、なるべく経
営負担を伴わない手法がより望ましい
②6次産業化を図るた
○補助施設は、補助金返還を伴わない現用
めに地場農畜産物の
途(地域農畜産業の振興、6次産業化)
生産加工・販売を行
での再生を基本とする
う拠点とする。
修正箇所
なし
○現在、補助施設を活用する指定管理者(3
事業者)の活動内容は現用途の趣旨に合
致する(例:ひかわ食品加工、めぐみ、MI しまね)
③活用の可否によって
○公園全体を一体的に整備し、ある時点で
③求められる役割・機
施設やゾーンを区分
一斉に再開園させるような管理・運営体
能によってゾーンを
し、効果的な利活用
制は想定しない
区分して利活用を検
もあり得る。
○施設や土地の部分的な利活用にも柔軟に
討する。
対応し、施設稼働率向上を最優先させる
④美人の湯について
○美人の湯は、実質休園状態となってから
④美人の湯は、健康施
は、健康施設として
も唯一営業を継続しており、一定の集客
設として分離させ、
力を維持している
指定管理による運営
分離・単体運営の可
能性も検討する。
○引き続き、指定管理による管理・運営体
を継続する。
制が望ましい
⑤来園者を呼び込む必
○美人の湯以外は、一般消費者を対象とし
要はあるが、入場料
た有料施設・公園(入場料徴収)として
に頼る施設運営から
の脱却を図る。
なし
の再生は想定しにくい
○将来的には補助施設の集客力を高める必
要があるが、入場料ではなく、直売や飲
食、体験等による消費喚起につなげるこ
とが望ましい
(例:フードパル熊本、あさぎりフードパーク)
⑥施設の管理運営につ
○事業者及び市民活動団体等から活用アイ
いては、最大限、民
ディアを募集し、指定管理や行政財産使
間活力の導入を図
用許可などの手法で幅広い利活用が期待
る。
される
○市所有の遊休財産であるため、公共性の
高い事業(非営利事業や教育等)での利
活用も想定される
28
なし
このように、再生プロジェクトで提示された「基本方針(案)
」の 6 項目については、
いずれも今後の利活用方策を検討するうえで必要な視点であるが、③と④については、
もう少し論点を絞り込んだ断定的な表現がふさわしいと考えられる。また、実態調査結
果を踏まえると、以下のような 2 つの視点も重要であると考えられる。
1 点目は、指定管理者及び施設利用者が地域(主に斐川町)に根差したこだわり商品
を生産する食品事業者であり、公園内施設・設備が本社や生産・活動拠点として重要な
機能を果たしているほか、実質休園状態となっている公園の有効活用及び維持・管理と
いう点でこれまでにも一定の役割も果たしている。
また、今後の利活用策を検討するうえで関連のありそうな6次産業化関連施設や温浴
施設などの類似施設・事業者が公園周辺にも立地していることから、これらの事業・活
動を妨げない利活用策が望ましいという視点である。
2 点目は、ヒアリング調査における意見やアイディアのなかで、樹木の植栽と適切な
維持管理の仕組み、子どもが遊べる遊具設置、健康づくりや憩いの場の提供など、公園
としての機能に関する意見も多くみられたことから、市民が気軽に立ち寄れる公園機能
も重要であるという視点である。
図表Ⅳ-3
実態調査結果を踏まえた基本方針(案)
【再生に向けた方向性(前提条件)】
○民間移譲は現実的ではない
○現用途を基本に経営リスクの低い再生手法を目指す
○施設の廃止・休止を前提とした検討はしない
【実態調査結果を踏まえた基本方針(案)】
再生プロジェクトより︵一部修正︶
①土地、施設等については市が所有するが、経営負担を伴わない手法に
より運営を行う。
②6次産業化を図るために地場農畜産物の生産加工・販売を行う拠点と
する。
③求められる役割・機能によってゾーンを区分して利活用を検討する。
④美人の湯は、健康施設として分離させ、指定管理による運営を継続する。
⑤来園者を呼び込む必要はあるが、入場料に頼る施設運営からの脱却を
図る。
⑥施設の管理運営については、最大限、民間活力の導入を図る。
実態調査より
○既存の指定管理者・施設利用者及び周辺地域の類似事業者の事業・活
動を妨げない利活用策を検討する。
○地域にふさわしい樹木の植栽、維持管理の仕組みなど公園としての機
能向上を図る。
29
Ⅴ.再生に向けた事業コンセプト・対象事業の設定
本章では、まず、「出雲いりすの丘公園」の利活用方策を検討するにあたってのゾー
