会社の危機的状況回避のための経営合理化策! 希望退職・退職勧奨・整理解雇 法的リスク回避の実施手順 (1)経営合理化策としての希望退職・退職勧奨の位置付け (2)希望退職・退職勧奨・整理解雇の相互関係 (1)希望退職の手順 (2)希望退職募集通知の記載例 (3)応募者数が不足した場合の対応 (1)退職勧奨の意味 , 特 集 雇用調整(人員削減)と一口に言っても,実施される状況は様々です。直ちに雇用調整 をしなければ破産する危機的状況にある場合もあれば,経営合理化の手段として雇用調整 が望まれる状況にある場合もあります。そして,経営合理化の内実も多様であり,業績悪 化が懸念される中で将来の危機的状況を回避するための経営合理化もあれば,経営効率の 一層の向上を目指した経営合理化もあります。 いわゆる市場主義の立場からは,経営合理化に資する限り,すべての雇用調整を可能と すべきであるとの主張もありうるところでしょう。この立場によれば,使用者側の一方的 な意思決定による雇用調整=整理解雇も原則として制限すべきでないということになるで しょう。 しかし,周知の通り,現行の労働法の裁判所による運用は,そのような立場を採用して いません。裁判所の伝統的立場は,終身雇用と年功序列賃金が日本企業の世界経済におけ る競争力強化に資するとの政策的判断に基づき,解雇権濫用法理等によって労働者の地位 を法的に保護するものであり,社会状況の変化に伴ってその立場にも若干変化の兆しがあ るとはいえ,現在も整理解雇は一定の要件が満たされなければ無効と判断されます。そし て,その要件の1つとして,役員給与の減額,残業抑制,配転,出向,一時帰休,希望退 職等の解雇回避努力義務を履行したかどうかが吟味されます。これは裏からいえば,単に 経営効率を向上させるための整理解雇は認められないことを意味しています。 整理解雇が認められない場合は,使用者側の一方的意思表示によらない雇用調整策を講 じる必要があります。また,整理解雇が認められる場合でも,使用者側の一方的意思表示 によらない雇用調整策をあらかじめ講じることが,解雇権濫用法理における客観的合理性 と社会的相当性を充足するための重要な要素ないし要件とされています。 そこで本稿では,従業員側の自由な意思形成に基づく退職による雇用調整策である希望 退職および退職勧奨と,使用者側の一方的な意思表示に基づく雇用調整策である整理解雇 の相互関係について検討した後,それぞれの手順や留意点について実務的観点から説明し ます(なお,整理解雇の手順と実務対応については次号(12月号)で解説します)。 例えば,東日本電信電話・エヌ・ティ・ 1 雇用調整のステップ ティエムイー事件(東京高判平20.3.26) では配転命令権の効力が争われましたが, (1)経営合理化策としての希望退職・退職 勧奨の位置付け 使用者側の一方的意思表示によらない希 従業員にとって過酷な合理化を強行する正 当性はないと主張する控訴人らに対し,裁 判所は,使用者側が平成12年から平成13年 にかけて4回にわたり希望退職者を募集し 望退職や退職勧奨による任意退職の促進 て,約6,500名の社員が希望退職したこと, は,有効な整理解雇を実施するための準備 それでもなお営業収益の減少を止めること 手続として位置付けられますが,整理解雇 ができなかったことに言及して,控訴人ら との関係からのみ理解するのは一面的に過 の主張を斥けました。 ぎるでしょう。 8 2009.11 また,日刊工業新聞社事件(東京高判平 ● ● ● 希望退職・退職勧奨・整理解雇の実施手順(上) 20.2.13)では,退職金削減のための就業 黒字化が可能であるとしても,退職者に対 規則改訂の効力が争われましたが,ここで する退職金の支払いが不可能であり,また, も裁判所は,希望退職者募集による人件費 残った人員で事業を継続することが困難で の削減を含む様々な経営合理化策にかかわ あること,さらに,次の期が赤字になれば, らず債務超過の状態が継続したことを,就 残された従業員の退職金の支払いが困難に 業規則不利益変更の合理性を結論付ける事 なると考えてこれを行わなかったと認めら 情の1つとして触れています。 れる…ところ,前記のとおりの売上の減少 このように,就業規則の変更による退職 傾向が続き,経営状態が悪化していたこと, 金・賃金カットや単身赴任・転居・遠距離 実際に本件営業譲渡をした後,不動産譲渡 通勤等が必要となる配転等,従業員の意思 代金相当の貸付けを受けなければ従業員全 に反して精神的・経済的負担を強いる権限 員の退職金の支払いが不可能であったこと 行使に際しては,整理解雇権行使の場合と などからすれば,希望退職者募集による会 同様に,あらかじめ希望退職制度を実施す 社再建が不可能と考えた被告静岡フジカ ることが合理性,正当性判断の考慮要素と ラーの判断が不合理なものであったとはい なります。 