温度標準の不確かさの見積もりと考え方 - JCSS:計量法認定事業者

温度標準の不確かさの見積もりと考え方
田中貴金属工業(株) 浜田 登喜夫
2000.12.1
第 28 回全日本科学機器展
国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
目次
1
2
はじめに
1990
2.1
2.2
年国際温度目盛
不確かさの見積例
4
不確かさの見積と検証例
5
5.3
5.4
6
6.1
6.2
6.3
6.4
1
温度測定に関わる不確かさ
: : : : :
温度定点の実現例 : : : : : : :
白金抵抗温度計の経年変化 : :
自己加熱 : : : : : : : : : : : :
直流と交流 : : : : : : : : : :
2
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9
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比較校正
: : : : : : : : : : : :
試験結果 : : : : : : : : : : : :
不確かさの見積もり : : : : :
6.3.1 測定器の不確かさ : : :
:
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:
6.3.2 見積値と実測値の比較 :
まとめ : : : : : : : : : : : : : :
試験方法
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9
9
10
11
12
13
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
従来の方法と結果 : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
5.2.1 当初認定申請書に記載した不確かさの根拠 :
5.2.2 従来行って来た管理とその結果 : : : : : : :
今回の校正 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
5.3.1 ダイアル間の直線性 : : : : : : : : : : : : :
5.3.2 ダイアル内の分割比の直線性 : : : : : : : :
まとめ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
3
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:
標準抵抗器とブリッジ
はじめに
不確かさの見積と検証例
3
4
5
定点校正と比較校正
不確かさの見積と検証例
5.1
5.2
2
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
一次温度計と二次温度計 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
温度計の種類
3
4.1
4.2
4.3
4.4
4.5
2
13
13
13
13
13
15
15
18
19
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19
19
21
21
21
22
7
白金抵抗温度計を用いた温度管理の実例
22
8
おわりに
25
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
2
1 はじめに
当校正室は JCSS
0025 の認定番号で、温度計の校正を行っております。
現在、まだ JCSS で出せる温度範囲が狭く、校正対象も限られていますのでそれほど多くの温度計を校
正している訳ではありませんが、今まで行って来た経験を基に、本日は以下の 2 点について解説致します。
1.
当校正室における校正の不確かさの見積例。
当校正室で行った不確かさの見積表や、近々拡大されるであろう、Hg 点∼Zn 点までの校正の不確か
さの見積もり例を、その根拠となる実測例を基に説明致します。
2.
校正済の白金抵抗温度計を用いて実際に温度測定を行う際の注意点・その測定の不確かさの見積例。
実際に校正された白金抵抗温度計を用いて、温度測定を行う場合の留意点について解説し、その不確
かさを見積もってみます。一部指示計器付温度計についても説明します。
2 1990 年国際温度目盛
本題に入る前に最初に、温度測定を行う際に必要
な基礎知識を簡単に説明致します。
Cu F.P. 1084.62
℃
の温度は、物理学における熱力学温度(記号、T )を
Au F.P. 1064.18
℃
指します。この基礎物理量の単位はケルビン(記号、
Ag F.P. 961.78
一般に何気なく温度と言う言葉が使われますが、こ
K)で、水の三重点の熱力学温度の 1/273.16 という
大きさであると定義されています(注 1)。ITS-90 にお
ける温度 T90 は、いくつかの付与された温度値を持
放射温度計
℃
Al F.P. 660.323
℃
Zn F.P. 419.527
℃
Sn F.P. 231.928
℃
白金抵抗温度計
つ実験的に実現可能な温度(定義定点)で校正した
特定の補間計器(温度計)と補間式で定義されます。
図 1 に ITS-90 の一部(高温側)を示します。この図
で
は温度計の校正定点を表し、線はそれぞれの点
で校正された温度計を用いて測定可能な温度範囲を
示します。つまり室温付近(例えば 20Æ C 近傍のみ)
In F.P. 156.5985
℃
Ga M.P. 29.7646
H2 O T.P. 0.01
F.P. :
℃
℃
凝固点
図
M.P. :
融点
T.P. :
三重点
1: 1990 年国際温度目盛の一部
だけを精密に測定したい場合は、水の三重点とガリウムの融点のみで校正を行い使用する事が出来ます。
このことは、不必要な高温に温度計を曝す必要が無く、温度計の安定性を確保する意味で大変大きな利点
です。もちろん 1 本の温度計を H2 O
T.P., Ga M.P. In F.P., Sn, F.P. のように多数の定点で校正し、それ
ぞれの定義から 20Æ C を算出した場合、個々の定義の結果が一致しないという不具合も発生します。しか
しながら、この不一致の程度は非常に小さく(注 2)、通常の測定ではまず問題とはなりません。
この ITS-90 における温度 T90 は、目盛が採用された時点での最良の推定に基づいて、定義された温度領
域全般にわたって、どの温度でも T90 は T の良い近似値であるように構成されています。このような温度
目盛(ITS-90)を使用するのは、一般には熱力学温度を直接測定する事が極めて難しいからです(注 3)。す
なわち T90 の測定は、直接熱力学温度を測定する事に比べてはるかに容易であり、より精密で、高い再現
性が得られます 1) 。
この温度目盛自体は約 20 年∼30 年おきに大幅に改定されており、それに伴って例えば金属の融点(凝
国際的には第 13 回国際度量衡総会決議 3 及び 4 で国間の整合性が取れ、国内的には、計量単位令:平成 4 年 11 月 18 日:政令
第 357 号が、根拠になります。
2) 温度によりますが、室温付近では 0.1mK 以下。
3) 0.65K 未満では T
90 が定義されていませんので、この温度領域では一般に、直接熱力学温度を測定する必要があります。
(注 1)
(注
(注
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
表
3
1: Au 点定義温度の変遷
ITS-27 ITS-48 IPTS-48 IPTS-68 ITS-90
1063
1063
1064.43 1064.18
温度目盛 *
Au 点温度(txx /ÆC) 1063
*
温度目盛の下二桁の数値が、使用が合意された西暦の下 2 桁の年です。
固点)温度も変わります(注 4)。融点の温度が変わる事を奇妙と受け取られる方がいらっしゃるかも知れま
せん。これは、金属の融点温度自身は太古の昔から将来に至るまで同じですが、人間の測定技術が進歩し、
より正確な熱力学温度を測定出来るようになったことによります。
一般に非常に安定で、1927 年の温度目盛から定義定点として採用されている、Au 点のそれぞれの時点
における定義温度値を表 1 に示します。時の経過とともに、温度値そのものが変わっています。また、有
効数字も途中から増えています。
二元系状態図を見てみました。手元にあった中で最も古い Hansen の手によるもの(1958 年 2nd Edition)
では 1063ÆC ですが、Massaluski が編集した新しい状態図(1990 年 12 月
2nd Edition)では 1064.43ÆC が