ニングの考え方を整理したうえで、「6次産業化ゾーン」を中心とした事業コンセプト
及び個別事業を提示する。そして、「多目的ゾーン」の有効活用に向けたアイディアの
抽出、次年度検討すべき事項についても提示する。
図表Ⅴ-1
利活用に関するゾーニング(イメージ)
資料:出雲市地図情報システムを使ってダウンロードした地図をもとに㈱山陰経済経営研究所にて加筆
30
1.ゾーニングの考え方
「基本方針(案)」でも指摘したように、今後は、公園全体を一体的に整備し、ある
時点で一斉に再開園させるような方向性ではなく、おおまかなゾーンで区分し、それぞ
れのゾーンに求められる機能や役割に対応した個別事業を積み重ねていくことが現実
的と考えられる。
そこで、本調査では、実態調査結果を踏まえ、公園に求められる機能や役割別に「6
次産業化ゾーン」
、「温浴保養ゾーン」、「多目的ゾーン」の 3 つのゾーンに区分する。
このうち、「6次産業化ゾーン」については、農林水産省の補助事業で整備された施
設であることや、食品関連の 4 事業者が活動拠点として利用していることなどから、現
時点では地域農畜産業の推進や6次産業化の推進につながるような利活用が望ましい
と考えている。ただし、他用途での主体的な活用アイディアが提案された場合には、補
助金返還(用途変更)も選択肢の一つになる可能性がある。
また、「多目的ゾーン」については、あらゆる用途で幅広い利活用が可能なゾーンと
位置づけられるため、今後、民間事業者や市民等からの具体的なアイディアや要望を積
極的に募集することによって、官民協働による具体的な事業展開につながることも期待
される。
なお、「温浴保養ゾーン」については、引き続き指定管理による運営が望ましいと考
えられるため、本章の検討対象としていない。
図表Ⅴ-2
ゾーンの設定
求められる
機能・役割
ゾーン名
主要施設
事業スタンス
○地域農畜産
業の振興
○6次産業化
の推進
6次産業
化ゾーン
加工房、体験
工房、レスト
ラン、イベン
トステージ
◆既存施設の活用したソフト
面の取り組みの積み重ね
(稼働率の向上を優先)
◆必要に応じたハード整備
◆将来的な集客力強化
◆他用途での利活用も視野に
○健康増進
○リラグゼー
ション
温浴保養
ゾーン
美人の湯
◆指定管理による運営
(現在の運営体制の継続)
○広大な敷地
の活用
○あらゆる用
途・目的
多目的
ゾーン
グランドゴル
フ場、ぶどう
畑、埋立地、
牧舎
◆市の遊休財産の活用
◆公共性の高い事業を含むあ
らゆる利活用を視野に
◆活用アイディアを民間事業
者や市民等から広く募集
※本調査では、今後積極的な利活用が求められる施設やエリアを上記の 3 ゾーンに限定しているため、駐車場、
池、山林など敷地内の一部エリアは含んでいない。
31
2.「6次産業化ゾーン」の利活⽤⽅策の検討
「6次産業化ゾーン」の利活用に関する事業コンセプトを設定するとともに、再生に
向けて取り組むべき具体的な個別事業(案)を提示する。
(1)事業コンセプトの設定
同ゾーンの事業コンセプトとしてふさわしいと考えられる具体的なキーワードを抽
出すると、
「創る」、「伝える」、「集う」、
「もてなす」、「結ぶ」の 5 つに集約された。こ
れらを本調査における、同ゾーンの利活用に関する事業コンセプト(案)として提示す
る。
図表Ⅴ-3
6次産業化ゾーンの事業コンセプト設定プロセス
○地元農畜産物の活用
○学習教育機能(見学・体験、環境教育)
○食品産業の集積・コラボレーション、チャレンジショップ
○地元大学や研究機関との連携
○温浴施設と連携した集客(直売・飲食機能の強化)
○地域イベントや市民活動の拠点
○地域にふさわしい樹木の植栽と適切な維持管理 など
【6次産業化ゾーンの事業コンセプト(案)】
集う
創る
・地域イベントの開催
・市民活動のフリースペース
・地元農水産品の直売市
・こだわり食品産業の集積
・食品産業チャレンジショップ
・食品産業の研究開発
結ぶ
・地元農家等からの原料調達
・事業者コラボレーションの促進
・食品産業と消費者の交流
・地元大学、研究機関との連携
伝える
もてなす
・食品工場見学や体験メニュー
・食農教育、環境学習の場
・季節感や“らしさ”の演出
・直売、飲食機能の強化
32
先進 事例視察
ヒアリング調査
指定管理者及び施設利用者
ヒアリング調査
利活用に関する意見・アイディア