えない。」と判断しました。 したがって,実務的には,希望退職制度 また,東京都土木建築健康保険組合事件 および退職勧奨の実施は,財政状況に問題 (東京地判平14.10.7)では,被告が解雇に がある場合に適法に執りうる選択肢を拡 先立って職員全員に対する希望退職の募集 げ,整理解雇のみならず,従業員に負担を も,原告に対する一時帰休や希望退職など 強いる経営合理化策一般の実施を可能にす の勧奨もしなかったことについて, 「従業 るための施策として位置付けられます。 員の解雇をする使用者の一般的な対応とし (2)希望退職・退職勧奨・整理解雇の相互 関係 1)希望退職と整理解雇−整理解雇前に希 ては,やや適切を欠いていたことは否めな い。」としながらも,「しかしながら,…被 告は,本件解雇前に,経営改善策として, 収入面の増加(保険料率の見直し) ,支出 望退職を実施しなくてもよい場合 面の削減(付加給付の見直し,保険事業の 最近の裁判例 (インフォーマテック事件, 見直し,諸経費節減)を実施し,さらに, 東京高判平20.6.26)を含め,多くの裁判 人件費の合理化にも着手していることが認 例で,解雇回避努力義務を尽くしたといえ められること,本件解雇が原告の勤務実 るかどうかの判断材料として,希望退職制 績・勤務実績の不良に着目してされたもの 度の実施の有無が考慮されていることは周 であること,原告に対する平成10年度以降 知の通りです。 の勤務評定において配置替先がないとの意 しかし,状況によっては希望退職制度の 見が付されていることに照らすと,職員全 実施をしないという判断が適切な場合もあ 員に希望退職を募っていないことや原告に ります。 希望退職等を打診していないことをもっ 例えば, 静岡フジカラーほか2社事件 (静 て,解雇回避努力を尽くしていないとまで 岡地判平16.5.20)において裁判所は,「被 はいえない。 」として,希望退職制度の実 告静岡フジカラーは,希望退職者募集に 施が可能であっても,他の人件費合理化の よって社員を半減した場合には,その期は 施策がとられており,勤務実績等に照らし 2009.11 9 特 集 て原告のみを解雇の対象として選定したこ 拡張中の同業他社から控訴人会社の酸素部 とに合理性がある場合には,希望退職制度 門,営業部門の従業員に対する引抜きを誘 を実施しなくても解雇回避努力義務違反と 発することを恐れたこと,また,希望退職 はいえないと判断しました。 者を募集する以上は,その方法に工夫を加 類似の判断をしたものとして,「職員25 えたとしても,控訴人会社において必要と 名程度の法人で,職員としての適格性にお する熟練従業員等がこれに応じた場合に, いて明らかに劣る者がいる場合に,希望退 これを阻止することは困難であるとともに, 職者を募らなければならないと解するのは これらの従業員に代えて技倆未熟なアセチ 相当でない」と判示したもの(東京地決平 レン部門の従業員を配置するときは,少な 12.6.1)があります。 くとも当分の間作業能率の低下は避けられ また, コーブル・ファーイースト事件 (大 ないこと,さらに,前記のとおり控訴人会 阪地堺支決平13.9.18)はカーペット製造 社の酸素部門等においては現業職員及び特 機・タフト機の販売,改造,サービス等を 務職員につき多大の過員を抱え,自然減耗 業務とする従業員10人未満の会社による整 による減員の方針を維持してきたところで 理解雇に対して従業員が地位保全仮処分を あるから,右部門の希望退職者に代えて全 申し立てた事案ですが,会社側が「債務者 般に年齢の比較的若いアセチレン部門の従 のような従業員10人未満の会社で希望退職 業員を配置するときは,右人員の合理化計 を行えば,その後の事業継続に支障が生じ 画に支障が生ずる恐れがあつたこと,昭和 ることは明らかであって,希望退職の募集 45年7月中旬に控訴人会社が本件整理解雇 を行うことはできなかった。 」と主張した を行う旨を公表したところ,47名の被解雇 のを受けて,裁判所は, 「小規模で各職種 者について地元の同業各社や大手有名会社 に熟練した従業員が存在する債務者会社に を 中 心 に 関 東 一 円 の 企 業122社 か ら 延 べ おいて,予め希望退職の募集及び配置転換 1,220名に及ぶ求人の申入れが控訴人川崎 を行わなかったことは必ずしも是認できな 工場に殺到し,当時は再就職事情が極めて いものではな」いと判断しました。 良好であつたことが認められる。 …以上 東洋酸素事件(東京高判昭54.10.29)では, の事実を勘案すると,控訴人会社が当時全 アセチレン部門閉鎖に伴う整理解雇に先 社的に希望退職者を募集することによって 立って他の部門の従業員に希望退職の募集 会社経営上大きな障害が生ずることを危惧 をかけなかった点について「一般に企業が したのはあながちこれを杞憂として理由な 特定の事業部門を閉鎖するにあたり,同事 しと断ずることはできず,右認定の事実を 業部門の従業員の配置転換先を確保するた 総合考量すると控訴人会社は当時希望退職 めに他部門の従業員につき希望退職者を募 者を募集すべきであり,これによりアセチ 集すべき義務があるか否かは,当時の諸般 レン部門閉鎖によって生ずる余剰人員の発 の事情を考量して判断されるべきものであ 生を防止することができたはずであるとい る。…本件アセチレン工場閉鎖の当時はわ うことはできない。」と判断しました。 が国経済の高度成長の最盛期に当り,産業 これらの裁判例に照らすと,以下の場合 界一般に求人難の時期であったため,控訴 などは,希望退職制度を実施しないことが 人会社としては,全従業員について希望退 合理的な判断として是認されうるといえる 職者を募集するときは,他企業とくに規模 でしょう。 10 2009.11 ● ● ● 希望退職・退職勧奨・整理解雇の実施手順(上) ① 希望退職者に対する退職金の支払い 原資の調達が見込めない場合 という用語で意味する施策が2種類ある点 です。1つは希望退職者を募集する場合の ② 小規模会社で,すでに余剰人員が合 対象従業員に対して実施するもの(実際に 理的に特定されており,広く希望退職 希望退職者募集をかけるかどうかを問わな の募集をかける意味がない場合 い),もう1つは将来見込まれる整理解雇 ③ 会社が小規模で希望退職制度を実施 の対象従業員に対して実施するものです。 することにより事業の継続に支障が出 通常は前者の対象従業員の範囲のほうが, ることが予期される場合 後者の対象従業員の範囲より広くなりま ④ 一部門の閉鎖による整理解雇であ す。 り,他の部門に希望退職の募集をかけ 現実には,将来の整理解雇を視野に入れ て閉鎖する部門の従業員を維持しよう ている場合で,整理解雇対象従業員の選定 とすれば,事業に支障が生ずる合理的 が終了しているとき(つまり整理解雇対象 な懸念がある場合 従業員が特定している場合)の退職勧奨は, 後者の意味におけるものとして,すなわち ただ, 実務的には,あさひ保育園事件(最 整理解雇の対象従業員のみに対して実施さ 判昭58.10.27)において,希望退職者募集 れるのが普通です。これは,整理解雇との の措置をとらなかったことを解雇権濫用の 関係では,手続きの相当性の要件を充足さ 理由として摘示されたことに鑑み,保守的 せるために必要なものと考えられます。 な見地から,希望退職制度の実施に特段の しかし,整理解雇に先立つ解雇回避努力 支障がなければ,整理解雇に先立って希望 義務の施策としての退職勧奨は,前者の意 退職制度を実施すべきものと考えておくの 味におけるものを指します。つまり,特定 が安全です。 の従業員を解雇するに先立ち,人件費削減 の努力として,他の従業員に対して任意退 2)退職勧奨と整理解雇 職の働きかけをすることを指します。 退職勧奨については,クレディ・スイ 後者の意味における退職勧奨後,退職勧 ス・ フ ァ ー ス ト・ ボ ス ト ン・ セ キ ュ リ 奨に応じなかった従業員を整理解雇したよ ティーズ・ジャパン・リミテッド事件(東 うな場合は,逆に,退職勧奨自体が整理解 京地判平17.5.26),弥生工芸事件(大阪地 雇に類似するものとして,その人選の合理 判平15.5.16) ,平和学園高校事件(東京高 性や退職勧奨の手続きの相当性などが吟味 判 平15.1.29), ワ キ タ 事 件( 大 阪 地 判 平 され,場合によっては不法行為と評価され 12.12.1) ,ケイエスプラント事件(鹿児島 ることもあります。 地判平11.11.19)などにおいて,解雇回避 努力義務違反の有無の判断の際に,退職勧 奨が行われたか否かが考慮されています。 3)希望退職と退職勧奨 理論的には,希望退職と退職勧奨は相互 希望退職に比べて,判決文中で触れられる に独立した人員削減の施策であり,一方の 例は少ないものの,整理解雇に先立つ解雇 実施・不実施とは無関係に,他方の実施・ 回避努力義務の施策の1つであるという位 不実施を決めることができます。 置付けは希望退職と変わりません。 注意しなければならないのは, 「退職勧奨」 実務的には,希望退職者の募集を告知す るだけでは目標とする削減数を達成するこ 2009.11 11 特 集 とができない場合には,募集期間中に対象 との比較等−による)。 従業員と別に面談して,退職勧奨をするの が通常です。この場合は,希望退職を退職 ② 削減対象の従業員個人が特定して 勧奨が補完ないし促進する関係にありま おり,対象外の従業員に退職される す。 