採用されています。今後出版されるものには ITS-90 の温度値が採用され、Au 点の値は 1064.18ÆC となる
でしょう(注 5)。
これらの温度値の違いは、通常の測定においては殆ど関係無い程度の小さなものですが、1000ÆC 付近で
0.1ÆC∼1Æ C の温度を議論する場合、それぞれの基になる文献が何年に書かれ、どの温度目盛を使っている
かを考慮する必要がある場合が出て来るかも知れません。
2.1
温度計の種類
一口に白金抵抗温度計と言っても、それぞれの場合によって異なる物を指す事があります。今回のお話
の中では、白金抵抗温度計は原則として JIS
C 1606 で規定されたシース型測温抵抗体を指すものとしま
す(注 6)。時によっては石英の保護管に入った 25
のステム型標準用白金測温抵抗体を指す場合もあります。
この時は、標準用 25
型とことわります。またセンサーが測温抵抗体で直接温度を表示してくれる機能を
備えた温度計は、指示計器付温度計或いはデジタル温度計と呼びます。また、使用される白金線の純度に
よってその抵抗温度係数(Temperature
coeÆcient of resistivity)が異なりますので、表 2 にその概略を
示します。
抵抗比
規格等
W(Ga)1.11807(ITS-90*) 標準用(ITS-90 に詳細あり)
R100 /R01.3916(IPTS-68*)
JIS C 1604 1606 JPt100
R100 /R01.3850(IPTS-68*)
JIS C 1604 1606 Pt100
*後述する温度目盛の違いに注意
表 2: 白金センサーの種類
(注 4) 融点温度の圧力依存性の話ではありません。圧力一定条件での話です。
(注 5)
(注 6)
既に出ているのかも知れません。
すでに JIS 改訂の作業は終了したようで、このお話が出版される頃には若干内容が変わった新しい
せん。JIS の通り測温抵抗体と記述する場合もありますが、これは同じ物を指します。
JIS が出ているかも知れま
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
2.2
4
一次温度計と二次温度計
この言葉は、あまり聞き慣れないのではないかと思います。温度は、SI 単位系では 7 つの基本量の中の
1 つでもあり、正確にその値を決める事は他の組立量等にも影響を及ぼす事からも大変重要な量の 1 つと
言えます。
この温度は物理量の 1 つであって、暖かさ冷たさの程度を単に数値で表したものではありません。1K と
言う大きさを正確に決め、その何倍にあたるかと言った形で温度値は定義されています。例えば理想気体
の状態方程式(1)に現れる T 、プランクの黒体の熱輻射の法則(2)に現れる T などが、熱力学温度と呼
ばれる物理量です。
pV
= nRT
1
= 8h
3
c exp(h=kT ) 1
3
(1)
(2)
これらの物理法則に基づいて決定される T が熱力学温度と呼ばれる量で、直接物理法則に基づいて温度
値を決定できる温度計を一次温度計と呼びます。例えば、式(1)において圧力 P 、体積 V 、物質量 n、を
測定する事が可能であれば(注 7)、その系の温度は一意的に決まります(注 8)。
後述する 1990 年国際温度目盛(ITS-90)においては、式(1)を実在気体に合わせて展開し少々変形(注 9)し
た式(3)が、3K∼24.5561K の定義温度計として、また式(2)を用いて分光放射輝度の比として表した
式(4)が Ag 点以上の温度計として使用されています(注 10)。
p+
a
V2
L (T90 )
L (T90 (X ))
b
= RT
(1
+
)
V
V
c2 =[T90 (X )]) 1
= exp(
exp(c =[T ]) 1
2
90
(3)
(4)
これら一次温度計を用いて熱力学温度を正確に測定するには極めて高い技術と精巧な設備が必要です。
別の見方をすると、企業の標準室で実現し採算が取れるような話は全くありません。人類共有の知的財産
との位置づけで、各国国立標準研究所(注 11)が精力的に行うべき仕事であろうと筆者は思っております。
今回のお話の主題である白金抵抗温度計は、直接熱力学温度を測定する事は出来ません。白金に限らず、
物質の電気抵抗は温度によって変化しますので、予め温度と電気抵抗の関数関係を求めておけば、電気抵
抗の測定から温度を知る事が出来ます。このように、予め熱力学温度との関係が明確に求められている別
の量を測定し温度を求める温度計を全て二次温度計と呼びます。
小学校の理科の時間以来お世話になっているガラス製温度計も、封入されている感温液体と外側のガラ
スの熱膨張の差を予め計って目盛が付けてある、二次温度計の一つです。
(注 7)
R は気体定数で 8.31441Jmol 1K
1
の値です。
その他熱力学温度を直接実現する温度計として、熱雑音温度計等があります。詳細は参考文献 (1) 等をご覧下さい。
(注 9) これらの関係に関しては、統計熱力学に関する教科書等をご覧下さい。例えば筆者の学生時代の教科書は、参考文献 (2) でした。
(注 10)
これら温度目盛の詳細に関しては参考文献 (3) をご覧下さい。
(注 11)
日本では筑波の計量研究所が相当します。
(注 8)
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
5
3 不確かさの見積例
何はともあれ、実際の不確かさの見積例を表 3∼表 7 に示します。これらの表の内容の根拠は、第 4 項
∼第 6 で、具体的に説明致します。
表
3:
抵抗測定に関わる不確かさの見積例
抵抗比測定(標準抵抗との比測定)に関わる不確かさ
番号
1
不確かさの要因
標準抵抗器に関して
標準抵抗器の経年変化
(測定中の変化)
0.02mK
2
3
標準抵抗器の周波数特性
周囲(オイルバス)温度の影響
|
0.01mK
4
5
6
7
8
9
番号
1
2
3
番号
電流特性(測定電流による自己加熱)
ブリッジに関して
ダイアル間の直線性
ブリッジの分割比等の精度
周囲温度の影響
測定電流の不確かさ
その他
ノイズの評価
p12 + 32 + 52 + 62 + 92
合計
根拠
過去の JCSS 校正結果より Max.4ppm/年(1mK/年)
年間変化の 1/2 の 1/ 3 を 1 とし測定期間は 1 月以内
1mK 1/2 1/ 3 ÷ 12
直流を用いており、無視する
長期間(< 10mK 以内:実測)
温度係数(2ppm/ÆC)より(カタログ)
十分小さく無視する
p
p
0.01mK 1999.11.19 付技術報告書(9975 の評価)による
0.06mK 1999.11.19 付技術報告書(
p 9975 の評価)による
0.2mK(2ppm)1/21/ 3
|
5ÆC で管理されており無視する
|
Guildline 9975 の場合十分小さく無視する
p
融解・凝固時のノイズ幅
0.3mK1/21/ 3
0.11mK (1)
Max. 0.3mK(Zn F.P.)より
抵抗値(絶対値)測定に関わる不確かさ(10
標準抵抗使用)
大きさ
0.29mK
p 12 + 22 + 32
根拠
JCSS 校正結果より
Max.4ppm/年(1mK/年)
p
1mK1/21/ 3
0.31mK 2.5ppm(2)≒ 0.32mK(1)
標準抵抗の校正不確かさ
抵抗比測定に関わる不確かさ
抵抗比測定に関わる不確かさ
合計
0.11mK
0.44mK
過去の
上記算出(1)より
(2)
抵抗値(絶対値)測定に関わる不確かさ(100
標準抵抗使用)
1
2
10
A の絶対値の不確かさ
4
|
0.09mK
不確かさの要因
標準抵抗器に関して
標準抵抗器の経年変化
不確かさの要因
標準抵抗器に関して
標準抵抗器の経年変化
3
大きさ
大きさ
抵抗比測定に関わる不確かさ
(10
→ 100
ステップアップ)
抵抗比測定に関わる不確かさ
抵抗比測定に関わる不確かさ
p12 + 22 + 32 + 42
合計
根拠
0.29mK 10
A との比較より同等以下の変化であるが同じとみなす
p
1mK1/21/ 3
0.43mK 抵抗値(絶対値)測定に関わる不確かさ(10
標準抵抗使用)
の 1 と 2 のルートサムスクエア
0.11mK 上記算出(1)より
0.11mK
0.54mK
上記算出(1)より
(2')
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
表
4:
6
測定電流 0mA 外挿の不確かさ
測定電流の 0mA 外挿による不確かさ(定点)(3)
25
の場合
定点
不確かさ
Hg T.P
H2 O T.P.
Ga M.P.
In F.P.
Sn F.P.
Zn F.P.
0.37mK
0.30mK
0.18mK
0.35mK
0.20mK
0.37mK
100
の場合
番号
(3-0)
(3-1)
(3-2)
(3-3)
(3-4)
(3-5)
定点
Hg T.P.
H2 O T.P.
Ga M.P.
In F.P.
Sn F.P.