(2)再生に向けて取り組むべき個別事業(案)の提示
ここでは、
「6次産業化ゾーン」の事業コンセプト(案)で示した 5 つのキーワード
に対応する事業として、主にソフト面の 7 つの取り組み(事業目的、事業スキーム、想
定する実施主体等)を提示する。これらについて、想定しているおおまかな実施時期(ス
ケジュール)を示すと以下の通りである。
図表Ⅴ-4
本調査で提示した取り組みと想定している実施時期(イメージ)
対応する
コンセプト
事業名称
創る
①加工施設を活用した新事業展
開支援(事業拡大型、創業支援型)
伝える
集う
短期
(1∼3年後)
中期
(3∼5年後)
開発
③地域イベント及び市民活動に
よる活用促進
準備・募集
④憩いの空間づくり及び維持管
理ガイドライン策定
策定
将来
(10年以上)
事業展開(各事業者)
準備・募集
②“地域の食と農を伝える”
課外教育プログラム開発
長期
(5∼10年後)
プログラム実施
継
続
遵守・励⾏
もてなす
⑤直売・飲食機能を有する常設
スペース設置
結ぶ
募集・試⾏
⑥公園内事業者連携体制の構
築
構築
方向性
温浴保養
ゾーン
指定管理者による運営(継続)
多目的
ゾーン
民間事業者や市民等からの活
用アイディア募集
集
短期
営
中期
構築
積
長期
指定管理者制度(継続)
募集・検討
33
業
連携強化
⑦「6次産業化」ネットワーク(研
究開発及び人材育成)の構築
【参考】
設置
事業展開(各事業者等)
将来
① 加工施設を活用した新事業展開支援(事業拡大型、創業支援型)
事業目的
遊休施設の有効活用、食品関連事業者の集積、起業・創業促進(インキュベーション)
「創る」
事業コンセプトとの対応
○「乳製品工房」、「ピザ工房」、「パン工房」、「加工売店」、「体験工房」、「レストラ
ン」などの遊休施設部分について、新たな活用に関する事業提案を募集する。
○事業拡大型は既存事業者の食品関連製造・開発拠点、創業支援型では食品関連事
業で創業を目指す、または創業間もない事業者の活動拠点としての活用が想定さ
れる。
○事業提案の選定のポイントとしては、地元農畜産物を原料としていること、その
調達先が明確であること(自社生産を含む)などが挙げられる。
○採択した事業者については、指定管理または施設利用(レンタル料)によって事
業を開始する。
○事業を展開していくうえで必要な施設整備や販路開拓などへの継続的な支援・助
言も重要である(行政支援策の紹介、パートナー事業者や専門家の紹介など)
。
事業スキーム
想定する実施主体
出雲市
対象とする利用者
食品関連事業者、創業を目指しているまたは創業間もない事業者など
想定スケジュール
【短期】既存施設の現況確認、利活用意向の把握などの事前準備を経て募集開始
参考にした取り組み・事例
○ひかわ食品加工㈱、㈱めぐみ、㈱MI しまね「指定管理者」
○葉泉スピラエ研究所「行政財産使用」
○㈱フードパル熊本「こだわり工房村(参考事例)
」
実施にあたっての留意点
○適正な利用料(賃料)設定、新たな集客の仕掛けや事業者間コラボレーションな
ど、公園内で事業を展開するメリットが必要である。
○施設の利用可能面積が限られているため、ある程度小規模な事業者に限定される。
【参考事例:㈱フードパル熊本「こだわり工房村」
(熊本県熊本市)
】
レンタルオフィスによる小規模事業者の事業展開支援
○同施設は、加工食品や工芸品等の製造・販売、体験等を行う小規模事業者の活動拠点
○月額 2,300 円の賃貸料で、17 事業者が入居(平成 25 年 11 月 26 日時点)
○入居事業者の取扱商品では、スイカ糖(果肉を煮詰め凝縮したもの)
、かきもち、豆腐、馬肉加工品、
巻き寿司、和菓子、コーヒー、惣菜などの加工食品、ステンドグラス、とんぼ玉、竹細工、ガラス
彫刻などの工芸品がある
○来場者が気軽に立ち寄れるにぎわいの創出、インキュベーション的役割の強化などが今後の課題
資料:㈱フードパル熊本 視察ヒアリング調査(平成 25 年 11 月 26 日実施)
34
② “地域の食と農を伝える” 課外教育プログラム開発
事業目的
事業コンセプトとの対応
事業スキーム
想定する実施主体
連携・協力先
学校教育との連携による食農教育及び職場体験、製造プロセスの“見える化”
「伝える」
○地域に根差したこだわり食品関連事業者が集積する強みを活かし、学校教育の一
