2007 年 3 月 14 日 株式会社ルネサス テクノロジ イーサネットコントローラと USB2.0 ホストの両機能を 1 チップ化した 32 ビット SuperH™ファミリ「SH7670 グループ」を製品化 - 当社従来製品を最大 1.6 倍に高速化し、豊富な周辺機能により、 システムコスト並びに開発コストを低減可能- 株式会社ルネサス テクノロジ (本社:東京都千代田区、会長&CEO 伊藤 達)は、このた び、ネットワーク接続機能を備えるデジタル AV 機器や OA 機器、FA 機器等向けに、イーサ ネットのコントローラと USB2.0 ホストを 1 チップに内蔵した 32 ビット SuperH™ (注 1)ファミ リ「SH7670 グループ」を 4 グループ、合計 8 品種を製品化しました。2007 年 4 月から順次 サンプル出荷を開始します。 本製品は、イーサネットコントローラ内蔵の当社従来製品「SH7619」と比較し、最大約 1.6 倍の 200MHz に高速化した製品です。 特長は、以下のとおりです。 (1) イーサネットコントローラと USB 機能を 1 チップ化し、システムの低コスト化が可能 本製品は、IEEE802.3 規格(注 2)に準拠したメディアアクセスコントローラ(MAC(注 3))を搭載 しており 10M/100Mbps(bit per second)のイーサネット LAN への接続機能の開発が容易で す。さらに、USB 規格 v2.0 のハイスピード(480Mbps)対応のホストおよびファンクション 機能を搭載しているため、USB 機能の開発も容易です。 CPU コアは 32 ビットの「SH-2A」に倍精度 FPU を搭載した「SH2A-FPU」で、最大動作周波 数は 200MHz です。当社従来製品「SH7619」に比べて、最大約 1.6 倍に高速化しており、 イーサネットと USB2.0 の高速転送及び複雑なデータ処理が可能です。また、CPU コアの アーキテクチャの改良により、処理性能は「SH7619」に対して約 2 倍に向上しています。 イーサネットコントローラと USB 機能の 1 チップ化並びに高速化により、ユーザは高性 能なシステムの小型化、低コスト化が図れます。 (2) ホストインタフェースや音声 CODEC を接続可能なインタフェース等豊富な周辺機能を搭載 ホストインタフェース(HIF)は、本製品を他のマイコンに容易に接続できる機能です。本 機能により、システムの制御を行うメインマイコンなどから、本製品を SRAM 相当と認識 して制御することができます。本機能は 16 ビット幅のバスを採用し、コマンドの高速通 信や大規模データの転送を高速で行うことができるため、既存システムへの組込みも容 易です。また、HIF のブート機能を使用することで、フラッシュメモリなどの外付けの不 揮発性メモリを不要とすることができ、部品点数を削減可能です。 さらに、シリアルサウンドインタフェースにより、音声 CODEC 等と接続することができ るため、VoIP(注 4)システムなどを容易に実現できます。その他、SD ホストインタフェース や I2C バスインタフェースなどの豊富な周辺機能を搭載しており、部品点数の削減及びシ ステムの低価格化に貢献します。 1 <製品化の背景> 近年、家庭内の機器をホームネットワークに接続する取り組みが進んでおり、各機器間 でのコンテンツの共有化が図られています。このため、デジタル TV や DVD レコーダ、デジ タルオーディオなどのデジタル AV 機器では、イーサネットに加え USB 経由でコンテンツを 視聴できる機器も増加しています。また、産業分野における機器間の通信は、CAN(注 5)から イーサネットに切り替わってきていますが、ホスト PC との接続には USB が用いられことが 多い傾向にあり、イーサネットと USB 機能を備える機器は、今後、ますます拡大する傾向 にあります。 当社は、今回、このようなニーズに対するため、イーサネットコントローラと USB2.0 の ホスト及びファンクション機能を 1 チップに内蔵した 32 ビット SuperH ファミリ「SH7670 グループ」を製品化しました。 <製品について> 本製品に搭載している 32 ビット CPU コア「SH2A-FPU」は、最大動作周波数が 200MHz の 時に、480MIPS の高処理性能を実現します。搭載しているイーサネットコントローラは、 IEEE802.3 に準拠した MAC 層を内蔵しています。