不確かさ
0.19mK
0.15mK
0.22mK
0.63mK
0.63mK
番号
(3-X)
(3-6)
(3-7)
(3-8)
(3-9)
これらの値は過去数年の実測値から求めた
表
番号
1
2
3
4
5
6
7
5:
水の三重点セルを用いた測定に関わる不確かさ
水の三重点セルの温度比較に関わる不確かさ(100
使用)
不確かさの要因
大きさ
特定二次標準器(セル)の不確かさ
0.15mK
白金抵抗温度計で特定二次三重点セル温度を測定
(1)より
0.11mK
(3-6)より
0.10mK
定点の安定性・再現性・ノイズ
|
白金抵抗温度計で被校正三重点セル温度を測定
(1)より
0.11mK
(3-6)より
0.10mK
定点の安定性・再現性・ノイズ
|
p12 + 22 + 32 + 52 + 62
合計
JEMIC 校正結果より
根拠
p
2 回測定を行うので 0.15mK1/ 2
3 項は長年の実測値に基づいているので 3 項に含まれる
p
2 回測定を行うので 0.15mK1/ 2
6 項は長年の実測値に基づいているので 6 項に含まれる
0.26mK (4)
水の三重点での温度計と標準抵抗との比測定
25
の場合(最高精度)
番号
1
2
3
4
不確かさの要因
特定二次標準器(水の三重点)の不確かさ
白金抵抗温度計の抵抗比を測定
(1)より
(3-1)より
定点の安定性・再現性・ノイズ
p12 + 22 + 32
合計
大きさ
0.15mK JEMIC 校正
根拠
0.11mK
p
0.21mK 2 回測定を行うので 0.30mK1/ 2
|
3 項は長年の実測値に基づいているので 3 項に含まれる
0.28mK (5)
25
の場合(通常精度)
100
の場合(最高精度)
100
の場合(通常精度)
25
の場合(最高精度)
25
の場合(通常精度)
100
の場合(最高精度)
略
略
略
水の三重点での温度計の抵抗値の測定
略
略
略
100
の場合(通常精度)
番号
1
2
3
4
5
不確かさの要因
大きさ
W.S. 水の三重点の不確かさ
白金抵抗温度計の抵抗値を測定
(1)より
(3-6)より
定点の安定性・再現性・ノイズ
抵抗値(絶対値)測定に関わる不確かさ
p
12 + 22 + 32 + 52
合計
0.26mK
(4)より
根拠
0.11mK
p
0.10mK 2 回測定を行うので 0.15mK1/ 2
|
3 項は長年の実測値に基づいているので 3 項に含まれる
0.54mK (2')より
0.61mK (12)
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
表
当校正室の
番号
1
2
3
4
5
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
6: Sn 点測定の不確かさ
Sn 定点温度の不確かさ(25
特定二次使用)
不確かさの要因
特定二次標準器(温度計)の不確かさ
特定二次温度計(25
)で当校正室の
水の三重点から伝搬する不確かさ
(1)より
(3-4)より
定点の安定性・再現性・ノイズ
p
7
12 + 22 + 32 + 42
大きさ
0.75mK JEMIC 校正結果より
根拠
Sn 点温度を測定
合計
0.60mK (5)より 0.27mK2.2
p
0.08mK 2 回測定を行うので 0.11mK1/p2
0.14mK 2 回測定を行うので 0.20mK1/ 2
|
4 項は長年の実測値に基づいているので 4 項に含まれる
0.97mK (15)
Sn 点セル同士の温度比較に関わる不確かさ(25
特定二次使用)
不確かさの要因
大きさ
根拠
特定二次標準器(温度計)の不確かさ
0.75mK JEMIC 校正結果より
特定二次温度計(25
)で当校正室の Sn 点温度を測定
水の三重点から伝搬する不確かさ
0.60mK (5)より 0.27mK 2.2
(1)より
0.08mK 2 回測定を行うので 0.11mK 1/ 2
(3-4)より
0.14mK 2 回測定を行うので 0.20mK 1/ 2
定点の安定性・再現性・ノイズ
|
4 項は長年の実測値に基づいているので
特定二次温度計(25
)で被校正 Sn 点セル温度を測定
(1)より
0.08mK 2 回測定を行うので 0.11mK 1/ 2
(3-4)より
0.14mK 2 回測定を行うので 0.20mK 1/ 2
定点の安定性・再現性・ノイズ
|
7 項は長年の実測値に基づいているので
p
p
p
p
p
12 + 22 + 32 + 42 + 62 + 72
合計
0.99mK
4 項に含まれる
7 項に含まれる
Sn 定点測定(温度計の抵抗比)の不確かさ(25
の場合)最高精度
p12 + 22 + 32 + 42
略
合計
1.16mK
Sn 定点測定(温度計の抵抗比)の不確かさ(25
の場合)通常精度
番号
1
2
3
4
5
不確かさの要因
大きさ
0.97mK
p12 + 22 + 32 + 42
0.75mK (6)より 0.32mK2.2
0.11mK
p
0.14mK 2 回測定を行うので 0.20mK1/ 2
|
4 項は長年の実測値に基づいているので 4 項に含まれる
1.24mK
白金抵抗温度計の抵抗比を測定
水の三重点から伝搬する不確かさ
(1)より
(3-3)より
定点の安定性・再現性・ノイズ
合計
(15)より
根拠
W.S. 定点セルの温度値の不確かさ
Sn 定点測定(温度計の抵抗比)の不確かさ(100
の場合)最高精度
Sn 定点測定(温度計の抵抗比)の不確かさ(100
の場合)通常精度
Sn 定点測定(温度計の抵抗値)の不確かさ(25
の場合)最高精度
Sn 定点測定(温度計の抵抗値)の不確かさ(25
の場合)最高精度
Sn 定点測定(温度計の抵抗値)の不確かさ(100
の場合)最高精度
略
略
略
略
略
Sn 定点測定(温度計の抵抗値)の不確かさ(100
の場合)通常精度
番号
1
2
3
4
5
6
不確かさの要因
大きさ
W.S. 定点セルの温度値の不確かさ
白金抵抗温度計の抵抗値測定
水の三重点から伝搬する不確かさ
(1)より
(3-9)より
抵抗値(絶対値)測定に関わる不確かさ
定点の安定性・再現性・ノイズ
p
12 + 22 + 32 + 42 + 52
合計
0.94mK
(15)より
根拠
1.32mK (12)より 0.61mK2.2
0.11mK
p
0.44mK 2 回測定を行うので 0.63mK1/ 2
0.54mK (2')より
|
4 項は長年の実測値に基づいているので 4 項に含まれる
1.77mK
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
表
7:
8
比較測定に関わる不確かさの見積例
抵抗値測定に関わる不確かさ
番号
1
不確かさの要因
標準抵抗器に関して
標準抵抗器の経年変化
(測定中の変化)
0.02mK
2
3
標準抵抗器の周波数特性
周囲(オイルバス)温度の影響
|
0.01mK
4
5
6
電流特性(測定電流による自己加熱)
標準抵抗器絶対値の不確かさ
デジタル電圧計に関して
JCSS 校正の不確かさ(0.3V∼4ppm)
7
経年変化
8
9
周囲温度の影響
スキャナに関して
スキャナの寄生熱起電力
大きさ
|
0.54mK
3.00mK
1.73mK
|
根拠
過去の JCSS 校正結果より Max.4ppm/年(1mK/年)
年間変化の 1/2 の 1/ 3 を 1 とし測定期間は 1 月以内
1mK 1/2 1/ 3 ÷ 12
直流を用いており、無視する
長期間(< 10mK 以内:実測)
温度係数(2ppm/Æ C)より(カタログ)
十分小さく無視する
定点校正時の不確かさの算出結果より
p
p
Max. の 420ÆC 付近の抵抗値で計算
100
の抵抗体の場合 260
程度。
0.5mA で 130mV より 2 が約 0.5V(≒ 2.5mK)となる
25
の抵抗体の場合 65
程度。
0.5mA で 33mV より 2 は 0.3V(≒ 6mK)
1997
Max.0.6V
年以降の相互比較より
0:6 矩形分布 p
2 3
± 5Æ C で管理されており無視する
0.58mK
カタログ値(
100nV
標準温度計に関して(抵抗値)
校正の不確かさ(In 点まで)
校正の不確かさ(In 点以上)
自己加熱(測定電流 0.5mA)
被校正温度計に関して(抵抗値)
自己加熱(測定電流 0.5mA)
1.66mK
2.08mK
2.00mK
定点校正時の不確かさの算出結果より
定点校正時の不確かさの算出結果より
Netus 1∼5 の In 点の実測値より Max
1.00mK
1mA で 4mK までの温度計を見込む
温度計のドリフト(-40Æ C∼160Æ C)
温度計のドリフト(160ÆC∼230Æ C)
温度計のドリフト(230ÆC∼300Æ C)
温度計のドリフト(300ÆC∼420Æ C)
1.00mK
2.00mK
5.00mK
10.00mK
15
温槽に関して
安定度(-40Æ C∼50Æ C)
0.65mK
15'
安定度(50Æ C∼160ÆC)
1.29mK
15"
安定度(160ÆC∼420Æ C)
1.94mK
16
温度分布(-40ÆC∼50Æ C)
0.65mK
16'
温度分布(50Æ C∼160Æ C)
1.29mK
16"
温度分布(160ÆC∼420ÆC)
1.94mK
10
10'
11
13
14
14'
14"
14"'
p12 + 32 + 52 + 62 + 72 + 92 + 102
2 + 142 + 152 + 162
+11
合計
4.71mK
p122++313
2 + 52 + 62 + 72 + 92 + 102
2 + 142 + 1502 + 1602
+11
合計
4.97mK
p122++313
2 + 52 + 62 + 72 + 92 + 102
2 + 1402 + 15002 + 16002 合計
+11
5.78mK
p 22 + 13
1 + 32 + 52 + 62 + 72 + 92 + 102
2 + 14002 + 15002 + 16002 合計
+11
7.38mK
p 22 + 13
1 + 32 + 52 + 62 + 72 + 92 + 102
+112 + 132 + 140002 + 15002 + 16002 合計 11.38mK
p0:1
2 320
maximum)より矩形分布を仮定
2mK
これ以上の自己加熱がある場合は別途考慮
ドリフト量をまるまる加算
ドリフト量をまるまる加算
ドリフト量をまるまる加算
ドリフト量をまるまる加算
これ以上のドリフトがある場合は別途考慮
p
Max 10mK の 1/2 の 1/ 3 の 1/pn(n=20)
(20 回繰り返し測定を行う)
p
Max 20mK の 1/2 の 1/ 3 の 1/pn(n=20)
(20 回繰り返し測定を行う)
p
Max 30mK の 1/2 の 1/ 3 の 1/pn(n=20)
(20 回繰り返し測定を行う)
p
Max 10mK の 1/2 の 1/ 3 の 1/pn(n=20)
(20 回繰り返し測定を行う)
p
Max 20mK の 1/2 の 1/ 3 の 1/pn(n=20)
(20 回繰り返し測定を行う)
p
Max 30mK の 1/2 の 1/ 3 の 1/pn(n=20)
(20 回繰り返し測定を行う)
-40ÆC∼50ÆC
50ÆC∼160ÆC
160ÆC∼230ÆC
230ÆC∼300ÆC
300ÆC∼420ÆC
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
9
4 不確かさの見積と検証例 1 温度測定に関わる不確かさ
白金抵抗温度計を使用する際に必要な不確かさの項目を、実際に当校正室で行っている校正を例に取り
ながら説明致します。
4.1
定点校正と比較校正
温度計
温度計
切替器
D.V.M.