と業務に支障が生じる客観的な事情 また,上記の通り小規模の会社では希望 退職の実施が現実的でない場合が多く,逆 があるときは,希望退職を実施せ ず,退職勧奨を実施する。 に大規模の会社で大幅な人員削減を目指す 一般論としては,従業員数の多 場合には各従業員への個別のアプローチで い会社では,そのような事情は認 は十分でない場合があります。 められにくいでしょう。 このように希望退職と退職勧奨は,会社 の規模に応じた人員削減施策として相補的 な関係にあります。 しかし, 希望退職と退職勧奨との間には, ③ (a)希望退職の実施による弊害 がなく, (b)削減対象の従業員個 人の一部が特定しているが,特定さ 整理解雇との関係と異なり,どちらを先行 れた従業員以外の従業員の削減も必 させるべきというような先後関係や条件関 要なときは,希望退職と並行して特 係はありません。したがって,個別的な事 定された削減対象従業員に対する退 情に応じてその施策の採否を決定すること 職勧奨を実施する。 になります。あえて類型的指針を挙げると 退職勧奨は対象従業員との間に すれば,次のような点を考慮すべきでしょ 緊張関係を生みますが,希望退職 う。 実施の一環として退職勧奨するこ とにより,個別にアプローチした ① (a)希望退職の実施による弊害 がなく(弊害として必要な人材の流 場合よりも緊張の度合いを緩和す ることが可能になります。 出等) , (b)希望退職の実施によっ て目標削減数が達成できる可能性が あるときは,退職勧奨に先立って希 2 希望退職の手順と実務対応 望退職を実施する。 退職勧奨は対象労働者の意欲や 希望退職制度とは,人員削減を目的とし 忠誠心を喪失させ,疑心暗鬼を招 て,一定の募集期間を設けて,使用者側で くおそれがあるため,希望退職の 希望者にとって魅力的な退職パッケージを みで目標の達成が可能であれば, 用意し,従業員にアナウンスして従業員の 退職勧奨をしないのが適当です。 自発的な応募による退職を促す制度であ もちろん,目標削減数が達成でき り,人員削減策としては退職勧奨や整理解 なかったときには次のステップと 雇と比べて,対象従業員に対する働きかけ して退職勧奨の実施を検討するこ が最もソフトなものです。 とになります(その際,第二次希 望退職を実施するかどうかは事情 −目標削減数,他の経営合理化策 12 2009.11 (1)希望退職の手順 希望退職制度を実施する場合の手順は, ● ● ● 希望退職・退職勧奨・整理解雇の実施手順(上) 別稿(本誌2009年3月号)でもご紹介した 通り,次の通りです。 個々の手順の説明は省略しますが,将来 整理解雇を実施する可能性がある場合は, 特に③の組合・従業員との協議のプロセス ① 人員削減の対象,目標値,募集時期 を重視する必要があります。後述の通り, 整理解雇の有効性の判断において考慮され の検討 ② 退職パッケージの条件の検討 る手続きの相当性には,人員合理化策の策 ③ 組合・従業員との協議 定段階からの組合・従業員への通知,協議 ④ 希望退職制度の正式決定(取締役会 が考慮されます。したがって,後日のあり うべき紛争に備えて,組合・従業員とのや 決議) りとりは書面化しておくのがベターです。 ⑤ 従業員への説明 ⑥ 従業員からの応募の受付,承認,合 意書の作成 ○年○月○日 関係従業員 各位 ○○○○株式会社 代表取締役 ○○○○ 希望退職実施のご案内 当社は,本年3月期まで○期連続で営業損失を計上し,支店数の削減,新規雇用の中断,役員報 酬カット等の合理化を進めてまいりましたが,財務状況の悪化を改善するには至っておらず,今期 も営業損失を計上する見込みです。 当社経営陣は, 直ちに大規模な経営合理化策を実施しなければならない状況であることを認識し, 当社の置かれた現状の分析とその基本方針を経営改革大綱としてまとめ,先日従業員の皆様に配付 いたしました。そこでもご説明した通り,経営効率改善のためには,とりわけ製造部門の人員をス リム化して費用の圧縮を図ることが不可欠な施策と判断いたしましたので,下記要項の通り希望退 職制度を実施いたしますことをご案内させていただきます。 関係従業員の皆様には,当社の現状にご理解をいただき,応募のご検討をいただきますようお願 い申し上げます。 記 従 業 員 ○○工場従業員 募集人員 ○○人 募集期間 ○年○月○日から○年○月○日まで 退 職 日 ○年○月○日 退職条件 別紙の通り 応募方法 所定の退職届を所属長経由で人事課宛に提出する。 なお,当社は退職届受領後速やかにその受理・不受理を決定し,応募者に通知する。 受理された場合,退職合意書を応募者と当社との間で締結する。 以 上 2009.11 13 特 集 (2)希望退職募集通知の記載例 ⑤の従業員への説明においては,誤解を 避けるため,文書で希望退職の募集条件を 通知します。