環として実施される社会科見学や職場体験など課外教育を受け入れるためのプロ
グラム・メニューを開発する。
○「見学する」、「体験する」、「学ぶ・聞く」、「味わう」などの手段で、農畜産物の
生産から消費者に届くまでの一連のプロセスを伝えられるようなプログラムが望
ましい。プログラムの実施には、農業者や流通業者等の協力も必要となる。
○プログラムを開発するにあたっては、受け入れる事業者と参加する学校関係者(教
員・PTA等)
、外部有識者(コーディネート役)等の協議によって、具体的に提
供するメニュー内容、受け入れ時期、料金体系など詳細を詰めていく。
○課外教育プログラムが定着すれば、教育旅行や産業観光への応用可能性もある。
公園内事業者で構成する組織(例:いりすNET)
、学校関係者、出雲市
地域農業者、JA グループ、流通業者、コーディネーター(学識経験者、食農連携コ
ーディネーター、食の 6 次産業化プロデューサー など)
対象とする利用者
幼・保育園児、小中学生、PTA
想定スケジュール
【短期∼中期】食品関連事業者がある程度集積した段階でプログラム開発
参考にした取り組み・事例
○㈲ゆうま ほっこり農園「食育農園 大自然塾(参考事例)
」
○㈱フードパル熊本「工場見学、食品づくり体験」
○あさぎりフードパーク(協)「工房見学、体験教室」
実施にあたっての留意点
○各事業者は限られた人員で生産しており、受け入れが負担になる可能性がある。
○学校教育の一環であるが、受け入れ側にメリットのある仕組みが求められる。
【参考事例:ほっこり農園「食育農園 大自然塾」
(福岡県岡垣町)
】
学習塾と連携した子どもたちの体験教育の場
○学習塾を運営する英進館㈱(福岡市)の小学生以下を対象にした食育体験を平成 24 年より実施
○ほっこり農園と英進館㈱の職員が知恵を出し合い、田植えや稲刈り、ぶどう狩り、落ち葉観察、餅
つきなど季節にふさわしい、五感を鍛える体験プログラムを開発
○年間 10 回(1 月と 4 月を除く毎月 1 回)
、日帰りで参加できるプログラムを実施(夏休みの 7 月
と 8 月は 1 泊 2 日または 2 泊 3 日)しており、毎回 60 人から 100 人程度の利用
大自然塾の年間プログラム(平成 24 年度)
資料:㈲ゆうま 視察ヒアリング調査(平成 25 年 11 月 25 日実施)
35
③ 地域イベント及び市⺠活動による活用促進
にぎわい創出、各種団体の活動拠点、生産者と消費者の交流機会、維持管理への協力
事業目的
事業コンセプトとの対応
「集う」
○地域イベントの開催、市民団体の活動拠点など、市民のさまざまな活動の場を提
供するため、公園の新たな活用に関するアイディアや企画を募集する。
○地域イベントでは、既存イベント誘致のほか、週末限定直売市(マルシェ)やフ
リーマーケットのような周期的な開催が可能なイベントなども想定される。
○加工施設以外のフリースペースについては、文化やレクリエーションなどのサー
クル、非営利活動団体(NPO等)の活動拠点としての利用も想定される。
○利用者に対しては草取りや掃除、ゴミ拾いなど周辺環境の維持管理への協力など
を条件とし、営利目的でなければ基本的には無償で場を提供することが望ましい。
○イベント等を積み重ねることでにぎわいの創出、農業者や食品関連事業者と消費
者との交流や販売機会となることが期待できる。
事業概要
想定する実施主体
出雲市(所有者)
対象とする利用者
イベント主催者、地域活動団体、非営利活動団体、公園内事業者で構成する組織
想定スケジュール
【短期】地域イベントや市民活動等の洗い出しなどの事前準備を経て募集開始
参考にした取り組み・事例
○㈱フードパル熊本「地域イベント開催・共催」
、
「フリーマーケット(参考事例)
」
○高齢者ふれあいサロン、NPO法人プレーパークてんとう虫「行政財産使用」
実施にあたっての留意点
○出雲市の主催または共催イベントの積極誘致、広報等を通じたイベント告知、行
政財産使用許可などでバックアップしていくことが望まれる。
【参考事例:㈱フードパル熊本「フードパル フリーマーケット」
(熊本県熊本市)
】
継続的なフリーマーケット開催による恒例イベント化
○春と秋は毎週日曜日など頻繁に開催している恒例イベント
○参加者から出店料(一区画)1,500 円を徴収しており、多いときには 100 以上が出店
○フードパル熊本で開催する 5 つの地域イベント(土日で 1 万人以上が訪れる)でもフリーマーケッ