定点炉
ブリッジ
図
比較温槽
2:
定点校正と比較校正
先ずは校正方法の説明です。図 2 は通常行われる白金抵抗温度計の校正方式を模式的に示したものです。
左側が定点校正と呼ばれる方法で ITS-90 の定義定点を実際に実現し、図 1 の範囲の目盛を定める事が出来
ます。また右側は比較校正と呼ばれる方法で、定点校正で実現した目盛を温度分布や安定度が良好な比較
温槽に入れ、行います。この校正作業を例にとり、考慮すべき不確かさにふれます。
4.2
温度定点の実現例
温度定点を実際に実現した例を図 3 に示します。
実際に実現した実測データより、例えば、
1. 測定時のノイズレベル。
当校正室の場合、常に 0.2mK∼0.3mK 程度のノイズが乗っかっており、現有設備ではこれ以下の議論
は、あまり意味がナイ事がわかる。
2. プラトー継続時間
凝固点温度を、仮に実現初期から 1mK 以内の時間とすると、その時間が決定出来ます。逆に、温度計
を抜き差しして(注 12)測定する場合、最初と最後に同じ温度計を入れて測定した場合、1mK 以内の差
(注 12)
異なる温度計を交換して測定する。
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
10
異なら、プラトーが継続していたと判断出来ます。
3. 自己加熱
測定電流を変える事により、その温度計の自己加熱量を見積もる事が出来ます。etc.
Freezing curve of Sn
Freezing curve of Zn
p
p
2mA
1mK
2mA
1mK
Sn/H2O ; 1.892601
Zn/H2O ; 2.568581
1999.11.17 Isotech–Old
0
1
2
3
4
1999.11.16 Isotech–Old
5
図
6
7
Time, t/h
0
1
2
3
4
5
6
Time, t/h
3: Sn 点(左)、Zn 点(右)の実現例
白金抵抗温度計の経年変化
4.3
図 4 に、定期的に温度定点での抵抗値の測定を行っ
ます。1mA と 0.1mA での測定を行っているのは、第
4.4 節で示す測定電流による自己加熱量を把握する目
(注 13)
的です
。実測値には、温度計の安定性・定点の
再現性・標準抵抗器の経年変化・測定の技量等種々
の要因が加わっていますが、個別に分離する事は極
めて難しいと思います。短期間での測定値の凸凹は、
測定技量の問題ですが、全体の傾向として H2 O
の値は低下し、Ga
T.P.
M.P., In F.P. は増加しています。
ブリッジの有効桁数の関係で、H2 O T.P. については
図 7 に示した 10
A 標準抵抗器との比に、Ga M.P.,
In F.P については同じく 100
との比になっていま
す。10
A の絶対値は増加傾向にあり、一方 100
は
相互比較の結果から減少傾向にあります。これらの
事から筆者は白金抵抗温度計や温度定点よりも、標
160.997
160.996
年変化は十分小さいと言えます (4) 。
(注 13)
実際にはその他
p
In F.P.
0.1mA
160.994
111.845
Ga M.P.
1mA
111.844
0.1mA
111.843
100.034
100.033
1mA
0.1mA
T.P. of Water
100.032
93
準抵抗器の経年変化が最も大きいのではないかと推
察しております。この場合は、白金抵抗温度計の経
1mA
160.995
Bridge dial reading
ている 1 本の白金抵抗温度計の測定値の変化を示し
94
95
96
97
Date, Y/year
図
4: 白金抵抗温度計の経年変化??
0.3mA やそれぞれの 2 倍の電流値での測定も適宜行っています。
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
4.4
11
自己加熱
白金抵抗温度計の抵抗値を測定する際には、電流
を流す必要があります。この測定電流によって素子
部分は発熱し、温度計自身は測定対象物よりも高い
1,2
温度になります。この温度上昇を自己加熱と呼び、補
正しないと厳密には測りたい温度を測った事にはな
1,0
りません。
= EIp= RI 2
で求められますから、簡単には、測定電流を 2 倍し
自己加熱はジュール熱ですので、Q
念頭において設計されたブリッジには、普通
2の
ダイヤルがついています。
図 5 は、1 つの標準用白金抵抗温度計を熱浴に対
δR / mΩ
p
て推定する事が出来ます。白金抵抗温度計の測定を
0,8
0,6
0,4
して色々な熱接触状態おいて、電流の二乗と抵抗の
関係を測定した例です (5) 。等しい電流値でも、熱接
3 mK
0,2
触状態により自己加熱量の異なるのが分かります。
この例では、測定範囲では抵抗と電流の二乗は直
0,0
線関係が得られていますが、電流ゼロへの外挿を過
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
信してはいけません。例えば、非常に細いシース測
温抵抗体で 1mA での自己加熱量が 10mK もあれば、
I2 / (mA)2
比例関係から相当ずれると考えた方が安全です。
また、図
5 で自己加熱が最大の熱接触状態では、
図
5:
異なる熱接触状態における自己加熱
0mA に外挿しても熱浴の温度とは一致していません。つまり実際の測定にあたっては、熱接触状態を良好
に保つ事が大変重要です。
比較的簡単にこの自己加熱を体感出来る例を、図 6 に紹介します。最初にお断りしておきますが、温度
計で温度が測れるのは、その温度を知りたい系と温度計が熱平衡状態になった場合にのみ正確な温度が測
れます。
ここで紹介する例は、必ずしもこの熱平衡を実現していませんので間違っても、実際の測温の際には真
似をなさらぬようご注意下さい。あくまでも、抵抗温度計の自己加熱の大きさを体験するための例です。
図のように削氷を入れた魔法瓶を準備し、中に適当な大きさの試験管を入れます。A. にはその試験管の
中に水を、B. には何も入れず空気層を残しておいて下さい。その中に白金抵抗温度計のセンサーを入れ、
入れた直後からの指示の変化を観察してみて下さい。
A. と B. 随分違う様子がお分かり頂けるかと思います。結果はあえて記載致しません。それぞれの方の
環境で、お試し頂けたらと存じます。
水の三重点セルをお持ちの方は、そのセルを用いて頂ければ、より違いが良くお分かりになるかと思い
ます。また、指示計器付白金抵抗温度計ではなく、測定電流を可変出来る装置をお持ちであれば、この両
者(A と B)の条件で、測定電流を変えて様子を見て下さい。擬似的に図 5 のような結果が得られるかも
知れません。
しつこいですが、温度測定を行う場合は、熱接触状態を良くし系と温度計の熱平衡が実現され
た時にはじめて温度が測れる事をお忘れなく!!!