記載例としては,以下の通り それによる不利益を考慮した相当の高額で ある場合でなければ,有効性を否定される 可能性が高いでしょう。 (3)応募者数が不足した場合の対応 募集期間が経過しても応募者数が募集人 です。 有価証券報告書提出会社でなければ,会 員に達しなかった場合の対応については, 社の財務情報は公開されません(会社法上, 以下の点を考慮して決めることになりま 大会社以外の会社が公開するのは貸借対照 す。 表のみ)。このため,対象従業員と経営陣 との間には大きな情報の格差があります。 従業員の自由な意思形成により退職に応じ てもらうためには,財務状況を一定程度開 示するのが妥当です。 その際,過去の事実に関しては正確を期 すとともに,将来の予測に関しては断定的 ① 応募した従業員の退職による人件 費削減額と目標削減額の差異 これが多額である場合は,さら なる合理化策を実施する必要があ りますので,それらを検討するこ ととなります。 な言い方を避ける必要があります。 また,開示の仕方としては,開示情報が ② さらなる人員削減が必要な場合は まちまちになったり,誤った情報を開示し 同一条件での第二次希望退職の実効 たりするのを避けるため,対象労働者に個 性の有無 別に説明するよりも,書面にまとめて記載 例えば希望退職募集時に退職勧 したうえで配付する方法がよいでしょう。 奨も実施し,応募しなかった対象 別紙の退職条件には,次のような事項を 従業員から勧奨拒否の通知がなさ 記載します。 れた場合などは,同一募集条件で の第二次希望退職の実効性は極め ① (会社都合退職による)退職金の支払い て低いと考えられます。 ② 特別退職金の支払い (severance pay) ③ 未消化有給休暇の買上げ ④ 退職日前の有給の就業不要(再就職 専念)期間の付与 ⑤ 希望がある場合の再就職の支援 等 ③ 募集条件引上げの可否と新しい募 集条件による第二次希望退職の実効 性の有無 応募者がわずかで,特別退職金 額を見直す財政的余地がある場合 また,退職合意書の様式には,退職条件 には,募集条件を改善して第二次 にかかる条項に加え,秘密保持義務,清算 希望退職を実施することを検討し 条項,管轄条項等を規定します。 ます。 なお,競業避止条項(退職後一定期間の 同業他社への就職の禁止等)については, これらを考慮した結果,なお人員削減を 会社側の事情で退職する従業員の再就職の 図ることが必要であり,希望退職の募集で 機会を制限するものであり,特別退職金が は効果が望めないと判断した場合で,退職 14 2009.11 ● ● ● 希望退職・退職勧奨・整理解雇の実施手順(上) 勧奨を希望退職と並行して実施しなかった ⑤ 対象従業員への説明・勧奨 ときは,退職勧奨の実施に移行することに ⑥ 対象従業員からの退職届の提出また なります。 は対象従業員との合意書の作成 以下,各手順と,実務的問題への対応策 3 退職勧奨の手順と実務対応 (1) 退職勧奨の意味 について説明します。 ① 対象従業員の(範囲の)特定,勧奨ス ケジュールの検討 「雇用の分野における男女の均等な機会 「(範囲の)」を括弧に入れたのは,対象 及び待遇の確保等に関する法律」 (以下, 「均 従業員を個人のレベルまで絞り込む場合 等法」という)6条4号では, 「退職の勧奨」 と,希望退職と同様に,所属部門,年齢, という用語が出てきます。この「退職の勧 勤務評定等を基準とした対象範囲のみを絞 奨」の意義については, 「労働者に対する り込む場合がありうるためです。 性別を理由とする差別の禁止等に関する規 対象従業員の絞込みに際して,強行法規, 定に定める事項に関し,事業主が適切に対 公序や労働協約に違反することはできませ 処するための指針」(以下, 「指針」という) ん。前述の通り,均等法6条4号は,退職 第2,10(1)が,「 『退職の勧奨』とは, 勧奨において性別により差別的取扱いをし 雇用する労働者に対し退職を促すことをい てはならない旨を規定し,指針第2,10(2) う。 」という簡明な定義を規定しています。 は,同号により禁止される取扱いを列挙し 退職勧奨は,もちろん「退職の勧奨」と ていますが,対象の絞込みに関連して禁止 同義です。指針は簡単な記載をしています される行為は次の3つです。 が, 「退職を促す」方法は多様であり,使 用者側の用意した退職条件による退職合意 の申込みへの承諾や,希望退職への応募を (ⅰ)退職勧奨の対象を男女いずれか のみとすること 促すことを含みます。 雇用調整策としての退職勧奨の具体的手 (ⅱ)退職勧奨にあたって,能力およ 順は,希望退職とほぼ同じであり,以下の び資質の有無等を判断する場合に, 通りです。