トを同時開催するなど地域に定着
○運営管理は地元イベント企画会社に委託
資料:㈱フードパル熊本 視察ヒアリング調査(平成 25 年 11 月 26 日実施) ※写真は同社ホームページより
36
④ 憩いの空間づくり及び維持管理に関するガイドライン策定
事業目的
事業コンセプトとの対応
事業概要
想定する実施主体
地域にふさわしい統一感のある空間形成、公園の維持管理体制構築
「もてなす」
○季節感を味わったり、出雲“らしさ”を感じられるような市民の憩いの空間とな
るように、統一感のあるコンセプト、樹木の指定、継続的な維持管理体制に関す
るガイドラインを策定する。
○策定にあたっては、関係者及び専門家からの意見や助言も必要である。
○維持管理体制については、イベント等の利用者による協力、地元企業や住民によ
るボランティア活動なども想定し、最小限の費用で継続的に維持管理できる体制
が望ましい(
「③ 地域イベント及び市民活動による活用促進」参照)
。
出雲市
公園内事業者、地域住民、農業者、造園業者※1、他の公園管理者※2
連携・協力先
※1:例えば、松浦造園㈱(松江市、葉泉スピラエ研究所のパートナー企業)
※2:例えば、㈱MIしまね(松江市、島根県内で複数の公園の指定管理)
想定スケジュール
【短期】関係者や専門家等による協議の場を設けてガイドライン策定
参考にした取り組み・事例
○あさぎりフードパーク(協)「建築・管理規約(参考事例)」
実施にあたっての留意点
○大規模な再整備は費用面からも現実的ではない。
【参考事例:あさぎりフードパーク(協)「建築・管理規約」
(静岡県富士宮市)
】
自然や景観に配慮した統一感のある団地整備(規約制定)
○地域になじんだ統一感のある一帯の団地として整備するために「建築・管理規約」を制定
○同規約の主な項目は、対象区域、建ぺい率、容積率、緑地面積、駐車場、建物・標識デザイン、境
界線、電柱、遊歩道など
○富士山麓の自然や景観に配慮して樹木の種類を指定(ケヤキ、モミジ、ヒメシャラ、コナラ、ヤマ
ザクラ、ドウダンツツジ、ヤマボウシ、三つ葉ツツジ、ナナカマド、シラカシ、ツバキ)
(正面:朝霧乳業㈱、左側:ビュッフェレストランふじさん)
資料:あさぎりフードパーク(協) 視察ヒアリング調査(平成 25 年 11 月 27 日実施)
37
⑤ 直売・飲食機能を有する常設スペース設置
事業目的
事業コンセプトとの対応
事業概要
生産・製造者と消費者との交流拠点、新商品・サービスのテストマーケティング、
訪問機会や滞在時間の拡大
「もてなす」
○今後、地域イベントや週末限定直売市(マルシェ)などの開催を積み重ねること
によって集客力が高まれば、将来的には公園内で生産された食品関連商品や地域
の特産品を購入したり、食べたりと気軽に立ち寄れる常設スペースを設置する。
○当面は、飲食業で起業を目指している事業者の出店スペース(レンタル厨房)
、週
末限定・期間限定といった試行的な営業などを想定して、広く利用者を募集する。
○本格的なビュッフェレストラン運営では、例えば、㈱グラノ 24K(福岡県岡垣町)
の運営ノウハウの活用も想定される。
想定する実施主体
直売・飲食関連事業者、飲食業で起業を目指している事業者(アマチュアシェフ)
対象とする利用者
市民・観光客
想定スケジュール
【長期】週末マルシェやレンタル厨房などで集客力が高まれば設置に向けた検討
参考にした取り組み・事例
○㈱グラノ 24K「ビュッフェレストラン、バーベキューレストラン」
○㈱フードパル熊本「とれたて市(朝市)
」
○㈱富士山「ビュッフェレストランふじさん(あさぎりフードパーク内)
」
○浜田のまちの縁側(任意団体)
「わんでいしぇふ(浜田市、月 2∼3 回開催)
」
○㈱熊野古道おわせ「お母ちゃんのランチバイキング(三重県尾鷲市、参考事例)
」
実施にあたっての留意点
○他の事業等で一定の集客力が確保されなければ実現は難しい。当面は、飲食業向
けレンタル厨房などの試行的な取り組みからスタートするのが現実的である。
○直売・飲食機能については、「道の駅湯の川」や「ひかわ美人の湯 売店」など周
辺事業者との棲み分けも必要となる。
【参考事例:㈱熊野古道おわせ「お母ちゃんのランチバイキング」
(三重県尾鷲市)
】
地元の食にこだわった輪番制によるランチバイキング運営