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
12
デジタル抵抗温度計
デジタル抵抗温度計
センサー
削氷
水を入れる
空気のまま
A. 試験管内に水
B. 試験管内は空気のまま
図
4.5
6:
熱接触状態を変えた例
直流と交流
白金抵抗温度計は、電気抵抗と温度との関数関係を予め求めておき、電気抵抗値から温度値を算出する
温度計です(注 14)。ですから、電気抵抗を測定する必要があります。しかしながら実際には電流と電圧を測
定し、オームの法則(R
= E=I )から抵抗を算出します。ここで一般に電圧は比較的高い精度での測定が
可能ですが、電流を電圧と同じ桁数で測定したり、安定させたりする事は非常に難しいようです。従って
抵抗測定には、標準抵抗器を用いてブリッジを組んだり、電圧降下法を用いる場合でも回路中に直列に標
準抵抗器を入れて、その両端の電圧から電流値を算出します。多くの場合、オームの法則が無条件に成り
立つ事を前提に全ての議論が行われているようです。
測定に直流電流を用いている場合は、特に問題無いと思いますが、交流を用いた場合、私には良く分か
らない部分があります。一般に交流回路では電流と電圧の位相がずれます。抵抗測定用の交流ブリッジで
はこの位相のずれが考慮されているようですが、全ての電流値に間違い無く設定されているか確認する必
要があります。
この問題は非常に難しく、現時点でも明確な解答は得られていません (6) 。極めて個人的な意見ですが、
測定には直流を用いた方が無難だと思っています。
(注 14)
直接熱力学温度を測定する温度計ではありませんので、二次温度計と言う言い方をされる場合もあります。(第
2.2 項参照)
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
13
5 不確かさの見積と検証例 2 標準抵抗器とブリッジ
5.1
はじめに
JCSS 認定の温度範囲拡大が動きだし、それと共に JEMIC から供給される上位標準の不確かさも大幅に
向上した(注 15)。このため、認定当初に行った不確かさの評価方法では、当校正室から供給出来る不確かさ
が非常に大きくなってしまう。
そこで、種々のみなおしを行っているが、今回は直流電流比較ブリッジ(Guildline
9975)の信頼性に関
して再評価を行ったので、その結果をまとめる。
5.2
5.2.1
従来の方法と結果
当初認定申請書に記載した不確かさの根拠
従来は購入時、JEMIC で行った依頼試験結果(注 16)に書かれた不確かさを、そのままブリッジの不確か
10
さとしていた。この大きさは (10ppm+5
7
)
(2 )であり、25
の温度計を測定した場合は、これだ
けで約 3mK(2 )の大きさになってしまう。上位標準が 5mK で供給されている間はこれでも問題無かっ
たが、今回から 0.3mK に、一桁以上向上した。このため自己評価を再度行う事とした。
5.2.2
従来行って来た管理とその結果
従来から行って来た管理は、ダイアル間の直線性の確認と、各種標準抵抗器間の相互比較である。
ダイアル間の直線性に関しては、従来から第 4 ダイアルと第 5 ダイアルの間で 0.03ppm 程度のずれを確
認しているが、当校正室の供給不確かさに比べると十分小さく、無視して来た。その他のダイアル間は測
定限界(0.01ppm)の範囲では一致していた。
標準抵抗器間の相互比較は、10
A と 10
B を JCSS に依頼試験し(注 17)それらの相互比較、並びに 1
、
100
、1000
へのステップアップ&ダウンの結果の変化から、異常を検知する方法である。この測定結果
を図 7 にまとめる。
JEMIC(JCSS)の校正の不確かさは 2.5ppm(2)であり、自己校正の結果は完全にその不確かさの範
囲内で一致している。また、他の結果も、異常点(値の飛び)と思われる結果は、検出されておらず、ブ
リッジそのものは、非常に安定している。
なお、JEMIC の結果からの計算値が全て自己校正の値の外側に来ているのは、10
A と 10
B それぞれ
半年ずらして校正依頼をしているが、グラフはその間の値を取らずに描画しているためである。
これらの結果から、少なくともブリッジは、JEMIC(JCSS)で校正された標準抵抗器の校正不確かさ
の範囲(2.5ppm,
5.3
2)ではおかしな動きをしていない事が確認出来る。
今回の校正
当校正室で使用している直流電流比較型の抵抗ブリッジ(Guildline
10
(注 18)
9975)は、各ダイアルに 1 と
(注 19)
がある
。この為、ダイアル間の直線性と、ダイアル内の分割比の直線性を自己校正する事
が出来る。概略の手順は以下の通りである。
(注 16)
(注
(注
(注
)0.3mK(2)。
水の三重点セル温度を例に取ると、5mK
JCSS ではない。
17) JCSS 発足前は JEMIC 依頼試験。
18) ダイアルの記載は、第一ダイアルをのぞき
19) 第一ダイアルのみ、機構上
1 がない。
(注 15)
10 が X となっているので、本報告の一部ではそのように記載している。
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
10ΩB
15
10
10ΩA
5
0
10
Relative Resistance Change (ppm)
JCSS calibration results of
10ohm standard resistors
2.5mK
Resistance Change (ppm)
20
8
14
Calculated results form
JCSS values
6
4
Blue 10ΩB/10ΩA
2
Our Results
0
–2
Red 10ΩA/10ΩB
–4
–6
–8
–10
93
94
95
96
97
98
Date
94
99
100Ω/10ΩA
10ΩA/1Ω
95
96
他の 1
,
97
98
99
Date
98
99
Date
14
12
10
8
6
4
2
0
–2
–4
–6
–8
–10
–12
–14
94
95
100
, 1000
図
97
Resistance Change (ppm)
Resistance Change (ppm)
1000Ω/100Ω
94
96
JEMIC と自己校正の差異(10
A ; 10
B )
標準抵抗器の校正結果
14
12
10
8
6
4
2
0
–2
–4
–6
–8
–10
–12
–14
95
96
97
全部まとめて
7:
過去の標準抵抗器の経年変化
98
99
Date
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
15
ダイアル間の直線性
1. 測定側を短絡し、各ダイアルを全てゼロにする。
2. 上のダイアルを 1 に、下のダイアルを X に合わせる。
これで、そのダイアル間の直線性が求まる
3. この操作をそれぞれのダイアル間で繰り返し、結果をレコーダーに記録する。
ダイアル内の分割比の直線性
1. 適当な抵抗を測定側につなぐ。
この抵抗に要求される条件は、以下の通りであり、一般的には Hamon
Type の抵抗が用いられる。
(a) 安定な事。願わくば、測定のノイズレベル以下。
(b) 直線性を見るレンジの一つ下の値がゼロであること。
(c) ダイアルの 1 ステップ毎の値に可変であること。
2. ブリッジを用いて値を測定する。
例えばこの時校正ずべきダイアルの値が 1 であれば、その下のダイアルは、ゼロになっている。
3. 校正すべきダイアルの値を、この場合 0 にし、一つ下のダイアルを X にする。
4. この測定を順次繰り返す。すなわち、一つ下のダイアルの 0 と X の間の大きさを用いて、ダイ
アルの分割ダイアルを一つづつチェックして行く。
5.3.1
ダイアル間の直線性
1999.10. 末に 9975 のオーバーホールをキーテクノに依頼した。この際、従来からずれていた第 4 ダイ
アルと第 5 ダイアル間の零点調整も行った。その際のチャートを図 8 に示す。メーカーの公称カタログ値
(0.02ppm)よりも、良い値が得られている。このチャートから求めた各ダイアル間の直線性は< 0.02ppm
と評価出来る。
ずれを修正
6
0.1ppm
?
図
5.3.2
8:
ブリッジの直線性の確認結果
1999.10. 末
ダイアル内の分割比の直線性
ダイアルの分割比の直線性の確認には、安定した Hamon
Type の抵抗器を用いるのが理想である。しか
しながら、当校正室はこの抵抗器を保有していない。このため、今回は横河電機製の可変抵抗器(YEW
2793)で代用し、可能な範囲で測定を行った。
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
中の状態
発砲スチロールで囲む
図
事前準備
16
9: YEW 2793 の状態
図 9 に、可変抵抗器を発砲スチロールに収めた様子を示す。抵抗器の値の変動要因にもっとも
効いてくるのは温度変化である。室温変化の影響を抑えるため、気休めかも知れないが、全体を発砲スチ
ロールで覆った。
当校正室が保有するオイルバス(Guildline
安定性の確認
9732VT)には、寸法的に入らない。苦肉の策である。
測定側に取り付けた可変抵抗器は、本来このような目的での使用に耐える性能を有しては
(注 20)
いない
。従って、測定が意味をなすか否かを先ず検証した。
3X540250
Relative Change
Relative Change
1Ω
1 digit of 6th dial
0
5
10
15
20
25
Time, t/min.
1 digit of 6th dial
0
5
10
3X540130
15
0
5
10
15
20
25
Time, t/min.
図
(注 20)
20
25
Time, t/min.
1000Ω
Relative Change
Relative Change
100Ω
1 digit of 6th dial
10Ω
1 digit of 6th dial
0
5
10
15
20
25
Time, t/min.