なお,希望退職と並行して実施 その方法や基準について男女で異な する場合は,希望退職と退職勧奨を1つの る取扱いをすること 統合的人員削減策として実施することが可 能です。 例として,男性の場合は最低の 評価がなされているもののみを対 象とし,女性の場合は特に優秀と ① 対象従業員の(範囲の)特定,勧奨 スケジュールの検討 ② 退職パッケージの条件の検討 いう評価がなされているもの以外 を対象とする場合が挙げられてい ます。 ③ 組合・従業員との協議 ④ 退職勧奨実施の正式決定(取締役会 決議) (ⅲ)退職勧奨にあたって,男女いず れかを優先すること 2009.11 15 特 集 男性については50歳以上を対象 とによって同意に向かうため,退職するこ としながら女性については45歳以 とによるメリットを理解させることが基本 上を対象とする場合が挙げられて となります。魅力的な退職パッケージ(特 います。 別退職金の支給等)が提供できれば,勧奨 がやりやすくなるのは確かです。 また,国籍,宗教的・政治的信条,門地 希望退職の場合,応募者に対して同一の 等による差別的取扱いも認められません 条件を適用するのが普通です(応募者を勤 (労働基準法3条) 。 続年数などで複数のカテゴリーに分けるこ 勧奨スケジュールについては,目標削減 とがあるのはもちろんですが,同一カテゴ 数を達成する緊急性の度合いや,希望退職 リーに属する従業員には同一の条件が適用 の募集と並行して実施するか否かによって されます)。 決まってくるのが普通ですが,時間に余裕 これに対して,退職勧奨の場合は,個々 があり,対象人数が限られているときは, の従業員によって異なった退職パッケージ 対象従業員に対して一斉に勧奨するのでは の条件を策定することが可能です。実務的 なく,個別に1人ずつ勧奨していく方法も には,退職日(再就職先が見つかるまで在 考慮すべきです。 籍させる等) ,年休の取扱い,退職日まで 一斉に複数の対象従業員に対して勧奨を の期間の出勤の要否,再就職支援等におい 実施すると,それらの従業員が連帯して退 て,個別の事情を勘案して別異の取扱いを 職パッケージの条件の引上げ要求や法的権 します。特別退職金の支給額についても各 利の行使など,集団的な対抗措置を図る可 対象従業員との交渉で決める場合もありま 能性があり,従業員ごとの個別の条件設定 すが,そのような情報は漏洩のおそれがあ による勧奨を困難にします。個別に時期を り,ある従業員を説得するために合理的な ずらして,例えば勤務成績が最も悪い従業 理由のない特別退職金の上積みをすると, 員等から勧奨し,退職させることに成功す 他の対象従業員からも特別退職金の増額を れば,合理化施策の努力として他の中核的 要求されることがありますので,合理的な 従業員の理解も得られ,コストも抑えるこ 説明がつくかどうかを慎重に検討のうえ決 とができ,社内の結束を損うことなく目的 定する必要があります。 を達することができます。 退職勧奨の条件の決定に際して,強行法 もちろん,長期にわたって漸次的に実施 規,公序や労働協約に違反することができ すれば,従業員が「次は自分か」と疑心暗 ないのは,対象従業員の選定の場合と同様 鬼になり,忠誠心や業務効率に悪影響を与 です。例えば,指針第2,10(2)は,退 えかねないデメリットもありますので,ケー 職勧奨の条件を男女で異なるものとするこ ス・バイ・ケースの検討が必要です。 とを明確に禁止していますし,国籍,宗教 的・政治的信条,門地等によって条件を差 ② 退職パッケージの条件の検討 別することも違法です。 退職勧奨は,雇用関係の終了に同意する ように従業員を説得する交渉です。雇用関 ③ 組合・従業員との協議 係は,法的には契約関係であり,契約関係 退職勧奨は,対象従業員に個別に働きか の交渉は,損得の合理的な妥協点を探るこ けるものであるため,社内への十分な情報 16 2009.11 ● ● ● 希望退職・退職勧奨・整理解雇の実施手順(上) 提供をせずに実施すると,従業員全体を無 対象従業員の同意を得るためには,さらに 用な不安に陥れることになります。また, 一歩進んで,従業員の立場に立った交渉姿 対象従業員にも, 「自分だけが不利に扱わ 勢が求められます。 れているのではないか」,「経営合理化とは 別の理由で勧奨されているのではないか」 といった疑念を招き,勧奨を長期化させ, 以下,もう少し詳細に退職勧奨一般に共 通していえることを説明します。 実施場所 説得を阻害する要因にもなります。した 社内の会議室や上司または人事担当者の がって,対象従業員がごく少数である場合 部屋で実施されることになりますが,息詰 を除き,事前に組合等と協議し,理解を得 まるような圧迫感のある部屋は,できる限 ておくのが適当です。 