○尾鷲市地場特産品情報交流センター「夢古道おわせ」内にあるバイキングレストラン、海洋深層水
活用型温浴施設「夢古道の湯」、地元産品の販売コーナーもある(指定管理者:㈱熊野古道おわせ)
○3 つの地元女性グループが 1 週間ごとの輪番制で調理を担当する仕組み
○「ここだけ・これだけ・いまだけ」をコンセプトに、地元の人が伝統的、習慣的、庶民的にいつも
食べているものを提供
○平成 22 年「第 19 回食アメニティコンテスト 農林水産大臣賞」受賞
資料:公益財団法人ちゅうごく産業創造センター 平成 23 年度調査報告書
「市民協働によるソーシャルビジネス展開を通じた産業振興可能性調査(調査機関:㈱山陰経済経営研究所)」
38
⑥ 公園内事業者連携体制の構築
事業目的
公園内事業者間の連携強化、コラボレーション事業促進、情報発信
事業コンセプトとの対応
「結ぶ」
○現在の「いりすNET(事務局:㈱MIしまね)
」の機能を発展させた公園内事業
者間の連携強化体制を構築する。
○課外教育プログラム実施、イベント開催などの事務局、事業者間の円滑なコミュ
ニケーション、地域の連携・協力事業者との交流、いりすの丘公園ホームページ
作成・運営などの情報発信等で中心的な役割を果たすことが望まれる。
○「いりすブランド」を確立させ、共同事業やコラボレーション商品開発など新た
な事業連携を目指す。
事業概要
想定する実施主体
公園内事業者で構成する組織
想定スケジュール
【短期∼中期】新たな公園内事業者を巻き込んで各種事業の中心的組織に発展
参考にした取り組み・事例
○㈱フードパル熊本(中核企業:㈱杉養蜂園)
○あさぎりフードパーク(協)(中核企業:朝霧乳業㈱、参考事例)
○いりす NET(事務局:㈱MI しまね)
実施にあたっての留意点
○リーダーシップを執る事業者の存在が不可欠である(現在は㈱MIしまね)
。
○民間主導による活用を想定した場合の中心的組織となり得るため、将来的には事
務所や職員の配置、法人化など組織体制の強化も望まれる。
【参考事例:あさぎりフードパーク(協)の連携体制(静岡県富士宮市)
】
組合企業 6 社が連携した共同事業、交流の場づくり
○同組合は、組合員 6 社で構成され、中核企業であ
る朝霧乳業㈱の代表者が代表理事を兼務
○共同事業としては、事務所のある管理棟で各企業
の商品を取り扱う「共同販売所」、体験メニュー
告知、案内看板設置、ホームページ管理、メディ
ア活用などの「共同宣伝」
、
「給水施設管理」
、
「イ
ベント企画」など
○スタッフの人材育成や商品開発、体験メニューに
関する「ワークショップ」を定期的に開催
○食品関連企業のコラボレーション促進、集積度の
向上による「あさぎり」ブランドの確立を目指す
あさぎりフードパーク ホームページ(H26.1.27 現在)
体験教室 チラシ
資料:あさぎりフードパーク(協) 視察ヒアリング調査(平成 25 年 11 月 27 日実施)
39
⑦ 「6次産業化」ネットワーク(研究開発及び人材育成)の構築
事業目的
ビジネスを支える研究開発及び人材育成、目指すべき姿の提示
事業コンセプトとの対応
「結ぶ」
事業概要
○加工施設については、製造及び販売を行うビジネスの場としての利活用を想定し
ているものの、
「6次産業化」の推進に必要な研究開発や人材育成などの役割・機
能を集積させたネットワーク構築を目指すという中長期的な視点も必要である。
○これらの役割や機能を集積させるためには相当の時間を要する。当面は、地域の
さまざまな主体にアプローチしながら、公園内での関連事業の実績を積み上げて
いくことが望まれる。
○例えば、地元大学や研究機関と連携した研究開発拠点・実証圃場としての活用、
出雲市アグリビジネススクールの基礎研修の場としての活用、地元農業高校のイ
ベント出店など実践の場としての活用など、さまざまな展開が想定される。
想定する実施主体
−
連携・協力先
島根大学生物資源科学部・医学部、島根県立大学健康栄養学科、島根県立農業技術
センター、出雲市アグリビジネススクール、地元農業高校 など
想定スケジュール
【将来】6次産業化ネットワークの構築は、将来目指すべき姿の選択肢の一つ
参考にした取り組み・事例
○㈱フードパル熊本「崇城大学フードサイエンス研究所(キノコの研究)
」、
「熊本保
健科学大学、地元農業高校(イベント出店)
」
○フードバレー構想(静岡県富士宮市、参考事例①)