10: 安定度の測定結果
もっと分かりやすく言えば、安物すぎてこのような目的での使用(9975 のチェック)は普通無理、と言う事である。
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
17
図 10 に、標準側の抵抗を 1
,
10
, 100
, 1000
と変えて安定性を測定した結果を示す。データの取り
、測定点を spline 曲線で結んだため図 8 のように直接レーコーダーに書かせ
(注 21)
込みをデジタルで行い
た場合と若干イメージは異なるが、ノイズ幅等は同じである。
また図中に示した第 6 ダイアル 1 分割分の大きさは、25
の温度計を測定した場合、1mK の大きさに相
当し、測定感度やノイズ幅を見る一つの目安の大きさに使われる。
この結果から、標準側の抵抗として 1
,
味をなすとは思えないが、100
,
10
を使用した場合は抵抗変化の影響が大きく、評価しても意
1000
は水の三重点の測定時とほぼ同じレベルで安定しており、評価も
それなりの意味を持つと考えられる。
標準側の抵抗により安定度が変わる原因は興味のある所であるが、我々は温度の区分の認定事業者であ
る。よって、この部分の原因はこれ以上追求しない。また、不安定な 1
,
10
の変化も抵抗が減少する方
(注 22)
。自己加熱の影響ならば・
・
・
・
・大きくなるハズであるが・
・
・
・
・
?? 何
向で常に起こっているようである
れにしろこの部分への深入りは行わない。
前項で調べた通り、標準側に 100
,
1000
を用いればそれなりの安定を得られる事が分かった
ので、各ダイアルの分割比の直線性を評価した。結果を表 8 に示す。
評価結果
表
第
1 ダイアル(標準側 100
)
読み 1
10013250
20014325
30013405
40014300
500163X0
60016115
70016195
80015940
90016915
X0016555
第
(注 22)
差
ダイアル間の直線性の評価結果
第
2 ダイアル(標準側 100
)
読み 1
0X013255 5 11055930
1X014330 5 12054520
2X013405 0 13053940
3X014305 5 14053860
4X0163X0 0 15053440
5X016120 5 16053450
6X016195 0 17053340
7X015940 0 18053340
8X016910 -5 19053320
9X016560 5 1X053560
4 ダイアル(標準側 100
)
09910140
09920X40
099307X0
09940490
09950615
09960255
09970160
09980115
09990575
099X0070
(注 21)
読み 2
8:
0990X135
0991X140
0992X795
0993X490
0994X620
0995X260
0996X160
0997X115
0998X590
0999X065
第
読み 2
10X55930
11X54510
12X53940
13X53860
14X53430
15X53430
16X53450
17X53340
18X53210
19X53550
第
差
00990X00
00991X55
00992X30
00993X15
00994X10
00995X05
00996X30
00997X25
00998X25
00999X25
読み 1
0 00101475
-10 00201420
0 00301370
0 00401345
-10 00501305
-20 00601315
10 00701305
0 00801305
-10 00901305
-10 00X01300
5 ダイアル(標準側 1000
)
-5 00991000
0 00992055
-5 00993025
0 00994015
5 00995010
5 00996000
0 00997030
0 00998025
15 00999025
-5 0099X025
3 ダイアル(標準側 1000
)
第
差
000X1480 5
001X1415 -5
002X1370 0
003X1350 5
004X1305 0
005X1320 5
006X1305 0
007X1305 0
008X1305 0
009X1305 5
6 ダイアル(標準側 1000
)
0 00989107
0 00989205
5 00989306
0 00989402
0 00989500
5 00989600
0 00989700
0 00989809
0 00989907
0 00989X09
約 20 秒に 1 点の取り込み。
これは、発砲スチロールの覆い無しで、様子見の測定を行った時の針の振れから。
読み 2
009890X5 -2
009891X0 5
009892X6 0
009893X3 1
009894X0 0
009895X0 0
009896X0 0
009897X9 0
009898X8 1
009899X8 -1
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
18
それぞれの測定に用いた標準側の抵抗は表に記載した通りであり、測定電流は全て測定側で 1mA であ
る。温度計の測定とは異なり自己加熱が小さいので、電流はもっと流しても問題無いが、1mA の電流で
我々の測定に必要な感度は十分得られているし、温度計を測定する場合は 1mA かその
よって、温度測定の条件をエミュートする意図で全て 1mA とした。
p
2 倍までである。
また、測定結果は第 8 ダイアルまで示してあるが、このダイアル 1 分割は、25
の温度計の測定に換算
すると、0.01mK に相当する。従って我々には不要であるが、測定時の検流計の振れからおおよそ 0 か 5
と判断して記載している。このあたりの測定は、レコーダーに書かせたノイズレベル(第 7 ダイアル 1∼2
分割分)と矛盾するが、ここがアナログ式検流計の良い所(??)か、適当にノイズがスムーズイングされ
て、観測者には読めるのである。
図 10 で示した通り、この測定におけるノイズレベルは第 7 ダイアル 1∼2 分割分の大きさである。従っ
て、最大で第 7 ダイアル 2 分割分の差異が結果的には観測されているが、有意な差であるか否かは..... 分
からない。
何れにしろ、不確かさとしては最大で第 7 ダイアル 2 分割分を見ておけば、十分である。
第 7, 第 8 ダイアルは??
第 6 ダイアルまでの校正結果を示したが、第 7,
8 ダイアルの校正は...... 現有設備では難しい。しかしなが
ら、第 7 ダイアル 1 分割分は 25
温度計を測定した場合 0.1mK にしか相当しない。フルレンジでも 1mK
である。従って第 6 ダイアルの点検までで、十分であるとの考えも成り立つ。
まとめ
5.4
可変抵抗器を用いて、Guildline
9975 の信頼性を実際に確認した。要約すると以下のようになる。
1. ダイアル間の直線性はカタログ値の 0.02ppm より良く 0.01ppm 程度である。
2. 第 1∼第 6 ダイアルまでのダイアルの分割比の直線性は、当校正室での計測ノイズである 2ppm 以下
の範囲で保たれていた。
3. 第 7, 8 ダイアル以下の校正は、現有設備では難しい。
以上の結果より、不確かさの評価として本ブリッジを用いた測定に対しては、2ppm(注 23)を方形分布を
仮定して加算する。
ブリッジの 1 つのダイアルのずれは(特に上のダイアルの場合)、測定した値全体に影響を及ぼす。従っ
てそれぞれのダイアルのズレは本来補正しなければならない。しかしながら今回一応観測されたズレは、
全て我々が通常行っている測定のノイズレベルの範囲内の大きさである。よって、このずれが信頼できる
ものか否かは、我々には良く分からない大きさのものである。従って、ダイアルの補正は行わず、観測さ
れた最大の差を方形分布を仮定して不確かさに加算する処置を行う。
(注 23)
第
7 ダイアル 2 分割分で、0.2mK に相当し、これは通常測定におけるノイズレベルと同じである。
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
19
6 不確かさの見積と検証例 3 比較校正
比較校正の不確かさ
を見積もるため、白金
表
抵抗温度計同士の比較
試験を実際に行い、不
比較温糟
確かさの見積もりの検
証を行った例を示しま
Hart
す。
(低温用
オイルバス)
6.1
(中温用
オイルバス)
Nixon
試験方法
比較測定に用いる予
定の
3 つの温槽を用
い、実際に定点校正済
Ayries
(高温用
粉体糟)
温度範囲
9:
比較測定条件
温度計
Iso-old(25
)
YSI(25
)
-40ÆC∼50ÆC Netsu-1(100
)
Netsu-3(100
)
Iso-old(25
)
YSI(25
)
40ÆC∼160ÆC Netsu-2(100
)
Netsu-5(100
)
Iso-old(25
)
Hart(25
)
150ÆC∼420ÆC 林-1(100
)
林-3(100
)
温度計のタイプ(寸法等)
ロングステム型(7mm)
ロングステム型(7mm)
シース型(3.2mm)
シース型(3.2mm)
ロングステム型(7mm)
ロングステム型(7mm)
シース型(3.2mm)
シース型(3.2mm)
ロングステム型(7mm)
ロングステム型(7mm)
シース型(4.8mm)
シース型(4.8mm)
みの温度計を入れ、自分自身が持つ目盛で算出した温度値を比較する形で検証を行った。用いた温糟並び
に温度範囲を表 9 にまとめる。また測定は全て、直流 0.5mA を用い電圧降下法で行い、結果はパソコンを
通してデジタル信号を記録した。
試験に用いた温度計は、範囲拡大後の特定二次標準器、並びにワーキングスタンダードとして用いる予
定のもので、安定度の評価並びに定点での値付は、事前に行ったものである。(注 24)
6.2
試験結果
代表的な測定例を図 11 に示す(注 25)。測定は前に述べた通り、電圧降下法で行っているため、実測され
る値は電圧である。個々の温度計の抵抗値が異なるため、グラフは個々の温度計の初期電圧で規格化し、
更に mK で表示している。
この測定結果から、以下の不確かさの要因を見積もる事が出来る。
1. 測温孔間の温度差
個別の温度計は自分自身が独立に目盛を持っている。従って、ある瞬間の測定値の差は、測温孔間の
温度差と見なせる。
2. 温槽の温度安定度
個別の温度計の値の変動は、そのものが比較温糟の温度変動とみなせる。
3. 時定数の違いによる影響
試験に用いた温度計は表 9 に示した通り、意図的に太さや構造(ステム型・シース型)、公称抵抗値
(25
と 100
)を変えている。グラフ上でこれらに明らかな有意差があれば考慮しなければならない
が、結果的には温度変動に比べると十分小さく、無視出来る範囲内である。
4. allover の不確かさ
個別の温度計は、それぞれ独立に目盛が付けられている。従って、その独立に付けられた目盛が指示
する温度値は、個別の不確かさの要因を全部含んだ、allover の最終測定値の例となる。この大きさと
不確かさの見積もり表から算出した値がほぼ一致すれば、不確かさの見積もり表の正しさを自己検証
したものと見なせる。
(注 24)
(注 25)
実際の詳細な測定手順等は、伊-温-技術-008 を参照。
実際には相当の数行っていますが、代表例の紹介にとどめさせて頂きます。
8
6
4
2
0
–2
–4
–6
–8
–10
2000/1/15 at –35℃
Iso–old X=–34.8684℃ σn–1=1.02mK
X=–34.8663℃ σn–1=1.17mK
YSI
Netsu–1 X=–34.8688℃ σn–1=1.06mK
Netsu–3 X=–34.8700℃ σn–1=0.78mK
0
10
20
30
40
50 60
time, t/min.
2000/1/15 at 25℃
Iso–old X=25.0726℃ σn–1=1.15mK
X=25.0732℃ σn–1=1.21mK
YSI
Netsu–1 X=25.0713℃ σn–1=1.06mK
Netsu–3 X=25.0713℃ σn–1=0.95mK
0
10
20
30
40
Relative change, ∆T/mK
8
6
4
2
0
–2
–4
–6
–8
–10
Relative change, ∆T/mK
Relative change, ∆T/mK
Relative change, ∆T/mK
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
50 60
time, t/min.