加えて、イーサネットコントローラと USB2.0 のホスト及びファンクション機能を1チップ化したため、従来は外付け部品として 必要であった LAN コントローラや USB2.0 の専用 LSI を削減することができます。 また、機器制御用のメインマイコン等との接続を容易にするホストインタフェース機能 を備えており、メインマイコンからは本製品を SRAM 相当と認識します。本機能は、インタ フェース用の 16 ビット巾のバスと、2K バイトのリニアなアドレス空間を持つ SRAM を 2 バ ンク(計 4K バイト)で構成しており、メインマイコンからは、本 SRAM を 16 ビットバス経由 でアクセスし、直接リード/ライトすることができます。これにより、イーサネットや USB 経由でダウンロードしてきたデータを、メインマイコンに高速転送する等が可能です。 本機能を使用することで、機器本来の機能開発とネットワーク接続機能の開発を並行し て行え、開発期間の短縮を図れるだけでなく、既存のシステムにイーサネット接続機能を 追加して高機能化を図ることも容易です。 また、本ホストインタフェース機能には HIF ブートモードがあります。本モードを用い ることで、メインマイコンに接続されたフラッシュメモリからホストインタフェースを経 由して、「SH7670 グループ」に接続された SDRAM 上にプログラムをダウンロードすることが できます。これにより、本製品のプログラム格納用として外付けするフラッシュメモリを 備えることが不要となり、部品点数を削減できます。 さらに、汎用の DMA コントローラを搭載しており、外部メモリ間のデータ転送を高速に 実現できるため、ネットワークのデータスループットを上げることができます。 その他、本製品に音声 CODEC 用のミドルウェアを組み込むことにより、ホームネットワ ークサーバや USB メモリに格納されている接続先からダウンロードした AAC(Advanced Audio Coding)などの各種オーディオフォーマットのデコードが可能です。これにより従来 は DSP や専用 LSI が行っていた処理をソフトウェアだけで実現することができます。 パッケージは、小型の 256 ピン BGA(17mm×17mm)を採用しており、機器の小型化を図るこ とができます。 また、オンチップデバッグ機能を搭載しているため、最大動作周波数でのリアルタイム デバッグが可能です。エミュレータは、小型の PC カードサイズの「E10A-USB」を使用でき ます。 今後、更なる CPU の高速化や無線 LAN 対応、フラッシュメモリやセキュリティ機能の内 蔵など周辺機能を強化したイーサネットコントローラ搭載製品のラインアップを拡充し、 ユーザニーズに応えていきます。 2 ■注 記 (注 1) SuperH™は、(株)ルネサス テクノロジの商標です。 (注 2) IEEE802.3:IEEE802 は、IEEE(米国電気電子技術者協会)が、LAN の標準化を目的に発足 した委員会名。IEEE802.3 は、CSMA/CD 方式の 10M/100Mbps のイーサネット LAN 仕様規格。 CSMA/CD は、Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection の略で、送信 前にキャリアの有無を検出し、送信中に衝突を検出すると一定時間待機して再送信する。 (注 3) MAC:Media Access Control の略で、データリンク層内の下位副層。フレームの送受信方 法、フレームのフォーマット、データの誤り検出などを規定。 (注 4) VoIP:Voice over Internet Protocol の略。IP ネットワーク上で音声通話などを実現で きるプロトコル。 (注 5) CAN:Controller Area Network の略で、独 Robert Bosch GmbH が提唱している車載用の ネットワーク仕様 * その他記載の製品名、会社名、ブランドは、それぞれの所有者に帰属します。 ■応用機器例 ネットワーク接続機能を搭載する以下の機器 ●デジタル AV 機器:DVD レコーダ、薄型テレビ、オーディオコンポ等 ●OA 機器:プリンタ、複写機等 ●産業機器:FA 機器、シーケンサ、監視カメラ等 ■価 格 製品名 型名 SH7670 SH7671 SH7672 SH7673 最大動作周波数 (動作温度範囲) SDIO* 暗号回路 サンプル価格(円) <税込> R4S76700B200BG 200MHz(-20~70℃) - - 2,150 R4S76700D133BG 133MHz(-40~85℃) - - 2,250 R4S76710B200BG 200MHz(-20~70℃) あり - 2,200 R4S76710D133BG 133MHz(-40~85℃) あり - 2,300 R4S76720B200BG 200MHz(-20~70℃) - あり 2,200 R4S76720D133BG 133MHz(-40~85℃) - あり 2,300 R4S76730B200BG 200MHz(-20~70℃) あり あり 2,250 R4S76730D133BG 133MHz(-40~85℃) あり あり 2,350 * SD メモリカードインタフェースを使用するには、SD カードのライセンスを取得していること が必要です。 3 ■仕 様 項 目 製品名 型名 「SH7670 グループ」仕様 SH7670 SH7671 SH7672 SH7673 R4S76700B200BG R4S76710B200BG R4S76720B200BG R4S76730B200BG R4S76700D133BG R4S76710D133BG R4S76720D133BG R4S76730D133BG 電源電圧 1.2V(内部)/3.3V(外部) 最高動作周波数 型名「B200」は 200MHz、 型名「D133」は 133MHz 最大処理性能 480MIPS (200MHz 動作時)、 319MIPS(133MHz 動作時) 動作温度範囲 型名「B200」は-20~70℃、型名「D133」は-40~85℃ CPU コア SH-2A 倍精度 FPU 内蔵 RAM 32K バイト キャッシュメモリ 16K バイト(命令/データ混在、4 ウェイセットアソシアティブ方式) 外部バスインタフェ SH ローカルバスコントローラ ース -SRAM、SDRAM、ROM を直結可能 また PCMCIA インタフェースあり -データバス幅:外部 8/16/32 ビット ホストインタフェース機能 -16 ビットバス幅 SRAM タイプインタフェース -2K バイト×2 バンクのバッファ RAM 内蔵 主な内蔵周辺機能 暗号機能(SH7672、SH7673) -暗号アルゴリズム(AES/DES/3DES/MUGI) -ハッシュアルゴリズム(SHA-1/SHA-224/SHA-256) -ディスクリプタ機能内蔵専用 DMA コントローラ -ProMPEG 方式 Forward Error Correction 機能 動画像ストリームインタフェース×2 チャネル -シリアル/パラレル切り替え可能 -MPEG TS,MPEG PS の両方に対応 イーサネットコントローラ×1 チャネル イーサネットコントローラ専用 DMAC×2 チャネル 汎用 DMA コントローラ×4 チャネル シリアルサウンドインタフェース(SSI)×2 チャネル -双方向シリアル転送 -多様なシリアルオーディオフォーマットをサポート USB2.0 ホスト/ファンクションモジュール×1 チャネル -480Mbps および 12Mbps の転送レートに対応 SD ホストインタフェース(SDHI)×1 チャネル(SH7671、SH7673) -SD メモリ/IO カードインタフェース(1 ビット/4 ビット SD バス) I2C バスインタフェース×1 チャネル FIFO 付シリアルコミュニケーションインタフェース(SCIF)×3 チャネル (調歩同期式とクロック同期式の 2 方式のシリアル通信が可能) 16 ビットコンペアマッチタイマ(CMT)×2 チャネル オンチップデバッグ機能 割り込みコントローラ(INTC) ウォッチドッグタイマ(WDT) クロック発振器(CPG):逓倍 PLL 内蔵 低消費電力モード スリープモード、ソフトウェアスタンバイモード、 モジュールスタンバイモード パッケージ 256 ピン BGA (17mm×17mm) ■お客様からの問い合わせ先 株式会社ルネサス テクノロジ 汎用製品統括本部 マイコン事業部 MCU製品技術部 〒100-0004 東京都千代田区大手町二丁目 6 番 2 号(日本ビル) 電話 03(5201)5214 (ダイヤルイン) 以 上 *** このニュースリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。 *** *** 発表日以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。 *** 4
© Copyright 2024 Paperzz