り避けるべきです。窓のある,第三者に盗 また,労働協約に規定がある場合に,そ み聞きされることのない,ある程度広い(圧 れに従わなければならないのは言うまでも 迫感のない)静かな部屋で行うのが望まし ありません。 いといえます。 勧奨の担当者 ④ 退職勧奨実施の正式決定 (取締役会決議) 雇用削減策としての退職勧奨の実施は, 勧奨は,対象従業員の所属する職場の部 長,部門長,人事の責任者,担当役員,小 規模の会社であれば社長など,外形的にみ 希望退職と同様に,「重要な業務執行」(会 て権限と責任のある地位にある者が担当し 社法362条4項)に該当するため,取締役 ます。退職は対象従業員にとって極めて重 会設置会社においては,取締役会決議が必 要な決断ですから,使用者側としても重大 要になります。 事であることを認識し,それに相応しい担 当者が自ら勧奨に臨むべきです。 ⑤ 対象従業員への説明・勧奨 実務的にもっとも悩ましいのは,対象従 また,勧奨は交渉ですので,「言った・ 言わない」の問題を防ぎ,あるいは担当者 業員に対し,どこで,誰が,どのように勧 の不適切な勧奨行為を予防するためには, 奨するかという問題です。 2人の担当者で勧奨にあたることが望まし 一般の交渉と同様に,勧奨の仕方に決 いといえます。しかし,威圧的な雰囲気を まった方法はなく,対象従業員の年齢,性 避けるため,あるいは信頼関係のある上司 格,職種,用意した退職パッケージの条件, を通じた説得の効果を期待して,担当者に 会社の財務状況によっても変わってきま シミュレーション等による教育を施したう す。ただし,不当な退職勧奨行為が権利侵 えで,1人の担当者で勧奨にあたらせるこ 害として不法行為を構成しうることは,判 とが妥当な場合もあるでしょう。 例の準則となっており(下関商業高校事件, 労務コンサルタントや弁護士が勧奨に同 最判昭55.7.10),最近の裁判例(東京都ほ 席することは,再生手続き中である場合な か(警視庁海技職員)事件,東京地判平 ど,特に専門的な情報を対象従業員に説明 20.11.26)でも確認されているところです。 する必要がある場合を除いて,避けたほう 当然のことながら,勧奨に容易に応じな い従業員に対する半強制的な過度の勧奨や 「いじめ」的行為は禁止されます。また, がよいでしょう。 なお,近親者を通じて勧奨をすることは, 対象従業員の自由な意思形成を阻害するた 2009.11 17 特 集 め,違法です(鳥屋町職員事件,金沢地判 関係により従事する仕事およびその職場 平13.1.15) 。 は,従業員の社会における自己実現の基盤 実施時間,回数,頻度 であり,従業員の人間の尊厳に深くかか 下関商業高校事件(最判昭55.7.10)では, わっています。使用者側としては,従業員 対象従業員を長期間(2カ月から4カ月) の尊厳に配慮し,損得勘定のみに訴えない にわたり, 10回以上(各回短いときで20分, ようにすることが重要です。 長いときで2時間15分)勧奨したケースが, また,通常の交渉では,同意した場合の 不法行為を構成すると判断されました。社 メリットとともに,同意しない場合のデメ 会的相当性の限度を超える執拗な勧奨は, リットを理解させようとします。しかし, 会社および担当者の損害賠償責任を発生さ 雇用関係において仕事と職場を提供するの せることがあります。 は他ならぬ使用者ですから,雇用関係を維 使用者側の経営環境,人員削減に至る事 持した場合のデメリット(キャリアアップ, 情,対象従業員に対する勧奨の理由,退職 給与アップが望めない等)を説くことは, の条件等を対象従業員に正確に伝えるた 従業員からは, 「満足な仕事や職場環境を め,書面を手交して説明し,対象従業員の 提供するつもりはない」というハラスメン 意向を確認する最初の勧奨は,ある程度時 ト的言辞と解釈されかねません。したがっ 間がかかるのは致し方ないとしても,その て,デメリットを説くときは内容と表現に 説明が終了し,対象従業員から,質問もな 注意を払う必要があります。 く,結論が出せない旨または退職の意思は いったん従業員の退職の意思表示がなさ ない旨の回答がなされ,新たな説得材料も れても,後に撤回されたり,意思表示に瑕 ないのに,長時間にわたって勧奨を続ける 疵(錯誤,詐欺,強迫等)があると主張さ ことは,慎まなければなりません。 れたり,退職条件の理解について齟齬が生 実施回数,頻度については,判例に照ら じたりする可能性が高いことに留意する必 しますと,毎週のように10回以上呼び出し 要があります。とりわけ意思表示の瑕疵は て勧奨するのは行き過ぎと判断される可能 争われやすいので,従業員の自由な判断に 性が高いでしょう。