○フードバレー(オランダ・ワーヘニンゲン市、参考事例②)
○五桂池ふるさと村(三重県多気町、地元高校の農業・調理関係学科の生徒が経済
活動を実践する場、高校生レストラン(まごの店)や生徒が運営する NPO 法人と
地元企業が共同開発したハンドジェル販売代理店(せんぱいの店)などがある)
実施にあたっての留意点
○現時点でネットワーク化に向けた事業内容は、アイディアレベルにとどまる。
【参考事例①:
「フードバレー構想」
(静岡県富士宮市)
】
【参考事例②:
「フードバレー」
(オランダ)
】
「食の集積地」を目指したまちづくり
世界最大の食品産業クラスター
○「フードバレー」はアメリカ「シリコンバレー」に
由来する「食の集積地」を目指したまちづくり
○平成 16 年から「フードバレー構想」を掲げ、市民
と生産者・NPO・企業・大学が連携し、市を挙げ
て「食」のまちづくりを推進
○「フードバレー」は富士宮市の登録商標
○北海道帯広市、福井県小浜市、三重県松阪市とは食
のまちづくりで連携(ポータルサイト開設)
○「食品・農業・健康」をテーマにした
研究機関や食品関連企業など、あらゆ
る専門知識を集積させた世界最大の
食品産業クラスター
○ワーヘニンゲン大学を中心として、世
界各国の食品関連企業やベンチャー
企業 1,500 以上が集積
○代表的な企業は、ハインツ(アメリカ、
ケチャップ)、フリースランド・カン
ピーナ(オランダ、チーズ)、ジボダ
ン(スイス、香料)、ダノン(フラン
ス、ヨーグルト)
、NIZO(オランダ、
機能性食品研究)、キージーン(オラ
ンダ、植物遺伝子研究)など
○日本企業では、キッコーマン、日本水
産が進出
コンセプト「食の循環」
資料:Food Valley ホームページ等をもとに作成
資料:富士宮市ホームページ等をもとに作成
40
3.「多目的ゾーン」の有効活用に関するアイディア抽出
同ゾーンの利活用の方向性として、現時点ではあらゆる用途で幅広い利活用が可能で
ある。現在、グランドゴルフ場やヒツジの飼育以外はほとんど利用されていない状況で
あり、現状を踏まえると、この広大な敷地の利活用を検討するにあたっての前提条件と
しては、以下のような 3 点が挙げられる。
1 点目は、このゾーンには牧舎など農林水産省の補助事業で整備された施設が含まれ
ているものの、大部分は利活用に関する用途の制約がないことである。2 点目は、土地
及び建物等は出雲市所有の財産であるため、必ずしも営利目的の事業としてではなく、
公共性の高い空間としての利活用も可能なことである。3 点目は、過去にぶどうが収穫
できなかったうえ、斜面や埋め立て地が農産物を生産する場に適しているとは限らない
ため、本格的な農場としての活用は想定しないということである。
これらを念頭に、実態調査結果を踏まえると、有効活用するための方向性及び取り組
みアイディアとしては、以下の 5 点が抽出できる。
図表Ⅴ-5
「多目的ゾーン」の有効活用に関する前提条件とアイディア
【多目的ゾーンの有効活用に関する前提条件】
○補助事業による用途の制約を受けない(一部を除く)
○営利目的の事業だけでなく、公共性の高い事業も可能である
○本格的な農地としての活用は想定しない(研究・実証圃場、放牧を除く)
方向性
取り組みアイディア
想定するエリア
○グランドゴルフ場は既存の管理運営体制を継続
健康づくり、健康増進
○ウォーキングコースの設定、看板設置
(距離・消費カロリー表示など)
グランドゴルフ場
周辺
○運動と温浴保養による「健康づくり」イメージの定着
○子どもたちが楽しめる遊具等の設置
子どもたちの遊び場整備
【次ページ 参考事例①】
○課外教育プログラムと連携した「遊び場」、週末家族連
ぶどう畑・池
周辺
れ、学校遠足需要へのアプローチ
○家畜の放牧とエコフィードの取り組み
家畜放牧(循環型飼育)
(製造過程で出た食品残さを活用した家畜飼料)
牧舎周辺
○畜産・環境教育として課外教育プログラムへの組み込み
○再生可能エネルギーの導入(地熱(廃湯)
、太陽光など)
環境教育・体験の場
【次ページ 参考事例②】
公園全体
○環境教育として課外教育プログラムへの組み込み
憩いの空間づくり【再掲】
○「6次産業化ゾーン」との調和のとれた憩いの空間とし
て一体的な維持管理
41
公園全体
【参考事例①:考えるアスレチック「ピカソのタマゴ」
】