8
6
4
2
0
–2
–4
–6
–8
–10
8
6
4
2
0
–2
–4
–6
–8
–10
20
2000/1/13 at –20℃
Iso–old X=–19.9969℃ σn–1=2.01mK
X=–19.9964℃ σn–1=1.95mK
YSI
Netsu–1 X=–19.9981℃ σn–1=1.79mK
Netsu–3 X=–19.9984℃ σn–1=1.72mK
0
10
20
30
40
50 60
time, t/min.
2000/1/17 at 50℃
Iso–old X=50.0828℃ σn–1=1.27mK
X=50.0868℃ σn–1=1.63mK
YSI
Netsu–1 X=50.0831℃ σn–1=1.40mK
Netsu–3 X=50.0823℃ σn–1=0.83mK
0
10
20
30
40
50 60
time, t/min.
2
0
–2
–4
–6
–8
–10
–12
–14
–16
–18
–20
2000/1/19 at 40℃ Nixon
Iso–old X=40.0243℃ σn–1=3.39mK
X=40.0241℃ σn–1=3.64mK
YSI
Netsu–2 X=40.0243℃ σn–1=3.36mK
Netsu–5 X=40.0241℃ σn–1=3.35mK
0
10
20
30
40
Relative change, ∆T/mK
Relative change, ∆T/mK
Hart 製 低温バス
0
–10
Iso–old X=160.0803℃ σn–1=3.85mK
X=160.0799℃ σn–1=4.26mK
YSI
Netsu–2 X=160.0784℃ σn–1=4.39mK
Netsu–5 X=160.0804℃ σn–1=5.20mK
–20
–30
50 60
time, t/min.
2000/1/24 at 160℃–1 Nixon
10
0
10
20
30
40
50 60
time, t/min.
12
8
4
0
–4
–8
–12
–16
–20
–24
2000/2/1
Iso–old
Hart
林–1
林–3
0
10
15
at 220℃–2 Ayries
20
X=220.5431℃ σn–1=3.41mK
X=220.5453℃ σn–1=3.60mK
X=220.5507℃ σn–1=4.04mK
X=220.5478℃ σn–1=2.75mK
30
40
50 60
time, t/min.
Relative change, ∆T/mK
Relative change, ∆T/mK
Isotec 製 中温バス
2000/2/1 at 290℃–1 Ayries
10
5
0
–5
Iso–old
Hart
林–1
林–3
–10
–15
0
10
Isotech 製 アルミナ粉体炉
図
11:
比較温槽の安定度評価例
20
X=290.8088℃ σn–1=3.24mK
X=290.8089℃ σn–1=3.53mK
X=290.8149℃ σn–1=3.81mK
X=290.8134℃ σn–1=2.99mK
30
40
50 60
time, t/min.
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
JCSS Calibration Results of 1281 4808
1.8
1281調整
1.4
5mV
10mV
50mV
100mV
190mV
1281 4808
Difference, ∆E/µV
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
–0.2
–0.4
–0.6
1994
1995
図
1996
1997
1998
1999 2000
Date, Y/year
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999 2000
Date, Y/year
12: デジタル電圧計(1281)と標準電圧発生器(4808)の経年変化
表
10:
温度範囲
- 40ÆC∼ 50ÆC
50ÆC∼160ÆC
160ÆC∼230ÆC
230ÆC∼420ÆC
6.3.1
5mV
10mV
50mV
100mV
190mV
1.6
1993
6.3
Relative change between 1281 4808
2.0
1281調整
Difference, ∆E/µV
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
–0.2
–0.4
–0.6
–0.8
–1.0
–1.2
–1.4
–1.6
–1.8
–2.0
–2.2
–2.4
–2.6
21
不確かさの見積もりと実測値の比較
比較温槽
Hart
Nixon
Ayries
Ayries
見積値(2 ) 最大の差異
10mK
10mK
12mK
25mK
3.66mK
5.93mK
4.28mK
7.06mK
測定温度
-40Æ C
120ÆC
220ÆC
420ÆC
不確かさの見積もり
測定器の不確かさ
図 12 は、測定に用いたデジタル電圧計(Datron
Wavetek 1281)と、相互比較による自己検証に用いて
る標準電圧発生器(Datron Wavetek 4808)の JCSS 校正結果(注 26)、並びに定期的に行っている自己検証
のための測定結果をグラフ化したものである。
1996 年前後に大電圧(100mV と 190mV)の値が大きく変動しており、この変化は校正値、自己検証値
とも一致している。1997 年 4 月に値の補正(修理)を行っており、不確かさの見積もり表にはこれ以降の
値(0.6V)を矩形分布として加算する。
6.3.2
見積値と実測値の比較
測温抵抗体同士の具体的な不確かさの見積もり表は、校正精度管理『伊-温-品質 006』に記載する。
ここでは、不確かさの見積もりを行った結果と、定点校正値からそれぞれの温度計が独立に持つ値(図
11 に記載)を比較したものを、表 10 に示し比較する。
実測値の最大の差異は、何れも不確かさの見積もりの範囲内で一致しており、見積もった値が実測によ
り検証出来たと考えられる。なお 230ÆC∼420Æ C の見積もり値が実測値に比べて少々大きすぎるが、これ
(注 26)
JCSS 発足前は JEMIC 依頼試験結果
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
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は温度計のドリフト(注 27)を計算の際大きめに見込んでおり、検証に使った温度計は、このドリフトが殆ど
無かったためである。
6.4
まとめ
不確かさの見積もり表の結果を、実測値と比較する事により検証した。
その結果、実測値は全て見積もりの値の範囲内であり、不確かさの見積もり並びに校正技術的に妥当で
ある事が検証出来た。
7 白金抵抗温度計を用いた温度管理の実例
2mK∼20mK
以下に JPt100 シース測温抵抗体を用いた温度管理で、比較的容易にある程度の信頼性(
程度)が得られる方法を述べます
(7)
。
1. 一次標準用温度計
(a) 標準用 25
ステム型測温抵抗体は使わない
標準用 25
(石英保護管入り)は、ほんの僅かの振動でも値が変わる場合があります。このため、
1mK 前後の再現性を必要とする場合は頻繁に目盛を付け直す必要が生じます。温度定点無しでこの
管理は事実上不可能です(注 28)。また、個体により良い物と悪い物のばらつきがあり、ユーザーとし
て 1 本、2 本しか買わない場合は、はずれに当って困る場合が多々あります。1 本数十万∼百万円も
するので、リスクが大きいと考えます(注 29)。
(b) 指示計器付温度計はモニターとして利用する
1mK の表示分解能を持つデジタル式の指示計器付温度計が最近数十万∼百万円で入手可能です。詳
細は方法の所で説明しますが、これを使わない手は無いと思います。但し、1mK は表示するだけで
メーカーの保証も普通は 30mK∼50mK 程度です。しかしながら、自分で校正し再現性・安定性を確
認すれば、10mK の管理には十分使えて便利です。ここで誤解して頂きたくないのは、表示の桁数
が多い温度計イコール性能の良い温度計ではないと言う事です。やたらと表示桁数だけが多い、悪
いデジタル計器の見本のような指示計器付温度計も市販されているようですので、使用にあたって
はその性能等を確認する事が重要です。
(c) JPt100(シース測温抵抗体)をユーザーの一次標準として使う
JIS C 1606 1989 JPt100 にある 3mm or 3.2mm 4 線式を一次標準として用います。JIS では
R100/R0 = 1:3916 とうたっていますが、実際に市販されている物の多くは 1.3920∼1.3925 の抵抗比
を持っています。W(Ga)1.11807(R100 /R0 1.3925∼1.3926 程度に相当)には若干とどかないも
のの、高純度の Pt 線が使用されておりその特性は非常に安定しています。具体的には、定点校正を
行い直接 ITS-90 の式で中間温度を求める方法と、以下の式(5)を基準関数とし 0Æ C と任意の 1 点
での校正を行い、その偏差を一次式で回帰する事により中間温度を求める方法が考えられます (8) 。
R(t)=R0 = 1
+
+
4
X
i=1
8
X
i=4
ai (t=Æ C )i
bi (t=Æ C )i
(5)
(注 27) 一般的にこの温度域になると、工業用シース温度計は大きくドリフトする。見積もり表にはその見込み値を加算している。
(注 28)
(注 29)
定点を持っている場合は別の話になります。
この部分を製造メーカーに要求するのは酷だと思います。1mK の安定はどこのメーカーも保証しないし、ドリフトしても使い
方が悪いと言われるのが筆者の経験です。