また,対象従業員がそ 基づく意思表示であることを確保するよう れ以上の退職勧奨の拒否を表明したり,退 な対応が求められます。侮蔑的,威圧的, 職しない旨の意思を明確に表示したりした 誤導的な物言いは避けなければなりません。 場合は,使用者側に既存の退職パッケージ 抽象的には以上に留意しながら勧奨する よりも有利な条件を提示する用意があり, ことになりますが,より具体的には次のよ その条件によって勧奨に応じる可能性があ うに進めます。 る場合や,対象従業員の拒絶の意思が誤解 に基づく場合を除いて,勧奨を中断すべき 説明 です。 勧奨の態様 業績の低下・低迷の状況,営業 退職勧奨は,雇用関係の終了に同意する ように従業員を説得する交渉です。 しかし,雇用関係は商取引にかかわる契 約関係にはない要素を持っています。雇用 18 (a)財務状況,人材削減の必要性の 2009.11 収支の推移,これまでとられた経 営合理化策(役員報酬削減など) を説明します。 ● ● ● 希望退職・退職勧奨・整理解雇の実施手順(上) (b)当該従業員を退職勧奨の対象に 奨である場合は,その旨を伝える 選定した理由の説明 べきです(伝えなければ,整理解 これまでの貢献への感謝を述べ 雇の相当性(手続的妥当性)の瑕 るとともに,所属部門やポジショ 疵の問題となるおそれがありま す) 。整理解雇に言及するときは, ンの廃止,所属部門の縮小の必要 「その可能性もある」と言うにと 性と当該従業員の家族状況など, どめます(退職勧奨により相当程 選定理由を説明します。 度人員削減が達成されれば,整理 (c)退職パッケージの条件の説明 解雇は困難になりますので, 「退 職勧奨に応じなくても整理解雇に (d)勧奨に応ずるか否かは任意であ なる」という言い方は誤導的で, る旨および会社として退職勧奨に応 避けるべきです)。 じてもらいたい旨の表明 退職勧奨の担当者は,勧奨に応 退職パッケージについては,その詳細を じてもらうべく説得にあたるた 記載した書面を手交します。このほか,退 め,「辞めてもらうほかない」と 職勧奨をするに至った経緯の概要,退職勧 いう趣旨の発言をすることになり 奨への回答期限,および上記(d)(e)に ます。会社の意思,方針を明確に ついて記載した書面を手交することも考え 伝えることは望ましいことですか られます。 ら,そのような発言になることは 仕方がありません。しかし,従業 ⑥ 対象従業員からの退職届の提出または 員側からは退職を強要しているよ 対象従業員との合意書の作成 うに理解されるおそれがあり,実 希望退職と並行して実施する場合は,希 際に,紛争になることもしばしば 望退職の手続き(希望退職への応募,企業 です。そこで,会社の意思を伝え 側の承認,合意書の作成)の中に退職手続 る際に, 「勧奨に応ずるか否かは が吸収されています。希望退職と独立に実 あくまで任意であるが」という枕 施する場合は,退職パッケージの説明書を 詞を付することを原則とするのが 手交する際に,退職届のフォームを添付し, よいでしょう。 退職条件通知書と独立の退職届を提出させ てもよいですし,次ページのように書面の (e)勧奨に応じない場合でも,状況 上半分を企業から従業員に対する通知書, が好転せずやむをえないときは整理 下半分を退職届として,従業員に退職届分 解雇もありうる旨の通知 に署名捺印させて提出させる方法もありま 整理解雇も視野に入れた退職勧 す。 2009.11 19 特 集 ○年○月○日 ○○○○ 殿 ○○○○株式会社 代表取締役 ○○○○ 退職条件通知書 貴殿には,入社以来当社に多大なる貢献をいただき大変感謝しております。 さて,当社は,一昨年来の急激な経営環境の変化と収益の下落に対応し,残業抑制,役員報酬カッ ト等の合理化を進めてまいりましたが,財務状況の悪化を改善するには至っておらず,選択と集中 により○○事業の大幅な縮小をすることを決定いたしました。これに伴い貴殿の[部門,職種,ポ ジション]の廃止も決定されました。 貴殿の処遇につきましても, [職種変更]を含め,鋭意検討いたしましたが,当社には貴殿の能 力および経験に相応しいポジションを見付けることが困難なことから,別紙記載の通りの退職パッ ケージを提案させていただくことといたしましたので通知いたします。 別紙をよくお読みになり,別紙記載の通りの条件で退職することを希望される場合は,○年○月 ○日までに下の退職届に作成の日付を記載し,署名捺印のうえ,○○にご提出ください。 以 上 ○○○○株式会社 御中 退職届 私は,別紙を読み,十分に理解したうえで,私自身の判断で別紙記載の通りの条件で退職するこ ととしましたので届出いたします。 年 月 日 [氏名] 印 20 2009.11
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