○富士急グループが運営するレジャー施設内にある“自分で考えて進む”をコンセプトにしたアス
レチック
○「さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト(アスレチック 27 種類、神奈川県相模原市)
」と「富
士山 2 合目のゆうえんち ぐりんぱ(同 21 種類、静岡県裾野市)
」内に設置(施設入園料が必要)
○設計者は、ともに㈱藤井設計室(福岡県宗像市)
(さがみ湖リゾートプレジャーフォレストの「ピカソのタマゴ」)
資料:富士急グループホームページをもとに作成
【参考事例②:小浜温泉バイナリー発電所(長崎県雲仙市)】
○平成 23 年、長崎大学、温泉組合、観光関係者、雲仙市などで構成する「小浜温泉エネルギー活
用推進協議会」
、同協議会を母体とする「一般社団法人小浜温泉エネルギー」を設立し、事業化を
検討
○小浜温泉の未利用温泉水を活用した地熱発電所として平成 25 年 4 月より運転開始
○平成 26 年 3 月までは、環境省事業による実証実験(ジオツアー(一般向け見学)を含む)
資料:(一社)小浜温泉エネルギー・雲仙市ホームページをもとに作成
42
4.次年度検討すべき事項
上記の検討結果を踏まえ、「出雲いりすの丘公園」の再生に向けて、出雲市当局を中
心として、次年度より検討すべきと考えられる事項としては、以下の 7 点が挙げられる。
○基本方針及び今後の事業スタンスに関する共通認識の醸成
本調査で提示したように公園全体として一体的な再開園を検討するのではなく、
「6次産業
化ゾーン」を中心としたソフト面の取り組みを実施していくという今後の事業スタンスにつ
いて再生プロジェクトの場で共通認識を醸成する。
関連する事業
出雲いりすの丘公園再生プロジェクト
○既存施設の現況確認調査
「6次産業化ゾーン」における加工施設の現在の利用状況を踏まえ、新たな事業者の利活
用に関する提案を募集するにあたっての利活用条件設定等の基礎資料とするため、加工施設
の建物及び空きスペースに関する現況確認調査を実施する。また、利活用条件の設定にあた
っては、法律や条例等による利用制限・規制・許認可、特に農林水産省補助事業との関連に
ついても把握する必要がある。
関連する事業
① 加工施設を活用した新事業展開支援(事業拡大型、創業支援型)
○⾷品関連事業者の利活用意向調査
周辺地域の食品関連事業者に対して、加工施設の利活用意向を把握するため、対象先をリ
ストアップし、アンケートまたはヒアリング等の実態調査を実施する。
関連する事業
① 加工施設を活用した新事業展開支援(事業拡大型、創業支援型)
○外部有識者、関係機関との協議の場づくり
食育や農業関連の個別事業について、より実現性を高めるためのアイディア抽出、議論の
場を設ける。今後の事業展開において連携・協力先となり得る外部有識者(食育、農業分野
など)、地元大学や研究機関、農業関係者、温泉組合などで構成されるのが望ましい。
関連する事業
② “地域の食と農を伝える” 課外教育プログラム開発
⑦ 「6次産業化」ネットワーク(研究開発及び人材育成)の構築
○地域イベント及び市⺠活動等の洗い出し
既存イベント(出雲市の主催・共催等)の誘致、新規イベントアイディア、文化・レクリ
エーションなどのサークル的な市民活動団体、非営利活動団体等の洗い出しを行う。
関連する事業
③ 地域イベント及び市民活動による活用促進
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○憩いの空間づくりガイドライン策定
地域にふさわしい統一感のある空間を形成するためのコンセプトや樹木の指定、維持管理
体制等について、関係者協議の場を設け、ガイドラインを策定する。また、地域イベントや
市民活動の利用者に対する要請事項についても検討する。
関連する事業
③ 地域イベント及び市民活動による活用促進
④ 憩いの空間づくりガイドライン策定
○「多目的ゾーン」の活用アイディア募集
本調査では、多目的ゾーンについてはあらゆる方向性が考えられるため、アイディア抽出
にとどめている。民間事業者や市民等からの具体的な活用アイディアを募集し、前提条件に
合致した実現性の高い提案があれば、実施に向けた積極的なバックアップを行う。
関連する事業
多目的ゾーン
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