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
23
ここで、R0 は 0Æ C での抵抗値、a1
= 3:980932 10 3; a2 = 6:1628 10 7; a3 = 7:532 10 11; a4 =
5:893 10 14; b4 = 3:048964 10 11; b5 = 9:482657 10 13; b6 = 1:021724 10 14; b7 = 4:98752 10 17; b8 = 9:0659 10 20 です。ただし、t0ÆC では bi = 0; (i = 4∼8) です(注 30)。
2. シース測温抵抗体選択のポイント
(a) 安定な事
水の三重点と使用予定最高温度 +10Æ C∼20Æ C の熱サイクルを繰り返し、水の三重点の抵抗値変化
が、1mK(0.4m
)以内の物を選ぶ(安定するまで熱処理をくりかえす)。
(b) 自己加熱量の小さい事
自己加熱量は素子作成メーカーの巻き方や大きさ等によって異なるようです。3mm
物で 1mA の測定電流に対する自己加熱量は、水の三重点(水+ Cu ブロック
or 3.2mm の
(注 31)
)では筆者が知
る中で最も良い物は 2mK 強です。これは例外的としても、5mK 以下であれば比較的容易に手にす
ることができるはずです。
(c) 抵抗比の高い事
W(Ga)1.11807 を満たせば ITS-90 の式が無条件で使えますが、筆者が今まで種々調べた中では最
も良い物でもでも若干足りません。しかしながら、近い物であれば ITS-90 の式を使ってもその差は
1∼2mK 程度です(注 32)。また、式(5)を使う事もできます。
3. 具体的な選択方法
温度計メーカーに、上記の条件を提示し作成を依頼します。通常品は 1 本 1∼2 万円ですが、特注品
であり 1 本 3∼10 万円前後でしょう。それでも、ステム型 1 本の予算で 5∼10 本購入できます。購入
した 5∼10 本を自分で調べ、熱処理を行ない前記条件を満たす物を選択して使用します。どこのメー
カーの製品であっても 1∼3 本程度は、ほどほどに使用できる物がだいたいあるはずです。
温度計の選択まで製造メーカーに依頼するのは考えものです。元来は工業規格の温度計ですから(注 33)、
使う側の手間とリスクで良い物を選別し、使うべきです。また自己責任の点からも、自分が使用する
道具をある程度自分で吟味する能力も必要かと考えます。
4. 具体的な使い方
(a) 温度の区分の認定事業者に定点校正を依頼する
室温付近(例えば 25ÆC)の管理にしか使用しない場合は、水の三重点とガリウムの融点
もう少し上(150ÆC ぐらい)まで使用する場合は、水の三重点とインジウムの凝固点
依頼試験の前後は、できれば水の三重点(無い場合は氷点)での値を確認する。
(b) デジタル温度計を校正する
校正済の測温抵抗体とデジタル温度計のセンサーを、感温部が一致する形で縛り付け標準抵抗用オ
イルバスに入れます。抵抗体の抵抗値を測定し、デジタル温度計を校正します。
この作業を定期的に行なえば、デジタル温度計の安定度並びにオイルバスの安定度等が評価できま
す。デジタル温度計に信頼がおけるだけのデータが蓄積されれば、抵抗体によるチェックに手抜き
ができるようになります。
注意点
JCSS の校正証明書では測温抵抗体の校正値は、測定電流 0mA の外挿値として書かれています。デ
ジタル温度計の校正の際は、2 電流による測定を行ない測定電流 0mA の外挿値を求める必要があり
ます。
(注 30)
詳細は参考文献
(8)
をご覧下さい。
(注 31) 測温孔の中に熱伝導を良くし、自己加熱量を小さくするために筆者の所では、水と
図 11 の結果が、この主張の一つの担保です。
33) 当然 JIS の規格は満たしています。その規格の
(注 32)
(注
Cu ブロックを入れています。
1/10 以下の安定度を要求しているのですから。
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
24
デジタル抵抗温度計の場合、多くは定電流(例えば 1mA)を流し続けています。このため校正時と
使用時の周囲環境の違いにより、測定電流による自己加熱量は電流が同じでも同じとはなりません。
これはすでに自己加熱の所で説明したとおりです。前項で述べましたように、実際に使用する環境で
校正を行わないと、その分が確実に差となって現れます。
蛇足
10mK 以下で校正して欲
最近、他の量の認定事業者から 1mK まで表示するデジタル温度計に対して、
しいとの依頼が時々あります。筆者の方針としてこれは全て断っています。事情を説明し、高い精度が必
要な場合は測温抵抗体を持ってきて頂くようお願いしていますが、今度は電気計測器の問題(測定器の価
格が高い、操作が難しい等)が出てきてなかなか難しいようです。また、
デジタル抵抗温度計で最も高級な物は、内部に標準抵抗を持っており(外付け可能な機種もある)、その
標準抵抗との比を基準に温度を算出しています。逆に最も安値な物は、計測器自身の定電流源の電流値を
信じて、抵抗値を算出しています。使用にあたってはマニュアル等を確認し、原理的にどの程度信頼でき
るかを見極めてから使用する事がかんじんです。
具体的に遭遇した、アブナイ(??)例をいくつかご紹介致します。校正結果は、校正環境と使用環境が
違えば保証しない。実際の使用はユーザーの責任である。とは言え、校正する側から見るとどう見ても誤っ
た使い方をされる心配がある、出来れば使って欲しくない温度計と言うものが存在します。
1. 自己加熱が異様に大きい
抵抗体のセンサー本体が蒸着膜或いはスパッタ膜である白金抵抗温度計用素子が市販されています。
ブロック状で、表面温度を測る目的で使われるようですが、巻線型の素子に比べて自己加熱量が異様
に大きくなります。
使用にあたっては 0.5mA 以下の測定電流でないと、自己加熱による温度上昇が大きく、校正精度で使
えないのは明らかであるが、測定電流 1mA の値も別途要求があった。
2. レンジによって測定電流が勝手に変わる
指示計器付温度計で、0Æ C の抵抗値が入力出来る機能を持ったものがある。しかしながら 1000
の
素子を用いた場合、抵抗測定は 1mA の電流で、温度表示は 0.1mA の電流に自動的に切り替わってし
まう。
この場合、センサーを氷点に浸け抵抗レンジで測定した抵抗値を入力しても、温度表示レンジに切り
替えた場合測定電流が 1/10 になっており、自己加熱量は 100 倍異なる!!!
3. 測定電流固定の指示計器付温度計
デジタル温度計は温度が直読でき使い勝手は良いが、中には 3mm 程度のセンサーに 3mA もの電流
を流しているものがある(注 34)。1mK の桁まで表示しており、人間の本能として信じたくなるが、こ
れは非常に危険である。自己加熱量は 10mK 程度どころの話ではない。
一般論として、測定電流を使う側の意志で変更出来ないタイプの指示計器付抵抗温度計で、10mK よ
りも小さな不確かさでの測定は、無理とお考え頂きたい。少なくとも、私には出来ません。但し、同
じ環境での温度の相対的な変動をモニターする分には、指示値の変化はそれなりに信用しても良いと
思います。
(注 34)
取り扱い説明書にその旨の記載あり。
2000.12.1 国際計量標準トレーサビリティーシンポジウム 資料
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8 おわりに
温度計の校正や温度測定について、私の所属する部屋で行った測定を中心に述べてみました。話の中心
は、白金抵抗温度計です。これは電気式温度計であり、電気標準からのトレースや電気測定の知識なしで
は行えない部分があります。この辺、私自身必ずしも良く理解している訳ではありませんので、誤った記
載があるやも知れません。ご指摘頂けると幸いです。
なお本文中には具体的な会社名や製品名が出てきますが、これは特別の意図がある訳ではありません。
たまたま当校正室が保有しているものについて評価を行った実例としてご覧下さい。また第 5,
6 節は、自
己評価(検証)のため社内用にまとめた内容をほぼそのまま記載しています。このため全体の表現の統一
性に欠ける部分もあるかと思いますが、この点もご容赦下さい。また、他の部分も既に別の機会に発表し
た内容を一部含んでいます。2 度読む事になってしまわれた方には、失礼致しました。
参考文献
(1)
温度とは何か|測定の基準と問題|
(2)
統計力学
:
:
櫻井弘久著, コロナ社
中村 伝著, 岩波全書
(3) 1990 年国際温度目盛(ITS-90): \計量研究所報告", 1991 年 第 40 巻 第 4 号
櫻井 弘久, 田村 收, 新井 優: \1990 年国際温度目盛に関する補足情報", 計量研究所報告, 1992 年 第 41
巻 第4号
(4)
浜田 登喜夫, 山嵜 春樹, 人見 聡一: \標準抵抗器の経年変化",
SICE'96 予稿集 (1996) 297-298
(5)
田村 收, 櫻井 弘久: \温度の測定", 応用物理,
(6)
浜田 登喜夫, 本間 誠一: \白金抵抗温度計を用いた温度測定にかかわる不確かさ", 電気検定所技報, 第
(7)
浜田 登喜夫: \抵抗温度計の不確かさ"
(8)
櫻井 弘久, 水真 陽一, 浜田 登喜夫, 寿山 幸晴:
(9)
浜田 登喜夫: \白金抵抗温度計の校正とその使い方",
Vol.65, No.5, (1996) 515-516
30 巻 第 4 号 (1995) 137-146
1998.1.30 精密工学会 講習会資料 (1998)
\ITS-90 に基づく白金抵抗温度計 JPt100 の基準関数",
計測自動制御学会論文集, Vol.32, No.8, (1996) 1139-1144
まで連載
(1997)
JEMIC 計測サークルニュース, Vol.26, No.2∼4